説明

窓枠部材接合方法

【課題】溶着面にずれが発生する、縦及び/又は横窓枠部材の側面に擦傷が生成される等の問題を発生せしめることなく、合成樹脂製縦窓枠部材と合成樹脂製横窓枠部材とを接合する方法を提供する。
【解決手段】第一のクランプ手段から縦窓枠部材26を開放すると共に第二のクランプ手段4から横窓枠部材28を開放する開放工程において、第一のクランプ手段における一対のクランプ部材の一方8を他方6から離隔する片側クランプ開放と第二のクランプ手段における一対のクランプ部材の一方18を他方16から離隔する他側クランプ開放とを、同時ではなくて片側クランプ開放段階と他側クランプ開放段階とのいずれか一方を遂行した後に他方を遂行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製窓枠を構成するために合成樹脂製縦窓枠部材と合成樹脂製横窓枠部材とを接合する接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1乃至3に開示されている如く、矩形状の合成樹脂製窓枠は、押出成形した細長い4本の合成樹脂製窓枠部材、即ち2本の縦窓枠部材と2本の横窓枠部材を所要とおりに接合して矩形枠形態にせしめることによって構成される。更に詳しくは、2本の縦窓枠部材及び2本の横窓枠部材の両端を長手方向に対して例えば45度の傾斜角度で切断して傾斜接合端面を形成する。そして、縦窓枠部材の接合端面と横窓枠部材の接合端面とを加熱溶融して相互に押圧することによって接合することによって構成される。
【0003】
縦窓枠部材の接合端面と横窓枠部材の接合端面との接合は、下記特許文献4及び5に開示されている如く、相互に接近及び離隔する方向に相対的に移動せしめられる一対のクランプ部材を備えた第一のクランプ手段によって縦窓枠部材を、縦窓枠部材の接合端部を一対のクランプ部材を超えて突出せしめてクランプすると共に、相互に接近及び離隔する方向に相対的に移動せしめられる一対のクランプ部材を備えた第二のクランプ手段によって、横窓枠部材を、横窓枠部材の接合端部を一対のクランプ部材を超えて突出せしめてクランプし(クランプ工程)、次いで第一のクランプ手段にクランプされた縦窓枠部材の接合端面を加熱溶融すると共に、第二のクランプ手段にクランプされた横窓枠部材の接合端面を加熱溶融し(加熱溶融工程)、しかる後に第一のクランプ手段にクランプされた縦窓枠部材の加熱溶融された該接合端面と該第二のクランプ手段にクランプされた横窓枠部材の加熱溶融された該接合端面とを相互の押圧せしめて接合し(接合工程)、次いで第一のクランプ手段から縦窓枠部材を開放すると共に、第二のクランプ手段から横窓枠部材を開放する(開放工程)ことによって好都合に遂行することができる。
【0004】
下記特許文献4及び5には、所要形態の縦及び横窓枠部材を手動で所定位置にセットしさえすれば、上述したクランプ工程、加熱溶融肯定、接合工程及び開放工程を順次に自動的に遂行する接合装置が開示されている。また、下記特許文献7には、接合工程において生成される溶着バリを開放工程の前に自動的に除去する様式が開示され、下記特許文献6には、接合工程において生成される溶着バリを開放工程の後に自動的に除去する様式が開示されている。更に、下記特許文献8には、主層とこの主層の表面に積層された表面層とから構成された積層構造の縦及び横窓枠部材の接合端面を相互に接合するに際し、接合端面から流出する溶着バリの幅を表面層表面において0.2乃至0.6mmに規制すると、後に溶着バリを除去した時に溶着バリを除去した部位における主層の露顕を回避乃至充分に抑制することができ、化粧処理を施さずとも溶着バリを除去した部位の外観を充分良好なものにすることができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−140543号公報
【特許文献2】特許第2529424号
