説明

節度装置

【課題】電気的構成が不要でしかも絶対位置的な節度ピッチを容易に変更設定できるようにする。
【解決手段】節度装置1は、操作ノブ3と、節度部材6と、節度ピース19と、節度ピッチ切替用操作部材11と、ギヤ機構12とを備える。節度部材6は、操作ノブ3の回転中心と同心状のドーナツ板状をなし内周部に連続する凹凸部7a〜10aを有する複数の単位節度板7〜10を積層状態に備え、該凹凸部7a〜10aにより節度用凹凸部6aが構成されている。一つの単位節度板7が固定され該一つの単位節度板7に対して他の単位節度板8〜10が回転可能である。節度ピース19は、複数の単位節度板7〜10の積層長さ以上の長さを有する。節度ピッチ切替用操作部材11を回転操作すると、ギヤ機構12を介して単位節度板8〜10の回転角度が調整され、積層方向からみた節度用凹凸部6aの凹凸配置ピッチが変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリスイッチなどに適用される節度装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転操作により操作対象である機器の制御量等を切り換えるロータリスイッチが知られている。このようなロータリスイッチにおいては、確実な切り換え及び快適な操作感を得るために節度装置を設けることが一般に行われている。節度装置は、例えば特許文献1に開示されるように、ロータリスイッチを構成する固定体及び回転体のいずれか一方には複数個の節度山が形成されてなる節度面が、また他方には節度面に向けて付勢される節度ピースが設けられてなる。この構成によれば、回転体の回転に際して、節度ピースが節度体の節度面に対して相対的に摺動することにより節度感が得られる。
【0003】
このようなロータリスイッチは、走行中の車両の現在位置及び進行方向等の情報を人工衛星及び地磁気計及び走行距離計等を利用して測定して車室内に設けられた表示装置の画面上に表示してユーザに知らせるナビゲーションシステム等の入力装置としても多く採用されている。ユーザは、ロータリスイッチを回転操作することにより表示装置の画面上に表示された複数の機能項目から一つの機能項目を選択して所望の画面に切り換えたり車両の付帯装備を作動させたりする。表示装置に表示される画面は、例えば目的地の住所を入力する住所入力画面、並びに観光地及び広狭施設等のジャンルを選択するジャンル入力画面等、多岐にわたる。
【0004】
また、各種の入力画面に表示される機能項目数及びそれらの配置間隔は入力画面毎に異なる。そしてこれら複数の入力画面への入力操作は、設置スペースの節約及び操作性の確保等の観点から、単一のロータリスイッチで共用されることも多い。この場合、前述したように、機能項目数及びそれらの配置間隔は入力画面毎に異なるため、操作性の観点から入力画面に応じてロータリスイッチの節度発生間隔を変えることが要求される。しかし、前述した特許文献1に示されるような機械式の節度装置では、複数種類の入力画面に応じてロータリスイッチの節度を変更することは困難である。これは、機械式の節度装置においては、ロータリスイッチの節度発生間隔は、節度面における節度山の数及びそれらの配設間隔により決定されるからである。
【0005】
そこで、こうした節度発生間隔の変更に対する要望に対して、例えば特許文献2には、ロータリスイッチの節度発生間隔をモータにより可変制御するいわゆる電気式の節度装置が開示されている。この節度装置によれば、内周面に多数の節度山を有する節度体を操作部材と連結し、この節度山を乗り越える節度ピースを、モータにより停止及び回動可能に制御するようにし、節度部材の回転速度を検出し、この速度と、操作部材の操作回転速度との回転速度差を演算し、操作部材の回転速度に対して、節度ピースを操作部材の回転方向と逆に任意の回転速度で回転させて、相対的回転速度差を大きくすることで、節度発生間隔を狭くし、逆に、節度ピースを操作部材の回転方向と同方向に任意の回転速度で回転させて、相対的回転速度差を小さくすることで、節度発生間隔を広くするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−22301号公報
