説明

粘着テープの貼着装置及び貼着方法

【課題】基板に貼着された粘着テープから離型テープを確実に剥離できるようにした貼着装置を提供することにある。
【解決手段】供給リール19から離型テープとともに繰り出された粘着テープ2に離型テープ1に到る深さの一対の切断線4によって中抜き部3を所定間隔で形成するとともに、離型テープの一対の切断線間の部分に折り曲げ線4aを形成する切断機構34と、粘着テープの中抜き部を離型テープから除去する除去機構35と、中抜き部が除去されて基板の側辺部に対向するよう位置決めされた所定長さの粘着テープを基板に加圧して貼着する加圧ツール24と、離型テープの中抜き部が除去された部分を切断線と折り曲げ線とによって湾曲させる剥離ローラ52,53を有し、剥離ローラによって離型テープを基板に貼着された粘着テープから剥離する剥離手段26と、粘着テープから剥離された離型テープを巻き取る巻き取りリール22を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はたとえば液晶表示パネルに用いられるガラス製の基板などの被貼着部材に粘着テープを貼着する粘着テープの貼着装置及び貼着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、液晶ディスプレイパネルやプラズマディスプレイパネルに代表されるフラットパネルディスプレイなどの製造工程においては、被貼着部材としてのガラス製の基板の側部上面に設けられた端子部に、TCP(Tape Carrier Package)などの電子部品を、μm単位の直径の金属粒子を含有する熱硬化性の樹脂によって形成された異方導電性の粘着テープを介して貼着する工程がある。
【0003】
上記電子部品を上記基板の側部上面の端子部に貼着する前に、基板の側部上面には所定の長さに切断された上記粘着テープが貼着される。粘着テープは合成樹脂によって形成された離型テープに貼着された状態で供給リールに巻装されている。
【0004】
上記基板の側部上面に電子部品を粘着テープによって貼着する場合、まず、離型テープとともに供給リールから繰り出された粘着テープを所定長さに切断する。
【0005】
所定長さに切断された粘着テープは、たとえばチャックなどによって上記供給リールから上記離型テープとともに引き出されてテーブルの上面に吸着保持された基板の側部上面の端子部に対向するよう位置決めする。
【0006】
ついで、切断された粘着テープは、ヒータを有する加圧ツールによって基板の側辺部に加圧加熱された後、基板に貼着された粘着テープから離型テープを剥離する剥離ローラを有する剥離手段によって剥離したならば、剥離された離型テープを巻き取りリールに巻き取る。それと同時に、上記テーブルに新たな基板を供給載置する。
【0007】
離型テープを巻き取りリールに巻き取ることで、粘着テープの所定長さに切断された新たな部分がテーブル上の新たな基板の側辺部の上方に位置決めされる。それによって、粘着テープの所定長さに切断された新たな部分が上記基板に貼着されるということが繰り返して行われる。このような先行技術は特許文献1に示されている。
【0008】
図6(a)に示すように、離型テープ1に貼着された粘着テープ2を所定の長さLに切断するとき、所定長さに切断された粘着テープ2の間の部分に一対の切断線4によって中抜き部3を切断形成する。上記中抜き部3を粘着テープ2の他の部分から確実に分断するため、上記切断線4は図6(b)に示すように離型テープ1の厚さの約2分の1まで到達する深さで形成される。すなわち、離型テープ1はハーフカットされる。
【0009】
上記粘着テープ2の中抜き部3は所定の長さに切断された粘着テープ2を基板に貼着する前に抜き取られる。それによって、所定の長さに切断された粘着テープ2を加圧ツールによって基板に加圧加熱して貼着するとき、この加圧ツールによって粘着テープ2の所定の長さに切断された部分の全長を確実に加圧して基板に確実に貼着することができる。
【0010】
つまり、加圧ツールは、基板に貼着する所定の長さに切断された粘着テープ2だけを確実に加圧し、その粘着テープ2の上流側に位置する粘着テープの端部を加圧するのを防止することができる。
【0011】
基板に貼着された粘着テープ2から離型テープ1を剥離ローラによって剥離する際、離型テープ1をチャックによって保持固定してから、上記離型テープ1に係合した剥離ローラを基板の側辺部に沿って駆動する。それによって、上記離型テープ1を基板に貼着された粘着テープ2に対して上方へ湾曲させながら剥離するようにしている。
