説明

窓検出装置及び車種判別装置及び窓検出方法及び車種判別方法

【課題】車両の窓を検出し、その検出結果に基づいて、車両の車種を判別する。
【解決手段】放射部111は、車両に対して放射光751を放射する。受光部115は、放射光751が車両に当たって反射した反射光754を受光する。反射位置算出部122は、放射部111が放射光751を放射してから受光部115が反射光754を受光するまでの時間に基づいて、放射光751が車両850に当たって反射した反射位置を算出する。窓検出部130は、反射位置算出部122が算出した反射位置に基づいて、車両の窓の位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の窓の位置を検出する窓検出装置と、窓検出装置の検出結果を用いて車両の車種を判別する車種判別装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の車種を判別する方式としては、例えば、ナンバープレートを撮影して、文字を読み取り、読み取った文字に基づいて、車種判別をする方式がある。
また、車両の断面形状を計測し、計測した断面形状に基づいて、車種判別をする方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−20877号公報
【特許文献2】特開平11−191196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナンバープレートを読み取る方式は、ナンバープレートが汚れていたり、曲がっていたりして、文字が認識できない場合がある。また、渋滞などにより車両間隔が狭い場合、ナンバープレートが前後の車両の陰に隠れ、そもそもナンバープレートを撮影することができない。
車両の断面形状に基づいて車種判別する方式は、例えば大型トラックと大型バスなど、断面形状が類似している場合があり、誤判定をする可能性がある。
この発明は、例えば、上記のような課題を解決するためになされたものであり、車両の窓を検出し、その検出結果に基づいて、車両の車種を正しく判別することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる窓検出装置は、放射部と、受光部と、反射位置算出部と、窓検出部とを有し、
上記放射部は、車両に対して放射光を放射し、
上記受光部は、上記放射光が上記車両に当たって反射した反射光を受光し、
上記反射位置算出部は、上記放射部が放射光を放射してから上記受光部が反射光を受光するまでの時間に基づいて、上記放射光が上記車両に当たって反射した反射位置を算出し、
上記窓検出部は、上記反射位置算出部が算出した反射位置に基づいて、上記車両の窓の位置を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる窓検出装置によれば、車両の窓の位置がわかるので、車両の形状だけでは判別し難い車種を容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1における車種判別システム800の一例を示す斜視図。
【図2】実施の形態1における車種判別システム800の一例を示す平面図。
【図3】実施の形態1における放射範囲703の一例を示す正面図。
【図4】実施の形態1における窓検出の原理を説明する図。
【図5】実施の形態1における窓検出の原理を説明する図。
【図6】実施の形態1における点群710の一例を示す図。
【図7】実施の形態1における制御装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック構成図。
【図8】実施の形態1における車種判別システム800の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図。
【図9】実施の形態1における反射位置算出処理S510の流れの一例を示すフローチャート図。
【図10】実施の形態1における窓検出処理S520の流れの一例を示すフローチャート図。
【図11】実施の形態1における車軸検出処理S530の流れの一例を示すフローチャート図。
【図12】実施の形態1における点群710の一例を示す図。
【図13】実施の形態1における車幅算出工程S540の流れの一例を示すフローチャート図。
【図14】実施の形態1における番号標認識処理S550の流れの一例を示すフローチャート図。
【図15】実施の形態1における番号標認識処理S550の対象となる画像の一例を示す図。
【図16】実施の形態1における車種判別システム800が車両850について検出する窓と車軸との位置関係の一例を示す図。
【図17】実施の形態1における車種判別システム800が車両850について検出する窓と車軸との位置関係の別の例を示す図。
【図18】実施の形態1における車種判別システム800が車両850について検出する窓と車軸との位置関係の更に別の例を示す図。
【図19】有料道路における料金区分の一例を示す図。
【図20】実施の形態1における車種判別処理S560の全体の流れの一例を示すフローチャート図。
【図21】実施の形態1における番号標判定処理S570の流れの一例を示すフローチャート図。
【図22】実施の形態1における窓判定処理S580の流れの一例を示すフローチャート図。
【図23】実施の形態2における車種判別システム800の一例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図22を用いて説明する。
【0009】
図1は、この実施の形態における車種判別システム800の一例を示す斜視図である。
車種判別システム800は、例えば有料道路の料金所などに設置される。車種判別システム800は、通行する車両850の車種を判別する。車種とは、例えば乗用車・貨物車・大型車・軽自動車など、車両850の種類のことである。料金所などに設置される車種判別システム800にあっては、その車両850がどの料金区分に該当するかを判別することが重要であるから、車種とは、特に、車両850が該当する料金区分のことである。車種判別システム800は、窓の検出、車軸の検出、車幅の測定、ナンバープレートの読取りなど様々な方法で、車両850の車種を判別するための情報を収集する。車種判別システム800は、収集した情報に基づいて、車両850の車種を判別する。
【0010】
車種判別システム800は、2つのレーザセンサ110、赤外線撮像装置180(ナンバープレート撮像部)、制御装置200を有する。なお、2つのレーザセンサ110を区別するため、アルファベット小文字を添えて、レーザセンサ110a、レーザセンサ110bと呼ぶ場合がある。複数ある他の要素についても同様である。赤外線撮像装置180は、赤外線を用いて、通行する車両850を連続的に撮影する。
【0011】
車種判別システム800は、車両850が通行する道路820を挟んだ2つの島810の上に設置されている。レーザセンサ110aは、車両850から見て左側に位置する島810aの上に設置されている。レーザセンサ110bは、車両850から見て右側に位置する島810bの上に設置されている。赤外線撮像装置180及び制御装置200は、左側の島810aの上に設置されていてもよいし、右側の島810bの上に設置されていてもよい。赤外線撮像装置180は、その撮像範囲701内に、道路820を通行する車両850のナンバープレートが入る位置に設置されている。
【0012】
図2は、この実施の形態における車種判別システム800の一例を示す平面図である。
レーザセンサ110は、反射型である。レーザセンサ110は、レーザ光(放射光)を放射して、車両850に当たって反射した反射光を受光することにより、反射位置までの距離を計測する。レーザセンサ110は、レーザ光を放射する方向を上下に変えて走査(スキャニング)することにより、車両850の形状を計測する。
レーザセンサ110aがレーザ光を放射する放射範囲703aは、車両進行方向702に対してほぼ垂直である。レーザセンサ110aは、車両850に対して左横からレーザ光を放射する。レーザセンサ110aは、車両850の左側面の形状を主に計測する。
レーザセンサ110bがレーザ光を放射する放射範囲703bも同様に、車両進行方向702に対してほぼ垂直である。レーザセンサ110bは、車両850に対して右横からレーザ光を放射する。レーザセンサ110bは、車両850の右側面の形状を主に計測する。
車両進行方向702において、レーザセンサ110bは、レーザセンサ110aよりも前方(奥)にずれた位置に設置する。これには、2つの意味がある。1つは、レーザセンサ110が放射したレーザ光を直接、あるいは、車両850や道路820に反射した反射光を、他のレーザセンサ110が受光しないようにするためである。もう一つは、2つのレーザセンサ110の放射範囲703aを車両850が通過する時刻の差から、車両850の進行方向や車両850の速度を算出できるようにするためである。なお、レーザセンサ110bは、レーザセンサ110aよりも後方(手前)にずれた位置に設置してもよい。
【0013】
図3は、この実施の形態における放射範囲703の一例を示す正面図である。
レーザセンサ110aが放射するレーザ光の放射範囲703aは、車両850の上から下までをすべてカバーできるように設定する。レーザセンサ110bが放射するレーザ光の放射範囲703bも同様に、車両850の上から下までをすべてカバーできるように設定する。例えば、レーザセンサ110a,110bは、道路820から1.5メートル[m]の高さに設置し、放射範囲703a,703bは、上45度から下45度までの90度の範囲に設定する。
【0014】
図4は、この実施の形態における窓検出の原理を説明する図である。
