説明

精油所ファウラントデポジットの特性化方法

本発明は、次の工程を含む未知組成物の精油所固形ファウラントの同定方法に関する。即ち、固形ファウラント試料を得る工程、捕捉された原料を、溶剤を用いて試料から除去して、不溶分試料を得る工程、不溶分試料を、走査電子顕微鏡およびエネルギー分散X線で走査する工程、不溶分試料について、灰分試験を含む熱重量分析を行って、高分子、コーク、および無機元素の存在を決定する工程、不溶分試料について、元素炭素、水素、硫黄、窒素、ハロゲン、および金属の元素分析を行なう工程、不溶分試料について、光学顕微鏡試験を行なって、ワックス、アスファルテン、異方性コーク、および等方性コークの存在を決定する工程および固形ファウラントを同定する工程である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未知の精油所固形ファウラントデポジットの化学組成の同定方法に関する。本発明は、精油所および支援試験室の作業者が、精油所における最も一般的な炭化水素ファウリング問題の診断および解決を、良好に統合することを可能にする手順を提供する。これは、ファウラント物質が何であるかを正確に理解することによる。この公報で用いられる実施例は精製に焦点が置かれるものの、記載されるプロトコルはまた、十分に、化学プラントおよび上流装置のファウリング分析に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
石油精製には、多数の方法装置が含まれる。方法装置のファウリングは、方法装置における予想外の相の蓄積によって引起される。この相は、しばしば固形物であり、流動する液体またはガスを取扱うように設計される方法機器の表面上に蓄積する。
【0003】
少量のファウラントでさえ、熱効率を減少することによってエネルギーコストを増大する。中程度のファウリングは、方法装置の効率を減少し、一方高レベルのファウリングは、装置が清掃のために停止されることを必要とするまで、流れを弱め、かつ圧力降下を増大する。より苛酷なレベルのファウリングは、予定外の装置の停止をもたらすことがあり、またそれをもたらしている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、未知の精油所固形ファウラントデポジットの化学組成の同定方法に関する。かかる発明は、ファウリング問題の原因を、石油精製における炭化水素ストリームによって決定する者にとって必要とされる。本発明は、ファウリングされた装置から回収されるファウラントデポジットの組成分析、および精油所ファウリングの最も一般的な原因に関する知見に基づく。未知物質のこれらの組成を決定するための標準的なプロトコルは、存在せず、前記ファウリングを軽減するのに必要とされる。ファウラントデポジットの組成が決定されると、可能な軽減方法が提案されることができる。精油所では、次いで、必要性を最も良好に満たす最も費用効率のよい軽減方針が、選択されることができる。
【0005】
ファウリングは、多くの技術的および方法論的な境界域に亘って生じる広範かつ散在する課題であることから、根本的な原因の分析は、一貫した反復性のある作業方法に基づかれることが必須である。この方法においてのみ、一つのプラントまたは方法装置から分かることが、共有/比較されて、類似する根本的な原因、および付随する軽減技術が確立されることができる。この通常のデータ共有の道筋の欠如が、過去、経験の共有に対する障害であった。
【0006】
未知組成物の精油所固形ファウラントの同定方法には、次の工程が含まれる。即ち、固形ファウラント試料を得る工程、捕捉された原料を、溶剤を用いて試料から除去して、不溶分試料を得る工程、不溶分試料を走査電子顕微鏡およびエネルギー分散X線で走査する工程、不溶分試料について、灰分試験を含む熱重量分析を行なって、高分子、コーク、および/または無機元素の相対量を決定する工程、不溶分試料について、元素炭素、水素、硫黄、窒素、ハロゲン、および金属の元素分析を行って、各元素を定量する工程、不溶分試料について、光学顕微鏡試験を行なって、ワックス、アスファルテン、異方性コーク、および等方性コークの存在を決定する工程、およびそれにより固形ファウラントデポジットの化学組成を同定する工程である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、未知の精油所ファウリングデポジットの化学組成を同定するための方法である。
【0008】
