説明

管腔壁中に物質を送達する方法およびシステム

管腔部位に活性物質を送達するための方法および装置を提供する。血管形成術およびその他の拡張デバイスには、身体管腔、代表的には、血管に送達されるべき薬物を取り込むスコアリング要素が提供される。このスコアリング要素は、その一部分上に被覆されるか、またはこの要素の内部構造内に取り込まれる薬物およびその他の活性物質を、このスコアリング構造が壁中に半径方向に拡大されるとき、薬物が身体管腔の疾患領域と緊密に関連する管腔壁の中へ放出されるように有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
1.発明の分野
本発明は、医療用デバイスに、より詳細には、血管系中の狭窄症を処置することが意図される医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
バルーン拡張(血管形成術)は、拡張バルーンを有するカテーテルを血管系を通じて挿入することにより狭窄血管の血管再生術を主に取り扱う一般的な医療手順である。バルーンは、血管の内壁に半径方向の圧力を付与し、そしてより良好な血流を可能にするように狭窄領域を広くするために血管中の狭窄領域に内側で膨張される。
【0003】
多くの事例では、このバルーン拡大手順の直後には、血管形成術の後の血管開存性を維持するために配置されるステント配置手順が続く。狭窄血管を適正に広げる血管形成術バルーンの失敗は、しかし、ステントの血管中の不適切な位置決めを生じ得る。薬物溶出ステントが用いられるとき、その有効性は、このような不適切な位置決めによって損なわれ得、そして生じる再狭窄率はより高くなるかも知れない。これは、ステントと血管壁との間のギャップの存在、バルーンによって適正に処置されなかった石灰化領域、およびその他を含むいくつかの因子の結果である。
【0004】
従来のバルーン血管形成術は、その上、多くのその他の欠点をもつ。いくつかの場合には、バルーン拡張手順は、疾患血管をその弾性限界を超えて拡張し得る攻撃的バルーン膨張に起因して血管への損傷を引き起こす。このような過剰膨張は血管壁を損傷し得、そしてバルーンによって拡張されたセクションの再狭窄に至り得る。その他の場合には、拡張手順の間のバルーンのずれが生じ得る。これは、処置される損傷を取り囲む血管壁への損傷を生じ得る。ずれが起こる可能性のある1つの手順は、目下のところ血管形成術バルーンによって処置することが困難であるインステント(in−stent)再狭窄の処置の間である。線維症損傷はまた、従来のバルーンで処置することは難しく、そして、通常、エラスティックリコイル(elastic recoil)がこれら損傷の処置の後、観察される。多くの長い損傷は、血管形成術バルーンを用いて処置することが困難である線維症セクションを有する。
【0005】
これらの問題の少なくともいくつかを克服するために、特許文献1は、バルーンへの切断ブレードの付加を記載する。これらブレードは、バルーンが膨張されるとき損傷を切断し得る。特許文献2は、バルーンに鋭い切断エッジを取り付ける類似の方法を記載している。特許文献3は、膨張の間に血管形成術バルーンを固定するための非軸グリップを有するステント様構造を記載している。特許文献4は、その外側面上に隆起を有するバルーンカテーテルを記載している。特許文献5は、バルーンプロフィールを減少する方法を記載し、窮屈な損傷を横切ることを可能にする。特許文献6は、損傷または狭窄中に長軸方向チャネルを生成する可撓性の細長い要素を有するバルーン血管形成カテーテルを記載している。
【0006】
切断ブレードを有する血管形成術バルーンの使用は多くの状況下で顕著に有利であることが証明されているけれども、現在の切断ブレード設計、およびそれら使用のための方法は、欠点に苦しみ続けている。現在は、Natick、MassachusettsのBOSTON SCIENTIFICによって所有される、San Diego、CaliforniaのINTERVENTIONAL TECHNOLOGIES,INC.から入手可能であるものを含む、多くの市販の切断バルーン設計は、血管形成術バルーンの外面上に保持され、比較的長く、軸方向に整列されたブレードを有している。代表的には、これらのブレードは、外側バルーン面に直接取り付けられた比較的剛直性のベース上に保持される。このような剛直性の細長い構造の付加は、バルーン自体を極めて剛直にし、そしてこのバルーンを、血管系の曲がりくねった領域、特に、冠血管系内のより小さな血管を通って導入する能力を制限する。さらに、これら切断バルーンは、しぼませ、そして折り畳むことが困難であり得、血管系からこれらバルーンを除去することを、切断ブレードを含まない対応する血管形成術バルーンでよりも困難にする。さらに、このような従来の切断バルーンによって与えられる軸方向に配向されたカットは、所望され得る線維症損傷の改良された拡張および処置を常に提供するわけではない。
【0007】
上記に加え、薬物溶出ステント(DES)は、非常に首尾良いが、すべての患者にとって適切ではない。DES移植を受ける患者は、後の血栓症のリスクを最小にするために長期間、抗凝固治療の養生法の下に維持される。抗凝固剤は、過剰の出血を引き起こし、そして特定のその他の健康問題を患う人々、および/または手術を必要とし得る人々には推奨されない。抗凝固剤に耐えられない患者もいる。
【0008】
これらの理由のすべてのために、限定するものではないが、硬化および石灰化プラークを処置することを含む、血管閉塞疾患を処置するための血管形成術およびその他の血管介入を実施するための改良された方法、カテーテル、およびシステムを提供することが所望され得る。このような方法およびシステムが、血管系を超えてその他の身体管腔のために利用され得るならば、それは、特に望ましいものであり得る。特に、血管およびその他の身体管腔に治療薬剤を送達するための従来および新規の両方のバルーンスコアリングおよび切断構造を利用し得る方法およびシステムを提供することが所望され得る。それ故、このような方法およびシステムは、従来のスコアリグおよび切断構造によって提供される様式で血管および管腔閉塞を破壊し得、その一方、血管に、そしてより詳細には、治療剤の分配を増大するために切断要素によって接近され得る血管の脈管内膜および脈管内膜下領域にこの治療薬剤を同時に送達し得る。これらの目的の少なくともいくつかは、本明細書で以下に記載される本発明によって解決される。
【0009】
2.背景技術の説明
以下の米国特許および印刷公開物は、切断バルーンおよびバルーン構造に関する:特許文献7;特許文献8;特許文献9;特許文献10;特許文献11;特許文献12;特許文献13;特許文献14;特許文献15;特許文献16;特許文献17;特許文献18;特許文献19;特許文献20;特許文献21;特許文献22;特許文献23;特許文献24;特許文献25;特許文献26;および特許文献27。その他の重要な米国特許は、特許文献28;特許文献29;特許文献30;特許文献31;および特許文献32を含む。以下の特許は、ニードルを基礎にした送達機構を有する薬物送達カテーテルを記載する:特許文献33は、偏向され得る(deflectable)軸方向に進行可能なニードルを有するニードル注入カテーテルを記載する。特許文献34は、バルーン駆動機によって側方に進行される横方向に配向されるニードルを有するニードル注入カテーテルを記載する。また重要なのは、特許文献35;特許文献36;特許文献37;特許文献38;特許文献39;および特許文献40である。薬物被覆ステントおよび血管形成術バルーンは、特許文献41;特許文献42;特許文献43;特許文献44;特許文献45;および特許文献46を含む多くの特許および公開出願に記載されている。
【特許文献1】米国特許第5,320,634号明細書
【特許文献2】米国特許第5,616,149号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0032973号明細書
【特許文献4】米国特許第6,129,706号明細書
【特許文献5】米国特許第6,394,995号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0153870号明細書
【特許文献7】米国特許第6,450,988号明細書
【特許文献8】米国特許第6,425,882号明細書
【特許文献9】米国特許第6,394,995号明細書
【特許文献10】米国特許第6,355,013号明細書
【特許文献11】米国特許第6,245,040号明細書
【特許文献12】米国特許第6,210,392号明細書
【特許文献13】米国特許第6,190,356号明細書
【特許文献14】米国特許第6,129,706号明細書
【特許文献15】米国特許第6,123,718号明細書
【特許文献16】米国特許第5,891,090号明細書
【特許文献17】米国特許第5,797,935号明細書
【特許文献18】米国特許第5,779,698号明細書
【特許文献19】米国特許第5,735,816号明細書
【特許文献20】米国特許第5,624,433号明細書
【特許文献21】米国特許第5,616,149号明細書
【特許文献22】米国特許第5,545,132号明細書
【特許文献23】米国特許第5,470,314号明細書