この図は、レーザセンサ110が放射した放射光751が、車両850の窓ではない部分の車体851に当たった場合を表わす。車体851から反射した光は、正反射した正反射光752と、拡散反射した拡散反射光753とに分かれる。正反射光752の反射角は放射光751の入射角と等しいから、放射光751が車体851に対して垂直に当たったのでない限り、正反射光752は、レーザセンサ110の方向とは異なる方向へ向かう。これに対し、拡散反射光753は様々な方向に向かい、そのなかには、レーザセンサ110の方向に戻る反射光754も含まれる。レーザセンサ110は、反射光754を検出することにより、反射位置までの距離を計測する。
【0015】
図5は、この実施の形態における窓検出の原理を説明する図である。
この図は、レーザセンサ110が放射した放射光751が、車両850の窓の部分であるガラス852に当たった場合を表わす。放射光751は、ガラス852内に進入する透過光と、ガラス852表面で反射する反射光とに分かれる。反射光は、正反射した正反射光752と、拡散反射した拡散反射光とに分かれる。透過光は、スネルの法則にしたがって屈折した正透過光755と、拡散して透過した拡散透過光とに分かれる。ガラス852の表面は比較的滑らかであるから、正反射光752や正透過光755が強く、拡散反射光や拡散透過光は弱い。このため、レーザセンサ110の方向に反射する反射光は弱く、レーザセンサ110は、反射光を検出しない。
【0016】
図6は、この実施の形態における点群710の一例を示す図である。
レーザセンサ110がレーザ光を放射した放射方向の角度と、レーザセンサ110がレーザ光を放射してから反射光を受光するまでの遅延時間とがわかれば、以下の式により、反射位置が求められる。
【数11】

ただし、xは、レーザセンサ110と反射位置との間の水平距離を表わす。yは、レーザセンサ110と反射位置との間の高さの差を表わす。cは、空気中における光速を表わす。φは、レーザセンサ110がレーザ光を放射した放射方向と水平方向とがなす角を表わす。tは、レーザセンサ110がレーザ光を放射してから反射光を受光するまでの遅延時間を表わす。
【0017】
点群710aは、レーザセンサ110aの観測結果に基づいて算出した反射位置をプロットしたものである。点群710bは、レーザセンサ110bの観測結果に基づいて算出した反射位置をプロットしたものである。
上述したように、車両850の窓854からの反射光は弱いので、その方向には反射物体が観測されず、データが抜け落ちる。このため、点群710aは、車両850の屋根853に相当するグループと、車両850の本体855などに相当するグループとに分かれる。したがって、点群710aを分析することにより、窓上端高さ711a、窓下端高さ712a、センサ車体間距離713aなどがわかる。窓上端高さ711aは、窓854aの上の端に当たる部分の高さと、道路820の高さとの差である。窓下端高さ712aは、窓854aの下の端に当たる部分の高さと、道路820の高さとの差である。センサ車体間距離713aは、レーザセンサ110aから車両850の本体855までの距離である。点群710bも同様に、車両850の屋根853に相当するグループと、車両850の本体855などに相当するグループとに分かれる。したがって、点群710bを分析することにより、窓上端高さ711b、窓下端高さ712b、センサ車体間距離713bなどがわかる。レーザセンサ110aとレーザセンサ110bとの間の水平距離のうち車両進行方向702に対して垂直な方向(道路820を横断する方向)の成分(以下「センサ間隔721」と呼ぶ。)があらかじめわかっていれば、次の式を用いて車幅722を求めることができる。
【数12】

ただし、Wは、車幅を表わす。Rは、センサ間隔721を表わす。rは、レーザセンサ110aと車両850との間の水平距離を表わす。rは、レーザセンサ110bと車両850との間の水平距離を表わす。
【0018】
図7は、この実施の形態における制御装置200のハードウェア構成の一例を示すブロック構成図である。
制御装置200は、例えば記憶装置920、処理装置911、入力装置902、出力装置901などを有する。
記憶装置920は、処理装置911が実行するプログラムや、処理装置911が処理するデータなどを記憶する。記憶装置920には、例えば不揮発性の記憶装置(以下「ROM」と呼ぶ。)や、揮発性の記憶装置(以下「RAM」と呼ぶ。)などがある。ROMは、例えば処理装置911が実行するプログラムなどを記憶する。RAMは、例えば処理装置911が処理している途中のデータなどを一時的に記憶する。
処理装置911は、記憶装置920が記憶したプログラムを実行することにより、データを処理するとともに、処理装置911自身や、記憶装置920、入力装置902、出力装置901など制御装置200全体を制御する。
入力装置902は、処理装置911が処理するデータや信号を制御装置200の外部から入力する。入力装置902は、入力したデータや信号を、処理装置911が処理できるデータの形式に変換する。入力装置902が変換したデータは、処理装置911が直接処理してもよいし、記憶装置920が一時的に記憶してもよい。入力装置902には、例えば、アナログ信号をデジタルデータに変換するアナログデジタル変換器(以下「ADC」と呼ぶ。)、デジタル信号を保持するラッチ回路、他の装置が送信したデータを受信する受信装置、操作者の操作を入力するボタンやキーボートなどの操作入力装置などがある。
出力装置901は、処理装置911が処理したデータや記憶装置920が記憶したデータなどを変換して制御装置200の外部へ出力する。出力装置901には、例えば、デジタルデータをアナログ信号に変換するデジタルアナログ変換器(以下「DAC」と呼ぶ。)、デジタル信号を保持するラッチ回路、他の装置に対してデータを送信する送信装置、発光ダイオードや液晶表示装置など操作者の目に見える形でデータを表示する表示装置などがある。
【0019】
以下に説明する制御装置200の機能ブロックは、記憶装置920が記憶したプログラムを処理装置911が実行することにより実現される。しかし、これは一例であり、制御装置200の機能ブロックは、プログラムに限らず、アナログ回路やデジタル回路などの電子回路により実現してもよいし、機械的構成など電子回路以外の構成により実現してもよい。
【0020】
図8は、この実施の形態における車種判別システム800の機能ブロックの構成の一例を示すブロック構成図である。
レーザセンサ110は、放射部111、受光部115を有する。
制御装置200は、レーザセンサ制御部120、窓検出部130、進行方向判定部210、車軸検出部220、車幅算出部230、番号標認識部280、車種判別部290を有する。
このうち、レーザセンサ110、レーザセンサ制御部120、窓検出部130は、窓検出装置100を構成する。窓検出装置100は、車種判別システム800のうち、車両850の窓を検出する部分である。
【0021】
放射部111は、レーザセンサ制御部120による制御にしたがって、放射光751を放射する。放射部111は、レーザ発振部112、レーザ走査部113を有する。
レーザ発振部112は、レーザセンサ制御部120からの制御信号にしたがって、レーザ光を放射する。
レーザ走査部113は、レーザセンサ制御部120からの制御信号にしたがって、レーザ発振部112が放射したレーザ光の進行方向を曲げ、放射範囲703を走査する放射光751にする。
【0022】
受光部115は、反射光754を受光し、受光した反射光754の強度を示す信号を生成する。受光部115は、レーザ受光部116、増幅部117を有する。
レーザ受光部116は、放射光751が車両850などに当たって反射した反射光754を受光して、電気信号に変換する。
増幅部117は、レーザ受光部116が変換した電気信号を増幅して、制御装置200が入力できるレベルの信号にする。
【0023】
レーザセンサ制御部120は、レーザセンサ110を制御して、反射位置を算出する。なお、1つのレーザセンサ制御部120が、2つのレーザセンサ110a,110bを制御する構成であってもよい。また、2つのレーザセンサ110a,110bに対応して、2つのレーザセンサ制御部120a,120bを設け、それぞれのレーザセンサ制御部120a,120bが、対応するレーザセンサ110a,110bを制御する構成であってもよい。レーザセンサ制御部120は、走査制御部121、反射位置算出部122を有する。
走査制御部121は、処理装置911がデータを処理することにより、レーザ発振部112やレーザ走査部113を制御する制御信号を生成する。走査制御部121は、例えば、レーザ発振部112が放射するレーザ光が所定の間隔のパルス状になるようレーザ発振部112を制御する制御信号を生成する。また、走査制御部121は、例えば、レーザ走査部113が曲げる放射光751の放射方向が所定の角速度で変化するようレーザ走査部113を制御する制御信号を生成する。
【0024】
反射位置算出部122は、処理装置911が入力装置902を制御することにより、増幅部117が増幅した信号を入力する。反射位置算出部122は、処理装置911がデータを処理することにより、走査制御部121が生成した制御信号にしたがってレーザ発振部112が放射光751を放射してから、レーザ受光部116が反射光754を受光するまでにかかった時間tを算出する。反射位置算出部122は、処理装置911がデータを処理することにより、算出した時間tと、走査制御部121が生成した制御信号にしたがってレーザ走査部113が放射光751を放射した方向φとに基づいて、レーザセンサ110の位置に対する反射位置の相対座標(x,y)を算出する。なお、レーザセンサ制御部120は、反射位置の絶対座標を算出する構成であってもよい。例えば、所定の座標系におけるレーザセンサ110の座標を記憶装置920があらかじめ記憶しておく。レーザセンサ制御部120は、記憶装置920が記憶したレーザセンサ110の座標を用いて座標変換を行い、その座標系における反射位置の絶対座標を算出する。