【特許文献2】特開2008−153121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献2のものでは、モータや、回転速度検出回路や、モータ制御回路などの電気的構成が多く付加されているため、電気的構成及び制御構成が複雑でコストも高い問題があり、又、操作部材の操作速度で節度間隔が変わるため、絶対位置的な節度ピッチの設定が困難であった。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、電気的構成が不要でしかも絶対位置的な節度ピッチを容易に変更設定できる節度装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、回転操作される操作ノブと、この操作ノブの回転中心と同心状のドーナツ板状をなし内周部に連続する凹凸部を有する複数の単位節度板を積層状態に備え、該複数の単位節度板の凹凸部により節度用凹凸部が構成され、前記複数の単位節度板のうち一つの単位節度板が固定され該一つの単位節度板に対して他の単位節度板が回転可能な節度部材と、前記節度部材の複数の単位節度板の積層長さ以上の長さを有し前記操作ノブと一体回転可能に設けられ且つ弾性部材により前記節度用凹凸部に押圧付勢される節度ピースと、節度ピッチ切替用操作部材と、この節度ピッチ切替用操作部材と連動して前記他の単位節度板の回転角度を調節して積層方向からみた前記節度用凹凸部の凹凸配置ピッチを変更可能な切替手段とを備えてなるところに特徴を有する。
【0010】
この請求項1の発明によれば、節度ピッチ切替用操作部材を操作すると、切替手段により、積層方向からみた複数の凹凸部の回転角度を変えることが可能で、この結果、積層方向からみた各単位節度板の凹凸部が全部重なったり、一部重なったりさせることが可能となる。よって、積層方向からみた節度用凹凸部の節度ピッチ(凹凸配置ピッチ)を増加できると共に、増加状態から減少させたりすることができる。そして、節度ピースは当該複数の単位節度板の積層長さ以上の長さであるから、各凹凸部の全部に押圧可能であり、操作ノブが回転操作されると、該節度ピースが、変更された節度ピッチの節度用凹凸部に順次当接し節度が付与されるようになる。従って、機械的構成により節度ピッチの変更を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気的構成が不要でしかも絶対位置的な節度ピッチを容易に変更設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態を示す節度装置全体の縦断側面図
【図2】全体の外観斜視図
【図3】節度ピッチ切替用操作部材が位置P1にある状態のギヤ機構動作状態を示す平面図
【図4】同状態における節度用凹凸部の節度ピッチ状態を示す平面図
【図5】同状態における節度用凹凸部部分を拡大して示す平面図
【図6】節度ピッチ切替用操作部材が位置P2にある状態のギヤ機構動作状態を示す平面図
【図7】節度ピッチ切替用操作部材が位置P3にある状態のギヤ機構動作状態を示す平面図
【図8】節度ピッチ切替用操作部材が位置P2にある状態の節度用凹凸部の節度ピッチ状態を示す平面図
【図9】節度ピッチ切替用操作部材が位置P3にある状態の節度用凹凸部の節度ピッチ状態を示す平面図
【図10】単位節度板7の構成を説明するための平面図
【図11】単位節度板8の構成を説明するための平面図
【図12】単位節度板9の構成を説明するための平面図
【図13】単位節度板10の構成を説明するための平面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明をロータリスイッチの節度装置に適用した第1の実施形態につき図面を参照して説明する。まず、図1ないし図4において、節度装置1の本体ベース2には、下保持ベース2a、ギヤ軸保持下ベース2b、ギヤ軸保持上ベース2cが形成されていると共に、ノブ保持ベース2dが設けられている。
【0014】
前記ノブ保持ベース2dの上板部2d1上には、操作ノブ3が回転操作可能に配置されている。この操作ノブ3の下部には、ピースホルダ4が一体回転するように連結されており、このピースホルダ4の上部軸部4aが前記ノブ保持ベース2dの前記上板部2d1に形成された軸孔2eに回転自在に嵌合され、また、このピースホルダ4の下部軸部4bが前記下保持ベース2aの水平板部2fに形成された軸孔2gに回転自在に嵌合されている。又、前記上部軸部4aから上方へ突出する連結軸部4cが前記操作ノブ3に連結されている。