【特許文献24】米国特許第5,320,634号明細書
【特許文献25】米国特許第5,221,261号明細書
【特許文献26】米国特許第5,196,024号明細書
【特許文献27】米国特許出願公開第2003/003973号明細書
【特許文献28】米国特許第6,454,775号明細書
【特許文献29】米国特許第5,100,423号明細書
【特許文献30】米国特許第4,998,539号明細書
【特許文献31】米国特許第4,969,458号明細書
【特許文献32】米国特許第4,921,984号明細書
【特許文献33】米国特許第4,578,061号明細書
【特許文献34】米国特許第5,538,504号明細書
【特許文献35】米国特許第6,319,230号明細書
【特許文献36】米国特許第6,283,951号明細書
【特許文献37】米国特許第6,283,947号明細書
【特許文献38】米国特許第6,004,295号明細書
【特許文献39】米国特許第5,419,777号明細書
【特許文献40】米国特許第5,354,279号明細書
【特許文献41】米国特許第6,280,411号明細書
【特許文献42】米国特許第6,656,156号明細書
【特許文献43】米国特許第6,682,545号明細書
【特許文献44】米国特許出願公開第2004/0193257号明細書
【特許文献45】米国特許出願公開第2004/0208985号明細書
【特許文献46】米国特許出願公開第2005/0033417号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、管腔部位に活性物質を送達するため、そして特に、患者の動脈中の血栓症の部位およびプラークの部位のような患者の血管系中の疾患部位に抗過形成物質を送達するための方法および装置を提供する。管腔部位に活性物質を送達するための方法は、身体管腔内にスコアリング要素を位置決めする工程、およびこの身体管腔の壁に切り目(スコア)を付けるために上記スコアリング要素を進行する工程を包含する。このスコアリング要素は、管腔部位に送達されるべき活性物質を含む。最初に上記管腔壁または損傷の曝された面に切り目を付けることにより、上記活性物質は、血管壁の脈管内膜層中またはその下の位置に、代表的には0.001mm〜1mm、通常0.01mm〜0.1mmの範囲の深さまで放出され得る。動脈部位の処置の場合には、上記切り目を付けることは、血栓症またはプラーク内の領域に薬物を送達するのみならず、それは、血管壁にさらに切り目を付け、そして薬物を、血管壁を取り囲む脈管内膜層および脈管内膜の下の層中に送達する。
【0011】
血管の処置に加え、本発明の方法およびシステムは、静脈移植片および合成移植片、ならびに呼吸系、尿系、生殖系および消化系などの管腔を含む種々のその他の身体管腔を処置するために用いられ得る。
【0012】
切り目を付けるか、または切断するデバイスを用いる薬物送達の利点は、DESでの2〜3日または2〜3週間に亘る持続送達(経時的に一定の濃度)よりはむしろ、脈管内膜領域および脈管内膜の下の領域への迅速(短時間)放出を含む。拡散チャネルを開くような損傷に切り目を付けること、およびこの拡散チャネルに直接治療剤を送達することの組み合わせは、上記システムの効き目を増加する。
【0013】
本発明の方法およびシステムは、疎水性および脂肪親和性である薬物を送達するために特に有用である。いくつかの薬物(例えば、パクリタキセルおよびシルリムス)の疎水性性質、およびこれらの薬物が脂肪親和性である(すなわち、リポソームに対して高い親和性)という事実は、上記損傷中により長い時間の間薬物を保持し、そして血液中の溶解に起因する送達の時間の間の薬物の損失を最小にするのを支援する。
【0014】
上記を考慮すれば、ポリマーマトリックスの特徴は、ステントとは非常に異なり得る。理想的には、薬物は、損傷に、短時間に亘って放出される(血管系中で2〜3秒〜数分)。多くの異なるポリマーおよび/または放出機構が用いられ得、相互作用時間内に血液中で溶解または分解するポリマー(本明細書では「生腐食性」と称される)、および溶解/分解しないが薬物を放出するものを含む。
【0015】
スコアリング要素(単数または複数)は、代表的には、その遠位端またはその近傍に1つ以上のスコアリング要素を保持する血管内またはその他の管腔内カテーテルを用いて位置決めされる。血管の場合には、このカテーテルは、代表的には、ガイドワイヤ上を従来様式で、例えば、冠動脈に到達するために大腿動脈を通るか、または末梢動脈の場合にはシースを通って導入される。
【0016】
スコアリング要素(単数または複数)は、このスコアリング要素を、損傷および管腔壁中に半径方向に進行することによって身体管腔中のプラークに切り目を付けるために進行され得る。代表的には、このような半径方向の拡大は、カテーテルによって保持される膨張可能なバルーンのような拡大可能なシェルを用いて達成される。あるいは、この半径方向拡大は、ニチノールのような自己拡大性材料、または(ステンレス鋼のような)その他の材料を用いる拡大可能な幾何学的形状を用いて達成され得る。スコアリング要素は、スコアリングデバイスで先に用いられた任意の幾何学的形状を有し得、上記のようなIVTデバイス中で採用されるスコアリング要素の線状幾何学的形状を含む。しかし、好ましくは、このスコアリング要素は、以下の同時係属中の特許出願によって教示されるような、らせん幾何学的形状を有する1つ以上の弾性要素を備える:2003年7月30日に出願された特許出願番号第10/631,499号(代理人書類番号第021770−00011US);2004年3月25日に出願された同第10/810,330号(代理人書類番号第021770−000120US);および2004年、8月13日に出願された同第10/917,917号(代理人書類番号第021770−000130US)、これらは、本出願人の譲受人に譲渡され、これらの全体の開示は、本明細書中に参考として援用される。
【0017】
スコアリング要素の幾何学的形状にかかわらず、半径方向の進行は、通常、少なくとも1つのスコアリング要素を保持する膨張可能バルーンのような拡大可能なシェルを拡大することを包含する。このようにして、このスコアリング要素の外側エッジ(単数または複数)は、管腔壁および/または管腔壁の少なくとも一部分を覆う閉塞またはその他の材料に係合し、そして貫通し得る。あるいは、上記半径方向拡大は、ニッケルチタン合金のような自己拡大性材料、または(ステンレス鋼のような)その他の材料を用いる拡大可能な幾何学的形状を用いて達成され得る。スコアリング要素は、温度制御される構築物(すなわち、熱形状記憶合金から作製される)または増加する直径を有する内部スライダーのような機械的手段を用いることにより、その他の手段によって拡大され得る。
【0018】
本発明の方法、カテーテル、およびシステムは、広範な種類の管腔疾患および症状を処置するために有用な薬物を含む、広範な種類の活性物質を送達するために利用され得る。本発明の方法および装置は、本明細書中では集合的に「活性物質」と称される、広範な種類の治療剤や医薬剤の送達に特に有効であり、特に以下を含む血管およびその他の管腔症状を処置するために適切な物質を送達するために有用である:
(1)ビンカアルカロイド(すなわち、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン)のような天然産物、パクリタキセル、エピディポドフィロトキシン(すなわち、エトポシド、テニポシド)、抗生物質(ダクチノマイシン、アクチノマイシンD、ダウノルビシン、ドキソルブシンおよびイダルビシン)、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシン、酵素(L−アスパラギンを全身的に代謝し、それら自体でアスパラギンを合成する能力を有さない細胞を奪うL−アスパラギナーゼ)のような抗増殖および抗有糸分裂剤;
(2)G(GP)II.b/III.aインヒビターおよびビトロネクチンレセプターアンタゴニストのような抗血小板剤;
(3)ナイトロジェンマスタード(メクロルエタミン、シクロホスファミドおよびアナログ、メルファラン、クロルアムブシン)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルスルホネート−ブサルファン、ニトロソウレア(カルムスチン(BCNU)およびアナログ、ストレプトゾシン)、トラゼンス−ダカルバジニン(DTIC)のようなアルキル化剤;
(4)葉酸アナログ(メトトレキセート)、ピリミジンアナログ(フルオロウラシル、フロックスウリジン、およびサイタラビン)、プリンアナログおよび関連インヒビター(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンおよび2−クロロデオキシアデノシン{クラドラビン})のような抗増殖および抗有糸分裂代謝拮抗物質;
(5)シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、ヒドロキシウレア、ミトタン、およびアミノグルテチミドのような白金配位複合体;
(6)ホルモン(例えば、エストロゲン);
(7)抗凝固剤(ヘパリン、合成ヘパリン塩およびトロンビンのその他のインヒビター);
