説明

空港等の大規模施設の客誘導システム

【目的】多大な設備投資費用やメンテナンス費用をかけることなく、繁忙期であっても、円滑、確実且つ快適に客を案内できる空港等の大規模施設の客誘導システムを提供する。
【構成】e−タグの位置情報と該e-タグに格納されているe−タグ情報とを認識し、認識した該位置情報とe−タグ情報との関連情報を通信回線を介してサーバから取得し、取得した該関連情報に基いて道案内表示をする空港等の大規模施設の客誘導システムにおいて、
客が進むべき方向を示す符号、記号、文字ないし図形及びこれらの組合せからなる表示を表示可能な表示体を有する道案内表示装置が、適宜間隔を以って配置され、この道案内表示装置には直接又は間接的にe−タグのリーダーが配置され、客のe−タグ情報に応じて、前記表示体が表示されることを特徴とする空港等の大規模施設の客誘導システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空港等の大規模施設の客誘導システムに関し、詳しくは駅、空港、商業施設等の大規模施設における客の要求目的に対応した道案内等の客誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駅、空港、商業施設等の大規模施設では、客が円滑且つ確実に目的(乗車、搭乗、買物等)を達することができるように、様々な案内表示が成されている。
【0003】
例えば、空港の場合、客は空港に到着すると、出発フロア〜チェックイン〜セキュリティチェック〜出国審査〜搭乗ゲートと多数の手続きを定められた順番通りに、広い空港内の各所にて行わなければ搭乗することはできない。
【0004】
搭乗に到る各手続きは手間暇がかかり、旅慣れた者でも煩雑であり、慣れない者では手続きを把握することさえ困難であり、順番を間違えたり、違う場所へ向かってしまったり、場合によっては広い空港内で迷子になってしまうことさえある。
【0005】
特に繁忙期には旅行客数の増加によって、各手続きも時間を更に要することになるだけでなく、空港内も一層混雑するため、前記問題点はより顕著となる。
【0006】
そこで、このような大規模施設等においては、客を円滑確実に案内できる誘導手段等が求められている。例えば、空港内旅客の誘導システムの如き、大規模施設での道案内表示方法ないし顧客誘導システムについては、特許文献1に記載の技術が知られている。
【0007】
特許文献1の技術は、客に固有の識別タグ情報とその位置情報とを送信する識別タグが手渡されており、かかる情報を認識装置が受信して設備サーバの認識用PCに送り、該認識用PCはこの情報を解析し、その解析結果を画像データサーバに送ることにより、客が必要とする案内画像のための画像データをこのサーバから読み取り、画像生成用PCは、かかる画像データから案内画像信号を生成し、客に最も近い画像投影装置に送って、この客の近傍の床面に案内画像を表示させることで、客の誘導を行うものである。さらに、客に時間的な余裕があるときには、サービスサーバからのサービス情報により、他の設備の案内情報も同時に表示されることになる。
【0008】
【特許文献1】特開2004−110377
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の技術では、識別タグ近傍の床面に、道案内画像を表示するための設備としてのプロジェクターや、多人数の客一人一人を追跡するプロジェクター、これに替わるLCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、LED(発光ダイオード)等の表示ディスプレイを用いているため、即ち、床面全体を1つのスクリーンとする考えに基いているために、かかる技術の実現のためには多大の設備投資費用とメンテナンス費用が必要となる。また、道案内画像の表示は、繁忙期で混雑している時等に、他の客の画像を重なり合う虞れがあり、適切な案内の表示が困難な場合もある。さらに、情報の必要のないときでも表示されているため、人によっては行動を管理・監視されているような不快感を感じる場合がある。
【0010】
そこで本発明の課題は、多大な設備投資費用やメンテナンス費用をかけることなく、繁忙期であっても、円滑、確実且つ快適に客を案内できる空港等の大規模施設の客誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明は下記構成を有する。
【0012】
1.e−タグの位置情報と該e-タグに格納されているe−タグ情報とを認識し、認識した該位置情報とe−タグ情報との関連情報を通信回線を介してサーバから取得し、取得した該関連情報に基いて道案内表示をする空港等の大規模施設の客誘導システムにおいて、
客が進むべき方向を示す符号、記号、文字ないし図形及びこれらの組合せからなる表示を表示可能な表示体を有する道案内表示装置が、適宜間隔を以って配置され、この道案内表示装置には直接又は間接的にe−タグのリーダーが配置され、客のe−タグ情報に応じて、前記表示体が表示されることを特徴とする空港等の大規模施設の客誘導システム。
【0013】
2.前記表示体が、客が進むべき方向を略水平的に表示することを特徴とする上記1に記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【0014】
3.前記リーダーの読取可能範囲内に、e−タグを有する客が位置すべき基準位置表示(足型、手形、e−タグ図形、その他の表示)が成されていることを特徴とする上記1又は2に記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【0015】
4.前記道案内表示装置が、床面に配設されていることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【0016】
