説明

箱詰め装置

【課題】外装箱に収容される物品列間の空隙を確実に抑制する。
【解決手段】箱詰め装置100の物品押し出し装置102は、物品整列位置P1に整列された複数の物品1を前後方向Yに押し出す際に、平面視において物品1の長軸が前後方向Yに対して傾斜するように、複数の物品1夫々の姿勢を変える姿勢傾斜手段40を備え、物品整列位置P1と物品群形成位置P2との間の経路上に、姿勢傾斜手段40によって変えられた複数の物品1夫々の姿勢を補正する姿勢補正手段15a〜15cが備えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱詰め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の物品を、段ボールケース又はダース箱といった外装箱の内部に収容する場合、物品間の空隙を極力抑制させることによって外装箱への物品の収容効率を高めることができる。また、この空隙の抑制は外装箱内部の物品の保護に効果がある。例えば、外装箱の搬送中において外装箱内部で物品が動揺して、相互に当接して物品が損傷することを抑制できる。かかる理由から、複数の物品から成る物品群を外装箱の内部に収容する箱詰め装置においては、従来、物品間の空隙が小さくなるように物品同士が積み重なるようにして物品を外装箱の内部に収容する箱詰め装置(特許文献1を参照)が提案されている。
【0003】
なお、特許文献1では、箱詰め装置の物品押し出し装置が、物品搬送装置上に整列させた物品を仕切板の延在方向に平行な前後方向に押し出す際、平面視において各物品の長軸が押し出し方向に対して交差する所定の姿勢に物品の姿勢を変えて、かつ該姿勢を支持するスタビライザが押し出しプレートに備えられることが開示されている。また、特許文献1には、スタビライザによって前後方向に対して傾斜させた姿勢に支持される物品群が、そのままの姿勢で外装箱に押し込まれることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−186241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、比較的重みがあり及び/又は比較的底面積が大きい等、慣性モーメントの大きな物品を箱詰め対象とする場合がある。この場合、特許文献1のように押し出しプレートにスタビライザ等の加工を施しても、当該物品の慣性モーメントが働くことによって、平面視において各物品の長軸が前後方向に対して傾斜するように物品の姿勢を変えにくくなり、元の姿勢からの傾きの度合いが浅くなる。このため、従来の箱詰め装置の構成では、外装箱への物品の収容効率をさらに改善する余地があった。
【0006】
本発明は、上記のような従来の課題を解決するためになされたものであり、外装箱に収容される物品列間の空隙を確実に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る箱詰め装置は、平面視において長軸を有する複数の物品を、コンベア上に該コンベアの物品搬送方向に並列に立設させ、かつ該物品搬送方向と直交する一群の仕切板の間に、該長軸が該物品搬送方向と直交するように、整列させるとともに、前記物品を該コンベア上の物品整列位置に搬送させる物品整列装置と、 前記物品整列位置に整列した前記複数の物品を、前記物品搬送方向に垂直な前後方向に沿って物品群形成位置まで押し出すことを繰り返し、該物品群形成位置において所定列数の前記物品から成る物品群を形成させる物品押し出し装置と、前記物品群形成位置の下方に前記物品群を収容する空の外装箱を搬送するとともに、前記物品群が収容された前記外装箱を搬出する外装箱搬送装置と、前記物品群形成位置に形成された前記物品群を下降させて前記外装箱内に収容させる物品群下降装置と、を備え、前記物品押し出し装置は、前記物品整列位置に整列された前記複数の物品を前記前後方向に押し出す際に、平面視において前記物品の長軸が前記前後方向に対して傾斜するように、前記複数の物品夫々の姿勢を変える姿勢傾斜手段を備え、前記物品整列位置と前記物品群形成位置との間の経路上に、前記姿勢傾斜手段によって変えられた前記複数の物品夫々の姿勢を補正する姿勢補正手段が備えられている、ものである。
【0008】
この構成によれば、物品押し出し装置の姿勢傾斜手段によって、複数の物品を押し出す時に、平面視において物品の長軸が前後方向に対して傾斜するように、複数の物品夫々の姿勢が変えられ、この姿勢の状態で外装箱へ収容される。この結果、外装箱に収容される物品群の列間の空隙を抑制でき、ひいては外装箱への物品の収容効率を向上させることができる。