(8)(組織プラスミノゲンアクチベータ、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼのような)線維素溶解剤、アスピリン、ジピリダモル、チクロピディン、クロピドグレル、アブシキシマブ;
(9)抗移動剤;
(10)抗分泌剤(ブレベルディン);
(11)副腎皮質ステロイド(コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチソン、プレドニソン、プレドニソロン、6.α.−メチルプレドニソロン、トリアムシノロン、ベタメタソン、およびデキサメタソン)、非ステロイド薬剤(サリチル酸誘導体すなわちアスピリン;パラ−アミノフェノール誘導体すなわちアセトアミノフェノン)のような抗炎症剤;
(12)インドールおよびインデン酢酸(インドメタシン、スリンダック、およびエトダラック)、ヘテロアリール酢酸(トルメチン、ジクロフェナク、およびケトロラク)、アリールプロピオン酸(イブプロフェンおよび誘導体)、アントラニル酸(メフェナミン酸、およびメクロフェナミン酸)、エノール酸(ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、およびオキシフェンタトラゾン)、ナブメトン、金化合物(アウラノフィン、アウロチオグコルース、金チオリンゴ酸ナトリウム);
(13)シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、マイコフェノレート、モフェチルのような免疫抑制剤;
(14)血管内皮成長因子(VEGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)のような血管形成剤;
(15)アンギオテンシンレセプターブロック剤;
(16)酸化窒素ドナー;
(17)アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびその組み合わせ;
(18)細胞周期インヒビター、mTORインヒビター、および成長因子レセプターシグナル伝達キナーゼインヒビター;
(19)レチノイド(retenoid);
(20)サイクリン/CDKインヒビター;
(21)HMG補酵素レダクターゼインヒビター(スタチン);および
(22)プロテアーゼインヒビター。
【0019】
本発明はさらに、身体管腔に活性物質を送達するためのカテーテルを包含する。本発明のカテーテルは、近位端および遠位端を有するカテーテル本体、ならびにこの遠位端の近傍に配置されたスコアリング要素を備える。このスコアリング要素は、このスコアリング要素によって切り目を付けられたか、または切断された管腔壁に送達される活性物質を備える。この活性物質は、種々の様式でスコアリング要素上またはその中に提供され得る。例えば、この活性物質は、スコアリング要素の剥き出た面の少なくとも一部分上に、代表的には、浸漬すること、噴霧すること、塗ること、プラズマ堆積、電気メッキ、遠心分離システムなどにより被覆され得る。より代表的には、しかし、上記活性物質は、ポリマーキャリア中に取り込まれ得る。適切なポリマーキャリアは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグルコール酸(PLG)、およびそれらのコポリマー、ポルカプロラクトン、コラーゲンなどのように、生腐食性(血管またはその他の管腔環境中で再吸収可能、吸収可能および溶解可能であるものを含む)であり得る。あるいは、このポリマーキャリアは、多孔性シリコンまたは改変ポリエチレンオキシド(PEO)のような非腐食性材料であり得る。ポリエチレンオキシド(PEO)のようなヒドロゲルが用いられ得、そして膨潤および拡散そして/または溶解、ならびに腐食によって薬物を放出する。ポリヒドロキシアルカノエートのような分解性ポリマーが同様に用いられ得る。上記薬物は、あるいは、ポリマー、脂質または任意のその他の化学的/生物学的物質内にカプセル化され得る。カプセル化は、上記デバイスから放出されるマクロカプセル、マイクロカプセルまたはナノカプセルを生成し得、そして(デバイスの除去後)延長された時間、損傷中に留まる。薬物は、次に、上記で論議されたように、ポリマーキャリアの腐食拡散または溶解/分解を通じて経時的にカプセルから放出される。ポリマーは、スコアリング要素支柱(strut)を被覆し得るか、またはそれに代わってこのスコアリング要素支柱の少なくともいくらかの間に膜を生成し得るか、または上記の任意の組み合わせであり得る。
【0020】
被覆は、とりわけ、ビニルピロリドン−酢酸ビニル、スチレンアクリルポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、カルボキシ官能アクリルポリマー、ヒドロキシ官能アクリルポリマー、およびアクリル分散ポリマーのようなポリマーマトリックスを含み得る。いくつかの場合には、密着結合被覆(coherent bond coat)(例えば、エポキシ、アセタール、アクリル、エチレンコポリマー、またはその他の適切な基)を用いることが所望される。被覆はまた、ポリ(グリコールメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(スルファナトエチルメタクリレート)、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(ウレタン−アクリレート)、ポリ(アクリルアミド−コ−エチルメタクリレート)、ポリ(ジビニルベンゼン)、ポリ(トリエチレングリコール−コ−ジビニルエーテル)、ポリ(トリ−メチロールプロパントリアクリレート)、ポリ(ペンタエリトリトールテトラアクリレート)、ポリ(ビスフェノールAエトキシレートジアクリレート)、ポリ(アリルエーテル)、ポリ(ジアリルマレエート)、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ポリ(トリアリルイソシアヌレート)、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマーなどを含み得る。上記薬物はまた、酸化層または多孔性酸化層を用いてスコアリング要素の面上に保持され得る。あるいは、スコアリング要素は、任意のポリマーまたは任意の種類の保持マトリックスなくして薬物によって被覆され得る。
【0021】
被覆に対する代替物として、活性物質は、ポリマーキャリア有りまたは無しのいずれかで、スコアリング要素中に形成された穴、溝、またはウェルのようなアパーチャ中に取り込まれ得る。これらのアパーチャは、スコアリング要素の全面上に分布され得るか、またはその一部分のみの上に提供され得る。上記活性物質は、それ故、スコアリング要素が管腔壁に対して係合されるとき、上記アパーチャから放出される。
【0022】
スコアリング要素は、一般に、上記のように、任意の従来の幾何学的形状を有し得、線状、らせん、またはその他の幾何学的形状を有し得る。例示の実施形態では、このスコアリング要素は、処置カテーテルによって保持される拡大可能なシェルを取り囲む弾性ケージの少なくとも一部分として形成される。この弾性ケージは、シェル拡大とともに拡大し、そしてシェル上で折り畳み、例えば、このケージを保持するバルーンを萎ませることを補助する構造を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
以下の説明において、本発明の種々の局面が説明される。説明の目的には、特定の形態および詳細が本発明の完全な理解を提供するために提示される。しかし、本発明は、本明細書中に提示される特定の詳細なくして実施され得ることもまた当業者に明らかである。さらに、周知の特徴は、本発明を不明瞭にしないために省略され得るか、または単純化され得る。
【0024】
本発明の実施形態は、狭窄血管の再血管再生術のためのデバイスに、そして詳細には、外部要素を有するバルーンカテーテルに関する。拡張デバイスは、ポリマーバルーンとらせんのような従来の拡張バルーン、または、バルーンカテーテル上に取り付けられたその他の形態を備えた外部要素を備える。装置は、本発明の原理に従って、血管壁または狭窄領域中に放出される活性物質で被覆されるか、そうでなければ装填される1つ以上のスコアリング要素を備える。本発明はまた、損傷もしくは腫瘍もしくは特定タイプの癌もしくはその他の局所障害のようなその他の症状のための、静脈および合成移植片、ならびに呼吸系、尿系、生殖系および消化系などの管腔のようなその他の身体管腔を処置することにおける使用を見出す。
【0025】
ここで、本発明の実施形態による拡張デバイス10の概略図である、図1、1Aおよび1Bへの参照がなされる。このデバイスは、最初、薬物またはその他の活性物質の取り込みなくして説明される。このような薬物および物質を取り込むための特定の方法および構造は、以下に詳細に説明される。この拡張デバイス10は、介入心臓病専門医または介入放射線科医によって共通して用いられるような任意の従来の血管形成術バルーンであり得る拡張バルーン12、および拡張バルーン12上に取り付けられるか、またはそれに取り付けられる、らせんまたは渦巻き状ユニット14を含む。このバルーンとスコアリング要素(単数または複数)の伸展性(コンプライアンス)は、組み合わされた構造が損傷内で拡大するとき、「ドッグボニング(dog−boning)」が実質的にないバルーンの均一な拡大を確実にするように選択される。伸展性または半伸展性バルーンが用いられ、そして上記スコアリング要素の伸展性がバルーンの性質と応ずるように一致しない場合、バルーン−スコアリング要素システムの拡大は、均一ではない。この非均一性は、スコアリングカテーテルの効き目を損ない得、そしていくつかの場合には、乏しい性能を生じ得る。例えば、所定の圧力下では、このバルーンの特定の部分は拡大し得、その一方、その他の部分は、スコアリング要素の過剰の抵抗によって拘束される。
