説明

端子接続構造

【課題】電気的接続の信頼性を向上させる端子接続構造を提供する。
【解決手段】端子接続構造は、複数の第1の接続端子12,13が第1の絶縁性基板11に設けられたフレキシブルプリント配線板10と、複数の第1の接続端子12,13とそれぞれ対向する複数の第2の接続端子22,23が第2の絶縁性基板21に設けられたリジッドプリント配線板20と、フレキシブルプリント配線板10とリジッドプリント配線板20の間に積層され、複数の第1の接続端子12,13と複数の第2の接続端子22,23をそれぞれ電気的に接続する異方性導電フィルム30と、を備え、第1の絶縁性基板11は、複数の第1の接続端子12,13同士の間において、第2の絶縁性基板21に向かって凸状に湾曲している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性導電フィルムを用いた端子接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品と基板との間に異方性導電フィルムを積層して、電子部品の電極と基板の電極との間を電気的に接合したACF(anisotropic conductive film)接合構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−16949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のACF接合構造では、電子部品や基板の電極が厚いと、異方性導電フィルムも厚くする必要がある。しかしながら、異方性導電フィルムを所定の厚さ以上に形成することは、現在のところ技術的に限界がある。このため、上記のACF接合構造では、電子部品や基板の電極が厚いと、電子部品と基板の間に異方性導電フィルムを十分に介在させることができず、電子部品と基板の間にボイドが生じ、電気的接続の信頼性が低下するおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、電気的接続の信頼性を向上させる端子接続構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る端子接続構造は、複数の第1の接続端子が第1の絶縁性基板に設けられたフレキシブルプリント配線板と、複数の前記第1の接続端子とそれぞれ対向する複数の第2の接続端子が第2の絶縁性基板に設けられたリジッドプリント配線板と、前記フレキシブルプリント配線板と前記リジッドプリント配線板の間に積層され、複数の前記第1の接続端子と複数の前記第2の接続端子をそれぞれ電気的に接続する異方性導電フィルムと、を備え、前記第1の絶縁性基板は、複数の前記第1の接続端子同士の間において、前記第2の絶縁性基板に向かって凸状に湾曲していることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る端子接続構造は、複数の第1の接続端子が第1の絶縁性基板に設けられたフレキシブルプリント配線板と、複数の前記第1の接続端子とそれぞれ対向する複数の第2の接続端子が端子形成面に設けられた電子部品と、前記フレキシブルプリント配線板と前記電子部品の間に積層され、複数の前記第1の接続端子と複数の前記第2の接続端子をそれぞれ電気的に接続する異方性導電フィルムと、を備え、前記第1の絶縁性基板は、複数の前記第1の接続端子同士の間において、前記端子形成面に向かって凸状に湾曲していることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る端子接続構造は、複数の第1の接続端子が第1の絶縁性基板に設けられた第1のフレキシブルプリント配線板と、複数の前記第1の接続端子とそれぞれ対向する複数の第2の接続端子が第2の絶縁性基板に設けられた第2のフレキシブルプリント配線板と、前記第1のフレキシブルプリント配線板と前記第2のフレキシブルプリント配線板の間に積層され、複数の前記第1の接続端子と複数の前記第2の接続端子をそれぞれ電気的に接続する異方性導電フィルムと、を備え、前記第1の絶縁性基板は、複数の前記第1の接続端子同士の間において、前記第2の絶縁性基板に向かって凸状に湾曲していることを特徴とする。
【0009】
上記発明において、前記第2の絶縁性基板は、複数の前記第2の接続端子同士の間において、前記第1の絶縁性基板に向かって凸状に湾曲していてもよい。
【0010】
上記発明において、下記(1)式を満たしていてもよい。
【0011】
【数2】