【0015】
なお、前記下部軸部4bの下端部には、ロータリスイッチ部5が設けられている。
前記ノブ保持ベース2dの上板部2d1と下保持ベース2aとの間には、節度部材6が設けられている。この節度部材6は、複数の単位節度板7ないし10を操作ノブ3の仮想回転軸線3aの周囲にその軸線3a方向に積層した形態に備えて構成されている。
【0016】
最下段の単位節度板7(以下、固定単位節度板7という)は、図10に示すように、操作ノブ3の回転中心(前記仮想回転軸線3a)と同心状のドーナツ板状をなし、その内周部全周に連続する凹凸部7aを有する。この凹凸部7aは、ほぼV形の凹凸状をなしており、その凹凸は同じピッチで連続している。この固定単位節度板7は前記下保持ベース2a上端に固定されている。
【0017】
さらに、この固定単位節度板7の一面たる上面には、前記仮想回転軸線3aを中心とする円形の回転案内用の溝部7bが形成されている。
又、他の単位節度板8ないし10のうち、下から2番目の単位節度板8(以下、第1可動単位節度板8という)は、図11に示すように、後述する第1従ギヤ15Bを除く部分は、操作ノブ3の回転中心(前記仮想回転軸線3a)と同心状のドーナツ板状をなしており、その内周部全周に連続する凹凸部8aを有し、さらに、一面たる上面には、前記仮想回転軸線3aを中心とする円形の回転案内用の溝部8bが形成されている。さらに他面たる下面には前記固定単位節度板7の溝部7bと同心の円形状をなす回転案内用の凸部8c(図1参照)が形成されている。この凸部8cは、前記固定単位節度板7の溝部7b内に摺動可能に嵌合されており、もって単位節度板8は回転可能な構成となっている。
【0018】
又、下から3番目の単位節度板9(以下第2可動単位節度板9という)は、図12に示すように、後述する第2従ギヤ16Bb以外の部分は、基本的に前記第1可動単位節度板8と同じ形状に形成されている。すなわち、この第2可動単位節度板9は操作ノブ3の回転中心(前記仮想回転軸線3a)と同心状のドーナツ板状をなし、その内周部全周に連続する凹凸部9aを有し、さらに、一面たる上面には、前記仮想回転軸線3aを中心とする円形の回転案内用の溝部9bが形成され、さらに他面たる下面には回転案内用の凸部9c(図1参照)が形成されている。この凸部9cは、前記第1可動単位節度板8の溝部8b内に摺動可能に嵌合されており、もって第2可動単位節度板9は回転可能な構成となっている。
【0019】
又、下から4番目の単位節度板10(以下第3可動単位節度板10という)も、図13に示すように、後述する第3従ギヤ17B以外の部分は、基本的に前記第1可動単位節度板8及び第2可動単位節度板9と同じ形状に形成されている。すなわち、この第3可動単位節度板10は操作ノブ3の回転中心(前記仮想回転軸線3a)と同心状のドーナツ板状をなし、その内周部全周に連続する凹凸部10aを有し、さらに、一面たる上面には、前記仮想回転軸線3aを中心とする円形の回転案内用の溝部10bが形成され、さらに他面たる下面には回転案内用の凸部10c(図1参照)が形成されている。この凸部10cは、前記第2可動単位節度板9の溝部9b内に摺動可能に嵌合され、又、上記溝部10bは、前記ノブ保持ベース2dの上板部2d1に形成された回転案内用の円形の凸部2kと嵌合しており、もって、第3可動単位節度板10も回転可能な構成となっている。
【0020】
このように単位節度板7〜10から構成される節度部材6は、各単位節度板7〜10の各凹凸部7a〜10aにより節度用凹凸部6aが構成されている。この節度用凹凸部6aは、後述するが各凹凸部7a〜10aの回転角のずれに応じて節度ピッチ(凹凸ピッチ)が変更可能である。
【0021】
図1に示す節度ピッチ切替用操作部材11は、前記ノブ保持ベース2d上面に、前記操作ノブ3の周囲に位置する形態で、回転可能に配設されている。この節度ピッチ切替用操作部材11の下面には、連結用穴部11aが3か所(図1には1か所のみ図示)に形成されている。
【0022】
図1に示す切替手段としてのギヤ機構12は、第1伝達ギヤ13、第2伝達ギヤ14、第1主ギヤ15A、第1従ギヤ15B、第2主ギヤ16A、第2従ギヤ16B、第3主ギヤ17A、第3従ギヤ17Bを有して構成されている。
