説明

端部拡径ホース及びその製造方法

【課題】端部拡径ホースにおける拡径部への継手具のインサートパイプの挿入量を一定に規制し得て、継手具を良好に拡径部に装着できるようにする。
【解決手段】ゴム内層16及びゴム外層20と補強層18との積層構造をなし且つ各端部に拡径部30とテーパ状部32とを有する端部拡径ホース10において、テーパ状部32の内面よりも径方向内方に突出し、インサートパイプ22の挿入側の先端に当接して位置決めをなすゴムストッパ部36をテーパ状部32の内側部位に一体に設けておく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は高耐圧の振動吸収ホース、特に自動車のエンジンルーム内に配管用として配設されるものに適用して好適な端部拡径ホース及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴム層を主体として構成されたホースが産業用,自動車用のホースとして各種用途に広く使用されている。
このようなホースを用いる主たる目的は振動を吸収することにある。
例えば自動車のエンジンルーム内に配設される配管用ホースの場合、エンジン振動やエアコンのコンプレッサ振動(冷媒輸送用ホース即ちエアコンホースの場合),車両の走行に伴って発生する各種の振動をホース部分で吸収し、ホースを介して接続されている一方の部材から他方の部材へと振動が伝達されるのを抑制する役割を担っている。
【0003】
ところで産業用,自動車用を問わずオイル系,燃料系,水系,冷媒系ホースの構造は、例えば下記特許文献1に開示されているようにゴム内層とゴム外層との中間に補強糸(補強線材)を編組して成る補強層を有する構造をなしている。
【0004】
図14(イ)は下記特許文献1に開示された冷媒輸送用ホース(エアコンホース)の構造を示したもので、図中200はゴム内層であって内表面が樹脂内面層202で被覆されている。
ゴム内層200の外側には補強糸をスパイラル巻きして成る第1補強層204が、更にその外側に中間ゴム層206を介して補強糸を第1補強層204とは逆向きにスパイラル巻きして成る第2補強層208が積層され、そして最外層のカバー層としてゴム外層210が積層された構造をなしている。
【0005】
この例は補強糸をスパイラル編組して補強層を構成した例であるが、かかる補強層を、補強糸をブレード編組して構成することも行われている。
図14(ロ)はその例を示したもので、図中212は補強糸をブレード編組して成る補強層で、ゴム内層200とゴム外層210との間に形成されている。
尚ゴム内層200の内表面は樹脂内面層202で被覆されている。
【0006】
ところでこのような直管状のホースの場合、良好な振動吸収性を確保するため従来所定の長さを必要としていた。
特に燃料系や水系等の低圧用のホースに比べてオイル系(例えばパワーステアリング用ホース)や冷媒系(冷媒輸送用ホース)等の耐高圧用のホースでは、ホース剛性が高い分、振動吸収や車室内への音,振動の伝播低減のための必要長さが長くなる。
例えば冷媒輸送用ホースの場合、接続しなければならない直線距離が200mmであったとしても、一般的に300〜600mmの長さのホースを用いて振動吸収及び音,振動の伝播低減を図っていた。
【0007】
しかしながらエンジンルーム内には各種の装置や部品が所狭しと組み込まれており、特に近年にあってはエンジンルームがますますコンパクト化されて来ており、そのような中でそこに配設されるホース長が長いと、他との干渉を避けるための配管設計やホース取付時の取回しが大変な作業となり、しかも車種ごとにそれら配管設計や取回しを工夫しなければならず、大きな負担となっていた。
【0008】
このようなことから、ホース長が短尺で良好に振動吸収することのできるホースの開発が求められている。
ホースにおける振動吸収性を確保しながらこれを短尺化する手段として、ホースを蛇腹形状化することが考えられる。
【0009】
しかしながらホースを蛇腹形状化すると可撓性は飛躍的に向上するものの、その内部に流体の高い圧力が作用するとホース全体が軸方向に大きく伸びてしまう。
この場合ホースの両端が固定状態にあると(普通はそうなっている)、ホース全体が大きく曲ってしまい、周辺の部品と干渉を起す問題が発生する。
即ち蛇腹形状化による対策は十分なものとは言えない。
【0010】
ところでエアコンホース等の高耐圧ホースの場合、内部に流体が高い圧力で導かれた状態では、そのような圧力がかかっていない場合に比べてホースと流体とが一体化して、より剛体に近い挙動を示すようになる。
その剛性化の程度はホース及び流体を含めた横断面の断面積が大きくなるほど大となる。
逆に言えばホース及び流体の断面積が小さくなれば剛性化の程度は小さくなり、振動吸収性能はそれだけ増すことになる。
従ってホースを蛇腹形状化しないで、尚且つ短尺で振動吸収性能を高めるためにはホース径を小さくすることが有効な手段である。
【0011】
しかしながら単に軸方向の端部を含むホース全体を細くし、また併せて継手具も細径とすると、継手具におけるインサートパイプの内径が小さいものとなって、流体の輸送時に同部分で圧損(圧力損失)を生じたり、また所要の流量を確保することができなくなってしまう。
【0012】
