説明

粒子の製造方法および遠心転動造粒装置

【課題】造粒と乾燥とを同一の装置で行うことができるうえ、乾燥効率にも優れた粒子の製造方法および遠心転動造粒装置を提供する。
【解決手段】糖類粉末を転動させながら造粒する造粒工程と、該造粒工程で形成された粒子を転動させたまま、該粒子にマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程とを有する粒子の製造方法。この製造方法は、粉末を転動させながら造粒する遠心転動室11と、該遠心転動室11内にマイクロ波を導入するためのマイクロ波導入手段(マイクロ波導波管20)とを備えた遠心転動造粒装置10により実施できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、徐放性製剤(Controlled Release製剤)のコア粒子などに好適に使用される粒子の製造方法と、該製造方法において好適に使用される遠心転動造粒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DDS(Drug Delivery System)において、薬物の作用部位での薬物濃度−時間パターンを最適に保つ手法の1つとして、Controlled Release(放出制御)という手法がある。
このような手法を実現するための徐放性製剤としては、コア粒子に薬物がレイヤリング(被覆造粒)され、さらに目的に応じたフィルム基材がコーティングされたものが知られている。
【0003】
ここでコア粒子としては、白糖、乳糖などの糖や糖アルコールなどの糖類からなる球状顆粒(例えばノンパレル(登録商標):フロイント産業株式会社製)が広く使用されている。
このような球状顆粒は、一般に、核となる成分を各種造粒装置内で転動させておき、そこへ球状顆粒の主成分となる粉末を供給するとともに、核となる成分や粉末を湿潤させるための液体を散布して造粒し、ついで、造粒された粒子を乾燥させる方法により製造されている。具体的には、造粒装置として、例えば特許文献1に記載されているような遠心転動造粒装置(CFグラニュレーター(商品名):フロイント産業株式会社製等)を使用し、核となる成分としてグラニュー糖を遠心転動させ、粉末として白糖などを供給しながら、液体として白糖水溶液を転動雰囲気下に噴霧して造粒する。その後、得られた粒子を例えば流動層造粒装置(例えばフローコーター(商品名):フロイント産業株式会社製等)などに移し替え、加熱空気により乾燥させる。
【特許文献1】特開平10―128097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように、造粒と乾燥とを別々の装置で行う方法では、移し替えの作業が必要であり、生産性が十分ではない。また、昨今、製剤作業時における作業者の安全性を確保する観点から、原料や中間品などのコンテインメント(封じ込め)が求められるようになってきており、その点でも、造粒された粒子を別の装置に移し替えて乾燥することは好ましくない。さらに、流動層造粒装置などを使用して加熱空気により乾燥する方法では、乾燥に長時間を有し、乾燥効率が悪い。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、造粒と乾燥とを同一の装置で行うことができるうえ、乾燥効率にも優れた粒子の製造方法および遠心転動造粒装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の粒子の製造方法は、糖類粉末を転動させながら造粒する造粒工程と、該造粒工程で形成された粒子を転動させたまま、該粒子にマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程とを有することを特徴とする。
前記糖類粉末は、糖、糖アルコール、結晶セルロース、デンプン類からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
前記造粒工程では、前記糖類粉末に液体を噴霧することが好ましい。
前記液体は、糖、糖アルコール、デンプン類、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる1種以上が水に溶解または分散したものであることが好ましい。
前記造粒工程では、核となる成分の存在下で、前記糖類粉末を造粒してもよい。
その場合、前記糖類粉末は、糖および/または糖アルコールであり、前記糖は、白糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖からなる群より選ばれる1種以上であり、前記糖アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトールからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
本発明の遠心転動造粒装置は、粉末を転動させながら造粒する遠心転動室と、該遠心転動室内にマイクロ波を導入するためのマイクロ波導入手段とを備えていることを特徴とする。
