説明

窓組立体の製造方法と製造装置

【課題】窓板自体の外形寸法のばらつきとは無関係にストリップ材を所定の基準位置に保って窓板の裏面側に正しく装着し得る窓組立体製造方法を提供すること。
【解決手段】所定の中心位置を基準としてストリップ材20を所定装着位置に対応する位置に固定する固定手段が形成されたストリップ材位置固定装置110を使用し、ストリップ材を該固定手段に着脱可能に固定し、窓板12を位置固定した該ストリップ材位置固定装置110に向けて前進させる。該固定装置には、窓板の面中心方向へ向く弾発力を発生させる弾発手段が設けられており、該弾発力を作用させて窓板の面方向と平行な方向に位置調節して、該窓板の前記中心位置と前記固定装置中心位置とを一致させ、窓板の被接合部とストリップ材の接合部とを接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の被取付体の窓開口縁に取り付けて使用される窓組立体の製造方法に関する。また本発明は、かかる製造方法の実施に適した製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無機ガラスからなる窓板と、長尺なストリップ材(モールディング、ガスケット、フレーム(枠)等と呼ばれることもあり、接着兼シール作用を呈するシーラントの所定位置からのはみ出し防止を目的とするものではダムラバーと呼称される場合もある。以下、これらを総称して「ストリップ材」という。)とを備えた窓組立体(「モジュールウィンドウ」、「モジュラーウィンドウ」と呼ばれることもある。)が知られている。かかるストリップ材は、種々のポリマー材料を典型的には押出成形することによって形成され、窓板の外周縁に沿って装着される部材である。
このような窓組立体は、車両または建築物や工作物等の被取付体の窓開口縁に取り付けて使用される。例えば特許文献1には、車両用窓組立体の一例が記載されている。
【特許文献1】特開2007−118669号公報
【0003】
ところで、車両用の窓板の外形寸法については、同タイプの窓板の全てで同一というわけではなく、窓板間で若干の許容公差が認められる。例えば、普通乗用車の前窓(或いは後窓)用として横方向の下端縁が約1.5m、上端縁が約1.2m、高さが約1mのサイズの窓板を使用する場合、当該基準寸法に対して横方向(下端縁、上端縁)サイズでプラスマイナス3mm程度(即ち基準中心の左右両端がそれぞれプラスマイナス1.5mm程度)の公差が許容されている。また、当該基準寸法に対して縦方向(高さ方向)サイズでプラスマイナス2mm程度の公差が許容されている。横方向(車体幅方向)が約1.2m、縦方向(車体の前後方向)が約0.5mのサイズの天窓についてもほぼ同様の公差が認められている。特に湾曲面状に成形された車両用窓板においてサイズに誤差が生じやすい。即ち、湾曲の曲率半径のばらつきは、窓板外形寸法のばらつきの主要因であり得る。
その一方で、車体側の窓開口部にも製造上若干の誤差が生じ得るために所定の公差が認められる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の事情から、車体の窓開口縁に窓組立体を装着する際、上記窓開口縁と窓板の外周縁(外周縁の端面)との間隔寸法が車両毎に異なる。具体的には、車体の窓開口縁の寸法が許容公差内の最大寸法であり且つ装着される窓板の外周縁の寸法が許容公差内の最小寸法である場合には、上記間隔寸法が最大になる。逆に、車体の窓開口縁の寸法が許容公差内の最小寸法であり且つ装着される窓板の外周縁の寸法が許容公差内の最大寸法である場合には、上記間隔寸法が最小になる。
このような状況下、特許文献1に記載されるような従来のストリップ材を備える窓板(窓組立体)を車体の窓開口縁に装着する場合、上記間隔寸法が最大となる車両に装着したときと、上記間隔寸法が最小となる車両に装着したときとで上記ストリップ材の一部(例えば遮蔽リップ部)の窓開口縁への当接状態が異なる結果となる。かかるストリップ材の当接状態が車体毎に異なることは、車両間での窓板組立に関する美観や品質の同一性が維持されなくなる虞があり、好ましくない。また、上記ストリップ材の窓開口縁へ当接する部分の弾発力が間隔寸法の違いによって異なる場合、当該弾発力の違いにより車両毎に窓組立体の装着状態が異なる結果となり得、結果、一部の車両において(例えば上記間隔寸法が最大となる車両や最小となる車両において)窓組立体の装着不良が生じる虞があり、好ましくない。
【0005】
そこで本発明は、上記事情に鑑みて創出されたものであり、その目的とするところは、窓板自体の外形寸法にばらつきがあっても当該ばらつきとは無関係にストリップ材を所定の基準位置に保って窓板の裏面側に正しく装着し得る窓組立体の製造方法を提供することである。また、他の目的は、そのような製造方法の実施に適した窓組立体製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するべく本発明によって窓組立体の製造方法が提供される。
即ち、請求項1の発明は、表面と裏面を有する窓板であってその面方向の窓板中心位置を基準として該中心位置から全方位に離れて外周縁を有する窓板と、前記窓板よりも軟質のポリマー材料から長尺に成形されたストリップ材とから成り、前記ストリップ材の接合部が前記窓板の外周縁に沿って窓板の裏面上の被接合部に接合された窓組立体を製造する方法である。そして本発明の製造方法は、以下に記す各工程を包含する。
(a).前記窓板と、該窓板の被接合部に接合される前記接合部を一部分として有すると共に長手方向の形状が前記窓板の外周縁形状と適応可能な形状に形成された長尺なストリップ材とを用意する工程、ここで前記接合部および前記被接合部のうちの少なくともいずれか一方に接合材層が形成されている。
(b).固定装置中心位置を有し、該固定装置中心位置を基準として窓板に接合された際の前記ストリップ材の所定装着位置に対応する位置にストリップ材を固定する固定手段が形成されているストリップ材位置固定装置を使用し、該固定装置の前記固定手段に、前記接合部を前記固定手段から露出させた状態で該ストリップ材を該固定手段に着脱可能に固定する工程。
(c).前記窓板の外周縁以外の所定部分を保持した状態の該窓板と前記ストリップ材位置固定装置のうちのいずれか一方を位置固定し、他方を該位置固定側に向けて前進させる工程、ここで前進する側は、前記窓板の面方向と平行する方向に位置調節可能に保持される。
(d).前記窓板とストリップ材位置固定装置のうちの少なくともいずれか一方には窓板の面中心方向へ向く弾発力を発生させる弾発手段が対向する各々の外周縁の位置に設けられており、前記窓板とストリップ材位置固定装置のうちのいずれか一方を他方に向けて前進させる途中、または、前記一方を他方に向けて前進させて前記窓板の被接合部に前記ストリップ材の接合部が接合される前に、前記弾発手段によって前記窓板の対向する外周縁と前記ストリップ材位置固定装置の対向する縁のうちのいずれか前進される方の縁に窓板の前記中心方向に向く対向する弾発力が各々同一となるように弾発力を作用させて窓板の面方向と平行な方向に位置調節して、該窓板の前記中心位置と前記固定装置中心位置とを一致させる工程。
(e).前記位置調節された窓板の被接合部と前記ストリップ材の接合部とを接触させた後、該被接合部と接合部のうちの少なくともいずれかに押圧力をかけて、該窓板の被接合部に該ストリップ材の接合部を接合する工程。および
(f).前記ストリップ材が接合された窓板と前記位置固定装置とを分離する工程。
【0007】
かかる構成の請求項1に記載の窓組立体製造方法では、前記ストリップ材の所定装着位置に対応する位置に設けられた前記固定溝にストリップ材を固定しておき、そこに上述のように位置調節しつつ窓板を移動させ、窓板の前記中心位置と前記固定装置中心位置とを格別の操作を要することなく一致させたうえで窓板の裏面側の所定位置にストリップ材を接合することができる。
この結果、本構成の製造方法では、上述のように許容公差の範囲内で窓板の外周縁の寸法がばらついていたとしても、当該ばらつきに無関係に(即ち当該ばらつきには影響されることなく)、窓板の中心位置から面方向で所定の距離(寸法)だけ正確に離れた位置にストリップ材を接合することができる。換言すれば、一つの窓板では対向する外周縁に沿って接合される対向するストリップ材と窓板の外周縁の端面との間隔が使用する窓板毎に存在し得る外寸のばらつきに関わりなく一つの窓板では常に同一(例えば、左右で同一)とすることができる。