【0025】
窓検出部130(窓ガラス検出部)は、レーザセンサ制御部120が算出した反射位置に基づいて、車両850の窓を検出する。窓検出部130は、不連続位置算出部131、窓判定部132を有する。
不連続位置算出部131は、処理装置911がデータを処理することにより、反射位置算出部122が算出した一連の反射位置のなかから、反射位置が連続していない位置(以下「不連続位置」と呼ぶ。)を求める。
図6に示したように、放射光751が車両850の屋根853や本体855、あるいは、道路820に当たって反射した場合、レーザセンサ110が反射光754を検出し、反射位置算出部122が反射位置を算出する。これに対し、放射光751が車両850の窓854に当たった場合や、放射方向に何もない場合は、レーザセンサ110が反射光754を検出しないので、反射位置算出部122は反射位置を算出せず、欠測となる。このため、車両850に屋根853があれば、反射位置算出部122が算出した反射位置は、窓854に相当する部分を挟んで2つのグループに分かれる。
このように、ある方向の反射位置が欠測であり、それよりも上の方向にも下の方向にも、欠測でない反射位置が存在する場合に、不連続位置算出部131は、不連続位置を算出する。例えば、不連続位置算出部131は、欠測方向より上方向の反射位置のうち一番下に位置する反射位置を、上側の不連続位置として算出する。また、不連続位置算出部131は、欠測方向より下方向の反射位置のうち一番上に位置する反射位置を、下側の不連続位置として算出する。このように、不連続位置算出部131は、上側の不連続位置と下側の不連続位置とのペアを算出する。
【0026】
窓判定部132は、処理装置911がデータを処理することにより、不連続位置算出部131が算出した不連続位置が窓に相当するものか否かを判定する。例えば、窓判定部132は、不連続位置算出部131が算出した上側の不連続位置の高さを所定の閾値と比較して、閾値より低い場合は、窓ではないと判定する。また、例えば、窓判定部132は、不連続位置算出部131が算出した不連続位置を、一つ前の走査時に不連続位置算出部131が算出した不連続位置と比較して、不連続位置の変動量を算出し、不連続位置の変動量が所定の閾値より大きい場合は、窓ではないと判定する。
このようにして、窓判定部132は、不連続位置算出部131が算出した不連続位置のペアのなかから、窓ではないと判定したペアを取り除く。窓判定部132は、残ったペアについて、上側の不連続位置を窓の上端の位置とし、下側の不連続位置を窓の下端の位置とする。
【0027】
反射位置算出部122が算出した反射位置は、窓の検出以外にも、様々な用途に利用できる。
【0028】
進行方向判定部210(進行方向判定処理部)は、処理装置911がデータを処理することにより、反射位置算出部122が算出した反射位置に基づいて、車両850の進行方向を判定する。例えば、進行方向判定部210は、反射位置算出部122が算出した反射位置から、レーザセンサ110の放射範囲703に車両850が存在するか否かを判定する。車両850が存在しなければ、一連の反射位置は、道路820の形状をなす。したがって、一連の反射位置が道路820の形状と異なる形状をなす場合、道路820以外の何らかの物体が、放射範囲703に存在することを意味する。そこで、進行方向判定部210は、一連の反射位置が道路820の形状をなすか否かを判定して、道路820の形状と異なる形状をなす場合に、車両850が存在すると判定する。なお、進行方向判定部210は、一連の反射位置がなす形状を更に詳しく分析して、車両850が存在するか否かを判定する構成であってもよい。すなわち、進行方向判定部210は、一連の反射位置がなす形状が車両850の形状であるか、車両850以外の物体(例えば料金所の係員などの人間)の形状であるかを判定して、車両850の形状であると判定した場合のみ、車両850が存在すると判定する。
進行方向判定部210は、判定結果に基づいて、2つのレーザセンサ110a,110bそれぞれについて、放射範囲703a,703bに車両850が存在し始めた時刻(以下「車両検出開始時刻」と呼ぶ。)や、存在し終わった時刻(以下「車両検出終了時刻」と呼ぶ。)を算出する。2つのレーザセンサ110a,110bは、車両進行方向702にずれた位置に設置されているので、車両850が車両進行方向702に進んでいれば、レーザセンサ110aにおける車両検出開始時刻や車両検出終了時刻よりも、レーザセンサ110bにおける車両検出開始時刻や車両検出終了時刻のほうが後になる。逆に、車両850が車両進行方向702とは逆の方向に逆走した場合、レーザセンサ110bにおける車両検出開始時刻や車両検出終了時刻よりも、レーザセンサ110aにおける車両検出開始時刻や車両検出終了時刻のほうが後になる。進行方向判定部210は、2つのレーザセンサ110a,110bにおける車両検出開始時刻同士あるいは車両検出終了時刻同士を比較して、車両850の進行方向を判定する。
【0029】
車軸検出部220(車軸検知部)は、処理装置911がデータを処理することにより、車両850の車軸を検出する。車軸とは、車両850の横方向に並んだタイヤを1軸として数える単位である。例えば、通常の四輪車であれば、2つの前輪が1つの車軸、2つの後輪がもう1つの車軸であり、車軸の数は2である。これに対し、大型のトラックなどでは、3車軸、4車軸など、車軸数が多いものが存在する。
図6に示した例は、ちょうどレーザセンサ110の放射範囲703にタイヤ856が差し掛かっているところである。したがって、反射位置算出部122が算出した一連の反射位置がなす形状に、タイヤ856の形状が表われている。
車軸検出部220は、このように、一連の反射位置がなす形状にタイヤ856の形状が表われた場合に、車軸を検出したと判定する。また、車軸検出部220は、1つの車両850について車軸を検出した数を数えて、車軸数を算出する。なお、車軸検出部220は、進行方向判定部210の判定結果に基づいて、車両850が車両進行方向702へ進んでいるときに車軸を検出した場合は、車軸数に1を加える。逆に、車両850が逆走しているときに車軸を検出した場合は、車軸数から1を引く。これにより、車両850が前進後退を繰り返した場合でも、車軸数を誤カウントせずに正しく数えることができる。
【0030】
車幅算出部230(車幅計測部)は、処理装置911がデータを処理することにより、車両850の車幅722を算出する。例えば、上述したように、車幅算出部230は、レーザセンサ110aと車両850との間の水平距離(センサ車体間距離713a)を算出する。車幅算出部230は、レーザセンサ110bと車両850との間の水平距離(センサ車体間距離713b)を算出する。車幅算出部230は、センサ車体間距離713aとセンサ車体間距離713bとを合計した和を算出する。車幅算出部230は、算出した和を、センサ間隔721(道路水平方向の設置間距離)から差し引いた差を算出して、車幅722とする。
【0031】
番号標認識部280(ナンバープレート認識部)は、処理装置911が入力装置902を制御することにより、赤外線撮像装置180が撮影した赤外線画像を入力する。番号標認識部280は、処理装置911がデータを処理することにより、入力した赤外線画像を画像処理し、車両850のナンバープレートが写っていれば、それを解析して、ナンバープレートの大きさや、ナバープレートに記載された車両850の登録番号を読み取る。
【0032】
車種判別部290(窓ガラス車種判定部・車種判定部)は、処理装置911がデータを処理することにより、窓検出部130が検出した窓、車軸検出部220が検出した車軸、車幅算出部230が算出した車幅722、番号標認識部280が読み取った登録番号などの情報をもとにして、車両850の車種を判別する。車種判別部290は、処理装置911が出力装置901を制御することにより、判別した車種を出力する。
【0033】
車種判別システム800が判別した車種は、例えば、通行料金自動収受システム(以下「ETC」と呼ぶ。)が利用する。ETCは、例えば、車種判別システム800が判別した車種に基づいて、車両850の通行料金を計算する。あるいは、ETCは、ETC車載器から受信した情報など他の方法で取得した車両850の車種に関する情報と、車種判別システム800が判別した車種との間に矛盾がないかを判定することにより、不正車両を発見する。
【0034】
図9は、この実施の形態における反射位置算出処理S510の流れの一例を示すフローチャート図である。
反射位置算出処理S510において、反射位置算出部122は、反射位置を算出する。反射位置算出処理S510は、走査方向取得工程S511、遅延時間算出工程S512、距離算出工程S513、座標変換工程S514を有する。
【0035】
走査方向取得工程S511において、反射位置算出部122は、処理装置911がデータを処理することにより、走査制御部121がレーザ走査部113を制御して放射光751を放射させた放射方向の角度φを取得する。
遅延時間算出工程S512において、反射位置算出部122は、処理装置911がデータを処理することにより、レーザ発振部112が放射光751を放射した時刻と、受光部115が反射光754を受光した時刻との差を算出して、遅延時間tとする。