前記遠心転動室は、軸線が鉛直方向となるように配置された円筒状の固定壁と、該固定壁の内側に配置され、該固定壁の内壁と所定のクリアランスをあけて水平方向に回転する回転皿と、前記固定壁の上端を塞ぐマイクロ波非透過性の蓋体とを有し、前記蓋体には、マイクロ波導入手段として、マイクロ波導波管が接続されていることが好ましい。
前記回転皿は、周縁部が上方に傾斜していることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、造粒と乾燥とを同一の装置で行うことができるうえ、乾燥効率にも優れた粒子の製造方法および遠心転動造粒装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の製造方法で好適に使用される遠心転動造粒装置の一例を示すものであり、この遠心転動造粒装置10は、粉末を転動させながら造粒する遠心転動室11を有している。
この例の遠心転動室11は、軸線が鉛直方向となるように配置された円筒状の固定壁12と、この固定壁12の内側に配置され、固定壁12の内壁と所定のクリアランスをあけつつ、中心軸14を中心として水平方向に回転する円形の回転皿13とを有して構成され、粒子原料の粉末を回転皿13の上で転動させることにより、この粉末を球形の粒子状に造粒するものである。
【0009】
この例では、回転皿13は、図2に示すように、周縁部13aが徐々に上方に傾斜した形状となっていて、その上で粉末を均質に転動させることができるとともに、後述するマイクロ波照射工程においては、造粒工程で得られた粒子に対してムラなくマイクロ波を照射でき、少ないエネルギーで効果的な乾燥が行えるようにされている。具体的には、周縁部13aの水平方向長さPは、回転皿13の直径Dに対して、P≧0.25Dであることが好ましく、より好ましくは0.4D≧P≧0.25Dである。また、周縁部13aの高さHは、回転皿13の直径Dに対して、0.1D≦H≦0.33Dであることが好ましく、より好ましくは0.1D≦H≦0.25Dである。
また、遠心転動室11内には、図示略の熱電対などの温度計が設置されていて、粒子の温度を測定できるようになっている。
【0010】
遠心転動室11には粉末供給管(粉末供給装置)15が設けられ、ここから粒子原料の粉末を散布できるようになっている。また、遠心転動室11にはスプレー装置16も設けられ、粉末の凝集を促すための液体や、バインダーとして作用するような成分を含む液体などを必要に応じて遠心転動室11内に噴霧できるようになっている。さらに、この例では、回転皿13の下方にはエアチャンバ17が形成されていて、このエアチャンバ17内に圧空供給管18から圧縮空気を送り込むことにより、固定壁12の内壁と回転皿13との間のクリアランス部分から遠心転動室11内に高圧の空気(以下、スリットエアという。)が導入され、粉末の混合循環性がより高められるようになっている。
【0011】
そして、この例の遠心転動室11は、固定壁12の上端を覆うマイクロ波非透過性の蓋体19をさらに有しているとともに、この蓋体19には、マイクロ波導入手段としてマイクロ波導波管20の一端が接続されている。よって、このマイクロ波導波管20の他端側に図示略のマイクロ波発振装置を接続することにより、このマイクロ波発振装置から発振されたマイクロ波が遠心転動室11内に伝送、導入され、遠心転動室11内の粒子にマイクロ波を照射できるようになっている。なお、図中符号21は、排気口である。
【0012】
ここで蓋体19を構成するマイクロ波非透過性の材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス・スチールなどの金属が挙げられる。
マイクロ波発振装置としては、マグネトロン、クライストロン、ジャイロトロンなどを備えた一般の装置が使用でき、マイクロ波導波管20としても、金属製の矩形導波管や円形導波管などの一般のものが使用できる。
【0013】
図1の遠心転動造粒装置10を使用して粉末から粒子を製造する方法としては、まず、粉末を粉末供給管15から導入し、回転皿13を、その直径が360mm程度のものであれば、例えば40〜400rpmで回転させる。そして、スリットエアを遠心転動室11内に導入しながら、スプレー装置16から液体を噴霧して、粉末を湿潤させつつ造粒する(造粒工程)。
ついで、このような造粒工程で形成された粒子を転動させたまま、図示略のマイクロ波発振装置を作動させて、出力0.2〜20kW程度のマイクロ波をマイクロ波導波管20により遠心転動室11内に伝送、導入し、遠心転動室11内の粒子にマイクロ波を照射し、粒子を乾燥する(マイクロ波照射工程)。その結果、造粒工程で形成された粒子が乾燥され、目的の粒子を得ることができる。
ここでマイクロ波照射工程に要する時間は、粒子の量やマイクロ波の出力などにもよるが、通常、5〜60分間である。
また、こうして製造される粒子の粒子径は、粉末や液体の供給量を調整する方法などにより目的に応じて制御できるが、通常、50〜1000μmの範囲である。
【0014】
また、造粒工程では、核となる成分(以下、核成分という。)の存在下で粉末を造粒することもできる。