従って、請求項1の製造方法によると、所望する正確な位置にストリップ材を接合し、品質の安定した窓組立体を容易に製造することができるという効果が得られる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の窓組立体製造方法において、前記前進工程において前記ストリップ材位置固定装置を固定しておき、前記窓板を該固定装置に向けて前進させることを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項2の製造方法では、窓板のほうを前記固定装置側へ移動させる態様であり、窓板の面方向への位置調節が容易である。
従って、請求項2の窓組立体製造方法によると、請求項1の製造方法の奏する効果に加えて、窓板には剛性があるために移動中に変形したりせず、移動が容易であり、窓板の前記中心位置と前記固定装置中心位置とを迅速に且つより確実に一致させることができるという効果が得られる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の窓組立体製造方法において、前記ストリップ材位置固定装置を重力方向で下側に配置して固定しておき、前記窓板を重力方向の上側から該固定装置に向けて前進させることを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項3の窓組立体製造方法によると、請求項2の製造方法の奏する効果に加えて、窓板の移動(即ち上方からの固定装置への前進操作)が容易となり、窓板の前記中心位置と前記固定装置中心位置とをさらに迅速に一致させることができる。また、窓板の自重を押圧力として利用することができるという効果が得られる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの窓組立体製造方法において、前記分離工程の実施前に、前記弾発力を解除する工程を更に包含することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項4の窓組立体製造方法によると、請求項1〜3のいずれかの製造方法の奏する効果に加えて、所定位置にストリップ材が接合された窓組立体をより容易に前記固定装置から取り出せるという効果が得られる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの窓組立体製造方法において、前記窓板の裏面側には、外周縁に沿って前記ストリップ材の接合部の幅を超える幅に不透明フリット層が形成され、該ストリップ材の接合部を該不透明フリット層の範囲内に接合することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項5の窓組立体製造方法では、窓板の裏面側に接合されるストリップ材が前記不透明フリット層によって遮蔽されるため、窓板の表面側からストリップ材が視認されない。従って、かかる構成の請求項5の窓組立体製造方法によると、見栄えのよい外観に優れる窓組立体を提供することができる。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの窓組立体製造方法において、前記接合材層として、可縮性を有する基材の両面に感圧粘着剤層が形成された両面粘着テープを用いることを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項6の窓組立体製造方法によると、このような両面粘着テープを採用することにより、押圧力を加えたとき窓板の被接合部とストリップ材の接合部との接合を容易に且つ確実に行うことができる。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかの窓組立体製造方法において、前記分離工程の実施後に、前記窓板の被接合部を加熱及び前記ストリップ材を窓板側に向けて加圧する工程を更に包含することを特徴とする製造方法である。
かかる構成の請求項7の窓組立体製造方法では、前記固定装置から窓組立体を分離し、取り扱い自由となった状態でストリップ材の接合面を加熱及び加圧することができる。これにより、かかる構成の請求項7の窓組立体製造方法によると、加熱及び加圧が好ましい接合条件の下で容易に行われ、ストリップ材のより強固な接合を実現することができる。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7の窓組立体製造方法において、前記ストリップ材の接合面の加熱は、窓板の表面側から赤外線を照射して窓板を透過した輻射熱で行うことを特徴とする製造方法である。ここで前記窓板の他の部分の好適な一例として前記不透明フリット層が挙げられる。
かかる構成の請求項8の窓組立体製造方法によると、請求項7の製造方法の奏する効果に加えて、過剰な加熱処理を防止して、好ましい接合力が得られる温度に適切な加熱を行うことができるという効果が得られる。
【0015】
また、上記目的を実現するべく本発明によって窓組立体の製造装置が提供される。
即ち、請求項9の発明は、表面と裏面を有する窓板であってその面方向の窓板中心位置を基準として該中心位置から全方位に離れて外周縁を有する窓板と、前記窓板よりも軟質のポリマー材料から長尺に成形されたストリップ材とから成り、前記ストリップ材の接合部が前記窓板の外周縁に沿って窓板の裏面上の被接合部に接合された窓組立体を製造する装置である。
そして、本発明の製造装置は、固定装置中心位置を有し、該固定装置中心位置を基準として窓板に接合された際の前記ストリップ材の所定装着位置に対応する位置にストリップ材を固定する固定手段を備えたストリップ材位置固定装置と、前記窓板を保持して移動可能な窓板保持移動装置とを備えている。ここで前記位置固定装置には、前記保持移動装置が該位置固定装置に向けて移動するとき、該保持移動装置に保持された前記窓板の外周縁に弾接して該窓板の前記中心位置と前記固定装置中心位置とを一致させるように前記窓板の中心方向に向く対向する弾発力が各々同一となるように弾発力を作用させて位置調節する弾発部材が対向する各々の箇所の外周縁の位置に設けられている。そして、前記複数箇所の弾発部材は、前記中心位置から離れる方向に弾性変形し、近づく方向に弾性復元可能に装着され、離れる方向に弾性変形した位置においては該複数の弾発部材の弾発力の総和の力が前記窓板に対して作用しているときに後退しない機構を備えている。
【0016】
かかる構成の請求項9の窓組立体製造装置では、前記ストリップ材の窓板上における所定装着位置に対応する位置にストリップ材を固定し得る前記固定装置にストリップ材を装着しておき、当該固定装置に向けて前記窓板保持移動装置に保持された窓板を移動させてくることができる。更に、上述のように構成された弾発部材により位置調節しつつ窓板の前記中心位置と前記固定装置中心位置とを格別の操作を要することなく一致させたうえで窓板の裏面側の所定位置にストリップ材を接合することができる。
この結果、本構成の製造装置では、上述のように許容公差の範囲内で窓板の外周縁の寸法がばらついていたとしても、当該ばらつきに無関係に(即ち当該ばらつきには影響されることなく)、窓板の中心位置から面方向で所定の距離(寸法)だけ正確に離れた位置にストリップ材を接合することができる。換言すれば、対向する外周縁に沿って接合される対向するストリップ材と窓板の外周縁の端面との間隔が使用する窓板毎に存在し得る外寸のばらつきに関わりなく一つの窓板では常に同一とすることができる。
従って、請求項9の製造装置によると、所望する正確な位置にストリップ材を接合し、品質の安定した窓組立体を容易に製造することができるという効果が得られ、上述した本発明の製造方法を好適に実施することができる。
【0017】
請求項10の発明は、請求項9の窓組立体製造装置において、前記固定手段は、前記接合部を露出させた状態で前記ストリップ材を嵌め込んで着脱可能に該ストリップ材を固定するストリップ材固定溝であることを特徴とする製造装置である。
かかる構成の請求項10の窓組立体製造装置によると、請求項9の製造装置の奏する効果に加えて、ストリップ材を容易且つ確実にストリップ材位置固定装置上の正確な位置(前記固定溝内)に固定し得るという効果が得られる。
