説明

端末保持装置及び端末保持方法

【課題】端末装置のカメラの視野を確保することが可能な端末保持装置を提供する。
【解決手段】端末保持装置は、背面にカメラ部を有する端末装置を保持し、保持部と、カメラ露出部と、取付部と、支持部と、を備える。保持部は、端末装置を保持面で保持する。カメラ露出部は、保持部に形成され、カメラ部を露出させる。取付部は、保持部を設置面に取り付ける。支持部は、一端が取付部の一端部に第一接続部で調整可能に接続され、他端が保持部の保持面の反対側に第二接続部で調整可能に接続される。そして、端末保持装置は、取付部の他端部が第一接続部よりも保持部側、即ち取付部の中央部寄りに位置した状態で、カメラ露出部を第二接続部に対して取付部に近い位置、及び第二接続部に対して取付部から離れた位置のいずれにも調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置を保持する端末保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型のナビゲーション装置が普及している。携帯型ナビゲーション装置を、クレードル(端末保持装置)を利用して車両に設置する例が特許文献1に記載されている。
【0003】
一方、近年では、「スマートフォン」と呼ばれる高機能携帯電話などの携帯型端末装置を車両などの移動体に設置し、利用することが行われている。スマートフォンでは、ナビゲーション装置に類似したアプリケーションが提案されており、スマートフォンを車両に設置し、ナビゲーション装置として使用することが可能である。
【0004】
また、ナビゲーションを行う際に表示する案内表示の例として、カメラで撮影した実写映像を用いた案内表示を行う例が特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−86215号公報
【特許文献2】特開2008−020288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、端末保持装置は、ダッシュボードなどの水平面に取り付けられる。一方、端末保持装置をフロントガラスに設置できると、設置場所の選択肢が増えてユーザにとって便宜である。しかしながら、この状態では、端末装置のカメラの視野(Field of View)の一部が端末保持装置によって遮られる場合がある。従って、このような構成の場合、端末装置のカメラで撮影した実写映像に基づく案内表示を行うときに、フロントガラスに端末保持装置を設置すると、端末装置は、適切に案内表示をすることができない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、端末装置のカメラの視野を確保することが可能な端末保持装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、カメラ部を有する端末装置を保持する端末保持装置であって、 前記カメラ部による撮影が可能な状態で前記端末装置保持する保持部と、前記保持部を設置面に取り付けるための取付部と、前記保持部と前記取付部との位置関係を調整可能に接続され、前記保持部に保持された端末装置のカメラ部の撮影方向に位置する支持部と、を有し、前記支持部は、前記取付部に対する前記保持部の位置関係を変化させることなく、前記カメラ部の撮影を遮る位置と撮影を遮らない位置との間で調整が可能であることを特徴とする。
【0009】
請求項6に記載の発明は、カメラ部を有する端末装置を、前記カメラ部による撮影が可能な状態で保持する保持部と、前記保持部を設置面に取り付けるための取付部と、前記保持部と前記取付部との位置関係を調整可能に接続され、前記保持部に保持された端末装置のカメラ部の撮影方向に位置する支持部と、を有し、前記支持部は、前記取付部に対する前記保持部の位置関係を変化させることなく、前記カメラ部の撮影を遮る位置と撮影を遮らない位置との間で調整が可能である端末保持装置を、前記取付部によって移動体のフロントウィンドウに取り付けた状態で、前記端末装置を保持させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施例に係る端末保持装置の(a):正面図、(b):側面図及び(c):背面図である。