5.前記道案内表示装置が、床から任意の高さを有する略水平面に配設されていることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【0017】
6.前記表示体が、客が進むべき方向が2以上である場合には2以上の方向を表示することを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【0018】
7.前記表示体が、2以上の方向を表示する場合には該2以上の方向を区別可能に表示することを特徴とする上記6に記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【0019】
8.前記サーバが、e−タグを読み取った道案内表示装置の位置情報と読取時刻情報とを認識し、該取得した情報と客の目的箇所(プラットホーム、搭乗ゲート、到着ゲート、その他の目的箇所)及び目的時刻(乗車時刻、搭乗時刻、到着時刻、その他の時刻)の情報に基いて、目的位置及び目的時刻迄の残り時間を算出し、所定時間以上の余裕があった場合に寄り道案内表示をすることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【0020】
9.前記サーバが、e−タグを読み取った道案内表示装置の位置情報と読取時刻情報とを認識し、該取得した情報と客の目的箇所(プラットホーム、搭乗ゲート、到着ゲート、その他の目的箇所)及び目的時刻(乗車時刻、搭乗時刻、到着時刻、その他の時刻)の情報に基いて、目的位置及び目的時刻迄の残り時間を算出し、前記表示体の表示を残り時間の程度に応じて変えることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【0021】
10.前記サーバが、寄り道案内された一人ないし複数の客の情報に基き、該一人ないし複数の客の向かう一つないし複数の寄り道箇所の要配置人数及び/又は事前準備の基礎情報を算出することを特徴とする上記8又は9に記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【0022】
11.前記サーバが、e−タグを読み取った一人ないし複数の客の情報に基き、該一人ないし複数の客の向かう一つないし複数の目的箇所の要配置人数の基礎情報を算出することを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【0023】
12.前記大規模施設が空港であり、客が旅客、送迎客、見学客、トランジット客のいずれかであり、客の種類に応じた道案内表示をすることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に示す発明によれば、前記特許文献1の技術のように多大な設備投資費用やメンテナンス費用をかけることなく、繁忙期であっても円滑、確実且つ快適に客を案内できる空港等の大規模施設の客誘導システムを提供することができる。
【0025】
請求項2に示す発明によれば、道案内表示装置による方向表示が、実際の客の移動方向と同じ略水平的に表示されるので、直感的・視覚的に無意識的に進むべき方向に客を案内することができる。
【0026】
請求項3に示す発明によれば、リーダーの読取可能範囲内に、e−タグを有する客が位置すべき基準位置表示(足型、手形、e−タグ図形、その他の表示)が成されているので、e−タグ読取のミスを著しく抑制することができる。
【0027】
請求項4に示す発明によれば、客は必要な時に床面の道案内表示装置の上に立つだけで、e−タグが読み取られ、進むべき方向が表示されるので、該表示に従うだけで正しい進路に進むことができる。
【0028】
請求項5に示す発明によれば、客は道案内表示装置にe−タグを巻き付ける等した腕ないしは手をかざすだけで、e−タグが読み取られ、進むべき方向が表示されるので、該表示に従うだけで正しい進路に進むことができる。
【0029】
請求項6に示す発明によれば、客が進むべき方向が2以上である場合には、客がその時の気分や状況等によって進路を選択して進むことができる。
【0030】
請求項7に示す発明によれば、2以上の方向が表示された場合には区別可能に表示されるので、進むべき方向の選択の手助けになる。
【0031】
請求項8に示す発明によれば、目的時刻まで余裕がある場合にレストランや売店等に安心して寄り道することができる。即ち、寄り道をしても、本発明の誘導システムによって誘導を受けることができ、目的時刻に遅れる心配がない。特に、適切な時間配分をとることが困難な旅慣れない客であっても、乗り遅れを危惧することなく安心して寄り道を楽しむことができる。客が残り時間を有効活用して寄り道することによって、レストランや売店等の店舗側にとっても商機が増大し、経済的効果に繋がる。
【0032】
請求項9に示す発明によれば、残り時間の程度に応じて表示体の表示が変わるので、余裕があるか、急ぐ必要があるかを知ることができる。
【0033】
請求項10に示す発明によれば、訪れる客の数に応じた人員配置の調整、事前準備を効率的に行うことができる。
【0034】
請求項11に示す発明によれば、訪れる客の数に応じた人員配置の調整を効率的に行うことができる。
【0035】
請求項12に示す発明によれば、客が旅客の場合には搭乗ゲートに搭乗時刻までに確実に道案内し、客が送迎客の場合には出発ゲート又は到着ゲートに目的時刻までに確実に道案内し、客が見学客の場合には空港内の各施設や店舗等を効率良く道案内し、客がトランジット客の場合には誘導の係員無しで乗り換え便に定刻までに確実に道案内することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明に係る空港等の大規模施設の客誘導システム(以下、単に客誘導システムということもある。)は、e−タグの位置情報と該e-タグに格納されているe−タグ情報とを認識し、認識した該位置情報とe−タグ情報との関連情報を通信回線を介してサーバから取得し、取得した該関連情報に基いて道案内表示をする客誘導システムであり、客が進むべき方向を示す符号、記号、文字ないし図形及びこれらの組合せからなる表示を表示可能な表示体を有する道案内表示装置が、適宜間隔を以って配置され、この道案内表示装置には直接又は間接的にe−タグのリーダーが配置され、客のe−タグ情報に応じて、前記表示体が表示されることにより、客を目的箇所に目的時刻までに円滑且つ確実に案内するものである。