その場合には、まず、核成分を遠心転動室11内に仕込み、その後、スリットエアを遠心転動室11内に導入しながら回転皿13を回転させる。ついで、粉末供給管15から粉末を遠心転動室11内に導入しながら、スプレー装置16から液体を噴霧して、粉末および/または核成分を湿潤させつつ造粒する。このように核成分を使用することによって、核成分の周囲に粉末が凝集しやすくなり、より効率的に造粒が行える。
このような造粒工程の後には、造粒工程で形成された粒子を転動させたまま、上述のようにしてマイクロ波照射工程を行うことにより、乾燥した目的の粒子を得ることができる。
【0015】
ここで粒子原料の粉末としては、特に制限はないが、製造する粒子の用途が徐放性製剤のコア粒子である場合には、医薬用添加剤として通常用いられている糖類粉末が好ましく使用できる。
糖類粉末としては、具体的には、白糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖などの糖;キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール等の糖アルコール;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類;コーンスターチ、コメデンプン、デキストリン等のデンプン類などが挙げられる。これら糖類粉末は1種単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよいが、これらのなかでは、糖、糖アルコール、結晶セルロース、デンプン類は、医薬品の賦形剤として薬物との安定性に優れ、高い硬度の粒子が得られるものであり、かつ、造粒加工もしやすいために好ましい。
【0016】
また、糖類粉末の中では、水、アルコールなどの液体と接触して湿潤することにより互いに凝集するものが好適に使用できる。このような糖類粉末を選択した場合には、造粒工程で上述のように液体を噴霧することで、凝集性をより向上させることができる。
【0017】
さらに、糖類粉末の中では、粉末自身が熱により溶融して互いに熱融着するものを使用すると、より硬度の高い粒子が得られ好ましい。すなわち、このような糖類粉末を選択すると、マイクロ波照射工程において、造粒工程で形成された粒子が単に乾燥されるだけでなく、粒子を構成している粉末が加熱により熱溶融するため、粉末同士が互いに融着し、より硬度の高い粒子を得ることができる。得られた粒子の硬度が高いと、例えばその粒子をコア粒子としてその外側に薬物をレイヤリングし、さらにその外側にフィルム基材をコーティングして徐放性製剤を製造する場合でも、粒子の磨耗や破損が少なく、それに起因したロスが減るため、コスト的に好ましい。
このような硬度向上効果が得られる糖類粉末としては、糖および/または糖アルコールが好ましく例示できる。
【0018】
糖類粉末の大きさとしては特に制限はないが、その平均粒子径が1〜100μmであるものが好ましく、より好ましくは10〜50μmである。
【0019】
造粒工程で噴霧する液体は、粉末の凝集を促進させることなどを目的としたものであって、粉末として、液体と接触して湿潤することにより互いに凝集する粉末を選択した場合には、水、アルコールなどの液体を噴霧することにより凝集性が向上するため好ましい。
また、液体としては、粉末間のバインダーとして作用するような成分を水に溶解または分散させたものも好適に使用できる。このような成分としては、糖、糖アルコール、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートなどのセルロース類、デンプン類、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸およびそのエステル、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。これらの成分は1種単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよいが、特に糖、糖アルコール、デンプン類、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる1種以上を使用すると、糖類粉末に対してより強いバインダー力が発現し、より硬度の高い粒子が得られやすく好ましい。なお、これらの成分の液体中の濃度は、その成分の種類などに応じて適宜設定すればよい。
【0020】
造粒工程において核成分を使用する場合、好ましい核成分としては、グラニュー糖や、糖類粉末を会合させた二次粒子などが挙げられる。糖類粉末を会合させた二次粒子とは、糖類粉末の一次粒子を予め湿潤させ、ある程度の圧力をかけで混合し会合させたものである。
核成分を用いた造粒工程で使用される糖類粉末として糖および/または糖アルコールを使用すると、これらはマイクロ波による加熱によって溶融するため、硬度の高い粒子を得ることができ好ましい。この場合、糖としては、白糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、糖アルコールとしては、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトールからなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましい。これらは加熱時において水への溶解度が高くなり、粒子内で溶融固化が起こり粒子硬度を高めるものと考えられる。