【図2】(a):端末保持装置の正面図、(b):(a)から端末ホルダを約90度回転させた図、(c):端末保持装置の背面図、(d):(c)から端末ホルダを約90度回転させた図をそれぞれ示す。
【図3】吊り下げ設置状態における端末保持装置を示す図である。
【図4】収納状態における端末保持装置を示す図である。
【図5】第2実施例に係る端末保持装置の(a):正面図、(b):側面図及び(c):背面図である。
【図6】第2実施例での吊り下げ設置状態における端末保持装置を示す図である。
【図7】第2実施例の変形例に係る端末保持装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態によれば、カメラ部を有する端末装置を保持する端末保持装置であって、前記端末装置を保持面で保持する保持部と、前記保持部に形成され、前記カメラ部を露出させるカメラ露出部と、前記保持部を設置面に取り付ける取付部と、一端が前記取付部の一端部に第一接続部で調整可能に接続され、他端が前記保持部の保持面の反対側に第二接続部で調整可能に接続された支持部と、を備え、前記取付部の他端部が前記第一接続部よりも前記保持部側に位置した状態で、前記カメラ露出部を前記第二接続部に対して前記取付部に近い位置、及び前記第二接続部に対して前記取付部から離れた位置のいずれにも調整可能である。
【0012】
上記の端末保持装置は、背面にカメラ部を有する端末装置を保持し、保持部と、カメラ露出部と、取付部と、支持部と、を備える。保持部は、端末装置を保持面で保持する。カメラ露出部は、保持部に形成され、カメラ部を露出させる。取付部は、保持部を設置面に取り付ける。支持部は、一端が取付部の一端部に第一接続部で調整可能に接続され、他端が保持部の保持面の反対側に第二接続部で調整可能に接続される。そして、端末保持装置は、取付部の他端部が第一接続部よりも保持部側、即ち取付部の中央部寄りに位置した状態で、カメラ露出部を第二接続部に対して取付部に近い位置、及び第二接続部に対して取付部から離れた位置のいずれにも調整可能である。この実施形態によれば、端末保持装置は、支持部により吊り下げられた状態で設置された場合であっても、端末装置のカメラ部の視野を遮ることなく、端末装置を保持することができる。
【0013】
上記の端末保持装置の一態様では、前記保持部が前記保持面の面方向に回転可能である。
【0014】
上記の端末保持装置の一態様では、前記支持部は前記第一接続部を中心として前記取付部に対して所定の角度で自由回動可能であり、且つ前記保持部は前記第二接続部を中心として一方向に回転可能に構成されている。
【0015】
上記の端末保持装置の一態様では、前記第一接続部はボールジョイントにて前記取付部と支持部とを接続しており、第二接続部は前記支持部に対して前記保持部を一の軸を中心に回転可能に接続している。
【0016】
これらの態様により、端末保持装置は、好適に、取付部の他端部が第一接続部よりも保持部側に位置した状態で、カメラ露出部を第二接続部に対して取付部に近い位置、及び第二接続部に対して取付部から離れた位置のいずれにも調整することが可能となる。
【0017】
上記の端末保持装置の一態様では、前記カメラ露出部からの視界が前記支持部に重複しない位置に前記保持部を調整可能とした。
【0018】
上記の端末保持装置の一態様では、前記支持部の一端が、前記支持部の他端よりも、鉛直方向を基準として上方に位置した状態では、前記取付部の一端部に対して、前記取付部の他端部が、鉛直方向を基準として上方に位置する。この実施形態によれば、端末保持装置が支持部により吊り下げられた状態で設置された場合、取付部は、支持部と接続する端部から、他端部にかけて、カメラ部の視野から遠ざかる方向に、設置面上で延在する。従って、端末保持装置は、支持部により吊り下げられた状態で設置された場合であっても、端末装置のカメラ部の視野を遮ることなく、端末装置を保持することができる。
【0019】
上記の端末保持装置の一態様では、前記支持部は、前記支持部の他端を中心として、前記端末装置の長手方向に回動自在である。なお、「回動」とは、正逆方向に円運動することを指す。このようにすることで、端末保持装置は、端末装置の表示面の向きを変えずに、支持部により吊り下げられた状態で端末装置を保持することができる。