一方で端部のかしめ部を細くした上で、内径の大きなインサートパイプを有する大径の継手具を用いると、その装着に際してインサートパイプを端部のかしめ部に挿入するときに、挿入抵抗が著しく大きくなってインサートパイプの挿入性が悪化し、継手具を装着することが実際上難しい。
従ってホース径を小さくするにしても端部のかしめ部はそのままとし、他の主部即ち中央側の主部のみを細径化することが望ましい(この場合端部のかしめ部は主部に対して相対的に拡径形状となる)。
【0013】
そこで本発明者等は、端部に拡径形状をなす拡径部を有し、中央側の主部が細径を成す端部拡径ホースを案出し、端部の拡径方法と併せて先の特許願(下記特許文献2)において提案している。
図15はその端部拡径ホースの具体例を示している。
図15において214は端部拡径ホースで、ゴム内層216と、その外側の補強層218と、最外層のゴム外層220との積層構造をなしている。
222は各端部に設けられた内径,外径ともに拡径形状をなす拡径部で、224は図中左右一対の拡径部222の間の中央側の主部を表している。
ここで拡径部222の外径D,内径Dは主部224の外径d,dに対して何れも大径をなしている。
この端部拡径ホース214にあっては、主部224から拡径部222にかけて、外面及び内面が漸次大径化するテーパ状の面をなしたテーパ状部232が移行部として設けられている。
【0014】
図16は、ホースの端部を部分的に拡径させ、拡径部222を成形するための具体的な手法を示している。
図において226は、主部224に外嵌されてこれを保持する円筒形状の拘束型で、228は端部を押し拡げて成形する拡径型である。
【0015】
ここで拡径型228は、図15のテーパ状部232におけるテーパ状の内面を成形する成形面(第1成形面)234を外面に備えたテーパ成形部236を先端側の部分に有し、また基端側の部分に、拡径部222の内面を成形する成形面(第2成形面)238を外面に備えた拡径成形部240を有している。
尚、成形面238は軸方向にストレート形状をなし且つ同方向に平滑な面をなしている。
【0016】
この図16に示す方法では、ゴム内層216,補強層218,ゴム外層220の積層構造で押出成形し、所定寸法に切断した半加硫状態(又は未加硫状態)の押出成形品214Aを、主部224において拘束型226により拘束保持した状態とし、その状態で拡径型228を押出成形品214Aの端部の内側に軸方向に強制的に押し込んで、端部を拡径型228に対応した形状に拡径変形させる。
そしてその状態で押出成形品214Aを拘束型226及び拡径型228とともに加硫缶の中で加熱して押出成形品214Aを加硫処理し、図15に示す端部拡径ホース214を製造する。
【0017】
前述したように図15に示す端部拡径ホース214にあっては、拡径部222に、インサートパイプとソケット金具とを備えた継手具が装着される。
具体的には、拡径部222の内部に剛性のインサートパイプが軸端から挿入され、またソケット金具が拡径部222に外嵌されて径方向内方にかしめ付けられ、それらインサートパイプとソケット金具とが拡径部222の内外両側から挟圧する状態に拡径部222に固定される。
【0018】
この場合、図15の端部拡径ホース214は拡径部222に続いて主部218側にテーパ状部232が移行部として設けてあるため、インサートパイプを拡径部222内部に挿入したときに、インサートパイプが先端部においてテーパ状部232を押し拡げながら挿入可能であるためにインサートパイプの挿入端、即ちその先端の位置及び挿入量が定まらず、挿入の加減によってインサートパイプの挿入量がばらついてしまい、ひいては拡径部222に対する継手具の装着状態がばらついてしまう問題を生ずる。
【0019】
また別の問題として、図16に示す方法の場合、拘束型226,拡径型228により拘束される部分以外の部分については何等拘束されない状態で拡径部222,テーパ状部232の成形が行われることとなるため、端部拡径ホース214の内面,外面の面形状,径方向の寸法精度が十分良好に得られないといった問題がある。
【0020】
そこで本発明等は、(イ)押出成形により得たゴム内層,ゴム外層及び補強層を有する未加硫若しくは半加硫状態の直管状の押出成形品の内部に挿通されて、主部の内面を成形するマンドレルと、(ロ)マンドレルに摺動可能に嵌合する嵌合孔が中心部に形成され、押出成形品の軸端から内部に軸方向に挿入される筒状の挿入部を有し、挿入部の先端側の部分が、テーパ状部の内面を成形するテーパ状の第1成形面を外面に備えたテーパ成形部とされ、基端側の部分が拡径部の内面を成形する第2成形面を外面に有する拡径成形部とされた拡径型と、を用い、押出成形品の内部にマンドレルを挿通した状態で、拡径型を押出成形品の端部の内部にマンドレルに沿って軸方向に押込挿入し、端部を拡径させて端部の内面を拡径型により成形し、その後押出成形品をマンドレル及び拡径型とともに加熱して完全加硫する端部拡径ホースの製造方法を案出した。
【0021】
また更に進んで、主部の外面を成形する第3成形面,拡径部の外面を成形する第4成形面及びテーパ状部の外面を成形する第5成形面を備えた、端部拡径ホースの外形形状に対応した形状の成形面と、成形面の内側に形成される軸方向に貫通の成形凹所とを有する外型を、押出成形品の外面を拘束する拘束型として用い、端部拡径ホースを製造する方法を案出した。