【0009】
また、比較的重みがあり及び/又は比較的底面積が大きい等、慣性モーメントの大きな物品を箱詰め対象とする場合、姿勢傾斜手段による物品の姿勢の傾きが浅くなっても、物品整列位置と物品群形成位置との間の経路上に配置された姿勢補正手段によって、姿勢傾斜手段が意図する傾斜が得られるように物品の姿勢を変える(補正する)ことができ、外装箱に収容される物品群の列間の空隙を確実に抑制し、ひいては外装箱への物品の収容効率を改善できる。
【0010】
上記の箱詰め装置において、前記物品整列位置と前記物品群形成位置との間の経路を形成する経路部材を更に備え、前記経路部材において前記前後方向に対して斜めに交差するように延びる段差が、前記姿勢補正手段として構成されている、としてもよい。
上記の箱詰め装置において、前記段差は、前記経路部材に配された邪魔板又は前記経路部材に形成された溝による高低差である、としてもよい。
【0011】
この構成によれば、安価かつ簡素な方法で本発明の効果を得ることができる。
上記の箱詰め装置において、前記物品押し出し装置は、前記物品整列位置に整列された複数の物品を前記前後方向に押し出す際に、前記一群の仕切板が通過できるようにスリットを形成した押し出しプレートを備え、前記姿勢傾斜手段は、前記押し出しプレートと対向し、かつ前記前後方向に対して傾斜した傾斜面を有するように構成されている、としてもよい。
【0012】
この構成によれば、物品に応じて、押し出しプレートに構成される傾斜面を任意に選択することができ、上記の箱詰め装置の汎用性が向上する。
【0013】
上記の箱詰め装置において、前記姿勢傾斜手段は、前記押し出しプレートの表面下部に第1乃至第3の平板部から成る屈曲プレートを固定して構成されており、前記第1の平板部は、その一方の表面が前記押し出しプレートの表面下部に固定され、前記第2の平板部は、前記第1の平板部の一方の側縁部から垂直方向に垂直縁部まで延び、前記第3の平板部は、前記第2の平板部との間で鋭角を成すように、前記第2の平板部の前記垂直縁部から延設され、前記第3の平板部が、前記傾斜面を有している、としてもよい。
【0014】
この構成によれば、押し出しプレートの表面下部に姿勢傾斜手段が構成されているので、慣性モーメントが大きく、かつ重心位置が低い物品を箱詰め対象とする場合に、本発明の効果をより確実に得ることができる。
【0015】
上記の箱詰め装置において、前記屈曲プレートは、前記第1の平板部の他方の側縁部から垂直方向に延在される第4の平板部を備えている、としてもよい。
【0016】
この構成によれば、第3の平板部の一方の表面(ガイド面)と第4の平板部の一方の表面(支持面)とによって物品の胴部を挟み込み、その姿勢を維持できるので、物品を押し出す際の姿勢の乱れを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の箱詰め装置は、外装箱に収容される物品列間の空隙を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の平面図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の正面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の側面図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態における押し出しプレートの斜視図である。
【図5】図5は一群の仕切板が物品整列位置に停止したときの図4に示した押し出しプレートの平面図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態における押し出しプレートの変形例の斜視図である。
【図7】図7は一群の仕切板が物品整列位置に停止したときの図6に示した押し出しプレートの平面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態における姿勢補正手段として用いられる邪魔板の形状を例示した斜視図である。
【図9】図9は図8に示した邪魔板によって物品の姿勢が補正されることを説明するための図である。
【図10】図10は本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の動作を説明するための図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の動作を説明するための図である。