【0020】
上記の端末保持装置の他の一態様では、前記設置面は、前記車両のダッシュボード又はフロントガラスであり、いずれに取り付けられた場合においても、前記カメラ部の視野を遮らない位置に設置される。このようにすることで、ユーザが端末装置を端末保持装置に載置した状態でカメラを使用する場合であっても、カメラの視野を妨げることなく、ダッシュボード又はフロントガラスのいずれにも端末保持装置が設置される。
【0021】
上記の端末保持装置の他の一態様では、前記支持部は、前記保持部に対して、前記端末装置の長手方向にスライド自在である。このようにすることで、端末保持装置の支持部は短く設計されることが可能となり、端末保持装置の安定性を向上させることができる。
【0022】
上記の端末保持装置の他の一態様では、前記支持部は、前記支持部の他端を中心として、前記端末装置の長手方向に回動自在であり、前記支持部の延在方向での長さは、前記保持部の長手方向における長さの1/2以下である。この態様では、支持部が保持部に対して端末装置の長手方向にスライド自在であり、かつ、支持部の一端が端末装置の長手方向に移動自在である。従って、支持部の一端が、支持部の他端よりも上方になるように設置された場合、又は支持部の一端が、支持部の他端よりも下方になるように設置された場合のいずれの場合であっても、これに応じて支持部をスライドさせることにより、支持部の延在方向での長さを、保持部の長手方向における長さの1/2以下にすることができる。
【0023】
上記の端末保持装置の他の一態様では、前記支持部は、前記カメラ部の視野を避ける位置に保持される。一般に、端末保持装置が支持部により吊り下げられた状態で設置面に取り付けられた場合、カメラ部の位置によっては、カメラ部の視野が支持部によって遮られることがある。これに対し、本実施形態では、支持部が、保持部と取付部との位置関係を保ったまま移動し、カメラ部の視野を避ける位置に保持される。従って、端末保持装置は、支持部により吊り下げられた状態で設置面に取り付けられた場合であっても、端末装置のカメラ部の視野を遮ることなく端末装置を保持することができる。
【0024】
好適な例では、前記支持部は、湾曲形状を有し、両端を軸として回動する。この態様では、好適に、支持部は、支持部を前記保持部と前記取付部との位置関係を保ったまま移動することができ、かつ、前記カメラ部の視野を避ける位置に移動することができる。
【0025】
上記の端末保持装置の他の一態様では、前記端末保持装置は、車両に設置され、前記カメラ部は、前記車両の前方方向に向けられ、前記端末装置は、前記カメラ部が撮影した画像に案内表示を重ねて表示する表示部をさらに備える。この態様では、端末保持装置は、カメラ部が撮影した実写映像に基づき案内表示を行う。この場合であっても、端末保持装置は、カメラ部の視野を遮らないように、車両に対して端末装置を設置することができるため、端末装置は、好適に、実写映像に基づく案内表示を行うことができる。
【実施例】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について第1実施例及び第2実施例で説明する。
<第1実施例>
図1は、本発明の第1実施例に係る端末保持装置1を示す。端末保持装置1は、いわゆるクレードルとして機能し、スマートフォンなどの端末装置50が取り付けられる。
【0027】
図1は、端末装置50を保持した状態の端末保持装置1を示している。具体的に、図1(a)は端末保持装置1の正面図であり、図1(b)は、端末保持装置1の側面図であり、図1(c)は端末保持装置1の背面図である。以後では、「X軸」は、車両の側面方向であって車両の前方を向いて左方向を正方向とする座標軸を指し、「Y軸」は、車両の後方方向を正方向とする座標軸であり、「Z軸」は、重力と反対方向を正方向とする座標軸であるものとする。
【0028】
図示のように、端末保持装置1は、ベース11と、ヒンジ12と、アーム13と、基板ホルダ20と、端末ホルダ30と、を備える。
【0029】
