説明

精神障害の治療に有用なα−アミノアミド誘導体

本発明は、統合失調症および/または不安の精神障害の薬物療法に関し、統合失調症は、短期精神病性障害、妄想性障害、統合失調感情障害、および統合失調症様障害などの統合失調症関連障害を含み、不安はパニック障害、強迫性障害(OCD)、外傷後ストレス障害(PTSD)、社会恐怖症または社会不安障害、特定の恐怖症、および全般性不安障害(GAD)を含む。本発明の化合物は、単独で、または統合失調症および/または不安障害の治療に有効な他の治療剤と組み合わせて、上記の精神障害を治療するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、統合失調症および/または不安の精神障害を治療するのに用いるα−アミノアミド誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
精神障害として、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、双極性障害(I型双極性障害、II型双極性障害、躁病、軽躁病など)、非双極性躁病、トゥレット症候群、気分循環性障害、急速交代型(rapid cycling)、日内交代型(ultradian cycler)、人格障害、多動性を伴うまたは伴わない注意力障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、全身病状による精神病性障害、パーキンソン病に関連した精神病性障害、物質誘発性精神病性障害もしくは特定不能の精神病性障害、不安障害(全般性不安障害、パニック障害、外傷後ストレス障害、衝動制御障害、恐怖症性障害、および解離性状態など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
統合失調症および関連する障害(短期精神病性障害、妄想性障害、統合失調感情障害、および統合失調症様障害)は、精神障害のなかでも最も重篤で衰弱性の形態である。
【0004】
以下の本明細書中および特許請求の範囲で用いられる場合、「統合失調症」という用語は、統合失調症関連障害(短期精神病性障害、妄想性障害、統合失調感情障害、および統合失調症様障害など)を含む。
【0005】
統合失調症は、最も根本的なヒトの特質(言語、思考、認知、情動、および自意識)の重度の崩壊を特徴とする。一連の症状は、精神病的徴候(内なる声が聞こえることまたは明白な感覚源と結び付いていないその他の感覚を経験すること(幻覚)、通常の事象に異常な重大性または意味を持たせること(パラノイア)または凝り固まった偽りの個人的な信じ込みを持ち続けること(妄想)、および現実とのつながりを失うことなど)を含むことが多い。単独の症状で診断が確定することはない。むしろ、診断は、職業的または社会的機能の低下と連動した、徴候および症状のパターンを包含する。
【0006】
一般に、統合失調症の症状は、陽性、解体性、陰性、および認知性と分類される。陽性症状は、機能が正常より過剰または歪んだものになることを特徴とする。陰性症状は機能が正常より減少または失われることを特徴とする。解体症状は、思考障害および奇異な挙動を含む。
【0007】
認知症状は、情報処理および問題解決における欠陥である。一個人に1つまたは全てのカテゴリーの症状が現れる可能性がある。
【0008】
しかしながら、統合失調症の従来の治療は、統合失調症の認知障害を治療するのにそれほど有効ではなかった。さらに最近になって開発された統合失調症の治療(「非定型抗精神病薬」として公知である。)は認知障害に効果があるかもしれないと報告されているものの、この効果は持続的ではないか日常機能の改善を導かない可能性がある。
【0009】
実際、認知機能低下の治療における非定型抗精神病薬(統合失調症に処方される最も一般的な治療である。)の効果を実証するデータは少なく、心理社会的および認知行動療法が依然として治療の基本となっている。
【0010】
一方、認知障害は、様々な疾患(例えば統合失調症、強迫性障害、精神病、双極性障害、不安、抑うつ、注意欠陥多動性障害、自閉症、失読症、トゥレット症候群、軽度認知機能障害(MCI)ならびに児童、青年、成人の学習障害、加齢による記憶力低下、加齢による認知機能低下、アルツハイマー病、ダウン症、外傷性脳損傷、ハンチントン病、進行性核上麻痺(PSP)、HIV、脳卒中、血管疾患、ピック病またはクロイツフェルト−ヤコブ病、多発性硬化症(MS)およびその他の白質障害、パーキンソン病など)と関連し得るが、疾患そのもので同定されることはない。しかしながら、特定の症状(多様な疾患に共通するものであり得る。)を治癒または緩和することと、疾患そのものを治療することとを区別するのは必須であることが当業者には明白である。
【0011】
本発明の目的は、最も重篤で衰弱性の精神障害の形態の1つである疾患としての統合失調症(短期精神病性障害、妄想性障害、統合失調感情障害、および統合失調症様障害などの統合失調症関連障害を含む。)の治療にまさに関連する。
【0012】
統合失調症の原因を説明しようとしていろいろな仮説が提案されてきた。様々な神経伝達物質系がこの病理に関与しているように思われる:ドーパミン回路(dopaminergic circuits)の活動亢進(Baumeister AA,Francis JL,J.Hist.Neurosci.;2002 Sep;11(3):265−77)、gaba系の不均衡(Squires RF,Saederup E,Neurochem.Res.,1991 Oct;16(10):1099−111)、NMDA受容体の機能低下状態、ならびにコリン作動性機能の低下(Woodruff−Pak DS,Gould TJ.Behav.Cogn.Neurosci.Rev.2002 Mar;1(1):5−20)。
【0013】
多くの研究成果にもかかわらず、統合失調症の根底にある病態生理(原因分子および機構を含む。)は現在も不明な点が多く、統合失調症の薬物治療の進歩にもかかわらず、神経遮断薬および気分安定剤での治療に抵抗性である患者の集団が依然として存在し、今だ対処されていない医薬の必要性は高い。
【0014】
1970年代後半から、抗精神病薬の重要な薬理作用は、ドーパミン作動性D2受容体を遮断、具体的には中脳辺縁系ドーパミン経路で遮断して、精神病の陽性症状を引き起こすと仮定されるこの領域での活動亢進を低下させる、この能力であることがすでに明らかになっている。残念なことに、この特定領域のみでのドーパミン作動性活動亢進の遮断は不可能であり、このため従来の抗精神病薬には、特定領域以外(運動を制御する黒質線条体経路など)でのD2受容体の遮断による重篤な副作用がある。さらに最近の化合物(非定型抗精神病薬など)は、D2受容体アンタゴニズムに加えてセロトニン受容体アンタゴニズムを有する。これらの特徴は、副作用の減少とより良い疾患制御を導く。一方で、ドーパミン作用の調子を落とすことが抗精神病活性に必須であるとみなされるとしても、グルタミン作動性伝達の調節も同等に重要である。この仮説を支持するものは、NMDAアンタゴニストにより健康で自発的に統合失調症と同様な症状を誘導することができるという事実である。この数十年、強力なNMDAアンタゴニストであるフェンシクリジン(PCP)が、統合失調症と非常によく似た精神病症状をこの乱用者で引き起こすことが認識されている(Morgan CJ et al,Neuropsychopharmacology.2004 Jan;29(1):208−18;Large CH,J.Psychopharmacol.;2007 May;21(3):283−301)。
【0015】
こうしたデータや文献のその他多くのデータ(Mouri A et al,Neurochem.Int.;2007 JuI−Sep;51(2−4):173−84;Lindsley CW et al,Curr.Top.Med.Chem.2006;6(8):771−85;Thornberg SA,and Saklad SR,Pharmacotherapy.;1996 Jan−Feb;16(1):82−93;Javitt DC.Int.Rev.Neurobiol.;2007 78:69−108)は全て、NMDA受容体の機能低下がこの疾患の陰性症状の発生に関与している可能性があることを示している。
【0016】
