立体画像表示装置
【課題】各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる立体画像表示装置を提供する。
【解決手段】 列状の発光領域が複数並んで配列されて成る発光面を有する発光装置、発光装置の発光面に対向して配置され、複数の画素から成る表示領域を有する透過型表示パネル、及び、駆動手段を備え、発光領域の延びる方向に直交する仮想平面上において、各発光領域の光は、発光領域の中心を通り且つ発光領域に直交する仮想直線に対して略対称に発散した状態で、透過型表示パネルの表示領域に入射し、或る発光領域の光が入射する表示領域の部分と、或る発光領域に隣接する発光領域の光が入射する表示領域の部分とにおいて、一部の画素が重複し、駆動手段によって、奇数列の発光領域が発光する状態と、偶数列の発光領域が発光する状態とが交互に切り替えられると共に、透過型表示パネルの画像が同期して切り替えられる。
【解決手段】 列状の発光領域が複数並んで配列されて成る発光面を有する発光装置、発光装置の発光面に対向して配置され、複数の画素から成る表示領域を有する透過型表示パネル、及び、駆動手段を備え、発光領域の延びる方向に直交する仮想平面上において、各発光領域の光は、発光領域の中心を通り且つ発光領域に直交する仮想直線に対して略対称に発散した状態で、透過型表示パネルの表示領域に入射し、或る発光領域の光が入射する表示領域の部分と、或る発光領域に隣接する発光領域の光が入射する表示領域の部分とにおいて、一部の画素が重複し、駆動手段によって、奇数列の発光領域が発光する状態と、偶数列の発光領域が発光する状態とが交互に切り替えられると共に、透過型表示パネルの画像が同期して切り替えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体画像表示装置に関し、詳しくは、いわゆる裸眼方式の立体画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、視差のある2つの画像を画像観察者が観察することで立体視を実現する立体画像表示装置が、種々、知られている。立体画像表示装置の方式は、眼鏡によって視差画像を左右の目に分離して入力する眼鏡方式と、眼鏡を使用することなく視差画像を左右の目に入力する裸眼方式(無眼鏡方式)とに大別される。
【0003】
裸眼方式の立体画像表示装置として、画像表示部(2次元画像表示装置)とレンチキュラーレンズとを組み合わせたレンチキュラー方式の立体画像表示装置や、画像表示部とパララックスバリア(視差バリア)とを組み合わせたパララックスバリア方式の立体画像表示装置の実用化が進められている。
【0004】
パララックスバリア方式の立体画像表示装置は、通常、水平方向(横方向)及び垂直方向(縦方向)に2次元マトリクス状に配置された複数の画素を備えた表示パネル等から成る画像表示部と、垂直方向に延びるスリット状の開口を備えたマスクから成るパララックスバリアとを有する。図34に概念図を示すように、符号L2,L4,L6,L8,L10を付した画素群から出射された光線群が、パララックスバリアの開口を通って第1番目の視点DLに達する。そして、符号R1,R3,R5,R7,R9を付した画素群から出射された光線群が、パララックスバリアの開口を通って第2番目の視点DRに達する。尚、破線は、パララックスバリアのマスクによって遮られる光線の軌跡を示す。
【0005】
ここで、第1番目の視点DLに画像観察者の左目があり、第2番目の視点DRに画像観察者の右目があるとする。符号L2,L4,L6,L8,L10を付した画素群によって左目用の画像を表示し、符号R1,R3,R5,R7,R9を付した画素群によって右目用の画像を表示すれば、画像観察者は、画像を立体画像として認識する。
【0006】
図34に示す例では、左目用の画像は偶数列の画素から構成され、右目用の画像は奇数列の画素から構成される。このように、パララックスバリア方式の立体画像表示装置にあっては、各視点用の画像の解像度(特に、水平解像度)は、低下する。視点数をU(但し、Uは2以上の自然数)とすれば、各視点用の画像の解像度は、画像表示部の解像度の1/Uとなる。これに伴い、立体画像の解像度も、視点数が増えるほど低下する。レンチキュラー方式の立体画像表示装置においても同様である。
【0007】
上述した立体画像の解像度の低下を軽減することを目的として、1つの立体画像を構成するために画像表示部に2つの画像(便宜上、第1フィールド画像及び第2フィールド画像と呼ぶ)を順次表示し、且つ、第1フィールド画像と第2フィールド画像の切り替えに同期して、パララックスバリアを切り替える(具体的には、マスクと開口とを入れ替える)といったことが、例えば、特開2007−4179号公報に開示されている。図35の(A)及び(B)、並びに、図36の(A)及び(B)を参照して、動作の概要を説明する。
【0008】
図35の(A)及び(B)は、第1フィールド画像を表示しているときの、右目用の画像及び左目用の画像を説明するための模式図である。パララックスバリアにおけるマスクと開口の関係は、図34と同じである。図34を参照して説明したと同様に、符号L2,L4,L6,L8,L10を付した画素群によって左目用の画像を表示し、符号R1,R3,R5,R7,R9を付した画素群によって右目用の画像を表示する。左目用の画像は偶数列の画素から構成されており、右目用の画像は奇数列の画素から構成されている。
【0009】
図36の(A)及び(B)は、第2フィールド画像を表示しているときの、右目用の画像及び左目用の画像を説明するための模式図である。図35の(A)及び(B)に対し、パララックスバリアのマスクと開口とが入れ替えられた状態である。この場合には、符号L1,L3,L5,L7,L9を付した画素群によって左目用の画像を表示し、符号R2,R4,R6,R8,R10を付した画素群によって右目用の画像を表示する。左目用の画像は奇数列の画素から構成されており、右目用の画像は偶数列の画素から構成されている。
【0010】
画像観察者が感知することができない速さで、画像表示部における第1フィールド画像と第2フィールド画像の切り替えと、パララックスバリアの切り替えとが行われると、符号L2,L4,L6,L8,L10、及び、符号L1,L3,L5,L7,L9を付した画素群による画像が、左目用の画像として画像観察者に認識される。同様に、符号R1,R3,R5,R7,R9、及び、符号R2,R4,R6,R8,R10を付した画素群による画像が、右目用の画像として画像観察者に認識される。これによって、立体画像の解像度の低下を軽減することができる。視点数が「2」の場合には、各視点用の画像の解像度を、実質的に画像表示部と同様の解像度とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−4179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
画像表示部に表示する画像を順次切り替え、これに併せてパララックスバリアの切り替えを行うといった技術は、視点数が増えるほど各視点用の画像の解像度が低下し、これに伴い、立体画像の解像度も低下するといった問題の解決には優れた技術である。切り替え可能なパララックスバリアは、例えば、液晶材料や偏光板等を用いて構成することができる。しかしながら、パララックスバリアが複雑な構成となり、立体画像表示装置のコストが上昇するといった問題がある。
【0013】
従って、本発明の目的は、複雑な構成のパララックスバリアを用いることなく、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができ、優れた画質の立体画像を表示することができる立体画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の立体画像表示装置は、
実質的に垂直方向に延びる列状の発光領域が水平方向に複数並んで配列されて成る発光面を有する発光装置、
発光装置の発光面に対向して配置され、2次元マトリクス状に配列された複数の画素から成る表示領域を有する透過型表示パネル、及び、
発光装置と透過型表示パネルとを駆動する駆動手段、
を備えており、
発光領域の延びる方向に直交する仮想平面上において、各発光領域の光は、発光領域の中心を通り且つ発光領域に直交する仮想直線に対して略対称に発散した状態で、透過型表示パネルの表示領域に入射し、
或る発光領域の光が入射する表示領域の部分と、或る発光領域に隣接する発光領域の光が入射する表示領域の部分とにおいて、一部の画素が重複し、
駆動手段によって、奇数列の発光領域が発光する状態と、偶数列の発光領域が発光する状態とが交互に切り替えられると共に、透過型表示パネルの画像が同期して切り替えられる立体画像表示装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の立体画像表示装置にあっては、或る発光領域の光が入射する表示領域の部分と、或る発光領域に隣接する発光領域の光が入射する表示領域の部分とにおいて、一部の画素が重複する。この重複する画素からは、奇数列の発光領域が発光する場合と偶数列の発光領域が発光する場合とで、異なる視点に向かって光が出射する。そして、透過型表示パネルの画像が同期して切り替えられるので、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。本発明の立体画像表示装置によれば、複雑な構成のパララックスバリアを用いることなく、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施例1の立体画像表示装置の概念図である。
【図2】図2は、実施例1の立体画像表示装置を構成する発光装置を仮想的に分離したときの模式的な斜視図である。
【図3】図3は、実施例1の立体画像表示装置における画素と発光領域との配置を説明するための、立体画像表示装置の一部の模式的な端面図である。
【図4】図4は、図1に示す観察領域における視点D1,D2,D3,D4と、透過型表示パネルと、発光領域との配置関係を説明するための模式的な平面図である。
【図5】図5は、画素からの光が中央の観察領域の視点D1,D2,D3,D4に向かうために満たす条件を説明するための模式図である。
【図6】図6は、画素からの光が左側の観察領域の視点D1,D2,D3,D4に向かうために満たす条件を説明するための模式図である。
【図7】図7は、実施例1の立体画像表示装置における画素と発光領域との配置を説明するための、発光面及び表示領域の一部の模式的な平面図である。
【図8】図8の(A)は、実施例1の立体画像表示装置において、導光板から出射する第1光源の光を説明するための模式的な一部端面図である。図8の(B)は、導光板から出射する第2光源の光を説明するための模式的な一部端面図である。
【図9】図9の(A)は、実施例1の立体画像表示装置において、第1光源が発光しているときに導光板から出射する光の方向を説明するための模式図である。図9の(B)は、第1光源が発光しているときに導光板から出射する光の強度と、光が出射する方向との関係を説明するためのグラフである。
【図10】図10の(A)は、実施例1の立体画像表示装置において、第1光源が発光しているときにプリズムシートから出射する光の方向を説明するための模式図である。図10の(B)は、第1光源が発光しているときにプリズムシートから出射する光の強度と、光が出射する方向との関係を説明するためのグラフである。
【図11】図11の(A)は、実施例1の立体画像表示装置において、第1光源が発光して奇数列の発光領域が発光状態となる場合を説明するための模式的な正面図である。図11の(B)は、奇数列の発光領域から出射する光を説明するための模式的な一部端面図である。
【図12】図12の(A)は、実施例1の立体画像表示装置において、第2光源が発光して偶数列の発光領域が発光状態となる場合を説明するための模式的な正面図である。図12の(B)は、偶数列の発光領域から出射する光を説明するための模式的な一部端面図である。
【図13】図13は、偶数列の発光領域が発光状態であるときに、中央の観察領域における視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【図14】図14は、偶数列の発光領域が発光状態であるときに、左側の観察領域における視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【図15】図15は、偶数列の発光領域が発光状態であるときに、右側の観察領域における視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【図16】図16は、中央の観察領域に向かう光に注目したときに、偶数列の発光領域からの光が入射する透過型表示パネルにおける表示領域の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【図17】図17は、奇数列の発光領域が発光状態であるときに、中央の観察領域における視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【図18】図18は、奇数列の発光領域が発光状態であるときに、左側の観察領域における視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【図19】図19は、奇数列の発光領域が発光状態であるときに、右側の観察領域における視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【図20】図20は、中央の観察領域に向かう光に注目したときに、奇数列の発光領域からの光が入射する透過型表示パネルにおける表示領域の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【図21】図21の(A)は、実施例1の立体画像表示装置において、偶数列の発光領域が発光状態であるときに、各観察領域における視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素の列番号と、奇数列の発光領域が発光状態であるときに、各観察領域における視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素の列番号とを説明するための表である。図21の(B)は、図21の(A)の結果を纏めた表である。
【図22】図22は、実施例1の立体画像表示装置における画素と発光領域との配置を説明するための、発光面及び表示領域の一部の模式的な平面図である。
【図23】図23は、実施例2の立体画像表示装置を仮想的に分離したときの模式的な斜視図である。
【図24】図24は、実施例2の立体画像表示装置における画素と発光領域との配置を説明するための、立体画像表示装置の一部の模式的な端面図である。
【図25】図25は、中央の観察領域に向かう光に注目したときに、偶数列の発光領域からの光が入射する透過型表示パネルにおける表示領域の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【図26】図26は、中央の観察領域に向かう光に注目したときに、奇数列の発光領域からの光が入射する透過型表示パネルにおける表示領域の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【図27】図27は、実施例3の立体画像表示装置を仮想的に分離したときの模式的な斜視図である。
【図28】図28は、実施例3の立体画像表示装置における画素と発光領域との配置を説明するための、立体画像表示装置の一部の模式的な端面図である。
【図29】図29は、中央の観察領域に向かう光に注目したときに、偶数列の発光領域からの光が入射する透過型表示パネルにおける表示領域の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【図30】図30は、中央の観察領域に向かう光に注目したときに、奇数列の発光領域からの光が入射する透過型表示パネルにおける表示領域の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【図31】図31は、実施例4の立体画像表示装置を仮想的に分離したときの模式的な斜視図である。
【図32】図32は、実施例4の立体画像表示装置において、導光板から出射する第1光源と第2光源の光を説明するための模式的な一部端面図である。
【図33】図33は、実施例5の立体画像表示装置の概念図である。
【図34】図34は、パララックスバリア方式の立体画像表示装置の動作を説明するための概念図である。
【図35】図35の(A)及び(B)は、第1フィールド画像を表示しているときの、右目用の画像及び左目用の画像を説明するための模式図である。
【図36】図36の(A)及び(B)は、第2フィールド画像を表示しているときの、右目用の画像及び左目用の画像を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1の変形)
5.実施例4(実施例1の変形)
6.実施例5(実施例1の変形、その他)
【0018】
[本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法、全般に関する説明]
本発明の立体画像表示装置において、発光装置は、
一方の面が発光面に対応し、他方の面には頂角を挟む第1斜面と第2斜面から成るプリズム列が複数設けられており、一方の面の第1斜面に対応する部分が奇数列の発光領域に対応し、一方の面の第2斜面に対応する部分が偶数列の発光領域に対応するプリズムシート、
プリズム列内に第2斜面側から光を入射させ、第1斜面で反射した光によって奇数列の発光領域を発光させる第1光源、及び、
プリズム列内に第1斜面側から光を入射させ、第2斜面で反射した光によって偶数列の発光領域を発光させる第2光源、
を備えており、
駆動手段によって、第1光源と第2光源とは交互に発光/非発光が切り替えられる構成とすることができる。
【0019】
本発明の立体画像表示装置において、発光装置は、実質的に垂直方向に延びる列状の発光領域が水平方向に複数並んで配列されて成る発光面を有し、奇数列の発光領域が発光する状態と、偶数列の発光領域が発光する状態とが交互に切り替えられる。エレクトロルミネッセンス等により発光する列状の発光領域が複数並べられた構成の発光装置や、液晶パネル等を用いた列状のライトバルブと周知の面状光源装置とを組み合わせた構成の発光装置を用いることもできるが、発光装置の構成や制御が複雑となる。これらの発光装置に対して、上述したプリズムシートを用いた発光装置は、構成を簡便なものとすることができ、また、第1光源と第2光源とを交互に発光/非発光とするといった簡便な制御によって、奇数列の発光領域と偶数列の発光領域の発光状態を制御することができるといった利点を備えている。
【0020】
上述したように、列状の発光領域は実質的に垂直方向に延びていればよい。水平方向に対し60度乃至90度の角度を成して延びる列状の発光領域は、「実質的に垂直方向に延びる列状の発光領域」に該当する。
【0021】
以上に説明した好ましい構成の本発明の立体画像表示装置において、発光装置は、プリズムシートと透過型表示パネルとの間に配置されたレンズシートを更に備えており、各発光領域に対応するレンズシートの部分には、光を発散させるためのレンズ列が設けられている構成とすることができる。レンズ列の光学パワーを適宜好ましい値に設定することによって、立体画像表示装置の仕様等に応じて発光領域からの光の指向性を調整することができる。光学パワーが正のレンズ列(例えば、凸の円柱レンズ)によって、一旦光を収束させた後に発散させる構成であってもよいし、光学パワーが負のレンズ列(例えば、凹の円柱レンズ)によって、発光領域からの光を発散させる構成であってもよい。いずれの構成とするかは、立体画像表示装置の仕様等に応じて適宜設定すればよい。
【0022】
以上に説明した各種の好ましい構成の本発明の立体画像表示装置において、プリズム列の頂角は、立体画像表示装置の仕様等に応じて、例えば約50度乃至約80度の範囲から好適な角度を適宜選択して設定すればよい。プリズム列の第1斜面及び第2斜面は平面状であってもよいし、プリズム列の外部に対して凹の曲面状、若しくは、プリズム列の外部に対して凸の曲面状であってもよい。例えば、プリズム列の外部に対して凹の曲面状である構成にあっては、プリズム列内において光は発散するように反射する。従って、曲面の形状を適宜設定することによって、レンズ列を用いることなく、発光領域から出射する光の指向性を調整することができる。
【0023】
以上に説明した各種の好ましい構成を含む本発明の立体画像表示装置において、発光装置は、それぞれ隣接する発光領域の境界部に対応して設けられた遮光部を有する遮光用マスクを更に備えている構成とすることができる。遮光用マスクによって迷光等が透過型表示パネルに入射することを防ぐことができるので、立体画像における指向性の悪化を軽減することができる。
【0024】
尚、遮光用マスクを設けると、通常、立体画像の輝度は低下する。しかしながら、例えば、光学パワーが正のレンズ列を備えたレンズシートを用いて、光を一旦収束させた後に発散させる構成にあっては、光が収束する場所に遮光用マスクの開口を設けることによって、遮光用マスクによる立体画像の輝度の低下の程度を軽減することができる。プリズム列の第1斜面及び第2斜面を曲面状とすることによって、光を一旦収束させた後に発散させる構成においても同様である。
【0025】
遮光用マスクの構成や配置等は、立体画像表示装置の仕様等に応じて適宜設定すればよい。遮光用マスクは、周知の材料を用いて、フォトリソグラフ法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、メタルマスク印刷法といった各種印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法等の周知の方法により形成することができる。遮光用マスクは、レンズシートあるいはプリズムシートといった他の部材とは独立した部材として構成されていてもよいし、他の部材と一体の部材として構成されていてもよい。
【0026】
以上に説明した各種の好ましい構成を含む、第1光源と第2光源とを備えた本発明の立体画像表示装置において、発光装置は、互いに対向する2つの入光端面と、プリズムシートの他方の面に対向する出光面とを有する導光板を更に備えており、第1光源と第2光源は、それぞれ、一方の入光端面側と他方の入光端面側に配置されている構成とすることができる。この場合において、導光板は、1枚の板から構成されていてもよいし、2枚の板が重ねられて構成されていてもよい。後者の場合には、一方の板が一方の入光端面を備え、他方の板が他方の入光端面を備えるといった構成とすればよい。
【0027】
以上に説明した各種の好ましい構成を含む本発明の立体画像表示装置にあっては、発光装置と透過型表示パネルとの間に配置され、光散乱状態と光透過状態との切り替えが可能な光制御手段を更に備えている構成とすることができる。この構成によれば、本発明の立体画像表示装置によって、立体画像表示と、平面的な画像表示といった通常の表示とを、支障無く行うことができる。即ち、立体画像表示を行うときには、光制御手段を光透過状態とすればよいし、通常の表示を行うときには、光制御手段を光散乱状態とすればよい。