ベース11は、端末保持装置1を車両などの移動体に取り付ける際の土台として機能する。例えば、ベース11の下面には吸盤が設けられ、ベース11はその吸盤により車両のダッシュボードなどの設置面5に固定される。図1では、設置面5は、XY平面(即ち水平面)上に延在し、Z軸正方向を向いている。以後では、XY平面である設置面5に設置される端末保持装置1の状態を、「基準設置状態」とも呼ぶ。ベース11は、本発明における「取付部」の一例である。
【0030】
ヒンジ12は、アーム13の下端部130Lと接続し、かつ、ベース11の後方端部110Rに対して回転可能に取り付けられている。ヒンジ12の回転により、アーム13は端末装置50の前後方向、つまり図1(b)の矢印41及び42の方向に回動する。つまり、車両の設置面5に固定されたベース11に対してヒンジ12を介してアーム13を回転させることにより、設置面5に対する基板ホルダ20及び端末ホルダ30の設置角度が調整可能となっている。アーム13は、本発明における「支持部」の一例であり、下端部130Lは、本発明における「支持部の一端」の一例である。また、ヒンジ12は、本発明における「第一接続部」の一例である。
【0031】
基板ホルダ20は、ジャイロセンサなどの基板を保持するホルダである。
【0032】
ボールリンク22は、アーム13の上端部130Hと接続し、基板ホルダ20に設けられた溝部23に嵌め込まれて、任意の方向に回動可能に固定されている。そして、ボールリンク22は、アーム13に対して基板ホルダ20を任意の角度で保持する。従って、アーム13及びベース11は、矢印45に示すようにボールリンク22を中心として回動可能であり、また、矢印46に示すようにアーム13を回動軸として回動することも可能である。また、上端部130Hは、本発明における「支持部の他端」の一例である。また、ボールリンク22は、本発明における「第二接続部」の一例である。
【0033】
端末ホルダ30は、端末装置50を保持するホルダである。端末ホルダ30は、端末装置50が端末保持装置1に保持された状態で、後述するカメラ53の視野と重複する部分がくり抜かれたカメラ露出部60を備える。即ち、カメラ露出部60は、端末装置50が端末保持装置1に保持された状態で、少なくともカメラ53の全体と重なりあう範囲にカメラ53と対向する。端末ホルダ30は、本発明における「保持部」の一例である。
【0034】
基板ホルダ20は、矢印43及び矢印44に示す端末ホルダ30の長手方向にスライド自在である。例えば、端末ホルダ30の背面39であって基板ホルダ20と重なる位置に、端末ホルダ30の長手方向に図示しない溝状のガイドが設けられ、当該ガイドに沿って基板ホルダ20がスライドする。
【0035】
端末装置50は、端末装置50本体の前面側であり液晶表示パネルなどの表示部を有する表示面51と、表示面51の反対側に向けられた背面52とを備える。通常、端末装置50は矩形の平板形状に構成されており、表示面51と背面52は略平行に作られている。そして、端末装置50が端末保持装置1に保持された状態で、表示面51は、ダッシュボードからみておよそ運転席が存在する方向に向けられ、背面52は、ダッシュボードからみておよそフロントガラスが存在する方向に向けられる。
【0036】
さらに、端末装置50は、背面52にカメラ53を有する。図1では、カメラ53は、背面52の中心よりX軸負方向寄りかつZ軸正方向寄りに設けられている。カメラ53は、所定の画角を有し、車両の前方方向を撮影し、一定又は不定の間隔で画像を生成する。カメラ53は、本発明における「カメラ部」の一例である。なお、図1に示すカメラ53の位置は一例であり、これに代えて、カメラ53は、背面52の中心よりX軸正方向寄りに設けられていてもよい。この場合であっても、当該カメラ53の視野と重なる範囲にカメラ露出部60が形成される。
【0037】
そして、端末装置50は、好適には、案内表示を連続的に撮影画像の道路の路面に重ねて表示する。即ち、端末装置50は、実写映像に基づくナビゲーションを行う。例えば、端末装置50は、GPSセンサやジャイロセンサ等の各種センサに基づき、現在地等の車両状態を示す情報を取得する。そして、端末装置50は、当該情報及び使用者が設定した目的地又は立寄地に基づき、例えばメモリに記憶した地図情報を参照して、又はサーバに問い合わせることで、車両が進むべき走行ルートを特定し、矢印その他の案内表示を撮影画像に重畳させて表示する。