【0021】
使用する核成分の大きさ、形状などは適宜選択できるが、篩い分け法により測定される粒子径が50〜1000μmの範囲のものが好ましい。
また、使用する核成分の量は適宜設定できるが、通常、糖類粉末100質量部に対して、50〜500質量部の範囲である。
【0022】
以上説明したように、例えば図示のような遠心転動造粒装置10を使用して、糖類粉末を転動させながら造粒する造粒工程と、造粒工程で形成された粒子を転動させたまま、粒子にマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程とを有する粒子の製造方法によれば、造粒工程で得られた粒子を別の装置に移し替えることなく乾燥することができ、生産性に優れ、コンテインメントの点からも好ましい。また、特にマイクロ波照射工程によれば、高エネルギーで短時間に造粒工程で得られた粒子を乾燥できるため、乾燥効率に優れ、より高い生産性を実現できる。また、マイクロ波照射工程を粒子を転動させたまま行うことにより、均質な乾燥が可能となる。さらに、糖類粉末や核成分として、熱溶融するものを使用した場合には、マイクロ波照射工程において粒子が単に乾燥されるだけでなく、粉末同士、または粉末と核成分とが融着するため、より硬度が高い粒子が得られる。こうして得られた硬度の高い粒子は、ハンドリング時における磨耗や破損によるロスが少ないため、上述したように、例えば徐放性製剤のコア粒子として好適に使用できる。
【0023】
なお、以上の説明においては、造粒工程中には遠心転動室内に液体を噴霧するとともにスリットエアを導入する方法を例示したが、造粒する粉末の種類や条件などによっては、必ずしも液体の噴霧やスリットエアの導入は行わなくてよい。
また、遠心転動造粒装置の構成としても、図示のものに限定されず、粉末を転動させながら造粒する遠心転動室と、遠心転動室内にマイクロ波を導入するためのマイクロ波導入手段とを備えたものであればよい。例えば、図示のものでは、マイクロ波導入手段として、蓋体に接続されたマイクロ波導波管が採用され、図示略のマイクロ波発振装置からのマイクロ波を遠心転動室内に導けるような構成となっているが、遠心転動室内にマイクロ波導入手段としてマイクロ波発振装置そのものを設置するなど、他の形態であってもよい。
また、回転皿の形状も、必ずしも周縁部が上方に傾斜した形状となっていなくてもよく、制限はない。
【実施例】
【0024】
[実施例1]
図1に示す遠心転動造粒装置10の遠心転動室11内に、粒子径200〜300μmのグラニュー糖500gを核粒子として仕込み、スリットエアを供給しながら回転皿13を150rpmで回転させた。ついで、平均粒子径10μmの精製白糖粉末60質量%とトウモロコシデンプ40質量%からなる混合粉末1000gを粉末供給管15から遠心転動室11内に供給するとともに、3質量%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液300gをスプレー装置16から遠心転動室11内に噴霧し、造粒工程を行った。
ついで、造粒工程で形成された湿潤状態にある粒子を遠心転動室11内で転動させたまま、図示略のマイクロ波発振装置(UM−1500 SO−A(ミクロ電子(株)製))を作動させて、出力1.5kWのマイクロ波を遠心転動室11内にマイクロ波導波管20により伝送、導入し、湿潤状態にある粒子の温度が60℃になるまでマイクロ波を照射し、マイクロ波照射工程を行った。
こうして得られた粒子について、以下に示す方法でその粒子硬度を測定した。
表1に粒子の硬度と、マイクロ波照射工程に要した時間とを示す。
なお、回転皿13としては、直径Dが360mm、周縁部13aの水平方向長さPが120mm、周縁部13aの高さHが60mmであり、0.4D≧P≧0.25Dおよび0.1D≦H≦0.25DRの条件を満足するものを使用した。また、蓋体19の材質は、アルミニウムである。
【0025】
(粒子硬度)
岡田精工社製の顆粒硬度計「GRANO(商品名)」を使用し、実施例1で製造された粒子径355〜500μmの粒子20個について、測定荷重1000g、測定速度120μm/sec、先端チップ径3mmφの条件下で、各粒子硬度を測定した。そして、20個の粒子の平均を算出し、粒子硬度とした。
【0026】
[比較例1]
実施例1と同様にして造粒工程を行った後、マイクロ波照射工程を行わずに湿潤状態にある粒子を取り出し、これを流動層装置(フロイント産業株式会社製)内へ移し替え、この流動装置内に90℃に設定された加熱空気を導入し、湿潤状態にある粒子の温度が60℃になるまで乾燥した(流動乾燥工程)。
そして、得られた粒子について、実施例1と同様の方法でその粒子硬度を測定した。
表1に粒子の硬度と、流動乾燥工程に要した時間とを示す。
【0027】