【0023】
前記第1伝達ギヤ13は、図1に示すように、前記節度ピッチ切替用操作部材11の下部に位置しており、上面に形成された3つの連結用凸部13aが前記節度ピッチ切替用操作部材11の連結用穴部11aに嵌合連結されることにより、該節度ピッチ切替用操作部材11に一体回転可能に連結されている。
【0024】
この第1の伝達ギヤ13には、図3に示すように、前記仮想回転軸線3aを中心として所定回転角度領域にギヤ部13bが形成され、また、このギヤ部13bと反対側の部位に張り出し部13cが形成され、この張り出し部13cの外縁部3か所に凹部からなる位置決め用の被係止部13d、13e、13fが形成されている。そして、この張り出し部13cの両側の端部は被ストッパ部13g、13hとされている。
【0025】
又、前記ノブ保持ベース2dには、図1及び図3に示すように、この被係止部13d、13e、13fを選択的に着脱可能に係止する位置決め用の係止部18が設けられている。この係止部18は、ノブ保持ベース2dに横向きに形成された収容穴部18aに圧縮コイルばねからなる係止ばね18bを収容すると共に、係止ピース18cの一部を収容して構成されている。この係止ピース18cは係止ばね18bにより第1ギヤ部13方向へ移動付勢されており、該係止ピース18cが前記被係止部13d、13e、13fの一つを係止する。
【0026】
さらに前記ノブ保持ベース2dには、図3に示すように、前記第1の伝達ギヤ13の前記被ストッパ部13g、13hと当接するストッパ2h、2iが形成されており、従って、第1の伝達ギヤ13と一体関係にある前記節度ピッチ切替用操作部材11の回転範囲が規制されており、この規制された回転範囲の中で、前記被係止部13d(節度ピッチ切替用操作部材11は位置P1となる。図2参照)、13e(節度ピッチ切替用操作部材11は位置P2)、13f(節度ピッチ切替用操作部材11は位置P3)のいずれか一つにより位置決めされる。
【0027】
第2伝達ギヤ14は、ギヤ軸保持下ベース2b及びギヤ軸保持上ベース2cに回転可能に垂直状態に設けたギヤ軸21に、これと一体回転するように連結されており、この第2伝達ギヤ14には前記第1伝達ギヤ13と噛合する。
図11に示すように、第1主ギヤ15Aは、前記ギヤ軸21にこれと一体回転するように設けられており、全体として扇形をなしており、そのほぼ円弧状部にギヤ部15Aaを有する。
【0028】
第1従ギヤ15Bは、図11に示すように、全体としてほぼ扇形をなしていて、前記第1可動単位節度板8に一体に形成されている。上記第1主ギヤ15Aとこの第1従ギヤ15Bとの回転数比N15は、上記第1主ギヤ15Aのピッチ円半径15Arとこの第1従ギヤ15Bのピッチ円半径15Brとの比「15Br/15Ar」で示される。
【0029】
図12に示すように、第2主ギヤ16Aは、前記ギヤ軸21にこれと一体回転するように設けられており、全体として扇形をなしており、そのほぼ円弧状部にギヤ部16Aaを有する。
第2従ギヤ16Bは、図12に示すように、全体としてほぼ扇形をなしていて、前記第2可動単位節度板9に一体に形成されている。上記第2主ギヤ16Aとこの第2従ギヤ16Bとの回転数比N16は、上記第2主ギヤ16Aのピッチ円半径16Arとこの第1従ギヤ16Bのピッチ円半径16Brとの比「16Br/15Ar」で示される。
【0030】
図13に示すように、第3主ギヤ17Aは、前記ギヤ軸21にこれと一体回転するように設けられており、全体として扇形をなしており、そのほぼ円弧状部にギヤ部17Aaを有する。
第3従ギヤ17Bは、図13に示すように、全体としてほぼ扇形をなしていて、前記第3可動単位節度板10に一体に形成されている。上記第3主ギヤ17Aとこの第3従ギヤ17Bとの回転数比N17は、上記第3主ギヤ17Aのピッチ円半径17Arとこの第1従ギヤ17Bのピッチ円半径17Brとの比「17Br/17Ar」で示される。
【0031】
従って、節度ピッチ切替用操作部材11を回転操作すると、ギヤ機構12を介して各可動単位節度板8〜10が回転されるが、この場合、各可動単位節度板8〜10間の回転数比は、N15:N16:N17となる。今、図11ないし図13から分かるように、15Ar<16Ar<17Ar、15Br>16Br>17Brとしており、この結果、N15<N16<N17となる。よって、節度ピッチ切替用操作部材11を回転操作すると、第1可動単位節度板8、第2可動単位節度板9、第3可動単位節度板10の回転数が相違することになり、これら単位節度板7〜10の回転角度が相違するようになる。