【0038】
端末ホルダ30は前面側に接触面33を有する。端末装置50を端末ホルダ30に取り付けた際、接触面33は、端末装置50の背面52に当接し、端末装置50の背面52を支持する。接触面33は、本発明における「保持面」の一例である。なお、図1の例では、端末ホルダ30の接触面33は、その全面が端末装置50の背面52と接触するように構成されている。その代わりに、接触面33のうちの1カ所又は数カ所を部分的に突出させ、その突出した部分のみが端末装置50の背面52に当接する構造としても構わない。
【0039】
このような基準設置状態では、図1(b)に示すように、ベース11はヒンジ12が取り付けられる後方端部110RがY軸負方向寄りであり、前方端部110FがY軸正方向寄りとなるように配置する。すなわち、端末ホルダ30の厚さ方向に対して離間する方向に後方端部110R、近接する方向に前方端部110Fが配置される。このように端末ホルダ30の直下にベース11が位置することにより、端末ホルダ30を堅固に保持することができると共に、ベース11がY軸負方向に突出しないのでコンパクトに設置することができる。
【0040】
次に、基板ホルダ20に対する端末ホルダ30の回転機能について説明する。端末装置50を保持する端末ホルダ30は、基板ホルダ20に対して、90度単位で回転可能である。即ち、図1(a)の状態を回転角0度とした場合、端末ホルダ30は、時計回り又は反時計回りに0度、90度、180度、270度の4つの角度に回転した状態で固定することが可能である。なお、回転角90度毎に固定可能とした理由は、通常、端末装置50を見る際に、ユーザは表示部を縦長又は横長に配置した状態で使用するためである。なお、前述のように、端末装置50は通常、矩形の平板形状を有しており、縦長に配置とは、表示部の長手方向が縦となるような配置であり、横長に配置とは、表示部の長手方向が横となるような配置である。
【0041】
図2に端末ホルダ30を回転させた状態の例を示す。端末保持装置1を正面側から見た場合、図2(a)の状態から矢印48の方向に端末ホルダ30を90度回転させると、図2(b)に示す状態となる。また、端末保持装置1を背面側から見た場合、図2(c)の状態から矢印49の方向に端末ホルダ30を90度回転させると、図2(d)に示す状態となる。
【0042】
構造的には、例えば基板ホルダ20の略中央に回転軸(図示せず)を設け、この回転軸に対して端末ホルダ30を固定することにより、基板ホルダ20に対して端末ホルダ30を回転可能とすることができる。また、基板ホルダ20と端末ホルダ30が相互に当接する面において、回転角90度毎に相互にはまり合う凹凸又は溝と突起などを設けることにより、90度毎の回転角位置において端末ホルダ30を固定することができる。なお、このような構造は単なる一例であり、基板ホルダ20に対して端末ホルダ30を回転角90度毎に固定できれば、他の構造を採用しても構わない。
【0043】
次に、端末保持装置1をフロントガラスなどに吊り下げて固定した設置状態(以後、「吊り下げ設置状態」とも呼ぶ。)について図3を用いて説明する。具体的に、吊り下げ設置状態とは、アーム13の下端部130Lが、上端部130Hよりも、Z軸を基準として正方向に位置するように設置された状態を指す。
【0044】
図3は、端末保持装置1が吊り下げられた状態で設置面5Aに取り付けられた状態を示す概念図である。図3に示す吊り下げ設置状態は、図1に示す基準設置状態から、図1の矢印45の方向にアーム13がボールリンク22を中心として約120度回動し、かつ、両矢印46のいずれかの方向にベース11がアーム13を軸として約180度回動した状態に対応する。後述するように、端末保持装置1は、この状態であっても、カメラ53の画角を遮らない位置に固定される。
【0045】