【特許文献3】特開2001−220958号公報
【特許文献4】大韓民国公開特許10−1998−0003475号公報
【特許文献5】大韓民国公開特許10−2004−0095555号公報
【特許文献6】大韓民国公開特許10−2004−0107979号公報
【特許文献7】大韓民国公開特許10−2007−0065120号公報
【特許文献8】特開2009−137099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したとおりの従来の接合方法においては、一般に、積層構造の窓枠部材の接合に限らず単層構造の窓枠部材の接合の場合にも、溶着バリの除去された部位の外観の点から第一のクランプ手段の一対のクランプ部材及び第二のクランプ手段の一対のクランプ部材の各々に、縦窓枠部材の接合端面と横窓枠部材の接合端面との間から流出する溶着バリの幅を所要値以下に制限するためのナイフ片を配設することが望まれるが、本発明者等の経験によれば、殊にかようなナイフ片を配設した場合、協働して溶着バリの幅を規制するナイフ片間の間隔を維持したままで開放工程を遂行すると、溶着バリがナイフ片に付着してナイフ片の移動を妨げることに起因して、溶着された窓枠部材が変位して接合装置の構成要素に対して擦られて損傷されてしまう、という問題が発生することが判明した。一方、かような問題を回避せんとして、開放工程の遂行に先立って、協働して溶着バリの幅を規制するナイフ片を移動してナイフ片間の間隔を拡大すると、接合された窓枠部材の表面上をナイフ片が滑動することによって窓枠部材の表面に擦傷が生成されてしまう傾向がある。
【0007】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、例えば上記特許文献4及び5に開示されている如き接合装置を利用して、上記特許文献8に開示されている如く溶着バリの幅を規制する場合においても、上述したとおりの問題の発生を充分確実に回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、従来の接合方法における開放工程の際の挙動について鋭意分析及び検討を加え、従来の接合方法における上述したとおりの問題は、第一のクランプ手段から縦窓枠部材を開放すると共に第二のクランプ手段から横窓枠部材を開放する開放工程において、第一のクランプ手段における一対のクランプ部材の一方を他方から離隔する片側クランプ開放と第二のクランプ手段における一対のクランプ部材の一方を他方から離隔する他側クランプ開放とを実質上同時に遂行することに起因して、縦窓枠部材及び/又は横窓枠部材に第一のクランプ手段の他方のクランプ部材及び第二のクランプ手段の他方のクランプ部材から遠ざかる方向に相当大きな力が作用し、これによって縦窓枠部材及び/又は横窓枠部材に望ましくない移動が生成されることに起因することを認識した。
【0009】
本発明者等が認識した上記挙動に鑑み、本発明によれば、第一のクランプ手段から縦窓枠部材を開放すると共に第二のクランプ手段から横窓枠部材を開放する開放工程において、第一のクランプ手段の一対のクランプ部材のいずれか一方を他方から離隔せしめる片側クランプ開放段階と、第二のクランプ手段の一対のクランプ部材のいずれか一方を他方から離隔せしめる他側クランプ開放段階とを、同時ではなくて片側クランプ開放段階と他側クランプ開放段階とのいずれか一方を遂行した後に他方を遂行することによって、従来の接合方法における上述したとおりの問題が解決される。
【0010】
即ち、本発明によれば、従来の接合方法における上述したとおりの問題を確実に回避する接合方法として、相互に接近及び離隔する方向に相対的に移動せしめられる一対のクランプ部材を備えた第一のクランプ手段によって、長手方向に対して傾斜して延在する接合端面を有する合成樹脂製縦窓枠部材を、該縦窓枠部材の接合端部を該一対のクランプ部材を超えて突出せしめてクランプすると共に、相互に接近及び離隔する方向に相対的に移動せしめられる一対のクランプ部材を備えた第二のクランプ手段によって、長手方向に対して傾斜して延在する接合端面を有する合成樹脂製横窓枠部材を、該横窓枠部材の接合端部を該一対のクランプ部材を超えて突出せしめてクランプするクランプ工程と、