【0037】
以下、大規模施設が空港である場合の実施例を説明する。即ち、本発明の客誘導システムによって、空港に到着した客を、搭乗に必要な諸手続きを行う各手続き場所に順序通りに案内し、搭乗時刻までに搭乗便にまで円滑且つ確実に案内する構成の実施例について説明する。
【0038】
図1及び図2は本発明に係る空港等の大規模施設の客誘導システムの一実施例を示す構成図、図3はe−タグの使用形態例を示す正面図、図4はe−タグ情報の登録の他の例を示す説明図、図5は道案内表示装置の一例を示す説明図、図6は図5の道案内表示装置の表示例を示す説明図、図7は道案内表示装置の他の実施例を示す斜視図、図8は道案内の一例を示す説明図、図9は客の種類の選別構成を示すフロー図である。
【0039】
本発明に係る客誘導システムは、図1及び図2に示すように、e−タグ1、e−タグ登録機2、道案内表示装置3、サーバ4とから主として構成される。サーバ4は、フライトインフォメーション等とネットワークを介して連絡されている。また、サーバ4内の統計情報は、税関・入国管理局・店舗等とネットワークを介して連絡されている。
【0040】
以下、空港内における客の流れに従って、本発明の客誘導システムの各構成を説明する。
【0041】
先ず、客は空港に到着すると、空港入場ゲート、旅客案内所、チェックインカウンター等のいずれかにおいて、e−タグ1を受け取る。旅客以外の客である送迎客・見学客は、空港入口の案内所や空港入場ゲート等において、e−タグを受け取る。e−タグ1は、小さなチップ様であるためe−タグのみでは紛失し易いので、例えば、図3の(A)に示すようなIDケース様のものや(B)に示すようなテープシール様のものに格納された使用形態を有することが好ましく、IDケース様のストラップ等やテープシール様のシール部によって、脚や腕に留めたり貼付する。e−タグ1の取付位置は、該e−タグ1のリーダーによる読取精度を確実にするために特定の箇所に統一して定めることが好ましい。
【0042】
本発明に用いられるe−タグ1とは「RFID」と呼ばれるものである。「RFID」という呼び方の他、「無線ICチップ」、「無線チップ」、「非接触ICチップ」、「ICタグ」、「無線タグ」、「RFIDタグ」、「非接触ICカード」など様々な呼び方がある。本発明はいずれのものであってもよい。
【0043】
RFIDとは、Radio Frequency-Identification(無線利用による移動体の自動認識)の略で、非接触で通信を行い、内部に搭載されたICチップのデジタル情報のやり取りを通して、物品管理や自動識別を行う通信方法である。RFIDシステムは、情報の記録先である「非接触データキャリア」と、非接触データキャリアから情報を読み取ったり書き込んだりするリーダライター(アンテナ+コントローラー)から構成される。
【0044】
RFID技術を用いた非接触ICカードは、国内外の多くのメーカーにより製品化されている。
【0045】
本発明では、片面電極に限らず両面電極の構造を有するものであってもよく、具体的には、ICを搭載した日立製作所社製「ミューチップ」、凸版印刷社製「T−ジャンクション」、YRP・ユビキタスネットワークワーキング研究所と東京大学坂村研究室及びルネサンステクノロジが共同開発した「eトロン/16−AE45X」等が挙げられる。
【0046】
例えば、上記「ミューチップ」は0.4ミリ角の大きさのROMチップで、このサイズに2.45GHzの高周波アナログ回路と128ビットのROMを集積しており、厚さは0.06ミリしかないものである。
【0047】
このミューチップは、より小さくすることを追求したため機能面では限定され、一般の無線ICチップが書換可能なRAM方式であるのに対し、読み出し専用のROM方式である。本発明では、ROM方式、RAM方式のいずれも採用することができるが、RAM方式が好ましい。即ち、ROM方式のチップの場合、ROMチップを足し加える必要があるが、RAMチップの場合、1個で足りる。
【0048】
このミューチップは、より小さくすることを追求したため機能面では限定され、一般の無線ICチップが書換可能なRAM方式であるのに対し、読み出し専用のROM方式である。本発明では、ROM方式、RAM方式のいずれも採用することができるが、RAM方式が好ましい。即ち、ROM方式のチップの場合、ROMチップを足し加える必要があるが、RAMチップの場合、1個で足りる。
【0049】
客が受け取った時点のe−タグ1は、記憶されている情報がタグID等のタグ情報程度の状態であるため、e−タグ登録機2によって各種の情報をチェックインカウンター等にて登録する。
【0050】
登録する情報としては、行く先情報(搭乗機の便名、渡航先空港、乗り継ぎ空港)、空港内の寄り道情報(立ち寄りたいレストランや店舗、設備等)、旅客個人情報(パスポートID、氏名、住所等)等である。登録は、タグリーダ、情報入力キーボード、タッチパネル、パスポートリーダ(例えば、パスポートをかざすだけで必要事項の登録が可能であることが好ましい)等の入力手段によりモニタ画面にて確認しながら担当スタッフ等が行う。担当スタッフが行うことで、不慣れな客の入力による登録ミスを防止することができると共に、煩雑な登録作業から客を解放することができる。
【0051】
登録される情報は、セキュリティ確保のためにe−タグ1自体に記録されるのではなく、e−タグ登録機2から通信ネットワークを介してサーバ4の旅客情報データベース40に記憶されることになる。これらの情報の一部ないしは全部は、旅行申し込み時から空港到着前迄に予め登録されていてもよい。e−タグ登録機2は、専用機でもよいし、チェックインカウンター等の登録場所の端末装置との兼用機でもよい。