【図12】図12は本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の動作を説明するための図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の動作を説明するための図である。
【図14】図14は本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の動作を説明するための図である。
【図15】図15(a)は袋詰め品の場合の物品の形状を例示した斜視図である。図15(b)はボトル詰め品の場合の物品の形状を例示した斜視図である。図15(c)は箱詰め品の場合の物品の形状を例示した斜視図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態に係る箱詰め装置によって物品が収容された状態の外装箱の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0020】
[箱詰め装置の対象とする物品]
図15は、本発明の実施の形態に係る箱詰め装置が対象とする各種物品の概略形状を示す斜視図である。本発明の実施の形態に係る箱詰め装置が対象とする物品は、例えば、ポテトチップ、豆、飴、スープ、洗剤等の内容物が、ボトル詰め、袋詰め又は箱詰めされた物である。
【0021】
図15(a)は、袋詰め品の場合の物品の形状を例示した斜視図である。図15(a)に示されるように、物品1は、フィルム製袋に内容物が充填されている袋詰め品である。柱状かつその横断面が扁平な形状、すなわち長軸を有する形状を呈している。さらに詳しくは、物品1は、扁平な柱状の胴部とこの胴部の両側に配置された胴部より厚みが極薄い帯状の一対の縁部25a,1bとを有している。
【0022】
図15(b)は、ボトル詰め品の場合の物品の形状を例示した斜視図である。図15(b)に示されるように、物品1は、扁平胴部を有するボトルに内容物が充填されているボトル詰め品である。袋詰め品の場合と同様に、物品1は、扁平胴部の平面視断面の長軸方向における両端部として、一対の縁部25a、1bを有している。
【0023】
図15(c)は、箱詰め品の場合の物品の形状を例示した斜視図である。図15(c)に示されるように、物品1は、扁平六角柱の形状から成る箱詰め品である。袋詰め品の場合と同様に、物品1は、扁平胴部の平面視断面の長軸方向における両端にある一対の角部として、一対の縁部25a、1bを有している。
【0024】
図16は、本発明の実施の形態に係る箱詰め装置によって物品が収容された状態の外装箱の斜視図である。図16に示すように、外装箱6内では、前列の物品1の後端側の縁部25bと後列の物品1の縁部25aとは相互に抵触することないように、物品群が形成されている。このため、外装箱6内での物品1の収容効率が向上するとともに、外装箱6内での物品1の動揺が抑制されて外装箱6内での物品1の損傷が抑制されている。
【0025】
なお、外装箱6内の物品群の列数及び列中の物品の数は、物品群の外形が外装箱6に収容可能な大きさとなるように設定されている。また、図16に示される物品1は図15(a)に示した袋詰め品であるが、図15(b)に示されるボトル詰め品の場合や図15(c)に示される箱詰め品の場合であってもよい。
【0026】
[箱詰め装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の平面図である。図2は、本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の正面図である。図3は、本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の側面図である。なお、図1乃至図3において、Xで示される方向を物品搬送方向(左右方向)と呼び、Yで示される方向を前後方向と呼び、Zで示される方向を物品押し込み方向(上下方向)と呼び、Wで示される方向を外装箱昇降方向と呼ぶ。
【0027】
図1乃至図3に示される箱詰め装置100は、図15に示されるような平面視において長軸を有する物品1から成る物品群を、段ボールケース又はダース箱等の外装箱6の内部に収容するものである。さらに詳しくは、列間の空隙を抑制するように複数の物品1から成る物品群を形成して、当該物品群を下方の外装箱6に下降させて収容するものである。
【0028】