【0028】
以上に説明した各種の好ましい構成を含む本発明の立体画像表示装置(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、プリズムシートやレンズシートは、光に対して透明な材料、即ち、光を余り吸収することの無い材料から作製することが好ましい。導光板についても同様である。上述した各種の部材を構成する材料として、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ガラスを例示することができる。各部材を構成する材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0029】
プリズムシートは、上述した材料等を用いて一体的に成型されていてもよいし、上述した材料等から成るシート状の基材の上に、例えば感光性の樹脂材料等を用いてプリズム列が形成されていてもよい。レンズシートにおいても同様である。これらの構成や構造は特に限定するものではない。また、プリズムシートとレンズシートとが一体化した構成とすることもできる。
【0030】
第1光源や第2光源を構成する光源として、冷陰極型の蛍光ランプ、熱陰極型の蛍光ランプ、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等、広く周知の光源を用いることができる。光源の発光色は、発光装置に要求される仕様に基づき決定すればよい。例えば、発光ダイオードを用いた発光装置の発光色を白色とする場合、光源を、白色発光ダイオード(例えば、紫外又は青色発光ダイオードと蛍光体粒子とを組み合わせて白色を発光する発光ダイオード)、又は、赤色(例えば、波長640nm)を発光する赤色発光ダイオード、緑色(例えば、波長530nm)を発光する緑色発光ダイオード、及び、青色(例えば、波長450nm)を発光する青色発光ダイオードから成る発光ダイオード群等から構成することができる。尚、赤色、緑色、青色以外の第4番目の色を発光する発光ダイオードを更に備えていてもよい。
【0031】
本発明に用いられる透過型表示パネルとして、液晶表示パネル等の周知の透過型表示パネルを用いることができる。透過型表示パネルの構成や方式は特に限定するものではない。透過型表示パネルは、モノクロ表示であってもよいし、カラー表示であってもよい。また、単純マトリクス方式であってもよいし、アクティブマトリクス方式であってもよい。後述する各実施例においては、透過型表示パネルとしてアクティブマトリクス方式の液晶表示パネルを用いる。
【0032】
液晶表示パネルは、例えば、透明第1電極を備えたフロント・パネル、透明第2電極を備えたリア・パネル、及び、フロント・パネルとリア・パネルとの間に配置された液晶材料から成る。尚、各画素が反射領域と透過領域とを備えた、いわゆる半透過型の液晶表示パネルも、本発明における透過型表示パネルに該当する。
【0033】
ここで、フロント・パネルは、より具体的には、例えば、ガラス基板から成る第1の基板と、第1の基板の内面に設けられた透明第1電極(共通電極とも呼ばれ、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)から成る)と、第1の基板の外面に設けられた偏光フィルムとから構成されている。更には、カラー液晶表示パネルでは、フロント・パネルは、第1の基板の内面に、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂から成るオーバーコート層によって被覆されたカラーフィルターが設けられ、オーバーコート層上に透明第1電極が形成された構成を有している。透明第1電極上には配向膜が形成されている。カラーフィルターの配置パターンとして、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。
【0034】
一方、リア・パネルは、より具体的には、例えば、ガラス基板から成る第2の基板と、第2の基板の内面に形成されたスイッチング素子と、スイッチング素子によって導通/非導通が制御される透明第2電極(画素電極とも呼ばれ、例えば、ITOから成る)と、第2の基板の外面に設けられた偏光フィルムとから構成されている。透明第2電極を含む全面には配向膜が形成されている。これらの透過型の液晶表示パネルを構成する各種の部材や液晶材料は、周知の部材、材料から構成することができる。尚、スイッチング素子として、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)といった3端子素子や、MIM(Metal Insulator Metal)素子、バリスタ素子、ダイオード等の2端子素子を例示することができる。
【0035】
尚、カラー液晶表示パネルでは、透明第1電極と透明第2電極の重複領域であって液晶セルを含む領域が1副画素(サブピクセル)に該当する。そして、各画素(ピクセル)を構成する赤色発光副画素は、係る領域と赤色を透過するカラーフィルターとの組合せから構成され、緑色発光副画素は、係る領域と緑色を透過するカラーフィルターとの組合せから構成され、青色発光副画素は、係る領域と青色を透過するカラーフィルターとの組合せから構成されている。赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び、青色発光副画素の配置パターンは、上述したカラーフィルターの配置パターンと一致する。
【0036】
更には、これらの3種の副画素に更に1種類あるいは複数種類の副画素を加えた1組(例えば、輝度向上のために白色光を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するために補色を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエローを発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエロー及びシアンを発光する副画素を加えた1組)から構成することもできる。
【0037】
2次元マトリクス状に配列された画素(ピクセル)の数M×Nを(M,N)で表記したとき、(M,N)の値として、具体的には、VGA(640,480)、S−VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S−XGA(1280,1024)、U−XGA(1600,1200)、HD−TV(1920,1080)、Q−XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0038】
光散乱状態と光透過状態との切り替えが可能な光制御手段として、透明高分子材料と液晶とが微細な領域に分散され相互に混在する分散液晶材料を用いたパネル等を例示することができる。分散液晶材料として、例えば、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)や高分子ネットワーク液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)が周知である。液晶の配向方向を変えて、液晶領域と高分子材料領域の屈折率が略等しい状態(光透過状態)と、液晶領域と高分子材料領域の屈折率が異なる状態(光散乱状態(白濁した状態))を切り替えることができる。従って、透明電極が形成された透明な一対の基板と、これらの基板の間に配置された分散液晶材料層を備えたパネルは、透明電極に印加する電圧を制御することによって、光散乱状態と光透明状態の2通りの状態を切り替えることができる。透明な一対の基板の材料は特に限定するものではなく、ガラスやプラスチック等の周知の透明な材料を用いることができる。また、これらの基板は、シート状あるいはフィルム状であってもよい。透明電極は、例えばITO等を用いて形成することができる。PDLCの動作は、電極間に電圧が印加されると光透過状態、電圧の印加が停止されると光散乱状態となるのが一般的であるが、特に限定するものではない。
【0039】
発光装置と透過型表示パネルを駆動するための駆動手段は、例えば、画像信号処理部、タイミング制御部、画像メモリ、データドライバ、ゲートドライバ、及び、光源制御部等の種々の回路から構成することができる。これらは周知の回路素子等を用いて構成することができる。尚、駆動手段に電気信号として1秒間に送られる立体画像情報の組の数がフレーム周波数(フレームレート)であり、フレーム周波数の逆数がフレーム時間(単位:秒)である。
【0040】
即ち、例えば1秒間に60枚の立体画像を表示するとすれば、フレーム周波数は60ヘルツである。そして、1つの立体画像を表示するために2つの画像(第1フィールド画像と第2フィールド画像)を透過型表示パネルに順次表示するとすれば、所謂フィールド周波数は、フレーム周波数の2倍の120ヘルツである。
【実施例1】
【0041】
実施例1は、本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法に関する。
【0042】
実施例1の立体画像表示装置1を図1に示し、実施例1の立体画像表示装置1を構成する発光装置20を仮想的に分離したときの模式的な斜視図を図2に示す。図3に、実施例1の立体画像表示装置1における画素12と発光領域22との配置を説明するための、立体画像表示装置1の一部の模式的な端面図を示す。
【0043】
図1に示すように、実施例1の立体画像表示装置1は、垂直方向(図においてY方向)に延びる列状(ストライプ状)の発光領域22が水平方向(図においてX方向)に複数(P個)並んで配列された発光面21を有する発光装置20、発光装置20の発光面21に対向して配置され、2次元マトリクス状に配列された複数の画素12から成る表示領域11を有する透過型表示パネル10、及び、発光装置20と透過型表示パネル10とを駆動する駆動手段100とを備えている。
【0044】
表示領域11には、水平方向にM個、垂直方向にN個の画素12が配列されている。第m列目(但し、m=1,2・・・,M)の画素12を、画素12mと表す。また、発光面21における第p列目(但し、p=1,2・・・,P)の発光領域22を、発光領域22pと表す。「M」と「P」の関係については、後ほど図4、図5及び図6を参照して説明する。
【0045】
実施例1において、立体画像表示装置に表示される画像の視点数は、図1に示す各観察領域WAL,WAC,WARにおいて、それぞれ、視点D1,D2,D3及びD4の4つであるとして説明するが、これに限るものではない。観察領域の個数や視点の数は、立体画像表示装置の設計に応じて適宜設定することができる。
【0046】
透過型表示パネル10は、アクティブマトリクス方式のカラー液晶表示パネルから成る。各画素12は、図示せぬ赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び、青色発光副画素の組み合わせから構成されている。
【0047】
図2や図3に示すように、発光装置20は、
一方の面が発光面21に対応し、他方の面には頂角φDを挟む第1斜面42と第2斜面43から成るプリズム列41が複数設けられており、第1斜面42に対応する一方の面の部分が奇数列の発光領域22に対応し、第2斜面43に対応する一方の面の部分が偶数列の発光領域22に対応するプリズムシート40、
プリズム列41内に第2斜面43側から光を入射させ、第1斜面42で反射した光によって奇数列の発光領域22を発光させる第1光源61、及び、
プリズム列41内に第1斜面42側から光を入射させ、第2斜面43で反射した光によって偶数列の発光領域22を発光させる第2光源62、
を備えている。プリズムシート40の一方の面は平面状である。また、プリズム列41の第1斜面42及び第2斜面43は平面状である。
【0048】
尚、後述するように、実施例1にあってはプリズムシート40をレンズシート30が覆う。このため、実質的にはレンズシート30の面が発光しているように観察される。図示の便宜のため、図1及び図2においては、発光領域22の区画をレンズシート30の面上に示した。後述する実施例2において参照する図23においても同様である。
【0049】
発光装置20は、プリズムシート40と透過型表示パネル10との間に配置されたレンズシート30を備えている。各発光領域22に対応するレンズシート30の部分には、光を発散させるためのレンズ列31が設けられている。レンズ列31は凸の円柱レンズから成る。
【0050】
また、それぞれ隣接する発光領域22の境界部に対応して設けられた遮光部34を有する遮光用マスク32を備えている。遮光用マスク32は、レンズシート30のレンズ列31が設けられた面の反対側に重ねて配置されている。符号33は、遮光用マスク32における列状(ストライプ状)の開口である。
【0051】
発光装置20は、互いに対向する2つの入光端面52,53と、プリズムシート40の他方の面に対向する出光面51とを有する導光板50を備えている。導光板50は、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)から成る略矩形状の板である。尚、導光板50の入光端面52,53と背面54は平面状であるが、出光面51は、全体として凸面状である。出光面51の詳細については、後ほど、図8の(A)及び(B)を参照して説明する。
【0052】
尚、導光板50の背面54に対向するように、黒色の光吸収面や鏡面状の光反射面を有する部材が配置されていてもよい。場合によっては、光吸収面や鏡面状の光反射面が背面54上に直接形成されていてもよい。
【0053】
第1光源61と第2光源62は、それぞれ、一方の入光端面52側と他方の入光端面53側に配置されている。第1光源61及び第2光源62は、それぞれ、複数の白色発光ダイオード(白色LED)から成る。尚、図1及び図2、並びに、後述する図11及び図12において、第1光源61と第2光源62としてそれぞれ4つのLEDを図示したが、これは例示にすぎない。
【0054】
プリズムシート40やレンズシート30は、例えばポリカーボネート樹脂(PC)から成る。また、例えばPETフィルム上に、黒色顔料を含有した感光性材料層を形成した後、フォトリソグラフ法とエッチング法との組合せにより遮光部34を残して感光性材料層を除去することにより、遮光用マスク32を構成した。感光性材料層が除去された部分が、遮光用マスク32の開口33となる。尚、図3等においては、遮光用マスク32の基材となるPETフィルムの図示を省略し、開口33と遮光部34とを模式的に示した。
【0055】
発光領域22の延びる方向(図においてY方向)に直交する仮想平面上において、各発光領域22の光は、発光領域22の中心を通り且つ発光領域22に直交する仮想直線に対して略対称に発散した状態で、透過型表示パネル10の表示領域11に入射する。そして、或る発光領域22の光が入射する表示領域11の部分と、或る発光領域22に隣接する発光領域22の光が入射する表示領域11の部分とにおいて、一部の画素12が重複する。そして、駆動手段100によって、奇数列の発光領域22が発光する状態と、偶数列の発光領域22が発光する状態とが交互に切り替えられると共に、透過型表示パネル10の画像が同期して切り替えられる。
【0056】
重複する画素12からは、奇数列の発光領域22が発光する場合と偶数列の発光領域22が発光する場合とで、異なる視点に向かって光が出射する。そして、透過型表示パネル10の画像が同期して切り替えられるので、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。
【0057】
発光面21と透過型表示パネル10との間の距離、図のX方向における画素12のピッチ(以下、単に、画素ピッチと呼ぶ場合がある)、及び、図のX方向における発光領域22のピッチ(以下、単に、発光領域ピッチと呼ぶ場合がある)は、立体画像表示装置10の仕様上定めた観察領域において好ましい立体画像が観察できる条件を満たすように設定されている。この条件について具体的に説明する。
【0058】
図4は、図1に示す観察領域WAL,WAC,WARにおける視点D1,D2,D3,D4と、透過型表示パネル10と、発光領域22との配置関係を説明するための模式的な平面図である。
【0059】
説明の都合上、発光領域22は水平方向(図においてX方向)に奇数個並んで配列され、第p列目の発光領域22pは、発光領域221と発光領域22Pとの間の中央に位置するものとする。また、第m列目の画素12mと第(m+1)列目の画素12m+1との境界、及び、観察領域WACにおける視点D2と視点D3との間の中点は、発光領域22pの中心を通りZ方向に延びる仮想直線上に位置するものとする。画素ピッチをND[mm]と表し、発光領域ピッチをRD[mm]と表す。発光領域22と透過型表示パネル10との間の距離をZ1[mm]と表し、透過型表示パネル10と観察領域WAL,WAC,WARとの間の距離をZ2[mm]と表す。また、観察領域WAL,WAC,WARにおいて隣接する視点間の距離をDP[mm]と表す。
【0060】
図5は、画素12からの光が中央の観察領域WACの視点D1,D2,D3,D4に向かうために満たす条件を説明するための模式図である。
【0061】
画素12m-1,12m,12m+1,12m+2を透過する発光領域22pの光のそれぞれが、中央の観察領域WACの視点D1,D2,D3,D4に向かう条件について考察する。
【0062】
図5において、奇数列の発光領域22は非発光状態、偶数列の発光領域22は発光状態である。尚、発光状態及び非発光状態を明確化するために、発光状態にある発光領域22に斜線を付した。後述する他の図面においても同様である。
【0063】
発光領域22pの中心を通りZ方向に延びる仮想直線を基準として、画素12m+2の中心までの距離を符号X1で表し、中央の観察領域WACの視点D4までの距離を符号X2と表す。発光領域22pの光が画素12m+2を透過して観察領域WACの視点D4に向かうとき、幾何学的な相似関係から、以下の式(1)に示す条件を満たす。
【0064】
Z1:X1=(Z1+Z2):X2 (1)
【0065】
ここで、X1=1.5×ND、X2=1.5×DPであるので、これらを反映すると、式(1)は、以下の式(1’)のように表される。
【0066】
Z1:1.5×ND=(Z1+Z2):1.5×DP (1’)
【0067】
上述した式(1’)を満たせば、画素12m-1,12m,12m+1を透過する発光領域22pの光も、それぞれ、観察領域WACの視点D1,D2,D3に向かうといったことは、幾何学的に明らかである。
【0068】
図6は、画素12からの光が左側の観察領域WALの視点D1,D2,D3,D4に向かうために満たす条件を説明するための模式図である。
【0069】
画素12m-1,12m,12m+1,12m+2を透過する発光領域22p+2の光のそれぞれが、左側の観察領域WALの視点D1,D2,D3,D4に向かう条件について考察する。
【0070】
発光領域22p+2の中心を通りZ方向に延びる仮想直線を基準として、画素12m+2の中心までの距離を符号X3で表し、左側の観察領域WALの視点D4までの距離を符号X4と表す。発光領域22p+2の光が画素12m+2を透過して観察領域WALの視点D4に向かうためには、幾何学的な相似関係から、以下の式(2)に示す条件を満たす。
【0071】
Z1:X3=(Z1+Z2):X4 (2)
【0072】
ここで、X3=2×RD−X1=2×RD−1.5×ND、X4=2×RD+2.5×DPであるので、これらを反映すると、式(2)は、以下の式(2’)のように表される。
【0073】
Z1:(2×RD−1.5×ND)=(Z1+Z2):(2×RD+2.5×DP) (2’)
【0074】
上述した式(2’)を満たせば、画素12m-1,12m,12m+1を透過する発光領域22p+2の光も、それぞれ、観察領域WACの視点D1,D2,D3に向かうといったことは、幾何学的に明らかである。
【0075】
尚、画素12m-1,12m,12m+1,12m+2を透過する発光領域22p-2の光のそれぞれが、右側の観察領域WARの視点D1,D2,D3,D4に向かう条件は、図6をZ軸を中心として反転させたと同様であるので、説明を省略する。
【0076】
距離Z2及び距離DPの値は、立体画像表示装置10の仕様に基づいて所定の値に設定される。また、画素ピッチNDの値は、透過型表示パネル10の構造によって定まる。式(1’)と式(2’)より、距離Z1と発光領域ピッチRDについて、以下の式(3)と式(4)を得る。
【0077】
Z1=Z2×ND/(DP−ND) (3)
RD=2×DP×ND/(DP−ND) (4)
【0078】
例えば、透過型表示パネル10の画素ピッチNDが0.300[mm]、距離Z2が600[mm]、距離DPが65.0[mm]であったとすると、距離Z1は約2.78[mm]、発光領域ピッチRDは約0.603[mm]である。
【0079】
距離Z1や発光領域ピッチRDは上述の条件を満たすように設定されており、観察領域WAL,WAC,WARにおける視点D1,D2,D3,D4のそれぞれにおいて、所定の視点用の画像を観察することができる。詳細については、後ほど、図13乃至図20を参照して説明する。
【0080】
上述した例では、発光領域ピッチRDの値は画素ピッチNDの値の略2倍となる。従って、上述した「M」と「P」とは、M≒P×2といった関係にある。
【0081】
図7は、実施例1の立体画像表示装置1における画素12と発光領域22との配置を説明するための、発光面21及び表示領域11の一部の模式的な平面図である。
【0082】
尚、図7にあっては、1つの画素12を構成する水平方向に並ぶ赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び、青色発光副画素を、それぞれ、符号R,G,Bを用いて表した。また、画素12と発光領域22との配置関係を明確に示すために、図7においては、遮光用マスク32の図示を省略した。
【0083】
図3に示すように、プリズムシート40における各プリズム列41において、第1斜面42と第2斜面43は頂角φDを挟む面である。プリズムシート40の一方の面の第1斜面42に対応する部分が奇数列の発光領域22に対応し、プリズムシート40の一方の面の第2斜面43に対応する部分が偶数列の発光領域22に対応する。実施例1においては、頂角φDの値を60度としたが、これに限るものではない。頂角φDの値は、発光装置20の設計に応じて適宜設定すればよい。
【0084】
透過型表示パネル10の表示領域11が矩形であり、その長辺(図1においてX方向に延びる辺)の長さをLD[mm]とすれば、画素ピッチND=LD/Mであり、サブピクセルのピッチ=ND/3である。また、発光領域22及びレンズ列31のピッチ≒ND×2、プリズム列41のピッチ≒ND×4である。プリズム列41のピッチはレンズ列31のピッチの2倍である。
【0085】
発光装置20において、第1光源61と第2光源62とは交互に発光/非発光が切り替えられ、これによって、奇数列の発光領域22が発光する状態と、偶数列の発光領域22が発光する状態とが交互に切り替えられる。発光装置20の構成や動作について詳しく説明する。
【0086】
図8の(A)は、導光板50の出光面51から出射する第1光源61の光を説明するための模式的な一部端面図である。図8の(B)は、導光板50の出光面51から出射する第2光源62の光を説明するための模式的な一部端面図である。