本発明の基礎は、殆どの精油所ファウリングが、いくつかのより一般的な原因の結果であることである。これは、標準化分析試験により化学組成を決定することによって、検知および検証されることができる。ファウリングの原因は、精油所の例について、五つの一般的な種類に分類できる。これは、各種類に属する。即ち、
1.スケールの生成:水溶液から伝熱表面上への塩の沈殿
a.分散水を含む原油からの海水塩
b.処理/未処理の冷却系の水からの塩またはスケールの沈積
2.腐食ファウリング:腐食生成物を形成する伝熱表面の反応
a.反応性硫黄または硫化水素による硫化鉄の形成
b.油中のナフテン酸によるナフテン酸鉄の形成、および引続いて硫化水素との可能な反応による硫化鉄の形成
3.沈殿ファウリング:冷却、二つ以上のストリームの混合、またはファウリングされた装置内のエマルジョンの破壊による不溶相の形成
a.冷却による形成
i.高分子量パラフィンを凝固温度未満に冷却することによるワックスの沈積
ii.ビスブレーキング(Visbreaking)(商標)またはレシッドファイニング(Residfining)(商標)によるなどの転化された残油の冷却によるアスファルテンの沈積
b.混合による形成
i.アスファルテンまたはワックスの沈殿をもたらすことができる好ましくない割合の不相容性油の混合
c.エマルジョンの破壊による形成
i.加熱によるなどの水中炭化水素エマルジョンの破壊
4.化学反応ファウリング:流体中の成分間の化学反応による不溶性相の形成
a.熱コーキング(熱分解中のアスファルテンの不溶性)
b.共役オレフィンの重合
c.芳香族の成長
d.酸化
e.塩化アンモニウム、二硫化物等の形成
f.その他
5.微粒子ファウリング:上流で形成され、運ばれて、ファウリングされる装置内に堆積される分散粒子
a.コーク
b.アスファルテン
c.硫化鉄
d.触媒微粉
e.その他
である。
【0009】
ファウリングは、しばしば、これらの原因の組み合わせ、および/またはこれらの連続から生じる。その故に、デポジットの化学組成に基づいて、ファウリングのこれらの一般的な原因のそれぞれを同定することができる特性が決定された。結果として、ファウリングされた装置から回収されるファウラントの分析試験の順序は、ファウリングの原因を診断するように設計された。
【0010】
正確な記録が、ファウラントの位置およびそのおよその量、並びにファウリングが認められる間およびその前の方法条件に関して、為されることが極めて重要である。装置上のファウラントの写真はまた、非常に有用である。根本原因の決定に必要とされる重要な方法条件には、温度、圧力、流速(滞留時間)、方法流体の源、装置の幾何形状の詳細、および方法装置の金属学が含まれる。これが装置に対するファウリングの最初の発生であるか?何時ファウリングが始まったか?装置の方法の不調は何時で、かつ何であったか?方法装置に関するこれらの種類の質問は、方法履歴の一部として解答されるべきである。方法履歴が、可能なファウリングの原因を示唆する場合には、それらは注目されるべきである。
【0011】
例えば、ファウラントが熱交換器から得られる場合には、試料が、チューブ内から来るのか、チューブシート面上のものか、またはチャンネルボックスの加熱されていない表面上のものかを知ることは重要である。表面温度、金属学、および速度因子を含むこの知見は、ファウラントが特定の交換器から回収されたと単に示すだけに比べて、ファウラント源の貴重な手掛かりを提供することができる。
【0012】
ファウラント試料が、代表的なものであり、収集またはフラッシング手順によって汚染されないことを確実にする注意が、払われるべきである。また、異なるタイプのファウラントが存在することが明らかである場合には、それらはそれぞれ、試料採取されるべきである。理想的には、ファウラント約100グラムが、各試料について収集されるべきである。これが不可能である場合には、できるだけ多くの試料が収集されるべきである(試料1グラムからでさえ、多くのことが分かる)。試料は、分析が行なわれるまで密閉容器中に貯蔵されるべきである。
【0013】
固形ファウラント試料の分析
図1の概略流れ図は、固形ファウラント試料を分析するための手順を示す。分析試験それぞれの記載は、補遣1に示される。第一の工程は、試料10〜25グラムを、少なくとも4時間、トルエンまたは類似の溶剤能力を有する他の溶剤中に浸漬して、捕捉された原料をファウラントから溶解させることである。ろ過後、残存する固形分を、清澄なろ過物が得られるまで、更なる溶剤を用いて洗浄する。不溶性固形分を、次いで、減圧オーブン中で、70℃(158°F)で少なくとも1〜2時間乾燥する。全ファウラントが溶剤中に溶解する場合には、手順を、ファウラントの別の試料について、トルエンをn−ヘプタンに変えて繰り返して、不溶性アスファルテンを得るべきである。この洗浄手順は、重要であり、そのためにその後の結果は、ファウラントおよび捕捉された原料の混合物よりむしろ、ファウラントに基づくものとされることができる。