【0052】
また、旅客以外の客である送迎客・見学客の各種情報の登録は、e−タグを受け取る案内所等で担当スタッフ等が行う。送迎客の登録する情報としては、送迎する航空機の情報(便名、出発又は到着時刻等)である。
【0053】
各種情報の登録は、登録に習熟した担当スタッフが行うことが好ましいが、担当スタッフに限らず、空港スタッフ・航空会社スタッフ・旅行会社スタッフ、案内所スタッフ等の他のスタッフが行うこともできるし、また、客自身が登録するようにしてもよい。
【0054】
客自身が登録する場合には、図4の(A)及び(B)に示すようなe−タグ登録機2’のように、タグリーダ21、情報入力キーボード22等の入力手段及び確認用のモニタ画面20(タッチパネルの如き入力手段を備えていてもよい)を備えたセルフサービス型の装置を用いることができる。また、図4の(B)に示すように、旅客自身が登録する場合には、パスポートリーダ23(例えば、パスポートをかざすだけで旅券番号等の必要事項の登録が可能であることが好ましい)を備えていることが好ましい。更に、e−登録機2’は、自動チェックイン機、マイレージカード登録機等の施設に既設された種々の装置にe−タグ登録機能を持たせた併用機とすることもできる。
【0055】
セルフサービス型のe−タグ登録機2’の場合、空港内の任意の多数箇所に配設しておくことで、客が必要に応じて登録情報の変更・追加・削除を行えるようにすることが好ましい。配設する場所としては、空港内の案内図の設置場所、エレベータ・階段、休憩所等が挙げられる。
【0056】
e−タグ1を既に用いた旅行を既に経験しているリピーター客の場合は、前回旅行時に登録されたデータを利用することもできる。この場合、行く先情報等の前回旅行と異なる情報のみe−タグ登録機2によって変更可能とすることが好ましい。
【0057】
団体旅行の場合には、行く先情報のように同一情報については主要な一人が登録した内容を他の者はコピー登録し、パスポートID等の個人情報や寄り道情報は各々が登録できるようにすることもできる。家族旅行等のように行く先も寄り道箇所も同じような団体の場合には、家族を一単位としてサーバ4に登録し、主要な一人以外の登録作業を簡略化ないしは省略化することもできる。
【0058】
尚、e−タグ登録機2による登録を含めて本発明の客誘導システムは、日本語以外に英語・仏語・伊語・独語・韓国語等の他国言語についても対応可能であることが好ましい。特に、後述するトランジット客に適用する場合には複数言語に必須対応とすることが好ましい。
【0059】
上記のe−タグ1の情報登録によって、パスポートID等の旅客個人情報を登録した客は旅客としてサーバ4に認識される。また、パスポートID等の旅客個人情報は登録されないが、便名(出発便名又は到着便名)を登録した客は送迎客としてサーバ4に認識される。さらに、これらの情報が登録されず、空港内の立ち寄りたいレストランや店舗名等を登録した客は見学客としてサーバ4に認識される。尚、これらの客種の区別は、e−タグ登録機2による登録の際に、旅客・送迎客・見学客のいずれかを単に選択するだけでもよい。
【0060】
e−タグ登録機2による登録の際に、客の歩行速度や障害の有無等に関する情報について登録できるようにしてもよい。例えば、歩行スピードを速い・普通・遅い等の複数段階から選択登録できるようにしたり、松葉杖や車椅子を選択登録できるようにすることが好ましい。この登録によって道案内の際に、後述する残り時間の算出の参照情報としたり、階段や段差を避けた経路とするか否かの参照情報とすることができる。
【0061】
サーバ4は、客に各種情報を提供するために、旅客情報データベース40、フライトインフォメーション41、各店舗(レストラン、店舗、他の設備等)の位置情報等からなる店舗情報データベース42等の他に、道案内した客の数や目的箇所や店舗毎の訪問数等の各種データ(客動態把握ログデータ)からなる統計情報データベース43を有することが好ましい。統計情報は、税関・入国管理局の利用者数を元にした人員配置の調整、店舗等の人員(店員)配置や事前準備のための基礎情報として利用される。
【0062】
e−タグ登録機2から個人情報が登録されることにより、登録情報を基にフライトインフォメーション(出発ゲート情報、フライトスケジュール等)、店舗情報等の客が必要とする各情報が取得され、各データベースに登録される。この登録により、客が持つe−タグ1とサーバ4のデータベースに登録されている旅客情報とが紐付けられることになる。
【0063】
次に、上記のe−タグ1を持つ客を道案内をする道案内表示装置3について説明する。
【0064】
図5に示すように道案内表示装置3は、客が進むべき方向を示す符号、記号、文字ないし図形及びこれらの組合せからなる表示を表示可能な表示体30を有し、床面上に表示可能に配設される。
【0065】
方向を示す表示は、図示の矢印に限らず、他の符号、記号、文字ないし図形等でもよく、誰にでも一目で容易に認識できる表示(例えば、ユニバーサルデザインに基く表示等)であることが好ましい。また、示す方向についても図示の8方向に限らず、8方向より少なくてもよいし、多くてもよく、360度全周方向を無段階に示すようにしてもよく、分岐点等では分岐の数に応じた方向を示す表示とすることが好ましい。さらに、LED等の点灯体31により点灯ないしは点滅表示させたり、動画像や立体画像とすることで視認率を上げることが好ましい。
【0066】
道案内表示装置3の表示体30は、客が進むべき方向、即ち、客が移動する床面と同じ面方向である略水平的に表示することが好ましい。略水平的に表示することにより、垂直的に表示されている一般的な表示体のように垂直面で方向付けられたものを頭の中で水平的に置き換える必要がないので、無意識的・直感的に方向を認識することができる。
【0067】
