説明

粉末溶射方法及び粉末溶射装置

【課題】 清浄な状態の被溶射材に清浄な溶射粉末を積層して密着度に優れた溶射皮膜を形成できる粉末溶射方法及び粉末溶射装置を提供する。
【解決手段】 ほぼ水平方向にプラズマアーク15を出射する溶射ガン11と被溶射材となるシリンダブロック1とを、シリンダブロック1のボア2内を下方に吸引減圧しながらプラズマアーク15がシリンダブロック1のボア2の表面を走査するように相対的に移動させながら、プラズマアーク15に粉末18を供給して、シリンダブロック1のボア2の表面に溶射皮膜3を形成するに際し、粉末18をプラズマアーク15の下部側に供給すると共に、プラズマアーク15を出射する雰囲気を減圧吸引する方向を、粉末18の供給する側と同じ方向とする。プラズマアーク15及びプラズマアーク15による熱影響部にヒューム19が巻き込まれることがなくなりヒューム19が溶射皮膜3内に混入することが防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄等の粉末をプラズマアーク等の溶射熱源により被溶射材に溶射して、被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する粉末溶射方法及び粉末溶射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の粉末溶射方法として、例えばエンジンのシリンダブロックに設けられたボアの内面にプラズマ溶射によって溶射皮膜を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に開示の粉末溶射方法は、図5に要部を示すように、シリンダブロック101に設けられたボア102の上部開口部から、溶射ガン103を回転及びボア軸方向に移動させながら挿入して、溶射ガン103の先端部側面に形成された出射孔103aからボア102の内面に向けて溶射熱源であるプラズマアーク104を出射させ、このプラズマアーク104に粉末供給パイプ105を介して鉄等の粉末106を供給して、この供給された粉末106をプラズマアーク104によりボア内面に溶射することにより溶射皮膜107を形成している。
【0004】
また、プラズマアーク104により溶融された粉末のうち、粒子径が小さくて酸化された煙状のヒューム(酸化鉄)108が溶射皮膜107に混在して、シリンダブロック101に対する溶射皮膜107の密着度が低下するのを防止するため、ボア102の下部開口部102bから減圧吸引して、ボア軸周りに旋回しながらボア軸方向に向かう旋回流を発生させることにより、ヒューム108を吸引除去するようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−169119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者による鋭意検討によると、特許文献1に開示のように、ボア内に旋回流を発生させて、ヒューム108を吸引除去するようにしても、粉末供給パイプ105からの粉末106をプラズマアーク104の中央部若しくは上部に供給すると、ヒューム108を効率良く吸引除去することができず、ヒューム108が溶射皮膜107に混入したり、未溶射のボア内面に付着したりして、十分な密着度を有する溶射皮膜107が形成できない場合があることが判明した。
【0007】
即ち、プラズマアーク104の中央部に粉末106を供給すると、プラズマアーク104の全体にヒューム108が発生し、また、プラズマアーク104の上部に粉末106を供給すると、プラズマアーク104の上部側にヒューム108がより多く発生することになる。このため、ボア102の下部開口部102bから減圧吸引して旋回流を発生させると、ヒューム108が旋回流に沿ってプラズマアーク104及びそれによる熱影響部を横切ることになり、その際にヒューム108がプラズマアーク104に巻き込まれて溶射皮膜107に混入したり、或いは未溶射のボア内面に付着してヒューム層109が形成される場合がある。
【0008】
この結果、清浄な溶射皮膜107が形成されず、溶射皮膜107のシリンダブロック101に対する密着度が低下し、その後のホーニング加工等の仕上げ加工の際に、溶射皮膜107がシリンダブロック101から剥がれるおそれがある。
【0009】
なお、このような懸念事項は、単にボア102の上部開口部から下部開口部102bに向かう直線状の空気流を発生させる場合でも、粉末供給パイプ105からの粉末106をプラズマアーク104の中央部若しくは上部に供給すると、同様に生じるものである。また、シリンダブロック101のボア内面に溶射皮膜107を形成する場合に限らず、種々の被溶射材に溶射皮膜を形成する場合にも同様に生じるものである。
