説明

粉粒体材料の排出装置、及びこれを備えた粉粒体材料の輸送システム

【課題】簡易な構造でありながらも噛み込みに起因する動作不良や損傷を防止し得るとともに、定量的な排出を行い得る粉粒体材料の排出装置、及びこれを備えた粉粒体材料の輸送システムを提供する。
【解決手段】排出装置10は、粉粒体材料を貯留する貯留部30の下端33に連設されるとともに、末端に排出口12aを有した材料排出路11,12と、この材料排出路の排出口を開閉する弁体15と、この弁体を前記排出口の周囲の弁座13面に対して略直交する方向に沿って移動させる弁体駆動部16とを備え、前記弁体は、閉位置では、当該弁体と前記弁座面との間に粉粒体材料を通過させない程度の所定の隙間Gを前記排出口の周方向に亘って形成するように保持される構造とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体材料を貯留する貯留部の下端に設置される粉粒体材料の排出装置、及びこれを備えた粉粒体材料の輸送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の粉粒体材料を貯留する貯留部の下端に設置される粉粒体材料の排出装置としては、略鉛直に設けられた貯留部下端の投入管に対して、直交するように水平方向にスライド移動される板状弁体(仕切り板)を備えたスライド式の排出装置が知られている。このようなスライド式の排出装置では、上記投入管に連通する開口部が設けられた弁体ケーシング内で上記板状弁体を摺動させてスライドさせることで上記投入管を開閉させて粉粒体材料を排出する構造とされており、板状弁体と弁体ケーシングの開口部との間等に、粉粒体材料の噛み込みが発生し易いという問題があった。また、この噛み込みに起因する動作不良や損傷が発生するという問題があった。
【0003】
下記特許文献1では、ホッパー等に接続される接続管に連設されるとともに、傾斜して形成された入口筒と、この入口筒に下方からこれと同心になるようにして且つ入口筒に摺接しないようにして回転自在に嵌め被せられた有底回転筒とを有した粉粒体用の弁装置が提案されている。この弁装置では、入口筒に設けられた下向き開口を覆う位置と覆わない位置とに有底回転筒が回転され、粉粒体の排出(流出)制御がなされる構造とされている。また、この弁装置では、有底回転筒と入口筒との間に粉粒体の粒径よりもやや大きめの間隙を設けており、これにより、粉粒体が破砕されず、また、スムーズに有底回転筒が回転するものではあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−196810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載された弁装置では、傾斜した入口筒に対して回転駆動される有底回転筒を嵌め被せる構造としているので、構造が複雑化するという問題があった。また、上記入口筒と上記有底回転筒との間に設けられた間隙から粉粒体材料が意図せずに排出されることが考えられる。すなわち、入口筒から有底回転筒に流下した粉粒体材料は、排出と排出停止とを繰り返しながら、間隙に入り込み、排出停止時には、安息角を形成した状態で保持がなされるものであると考えられるが、振動や気流の発生により、意図しない零れ落ちや排出がなされることが考えられる。特に、弁装置の入口側と出口側とに圧力差があるような場合、例えば、入口側に連設されるホッパー等に加熱ガスが供給されているような場合や、出口側に連設される輸送管路に輸送空気が供給されているような場合には、その圧力差によって、上記下向き開口を覆う位置とされた状態でも上記間隙を経て、意図しない粉粒体材料の排出がなされる恐れがあり、定量的な排出が困難となることが考えられる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、簡易な構造でありながらも噛み込みに起因する動作不良や損傷を防止し得るとともに、定量的な排出を行い得る粉粒体材料の排出装置、及びこれを備えた粉粒体材料の輸送システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る粉粒体材料の排出装置は、粉粒体材料を貯留する貯留部の下端に設置される粉粒体材料の排出装置であって、前記貯留部の下端に連設されるとともに、末端に排出口を有した材料排出路と、この材料排出路の排出口を開閉する弁体と、この弁体を前記排出口の周囲の弁座面に対して略直交する方向に沿って移動させる弁体駆動部とを備え、前記弁体は、閉位置では、当該弁体と前記弁座面との間に粉粒体材料を通過させない程度の所定の隙間を前記排出口の周方向に亘って形成するように保持される構造とされていることを特徴とする。
【0008】
上記構成とされた本発明に係る粉粒体材料の排出装置によれば、簡易な構造でありながらも、例えば、開口部(排出口)に対して直交する方向にスライド移動されて開閉するものと比べて、粉粒体材料の噛み込みや破断等を低減させることができる。
また、上記弁体は、閉位置では、当該弁体と前記弁座面との間に粉粒体材料を通過させない程度の所定の隙間を前記排出口の周方向に亘って形成するように保持される構造とされているので、粉粒体材料の噛み込みに起因する動作不良や損傷を効果的に防止することができる。つまり、弁体を閉位置とした状態で、排出口周囲の弁座に当接する構造とした場合には、開位置から閉位置とした際に、粉粒体材料の噛み込みが発生することが考えられる。このような噛み込みが開閉毎に発生すれば、弁体に繰り返し負荷が掛かり、弁体やこれに連結される弁体駆動部のロッド等が損傷することが考えられるが、上記隙間により、噛み込みによる弁体への負荷を低減させることができる。
さらに、上記隙間は、粉粒体材料を通過させない程度の隙間であるので、弁体を閉位置とすれば、意図しない粉粒体材料の排出がなされるようなことはなく、定量的な排出を行うことができる。
【0009】