該第一のクランプ手段にクランプされた該縦窓枠部材の該接合端面を加熱溶融すると共に、該第二のクランプ手段にクランプされた該横窓枠部材の該接合端面を加熱溶融する加熱溶融工程と、
該第一のクランプ手段にクランプされた該縦窓枠部材の加熱溶融された該接合端面と該第二のクランプ手段にクランプされた該横窓枠部材の加熱溶融された該接合端面とを相互の押圧せしめて接合する接合工程と、
該第一のクランプ手段から該縦窓枠部材を開放すると共に、該第二のクランプ手段から該横窓枠部材を開放する開放工程と、
を含む接合方法において、
該開放工程においては、該第一のクランプ手段の該一対のクランプ部材のいずれか一方を他方から離隔せしめる片側クランプ開放段階と、該第二のクランプ手段の該一対のクランプ部材のいずれか一方を他方から離隔せしめる他側クランプ開放段階とを、同時ではなくて該片側クランプ開放段階と該他側クランプ開放段階とのいずれか一方を遂行した後に他方を遂行する、
ことを特徴とする接合方法が提供される。
【0011】
好適形態においては、該第一のクランプ手段の該一対のクランプ部材の各々及び該第二のクランプ手段の該一対のクランプ部材の各々は、該縦窓枠部材の接合端面と該横窓枠部材の接合端面とから流出するバリの幅を制限するためのナイフ片を含んでいる。好ましくは、該第一のクランプ手段における該一対のクランプ部材の該一方は該他方の上方に昇降動自在に配設されており、該開放工程においては該一方が上昇せしめられ、該第二のクランプ手段における該一対のクランプ部材の該一方も該他方の上方に昇降動自在に配設されており、該開放工程においては該一方が上昇せしめられる。
【発明の効果】
【0012】
第一のクランプ手段から縦窓枠部材を開放すると共に第二のクランプ手段から横窓枠部材を開放する開放工程において、第一のクランプ手段の一対のクランプ部材のいずれか一方を他方から離隔せしめる片側クランプ開放段階と、第二のクランプ手段の一対のクランプ部材のいずれか一方を他方から離隔せしめる他側クランプ開放段階とを、同時ではなくて片側クランプ開放段階と他側クランプ開放段階とのいずれか一方を遂行した後に他方を遂行することによって、縦窓枠部材及び/又は横窓枠部材に望ましくない移動が生成されることが確実に回避され、かくして従来の接合方法における上述したとおりの問題が確実に回避される。
【0013】
従来の接合方法における上述したとおりの問題を解決するためには、上記特許文献6に開示されている如く、開放工程に先立って、溶着バリを除去することが意図され得る。しかしながら、開放工程に先立って溶着バリを除去するには、ナイフ片間の相当狭い間隙を通してバリ除去用カッターを移動せしめることが必要であり、特に窓枠部材の表面が単一の平面ではなくて所謂段差を含む複雑な形態である場合には、不可能ではないにしてもバリ除去用のカッターに関連して著しく複雑な機構を配設することが必要となることが留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の接合方法に使用されるクランプ手段の好適実施形態を示す簡略斜面図。
【図2】図1に図示するクランプ手段を示す平面図。
【図3】本発明の接合方法の好適実施形態における加熱溶融工程を示す簡略断面図。
【図4】本発明の接合方法の好適実施形態における接合工程を示す簡略断面図。
【図5】本発明の接合方法の好適実施形態における開放工程の片側クランプ開放段階を示す簡略断面図。
【図6】本発明の接合方法の好適実施形態における開放工程の他側クランプ開放段階を示す簡略断面図。