【0010】
従って、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、清浄な状態の被溶射材に清浄な溶射粉末を積層して密着度に優れた溶射皮膜を形成できると共に、簡単かつ安価に実施できる粉末溶射方法及び粉末溶射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する請求項1に記載の粉末溶射方法の発明は、ほぼ水平方向に溶射熱源を出射する溶射ガンと被溶射材とを、上記溶射熱源が上記被溶射材の表面を走査して相対的に移動させながら、上記溶射熱源に粉末を供給して上記被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する粉末溶射方法において、上記粉末を上記溶射熱源の下部側に供給することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1の粉末溶射方法において、上記被溶射材に対して上記溶射ガンを回転させ、上記粉末を上記溶射熱源の下部側で、且つ、溶射熱源を出射する雰囲気を減圧吸引する方向から上記溶射熱源に向けて供給することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1の粉末溶射方法において、上記溶射ガンに対して上記被溶射材を回転させ、上記粉末を上記溶射熱源の下部側でかつ上記溶射熱源の直下を中心とするほぼ±45度の範囲内に供給することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項の粉末溶射方法において、上記溶射熱源を出射する雰囲気を、減圧吸引する方向は、上記粉末の供給する側と同じ方向であることを特徴とする。
【0015】
更に、上記目的を達成する請求項5に記載の粉末溶射装置の発明は、ほぼ水平方向に溶射熱源を出射する出射孔及び上記溶射熱源に粉末を供給する粉末供給パイプを有する溶射ガンと、上記溶射ガン及び被溶射材を上記溶射熱源が上記被溶射材の表面を走査して相対的に移動させる走査手段と、上記溶射熱源を出射する雰囲気を下方に減圧吸引する吸引手段とを有し、上記粉末供給パイプから供給される上記粉末を上記溶射熱源により上記被溶射材に溶射して、該被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する粉末溶射装置において、上記粉末供給パイプの上記溶射熱源への粉末供給口を上記出射孔の下部側に位置させて、上記溶射熱源の下部側に上記粉末を供給することを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項5の粉末溶射装置において、上記走査手段は、上記被溶射材に対して上記溶射ガンを回転及び昇降させ、上記粉末供給口は、上記出射孔の下部側でかつ上記溶射ガンの回転による上記出射孔の移動方向上流側に位置させて、上記溶射熱源の下部側でかつ上記溶射ガンの回転による上記溶射熱源の移動方向上流側に上記粉末を供給することを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項5の粉末溶射装置において、上記走査手段は、上記溶射ガンに対して上記被溶射材を回転及び昇降させ、上記粉末供給口は、上記出射孔の下部側で、かつ上記出射孔の直下を中心とするほぼ±45度の範囲内に位置させて、上記溶射熱源の下部側で、かつ上記溶射熱源の直下を中心とするほぼ±45度の範囲内に上記粉末を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によると、溶射熱源の下部側に粉末を供給するので、供給された粉末中の微紛から発生するヒュームも溶射熱源の下部側により多く発生することになる。従って、溶射熱源やその溶射熱源による熱影響部へのヒュームの巻き込みが低減されるので、ヒュームが溶射皮膜に混入したり、未溶射の被溶射材に付着してヒューム層が形成されるのが防止でき、清浄な状態の被溶射材に清浄な溶射粉末を積層して密着度に優れた溶射皮膜を形成することができる。
【0019】
請求項2の発明によると、被溶射材に対して溶射ガンを回転させると共に、粉末を溶射熱源の下部側で、且つ、溶射熱源を出射する雰囲気を減圧吸引する方向から溶射熱源に向けて供給するので、発生したヒュームが溶射ガンの回転による溶射熱源の移動によって溶射熱源やその溶射熱源による熱影響部に巻き込まれるのがより確実に低減でき、より密着度に優れた溶射皮膜を形成することができる。
【0020】