【0087】
導光板50の背面54は、図8の(A)及び(B)においてX−Y平面と平行である。導光板50の出光面51には、図において右上がりの斜面55Aと左上がりの斜面55Bとが、交互に設けられている。斜面55A,55BがX−Y平面となす角度の値を「α」と表す。「α」は狭角側の値であり、斜面55A、斜面55Bを問わずその値の符号を正とする。
【0088】
尚、「α」の値は、数度乃至十数度の範囲を目安として、発光装置20の設計に応じて好ましい値に設定されている。
【0089】
斜面55Aの幅(図においてX方向に沿う長さ)は、第1光源61が配置される入光端面52側で最も短くなり(図8の(A)参照)、入光端面52から離れるほど長くなる(図8の(B)参照)。一方、斜面55Bの幅は、第2光源62が配置される入光端面53側で最も短くなり(図8の(B)参照)、入光端面53から離れるほど長くなる(図8の(A)参照)。このため、導光板50の出光面51は、図2に示すように、全体として凸面状となる。尚、斜面55A,55Bの幅をどのように変化させるかといったことは、発光装置20の設計や仕様に応じて適宜設定すればよい。
【0090】
導光板50は2回対称な形状であり、入光端面52と入光端面53を入れ替えると、斜面55Aと斜面55Bの関係も入れ替わる。尚、図8の(A)及び(B)において、斜面55Aと斜面55Bとの間にX−Y平面と平行な面が設けられているが、このような面が設けられていない構成であってもよい。
【0091】
第1光源61の光の伝搬について説明する。図8の(A)に示すように、第1光源61からの光が入光端面52から導光板50内に入射し、背面54において反射角φ1pで全反射したとする。尚、説明の都合上、図において光はX−Z平面上を伝搬するものとする。
【0092】
背面54において全反射した光が、出光面51に臨界角(PMMAの場合、約42度)を超える角度φ1aで入射し、背面54に向かって全反射したとする。図8の(A)に示す例では、斜面55Aに光が入射し全反射している。光が背面54に入射する角度φ2pは、斜面55Aが右上がりであるため、φ2p=φ1a−2×αとなる。換言すれば、斜面55Aで光が反射する毎に、背面54への光の入射角は、「2×α」ずつ小さくなるといった関係にある。
【0093】
ここで、角度φ2pは臨界角より大きく、背面54において全反射した光は出光面51に角度φ2aで入射するものとする。図8の(A)に示す例では、光は斜面55Aに入射しており、φ2a=φ2p−αである。尚、光が斜面55Bに入射する場合には、φ2a=φ2p+αである。角度φ2aが臨界角以下の場合には、光は出光面51から外部に出射する。また、角度φ2aが臨界角を超える場合には、光は出光面51で全反射し、再び背面54に向かう。
【0094】
上述したように、角度φ2aは、斜面55Aにおいて小さくなるので、第1光源61からの光は、出光面51における斜面55Aから主に出射する。導光板50内における光の入射角は、出光面51から光が射出する際には臨界角よりやや小さい角度であるので、出光面51からの光の出射角は大きな値となる。また、実際には、第1光源61の光は、種々の角度で入光端面52に入射するので、その影響により出光面51からの光の出射角も種々の値を取り得る。実施例1にあっては、出光面51からの光の出射角は、約60度を中心として分布する。
【0095】
また、上述したように、斜面55Aの幅は入光端面52側で最も短く、入光端面52から離れるほど長くなる。これにより、第1光源61から離れるほど光が出射する面積は増えるので、入光端面52から離れることによる光の強さの不均一を打ち消すことができる。
【0096】
第2光源62の光の伝搬は、上述した説明において「第1光源61」を『第2光源62』、「入光端面52」を『入光端面53』、「斜面55A」を『斜面55B』、「斜面55B」を『斜面55A』等と適宜読み替えればよいので、説明を省略する。
【0097】
図9の(A)は、第1光源61が発光しているときに導光板50から出射する光の方向を説明するための模式図である。図9の(B)は、第1光源61が発光しているときに導光板50から出射する光の強度と、光が出射する方向との関係を説明するためのグラフである。尚、図9の(B)において、Z方向と光の進行方向とがなす角度(出射角)φCは、光が右上がりのときに値を正、左上がりの場合に値を負とした。また、光の強度は、最大値を1として正規化して示した。尚、発光状態及び非発光状態を明確化するために、発光状態にある第1光源61に斜線を付した。後述する他の図面においても同様である。
【0098】
第2光源62が発光しているときに導光板50から出射する光の方向は、図9の(A)を反転したものとなり、右上がりとなる。また、第2光源62が発光しているときに導光板50から出射する光の強度と、光が出射する方向との関係は、図9の(B)において、角度φCの符号を反転させたものとなるので、説明を省略する。
【0099】
以上説明したように、導光板50から出射する光の方向は、第1光源61が発光しているときに左上がり、第2光源62が発光しているときに右上がりとなる。これらの光は、プリズムシート40により、その方向が修正される。
【0100】
図10の(A)は、第1光源61が発光しているときにプリズムシート40から出射する光の方向を説明するための模式図である。図10の(B)は、第1光源61が発光しているときにプリズムシート40から出射する光の強度と、光が出射する方向との関係を説明するためのグラフである。
【0101】
第1光源61が発光しているとき、出光面51からの左上がりの光は、プリズム列41の第2斜面43側から入射し、第1斜面42において反射(全反射)してプリズムシート40から出射する。
【0102】
出光面51から出射角60度で左上がりに出射する光は、プリズム列の頂角φDが60度であるのでプリズム列の第2斜面43に対して直交して入射し、第1斜面41において反射(全反射)してプリズムシート40から出射する。出光面51から出射角60度で左上がりに出射する光は、プリズムシート40によってその方向がZ方向に変えられる。
【0103】
実際には、出光面51からの左上がりの光の出射角は、約60度を中心として分布する。従って、プリズムシート40からの光の出射角は、図10の(B)に示すように、約0度を中心として分布する。角度φCの符号は、図9において説明したと同様である。また、光の強度は、最大値を1として正規化して示した。
【0104】
第2光源62が発光しているときには、導光板50から出射する光の方向は、図9の(A)を反転したものとなり、右上がりとなる。出光面51から出射角60度で右上がりに出射する光は、プリズム列の第1斜面42に対して直交して入射し、第2斜面43において反射(全反射)してプリズムシート40から出射する。出光面51から出射角60度で右上がりに出射する光は、プリズムシート40によってその方向がZ方向に変えられる。
【0105】
第2光源62が発光しているときにプリズムシート40から出射する光の強度と、光が出射する方向との関係は、図10の(B)において、角度φCの符号を反転させたものとなるので、説明を省略する。
【0106】
以上説明したように、第1光源61が発光するとき、第1光源61からの光は、プリズム列41の第1斜面42において反射(全反射)してプリズムシート40から出射する。また、第2光源62が発光するとき、第2光源62からの光は、プリズム列41の第2斜面43において反射(全反射)してプリズムシート40から出射する。これにより、第1光源61が発光すると奇数列の発光領域22が発光状態となり、第2光源62が発光すると偶数列の発光領域22が発光状態となる。
【0107】
図11の(A)は、第1光源61が発光して奇数列の発光領域22が発光状態となる場合を説明するための模式的な正面図である。図11の(B)は、奇数列の発光領域22から出射する光を説明するための模式的な一部端面図である。図12の(A)は、第2光源62が発光して偶数列の発光領域22が発光状態となる場合を説明するための模式的な正面図である。図12の(B)は、偶数列の発光領域22から出射する光を説明するための模式的な一部端面図である。
【0108】
尚、上述したように、発光領域22は水平方向(図においてX方向)に奇数個並んで配列され、第p列目の発光領域22pは、発光領域221と発光領域22Pとの間の中央に位置するとして説明するので、第p列の発光領域22pは偶数列に属する。
【0109】
図11の(B)に示すように、第1光源61からの光は、プリズム列41の第1斜面42において反射(全反射)してプリズムシート40から出射し、レンズ列31に入射する。レンズシート30自体の厚さは、レンズ列31の焦点距離fと略同じ値に設定されている。このため、レンズ列31に入射する光は、遮光用マスク32の開口33において収束し、そのまま発散してレンズシート30から出射する。このように、発光領域221・・・,22p-3,22p-1,22p+1・・・といった奇数列の各発光領域22から、光が略対称に発散して出射する。
【0110】
一方、図12の(B)に示すように、第2光源62からの光は、プリズム列41の第2斜面43において反射(全反射)してプリズムシート40から出射し、レンズ列31に入射する。これにより、発光領域222・・・,22p-2,22p,22p+2・・・といった偶数列の各発光領域22から、光が略対称に発散して出射する。
【0111】
具体的には、発光領域22の延びる方向(図においてY方向)に直交する仮想平面(X−Z平面に平行な平面)上において、各発光領域22からの光は、発光領域22の中心を通り且つ発光領域22に直交する仮想直線(Z軸に平行な直線)に対して略対称に発散する。
【0112】
実施例1において、各発光領域22からの光は、原則として、少なくとも4列×3の画素12を含む表示領域11の部分に入射する。具体的には、端部付近に位置する発光領域22を除いて、各発光領域22からの光は、図1に示す3つの観察領域WAL,WAC,WARにおけるそれぞれ4つの視点に対応する画素12を少なくとも含む表示領域11の部分に入射する。図4等に示す発光領域22から透過型表示パネル10までの距離Z1(実施例1にあっては、実質的に、レンズシート30と透過型表示パネル10との間の距離)は、図示せぬ部材によって保持されている。尚、図示せぬ部材が、発光領域22から透過型表示パネル10までの距離に相当する厚みの透明なシート状のスペーサといった構成であってもよい。他の実施例においても同様である。
【0113】
図13は、偶数列の発光領域22が発光状態であるときに、中央の観察領域WACにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。図14は、偶数列の発光領域22が発光状態であるときに、左側の観察領域WALにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。図15は、偶数列の発光領域22が発光状態であるときに、右側の観察領域WARにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【0114】
例えば、発光領域22pの光に着目すると、図13に示すように、光は第(m−1)列乃至第(m+2)列の画素12を通り、中央の観察領域WACにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される。そして、図14に示すように、光は第(m−5)列乃至第(m−2)列の画素12を通り、左側の観察領域WALにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される。また、図15に示すように、光は第(m+3)列乃至第(m+6)列の画素12を通り、右側の観察領域WARにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される。
【0115】
図16は、中央の観察領域WACに向かう光に注目したときに、偶数列の発光領域22からの光が入射する透過型表示パネル10における表示領域11の部分を説明するための模式的な一部端面図である。第p列の発光領域22pの光に注目すると、視点D1に向かう光は第(m−1)列の画素12m-1を透過し、視点D2に向かう光は第m列の画素12mを透過する。また、視点D3に向かう光は第(m+1)列の画素12m+1を透過し、視点D4に向かう光は第(m+2)列の画素12m+2を透過する。
【0116】
また、第(p+2)列の発光領域22p+2の光に注目すると、視点D1に向かう光は第(m+3)列の画素12m+3を透過し、視点D2に向かう光は第(m+4)列の画素12m+4を透過する。また、視点D3に向かう光は第(m+5)列の画素12m+5を透過し、視点D4に向かう光は第(m+6)列の画素12m+6を透過する。第(p−2)列の発光領域22p-2の光についての説明は、上記の記載を適宜読み替えればいいので省略する。
【0117】
図17は、奇数列の発光領域22が発光状態であるときに、中央の観察領域WACにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。図18は、奇数列の発光領域22が発光状態であるときに、左側の観察領域WALにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。図19は、奇数列の発光領域22が発光状態であるときに、右側の観察領域WARにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【0118】
例えば、発光領域22p-1の光に着目すると、図17に示すように、光は第(m−3)列乃至第m列の画素12を通り、中央の観察領域WACにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される。そして、図18に示すように、光は第(m−7)列乃至第(m−4)列の画素12を通り、左側の観察領域WALにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される。また、図19に示すように、光は第(m+1)列乃至第(m+4)列の画素12を通り、右側の観察領域WARにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される。
【0119】
図20は、中央の観察領域WACに向かう光に注目したときに、奇数列の発光領域22からの光が入射する透過型表示パネル10における表示領域11の部分を説明するための模式的な一部端面図である。第(p−1)列の発光領域22p-1の光に注目すると、視点D1に向かう光は第(m−3)列の画素12m-3を透過し、視点D2に向かう光は第(m−2)列の画素12m-2を透過する。また、視点D3に向かう光は第(m−1)列の画素12m-1を透過し、視点D4に向かう光は第m列の画素12mを透過する。
【0120】
また、第(p+1)列の発光領域22p+1の光に注目すると、視点D1に向かう光は第(m+1)列の画素12m+1を透過し、視点D2に向かう光は第(m+2)列の画素12m+2を透過する。また、視点D3に向かう光は第(m+3)列の画素12m+3を透過し、視点D4に向かう光は第(m+4)列の画素12m+4を透過する。第(p−3)列の発光領域22p-2の光についての説明は、上記の記載を適宜読み替えればいいので省略する。
【0121】
図16と図20とを対比して明らかなように、或る発光領域22の光が入射する表示領域の部分と、或る発光領域22に隣接する発光領域22の光が入射する表示領域の部分とにおいて、一部の画素12が重複する。この重複する画素12からは、奇数列の発光領域22が発光する場合と偶数列の発光領域22が発光する場合とで、異なる視点に向かって光が出射する。
【0122】
図21の(A)は、実施例1の立体画像表示装置1において、奇数列の発光領域22が発光状態であるときに、視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素12の列番号と、偶数列の発光領域22が発光状態であるときに、視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素12の列番号とを説明するための表である。図21の(B)は、図21の(A)の結果を纏めた表である。
【0123】
図21の(A)や上述した説明から明らかなように、偶数列の発光領域22が発光するときには、視点D1のための画像は、第1列の画素121の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D2のための画像は、第2列の画素122の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D3のための画像は、第3列の画素123の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D4のための画像は、第4列の画素124の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。
【0124】
一方、奇数列の発光領域22が発光するときには、視点D1のための画像は、第3列の画素123の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D2のための画像は、第4列の画素124の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D3のための画像は、第1列の画素121の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D4のための画像は、第2列の画素122の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。
【0125】
従って、奇数列の発光領域22が発光する状態と、偶数列の発光領域22が発光する状態とを交互に切り替え、透過型表示パネル10の画像を同期して適宜各視点に応じた画像に切り替えることによって、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。
【0126】
即ち、上述した動作によれば、図21の(B)に示すように、視点D1のための画像は、第1列の画素121の他、相互に1列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D2のための画像は、第2列の画素122の他、相互に1列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D3のための画像は、第1列の画素121の他、相互に1列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D4のための画像は、第2列の画素122の他、相互に1列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。
【0127】
奇数列の発光領域22が発光する状態と、偶数列の発光領域22が発光する状態との切り替えといった動作を行わなければ、各視点用の画像の解像度は、透過型表示パネル10の解像度の1/4に低下する。一方、実施例1の立体画像表示装置の場合には、各視点用の画像の解像度は、透過型表示パネル10の解像度の1/2となる。本発明の立体画像表示装置によれば、複雑な構成のパララックスバリアを用いることなく、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。
【0128】
以上の説明においては視点数を「4」としたが、視点数は、立体画像表示装置の仕様に応じて適宜選択することができる。例えば、視点数は「2」とした構成や、視点数を「6」とした構成とすることもできる。これらの場合には、プリズムシート40やレンズシート30等の構成を適宜変更すればよい。後述する他の実施例においても同様である。
【0129】
また、以上の説明においては画素12の列毎に視点が変わる構成としたが、副画素の列毎に視点が変わるといった構成とすることもできる。副画素のピッチが画素ピッチの1/3であるとして、上述した式(3)及び式(4)を用いて計算すると、図4に示す距離Z1は約0.92[mm]、発光領域ピッチRDは約0.2[mm]となる。
【0130】
更には、例えば各行毎に1副画素分ずれるように画素列を選択し、この画素列に対応するように表示領域を設定するといった構成とすることができる。この場合の画素12と発光領域22との配置を、図22に示す。この構成にあっては、プリズム列がY軸に対して所定の角度となるように、プリズムシートを配置すればよい。尚、レンズシートの配置も、プリズムシートの配置にあわせて変更すればよい。後述する他の実施例においても同様である。
【0131】
尚、図22に示す画素12の配列において、第n行乃至第(n+2)行の3行において斜め方向に並ぶ3つの副画素に注目し、斜め方向に並ぶ副画素から画素を構成するといった構成とすることもできる。図22において、符号R,G,Bを、丸で囲った組、四角で囲った組、八角形で囲った組が、それぞれ、一画素を形成するといった構成である。この場合には、所謂垂直方向の解像度は低下するが、水平方向の解像度を高くすることができる。
【実施例2】
【0132】
実施例2は実施例1の変形である。実施例2も、本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例1に対し、発光装置を構成するレンズシートの構造が相違する。以上の点を除く他、実施例2の立体画像表示装置2の構造は、実施例1で説明した立体画像表示装置1と同様である。
【0133】
実施例2の立体画像表示装置2を仮想的に分離したときの模式的な斜視図を図23に示す。尚、図23にあっては、透過型表示パネル10は一部分を図示し、駆動手段100の図示を省略した。立体画像表示装置2の概念図は、図1における発光装置20を図23に示す発光装置220に置き換え、図1における立体画像表示装置1を立体画像表示装置2と読み替えたと同様である。
【0134】
実施例2の立体画像表示装置2における透過型表示パネル10、プリズムシート40、導光板50、第1光源61、第2光源62、及び、駆動手段100の構成、動作、及び、作用については、実施例1で説明したと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0135】
実施例1にあっては、発光装置20を構成するレンズシート30のレンズ列31は、凸の円柱レンズから成り、レンズシート30のレンズ列31が設けられていない側の面には、遮光用マスク32が設けられている。これに対し、実施例2にあっては、発光装置220を構成するレンズシート230のレンズ列231は、凹の円柱レンズから成る。また、レンズシート230のレンズ列231が設けられていない側の面には、遮光用マスクは設けられていない。
【0136】
図24は、実施例2の立体画像表示装置2における画素12と発光領域22との配置を説明するための、立体画像表示装置2の一部の模式的な端面図である。
【0137】