尚、道案内表示装置3は、床面上に配設される盤状のものに限らず、客が見え易い位置・形状・高さであればよく、図7に示す箱形状の上面や、卓形等の台状の上面のように、床から任意の高さを有する面上に表示するようにしてもよい。この場合も、表示体30による表示は略水平的に表示することが好ましい。
【0068】
道案内表示装置3には、前記e−タグ1を読み取るリーダー32が配置されている。リーダー32の配置は、道案内表示の際に客のe−タグ1を認識できる位置であればよく、道案内表示装置3の内部又は外部に直接的に配設してもよいし、道案内表示装置3の近傍に別体構成で間接的に配設してもよい。
【0069】
リーダー32によるe−タグ1の読取りを確実にするために、該リーダー32の読取可能範囲内に、e−タグ1を有する客が位置すべき基準位置33を表示することが好ましい。基準位置表示33としては、例えば、図5に示すように、8方向の矢印の中心位置に足型を配した表示とすれば、図6に示すように客は足型の上に立つことで、足や脚等の定められた位置に取り付けられているe−タグ1が、リーダー32の読取可能範囲内となるために確実に読み取ることができると共に、客の周囲に表示される方向を速やかに無意識的・直感的に認識することができる。
【0070】
基準位置表示33は、図5の足型に限らず他の表示であってもよい。前述した図7のように道案内表示装置3が箱形状を有する場合には、他の表示が成されていてもよい。例えば、e−タグ1を腕や手に取り付けた場合には腕や手の図形の表示がよい。また、IDケース様のものに格納したe−タグ1を持っている場合にはIDケース様のものを手でかざす図形の表示がよい。図形ではなく文字によって表示されていてもよい。
【0071】
以上の構成を有する道案内表示装置3は、空港内の要所要所に適宜間隔を以って配置され、ネットワークインターフェース等を介して無線又は有線によりサーバ4に接続される。具体的配置箇所としては、旅客ターミナル入口ロビー、チェックインアイランド出口(エアサイド)、セキュリティ検査場入口及び出口、出国審査の出口、各店舗等の入出口、通路等の分岐点、空港内フロアの任意の箇所等、道案内が必要な箇所や、進むべき方向の選択を要する箇所等である。
【0072】
空港内の各所に配置されている道案内表示装置3のいずれかに客が接近し、当該道案内表示装置3の基準位置表示33に客が位置すると、リーダー32が該客のe−タグ1を読み取り、当該道案内表示装置3の場所を示す位置情報とe−タグ1のID情報とがサーバ4に伝達される。サーバ4は、伝達された時間と、伝達された情報と、サーバ4内に格納されている客の関連情報等に基き、客が次に進むべき方向を表示する。
【0073】
次に、空港内における道案内の一例を図8に基き説明すると、
(1)客が旅客ターミナル入口から、搭乗券を受け取ると共にe−タグ1に各種情報を登録するために搭乗する航空会社のカウンターに向かう。
(2)客がチェックイン(搭乗券の受け取り及びe−タグ1の受け取り及び登録)を終えて、チェックインアイランドの出口(エアサイド側)の道案内表示装置3に位置すると、セキュリティ検査場に進むべき方向を表示体30が表示する、
(3)客がセキュリティ検査場に着き、該セキュリティ検査場の入口の道案内表示装置3に位置すると、セキュリティブースの中で待ち時間の一番短いブースに進むべき方向を表示体30が表示する、
(4)客がセキュリティ検査を終え、出口の道案内表示装置3に位置すると、出国審査ブースの中で待ち時間の一番短いブースに進むべき方向を表示体30が表示する、
(5)客が出国審査を終え、出口の道案内表示装置3に位置すると、搭乗ゲートに進むべき方向を表示体30が表示する、
という表示が各所にて成されるので、客は表示体30の表示に従って進むだけで必要な手続きを間違えることなく順序通りに行うこともできる。尚、図8の各手続き箇所に設置される道案内表示装置3の数は図示の各1つに限らず、複数の客に対応できる数が各々の箇所で設置されることが好ましい。
【0074】
(1)〜(5)の各手続き場所間の移動途中において、トイレに行く等して進むべき進路から外れたとしても、空港内に複数配置されている道案内表示装置3(図8では図示を省略)の何れかに位置すれば、次に進むべき正しい方向が表示体30に表示されるので迷子になることはない。
【0075】
次に進むべき方向が2以上の複数有る場合は2以上の方向を表示し、該2以上の方向を区別して表示する。例えば、2以上の経路のどれを通っても距離も時間も大差がない場合には2以上の方向を表示するようにしてもよいし、僅かな差でも楽な経路の方向の1つのみを表示するようにしてもよい。また、進むべきブースが複数有り、複数の中のいずれでも手続きが可能である場合等では、複数の中で待ち時間が一番短いブースの方向の1つのみ道案内してもよいし、表示の色や大きさを変えることで順位付けをした表示としてもよい。
【0076】
複数の中で待ち時間が一番短いブースを道案内する場合等では、サーバが、既に道案内した人数情報と当該手続き箇所を終えて次の手続きに進んだ人数情報から現在のブース毎の手続き待ち人数をリアルタイムで集計し、集計されたデータに基いて待ち時間の短いブースに道案内することが好ましい。
【0077】
また、一人ないし複数の客の向かう一つないし複数の目的箇所毎の人数情報から基礎情報を算出し、リアルタイムで訪れる客の数に応じた人員配置の調整を効率的に行うことも好ましい。
【0078】
さらに、得られた人数情報を蓄積して統計化し、蓄積された統計情報から各手続き箇所の必要配置人数の基礎情報を算出することが好ましい。必要配置人数の基礎情報を得ることで、時間毎や曜日毎等の利用客数を把握し、無駄の無い必要充分な効率的な人員配置を行うことができることになる。従って、無駄な人員配置や偏った人員配置を防ぐことができるだけでなく、混雑の緩和・解消や、諸施設の拡充・縮小等に役立てることができる。
【0079】