[実施例2]
核粒子として、粒子径300〜425μmのグラニュー糖500gを使用し、粉末供給管15から供給する粉末として平均粒子径10μmの精製白糖粉末1000gを使用し、スプレー装置16から噴霧する液体として50質量%の白糖水溶液200gを使用した以外は実施例1と同様にして造粒工程を行った。
ついで、マイクロ波の出力を0.5〜1.5kWの範囲内で調整し、湿潤状態にある粒子の温度が80℃に到達した後、その温度で10分間保持されるようにマイクロ波を照射した以外は、実施例1と同様にしてマイクロ波照射工程を行った。
そして、得られた粒子について、実施例1と同様の方法でその粒子硬度を測定した。
表1に粒子の硬度と、マイクロ波照射工程に要した時間とを示す。
【0028】
[比較例2]
実施例2と同様にして造粒工程を行った後、マイクロ波照射工程を行わずに湿潤状態にある粒子を取り出し、これを流動層装置(フロイント産業株式会社製)内へ移し替え、この流動装置内に100℃に設定された加熱空気を導入し、湿潤状態にある粒子の温度が80℃に到達した後、その温度で10分間保持されるように乾燥した(流動乾燥工程)。
そして、得られた粒子について、実施例1と同様の方法でその粒子硬度を測定した。
表1に粒子の硬度と、流動乾燥工程に要した時間とを示す。
【0029】
【表1】

【0030】
表1に示すように、造粒工程の後にマイクロ波照射工程を行って粒子を製造する方法によれば、乾燥に要する時間が短く、乾燥効率に優れていた。また、粒子としても硬度の高いものが得られた。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の遠心転動造粒装置の一例を示す断面図である。
【図2】図1の遠心転動造粒装置の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 遠心転動造粒装置
11 遠心転動室
12 固定壁
13 回転皿
13a 周縁部
19 蓋体
20 マイクロ波導波管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖類粉末を転動させながら造粒する造粒工程と、該造粒工程で形成された粒子を転動させたまま、該粒子にマイクロ波を照射するマイクロ波照射工程とを有することを特徴とする粒子の製造方法。
【請求項2】
前記糖類粉末は、糖、糖アルコール、結晶セルロース、デンプン類からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の粒子の製造方法。
【請求項3】
前記造粒工程では、前記糖類粉末に液体を噴霧することを特徴とする請求項1または2に記載の粒子の製造方法。
【請求項4】
前記液体は、糖、糖アルコール、デンプン類、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる1種以上が水に溶解または分散したものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項5】
前記造粒工程では、核となる成分の存在下で、前記糖類粉末を造粒することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の粒子の製造方法。
【請求項6】
前記糖類粉末は、糖および/または糖アルコールであり、前記糖は、白糖、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖からなる群より選ばれる1種以上であり、前記糖アルコールは、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリスリトールからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項5に記載の粒子の製造方法。
【請求項7】
粉末を転動させながら造粒する遠心転動室と、
該遠心転動室内にマイクロ波を導入するためのマイクロ波導入手段とを備えていることを特徴とする遠心転動造粒装置。
【請求項8】
前記遠心転動室は、軸線が鉛直方向となるように配置された円筒状の固定壁と、該固定壁の内側に配置され、該固定壁の内壁と所定のクリアランスをあけて水平方向に回転する回転皿と、前記固定壁の上端を塞ぐマイクロ波非透過性の蓋体とを有し、
前記蓋体には、前記マイクロ波導入手段として、マイクロ波導波管が接続されていることを特徴とする請求項7に記載の遠心転動造粒装置。
【請求項9】
前記回転皿は、周縁部が上方に傾斜していることを特徴とする請求項7または8に記載の遠心転動造粒装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−259887(P2007−259887A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85096(P2006−85096)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000112912)フロイント産業株式会社 (55)
【Fターム(参考)】