距離算出工程S513において、反射位置算出部122は、処理装置911がデータを処理することにより、遅延時間算出工程S512で算出した遅延時間tを反射位置までの距離に換算する。具体的には、例えば、反射位置算出部122は、遅延時間tを空気中における光速cで割った商を算出することにより、放射光751及び反射光754が通った往復の経路の長さを算出する。反射位置算出部122は、算出した経路の長さを2で割った商を算出することにより、片道の経路の長さ、すなわち、反射位置までの距離を算出する。
座標変換工程S514において、反射位置算出部122は、処理装置911がデータを処理することにより、走査方向取得工程S511で取得した角度φと、距離算出工程S513で算出した反射位置までの距離とに基づいて、反射位置の相対座標(x,y)あるいは反射位置の絶対座標を算出する。反射位置算出部122は、角度φと距離とによる極座標表示を、水平方向及び高さ方向を軸とする直交座標表示に座標変換する。
その後、反射位置算出部122は、走査方向取得工程S511に戻り、次の反射位置を算出する。
【0036】
このようにして、反射位置算出部122は、一連の反射位置を算出する。
【0037】
図10は、この実施の形態における窓検出処理S520の流れの一例を示すフローチャート図である。
窓検出処理S520において、窓検出部130は、車両850の窓を検出する。窓検出処理S520は、走査方向選択工程S521、欠測判定工程S522、状態判定工程S523、状態遷移工程S524、状態判定工程S525、窓上端判定工程S526、状態遷移工程S527、窓下端判定工程S528、窓なし判定工程S529を有する。
【0038】
走査方向選択工程S521において、不連続位置算出部131は、処理装置911がデータを処理することにより、レーザ走査部113が放射光751を放射した放射方向のなかから、放射方向を上から順に選択する。
不連続位置算出部131が放射方向を選択した場合、欠測判定工程S522へ進む。
一番下の放射方向まで処理が終わり、選択できる放射方向がない場合、不連続位置算出部131は、窓なし判定工程S529へ進む。
【0039】
欠測判定工程S522において、不連続位置算出部131は、処理装置911がデータを処理することにより、走査方向選択工程S521で選択した放射方向について、反射位置算出部122が算出した反射位置があるか否かを判定する。
反射位置算出部122が算出した反射位置がある、すなわち欠測でない場合、不連続位置算出部131は、状態判定工程S523へ進む。
反射位置算出部122が算出した反射位置がない、すなわち欠測である場合、不連続位置算出部131は、状態判定工程S525へ進む。
【0040】
状態判定工程S523において、不連続位置算出部131は、処理装置911がデータを処理することにより、検出状態を判定する。
【0041】
検出状態とは、現在選択している放射方向が、車両850のどこに相当するかという状態のことである。この例では、放射方向を上から順に見ていくので、最初は、車両850が存在しない方向から始まる。これを「空(そら)」状態と呼ぶ。「空」状態の放射方向においては、反射位置算出部122が算出した反射位置が存在しない、すなわち欠測である。窓検出処理S520の開始前に、不連続位置算出部131は、あらかじめ「空」状態であることを記憶装置920に記憶しておく。
放射方向が下がってくると、まず車両850の屋根853が見えてくる。すなわち、欠測から、反射位置算出部122が算出した反射位置が存在する状態へと変化する。これを「屋根」状態と呼ぶ。
窓854があれば、次に窓854が見えてくる。すなわち、反射位置算出部122が算出した反射位置が存在する状態から、再び欠測に戻る。これを「窓」状態と呼ぶ。
窓854が終わると、次に本体855が見えてくる。すなわち、欠測から、反射位置算出部122が算出した反射位置が存在する状態に移る。その後、反射物体がタイヤ856や道路820などに変化しても、反射位置算出部122が算出した反射位置が存在する状態は変わらず、一番下の放射方向に到達する。
窓854がない場合は、「屋根」状態から「窓」状態に遷移することなく、一番下の放射方向に到達する。
【0042】
検出状態が「空」状態である場合、欠測状態から、反射位置算出部122が算出した反射位置が存在する状態に変わったことを意味する。不連続位置算出部131は、状態遷移工程S524へ進む。
検出状態が「窓」状態である場合、同様に、欠測状態から、反射位置算出部122が算出した反射位置が存在する状態に変わったことを意味する。不連続位置算出部131は、窓下端判定工程S528へ進む。
検出状態が「空」及び「窓」以外である場合、反射位置算出部122が算出した反射位置が存在する状態が続いていることを意味する。不連続位置算出部131は、走査方向選択工程S521に戻り、次の放射方向を選択する。
【0043】
状態遷移工程S524において、不連続位置算出部131は、処理装置911がデータを処理することにより、検出状態を「空」状態から「屋根」状態に遷移させる。現在の検出状態が「屋根」状態であることを記憶装置920が記憶する。
その後、不連続位置算出部131は、走査方向選択工程S521に戻り、次の放射方向を選択する。
【0044】
窓下端判定工程S528において、窓判定部132は、処理装置911がデータを処理することにより、走査方向選択工程S521で選択した放射方向について反射位置算出部122が算出した反射位置が、窓の下端であるか否かを判定する。
窓の下端であると判定した場合、窓判定部132は、その反射位置を窓の下端の位置とし、窓検出処理S520を終了する。
窓判定部132が窓の下端でないと判定した場合、不連続位置算出部131は、走査方向選択工程S521に戻り、次の放射方向を選択する。
【0045】
状態判定工程S525において、不連続位置算出部131は、処理装置911がデータを処理することにより、検出状態を判定する。
検出状態が「屋根」状態である場合、反射位置算出部122が算出した反射位置が存在する状態から欠測状態に変わったことを意味する。不連続位置算出部131は、窓上端判定工程S526へ進む。
検出状態が「屋根」状態以外である場合、欠測状態が続いていることを意味する。不連続位置算出部131は、走査方向選択工程S521に戻り、次の放射方向を選択する。
【0046】
窓上端判定工程S526において、窓判定部132は、処理装置911がデータを処理することにより、走査方向選択工程S521で選択した放射方向より一つ上の放射方向について反射位置算出部122が算出した反射位置が、窓の上端であるか否かを判定する。
窓の上端であると判定した場合、窓判定部132は、その反射位置を窓の上端の位置とし、状態遷移工程S527へ進む。
窓の上端でないと判定した場合、窓判定部132は、走査方向選択工程S521に戻り、次の放射方向を選択する。
【0047】
状態遷移工程S527において、窓判定部132は、処理装置911がデータを処理することにより、検出状態を「屋根状態」から「窓」状態へと遷移させる。現在の検出状態が「窓」状態であることを記憶装置920が記憶する。
その後、不連続位置算出部131は、走査方向選択工程S521に戻り、次の放射方向を選択する。
【0048】
窓なし判定工程S529において、窓判定部132は、処理装置911がデータを処理することにより、窓が検出されなかったと判定し、窓検出処理S520を終了する。
【0049】
図11は、この実施の形態における車軸検出処理S530の流れの一例を示すフローチャート図である。
車軸検出処理S530において、車軸検出部220は、車両850の車軸を検出する。車軸検出処理S530は、走査方向選択工程S531、高さ判定工程S532、連続性判定工程S533、車軸あり判定工程S534、車軸なし判定工程S535、車両なし判定工程S536を有する。
【0050】
走査方向選択工程S531において、車軸検出部220は、処理装置911がデータを処理することにより、レーザ走査部113が放射光751を放射した放射方向のなかから、放射方向を下から順に選択する。
車軸検出部220が放射方向を選択した場合、高さ判定工程S532へ進む。
一番上の放射方向まで処理が終わり、選択できる放射方向がない場合、車軸検出部220は、車両なし判定工程S536へ進む。
【0051】
高さ判定工程S532において、車軸検出部220は、処理装置911がデータを処理することにより、走査方向選択工程S531で選択した放射方向について反射位置算出部122が算出した反射位置の高さが、道路820の高さより高いか否かを判定する。
反射位置の高さが道路820の高さより高い場合、車軸検出部220は、連続性判定工程S533へ進む。
反射位置の高さが道路820の高さである場合、車軸検出部220は、走査方向選択工程S531に戻り、次の放射方向を選択する。
【0052】
連続性判定工程S533において、車軸検出部220は、処理装置911がデータを処理することにより、走査方向選択工程S531で選択した放射方向について反射位置算出部122が算出した反射位置と、一つ下の放射方向について反射位置算出部122が算出した反射位置との間の距離を算出する。車軸検出部220は、算出した距離が所定の閾値より大きいか小さいかを判定する。
算出した距離が閾値より小さい場合は、道路820に接触した部分を検出したことを意味する。車軸検出部220は、車軸あり判定工程S534へ進む。
算出した距離が閾値より大きい場合は、道路820から離れた部分を検出したことを意味する。車軸検出部220は、車軸なし判定工程S535へ進む。
【0053】
車軸あり判定工程S534において、車軸検出部220は、車軸ありと判定し、車軸検出処理S530を終了する。
【0054】
車軸なし判定工程S535において、車軸検出部220は、車軸なしと判定し、車軸検出処理S530を終了する。
【0055】
図12は、この実施の形態における点群710の一例を示す図である。