【0014】
均質の試料が、TGAおよび元素/金属分析の前に得られることが重要である。これは、ファウラント試料を〜60メッシュに粉砕し、分析試験が行われる前に完全に混合することによって達成されることができる。しばしば、これは、トルエン抽出の後に、最良に行われる。しかし、ファウラントが堅い粒状固形分である(ペースト状ではない)場合には、これは、トルエン洗浄の前に行われてもよい。
【0015】
全試料の上記の粉砕および均質化の前に、ファウラントのトルエン不溶性未粉砕部分は、走査電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散X線(EDX)に付されて、先ず、存在する元素、およびその互いとの結合が定性的に同定される。SEMは、この方法に必須の工程である。この情報は、どの元素が、トルエン不溶性の粉砕かつ均質化された試料を引続いて定量するのに必要とされるかを同定して、ファウラントデポジット中に存在するかもしれない別の物質の量を決定するのに用いられる(図1の工程による)。
【0016】
分析工程の最初の部分は、不溶性ファウラントのどの程度が無機分(金属、塩、腐食生成物等)によるものであるか、およびどの程度が有機分(高分子量ワックス、コーク等)によるものであるかを決定することである。
【0017】
無機ファウリング物質
SEMおよびEDX後の初期工程は、不溶性試料のどの程度が無機分によるものであるかを決定することである。これは、炭素、水素、硫黄、窒素、塩素(ハロゲン)、および金属の含有量に対する元素分析、並びに熱重量分析(TGA)の一部である灰分試験によって達成されることができる。酸素および他の元素に対する分析はまた、他の元素が実質的に100%未満(90%以下)に計上される場合には、またはそれらが存在すると考えられる理由がある場合には行われてもよい。
【0018】
試料が無機分10〜15重量%以上を含み、それが、ファウラントを除去された装置の金属表面の一部ではなかったことが確認される場合には、無機ファウリング物質が、最初に扱われるべきである。二つ以上の原因がある可能性があるが、無機分の沈積はまた、アスファルテンに対して増大された表面積を見込むことによって、有機分の沈積を促進し、例えばそれが着床され、コークへ熱劣化されることができる。元素分析は、主な原因が、硫化鉄(一般的)、海水塩、塩化アンモニウム、ケイ酸アルミニウム、または他のものによるものであるかどうかを示唆するであろう。
【0019】
有機ファウリング物質
ファウラント試料のトルエン不溶部分が、無機分10〜15重量%未満である場合には、ファウラントの大部分は、コークまたは高分子量ワックスによるものであるかもしれない。有機ファウリングの原因が、決定されるべきである。
【0020】
無機分の組成は、有機ファウリング前駆体の出所を追跡するのに用いられてもよい。例えば、バナジウムおよびニッケルは、天然に、ポルフィリンなどの有機分と結合され、原油および残油中に可溶である。従って、これらの金属は、例えば、ガス油ストリーム中の混入残油を示すことができる。それにも係わらず、次の工程は、交差偏光を用いる光学顕微鏡によって、ファウラントが等方性(規則性がない)か、または異方性(規則性がある)のコークであるか否かを決定することである。いずれにせよ、顕微鏡で観測されるパターンによって、コークが規則性であるか、または不規則性であるかが決定される。例えば、異方性(規則性がある)コークは、多様な形状またはタイプの識別可能なパターンとして存在し、一方等方性(規則性がない)は、識別可能な形態パターンを有さない。
【0021】
炭素質中間相から誘導される異方性コークは、それが、熱分解、およびそれに続く不溶性アスファルテンの相分離によって形成されたことを示す。残油のコーキングなどである。コークが等方性である場合には、可能な原因は、共役オレフィンの初期重合である。熱重量分析(TGA)での370℃(700°F)未満の実質的揮発性物質の存在は、原因が重合であることの指標であってもよい。他の指標は、重合が、通常、熱分解の縮合液体生成物(コーカーからなど)中で、232〜324℃(450〜615°F)で保持された後に起こることである。アスファルテンはまた、アスファルテンを含む油を高飽和分の油と混合するか、またはビスブレーカー(Visbreaker)(商標)タールなどの熱転化油を冷却することによって、不溶性になることができる。500〜800℃(932〜1,472°F)のTGA揮発分は、典型的には、コークがデポジット中に存在する場合に観察される。800℃(1,472°F)での酸素による燃焼中に、更なるコークは、試料から「揮発」され、灰分のみが残る。これは、デポジット中の金属(その時には酸化物状態で存在する)によるものである。