統合失調症、トゥレット症候群、パニック障害、および強迫性障害の患者は、感覚運動関門(sensorimotor gating)を作動させる尺度に欠陥を示す:驚愕のプレパルス阻害(PPI)(Geyer,Dial.Clin.Neurosci.;2006 8(1):9−16;Geyer et al,Psycopharmacology;2001 JuI;156(2−3):117−54)。無関係の聴覚刺激を排除する能力の低下は、不注意、転導性、および失認を含むこれら症状のある徴候に寄与すると思われる特徴である。PPIにおける同様な欠陥が、異なる薬理学的操作または発達操作によりラットで引き起こされる。ラットで実験的に誘導されたこうしたPPI欠陥は、顔および予測妥当性を有する、統合失調症患者における感覚運動関門欠陥のモデルを提供するようである。齧歯類では、驚愕のPPIの崩壊は以下で引き起こされる:アンフェタミンまたはアポモルヒネで誘導されるドーパミン作動性(DA)受容体の刺激;セロトニン(5−HT)リリーサーまたは複数のセロトニン受容体の直接アゴニストによりもたらされるセロトニン作動系の活性化、およびフェンシクリジン(PCP)などの薬物により引き起こされるN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体の遮断。定型および非定型抗精神病薬、気分安定剤、AChE阻害剤およびニコチンは、様々な操作で誘導されたPPIの崩壊を修復するのに有効である。
【0017】
本発明のさらなる目的は、不安または不安障害として定義される精神障害の治療に関する。
【0018】
不安または不安障害は、本明細書中以下に記載されるとおり、複数の異なる形態の異常な、病的不安、心配、および恐怖症を包括する。それぞれの不安障害は、異なる症状を示すが、症状は全て、過剰で非合理的な心配および恐れにまつわるものである。不安障害は以下を包含する:パニック障害、強迫性障害(OCD)、外傷後ストレス障害(PTSD)、社会恐怖症(社会不安障害)、特定の恐怖症、および全般性不安障害(GAD)。
【0019】
不安障害に用いられる主な薬物治療は、抗不安薬(ベンゾジアゼピンおよびバルビツール酸系)、抗鬱薬からβ遮断薬まで範囲が及び、作用機構は異なっている。しかしながら、場合によっては、疾患の治療と疾患に関連すると思われる症状のあるものにおける効果との間に対応が見られない。例えば、不安関連認知機能低下に関して、異なる研究の結果が、むしろ、不安の患者で示される不安のジアゼパムによる減少が認知障害の縮小を伴わないことを実証している。このことは、ジアゼパムが臨床的不安の被検体で不安関連認知機能低下を縮小するのに失敗したことを示す。(Cognitive Therapy and Research Volume 15,Number 6/December,1991 459−467)。
【0020】
上記の現在精神障害に用いられる薬物の様々なクラスの中で、多くの副作用を観測することができ、従ってこうした病理に対して、まだ対処されてない強い医薬的要求が認められる。例えば、リチウム塩は治療係数が低い;非定型抗精神病薬はQTc間隔の増加および/または体重増加を引き起こす可能性がある;抗痙攣薬は鎮静および認知機能低下を引き起こし、抗鬱薬は、躁病への振れを引き起こす可能性がある。個別の薬物それぞれの副作用プロファイルは明らかに異なるものの、こうした薬物の副作用プロファイルが望ましいとは言えないことは明らかである。
【0021】
この点において、本発明は、統合失調症および不安として同定される精神疾患を、強力な治療効果および高い治療計数に恵まれた本発明の化合物で治療する新規方法を提供する。
【0022】
そのうえ、同じく臨床上重大である精神状態が併発していることが多い。
【0023】
疫学調査は統合失調症における不安障害の高発生率を報告しているものの、これらの臨床的関連は、依然として不明である。統合失調症患者での不安の存在は、より高い自殺の危険性、より低い社会的機能、および再発の危険性の増加を伴ってきた。Bayle et al.(Eur Psychiatry 2001;16−349−353)は、統合失調症患者の47.5%がパニック発作の履歴を有したこと、患者の31.2%でパニック障害の発現が統合失調症の発症に発展したこと、およびパニック障害の治療が臨床転帰および社会的結果を改善したことを報告している。
【0024】
パニック障害と強迫性障害の併発は統合失調症患者で研究されてきたが、統合失調症における社会不安は臨床上の注意をほとんど向けられてこなかった。社会不安を持つ人々は、日常生活の活動、業務役割、および社会的関係に相当な不都合を生じる。社会不安は、これ自身が支障を来す障害であり、社会不安障害を併発している個人は支障を来すレベルがより深刻である。社会不安を持つ被検体は、物質/アルコール乱用または依存を生じる危険性が高くなり、統合失調症の患者では衝動性および自殺傾向とより高く結び付いている。従って、統合失調症患者での社会不安障害合併性の評価および治療は、臨床転帰および社会的結果を改善するはずである(Pallanti S.et al.−Am J Psychiatry(2004)161:53−58)。
【0025】
統合失調症関連障害(短期精神病性障害、妄想性障害、統合失調感情障害、および統合失調症様障害など)を含む統合失調症を患っている患者のかなりの数で、不安障害が同時に存在することが観測されているので、本発明の目的は、この患者で両方の疾患を同時に治療することも含む。
【0026】
先行技術
WO90/14334は、置換α−アミノアミド誘導体が中枢神経系(CNS)で活性であり、癲癇の治療に、パーキンソン病の治療に、ならびに正常な加齢または病的状態(脳虚血など)と関連した変性プロセスにおける神経保護剤として、有用であることを開示している。置換α−アミノアミド誘導体は、抗鬱薬、睡眠薬、および/または抗けいれん剤としても使用できる(Pevarello P.et al.(1998),「Synthesis and anticonvulsant activity of a new class of 2−[(arylalkyl)amino]alkanamide derivatives」,J.Med.Chemistry,41:579−590も参照)。
【0027】
WO99/26614は、置換α−アミノアミド誘導体が、広域および局所的虚血に続く神経損傷の治療に、神経変性状態(筋萎縮性側索硬化症(ALS)など)の治療または予防に、および疼痛の治療、予防、または軽減に、抗けいれん剤として、および抗躁抑制薬として、局所麻酔薬として、不整脈治療薬として、および糖尿病性神経障害の治療または予防に、活性を有することを開示する。
【0028】
WO07/071311は、2−フェニルエチルアミノ誘導体が、カルシウムおよび/またはナトリウムチャネルモジュレーターとして活性を有し、従ってカルシウムおよび/またはナトリウムチャネル機構が病理学的役割を果たすと記載されている神経(neurogical)疾患、精神疾患、循環器疾患、炎症疾患、眼疾患、泌尿生殖器疾患、および胃腸疾患を予防、軽減、および治癒するのに有用であることを開示する。
【0029】
EP1870097A(2007年12月26日公開)および関連するWO2007/144153(2007年12月21日公開)は、様々な精神神経(nerutopsychiatric)障害(統合失調症、強迫性障害、精神病、双極性障害、不安、抑うつ、注意欠陥多動性障害、自閉症、失読症、トゥレット症候群、軽度認知機能障害(MCI)ならびに児童、青年、成人の学習障害、加齢による記憶力低下、加齢による認知機能低下、アルツハイマー病、ダウン症、外傷性脳損傷、ハンチントン病、進行性核上麻痺(PSP)、HIV、脳卒中、血管疾患、ピック病またはクロイツフェルト−ヤコブ病、多発性硬化症(MS)およびその他の白質障害、パーキンソン病など)に関連した認知機能低下症状の治療用α−アミノアミド誘導体を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】国際公開第90/14334号
【特許文献2】国際公開第99/26614号
【特許文献3】国際公開第07/071311号
【特許文献4】欧州特許第1870097A号明細書
【特許文献5】国際公開第2007/144153号
【非特許文献】
【0031】
【非特許文献1】Baumeister AA,Francis JL,J.Hist.Neurosci.;2002 Sep;11(3):265−77
【非特許文献2】Squires RF,Saederup E,Neurochem.Res.,1991Oct;16(10):1099−111
【非特許文献3】Woodruff−Pak DS,Gould TJ.Behav.Cogn.Neurosci.Rev.2002 Mar;1(1):5−20
【非特許文献4】Morgan CJ et al,Neuropsychopharmacology.2004 Jan;29(1):208−18;Large CH,J.Psychopharmacol.;2007 May;21(3):283−301
【非特許文献5】Mouri A et al,Neurochem.Int.;2007 JuI−Sep;51(2−4):173−84