【0018】
請求項11の発明は、請求項9又は10の窓組立体製造装置において、前記窓板保持移動装置には、前記窓板の面方向と平行する方向に移動可能な位置調節許容機構を備えていることを特徴とする製造装置である。
かかる構成の請求項11の窓組立体製造装置によると、請求項9又は10の製造装置の奏する効果に加えて、窓板の移動調節を容易に行うことができるという効果が得られる。
【0019】
請求項12の発明は、請求項11の窓組立体製造装置において、前記位置調節許容機構は、更に前記窓板を面方向で旋回調整可能にする旋回許容機構を備えていることを特徴とする製造装置である。
かかる構成の請求項12の窓組立体製造装置によると、請求項11の製造装置の奏する効果に加えて、窓板の移動調節を前記旋回による調整を付加することによってより正確に行うことができるという効果が得られる。
【0020】
請求項13の発明は、請求項11又は12の窓組立体製造装置において、前記位置調節許容機構は、弾性を有するジョイント部材(例えばゴム製ジョイント部材)を備えていることを特徴とする製造装置である。
かかる構成の請求項13の窓組立体製造装置によると、請求項11又は12の製造装置の奏する効果に加えて、ジョイント部材の弾性変形により窓板の位置調整をより容易に行えるという効果が得られる。
【0021】
請求項14の発明は、請求項9〜13のいずれかの窓組立体製造装置において、前記弾発部材は所定の弾発部材固着部材に固着されており、該固着部材は前記窓板の外周縁端面に対して前進及び後退動可能に設けられていることを特徴とする製造装置である。
かかる構成の請求項14の窓組立体製造装置によると、請求項9〜13のいずれかの製造装置の奏する効果に加えて、前記弾発部材固着部材を後退させることによって弾発部材から窓板に作用する弾発力を容易に解除することができる。従って、かかる構成の請求項14の窓組立体製造装置によると、ストリップ材が接合された状態の窓板を前記固定装置から容易に分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば押出成形法による長尺なストリップ材の製造に関する一般的な事項)は、いずれも従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0023】
以下、本発明の好適な一実施形態(第1の実施形態)を図面を参照しつつ詳細に説明するが、かかる説明は本発明を図面に示したものに限定するものではない。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る窓組立体10は、一般的な車両(自動車)のフロントウインドウとして装着される車両用窓組立体10である。本実施形態に係る窓板12は、車体フレームを構成するパネル部材2により形成された矩形状のフロント窓枠部(凹部)4に嵌め込まれる矩形状の窓板12である。
窓板12は、図中の符号Pで示した矩形状窓板12の面方向における中心位置Pから全方位に離れて(本実施形態では中心位置Pから上下左右方向に離れて)外周縁を有する。具体的には、装着時の上下方向の長辺部に相当する上縁部13及び下縁部15、ならびに窓板12の左右方向の短辺部に相当する左縁部14及び右縁部16の計4つの縁部から矩形状の外周縁13,14,15,16が構成される。
なお、図2に示すように、この窓板12は、一般的な車両装着用窓板と同様、車両外面側のガラス板11Aと、車両内面側のガラス板11Bと、当該二つのガラス板を相互に密着させて貼り合わせるための接着層として機能する中間膜11Cとから成る三層構造体である。このような構成により、窓板12の機械的強度と安全性(割れた際の破片飛散防止)を確保している。
【0024】
図1及び図2に示すように、窓板12の裏面12B側(車内側の面)には、外周縁のうち下縁部15を除く上縁部13と左右の縁部14,16に沿ってストリップ材20,40,50が装着されている。図2に示す断面図では、左縁部14に沿って装着されるストリップ材20についての横断面形状が示されているが、上縁部13および右縁部16に沿って装着されるストリップ材40,50も同様の横断面形状である。
【0025】
図2に示すように、本実施形態に係るストリップ材20は、所定の軟質ポリマー材料を押出成形することによって所定の横断面形状に成形された長尺状の部材である。詳細には、本実施形態に係るストリップ材20は、横断面がL字形状である本体部21を備えている。この本体部21の窓板12側に対向する面側に配置される頭部27には、筋条に長手方向に延びる凸条部22と該凸条部22に沿って長手方向に延びる凹溝部28とが形成されている。本実施形態では、かかる凹溝部28が後述する接合部に該当し、該凹溝部28には、可縮性及び復元性を有する基材の両面に感圧粘着剤層が形成され、前記凸条部22の突出高さよりも僅かに厚い寸法の両面粘着テープ32が貼着されている。具体的には、左縁部14に沿って装着されるストリップ材20及び上縁部13に沿って装着されるストリップ材40について図4に示すように、凸条部22,42がガイドとなり、該凸条部22,42に沿って凹溝部28,48(図2)に対応する横幅に形成された両面粘着テープ32を当該凹溝部(接合部)28,48に正確に貼着することができる。また、両面粘着テープ32の長手方向の端部には、両面粘着テープ32のセパレータ(離型紙)32Aにタブテープ32Bが付着している。これにより、窓板12との接合作業時には、該タブテープ32Bを引っ張ることにより、セパレータ32Aを容易に引き剥がすことができ、両面粘着テープ32の窓板12側に面する感圧粘着剤層を容易に露出させることができる。
【0026】
一方、本体部21の窓板12側とは反対側、即ち、フロント窓枠部(凹部)4の底面を構成する車体パネル部材2の底面フランジ部6方向に延びる脚部26の外側面には、遮蔽リップ24が窓板12から外方に突出するように形成されている。特に限定しないが、本体部21,41,51はオレフィン系熱可塑性エラストマー材料またはスチレン系熱可塑性エラストマー材料を主体とする成形材料を押出成形して好適に形成することができる。また、遮蔽リップ24,44,54は、オレフィン系熱可塑性エラストマー材料を主体とし且つ本体部よりも柔軟な成形体を形成し得る成形材料を押出成形して形成されたものである。本体部21,41,51と遮蔽リップ24,44,54とは共押出成形時にその境界部分で溶着により一体化している。
なお、強度保持のため及び/又は特定範囲内での伸びを許容し、前記範囲を超える伸びを阻止するため、本体部のほぼ中心部分には、金属若しくは硬質樹脂から成る芯材30が長手方向に埋設されている。
【0027】
上記形状のストリップ材20,40,50は、窓板12の裏面12B側において全外周縁13,14,15,16に沿って形成されている不透明なフリット層17のうち、外周縁13,14,16に沿うフリット層17上に接合される。かかるフリット層17は比較的高融点の無機粉末(典型的にはガラス粉末)が分散して構成されており、この結果、窓板12の他の部分、即ち表面(車外側)12Aやフリット層17が形成されていない部分の裏面12Bよりも粗化された表面となっている。フリット層17は着色不透明であり、典型的には黒く着色されている。即ちフリット層17は窓組立体10の表面から見たときに窓板10の外周部分の裏側を遮蔽する機能を有する。
【0028】
図2に示すように、窓板12の裏面12B側のフリット層17の内部において規定される被接合部17Aに、上記接合部(凹溝部)28に貼着した両面粘着テープ32の窓板12側に面する感圧粘着剤層(即ち予めセパレータ32Aを引き剥がしておく)を接触させ、さらに押圧力を加える。このことによって、窓板12のフリット層17内の被接合部17Aとストリップ材20の接合部28との接合を容易に且つ確実に行うことができる。この際、凸条部22の突出高さは、両面粘着テープ32の厚さを超えないので、接合に支障を招くことがない。
また、図示されるように、外周縁13,14,15,16に沿ってストリップ材20,40,50の接合部(凹溝部)28の幅を超える幅に不透明なフリット層17が形成されている。これにより、窓板12の裏面12B側に接合されるストリップ材20,40,50が不透明フリット層17によって遮蔽されるため、窓板12の表面12A側からストリップ材20,40,50が視認されない。従って、見栄えのよい外観に優れた窓組立体10が得られる。