さらにまた、空港内の道案内表示装置3のどれが、いつ、どの客に対し、どの方向にある手続き場所へ道案内をしたのか旅客の一意のIDであるe−タグID及び/又は旅券番号を基に統計情報データベース43にて集計し、集計したログを旅客の通過情報として航空会社がチェックし、航空会社の顧客がおおよそどこにいるのかを把握することができる。この把握によって、集合時間に旅客が搭乗ゲートに現れない場合、従来は航空会社は人海戦術で旅客を探しているが、本発明では統計情報データベース43をチェックすることによっておおよその旅客の位置を把握することができるので、効率的な旅客探索作業を行うことができる。
【0080】
以上説明したように、客のe−タグ1の情報に応じて、道案内表示装置3の表示により、客を途中の目的箇所である各手続き箇所と最終の目的箇所である搭乗便まで目的時刻迄に確実に案内することができる。
【0081】
本発明の客誘導システムでは、客を目的箇所に道案内するだけでなく、所定時間以上の余裕があった場合には、e−タグ登録機2に登録した寄り道情報(立ち寄りたいレストランや店舗、設備等)に基き、寄り道案内することもできる。
【0082】
即ち、目的箇所への道案内の過程において、サーバ4が、e−タグ1を読み取った道案内表示装置3の位置情報と読取時刻情報とを認識し、該取得した情報と客の目的箇所及び目的時刻の情報に基いて、目的位置及び目的時刻迄の残り時間を算出し、所定時間以上の余裕があるとの判断がなされた場合に寄り道案内表示をするものである。
【0083】
所定時間以上の余裕の算出は、目的時刻迄の残り時間と、寄り道先の情報(寄り道先までの到達時間、寄り道先から目的箇所までの到達時間、寄り道先の混雑の程度、寄り道先での所要時間等)、歩行速度情報等(速い・普通・遅い等の登録情報)を基に判断される。
【0084】
寄り道案内された一人ないし複数の客の向かう一つないし複数の寄り道箇所毎の人数情報から基礎情報を算出し、リアルタイムで訪れる客の数に応じた人員(店員)配置の調整や事前準備を効率的に行うことも好ましい。
【0085】
さらに、得られた人数情報を蓄積して統計化し、蓄積された統計情報から各寄り道箇所の必要配置人数の基礎情報を算出することが好ましい。必要配置人数の基礎情報を得ることで、時間毎や曜日毎等の寄り道客数を把握し、無駄の無い必要充分な効率的な人員(店員)配置を行うことができることになる。従って、無駄な人員配置を防ぐことができるだけでなく、混雑の緩和・解消や、諸施設の拡充・縮小等に役立てることができる。
【0086】
寄り道先が複数箇所有る場合には、予め優先順位を登録しておくことが好ましく、優先順位順に残り時間を使って寄り道案内がなされる。
【0087】
尚、残り時間に余裕は有るが、その時の気分や状況によって寄り道をキャンセルしたくなった時のために、表示体30の表示は寄り道案内の他に目的箇所への案内表示も表示しておくことで、寄り道せずに又は寄り道を途中で打ち切って目的箇所へ直接進むことができるようにすることが好ましい。この場合、目的箇所への表示と寄り道箇所への表示を異なる色等で区別して表示することが好ましい。また、寄り道を打ち切りたい時等には、寄り道情報をキャンセルできるようにしてもよい。寄り道案内のキャンセルは、e−タグ登録機2で行うことが好ましい。
【0088】
前記表示体30の表示は、搭乗機の出発時刻が迫って残り時間が無い場合には寄り道案内の表示を行わず、残り時間が少なくなった場合には、表示体30の点灯体31の点滅速度を上げたり、異なる色(例えば、余裕のある時は青色、余裕が無くなりそうな時は黄色、余裕が無くなった時は赤色等)等のように、残り時間の程度(緊急度)に応じて変えることが好ましい。また、目的箇所までの到達度合に応じて表示を変えること、例えば、目的箇所が近付くに従って表示の色が濃くなるように変えることも好ましい。
【0089】
以上説明した道案内は、客が旅客である場合に限らず、送迎客又は見学客の場合にも道案内表示を行う。
【0090】
客が送迎客の場合には、旅客の出発又は到着時刻に合せて送迎ができる時間迄に、出発又は到着フロア/ロビーに道案内する。送迎時刻迄に所定時間以上の余裕があった場合には、上述した旅客の場合と同様に、e−タグ登録機2に登録した寄り道情報(立ち寄りたいレストランや店舗、設備等)に基き、寄り道案内することもできる。
【0091】
客が見学客の場合には、空港内のレストランや店舗、展望台、他の施設・設備等、e−タグ登録機2に登録した情報に基いて各箇所に道案内する。
【0092】
客が旅客・送迎客・見学客のいずれであるかは前述したように、登録情報に基いて区別され、客の種別に応じた道案内が行われる。客の種類(旅客・送迎客・見学客)を選別し、かかる選別に基く道案内についてのフロー図を図9に示す。
【0093】
また、本発明の客誘導システムは、トランジット客の場合にも道案内表示を行うことができる。
【0094】
トランジットレーンに道案内表示装置3を配設し、乗り換え時にトランジット用のe−タグを(例えば、トランジットカードと一緒に)トランジットカウンターで受け取ることで、トランジット客は乗り換え便に定刻までに確実に道案内を受けることができる。トランジットの場合、客は外国人であることが多いため、表示体30の表示は矢符等の万国共通の記号であることが好ましい。
【0095】
更に本発明の客誘導システムは、緊急時(例えば、火災、震災、天災、テロ等)の避難誘導システムとしても機能させることが好ましい。緊急時には、道案内表示を中止して避難経路表示に切り替えることで客を安全な場所まで誘導することができる。この場合、道案内表示装置3の表示体30の表示は、当該道案内表示装置3が位置する場所から安全且つ最短の避難経路方向、即ち、火災等が発生している場合には火災発生地点を回避した避難経路を表示して、客を速やか且つ安全に避難させることが好ましい。また、表示体30の表示を緊急時を示す赤い点滅表示等とすると共に、警報音を発生させる等して、客に緊急事態であることを認識させることも好ましい。緊急時の際の道案内表示装置3の表示によって、客であるか否か、即ち、e−タグ1を所持しているか否かに拘らず、当該施設内の全ての人に避難経路を表示することができるので、全員を漏れなく避難誘導することができる。