【0022】
最終的に、コークの水素/炭素原子比(H/C=重量%水素×11.92/重量%炭素)は、およそ、沈積温度と相関することができる。これは、コークがファウリングされた装置の上流で、より高温で形成されたか否か、温度が、測定されたものよりも高かったか否か、コークが、かなりの時間存在したか否か、または触媒メカニズムが含まれたか否かを決定するのに役立ちうる。アスファルテンが、1.0〜1.2範囲の原子比を有し、コーク物質が、より低いH/C比を有し、一方ワックスは、2.0程度の高さであることができることは、文献から知られる。また、H/C比を、顕微鏡からの知見と相関させることは重要である。H/C比は、均質化された試料の平均値であり、異なるタイプのコークを含んでもよい。
【0023】
ファウラントがトルエンには可溶であるが、n−ヘプタンには不溶である場合には、それは、定義により、アスファルテンである。従って、それは、上述されるが、コークに劣化するほどには加熱されなかった二つのメカニズムの一つによって形成される(コークは、トルエン不溶分として定義される)。それは、通常、メカニズムが当てはまる方法条件から明らかであるものの、アスファルテンが熱分解されたという一般的な指標は、それらが、H/C原子比1未満を有することである。
【0024】
精油所ファウラント試料におけるファウリングの一般的な原因を同定するのに用いられる重要特性、およびそれらをいかに追跡するかの指針を、表1に要約する。
【0025】
【表1】

【実施例】
【0026】
実施例1
本発明の方法を、ファウリングされた精油所予熱系熱交換器からのファウリングデポジットに適用した。図2に、ファウリングデポジットの画像を示す。図3−aおよび3−bに、デポジットのSEM走査および元素マップを示す。図4に、SEM/EDX走査から定量する主要元素を示す。表2に、このファウリングデポジットの分析結果を示す。このデポジットについて、得られた全組成から、炭酸カルシウムおよび硫化鉄が大部分で、他の塩はより少量であることが判る。
【0027】
【表2】

【0028】
補遣I
分析試験
固形ファウラントの分析に用いられる分析試験を、既知の確立された手順方法の知見に基づいて列記する。これらの試験は、より典型的には、固形ファウラントのトルエン不溶画分(これはまた、60メッシュ未満に粉砕され、均質化される)について行なわれる。これらの試験のいくつかについて、更なる注を次に示す。
【0029】
【表3】

【0030】
計算
【数1】

【0031】
透過光学顕微鏡試験
この試験は、250倍、好ましくは400倍へ拡大することができる実験室顕微鏡を必要とする。いくつかの使用目的に対しては、透過交差偏光で観察する能力が必要とされる。異方性コークを交差偏光で同定するためには、強い光源(ハロゲンまたはキセノンランプなど)が、必要とされてもよい。殆どの使用目的は、定性的な情報のみを提供するものの、透過顕微鏡は、ファウリングの原因に関して、より多くの洞察を伝えることができる。
【0032】
最も有用な適用は、ファウリングされた方法装置を出入する油または他の液体について、代表的な液滴を観察することである。液滴は、清浄な顕微鏡スライド上におかれ、カバースライド片でカバーされる。先ず、100倍で、顕微鏡を、得られた液体フィルムに焦点を合わせ、不溶性の粒子または液体が存在するか否かを決定する。多くの粒子または不溶性液体を全視野に亘って探すべきであって、多少の分離した種を探すべきでない。何ら標準光で見られない場合には、次の工程は、試料を交差偏光で試験することである。ワックス粒子は、標準光では透明であるが、交差偏光では、明るい白色として見える。殆どのワックスは、それがその融点近くで加熱される際に溶解することから、ファウリングをもたらさない。しかし、固形ファウラントが、多量のワックス画分を含むものとして同定される場合には、ファウリングされた装置の原料または生成物中のワックスを観察することは重大である。多数の粒子または不溶性液体が観察される場合には、一つに焦点が合わせ、最大倍率を用いて、次の特性が同定される。
【0033】