本発明においては、前記材料排出路を、略鉛直方向に形成され、前記貯留部の下端に連設される第1排出路と、この第1排出路に連設されるとともに、斜め下方向に向けて形成され、末端に前記排出口を有した第2排出路とを備えた構造とし、この排出口の周囲に略鉛直面状の前記弁座面を形成し、前記弁体を、前記弁体駆動部によって、略水平方向に移動させて前記排出口を開閉する構造としてもよい。
このような構成とすれば、例えば、第2排出路の傾斜に対応させて弁体を斜め上方に向けて移動させるようなものと比べて簡易な構造とできる。また、貯留部下端からの粉粒体材料を、第1排出路と第2排出路とによってスムーズに自重で流下させることが可能でありながらも、弁体に作用する粉粒体材料の自重(粉粒体圧)を低減させることができ、弁体の開閉動作がスムーズになされる。
【0010】
また、本発明に係る粉粒体材料の輸送システムは、前記粉粒体材料の排出装置を下端に設置した粉粒体材料の貯留部と、この排出装置から排出された粉粒体材料を空気輸送する材料輸送管路と、前記排出装置の弁体駆動部を制御する制御部とを備えていることを特徴とする。
上記構成とされた本発明に係る粉粒体材料の輸送システムによれば、上記本発明に係る粉粒体材料の排出装置を下端に設置した貯留部を備えているので、噛み込み等に起因する弁体への負荷を低減でき、スムーズな開閉動作が可能となる。従って、輸送先に向けて定量的な排出が可能となり、輸送先に向けて安定した輸送が可能となる。
【0011】
また、本発明においては、前記貯留部を、加熱ガスが供給されて粉粒体材料を乾燥させる乾燥ホッパーとしてもよい。
このような構成とすれば、排出装置の上記隙間から乾燥ホッパー内の加熱ガスや乾燥ガスがリークするようにして材料輸送管路に導入され、材料輸送管路及び輸送先の捕集器等の一時貯留部が正圧となり、これらの内方空間への外気の導入を低減させることができる。従って、加熱乾燥後の粉粒体材料の吸湿や温度降下等を低減させることができる。
【0012】
また、本発明においては、前記制御部によって、前記材料輸送管路に接続される輸送先からの材料要求信号に基づいて、前記貯留部の粉粒体材料を排出させて前記輸送先に向けて空気輸送する際には、前記弁体駆動部を制御して、当該弁体を間欠的に開放させるようにしてもよい。
このような構成とすれば、弁体を間欠的に開放させることで、材料輸送管路内における粉粒体材料の混入比(混合比、管路内の空気流の質量流量に対する粉粒体材料の質量流量の比)が急激に上昇して材料輸送管路が粉粒体材料によって閉塞してしまうようなことを防止でき、より安定した空気輸送が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る粉粒体材料の排出装置は、上述のような構成としたことで、簡易な構造でありながらも噛み込みに起因する動作不良や損傷を防止することができるとともに、定量的な排出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る粉粒体材料の排出装置を備えた輸送システムの一例を模式的に示す概略構成図である。
【図2】(a)〜(c)は、いずれも同排出装置を模式的に示し、(a)は、概略正面図、(b)は、概略平面図、(c)は、概略一側面図である。
【図3】(a)、(b)は、いずれも同排出装置の排出動作を説明する説明図であり、図2(c)におけるX−X線矢視に対応させた概略縦断面図である。
【図4】同輸送システムで実行される基本動作の一例を模式的に示す概略タイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1〜図4は、本実施形態に係る粉粒体材料の排出装置、及びこれを備えた粉粒体材料の輸送システムの一例、並びにその動作例を説明するための説明図である。
なお、図1においては、ガス(加熱空気、輸送空気)や粉粒体材料を流通させる管路(ガス管路、粉粒体材料輸送管路など)を、実線にて模式的に示している。
【0016】
本実施形態に係る粉粒体材料の排出装置10は、図1に示すように、貯留部としての乾燥ホッパー30の下端に設置された例を示している。また、本実施形態では、この排出装置10を設置した乾燥ホッパー30を、排出装置10から排出された粉粒体材料を輸送先としての成形機側捕集供給部50に向けて空気輸送する材料輸送管路2と、各部を制御する制御部としてのCPU41を有した制御盤40とを備えた粉粒体材料の輸送システム1に組み込んだ例を示している。
ここに、上記粉粒体材料は、粉体・粒体状の材料を指すが、微小薄片状や短繊維片状、スライバー状の材料等を含む。
また、上記材料としては、樹脂ペレットや樹脂繊維片等の合成樹脂材料、或いは金属材料や半導体材料、木質材料、薬品材料、食品材料等どのようなものでもよい。
また、この粉粒体材料としては、材料元(乾燥ホッパー30の輸送元)としての配合装置等によって配合された複数種の配合済み粉粒体材料としてもよく、例えば、合成樹脂成形品を成形する場合には、バージン材や粉砕材、マスターバッチ、各種添加剤等が挙げられる。
【0017】
輸送先としての成形機側捕集供給部50は、本実施形態では、射出成形機等の成形機9上に設置されており、上部の捕集部としての気流混合ホッパー51と、その下部に連設された一時貯留部としての貯留タンク55とを備えたものを例示している。
気流混合ホッパー51は、その下部に、後記する排出装置10に接続された材料輸送管路2の一端に接続される材料受入管52を備え、上部に、輸送空気管路3の一端に接続される分離部53を備えている。材料受入管52は、材料輸送管路2の一端に接続される管路が二本に分岐されて、一方が当該気流混合ホッパー51の下端口に連設される一方、他方が貯留タンク55の上部に接続された接続管とされている。この接続管の下端投入口には、この下端投入口を開閉するダンパー54が設けられている。このダンパーとしてはどのようなものでもよいが、図例では、紐状(ワイヤー状)部材で揺動自在に吊持されたフラップ状のダンパー(フラップダンパー)54とした例を示している。このフラップダンパー54は、輸送空気管路3による吸引空気の作用(負圧作用)によって吸引されて、上記下端投入口を閉止し、上記吸引空気の停止に伴い、粉粒体材料の自重によって上記下端投入口を開放させる構造とされている。