但し、上記(1)式において、Lは湾曲した前記第1の絶縁性基板から前記第2の絶縁性基板又は前記端子形成面までの最短距離であり、Hは前記第1の接続端子の厚さであり、Hは前記第2の接続端子の厚さである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1の絶縁性基板が、複数の第1の接続端子同士の間において、第2の絶縁性基板又は端子形成面に向かって凸状に湾曲しているので、電気的接続の信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態におけるプリント配線板の端子接続構造を示す断面図である。
【図2】図2は、ループスティフネステストの概要を示す正面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態におけるプリント配線板の端子接続構造の変形例を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示す断面図である(その1)。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示す断面図である(その2)。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態におけるプリント配線板の端子接続構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
<<第1実施形態>>
図1は本実施形態におけるプリント配線板の端子接続構造を示す断面図、図2はループスティフネステストの概要を示す正面図、図3は本実施形態におけるプリント配線板の端子接続構造の変形例を示す断面図である。
【0016】
本実施形態における端子接続構造は、プリント配線板1において、接続端子12,13(後述)と接続端子22,23(後述)の間をそれぞれ電気的に接続する構造である。
【0017】
プリント配線板1は、図1に示すように、第1のフレキシブルプリント配線板(FPC:flexible printed circuit)10と、リジッドプリント配線板(rigid printed wiring board)20と、異方性導電フィルム30と、を備えている。
【0018】
第1のフレキシブルプリント配線板10は、図1に示すように、第1の絶縁性基板11と、第1及び第2の接続端子12,13と、を有している。
【0019】
第1の絶縁性基板11は、ポリイミド(polyimide)やポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)等の可撓性を有する材料で構成されている。なお、第1の絶縁性基板11に用いられる材料としては、ループスティフネステスト(JPCA−TM02−2009)において50N(25mm換算値)以下であることが好ましい。
【0020】
ループスティフネステストの具体的なテスト方法としては、図2に示すように、第1の絶縁性基板11の両端11a,11bを取手41で把持し、その両端11a,11bを互いに接近させるように取手41をスライド移動させて、第1の絶縁性基板11の中央部分11cを凸状に湾曲させる。この状態で、第1の絶縁性基板11の中央部分11cをロードセル42で押圧して、第1の絶縁性基板11からの反発力を測定する。
【0021】
この第1の絶縁性基板11は、図1に示すように、後述する第1及び第2の接続端子12,13の間において、後述するリジッドプリント配線板20の第2の絶縁性基板21に向かって凸状に湾曲している。
【0022】
第1及び第2の接続端子11,12は、図1に示すように、リジッドプリント配線板20(後述)との間で電気信号を入出力するための端子である。このうち、第1の接続端子12がリジッドプリント配線板20の第3の接続端子22(後述)と電気的に接続し、第2の接続端子13がリジッドプリント配線板20の第4の接続端子23(後述)と電気的に接続している。
【0023】
第1及び第2の接続端子12,13は、図1に示すように、第1の絶縁性基板11の下面に設けられており、第1の接続端子12が図中左側に配置され、第2の接続端子13が図中右側に配置されている。なお、第2の接続端子13は、第1の接続端子12から第1の間隔S離れている。
【0024】
また、第1及び第2の接続端子12,13の厚さは、図1に示すように、共に第1の厚さHとなっている。このような第1及び第2の接続端子12,13は、例えば銅や銀、或いは半田等の導電性を有する材料で構成されている。
【0025】
リジッドプリント配線板20は、図1に示すように、第2の絶縁性基板21と、第3及び第4の接続端子22,23と、を有している。
【0026】
第2の絶縁性基板21は、例えばガラスエポキシ樹脂等の硬質な材料で構成され、平坦な板状となっている。
【0027】