図3では、カメラ53は、車両の前方方向であるY軸正方向に向けられており、破線「L1」及び「L2」がなす角度の画角を有する。また、設置面5Aは、Y軸正方向かつZ軸負方向に向けられている。設置面5Aは、具体的には、フロントガラスの車室側の面である。また、ベース11は、上述した吸盤により設置面5Aに固定されている。具体的には、ヒンジ12が設置されるベース11の後方端部110Rに対して、これと最も遠い位置に存在するベース11の前方端部110Fが、Z軸を基準として正方向に位置するように、設置面5A上に固定される。そして、図3に示す側面視で、ベース11は、後方端部110Rから前方端部110Fに向けて、設置面5Aに沿ってY軸正方向かつZ軸正方向に延在する。このように、後方端部110Rは、本発明における「取付部の一端部」の一例であり、前方端部110Fは、本発明における「取付部の他端部」の一例である。
【0046】
また、図3に示す吊り下げ設置状態では、基板ホルダ20は、Z軸正方向、即ち端末ホルダ30の長手方向であって図3に示す側面視でカメラ露出部60が存在する方向に、基準設置状態から、所定幅「W1」だけ背面39上をスライドしている。これにより、基板ホルダ20を所定幅W1だけスライドさせない場合と比較して、ベース11もおよそZ軸正方向に所定幅W1だけずれて配置される。即ち、基板ホルダ20がスライドすることにより、破線L1、L2により示される視野(画角)を避ける方向にベース11が移動する。これにより、ベース11がカメラ53の視野に入るのを抑制すると共に、後述するように、アーム13の長さを短く設計することを可能にし、端末保持装置1の安定性を向上させることができる。
【0047】
以上のように、図3に示す吊り下げ設置状態では、端末保持装置1は、ベース11がカメラ53の画角を遮らない位置に配置される。従って、端末保持装置1は、吊り下げ設置状態の場合であっても、端末装置50を保持しつつ、端末装置50の実写映像に基づく案内表示を妨げない。
【0048】
なお、アーム13は、背面39の短手方向の中央部分と対向し、カメラ53は、背面39の短手方向の端部分に存在する。従って、アーム13は、図3においても、カメラ53の視野に入らない。
【0049】
次に、端末保持装置1の未使用時での収納状態について図4を用いて説明する。図4は、端末保持装置1の未使用時での収納状態を示す側面図である。図4に示すように、収納状態では、ベース11がアーム13と端末ホルダ30の背面39とに略平行になるように挟まれている。具体的には、図1(b)に示す矢印42の方向にアーム13とベース11とのなす角度が約0度になるように折りたたまれ、かつ、ベース11の底面が背面39と略同一面上に重なり合う位置に配置される。
【0050】
さらに、図4を参照して、アーム13の長さについて説明する。図4に示すように、アーム13の長さ(「アーム長Wa」とも呼ぶ。)は、端末ホルダ30の長手方向の長さ(「ホルダ長Wh」とも呼ぶ。)の1/2以下に設計される。これにより、吊り下げ設置状態及び基準設置状態のいずれの場合であっても、端末装置50及び端末ホルダ30の揺れ等が抑制され、端末保持装置1の安定性が保たれる。また、このようにアーム長Waが設計された場合であっても、上述のように、吊り下げ設置状態では、基板ホルダ20がZ軸正方向にスライドすることにより、カメラ53の視野がベース11により遮られない。
【0051】
<第2実施例>
次に、第2実施例について説明する。第2実施例に係る端末保持装置1Aは、カメラ53が背面52の短手方向の中央部分に設置されている端末装置50に対応可能な点、及び、カメラ53の設置位置が異なる複数の種類の端末装置50に対応可能な点で第1実施例の端末保持装置1と異なる。
【0052】
図5は、第2実施例の基準設置状態に係る端末保持装置1Aを示す。具体的に、図5(a)は端末保持装置1Aの正面図であり、図5(b)は、端末保持装置1Aの側面図であり、図5(c)は端末保持装置1Aの背面図である。なお、第1実施例と同様の構成については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0053】
端末ホルダ30Aには、カメラ53が背面52の短手方向の中央部分に取り付けられた端末装置50が装着されている。端末ホルダ30Aは、端末装置50を保持する前面側に、底部31と、前面33と、一対のアーム36とを有する。端末装置50を端末ホルダ30Aに装着した際、底部31は端末装置50を下方から支持する。アーム36は、端末装置50を左右から挟持する。アーム36は開閉可能に構成されている。図5(a)では、アーム36を閉じた状態を実線で示し、アーム36を開いた状態を破線36xで示す。アーム36は閉じた状態で端末装置50を保持する。アーム36は、図示しないボタンなどに連動して自動で開閉するように構成してもよく、手動で開閉するように構成してもよい。