【0018】
材料輸送管路2の他端は、排出装置10の下部に設けられた材料輸送管路接続管27(図3参照)に接続されている。
分離部53は、フィルタやメッシュ状の多孔板等によって輸送空気と輸送された粉粒体材料とを分離し、分離した輸送空気を輸送空気管路3に排出する。
輸送空気管路3の他端は、輸送空気源としての輸送ブロワー3aの吸引側に接続されており、この輸送ブロワー3aの吸引側の上流側には、塵埃等を捕捉するフィルタ3bが設けられている。また、この輸送ブロワー3aの吐出側の輸送空気管路3は、排出装置10の下部に設けられた空気導入管28(図3参照)に接続されている。このように、本実施形態では、排出装置10、材料輸送管路2、成形機側捕集供給部50及び輸送空気管路3を介して輸送空気が略循環する構成としている。
【0019】
貯留タンク55には、当該貯留タンク55内の粉粒体材料の貯留レベルの低下を検出し、材料要求信号を出力する材料センサー56が設けられている。この材料センサー56としては、接触式のレベルスイッチ等や非接触式の静電容量式レベル計等を採用するようにしてもよい。
上記構成とされた成形機側捕集供給部50においては、輸送ブロワー3aを駆動させることで、後記する排出装置10から排出された粉粒体材料が、材料輸送管路2、気流混合ホッパー51及び輸送空気管路3を介して略循環される輸送空気によって材料輸送管路2を経て、気流混合ホッパー51に向けて空気輸送される。気流混合ホッパー51では、吸引空気により粉粒体材料をホッパー内で流動させ、粉粒体材料と微粉等を含む輸送空気とを分離部53によって分離させながら粉粒体材料の混合がなされる。そして、輸送ブロワー3aを停止させれば、気流混合ホッパー51内において流動していた粉粒体材料は、自重落下し、その自重によってフラップダンパー54を開放させ、下部の貯留タンク55に投入される。この輸送ブロワー3aは、後記する所定の排出・輸送プログラムに従って、後記するCPU41によって駆動の制御がなされる。
【0020】
射出成形機9は、詳細な説明は省略するが、成形機側捕集供給部50を介して材料投入口から投入された粉粒体材料をシリンダ内で溶融させて、溶融させた1ショット分の樹脂をシリンダ先端のノズルから金型(不図示)内に射出させて、樹脂成形品を成形する構成とされている。
なお、輸送先としての成形機側捕集供給部としては、上記した例に限られず、材料輸送管路2を介して輸送された粉粒体材料を捕集し、一時的に貯留するものであればどのようなものでもよい。
また、本実施形態に係る粉粒体材料の輸送システム1によって輸送される粉粒体材料の輸送先としては、合成樹脂成形品を成形する射出成形機上に設置された捕集ホッパーに限られず、他の材料用の射出成形機、または押出成形機や圧縮成形機等の他の成形機上に設置された捕集ホッパーを輸送先とする態様としてもよい。さらには、このような成形機の前段に設置される一時貯留部としてのチャージホッパーや、複数種の粉粒体材料を所定の配合比で配合する配合装置等の一時貯留部や計量ホッパー等を輸送先としてもよい。また、単一の輸送先に限られず、材料輸送管路を分岐させて、複数の輸送先に向けて輸送するものとしてもよい。
【0021】
乾燥ホッパー30は、上部が略円筒形状で下部が略逆円錐形状とされたホッパー本体31と、このホッパー本体31の上側に設置された捕集部35と、ホッパー本体31の下端に設けられた排出装置10と、ホッパー本体31内に加熱したガスを供給する加熱ガス供給部37とを備えている。
捕集部35には、末端が材料タンクや配合装置等の材料元(輸送元)に接続された材料輸送管路4と、捕集部35内の空気を吸引する空気吸引管5とが接続されている。この空気吸引管5の末端には、輸送空気源としての輸送ブロワー等が接続されている。なお、空気吸引管5と、上記した成形機側捕集供給部50に接続された輸送空気管路3とを、切り替え弁等を介して接続し、上記した輸送ブロワー3aを、乾燥ホッパー30に粉粒体材料を輸送する輸送ブロワーとして兼用するようにしてもよい。
【0022】
捕集部35の下部に設けられた投入管には、投入管の下端投入口を開閉するダンパー36が設けられている。このダンパーとしてはどのようなものでもよいが、図例では、軸部材で揺動自在に投入管に支持されたフラップ状のダンパー(フラップダンパー)36とした例を示している。このフラップダンパー36は、捕集部35において捕集された粉粒体材料の自重によって開放される。この開放により、ホッパー本体31の投入口に連設された投入管からホッパー本体31内に粉粒体材料が投入されれば、錘やバネ等の付勢手段等の閉止手段によって当該フラップダンパー36の閉止がなされる構造とされている。
なお、当該捕集部35及び上記した成形機側捕集供給部50のダンパーとしては、上記した例に限られず、スライドダンパー等としてもよく、または、このようなダンパーを設けない態様としてもよい。
【0023】
ホッパー本体31の上部には、当該ホッパー本体31内の粉粒体材料の貯留レベルの低下を検出し、材料要求信号を出力する材料センサー34が設けられている。この材料センサー34としては、上記同様、接触式のレベルスイッチ等や非接触式の静電容量式レベル計等を採用するようにしてもよい。
また、ホッパー本体31の上部(図例では、側壁上部)には粉粒体材料層を通過したガスを排出する排気口が設けられており、この排気口には、排気管32が接続されている。
また、ホッパー本体31には、ホッパー本体31内に加熱したガスを供給する加熱ガス供給部37が付設されている。
また、本実施形態では、ホッパー本体31の排気管32と加熱ガス供給部37のガス受入口とを接続するガス循環経路6を備えた除湿ユニット7を設けた例を示している。
【0024】