レーザセンサ110の放射範囲703内に車軸がない場合、この図に示すように、車両850が空中に浮いたような形で検出される。その場合、道路820より高い位置に検出される反射位置(タイヤ面の計測ポイント)と、道路820上に検出される反射位置(道路面の計測ポイント)との間の距離が遠くなり、計測距離が大きく減少する。
これに対し、レーザセンサ110の放射範囲703内に車軸がある場合は、図6に示したように、道路820に接触したタイヤ856が検出されるので、道路820より高い位置に検出される反射位置(車体の計測ポイント)と、道路820上に検出される反射位置(道路面の計測ポイント)との間の距離が近くなり、計測距離に大きな変化は生じない。
車軸検出部220は、この差を利用して、車軸の有無を検出する。
【0056】
図13は、この実施の形態における車幅算出工程S540の流れの一例を示すフローチャート図である。
車幅算出工程S540において、車幅算出部230は、車両850の車幅722を算出する。車幅算出工程S540は、センサ選択工程S541、最小距離初期化工程S542、走査方向選択工程S543、高さ判定工程S544、水平距離比較工程S545、最小距離更新工程S546、車幅算出工程S547を有する。
【0057】
センサ選択工程S541において、車幅算出部230は、処理装置911がデータを処理することにより、2つのレーザセンサ110a,110bを1つずつ処理するため、いずれかのレーザセンサ110を選択する。例えば、車幅算出部230は、最初に、レーザセンサ110aを選択する。レーザセンサ110aについての処理が終わったら、車幅算出部230は、次に、レーザセンサ110bを選択する。
いずれかのレーザセンサ110を選択した場合、車幅算出部230は、最小距離初期化工程S542へ進む。
2つのレーザセンサ110a,110bについての処理が終わり、選択すべきレーザセンサ110がない場合、車幅算出部230は、車幅算出工程S547へ進む。
【0058】
最小距離初期化工程S542において、車幅算出部230は、処理装置911がデータを処理することにより、センサ選択工程S541で選択したレーザセンサ110について、車両850との間の水平距離を十分大きな値(例えばセンサ間隔721)に初期化する。初期化された水平距離を記憶装置920が記憶する。
【0059】
走査方向選択工程S543において、車幅算出部230は、処理装置911がデータを処理することにより、レーザ走査部113が放射光751を放射した放射方向のなかから、放射方向を選択する。この場合、選択の順序は、上からでもよいし、下からでもよい。
放射方向を選択した場合、車幅算出部230は、高さ判定工程S544へ進む。
すべての放射方向についての処理が終わり、選択すべき放射方向がない場合、車幅算出部230は、センサ選択工程S541に戻り、次のレーザセンサ110を選択する。
【0060】
高さ判定工程S544において、車幅算出部230は、処理装置911がデータを処理することにより、走査方向選択工程S543で選択した放射方向について反射位置算出部122が算出した反射位置の高さが、道路820の高さより高いか否かを判定する。
反射位置の高さが、道路820の高さより高い場合、車幅算出部230は、水平距離比較工程S545へ進む。
反射位置の高さが、道路820の高さである場合、車幅算出部230は、走査方向選択工程S543に戻り、次の放射方向を選択する。
【0061】
水平距離比較工程S545において、車幅算出部230は、処理装置911がデータを処理することにより、走査方向選択工程S543で選択した放射方向について反射位置算出部122が算出した反射位置とレーザセンサ110との間の水平距離と、記憶装置920が記憶した水平距離とを比較する。
反射位置算出部122が算出した水平距離のほうが小さい場合、車幅算出部230は、最小距離更新工程S546へ進む。
反射位置算出部122が算出した水平距離のほうが大きい場合、車幅算出部230は、走査方向選択工程S543に戻り、次の放射方向を選択する。
【0062】
最小距離更新工程S546において、車幅算出部230は、処理装置911がデータを処理することにより、記憶装置920が記憶した水平距離を更新する。記憶装置920は、走査方向選択工程S543で選択した放射方向について反射位置算出部122が算出した反射位置とレーザセンサ110との間の距離を水平距離として記憶する。
その後、車幅算出部230は、走査方向選択工程S543に戻り、次の放射方向を選択する。
【0063】
車幅算出工程S547において、車幅算出部230は、処理装置911がデータを処理することにより、2つのレーザセンサ110a,110bについて、記憶装置920が記憶した水平距離を合計する。車幅算出部230は、処理装置911がデータを処理することにより、センサ間隔721から水平距離の合計を減算して、車幅722を算出する。
【0064】
図14は、この実施の形態における番号標認識処理S550の流れの一例を示すフローチャート図である。
番号標認識処理S550において、番号標認識部280は、ナンバープレートを読み取る。番号標認識処理S550は、画像入力工程S551、縁抽出工程S552、ブロック検出工程S553、番号標切り出し工程S554、二値化工程S555、文字認識工程S556を有する。
【0065】
画像入力工程S551において、番号標認識部280は、処理装置911が入力装置902を制御することにより、赤外線撮像装置180が撮影した画像を入力する。
【0066】
縁抽出工程S552において、番号標認識部280は、処理装置911がデータを処理することにより、画像入力工程S551で入力した画像を画像処理し、輪郭線を検出する。例えば、番号標認識部280は、入力した画像を微分して、微分画像を生成する。
【0067】
ブロック検出工程S553において、番号標認識部280は、処理装置911がデータを処理することにより、縁抽出工程S552で処理した画像を、短冊状のセクタに分割して、縦方向に細長い複数の画像を生成する。番号標認識部280は、処理装置911がデータを処理することにより、生成した複数の画像それぞれについて、ブロックを検出する。
【0068】
番号標切り出し工程S554において、番号標認識部280は、処理装置911がデータを処理することにより、ブロック検出工程S553で検出したブロックに基づいて、画像入力工程S551で入力した画像のなかで、ナンバープレートが写っている位置を割り出す。番号標認識部280は、処理装置911がデータを処理することにより、割り出した位置に基づいて、画像入力工程S551で入力した画像のなかから、ナンバープレートが写っている部分の画像を切り出す。
番号標認識部280は、切り出した画像の大きさに基づいて、車両850のナンバープレートの大きさが大板であるか中板(普通板)であるかを判定する。
【0069】
二値化工程S555において、番号標認識部280は、処理装置911がデータを処理することにより、番号標切り出し工程S554で切り出した画像を二値化する。
【0070】
文字認識工程S556において、番号標認識部280は、処理装置911がデータを処理することにより、二値化工程S555で二値化した画像に写っている文字を認識する。
【0071】
図15は、この実施の形態における番号標認識処理S550の対象となる画像の一例を示す図である。
入力画像731は、赤外線撮像装置180が撮影し、番号標認識部280が入力する原画像である。入力画像731は、赤外線撮影のためモノクロ画像であるが、様々な中間階調を含み、一様ではない。
微分画像732は、番号標認識部280が縁抽出工程S552により輪郭線を抽出した画像である。
複数のセクタ画像733は、番号標認識部280がブロック検出工程S553で分割した画像である。
番号標認識部280は、それぞれのセクタ画像733を投影して、ヒストグラム734を生成する。番号標認識部280は、生成したヒストグラム734に所定の閾値を適用して二値化した検出波形735を生成する。番号標認識部280は、生成した検出波形735に基づいて、ランレングスを作成する。番号標認識部280は、作成したランレングスに基づいて、ブロックを検出し、ナンバープレートの位置を特定する。
このようにして特定されたナンバープレートの位置に基づいて、番号標認識部280は、切り出し範囲736を算出する。
番号標認識部280は、入力画像731のなかから、切り出し範囲736に相当する部分を切り出して、切り出し画像737を生成する。
番号標認識部280は、切り出した切り出し画像737に写っている文字(例えば「湘南」「55」「あ」「42」「49」など)を認識する。ナンバープレートには様々な文字が記載されているが、車種の判別において重要なのは、分類番号(この例では「55」)の部分である。
【0072】
次に、窓検出に基づく車種判別の原理を説明する。
【0073】
図16は、この実施の形態における車種判別システム800が車両850について検出する窓と車軸との位置関係の一例を示す図である。
横軸は、時刻を表わす。車両850が車両進行方向702へ向かってほぼ一定の速度で移動していれば、時刻は、車両850の進行方向における距離とみなすことができる。
この例のように、車両850が乗用車である場合、車両850の全長に対して、窓が検出される割合が高いことが特徴である。
【0074】
図17は、この実施の形態における車種判別システム800が車両850について検出する窓と車軸との位置関係の別の例を示す図である。
この例のように、車両850がトラックである場合、車両850の全長に対して、窓が検出される割合が低いことが特徴である。
【0075】
図18は、この実施の形態における車種判別システム800が車両850について検出する窓と車軸との位置関係の更に別の例を示す図である。