【0012】
粘着テープ2から離型テープ1を剥離する際、剥離の開始は図6(a)に示すように離型テープ1の中抜き部3が除去された部分1aから始まる。その部分1aには中抜き部3を切断する際に一対の切断線4が所定の間隔で形成されているから、離型テープ1は一対の切断線4によって上方へ屈曲しながら剥離されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平10−135274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、上記離型テープ1の上記中抜き部3が除去された部分は、中抜き部3の長さ寸法に対応する間隔で一対の切断線4が形成されているだけである。そのため、上記離型テープ1を粘着テープ2から剥離する際、離型テープ1の中抜き部3が除去された部分1aは一対の切断線4が形成された箇所では屈曲するものの、一対の切断線4の間の部分では切断線4が形成された部分に比べて屈曲(湾曲)し難いということがある。つまり、上記離型テープ1の中抜き部3が除去された部分1aは全体として小さな半径で湾曲し難いということがある。
【0015】
そのため、離型テープ1の粘着テープ2からの剥離の開始端となる中抜き部3が除去された部分1aが、粘着テープ2に対して大きな角度、つまり小さな半径で湾曲し難いため、粘着テープ2からの離型テープ1の剥離が円滑に開始されず、離型テープ1に加わる引張り力が粘着テープ2の端部に加わり、その端部が基板から捲れてしまうということがあった。
【0016】
この発明は、被貼着部材に貼着された粘着テープから離型テープを剥離する際、離型テープを粘着テープとの角度が大きくなるよう湾曲させることができるようにすることで、離型テープの剥離を容易に、しかも確実に行うことができるようにした粘着テープの貼着装置及び貼着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明は、被貼着部材の側辺部に所定長さに切断された粘着テープを貼着する貼着装置であって、
上記粘着テープが貼着された離型テープが巻装された供給リールと、
この供給リールから離型テープとともに繰り出された上記粘着テープに上記離型テープに到る深さの一対の切断線によって中抜き部を所定間隔で形成するとともに、上記離型テープの上記一対の切断線間の部分に折り曲げ線を形成する切断手段と、
この切断手段によって切断形成された上記粘着テープの中抜き部を上記離型テープから除去する除去手段と、
この除去手段によって中抜き部が除去されて上記被貼着部材の側辺部に対向するよう位置決めされた上記離型テープに残留する所定長さの粘着テープを上記被貼着部材に加圧して貼着する加圧手段と、
上記離型テープの上記中抜き部が除去された部分を上記切断線と折り曲げ線とによって湾曲させる剥離ローラを有し、この剥離ローラが被貼着部材の側辺部に沿って駆動されることで上記離型テープを上記被粘着部材に貼着された粘着テープから剥離する剥離手段と、
この剥離手段によって上記被粘着部材に貼着された粘着テープから剥離された離型テープを巻き取る巻き取りリールと
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着装置にある。
【0018】
上記切断手段は、駆動源によって上記離型テープに貼着された粘着テープに対して接離する方向に駆動される可動体を有し、この可動体には上記一対の切断線を形成する一対の第1の切断刃が所定の間隔で設けられているとともに、一対の第1の切断刃の間には上記折り曲げ線を形成する第2の切断刃が設けられていることが好ましい。
【0019】
この発明は、被貼着部材の側辺部に所定長さに切断された粘着テープを貼着する貼着方法であって、
供給リールから離型テープとともに繰り出された上記粘着テープに上記離型テープに到る深さの一対の切断線によって中抜き部を所定間隔で形成するとともに、上記離型テープの上記一対の切断線間の部分に折り曲げ線を形成する工程と、
上記粘着テープに切断形成された中抜き部を上記離型テープから除去する工程と、
上記中抜き部が除去されることで上記離型テープに残留する所定長さの粘着テープを上記被貼着物に加圧して貼着する工程と、