箱詰め装置100は、物品整列装置2と、物品導入コンベア3と、物品押し出し装置102と、経路部材11と、姿勢補正手段15と、物品群下降装置103と、外装箱搬送装置104と、制御装置101と、を主に備えている。
【0029】
物品整列装置2は、無端ベルトから成るベルトコンベア22上に載置されて搬送される一群の仕切板20の間に所定数の物品1をそれぞれ収容した上で、ベルトコンベア22上の後述の物品整列位置P1まで搬送し、物品1の長軸が物品搬送方向X(図1及び図2参照)と直交するように整列させる装置である。
【0030】
物品整列装置2は、ベルトコンベア22と、仕切板20と、を備えている。なお、各仕切板20は、ベルトコンベア22の物品搬送方向Xと直交する方向に延在するように、かつ物品搬送方向Xに沿って複数の物品1を1つずつ収容可能な間隔となるように、並列に配置されている。
【0031】
物品導入コンベア3は、物品1を物品整列装置2のベルトコンベア上に誘導するコンベアである。
【0032】
物品押し出し装置102は、物品整列位置P1に整列した複数の物品1を、物品搬送方向Xに垂直な前後方向Y(図1及び図2参照)に沿って、ダンパー板12が配置されている物品群形成位置P2まで押し出すことを繰り返し、該物品群形成位置P2において所定の列数から成る物品群を形成させる装置である。
【0033】
物品押し出し装置102は、押し出しプレート4と、ストッパプレート13と、押し出しプレート4を駆動させる駆動機構(図示せず)と、を備えている。押し出しプレート4は、物品整列装置2によって整列された複数の物品1を、前後方向Yに前進させるためのプレートである。
【0034】
なお、押し出しプレート4では、後述のスリット42が形成されているとともに、後述の姿勢傾斜手段40が固定されている。ストッパプレート13は、前後方向Yに沿った経路上に配置された一対のダンパー板12上の物品群形成位置P2のさらに前方の位置に、物品搬送方向X及び前後方向Yに対して垂直に配設されている。
【0035】
経路部材11は、ベルトコンベア22とダンパー板12との間の前後方向Yに沿った経路を形成するプレート等の部材である。この経路部材11を介して、物品整列装置2のベルトコンベア22上の物品整列位置P1とダンパー板12が配置されている物品群形成位置P2との間が中継される。
【0036】
姿勢補正手段15は、ベルトコンベア22とダンパー板12との間の前後方向Yに沿った経路上、本実施の形態では、特に経路部材11上に、物品押し出し装置102によって押出される物品1の個数に対応した複数設けられており、姿勢傾斜手段40によって変えられた物品1の姿勢を補正する。具体的には、経路部材11において前後方向Yに対して斜めに交差するように延びる段差が、姿勢補正手段15として構成されている。
【0037】
物品群下降装置103は、一対のダンパー板12上の物品群形成位置P2に形成された物品群を、物品搬送方向X及び前後方向Yに対して垂直な物品群下降方向Z(図3参照)に向けて、換言すると一対のダンパー板12の下方に位置する外装箱6に向けて下降させる装置である。
【0038】
物品群下降装置103は、一対の保持プレート5と、下降プレート7と、一対のダンパー板12と、これらを駆動させる駆動機構( 図示せず)と、を有する。
【0039】
一対の保持プレート5は、一対のダンパー板12上の物品群形成位置P2に形成された物品群をその両側から挟み込んで保持するプレートである。下降プレート7は、一対の保持プレート5によって保持されている物品群の上端に当接して、当該物品群を物品群下降方向Zに沿った下方へと下降させるプレートである。一対のダンパー板12は、物品群形成位置P2に配置されており、物品群下降装置103によって物品群が外装箱6の内部に押し込まれる場合に開閉する。
【0040】
外装箱搬送装置104は、外装箱6を物品群形成位置P2の一対のダンパー板12の下方に位置するように搬送するとともに、物品群下降装置103によって複数の物品1から成る物品群が押し込まれた後には外部に搬送するための装置である。
【0041】
外装箱搬送装置104は、箱昇降装置8と、箱搬入コンベア9と、箱搬出装置10とを有する。箱昇降装置8は、外装箱6を載置して、かつ外装箱6を物品群下降方向Zと平行な外装箱昇降方向W(図2参照)に移動させる装置である。この箱昇降装置8によって、一対のダンパー板12の下方に外装箱6が位置決めされる。箱搬入コンベア9は、箱昇降装置8へ外装箱6を搬入するコンベアである。箱搬出装置10は、複数の物品1から成る物品群が収容された外装箱6を外部に搬出する装置である。
【0042】