この例のように、車両850がバスである場合、乗用車の場合と同様、車両850の全長に対して、窓が検出される割合が高いことが特徴である。
【0076】
この3つの例から明らかなように、トラックなどの貨物車と、乗用車やバスなどとの間では、窓の割合が大きく異なる。これは、乗員座席には一般的に窓が設けられるが、荷台には窓が設けられないためである。したがって、窓の割合に基づいて、乗用車やバスと、トラックとを区別することができる。
また、図16に示した例の乗用車のようにボンネット型の車両850は、1軸目の車軸(前輪)より前には、窓が検出されない点も特徴である。したがって、車両850の全長に対する窓の割合を算出すると、乗用車の窓の割合が低くなり、トラックとの差が小さくなる可能性がある。そこで、1軸目の車軸(前輪)と、2軸目の車軸(後輪)との間における窓の割合を比較する。これにより、トラックと乗用車やバスとを正しく判別することができる。
【0077】
図19は、有料道路における料金区分の一例を示す図である。
この例において、「軽」「普通」「中型」「大型」「特大」の5つの料金区分が存在する。このうち、「軽」には、二輪車および軽自動車が含まれる。「普通」には、「軽」以外の小型自動車や、定員10名以下の普通乗用自動車が含まれる。「中型」には、定員11〜29名・総重量8トン[t]未満の普通乗用自動車(いわゆるマイクロバス)や、車軸数3軸以下・総重量8t未満・最大積載量5t未満の普通貨物自動車が含まれる。「大型」には、定員11〜29名・総重量8t以上・車長9m未満の普通乗用自動車や、車軸数が3〜4軸で総重量などが所定の範囲内の普通貨物自動車が含まれる。「特大」には、定員11〜29名・総重量8t以上・車長9m以上の普通乗用自動車や定員30名以上の普通乗用自動車、車軸数が4軸以上で所定の範囲内の普通貨物自動車が含まれる。なお、路線バスは、上記区分で「特大」に該当する場合、「大型」として扱われる。
【0078】
このような料金体系を有する有料道路の料金所に設置される車種判別システム800は、上記料金区分と一致する5つの車種を正しく判別することが目標となる。
【0079】
図20は、この実施の形態における車種判別処理S560の全体の流れの一例を示すフローチャート図である。
車種判別処理S560において、車種判別部290は、車両850の車種を判別する。車種判別処理S560は、車軸数判定工程S561、多軸判定工程S562、車幅判定工程S563、番号標判定処理S570、窓判定処理S580、車幅判定工程S566を有する。
【0080】
車軸数判定工程S561において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、車軸検出部220が検出した車軸に基づいて、車両850の車軸数が2軸であるか3軸以上であるかを判定する。
車軸数が3軸以上である場合、車種判別部290は、多軸判定工程S562へ進む。
車軸数が2軸である場合、車種判別部290は、車幅判定工程S563へ進む。
【0081】
多軸判定工程S562において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、車両850の車種が「中型」であるか「大型」であるか「特大」であるかを判定する。判定には、既知の方式を用いるものとし、ここでは、詳細な説明を省略する。
その後、車種判別部290は、車種判別処理S560を終了する。
【0082】
車幅判定工程S563において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、車幅算出部230が算出した車幅722に基づいて、車両850の車種が「軽」であるか「軽」以外であるかを判定する。具体的には、例えば、車種判別部290は、車幅722を所定の閾値W(例えば1.48m)と比較し、車幅722が閾値W以下であれば、「軽」であると判定する。
車両850の車種が「軽」であると判定した場合、車種判別部290は、車種判別処理S560を終了する。
車両850の車種が「軽」以外であると判定した場合、車種判別部290は、番号標判定処理S570へ進む。
【0083】
番号標判定処理S570において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、番号標認識部280が読み取ったナンバープレートの大きさや分類番号に基づいて、車両850の車種が「普通」か「中型」か「大型」かを判別する。なお、ナンバープレートからの情報では、路線バスと観光バスとの区別がつかないので、その場合、車種判別部290は、車両850が「大型バス」であると判定する。したがって、「大型バス」には、「大型」の場合と「特大」の場合とが含まれる。また、ナンバープレートの汚れや曲がりなどにより文字が読み取れなかった場合や、渋滞などによりナンバープレートが前の車両の陰に隠れて撮影できなかった場合、車種判別部290は、「不明」と判定する。
「大型バス」あるいは「不明」と判定した場合、車種判別部290は、窓判定処理S580へ進む。
それ以外と判定した場合、車種判別部290は、車種判別処理S560を終了する。
【0084】
窓判定処理S580において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、窓検出部130が検出した窓に基づいて、車両850が貨物自動車であるか乗用自動車であるかを判定する。乗用自動車であると判定した場合、車種判別部290は、車両850の車種が「普通」であるか「中型」であるか「大型」であるか「特大」であるかを判定する。
「貨物」であると判定した場合、車種判別部290は、車幅判定工程S566へ進む。
「貨物」以外と判定した場合、車種判別部290は、車種判別処理S560を終了する。
【0085】
車幅判定工程S566において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、車幅算出部230が算出した車幅722に基づいて、車両850の車種が「普通」であるか「中型」であるか「大型」であるかを判定する。具体的には、例えば、車種判別部290は、車幅722を所定の閾値W(例えば1.7m)及びW(例えば2.2m)と比較し、車幅722が閾値W以下であれば「普通」、閾値W超W以下であれば「中型」、閾値W超であれば「大型」と判定する。
その後、車種判別部290は、車種判別処理S560を終了する。
【0086】
図21は、この実施の形態における番号標判定処理S570の流れの一例を示すフローチャート図である。
番号標判定処理S570は、分類番号判定工程S571、2つのサイズ判定工程S572,S573を有する。
【0087】
分類番号判定工程S571において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、番号標認識部280が読み取った分類番号に基づいて、車両850が「1」ナンバーであるか「2」ナンバーであるか、「3」〜「7」ナンバーであるかを判定する。
分類番号が判読不能である場合、車種判別部290は、「不明」と判定し、番号標判定処理S570を終了する。
「3」〜「7」ナンバーである場合、車両850は、小型乗用自動車・小型貨物自動車・普通乗用自動車(定員10名以下)のいずれかである。車種判別部290は、車両850の車種が「普通」であると判定し、番号標判定処理S570を終了する。
「1」ナンバーである場合、車両850は、普通貨物自動車である。車種判別部290は、サイズ判定工程S572へ進む。
「2」ナンバーである場合、車両850は、普通乗用自動車(定員11名以上)である。車種判別部290は、サイズ判定工程S573へ進む。
【0088】
サイズ判定工程S572において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、ナンバープレートの大きさが中板であるか大板であるかを判定する。
ナンバープレートの大きさが中板である場合、車種判別部290は、車両850の車種が「中型」であると判定し、番号標判定処理S570を終了する。
ナンバープレートの大きさが大板である場合、車種判別部290は、車両850の車種が「大型」であると判定し、番号標判定処理S570を終了する。
【0089】
サイズ判定工程S573において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、ナンバープレートの大きさが中板であるか大板であるかを判定する。
ナンバープレートの大きさが中板である場合、車種判別部290は、車両850の車種が「中型」であると判定し、番号標判定処理S570を終了する。
ナンバープレートの大きさが大板である場合、車種判別部290は、「大型バス」と判定し、番号標判定処理S570を終了する。
【0090】
図22は、この実施の形態における窓判定処理S580の流れの一例を示すフローチャート図である。
窓判定処理S580は、有無判定工程S581、割合判定工程S582、上端判定工程S583、下端判定工程S584を有する。
【0091】
有無判定工程S581において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、窓検出部130が検出した検出結果に基づいて、車両850のいずれかの位置に窓854が検出されたか否かを判定する。
窓854がまったく検出されなかった場合、車両850には屋根853がないと考えられる。オープンカーは乗用車であるから、車種判別部290は、車両850の種別が「普通」であると判定し、窓判定処理S580を終了する。
いずれかの位置に窓854が検出された場合、車種判別部290は、割合判定工程S582へ進む。
【0092】