【非特許文献6】Lindsley CW et al,Curr.Top.Med.Chem.2006;6(8):771−85
【非特許文献7】Thornberg SA,and Saklad SR,Pharmacotherapy.;1996 Jan−Feb;16(1):82−93
【非特許文献8】Javitt DC.Int.Rev.Neurobiol.;2007 78:69−108
【非特許文献9】Geyer,Dial.Clin.Neurosci.;2006 8(1):9−16;Geyer et al,Psycopharmacology;2001 JuI;156(2−3):117−54
【非特許文献10】Cognitive Therapy and Research Volume 15,Number 6/December,1991 459−467
【非特許文献11】Bayle et al.,Eur Psychiatry 2001;16−349−353
【非特許文献12】Pallanti S.et al.−Am J Psychiatry(2004)161:53−58)
【非特許文献13】Pevarello P.et al.(1998),「Synthesis and anticonvulsant activity of a new class of 2−[(arylalkyl)amino]alkanamide derivatives」,J.Med.Chemistry,41:579−590
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ガラス玉覆い隠し試験でのラルフィナミドの効果および統計的評価を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
発明の範囲
本発明は、統合失調症および/または不安の精神障害の治療に用いる式(I):
【0034】
【化1】

式中:
nは、1または2であり;
Rは、メタ位またはパラ位にあって、C−Cアルキルまたはベンジルオキシであり、ベンジルオキシ基のフェニル基はフルオロまたはクロロで随意に置換され;
は、水素、メチル、クロロ、またはフルオロであり;
は、水素またはC−Cアルキルであり;
は、水素、C−Cアルキルであり、ヒドロキシまたはメトキシで随意に置換され;
、Rは、それぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり;
光学活性異性体の場合には、光学活性異性体の一種類のみもしくは混合物のいずれかである、α−アミノアミド化合物またはこれらの医薬的に許容される塩を提供する。統合失調症は統合失調症関連障害(短期精神病性障害、妄想性障害、統合失調感情障害、および統合失調症様障害など)を含み、不安は、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、社会恐怖症または社会不安障害、特定の恐怖症、および全般性不安障害を含む。
【0035】
従って、本発明の目的は、患者に単独で存在する精神障害としての統合失調症または不安の治療、ならびに同一患者に同時に存在する精神障害としての統合失調症および不安両方、即ち併発した不安と統合失調症の治療を含む。
【0036】
本明細書中および特許請求の範囲に従って、アルキル基は分岐鎖または直鎖基が可能である。
【0037】
本発明の化合物の医薬的に許容される塩として、例えば、無機酸(例えば、硝酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸など)、または有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸など)との酸付加塩が挙げられる。式(I)の化合物のなかには、不斉炭素原子を有するものも存在し得るので、個々の光学活性異性体(鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として、またはこれらの混合物(ラセミ混合物を含む。)としてのいずれかで存在することが可能である。従って、本明細書および特許請求の範囲は、可能な光学活性異性体、これらの混合物(ラセミ混合物を含む。)を全てこの範囲内に含む。
【0038】
本発明のさらなる目的は、統合失調症および/または不安の精神障害を患っている患者の治療法を含み、統合失調症は、統合失調症関連障害(短期精神病性障害、妄想性障害、統合失調感情障害、および統合失調症様障害など)を含み、不安はパニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、社会恐怖症または社会不安障害、特定の恐怖症、および全般性不安障害を含む。この方法は、精神障害の治療を必要としている患者に、上記で定義されるとおりの式(I)のα−アミノアミドを治療上有効量で投与することを含む。
【0039】
好適な式(I)の化合物は、以下:
式中、nは、1または2であり;
Rは、メタ位またはパラ位にあって、C−Cアルキルまたはベンジルオキシであり、ベンジルオキシ基のフェニル基はフルオロまたはクロロで随意に置換され;
は、水素、メチル、クロロ、またはフルオロであり;
は、水素またはメチルであり;
は、水素(ydrogen)、メチル、エチル、i−プロピル、i−ブチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、1−ヒドロキシエチル、または2−ヒドロキシエチル、1−メトキシエチル、または2−メトキシエチルであり;
、Rは、それぞれ独立して、水素またはC−Cアルキルであり;
光学活性異性体の場合には、光学活性異性体一種類のみもしくは混合物のいずれかである化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩である。
【0040】
統合失調症および/または不安の精神障害の治療に有効量で用いることができる好適な式(I)の化合物の例として、以下:
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[3−(2−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[3−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)−4−フルオロ−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−3−フルオロ−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)−4−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)−4−フルオロ−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−フルオロ−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)−4−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]メチルアミノ]プロパンアミド;
2−[[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]メチルアミノ]プロパンアミド;
2−[[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]メチルアミノ]プロパンアミド;
2−[[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]メチルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−ブタンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−ブタンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−ブタンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−ブタンアミド;
2−[2−(4−ペンチルフェニル)エチルアミノ]プロパンアミド;
2−[2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]プロパンアミド;
2−[2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]プロパンアミド;
2−[2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]プロパンアミド;
2−[2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]プロパンアミド;