第3及び第4の接続端子22,23は、図1に示すように、第1のフレキシブルプリント配線板10との間で電気信号を入出力するための端子である。第3及び第4の接続端子22,23は、第2の絶縁性基板21の上面に設けられており、第3の接続端子22が第1の接続端子12と対向するように図中左側に配置され、第4の接続端子23が第2の接続端子13と対向するように図中右側に配置されている。なお、第4の接続端子23は、第3の接続端子22から第2の間隔S離れている。この第2の間隔Sは、第1及び第2の接続端子12,13間の第1の間隔Sと実質的に同一となっている(S≒S)。
【0028】
また、第3及び第4の接続端子22,23の厚さは、図1に示すように、共に第2の厚さHとなっている。このような第3及び第4の接続端子22,23は、例えば銅や銀、或いは半田等の導電性を有する材料で構成されている。
【0029】
異方性導電フィルム30は、接着層31と、導電性粒子32と、を含んでいる。
【0030】
接着層31は、第1のフレキシブルプリント配線板10とリジッドプリント配線板20の間に積層され、第1の絶縁性基板11と第2の絶縁性基板21との間を接着している。接着層31は、例えばエポキシ系樹脂等の熱硬化性の接着剤で構成されている。
【0031】
導電性粒子32は、接着層31中に分散された複数の導電性の粒子である。この導電性粒子32は、図1に示すように、第1及び第3の接続端子12,22の間に挟まれて、第1及び第3の接続端子12,22の間を電気的に接続し、第2及び第4の接続端子13,23の間に挟まれて、第2及び第4の接続端子13,23の間を電気的に接続している。この導電性粒子32は、例えばニッケル、銀、銅、球状の樹脂粒子の表面に金属メッキを施したもの等で構成されている。
【0032】
この異方性導電フィルム30の加熱硬化(仮硬化も含む)前の厚さは、接続端子12,13,22,23の各寸法(幅、厚さH,H、間隔S,S)に応じた厚さとなっており、特に厚さH,Hに依存する傾向にある。
【0033】
例えば、接続端子12,13,22,23の幅を全て100μmとし、第1及び第2の間隔S,Sを共に100μmとし、第1及び第2の厚さH,Hを共に40μmとした一例において、仮に第1の絶縁性基板11が平坦な状態であるとすると、異方性導電フィルム30の加熱硬化前の厚さは60μm以上であることが好ましいとされている。
【0034】
しかしながら、異方性導電フィルムは、現在のところ、厚く形成することが技術的に困難とされており、厚さの上限が50μmとなっている。このため、上記の一例では、十分な厚さ(60μm以上)の異方性導電フィルムを、第1のフレキシブルプリント配線板とリジッドプリント配線板の間に介在させることができない。このため、第1のフレキシブルプリント配線板とリジッドプリント配線板の間にボイドが発生し、熱衝撃よりボイドが収縮又は膨張することで、第1及び第3の接続端子12,22(第2及び第4の接続端子13,23)が互いに接近又は離反し、プリント配線板(端子接続構造)の電気的接続の信頼性が悪化することがある。
【0035】
これに対し、本実施形態におけるプリント配線板1(端子接続構造)では、図1に示すように、第1のフレキシブルプリント配線板10の第1の絶縁性基板11が、第1及び第2の接続端子12,13の間において、リジッドプリント配線板20の第2の絶縁性基板21に向かって凸状に湾曲しており、第1のフレキシブルプリント配線板10とリジッドプリント配線板20との間に形成される空間(異方性導電フィルム30が介在する部分)が小さくなっている。すなわち、第1及び第2の絶縁性基板11,21と接続端子12,13,22,23により囲まれる断面積Aが下記(2)式を満たすようになっている。
【0036】
【数3】

但し、上記(2)式において、Hは第1及び第2の接続端子12,13の厚さであり、Hは第3及び第4の接続端子22,23の厚さであり、Sは第1及び第2の接続端子12,13間の間隔である。
【0037】
このため、薄い異方性導電フィルム30であっても、第1のフレキシブルプリント配線板10とリジッドプリント配線板20の間に、十分に介在することができる。これにより、第1のフレキシブルプリント配線板10とリジッドプリント配線板20の間におけるボイドの発生が抑制され、プリント配線板1(端子接続構造)の熱衝撃に対する耐性が向上し、電気的接続の信頼性が向上する。
【0038】
例えば、上記の一例では、第1の絶縁性基板を第2の絶縁性基板に向かって凸状に湾曲させることで、50μm以下(例えば45μm)の厚さの異方性導電フィルムを用いても、第1のフレキシブルプリント配線板とリジッドプリント配線板の間を信頼性に優れた状態で電気的に接続させることができる。
【0039】
また、このようなプリント配線板1(端子接続構造)では、下記(1)式を満たすことが好ましい。
【0040】
【数4】