【0022】
前者の製造方法によれば、端部拡径ホースの内面を面性状,内径ともに良好に成形することができ、また後者の製造方法によれば、更に加えて外面の面性状及び外径ともに良好に成形することができる。
【0023】
しかしながら一方でこの製造方法の場合、拡径型を中心部の嵌合孔においてマンドレルに摺動可能に嵌合し、そして拡径型を押出成形品の内部に軸方向に押し込んだときに、押出成形品のゴム層が拡径型の押込みにより軸方向に圧縮されてその押込みの際に、或いはその後の加硫時における加熱によるゴム層の膨張により、ゴム材が拡径型の嵌合孔とマンドレルとの間の微小なクリアランスに強い圧力で浸入し、これが加硫成形品(端部拡径ホース)のゴムバリとなって残ってしまう問題を生ずることが判明した。
而してこのようなゴムバリが残ったまま内部に流体を流通させると、ゴムバリが端部拡径ホースから剥がれて流体中に混入する恐れが生ずる。従ってこうした現象は未然に防止しておくことが必要である。
【0024】
【特許文献1】特開平7−68659号公報
【特許文献2】特開2006−283843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は以上のような事情を背景とし、端部拡径ホースの拡径部に継手具を装着するに際し、インサートパイプを拡径部に挿入したときに、その挿入量を一定に規制して継手具を良好に拡径部に装着できるようにすることを目的としてなされたものである。
また本発明の他の目的は、拡径型を押出成形品の軸端からその内部にマンドレルに沿って押し込んで拡径部を成形し、且つその後において加硫処理をするに際し、拡径型の嵌合孔とマンドレルとの間の微小なクリアランスにゴム材が浸入し、取れ易いゴムバリとなって残る問題を解決することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
而して請求項1は端部拡径ホースに関するもので、ゴム内層及びゴム外層とそれらの間に介在する、補強線材を編組してなる補強層を有する積層構造をなし且つ各端部に、中央側の主部に対して内径,外径ともに拡径形状をなす拡径部が設けてあるとともに、該拡径部と前記主部との間に、内面及び外面ともに該主部から該拡径部にかけて漸次大径化するテーパ状部が移行部として設けてあって、該拡径部に挿入される剛性のインサートパイプと該拡径部に外嵌され縮径方向にかしめられるソケット金具とを有する継手具が該拡径部に装着される端部拡径ホースであって、前記テーパ状部の内面よりも径方向内方に突出し、前記インサートパイプの挿入側の先端に当接して位置決めをなすゴムストッパ部が該テーパ状部の内側部位に一体に設けてあることを特徴とする。
【0027】
請求項2のものは、請求項1において、前記ゴムストッパ部が周方向に全周に亘り環状に設けてあることを特徴とする。
【0028】
請求項3のものは、請求項1において、前記ゴムストッパ部が周方向に部分的に且つ周方向の複数個所に設けてあることを特徴とする。
【0029】
請求項4のものは、請求項1において、前記ゴムストッパ部が前記テーパ状部の内面から連続して径方向内方に突出する形態で設けてあることを特徴とする。
【0030】
請求項5のものは、請求項1において、前記ゴムストッパ部が前記主部の軸端位置から前記テーパ状部の径方向内側部位で前記拡径部の側に向って突出する形態で設けてあることを特徴とする。
【0031】
請求項6は請求項1の端部拡径ホースの製造方法に関するもので、この製造方法は、(イ)押出成形により得た前記ゴム内層,ゴム外層及び補強層を有する未加硫若しくは半加硫状態の直管状の押出成形品の内部に挿通されて前記主部の内面を成形するマンドレルと、(ロ)該マンドレルに摺動可能に嵌合する嵌合孔が中心部に形成され、前記押出成形品の軸端から内部に軸方向に挿入される筒状の挿入部を有し、該挿入部の先端側の部分が、前記テーパ状部の内面を成形するテーパ状の第1成形面を外面に備えたテーパ成形部とされ、基端側の部分が前記拡径部の内面を成形する第2成形面を外面に有する拡径成形部とされ、且つ該テーパ成形部に前記ゴムストッパ部の成形凹所を備えた拡径型と、を用い、前記押出成形品の内部に前記マンドレルを挿通した状態で、前記拡径型を該押出成形品の端部の内部に前記マンドレルに沿って軸方向に押込挿入し、該端部を拡径させて該端部の内面を該拡径型により成形し、その後該押出成形品を該マンドレル及び拡径型とともに加熱して完全加硫することを特徴とする。
【0032】
請求項7の製造方法は、請求項6において、前記押出成形品の外面を拘束する拘束型として、前記主部の外面を成形する第3成形面,前記拡径部の外面を成形する第4成形面及び前記テーパ状部の外面を成形する第5成形面を備えた、前記端部拡径ホースの外形形状に対応した形状の成形面と、該成形面の内側に形成される軸方向に貫通の成形凹所とを有する外型を用い、前記成形凹所に、前記押出成形品を該押出成形品の内部に前記マンドレルを挿通した状態で挿入セットし、しかる後、前記拡径型を前記押出成形品の端部の内部に軸方向に押込挿入して該端部を拡径させ、該端部の外面を前記外型の第4成形面及び第5成形面により成形するとともに、前記主部の外面を前記第3成形面により成形し、その後該押出成形品を前記マンドレル,拡径型及び前記外型とともに加熱して完全加硫することを特徴とする。