加熱ガス供給部37は、図例では、ヒーター(加熱器)38と、このヒーター38を通過したガスをホッパー本体31内に供給するガス供給管39とを備えている。このガス供給管39は、ホッパー本体31内に導入され、その末端には、供給される加熱ガスを、ホッパー本体31内に吐出する吐出口39bが設けられている。この吐出口39bは、ホッパー本体31内において下端部近傍に配置されるとともに、平面視円状に形成されたホッパー本体31の平面視略中心に配置され、ガス供給管39を経て送気されるガスを、均一に分散してホッパー本体31内に給気する構成とされている。また、この吐出口39bが設けられたガス供給管39の下端部は、下向きに拡開形状(陣笠形状)とされており、整流部として機能する。このような整流部を設けることで、ホッパー本体31内に貯留された粉粒体材料を、スムーズに先入れ先出しさせることができる。
なお、図1において、ガス供給管39に設けられた符号39aに示す部材は、ホッパー本体31内に供給されるガスの温度を検出する温度センサーであって、この温度センサー39aの検出温度に基づいて、供給するガスの温度が所定の温度となるように、ヒーター38への通電の制御がなされる。この所定の温度は、粉粒体材料の種類等に応じて、適宜設定可能であり、例えば、合成樹脂材料を乾燥する場合には、60℃〜180℃程度としてもよい。
【0025】
除湿ユニット7は、詳細な説明については省略するが、吸着剤等を含んだ吸着体、ガス循環経路6を送気されるガスを循環させるブロワー、水分を含んだ上記吸着体を再生する再生手段などを備えている。この除湿ユニット7においては、ホッパー本体31の排気管32から排気されたガスを、吸着剤等を含んだ吸着体において除湿し、その除湿処理されたガス(露点調整されたガス)を、ガス循環経路6を介して加熱ガス供給部37のガス受入口に送気する構成とされている。
なお、このような除湿ユニット7としては、適宜、公知のものが採用可能であり、例えば、吸着体としてのハニカムロータを備えたものや、一つまたは多数の吸着塔を備えたもの等を採用するようにしてもよい。
さらには、このような除湿ユニット7を設けずに、外気を取り込み、ヒーターを通過させて加熱したガス(加熱空気)をホッパー本体31内に供給する送風手段としてのヒーターブロワーを備えた加熱ガス供給部としてもよい。この場合は、ホッパー本体の排気管の末端等に、排出空気に含まれる粉塵や塵埃等を捕捉する集塵フィルタや捕捉物を収容するダストボックス等を備えた集塵ユニットを設けるようにしてもよい。
【0026】
上記構成とされた乾燥ホッパー30においては、所定の乾燥プログラムに従って、後記するCPU41によって制御がなされ、加熱ガス供給部37を介して加熱ガスを供給して、ホッパー本体31内に貯留された粉粒体材料の乾燥処理がなされる。
また、乾燥処理がなされた粉粒体材料は、後記する排出装置10の開放動作によって下端排出口33から排出される。この排出に伴い、ホッパー本体31内における粉粒体材料の貯留レベルが所定レベルに低下すれば、上記輸送空気源を駆動させ、捕集部35において、空気輸送される粉粒体材料を捕集させ、捕集部35の下方に設けられたフラップダンパー36を開放させることにより、粉粒体材料がホッパー本体31内に順次投入される。この輸送空気源は、材料センサー34の材料要求信号に基づいて、後記するCPU41によって駆動制御するようにしてもよい。
【0027】
制御盤40は、当該輸送システム1の上記した各機器及び各部並びに後記する排出装置10を所定のプログラムに従って制御するCPU41と、このCPU41に信号線等を介してそれぞれ接続された記憶部42及び表示操作部43とを備えている。
制御部としてのCPU41には、上記した各機器や各部、各センサー、後記する排出装置10の弁体駆動部としてのエアシリンダー16の切替弁16c(図1及び図2参照)等が信号線等を介して接続されている。
表示操作部43は、各種設定操作や、後記する開放時間及び閉時間等の設定入力項目などを設定、入力したり、各種設定条件や、各種運転モードなどを表示したりする。
記憶部42は、各種メモリ等から構成されており、表示操作部43の操作により設定、入力された設定条件や入力値、後記する基本動作等を実行するための制御プログラムなどの各種プログラム、予め設定された各種動作条件等が格納される。
【0028】
次に、本実施形態に係る粉粒体材料の輸送システム1が備える乾燥ホッパー30の下端に設置される粉粒体材料の排出装置10の具体的一例について、図2及び図3を参照して説明する。
本実施形態に係る粉粒体材料の排出装置10は、図3に示すように、粉粒体材料を貯留する乾燥ホッパー30の下端排出口33に連設されるとともに、末端に排出口12aを有した材料排出路11,12と、この材料排出路11,12の排出口12aを開閉する弁体15と、この弁体15を排出口12aの周囲の弁座13面に対して略直交する方向に沿って移動させる弁体駆動部16とを備えている。
【0029】
材料排出路11,12は、本実施形態では、略鉛直方向に形成され、乾燥ホッパー30の下端排出口33に連設される第1排出路11と、この第1排出路11に連設されるとともに、斜め下方向に向けて形成され、末端に略円形状の排出口12aを有した第2排出路12とを備えた構造とされている。また、本実施形態では、この排出口12aの周囲に形成された弁座13面は、略鉛直面状とされており、弁体15は、弁体駆動部16によって、略水平方向に移動されて排出口12aを開閉する構造とされている。
【0030】
第1排出路11は、図2及び図3に示すように、上端に乾燥ホッパー30の下端排出口33に連通する受入口11aを有している。この第1排出路11は、乾燥ホッパー30の下端に上端に設けられたフランジを介して接続される排出接続管20によって区画されている。この排出接続管20は、図例では、上端の上記フランジの下部に略逆円錐状部を連成し、その下部が丸角状に絞られて四角筒状部を連成した構成とされている。この四角筒状部の両側壁には、略円形状の開口がそれぞれ形成されており、その一方は、蓋部材22によって閉止され、他方には、第2排出路12を区画する斜め管24が接続されている。