上記離型テープの上記中抜き部が除去されて上記被貼着部材の側辺部に対向した部分を剥離ローラによって上記切断線と折り曲げ線の箇所で湾曲させてこの剥離ローラを上記被貼着部材の側辺部に沿って駆動することで上記離型テープを上記被貼着部材に貼着された粘着テープから剥離する工程と、
上記被貼着部材に貼着された粘着テープから剥離された離型テープを巻き取る工程と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着方法にある。
【0020】
上記離型テープに対して上記一対の切断線と上記折り曲げ線を同時に形成することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、被貼着部材に貼着された粘着テープから剥離テープを剥離するとき、剥離の開始端となる離型テープの中抜き部が除去された部分には、中抜き部を除去するための一対の切断線の他に、これら切断線の間に折り曲げ線が形成されている。
【0022】
そのため、粘着テープから離型テープを剥離ローラによって剥離する際、上記離型テープの剥離の開始端となる部分が上記離型テープの外周面に沿って円滑に湾曲して粘着テープに対する角度が大きくなるから、上記離型テープの剥離を確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施の形態を示す粘着テープの貼着装置の概略的構成図。
【図2】切断ユニットを拡大して示す正面図。
【図3】(a)は中抜き部を形成した粘着テープの拡大図、(b)は中抜き部を除去した粘着テープの拡大図。
【図4】(a)は一対の切断線と折り曲げ線が形成された離型テープを湾曲させたときの説明図、(b)は一対の切断線だけが形成された離型テープを湾曲させたときの説明図。
【図5】(a)は一側部に電子部品が貼着された基板の平面図、(b)は電子部品が貼着される前の基板の平面図。
【図6】(a)は粘着テープを所定の長さに切断する従来の説明図、(b)は粘着テープに切断線が形成された部分の拡大図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1はこの発明の一実施の形態に係る貼着装置を示し、この貼着装置は基板ステージ15を備えている。この基板ステージ15はベース16を有し、このベース16の上面にX駆動源16a、Y駆動源16b及びθ駆動源16cによってX、Y及びθ方向に駆動されるテーブル17が設けられている。
【0026】
上記テーブル17上には、図5(a)に示すように被貼着部材としての液晶ディスプレイパネルからなる基板Wが供給されて吸着保持される。基板Wの上面の一側部には図5(b)に示すように複数の端子tが所定間隔で形成された複数、この実施の形態では3つの端子部Tが設けられている。
【0027】
上記基板Wの端子部Tが設けられた側部上面には、後述するように3つの端子部Tにわたる長さに切断された、金属粒子が混入された熱硬化性の樹脂からなる異方導電性の粘着テープ2が図5(a)に示すように貼着される。そして、各端子部Tには、TCPなどの電子部品13が上記粘着テープ2を介して貼着される。
【0028】
図1に示すように、上記粘着テープ2は合成樹脂製のテープからなる離型テープ1に貼着されて供給リール19に巻装されていて、粘着テープ2を下にして一対のガイドローラ21にガイドされている。それによって、粘着テープ2は上記テーブル17に載置された上記基板Wの端子部Tの上方に対向するようになっている。
【0029】
上記テーブル17の上方にはヒータ23aを有する貼着手段としての加圧ツール23が上下駆動機構24によって上下動可能に設けられている。上記粘着テープ2は、後述する切断ユニット33によって所定長さに切断され、その所定長さに切断された部分2aが上記加圧ツール23の下方に後述するように位置決めされる。
【0030】
粘着テープ2の所定長さに切断された部分2aが位置決めされると、上記加圧ツール23が下降して粘着テープ2の所定の長さに切断された部分2aが上記基板Wの端子部Tが設けられた側辺部に貼着される。その後、上記離型テープ1は後述する剥離手段26によって粘着テープ2から剥離され、その離型テープ1だけが巻き取りリール22に巻き取られるようになっている。
【0031】