制御装置101は、箱詰め装置100の全体の制御を司る装置である。制御装置101は、処理機能を有するものであればよい。例えば、マイコン(CPU)、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等で実施すればよい。
【0043】
[押し出しプレートの形状]
以下では、図4、図5を参照しながら、図1に示した押し出しプレート4の形状を説明する。なお、図4は、本発明の実施の形態における押し出しプレートの斜視図である。図5は、一群の仕切板が物品整列位置に停止したときの図4に示した押し出しプレートの平面図である。
【0044】
図4、図5に示されるように、押し出しプレート4は、ベルトコンベア22上の物品整列位置P1と対向し、かつベルトコンベア22のベルト面に対して略鉛直に配置されている。また、押し出しプレート4の表面下部には、一群の仕切板20(20a〜20d)の間に整列される物品1の個数に対応した所定数(この場合3個)の姿勢傾斜手段40(40a〜40c)が固定されている。姿勢傾斜手段40は、物品整列位置P1に停止した一群の仕切板20の間に収容されている複数の物品1を前後方向Yへと押し出す際に、平面視において各物品1の長軸が前後方向Yに対して傾斜するように、各物品1の姿勢を変えるための部材である。
【0045】
より詳しく説明すると、物品1の重心がその下部に位置している場合が多いので、姿勢傾斜手段40は、ベルトコンベア22上の物品1を円滑に押し出せるように、押し出しプレート4の前後方向Y側の表面下部に形成されている。また、姿勢傾斜手段40は、ステンレス等の金属板を屈曲して配置された屈曲プレートを、ボルトナット、ロウ付け等の一般的な固定手段によって押し出しプレート4の表面下部に固定されて形成されている。
【0046】
屈曲プレートは、3つの矩形状の平板部401(第1の平板部)、平板部402(第2の平板部)、及び平板部403(第3の平板部)から構成されている。平板部401の一方の表面(固定面)が、押し出しプレート4に固定されている。平板部402は、平板部401の一方の側縁部から垂直方向に延設されている。平板部403は、平板部402との間で鋭角を成すように、平板板401と接する一方の側縁部とは反対側にある平板部402の他方の側縁部から延設されている。このような形状により、押し出しプレート4によって物品1が前後方向Yに向けて押し出されるに従って、平板部403の前後方向Y側の一方の面(ガイド面)に物品1が当接するとともに、平面視において物品1の長軸が平板部403の延在方向と平行となる。
【0047】
図4、図5に示されるように、押し出しプレート4には、物品搬送方向Xに沿って所定の間隔で並列に、一群の仕切板20(20a〜20d)の間に収容される物品1の個数に対応した所定数(この場合2個)のスリット42(42a、42b)が形成されている。スリット42は、一群の仕切板20が物品整列位置P1に停止した状態において、仕切板20の間に収容されている物品1を押し出しプレート4によって前後方向Yへと押し出す際に、一群の仕切板20が押し出しプレート4を通過できるようにするために設けられている。
【0048】
より詳しく説明すると、スリット42は、一群の仕切板20のピッチと略同じピッチで形成されている。また、スリット42は、押し出しプレート4の下縁部から上方向に向けて延設されており、その幅及びその高さは、一群の仕切板20との干渉を避けることができるように設定されている。
【0049】
[押し出しプレートの形状の変形例]
以下では、図6、図7を参照しながら、図4、図5に示した押し出しプレート4の形状の変形例を説明する。なお、図6は、本発明の実施の形態におけるその他の押し出しプレートの斜視図である。図7は、一群の仕切板が物品整列位置に停止したときの図6に示した押し出しプレートの平面図である。
【0050】
図6、図7に示されるように、図4、図5に示した押し出しプレート4と比べると、姿勢傾斜手段40の形状が相違している。姿勢傾斜手段40は、4つの矩形状の平板部411(第4の平板部)、平板部412(第1の平板部)、平板部413(第2の平板部)、及び平板部414(第3の平板部)から成る屈曲プレートによって構成されている。平板部412の一方の表面(固定面)は、一般的な固定手段によって押し出しプレート4の表面下部に固定されている。平板部411及び平板部413は、平板部412の両側縁部から垂直方向に延設されている。平板部414は、平板部413との間で鋭角を成すように、平板部412と接する一方の側縁部とは反対側にある平板部413の他方の側縁部から延設されている。