また、上記四角筒状部の下部には、斜め下方に向けて延設されるようにして残材排出管21が連成されており、この残材排出管21の下端残材抜き口11bには、残材排出管シャッター18が開閉自在に設けられている。この残材排出管シャッター18を開閉自在に残材排出管21の下端に固定する構造としては、どのようなものでもよいが、図例では、残材排出管21の下端残材抜き口11bの周囲に設けられたフランジ21aに、蝶ボルトが挿通される複数(図例では、二つ)の挿通孔を設け、残材排出管シャッター18に、蝶ボルトが係合し、締め付け可能とされた複数(図例では、2つ)の切欠部18a,18aを設けた例を示している。このような構成によれば、残材排出管21のフランジ21aの挿通孔に重合させたナットに蝶ボルトを螺合させることで、残材排出管シャッター18を開閉自在に残材排出管21の下端に固定することができる。このような残材排出管21を設け、その下端残材抜き口11bを開閉する残材排出管シャッター18を設けた構成とすることで、残材排出管シャッター18を脱離させれば、乾燥ホッパー30に貯留された粉粒体材料を交換等する際に、容易に残材を排出させることができる。
【0031】
第2排出路12は、後記する弁体15等を収容するダンパーケース23の一側部に連成された斜め管24によって区画されている。
この斜め管24は、排出接続管20の上記四角筒状部の側壁に形成された開口に第2排出路12を整合させるようにして、この四角筒状部にフランジ接続されており、上記四角筒状部の側壁から斜め下方向に向けて延設されるようにして形成されている。
この斜め管24の末端にはダンパーケース23が連成されており、このダンパーケース13によって略直方体形状の弁体収容空間14を区画している。この弁体収容空間14は、後記する弁体駆動部16によって略水平方向に移動される弁体15の移動が可能で、開放させた際に、排出口12aから排出される粉粒体材料の排出がスムーズになされるように形成されている。
また、第2排出路12の末端に形成され、弁体収容空間14に向けて開口する排出口12aの周囲には、弁座13が設けられている。この弁座13は、排出口12a廻りの全周に亘って、ダンパーケース23の内壁面を僅かに膨出させるようにして形成されており、上述のように、その弁座13面は、略鉛直面状とされている。つまり、弁座13面が略水平方向に向くように形成されている。
【0032】
また、ダンパーケース23の上記弁座13に対向する側には、後記する弁体15及び弁体駆動部16のロッド部を含む連結部17を受け入れる開口が形成されている。この開口廻りに形成された上下の鍔部25,25には、後記する弁体駆動部16の取付ベース16aが取り付けられる。本実施形態では、このダンパーケース23には、弁体駆動部16が着脱自在に取り付けられる構造とされており、上記上下の鍔部25,25には、上記同様の蝶ボルトが挿通される挿通孔がそれぞれに設けられている。
また、本実施形態では、ダンパーケース23の一側壁に開口を設けており、この開口をのぞき窓19によって封止した例を示している。こののぞき窓19は、強化ガラスや強化樹脂等によって透明に形成されており、後記する弁体15の開閉動作や、粉粒体材料の排出状況が目視できるように設けられている。
上記のように略直方体形状とされた弁体収容空間14は、その下部側が角丸状に絞られており、その下端には、乾燥ホッパー30内に貯留された粉粒体材料を輸送先に向けて供給する供給口14aが形成されている。
【0033】
弁体15は、排出口12aの径よりも大径とされた略円盤形状とされており、図例では、排出口12aに向けて開口する凹部を有し、この凹部の周縁部が弁座13に対応させた略円環(リング)形状とされている。
この弁体15は、図3に示すように、後記する弁体駆動部16によって略水平方向に沿って移動され、図3(b)に示すように、閉位置では、当該弁体15の上記周縁部の弁座13対向面と弁座13面との間に粉粒体材料を通過させない程度の所定の隙間Gを排出口12aの周方向に亘って形成するように保持される構造とされている。この所定の隙間Gは、上記周方向に亘って概ね均一の隙間とすることが好ましいが、下部側の隙間と上部側の隙間とを異ならせるようにしてもよい。
【0034】
この所定の隙間Gは、乾燥ホッパー30に貯留される粉粒体材料の粒径等に応じて設定可能であり、粉粒体材料の粒径(最小径)よりも小さい隙間とすればよい。例えば、樹脂ペレット等で1〜3mm程度の粒径(最小径)とされた粉粒体材料を乾燥ホッパー30に貯留する場合には、0.4mm〜3mm未満程度としてもよい。また、粉砕材等で粒径にばらつきがあるような場合には、0.4mm〜2mm程度としてもよい。また、噛み込みに起因する弁体15や連結部17等の損傷等を効率的に防止する観点から、上記粒径の1/3以上、上記粒径未満としてもよく、好ましくは、上記粒径の1/2以上、上記粒径未満としてもよい。
【0035】
弁体駆動部16は、本実施形態では、エアシリンダー16を例示している。このエアシリンダー16のロッド部には、弁体15の裏面側(反弁座13面側)に設けられた連結部材がボルト等によって連結されており、図では模式的にこのロッド部及び連結部材等を含んで連結部17として示している。
このエアシリンダー16のロッド部のストローク(伸縮)は、図3(b)に示すように、伸長時に、連結部17によって連結された弁体15と弁座13との間に上記所定の隙間Gが形成されるように、また、縮退時に、図3(a)に示すように、弁体15が排出口12aから離れ、粉粒体材料がスムーズに排出口12aから排出されるように設定されている。
なお、このエアシリンダー16のロッド部と弁体15の連結部材とを連結する部位等に、上記伸縮方向に沿う長さを調整する長さ調整手段を設け、伸長時に形成される上記所定の隙間Gを粉粒体材料の粒径等に応じて調整できるものとしてもよい。
【0036】
エアシリンダー16のケーシングの上記伸長方向前側及び後側には、当該ケーシング内のピストンの上記伸長方向前側及び後側に圧縮空気を供給する圧縮空気供給チューブがそれぞれに接続されている。この圧縮空気供給チューブは、上記したダンパーケース23に付設されたソレノイドバルブ等の電磁式の切替弁16cに接続されている。この切替弁16cは、CPU41によって切替制御され、エアシリンダー16のロッド部の伸縮、つまりは、弁体15の開閉動作がなされる。