【0096】
本発明の客誘導システムの大規模施設は本実施例の空港に限らず、駅、大規模店舗、見本市会場、各種検査場、市場、図書館、病院、療養施設(高齢者用、痴呆者用等を含む)、動物園、遊園地、テーマパーク等の娯楽施設に適用することができる。また、閉鎖された施設内に限らず、市街地等の開かれた地域でのイベント、観光地の観光案内等にも適用することができる。
【0097】
駅に適用する場合は、例えば、乗車券の購入と共に、e−タグ1を客に渡してもよいし、或いは乗車券自体にe−タグを格納してもよいし、上記したe−タグ1と同様のタグ情報(タグID等)を客の携帯電話機にダウンロードする等して、客誘導システムを機能させることができる。
【0098】
病院に適用する場合は、診察券にe−タグを格納させて、受診場所まで患者を誘導させるようにすることもできる。
【0099】
娯楽施設に適用する場合は、入場口でe−タグを客に配布し、娯楽施設内の道案内を表示することもできる。
【0100】
図書館に適用する場合は、各書棚や本にアドレスを予め割り振っておき、受付でe−タグを受け取るか又は図書カードにe−タグを格納することで、所望の書棚や本の場所まで誘導させるようにすることもできる。
【実施例】
【0101】
以下、本発明の客誘導システムを空港に適用した場合の実施例について、前記図1、前記図2、前記図5、前記図8、並びに図10及び図11に基き説明する。
【0102】
図10は道案内表示装置の実施例を示す説明図、図11は道案内表示装置の他の実施例を示す説明斜視図である。尚、図10及び図11において、前記図5〜図7と同様の符号を付すものは同様の構成を有する。
【0103】
空港に到着した旅客は、e−タグ1を空港入場ゲート、旅客ターミナル入口、旅客案内所、チェックインカウンター等のいずれかで受け取る。
【0104】
旅客は、チェックインカウンターで搭乗手続きをする際に、搭乗券を渡されると共に、その搭乗券に記載のフライト番号やその出発時刻、旅券番号(これらは、氏名などの顧客情報とともに、航空会社のデータベースに既に登録されている)をe−タグ登録機2を利用して登録する。これにより、航空会社のデータベースに格納されているこの旅客の旅客情報や搭乗する航空機に関する情報が旅客に渡されたe−タグ1のe−タグIDと関連付けられて、空港の客誘導システムコンピュータ(図示せず)のサーバ4の旅客情報データベース40に登録される。このe−タグ1のe−タグIDと旅客情報とは1対1に対応し、サーバ4では、e−タグIDからこれに対応する航空便、出発時刻、立ち寄りたい店舗情報等の旅客情報と一意的に対応付ける。
【0105】
e−タグ1の情報登録によってe−タグIDと旅客情報とが関連付けられて、サーバ4内の旅客情報データベース40に送信され、登録される。
【0106】
旅客情報データベース40に登録されると、サーバ4内にある搭乗便、搭乗ゲート番号が登録されているフライトインフォメーション41、店舗、セキュリティ検査場、出国審査場、搭乗ゲート、旅客が立ち寄りたい店舗などの施設の位置情報が登録されている店舗情報データベース42と紐付けられる。
【0107】
このようにして旅客情報データベース40では、旅客が携帯するe−タグ1のe−タグIDが旅客の搭乗する航空機等に関する情報と関連付けて登録される。
【0108】
道案内表示装置3に配置されているリーダー32(図5参照)は、所定の短い周期で呼び出し信号を発信しており、旅客は基準位置表示33に位置すると、e−タグ1はリーダー32からの送信信号を受信しe−タグIDを返す。
【0109】
e−タグ1の情報をリーダー32が受信すると、当該道案内表示装置3の場所を示す位置情報とe−タグ1のe−タグID情報とがサーバ4に伝達される。サーバ4は伝達された時間と、伝達された情報とサーバ4内の旅客情報データベース40に格納されている客の関連情報等に基づき、旅客が次に進むべき方向を当該道案内表示装置3の表示体30が表示する。
【0110】
即ち、e−タグ1の情報を受け取ったサーバ4の顧客情報データベース40は、e−タグ1のe−タグID及び道案内表示装置3の位置情報を把握・分析し、旅客の個人情報や搭乗する航空機に関する情報、店舗に関する情報と情報を受信した時間とを突合せ、出発時間までに時間的な余裕があるかどうかを判断する。
【0111】
そして、サーバ4の旅客情報データベース40は、判断した解析結果を道案内表示装置3に送る。この際、この旅客が出発時間までに時間的な余裕があると判断した場合には、次の手続き先と事前に登録されてある店舗に関する方向を伝達し、旅客が出発時刻までに時間的な余裕がない場合には、店舗を利用する時間が無いので、店舗に関する情報は伝達しない。
【0112】
サーバ4の旅客情報データベース40から進路指示に関する解析結果を受け取った道案内表示装置3は、旅客に対する案内用の表示信号を生成し、表示体30の中にあるLED等からなる点灯体31に進路を表示させる。
【0113】
道案内表示装置3は、前記図8に示すように、チェックインアイランド、セキュリティ検査場、出国審査場に設置されている。
【0114】
道案内表示装置3の表示は、出発時間までに時間的な余裕があり、寄り道したい店舗も近くにある場合は、図10(A)及び図11(A)に示すように2つの方向30a・30bが表示される。30aは、旅客が次に行うべき手続きの方向を表示しており、30bは予め登録したレストラン等の寄り道したい店舗の方向を表示している。2つの方向30a・30bは、例えば、方向30aを青色、方向30bを緑色等のように区別可能に表示される。
【0115】
また、出発時間まで時間的に余裕が無い、または旅客が寄り道したい店舗が次の手続き以降に存在している場合は、図10(B)及び図11(B)に示すように方向30aのみが表示される。