【0026】
らせんユニット14は、代表的には、ニチノールから作製される。らせんユニット14は、ステンレス鋼、コバルト−クロム合金、チタンなどのようなその他の金属から作製され得る。あるいは、渦巻き状ユニット14は、ポリマー渦巻きであり得るか、または別の弾性材料から作製され得る。らせんユニット14は、その近位端および遠位端で、拡張バルーン12の近位端17および遠位端18に取り付けられ得る。あるいは、渦巻きユニット14は、カラー様取り付け要素15および16によって拡張バルーン12の遠位端および/または近位端に取り付けられ得る。スプリンリグまたはその他の伸展性要素が、代替的に、または付加的にこの取り付け要素の一部分として提供され得、らせんユニットが拡大するときその縮みを収容する。
【0027】
拡張デバイス10は、例えば、従来のカテーテル手順を用いて、血管系中に、血管20の狭窄物質22の領域まで挿入される。(本明細書で用いられる用語「狭窄」は、血管損傷、例えば、バルーンが開くことを予定する血管の狭くなった部分をいう)。この狭窄領域では、拡張バルーン12は、例えば、このバルーン中への液体流れにより膨張される。らせんユニット14は、膨張された拡張バルーン12上で広くなる。膨張に際し、この拡張バルーン12は、らせんユニット14と一緒に、図1Bに示されるように血管20の壁に対して押される。
【0028】
ここで、図1Cへの参照がなされ、拡張バルーン12が萎んだ後の血管20を示す。らせんユニット14は、拡張バルーン12を萎ませるとき細くなり、それ故、この拡張デバイス10は細くなり、そして血管20から容易に回収され得る。バルーン10の萎んだプロフィールは、低く、そして主に円形である。血管20中の狭窄物質22は、血管壁20に対して押され、利用可能な管腔を広げ、そして血流を促進する。らせんユニット14の血管20の壁に対する押し付けは、狭窄領域において切り目(scoring)23を生じる。
【0029】
ここで、図3への参照がなされ、この図は、らせん形態で拡張バルーン12の周りに巻かれた単一のワイヤ24の形態にあるスコアリング構造を示す。
【0030】
その他の実施形態では、本発明のスコアリング構造は、非らせん形態を有し得る。膨張に際しバルーン12の直径における増加を収容し得、そしてこのバルーンが萎むときその形態に戻るスコアリング構造の任意の設計は、本発明で有用である。スコアリング要素の少なくとも一部分は、バルーンカテーテルの長軸方向軸に平行ではなく、可撓性を増大し、そして切り目を付けることを改善する。
【0031】
図1A〜1Cを再び参照して、らせんユニット14は、バルーン12の膨張によって外方に押され、そしてバルーンの膨張によって伸張される。このバルーンが萎むとき、らせんユニット14は、その弾性的な戻りによって萎むことを支援する。この能動的な萎みは、速く、そしてまた、萎んだバルーンの低プロフィールに至る。バルーン12は、らせんユニット14内に配置され、これは、その膨張前形状に戻り、そしてバルーンが小さい半径方向プロフィールを得るように押す。
【0032】
本発明の別の実施形態では、拡張デバイス10は、ステントを保持し得る。このステントは、らせんユニット14上にクリンプされ得る。このようにして、らせんユニット14は、ステントを損傷の硬い領域に対して押し付け得、予備拡張なくして硬い石灰化損傷中でさえ、血管壁に対するステントの適正な位置決めを可能にする。
【0033】
ここで、図2への参照がなされ、本発明の実施形態によるらせんユニット14を示す。らせんユニット14は、代表的には、ニチノールから作製される。らせんユニット14は、近位端および遠位端にあるカラー15および16にそれぞれ取り付けられる3つのワイヤ19を含む。あるいは、このスコアリング構造は、スロット状チューブから作製され得る金属ケージ、またはポリマーケージもしくはポリマー外部要素として形成され得る。あるいは、このスコアリング構造は、バルーン材料に直接取り付けられるか、またはバルーン端部に近接して取り付けられるその他の要素のワイヤを備え得る。
【0034】
ワイヤ19(図2)は、カラー14と15に取り付けられる。これらワイヤの直径は、代表的には、0.05mm〜0.5mmの範囲である。あるいは、ケージ(例えば、スロット状チューブから作製される金属ケージ)は、局所的応力集中を可能にするいくつかの形態で用いられ得る。これらケージ要素の断面またはこれらワイヤの断面のサイズおよび形状は、変動し得る。この断面は、円形、矩形、三角形、またはその他の形状であり得る。
【0035】
代替の実施形態では、これらワイヤ19は、バルーン12に取り付けられている短いセグメントを備え得る。
【0036】
本発明のさらなる代替の実施形態では、らせんユニット14は、拡張バルーン12の1つの端部または両方の端部で接着され、熱結合され、融合されるか、または機械的に取り付けられ得る。
【0037】
なお別の実施形態では、スコアリング構造は、らせん形態またはその他の形態で拡張バルーン12に取り付けられるワイヤを備え得る。これらのワイヤは、バルーン12に熱で取り付けられ得るか、接着されるか、機械的に取り付けられるかなどである。
【0038】
なお別の実施形態では、スコアリング構造は、このスコアリング構造19とバルーン12との組み合わせが可撓性のままであるように、バルーン12の長軸方向軸に平行でないワイヤまたはケージ要素を含む。
【0039】
さらなる実施形態では、拡張バルーン12とスコアリング構造との組み合わせは、損傷に切り目を付け、そして血管壁に対してステントのより良好な位置決め、および損傷中のこの切り目を通る薬物の拡散を可能にすることにより、薬物溶出ステントのためのより良好な血管調製を提供する。
【0040】
これらの実施形態では、バルーンは、損傷のスコアリングが血管壁への薬物の送達を増大し得る場合に薬物を損傷に運ぶためのプラットホームとして用いられ得る。
【0041】
これらの実施形態では、バルーンは、薬物カプセル、薬物含有ポリマーなどを包埋することにより、狭窄材料を通り、そして血管壁中への局所薬物送達のために用いられ得る。
【0042】
上記から、本発明が、カテーテルおよびスコアリング構造を含むことが理解され得、ここで、これらスコアリング構造は、バルーンおよびカテーテルのその他の拡大可能シェル上に位置決めされる。これらスコアリング構造は、バルーンまたはその他のシェルに直接取り付けられ得、いくつかの場合には、バルーン材料中に包埋されるが、より通常には、バルーン上に位置決めされ、そしてバルーンのいずれかの側で取り付け要素によりカテーテルに取り付けられる別個のケージ構造として形成され得る。この拡大可能なケージは、ステント製作することのために用いられるような従来の医療用デバイス製作技法を用いて形成され得、例えば、ハイポチューブおよびその他の管状構造のレーザー切断、ハイポチューブおよびチューブのEDM形成、ワイヤおよびその他の構成要素の溶接などがある。
【0043】
代表的には、このような拡大可能なシェル構造は、取り付け要素、およびこれら取り付け要素間の中間スコアリングセクションを備える。上記の実施形態中に示されるように、これら取り付け要素は、バルーンまたはその他の拡大可能なシェルのいずれかの側上でカテーテル本体に外接する単純な円筒形または管状構造であり得る。これら単純なチューブ構造は、カテーテル本体上で浮動し得、すなわち、取り付けられていないか、またはカテーテル本体に固定され得る。これら取り付け要素の多くの代替実施形態は、以下の実施形態に関連して説明される。
【0044】
上の中間スコアリングセクションもまた、種々の形態を有し得、ここで、スコアリング要素の少なくともいくつかは、代表的には、非軸方向形態に、すなわち、拡大可能なケージの軸方向に平行でない方向に配置される。この中間スコアリングセクションの好ましい形態は、ほぼ先の実施形態に示されるように、1つ以上のらせん要素を備える。その他の例示の形態は、以下に説明される実施形態で提示される。
【0045】
ここで、特に図4および5を参照して、拡大可能なスコアリングケージ100は、第1の取り付け部材102および第2の取り付け部材104をそれぞれ備え、そして中間スコアリングセクション106は、複数の湾曲したヘビ状部材110を備える。これらヘビ状部材110は、互い違いの様式で反対の方向に周縁に延びる。これは、図5に示されるような「ロールアウトされた」(rolled out)図を観察することによって理解され得る。第2の代替のスコアリングケージ構造120は、図6〜8に示される。このスコアリングケージ120は、脊柱126によって接続される第1の取り付け要素122および第2の取り付け要素124を含む。複数のC形状スコアリング要素128および130は、脊柱に取り付けられ、そして反対の周縁方向に延びる。この要素の形状は、図8に観察され得る。これらの反対の方向は、図7のロールアウト図で観察され得る。