【0029】
上記のようにして外周縁(上縁部13,左縁部14,右縁部16)に沿って計3つのストリップ材20,40,50が窓板12の裏面12B側に接合されるのであるが、ここで図1、図3及び図4に示すように、窓板12の上縁部13の両サイドのコーナー部18A,18B、即ち上縁部ストリップ材40と左縁部ストリップ材20とが互いに近接する方の両ストリップ材20,40の端末部分、ならびに、上縁部ストリップ材40と右縁部ストリップ材50とが互いに近接する方の両ストリップ材50,40の端末部分において、互いに近接する両ストリップ材が相互に重ならないように上縁部ストリップ材40の両端部及び左縁部ストリップ材20と右縁部ストリップ材50のそれぞれの端部を予め所定の交差角度をとるように所定の長さだけ切断、除去しておく。
具体的には、窓板12の上縁部13の両サイドのコーナー部18A,18Bにおける内角度をθとしたとき、各ストリップ材の長軸方向(長辺)と直角90°をなす切断面よりも小さい方の交叉角度(切断角度)が上記内角度θの半分の角度(0.5×θ)となるように斜めに切断しておく。
このことによって、図1、図3及び図4に示すように、隣接する二つのストリップ材(即ち上縁部ストリップ材40と左縁部ストリップ材20、上縁部ストリップ材40と右縁部ストリップ材50)の端部同士がコーナー部18A,18Bにおいて相互に重なりあって干渉するのを防止し、窓板12の外周縁(上縁部13,左縁部14,右縁部16)に沿って計3つのストリップ材20,40,50を精度よく連続的に接合(溶着)することができる。
【0030】
なお、図3に示すように、コーナー部18A,18Bにおいてストリップ材20,40,50の本体部21,41,51については、上述のとおり、上記内角度θの半分の角度(0.5×θ)にて斜めに直線的に切断すればよいのであるが、遮蔽リップ24,44,54部分については、図示されるように円弧状にカッティングを行う。即ち、遮蔽リップ24,44,54は、装着時において車体パネル部材2の側部パネル部材3(図2)に当接し、弾性変形して図5に示すように所定の変位量nだけ湾曲した状態で配置される。従って、かかる変位量nだけ湾曲した状態であっても隣接する他のストリップ材の遮蔽リップ(こちらのリップも装着時に同様に湾曲した状態で配置される)との長手方向の余剰部分による重なり合い(干渉)を防止するべく、上記円弧状のカッティングが要求される。かかる変位量nに見合った程度に円弧状に遮蔽リップ24,44,54部分をカッティングすることにより、図4に示すように、上記遮蔽リップが湾曲した状態(即ち所定の位置に装着された状態)で計3つのストリップ材20,40,50が精度よく正確な位置に配置される。
【0031】
上述したように外周縁(上縁部13,左縁部14,右縁部16)に沿って計3つのストリップ材20,40,50が窓板12の裏面12B側に接合された窓組立体10は、所定のフロント窓枠部(凹部)4に嵌め込まれて装着される。
即ち、図2に示すように、遮蔽リップ24,44,54は、装着時において車体パネル部材2の側部パネル部材3に当接し、弾性変形して図2に二点鎖線で示すように、側部パネル部材3に弾性的に圧接する。これにより窓板12の外周縁とフロント窓枠部4を構成するパネル部材2(図では側部パネル部材3)との間の隙間が遮蔽される。このとき、窓板12の裏面12B側(フリット層17形成部分)には底面フランジ部6との間の隙間に対応する部分に予めペースト状のシーラント7が窓板12の全周に亘って吐出されていて、当該シーラント7のはみ出しを抑えるためのダムラバー8が窓板12の全周に亘って設けられている。かかるシーラント7は、硬化するとゴム状弾性を呈する接着材として機能する材料である。例えばウレタン系樹脂製のものが好ましい。これにより、窓組立体10(窓板12)が所定のフロント窓枠部(凹部)4に接着(固定)されて装着される。
【0032】
以下、図6〜図8を参照しつつ、本発明の窓組立体製造装置と製造方法の好適な一実施形態を説明する。
【0033】
図6は、本実施形態に係る窓組立体製造装置100の要部であるストリップ材位置固定装置110を模式的に示す平面図である。本図に示すように、本実施形態に係るストリップ材位置固定装置110は、大まかにいって、窓板12の外形状に対応した略矩形のテーブル状の架台112と、該矩形状の架台112の4辺の外縁部にそれぞれ装着される長尺な位置調整部材120,130,140,150とを備える。以下、上記4つの位置調整部材は、窓板12との相対位置により、図6の紙面上で左側位置調整部材120、上側位置調整部材140、下側位置調整部材130、右側位置調整部材150という。
図6のVII−VII線断面図である図7に代表的に示すように、各位置調整部材120,130,140,150は、それぞれ、架台112の端縁部にボルト114で固定されている。下側位置調整部材130を除いた3つの位置調整部材120,140,150は、架台112に固定され、ストリップ材20,40,50の位置をそれぞれ固定する固定部122と、該固定部122の外縁部において上方に突出する突出部123とを備え、さらに該突出部123の上部に回動可能に載置される可動部126,146,156を備える。一方、下側位置調整部材130は、架台112に固定される固定部と、該固定部の外縁部において上方に突出部133とを備える。
【0034】
図6及び図7に示すように、下側位置調整部材130を除いた3つの位置調整部材120,140,150では、本実施形態に係る弾発部材固着部材である可動部126,146,156の内壁面側(即ち架台112の中心側)に、長手方向の少なくとも1箇所、好ましくは数箇所(本実施形態では上側位置調整部材140では3箇所、左側位置調整部材120と右側位置調整部材150では2箇所)において本実施形態に係る弾発手段であるバネ部材116がビスやリベットのような固着具118で固着されている。また、下側位置調整部材130では、可動部を設けてもよいが、構造を簡単にするために可動部に代えて前記可動部126,146,156と同一高さの突出部133の内壁面側に、長手方向の少なくとも1箇所、好ましくは数箇所(本実施形態では3箇所)において可動部126,146,156と同一の位置にバネ部材116が同様の固着具118で固着されている。詳細には、本実施形態に係るバネ部材116は、短冊状(矩形状)の金属板の両端部を同方向に鋭角に折り曲げて略C字形に成形することにより作製された板バネ材である。而して、当該折り曲げた一方の端部をビス118で可動部126(下側位置調整部材130では突出部133)に固着することにより、図示されるように、当該ビス固定部分寄りの折り曲げ部分を中心として弾発力を発揮することができる。なお、弾発手段としては、同一の圧力で作動する同一内径の複数の流体圧シリンダであってもよい。
【0035】
また、可動部126の外壁面側には、当該可動部126及びバネ部材116を窓板12の外周縁に近接及び離反する方向に回転可能に固定するための回転ヒンジ部128が形成されている。これにより、図7に示すように、回転ヒンジ部128の回転中心128Aを軸として可動部126を可逆的に後方に回転させる(即ちバネ部材116を窓板12から接触しない位置まで後退させる)ことができる。
【0036】
また、下側位置調整部材130を除いた3つの位置調整部材120,140,150の固定部122の上面には、ストリップ材20,40,50を固定する手段として固定溝124が長手方向に形成されている。具体的には、ストリップ材20の本体部21を凹溝部(接合部)28の上に予め貼着した両面粘着テープ32を上面に露出した状態で嵌合する本体部固定溝124Aと、その状態で遮蔽リップを配置するリップ固定溝124Bとが形成されている。