上述したように、各発光領域22に対応するレンズシート230の部分には、光を発散させるためのレンズ列231が設けられている。レンズ列231は凹の円柱レンズから成る。
【0138】
発光領域22と画素12の列との対応関係は、実施例1において図3を参照して説明したと同様であるので、説明を省略する。
【0139】
図25は、実施例1の図16に対応する図面であって、中央の観察領域WACに向かう光に注目したときに、偶数列の発光領域22からの光が入射する透過型表示パネル10における表示領域11の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【0140】
実施例1において図12の(B)を参照して説明したように、第2光源62からの光は、プリズム列41の第2斜面43において反射(全反射)してプリズムシート40から出射し、レンズ列231に入射する。
【0141】
凹の円柱レンズから成るレンズ列231に入射する光は、発散してレンズシート230から出射する。これにより、発光領域222・・・,22p-2,22p,22p+2・・・といった偶数列の各発光領域22から、光が略対称に発散して出射する。
【0142】
図26は、実施例1の図20に対応する図面であって、中央の観察領域WACに向かう光に注目したときに、奇数列の発光領域22からの光が入射する透過型表示パネル10における表示領域11の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【0143】
実施例1において図11の(B)を参照して説明したように、第1光源61からの光は、プリズム列41の第1斜面42において反射(全反射)してプリズムシート40から出射し、レンズ列231に入射する。
【0144】
凹の円柱レンズから成るレンズ列231に入射する光は、発散してレンズシート30から出射する。これにより、発光領域221・・・,22p-3,22p-1,22p+1・・・といった奇数列の各発光領域22から、光が略対称に発散して出射する。
【0145】
具体的には、発光領域22の延びる方向(図においてY方向)に直交する仮想平面(X−Z平面に平行な平面)上において、各発光領域22からの光は、発光領域22の中心を通り且つ発光領域22に直交する仮想直線(Z軸に平行な直線)に対して略対称に発散する。
【0146】
実施例1において説明したと同様に、各発光領域22からの光は、原則として、少なくとも4列×3の画素12を含む表示領域11の部分に入射する。図4等に示す発光領域22から透過型表示パネル10までの距離Z1(実施例2にあっては、実質的に、レンズシート230と透過型表示パネル10との間の距離)は、図示せぬ部材によって保持されている。
【0147】
各発光領域22から視点D1,D2,D3,D4に向かう光が透過する画素12の列との関係は、実施例1において説明したと同様である。また、奇数列の発光領域22が発光状態であるときに、視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素12の列番号と、偶数列の発光領域22が発光状態であるときに、視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素12の列番号との関係も、実施例1において図21の(A)及び(B)を参照して説明したと同様である。
【0148】
従って、実施例1と同様に、奇数列の発光領域22が発光する状態と、偶数列の発光領域22が発光する状態とを交互に切り替え、透過型表示パネル10の画像を同期して適宜各視点に応じた画像に切り替えることによって、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。
【実施例3】
【0149】
実施例3も実施例1の変形である。実施例3も、本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例1に対し、発光装置を構成するプリズムシートの構造が相違し、また、発光装置からレンズシートが省かれている。以上の点を除く他、実施例3の立体画像表示装置3の構造は、実施例1で説明した立体画像表示装置1と同様である。
【0150】
実施例3の立体画像表示装置3を仮想的に分離したときの模式的な斜視図を図27に示す。尚、図27においても、透過型表示パネル10は一部分を図示し、駆動手段100の図示を省略した。立体画像表示装置3の概念図は、図1における発光装置20を図27に示す発光装置320に置き換え、図1における立体画像表示装置1を立体画像表示装置3と読み替えたと同様である。
【0151】
実施例3の立体画像表示装置3における透過型表示パネル10、導光板50、第1光源61、第2光源62、及び、駆動手段100の構成、動作、及び、作用については、実施例1で説明したと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0152】
図28は、実施例3の立体画像表示装置3における画素12と発光領域22との配置を説明するための、立体画像表示装置3の一部の模式的な端面図である。
【0153】
実施例1にあっては、プリズムシート40における第1斜面42と第2斜面43は平面状であった。これに対し、実施例3にあっては、プリズムシート340における各プリズム列341において、第1斜面342と第2斜面343は曲面状である。具体的には、第1斜面342と第2斜面343は、プリズム外部に対して凹の曲面状である。
【0154】
実施例1において図3を参照して説明したと同様に、第1斜面342に対応するプリズムシート340の一方の面の部分が奇数列の発光領域22に対応し、第2斜面343に対応するプリズムシート340の一方の面の部分が偶数列の発光領域22に対応する。
【0155】
発光領域22と画素12の列との対応関係は、実施例1において図3を参照して説明したと同様であるので、説明を省略する。
【0156】
図29は、実施例1の図16に対応する図面であって、中央の観察領域WACに向かう光に注目したときに、偶数列の発光領域22からの光が入射する透過型表示パネル10における表示領域11の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【0157】
実施例1において図12の(B)を参照して説明したように、第2光源62からの光は、プリズム列341の第2斜面343において反射(全反射)してプリズムシート40から出射する。
【0158】
実施例3にあっては、第2光源62の光は、プリズム列341の第1斜面342に入射する際に発散し、更に、第2斜面343において反射(全反射)する際に発散して、プリズムシート340から出射する。これにより、発光領域222・・・,22p-2,22p,22p+2・・・といった偶数列の各発光領域22から、光が略対称に発散して出射する。
【0159】
図30は、実施例1の図20に対応する図面であって、中央の観察領域WACに向かう光に注目したときに、奇数列の発光領域22からの光が入射する透過型表示パネル10における表示領域11の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【0160】
実施例1において図11の(B)を参照して説明したように、第1光源61からの光は、プリズム列341の第1斜面342において反射(全反射)してプリズムシート340から出射する。
【0161】
実施例3にあっては、第1光源61の光は、プリズム列341の第2斜面343に入射する際に発散し、更に、第1斜面342において反射(全反射)する際に発散して、プリズムシート340から出射する。これにより、発光領域221・・・,22p-3,22p-1,22p+1・・・といった奇数列の各発光領域22から、光が略対称に発散して出射する。
【0162】
発光領域22の延びる方向(図においてY方向)に直交する仮想平面(X−Z平面に平行な平面)上において、各発光領域22からの光は、発光領域22の中心を通り且つ発光領域22に直交する仮想直線(Z軸に平行な直線)に対して略対称に発散する。
【0163】
実施例1において説明したと同様に、各発光領域22からの光は、原則として、少なくとも4列×3の画素12を含む表示領域11の部分に入射する。図4等に示す発光領域22から透過型表示パネル10までの距離Z1(実施例3にあっては、実質的に、プリズムシート340と透過型表示パネル10との間の距離)は、図示せぬ部材によって保持されている。
【0164】
各発光領域22から視点D1,D2,D3,D4に向かう光が透過する画素12の列との関係は、実施例1において説明したと同様である。また、奇数列の発光領域22が発光状態であるときに、視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素12の列番号と、偶数列の発光領域22が発光状態であるときに、視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素12の列番号との関係も、実施例1において図21の(A)及び(B)を参照して説明したと同様である。
【0165】
従って、実施例1と同様に、奇数列の発光領域22が発光する状態と、偶数列の発光領域22が発光する状態とを交互に切り替え、透過型表示パネル10の画像を同期して適宜各視点に応じた画像に切り替えることによって、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。
【0166】
尚、実施例3の変形として、プリズム列を構成する第1斜面と第2斜面を、プリズム外部に対して凸の曲面状とした構成とすることもできる。この場合には、第1斜面若しくは第2斜面において反射(全反射)した光は、収束した後に発散する。
【実施例4】
【0167】
実施例4も実施例1の変形である。実施例4も、本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例1に対し、発光装置を構成する導光板の構造が相違する。以上の点を除く他、実施例4の立体画像表示装置4の構造は、実施例1で説明した立体画像表示装置1と同様である。
【0168】
実施例4の立体画像表示装置4を仮想的に分離したときの模式的な斜視図を図31に示す。尚、図31においても、透過型表示パネル10は一部分を図示し、駆動手段100の図示を省略した。立体画像表示装置4の概念図は、図1における発光装置20を図31に示す発光装置420に置き換え、図1における立体画像表示装置1を立体画像表示装置4と読み替えたと同様である。
【0169】
実施例4の立体画像表示装置4における透過型表示パネル10、レンズシート30、プリズムシート40、第1光源61、第2光源62、及び、駆動手段100の構成、動作、及び、作用については、実施例1で説明したと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0170】
図31に示すように、実施例4において、導光板450は、2枚の導光板450A,450Bが重ねられて構成されている。導光板450A,450Bは、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)から成る略矩形状の板である。導光板450A,450Bの各面は基本的に平面であるが、背面454A,454Bには、後述する斜面455A,455Bが設けられている。
【0171】
導光板450における一方の入光端面と他方の入光端面は、それぞれ、導光板450Aと導光板450Bに設けられている。第1光源61は、透過型表示パネル10側に配置される導光板450Aにおける入光端面452A側に配置されており、第2光源62は、導光板450Bにおける入光端面453B側に配置されている。
【0172】
尚、導光板450Bをプリズムシート40側に配置して、導光板450A,450Bを重ねる順番を入れ替えた構成とすることもできる。
【0173】
図32は、実施例4の立体画像表示装置において、導光板450から出射する第1光源61と第2光源62の光を説明するための模式的な一部端面図である。
【0174】
導光板450A,450Bの出光面451A,451Bは、図においてX−Y平面と平行である。導光板450Aの背面454Aには、図において左上がりの斜面455Aが所定のピッチEで複数設けられている。一方、導光板450Bの背面454Bには、図において右上がりの斜面455Bが所定のピッチEで複数設けられている。導光板450Aと導光板450Bとは同仕様の部材であって、斜面の向きが逆になるように重ねられている。
【0175】
斜面455A,455BがX−Y平面となす角度の値を「β」と表す。「β」は狭角側の値であり、斜面455A、斜面455Bを問わずその値の符号を正とする。
【0176】
尚、「β」の値は、発光装置420の設計に応じて適宜設定すればよい。ピッチEの値においても同様である。
【0177】
第2光源62の光の伝搬について説明する。第2光源62からの光が入光端面453Bから導光板450B内に入射し、背面454Bにおいて全反射し、出光面451Bに臨界角(PMMAの場合、約42度)を超える角度φ1aで入射したとする。尚、説明の都合上、図において光はX−Z平面上を伝搬するものとする。
【0178】
出光面451Bにおいて光は全反射する。反射角は角度φ1aである。この光が背面454B(より具体的には斜面455B)に入射する角度φ2pは、斜面455Bが右上がりであるため、φ2p=φ1a−βとなる。
【0179】
ここで、角度φ2pは臨界角より大きく、斜面455Bにおいて全反射した光は出光面451Bに角度φ2aで入射するものとする。角度φ2aは、斜面455Bが右上がりであるため、φ2a=φ1a−2×βとなる。換言すれば、斜面455Bで光が反射する毎に、出光面451Bへの光の入射角は、「2×β」ずつ小さくなるとといった関係にある。角度φ2aが臨界角以下の場合には、光は出光面451Bから外部に出射する。また、角度φ2aが臨界角を超える場合には、光は出光面451Bで全反射し、再び背面454Bに向かう。
【0180】
出光面451Bから光が出射する際には、導光板450B内における光の入射角は臨界角よりやや小さい角度であるので、出光面451Bからの光の出射角は大きな値となる。また、実際には、第2光源62の光は、種々の角度で入光端面453Bに入射するので、その影響により出光面451Bからの光の出射角も種々の値を取り得る。そして、出光面451Bからの光は、導光板450Aに入射し、導光板450Aの出光面451Aから出射する。実施例4においても、出光面451Aからの光の出射角は、約60度を中心として分布する。
【0181】
尚、背面454Bで光が反射する毎に、出光面451Bへの光の入射角は小さくなる。これにより、第2光源62から離れるほど光が出射しやすくなるので、入光端面453Bから離れることによる光の強さの不均一を打ち消すことができる。
【0182】
第1光源61の光の伝搬は、上述した説明において、「第2光源62」を『第1光源61』、「入光端面453B」を『入光端面452A』、「導光板450B」を『導光板450A』、「斜面455B」を『斜面455A』等と適宜読み替えればよいので、説明を省略する。
【0183】
第1光源61が発光しているときに導光板450から出射する光の方向は、図において左上がりとなり、第2光源62が発光しているときに導光板450から出射する光の方向は、図において右上がりとなる。第1光源61が発光しているときと第2光源62が発光しているときとの立体画像表示装置の動作は、実施例1において説明したと同様であるので、説明を省略する。
【実施例5】
【0184】
実施例5も実施例1の変形である。実施例5も、本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例1に対し、発光装置と透過型表示パネルとの間に配置され、光散乱状態と光透過状態との切り替えが可能な光制御手段を更に備えている点と、駆動手段500が、発光装置と透過型表示パネルの駆動に加えて光制御手段の光散乱状態/光透過状態の切り替えも行う点を除く他、実施例5の立体画像表示装置5の構造は、実施例1で説明した立体画像表示装置1と同様である。
【0185】
実施例5の立体画像表示装置5における透過型表示パネル10、及び、発光装置20の構成、動作、及び、作用については、実施例1で説明したと同様であるので、説明を省略する。
【0186】
また、光制御手段の光散乱状態/光透過状態の切り替えを行う点が相違する他、駆動手段500の構成、動作、及び、作用については、実施例1で駆動手段100について説明したと同様であるので、実施例1と共通する部分についての説明は省略する。
【0187】
実施例5の立体画像表示装置5を図33に示す。立体画像表示装置5は、発光装置20と透過型表示パネル10との間に配置された、光散乱状態と光透過状態との切り替えが可能な光制御手段570を備えている。
【0188】
光制御手段570は、例えばITOから成る透明電極が形成された透明な一対の基板と、これらの基板の間に配置された分散液晶材料層とを備えたパネルから成る。一対の基板は例えばPETから構成されている。尚、図示の都合上、光制御手段570を1枚のパネル状として表した。
【0189】
光制御手段570は、駆動手段500からの信号に基づいて、光散乱状態/光透過状態が切り替えられる。光制御手段570の一対の透明電極の間には、駆動手段500からの信号に基づいて電圧が印加され、あるいは電圧の印加が停止される。光制御手段570は、一対の透明電極の間に電圧が印加されると光透過状態となり、電圧の印加が停止されると光散乱状態となる。
【0190】
立体画像表示装置5にあっては、立体画像表示を行う場合には、駆動手段500からの信号によって光制御手段570は光透過状態とされる。そして、実施例1において説明したと同様の動作を行い、立体画像を表示する。
【0191】
一方、通常の画像表示を行う場合には、駆動手段500からの信号によって光制御手段570は光散乱状態とされる。これにより、発光領域22からの光は特に指向性を示すことなく透過型表示パネル10に入射するので、通常の画像表示を行うことができる。
【0192】
尚、通常の画像表示を行う場合には、第1光源61と第2光源62の発光/非発光を切り替えなくても特段支障は生じない。従って、通常の画像表示を行う場合には、例えば第1光源61と第2光源62のいずれか一方の発光を発光させ、あるいは双方を発光させるといった動作としてもよい。
【0193】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した立体画像表示装置の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。
【0194】
実施例2は、遮光用マスクが設けられていないとして説明したが、実施例1と同様に遮光用マスクを設けた構成とすることもできる。但し、実施例1よりも画像の輝度は低下する。実施例3においても同様である。尚、実施例3においてプリズム列を構成する第1斜面と第2斜面とをプリズム列の外部に対して凸の曲面状とした構成にあっては、光が収束する位置に遮光用マスクを配置することによって、実施例1と同様に輝度の低下を軽減することができる。
【0195】
実施例4における発光装置420は、実施例1における発光装置20の導光板50の置き換えとして説明したが、実施例2や実施例3における発光装置の導光板を置き換えた構成とすることもできる。
【0196】
実施例5の立体画像表示装置5は、実施例1の立体画像表示装置1に光制御手段570を追加した構成として説明したが、実施例2乃至実施例4の立体画像表示装置に光制御手段570を追加した構成とすることもできる。また、光制御手段570が、発光領域から透過型表示パネルまでの距離に相当する厚みのシート状のスペーサを構成するといった形態とすることもできる。
【符号の説明】
【0197】
1,2,3,4,5・・・立体画像表示装置、10・・・透過型表示パネル、11・・・表示領域、12・・・画素、20・・・発光装置、21・・・発光面、22・・・発光領域、30・・・レンズシート、31・・・レンズ列、32・・・遮光用マスク、33・・・開口、40・・・プリズムシート、41・・・プリズム列、42・・・第1斜面、43・・・第2斜面、50・・・導光板、51・・・出光面、52・・・入光端面、53・・・入光端面、54・・・背面、55A・・・斜面、55B・・・斜面、61・・・第1光源、62・・・第2光源、100・・・駆動手段、220・・・発光装置、230・・・レンズシート、231・・・レンズ列、320・・・発光装置、340・・・プリズムシート、341・・・プリズム列、342・・・第1斜面、343・・・第2斜面、420・・・発光装置、450・・・導光板、450A・・・導光板、450B・・・導光板、451A・・・出光面、451B・・・出光面、452A・・・入光端面、453B・・・入光端面、454A・・・背面、454B・・・背面、455A・・・斜面、455B・・・斜面、500・・・駆動手段、570・・・光制御手段
【技術分野】
【0001】
本発明は立体画像表示装置に関し、詳しくは、いわゆる裸眼方式の立体画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、視差のある2つの画像を画像観察者が観察することで立体視を実現する立体画像表示装置が、種々、知られている。立体画像表示装置の方式は、眼鏡によって視差画像を左右の目に分離して入力する眼鏡方式と、眼鏡を使用することなく視差画像を左右の目に入力する裸眼方式(無眼鏡方式)とに大別される。
【0003】
裸眼方式の立体画像表示装置として、画像表示部(2次元画像表示装置)とレンチキュラーレンズとを組み合わせたレンチキュラー方式の立体画像表示装置や、画像表示部とパララックスバリア(視差バリア)とを組み合わせたパララックスバリア方式の立体画像表示装置の実用化が進められている。
【0004】
パララックスバリア方式の立体画像表示装置は、通常、水平方向(横方向)及び垂直方向(縦方向)に2次元マトリクス状に配置された複数の画素を備えた表示パネル等から成る画像表示部と、垂直方向に延びるスリット状の開口を備えたマスクから成るパララックスバリアとを有する。図34に概念図を示すように、符号L2,L4,L6,L8,L10を付した画素群から出射された光線群が、パララックスバリアの開口を通って第1番目の視点DLに達する。そして、符号R1,R3,R5,R7,R9を付した画素群から出射された光線群が、パララックスバリアの開口を通って第2番目の視点DRに達する。尚、破線は、パララックスバリアのマスクによって遮られる光線の軌跡を示す。
【0005】
ここで、第1番目の視点DLに画像観察者の左目があり、第2番目の視点DRに画像観察者の右目があるとする。符号L2,L4,L6,L8,L10を付した画素群によって左目用の画像を表示し、符号R1,R3,R5,R7,R9を付した画素群によって右目用の画像を表示すれば、画像観察者は、画像を立体画像として認識する。
【0006】
図34に示す例では、左目用の画像は偶数列の画素から構成され、右目用の画像は奇数列の画素から構成される。このように、パララックスバリア方式の立体画像表示装置にあっては、各視点用の画像の解像度(特に、水平解像度)は、低下する。視点数をU(但し、Uは2以上の自然数)とすれば、各視点用の画像の解像度は、画像表示部の解像度の1/Uとなる。これに伴い、立体画像の解像度も、視点数が増えるほど低下する。レンチキュラー方式の立体画像表示装置においても同様である。