【0046】
種々の異なる周縁構造が図6〜8のC形状構造の代わりに用いられ得ることが認識される。例えば、図9に示されるような、一対の反対のC形状の部分的リング構造が利用され得る。図6のC形状構造または図9の二重C形状構造もまた、それらが、バルーンの周りを1回以上巻くように脊柱構造126の上または下のいずれかで延ばされ得る。
【0047】
拡大可能なケージ構造100および120は、各々、図1〜3のバルーンのような拡張バルーンの上に取り付けられ、取り付け要素が、この拡張バルーンのいずれかの側でカテーテル本体に固定される。チューブまたは円筒形取り付け要素102、104、122および124は、カテーテル本体上で単に浮動し得る。その他の実施形態では、しかし、これら取り付け要素の1つまたは両方のいずれかをカテーテル本体に固定するために接着剤またはその他の手段を用いることが所望され得る。少なくとも1つの浮動取り付け要素を有することは、しかし、しばしば望ましい。なぜなら、それは、中間スコアリングセクションの縮みを、このセクションが半径方向に拡大するとき収容し得るからである。その他の場合では、しかし、これら個々のスコアリング要素は、このような縮みを収容するために十分な弾性を所有し得る。例えば、ニチノールおよびその他の形状記憶合金は、代表的には8%の大きさの顕著な伸張能力を所有し、これは、いくつかの場合には、バルーンの半径方向拡大によって中間スコアリングセクションに付与される任意の張力を収容するに十分である。
【0048】
ここで、図10〜12を参照して、代替の取り付け要素が、中間スコアリングセクションを構成する3つのらせんスコアリング要素142を備える拡大可能なスコアリングケージ140の実施形態上に示される。第1の取り付け要素146は、図11に最も良く示されるように単一のヘビ状リングを備え、その一方、第2の取り付け要素148は、図12に最も良く示されるように一対のタンデムなヘビ状リング150および152を備える。このようなヘビ状取り付け構造の使用は有益である。なぜなら、それは、この構造のいずれかの端部または両方の端部をカテーテル本体に固定するために、カテーテル本体上へのこれら構造のいずれかまたは両方のクリンプ留めを許容するからである。通常、単一のヘビ状取り付け構造48がカテーテル本体に固定され、その一方、二重のヘビ状構造はフリーにされ、スコアリングケージのその端部の移動を可能にし、下にあるバルーンの半径方向拡大を収容する。
【0049】
ここで、図13および14を参照して、本発明のスコアリングケージで有用な取り付け要素のさらなる代替の実施形態が示される。取り付け要素180は、ほぼ図12に示されるような一対のヘビ状リング182および184を、これらリング182と184との間に位置するコイルスプリング構造186と組み合わせて含む。このコイルスプリング構造186は、3重のコイルスプリング190を含み、各々は、ヘビ状リング182および184上の曲げ構造192および184の1つをそれぞれ接続する。このスプリング構造および隣接するヘビ状リングの構造は、図14に示されるロールアウトされた形態を参照して理解され得る。
【0050】
この取り付け構造180は、それが、最も外側のリング182の、下にあるカテーテル本体への固定された取り付けを許容し、その一方、内側リング184は浮動するままであるので有利であり、そしてらせん要素196を備える上記中間スコアリングセクションの拡大および収縮は、コイルスプリング構造186によって収容される。スコアリングケージは、カテーテルに固定されているので、バルーンからの損失またはずれの任意のリスクは低減され、その一方、十分な伸展性が提供され、中間スコアリングセクションの半径方向拡大を容易に収容する。構造180を、スコアリングケージの少なくとも1つ、そして好ましくは両方の端部で取り付けることにより、ステントへの妨害のリスクは低減される。
【0051】
いくつかの実施形態では、図1および図2に示されるもののようなカラー、または図10〜12に示されるもののような取り付け要素は、バルーンカテーテル上に取り付けられている間はカラーまたは取り付け要素が拡大し、そして次に、カテーテルの直径に折り畳まれることを可能にする可撓性材料を含み得る。これらカラーおよび/または取り付け要素の拡大可能性は、ニチノールまたはポリマーのような伸展性記憶材料によるか、または図10〜12に示されるような可撓性ヘビ状設計の使用により達成され得る。カラーが用いられる場合、このカラーは、このカラーがバルーンへの取り付けの間に拡大され得るように成形され得るか、または周縁の下方にスリットを有し得る(図示はされていない)。あるいは、このカラーは、バルーン直径取り付けを収容するように大きめであり得、そして次に、カテーテル本体にこのスコアリング構造を固定するために圧着される。
【0052】
本発明の取り付け要素のなお別の実施形態は、図15および16に示されるような軸方向スプリングを含む。この取り付け要素200は、終端ヘビ状リング202、および多くの軸方向ヘビ状スプリング要素206を含む中間スプリング構造204を含む。ヘビ状リング要素206の性質は、図16のロールアウトされた形態で観察され得る。必要に応じて、第2のヘビ状リング210が、取り付け構造200と、中間スコアリングセクション212のらせんスコアリング要素との間に提供され得る。
【0053】
図13〜16の実施形態は、スプリング様要素186および204を備え、半径方向拡大に際し、スコアリング構造の軸方向縮みを収容する。その他の金属および非金属軸方向伸張性構造がまた、このような取り付け構造中で用いられ得ることが認識され得る。例えば、弾性のポリマーチューブが、一方の端部でスコアリング構造に、そして他方の端部でカテーテル本体(またはリング、カラーまたは次にカテーテル本体に固定されるその他の構造)に取り付けられ得る。
【0054】
ここで、図17aおよび17bを参照して、軸方向に膨張し得る取り付け構造258を有する血管形成術カテーテル250のさらなる実施形態が示される。外部構造252は、拡大可能な拡張バルーン254上に保持され、そして1つの端部でカテーテル本体256の遠位端260に固定される。この外部構造は、スコアリング構造、切断構造または破壊構造のような血管壁からプラーク/塞栓の除去のために代表的に用いられる任意の構造を備え得る。外部構造252の近位端262は、取り付け構造258の遠位端264に連結される。取り付け構造258の近位端266は、カテーテル本体256に固定される。以下に説明されるように、この取り付け構造258は、バルーン254の拡大および収縮の間に、この外部構造252およびカテーテル本体256に対して付与される力を減少するような形態であり得る。
【0055】
好ましい実施形態では、取り付け構造258は、弾性材料から作製される円筒形のオーバーチューブ、または伸展性チューブを備える。オーバーチューブ258は、一般に、カテーテル本体256の外径よりわずかに大きい内径を有している。この取り付け構造258の近位端の小セクションのみがカテーテル本体に固定されているので、外部構造252に取り付けられた遠位端264は自由に浮動し、そしてカテーテル本体256に対して軸方向および回転方向に自由にスライドする。取り付け構造252は、例えば、接着剤により、カテーテル本体256および外部構造252に直接、またはカラーもしくはその他の中間取り付け手段に固定され得る。
【0056】
バルーン254が拡大されるとき、外部構造252は、周縁に拡大し、そしてカテーテル本体256に沿って軸方向に収縮し、取り付け構造258上で軸方向力Aを生成する。その端部266でカテーテルに固定される取り付け構造258は、軸方向に伸張し、外部構造252の軸方向移動を収容する。外部構造252はまた、カテーテル本体256の周りで回転する傾向にあり、ねじれ力Tを生じる。取り付け構造258の遠位端264は、スコアリング構造252の運動の全範囲を通して回転し、ねじれ力Tを収容し、その一方、近位端266は、カテーテル本体256に対して静止したままである。
【0057】
図17aおよび17bに示される形態は、拡大可能なシステムの伸展性が制御されることを可能にする。一般に、スコアリング構造の一方の端部が自由である場合、この拡大可能なシステムの伸展性は、バルーンとスコアリング構造との伸展性の組み合わせであり得る。しかし、図17に示される拡大可能なシステムの端部は、遠位端260および近位端266で固定されているので、取り付け構造は、この拡大可能なシステムの伸展性を制御する。
【0058】
このシステムの伸展性は、オーバーチューブ258の材料選択、壁厚、または長さの任意の組み合わせによって変動され得る。オーバーチューブ258は、Nylon、Pebax、またはPETのような任意のエラストマーを含み得る。代表的には、伸展性チューブ258は、押し出された管材から形成されるが、編組みポリマーファイバーもしくは金属ファイバー、またはワイヤメッシュをもまた含み得る。ニチノールのような高記憶金属またはステンレス鋼もまた利用され得る。伸展性チューブが押し出されたポリマーチューブを含む場合、壁厚は上記で提示される範囲で変動し得、そしてチューブの長さは、1cm〜10cmの範囲であり得る。同じ材料については、壁が薄いほど、そしてチューブが長いほど、システムはより従順である。