かかる構成により、本実施形態に係る固定装置110の中心位置(即ち矩形状架台112の中心位置)を基準として窓板12に接合された際の各ストリップ材20,40,50の所定装着位置(理想位置)に対応する位置に各ストリップ材20,40,50を所定の位置に正しく固定(配置)することができる。なお、後述する窓板保持移動装置170によって窓板12が移動され、接合作業が開始される前に、固定溝124に固定されたストリップ材20からセパレータ(離型紙)32Aを剥がしておく。このとき、上述のタブテープ32Bを把持して引っ張ることにより、セパレータ(離型紙)32Aを簡易且つ迅速に剥がすことができ、両面粘着テープ32の窓板12側に位置する感圧粘着剤層を容易に露出させておくことができる。なお、下側位置調整部材130の固定部の上面にも溝が形成され、該溝内には、ストリップ材の本体部と同一の高さになるように、窓板よりも軟質の長尺材を嵌め込んでおくか、固定部の上面に軟質の長尺材を貼着しておくのがよい。
【0037】
次に、本実施形態に係る窓組立体製造装置100が備える窓板保持移動装置170について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態において、ストリップ材20,40,50が接合される前の窓板12は、窓組立体製造装置100の近くに設置されている後述するロボットのアームが届く範囲の別の場所で、矩形の四つの角のうちの所定の一つの角に隣接する縁部を基準として位置決めされて載置されている。例えば、規定寸法の窓板12の上縁部13と左縁部14に対応する部分に棒状又はブロック状の位置決めストッパーが設けられている載置台(図示せず)に載置される。
従って、規定寸法と同一の窓板(即ち、規定寸法に対して誤差が無い窓板)が前記載置台に載置されたときは、窓板の面方向の中心位置Pは、載置台の中心位置P1と一致する。一方、規定寸法と異なる寸法の窓板(即ち、規定寸法に対して外形寸法に誤差が有る窓板)が前記載置台に載置されたときは、窓板の面方向の中心位置Pは、載置台の中心位置と一致しない(例えば左右方向の外形寸法に誤差があるときは、左右方向に当該誤差の2分の1だけ両者の中心位置がずれる)ことになる。
図7に示すように、本実施形態に係る窓板保持移動装置170は、図示しない外部の真空ポンプと連通する真空吸盤(窓板保持部材)172を備えている。真空吸盤172は、典型的には位置調節許容機構及び旋回許容機構である弾性を有するゴム製のジョイント部材174を介して図示しない多関節タイプのロボットアームの先端に装着される。
前記ジョイント部材174は、窓板12を当該窓板の外形寸法の誤差とロボットアームの誤差の和の範囲内で窓板12の面と平行方向に移動及び旋回させる機能を有しておればよく、ゴム製に限定されない。さらに真空吸盤172がゴム等の軟質弾性ポリマー材で成形され上記の機能を有しておれば、当該吸盤をジョイント部材として共用することもできる。また、ロボットアームは別の制御機構(コンピュータ制御部)と電気的に接続されており、前記載置台の中心位置(P1)と固定装置110の中心位置との間を予めティーチング(設定)した移動軌跡に従って実用上プラスマイナス0.5mm(±0.5mm)以内の位置精度で繰り返し往復運動することができる。具体的には、ロボットアームの移動に伴いロボットアームの先端に装着された真空吸盤172が前記載置台の上の窓板12を載置台中心位置(P1)を基準として吸着し、当該吸着した状態で窓板12を窓板の面方向と平行な方向及び面と直交する上下方向に移動させ、固定装置110の中心位置まで搬送する。さらには、窓板12を面方向で旋回動調整することができる。即ち、真空吸盤(窓板保持部材)172に吸着保持した窓板12を、時計方向または反時計方向に旋回させつつ当該窓板12を上下方向、左右方向に移動させることができる。なお、窓板12は剛性を有するために搬送途中で変形したり、変位したりすることがない。
ここで、上述したように、吸盤172が誤差の無い窓板を吸着したときと、誤差のある窓板を吸着したときでは、吸盤位置から窓板の外縁部までの寸法はそれぞれ異なることになる。ゴム製ジョイント部材(ユニバーサルジョイント)174は、前記誤差を吸収するのに十分で且つジョイント部材174の弾性変形可能な範囲内で窓板12の前記面方向と旋回方向の移動調節を許容する。また、ジョイント部材174の弾性変形は後述するバネ部材116の弾発力の総和よりも小さい力で弾性変形し、窓板12の位置を面方向に移動調節できるように設定されている。
上述のようにして、窓板12を所定の保管位置(前記載置台)から上記ストリップ材位置固定装置110まで搬送し、当該ストリップ材位置固定装置110の架台112上に窓板12を載置することができる。
なお、コンピュータ制御部によって動作が制御されるロボットアームの構成自体は、産業機械分野において周知の技術であり、本発明の実施に特別な構成を要しないため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0038】
次に、上記窓板保持移動装置170によって搬送された窓板12を架台112上の位置調整部材120,140,150に固定されたストリップ材20,40,50の接合部28に正しく載置する際の上記弾発手段である複数のバネ部材116が奏する作用効果(機能)について詳細に説明する。先ず、窓板12が搬送されてくる前に、可動部126,146,156を図7の実線で示す位置(後に移動してくる窓板12の外周縁に近づく位置)に回転移動させておく。
図6及び図7に示すように、本実施形態に係るバネ部材116は、架台112上に載置される際の窓板12の外周縁13,14,15,16と対向する面である位置調整部材120,130,140,150の可動部126,146,156(下側位置調整部材130では突出部133)の内壁面に装着されると共に、窓板12の外周縁と弾接した際に窓板12の中心方向に弾発力(図6中の矢印参照)が作用するように配置されている。
【0039】
さらに、本実施形態に係る複数のバネ部材116は、窓板12が移動してきてその外周縁13,14,15,16に各バネ部材116が弾接した状態となった際、当該窓板12の中心方向に向く対向する弾発力(の総和)が各々同一となるように窓板12に対して各方位から弾発力を作用させ得るように調整されて設けられている。また、窓板12が移動してきてその外周縁13,14,15,16に各バネ部材116が接触した時点(即ち窓板12をバネ部材116間に押し込む前の段階)で、窓板12の面方向と架台112上のストリップ材20とが平行となるようにロボットアームが制御機構で制御されている。
そして、本実施形態においては窓板12が矩形状であるため、窓板12の中心方向に向く対向する弾発力とは図6に示すようにF1とF2、ならびに、F3とF4のことである。従って、上側位置調整部材140に設けられた計3つのバネ部材116による窓板12の中心方向に向く弾発力F1の総和(3×F1)は、該弾発力F1と対向する弾発力F2、即ち下側位置調整部材130に設けられた計3つのバネ部材116による窓板12の中心方向に向く弾発力F2の総和(3×F2)と同一となるように各バネ部材116の弾発力が調整されている。全く同様に、左側位置調整部材120に設けられた計2つのバネ部材116による窓板12の中心方向に向く弾発力F3の総和(2×F3)は、該弾発力F3と対向する弾発力F4、即ち右側位置調整部材150に設けられた計2つのバネ部材116による窓板12の中心方向に向く弾発力F4の総和(2×F4)と同一となるように各バネ部材116の弾発力が調整されている。
かかる調整されたバネ部材116が設けられている結果、規定寸法と同一の窓板12(規定寸法に対して誤差が無い窓板)が搬送されてきた場合には上述のようにロボットアームの操作によって精度よく位置調節された(窓板12の中心位置Pが載置台の中心位置P1と一致している)窓板12を4つの位置調整部材120,130,140,150により包囲された架台112上に移動させ、さらに架台112上に固定されているストリップ材20,40,50の接合部28に向けて窓板12を前進させた(ここでは窓板12の自重を押圧力として利用して重力方向の上側から下側に降下させた)とき、窓板12の面方向と架台112上のストリップ材20との平行関係を保ちつつ、窓板12の中心方向に向く弾発力であって上記対向する弾発力が各々同一(3×F1=3×F2、2×F3=2×F4)となることにより、格別の操作を要することなく窓板12の中心位置Pと固定装置110(架台112)の中心位置とを一致させることができる。ここで、窓板12を降下させ窓板裏面12Bが両面粘着テープ32に接すると接合が行われる。このとき、窓板裏面12Bは自重で両面粘着テープ32に圧力が加わるので感圧両面粘着剤と良好に接合するが、併せてロボットアームに下向きの力を作用させてもよい。そして、図6と図7に示すように、窓板12の中心位置Pと固定装置110(架台112)の中心位置とが一致した状態で窓板12の中心位置Pから常に面方向で所定の距離(寸法)だけ正確に離れた位置にストリップ材20,40,50を両面粘着テープ32で窓板裏面12Bに接合することができる。換言すれば、対向する外周縁に沿って接合される対向するストリップ材と窓板の外周縁との間隔寸法を窓板の外形寸法のばらつきに関わりなく一つの窓板では常に同一(例えば、左右で同一)とすることができる。