【図7】本発明の接合方法の変形例を示す図2と同様の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の接合方法の好適実施形態について、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0016】
図1及び図2には、本発明の接合方法を実施するのに好適に使用される一対のクランプ手段即ち第一のクランプ手段2及び第二のクランプ手段4が図示されている。第一のクランプ手段2は、一対のクランプ部材即ち下側クランプ部材6及び上側クランプ部材8を含んでいる。下側クランプ部材6は可動基台10(図1にその一部のみを図示している)に固定されている。上側クランプ部材8は可動基台10に昇降自在に装着されており、流体圧シリンダ機構の如き適宜の昇降動手段(図示していない)によって昇降動せしめられる。可動基台10は矢印xa及びxbで示す方向に実質上水平に移動自在に装着されており、流体圧シリンダ機構の如き適宜の移動手段(図示していない)によって矢印xa及びxbで示す方向に移動せしめられる。下側クランプ部材6及び上側クランプ部材8には、夫々、先縁が鋭いナイフ縁であるナイフ片12及び14が配設されている。ナイフ片12及び14の先端ナイフ縁は平面図において整合して延在せしめられている。第二のクランプ手段4も、一対のクランプ部材即ち下側クランプ部材16及び上側クランプ部材18を含んでいる。下側クランプ部材16は可動基台20(図1にその一部のみを図示している)に固定されている。上側クランプ部材18は可動基台20に昇降自在に装着されており、流体圧シリンダ機構の如き適宜の昇降動手段(図示していない)によって昇降動せしめられる。可動基台20は可動基台10の移動方向xa及びxbに対して垂直である矢印ya及びybで示す方向に実質上水平に移動自在に装着されており、流体圧シリンダ機構の如き適宜の移動手段(図示していない)によって矢印ya及びybで示す方向に移動せしめられる。下側クランプ部材16及び上側クランプ部材18には、夫々、先縁が鋭いナイフ縁であるナイフ片22及び24が配設されている。ナイフ片22及び24の先端ナイフ縁も平面図において相互に整合して延在せしめられている。
【0017】
図1及び図2には、接合すべき縦窓枠部材26及び横窓枠部材28も二点鎖線で部分的に図示されている。縦窓枠部材26及び横窓枠部材28は、適宜の合成樹脂から押出成形された細長い素材を適宜に切断することによって形成することができる。縦窓枠部材26及び横窓枠部材28を形成するための素材は、通常、例えばポリ塩化ビニルから形成された主層とアクリル樹脂から形成され主層に積層された表面層とを含んでいる。縦窓枠部材26はその両端に接合端面30(図1及び図2には一方の接合端面のみを図示している)を有し、かかる接合端面30は縦窓枠部材26の長手方向に対して所定傾斜角度で傾斜せしめられている。同様に、横窓枠部材28もその両端に接合端面32(図1及び図2には一方の接合端面のみを図示している)を有し、かかる接合端面32は横窓枠部材28の長手方向に対して所定傾斜角度で傾斜せしめられている。縦窓枠部材26の接合端面30と横窓枠部材28の接合端面32とを接合することによって、矩形状の窓枠の片縦枠辺と片横枠辺が形成され、そして更に縦窓枠部材26の他方の接合端面に他の横窓枠部材(図示していない)の一方の接合端面が接合され、横窓枠部材28の他の接合端面に他の縦窓枠部材(図示していない)の一方の接合端面が接合され、他の縦窓枠部材の他方の接合端面と他の横窓枠部材の他の接合端面とを接合することによって矩形窓枠が形成される。縦窓枠部材26の接合端面30及び横窓枠部材28の接合端面32の傾斜角度は、縦窓枠部材26の幅と横窓枠部材28の幅とが同一の場合は、通常、45度に設定されるが、かかる傾斜角度に限定されるものではなく、例えば縦窓枠部材の幅と横窓枠部材の幅とが異なる場合には、夫々の幅に応じて一方の傾斜角度をα度とし他方を(90−α)度とすることもでき、そしてまた窓枠が矩形状ではなくて適宜の多角形である場合にも、接合すべき縦窓枠部材及び横窓枠部材の相対角度に応じて所要傾斜角度に設定することができる(本明細書において使用する語句「縦窓枠部材」及び「横窓枠部材」は、夫々、実質上鉛直及びb水平に延在する窓枠部材のみならず、鉛直に対して90度以下の傾斜角度及び水平に対して90度以下の傾斜角度で傾斜する窓枠部材も含有する)。