【0059】
図18A〜Cを参照して、血管形成術カテーテル300の伸展性はまた、伸展性チューブ258中に1つ以上の穿孔を生成することによって変動され得る。穿孔は、チューブの周縁に1つ以上のスロットを備え得る。これらのスロットは、伸展性チューブ258の長さを横切って渦巻きになる1つの連続的スロットを含み得るか、またはらせん312、または放射(radial)314のような任意の数のパターンで整列される多くのスロットであり得る。これらのスロットはまた、円形または矩形のような任意の数の形状であり得、そして目立たない長さを有し得るか、または伸展性チューブの表面を横切って連続的であり得る。
【0060】
図19を参照して、伸展性チューブ258の外径はテーパー状であり得、スコアリングカテーテル320の送達および管腔内の処置部位からの回収を容易にする。一般に、この外径は、伸展性チューブ258の遠位端264でより大きく、そして伸展性チューブの近位端266でより小さい。遠位端における外径Dは、折り畳まれたときのスコアリング構造およびバルーンのプロフィールに依存して変動するが、代表的には、0.004インチ〜0.01インチの範囲であり、近位端における外径Dより大きい。近位端における外径Dは、一般に、カテーテル本体の外径に可能な限り近く、伸展性チューブとカテーテルとの間の円滑な遷移を生成する。例として、0.033インチの外径を有するカテーテル本体については、遠位端における外径Dは、0.038インチの内径を備えて0.042インチであり得、この内径は、伸展性チューブの遠位端がカテーテル本体に対して移動し得るようにカテーテル本体間の隙間を提供する。対応して、近位端における外径Dは、0.034インチの内径を備えて0.0345インチまでテーパー状で小さくなり得、接着剤によってカテーテル本体に結合されるに十分な隙間を備えた外径を有するカテーテル本体に緊密に一致する。
【0061】
上記テーパーは、伸展性チューブの全長にわたり得るか、またはそれに代わって伸展性チューブの長さの所定セクションでのみテーパー状であり得る。このテーパー状の伸展性チューブ258は、スコアリング構造とカテーテル本体との間の遷移を円滑にし、そしてカテーテルの送達または回収の間に、外側チューブまたはスコアリング構造が管腔壁の部分上で引っかかるか、または捕捉される可能性を最小にする。
【0062】
ここで、図20を参照して、スコアリングカテーテル350の代替の実施形態が示され、マニピュレーター360を有する。取り付け構造258は、その遠位端264でスコアリング構造252に連結される。カテーテル本体256に直接固定される代わりに、近位端266は、マニピュレーター360に付着される。代表的には、マニピュレーター360は、カテーテル本体256の近位端に位置決めされ、そしてこの取り付け構造258は、スコアリング構造からカテーテル本体の長さにわたって延びる。上記の実施形態のように、この取り付け構造は、軸方向および回転方向に延び得、シェルが拡大されるとき、スコアリング構造の縮みを収容する。
【0063】
いくつかの実施形態では、スコアリング構造252およびバルーン254の伸展性は、半径方向に拡大可能なシェルの拡大または収縮の間にマニピュレーターを起動することにより制御される。1つの局面では、取り付け構造258は、バルーンが膨張または萎められるとき、カテーテル本体256に対して軸方向に進行させられ得る。例えば、バルーン254が、バルーンの伸展性を拘束するよう拡大されている間、取り付け構造258が、カテーテル本体256の遠位端から離れるように引かれ得る。この取り付け構造258は、バルーン254が、バルーンおよびスコアリング構造のプロフィールを最小にするよう萎められている間、またはその後にもカテーテル本体256の遠位端から離れるように引かれ得る。あるいは、マニピュレーター360は、取り付け構造258をカテーテル本体256に対して回転させるために用いられ得、折り畳まれ状態から拡大した状態まで、および折り畳まれた状態に戻る遷移の間のバルーンおよびスコアリング構造の伸展性を制御する。
【0064】
ここで、図21および22を参照して、スコアリングケージ構造400が示され、2層の積層伸展性チューブ402を有する。図22に示されるように、この伸展性チューブ402は、少なくともその遠位端410で積層構造404を有する。この積層構造は、図22に点線で示されるように、スコアリング要素406の近位端408を保持する。このスコアリング要素406は、薄層がこれら要素を覆いつつも、図22に示されるように、伸展性チューブ402の外側を上回り適合するようなサイズであり得る。あるいは、この伸展性チューブ402は、これら要素406上に形成された積層する層(単数または複数)(図示せず)を備えたスコアリング構造406の内側に適合するようなサイズであり得る。
【0065】
この積層構造は、伸展性チューブ402に類似のポリマーから構成され得、そして熱収縮または溶融され、伸展性スリーブを伸展性チューブに熱によって結合し、そしてスコアリング構造406を挟持し得る。あるいは、接着剤または超音波エネルギーまたはRFエネルギーのようなその他の結合方法がこの構造を積層するために用いられ得る。図21および22に示されるような積層された構造は、スコアリングケージと取り付け構造との間の円滑な遷移および強化された結合を提供する。このような円滑な遷移は、このスコアリングケージを血管系から引き抜くとき特に有利である。
【0066】
図23および24は、拡大可能な拡張バルーン412上に位置決めされたスコアリングケージ400を示す。図24に示されるように、スコアリング構造の遠位端418は、端部キャップ416によってカテーテル本体の遠位先端部414にカップルされ得る。この端部キャップ416は、適合性ポリマーから構成され、そしてカテーテル本体と熱により結合され、スコアリング構造の遠位端418をカテーテル本体に固定する。
【0067】
ここで、図25〜27を参照して、拡大可能なスコアリングケージ406をバルーンカテーテル上に取り付けるための方法が示される。スコアリングケージ406は、それを、バルーン412の外径よりわずかに大きい内径を有する挿入チューブ422上に装填することによって予備拡大される。バルーン412を有するカテーテル本体420が次いで挿入チューブ422の内径中に挿入され、そしてバルーン412が、図26に示されるようにスコアリング構造406に対してほぼ位置決めされるまで進行させられる。この挿入チューブ422は次いで引き戻され、拡大されたスコアリング構造が、図27に示されるようにバルーン412およびカテーテル本体420上で折り畳むことを可能にする。このスコアリング構造406は、次いで、その遠位端418でカテーテル本体420の遠位先端部414に固定され、そしてスコアリング構造/取り付け構造アセンブリの近位端424をカテテーテル本体420の中間位置に固定され得る。
【0068】
ここまで説明されたように、上記スコアリング構造およびカテテーテル装置は、任意の薬物、活性物質、またはこのような薬物もしくは物質を血管系もしくはその他の身体管腔中に放出することに関連するその他の被覆特徴を含んでいない。これらスコアリング要素は、しかし、このような薬物および活性物質を、例えば、図28〜図34に説明されるような、スコアリング要素の構造上、その上、またはその中に取り込むための種々の公知の技法によって容易に改変され得る。これらの薬物およびその他の活性物質は、浸漬、塗装、蒸着、スピン被覆などのような従来技法によってスコアリング要素の1つ以上の表面領域に付与され得る。上記活性物質は、本質的に純粋な形態、すなわち、任意のキャリア、希釈剤、アジュバント、改変剤、エンハンサーなどの不在下で付与され得る。より一般的には、しかし、上記活性物質は、適切なキャリア、マトリックス、カプセル、または、所望の時間に亘って、またはスコアリング要素の拡大の際にすぐ、または身体管腔に導入された後、薬物の放出を容易にし得るかまたは制御し得るその他の構造とともに、またはそれらの中に付与される。詳細な例では、腐食性および/または非腐食性ポリマーキャリアマトリックスが、最初、上記スコアリング要素の剥き出た面の少なくとも1部分上に付与され得、そして薬物がこのポリマーキャリア上に装填される。再吸収性ポリマーおよび非再吸収性ポリマーの両方のための適切な材料は上記に記載されている。別の例では、薬物は、また上記のように、スコアリング要素への付与の前にキャリア中に存在し得るか、またはカプセル化され得る。
【0069】
図28および29を参照して、スコアリング要素または支柱500は、所望の活性物質の純粋または実質的に純粋な層502で被覆され得る。図28に示されるように、活性物質層502は、スコアリング要素500の限られた面または限られた複数の面に区画され得る。あるいは、図29に示されるように、活性物質層502は、スコアリング要素500の剥き出た面のすべてまたは大部分を被覆し得る。
【0070】