光学活性異性体の場合には、光学活性異性体一種類のみもしくは混合物のいずれかである化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
より好適な式(I)の化合物は、以下:
式中、nは、1であり;
Rは、メタ位またはパラ位にあって、C−Cアルキルまたはベンジルオキシであり、ベンジルオキシ基のフェニル基はフルオロで随意に置換され;
は、水素またはメチルであり;
は、水素であり;
は、水素、メチル、i−ブチル、またはヒドロキシメチルであり;
、Rは、それぞれ独立して、水素またはメチルであり;
光学活性異性体の場合には、光学活性異性体一種類のみもしくは混合物のいずれかである化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩である。
【0042】
より好適な式(I)の化合物の例として、以下:
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)−4−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)−4−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[2−(4−ペンチルフェニル)エチルアミノ]プロパンアミド;
2−[2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
光学活性異性体の場合には、光学活性異性体一種類のみもしくは混合物のいずれかである化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
特に好適な式(I)の化合物は、以下:
式中、nは、1であり;
Rは、メタ位またはパラ位にあって、C−Cアルキルまたはベンジルオキシであり、ベンジルオキシ基のフェニル基はフルオロで随意に置換され;
およびRは、水素であり;
は、水素またはメチルであり;
、Rは、それぞれ独立して、水素またはメチルであり;
光学活性異性体の場合には、光学活性異性体一種類のみもしくは混合物のいずれかである化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩である。
【0044】
特に好適な式(I)の化合物の例として、以下:
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[2−(4−ペンチルフェニル)エチルアミノ]プロパンアミド;
光学活性異性体の場合には、光学活性異性体一種類のみもしくは混合物のいずれかである化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩が挙げられる。
【0045】
統合失調症および/または不安の精神障害の治療に用いるのに特に有効である、具体的な式(I)の化合物は以下:
(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
およびこれらの医薬的に許容される塩、好ましくはメタンスルホン酸との塩である。
【0046】
生物活性
本発明の化合物は、NMDAアンタゴニズム、MAO−B阻害、グルタミン酸放出阻害、DA取り込み阻害、ならびにナトリウムおよび/またはカルシウムチャネル遮断をはじめとする複数の作用機構を有する。
【0047】
本発明の代表的な化合物は、「ラルフィナミド」(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミドのメタンスルホン酸塩であり、これは統合失調症動物モデル(実施例4および5)および不安動物モデル(実施例6および7)で活性が判明した。ドーパミン作動性受容体へのアンタゴニスト効果がないこと(実施例1)、およびドーパミン代謝を調節する酵素であるMAO−Bに対する著しい阻害活性(実施例2)を考慮すると、この効果は予想外であった。このような酵素の阻害は、脳中のドーパミンレベルを上昇させる。実際、ドーパミン作動の調子を上昇させる能力から選択的MAO−B阻害剤がパーキンソン病に用いられることは周知である。
【0048】
ラルフィナミドは脳透過性の高い強力なMAO−B阻害剤なので、統合失調症に有害な影響があるのではないかと思われる。
【0049】
さらに、ラルフィナミドはNMDAアンタゴニストであることを示しており(実施例3)、このことは、統合失調症におけるグルタミン酸作動性機能低下の上記仮説を考えると、統合失調症の治療にとってさらなる否定的特質である。これらの理由全てから、この統合失調症モデルにおけるラルフィナミドの効果は予期せぬ発見である。
【0050】
ラルフィナミドドーパミン受容体(D1、D2L、D2S、D3、D4.2、D4.4、D4.7、およびD5)結合は、放射性リガンドアッセイで測定した(実施例1)。
【0051】
ラルフィナミドのMAO−B活性は、ラット脳ミトコンドリアにおける放射酵素アッセイを用いて測定した(実施例2)。
【0052】
ラルフィナミドのNMDA受容体複合体阻害は、実施例3に記載されるとおりに測定した。
【0053】
抗統合失調症活性は、「マウスの驚愕プレパルス阻害」モデル(実施例4)および「マウスのMK−801誘導型自発運動」モデル(実施例5)を用いて評価した。
【0054】
抗不安活性は、ラットの「不安のオープンフィールド試験」(実施例6)および「ガラス玉覆い隠し試験」(marble burying test)(実施例7)を用いて測定した。
【0055】
本発明の化合物は、以下に記載される様々な動物モデルで0.1から200mg/kgの範囲で、経口、腹腔内、または静脈内投与された場合、in vivoで活性である。
【0056】
本発明の化合物は、有利なことに、統合失調症および/または不安の治療に有効な他の治療薬1種以上と併用できる。補助療法に適した作用剤の例として、セロトニン受容体モジュレーター;AMPAモジュレーター;ニコチン受容体アゴニスト;三環系抗鬱薬(例えばアミトリプチリン(amitryptiline));モノアミン作動性取り込み阻害剤(例えばベンラファキシン);コリンエステラーゼ阻害剤;定型および非定型抗精神病薬を含む抗精神病剤(例えばハロペリドール、リスペリドン、クロザピン);抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤など);三環系抗鬱薬;気分安定剤(例えばリチウム、ラモトリジン、バルプロ酸塩);抗不安薬(例えばベンゾジアゼピン、ブスピロン、β−アドレナリン受容体アンタゴニスト);その他のカルシウムまたはナトリウムチャンネル遮断薬、が挙げられる。
【0057】
本発明の化合物は、ヒトおよび獣医の医薬に有用である。本明細書中用いられる場合、「治療」または「治療する」という用語は、特に指定がない限り、病理学的疾患の予防、軽減、および治癒を含み、詳細にはこれらの用語は、確定した症状の治療および予防的治療の両方を含むことが理解されるはずである。上記の病理での治療または予防に用いられる本発明の化合物は、好ましくは薬学的組成物での活性成分として用いられる。
【0058】
従って、本発明のさらなる目的は、本発明の化合物またはこの塩を治療上有効量で医薬的に許容される担体に混合して含有する薬学的組成物である。
【0059】
従って、「治療上有効」という表現が、本発明の化合物の「量」、「用量」、または「投薬量」について示される場合、この表現は、任意のこの化合物が上記の病理学的疾患の確定した症状の治療および予防的治療の両方に用いるのに十分な「量」、「用量」、または「投薬量」であることを意図する。
【0060】
本発明の目的として薬学的組成物は、さまざまな即時放出剤形および放出修飾型剤形(例えば、錠剤、トローチ、カプセル剤、糖衣錠またはフィルムコート錠剤、溶液、乳濁液、または懸濁液の形で経口で;坐剤の形で直腸から;非経口、例えば筋肉内で、および/またはデポ配合物で;静脈内注射または輸液;経鼻で;パッチおよびゲルおよびクリームの形で局所的および経皮で)で投与することができる。
【0061】
このような組成物の製造に有用な、医薬的に許容される、治療上不活性の、適した有機および/または無機担体材料として、例えば、水、ゼラチン、アラビアガム、ラクトース、デンプン、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、シクロデキストリン、ポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
【0062】
上記に定義されるとおりの式(I)のα−アミノアミド誘導体を含む組成物は、滅菌することができ、さらに周知の成分(例えば、保存料、安定剤、湿潤または乳化剤、例えばパラフィン油、モノオレイン酸マンニド(mannide monooleate)、浸透圧を調節する塩類、緩衝液など)を含有することができる。