割合判定工程S582において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、窓検出部130が検出した検出結果と、車軸検出部220が検出した検出結果とに基づいて、1軸目の車軸と2軸目の車軸との間において窓が検出された割合を算出する。車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、算出した割合を所定の閾値aと比較する。
窓の検出割合が閾値a以下である場合、車両850は貨物自動車であると考えられる。車種判別部290は、「貨物」であると判定し、窓判定処理S580を終了する。
窓の検出割合が閾値a超である場合、車両850は乗用自動車であると考えられる。車種判別部290は、上端判定工程S583へ進む。
【0093】
上端判定工程S583において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、窓の上端の高さの平均を算出する。車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、算出した平均を所定の閾値h及びhと比較する。
窓上端の平均高さが閾値h以下である場合、車両850はバスではないと考えられる。車種判別部290は、車両850の車種が「普通」であると判定し、窓判定処理S580を終了する。
窓上端の平均高さが閾値h超h以下である場合、車両850はマイクロバスであると考えられる。車種判別部290は、車両850の車種が「中型」であると判定し、窓判定処理S580を終了する。
窓上端の平均高さが閾値h超である場合、車両850は大型バスであると考えられる。車種判別部290は、下端判定工程S584へ進む。
【0094】
下端判定工程S584において、車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、窓の下端の高さの平均を算出する。車種判別部290は、処理装置911がデータを処理することにより、算出した平均を所定の閾値hと比較する。
窓下端の平均高さが閾値h以下である場合、車両850は路線バスであると考えられる。車種判別部290は、車両850の車種が「大型」であると判定し、窓判定処理S580を終了する。
窓下端の平均高さが閾値h超である場合、車両850は観光バスであると考えられる。観光バスは、一般的に、乗客の荷物を搭載するスペースを車両下部に設けているため、路線バスに比べて窓の位置が高いからである。車種判別部290は、車両850の車種が「特大」であると判定し、窓判定処理S580を終了する。
【0095】
このようにして、車種判別システム800は、車両850の車種を判別する。
窓検出による判別は、ナンバープレートが読み取れなかった場合の補助としての位置づけではあるものの、ナンバープレートが前の車両に隠れるなどして読み取れない場合は少なくないので、有用である。
【0096】
この実施の形態における窓検出装置100は、放射部111と、受光部115と、反射位置算出部122と、窓検出部130とを有する。
上記放射部111は、車両850に対して放射光751を放射する。
上記受光部115は、上記放射光751が上記車両850に当たって反射した反射光754を受光する。
上記反射位置算出部122は、上記放射部111が放射光751を放射してから上記受光部115が反射光754を受光するまでの時間に基づいて、上記放射光751が上記車両850に当たって反射した反射位置を算出する。
上記窓検出部130は、上記反射位置算出部122が算出した反射位置に基づいて、上記車両850の窓854の位置を検出する。
車両850の窓854の位置がわかるので、車両850の車種が容易に判別できる。
【0097】
上記放射部111は、上記放射光751を上下方向に走査する。
上記反射位置算出部122は、上記放射部111が放射光751を放射してから上記受光部115が反射光754を受光するまでの時間と、上記放射部111が放射光751を放射した放射方向とに基づいて、上記放射光751が上記車両850に反射した上下方向に連なる複数の反射位置を算出する。
上記窓検出部130は、上記反射位置算出部122が算出した上下方向に連なる複数の反射位置に基づいて、反射位置が不連続である位置を算出し、算出した位置が上記車両850の窓854の上端または下端であると判定する。
反射位置が不連続な位置を窓854の上端または下端と判定するので、窓854の位置が容易に検出できる。
【0098】
なお、窓854が開放されている場合、放射光751が車内の人や物に当たった反射光754を受光部115が受光するので、窓854に相当する方向の反射位置が欠測にならない場合がある。その場合、放射光751が車内の人や物に当たった反射位置は、屋根853や本体855に当たった反射位置よりも遠くなる。そこで、窓検出部130は、反射位置が欠測した場合だけでなく、レーザセンサ110から反射位置までの距離が不連続(スポット的)に遠くなった場合にも、その方向が窓であると判定する構成としてもよい。そうすれば、窓854が開放されている場合も、窓854の位置を正しく検出することができる。
【0099】
この実施の形態における車種判別装置(車種判別システム800)は、窓検出装置100と、車種判別装置(車種判別部290)とを有する。
上記車種判別装置は、上記窓検出装置100が検出した窓854の位置に基づいて、上記車両850の車種を判別する。
窓854の位置に基づいて車両850の車種を判別するので、ナンバープレートが読み取れない場合であっても、車両850の車種を容易に正しく判別することができる。
【0100】
上記車種判別装置は、上記窓検出装置100が検出した窓の位置に基づいて、普通乗用車とバスとを判別し、上記窓854の上端の高さが所定の第一上端閾値hより低い場合に、上記車両850が普通乗用車であると判定する。
窓854の上端の高さに基づいて普通乗用車とバスとを判別するので、車両850の車種を容易に正しく判別することができる。
【0101】
上記車種判別装置は、上記窓検出装置100が検出した窓854の位置に基づいて、マイクロバスと大型バスとを判別し、上記窓の上端の高さが所定の第二上端閾値hより高い場合に、上記車両が大型バスであると判定する。
窓854の上端の高さに基づいてマイクロバスと大型バスとを判別するので、車両850の車種を容易に正しく判別することができる。
【0102】
上記車種判別装置は、上記窓検出装置100が検出した窓854の位置に基づいて、路線バスと観光バスとを判別し、上記窓854の下端の高さが所定の下端閾値hより高い場合に、上記車両850が観光バスであると判定する。
窓854の下端の高さに基づいて路線バスと観光バスとを判別するので、車両850の車種を容易に正しく判別することができる。
【0103】
上記車種判別装置は、更に、車軸検出装置(車軸検出部220)を有する。
上記車軸検出装置は、上記車両850の車軸の位置を検出する。
上記車種判別装置は、上記窓検出装置100が検出した窓854の位置と、上記車軸検出装置が検出した車軸の位置とに基づいて、上記車両の車種を判別する。
窓854の位置と車軸の位置とを組み合わせることにより、車両850の車種を容易に正しく判別することができる。
【0104】
上記車種判別装置は、上記車軸検出装置が2つの車軸を検出した場合、2つの車軸の間に窓854が存在する割合を算出し、算出した割合が所定の割合閾値aより小さい場合に、上記車両850が貨物自動車であると判定する。
2つの車軸の間に窓854が存在する割合に基づいて乗用自動車と貨物自動車とを判別するので、車両850の車種を容易に正しく判別することができる。
【0105】
上記車軸検出装置は、上記窓検出装置の反射位置算出部122が算出した反射位置に基づいて、上記車両850の車軸の位置を検出する。
反射位置算出部122が算出した反射位置に基づいて車軸を検出するので、車軸検出のために別途センサを設ける必要がない。車種判別システム800の部品数が減るので、製造コストを削減することができる。
【0106】
以上説明した車種判別装置(車種判別システム800)において、レーザセンサ制御部120は、有料道路(道路820)の左右に設置されたレーザセンサ110a,110bから車両850までの距離情報と角度情報を収集する。車幅計測部(車幅算出部230)は、レーザセンサ110a,110bからのデータにより車幅を計測する。窓ガラス検出部(窓検出部130)は、窓ガラス位置を検出する。車軸検知部(車軸検出部220)は、車軸位置を検知する。窓ガラス車種判定部(車種判別部290)は、車軸の位置と窓ガラスの位置から車種を判別する。車種判定部(車種判別部290)は、窓ガラス位置と車幅の計測結果から車種を判定する。
【0107】
窓ガラス車種判定部は、窓ガラス位置と車軸位置の位置関係から乗用車と普通貨物車を判別する。
【0108】
窓ガラス車種判定部は、窓ガラスの上縁位置と下縁位置から中型車のマイクロバスと大型車の路線バスと特大車の観光バスを車種判定する。
【0109】
車種判別装置は、レーザセンサにより通過車両の窓ガラス位置を検出する。車種判別装置は、レーザセンサによる通過車両のタイヤ位置の検出とレーザセンサによる窓ガラス位置の検出により、タイヤの位置と窓ガラスの位置関係を収集する。車種判別装置は、レーザセンサが計測した車幅の情報と合わせて、車種判別処理を行う。車両は、一般的に乗員の乗車位置にガラス窓が設けられるため、車両の後部まで窓ガラスが存在する乗用車と車両の後部は荷物用のため窓ガラスが存在しない貨物車の分類が可能となる。また、乗用車に対しては、窓位置の高さ判定により、バスの車種判別にも利用することが出来る。これにより、ナンバープレートが認識できず、車種判別が困難な車両に対しても車種の判定が可能となる。
【0110】
実施の形態2.