一方、規定寸法と異なる寸法の窓板12(規定寸法に対して外形寸法に誤差がある窓板)が搬送されてきた場合には、上述したように搬送された窓板12の実際の中心位置Pと固定装置110の中心位置とが一致せず異なることになる。この場合、窓板12の周縁が一つの縁のバネ部材(弾発部材)116に強く当接し、対向する周縁はバネ部材116に弱く当接する。一つの縁のバネ部材116の弾発力の総和は対向する縁のバネ部材116の弾発力の総和と等しく設定されているので、窓板12には強く当接している側から弱く当接している側に向けて移動させる力が作用する。このとき、上述したようにジョイント部材174(ユニバーサルジョイント)は前記弾発力の総和よりも小さい力で弾性変形するように設定されているので、窓板12の位置調節移動を許容し、窓板12の実際の中心位置Pを固定装置110の中心位置に一致させることができる。
このようにして、規定寸法と異なる寸法の窓板12(規定寸法に対して外形寸法に誤差がある窓板)が搬送されてきた場合にもばらつきに関係なく、窓板12の中心位置Pと固定装置110の中心位置を一致させてストリップ材20,40,50を正確な位置に接合できる。
なお、以上の説明では、窓板12をロボットのアーム先端に設けた真空吸盤172で吸着して搬送する例を示したが、窓板12の搬送は真空吸着盤等を用いて人手作業で行ってもよい。この場合には、ロボットが不要であり、また、人手作業では作業者の手首や腕の関節で窓板12の位置調節移動が可能なのでジョイント部材174(ユニバーサルジョイント)も必ずしも必要としない。
【0040】
上述のとおり、本発明の窓組立体製造装置及び製造方法によると、許容公差の範囲内で窓板12の外周縁13,14,15,16の寸法がばらついていたとしても、当該ばらつきに無関係に(即ち当該ばらつきには影響されることなく)、窓板12の中心位置Pから面方向で所定の距離(寸法)だけ正確に離れた位置に各ストリップ材20,40,50を窓板裏面12Bに接合することができる。換言すれば、対向する外周縁13,14,16に沿って接合される対向するストリップ材20,40,50と窓板12の外周縁の端面との間隔が、使用する窓板12毎に存在し得る外寸のばらつきに関わりなく一つの窓板では常に同一となる。このため、車両間での窓板組立に関する美観や品質の同一性を好適に維持することができる。また、ストリップ材20,40,50の窓開口縁を構成するパネル部材2(図2では側部パネル部材3)への弾発力が各ストリップ材20,40,50間でばらつかないため、良好な装着状態を実現することができる。
なお、下側位置調整部材130を除く3つの位置調整部材120,140,150では、上述したようにバネ部材116は、窓板12の中心位置Pに対して前進及び後退動可能に位置調整部材120,140,150の可動部126,146,156に装着されている。そして、図7に示すように、窓板が前進(下降する)し、該窓板12の外周縁にバネ部材116が弾接して弾発力が作用している際には後退しない機構を備えている。具体的には、図7に示すように、窓板12の外周縁とバネ部材116が最初に接する位置は、回転ヒンジ部128の回転中心128Aよりも位置調整部材120の固定部122寄り(回転中心128Aよりも下側の位置)である。さらに可動部126と突出部123との当接面126A,123Aは、ヒンジ部128の回転中心128Aから斜め下向きに傾斜して形成されている。このため、この状態では可動部126を後方へ押し戻す力は発生しない。即ち、この状態では可動部126は後方へ回転することはない。
他方、窓板12とストリップ材20,40,50との接合が完了した後、窓板12を上昇させた際には、窓板12の外周縁に接触するバネ部材116を上方へ持ち上げる方向に摩擦力等の力が働き、結果として、可動部126は後方へ回転する(即ちバネ部材116が窓板12から離れるように後退する)。これにより、窓板12の架台112(固定装置110)からの分離がスムーズに行われる。但し、前記接合が完了した後で、窓板12を上昇させる前に強制的な力を加えて可動部126を後方へ回転させておいてもよい。
なお、バネ部材116の表面に予めバネ部材よりも軟質の適当な潤滑剤をコーティングしておく(即ち潤滑皮膜を形成しておく)ことによって、上記分離作業をよりスムーズに行うことができる。また、窓板12の外周縁にバネ部材116との接触(弾接)によってキズ等が生じるのを未然に防止することができる。また、バネ部材116を金属板で作製したが、弾性変形容易な樹脂材料で成形してもよい。これにより、窓板12との接触によるキズ等の発生をより一層防止することができる。
【0041】
上述したようにして、窓板12の裏面12B側の所定の位置(被接合部17A)にストリップ材20,40,50を接合した後の窓板組立体10をストリップ材位置固定装置110から除去した後、より強固な上記接合部28と被接合部17A間の接合を実現するため、別途用意した加熱及び加圧装置180に搬送する。以下、本実施形態に係る加熱装置ならびに加圧手段について図8を参照しつつ説明する。
図8は、本実施形態に係る加熱装置180の要部を模式的に示す側面図である。本図に示すように、本実施形態に係る加熱装置180は、大まかにいって、矩形テーブル状の架台181と、該架台181上において窓組立体10の形状に対応した枠状に形成された組立体載置用枠182とから構成されている。かかる構成により、図示されるように、窓組立体10をストリップ材20,40,50が上面側となるように組立体載置用枠182に載置することができる。
【0042】
図示されるように、加熱装置180の組立体載置用枠182には、加熱処理を行う際に利用する各種装置類が装備されている。
具体的には、本実施形態に係る加熱器183は、枠182上に窓組立体10を載置したときにストリップ材20,40,50が配置される位置に対応する位置(好ましくはストリップ材20,40,50の配置位置のほぼ真下)に、断熱材からなるジャケット185に包囲された長尺な赤外線ヒータ184を備える加熱器183が装備されている。この赤外線ヒータ184の上方(即ち当該赤外線ヒータ184と窓板12との間)には、ヒータ184の保護のために赤外線を透過する透明窓188が設けられている。
また、上記加熱器183(赤外線ヒータ184)に近接する位置には、窓組立体10のフリット層17の温度を検出する温度センサ186が設置されている。本実施形態に係る温度センサ186は非接触式の赤外線センサであるが、この形式に限定されるものではない。例えば、熱電対やサーミスタを利用した接触式センサであってもよい。
さらに、枠182上に窓組立体10が載置されたことを検知する(窓組立体から載置されたときにオン(ON)となり、外されたときにオフ(OFF)となる)窓板検出センサ187が装備されている。本実施形態に係る窓板検出センサ187は、構造が単純なプッシュボタン式の検出スイッチであるがこの形式に限定されるものではない。
【0043】
図8に示すように、上記加熱器183(赤外線ヒータ184)、温度センサ186及び窓板検出センサ187は、架台181に設けられた制御装置(典型的にはCPU等を備えたマイコン部)190とケーブル191,192,193を介して電気的に接続されており、制御装置190からの制御信号に基づいて加熱処理を好ましく行うことができる。典型的には、上記のようにして窓板12の裏面側のフリット層17の内側の所定位置(被接合部17A)にストリップ材20が接合された窓組立体10を組立体載置用枠182の所定位置に載置すると、枠182上に突出した上記窓板検出センサ187のプッシュボタンが当該載置された窓板によって押された状態(図8で実線で示すオンの状態)となる。これにより、窓組立体10が載置されたことの検出信号が制御装置190に入力され、加熱プログラムが開始される。具体的には、制御装置190からの制御信号により、赤外線ヒータ184に通電が行われ、透明窓188を介して遠赤外線が窓板12の表面12A側に照射され、窓板12を透過する輻射熱として上記接合部28と被接合部17Aとの接合部分を加熱することができる。このような輻射熱による加熱を採用することにより、好ましい接合力が得られる温度(実用的には40℃〜80℃)に感圧粘着剤層を適切に加熱することができる。