【0018】
縦窓枠部材26の接合端面30と横窓枠部材28の接合端面32との接合は、次のとおりにして遂行される。最初にクランプ工程が遂行される。このクランプ工程においては、第一のクランプ手段2の上側クランプ部材8を図1に実線で示す上昇位置に位置せしめた状態で、下側クランプ部材6上に縦窓枠部材26の接合端面30側の端部を位置せしめ、次いで上側クランプ部材8を図1に二点鎖線で示す位置まで下降せしめ、かくして下側クランプ部材6と上側クランプ部材8との間に縦窓枠部材26をクランプする。この際には、縦窓枠部材26の接合端部が、下側クランプ部材6及び上側クランプ部材8を超えて所定長さ、好ましくは1.0乃至5.0mm、特に好ましくは2.5乃至3.0mm、突出せしめられるようにする。更に詳しくは、縦窓枠部材26の接合端面30を、ナイフ片12及び14のナイフ縁と平行に且つナイフ片12及び14のナイフ縁から所定長さだけ外方に離隔して位置せしめる。また、第二のクランプ手段4の上側クランプ部材18を図1に実線で示す上昇位置に位置せしめた状態で、下側クランプ部材16上に横窓枠部材28の接合端面32側の端部を位置せしめ、次いで上側クランプ部材18を図1に二点鎖線で示す位置まで下降せしめ、かくして下側クランプ部材16と上側クランプ部材18との間に横窓枠部材26をクランプする。この際には、横窓枠部材28の接合端部が、下側クランプ部材16及び上側クランプ部材18を超えて所定長さ、好ましくは1.0乃至5.0mm、特に好ましくは2.5乃至3.0mm、突出せしめられるようにする。更に詳しくは、横窓枠部材28の接合端面32を、ナイフ片22及び24のナイフ縁と平行に且つナイフ片22及び24のナイフ縁から所定長さだけ外方に離隔して位置せしめる。
【0019】
次いで、加熱溶融工程を遂行する。この加熱溶融工程においては、図3に図示する如く、第一のクランプ手段2にクランプされた縦窓枠部材26の接合端面30と第二のクランプ手段4にクランプされた横窓枠部材28の接合端面32との間に、両側面が所要温度、好ましくは230乃至280℃、特に好ましくは240乃至265℃、に加熱されている加熱板34を位置付ける。次いで、可動基台10を矢印xaの方向に移動せしめると共に可動基台20を矢印yaの方向に移動せしめ、縦窓枠部材26の接合端面30を加熱板34の片面に当接せしめると共に横窓枠部材28の接合端面32を加熱板34の他面に当接せしめる。かくして、縦窓枠部材26の接合端面30と横窓枠部材28の接合端面32とを所要時間加熱する。加熱時間は、接合端面30及び32の形態にもよるが、10乃至50秒間、好ましくは20乃至40秒間、でよい。接合端面30及び32が所要とおりに加熱溶融せしめられると、可動基台10を矢印xbで示す方向に移動せしめると共に可動基台20を矢印ybで示す方向に移動せしめて、縦窓枠部材26の接合端面30を加熱板34の片面から離隔せしめると共に横窓枠部材28の接合端面32を加熱板34の他面から離隔せしめる。次いで、加熱板34を第一のクランプ手段2と第二のクランプ手段4との間から退去せしめる。上記加熱板34は、アルミニウムの如く金属から形成された本体の表面に、溶融合成樹脂の付着を防止するためのフッ素樹脂コーティングを施したものが好都合に使用され得る。
【0020】