【0033】
請求項8のものは、請求項6,7の何れかにおいて、前記ゴムストッパ部の成形凹所が周方向に全周に亘って環状に設けてあることを特徴とする。
【0034】
請求項9のものは、請求項6,7の何れかにおいて、前記ゴムストッパ部の成形凹所が周方向に部分的に且つ周方向の複数個所に設けてあることを特徴とする。
【0035】
請求項10のものは、請求項6,7の何れかにおいて、前記ゴムストッパ部の成形凹所が、前記嵌合孔から径方向外方に向って凹陥する形状で且つ前記嵌合孔の先端開口に連続した形状で前記テーパ成形部に設けてあることを特徴とする。
【0036】
請求項11のものは、請求項6,7の何れかにおいて、前記ゴムストッパ部の成形凹所が、前記テーパ成形部の前記第1成形面から径方向内方に凹陥する形状で設けてあることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0037】
以上のように請求項1のものは、端部拡径ホースにおいて、テーパ状部の内面よりも径方向内方に突出し、インサートパイプの挿入側の先端に当接して位置決めをなすゴムストッパ部を、テーパ状部の内側部位に一体に設けたものである。
【0038】
かかる請求項1によれば、拡径部に継手具を装着するに際してインサートパイプを拡径部に軸端から挿入したときに、ゴムストッパ部がインサートパイプの先端に当接することによって、インサートパイプの挿入量を予め定めた挿入量に確実に規制することができ、これにより継手具を拡径部に対して良好に装着することが可能となる。
【0039】
ここでゴムストッパ部は周方向に全周に亘り環状に設けておくことができ(請求項2)、或いはゴムストッパ部を周方向に部分的に且つ周方向の複数個所に設けておくことができる(請求項3)。
但しこの場合には、かかるゴムストッパ部を周方向の3個所以上に分散して且つ均等な間隔で設けておくことが望ましい。
【0040】
本発明ではまた、ゴムストッパ部をテーパ状部の内面から連続して径方向内方に突出する形態で設けておくことができ(請求項4)、或いはゴムストッパ部を、端部拡径ホースにおける中央側の主部の軸端位置からテーパ状部の径方向内側部位で拡径部の側に向って突出する形態で設けておくことができる(請求項5)。
【0041】
次に請求項6は、請求項1の端部拡径ホースの製造方法に関するもので、この製造方法では、端部拡径ホースの主部の内面を拘束し成形するマンドレル、更に拡径部とテーパ状部の内面を拘束し成形する拡径型を用いて端部拡径ホースを成形し製造するもので、この請求項6の製造方法によれば、端部拡径ホースの内面の面性状及び内径の寸法精度を高精度に成形することができる。
【0042】
またこの製造方法では、拡径型におけるテーパ成形部、即ち端部拡径ホースにおけるテーパ状部の内面を成形するテーパ成形部に、上記ゴムストッパ部の成形凹所が備えてあるため、拡径型を押出成形品の軸端からその内部に押し込んだときに、ゴム材の一部をその成形凹所に逃がし込み、或いはその後の加硫の際の加熱により膨張圧が発生したときに、その膨張圧にてゴム材の一部を成形凹所に逃がし込み、成形凹所に充填することで、上記ゴムストッパ部を容易に成形することができる。
【0043】
また拡径型を押し込んだときにゴム層に発生する圧力、或いはその後の加硫の際の加熱により発生した膨張圧力に基づいて、ゴム材の一部を成形凹所に逃がし込むことで、ゴム材の一部が拡径型の嵌合孔とマンドレルとの間の微小なクリアランス(隙間)に浸入するのを効果的に防止することができ(成形凹所へのゴム材の逃がし込みにより、発生した圧力を吸収できるため)、従ってそのクリアランスへのゴム材の浸入によりゴムバリが発生して製品に残ってしまう問題を解消することができる。
【0044】
次に請求項7の製造方法は、上記マンドレル及び拡径型に加えて、更に、端部拡径ホースの外面を拘束し成形する外型を用いて端部拡径ホースを製造するもので、この請求項7の製造方法によれば、端部拡径ホースの内面のみならず外面の面性状,寸法精度を高精度に成形することが可能となる。
【0045】
本発明の製造方法においては、ゴムストッパ部の成形凹所を周方向に全周に亘って環状に設けておくことができる(請求項8)。
この請求項8の製造方法によれば、請求項2の端部拡径ホースを良好に製造することができる。
【0046】
本発明の製造方法ではまた、ゴムストッパの成形凹所を周方向に部分的に且つ周方向の複数個所に設けておくことができ(請求項9)、この請求項9の製造方法によれば、請求項4に規定する端部拡径ホースを良好に製造することができる。
【0047】
また本発明の製造方法では、請求項10に従い、ゴムストッパ部の成形凹所を嵌合孔から径方向外方に向って凹陥する形状で且つ前記嵌合孔の先端開口に連続した形状で設けておくことができ、この請求項10の製造方法によれば、請求項5に規定する端部拡径ホースを良好に製造することができる。
【0048】
また請求項11に従い、ゴムストッパ部の成形凹所をテーパ成形部の第1成形面から径方向内方に凹陥する形状で設けておくこともでき、この請求項11の製造方法によれば、請求項4に規定する端部拡径ホースを良好に製造することができる。