【0044】
本実施形態に係る加熱装置180では、上記接合部分の加熱状態を上記温度センサ186により常時モニタリングすることができる。即ち、上記接合部分からの熱伝導で加熱されたフリット層17の温度を上記温度センサ186で検出し、当該温度検出信号は、制御装置190に入力される。ここで、予め設定されている加熱温度よりも高い温度が検知された場合、制御装置190は加熱処理が完了したと判断し、制御装置190からの制御信号により、赤外線ヒータ184への通電が終了する。そして、加熱が終了した窓組立体10を枠182から取り外すことにより、上記窓板検出センサ187のプッシュボタンが解除され(図8で鎖線で示す状態)、上記加熱プログラムがリセットされる。このようにして、複数の窓組立体10を同一の条件(上記加熱プログラム)で加熱することができる。
【0045】
また、好ましくは、上記加熱と同時に加圧処理を行う。例えば、図8に示すような加圧装置200を用いることによって、粘着に好ましい温度に加熱された接合部位を良好に加圧することができる。本実施形態において、図示される加圧装置200は、作業者自身の手により或いはロボットアームにて対象部分を加圧するローラ装置である。具体的には、把持部201に接続するフレーム202に設けられた回転軸203に直径が異なり、独立して回転する複数のローラが同軸に重なった加圧用複合ローラ204が回転可能に取り付けられている。図示されるように、加圧用複合ローラ204の加圧面の段差形状は、ストリップ材20の底面の段差と対応しており、さらにフランジ部204Aによりストリップ材20の側面を保持して横方向へのずれを防止している。さらに各ローラが独立して回転するので、各ローラの回転角速度を異ならせ、周速度を同一にすることができる。
この結果、図示されるように、ストリップ材20の所定の形状を歪ませることなくローラ204をストリップ材の底面に押し当て、把持部201側から所定の加圧力を加えつつ、ストリップ材の長手方向に移動させて各ローラが同一の周速度を保ち、ストリップ材の長手方向の全体にわたって加圧された状態のストリップ材20を窓板側に押し付けることができる。これにより、より良好な接合を実現することができる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態を図面を参照しつつ説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載の技術には、種々の変形例、変更例が含まれる。
例えば、図9に示すストリップ材位置固定装置210は、上述した図7に示すストリップ材位置固定装置110の変更例であり、可動部226の構成とそれに伴うバネ部材116の移動態様(前進、後退の態様)が異なる。以下、かかる変更例(第2の実施形態)に係るストリップ材位置固定装置210について図面を参照しつつ説明する。上述した図7に示す第1の実施形態に係る固定装置110と同様の構成と同様の機能を有する部材については同一の符号を付しており、重複した説明は行わない。なお、図9では左側位置調整部材220のみ示しているが、図示しない上側、下側及び右側の位置調整部材についても同様の構成である。
【0047】
図9に示すように、本実施形態に係るストリップ材位置固定装置210では、矩形テーブル状架台112の各外周縁に装着される位置調整部材220の長手方向の数箇所において(例えば第1の実施形態と同様に上側位置調整部材と下側位置調整部材では3箇所、左側位置調整部材220と右側位置調整部材では2箇所)、固定部222の外方(ストリップ材固定溝224の側方)に延びるスライドレール223が形成されている。このスライドレール223上には、本実施形態に係る可動部226がスライドレール223に沿って前進及び後退方向にスライド移動可能に装着されている。かかるスライド可動部226の内壁面(即ち架台112の中心側)には、第1の実施形態と同じバネ部材116がビス118で固着されている。他方、スライド可動部226の外壁面には、図示しない外部のシリンダ駆動源に接続された流体圧シリンダ(典型的には空圧シリンダ)230に連結している。なお、流体圧シリンダ230の押圧力は、前記バネ部材116の弾発力の総和よりも大きく設定され、窓板12の外周縁がバネ部材116に弾接したときに可動部226が後退しない。
かかる構成によると、流体圧シリンダ230を作動させて可動部226をスライドレール223に沿って架台112中心方向(窓板12の面と平行な方向)に前進させ、スライドレール先端部に設けられた位置決めストッパー部(突起部)223Aに可動部226が当接することにより、窓板12の中心方向に向く弾発力であって対向する弾発力が各々同一となることを保証する所定位置に可動部226(即ちバネ部材116)を前進させることができる。また、窓板12とストリップ材20の接合が完了した後、窓板12を上昇させる前には、流体圧シリンダ230を作動させて可動部226をスライドレール223に沿って架台112の外方(図9の鎖線で示す後退位置)に後退させることにより窓板12の外周縁端面とバネ部材116が摺接せず、窓板12の架台112からの分離をスムーズに行うことができる。
【0048】
また、図10に示すように、ストリップ材位置固定装置310に加圧装置を内蔵する形態も本発明の実施に好ましい。
即ち図10に示す第3の実施形態に係るストリップ材位置固定装置310では、位置調整部材(図10では左側位置調整部材)320の固定部322に設けられたストリップ材固定溝324の本体部固定溝324Aの全長に亘って内部に流体圧(例えば空気等のガス或いは水等の液体)により膨張し拡大するチューブ330が図示しない外部の流体供給手段(空気コンプレッサ等)と連通した状態で配置されている。
かかる構成の結果、第1の実施形態と同様の操作によって、窓板12の裏面12B側にストリップ材20を接合したとき、直ちに外部の流体供給手段より上記チューブ330内に所定の流体(空気、水等)を供給し、チューブ330の外形を拡大させることができる。そして、本体部固定溝324A内で拡大したチューブ330により、ストリップ材20を上方へ押し上げられ、窓板12側に押し付けることができる。
従って、本実施形態に係る加圧装置(チューブ)内蔵タイプのストリップ材位置固定装置310によると、別途加圧装置を用意したり窓組立体を加圧するために移動させることなく、より良好な接合を実現することができる。
なお、本実施形態では、弾発手段を位置調整部材120〜150に設けたが、窓板側に設けてもよい。また、本実施形態では窓板12を移動して、ストリップ材位置固定装置110に搬送したが、ストリップ材位置固定装置110を移動して、窓板12に搬送してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】一実施形態に係る車両フロントウインドウ用窓組立体を模式的に示す正面図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】窓板のコーナー部におけるストリップ材の端部のカッティング状態を模式的に示す説明図である。
【図4】窓板のコーナー部におけるストリップ材の配置状態を模式的に示す説明図である。
【図5】遮蔽リップの湾曲状態を示す説明図(断面図)である。
【図6】一実施形態に係るストリップ材位置固定装置に窓板を装着した状態を模式的に示す正面図である。
【図7】図6中のVII−VII線断面図であり、窓板とストリップ材との接合時におけるバネ部材の動作を示す説明図である。
【図8】一実施形態に係る加熱装置と加圧装置の要部を模式的に示す側面図である。
【図9】別の一実施形態に係るストリップ材位置固定装置での窓板とストリップ材との接合時におけるバネ部材の動作を示す説明図(断面図)である。
【図10】さらに別の一実施形態に係るストリップ材位置固定装置に内蔵された加圧装置の要部を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