【0051】
このような形状により、物品1を挟み込むように、平板部411の一方の面(支持面)と平板部414の一方の面(ガイド面)とが対向している。平板部414の一方の面と平板部411の一方の面との離間距離は、前後方向Yに沿って大きくなっている。押し出しプレート4によって物品1が前後方向Yに向けて押し出されるにつれて、平板部413の一方の面(ガイド面)に物品1が当接し、平面視において物品1の長軸が平板部413の延在方向と平行となる。また、物品1の一方の縁部が平板部411の一方の面(支持面)によって支持されるので、平板部413の一方の面(ガイド面)によって変えられた物品1の姿勢が支持される。
【0052】
[姿勢補正手段の形状]
以下では、図8を用いて、図1に示した姿勢補正手段15の形状を説明する。なお、図8は、本発明の実施の形態における姿勢補正手段として用いられる邪魔板の形状を例示した斜視図である。
【0053】
図8に示されるように、姿勢補正手段15(15a〜15c)は、細長で所定の厚みのある邪魔板151(151a〜151c)の上にカバー部材(152a〜152c)を覆うことにより、高低差のある段差(153a〜153c)として構成されている。なお、以下では、姿勢補正手段15のこれらの構成を段差部材150(150a〜150c)と呼ぶ。段差部材150は、前後方向Yに沿ったベルトコンベア22とダンパー板12との間の経路上、特に経路部材11の上に設けられている。また、段差部材150は、経路部材11上で前後方向Yに対して斜めに交差するように配置されている。
【0054】
図9は、図8に示した段差部材150によって物品の姿勢が補正されることを説明するための図である。
【0055】
まず、物品整列位置P1に停止した各仕切板20の間に収容されている各物品1は、その平面視における長軸が前後方向Yと略平行となるように整列されている。押し出しプレート40が前後方向Yに向けて前進すると、各仕切板20の間にある物品1と姿勢傾斜手段40とが当接して、平面視における物品1の長軸が前後方向Yに対して傾斜するように、物品1の姿勢が変えられる。
【0056】
ところで、比較的重みがあり及び/又は比較的底面積が大きい等、慣性モーメントの大きな物品1を箱詰め対象とする場合、姿勢傾斜手段40による物品1の姿勢の傾き度合いは浅くなり、複数の物品1から成る物品群の列間の空隙が大きくなる。このため、物品整列位置P1と物品群形成位置P2との間の経路を形成する経路部材11の上に、前後方向Yに対して斜めに交差するように延びる姿勢補正手段15としての段差153が設けられている。
【0057】
図9に示されるような、押し出しプレート4の姿勢傾斜手段40の平板部403(403a〜403c)と段差部材150(150a〜150c)との位置関係が成立している場合とする。また、段差部材150を通過する前の平面視における物品1の長軸は、前後方向Yに対して角度θaに傾斜しているものとする。
【0058】
すると、段差部材150側にある物品1の一方の縁部25aを含む底面領域が、押し出しプレート4側にある物品1の他方の縁部25bを含む底面領域よりも先に段差153を乗り上げるときに、物品1の他方の縁部25bを含む底面領域は前後方向Yに向けて滑らかに前進している。従って、物品1が段差部材150を通過した後では、平面視における物品1の長軸が前後方向Yに対して角度θaよりも大きな角度θb(>θa)となる。このように、姿勢傾斜手段40によっても前後方向Yに対する物品1の姿勢の傾きが浅い場合には、物品1の底面領域と段差153との間の摩擦抵抗によって、その姿勢の傾きを深くする(補正する)ことができる。
【0059】
なお、段差部材150は、板金加工により一枚の平板を用いてその長手方向に沿って板中央部を盛り上げて段差153が形成されてもよい。また、段差153は、経路部材11に配された邪魔板151の高低差の他に、経路部材11上に形成された溝による高低差としてもよい。
【0060】
[箱詰め装置の動作]
以下では、図10乃至図14を用いて箱詰め装置の動作を説明する。
【0061】
まず、ダンパー板12(物品群形成位置P2)の下方には、外装箱搬送装置104によって空の外装箱6が予め配置されているものとする。
【0062】
次に、図10に示されるように、物品整列装置2のベルトコンベア22上で一枚目の仕切板20aを直立状態にさせる。その後、一枚目の仕切板20aに対して一つ目の物品1を当接させた後、当該一つ目の物品1の胴体を挟み込むように二枚目の仕切板20bをベルトコンベア22上に直立状態にさせて、当該一つ目の物品1を仕切板20a、20bの間に収容させる。この動作は、複数(ここでは4枚)の仕切板20(20a〜20d)の間に複数(ここでは3個)の物品1が収容されるまで繰り返し行われる。