請求項3の発明によると、溶射ガンに対して被溶射材を回転させると共に、粉末を溶射熱源の下部側でかつ溶射熱源の直下を中心とするほぼ±45度の範囲内に供給するので、発生したヒュームが溶射熱源やその溶射熱源による熱影響部に巻き込まれるのがより確実に低減でき、より密着度に優れた溶射皮膜を形成することができる。
【0021】
請求項4の発明によると、溶射熱源を出射する雰囲気を減圧吸引する方向を、粉末の供給する側と同じ方向とするので、ヒュームが溶射熱源の下部側に発生し、この溶射熱源の下部側に発生したヒュームを、溶射熱源及びその溶射熱源による熱影響部を横切ることなく確実に吸引することができ、更に密着度に優れた溶射皮膜を形成することができる。
【0022】
請求項5の発明によると、粉末供給パイプの溶射熱源への粉末供給口を、溶射熱源の出射孔の下部側に位置させて、溶射熱源の下部側に粉末を供給する簡単かつ安価な構成で、溶射皮膜形成時に発生するヒュームを溶射熱源やその溶射熱源による熱影響部に巻き込むことなく効率良く吸引除去することができる。従って、ヒュームの溶射皮膜への混入や、被溶射材の未溶射部へのヒュームの付着が防止でき、清浄な状態の被溶射材に清浄な溶射粉末を積層してなる密着度に優れた溶射皮膜を形成することができる。
【0023】
請求項6の発明によると、被溶射材に対して溶射ガンを回転及び昇降させ、粉末供給口は、出射孔の下部側でかつ溶射ガンの回転による出射孔の移動方向上流側に位置させる簡単かつ安価な構成で、発生したヒュームが溶射ガンの回転による溶射熱源の移動によって溶射熱源やその溶射熱源による熱影響部に巻き込まれることなくより効率良く吸引除去でき、より密着度に優れた溶射皮膜を形成することができる。
【0024】
請求項7の発明によると、溶射ガンに対して被溶射材を回転及び昇降させ、粉末供給口は、出射孔の下部側で、かつ出射孔の直下を中心とするほぼ±45度の範囲内に位置させる簡単かつ安価な構成で、発生したヒュームが溶射熱源やその溶射熱源による熱影響部に巻き込まれることなくより効率良く吸引除去でき、より密着度に優れた溶射皮膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の粉末溶射方法及び粉末溶射装置の実施の形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0026】
(第1実施の形態)
図1乃至図3は本発明の第1実施の形態を示すもので、図1は粉末溶射装置の概略構成を示す図、図2はプラズマアークの出射孔と粉末供給パイプの粉末供給口との位置関係を示す出射孔側から見た溶射ノズルの正面図、図3はその動作を説明するための図である。
【0027】
図1に示す粉末溶射装置は、被溶射材であるエンジンのシリンダブロック1に設けられた被溶射材表面としてのボア2の内面に、プラズマ溶射によって溶射皮膜3を形成するものであり、溶射ガン11と、走査手段であるガン保持ロボット12と、吸引手段である集塵ダクト13及び集塵機14とを有している。
【0028】
溶射ガン11は、その溶射ガン11の先端部側面に開口した出射孔11a(図2及び図3参照)を有しており、この出射孔11aの内部には、一対の電極が設けられている。一対の電極間には、高電圧の印加によりアークが発生され、これにより溶射ガン11の内部を通して供給されるアルゴンガス等の不活性ガス(キャリアガス)をプラズマ化して、出射孔11aからボア内面に向けてほぼ水平方向に溶射熱源であるプラズマアーク15を出射する。
【0029】
また、溶射ガン11には、粉末供給パイプ17が保持され、この粉末供給パイプ17を通してプラズマアーク15に鉄等の粉末18(図2及び図3参照)が供給される。
【0030】
ガン保持ロボット12は、溶射ガン11を保持して回転及び下降させ、この回転及び下降する溶射ガン11の先端部側面に開口する出射孔11aから出射されるプラズマアーク15によりボア2の内面を走査する。
【0031】
また、集塵機14は、集塵ダクト13を介してボア2の内部を下部開口部2b側から減圧吸引し、これによりプラズマアーク15を出射する雰囲気であるボア2内において上部開口部2aから下部開口部2bに向かう空気流が発生する。
【0032】
この粉末溶射装置は、シリンダブロック1を固定として、ボア2の上部開口部2aからガン保持ロボット12により溶射ガン11を回転及びボア軸方向に下降させながら、溶射ガン11の出射孔11aからほぼ水平方向にプラズマアーク15を出射させると共に、このプラズマアーク15に粉末供給パイプ17から粉末18を供給することにより、供給された粉末18をプラズマアーク15によりボア2の内面に溶射して溶射皮膜3を形成するようになっている。
【0033】
また、プラズマ溶射時に発生するヒュームは、集塵機14による減圧吸引によってボア2の下部開口部2bから集塵ダクト13を介して集塵機14で集塵するようになっている。
