説明

箱詰めワイヤロープ

【課題】車両搭載型クレーンのワイヤロープの交換を容易に行なうことができるようにすることである。
【解決手段】撚りを取り除く状態で円形の束とされた一定の長さのワイヤロープ1を段ボールシート製の包装ケース10内に収容し、その包装ケース10のワイヤロープ1を支持する底11と、その底11に対向する蓋のいずれか一方にロープ引出し口21の形成用切取り切断線17を形成して、その切取り切断線17の内側に切取り片部18を設ける。クレーンのワイヤロープの交換に際しては、切取り切断線17の切断により切取り片部18を取り除いてロープ引出し口21を形成し、そのロープ引出し口21からワイヤロープ1の端部を引き出して、ワイヤロープの交換を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、箱詰めワイヤロープに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物の積み降ろしを行なうクレーンを搭載した車両搭載型クレーンにおいては、フックを昇降動させるワイヤロープに大きな重量が負荷されるため、荷物の頻繁な積み降ろしによって、ワイヤロープが早期に損傷し易く、上記荷物の積み降ろしの際に、万一、ワイヤロープが切断すると、荷物の落下によって大きな怪我をする危険がある。
【0003】
このため、車両搭載型クレーンにおいては、ワイヤロープの取り替えを頻繁に行なって安全性を確保するようにしている。
【0004】
一般に、ワイヤロープはリールに巻き取られている。そこで、クレーンのワイヤロープの交換に際して、従来では、上記リールからワイヤロープを引き出しつつ、その交換用ワイヤロープをクレーンに掛け渡されている古いワイヤロープと交換するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のワイヤロープの交換に際しては、リールからワイヤロープを引き出すため、交換用ワイヤロープに撚りが生じる。このため、交換用ワイヤロープをクレーンに掛け渡されている古いワイヤロープと取り替える際に、交換用ワイヤロープの撚りを取り除きつつクレーンのワイヤロープ敷設経路に沿って掛け渡しを行なう必要があり、交換に非常に手間が係るという不都合があった。
【0006】
この発明の課題は、車両搭載型クレーンのワイヤロープの交換を容易に行なうことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、この発明においては、撚りを取り除く状態で円形の束とされた一定の長さのワイヤロープと、その円形束状のワイヤロープを収容する段ボールシート製の包装ケースとから成り、前記包装ケースのワイヤロープを支持する底と、その底に対向する蓋のいずれか一方にロープ引出し口形成用の切取り切断線を形成して、その切取り切断線の内側に切取り片部を設けた構成を採用したのである。
【0008】
上記の構成からなる箱詰めワイヤロープにおいては、リールからワイヤロープを引き出す際に検尺して切断し、長さの異なる数種のワイヤロープを用意しておくようにする。
【0009】
車両搭載型クレーンのワイヤロープの交換に際しては、クレーンと対応する長さのワイヤロープが収納された箱詰めワイヤロープを選択して現場に持ち込み、切取り切断線に沿っての切断により切取り片部を取り除いて、ロープ引出し口を形成し、そのロープ引出し口からワイヤロープの一端部を引き出し、クレーンのワイヤロープ敷設経路に沿ってワイヤロープの掛け渡しを行なうようにする。
【0010】
この場合、ワイヤロープは撚りを取り除く状態で収納されているため、ワイヤロープの引き出しによって撚りが生じることが極めて少なく、ワイヤロープをスムーズに引き出すことができ、しかも、そのワイヤロープは所定の長さとされているため、交換の際にワイヤロープを切断する必要がなくなり、一人の作業者によってワイヤロープの交換を短時間に能率よく行うことができる。
【0011】
ここで、切取り片部の内面にワイヤロープの一端部を連結しておくことにより、切取り片の切取りと同時にワイヤロープの一端部を外部に引き出すことができる。
【0012】
また、包装ケースとして、矩形の底の外周四辺から起立する角形胴部の上部開口縁に折り目線を介して対向一対の内フラップおよび対向一対の外フラップを連設した段ボール箱を採用することにより、コストの安い箱詰めワイヤロープを提供することができると共に、空となった段ボール箱を容易に処理することができる。
【0013】
上記のような箱詰めワイヤロープは、ホームセンタ等の商店において陳列販売する販売形態を採るようにする。この場合、段ボール箱からなる包装ケースの胴部の内周四隅にL形の補強材を内貼りしておくことにより、圧縮強度を高めることができるため、積み重ねによる陳列とすることができ、陳列のために大きなスペースを確保する必要がなく、また、在庫管理も容易である。
【発明の効果】
【0014】
上記のように、この発明においては、所定長さに切断されたワイヤロープを撚りを取り除いた状態で包装ケース内に収容したので、切取り片部の切取りにより形成されたロープ引出し口から外部にスムーズに引き出すことができ、クレーンのワイヤロープの交換を一人の作業者によって短時間に簡単に行うことができる。
【0015】
また、ワイヤロープは箱詰めされているため、任意の場所に簡単に持ち運ぶことができ、修理工場以外の場所(現場)においてワイヤロープの交換を行なうことができる。
【0016】
さらに、ワイヤロープは箱詰めされているため、ホームセンタ等の商店において陳列販売する販売方法を採用することができ、在庫管理も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係る箱詰めワイヤロープの実施の形態を示す斜視図