ここで、図30および31を参照して、スコアリング要素500は、(図30に示されるように)上記要素の限られた面または限られた複数の面、あるいは(図31に示されるように)すべてまたは大部分の面を覆うポリマーマトリクス504で被覆され得る。活性物質は、従来技法によってポリマーマトリックス504上に装填され得る。ポリ乳酸およびポリグリコール酸のような腐食性または分解性ポリマーは、血管環境に曝されるとき、経時的に分解または溶解し、そして再吸収される。このような場合には、マトリックスからの活性物質の放出は、ポリマーが分解するとき薬物が放出される分解によるか、または分解と多孔性構造を通る拡散の組み合わせによるかのいずれかによって行われ得る。非腐食性ポリマーの場合には、活性物質は、代表的には、拡散機構によって放出され、そしてポリマーは、(このポリマーは、より長い時間の期間に亘って分解し得るが)拡散が実質的に停止された後も特定時間の間残る。その他の例では、ポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド)は膨潤し得、そして拡散は、膨潤プロセスによって増大され得る。ポリマー/脂質カプセル化薬物がスコアリングデバイスから放出されるときの場合においては、放出は、スコアリングデバイスが除去された後に開始および/または継続し得、拡散、分解、腐食および/または膨潤、あるいはこれら機構の任意の組み合わせによる。薬物の放出は、デバイス上の拡大可能なシェルを膨張することにより開始または増大され得るか、または別個に導入され得る(つまり、ポリマーキャリアから活性物質を機械的に強制的に出すか、または押し出す)。これは、腐食性および非腐食性ポリマーキャリアの両方について適用可能である。
【0071】
ここで、図32を参照して、スコアリング要素510は、ウェル512(代表的には複数のウェル)を有するように改変され得、少なくともそれらのいくつかは、ポリマーマトリックス514を保持する。このポリマーマトリックスは、上記のように、分解性または非分解性であり得、そして説明された機構のいずれかによって、取り込まれた活性物質を放出する。
【0072】
図33に示されるように、スコアリング要素520は、1つ以上の穴522を備え得、そのいくつかまたはすべては、ポリマーマトリックス524を含む。この穴522は、ウェル512(図32)とは、底構造が提供されず、そしてウェルが各端部で開放されている点で異なる。この活性物質は、ポリマーマトリックス中に取り込まれ得、そして上記に記載の任意の機構によって放出される。
【0073】
ウェル512または穴522にいずれでも、ポリマーマトリックスは、異なる性質を有する層から構成され得るか、そして/または異なるポリマーもしくはその他の材料から構成される層を含み得る。このようにして、種々の放出機構が達成され得る。
【0074】
ここで、図34を参照して、鋭くなったか、または角状のリッジ532を有するスコアリング要素530がまた、活性物質とともに提供され得る。図34に示されるように、活性物質は、水平な貫通穴536に配置されるポリマーマトリックス534中に取り込まれる。この貫通穴は、腐食性または非腐食性ポリマーを含み、そして活性物質がその中に取り込まれ、そして上記に記載の機構によって放出される。しかし、三角形の要素、または任意のその他のスコアリング要素はまた、直接薬物で被覆され得るか、またはこの要素の外面(単数または複数)上に配置されるポリマーマトリックス中に取り込まれ得ることが認識される。さらに、図34のスコアリング要素530を、貫通穴536中に内部に隔離された薬物をまた含みながら、その外面(単数または複数)のすべてまたは一部上を薬物でさらに被覆することが可能であり得る。
【0075】
ここで、図35、36A、および36Bを参照して、血管に活性物質を送達するための本発明のスコアリング要素構造の使用が説明される。拡張デバイス10のバルーン12は、ほぼ上記のように、血管20の疾患領域内で拡大される。この拡張デバイスのスコアリング要素500は、上記に記載の任意の手段により、それらの表面および構造中またはその上に取り込まれた、代表的には上記のタイプの抗増殖性薬物である取り込まれた薬物を有する。図36Aに示されるように、例示の実施形態では、このスコアリング要素500は、バルーン12が拡大されるとき、硬化プラークまたは血栓PT中に貫通し得る。このスコアリング要素は、プラークまたは血栓PT中に貫通し、そして恐らくは血栓溶解薬物である薬物をこのプラークまたは血栓中に放出する。その他の事例では、角のあるスコアリング要素530のようなスコアリング要素は、バルーン12によって、それが図36B中に示されるように血管壁20中に入るように拡大され得る。これらの事例では、薬物は、血管壁の脈管内膜またはその他の領域中に直接放出され得る。
【0076】
本発明が本明細書中上記に詳細に示され、そして説明されたものに制限されないことは、当業者によって認識される。代替の実施形態は、本発明の範囲内に入ることが企図される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、本発明の実施形態によるバルーンスコアリング構造の実施形態の概略図である。
【図1A】図1Aは、本発明の実施形態によるバルーンスコアリング構造の実施形態の概略図である。
【図1B】図1Bは、本発明の実施形態によるバルーンスコアリング構造の実施形態の概略図である。
【図1C】図1Cは、本発明の実施形態によるバルーンスコアリング構造の実施形態の概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態による例示のらせんスコアリング構造の概略図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態によるらせんスコアリング構造を保持する拡大される血管形成術バルーンの概略図である。
【図4】図4は、一対の端部カラー間の中間スコアリング要素の互い違いのヘビ状パターンを備えるスコアリング構造を示す。
【図5】図5は、ロールアウトされた形態で示された図4の実施形態のヘビ状スコアリング要素を示す。
【図6】図6は、一対の端部カラー間の互い違いのC形状スコアリング要素を備えるスコアリング構造を示す。
【図7】図7は、ロールアウトされた形態で示された図6の実施形態のC形状スコアリング要素を示す。
【図8】図8は、図6の線8−8に沿ってとったC形状スコアリング要素の1つの図である。
【図9】図9は、図6中に示されるスコアリング構造と類似のスコアリング構造上で利用され得る互い違いの二重C形状スコアリング要素を示す。
【図10】図10は、バルーンカテーテル上での取り付けのためのヘビ状構造およびジグザグ構造を備えるらせんスコアリング構造の代替の実施形態を示す。
【図11】図11は、図10のスコアリング構造の第1のヘビ状取り付け要素を示す。
【図12】図12は、図10のスコアリング構造の第2のヘビ状取り付け要素を示す。
【図13】図13は、らせんまたはその他のスコアリング構造のための代替の取り付け構造を示す。
【図14】図14は、ロールアウトされた形態で示される図13の取り付け構造を示す。
【図15】図15は、本発明のスコアリング構造のための取り付け要素のなお別の実施形態を示す。
【図16】図16は、ロールアウトされた形態で示される図15の取り付け構造を示す。
【図17A】図17Aは、取り付け構造がスコアリング構造とカテーテル本体との間に配置される、本発明の原理により構築されたカテーテルのなお別の代替の実施形態を示す。
【図17B】図17Bは、バルーンなくして示される図17Aの構造を示す。
【図18】図18A〜18Cは、種々のパターンの穿孔を備えた取り付け構造を有する本発明の原理によって構築されたカテーテルを示す。
【図19】図19は、テーパー状の取り付け構造を有する本発明の原理によって構築された別の実施形態のカテーテルを示す。
【図20】図20は、取り付け構造がマニピュレーターに連結される、本発明の原理によって構築されたなお別の代替の実施形態のカテーテルを示す。
【図21】図21は、伸展性チューブの遠位端に積層セクションを有する、本発明の実施形態を示す。
【図22】図22は、図21の実施形態の別の図を示す。
【図23】図23は、スコアリング構造内に挿入される拡大可能なバルーンを備える図21の実施形態を示す。
【図24】図24は、スコアリング構造の遠位端上にスリーブを備えた実施形態を示す。
【図25】図25は、拡大可能なバルーン上にスコアリング構造を取り付けるために挿入チューブを利用する、本発明の方法を示す。
【図26】図26は、拡大可能なバルーン上に挿入された挿入チューブを示す。
【図27】図27は、本発明のスコアリングカテーテルを挿入チューブを取り外して示す。
【図28】図28は、本発明の原理によるスコアリング要素上またはその中の活性物質を被覆またはそうでなければカップルするための異なる形態を示す。
【図29】図29は、本発明の原理によるスコアリング要素上またはその中の活性物質を被覆またはそうでなければカップルするための異なる形態を示す。
【図30】図30は、本発明の原理によるスコアリング要素上またはその中の活性物質を被覆またはそうでなければカップルするための異なる形態を示す。
【図31】図31は、本発明の原理によるスコアリング要素上またはその中の活性物質を被覆またはそうでなければカップルするための異なる形態を示す。