【0007】
上述した立体画像の解像度の低下を軽減することを目的として、1つの立体画像を構成するために画像表示部に2つの画像(便宜上、第1フィールド画像及び第2フィールド画像と呼ぶ)を順次表示し、且つ、第1フィールド画像と第2フィールド画像の切り替えに同期して、パララックスバリアを切り替える(具体的には、マスクと開口とを入れ替える)といったことが、例えば、特開2007−4179号公報に開示されている。図35の(A)及び(B)、並びに、図36の(A)及び(B)を参照して、動作の概要を説明する。
【0008】
図35の(A)及び(B)は、第1フィールド画像を表示しているときの、右目用の画像及び左目用の画像を説明するための模式図である。パララックスバリアにおけるマスクと開口の関係は、図34と同じである。図34を参照して説明したと同様に、符号L2,L4,L6,L8,L10を付した画素群によって左目用の画像を表示し、符号R1,R3,R5,R7,R9を付した画素群によって右目用の画像を表示する。左目用の画像は偶数列の画素から構成されており、右目用の画像は奇数列の画素から構成されている。
【0009】
図36の(A)及び(B)は、第2フィールド画像を表示しているときの、右目用の画像及び左目用の画像を説明するための模式図である。図35の(A)及び(B)に対し、パララックスバリアのマスクと開口とが入れ替えられた状態である。この場合には、符号L1,L3,L5,L7,L9を付した画素群によって左目用の画像を表示し、符号R2,R4,R6,R8,R10を付した画素群によって右目用の画像を表示する。左目用の画像は奇数列の画素から構成されており、右目用の画像は偶数列の画素から構成されている。
【0010】
画像観察者が感知することができない速さで、画像表示部における第1フィールド画像と第2フィールド画像の切り替えと、パララックスバリアの切り替えとが行われると、符号L2,L4,L6,L8,L10、及び、符号L1,L3,L5,L7,L9を付した画素群による画像が、左目用の画像として画像観察者に認識される。同様に、符号R1,R3,R5,R7,R9、及び、符号R2,R4,R6,R8,R10を付した画素群による画像が、右目用の画像として画像観察者に認識される。これによって、立体画像の解像度の低下を軽減することができる。視点数が「2」の場合には、各視点用の画像の解像度を、実質的に画像表示部と同様の解像度とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−4179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
画像表示部に表示する画像を順次切り替え、これに併せてパララックスバリアの切り替えを行うといった技術は、視点数が増えるほど各視点用の画像の解像度が低下し、これに伴い、立体画像の解像度も低下するといった問題の解決には優れた技術である。切り替え可能なパララックスバリアは、例えば、液晶材料や偏光板等を用いて構成することができる。しかしながら、パララックスバリアが複雑な構成となり、立体画像表示装置のコストが上昇するといった問題がある。
【0013】
従って、本発明の目的は、複雑な構成のパララックスバリアを用いることなく、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができ、優れた画質の立体画像を表示することができる立体画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の立体画像表示装置は、
実質的に垂直方向に延びる列状の発光領域が水平方向に複数並んで配列されて成る発光面を有する発光装置、
発光装置の発光面に対向して配置され、2次元マトリクス状に配列された複数の画素から成る表示領域を有する透過型表示パネル、及び、
発光装置と透過型表示パネルとを駆動する駆動手段、
を備えており、
発光領域の延びる方向に直交する仮想平面上において、各発光領域の光は、発光領域の中心を通り且つ発光領域に直交する仮想直線に対して略対称に発散した状態で、透過型表示パネルの表示領域に入射し、
或る発光領域の光が入射する表示領域の部分と、或る発光領域に隣接する発光領域の光が入射する表示領域の部分とにおいて、一部の画素が重複し、
駆動手段によって、奇数列の発光領域が発光する状態と、偶数列の発光領域が発光する状態とが交互に切り替えられると共に、透過型表示パネルの画像が同期して切り替えられる立体画像表示装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の立体画像表示装置にあっては、或る発光領域の光が入射する表示領域の部分と、或る発光領域に隣接する発光領域の光が入射する表示領域の部分とにおいて、一部の画素が重複する。この重複する画素からは、奇数列の発光領域が発光する場合と偶数列の発光領域が発光する場合とで、異なる視点に向かって光が出射する。そして、透過型表示パネルの画像が同期して切り替えられるので、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。本発明の立体画像表示装置によれば、複雑な構成のパララックスバリアを用いることなく、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、実施例1の立体画像表示装置の概念図である。
【図2】図2は、実施例1の立体画像表示装置を構成する発光装置を仮想的に分離したときの模式的な斜視図である。
【図3】図3は、実施例1の立体画像表示装置における画素と発光領域との配置を説明するための、立体画像表示装置の一部の模式的な端面図である。
【図4】図4は、図1に示す観察領域における視点D1,D2,D3,D4と、透過型表示パネルと、発光領域との配置関係を説明するための模式的な平面図である。
【図5】図5は、画素からの光が中央の観察領域の視点D1,D2,D3,D4に向かうために満たす条件を説明するための模式図である。
【図6】図6は、画素からの光が左側の観察領域の視点D1,D2,D3,D4に向かうために満たす条件を説明するための模式図である。
【図7】図7は、実施例1の立体画像表示装置における画素と発光領域との配置を説明するための、発光面及び表示領域の一部の模式的な平面図である。
【図8】図8の(A)は、実施例1の立体画像表示装置において、導光板から出射する第1光源の光を説明するための模式的な一部端面図である。図8の(B)は、導光板から出射する第2光源の光を説明するための模式的な一部端面図である。
【図9】図9の(A)は、実施例1の立体画像表示装置において、第1光源が発光しているときに導光板から出射する光の方向を説明するための模式図である。図9の(B)は、第1光源が発光しているときに導光板から出射する光の強度と、光が出射する方向との関係を説明するためのグラフである。
【図10】図10の(A)は、実施例1の立体画像表示装置において、第1光源が発光しているときにプリズムシートから出射する光の方向を説明するための模式図である。図10の(B)は、第1光源が発光しているときにプリズムシートから出射する光の強度と、光が出射する方向との関係を説明するためのグラフである。
【図11】図11の(A)は、実施例1の立体画像表示装置において、第1光源が発光して奇数列の発光領域が発光状態となる場合を説明するための模式的な正面図である。図11の(B)は、奇数列の発光領域から出射する光を説明するための模式的な一部端面図である。
【図12】図12の(A)は、実施例1の立体画像表示装置において、第2光源が発光して偶数列の発光領域が発光状態となる場合を説明するための模式的な正面図である。図12の(B)は、偶数列の発光領域から出射する光を説明するための模式的な一部端面図である。
【図13】図13は、偶数列の発光領域が発光状態であるときに、中央の観察領域における視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【図14】図14は、偶数列の発光領域が発光状態であるときに、左側の観察領域における視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【図15】図15は、偶数列の発光領域が発光状態であるときに、右側の観察領域における視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【図16】図16は、中央の観察領域に向かう光に注目したときに、偶数列の発光領域からの光が入射する透過型表示パネルにおける表示領域の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【図17】図17は、奇数列の発光領域が発光状態であるときに、中央の観察領域における視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【図18】図18は、奇数列の発光領域が発光状態であるときに、左側の観察領域における視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【図19】図19は、奇数列の発光領域が発光状態であるときに、右側の観察領域における視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【図20】図20は、中央の観察領域に向かう光に注目したときに、奇数列の発光領域からの光が入射する透過型表示パネルにおける表示領域の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【図21】図21の(A)は、実施例1の立体画像表示装置において、偶数列の発光領域が発光状態であるときに、各観察領域における視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素の列番号と、奇数列の発光領域が発光状態であるときに、各観察領域における視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素の列番号とを説明するための表である。図21の(B)は、図21の(A)の結果を纏めた表である。
【図22】図22は、実施例1の立体画像表示装置における画素と発光領域との配置を説明するための、発光面及び表示領域の一部の模式的な平面図である。
【図23】図23は、実施例2の立体画像表示装置を仮想的に分離したときの模式的な斜視図である。
【図24】図24は、実施例2の立体画像表示装置における画素と発光領域との配置を説明するための、立体画像表示装置の一部の模式的な端面図である。
【図25】図25は、中央の観察領域に向かう光に注目したときに、偶数列の発光領域からの光が入射する透過型表示パネルにおける表示領域の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【図26】図26は、中央の観察領域に向かう光に注目したときに、奇数列の発光領域からの光が入射する透過型表示パネルにおける表示領域の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【図27】図27は、実施例3の立体画像表示装置を仮想的に分離したときの模式的な斜視図である。
【図28】図28は、実施例3の立体画像表示装置における画素と発光領域との配置を説明するための、立体画像表示装置の一部の模式的な端面図である。
【図29】図29は、中央の観察領域に向かう光に注目したときに、偶数列の発光領域からの光が入射する透過型表示パネルにおける表示領域の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【図30】図30は、中央の観察領域に向かう光に注目したときに、奇数列の発光領域からの光が入射する透過型表示パネルにおける表示領域の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【図31】図31は、実施例4の立体画像表示装置を仮想的に分離したときの模式的な斜視図である。
【図32】図32は、実施例4の立体画像表示装置において、導光板から出射する第1光源と第2光源の光を説明するための模式的な一部端面図である。
【図33】図33は、実施例5の立体画像表示装置の概念図である。
【図34】図34は、パララックスバリア方式の立体画像表示装置の動作を説明するための概念図である。
【図35】図35の(A)及び(B)は、第1フィールド画像を表示しているときの、右目用の画像及び左目用の画像を説明するための模式図である。
【図36】図36の(A)及び(B)は、第2フィールド画像を表示しているときの、右目用の画像及び左目用の画像を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1の変形)
5.実施例4(実施例1の変形)
6.実施例5(実施例1の変形、その他)
【0018】
[本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法、全般に関する説明]
本発明の立体画像表示装置において、発光装置は、
一方の面が発光面に対応し、他方の面には頂角を挟む第1斜面と第2斜面から成るプリズム列が複数設けられており、一方の面の第1斜面に対応する部分が奇数列の発光領域に対応し、一方の面の第2斜面に対応する部分が偶数列の発光領域に対応するプリズムシート、
プリズム列内に第2斜面側から光を入射させ、第1斜面で反射した光によって奇数列の発光領域を発光させる第1光源、及び、
プリズム列内に第1斜面側から光を入射させ、第2斜面で反射した光によって偶数列の発光領域を発光させる第2光源、
を備えており、
駆動手段によって、第1光源と第2光源とは交互に発光/非発光が切り替えられる構成とすることができる。
【0019】
本発明の立体画像表示装置において、発光装置は、実質的に垂直方向に延びる列状の発光領域が水平方向に複数並んで配列されて成る発光面を有し、奇数列の発光領域が発光する状態と、偶数列の発光領域が発光する状態とが交互に切り替えられる。エレクトロルミネッセンス等により発光する列状の発光領域が複数並べられた構成の発光装置や、液晶パネル等を用いた列状のライトバルブと周知の面状光源装置とを組み合わせた構成の発光装置を用いることもできるが、発光装置の構成や制御が複雑となる。これらの発光装置に対して、上述したプリズムシートを用いた発光装置は、構成を簡便なものとすることができ、また、第1光源と第2光源とを交互に発光/非発光とするといった簡便な制御によって、奇数列の発光領域と偶数列の発光領域の発光状態を制御することができるといった利点を備えている。
【0020】
上述したように、列状の発光領域は実質的に垂直方向に延びていればよい。水平方向に対し60度乃至90度の角度を成して延びる列状の発光領域は、「実質的に垂直方向に延びる列状の発光領域」に該当する。
【0021】
以上に説明した好ましい構成の本発明の立体画像表示装置において、発光装置は、プリズムシートと透過型表示パネルとの間に配置されたレンズシートを更に備えており、各発光領域に対応するレンズシートの部分には、光を発散させるためのレンズ列が設けられている構成とすることができる。レンズ列の光学パワーを適宜好ましい値に設定することによって、立体画像表示装置の仕様等に応じて発光領域からの光の指向性を調整することができる。光学パワーが正のレンズ列(例えば、凸の円柱レンズ)によって、一旦光を収束させた後に発散させる構成であってもよいし、光学パワーが負のレンズ列(例えば、凹の円柱レンズ)によって、発光領域からの光を発散させる構成であってもよい。いずれの構成とするかは、立体画像表示装置の仕様等に応じて適宜設定すればよい。
【0022】
以上に説明した各種の好ましい構成の本発明の立体画像表示装置において、プリズム列の頂角は、立体画像表示装置の仕様等に応じて、例えば約50度乃至約80度の範囲から好適な角度を適宜選択して設定すればよい。プリズム列の第1斜面及び第2斜面は平面状であってもよいし、プリズム列の外部に対して凹の曲面状、若しくは、プリズム列の外部に対して凸の曲面状であってもよい。例えば、プリズム列の外部に対して凹の曲面状である構成にあっては、プリズム列内において光は発散するように反射する。従って、曲面の形状を適宜設定することによって、レンズ列を用いることなく、発光領域から出射する光の指向性を調整することができる。
【0023】
以上に説明した各種の好ましい構成を含む本発明の立体画像表示装置において、発光装置は、それぞれ隣接する発光領域の境界部に対応して設けられた遮光部を有する遮光用マスクを更に備えている構成とすることができる。遮光用マスクによって迷光等が透過型表示パネルに入射することを防ぐことができるので、立体画像における指向性の悪化を軽減することができる。
【0024】
尚、遮光用マスクを設けると、通常、立体画像の輝度は低下する。しかしながら、例えば、光学パワーが正のレンズ列を備えたレンズシートを用いて、光を一旦収束させた後に発散させる構成にあっては、光が収束する場所に遮光用マスクの開口を設けることによって、遮光用マスクによる立体画像の輝度の低下の程度を軽減することができる。プリズム列の第1斜面及び第2斜面を曲面状とすることによって、光を一旦収束させた後に発散させる構成においても同様である。
【0025】
遮光用マスクの構成や配置等は、立体画像表示装置の仕様等に応じて適宜設定すればよい。遮光用マスクは、周知の材料を用いて、フォトリソグラフ法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、メタルマスク印刷法といった各種印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法等の周知の方法により形成することができる。遮光用マスクは、レンズシートあるいはプリズムシートといった他の部材とは独立した部材として構成されていてもよいし、他の部材と一体の部材として構成されていてもよい。
【0026】
以上に説明した各種の好ましい構成を含む、第1光源と第2光源とを備えた本発明の立体画像表示装置において、発光装置は、互いに対向する2つの入光端面と、プリズムシートの他方の面に対向する出光面とを有する導光板を更に備えており、第1光源と第2光源は、それぞれ、一方の入光端面側と他方の入光端面側に配置されている構成とすることができる。この場合において、導光板は、1枚の板から構成されていてもよいし、2枚の板が重ねられて構成されていてもよい。後者の場合には、一方の板が一方の入光端面を備え、他方の板が他方の入光端面を備えるといった構成とすればよい。
【0027】
以上に説明した各種の好ましい構成を含む本発明の立体画像表示装置にあっては、発光装置と透過型表示パネルとの間に配置され、光散乱状態と光透過状態との切り替えが可能な光制御手段を更に備えている構成とすることができる。この構成によれば、本発明の立体画像表示装置によって、立体画像表示と、平面的な画像表示といった通常の表示とを、支障無く行うことができる。即ち、立体画像表示を行うときには、光制御手段を光透過状態とすればよいし、通常の表示を行うときには、光制御手段を光散乱状態とすればよい。
【0028】
以上に説明した各種の好ましい構成を含む本発明の立体画像表示装置(以下、これらを総称して、単に、本発明と呼ぶ場合がある)において、プリズムシートやレンズシートは、光に対して透明な材料、即ち、光を余り吸収することの無い材料から作製することが好ましい。導光板についても同様である。上述した各種の部材を構成する材料として、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)、ABS樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ガラスを例示することができる。各部材を構成する材料は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0029】
プリズムシートは、上述した材料等を用いて一体的に成型されていてもよいし、上述した材料等から成るシート状の基材の上に、例えば感光性の樹脂材料等を用いてプリズム列が形成されていてもよい。レンズシートにおいても同様である。これらの構成や構造は特に限定するものではない。また、プリズムシートとレンズシートとが一体化した構成とすることもできる。
【0030】
第1光源や第2光源を構成する光源として、冷陰極型の蛍光ランプ、熱陰極型の蛍光ランプ、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等、広く周知の光源を用いることができる。光源の発光色は、発光装置に要求される仕様に基づき決定すればよい。例えば、発光ダイオードを用いた発光装置の発光色を白色とする場合、光源を、白色発光ダイオード(例えば、紫外又は青色発光ダイオードと蛍光体粒子とを組み合わせて白色を発光する発光ダイオード)、又は、赤色(例えば、波長640nm)を発光する赤色発光ダイオード、緑色(例えば、波長530nm)を発光する緑色発光ダイオード、及び、青色(例えば、波長450nm)を発光する青色発光ダイオードから成る発光ダイオード群等から構成することができる。尚、赤色、緑色、青色以外の第4番目の色を発光する発光ダイオードを更に備えていてもよい。
【0031】
本発明に用いられる透過型表示パネルとして、液晶表示パネル等の周知の透過型表示パネルを用いることができる。透過型表示パネルの構成や方式は特に限定するものではない。透過型表示パネルは、モノクロ表示であってもよいし、カラー表示であってもよい。また、単純マトリクス方式であってもよいし、アクティブマトリクス方式であってもよい。後述する各実施例においては、透過型表示パネルとしてアクティブマトリクス方式の液晶表示パネルを用いる。
【0032】
液晶表示パネルは、例えば、透明第1電極を備えたフロント・パネル、透明第2電極を備えたリア・パネル、及び、フロント・パネルとリア・パネルとの間に配置された液晶材料から成る。尚、各画素が反射領域と透過領域とを備えた、いわゆる半透過型の液晶表示パネルも、本発明における透過型表示パネルに該当する。
【0033】
ここで、フロント・パネルは、より具体的には、例えば、ガラス基板から成る第1の基板と、第1の基板の内面に設けられた透明第1電極(共通電極とも呼ばれ、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)から成る)と、第1の基板の外面に設けられた偏光フィルムとから構成されている。更には、カラー液晶表示パネルでは、フロント・パネルは、第1の基板の内面に、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂から成るオーバーコート層によって被覆されたカラーフィルターが設けられ、オーバーコート層上に透明第1電極が形成された構成を有している。透明第1電極上には配向膜が形成されている。カラーフィルターの配置パターンとして、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。
【0034】