この場合において成形凹所は、テーパ成形部を径方向に貫通する形状で設けておくことができ、或いはまたテーパ成形部を径方向に貫通しない形状で設けておくこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は例えば冷媒輸送用ホース(エアコン用ホース)等として用いられる高耐圧振動吸収ホース(以下単にホースとする)で、12はホース10の各端部にかしめ付け固定された継手金具(継手具)である。
尚、14は継手金具12に、詳しくは後述のインサートパイプ22に回転可能に取り付けられた袋ナットである。
【0050】
ホース10は、図1(B)に示しているようにゴム内層16と、その外側の補強糸(補強線材)をブレード編組して成る補強層18と、最外層のカバー層としてのゴム外層20との積層構造をなしている。
本実施形態において、ホース10は補強層18における編組密度が80%以上であり、また10MPa以上の耐圧性(破裂圧)を有している。
【0051】
ここで補強層18を構成する補強糸としてPET,PEN,アラミド,PA(ポリアミド),ビニロン,レーヨン等を用いることができる。
【0052】
またゴム内層16としてIIR,ハロゲン化−IIR(Cl−IIR,Br−IIR),NBR,CR,EPDM,EPM,FKM,ECO,シリコンゴム,ウレタンゴム,アクリルゴム等の単独材若しくはブレンド材を用いることができる。
但しHFC系冷媒輸送用ホースの場合には特にIIR,ハロゲン化−IIRの単独材又はブレンド材が好ましい。
【0053】
またゴム外層20として、上記ゴム内層16で列挙した各種ゴム材を用いることができるが、それ以外にも熱収縮チューブや熱可塑性エラストマー(TPE)を使用することも可能で、材質としてはアクリル系,スチレン系,オレフィン系,ジオレフィン系,塩化ビニル系,ウレタン系,エステル系,アミド系,フッ素系等を用いることができる。
【0054】
図2に示しているように、上記継手金具12は金属製の剛性のインサートパイプ22と、スリーブ状のソケット金具24とを有しており、インサートパイプ22をホース10における端部の拡径部30内に挿入し、またソケット金具24を拡径部30の外面に嵌装してこれを縮径方向にかしめ付けることで、それらインサートパイプ22とソケット金具24とで拡径部30を内外両方向に挟圧する状態にホース10にかしめ付け固定されている。
ここでソケット金具24には内向きの環状の鍔状部26が設けられていて、その鍔状部26の内周端が、インサートパイプ22の外周面の環状の係止溝28に係止する状態にかしめ付け、固定されている。
【0055】
図3は継手金具12をかしめ付ける前のホース10の形状を表している。
図に示しているようにホース10は、各端部に拡径形状(内径拡径率40%以上)をなす拡径部30とテーパ状部32とが設けられ、そしてテーパ状部32と32との間の中央側の部分が主部34をなしている。
ここで内径拡径率は、拡径後の内径と拡径前の内径との差の、拡径前内径に対する比率である。
拡径部30は外径D,内径Dがそれぞれ主部34における外径d,内径dに対し何れも大径を成している。
【0056】
テーパ状部32は、主部34から拡径部32にかけての移行部であって、内面及び外面何れも主部34から拡径部30に向って漸次大径化するテーパ状の面とされている。
即ち従来のこの種ホースにあっては、主部34の外径が端部の外径と同一外径であったのが、主部34のみが細径形状をなしている。
尚このホース10は、主部34及び拡径部30のそれぞれが軸方向のストレート形状をなしている。
本実施形態においては、図2に示しているように継手金具12におけるインサートパイプ22の内径がdで、主部34における内径dと同一内径とされている。
【0057】
この実施形態では、左右一対のテーパ状部32の径方向内側部位で主部34の軸端から拡径部30の側に向って突出した形状のゴムストッパ部36がホース10に一体に成形されている。
ここでゴムストッパ部36は、図3(B),(C)に示しているように全周に亘って円環状に設けられている。即ちゴムストッパ部36は、軸方向長の短い円筒形状に形成されている。
而してこのゴムストッパ部36とテーパ状部32の内面との間には環状の隙間38が形成されている。
尚このゴムストッパ部36の突出端(自由端)は、テーパ状部32における大径側の端の近傍位置に、より詳しくは拡径部30に僅かにかかる位置まで突出している。
【0058】
図4及び図5は、本実施形態のホース10の製造に際して用いられる成形装置の具体的構成を示したものである。
図において44は成形装置で、この成形装置44は、ホース10の外面を拘束し成形する拘束型としての外型46と、ホース10の内面詳しくは主部34の内面を拘束し成形するマンドレル48、及びホース10の端部詳しくは拡径部30及びテーパ状部32の各内面を成形する拡径型50とを含んで構成されている。
【0059】
この実施形態において、外型46は図中上下方向の分割構造とされている。
図において52はその分割型を表している。
外型46は、ホース10の外形形状に対応した形状の成形面54と、その内側に形成される軸方向に貫通の成形凹所56とを有している。