上記粘着テープ2と離型テープ1との搬送は、送り手段としての送り装置30によって行なわれる。この送り装置30は離型テープ1を挟持可能に形成されたチャック31を有する。このチャック31はたとえば図示しない駆動源及びこの駆動源によって回転駆動される駆動ねじなどからなる第1の駆動機構32によって図1に矢印Xで示す方向に往復駆動されるようになっている。
【0032】
したがって、上記チャック31が離型テープ1を挟持した状態で図1に+Xで示す方向へ駆動されれば、上記離型テープ1とともに粘着テープ2を供給リール19から+X方向へ引き出し、その所定長さに切断された部分2aを加圧ツール23の下方に位置決めできるようになっている。
【0033】
上記テーブル17に保持された基板Wよりも上記粘着テープ2の搬送方向の上流側には上記切断ユニット33が配置されている。この切断ユニット33は、切断機構34と除去機構35から構成されていて、上記切断機構34によって上記粘着テープ2が所定の長さに切断される。
【0034】
下面に上記粘着テープ2が貼着された上記離型テープ1の上記切断機構34と除去離機構35に対向する部分の上面は保持ブロック36の下面によって保持される。
【0035】
図2に示すように、上記切断機構34は、駆動源としてのシリンダ37によって上下方向に駆動される可動体38を有する。
【0036】
上記可動体38の上面には一対の第1の切断刃39が所定間隔で設けられている。一対の第1の切断刃39の間には少なくとも1つの第2の切断刃40が設けられている。上記可動体38は上記シリンダ37によって上記第1の切断刃39と第2の切断刃40が上記保持ブロック36に保持された離型テープ1の厚さの約2分の1を切断する高さまで上昇方向に駆動される。つまり、離型テープ1は上記第1の切断刃39と第2の切断刃40によってハーフカットされる。
【0037】
上記可動体38が上昇方向に駆動されると、図3(a)に示すように一対の第1の切断刃39によって離型テープ1の厚さの約半分の深さに到る一対の切断線4が形成される。一対の切断線4によって上記粘着テープ2には中抜き部3が切断形成される。さらに、上記第2の切断刃40によって一対の切断線4によって形成された中抜き部3を2つに分断する折り曲げ線4aが離型テープ1の厚さの約半分の深さで形成される。
【0038】
図2に示すように、上記保持ブロック36には離型テープ1の上面を押圧する押し出し部材42がスライド可能に設けられている。この押し出し部材42は図示せぬシリンダなどによって所定のタイミングで押圧されるようになっている。
【0039】
上記押し出し部材42と対向する粘着テープ2の下面側には上記除去機構35を構成する剥離ヘッド43が配置されている。この剥離ヘッド43はベース板44に取り付けられている。このベース板44には粘着テープ45が巻回された供給リール46が設けられ、上記粘着テープ45は上記剥離ヘッド43の上面に沿って走行して巻き取りリール47に巻き取られるようになっている。
【0040】
上記ベース板44はシリンダ48によって上下方向に駆動される。ベース板44が上昇方向に駆動されると、押し出し部材42によって粘着テープ2の一対の切断線4によって切断された中抜き部3が押圧される。
【0041】
それによって、粘着テープ2の一対の切断線4によって切断された中抜き部3が剥離ヘッド43の粘着テープ45に押し付けられるから、その中抜き部3が図3(b)に示すように離型テープ1から除去される。
【0042】
上記粘着テープ2は、基板Wに貼着される長さに応じた間隔で上記除去機構35の第1の切断刃39によってそれぞれ一対の切断線4が形成される。そして、一対の切断線4の間の中抜き部3が上記除去機構35によって除去されることで、離型テープ1には粘着テープ2の所定の長さに切断された部分2aが残留する。したがって、上記粘着テープ2の所定の長さに切断された部分2aが上記加圧ツール23によって基板Wの側辺部に貼着されることになる。
【0043】
上記粘着テープ2の所定の長さに切断された部分2aは上記チャック31が離型テープ1を挟持して+X方向に駆動されることで、加圧ツール23の下方に位置決めされる。粘着テープ2の所定の長さに切断された部分2aが位置決めされる前に、基板Wが載置された上記テーブル7がX、Y及びθ方向に駆動されて上記基板Wの端子部Tが設けられた一側部が粘着テープ2の所定の長さに切断された部分2aの下方に対向するよう位置決めされる。
【0044】