一方、リア・パネルは、より具体的には、例えば、ガラス基板から成る第2の基板と、第2の基板の内面に形成されたスイッチング素子と、スイッチング素子によって導通/非導通が制御される透明第2電極(画素電極とも呼ばれ、例えば、ITOから成る)と、第2の基板の外面に設けられた偏光フィルムとから構成されている。透明第2電極を含む全面には配向膜が形成されている。これらの透過型の液晶表示パネルを構成する各種の部材や液晶材料は、周知の部材、材料から構成することができる。尚、スイッチング素子として、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)といった3端子素子や、MIM(Metal Insulator Metal)素子、バリスタ素子、ダイオード等の2端子素子を例示することができる。
【0035】
尚、カラー液晶表示パネルでは、透明第1電極と透明第2電極の重複領域であって液晶セルを含む領域が1副画素(サブピクセル)に該当する。そして、各画素(ピクセル)を構成する赤色発光副画素は、係る領域と赤色を透過するカラーフィルターとの組合せから構成され、緑色発光副画素は、係る領域と緑色を透過するカラーフィルターとの組合せから構成され、青色発光副画素は、係る領域と青色を透過するカラーフィルターとの組合せから構成されている。赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び、青色発光副画素の配置パターンは、上述したカラーフィルターの配置パターンと一致する。
【0036】
更には、これらの3種の副画素に更に1種類あるいは複数種類の副画素を加えた1組(例えば、輝度向上のために白色光を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するために補色を発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエローを発光する副画素を加えた1組、色再現範囲を拡大するためにイエロー及びシアンを発光する副画素を加えた1組)から構成することもできる。
【0037】
2次元マトリクス状に配列された画素(ピクセル)の数M×Nを(M,N)で表記したとき、(M,N)の値として、具体的には、VGA(640,480)、S−VGA(800,600)、XGA(1024,768)、APRC(1152,900)、S−XGA(1280,1024)、U−XGA(1600,1200)、HD−TV(1920,1080)、Q−XGA(2048,1536)の他、(1920,1035)、(720,480)、(1280,960)等、画像表示用解像度の幾つかを例示することができるが、これらの値に限定するものではない。
【0038】
光散乱状態と光透過状態との切り替えが可能な光制御手段として、透明高分子材料と液晶とが微細な領域に分散され相互に混在する分散液晶材料を用いたパネル等を例示することができる。分散液晶材料として、例えば、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)や高分子ネットワーク液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)が周知である。液晶の配向方向を変えて、液晶領域と高分子材料領域の屈折率が略等しい状態(光透過状態)と、液晶領域と高分子材料領域の屈折率が異なる状態(光散乱状態(白濁した状態))を切り替えることができる。従って、透明電極が形成された透明な一対の基板と、これらの基板の間に配置された分散液晶材料層を備えたパネルは、透明電極に印加する電圧を制御することによって、光散乱状態と光透明状態の2通りの状態を切り替えることができる。透明な一対の基板の材料は特に限定するものではなく、ガラスやプラスチック等の周知の透明な材料を用いることができる。また、これらの基板は、シート状あるいはフィルム状であってもよい。透明電極は、例えばITO等を用いて形成することができる。PDLCの動作は、電極間に電圧が印加されると光透過状態、電圧の印加が停止されると光散乱状態となるのが一般的であるが、特に限定するものではない。
【0039】
発光装置と透過型表示パネルを駆動するための駆動手段は、例えば、画像信号処理部、タイミング制御部、画像メモリ、データドライバ、ゲートドライバ、及び、光源制御部等の種々の回路から構成することができる。これらは周知の回路素子等を用いて構成することができる。尚、駆動手段に電気信号として1秒間に送られる立体画像情報の組の数がフレーム周波数(フレームレート)であり、フレーム周波数の逆数がフレーム時間(単位:秒)である。
【0040】
即ち、例えば1秒間に60枚の立体画像を表示するとすれば、フレーム周波数は60ヘルツである。そして、1つの立体画像を表示するために2つの画像(第1フィールド画像と第2フィールド画像)を透過型表示パネルに順次表示するとすれば、所謂フィールド周波数は、フレーム周波数の2倍の120ヘルツである。
【実施例1】
【0041】
実施例1は、本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法に関する。
【0042】
実施例1の立体画像表示装置1を図1に示し、実施例1の立体画像表示装置1を構成する発光装置20を仮想的に分離したときの模式的な斜視図を図2に示す。図3に、実施例1の立体画像表示装置1における画素12と発光領域22との配置を説明するための、立体画像表示装置1の一部の模式的な端面図を示す。
【0043】
図1に示すように、実施例1の立体画像表示装置1は、垂直方向(図においてY方向)に延びる列状(ストライプ状)の発光領域22が水平方向(図においてX方向)に複数(P個)並んで配列された発光面21を有する発光装置20、発光装置20の発光面21に対向して配置され、2次元マトリクス状に配列された複数の画素12から成る表示領域11を有する透過型表示パネル10、及び、発光装置20と透過型表示パネル10とを駆動する駆動手段100とを備えている。
【0044】
表示領域11には、水平方向にM個、垂直方向にN個の画素12が配列されている。第m列目(但し、m=1,2・・・,M)の画素12を、画素12mと表す。また、発光面21における第p列目(但し、p=1,2・・・,P)の発光領域22を、発光領域22pと表す。「M」と「P」の関係については、後ほど図4、図5及び図6を参照して説明する。
【0045】
実施例1において、立体画像表示装置に表示される画像の視点数は、図1に示す各観察領域WAL,WAC,WARにおいて、それぞれ、視点D1,D2,D3及びD4の4つであるとして説明するが、これに限るものではない。観察領域の個数や視点の数は、立体画像表示装置の設計に応じて適宜設定することができる。
【0046】
透過型表示パネル10は、アクティブマトリクス方式のカラー液晶表示パネルから成る。各画素12は、図示せぬ赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び、青色発光副画素の組み合わせから構成されている。
【0047】
図2や図3に示すように、発光装置20は、
一方の面が発光面21に対応し、他方の面には頂角φDを挟む第1斜面42と第2斜面43から成るプリズム列41が複数設けられており、第1斜面42に対応する一方の面の部分が奇数列の発光領域22に対応し、第2斜面43に対応する一方の面の部分が偶数列の発光領域22に対応するプリズムシート40、
プリズム列41内に第2斜面43側から光を入射させ、第1斜面42で反射した光によって奇数列の発光領域22を発光させる第1光源61、及び、
プリズム列41内に第1斜面42側から光を入射させ、第2斜面43で反射した光によって偶数列の発光領域22を発光させる第2光源62、
を備えている。プリズムシート40の一方の面は平面状である。また、プリズム列41の第1斜面42及び第2斜面43は平面状である。
【0048】
尚、後述するように、実施例1にあってはプリズムシート40をレンズシート30が覆う。このため、実質的にはレンズシート30の面が発光しているように観察される。図示の便宜のため、図1及び図2においては、発光領域22の区画をレンズシート30の面上に示した。後述する実施例2において参照する図23においても同様である。
【0049】
発光装置20は、プリズムシート40と透過型表示パネル10との間に配置されたレンズシート30を備えている。各発光領域22に対応するレンズシート30の部分には、光を発散させるためのレンズ列31が設けられている。レンズ列31は凸の円柱レンズから成る。
【0050】
また、それぞれ隣接する発光領域22の境界部に対応して設けられた遮光部34を有する遮光用マスク32を備えている。遮光用マスク32は、レンズシート30のレンズ列31が設けられた面の反対側に重ねて配置されている。符号33は、遮光用マスク32における列状(ストライプ状)の開口である。
【0051】
発光装置20は、互いに対向する2つの入光端面52,53と、プリズムシート40の他方の面に対向する出光面51とを有する導光板50を備えている。導光板50は、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)から成る略矩形状の板である。尚、導光板50の入光端面52,53と背面54は平面状であるが、出光面51は、全体として凸面状である。出光面51の詳細については、後ほど、図8の(A)及び(B)を参照して説明する。
【0052】
尚、導光板50の背面54に対向するように、黒色の光吸収面や鏡面状の光反射面を有する部材が配置されていてもよい。場合によっては、光吸収面や鏡面状の光反射面が背面54上に直接形成されていてもよい。
【0053】
第1光源61と第2光源62は、それぞれ、一方の入光端面52側と他方の入光端面53側に配置されている。第1光源61及び第2光源62は、それぞれ、複数の白色発光ダイオード(白色LED)から成る。尚、図1及び図2、並びに、後述する図11及び図12において、第1光源61と第2光源62としてそれぞれ4つのLEDを図示したが、これは例示にすぎない。
【0054】
プリズムシート40やレンズシート30は、例えばポリカーボネート樹脂(PC)から成る。また、例えばPETフィルム上に、黒色顔料を含有した感光性材料層を形成した後、フォトリソグラフ法とエッチング法との組合せにより遮光部34を残して感光性材料層を除去することにより、遮光用マスク32を構成した。感光性材料層が除去された部分が、遮光用マスク32の開口33となる。尚、図3等においては、遮光用マスク32の基材となるPETフィルムの図示を省略し、開口33と遮光部34とを模式的に示した。
【0055】
発光領域22の延びる方向(図においてY方向)に直交する仮想平面上において、各発光領域22の光は、発光領域22の中心を通り且つ発光領域22に直交する仮想直線に対して略対称に発散した状態で、透過型表示パネル10の表示領域11に入射する。そして、或る発光領域22の光が入射する表示領域11の部分と、或る発光領域22に隣接する発光領域22の光が入射する表示領域11の部分とにおいて、一部の画素12が重複する。そして、駆動手段100によって、奇数列の発光領域22が発光する状態と、偶数列の発光領域22が発光する状態とが交互に切り替えられると共に、透過型表示パネル10の画像が同期して切り替えられる。
【0056】
重複する画素12からは、奇数列の発光領域22が発光する場合と偶数列の発光領域22が発光する場合とで、異なる視点に向かって光が出射する。そして、透過型表示パネル10の画像が同期して切り替えられるので、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。
【0057】
発光面21と透過型表示パネル10との間の距離、図のX方向における画素12のピッチ(以下、単に、画素ピッチと呼ぶ場合がある)、及び、図のX方向における発光領域22のピッチ(以下、単に、発光領域ピッチと呼ぶ場合がある)は、立体画像表示装置10の仕様上定めた観察領域において好ましい立体画像が観察できる条件を満たすように設定されている。この条件について具体的に説明する。
【0058】
図4は、図1に示す観察領域WAL,WAC,WARにおける視点D1,D2,D3,D4と、透過型表示パネル10と、発光領域22との配置関係を説明するための模式的な平面図である。
【0059】
説明の都合上、発光領域22は水平方向(図においてX方向)に奇数個並んで配列され、第p列目の発光領域22pは、発光領域221と発光領域22Pとの間の中央に位置するものとする。また、第m列目の画素12mと第(m+1)列目の画素12m+1との境界、及び、観察領域WACにおける視点D2と視点D3との間の中点は、発光領域22pの中心を通りZ方向に延びる仮想直線上に位置するものとする。画素ピッチをND[mm]と表し、発光領域ピッチをRD[mm]と表す。発光領域22と透過型表示パネル10との間の距離をZ1[mm]と表し、透過型表示パネル10と観察領域WAL,WAC,WARとの間の距離をZ2[mm]と表す。また、観察領域WAL,WAC,WARにおいて隣接する視点間の距離をDP[mm]と表す。
【0060】
図5は、画素12からの光が中央の観察領域WACの視点D1,D2,D3,D4に向かうために満たす条件を説明するための模式図である。
【0061】
画素12m-1,12m,12m+1,12m+2を透過する発光領域22pの光のそれぞれが、中央の観察領域WACの視点D1,D2,D3,D4に向かう条件について考察する。
【0062】
図5において、奇数列の発光領域22は非発光状態、偶数列の発光領域22は発光状態である。尚、発光状態及び非発光状態を明確化するために、発光状態にある発光領域22に斜線を付した。後述する他の図面においても同様である。
【0063】
発光領域22pの中心を通りZ方向に延びる仮想直線を基準として、画素12m+2の中心までの距離を符号X1で表し、中央の観察領域WACの視点D4までの距離を符号X2と表す。発光領域22pの光が画素12m+2を透過して観察領域WACの視点D4に向かうとき、幾何学的な相似関係から、以下の式(1)に示す条件を満たす。
【0064】
Z1:X1=(Z1+Z2):X2 (1)
【0065】
ここで、X1=1.5×ND、X2=1.5×DPであるので、これらを反映すると、式(1)は、以下の式(1’)のように表される。
【0066】
Z1:1.5×ND=(Z1+Z2):1.5×DP (1’)
【0067】
上述した式(1’)を満たせば、画素12m-1,12m,12m+1を透過する発光領域22pの光も、それぞれ、観察領域WACの視点D1,D2,D3に向かうといったことは、幾何学的に明らかである。
【0068】
図6は、画素12からの光が左側の観察領域WALの視点D1,D2,D3,D4に向かうために満たす条件を説明するための模式図である。
【0069】
画素12m-1,12m,12m+1,12m+2を透過する発光領域22p+2の光のそれぞれが、左側の観察領域WALの視点D1,D2,D3,D4に向かう条件について考察する。
【0070】
発光領域22p+2の中心を通りZ方向に延びる仮想直線を基準として、画素12m+2の中心までの距離を符号X3で表し、左側の観察領域WALの視点D4までの距離を符号X4と表す。発光領域22p+2の光が画素12m+2を透過して観察領域WALの視点D4に向かうためには、幾何学的な相似関係から、以下の式(2)に示す条件を満たす。
【0071】
Z1:X3=(Z1+Z2):X4 (2)
【0072】
ここで、X3=2×RD−X1=2×RD−1.5×ND、X4=2×RD+2.5×DPであるので、これらを反映すると、式(2)は、以下の式(2’)のように表される。
【0073】
Z1:(2×RD−1.5×ND)=(Z1+Z2):(2×RD+2.5×DP) (2’)
【0074】
上述した式(2’)を満たせば、画素12m-1,12m,12m+1を透過する発光領域22p+2の光も、それぞれ、観察領域WACの視点D1,D2,D3に向かうといったことは、幾何学的に明らかである。
【0075】
尚、画素12m-1,12m,12m+1,12m+2を透過する発光領域22p-2の光のそれぞれが、右側の観察領域WARの視点D1,D2,D3,D4に向かう条件は、図6をZ軸を中心として反転させたと同様であるので、説明を省略する。
【0076】
距離Z2及び距離DPの値は、立体画像表示装置10の仕様に基づいて所定の値に設定される。また、画素ピッチNDの値は、透過型表示パネル10の構造によって定まる。式(1’)と式(2’)より、距離Z1と発光領域ピッチRDについて、以下の式(3)と式(4)を得る。
【0077】
Z1=Z2×ND/(DP−ND) (3)
RD=2×DP×ND/(DP−ND) (4)
【0078】
例えば、透過型表示パネル10の画素ピッチNDが0.300[mm]、距離Z2が600[mm]、距離DPが65.0[mm]であったとすると、距離Z1は約2.78[mm]、発光領域ピッチRDは約0.603[mm]である。
【0079】
距離Z1や発光領域ピッチRDは上述の条件を満たすように設定されており、観察領域WAL,WAC,WARにおける視点D1,D2,D3,D4のそれぞれにおいて、所定の視点用の画像を観察することができる。詳細については、後ほど、図13乃至図20を参照して説明する。
【0080】
上述した例では、発光領域ピッチRDの値は画素ピッチNDの値の略2倍となる。従って、上述した「M」と「P」とは、M≒P×2といった関係にある。
【0081】
図7は、実施例1の立体画像表示装置1における画素12と発光領域22との配置を説明するための、発光面21及び表示領域11の一部の模式的な平面図である。
【0082】
尚、図7にあっては、1つの画素12を構成する水平方向に並ぶ赤色発光副画素、緑色発光副画素、及び、青色発光副画素を、それぞれ、符号R,G,Bを用いて表した。また、画素12と発光領域22との配置関係を明確に示すために、図7においては、遮光用マスク32の図示を省略した。
【0083】
図3に示すように、プリズムシート40における各プリズム列41において、第1斜面42と第2斜面43は頂角φDを挟む面である。プリズムシート40の一方の面の第1斜面42に対応する部分が奇数列の発光領域22に対応し、プリズムシート40の一方の面の第2斜面43に対応する部分が偶数列の発光領域22に対応する。実施例1においては、頂角φDの値を60度としたが、これに限るものではない。頂角φDの値は、発光装置20の設計に応じて適宜設定すればよい。
【0084】
透過型表示パネル10の表示領域11が矩形であり、その長辺(図1においてX方向に延びる辺)の長さをLD[mm]とすれば、画素ピッチND=LD/Mであり、サブピクセルのピッチ=ND/3である。また、発光領域22及びレンズ列31のピッチ≒ND×2、プリズム列41のピッチ≒ND×4である。プリズム列41のピッチはレンズ列31のピッチの2倍である。
【0085】
発光装置20において、第1光源61と第2光源62とは交互に発光/非発光が切り替えられ、これによって、奇数列の発光領域22が発光する状態と、偶数列の発光領域22が発光する状態とが交互に切り替えられる。発光装置20の構成や動作について詳しく説明する。
【0086】
図8の(A)は、導光板50の出光面51から出射する第1光源61の光を説明するための模式的な一部端面図である。図8の(B)は、導光板50の出光面51から出射する第2光源62の光を説明するための模式的な一部端面図である。
【0087】
導光板50の背面54は、図8の(A)及び(B)においてX−Y平面と平行である。導光板50の出光面51には、図において右上がりの斜面55Aと左上がりの斜面55Bとが、交互に設けられている。斜面55A,55BがX−Y平面となす角度の値を「α」と表す。「α」は狭角側の値であり、斜面55A、斜面55Bを問わずその値の符号を正とする。
【0088】
尚、「α」の値は、数度乃至十数度の範囲を目安として、発光装置20の設計に応じて好ましい値に設定されている。
【0089】
斜面55Aの幅(図においてX方向に沿う長さ)は、第1光源61が配置される入光端面52側で最も短くなり(図8の(A)参照)、入光端面52から離れるほど長くなる(図8の(B)参照)。一方、斜面55Bの幅は、第2光源62が配置される入光端面53側で最も短くなり(図8の(B)参照)、入光端面53から離れるほど長くなる(図8の(A)参照)。このため、導光板50の出光面51は、図2に示すように、全体として凸面状となる。尚、斜面55A,55Bの幅をどのように変化させるかといったことは、発光装置20の設計や仕様に応じて適宜設定すればよい。
【0090】
導光板50は2回対称な形状であり、入光端面52と入光端面53を入れ替えると、斜面55Aと斜面55Bの関係も入れ替わる。尚、図8の(A)及び(B)において、斜面55Aと斜面55Bとの間にX−Y平面と平行な面が設けられているが、このような面が設けられていない構成であってもよい。
【0091】
第1光源61の光の伝搬について説明する。図8の(A)に示すように、第1光源61からの光が入光端面52から導光板50内に入射し、背面54において反射角φ1pで全反射したとする。尚、説明の都合上、図において光はX−Z平面上を伝搬するものとする。
【0092】
背面54において全反射した光が、出光面51に臨界角(PMMAの場合、約42度)を超える角度φ1aで入射し、背面54に向かって全反射したとする。図8の(A)に示す例では、斜面55Aに光が入射し全反射している。光が背面54に入射する角度φ2pは、斜面55Aが右上がりであるため、φ2p=φ1a−2×αとなる。換言すれば、斜面55Aで光が反射する毎に、背面54への光の入射角は、「2×α」ずつ小さくなるといった関係にある。
【0093】
ここで、角度φ2pは臨界角より大きく、背面54において全反射した光は出光面51に角度φ2aで入射するものとする。図8の(A)に示す例では、光は斜面55Aに入射しており、φ2a=φ2p−αである。尚、光が斜面55Bに入射する場合には、φ2a=φ2p+αである。角度φ2aが臨界角以下の場合には、光は出光面51から外部に出射する。また、角度φ2aが臨界角を超える場合には、光は出光面51で全反射し、再び背面54に向かう。
【0094】
上述したように、角度φ2aは、斜面55Aにおいて小さくなるので、第1光源61からの光は、出光面51における斜面55Aから主に出射する。導光板50内における光の入射角は、出光面51から光が射出する際には臨界角よりやや小さい角度であるので、出光面51からの光の出射角は大きな値となる。また、実際には、第1光源61の光は、種々の角度で入光端面52に入射するので、その影響により出光面51からの光の出射角も種々の値を取り得る。実施例1にあっては、出光面51からの光の出射角は、約60度を中心として分布する。
【0095】
また、上述したように、斜面55Aの幅は入光端面52側で最も短く、入光端面52から離れるほど長くなる。これにより、第1光源61から離れるほど光が出射する面積は増えるので、入光端面52から離れることによる光の強さの不均一を打ち消すことができる。
【0096】
第2光源62の光の伝搬は、上述した説明において「第1光源61」を『第2光源62』、「入光端面52」を『入光端面53』、「斜面55A」を『斜面55B』、「斜面55B」を『斜面55A』等と適宜読み替えればよいので、説明を省略する。
【0097】