【0063】
次に、図11に示されるように、複数の仕切板20の間に複数の物品1が収容されると、ベルトコンベア22上の物品整列位置P1にまで移送されて停止する。これによって、物品整列位置P1において、平面視における物品の長軸が前後方向Yと平行となるように、複数の物品1が整列した状態となる。なお、押し出しプレート4は、一群の仕切板20 が物品整列位置P1に停止するまで、物品搬送方向X に対して一方の側(図11では右側)に待機している。
【0064】
次に、図12に示されるように、押し出しプレート4が前後方向Yに向けて前進する。この結果、押し出しプレート4の各姿勢傾斜手段40(40a〜40c)が各仕切板20(20a〜20d)間に整列されている複数の物品1(1a〜1c)に当接し、各物品1の姿勢を所定の方向に振り向ける。そして、各物品1は、該姿勢のままで前後方向Yに向けて押し出される。この押し出し過程において、各物品1は、物品整列位置P1から物品群形成位置P2に到達するまでの間に、物品整列位置P1と物品群形成位置P2との間の経路上に所定方向に配置されている段差部材150の段差153を乗り上げる。この結果、前後方向Yに対する平面視における物品の長軸の傾きが急になる。
【0065】
次に、押し出しプレート4は、各物品1がダンパー板12上のストッパプレート13に当接するまで前進して、その後停止する。この結果、図13に示されるように、各物品1は、ストッパプレート13と押し出しプレート4との間に一列に配置される。そして、押し出しプレート4は、ベルトコンベア2上に整列しつつある次の複数の物品1と干渉しないように、ベルトコンベア22の上方に移動した後に後退して、元の待機位置に戻る。上記の動作が所定の回数(例えば、2回)繰り返され、2列目以降の複数の物品1がダンパー板12上に整列される。この結果、列間の空隙が抑制された所定の列数の物品群がダンパー板12上に形成される。
【0066】
次に、ダンパー板12上に所定の列数の物品群がダンパー板12上に形成された後、物品搬送方向Xに沿った物品群の両端を挟み込むように、垂直に立設された保持プレート5が動作する。
【0067】
次に、物品群の下側に位置する一対のダンパー板12が閉状態から開状態になる。そして、下降プレート7がさらに下降して、物品群がダンパー板12の下方に待機する空の外装箱6に下降する。すなわち、ダンパー板12上にある物品群は、姿勢をほぼ維持したまま外装箱6に収容される。そして、ダンパー板12、保持プレート5、ストッパプレート13は元の状態に戻る。そして、箱搬出装置10によって物品が収容された外装箱6が搬出されるとともに、箱搬入コンベア9によって新たな空の外装箱6がダンパー板12の下方に搬入される。
【0068】
以上の動作が繰り返され、外装箱6への物品1の収容動作が反復継続される。
本発明に係る箱詰め装置によれば、押し出しプレート4に固定された姿勢傾斜手段40によって、物品1の押し出し時に平面視において物品1の長軸が前後方向Yに対して傾斜するように物品1の姿勢が変えられることによって、外装箱6に収容される物品群の列間の空隙を抑制でき、ひいては外装箱6への物品1の収容効率を向上させることができる。
【0069】
また、比較的重みがあり及び/又は比較的底面積が大きい等、慣性モーメントの大きな物品を箱詰め対象とする場合、姿勢傾斜手段40による物品1の姿勢の傾きが浅くなっても、物品整列位置P1と物品群形成位置P2との間の経路上に配置された姿勢補正手段15によって、姿勢傾斜手段40によって意図される傾斜に物品1の姿勢を変えることができるので、外装箱に収容される物品列間の空隙を確実に抑制し、ひいては外装箱への物品の収容効率を改善できる。
【0070】
さらに、姿勢補正手段15は、物品整列位置P1と物品群形成位置P2との間の経路部材11の上に、前後方向Yに対して斜めに交差するように配置された高低差のある段差として構成されているので、安価かつ簡素な方法で、本発明の上記の効果を得ることができる。
【0071】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その形状及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、比較的重みがあり及び/又は比較的底面積が大きい等、慣性モーメントの大きい物品を前後方向に対して傾斜させて外装箱に収容させる箱詰め装置にとって有用である。