成形面54は、ホース10における主部34の外面を成形する成形面(第3成形面)58と、拡径部30の外面を成形する成形面(第4成形面)60及びテーパ状部32の外面を成形する成形面(第5成形面)61とを備えている。
【0060】
ここで成形面58はホース10における主部34の外面に対応した形状をなしているとともに、その内径が主部34の外径dに対応した内径とされており、また成形面60はホース10における拡径部30の外面に対応した形状をなしており、その内径が拡径部30の外径Dに対応した内径とされている。
また成形面61はテーパ状部32の外面に対応した形状のテーパ形状の成形面とされている。
【0061】
上記マンドレル48は、断面円形をなし且つ軸方向にストレート形状且つ平滑な面をなす主部68と、両端部の雄ねじ部94とを有している。
ここで主部68は、ホース10における細径の主部34の内面を成形する部分で、主部34の内面に対応した形状をなしており、且つその外径が主部34の内径dと対応した外径とされている。
尚、主部68の軸方向長はホース10及び外型46の軸方向長よりも長いものとされている。
【0062】
上記拡径型50は、図7にも示しているように後述の押出成形品10Aの軸端から内部に軸方向に挿入される筒状の挿入部74と、これよりも大径をなすフランジ部76とを有している。
ここでフランジ部76は、外型46の軸端面に当接して成形凹所56の開口を閉鎖する部分である。
挿入部74は、その中心部にマンドレル48に微小なクリアランスをもって摺動可能に嵌合する嵌合孔78を有している。
この嵌合孔78は、フランジ部76を含む拡径型50全体を軸方向に貫通する形態で設けられている。
【0063】
挿入部74は、先端側の部分が、上記テーパ状部32の内面を成形するテーパ状の成形面(第1成形面)80を外面に備えたテーパ成形部82とされ、基端側の部分が、拡径部30の内面を成形する成形面(第2成形面)84を外面に有する拡径成形部88とされている。
ここで拡径成形部88の成形面84は軸方向にストレート形状且つ平滑な面をなしている。
【0064】
この拡径型50には、ホース10における上記ゴムストッパ部36を成形するための成形凹所90が、挿入部74の先端側のテーパ成形部82に備えられている。
ここで成形凹所90は、嵌合孔78から径方向外方に向って凹陥する円環形状で嵌合孔78の先端開口に連続してテーパ成形部82の内面側に備えられている。
即ちこの成形凹所90は、軸方向の一端即ちホース10における主部34側の一端が開放形状とされている。
【0065】
図4及び図5において、92はマンドレル48の両端部の雄ねじ部94に螺合される締込ナットで、外面が六角形状をなしている。
尚、図6に示しているように一方の分割型52には位置決突起96が設けられ、また他方の分割型52には、これに対応して位置決突起96を嵌入させる位置決孔98が設けられている。
【0066】
次に図4〜図5に示す成形装置44を用いて、図1〜図3に示すホース10を製造する方法を、図8〜図10に基づいて以下に具体的に説明する。
本実施形態の製造方法では、先ずゴム内層16と補強層18とゴム外層20との積層構造をなす直管状の長尺のホースを押出成形した後、これを所定寸法ごとに切断して図8に示す押出成形品10Aを得、そして先ず未加硫状態の押出成形品10Aを半加硫状態とする。又は長尺のホースを先ず半加硫しておいて、その後にこれを所定寸法ごとに切断して押出成形品10Aを得る。
【0067】
そして押出成形品10Aの内部にマンドレル48を挿入するとともに、押出成形品10Aを、図8に示すようにマンドレル48とともに外型46の成形凹所56に挿入セットする。
そして外型46を締め付けた状態で、詳しくは一対の分割型52を型締状態に締め付けた状態の下で、図9(I)及び(II)に示しているように一対の拡径型50を、外型46の互いに反対側の外部においてマンドレル48に対し中心部の嵌合孔78において嵌め合せ、またそれら拡径型50の更に外側において一対の締込ナット92をマンドレル48の雄ねじ部94に螺合する。
そして締込ナット92を締め込むことによって、ねじ送り作用で一対の拡径型50を、押出成形品10Aの端部の内側に軸方向に押し込んで行く(III)。
尚、一対の拡径型50の押込みは押込成形品10Aの各端部において同時に行う。
【0068】
この拡径型50の押込みによって、押出成形品10Aの各端部は径方向外方に押し拡げられて拡径し、拡径型50と外型46とによって、ホース10における拡径部30及びテーパ状部32が成形される。
詳しくは拡径型50の成形面84と、外型46の成形面60とによって拡径部30の内面と外面とが成形され、また拡径型50の成形面80と外型46の成形面61とによってテーパ状部32の内面と外面とが成形される。
更に外型46における成形面58とマンドレル48の外面とによって、主部34における内面と外面とが成形される。
【0069】
この実施形態では、拡径型50を押し込んだときに大径のフランジ部76が外型46の軸方向端面に当接し、外型46における成形凹所56の開口を閉鎖し、成形凹所56を閉空間とする。