【0034】
かかる粉末溶射装置において、本実施の形態では、粉末供給パイプ17のプラズマアーク15への粉末供給口17a(図2及び図3参照)を、出射孔11aの下部側に位置させて、プラズマアーク15の下部側に粉末18を供給する。すなわち、粉末18をプラズマアーク15の下部側で、且つ、プラズマアーク15を出射する雰囲気を減圧吸引する方向からプラズマアーク15に向けて供給する。
【0035】
好ましくは、出射孔11aの下部側で、かつ溶射ガン11の回転による出射孔11aの移動方向上流側、即ち、図2に示すように、出射孔11aの直下の位置Aから、溶射ガン11の回転による出射孔11aの移動方向上流側の位置Bまでの90度の範囲で、適宜の位置C、例えば中間の位置に設置して、プラズマアーク15に対してその下部側で、かつ溶射ガン11の回転による移動方向上流側に粉末18を供給する。
【0036】
このように構成した本実施の形態の粉末溶射装置によれば、粉末18をプラズマアーク15の下部側で、プラズマアーク15を出射する雰囲気を減圧吸引する方向からプラズマアーク15に向けて供給することにより、図3に示すように、プラズマアーク15の下部側にヒューム19が多く発生し、そのヒューム19は直ちに下方に減圧吸引されることになるので、それらのヒューム19は、集塵機14による減圧吸引及び溶射ガン11の回転によるプラズマアーク15の移動によって、プラズマアーク15及びそのプラズマアーク15による熱影響部へ巻き込まれることなく、集塵ダクト13を介して集塵機14に集塵されることになる。
【0037】
従って、粉末供給口17aを、上述した適宜の位置Cに設置するという簡単かつ安価な構成で、ヒューム19の溶射皮膜3への混入や、被溶射材表面としてのシリンダブロック1のボア2内面における未溶射部へのヒュームの付着を確実に防止でき、清浄な状態のボア内面に清浄な溶射粉末を積層してなる密着度に優れた溶射皮膜3を形成することができる。
【0038】
なお、ここで粉末供給口17aを設置する上述した適宜の位置Cは、プラズマ溶射時に発生するヒューム19のプラズマアーク15及びそれによる熱影響部への巻き込みが最小となる位置で、溶射ガン11の回転数、キャリアガス量、溶射条件、粉末18の仕様等によって決定する。
【0039】
(第2実施の形態)
図4は、本発明の第2実施の形態におけるプラズマアークの出射孔と粉末供給パイプの粉末供給口との位置関係を説明する出射孔側から見た溶射ノズルの正面図である。
【0040】
本実施の形態では、上述した第1実施の形態に対し、溶射ガン11を固定とし、被溶射材であるシリンダブロック1を図示しない走査手段により回転及び昇降させて、プラズマアーク15によってボア2の内面を走査する。
【0041】
ここで、粉末供給パイプ17のプラズマアーク15への粉末供給口17aは、第1実施の形態と同様に、出射孔11aの下部側に位置させることができるが、本実施の形態では、好ましくは、図4に示すように、出射孔11aの下部側で、かつ出射孔11aの直下を中心とするほぼ+45度の位置Dとほぼ−45度の位置Eとの90度の範囲内、より好ましくは出射孔11aの直下の位置Fに設置して、プラズマアーク15の下部側に粉末18を供給する。
【0042】
このように構成した本実施の形態の粉末溶射装置によれば、粉末18をプラズマアーク15の下部側に供給すると共に、プラズマアーク15を出射する雰囲気を減圧吸引する方向が、粉末18の供給する側と同じ方向であり、図3に示した第1実施の形態の場合と同様に、プラズマアーク15の下部側にヒューム19が多く発生し、そのヒューム19は直ちに下方に減圧吸引されることになるので、それらのヒューム19は、集塵機14による減圧吸引及びシリンダブロック1の回転によって、プラズマアーク15及びそのプラズマアーク15による熱影響部へ巻き込まれることなく、集塵ダクト13を介して集塵機14に集塵されることになる。
【0043】
従って、本実施の形態においても、粉末供給口17aを、出射孔11aの直下の位置Fに設置するという簡単かつ安価な構成で、ヒューム19の溶射皮膜3への混入や、被溶射材表面としてのシリンダブロック1のボア2内面における未溶射部へのヒュームの付着を確実に防止でき、清浄な状態のボア内面に清浄な溶射粉末を積層してなる密着度に優れた溶射皮膜3を形成することができる。