次に遂行される接合工程においては、可動基台10を矢印xaで示す方向に移動せしめると共に可動基台20を矢印yaで示す方向に移動せしめて、図4に図示する如く、縦窓枠部材26の接合端面30と横窓枠部材28の接合端面32とを相互に押圧し、かくして縦窓枠部材26の接合端面30と横窓枠部材28の接合端面32とを相互に接合する。この際には縦窓枠部材26と横窓枠部材28とに均一な押圧力を加えると共に、下側クランプ部材6のナイフ片12のナイフ縁と下側クランプ部材16のナイフ片22のナイフ縁との間隔t及び上側クランプ部材8のナイフ片14のナイフ縁と上側クランプ部材18のナイフ片24のナイフ縁との間隔tを、0mm<t≦0.6mm、特に0.1mm≦t≦0.3mm、にせしめるのが好適である。ナイフ縁間の間隔tをかように設定すると、図4を参照することによって明確に理解される如く、接合端面30と接合端面32を押圧することに起因して両者間から流出する所謂バリ36の流出面(即ち縦窓枠部材26及び横窓枠部材28の表面)における幅が充分小さい値に制限され、後に適宜の切削手段によってバリ36を削除した場合、目視においては表面層に主層の存在を認識することができないようにせしめることができ、バリ36の削除の後にバリ削除領域に化粧操作を付加的に遂行する必要性を回避することができる(この点については上記特許文献8を参照されたい)。ナイフ片12及び14の先端刃先角度は、上記間隔tが小さな値であってもナイフ片12及び14間からバリを円滑に流出せしめ、ナイフ片12及び14の上面へのバリの付着が充分に抑制するために、30乃至60度程度であるのが好適である。また、耐久性等の観点から、ナイフ片12、14、22及び24は、焼入処理を施した鉄の如き高硬度金属から形成されているのが好適である。
【0021】
上記接合工程に続いて開放工程が遂行され、第一のクランプ手段2による縦窓枠部材26のクランプが開放されると共に第二のクランプ手段4により横窓枠部材28のクランプが開放される。かかる開放工程において、本発明においては、第一のクランプ手段2による縦窓枠部材26のクランプ開放(片側クランプ開放)と第二のクランプ手段4による横窓枠部材28のクランプ開放(他側クランプ開放)とは、同時ではなくていずれか一方を遂行した後に他方を遂行することが重要である。図示の実施形態においては、開放工程の第一段階として、図5に図示する如く、第一のクランプ手段2における上側クランプ部材8が上昇せしめられ、第一のクランプ手段2による縦窓枠部材26のクランプが開放される。次いで、例えば1秒程度の時間遅れの後に、開放工程の第二段階として、図6に図示する如く、第二のクランプ手段4における上側クランプ部材18が上昇せしめられ、第二のクランプ手段4による横窓枠部材28のクランプが開放される。
【0022】
図5及び図6を参照することによって明確に理解される如く、第一のクランプ手段2における上側クランプ部材8の上昇と第二のクランプ手段4における上側クランプ部材18の上昇を同時に遂行する場合には、ナイフ片14のナイフ縁とナイフ片24のナイフ縁との間隙を通って上方に流動したバリ36がナイフ片14及びナイフ片24上に広がっていることに起因して、バリ36を介して縦窓枠部材26及び横窓枠部材28にこれらを上昇せしめんとする力が作用し、縦窓枠部材26及び横窓枠部材28が上昇せしめられる傾向があり、溶着された窓枠部材が変位して接合装置の構成要素に対して擦られて損傷されてしまう傾向がある(また、開放工程の遂行に先立って上側クランプ部材8及び/又は18を、或いはこれに代えて又はこれに加えて下側クランプ部材6及び/又は16を、接合端面から離隔する方向に摺動せしめると、縦窓枠部材26及び/又は横窓枠部材28の表面に擦傷が生成される等の問題が発生する虞がある)。これに対して、第一段階においては第一のクランプ手段2における上側クランプ部材8のみを上昇せしめ場合には、ナイフ片14のナイフ縁とナイフ片24のナイフ縁との間隙を通って上方に流動したバリ36は静止状態にあるナイフ片24側に容易に変位せしめられる。また、第二段階において第二のクランプ手段4における上側クランプ部材18を上昇せしめる際には、バリ36はナイフ片24のナイフ縁から遠ざかる方向に容易に変位せしめられる。従って、縦窓枠部材26及び横窓枠部材28にこれらを上昇せんとする力が作用することが可及的に回避される。