なお、図2において符号16dは、切替弁16c及び圧縮空気源に接続されるとともに、圧縮空気の供給及び遮断をするためのフィンガバルブ(手動バルブ)である。
【0037】
また、本実施形態では、エアシリンダー16の上記伸長方向前端面に、ダンパーケース23に取付固定される取付ベース16aを設けており、この取付ベース16aの上下には、上記同様の蝶ボルトが係合し、締め付け可能とされた複数(図例では、2つ)の切欠部16b,16bが形成されている。このような構成とすることで、エアシリンダー16をダンパーケース23から容易に脱離させることができ、ダンパーケース23内や、エアシリンダー16に連結された弁体15及びその連結部17等の清掃を容易に行うことができる。この結果、ダンパーケース23の内壁面や弁体15及びその連結部17等に付着した粉粒体材料を容易に除去することができ、乾燥ホッパー30に貯留する粉粒体材料の交換等がなされる場合に、コンタミネーション等を防止することができる。
なお、弁体15を移動させる弁体駆動部としては、上記したエアシリンダー16に限られず、その他、油圧式シリンダや、電動式シリンダ、電動式ネジ軸(ボールネジ等)などを採用するようにしてもよい。
【0038】
上記したダンパーケース23の下端に下向きに開口して形成された供給口14aには、略T字形状とされた輸送ノズル26の一接続管がフランジ接続されている。この一接続管から分岐形成された材料輸送管路接続管27には、上記した材料輸送管路2が接続される一方、空気導入管28には、輸送空気管路3が接続される。
なお、図2において、符号29に示す部材は、空気導入管28に着脱自在に被せられるフィルタである。このフィルタ29は、本実施形態の輸送システム1のように、排出装置10、材料輸送管路2、成形機側捕集供給部50及び輸送空気管路3を介して輸送空気が略循環する構成とした場合には、不要であり、脱離すればよい。一方、成形機側捕集供給部50と排出装置10とを空気輸送管路3によって接続しない態様、例えば、空気輸送管路3に配設された輸送ブロワー3aの吐出側が開放されているような場合には、フィルタ29を空気導入管28に装着し、異物等を除去して、外気等を取り込むようにしてもよい。または、上記のように輸送ブロワー3aを駆動して、吸引空気を材料輸送管路2に作用させて輸送する態様に限られず、圧縮空気を供給して圧送する態様としてもよい。この場合は、フィルタ29を脱離させて、空気導入管28に圧縮空気源に接続される管路を接続するようにしてもよい。
また、上記した排出装置10の各部は、ステンレス鋼などの金属系材料で形成されたものとしてもよい。
【0039】
上記構成とされた本実施形態に係る排出装置10によれば、簡易な構造でありながらも、例えば、開口部(排出口)に対して直交する方向にスライド移動されて開閉するものと比べて、粉粒体材料の噛み込みや破断等を低減させることができる。
また、弁体15は、閉位置では、当該弁体15と弁座13面との間に上記所定の隙間Gを排出口12aの周方向に亘って形成するように保持される構造とされているので、粉粒体材料の噛み込みに起因する動作不良や損傷を効果的に防止することができる。つまり、弁体を閉位置とした状態で、排出口周囲の弁座に当接する構造とした場合には、開位置から閉位置とした際に、粉粒体材料の噛み込みが発生することが考えられる。このような噛み込みが開閉毎に発生すれば、弁体15に繰り返し負荷が掛かり、弁体15やこれに連結される弁体駆動部16のロッド部を含む連結部17等が損傷することが考えられるが、隙間Gにより、噛み込みによる弁体15への負荷を低減させることができる。
さらに、隙間Gは、粉粒体材料を通過させない程度の隙間であるので、弁体15を閉位置とすれば、意図しない粉粒体材料の排出がなされるようなことはなく、定量的な排出を行うことができる。
【0040】
さらにまた、本実施形態では、略鉛直方向に形成され、乾燥ホッパー30の下端に連設される第1排出路11と、この第1排出路11に連設されるとともに、斜め下方向に向けて形成され、末端に排出口12aを有した第2排出路12とを備えた構造とし、この排出口12aの周囲に略鉛直面状の弁座13面を形成し、弁体15を、エアシリンダー16によって、略水平方向に移動させて排出口12aを開閉する構造としている。従って、例えば、第2排出路の傾斜に対応させて弁体を斜め上方に向けて移動させるようなものと比べて簡易な構造とできる。また、乾燥ホッパー30の下端排出口33からの粉粒体材料を、第1排出路11と第2排出路12とによってスムーズに自重で流下させることが可能でありながらも、弁体15に作用する粉粒体材料の自重(粉粒体圧)を低減させることができ、弁体15の開閉動作がスムーズになされる。
【0041】
また、本実施形態に係る粉粒体材料の輸送システム1によれば、上記のような排出装置10を下端に設置した乾燥ホッパー30を備えているので、噛み込み等に起因する弁体15への負荷を低減でき、スムーズな開閉動作が可能となる。従って、成形機側捕集供給部50に向けて定量的な排出が可能となり、成形機側捕集供給部50に向けて安定した輸送が可能となる。
さらに、本実施形態では、乾燥ホッパー30の下端に上記のような排出装置10を設置し、成形機側捕集供給部50に向けて粉粒体材料を空気輸送する構成としているので、排出装置10の隙間Gから乾燥ホッパー30内の加熱ガスや乾燥ガスがリークするようにして材料輸送管路2に導入され、材料輸送管路2及び成形機側捕集供給部50の気流混合ホッパー51等が正圧となり、これらの内方空間への外気の導入を低減させることができる。従って、加熱乾燥後の粉粒体材料の吸湿や温度降下等を低減させることができる。
特に、本実施形態では、上記のように、排出装置10、材料輸送管路2、成形機側捕集供給部50及び輸送空気管路3を介して輸送空気が略循環する構成としている。従って、当該経路が外気から概ね遮断された状態となり、排出装置10の隙間Gからの乾燥ホッパー30内の加熱ガスや乾燥ガスのリークによって、当該経路内が加熱ガスや乾燥ガスで略充満され、加熱乾燥後の粉粒体材料の吸湿や温度降下等をより効果的に低減させることができる。