図9の(A)は、第1光源61が発光しているときに導光板50から出射する光の方向を説明するための模式図である。図9の(B)は、第1光源61が発光しているときに導光板50から出射する光の強度と、光が出射する方向との関係を説明するためのグラフである。尚、図9の(B)において、Z方向と光の進行方向とがなす角度(出射角)φCは、光が右上がりのときに値を正、左上がりの場合に値を負とした。また、光の強度は、最大値を1として正規化して示した。尚、発光状態及び非発光状態を明確化するために、発光状態にある第1光源61に斜線を付した。後述する他の図面においても同様である。
【0098】
第2光源62が発光しているときに導光板50から出射する光の方向は、図9の(A)を反転したものとなり、右上がりとなる。また、第2光源62が発光しているときに導光板50から出射する光の強度と、光が出射する方向との関係は、図9の(B)において、角度φCの符号を反転させたものとなるので、説明を省略する。
【0099】
以上説明したように、導光板50から出射する光の方向は、第1光源61が発光しているときに左上がり、第2光源62が発光しているときに右上がりとなる。これらの光は、プリズムシート40により、その方向が修正される。
【0100】
図10の(A)は、第1光源61が発光しているときにプリズムシート40から出射する光の方向を説明するための模式図である。図10の(B)は、第1光源61が発光しているときにプリズムシート40から出射する光の強度と、光が出射する方向との関係を説明するためのグラフである。
【0101】
第1光源61が発光しているとき、出光面51からの左上がりの光は、プリズム列41の第2斜面43側から入射し、第1斜面42において反射(全反射)してプリズムシート40から出射する。
【0102】
出光面51から出射角60度で左上がりに出射する光は、プリズム列の頂角φDが60度であるのでプリズム列の第2斜面43に対して直交して入射し、第1斜面41において反射(全反射)してプリズムシート40から出射する。出光面51から出射角60度で左上がりに出射する光は、プリズムシート40によってその方向がZ方向に変えられる。
【0103】
実際には、出光面51からの左上がりの光の出射角は、約60度を中心として分布する。従って、プリズムシート40からの光の出射角は、図10の(B)に示すように、約0度を中心として分布する。角度φCの符号は、図9において説明したと同様である。また、光の強度は、最大値を1として正規化して示した。
【0104】
第2光源62が発光しているときには、導光板50から出射する光の方向は、図9の(A)を反転したものとなり、右上がりとなる。出光面51から出射角60度で右上がりに出射する光は、プリズム列の第1斜面42に対して直交して入射し、第2斜面43において反射(全反射)してプリズムシート40から出射する。出光面51から出射角60度で右上がりに出射する光は、プリズムシート40によってその方向がZ方向に変えられる。
【0105】
第2光源62が発光しているときにプリズムシート40から出射する光の強度と、光が出射する方向との関係は、図10の(B)において、角度φCの符号を反転させたものとなるので、説明を省略する。
【0106】
以上説明したように、第1光源61が発光するとき、第1光源61からの光は、プリズム列41の第1斜面42において反射(全反射)してプリズムシート40から出射する。また、第2光源62が発光するとき、第2光源62からの光は、プリズム列41の第2斜面43において反射(全反射)してプリズムシート40から出射する。これにより、第1光源61が発光すると奇数列の発光領域22が発光状態となり、第2光源62が発光すると偶数列の発光領域22が発光状態となる。
【0107】
図11の(A)は、第1光源61が発光して奇数列の発光領域22が発光状態となる場合を説明するための模式的な正面図である。図11の(B)は、奇数列の発光領域22から出射する光を説明するための模式的な一部端面図である。図12の(A)は、第2光源62が発光して偶数列の発光領域22が発光状態となる場合を説明するための模式的な正面図である。図12の(B)は、偶数列の発光領域22から出射する光を説明するための模式的な一部端面図である。
【0108】
尚、上述したように、発光領域22は水平方向(図においてX方向)に奇数個並んで配列され、第p列目の発光領域22pは、発光領域221と発光領域22Pとの間の中央に位置するとして説明するので、第p列の発光領域22pは偶数列に属する。
【0109】
図11の(B)に示すように、第1光源61からの光は、プリズム列41の第1斜面42において反射(全反射)してプリズムシート40から出射し、レンズ列31に入射する。レンズシート30自体の厚さは、レンズ列31の焦点距離fと略同じ値に設定されている。このため、レンズ列31に入射する光は、遮光用マスク32の開口33において収束し、そのまま発散してレンズシート30から出射する。このように、発光領域221・・・,22p-3,22p-1,22p+1・・・といった奇数列の各発光領域22から、光が略対称に発散して出射する。
【0110】
一方、図12の(B)に示すように、第2光源62からの光は、プリズム列41の第2斜面43において反射(全反射)してプリズムシート40から出射し、レンズ列31に入射する。これにより、発光領域222・・・,22p-2,22p,22p+2・・・といった偶数列の各発光領域22から、光が略対称に発散して出射する。
【0111】
具体的には、発光領域22の延びる方向(図においてY方向)に直交する仮想平面(X−Z平面に平行な平面)上において、各発光領域22からの光は、発光領域22の中心を通り且つ発光領域22に直交する仮想直線(Z軸に平行な直線)に対して略対称に発散する。
【0112】
実施例1において、各発光領域22からの光は、原則として、少なくとも4列×3の画素12を含む表示領域11の部分に入射する。具体的には、端部付近に位置する発光領域22を除いて、各発光領域22からの光は、図1に示す3つの観察領域WAL,WAC,WARにおけるそれぞれ4つの視点に対応する画素12を少なくとも含む表示領域11の部分に入射する。図4等に示す発光領域22から透過型表示パネル10までの距離Z1(実施例1にあっては、実質的に、レンズシート30と透過型表示パネル10との間の距離)は、図示せぬ部材によって保持されている。尚、図示せぬ部材が、発光領域22から透過型表示パネル10までの距離に相当する厚みの透明なシート状のスペーサといった構成であってもよい。他の実施例においても同様である。
【0113】
図13は、偶数列の発光領域22が発光状態であるときに、中央の観察領域WACにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。図14は、偶数列の発光領域22が発光状態であるときに、左側の観察領域WALにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。図15は、偶数列の発光領域22が発光状態であるときに、右側の観察領域WARにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【0114】
例えば、発光領域22pの光に着目すると、図13に示すように、光は第(m−1)列乃至第(m+2)列の画素12を通り、中央の観察領域WACにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される。そして、図14に示すように、光は第(m−5)列乃至第(m−2)列の画素12を通り、左側の観察領域WALにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される。また、図15に示すように、光は第(m+3)列乃至第(m+6)列の画素12を通り、右側の観察領域WARにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される。
【0115】
図16は、中央の観察領域WACに向かう光に注目したときに、偶数列の発光領域22からの光が入射する透過型表示パネル10における表示領域11の部分を説明するための模式的な一部端面図である。第p列の発光領域22pの光に注目すると、視点D1に向かう光は第(m−1)列の画素12m-1を透過し、視点D2に向かう光は第m列の画素12mを透過する。また、視点D3に向かう光は第(m+1)列の画素12m+1を透過し、視点D4に向かう光は第(m+2)列の画素12m+2を透過する。
【0116】
また、第(p+2)列の発光領域22p+2の光に注目すると、視点D1に向かう光は第(m+3)列の画素12m+3を透過し、視点D2に向かう光は第(m+4)列の画素12m+4を透過する。また、視点D3に向かう光は第(m+5)列の画素12m+5を透過し、視点D4に向かう光は第(m+6)列の画素12m+6を透過する。第(p−2)列の発光領域22p-2の光についての説明は、上記の記載を適宜読み替えればいいので省略する。
【0117】
図17は、奇数列の発光領域22が発光状態であるときに、中央の観察領域WACにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。図18は、奇数列の発光領域22が発光状態であるときに、左側の観察領域WALにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。図19は、奇数列の発光領域22が発光状態であるときに、右側の観察領域WARにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される画像を説明するための模式図である。
【0118】
例えば、発光領域22p-1の光に着目すると、図17に示すように、光は第(m−3)列乃至第m列の画素12を通り、中央の観察領域WACにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される。そして、図18に示すように、光は第(m−7)列乃至第(m−4)列の画素12を通り、左側の観察領域WALにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される。また、図19に示すように、光は第(m+1)列乃至第(m+4)列の画素12を通り、右側の観察領域WARにおける視点D1,D2,D3,D4で観察される。
【0119】
図20は、中央の観察領域WACに向かう光に注目したときに、奇数列の発光領域22からの光が入射する透過型表示パネル10における表示領域11の部分を説明するための模式的な一部端面図である。第(p−1)列の発光領域22p-1の光に注目すると、視点D1に向かう光は第(m−3)列の画素12m-3を透過し、視点D2に向かう光は第(m−2)列の画素12m-2を透過する。また、視点D3に向かう光は第(m−1)列の画素12m-1を透過し、視点D4に向かう光は第m列の画素12mを透過する。
【0120】
また、第(p+1)列の発光領域22p+1の光に注目すると、視点D1に向かう光は第(m+1)列の画素12m+1を透過し、視点D2に向かう光は第(m+2)列の画素12m+2を透過する。また、視点D3に向かう光は第(m+3)列の画素12m+3を透過し、視点D4に向かう光は第(m+4)列の画素12m+4を透過する。第(p−3)列の発光領域22p-2の光についての説明は、上記の記載を適宜読み替えればいいので省略する。
【0121】
図16と図20とを対比して明らかなように、或る発光領域22の光が入射する表示領域の部分と、或る発光領域22に隣接する発光領域22の光が入射する表示領域の部分とにおいて、一部の画素12が重複する。この重複する画素12からは、奇数列の発光領域22が発光する場合と偶数列の発光領域22が発光する場合とで、異なる視点に向かって光が出射する。
【0122】
図21の(A)は、実施例1の立体画像表示装置1において、奇数列の発光領域22が発光状態であるときに、視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素12の列番号と、偶数列の発光領域22が発光状態であるときに、視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素12の列番号とを説明するための表である。図21の(B)は、図21の(A)の結果を纏めた表である。
【0123】
図21の(A)や上述した説明から明らかなように、偶数列の発光領域22が発光するときには、視点D1のための画像は、第1列の画素121の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D2のための画像は、第2列の画素122の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D3のための画像は、第3列の画素123の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D4のための画像は、第4列の画素124の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。
【0124】
一方、奇数列の発光領域22が発光するときには、視点D1のための画像は、第3列の画素123の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D2のための画像は、第4列の画素124の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D3のための画像は、第1列の画素121の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D4のための画像は、第2列の画素122の他、相互に3列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。
【0125】
従って、奇数列の発光領域22が発光する状態と、偶数列の発光領域22が発光する状態とを交互に切り替え、透過型表示パネル10の画像を同期して適宜各視点に応じた画像に切り替えることによって、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。
【0126】
即ち、上述した動作によれば、図21の(B)に示すように、視点D1のための画像は、第1列の画素121の他、相互に1列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D2のための画像は、第2列の画素122の他、相互に1列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D3のための画像は、第1列の画素121の他、相互に1列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。視点D4のための画像は、第2列の画素122の他、相互に1列の間隔を空けて配置された列の画素12によって構成される。
【0127】
奇数列の発光領域22が発光する状態と、偶数列の発光領域22が発光する状態との切り替えといった動作を行わなければ、各視点用の画像の解像度は、透過型表示パネル10の解像度の1/4に低下する。一方、実施例1の立体画像表示装置の場合には、各視点用の画像の解像度は、透過型表示パネル10の解像度の1/2となる。本発明の立体画像表示装置によれば、複雑な構成のパララックスバリアを用いることなく、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。
【0128】
以上の説明においては視点数を「4」としたが、視点数は、立体画像表示装置の仕様に応じて適宜選択することができる。例えば、視点数は「2」とした構成や、視点数を「6」とした構成とすることもできる。これらの場合には、プリズムシート40やレンズシート30等の構成を適宜変更すればよい。後述する他の実施例においても同様である。
【0129】
また、以上の説明においては画素12の列毎に視点が変わる構成としたが、副画素の列毎に視点が変わるといった構成とすることもできる。副画素のピッチが画素ピッチの1/3であるとして、上述した式(3)及び式(4)を用いて計算すると、図4に示す距離Z1は約0.92[mm]、発光領域ピッチRDは約0.2[mm]となる。
【0130】
更には、例えば各行毎に1副画素分ずれるように画素列を選択し、この画素列に対応するように表示領域を設定するといった構成とすることができる。この場合の画素12と発光領域22との配置を、図22に示す。この構成にあっては、プリズム列がY軸に対して所定の角度となるように、プリズムシートを配置すればよい。尚、レンズシートの配置も、プリズムシートの配置にあわせて変更すればよい。後述する他の実施例においても同様である。
【0131】
尚、図22に示す画素12の配列において、第n行乃至第(n+2)行の3行において斜め方向に並ぶ3つの副画素に注目し、斜め方向に並ぶ副画素から画素を構成するといった構成とすることもできる。図22において、符号R,G,Bを、丸で囲った組、四角で囲った組、八角形で囲った組が、それぞれ、一画素を形成するといった構成である。この場合には、所謂垂直方向の解像度は低下するが、水平方向の解像度を高くすることができる。
【実施例2】
【0132】
実施例2は実施例1の変形である。実施例2も、本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例1に対し、発光装置を構成するレンズシートの構造が相違する。以上の点を除く他、実施例2の立体画像表示装置2の構造は、実施例1で説明した立体画像表示装置1と同様である。
【0133】
実施例2の立体画像表示装置2を仮想的に分離したときの模式的な斜視図を図23に示す。尚、図23にあっては、透過型表示パネル10は一部分を図示し、駆動手段100の図示を省略した。立体画像表示装置2の概念図は、図1における発光装置20を図23に示す発光装置220に置き換え、図1における立体画像表示装置1を立体画像表示装置2と読み替えたと同様である。
【0134】
実施例2の立体画像表示装置2における透過型表示パネル10、プリズムシート40、導光板50、第1光源61、第2光源62、及び、駆動手段100の構成、動作、及び、作用については、実施例1で説明したと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0135】
実施例1にあっては、発光装置20を構成するレンズシート30のレンズ列31は、凸の円柱レンズから成り、レンズシート30のレンズ列31が設けられていない側の面には、遮光用マスク32が設けられている。これに対し、実施例2にあっては、発光装置220を構成するレンズシート230のレンズ列231は、凹の円柱レンズから成る。また、レンズシート230のレンズ列231が設けられていない側の面には、遮光用マスクは設けられていない。
【0136】
図24は、実施例2の立体画像表示装置2における画素12と発光領域22との配置を説明するための、立体画像表示装置2の一部の模式的な端面図である。
【0137】
上述したように、各発光領域22に対応するレンズシート230の部分には、光を発散させるためのレンズ列231が設けられている。レンズ列231は凹の円柱レンズから成る。
【0138】
発光領域22と画素12の列との対応関係は、実施例1において図3を参照して説明したと同様であるので、説明を省略する。
【0139】
図25は、実施例1の図16に対応する図面であって、中央の観察領域WACに向かう光に注目したときに、偶数列の発光領域22からの光が入射する透過型表示パネル10における表示領域11の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【0140】
実施例1において図12の(B)を参照して説明したように、第2光源62からの光は、プリズム列41の第2斜面43において反射(全反射)してプリズムシート40から出射し、レンズ列231に入射する。
【0141】
凹の円柱レンズから成るレンズ列231に入射する光は、発散してレンズシート230から出射する。これにより、発光領域222・・・,22p-2,22p,22p+2・・・といった偶数列の各発光領域22から、光が略対称に発散して出射する。
【0142】
図26は、実施例1の図20に対応する図面であって、中央の観察領域WACに向かう光に注目したときに、奇数列の発光領域22からの光が入射する透過型表示パネル10における表示領域11の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【0143】
実施例1において図11の(B)を参照して説明したように、第1光源61からの光は、プリズム列41の第1斜面42において反射(全反射)してプリズムシート40から出射し、レンズ列231に入射する。
【0144】
凹の円柱レンズから成るレンズ列231に入射する光は、発散してレンズシート30から出射する。これにより、発光領域221・・・,22p-3,22p-1,22p+1・・・といった奇数列の各発光領域22から、光が略対称に発散して出射する。
【0145】
具体的には、発光領域22の延びる方向(図においてY方向)に直交する仮想平面(X−Z平面に平行な平面)上において、各発光領域22からの光は、発光領域22の中心を通り且つ発光領域22に直交する仮想直線(Z軸に平行な直線)に対して略対称に発散する。
【0146】
実施例1において説明したと同様に、各発光領域22からの光は、原則として、少なくとも4列×3の画素12を含む表示領域11の部分に入射する。図4等に示す発光領域22から透過型表示パネル10までの距離Z1(実施例2にあっては、実質的に、レンズシート230と透過型表示パネル10との間の距離)は、図示せぬ部材によって保持されている。
【0147】
各発光領域22から視点D1,D2,D3,D4に向かう光が透過する画素12の列との関係は、実施例1において説明したと同様である。また、奇数列の発光領域22が発光状態であるときに、視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素12の列番号と、偶数列の発光領域22が発光状態であるときに、視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素12の列番号との関係も、実施例1において図21の(A)及び(B)を参照して説明したと同様である。
【0148】
従って、実施例1と同様に、奇数列の発光領域22が発光する状態と、偶数列の発光領域22が発光する状態とを交互に切り替え、透過型表示パネル10の画像を同期して適宜各視点に応じた画像に切り替えることによって、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。
【実施例3】
【0149】
実施例3も実施例1の変形である。実施例3も、本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例1に対し、発光装置を構成するプリズムシートの構造が相違し、また、発光装置からレンズシートが省かれている。以上の点を除く他、実施例3の立体画像表示装置3の構造は、実施例1で説明した立体画像表示装置1と同様である。
【0150】