このようにフランジ部76を外型46における軸方向端面に当接させる位置まで、拡径型50を押し込むことによりホース10における軸端面を綺麗な端面に成形することができる。
【0070】
以上のように拡径型50を押し込んだ状態で、成形装置44を押出成形品10Aとともに、図10に示しているように加硫容器の内部に挿入し、そこで押出成形品10Aを所定時間かけて加熱し完全加硫処理を行う。
【0071】
この実施形態では、上記のように拡径型50における挿入部74の先端部且つ内面側に、嵌合孔78よりも大径をなす円環状の成形凹所90が設けられている。
このため、拡径型50を押出成形品10Aの軸端からその内部に押し込んだときに、これに伴う押出成形品10Aの端部の軸方向の圧縮により内ゴム層16の一部が成形凹所90内部に逃げ込むことができる。
或いは押出成形品10Aを成形装置44とともに加硫容器の内部に挿入してこれを加熱し、加硫処理を行ったときに加熱による膨張の圧力で、同じくゴム内層16の一部が成形凹所90へと逃げ込むことができる。
その結果として、図10に示す加硫状態の下で拡径型50の成形凹所90は逃げ込んだゴム内層16の一部によって充填され、加硫成形されたホース10には、図3に示す円環状のゴムストッパ部36が拡径部30の側に向って突出する形状で一体に成形される。
【0072】
従って図3に示すホース10に継手具12を装着するに際して、インサートパイプ22を軸端から拡径部30の内部に挿入したとき、図11に示しているようにその先端がゴムストッパ部36に当接することによって、インサートパイプ22の挿入量が規定される。
即ちゴムストッパ部36のストッパ作用によって、インサートパイプ22を挿入したときの挿入量が予め定めた一定の挿入量に規定される。
【0073】
また本実施形態によれば、拡径型50を押出成形品10Aの軸端からその内部に押し込んだときに圧力が発生し、或いは加硫の際の加熱によりゴム材の膨張圧が発生しても、ゴム内層16の一部が成形凹所90に逃げ込み且つこれを充満することで、発生した圧力及びその圧力により押し出されたゴム材の一部が吸収され、発生した圧力によりゴム材の一部が嵌合孔78とマンドレル48との間の微小なクリアランスに浸入するのが有効に防止される。
従ってその微小なクリアランスにゴム材が一部浸入することによって、これがゴムバリとなってホース10に残ってしまう問題を併せて解決することができる。
【0074】
本実施形態の製造方法によれば、端部拡径ホース10の内面,外面の面性状及び寸法精度を高精度に成形することができるとともに、ゴムストッパ部36も容易に形成することができる。
【0075】
図12はゴムストッパ部の他の形態例を示している。
図に示しているようにこの例では、ゴムストッパ部100を、テーパ状部32の内面から連続して径方向内方に突出する形状で、周方向の複数個所に(ここでは90°ずつ隔たった4個所に)部分的に設けた例である。
ここでゴムストッパ部100は、その内面が主部34の内面と同一の径方向位置に位置しており、主部34の内面とゴムストッパ部100の内面とが、更にはインサートパイプ22の内面とが軸方向に同一の平面を形成している。
【0076】
図12(B)は、このストッパ部100を成形するための成形凹所102を備えた拡径型50を示している。
同図に示しているように、拡径型50における成形凹所102は、図12(A)のゴムストッパ部100に対応してテーパ成形部82の周方向4個所に、且つ90°ごと隔たった位置に、テーパ成形部82を径方向に貫通する形状で設けられている。
【0077】
図13はゴムストッパ部の更に他の形態例を示している。
この例のゴムストッパ部104は、基本的に図12に示すゴムストッパ部100と同様であるが、この図13に示す例では、ゴムストッパ部104の径方向内方への突出高さが、図12に示すものに比べて小さくされている。
またこれに対応して、拡径型50における成形凹所106が、テーパ成形部82の外面から径方向内方に凹陥する形状で、且つテーパ成形部82を貫通しない形状で設けられている。
【0078】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態,態様で構成・実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態のホースを継手金具付きで示した斜視図である。
【図2】同実施形態のホースの継手金具との接続部分の拡大図である。
【図3】同実施形態のホースを要部の部分拡大図とともに示す断面図である。
【図4】同実施形態のホースの成形装置の図である。
【図5】図4の成形装置を各部品に分解して示した図である。
【図6】図4の成形装置の外型の斜視図である。
【図7】図4の拡径型の単品図である。
【図8】同実施形態のホースの製造方法の要部工程の説明図である。
【図9】図8に続く要部工程の図である。
【図10】図9に続く要部工程の図である。
【図11】同実施形態のホースの作用説明図である。
【図12】本発明の他の実施形態の図である。
【図13】本発明の更に他の実施形態の図である。
【図14】従来公知のホースの一例を示す図である。
【図15】図14とは異なる従来公知のホースの図である。
【図16】図14のホースの製造工程及びその不具合の説明図である。
【符号の説明】
【0080】
10 ホース