【0063】
例えば、固形の経口剤形は、以下の活性成分を一緒に含有することができる:希釈剤(例えば、ラクトース、ブドウ糖、ショ糖、セルロース、トウモロコシデンプン、またはジャガイモデンプンなど);潤滑剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコールなど);結合剤(例えば、デンプン、アラビアガム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルピロリドンなど);崩壊剤(例えば、デンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、またはカルボキシメチルスターチナトリウムなど);発泡混合物;色素;甘味料;湿潤剤(レシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸など);および、一般に、薬学的配合物で用いられる無毒性で薬理学的に不活性な物質。この薬学的製剤は、公知の様式で、例えば、混合、顆粒化、錠剤化、糖衣、またはフィルムコーティングプロセスにより、製造することができる。
【0064】
本発明の目的薬学的組成物の製造は、一般的な技法に従って行なうことができる。
【0065】
経口配合物は、従来の様式で、例えば腸溶コーティングを錠剤および顆粒に施すことにより製造することができる徐放性配合物を含む。
【0066】
経口投与用分酸液は、例えばシロップ、乳濁液、および懸濁液が可能である。シロップは、担体として、例えば、ショ糖を、またはショ糖をグリセリンおよび/またはマンニトールおよび/またはソルビトールとともに含有することができる。
【0067】
懸濁液および乳濁液は、担体として、例えば、天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチル−セルロース、またはポリビニルアルコールを含有することができる。筋肉内注射用懸濁液または溶液は、活性化合物と一緒に、医薬的に許容される担体、例えば滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えばプロピレングリコール、および望ましい場合は、塩酸リドカインを適した量で、含有することができる。静脈内注射または輸液用溶液は、担体として、例えば、滅菌水を、好ましくは滅菌等張生理食塩水の形で、含有することができる。
【0068】
坐剤は、活性成分と一緒に、医薬的に許容される担体、例えばカカオバター、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、またはレシチンを含有することができる。
【0069】
上記で定義されるとおりの式(I)のα−アミノアミド誘導体を含む薬学的組成物は、投薬単位(例えば、カプセル剤、錠剤、粉末注射剤、スプーン一杯の量で用いる剤形(teaspoonful)、坐剤など)あたり、1種以上の活性成分約0.1から約500mgを、特に好ましくは1から10mgを含有する。
【0070】
投与されることになる最適な治療上有効量は、当業者により容易に決定することができ、基本的に、製剤の強度、投与様式、および治療される状態または障害の進行で変化する。また、治療される特定の被検体に関連した要因(被検体年齢、体重、食事、および投与時間を含む。)は、用量を適切な治療上有効レベルに調整する必要性をもたらす。
【0071】
本発明はこの好適な実施形態と併せて記載されたものの、当業者はその他の実施形態が本発明の精神から逸脱することなくなされ得ることを承知することが理解されるはずである。
【実施例1】
【0072】
ドーパミン受容体結合アッセイ
放射性リガンド結合アッセイ
このアッセイは、標準条件下、以下の刊行物に記載されるとおりに実施した:
Dearry A et al,Nature;1990;347:72−76;Bunzow JR et al.,Nature;1988;336:783−787;Sokoloff P.et al.,Nature;1990;347:146−151;Van ToI HHM et al.,Nature;1991;350:610−614;Van ToI HHM et al.,Nature;1992;358:149−152;Sibley DR et al.,Trend Pharmacol.Sci.;1992;13:61−69。
【0073】
生化学アッセイの結果は、化合物濃度1種類での、特異的結合の阻害%として表す。反応は、50%超を結合活性について有意であるとみなす。
【0074】
表1に示すとおり、ラルフィナミドのメタンスルホン酸塩は、ドーパミン受容体への有意な結合を示さない。
【0075】
【表1】

【実施例2】
【0076】
In vitroMAO−B酵素活性アッセイ
膜調製物(粗ミトコンドリアフラクション)
オスのウィスターラット(Harlan,Italy、175−200g)を浅麻酔下でと殺し、急いで脳を取り出して8容量の氷冷0.32Mスクロース緩衝液(0.1MのEDTAを含有、pH7.4)で均質化した。粗ホモジネートを+4℃で2220rpmで10分間遠心し、上清を回収した。ペレットを均質化して再度遠心した。2回の上清を貯めて、9250rpmで10分間遠心した。ペレットを新しい緩衝液に再懸濁させて+4℃で11250rpmで10分間遠心した。得られるペレットを−80℃で貯蔵した。
【0077】
In vitro酵素活性アッセイ
MAO−Bの基質の14C−フェニルエチルアミン(PEA)を用いて放射酵素アッセイで酵素活性を評価した。
【0078】
ミトコンドリアペレット(タンパク質500μg)を0.1Mのホスフェート緩衝液(pH7.4)に再懸濁させた。懸濁液500μlを、試験化合物の溶液または緩衝液50μlに加え、37℃で30分間温置し(前温置)、それから基質(50μl)を加えた。37℃で10分間、温置を行なった(14C−PEA、0.5μM)。
【0079】
37%HClまたは過塩素酸0.2mlを加えて反応を停止した。遠心分離後、脱アミノ代謝産物をトルエン(PEA)3mlで抽出し、放射性有機相を、液体シンチレーションスペクトロメトリーで効率90%で測定した。溶出液の放射能を測定することにより、MAO活性の結果として形成された中性および/または酸性代謝産物の量を求めた。
【0080】
試料中のMAO活性は、阻害剤の存在しない対照の活性と比較した放射能の割合に対応して、変換した基質nmol/タンパク質mg/分として表した。
【0081】
薬物阻害曲線を、少なくとも8カ所の異なる点(10−10から10−5M)でそれぞれ2回測定して、求めた。IC50値(酵素活性を50%阻害する薬物濃度)を、非線形回帰分析(最適フィッティング支援コンピュータプログラム)を用いて求めた信頼区間で計算した。
【0082】
ラット脳ミトコンドリアを用いたin vitro酵素試験では、ラルフィナミドのメタンスルホン酸塩は、IC50132nMで強力にMAO−Bを阻害した。
【実施例3】
【0083】
NMDA受容体複合体の阻害
NMDA受容体のパッチクランプ実験の材料および方法
細胞調製および培養
動物およびこの世話を含む手順は、国内法を遵守した機関指針(D.L.n.116,G.U.,suppl.40,Feb.18,1992)ならびに国際法および国際方針(EEC Council directive 86/609,OJL358.1,Dec.12 1987;Guide for the Care and Use of L)boratory Animals,U.S.National Research Council,1996)に準拠して実施した。
【0084】
皮質ニューロンをウィスターラット胎児(E17からE19)から調製した。妊娠17から19日のメスラットを麻酔してと殺した。胎児(n=4から5)を切り離し、氷冷ハンクス液(ハンクス液(Life tech.14170−088)+グルコース30%+Pen−Strep 100x(Life Tech.15140−122)100U−100μg/mlおよびHepes−NaOH5mM)に入れた。
【0085】
胎児の脳を二等分し、各皮質をはさみでさらに小さく切り、切断片を5mlピペットで15ml遠心管に移し、ハンクス液で2回洗浄した。
【0086】
溶液は1から2ml残して除去し、組織を、5mlピペット、次いで炎加工した(fire−polished)パスツールピペット2種類(それぞれ開口が中および小)で、最初に分離させた。
【0087】