【表4】

【0034】
固形ファウラントの研磨表面について、反射光学顕微鏡試験は、ファウラントを同定するための最良の方法である。しかし、これには、透過光を用いるより多くの専門的知識が求められる。従って、代替例は、ファウラントを粉砕し、それを低揮発性の液体(ヘキサデカン、1−メチルナフタレン、o−ジクロロベンゼン、またはキノリンなど)中に分散することである。上記と同じ特性が、ファウラントを同定するのに用いられることができる。これらの液体中の溶解性挙動に対しても同様である。例えば、アスファルテンは、ヘキサデカンに不溶であるが、他の三種の液体には溶解する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】固形ファウラントを分析するための概略流れ図である。
【図2】実施例1におけるファウリングされた精油所予熱熱交換器系からの代表的なファウリングデポジットを示す。
【図3−a】実施例1のデポジットにつき、走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。
【図3−b】図4の走査線に沿ったエネルギー分散X線(EDX)走査を示す。
【図4】実施例1のSEM/EDX走査からの主要元素の同定結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成未知の精油所固形ファウラントの同定方法であって、
a)ファウラント試料を得る工程;
b)前記試料から、捕捉された原料を溶剤を用いて除去して、不溶分試料を得る工程;
c)前記不溶分試料を、走査電子顕微鏡およびエネルギー分散X線で走査する工程;
d)前記不溶分試料について、灰分試験を含む熱重量分析を行なって、高分子、コークおよび無機元素の存在を決定する工程;
e)前記不溶分試料について、炭素、水素、硫黄、窒素、ハロゲンおよび金属元素に関する元素分析を行なう工程;
f)前記不溶分試料について、光学顕微鏡試験を行なって、ワックス、アスファルテン、異方性コークおよび等方性コークの存在を決定する工程;および
g)前記固形ファウラントの組成を同定する工程
を含むことを特徴とする同定方法。
【請求項2】
前記捕捉された原料を前記試料から除去する工程は、トルエン、キシレン、塩化メチレンまたはそれらの組み合わせである前記溶剤を用いて行なわれることを特徴とする請求項1に記載の同定方法。
【請求項3】
前記熱重量分析は、370℃以下の揮発分、500〜800℃の非揮発分および燃焼後の灰分を決定することによって行なわれることを特徴とする請求項1に記載の同定方法。
【請求項4】
前記元素分析は、前記元素について、原子比H/Cを決定する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の同定方法。
【請求項5】
前記光学顕微鏡試験の工程は、交差偏光を用いて行なわれることを特徴とする請求項1に記載の同定方法。
【請求項6】
前記試料について、核磁気共鳴を行なう工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の同定方法。
【請求項7】
前記試料について、融点を測定する工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の同定方法。
【請求項8】
前記光学顕微鏡試験を行なう工程は、前記試料をエポキシ中に包埋することによって行なわれることを特徴とする請求項1に記載の同定方法。
【請求項9】
前記光学顕微鏡試験を行なう工程は、存在するコークが規則性であるか、不規則性であるかを決定するために行なわれることを特徴とする請求項1に記載の同定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−a】
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【図3−b】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−506818(P2008−506818A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521692(P2007−521692)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/025209
【国際公開番号】WO2006/020061
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】