12 継手金具(継手具)
16 ゴム内層
18 補強層
20 ゴム外層
22 インサートパイプ
24 ソケット金具
32 テーパ状部
34 主部
36,100,106 ゴムストッパ部
44 成形装置
46 外型
48 マンドレル
50 拡径型
56,90,102,106 成形凹所
58 成形面(第3成形面)
60 成形面(第4成形面)
61 成形面(第5成形面)
80 成形面(第1成形面)
82 テーパ成形部
84 成形面(第2成形面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム内層及びゴム外層とそれらの間に介在する、補強線材を編組してなる補強層を有する積層構造をなし且つ各端部に、中央側の主部に対して内径,外径ともに拡径形状をなす拡径部が設けてあるとともに、該拡径部と前記主部との間に、内面及び外面ともに該主部から該拡径部にかけて漸次大径化するテーパ状部が移行部として設けてあって、該拡径部に挿入される剛性のインサートパイプと該拡径部に外嵌され縮径方向にかしめられるソケット金具とを有する継手具が該拡径部に装着される端部拡径ホースであって
前記テーパ状部の内面よりも径方向内方に突出し、前記インサートパイプの挿入側の先端に当接して位置決めをなすゴムストッパ部が該テーパ状部の内側部位に一体に設けてあることを特徴とする端部拡径ホース。
【請求項2】
請求項1において、前記ゴムストッパ部が周方向に全周に亘り環状に設けてあることを特徴とする端部拡径ホース。
【請求項3】
請求項1において、前記ゴムストッパ部が周方向に部分的に且つ周方向の複数個所に設けてあることを特徴とする端部拡径ホース。
【請求項4】
請求項1において、前記ゴムストッパ部が前記テーパ状部の内面から連続して径方向内方に突出する形態で設けてあることを特徴とする端部拡径ホース。
【請求項5】
請求項1において、前記ゴムストッパ部が前記主部の軸端位置から前記テーパ状部の径方向内側部位で前記拡径部の側に向って突出する形態で設けてあることを特徴とする端部拡径ホース。
【請求項6】
請求項1の端部拡径ホースの製造方法であって
(イ)押出成形により得た前記ゴム内層,ゴム外層及び補強層を有する未加硫若しくは半加硫状態の直管状の押出成形品の内部に挿通されて前記主部の内面を成形するマンドレルと、
(ロ)該マンドレルに摺動可能に嵌合する嵌合孔が中心部に形成され、前記押出成形品の軸端から内部に軸方向に挿入される筒状の挿入部を有し、該挿入部の先端側の部分が、前記テーパ状部の内面を成形するテーパ状の第1成形面を外面に備えたテーパ成形部とされ、基端側の部分が前記拡径部の内面を成形する第2成形面を外面に有する拡径成形部とされ、且つ該テーパ成形部に前記ゴムストッパ部の成形凹所を備えた拡径型と、
を用い、前記押出成形品の内部に前記マンドレルを挿通した状態で、前記拡径型を該押出成形品の端部の内部に前記マンドレルに沿って軸方向に押込挿入し、該端部を拡径させて該端部の内面を該拡径型により成形し、その後該押出成形品を該マンドレル及び拡径型とともに加熱して完全加硫することを特徴とする端部拡径ホースの製造方法。
【請求項7】
請求項6において、前記押出成形品の外面を拘束する拘束型として、前記主部の外面を成形する第3成形面,前記拡径部の外面を成形する第4成形面及び前記テーパ状部の外面を成形する第5成形面を備えた、前記端部拡径ホースの外形形状に対応した形状の成形面と、該成形面の内側に形成される軸方向に貫通の成形凹所とを有する外型を用い、
前記成形凹所に、前記押出成形品を該押出成形品の内部に前記マンドレルを挿通した状態で挿入セットし、しかる後、前記拡径型を前記押出成形品の端部の内部に軸方向に押込挿入して該端部を拡径させ、該端部の外面を前記外型の第4成形面及び第5成形面により成形するとともに、前記主部の外面を前記第3成形面により成形し、その後該押出成形品を前記マンドレル,拡径型及び前記外型とともに加熱して完全加硫することを特徴とする端部拡径ホースの製造方法。
【請求項8】
請求項6,7の何れかにおいて、前記ゴムストッパ部の成形凹所が周方向に全周に亘って環状に設けてあることを特徴とする端部拡径ホース。
【請求項9】
請求項6,7の何れかにおいて、前記ゴムストッパ部の成形凹所が周方向に部分的に且つ周方向の複数個所に設けてあることを特徴とする端部拡径ホース。
【請求項10】
請求項6,7の何れかにおいて、前記ゴムストッパ部の成形凹所が、前記嵌合孔から径方向外方に向って凹陥する形状で且つ前記嵌合孔の先端開口に連続した形状で前記テーパ成形部に設けてあることを特徴とする端部拡径ホース。
【請求項11】
請求項6,7の何れかにおいて、前記ゴムストッパ部の成形凹所が、前記テーパ成形部の前記第1成形面から径方向内方に凹陥する形状で設けてあることを特徴とする端部拡径ホース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−224012(P2008−224012A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67636(P2007−67636)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】