但し、上記(1)式において、Lは湾曲した第1の絶縁性基板11から第2の絶縁性基板21までの最短距離であり(図1参照)、Hは第1及び第2の接続端子12,13の厚さであり、Hは第3及び第4の接続端子22,23の厚さである。
【0041】
特に、第1の絶縁性基板11を大きく湾曲させて、上記(1)式におけるLを小さくすることで、より薄い異方性導電フィルム30で、第1のフレキシブルプリント配線板10とリジッドプリント配線板20の間における電気的接続の信頼性を向上させることができる。或いは、第1及び第2の接続端子12,13の第1の厚さHを厚く形成した第1のフレキシブル配線板10と、第3及び第4の接続端子22,23の第2の厚さHを厚く形成したリジッドプリント配線板20と、の間における電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0042】
また、プリント配線板1の生産において、異方性導電フィルム30の使用量が減少することから、プリント配線板1のコストを低下させることができる。
【0043】
なお、本実施形態におけるプリント配線板1では、第1のフレキシブルプリント配線板10がリジッドプリント配線板20に接続されているが、リジッドプリント配線板20に代えて第2のフレキシブルプリント配線板(不図示)に、第1のフレキシブルプリント配線板10を接続させてもよい。この場合には、第2の絶縁性基板(不図示)を、ポリイミドやポリエチレンテレフタレート等の可撓性を有する材料で構成する。
【0044】
また、図3に示すように、リジッドプリント配線板20に代えて電子部品50に、第1のフレキシブルプリント配線板10を接続させてもよい。この場合には、第3及び第4の接続端子52,53を、電子部品50の端子形成面51に設けた半田バンプで構成してもよい。
【0045】
このように、第1の絶縁性基板11を湾曲させた状態で、第1のフレキシブルプリント配線板10を電子部品50に接続させることで、第1のフレキシブルプリント配線板10と電子部品50との間でのボイドの発生を抑制し、熱衝撃に対する耐性及び電気的接続の信頼性を向上させることができる。また、このようにボイドの発生を抑制することで、ボイドの膨張又は収縮に伴って電子部品50に伝達される応力を低減させ、電子部品50の反りを抑制させることができる。
【0046】
また、このように電子部品50に第1のフレキシブルプリント配線板10を接続させる場合においても、下記(1)式を満たすことが好ましい。
【0047】
【数5】

但し、上記(1)式において、Lは湾曲した第1の絶縁性基板11から端子形成面51までの最短距離であり(図3参照)、Hは第1及び第2の接続端子12,13の厚さであり、Hは第3及び第4の接続端子52,53の厚さである。
【0048】
また、本実施形態では、第1のフレキシブルプリント配線板10に2つの接続端子12,13を設け、リジッドプリント配線板20(第2のフレキシブルプリント配線板又は電子部品)にも2つの接続端子22,23(接続端子52,53)を設けたが、それぞれの接続端子の数は2つ以上であれば特に限定されない。例えば、第1のフレキシブルプリント配線板とリジッドプリント配線板(第2のフレキシブルプリント配線板又は電子部品)に、それぞれ3つずつ接続端子を設けてもよい。この場合にも、第1のフレキシブルプリント配線板の第1の絶縁性基板を、それぞれの接続端子同士の間において、第2の絶縁性基板又は端子形成面に向かって凸状に湾曲させる。
【0049】
次に、本実施形態におけるプリント配線板の製造方法について説明する。
【0050】
図4及び図5は本実施形態におけるプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
【0051】
本実施形態におけるプリント配線板1の製造方法では、図4に示すように、まずリジッドプリント配線板20に異方性導電フィルム30を積層する。次いで、異方性導電フィルム30を加熱及び加圧して、リジッドプリント配線板20に仮圧着(異方性導電フィルム30の接着層31を、完全に硬化させることなく、リジッドプリント配線板20に接着させる。)させる。なお、このような加熱及び加圧は、例えばオーブンとラミネータを用いることで行うことができ、例えば接着層31がエポキシ系樹脂で構成される場合には、加熱温度は60℃〜80℃程度であり、圧力は1MPa程度である。
【0052】
次いで、第1の接続端子12と第3の接続端子22を位置合わせし、第2の接続端子13と第4の接続端子23を位置合わせして、加熱せずに異方性導電フィルム30を第1のフレキシブルプリント配線板10に仮圧着させる。
【0053】