10 窓組立体
12 窓板
17 フリット層
17A 被接合部
20 ストリップ材(左縁部)
21 本体部
24 遮蔽リップ
28 凹溝部(接合部)
32 両面粘着テープ
32B タブテープ
40 ストリップ材(上縁部)
41 本体部
44 遮蔽リップ
48 凹溝部(接合部)
50 ストリップ材(右縁部)
54 遮蔽リップ
100 窓組立体製造装置
110 ストリップ材位置固定装置
112 架台
116 バネ部材
120 左側位置調整部材
124 ストリップ材固定溝
124A 本体部固定溝
126 可動部
128 回転ヒンジ部
130 下側位置調整部材
140 上側位置調整部材
146 可動部
150 右側位置調整部材
156 可動部
170 窓板保持移動装置
172 吸盤
174 ジョイント部材
180 加熱装置
182 載置用枠
183 加熱器
184 赤外線ヒータ
186 温度センサ
187 窓板検出センサ
188 透明窓
190 制御装置
200 加圧装置
210 ストリップ材位置固定装置
220 左側位置調整部材
223 スライドレール
224 ストリップ材固定溝
226 可動部
230 流体圧シリンダ
310 ストリップ材位置固定装置
320 左側位置調整部材
324 ストリップ材固定溝
330 チューブ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と裏面を有する窓板であってその面方向の窓板中心位置を基準として該中心位置から全方位に離れて外周縁を有する窓板と、前記窓板よりも軟質のポリマー材料から長尺に成形されたストリップ材とから成り、前記ストリップ材の接合部が前記窓板の外周縁に沿って窓板の裏面上の被接合部に接合された窓組立体を製造する方法であって、以下の工程:
(a).前記窓板と、該窓板の被接合部に接合される前記接合部を一部分として有すると共に長手方向の形状が前記窓板の外周縁形状と適応可能な形状に形成された長尺なストリップ材とを用意する工程、ここで前記接合部および前記被接合部のうちの少なくともいずれか一方に接合材層が形成されている;
(b).固定装置中心位置を有し、該固定装置中心位置を基準として窓板に接合された際の前記ストリップ材の所定装着位置に対応する位置にストリップ材を固定する固定手段が形成されているストリップ材位置固定装置を使用し、該固定装置の前記固定手段に、前記接合部を前記固定手段から露出させた状態で該ストリップ材を該固定手段に着脱可能に固定する工程;
(c).前記窓板の外周縁以外の所定部分を保持した状態の該窓板と前記ストリップ材位置固定装置のうちのいずれか一方を位置固定し、他方を該位置固定側に向けて前進させる工程、ここで前進する側は、前記窓板の面方向と平行する方向に位置調節可能に保持される;
(d).前記窓板とストリップ材位置固定装置のうちの少なくともいずれか一方には窓板の面中心方向へ向く弾発力を発生させる弾発手段が対向する各々の外周縁の位置に設けられており、前記窓板とストリップ材位置固定装置のうちのいずれか一方を他方に向けて前進させる途中、または、前記一方を他方に向けて前進させて前記窓板の被接合部に前記ストリップ材の接合部が接合される前に、前記弾発手段によって前記窓板の対向する外周縁と前記ストリップ材位置固定装置の対向する縁のうちのいずれか前進される方の縁に窓板の前記中心方向に向く対向する弾発力が各々同一となるように弾発力を作用させて窓板の面方向と平行な方向に位置調節して、該窓板の前記中心位置と前記固定装置中心位置とを一致させる工程;
(e).前記位置調節された窓板の被接合部と前記ストリップ材の接合部とを接触させた後、該被接合部と接合部のうちの少なくともいずれかに押圧力をかけて、該窓板の被接合部に該ストリップ材の接合部を接合する工程;および
(f).前記ストリップ材が接合された窓板と前記位置固定装置とを分離する工程;
を包含する、窓組立体製造方法。
【請求項2】
前記前進工程において、前記ストリップ材位置固定装置を固定しておき、前記窓板を該固定装置に向けて前進させる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ストリップ材位置固定装置を重力方向で下側に配置して固定しておき、前記窓板を重力方向の上側から該固定装置に向けて前進させる、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記分離工程の実施前に、前記弾発力を解除する工程を更に包含する、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記窓板の裏面側には、外周縁に沿って前記ストリップ材の接合部の幅を超える幅に不透明フリット層が形成され、該ストリップ材の接合部を該不透明フリット層の範囲内に接合する、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記接合材層として、可縮性を有する基材の両面に感圧粘着剤層が形成された両面粘着テープを用いる、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
前記分離工程の実施後に、前記窓板の被接合部を加熱及び前記ストリップ材を窓板側に向けて加圧する工程を更に包含する、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記ストリップ材の接合面の加熱は、窓板の表面側から赤外線を照射して窓板を透過した輻射熱で行う、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
表面と裏面を有する窓板であってその面方向の窓板中心位置を基準として該中心位置から全方位に離れて外周縁を有する窓板と、前記窓板よりも軟質のポリマー材料から長尺に成形されたストリップ材とから成り、前記ストリップ材の接合部が前記窓板の外周縁に沿って窓板の裏面上の被接合部に接合された窓組立体を製造する装置であって、
固定装置中心位置を有し、該固定装置中心位置を基準として窓板に接合された際の前記ストリップ材の所定装着位置に対応する位置にストリップ材を固定する固定手段を備えたストリップ材位置固定装置と、
前記窓板を保持して移動可能な窓板保持移動装置とを備えており、
ここで前記位置固定装置には、前記保持移動装置が該位置固定装置に向けて移動するとき、該保持移動装置に保持された前記窓板の外周縁に弾接して該窓板の前記中心位置と前記固定装置中心位置とを一致させるように前記窓板の中心方向に向く対向する弾発力が各々同一となるように弾発力を作用させて位置調節する弾発部材が対向する各々の箇所の外周縁の位置に設けられており、
前記複数箇所の弾発部材は、前記中心位置から離れる方向に弾性変形し、近づく方向に弾性復元可能に装着され、離れる方向に弾性変形した位置においては該複数の弾発部材の弾発力の総和の力が前記窓板に対して作用しているときに後退しない機構を備えている、窓組立体製造装置。
【請求項10】
前記固定手段は、前記接合部を露出させた状態で前記ストリップ材を嵌め込んで着脱可能に該ストリップ材を固定するストリップ材固定溝である、請求項9に記載の製造装置。
【請求項11】
前記窓板保持移動装置には、前記窓板の面方向と平行する方向に移動可能な位置調節許容機構を備えている、請求項9又は10に記載の製造装置。
【請求項12】
前記位置調節許容機構は、更に前記窓板を面方向で旋回調整可能にする旋回許容機構を備えている、請求項11に記載の製造装置。
【請求項13】
前記位置調節許容機構は、弾性を有するジョイント部材を備えている、請求項11又は12に記載の製造装置。
【請求項14】
前記弾発部材は、弾発部材固着部材に固着されており、該固着部材は、前記窓板の外周縁端面に対して前進及び後退動可能に設けられている、請求項9〜13のいずれかに記載の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−190644(P2009−190644A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35332(P2008−35332)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】