機械分離後、完全DMEM(Dulbecco’s modified Eagle medium)(Gibco 41966−029)5ml+FBS(Hyclone)10%+グルタミン(Life Tech.25030−024)2mM+Pen−Strep 100U−100μg/mlを加え、細胞懸濁液を1000rpmで5分遠心した。上清を除去し、完全Neurobasal培地5mlを加えた(NB培地(Life tech.21103−049)+B27(Life tech.17504−044)2%+グルタミン2mM+Pen−Strep 100U−100μg/ml)。
【0088】
細胞を計数し、ポリ−D−リシン5μg/mlで処理したぺトリ皿1枚あたり細胞400000個の濃度までNeurobasal培地で希釈した。
【0089】
蒔いて6日目から11日目までの皮質ニューロンをパッチクランプ実験に用いた。
ホールセルパッチクランプ記録
標準ホールセルパッチクランプ法(Hamill et al,1981)を用いて皮質ニューロンの実験を行なった。膜電流を記録し、Axon Axopatch 200B増幅器を用いて5kHzで選別して、データをAxon Digidata 1322A(Axon Instruments,CA,USA)でデジタル化した。プロトコル実行およびデータ取得はAxon pClamp8ソフトウェアでオンライン制御した。測定電極および参照電は、AgCl−Ag電極であった。Sutter Instrument P−87 Puller(CA,USA)を用いて、Harwardホウケイ酸ガラス管から抵抗2から3MΩでパッチクランプピペットを引いた。溶液交換器BiologicRSC−200を用いて、細胞外液で細胞を連続的に灌流した。
【0090】
溶液および薬物
外部参照液(MgCl含まず)は、以下からなった(mM):NaCl 155、KCl 2、CaCl 0.5、HEPES 10、グルコース 10。MgClは、この電圧依存性遮断を回避する目的で取り除かれた。
【0091】
NMDA電流を刺激するため、NMDAおよびグリシンを外部槽液(N−メチル−d−アスパラギン酸、Sigma M−3262;グリシン、Bio Rad 161−07118)に入れてそれぞれアゴニストおよび共アゴニストとして用いた。結果の章に記載されるとおり、実験プロトコルに従って、異なる濃度を用いた。それぞれNaチャネルおよびグリシン受容体活性化を回避する目的で、1μMのTTX(TTX Sigma T−8024)および5μMのストリキニーネ(ストリキニーネ Sigma S−8753)も存在させた。
【0092】
内部液は、以下を含有した(mM):CsCl 65、CsF 65、NaCl 10、CaCl 1.3、MgCl 2、HEPES 10、EGTA 10、MgATP 1。
【0093】
ラルフィナミドメタンスルホン酸塩の貯蔵液(10mM)をMilli−Q HOで作成し、外部液で最終濃度に希釈した。
【0094】
データ分析
Clampfit 9(Axon Instruments,CA)およびOrigin 7.5(Microcal Inc.,Northampton,MA,USA)ソフトウェアを用いてデータを分析した。データ点および結果は、算術平均±S.Eとして表した。
【0095】
全ての実験において、保持電位として−70mVを用いた。他に記載がないかぎり、対照NMDA電流は、NMDA100μM+グリシン10μMで活性化した。
【0096】
ラルフィナミド遮断は、同時に薬物なしで対照条件下得られたNMDA電流と比較して、化合物の1分間の前温置後のNMDA電流の減少として計算した。フラクションブロック(fractional blocks)対薬物濃度をプロットすることで、薬物濃度−阻害曲線を得た。ロジスティック方程式::y=A2+(A1−A2)/[1+(x/IC50]に従って用量反応曲線をフィッティングした。A1およびA2は固定値0および1とし、それぞれ電流阻害0%および100%に対応する。xは薬物濃度であり、IC50は電流阻害50%をもたらす薬物濃度であり、pは対応する勾配因子である。
【0097】
ラルフィナミドのメタンスルホン酸塩は、一次ラット皮質ニューロンにおいてNMDA誘導電流を7.3μMのIC50で阻害した。
【実施例4】
【0098】
NMDA受容体アンタゴニズムで破壊されたマウスにおける驚愕のプレパルス阻害
プレパルス阻害(PPI)は、種間現象である(即ち、マウスからヒトまでの範囲に及ぶ哺乳類に存在する。)が、統合失調症患者では比較的損なわれている。PPI手順を用いて、被検体が周囲の情報を「ゲート制御(gate)」即ち選別する能力を評価する。感覚運動関門の聴覚(驚愕モデル)において、弱い聴覚刺激(プレパルス)は、第二のより強い刺激(パルス)により生じる反射的な驚いた反応(驚愕)を低下させる。ジゾシルピン(MK−801)またはアンフェタミンのような薬物は、PPIを破壊し、統合失調症の動物モデルを表す;抗精神病薬はPPI欠陥を防ぐことができる。試験は、潜在的抗精神病薬をスクリーニングするのに非常に有用である。
【0099】
方法:体重200から300gのオスウィスターラットを用いた。装置:驚愕およびPPI試験は全て、驚愕チャンバ4部屋で実施した。各チャンバは、換気し照明を付けた遮音チャンバで、台に置いた透明な非制限プレキシガラスシリンダーが入れてあった。チャンバ内の高周波拡声器は連続した70dBの背景雑音および様々な聴覚刺激の両方を発生した。動物の全身驚愕反応により生じるプレキシガラスシリンダーの振動は、台に接続した圧電気ユニットによりアナログ信号に伝達された。次いで、これらの信号をデジタル化してコンピュータに保存した。刺激開始を出発点として1−ms間隔で65回の読み取りを行ない、平均振幅を用いて聴覚驚愕反応を測定した。音量レベルは、dBで示す。
【0100】
プレパルス阻害セッション:慣れ(背景白色雑音、70dB)の5分後に、2種類の聴覚刺激を用いた:聴覚刺激単独(120dB、40ms)または刺激の100ms前にプレパルス(76、79、82dB、40ms)を与えてからの刺激。各実験セッションの間、刺激の各種類について20回のトライアルを刺激間隔20秒で行なった。両種類のトライアル(刺激単独またはプレパルスを与えてからの刺激)別々に、動物各個体について振幅を平均した。プレパルス阻害の程度は、パルス単独の振幅(P)とプレパルス+パルストライアルの振幅(PP+P)との差をパルス単独トライアルの振幅で割り、100をかけて計算([(PP+P)/P]×l00)したパーセントスコア(%PPI)として示す。計算した%PPIが高いと、それだけプレパルスがパルス刺激の反応を阻害したことを意味し、低いとプレパルスによる阻害が弱いことを意味する。物質および処置:MK−801を0.2mg/kgで生理食塩水に希釈し、i.p.で与えた。各実験において、マウスを、本発明の化合物またはビヒクルいずれかを与えられるように割り当てて被験体間計画(between−subjects design)を用いてPPIセッションで試験した。第一の実験の薬物処置の順序は、試験化合物、続いてMK−801であった。第二の実験のラットは、試験化合物、次にアンフェタミンを与えられた。
【0101】
統計分析:複数ANOVAを行ない、続いてDunnett’sポストホックテストを行なった。
【0102】
表2に示すとおり、90mg/kgの用量で経口投与されたラルフィナミドのメタンスルホン酸塩は、MK−801のPPIを破壊する効果を反転させてこの実験モデルにおいて活性であることが判明した。
【0103】
【表2】

データは全て算術平均±SEMで示す。
#は、阻害割合についてビヒクル+ビヒクル処置した動物とMK−801を注入された動物の間の統計的有意差を示す。
*は、ビヒクル+MK−801処置した動物とラルフィナミドメタンスルホン酸塩で処置した動物の間の統計的有意差を示す。分散分析、続いてDunnet検定。
【実施例5】
【0104】
マウスでのMK−801誘導歩行運動亢進(hyperlocomotion)
グルタミン酸N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニストは、フェンシクリジン(PCP)またはMK−801のように、ヒトで統合失調症様症状を誘発し、動物で行動異常(活動亢進など)を誘発する。非定型抗精神病薬はマウスでMK−801またはPCPにより誘導される歩行運動亢進を減少させ、これは統合失調症の症状に対する効果を予測するのに通常用いられる動物モデルを表す。動物を活動チャンバに入れる30から35分前にビヒクルまたは化合物を注射した。動物を活動チャンバに入れる15分前(即ち、ビヒクルまたは化合物投与の20から45分後)にMK−801(0.3mg/kg)を投与して、マウスで歩行運動亢進を発生させ、15から30分のセッションの間の移動距離合計をセンチメートル単位で測定した。MK−801に誘導される移動距離合計の増加は、活性化合物により減弱した。
【実施例6】
【0105】
不安のオープンフィールド試験