次いで、図5に示すように、緩衝シート61を介して、圧着ツール62で第1のフレキシブルプリント配線板10を加熱しながら押圧し、異方性導電フィルム30を本圧着(接着層31を完全に硬化させる。)させる。なお、例えば接着層31がエポキシ系樹脂で構成される場合には、本圧着の加熱温度は200℃程度であり、圧力は3MPa〜5MPa程度である。
【0054】
この本圧着の際に、第1及び第3の接続端子12,22が異方性導電フィルム30の導電性粒子32を介して接続し、第2及び第4の接続端子13,23が異方性導電フィルム30の導電性粒子32を介して接続する。
【0055】
ここで、緩衝シート61において第1及び第2の接続端子12,13に対応する部分は、第1のフレキシブルプリント配線板10と圧着ツール62に挟まれて圧縮される。一方、緩衝シート61において第1及び第2の接続端子12,13(第3及び第4の接続端子22,23)の間に対応する部分は、第1の絶縁性基板11と異方性導電フィルム30のみに支持されるに過ぎないため、圧縮されずに元の厚さを保持しようとする。
【0056】
このように、緩衝シート61が第1のフレキシブルプリント配線板10の第1及び第2の接続端子12,13の配置に追従して変形することで、第1及び第2の接続端子12,13の間において、第1の絶縁性基板11が第2の絶縁性基板21に向かって凸状に湾曲する。
【0057】
この状態で異方性導電フィルム30の接着層31が硬化すると、第1の絶縁性基板11の形状が保持されると共に、第1及び第3の接続端子12,22が電気的に接続した状態で保持され、第2及び第4の接続端子13,23が電気的に接続した状態で保持される。
【0058】
ここで、上述した緩衝シート61の材料として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)やシリコーンゴム(silicone rubber)等を挙げることができる。なお、本実施形態における押圧前の緩衝シート61は、平坦な板状(不図示)となっているが、第1及び第2の接続端子12,13の間に対応する部分を、予め突出させた形状にしてもよい。
【0059】
上記の圧着ツール62は、本体部62aと、凸部62bと、を有しており、例えばステンレス(SUS)で構成されている。本体部62aは、板状となっており、下面で第1のフレキシブルプリント配線板10と当接する。凸部62bは、本体部62aの上面に配置されている。この凸部62bには、動力源(不図示)から押圧力と、ヒータ(不図示)から熱と、が伝達されるようになっている。
【0060】
なお、本実施形態における第1及び第2の接続端子12,13が本発明の第1の接続端子の一例に相当し、本実施形態における第3及び第4の接続端子22,23,52,53が本発明の第2の接続端子の一例に相当する。
【0061】
次に、第2実施形態について説明する。
【0062】
<<第2実施形態>>
図6は本実施形態におけるプリント配線板の端子接続構造を示す断面図である。
【0063】
本実施形態におけるプリント配線板(端子接続構造)1aは、第2のフレキシブルプリント配線板70の構成において第1実施形態と相違するが、それ以外の構成については第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違する点についてのみ説明し、第1実施形態と同様の構成である部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
第2のフレキシブルプリント配線板70の第2の絶縁性基板71は、図6に示すように、第3及び第4の接続端子72,73の間において、第1のフレキシブルプリント配線板10の第1の絶縁性基板11に向かって凸状に湾曲している。
【0065】
このため、本実施形態におけるプリント配線板1a(端子接続構造)では、第1のフレキシブルプリント配線板10と第2のフレキシブルプリント配線板70との間に形成される空間(異方性導電フィルム30が介在する部分)がさらに小さくなり、より薄い異方性導電フィルム30で、第1のフレキシブルプリント配線板10と第2のフレキシブルプリント配線板70との間における電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0066】
また、このようなプリント配線板1a(端子接続構造)においても、下記(1)式を満たすことが好ましい。
【0067】
【数6】

但し、上記(1)式において、Lは湾曲した第1の絶縁性基板11から第2の絶縁性基板71までの最短距離であり(図6参照)、Hは第1及び第2の接続端子12,13の厚さであり、Hは第3及び第4の接続端子72,73の厚さである。
【0068】