【0032】
次に、図1に示す節度ピース19は、前記ピースホルダ4に設けられている。この節度ピース19は、前記節度部材6の単位節度板7〜10の積層長さ以上の長さを有し、先端部19aが平面的にみて円弧面状をなしている。そして、この節度ピース19の基端部側には、ほぼ水平に突出するガイドバー部19b、19bを一体に有している。
【0033】
前記ピースホルダ4には、前記節度ピース19の基端部側の部分を収容する縦長なピース収容部4dが形成されている。さらに、このピース収容部4d奥部上下部に前記ガイドバー部19b、19bを収容する横長なバー部収容部4e、4eが形成されていると共に、ピース収容部4dの上下方向ほぼ中間部に、ばね収容部4fが形成されている。このばね収容部4fには、弾性体である圧縮コイルばねからなる節度用ばね20が収容されている。
【0034】
前記節度ピース19は前記ピースホルダ4のピース収容部4dに収容されていると共に、そのガイドバー部19b、19bがピースホルダ4の前記バー部収容部4e、4eに移動可能に収容されている。この状態で、節度ピース19は、節度ピース19の径方向へ移動可能であり、常時、前記節度用ばね20により前記節度凹凸部6aに押圧されている。
【0035】
さて、上記構成の作用について説明する。節度ピッチ切替用操作部材11を回転操作すると、第1の伝達ギヤ13が図3、図6、図7のいずれか一つの位置に位置決めされ、これに基づいて、節度部材6の節度用凹凸部6aの節度ピッチが変更される。すなわち、図3の場合、係止部18により被係止部13eが係止されており(位置P1)、この状態では、図4及び図5に示すように、各単位節度板7〜10の回転角度位置が等ピッチ間隔となるように相互にずれており、これにて、節度部材6の節度用凹凸部6aの節度ピッチが狭い状態(図9の場合に比して1/4ピッチ)となる。
【0036】
そして、本実施形態においては、節度ピース19は当該複数の単位節度板7〜10の積層長さ以上の長さであるから、凹凸部7a〜10aの全部に押圧可能であり、図4の状態で操作ノブ3が回転操作されると、該節度ピース19が、狭い節度ピッチの節度用凹凸部6aに順次当接し節度が付与されるようになる。
【0037】
又、図6の状態では、係止部18により被係止部13dが係止されており、この状態では、図8に示すように、単位節度板10の凹凸部7aに対して単位節度板9の凹凸部9aが単位節度板7〜10の積層方向(上方向)からみて半ピッチずれた形態(図9の場合に比して1/2ピッチ)の回転角度位置関係となり(他の単位節度板7、8はこれら単位節度板9、10に隠れた状態となる)、これにて、節度部材6の節度用凹凸部6aの節度ピッチが、図4の場合よりも若干広い状態となる。この場合、操作ノブ3が回転操作されると、該節度ピース19が、やや広い節度ピッチの節度用凹凸部6aに順次当接し節度が付与されるようになる。
【0038】
さらに、図7の状態では、係止部18により被係止部13fが係止されており、この状態では、図8に示すように、図9に示すように、単位節度板7〜10の凹凸部7a〜10aがこれら単位節度板7〜10の積層方向(上方向)からみて重なるような角度位置関係となり、これにて、節度部材6の節度用凹凸部6aの節度ピッチが、図8の場合よりも若干広い状態となる。この場合、操作ノブ3が回転操作されると、該節度ピース19が、広い節度ピッチの節度用凹凸部6aに順次当接し節度が付与されるようになる。
【0039】
なお、前記節度ピッチ切替用操作部材11は、ロータリスイッチ部5の設定対象に応じて切り替えられるものであり、例えば、あまり選択項目数が多くない設定対象の場合には、節度ピッチ切替用操作部材11を位置P3(図7、図9)に切り替えると良い。又、選択項目数がやや多い設定対象の場合には、節度ピッチ切替用操作部材11を位置P2(図6、図8)に切り替えると良い。さらに、選択項目数がかなり多い設定対象の場合には、節度ピッチ切替用操作部材11を位置P1(図3、図4)に切り替えると良い。この場合、節度ピッチ切替用操作部材11を設定対象切替ノブとして使用し、該節度ピッチ切替用操作部材11が上述の各位置P1、P2、P3に至ったときに設定対象が切り替えられたことを示す信号を発生させるようにしても良い。