【0042】
次に、上記構成とされた本実施形態に係る粉粒体材料の輸送システム1において実行される基本動作(排出動作及び輸送動作)の一例を、図4に基づいて説明する。
なお、図4に示すタイムチャートでは、各機器の信号やON/OFF等を模式的に示している。
また、以下の排出・輸送プログラムは、乾燥ホッパー30に貯留された粉粒体材料が所定の状態に昇温されて、少なくとも下層側の粉粒体材料の乾燥が所定程度になされ、排出準備が整った後に実行するようにしてもよい。
【0043】
本動作例では、上記したCPU41によって、材料輸送管路2に接続される成形機側捕集供給部50に設けられた材料センサー56からの材料要求信号(材料無し信号)に基づいて、乾燥ホッパー30の粉粒体材料を排出させて成形機側捕集供給部50に向けて空気輸送する際には、エアシリンダー16(より特定的には、上記した切替弁16c)を制御して、排出装置10の弁体15を間欠的に開放させるようにした例を示している。
図4に示すように、成形機側捕集供給部50の材料センサー56から材料要求信号が出力されれば、輸送ブロワー3aを起動させる。本動作例では、材料センサー56から材料要求信号が出力された後、所定の遅延時間が経過した後に、輸送ブロワー3aを起動させるようにしている。この遅延時間は、材料センサー56の誤検知等を防ぐ観点等から設定されており、例えば、数秒程度としてもよい。
【0044】
また、輸送ブロワー3aを起動させた後、輸送ブロワー3aの駆動モーターの立ち上がり時間等を考慮して所定の遅延時間t1を設けており、この遅延時間t1が経過すれば、排出装置10の弁体15の開閉動作を開始させるようにしている。この所定の遅延時間t1も上記同様、数秒程度としてもよい。
上記所定の遅延時間t1が経過すれば、エアシリンダー16の切替弁16cを切替制御して、排出装置10の弁体15を移動させ、図3(a)に示す開位置とする。これにより、排出口12aが開放され、その上流側(乾燥ホッパー30側)に滞留していた粉粒体材料が排出され、弁体収容空間14を経て、その下端の供給口14aから輸送ノズル26に向けて供給される。輸送ノズル26には、輸送ブロワー3aの駆動により、輸送空気が供給されているので、その輸送空気により、輸送ノズル26に流下した粉粒体材料は、成形機側捕集供給部50の気流混合ホッパー51に向けて空気輸送される。
この弁体15を開位置とする開放時間t3は、上記同様、数秒程度としてもよい。
【0045】
上記開放時間t3が経過すれば、エアシリンダー16の切替弁16cを切替制御して、排出装置10の弁体15を移動させ、図3(b)に示す閉位置とする。これにより、排出口12aが閉止され、粉粒体材料の排出が停止される。この状態では、上記のように弁体15と弁座13面との間には、上記所定の隙間Gを形成するようにしているので、弁体15への噛み込みに起因する負荷を低減させることができるとともに、この隙間Gから乾燥ホッパー30内の加熱ガスや乾燥ガスが上記経路にリークするようにして流れる。
この弁体15を閉位置とする閉時間t4は、上記同様、数秒程度としてもよい。例えば、上記開放時間t3を2秒とし、上記閉時間t4を3秒とするようにしてもよい。
【0046】
これら開放時間t3及び閉時間t4は、予め設定して、記憶部42に格納させておくようにしてもよく、また、表示操作部43から事前設定入力項目として設定入力させるようにしてもよい。また、これら開放時間t3及び閉時間t4を変更可能なようにしてもよい。特に、本実施形態では、排出装置10のダンパーケース23に、のぞき窓19を設けているので、こののぞき窓19から粉粒体材料の排出状況を目視して、これら開放時間t3及び閉時間t4を設定変更することもできる。例えば、粉粒体材料が排出され過ぎているような場合には、開放時間t3を短くしたり、閉時間t4を長くしたりするようにしてもよい。また、これら開放時間t3や閉時間t4は、図例のように、一定時間とするような態様に代えて、これらを開放させる毎に短くしたり、長くしたりするようにしてもよい。
上記閉時間t4が経過すれば、上記同様、開放時間t3が経過するまで弁体15を開位置とし、以下、同様にして、弁体15を間欠的に開放させる。
なお、材料センサー56からの一回の材料要求信号の出力により、弁体15を間欠的に開放させる回数は、数回程度〜十数回程度(図例では、6回)としてもよい。また、この開放回数は、予め設定して、記憶部42に格納させておくようにしてもよく、また、表示操作部43から事前設定入力項目として設定入力させるようにしてもよい。また、この開放回数を変更可能なようにしてもよい。
【0047】
上記のように弁体15を間欠的に開放させた後、本動作例では、所定の輸送混合遅延時間t2が経過するまで輸送ブロワー3aの作動を継続させるようにしている。この輸送混合遅延時間t2は、材料輸送管路2内における粉粒体材料の滞留を防止し、気流混合ホッパー51において粉粒体材料を流動させて微粉等を除去しながら混合できる程度の時間としてもよく、例えば、数秒程度〜数十秒程度としてもよい。
この輸送混合遅延時間t2及び上記した遅延時間t1を含む輸送ブロワー3aの駆動時間は、予め設定して、記憶部42に格納させておくようにしてもよく、また、表示操作部43から事前設定入力項目として設定入力させるようにしてもよい。また、この駆動時間を変更可能なようにしてもよい。
【0048】
なお、図例では、成形機側捕集供給部50に気流混合ホッパー51を設けているので、輸送混合遅延時間t2を比較的に長くした例を示しているが、通常の捕集ホッパーを採用した場合には、これよりも短くするようにしてもよい。さらには、上記した遅延時間t1や輸送混合遅延時間t2を設けないようにしてもよい。
輸送混合遅延時間t2が経過、つまりは、輸送ブロワー3aの上記駆動時間が経過すれば、輸送ブロワー3aを停止させる。次いで、材料センサー56から材料要求信号が出力されれば、上記同様にして、輸送ブロワー3aを駆動させ、排出装置10の弁体15を上記同様、所定態様で開閉させる。
【0049】