【0054】
一対のアーム36の各々は、その先端に、内側、即ち他方のアーム36側へ向かって延びる爪部36aを有する。アーム36は、爪部36aにより、端末装置50の左右の側部を抱えるように保持する。
【0055】
また、端末ホルダ30Aのホルダ長Whは、少なくともカメラ53を含む背面52の上部が前面33に対して露出される長さに設計される。従って、ホルダ長Whは、端末装置50の長手方向の長さよりも短い。これにより、カメラ53は、端末ホルダ30Aに対して露出され、カメラ53の視野は端末ホルダ30により遮られない。
【0056】
さらに、端末ホルダ30Aは、湾曲形状を有するアーム13Aを備える。アーム13Aの下端部130Lは、ベース11に取り付けられたボールリンク12Aと接続している。また、アーム13Aの上端部130Hは、基板ホルダ20に取り付けられたボールリンク22と接続している。そして、アーム13Aは、矢印46に示すようにボールリンク12A、22を通る仮想的な線を軸として回動する。このとき、アーム13Aは、ベース11と端末ホルダ30Aとの位置関係を変えることなく回動する。
【0057】
図6は、端末保持装置1Aの吊り下げ設置状態における背面図を示す。なお、図6では、アーム13Aの位置を実線、破線、及び一点鎖線により複数の状態を表示している。図6に示す吊り下げ設置状態は、図5に示す基準設置状態から、図5の矢印45の方向にアーム13Aがボールリンク22を中心として約120度回動し、かつ、両矢印46のいずれかの矢印の方向にベース11及びアーム13Aが一体となって基板ホルダ20に対して約180度回動した状態に対応する。
【0058】
上述したように、アーム13Aは、ベース11と端末ホルダ30Aとの位置関係を変えることなく回動可能である。そして、アーム13Aは、破線に示す基準設置状態での位置から、実線の位置まで矢印46Aが示す向きに回動する。または、アーム13Aは、破線に示す基準設置状態での位置から、一点鎖線の位置まで矢印46Bが示す向きに回動する。
【0059】
このように、カメラ53が背面52の短手方向の中央部分に配置されていた場合であっても、アーム13Aは、当該カメラ53の視野を避ける位置に回動可能である。また、第1実施例と同様、後方端部110Rに対して、前方端部110Fが、Z軸を基準として正方向に位置するように固定されている。これにより、ベース11は、カメラ53の視野を遮らない位置に固定されている。従って、端末保持装置1Aは、吊り下げ設置状態において、カメラ53が背面52の中央部分に存在する端末装置50を保持しつつ、カメラ53の視野を遮ることなく、端末装置50の実写映像に基づく案内表示を実行させることができる。
【0060】
また、図5及び図6に示す端末装置50と背面52上の異なる位置にカメラ53を有する端末装置50が端末保持装置1Aに装着された場合であっても、アーム13Aは、カメラ53の視野から離れる方向に適宜回動可能である。例えば、第1実施例の図1等で例示した端末装置50が端末保持装置1Aに装着された場合には、アーム13Aは、図6に示す破線又は一点鎖線の位置に移動する。これにより、この場合であっても、カメラ53の視野は、アーム13Aによって遮られない。このように、端末保持装置1Aは、カメラ53の背面52上の位置が異なる端末装置50を保持した場合であっても、吊下げ設置状態において、カメラ53の視野を遮るのを防ぐことができる。
【0061】
次に、第2実施例の変形例について図7を参照して説明する。図7は、変形例に係る端末保持装置1Aの吊り下げ設置状態における背面図を示す。なお、図7では、図6の端末保持装置1Aと同様の部分については同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0062】