【0023】
上記開放工程の後には、所要冷却時間の経過を待って、必要に応じて可動基台10を矢印xbで示す方向に移動せしめると共に可動基台20を矢印ybで示す方向に移動せしめ、接合端面30及び32が接合された縦窓枠部材26及び横窓枠部材28を第一のクランプ手段2及び第二のクランプ手段4から取り出し、次いでバリ36の削除工程を遂行することができる。所望ならば、第一のクランプ手段2及び第二のクランプ手段4から縦窓枠部材26及び横窓枠部材28を取り出す前に、自動バリ削除機構の作用によって所要部位のバリ36を自動的に削除することもできる。
【0024】
以上添付図面を参照して本発明の接合方法の好適実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能であることは多言するまでもない。
【0025】
例えば、図1乃至図6を参照して説明した実施形態においては、縦窓枠部材26をクランプする第一のクランプ手段2と横窓枠部材28をクランプする第二のクランプ手段4との双方を可動基台10及び20に装着し、加熱溶融工程及び接合工程においては、縦窓枠部材26と横窓枠部材28との双方を移動せしめているが、図7に図示する変形例の如く、第一のクランプ手段と第一のクランプ手段との一方を可動基台ではなくて静止基台上に装着し、加熱溶融工程及び接合工程においては第一のクランプ手段と第一クランプ手段との一方のみを移動せしめることもできる。図7に図示する変形例においては、第一にクランプ手段102は、矢印xa及びxbで示す方向に移動自在に装着され且つシリンダ機構の如き適宜の移動手段(図示していない)によって矢印xa及びxbで示す方向に移動せしめられる可動基台(図示していない)上に装着されているが、第二のクランプ手段104は所要位置に固定された静止基台(図示していない)上に装着されている。加熱溶融工程においては、第一のクランプ手段102が矢印xaで示す方向に移動せしめられて、クランプ手段102にクランプされた縦窓枠部材126の接合端面130と第二のクランプ手段104にクランプされた横窓枠部材128の接合端面132とが、両者間に介在せしめられたた加熱板(図示していない)の表面に当接せしめられる。加熱板は第一のクランプ手段102と第二のクランプ手段103との間に進退自在であると共に第一のクランプ手段102の矢印xa及びxbで示す方向への移動に付随して矢印xa及びxbで示す方向に移動自在である。同様に、接合工程においては、第一のクランプ102が矢印xaで示す方向に移動せしめられて、第一のクランプ手段102にクランプされた縦窓枠部材128の接合端面130が第二のクランプ手段104にクランプされた横窓枠部材128の接合端面132に押圧せしめられる。図7に図示する実施形態は、駆動機構が簡略化でき、装置全体の構成を簡潔にせしめることができる点で、実用上特に好適である。
【0026】
更に、図1乃至図6においては、1個の縦窓枠部材の接合端面と1個の横窓枠部材の接合端面との接合についてのみ図示しているが、上記特許文献4及び5にも開示されている如く、2個の縦窓枠部材の両接合端面に2個の横窓枠部材の両接合端面を、夫々、同時に接合して矩形窓枠を構成することもできる。この場合には、2個の縦窓枠部材(或いは2個の横窓枠部材)をクランプする2個のクランプ手段を可動基台に装着し、2個の横窓枠部材(又は2個の縦窓枠部材)をクランプする2個のクランプ手段を静止基台に装着し、加熱溶融工程及び接合工程においては、静止せしめられている2個の横窓枠部材(又は縦窓枠部材)に対して2個の縦窓枠部材を所要方向に移動せしめるのが好都合である。
【0027】