【0044】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明は、上述したプラズマ溶射に限らず、粉末を用いる他の溶射方法、例えばフレーム溶射やレーザ溶射にも適用できると共に、被溶射材についても、シリンダブロックのボアに限らず、種々の形状及び材料からなる被溶射材に溶射皮膜を形成する場合に適用することができる。従って、走査手段も被溶射材の形状に応じて、例えば溶射熱源により平面状の被溶射材を二次元的に走査する等、適宜、変更可能である。また、減圧吸引によって、特許文献1に開示のように溶射雰囲気中に旋回流を発生させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る粉末溶射装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1実施の形態におけるプラズマアークの出射孔と粉末供給パイプの粉末供給口との位置関係を説明する出射孔側から見た溶射ノズルの正面図である。
【図3】第1実施の形態の動作を説明するための図である。
【図4】第2実施の形態におけるプラズマアークの出射孔と粉末供給パイプの粉末供給口との位置関係を説明する出射孔側から見た溶射ノズルの正面図である。
【図5】従来の粉末溶射方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0046】
1 シリンダブロック(被溶射部材)
2 ボア
3 溶射皮膜
11 溶射ガン
11a 出射孔
12 ガン保持ロボット(走査手段)
13 集塵ダクト(吸引手段)
14 集塵機(吸引手段)
15 プラズマアーク(溶射熱源)
17 粉末供給パイプ
17a 粉末供給口
18 粉末
19 ヒューム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ水平方向に溶射熱源を出射する溶射ガンと被溶射材とを、上記溶射熱源が上記被溶射材の表面を走査して相対的に移動させながら、上記溶射熱源に粉末を供給して上記被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する粉末溶射方法において、
上記粉末を上記溶射熱源の下部側に供給することを特徴とする粉末溶射方法。
【請求項2】
上記被溶射材に対して上記溶射ガンを回転させ、
上記粉末を上記溶射熱源の下部側で、且つ、溶射熱源を出射する雰囲気を減圧吸引する方向から上記溶射熱源に向けて供給することを特徴とする請求項1に記載の粉末溶射方法。
【請求項3】
上記溶射ガンに対して上記被溶射材を回転させ、
上記粉末を上記溶射熱源の下部側でかつ上記溶射熱源の直下を中心とするほぼ±45度の範囲内に供給することを特徴とする請求項1に記載の粉末溶射方法。
【請求項4】
上記溶射熱源を出射する雰囲気を減圧吸引する方向は、上記粉末の供給する側と同じ方向であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉末溶射方法。
【請求項5】
ほぼ水平方向に溶射熱源を出射する出射孔及び上記溶射熱源に粉末を供給する粉末供給パイプを有する溶射ガンと、上記溶射ガン及び被溶射材を上記溶射熱源が上記被溶射材の表面を走査して相対的に移動させる走査手段と、上記溶射熱源を出射する雰囲気を下方に減圧吸引する吸引手段とを有し、上記粉末供給パイプから供給される上記粉末を上記溶射熱源により上記被溶射材に溶射して該被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する粉末溶射装置において、
上記粉末供給パイプの上記溶射熱源への粉末供給口を上記出射孔の下部側に位置させて、上記溶射熱源の下部側に上記粉末を供給することを特徴とする粉末溶射装置。
【請求項6】
上記走査手段は、上記被溶射材に対して上記溶射ガンを回転及び昇降させ、
上記粉末供給口は、上記出射孔の下部側で、かつ上記溶射ガンの回転による上記出射孔の移動方向上流側に位置させて、上記溶射熱源の下部側で、かつ上記溶射ガンの回転による上記溶射熱源の移動方向上流側に上記粉末を供給することを特徴とする請求項5に記載の粉末溶射装置。
【請求項7】
上記走査手段は、上記溶射ガンに対して上記被溶射材を回転及び昇降させ、
上記粉末供給口は、上記出射孔の下部側でかつ上記出射孔の直下を中心とするほぼ±45度の範囲内に位置させて、上記溶射熱源の下部側でかつ上記溶射熱源の直下を中心とするほぼ±45度の範囲内に上記粉末を供給することを特徴とする請求項5に記載の粉末溶射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−322049(P2006−322049A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147054(P2005−147054)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】