基板Wが位置決めされると、上記上下駆動機構24によって上記加圧ツール23が下降方向に駆動される。それによって、上記離型テープ1を介して粘着テープ2の所定長さに切断された部分2aが基板Wの一側部上面に加圧加熱されて貼着される。
【0045】
基板Wの一側部上面に粘着テープ2の所定の長さに切断された部分2aが貼着されると、その部分2aに貼着した離型テープ1が上記剥離手段26によって剥離される。
【0046】
図1に示すように、上記剥離手段26は可動板51を有する。この可動板51には、径方向の下端が基板Wの上面よりもわずかに高い位置に回転可能に設けられた下部剥離ローラ52と、この下部剥離ローラよりも高い位置に回転可能に設けられた上部剥離ローラ53が設けられている。
【0047】
上記可動板51は図示しない駆動源及びこの駆動源によって回転駆動されるねじ軸などからなる第2の駆動機構54によって図1に矢印Xで示す方向に往復駆動されるようになっている。
【0048】
上記離型テープ1の上記テーブル17に保持された基板Wよりも下流側に位置する部分は上記下部剥離ローラ52に係合して上方に向かって屈曲したのち、上部剥離ローラ53に係合して水平方向に導出されて上記チャック31に挟持されるようになっている。
【0049】
上記加圧ツール23によって粘着テープ2の所定長さに切断された部分2aが基板Wの側部上面に貼着された後、上記加圧ツール23が上昇すると、上記剥離手段26の可動板51は上記第2の駆動機構54によって基板Wと加圧ツール23との間に進入する−X方向に駆動される。そのとき、上記チャック31は離型テープ1の剥離手段26よりも下流側に位置する部分を挟持する。
【0050】
上記可動板51が−X方向に駆動されて下部剥離ローラ52が基板Wの側部上面に貼着された粘着テープ2の端部に到達すると、その端部に位置する離型テープ1の一対の第1の切断線4及びこれら切断線4の間に折り曲げ線4aが形成された部分1b、つまり中抜き部3が除去された部分が下部剥離ローラ52によって湾曲させられる。
【0051】
このとき、上記離型テープ1の上記粘着テープ2の端部に対応する部分1bには上述したように一対の切断線4と折り曲げ線4aが形成されているから、その部分1bは図4(a)に示すように上記一対の切断線4と折り曲げ線4aによって大きな角度θ1になるよう小さな半径で湾曲する。つまり、粘着テープ2の端部において、離型テープ1を粘着テープ2に対して垂直に近い大きな角度θ1となるよう、離型テープ1を小さな半径で湾曲させることができる。
【0052】
それによって、離型テープ1の粘着テープ2の端部に対応する部分1bは、粘着テープ2から剥離し易い垂直方向上方に引張られるから、上記下部剥離ローラ52が設けられた可動板51を−X方向に駆動することで、粘着テープ2の端部からの離型テープ1の剥離が確実かつ円滑に開始されることになる。
【0053】
なお、上記離型テープ1の上記粘着テープ2の端部に対応する部分1bに折り曲げ線4aが形成されず、一対の切断線4だけが形成されている場合、図4(b)に示すように、離型テープ1の上記部分1aは小さな半径で湾曲され難くなる。それによって、粘着テープ2の端部に対し、離型テープ1の上記粘着テープ2の端部に対応する部分1aの折り曲げ角度θ2は折り曲げ線4aが形成されている場合の角度θ1に比べて小さくなるから、離型テープ1の上記部分1aが粘着テープ2の端部から剥離され難くなる。
【0054】
それによって、剥離手段26の一対の剥離ローラ52,53によって離型テープ1に加えられる引張り力は粘着テープ2を基板Wから剥がす方向に作用し易くなるから、粘着テープ2の端部が基板Wから捲れ易いということがある。
【0055】
このように、切断機構34で粘着テープ2に中抜き部3を形成するとき、離型テープ1の上記中抜き部3に対応する部分1aに一対の切断線4を形成すると同時に、これら切断線4の間に折り曲げ線4aを形成した。
【0056】
そのため、離型テープ1の上記中抜き部3に対応する部分1bを粘着テープ2に対して大きな角度となるよう、小さな半径で湾曲させることができるから、離型テープ1を基板Wに貼着された粘着テープ2から確実に剥離することができる。
【0057】
上記一実施の形態では粘着テープに中抜き部を形成するとき、一対の第1の切断線の間に1つの折り曲げ線を形成するようにしたが、一対の第1の切断刃の間に複数の第2の切断刃を設け、一対の切断線の形成と同時に複数の折り曲げ線を形成するようにしてもよい。