オープンフィールド試験は、ラットまたはマウスで歩行運動、探索行動、および不安様挙動を評価するのに通常用いられる。この試験は、抗不安薬および不安惹起薬の効果、薬物に対する歩行運動反応、ならびに目新しいものに対する挙動反応を評価するのに特に有用である。
【0106】
オープンフィールド試験任務は、見慣れないまたは明るく照らされたオープンフィールドの中央部分でラットが持つ本能的な恐怖心と新しい環境を探検したいというラットの欲求との間の葛藤に迫る。不安な場合、齧歯類の自然な傾向として壁に接していようとする(接触走性)。これに関連して、不安関連挙動は、ラットがオープンフィールド試験の中心部を回避する度合いにより測定される。
【0107】
オープンフィールド場は、動物が逃げないように壁で囲まれた、何もない明るい四角の広場からなる。広場(90cm×90cm×高さ40cm)は、黒テープで同じ大きさの正方形になる6×6格子に区切った。
【0108】
箱の外側の区域を、壁に接する四角全ての合計として定義する(即ち36個の四角のうち16個、隅の四角4個は含まない。)。箱の中央領域(16個の四角)をさらに大センター(LC)12個と小センター(SC)4個に分ける。
【0109】
ラットを広場の中心に置き、この挙動を所定の時間(5から15分間)ビデオで記録してスコアを付ける。
【0110】
それぞれのカテゴリーの四角で過ごした時間を記録する。また、15分間のオープンフィールド試験を5分間の区間3つに分割し、自発運動活動合計を各5分間の区間で入った四角の数としてスコア付けする。また、以下の挙動の頻度を記録する:ストレッチを伴う姿勢(前肢を前方に延ばすストレッチ、低姿勢を保つためしばしば背中を丸めている。)、立ち上がり(後肢での起立、広場の側面に接触してまたはしないで)、毛繕い(手または舌を用いて体を綺麗にする/掻く)および角を向くこと(即ち顔を箱の角の方に向けて立つか座る。)。最後に、大センターおよび四隅のいずれか1つを訪れる待ち時間を手作業で記録した。
【0111】
抗不安化合物を与えられたラットは、壁に沿って留まっていようとする対照ラットよりもオープンフィールドを探検する。
【実施例7】
【0112】
ガラス玉覆い隠し試験
ガラス玉覆い隠し試験は、不安/強迫性障害(OCD)の動物モデルとみなされる。たくさんのガラス球が入ったケージに1匹ずつ入れられたマウスは、存在するガラス玉を自発的に埋めようとする。
【0113】
不安、抑うつ、精神病、または強迫性障害を減弱する幾つかの化合物は、この挙動に影響を及ぼして、埋められるガラス玉の数を減らす。従って、この試験は、抗不安および抗OCDの可能性がある化合物について予測的妥当性を有する。
【0114】
CD1マウスに、ラルフィナミド10、30、60、および80mg/kgの用量(po)、フルオキセチン(FLX)10mg/kg(sc)、または生理食塩水を注射し、それぞれのホームケージに戻した。30分後(ラルフィナミド)または60分後(フルオキセチン)、ガラス玉12個を等間隔に配置した新たなケージにマウスを1匹ずつ入れた。30分後、マウスをケージから出して、おがくずに少なくとも2/3埋まったガラス玉の個数を数えた。
【0115】
図1は、以下の条件で測定したガラス玉覆い隠し試験でのラルフィナミドの効果および統計的評価を示す:
一元配置ANOVA、続いてBonferroni’s多重検定;一群あたりマウス個体数n=6から8 p<0.05;p***<0.001対対照群
CTR:対照群
FLX:フルオキセチン(10mg/kg、sc.)を与えられた群
【0116】
図1は、80mg/kg(po)用量のラルフィナミドが、ガラス玉を隠した数を有意に減らすことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
統合失調症および/または不安の精神障害(統合失調症は、統合失調症関連障害、例えば短期精神病性障害、妄想性障害、統合失調感情障害、および統合失調症様障害などを含み、ならびに不安は、パニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、社会恐怖症または社会不安障害、特定の恐怖症、および全般性不安障害を含む。)の治療に用いる、式(I):
【化1】

(式中:
nは、1または2であり;
Rは、メタ位またはパラ位にあって、C−Cアルキルまたはベンジルオキシであり、ベンジルオキシ基のフェニル基はフルオロまたはクロロで随意に置換され;
は、水素、メチル、クロロ、またはフルオロであり;
は、水素またはC−Cアルキルであり;
は、水素、C−Cアルキルであり、ヒドロキシまたはメトキシで随意に置換され;
、Rは、独立して、水素またはC−Cアルキルである。)
の、光学活性異性体の場合には、光学活性異性体の一種類のみもしくは混合物のいずれかである化合物またはこれらの医薬的に許容される塩。
【請求項2】
精神障害は統合失調症である、精神障害の治療に用いられる、請求項1の化合物。
【請求項3】
精神障害は不安である、精神障害の治療に用いられる、請求項1の化合物。
【請求項4】
不安は統合失調症と併存している、請求項1から3のいずれかの精神障害の治療に用いられる、請求項1の化合物。
【請求項5】
nは、1または2であり;
Rは、メタ位またはパラ位にあって、C−Cアルキルまたはベンジルオキシであり、ベンジルオキシ基のフェニル基はフルオロまたはクロロで随意に置換され;
は、水素、メチル、クロロ、またはフルオロであり;
は、水素またはメチルであり;
は、水素、メチル、エチル、i−プロピル、i−ブチル、ヒドロキシメチル、メトキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1−メトキシエチル、または2−メトキシエチルであり;
、Rは、独立して、水素またはC−Cアルキルである、
光学活性異性体の場合には、光学活性異性体一種類のみもしくは混合物のいずれかである式(I)の化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩である、請求項1から4のいずれかに特定されるとおりに用いられる請求項1から4のいずれかの化合物。
【請求項6】
nは、1であり;
Rは、メタ位またはパラ位にあって、C−Cアルキルまたはベンジルオキシであり、ベンジルオキシ基のフェニル基はフルオロで随意に置換され;
は、水素またはメチルであり;
は、水素であり;
は、水素、メチル、i−ブチル、またはヒドロキシメチルであり;
、Rは、独立して、水素またはメチルである、
光学活性異性体の場合には、光学活性異性体一種類のみもしくは混合物のいずれかである式(I)の化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩である、請求項1から4のいずれかに特定されるとおりに用いられる請求項1から4のいずれかの化合物。
【請求項7】
nは、1であり;
Rは、メタ位またはパラ位にあって、C−Cアルキルまたはベンジルオキシであり、ベンジルオキシ基のフェニル基はフルオロで随意に置換され;
およびRは、水素であり;
は、水素またはメチルであり;
、Rは、独立して、水素またはメチルである、
光学活性異性体の場合には、光学活性異性体一種類のみもしくは混合物のいずれかである式(I)の化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩である、請求項1から4のいずれかに特定されるとおりに用いられる請求項1から4のいずれかの化合物。
【請求項8】
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[3−(2−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[3−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−クロロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)−4−フルオロ−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−3−フルオロ−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)−4−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)−4−フルオロ−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−フルオロ−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)−4−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]メチルアミノ]プロパンアミド;