【図2】切取り片部を取り除いてロープ引出し口を形成した状態の斜視図
【図3】ワイヤロープの箱詰め状態を示す平面図
【図4】段ボール箱の開放状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図3に示すように、ワイヤロープは図示省略したリールから引き出されて検尺され、所定の長さの位置で切断されて交換用のワイヤロープ1とされている。
【0019】
この交換用のワイヤロープ1は、各種クレーンに対応する長さのものが数種類用意される。各種のワイヤロープ1は撚りを取り除きつつ円形の束とされ、包装ケース10内に収容される。
【0020】
図4に示すように、包装ケース10は、矩形の底11の外周四辺から起立する角形胴部12の上部開口縁に折り目線13を介して対向一対の内フラップ14および対向一対の外フラップ15を連設した段ボール箱からなり、上記内フラップ14および外フラップ15を外側に折り曲げて、胴部12の上部開口を開放する状態において上部から内部に円形束状のワイヤロープ1が収容される。
【0021】
なお、段ボール箱は上記の形態に限定されるものではない。
【0022】
胴部12の内周四隅には、L形の補強材16が内貼りされて補強されている。また、上記ワイヤロープ1を支持する底11には円形のミシン目からなる切取り切断線17が形成されている。切取り切断線17の内側は切取り片部18とされ、その切取り片部18の内面に、図3に示すように、ワイヤロープ1の一端部が粘着テープ片19の接着によって連結されている。
【0023】
対向一対の内フラップ14は、ワイヤロープ1の収納後、胴部12の上部開口を閉じる位置まで折り曲げられ、また、対向一対の外フラップ15はその内フラップ14の上面に重なる位置まで折り曲げられる。
【0024】
図1に示すように、対向一対の外フラップ15は、対向端部に跨る粘着テープ20の貼り付けによって封緘状態とされ、その外フラップ15と内フラップ14により蓋が形成される。
【0025】
なお、対向一対の外フラップ15は、内フラップ14に接着するようにしてもよく、あるいは、ステープルの打込みにより内フラップ14に結合してもよい。
【0026】
実施の形態で示す箱詰めワイヤロープは上記の構造からなり、この箱詰めワイヤロープはホームセンタ等の商店において陳列販売する販売形態を採るようにする。このとき、段ボール箱からなる包装ケース10は、胴部12の内周四隅部が補強材16の貼付けによって補強されているため、積み重ねによる陳列とすることができ、陳列のために大きなスペースを確保する必要がない。
【0027】
車両搭載型クレーンのワイヤロープの交換に際しては、クレーンと対応する長さのワイヤロープ1が収納された箱詰めワイヤロープを選択し、これを購入して現場に持ち込み、切取り切断線17に沿っての切断により切取り片部18を取り除く。
【0028】
上記切取り片部18の切取りによって、図2に示すように、ロープ引出し口21が形成されると共に、交換用ワイヤロープ1の一端部は上記切取り片部18に連結されているため、ワイヤロープ1の一端部はそのロープ引出し口21から外部に引き出されることになる。
【0029】
このため、ワイヤロープ1の一端部を探し出して外部に引き出す手間を省くことができる。上記のようにしてロープ引出し口21からワイヤロープ1の一端部を引き出すと、そのワイヤロープ1をクレーンのワイヤロープ敷設経路に沿って掛け渡しする。
【0030】
この場合、ワイヤロープ1は撚りを取り除く状態で包装ケース10内に収納されているため、ワイヤロープ1の引き出しによって撚りが生じることが極めて少なく、ワイヤロープ1をスムーズに引き出すことができる。また、ワイヤロープ1は所定の長さとされているため、交換の際にワイヤロープ1を切断する必要がなくなり、一人の作業者によってワイヤロープ1の交換を短時間に能率よく行うことができる。
【符号の説明】
【0031】
1 ワイヤロープ
10 包装ケース
11 底
12 胴部
13 折り目線
14 内フラップ
15 外フラップ
16 補強材
17 切取り切断線
18 切取り片部
21 ロープ引出し口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撚りを取り除く状態で円形の束とされた一定の長さのワイヤロープと、その円形束状のワイヤロープを収容する段ボールシート製の包装ケースとから成り、前記包装ケースのワイヤロープを支持する底と、その底に対向する蓋のいずれか一方にロープ引出し口形成用の切取り切断線を形成して、その切取り切断線の内側に切取り片部を設けた箱詰めワイヤロープ。
【請求項2】
前記切取り片部の内面にワイヤロープの一端部を連結した請求項1に記載の箱詰めワイヤロープ。
【請求項3】
前記包装ケースが、矩形の底の外周四辺から起立する角形胴部の上部開口縁に折り目線を介して対向一対の内フラップおよび対向一対の外フラップを連設した段ボール箱からなる請求項1に記載の箱詰めワイヤロープ。
【請求項4】
前記胴部の内周四隅にL形の補強材を内貼りした請求項3に記載の箱詰めワイヤロープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−159066(P2010−159066A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2153(P2009−2153)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000208101)大洋製器工業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】