上記のように、本動作例によれば、粉粒体材料の輸送時に弁体15を間欠的に開放させる態様としているので、材料輸送管路2内における粉粒体材料の混入比(混合比、管路内の空気流の質量流量に対する粉粒体材料の質量流量の比)が急激に上昇して材料輸送管路2が粉粒体材料によって閉塞してしまうようなことを防止でき、より安定した空気輸送が可能となる。上述のように本実施形態に係る排出装置10によれば、噛み込みに起因する動作不良や損傷等を防止でき、また、スムーズな開閉動作が可能であり、かつ定量的な排出が可能となるので、上記のように弁体15を間欠的に開放させる態様とした場合にも、噛み込みに起因する動作不良等が生じ難く、好適に採用することができる。
【0050】
なお、本実施形態に係る粉粒体材料の輸送システム1において実行される排出・輸送プログラムとしては、上記動作例に限られない。上記のように間欠的に弁体15を開放させずに、所定の時間が経過するまで、または、材料センサー等から満信号等が出力されるまでは、開位置を継続させるような態様としてもよい。
また、本実施形態に係る粉粒体材料の輸送システム1では、排出装置10が下端に設置された貯留部を乾燥ホッパー30とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、材料タンクや一時貯留ホッパー等の貯留部の下端に排出装置10を設置し、乾燥ホッパーや配合装置、成形機上の捕集ホッパー等の輸送先に向けて、上記貯留部の粉粒体材料を空気輸送する態様としてもよい。
さらには、本実施形態に係る排出装置10を、上記のように粉粒体材料を空気輸送する輸送システムに組み込む態様に代えて、供給口14aから自重落下させて供給先に向けて供給するものとしてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、排出装置10の材料排出路を、略鉛直方向に形成され、前記貯留部の下端に連設される第1排出路と、この第1排出路に連設されるとともに、斜め下方向に向けて形成され、末端に前記排出口を有した第2排出路とを備えた構造とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、上記同様の第1排出路と、これに連設される略水平に形成された第2排出路とからなる材料排出路としてもよい。この場合、略水平の第2排出路を材料の安息角等を考慮して、自重による流下が可能となる程度に短くしてもよく、または、第2排出路の一端側から圧縮空気を供給することで、排出口から排出させる態様としてもよい。さらには、上記のような斜め下向きの第2排出路を材料排出路として、貯留部の下端に連設させる態様としてもよい。
さらに、図例では、排出装置10の弁体15や排出口12a、弁座13を略円形状としたものを例示しているが、これらを略楕円形状や、略方形状、その他の略多角形状等としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 粉粒体材料の輸送システム
2 材料輸送管路
10 粉粒体材料の排出装置
11 第1排出路(材料排出路)
12 第2排出路(材料排出路)
12a 排出口
13 弁座
15 弁体
16 エアシリンダー(弁体駆動部)
30 乾燥ホッパー(貯留部)
33 乾燥ホッパーの下端排出口(下端)
41 CPU(制御部)
50 成形機側捕集供給部(輸送先)
G 隙間(粉粒体材料を通過させない程度の所定の隙間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体材料を貯留する貯留部の下端に設置される粉粒体材料の排出装置であって、
前記貯留部の下端に連設されるとともに、末端に排出口を有した材料排出路と、この材料排出路の排出口を開閉する弁体と、この弁体を前記排出口の周囲の弁座面に対して略直交する方向に沿って移動させる弁体駆動部とを備え、
前記弁体は、閉位置では、当該弁体と前記弁座面との間に粉粒体材料を通過させない程度の所定の隙間を前記排出口の周方向に亘って形成するように保持される構造とされていることを特徴とする粉粒体材料の排出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記材料排出路は、略鉛直方向に形成され、前記貯留部の下端に連設される第1排出路と、この第1排出路に連設されるとともに、斜め下方向に向けて形成され、末端に前記排出口を有した第2排出路とを備えた構造とされ、この排出口の周囲に略鉛直面状の前記弁座面が形成されており、
前記弁体は、前記弁体駆動部によって、略水平方向に移動されて前記排出口を開閉する構造とされていることを特徴とする粉粒体材料の排出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の粉粒体材料の排出装置を下端に設置した粉粒体材料の貯留部と、この排出装置から排出された粉粒体材料を空気輸送する材料輸送管路と、前記排出装置の弁体駆動部を制御する制御部とを備えていることを特徴とする粉粒体材料の輸送システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記貯留部は、加熱ガスが供給されて粉粒体材料を乾燥させる乾燥ホッパーであることを特徴とする粉粒体材料の輸送システム
【請求項5】
請求項3または4において、
前記制御部は、前記材料輸送管路に接続される輸送先からの材料要求信号に基づいて、前記貯留部の粉粒体材料を排出させて前記輸送先に向けて空気輸送する際には、前記弁体駆動部を制御して、当該弁体を間欠的に開放させることを特徴とする粉粒体材料の輸送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−62193(P2012−62193A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210192(P2010−210192)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000146054)株式会社松井製作所 (70)
【Fターム(参考)】