更にまた、図1乃至図6に図示する実施形態においては、縦窓枠部材及び横窓枠部材を実質上水平にクランプし、加熱溶融工程及び接合工程においては縦窓枠部材及び横窓枠部材を実質上水平に移動せしめているが、所望ならば、縦窓枠部材及び横窓枠部材を実質上鉛直に或いは所要傾斜角度で傾斜せしめた状態にクランプし、加熱溶融工程及び接合工程においては実質上鉛直な平面に或いは所定傾斜角度で傾斜せしめられた傾斜平面に平行な方向に縦窓枠部材及び横窓枠部材を移動せしめることもできる。
【符号の説明】
【0028】
2:第一のクランプ手段
4:第二のクランプ手段
6:下側クランプ部材
8:上側クランプ部材
12:ナイフ片
14:ナイフ片
16:下側クランプ部材
18:上側クランプ部材
22:ナイフ片
24:ナイフ片
26:縦窓枠部材
28:横窓枠部材
30:接合端面
32:接合端面
36:バリ
102:第一のクランプ手段
104:第二のクランプ手段
126:縦窓枠部材
128:横窓枠部材
130:接合端面
132:接合端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に接近及び離隔する方向に相対的に移動せしめられる一対のクランプ部材を備えた第一のクランプ手段によって、長手方向に対して傾斜して延在する接合端面を有する合成樹脂製縦窓枠部材を、該縦窓枠部材の接合端部を該一対のクランプ部材を超えて突出せしめてクランプすると共に、相互に接近及び離隔する方向に相対的に移動せしめられる一対のクランプ部材を備えた第二のクランプ手段によって、長手方向に対して傾斜して延在する接合端面を有する合成樹脂製横窓枠部材を、該横窓枠部材の接合端部を該一対のクランプ部材を超えて突出せしめてクランプするクランプ工程と、
該第一のクランプ手段にクランプされた該縦窓枠部材の該接合端面を加熱溶融すると共に、該第二のクランプ手段にクランプされた該横窓枠部材の該接合端面を加熱溶融する加熱溶融工程と、
該第一のクランプ手段にクランプされた該縦窓枠部材の加熱溶融された該接合端面と該第二のクランプ手段にクランプされた該横窓枠部材の加熱溶融された該接合端面とを相互の押圧せしめて接合する接合工程と、
該第一のクランプ手段から該縦窓枠部材を開放すると共に、該第二のクランプ手段から該横窓枠部材を開放する開放工程と、
を含む接合方法において、
該開放工程においては、該第一のクランプ手段の該一対のクランプ部材のいずれか一方を他方から離隔せしめる片側クランプ開放段階と、該第二のクランプ手段の該一対のクランプ部材のいずれか一方を他方から離隔せしめる他側クランプ開放段階とを、同時ではなくて該片側クランプ開放段階と該他側クランプ開放段階とのいずれか一方を遂行した後に他方を遂行する、
ことを特徴とする接合方法。
【請求項2】
該第一のクランプ手段の該一対のクランプ部材の各々及び該第二のクランプ手段の該一対のクランプ部材の各々は、該縦窓枠部材の接合端面と該横窓枠部材の接合端面とから流出するバリの幅を制限するためのナイフ片を含んでいる、請求項1記載の接合方法。
【請求項3】
該第一のクランプ手段における該一対のクランプ部材の該一方は該他方の上方に昇降動自在に配設されており、該開放工程においては該一方が上昇せしめられ、該第二のクランプ手段における該一対のクランプ部材の該一方も該他方の上方に昇降動自在に配設されており、該開放工程においては該一方が上昇せしめられる、請求項1又は2記載の接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−116100(P2011−116100A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35068(P2010−35068)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(300088186)株式会社エクセルシャノン (30)
【Fターム(参考)】