特に、第1及び第2の絶縁性基板11,71を大きく湾曲させて、上記(1)式のLを小さくすることで、さらに薄い異方性導電フィルム30で、第1のフレキシブルプリント配線板10と第2のフレキシブルプリント配線板70の間における電気的接続の信頼性を向上させることができる。或いは、第1及び第2の接続端子12,13の第1の厚さHを厚く形成した第1のフレキシブル配線板10と、第3及び第4の接続端子72,73の第2の厚さHを厚く形成した第2のフレキシブルプリント配線板70と、の間における電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0069】
なお、第2の絶縁性基板71は、本圧着の工程において、凸状に湾曲した第1の絶縁性基板11が復元しようとする力により、接着層31を介して第1の絶縁性基板11に向かって引っ張られることで、凸状に湾曲する。
【0070】
なお、本実施形態における第1及び第2の接続端子12,13が本発明の第1の接続端子の一例に相当し、本実施形態における第3及び第4の接続端子72,73が本発明の第2の接続端子の一例に相当する。
【0071】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0072】
1,1a…プリント配線板
10…第1のフレキシブルプリント配線板
11…第1の絶縁性基板
12,22…接続端子
20…リジッドプリント配線板
21…第2の絶縁性基板
22,23…第3の接続端子
30…異方性導電フィルム
31…接着層
32…導電性粒子
50…電子部品
51…端子形成面
52,53…接続端子
70…第2のフレキシブルプリント配線板
71…第2の絶縁性基板
72,73…接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の接続端子が第1の絶縁性基板に設けられたフレキシブルプリント配線板と、
複数の前記第1の接続端子とそれぞれ対向する複数の第2の接続端子が第2の絶縁性基板に設けられたリジッドプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板と前記リジッドプリント配線板の間に積層され、複数の前記第1の接続端子と複数の前記第2の接続端子をそれぞれ電気的に接続する異方性導電フィルムと、を備え、
前記第1の絶縁性基板は、複数の前記第1の接続端子同士の間において、前記第2の絶縁性基板に向かって凸状に湾曲していることを特徴とする端子接続構造。
【請求項2】
複数の第1の接続端子が第1の絶縁性基板に設けられたフレキシブルプリント配線板と、
複数の前記第1の接続端子とそれぞれ対向する複数の第2の接続端子が端子形成面に設けられた電子部品と、
前記フレキシブルプリント配線板と前記電子部品の間に積層され、複数の前記第1の接続端子と複数の前記第2の接続端子をそれぞれ電気的に接続する異方性導電フィルムと、を備え、
前記第1の絶縁性基板は、複数の前記第1の接続端子同士の間において、前記端子形成面に向かって凸状に湾曲していることを特徴とする端子接続構造。
【請求項3】
複数の第1の接続端子が第1の絶縁性基板に設けられた第1のフレキシブルプリント配線板と、
複数の前記第1の接続端子とそれぞれ対向する複数の第2の接続端子が第2の絶縁性基板に設けられた第2のフレキシブルプリント配線板と、
前記第1のフレキシブルプリント配線板と前記第2のフレキシブルプリント配線板の間に積層され、複数の前記第1の接続端子と複数の前記第2の接続端子をそれぞれ電気的に接続する異方性導電フィルムと、を備え、
前記第1の絶縁性基板は、複数の前記第1の接続端子同士の間において、前記第2の絶縁性基板に向かって凸状に湾曲していることを特徴とする端子接続構造。
【請求項4】
請求項3記載の端子接続構造であって、
前記第2の絶縁性基板は、複数の前記第2の接続端子同士の間において、前記第1の絶縁性基板に向かって凸状に湾曲していることを特徴とする端子接続構造。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の端子接続構造であって、
下記(1)式を満たすことを特徴とする端子接続構造。
【数1】

但し、上記(1)式において、Lは湾曲した前記第1の絶縁性基板から前記第2の絶縁性基板又は前記端子形成面までの最短距離であり、Hは前記第1の接続端子の厚さであり、Hは前記第2の接続端子の厚さである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−146421(P2011−146421A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3805(P2010−3805)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】