実施の形態2について、図23を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0111】
実施の形態1では、車両850の窓854を検出するために設けられた1組のレーザセンサ110a,110bの検出結果を用いて、車軸を検出する構成について説明した。この実施の形態では、窓検出用のセンサとは別に、車軸検出用のセンサを設ける構成について説明する。
【0112】
図23は、この実施の形態における車種判別システム800の一例を示す正面図である。
車種判別システム800は、4つのレーザセンサ110a,110b,110c,110dを有する。
レーザセンサ110a,110bは、実施の形態1よりも高い位置に設けられている。レーザセンサ110a,110bは、窓検出に特化している。レーザセンサ110aの放射範囲703a及びレーザセンサ110bの放射範囲703bは、車両850の窓854が存在し得る範囲をカバーするが、必ずしも、車両850の下端まですべてをカバーしなくてもよい。
レーザセンサ110c,110dは、車軸検出に特化している。レーザセンサ110cの放射範囲703c及びレーザセンサ110dの放射範囲703dは、水平方向より下に限られる。
【0113】
このように、レーザセンサ110a,110bを窓検出に特化し、それとは別に、車軸検出用のレーザセンサ110c,110dを設けることにより、放射光751の放射範囲703を狭く絞ることができるので、反射位置検出の解像度を高くすることができ、検出の精度が高くなる。
また、窓検出用のレーザセンサ110a,110bを窓854の高さに近い高さに設け、車軸検出用のレーザセンサ110c,110dを車軸の高さに近い高さに設けることにより、車両850が道路820の端を走行している場合でも、窓854や車軸を正しく検出することができる。
【0114】
車幅算出部230は、4つのレーザセンサ110a〜110dが検出した検出結果に基づいて、車幅を算出する構成であってもよい。あるいは、車幅算出部230は、車軸検出用のレーザセンサ110c,110dが検出した検出結果に基づいて、車幅を算出する構成であってもよい。その場合、窓検出は、2つのレーザセンサ110a,110bのいずれか一方で行うこととし、他方のレーザセンサ110a,110bはなくてもよい。
【0115】
また、車軸検出用のセンサは、レーザセンサ110c,110dに限らず、例えば踏み板式の車軸センサなど他のセンサであってもよい。
【符号の説明】
【0116】
100 窓検出装置、110 レーザセンサ、111 放射部、112 レーザ発振部、113 レーザ走査部、115 受光部、116 レーザ受光部、117 増幅部、120 レーザセンサ制御部、121 走査制御部、122 反射位置算出部、130 窓検出部、131 不連続位置算出部、132 窓判定部、180 赤外線撮像装置、200 制御装置、210 進行方向判定部、220 車軸検出部、230 車幅算出部、280 番号標認識部、290 車種判別部、701 撮像範囲、702 車両進行方向、703 放射範囲、710 点群、711 窓上端高さ、712 窓下端高さ、713 センサ車体間距離、721 センサ間隔、722 車幅、751 放射光、752 正反射光、753 拡散反射光、754 反射光、755 正透過光、800 車種判別システム、810 島、820 道路、850 車両、851 車体、852 ガラス、853 屋根、854 窓、855 本体、856 タイヤ、901 出力装置、902 入力装置、911 処理装置、920 記憶装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射部と、受光部と、反射位置算出部と、窓検出部とを有し、
上記放射部は、車両に対して放射光を放射し、
上記受光部は、上記放射光が上記車両に当たって反射した反射光を受光し、
上記反射位置算出部は、上記放射部が放射光を放射してから上記受光部が反射光を受光するまでの時間に基づいて、上記放射光が上記車両に当たって反射した反射位置を算出し、
上記窓検出部は、上記反射位置算出部が算出した反射位置に基づいて、上記車両の窓の位置を検出することを特徴とする窓検出装置。
【請求項2】
上記放射部は、上記放射光を上下方向に走査し、
上記反射位置算出部は、上記放射部が放射光を放射してから上記受光部が反射光を受光するまでの時間と、上記放射部が放射光を放射した放射方向とに基づいて、上記放射光が上記車両に反射した上下方向に連なる複数の反射位置を算出し、
上記窓検出部は、上記反射位置算出部が算出した上下方向に連なる複数の反射位置に基づいて、反射位置が不連続である位置を算出し、算出した位置が上記車両の窓の上端または下端であると判定することを特徴とする請求項1に記載の窓検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の窓検出装置と、車種判別装置とを有し、
上記車種判別装置は、上記窓検出装置が検出した窓の位置に基づいて、上記車両の車種を判別することを特徴とする車種判別装置。
【請求項4】
上記車種判別装置は、上記窓検出装置が検出した窓の位置に基づいて、普通乗用車とバスとを判別し、上記窓の上端の高さが所定の第一上端閾値より低い場合に、上記車両が普通乗用車であると判定することを特徴とする請求項3に記載の車種判別装置。
【請求項5】
上記車種判別装置は、上記窓検出装置が検出した窓の位置に基づいて、マイクロバスと大型バスとを判別し、上記窓の上端の高さが所定の第二上端閾値より高い場合に、上記車両が大型バスであると判定することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車種判別装置。
【請求項6】
上記車種判別装置は、上記窓検出装置が検出した窓の位置に基づいて、路線バスと観光バスとを判別し、上記窓の下端の高さが所定の下端閾値より高い場合に、上記車両が観光バスであると判定することを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の車種判別装置。
【請求項7】
上記車種判別装置は、更に、車軸検出装置を有し、
上記車軸検出装置は、上記車両の車軸の位置を検出し、
上記車種判別装置は、上記窓検出装置が検出した窓の位置と、上記車軸検出装置が検出した車軸の位置とに基づいて、上記車両の車種を判別することを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の車種判別装置。
【請求項8】
上記車種判別装置は、上記車軸検出装置が2つの車軸を検出した場合、2つの車軸の間に窓が存在する割合を算出し、算出した割合が所定の割合閾値より小さい場合に、上記車両が貨物自動車であると判定することを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれかに記載の車種判別装置。
【請求項9】
上記車軸検出装置は、上記窓検出装置の反射位置算出部が算出した反射位置に基づいて、上記車両の車軸の位置を検出することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の車種判別装置。
【請求項10】
放射部と、受光部と、反射位置算出部と、窓検出部とを有する窓検出装置が、車両の窓を検出する窓検出方法において、
上記放射部は、車両に対して放射光を放射し、
上記受光部は、上記放射光が上記車両に当たって反射した反射光を受光し、
上記反射位置算出部は、上記放射部が放射光を放射してから上記受光部が反射光を受光するまでの時間に基づいて、上記放射光が上記車両に当たって反射した反射位置を算出し、
上記窓検出部は、上記反射位置算出部が算出した反射位置に基づいて、上記車両の窓の位置を検出することを特徴とする窓検出方法。
【請求項11】
請求項10に記載の窓検出方法によって検出された窓の位置に基づいて、上記車両の車種を判別することを特徴とする車種判別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2011−133989(P2011−133989A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291131(P2009−291131)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】