説明

第2のRF周波数の終端を用いたインピーダンス整合ネットワーク

処理プラズマ内において第2の周波数の電圧および電流成分のタイトな調節または制限を可能にするようにRF電力生成器の出力部とプラズマチャンバの入力部との間に接続された第2のリアクティブ終端回路が提供される。第2のリアクティブ回路は、システムにおいて第2の周波数で見られる場合において、主にRIF電力生成器の基本周波数において動作するように設計された整合ネットワークのインピーダンスを制御する。可変コンデンサは、システム内の別の構成部品に引き起こされたインピーダンスの変動性に関することなしに、非連続の周波数において、プロセスにおける電圧、電流、および電力をタイトに調節することができるという利点を操作者に与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、可変な負荷のインピーダンスを整合する装置に関し、より詳しくは、半導体またはフラットパネルディスプレイの製造に用いられるプラズマプロセス用のRF電力送達システムのための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体またはフラットパネルディスプレイの製造などのプラズマ処理用途において、RF電力生成器は、プラズマチャンバにおける負荷に電圧を印加し、広範な周波数にわたって動作し得る。プラズマチャンバのインピーダンスは、この印加電圧の周波数、チャンバの圧力、ガス組成、およびターゲットまたは基板材料で変わり得る。従って、通常、リアクティブ・インピーダンス整合ネットワークが、チャンバのインピーダンスをRF電力生成器に対する理想的な負荷に変換するために用いられる。
【0003】
RFプラズマ処理システムには常に、複数の周波数が存在する。これらの異なった周波数によって、基本動作周波数の高調波が結果として生じ得る。多くの用途では、複数の周波数によって、同一のツール上で動作する別個の電力伝送システムが得られうる。以下に制限されないが、商用プラズマ処理ツール上の一般的な構成には、13.56MHz−350kHz、60MHz−2MHz、および27.12MHz−2MHzなどのデュアル周波数システムが含まれる。異なった周波数が存在するので、別個の周波数によって見た場合において、それらの終端インピーダンスをもたらすために一つの周波数範囲内で主に動くように設計された追加のRF回路を構成部品内に提供する必要があり得る。この終端インピーダンスを制御することによって、処理プラズマ内の第2の周波数の電圧および電流成分の制御または制限が可能になる。第2の周波数を終端することを意図した回路は、第1の周波数範囲内の構成部品の動作の性能に悪影響を及ぼさずに第2の周波数に対して所望の終端インピーダンスを提供するように設計される必要がある。
【0004】
システム内の別の構成部品によって引き起こされたインピーダンスの変動性に関せずに、非連続の周波数において、プロセスにおける電圧、電流、および電力をタイトに調節することができるという利点を操作者に与える、プラズマチャンバ上のRF構成部品内において異なった周波数に対して特定の終端インピーダンスを設定する能力を有するインピーダンス整合ネットワークが提供されることは、望ましい。
【0005】
また、基本動作周波数の高調波によって生じた全ての望ましくない効果を抑える能力を有する整合ネットワークも望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって、第2の周波数において動作するネットワークによって見られる場合において、そのインピーダンスのタイトな制御および反復可能性を可能にする、整合ネットワーク回路に、第2のリアクティブ共振回路を追加したものが提供される。この第2の回路は、基本動作周波数における整合ネットワークの動作において、伝導または放射を介した望ましくない干渉を生じないように設計される。このリアクティブ共振回路は、その周波数用途による必要に応じて、固定され得るか、または調節可能であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1を参照すると、概ね、当業者に周知の態様でプラズマチャンバ14に搭載された基板16に電力を供給するRF電力生成器10からなる本発明の原理を取り込んだRFプラズマ処理装置が示されている。チャンバ14は、基板16に薄膜を堆積するかその基板から材料をエッチングするために、点火されプラズマになるガスで満たされている。整合ネットワーク12は、RF電力生成器10とRFプラズマ負荷20との間の異なったインピーダンスを整合することによって、チャンバ内において電力生成器10からプラズマ負荷20へと電力を効率的に送ることを提供するように設計されている。第2の終端回路18が、整合ネットワークの基本動作周波数以外の周波数(単数または複数)において特定のインピーダンスを提供するように、RF電力生成器10の出力部とプラズマチャンバ14の入力部との間に追加されている。回路18は、概ね、インダクタLと可変コンデンサC3とに直列に接続された並列のコンデンサC1およびC2を備える。動作中、回路18は、システムにおける第2の周波数によって見られる場合において、RF電力生成器10の基本周波数で主に動作するように設計された整合ネットワーク12のインピーダンスを制御する。
【0008】
本明細書において、処理プラズマ内における第2の周波数の電圧および電流成分の制御または制限を可能にする付属の共振かつリアクティブ回路を用いるRFプラズマ処理システム内の整合回路の新規かつ無類のインプリメンテーションが提供されていることは、容易に理解され得る。
【0009】
特定の構造および動作の詳細について例示および説明してきたが、これは単に、例示を目的としたものであり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者によって改変および修正が容易になされ得るということは明らかに理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の原理を取り込んだプラズマ装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理用のRF電力送達システムであって、
a)プラズマを生成するプラズマチャンバに電力を送達するように配置されることによって基板に薄膜を堆積するRF電力生成器と、
b)該プラズマのインピーダンスを該生成器の動作インピーダンスに整合させることによって、該チャンバ内において該RF電力生成器から該プラズマへの効率的な伝送を提供するように該RF電力生成器の出力部に接続されたインピーダンス整合ネットワークと、
c)該処理プラズマ内において第2の周波数の電圧および電流成分のタイトな調節または制限を可能にするように、該RF電力生成器の出力部と該プラズマチャンバの入力部との間に接続された第2のリアクティブ終端回路と
を備える、RF電力送達システム。
【請求項2】
前記第2のリアクティブ終端回路が、インダクタと可変コンデンサとに直列に接続された第1および第2のコンデンサの並列接続を含む、請求項1に記載のプラズマ処理用のRF電力送達システム
【請求項3】
前記第2のリアクティブ回路が、前記システムにおいて第2の周波数によって見られる場合において、主に前記RF電力生成器の基本周波数において動作するように設計された前記整合ネットワークのインピーダンスを制御する、請求項2に記載のプラズマ処理用のRF電力送達システム。
【請求項4】
前記可変コンデンサが、前記システム内の別の構成部品によって引き起こされたインピーダンスの変動性に関することなく、不連続の周波数において、プロセスにおける電圧、電流および電力のタイトな調節を可能にする、請求項3に記載のプラズマ処理用のRF電力送達システム。

【図1】
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【公表番号】特表2007−531963(P2007−531963A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520280(P2006−520280)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/022480
【国際公開番号】WO2005/010938
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(597088476)アドバンスド エナジー インダストリーズ, インコーポレイテッド (18)
【住所又は居所原語表記】1625 Sharp Point Drive, Fort Collins, Colorado 80525 U.S.A.
【Fターム(参考)】