【符号の説明】
【0073】
1(1a〜1c)…物品
25a、25b…縁部
2…物品整列装置
20(20a〜20d)…仕切板
22…ベルトコンベア
3…物品導入コンベア
4…押し出しプレート
40…姿勢傾斜手段
401〜403…平板部
411〜414…平板部
42…スリット
5…保持プレート
6…外装箱
7…下降プレート
8…箱昇降装置
9…箱搬入コンベア
10…箱搬出装置
11…経路部材
12…ダンパー板
13…ストッパプレート
14…サイドプレート
15(15a〜15c)…姿勢補正手段
150(150a〜150c)…段差部材
151(151a〜151c)…邪魔板
152(152a〜152c)…カバー部材
153(153a〜153c)…段差
100…箱詰め装置
101…制御装置
102…物品押し出し装置
103…物品群下降装置
104…外装箱搬送装置
P1…物品整列位置
P2…物品群形成位置
X…物品搬送方向
Y…前後方向
Z…物品押し込み方向
W…外装箱昇降方向


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において長軸を有する複数の物品を、コンベア上に該コンベアの物品搬送方向に並列に立設させ、かつ該物品搬送方向と直交する一群の仕切板の間に、該長軸が該物品搬送方向と直交するように、整列させるとともに、前記物品を該コンベア上の物品整列位置に搬送させる物品整列装置と、
前記物品整列位置に整列した前記複数の物品を、前記物品搬送方向に垂直な前後方向に沿って物品群形成位置まで押し出すことを繰り返し、該物品群形成位置において所定列数の前記物品から成る物品群を形成させる物品押し出し装置と、
前記物品群形成位置の下方に前記物品群を収容する空の外装箱を搬送するとともに、前記物品群が収容された前記外装箱を搬出する外装箱搬送装置と、
前記物品群形成位置に形成された前記物品群を下降させて前記外装箱内に収容させる物品群下降装置と、
を備え、
前記物品押し出し装置は、前記物品整列位置に整列された前記複数の物品を前記前後方向に押し出す際に、平面視において前記物品の長軸が前記前後方向に対して傾斜するように、前記複数の物品夫々の姿勢を変える姿勢傾斜手段を備え、
前記物品整列位置と前記物品群形成位置との間の経路上に、前記姿勢傾斜手段によって変えられた前記複数の物品夫々の姿勢を補正する姿勢補正手段が備えられている、
箱詰め装置。
【請求項2】
前記物品整列位置と前記物品群形成位置との間の経路を形成する経路部材を更に備え、
前記経路部材において前記前後方向に対して斜めに交差するように延びる段差が、前記姿勢補正手段として構成されている、請求項1に記載の箱詰め装置。
【請求項3】
前記段差は、前記経路部材に配された邪魔板又は前記経路部材に形成された溝による高低差である、請求項2に記載の箱詰め装置。
【請求項4】
前記物品押し出し装置は、前記物品整列位置に整列された複数の物品を前記前後方向に押し出す際に、前記一群の仕切板が通過できるようにスリットを形成した押し出しプレートを備え、
前記姿勢傾斜手段は、前記押し出しプレートと対向し、かつ前記前後方向に対して傾斜した傾斜面を有するように構成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の箱詰め装置。
【請求項5】
前記姿勢傾斜手段は、前記押し出しプレートの表面下部に第1乃至第3の平板部から成る屈曲プレートを固定して構成されており、
前記第1の平板部は、その一方の表面が前記押し出しプレートの表面下部に固定され、
前記第2の平板部は、前記第1の平板部の一方の側縁部から垂直方向に垂直縁部まで延び、
前記第3の平板部は、前記第2の平板部との間で鋭角を成すように、前記第2の平板部の前記垂直縁部から延設され、
前記第3の平板部が、前記傾斜面を有している、請求項4に記載の箱詰め装置。
【請求項6】
前記屈曲プレートは、前記第1の平板部の他方の側縁部から垂直方向に延在される第4の平板部を備えている、請求項5に記載の箱詰め装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−35871(P2012−35871A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177841(P2010−177841)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】