【図32】図32は、本発明の原理によるスコアリング要素上またはその中の活性物質を被覆またはそうでなければカップルするための異なる形態を示す。
【図33】図33は、本発明の原理によるスコアリング要素上またはその中の活性物質を被覆またはそうでなければカップルするための異なる形態を示す。
【図34】図34は、本発明の原理によるスコアリング要素上またはその中の活性物質を被覆またはそうでなければカップルするための異なる形態を示す。
【図35】図35は、血管中の壁部位に活性物質を送達するための本発明のスコアリング要素の使用を示す。
【図36A】36Aは、血管中の壁部位に活性物質を送達するための本発明のスコアリング要素の使用を示す。
【図36B】36Bは、血管中の壁部位に活性物質を送達するための本発明のスコアリング要素の使用を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質を管腔部位に送達する方法であって:
スコアリング要素を身体管腔内に位置決めする工程;および
該スコアリング要素を該身体管腔の壁に切り目を付けるか、または切断するために進行させる工程、を包含し、ここで、該スコアリング要素が、該活性物質を含む、方法。
【請求項2】
前記身体管腔が、血管、静脈移植片、合成移植片、または呼吸系、尿系、生殖系もしくは消化系中の管腔である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記身体管腔が、血管である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記管腔部位が、血栓で少なくとも部分的に閉塞されている、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記管腔部位が、プラークまたは硬化プラークで少なくとも部分的に閉塞されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記位置決めする工程が、1つ以上のスコアリング要素を保持するカテーテルを管腔内に位置決めすることを包含する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記カテーテルが、ガイドワイヤ上に位置決めされる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記進行させる工程が、前記スコアリング要素を半径方向に進行させることを包含する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記スコアリング要素が、細長い、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記細長いスコアリング要素が、らせんの幾何学的形状を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記半径方向に進行させることが、少なくとも1つのスコアリング要素を保持する拡大可能なシェルを拡大させることを包含する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記拡大可能なシェルを拡大させることが、拡大可能な構造を膨張させることを包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記活性物質が、抗増殖剤、抗有糸分裂剤、抗血小板剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、白金配位錯体、ホルモン、抗凝固剤、フィブリン溶解剤、抗移動剤、抗分泌剤、抗炎症剤、インドールおよび酢酸、免疫抑制剤、血管形成剤、アンギオテンシンレセプターブロッカー、酸化窒素ドナー、抗アンチセンスオリゴヌクレオチド、細胞周期シンヒビター、レチノイド、サイクリン/CDKインヒビター、HMG補酵素レダクターゼインヒビター、およびプロテアーゼインヒビターのうちの1つ以上を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
近位端および遠位端を有するカテーテル本体と;
該カテーテル本体の遠位端近傍に配置されるスコアリング要素とを備えるカテーテルであって;
ここで、該スコアリング要素が、該スコアリング要素によって切り目を付けられる管腔壁に送達される活性物質を含む、カテーテル。
【請求項15】
前記活性物質が、前記スコアリング要素の剥き出た面の少なくとも一部分上に被覆される、請求項14に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記活性物質が、ポリマーキャリア中に取り込まれる、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記ポリマーキャリアが、血管環境中で腐食性である、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記ポリマーキャリアが、血管環境中で非腐食性である、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記活性物質が、前記ポリマーキャリア中にカプセル化される、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記活性物質が、ポリマーキャリアなしに被覆される、請求項14に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記活性物質が、前記スコアリング要素中に形成された穴またはウェル中に保持される、請求項14に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記スコアリング要素が、ほぼ線状であり、そして拡大可能なシェル上で軸方向に整列される、請求項14〜21のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記スコアリング要素が、拡大可能なシェル上に配置される弾性ケージとして形成される、請求項14〜21のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記ケージが、前記シェルとともに拡大し、そして該シェル上で折り畳まれる弾性構造を有する、請求項23に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記ケージが、少なくとも1つのらせんスコアリング要素を備える、請求項24に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記活性物質が、抗増殖剤、抗有糸分裂剤、抗血小板剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、白金配位錯体、ホルモン、抗凝固剤、フィブリン溶解剤、抗移動剤、抗分泌剤、抗炎症剤、インドールおよび酢酸、免疫抑制剤、血管形成剤、アンギオテンシンレセプターブロッカー、酸化窒素ドナー、抗アンチセンスオリゴヌクレオチド、細胞周期シンヒビター、レチノイド、サイクリン/CDKインヒビター、HMG補酵素レダクターゼインヒビター、およびプロテアーゼインヒビターのうちの1つ以上を含む、請求項14〜25のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項27】
前記薬物がヒドロゲル内に取り込まれ、そして該薬物の放出が該ヒドロゲルの膨潤によって増大される、請求項14〜25のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項28】
前記活性物質が、疎水性薬物である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
活性物質を管腔部位に送達する方法であって:
スコアリング要素を身体管腔内に位置決めする工程;および
該身体管腔の壁に切り目を付けるか、または切断するために該スコアリング要素を進行させる工程、を包含し、
ここで、該スコアリング要素が、活性物質を含む膜を備える、方法。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36A】
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【図36B】
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【公表番号】特表2008−539959(P2008−539959A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511263(P2008−511263)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/017872
【国際公開番号】WO2006/124398
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(503305068)アンジオスコア, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】