図7に示すように、端末保持装置1Aは、カメラ53の視野と重複する部分がくり抜かれたカメラ露出部60を備える。なお、この例では、端末装置50は、第2実施例と同様の位置、即ち端末装置50の短手方向の中央部分にカメラ53を備える。従って、カメラ露出部60は、同様に、背面39の短手方向の中央部分に設けられている。そして、端末ホルダ30Bは、第1実施例の端末ホルダ30と同様、カメラ露出部60を形成するように端末装置50の上端部まで延在している。即ち、ホルダ長Whは、端末装置50の長手方向での幅以上の長さに設計されている。
【0063】
この場合であっても、アーム13Aは、図7に示す実線又は一点鎖線の位置に移動する。これにより、この場合であっても、カメラ53の視野は、アーム13Aによって遮られない。このように、第2実施例において、カメラ露出部60を有する構成の場合であっても、端末保持装置1Aは、吊下げ設置状態において、カメラ53の視野を遮るのを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、各種の端末装置を保持する端末保持装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1、1A 端末保持装置
11 ベース
12 ヒンジ
12A ボールリンク
13、13A アーム
20 基板ホルダ
22 ボールリンク
30 端末ホルダ
50 端末装置
53 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ部を有する端末装置を保持する端末保持装置であって、
前記カメラ部による撮影が可能な状態で前記端末装置保持する保持部と、
前記保持部を設置面に取り付けるための取付部と、
前記保持部と前記取付部との位置関係を調整可能に接続され、前記保持部に保持された端末装置のカメラ部の撮影方向に位置する支持部と、を有し、
前記支持部は、前記取付部に対する前記保持部の位置関係を変化させることなく、前記カメラ部の撮影を遮る位置と撮影を遮らない位置との間で調整が可能であることを特徴とする端末保持装置。
【請求項2】
前記支持部は湾曲した形状を有することを特徴とする請求項1に記載の端末保持装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記カメラ部を露出させる孔を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の端末保持装置。
【請求項4】
前記支持部は、前記保持部及び前記取付部に対して、所定の範囲内で回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の端末保持装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記保持部及び前記取付部に対して、ボールリンクにより接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の端末保持装置。
【請求項6】
カメラ部を有する端末装置を、前記カメラ部による撮影が可能な状態で保持する保持部と、
前記保持部を設置面に取り付けるための取付部と、
前記保持部と前記取付部との位置関係を調整可能に接続され、前記保持部に保持された端末装置のカメラ部の撮影方向に位置する支持部と、を有し、
前記支持部は、前記取付部に対する前記保持部の位置関係を変化させることなく、前記カメラ部の撮影を遮る位置と撮影を遮らない位置との間で調整が可能である端末保持装置を、
前記取付部によって移動体のフロントウィンドウに取り付けた状態で、前記端末装置を保持させる端末保持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−96777(P2012−96777A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170079(P2011−170079)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【分割の表示】特願2011−520261(P2011−520261)の分割
【原出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】