2−[[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]メチルアミノ]プロパンアミド;
2−[[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]メチルアミノ]プロパンアミド;
2−[[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]メチルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−ブタンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−ブタンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−ブタンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−ブタンアミド;
2−[2−(4−ペンチルフェニル)エチルアミノ]プロパンアミド;
2−[2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]プロパンアミド;
2−[2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]プロパンアミド;
2−[2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]プロパンアミド;
2−[2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]プロパンアミド、
から選択される、光学活性異性体の場合には、光学活性異性体一種類のみもしくは混合物のいずれかの化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩である、請求項5に記載の使用のための化合物。
【請求項9】
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)−4−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)−4−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]イソバレルアミド;
2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−3−ヒドロキシ−プロパンアミド;
2−[2−(4−ペンチルフェニル)エチルアミノ]プロパンアミド;
2−[2−[3−(2−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[3−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド;
2−[2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニル]エチルアミノ]アセトアミド、
から選択される光学活性異性体の場合には、光学活性異性体一種類のみもしくは混合物のいずれかの化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩である、請求項6に記載の用途のための化合物。
【請求項10】
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]アセトアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)−3−メチル−ベンジルアミノ]プロパンアミド;
2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]−N,N−ジメチルプロパンアミド;
2−[2−(4−ペンチルフェニル)エチルアミノ]プロパンアミド、
から選択される、光学活性異性体の場合には、光学活性異性体一種類のみもしくは混合物のいずれかの化合物、またはこれらの医薬的に許容される塩である、請求項7に記載の使用のための化合物。
【請求項11】
(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド、
およびこれらの医薬的に許容される塩、好ましくはメタンスルホン酸との塩から選択される、統合失調症および/または不安の治療に用いる、請求項10の化合物。
【請求項12】
化合物は、(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミドまたはこのメタンスルホン酸塩である、統合失調症および/または不安の治療に用いる、請求項11の化合物。
【請求項13】
活性成分としての請求項1から12のいずれかに定義されるとおりの化合物を、統合失調症および/または不安の治療に有効な別の治療薬と随意に組み合わせて、1種以上の医薬的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤と一緒に含む、統合失調症および/または不安の精神障害を治療するのに用いる薬学的配合物。
【請求項14】
統合失調症および/または不安の精神障害(統合失調症は短期精神病性障害、妄想性障害、統合失調感情障害、および統合失調症様障害などの統合失調症関連障害を含み、ならびに不安はパニック障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害、社会恐怖症または社会不安障害、特定の恐怖症、および全般性不安障害を含む。)を患っている患者を治療するための方法であって、治療を必要としている前記患者に請求項1の化合物を治療上有効量で投与することを含む、方法。
【請求項15】
統合失調症である精神障害を患っている患者を治療するための請求項14に記載の方法であって、治療を必要としている前記患者に請求項1の化合物を治療上有効量で投与することを含む、方法。
【請求項16】
不安である精神障害を患っている患者を治療するための請求項14に記載の方法であって、治療を必要としている前記患者に請求項1の化合物を治療上有効量で投与することを含む、方法。
【請求項17】
投与される化合物は、請求項5から12のいずれかに定義されるとおりの化合物である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
投与される化合物は、(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミドまたはこの医薬的に許容される酸との塩、好ましくはメタンスルホン酸との塩である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
患者は、不安が統合失調症と併存した精神障害を患っている、請求項14から16のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
投与される化合物は、
(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(S)−(+)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド;
(R)−(−)−2−[4−(3−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミド、
およびこれらの医薬的に許容される酸との塩、好ましくはメタンスルホン酸との塩から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
投与される化合物は、(S)−(+)−2−[4−(2−フルオロベンジルオキシ)ベンジルアミノ]プロパンアミドまたはこのメタンスルホン酸との塩である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項14に記載の方法を必要としている患者に、請求項1の化合物を、統合失調症および/または不安の治療に有効な別の治療薬と組み合わせて投与する、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−506518(P2011−506518A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538553(P2010−538553)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066884
【国際公開番号】WO2009/080470
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(504082069)ニユーロン・フアーマシユーテイカルズ・エツセ・ピー・アー (8)
【Fターム(参考)】