【0116】
以上のようにして、旅客は空港内の各所に配設されている道案内表示装置3に誘導されることによって、旅客ターミナル入口から、チェックインアイランド、セキュリティ検査場、出国審査を経て、搭乗ゲートに進み、搭乗すべき航空機に搭乗する。この誘導途中において、時間的な余裕がある場合には、予め登録した寄り道情報に基き、レストラン等の店舗に慌てることなく安心して寄り道し、寄り道をした後に、搭乗ゲートに進み、搭乗すべき航空機に搭乗する。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明に係る空港等の大規模施設の客誘導システムの一実施例を示す構成図
【図2】本発明に係る空港等の大規模施設の客誘導システムの一実施例を示す構成図
【図3】e−タグの使用形態例を示す正面図
【図4】e−タグ情報の登録の他の例を示す説明図
【図5】道案内表示装置の一例を示す説明図
【図6】図5の道案内表示装置の表示例を示す説明図
【図7】道案内表示装置の他の実施例を示す斜視図
【図8】道案内の一例を示す説明図
【図9】客の種類の選別構成を示すフロー図
【図10】道案内表示装置の実施例を示す説明図
【図11】道案内表示装置の他の実施例を示す説明斜視図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
e−タグの位置情報と該e-タグに格納されているe−タグ情報とを認識し、認識した該位置情報とe−タグ情報との関連情報を通信回線を介してサーバから取得し、取得した該関連情報に基いて道案内表示をする空港等の大規模施設の客誘導システムにおいて、
客が進むべき方向を示す符号、記号、文字ないし図形及びこれらの組合せからなる表示を表示可能な表示体を有する道案内表示装置が、適宜間隔を以って配置され、この道案内表示装置には直接又は間接的にe−タグのリーダーが配置され、客のe−タグ情報に応じて、前記表示体が表示されることを特徴とする空港等の大規模施設の客誘導システム。
【請求項2】
前記表示体が、客が進むべき方向を略水平的に表示することを特徴とする請求項1に記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【請求項3】
前記リーダーの読取可能範囲内に、e−タグを有する客が位置すべき基準位置表示(足型、手形、e−タグ図形、その他の表示)が成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【請求項4】
前記道案内表示装置が、床面に配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【請求項5】
前記道案内表示装置が、床から任意の高さを有する略水平面に配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【請求項6】
前記表示体が、客が進むべき方向が2以上である場合には2以上の方向を表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【請求項7】
前記表示体が、2以上の方向を表示する場合には該2以上の方向を区別可能に表示することを特徴とする請求項6に記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【請求項8】
前記サーバが、e−タグを読み取った道案内表示装置の位置情報と読取時刻情報とを認識し、該取得した情報と客の目的箇所(プラットホーム、搭乗ゲート、到着ゲート、その他の目的箇所)及び目的時刻(乗車時刻、搭乗時刻、到着時刻、その他の時刻)の情報に基いて、目的位置及び目的時刻迄の残り時間を算出し、所定時間以上の余裕があった場合に寄り道案内表示をすることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【請求項9】
前記サーバが、e−タグを読み取った道案内表示装置の位置情報と読取時刻情報とを認識し、該取得した情報と客の目的箇所(プラットホーム、搭乗ゲート、到着ゲート、その他の目的箇所)及び目的時刻(乗車時刻、搭乗時刻、到着時刻、その他の時刻)の情報に基いて、目的位置及び目的時刻迄の残り時間を算出し、前記表示体の表示を残り時間の程度に応じて変えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【請求項10】
前記サーバが、寄り道案内された一人ないし複数の客の情報に基き、該一人ないし複数の客の向かう一つないし複数の寄り道箇所の要配置人数及び/又は事前準備の基礎情報を算出することを特徴とする請求項8又は9に記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【請求項11】
前記サーバが、e−タグを読み取った一人ないし複数の客の情報に基き、該一人ないし複数の客の向かう一つないし複数の目的箇所の要配置人数の基礎情報を算出することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。
【請求項12】
前記大規模施設が空港であり、客が旅客、送迎客、見学客、トランジット客のいずれかであり、客の種類に応じた道案内表示をすることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の空港等の大規模施設の客誘導システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−48132(P2007−48132A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233275(P2005−233275)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(505304757)学校法人田村学園 (3)
【Fターム(参考)】