折り曲げ線が複数であれば、1つの場合に比べて離型テープ1の一対の切断線の間の部分をさらに小さな半径で湾曲させることができる。
【0058】
また、被貼着部材として基板を例に挙げて説明したが、被貼着部材としては基板に代わり、この基板に実装されるTCPなどの電子部品であってもよい。つまり、最近では基板に電子部品を実装する前に、電子部品に粘着テープを貼着しておくことがあり、電子部品に貼着テープを貼着する場合にこの発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…離型テープ、2…粘着テープ、3…中抜き部、4…切断線、4a…折り曲げ線、13…電子部品、17…テーブル、19…供給リール、22…巻き取りリール、23…加圧ツール、26…剥離手段、31…チャック、32…第1の駆動機構、34…切断機構、35…除去機構、39…第1の切断刃、40…第2の切断刃、51…可動板、52…下部剥離ローラ、53…上部剥離ローラ、54…第2の駆動機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被貼着部材の側辺部に所定長さに切断された粘着テープを貼着する貼着装置であって、
上記粘着テープが貼着された離型テープが巻装された供給リールと、
この供給リールから離型テープとともに繰り出された上記粘着テープに上記離型テープに到る深さの一対の切断線によって中抜き部を所定間隔で形成するとともに、上記離型テープの上記一対の切断線間の部分に折り曲げ線を形成する切断手段と、
この切断手段によって切断形成された上記粘着テープの中抜き部を上記離型テープから除去する除去手段と、
この除去手段によって中抜き部が除去されて上記被貼着部材の側辺部に対向するよう位置決めされた上記離型テープに残留する所定長さの粘着テープを上記被貼着部材に加圧して貼着する加圧手段と、
上記離型テープの上記中抜き部が除去された部分を上記切断線と折り曲げ線とによって湾曲させる剥離ローラを有し、この剥離ローラが被貼着部材の側辺部に沿って駆動されることで上記離型テープを上記被粘着部材に貼着された粘着テープから剥離する剥離手段と、
この剥離手段によって上記被粘着部材に貼着された粘着テープから剥離された離型テープを巻き取る巻き取りリールと
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着装置。
【請求項2】
上記切断手段は、駆動源によって上記離型テープに貼着された粘着テープに対して接離する方向に駆動される可動体を有し、この可動体には上記一対の切断線を形成する一対の第1の切断刃が所定の間隔で設けられているとともに、一対の第1の切断刃の間には上記折り曲げ線を形成する第2の切断刃が設けられていることを特徴とする請求項1記載の粘着テープの貼着装置。
【請求項3】
被貼着部材の側辺部に所定長さに切断された粘着テープを貼着する貼着方法であって、
供給リールから離型テープとともに繰り出された上記粘着テープに上記離型テープに到る深さの一対の切断線によって中抜き部を所定間隔で形成するとともに、上記離型テープの上記一対の切断線間の部分に折り曲げ線を形成する工程と、
上記粘着テープに切断形成された中抜き部を上記離型テープから除去する工程と、
上記中抜き部が除去されることで上記離型テープに残留する所定長さの粘着テープを上記被貼着物に加圧して貼着する工程と、
上記離型テープの上記中抜き部が除去されて上記被貼着部材の側辺部に対向した部分を剥離ローラによって上記切断線と折り曲げ線の箇所で湾曲させてこの剥離ローラを上記被貼着部材の側辺部に沿って駆動することで上記離型テープを上記被貼着部材に貼着された粘着テープから剥離する工程と、
上記被貼着部材に貼着された粘着テープから剥離された離型テープを巻き取る工程と
を具備したことを特徴とする粘着テープの貼着方法。
【請求項4】
上記離型テープに対して上記一対の切断線と上記折り曲げ線を同時に形成することを特徴とする請求項3記載の粘着テープの貼着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−225923(P2010−225923A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72542(P2009−72542)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】