【0040】
このように本実施形態によれば、節度ピッチ切替用操作部材11を操作すると、切替手段であるギヤ機構12により、積層方向からみた複数の凹凸部7a〜10aの回転角度(ひいては凹凸部7a〜10aの相対的回転角度)を変えることが可能で、積層方向からみた各単位節度板7〜10の凹凸部7a〜10aが全部重なったり、一部重なったりさせることが可能となる。よって、積層方向からみた節度用凹凸部6aの節度ピッチ(凹凸配置ピッチ)を増加できると共に、増加状態から減少させたりすることができる。
【0041】
そして、節度ピース19を当該複数の単位節度板7〜10の積層長さ以上の長さとしたから、凹凸部7a〜10aの全部に押圧可能であり、操作ノブ3が回転操作されると、該節度ピース19が、変更された節度ピッチの節度用凹凸部6aに順次当接し節度が付与されるようになる。従って、機械的構成により節度ピッチの変更を図ることができる。この結果、電気的構成が不要でしかも絶対位置的な節度ピッチを容易に変更設定できる。
【0042】
特に本実施形態によれば、切替手段を、前記節度ピッチ切替用操作部材11と、前記他の単位節度板である第1ないし第3可動単位節度板8ないし10との間に設けたギヤ機構12から構成したから、節度ピッチを確実に変更することができる。
【0043】
又、本実施形態によれば、前記ギヤ機構12を、前記節度ピッチ切替用操作部材11の回転を各第1ないし第3可動単位節度板8ないし10に対して個別に伝達し各第1ないし第3可動単位節度板8ないし10に対する回転数比が異なる構成としたから、1つの節度ピッチ切替用操作部材11で、複数の各第1ないし第3可動単位節度板8ないし10の回転角度位置を連動して順次変更することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、例えば単位節度板の個数については適宜変更して良く、また、切替手段としては、ギヤ機構に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0044】
図面中、1は節度装置、3は操作ノブ、6は節度部材、6aは節度用凹凸部、7ないし10は単位節度板、7aないし10aは凹凸部、11は節度ピッチ切替用操作部材、12はギヤ機構(切替手段)、18は係止部、19は節度ピース、20は節度用ばね(弾性体)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作される操作ノブと、
この操作ノブの回転中心と同心状のドーナツ板状をなし内周部に連続する凹凸部を有する複数の単位節度板を積層状態に備え、該複数の単位節度板の凹凸部により節度用凹凸部が構成され、前記複数の単位節度板のうち一つの単位節度板が固定され該一つの単位節度板に対して他の単位節度板が回転可能な節度部材と、
前記節度部材の複数の単位節度板の積層長さ以上の長さを有し前記操作ノブと一体回転可能に設けられ且つ弾性部材により前記節度用凹凸部に押圧付勢される節度ピースと、
節度ピッチ切替用操作部材と、
この節度ピッチ切替用操作部材と連動して前記他の単位節度板の回転角度を調節して積層方向からみた前記節度用凹凸部の凹凸配置ピッチを変更可能な切替手段と
を備えてなる節度装置。
【請求項2】
前記切替手段は、前記節度ピッチ切替用操作部材と、前記他の単位節度板との間に設けたギヤ機構から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の節度装置。
【請求項3】
前記他の単位節度板は複数あって、前記ギヤ機構は、前記節度ピッチ切替用操作部材の回転を各他の単位節度板に対して個別に伝達し各他の単位節度板に対する回転数比が異なることを特徴とする請求項2に記載の節度装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−28368(P2011−28368A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171093(P2009−171093)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】