実施例3の立体画像表示装置3を仮想的に分離したときの模式的な斜視図を図27に示す。尚、図27においても、透過型表示パネル10は一部分を図示し、駆動手段100の図示を省略した。立体画像表示装置3の概念図は、図1における発光装置20を図27に示す発光装置320に置き換え、図1における立体画像表示装置1を立体画像表示装置3と読み替えたと同様である。
【0151】
実施例3の立体画像表示装置3における透過型表示パネル10、導光板50、第1光源61、第2光源62、及び、駆動手段100の構成、動作、及び、作用については、実施例1で説明したと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0152】
図28は、実施例3の立体画像表示装置3における画素12と発光領域22との配置を説明するための、立体画像表示装置3の一部の模式的な端面図である。
【0153】
実施例1にあっては、プリズムシート40における第1斜面42と第2斜面43は平面状であった。これに対し、実施例3にあっては、プリズムシート340における各プリズム列341において、第1斜面342と第2斜面343は曲面状である。具体的には、第1斜面342と第2斜面343は、プリズム外部に対して凹の曲面状である。
【0154】
実施例1において図3を参照して説明したと同様に、第1斜面342に対応するプリズムシート340の一方の面の部分が奇数列の発光領域22に対応し、第2斜面343に対応するプリズムシート340の一方の面の部分が偶数列の発光領域22に対応する。
【0155】
発光領域22と画素12の列との対応関係は、実施例1において図3を参照して説明したと同様であるので、説明を省略する。
【0156】
図29は、実施例1の図16に対応する図面であって、中央の観察領域WACに向かう光に注目したときに、偶数列の発光領域22からの光が入射する透過型表示パネル10における表示領域11の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【0157】
実施例1において図12の(B)を参照して説明したように、第2光源62からの光は、プリズム列341の第2斜面343において反射(全反射)してプリズムシート40から出射する。
【0158】
実施例3にあっては、第2光源62の光は、プリズム列341の第1斜面342に入射する際に発散し、更に、第2斜面343において反射(全反射)する際に発散して、プリズムシート340から出射する。これにより、発光領域222・・・,22p-2,22p,22p+2・・・といった偶数列の各発光領域22から、光が略対称に発散して出射する。
【0159】
図30は、実施例1の図20に対応する図面であって、中央の観察領域WACに向かう光に注目したときに、奇数列の発光領域22からの光が入射する透過型表示パネル10における表示領域11の部分を説明するための模式的な一部端面図である。
【0160】
実施例1において図11の(B)を参照して説明したように、第1光源61からの光は、プリズム列341の第1斜面342において反射(全反射)してプリズムシート340から出射する。
【0161】
実施例3にあっては、第1光源61の光は、プリズム列341の第2斜面343に入射する際に発散し、更に、第1斜面342において反射(全反射)する際に発散して、プリズムシート340から出射する。これにより、発光領域221・・・,22p-3,22p-1,22p+1・・・といった奇数列の各発光領域22から、光が略対称に発散して出射する。
【0162】
発光領域22の延びる方向(図においてY方向)に直交する仮想平面(X−Z平面に平行な平面)上において、各発光領域22からの光は、発光領域22の中心を通り且つ発光領域22に直交する仮想直線(Z軸に平行な直線)に対して略対称に発散する。
【0163】
実施例1において説明したと同様に、各発光領域22からの光は、原則として、少なくとも4列×3の画素12を含む表示領域11の部分に入射する。図4等に示す発光領域22から透過型表示パネル10までの距離Z1(実施例3にあっては、実質的に、プリズムシート340と透過型表示パネル10との間の距離)は、図示せぬ部材によって保持されている。
【0164】
各発光領域22から視点D1,D2,D3,D4に向かう光が透過する画素12の列との関係は、実施例1において説明したと同様である。また、奇数列の発光領域22が発光状態であるときに、視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素12の列番号と、偶数列の発光領域22が発光状態であるときに、視点D1,D2,D3,D4に対応する画像を構成する画素12の列番号との関係も、実施例1において図21の(A)及び(B)を参照して説明したと同様である。
【0165】
従って、実施例1と同様に、奇数列の発光領域22が発光する状態と、偶数列の発光領域22が発光する状態とを交互に切り替え、透過型表示パネル10の画像を同期して適宜各視点に応じた画像に切り替えることによって、各視点用の画像の解像度の低下を軽減することができる。
【0166】
尚、実施例3の変形として、プリズム列を構成する第1斜面と第2斜面を、プリズム外部に対して凸の曲面状とした構成とすることもできる。この場合には、第1斜面若しくは第2斜面において反射(全反射)した光は、収束した後に発散する。
【実施例4】
【0167】
実施例4も実施例1の変形である。実施例4も、本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例1に対し、発光装置を構成する導光板の構造が相違する。以上の点を除く他、実施例4の立体画像表示装置4の構造は、実施例1で説明した立体画像表示装置1と同様である。
【0168】
実施例4の立体画像表示装置4を仮想的に分離したときの模式的な斜視図を図31に示す。尚、図31においても、透過型表示パネル10は一部分を図示し、駆動手段100の図示を省略した。立体画像表示装置4の概念図は、図1における発光装置20を図31に示す発光装置420に置き換え、図1における立体画像表示装置1を立体画像表示装置4と読み替えたと同様である。
【0169】
実施例4の立体画像表示装置4における透過型表示パネル10、レンズシート30、プリズムシート40、第1光源61、第2光源62、及び、駆動手段100の構成、動作、及び、作用については、実施例1で説明したと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0170】
図31に示すように、実施例4において、導光板450は、2枚の導光板450A,450Bが重ねられて構成されている。導光板450A,450Bは、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)から成る略矩形状の板である。導光板450A,450Bの各面は基本的に平面であるが、背面454A,454Bには、後述する斜面455A,455Bが設けられている。
【0171】
導光板450における一方の入光端面と他方の入光端面は、それぞれ、導光板450Aと導光板450Bに設けられている。第1光源61は、透過型表示パネル10側に配置される導光板450Aにおける入光端面452A側に配置されており、第2光源62は、導光板450Bにおける入光端面453B側に配置されている。
【0172】
尚、導光板450Bをプリズムシート40側に配置して、導光板450A,450Bを重ねる順番を入れ替えた構成とすることもできる。
【0173】
図32は、実施例4の立体画像表示装置において、導光板450から出射する第1光源61と第2光源62の光を説明するための模式的な一部端面図である。
【0174】
導光板450A,450Bの出光面451A,451Bは、図においてX−Y平面と平行である。導光板450Aの背面454Aには、図において左上がりの斜面455Aが所定のピッチEで複数設けられている。一方、導光板450Bの背面454Bには、図において右上がりの斜面455Bが所定のピッチEで複数設けられている。導光板450Aと導光板450Bとは同仕様の部材であって、斜面の向きが逆になるように重ねられている。
【0175】
斜面455A,455BがX−Y平面となす角度の値を「β」と表す。「β」は狭角側の値であり、斜面455A、斜面455Bを問わずその値の符号を正とする。
【0176】
尚、「β」の値は、発光装置420の設計に応じて適宜設定すればよい。ピッチEの値においても同様である。
【0177】
第2光源62の光の伝搬について説明する。第2光源62からの光が入光端面453Bから導光板450B内に入射し、背面454Bにおいて全反射し、出光面451Bに臨界角(PMMAの場合、約42度)を超える角度φ1aで入射したとする。尚、説明の都合上、図において光はX−Z平面上を伝搬するものとする。
【0178】
出光面451Bにおいて光は全反射する。反射角は角度φ1aである。この光が背面454B(より具体的には斜面455B)に入射する角度φ2pは、斜面455Bが右上がりであるため、φ2p=φ1a−βとなる。
【0179】
ここで、角度φ2pは臨界角より大きく、斜面455Bにおいて全反射した光は出光面451Bに角度φ2aで入射するものとする。角度φ2aは、斜面455Bが右上がりであるため、φ2a=φ1a−2×βとなる。換言すれば、斜面455Bで光が反射する毎に、出光面451Bへの光の入射角は、「2×β」ずつ小さくなるとといった関係にある。角度φ2aが臨界角以下の場合には、光は出光面451Bから外部に出射する。また、角度φ2aが臨界角を超える場合には、光は出光面451Bで全反射し、再び背面454Bに向かう。
【0180】
出光面451Bから光が出射する際には、導光板450B内における光の入射角は臨界角よりやや小さい角度であるので、出光面451Bからの光の出射角は大きな値となる。また、実際には、第2光源62の光は、種々の角度で入光端面453Bに入射するので、その影響により出光面451Bからの光の出射角も種々の値を取り得る。そして、出光面451Bからの光は、導光板450Aに入射し、導光板450Aの出光面451Aから出射する。実施例4においても、出光面451Aからの光の出射角は、約60度を中心として分布する。
【0181】
尚、背面454Bで光が反射する毎に、出光面451Bへの光の入射角は小さくなる。これにより、第2光源62から離れるほど光が出射しやすくなるので、入光端面453Bから離れることによる光の強さの不均一を打ち消すことができる。
【0182】
第1光源61の光の伝搬は、上述した説明において、「第2光源62」を『第1光源61』、「入光端面453B」を『入光端面452A』、「導光板450B」を『導光板450A』、「斜面455B」を『斜面455A』等と適宜読み替えればよいので、説明を省略する。
【0183】
第1光源61が発光しているときに導光板450から出射する光の方向は、図において左上がりとなり、第2光源62が発光しているときに導光板450から出射する光の方向は、図において右上がりとなる。第1光源61が発光しているときと第2光源62が発光しているときとの立体画像表示装置の動作は、実施例1において説明したと同様であるので、説明を省略する。
【実施例5】
【0184】
実施例5も実施例1の変形である。実施例5も、本発明の立体画像表示装置及びその駆動方法に関する。実施例1に対し、発光装置と透過型表示パネルとの間に配置され、光散乱状態と光透過状態との切り替えが可能な光制御手段を更に備えている点と、駆動手段500が、発光装置と透過型表示パネルの駆動に加えて光制御手段の光散乱状態/光透過状態の切り替えも行う点を除く他、実施例5の立体画像表示装置5の構造は、実施例1で説明した立体画像表示装置1と同様である。
【0185】
実施例5の立体画像表示装置5における透過型表示パネル10、及び、発光装置20の構成、動作、及び、作用については、実施例1で説明したと同様であるので、説明を省略する。
【0186】
また、光制御手段の光散乱状態/光透過状態の切り替えを行う点が相違する他、駆動手段500の構成、動作、及び、作用については、実施例1で駆動手段100について説明したと同様であるので、実施例1と共通する部分についての説明は省略する。
【0187】
実施例5の立体画像表示装置5を図33に示す。立体画像表示装置5は、発光装置20と透過型表示パネル10との間に配置された、光散乱状態と光透過状態との切り替えが可能な光制御手段570を備えている。
【0188】
光制御手段570は、例えばITOから成る透明電極が形成された透明な一対の基板と、これらの基板の間に配置された分散液晶材料層とを備えたパネルから成る。一対の基板は例えばPETから構成されている。尚、図示の都合上、光制御手段570を1枚のパネル状として表した。
【0189】
光制御手段570は、駆動手段500からの信号に基づいて、光散乱状態/光透過状態が切り替えられる。光制御手段570の一対の透明電極の間には、駆動手段500からの信号に基づいて電圧が印加され、あるいは電圧の印加が停止される。光制御手段570は、一対の透明電極の間に電圧が印加されると光透過状態となり、電圧の印加が停止されると光散乱状態となる。
【0190】
立体画像表示装置5にあっては、立体画像表示を行う場合には、駆動手段500からの信号によって光制御手段570は光透過状態とされる。そして、実施例1において説明したと同様の動作を行い、立体画像を表示する。
【0191】
一方、通常の画像表示を行う場合には、駆動手段500からの信号によって光制御手段570は光散乱状態とされる。これにより、発光領域22からの光は特に指向性を示すことなく透過型表示パネル10に入射するので、通常の画像表示を行うことができる。
【0192】
尚、通常の画像表示を行う場合には、第1光源61と第2光源62の発光/非発光を切り替えなくても特段支障は生じない。従って、通常の画像表示を行う場合には、例えば第1光源61と第2光源62のいずれか一方の発光を発光させ、あるいは双方を発光させるといった動作としてもよい。
【0193】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した立体画像表示装置の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。
【0194】
実施例2は、遮光用マスクが設けられていないとして説明したが、実施例1と同様に遮光用マスクを設けた構成とすることもできる。但し、実施例1よりも画像の輝度は低下する。実施例3においても同様である。尚、実施例3においてプリズム列を構成する第1斜面と第2斜面とをプリズム列の外部に対して凸の曲面状とした構成にあっては、光が収束する位置に遮光用マスクを配置することによって、実施例1と同様に輝度の低下を軽減することができる。
【0195】
実施例4における発光装置420は、実施例1における発光装置20の導光板50の置き換えとして説明したが、実施例2や実施例3における発光装置の導光板を置き換えた構成とすることもできる。
【0196】
実施例5の立体画像表示装置5は、実施例1の立体画像表示装置1に光制御手段570を追加した構成として説明したが、実施例2乃至実施例4の立体画像表示装置に光制御手段570を追加した構成とすることもできる。また、光制御手段570が、発光領域から透過型表示パネルまでの距離に相当する厚みのシート状のスペーサを構成するといった形態とすることもできる。
【符号の説明】
【0197】
1,2,3,4,5・・・立体画像表示装置、10・・・透過型表示パネル、11・・・表示領域、12・・・画素、20・・・発光装置、21・・・発光面、22・・・発光領域、30・・・レンズシート、31・・・レンズ列、32・・・遮光用マスク、33・・・開口、40・・・プリズムシート、41・・・プリズム列、42・・・第1斜面、43・・・第2斜面、50・・・導光板、51・・・出光面、52・・・入光端面、53・・・入光端面、54・・・背面、55A・・・斜面、55B・・・斜面、61・・・第1光源、62・・・第2光源、100・・・駆動手段、220・・・発光装置、230・・・レンズシート、231・・・レンズ列、320・・・発光装置、340・・・プリズムシート、341・・・プリズム列、342・・・第1斜面、343・・・第2斜面、420・・・発光装置、450・・・導光板、450A・・・導光板、450B・・・導光板、451A・・・出光面、451B・・・出光面、452A・・・入光端面、453B・・・入光端面、454A・・・背面、454B・・・背面、455A・・・斜面、455B・・・斜面、500・・・駆動手段、570・・・光制御手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に垂直方向に延びる列状の発光領域が水平方向に複数並んで配列されて成る発光面を有する発光装置、
発光装置の発光面に対向して配置され、2次元マトリクス状に配列された複数の画素から成る表示領域を有する透過型表示パネル、及び、
発光装置と透過型表示パネルとを駆動する駆動手段、
を備えており、
発光領域の延びる方向に直交する仮想平面上において、各発光領域の光は、発光領域の中心を通り且つ発光領域に直交する仮想直線に対して略対称に発散した状態で、透過型表示パネルの表示領域に入射し、
或る発光領域の光が入射する表示領域の部分と、或る発光領域に隣接する発光領域の光が入射する表示領域の部分とにおいて、一部の画素が重複し、
駆動手段によって、奇数列の発光領域が発光する状態と、偶数列の発光領域が発光する状態とが交互に切り替えられると共に、透過型表示パネルの画像が同期して切り替えられる立体画像表示装置。
【請求項2】
発光装置は、
一方の面が発光面に対応し、他方の面には頂角を挟む第1斜面と第2斜面から成るプリズム列が複数設けられており、一方の面の第1斜面に対応する部分が奇数列の発光領域に対応し、一方の面の第2斜面に対応する部分が偶数列の発光領域に対応するプリズムシート、
プリズム列内に第2斜面側から光を入射させ、第1斜面で反射した光によって奇数列の発光領域を発光させる第1光源、及び、
プリズム列内に第1斜面側から光を入射させ、第2斜面で反射した光によって偶数列の発光領域を発光させる第2光源、
を備えており、
駆動手段によって、第1光源と第2光源とは交互に発光/非発光が切り替えられる請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
発光装置は、プリズムシートと透過型表示パネルとの間に配置されたレンズシートを更に備えており、
各発光領域に対応するレンズシートの部分には、光を発散させるためのレンズ列が設けられている請求項2に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
プリズム列の第1斜面及び第2斜面は、プリズム列の外部に対して凹の曲面状、若しくは、プリズム列の外部に対して凸の曲面状である請求項2に記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
発光装置は、それぞれ隣接する発光領域の境界部に対応して設けられた遮光部を有する遮光用マスクを更に備えている請求項2に記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
発光装置は、互いに対向する2つの入光端面と、プリズムシートの他方の面に対向する出光面とを有する導光板を更に備えており、
第1光源と第2光源は、それぞれ、一方の入光端面側と他方の入光端面側に配置されている請求項2に記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
発光装置と透過型表示パネルとの間に配置され、光散乱状態と光透過状態との切り替えが可能な光制御手段を更に備えている請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項1】
実質的に垂直方向に延びる列状の発光領域が水平方向に複数並んで配列されて成る発光面を有する発光装置、
発光装置の発光面に対向して配置され、2次元マトリクス状に配列された複数の画素から成る表示領域を有する透過型表示パネル、及び、
発光装置と透過型表示パネルとを駆動する駆動手段、
を備えており、
発光領域の延びる方向に直交する仮想平面上において、各発光領域の光は、発光領域の中心を通り且つ発光領域に直交する仮想直線に対して略対称に発散した状態で、透過型表示パネルの表示領域に入射し、
或る発光領域の光が入射する表示領域の部分と、或る発光領域に隣接する発光領域の光が入射する表示領域の部分とにおいて、一部の画素が重複し、
駆動手段によって、奇数列の発光領域が発光する状態と、偶数列の発光領域が発光する状態とが交互に切り替えられると共に、透過型表示パネルの画像が同期して切り替えられる立体画像表示装置。
【請求項2】
発光装置は、
一方の面が発光面に対応し、他方の面には頂角を挟む第1斜面と第2斜面から成るプリズム列が複数設けられており、一方の面の第1斜面に対応する部分が奇数列の発光領域に対応し、一方の面の第2斜面に対応する部分が偶数列の発光領域に対応するプリズムシート、
プリズム列内に第2斜面側から光を入射させ、第1斜面で反射した光によって奇数列の発光領域を発光させる第1光源、及び、
プリズム列内に第1斜面側から光を入射させ、第2斜面で反射した光によって偶数列の発光領域を発光させる第2光源、
を備えており、
駆動手段によって、第1光源と第2光源とは交互に発光/非発光が切り替えられる請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
発光装置は、プリズムシートと透過型表示パネルとの間に配置されたレンズシートを更に備えており、
各発光領域に対応するレンズシートの部分には、光を発散させるためのレンズ列が設けられている請求項2に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
プリズム列の第1斜面及び第2斜面は、プリズム列の外部に対して凹の曲面状、若しくは、プリズム列の外部に対して凸の曲面状である請求項2に記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
発光装置は、それぞれ隣接する発光領域の境界部に対応して設けられた遮光部を有する遮光用マスクを更に備えている請求項2に記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
発光装置は、互いに対向する2つの入光端面と、プリズムシートの他方の面に対向する出光面とを有する導光板を更に備えており、
第1光源と第2光源は、それぞれ、一方の入光端面側と他方の入光端面側に配置されている請求項2に記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
発光装置と透過型表示パネルとの間に配置され、光散乱状態と光透過状態との切り替えが可能な光制御手段を更に備えている請求項1に記載の立体画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【公開番号】特開2012−3099(P2012−3099A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138918(P2010−138918)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]