説明

糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤

【課題】新規な糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤はショウガオールを有効成分とすることを特徴とする。また、上記ショウガオールは6−ショウガオールであることが好ましい。
また、本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤は、医薬品、飲食品、皮膚外用剤として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤に関する。本発明は、糖尿病予防剤、メタボリックシンドローム予防剤等として、医薬品、飲食品、皮膚外用剤、哺乳類動物用飼料等として広く利用することができる。
【背景技術】
【0002】
ショウガオールおよびジンゲロールは、生姜抽出物の成分であり、これらには例えば、血行促進作用(特開平6−183959号公報)、体臭抑制効果(米国特許6264928号)、抗酸化効果(H.Kikuzaki,N.Nakatani,「Antioxidant
Effects of
Some Ginger
Constituents」、J.Food Sci.,Vol58,No6,1407−1410(1993))、保湿効果(鈴木正人監修、「新しい化粧品機能素材300
上巻」、311−312頁、シーエムシー出版、2002年)等を有することが知られている。またショウガオールおよびジンゲロールの生体内での代謝経路も研究されており、これらの代謝産物の構造が報告されている(H.Takahashi,他3名,Phytochemistry,vol.34,1497−1500(1993)およびS.S.Lee,Arch.Pharm.Res.,vol.18,136−137(1995))。
【0003】
一方、近年、食生活の欧米化が進み、それに起因すると考えられる糖尿病、肥満、動脈硬化等の生活習慣病が増加している。これらの発症増加は遺伝的なものではなく、主に環境因子によるものである。例えば、高脂肪食や高カロリー食の摂取による脂質代謝異常が、血中脂質上昇、インスリン抵抗性の発症、脂肪細胞肥大化、インスリン分泌不全等の原因となっている。その結果、糖尿病、肥満、動脈硬化等が高確率で発症し、病態の進展へとつながっている。
【0004】
肥満は、脂肪組織が異常に増加した状態と定義されている。肥満の主な原因は、摂取カロリーと消費カロリーのアンバランスにあり、摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、余剰カロリーが脂肪となって体内に蓄積され、やがて肥満となる。肥満は、糖尿病、心臓病、動脈硬化等の他の生活習慣病を引き起こす万病の元凶であり、現代人にとって深刻な問題である。
【0005】
糖尿病は、インスリンの作用不足による高血糖が引き起こす複合疾患である。糖尿病は、知覚麻痺、失明、動脈硬化等との合併症を引き起こすことも多く、日常生活に多大な障害をもたらす病気である。特に、インスリン非依存型糖尿病(インスリン抵抗性糖尿病、2型糖尿病)は、環境因子が引き金になって発病するとされ、過食や肥満が大きな原因の一つである。例えば、肥満のために膵臓のインスリン分泌量が激増した結果、逆に膵臓が疲労してインスリン分泌量が減少し、結局インスリンの作用不足となり高血糖となる。あるいは、脂肪の増加によってインスリン受容体が減少し、その結果、インスリンの作用不足となり高血糖となる。逆に、インスリンの作用不足から生まれる余剰のグルコースが脂肪となって蓄えられ、さらに肥満が進むこととなる。このように、肥満と糖尿病はその発症メカニズムにおいて密接に関係している。
【0006】
脂肪組織は主に脂肪細胞で構成されている。脂肪細胞はその内部に脂肪を含んでおり、体内エネルギーの貯蔵源の役割を果たしている。また、脂肪細胞に分化する前の細胞は前駆脂肪細胞と呼ばれ、内部には脂肪を含んでいない。前駆脂肪細胞は細胞増殖因子や分化誘導物質の作用を受けて脂肪細胞へと増殖・分化する。前駆脂肪細胞との関係において、脂肪細胞を成熟脂肪細胞と呼ぶこともある。
【0007】
近年、脂肪組織は脂肪を蓄える機能を有するのみでなく、様々な生理活性物質を合成・分泌していることが明らかになってきた。これらの生理活性物質はアディポサイトカイン(adipocytokine)と呼ばれている。特に、肥満となった個体の脂肪組織において、アディポサイトカインの産生異常が生じており、全身の糖・脂質代謝に重大な影響が及ぶことが知られている。アディポネクチン(adiponectin)はアディポサイトカインの一種であり、ヒト脂肪細胞において最も多く発現している遺伝子産物として同定された。アディポサイトカインの多くが肥満によってその血中濃度が上昇するのに対し、アディポネクチンは糖尿病や肥満になるとその血中濃度が低下するという性質を有している。
【0008】
また、アディポネクチンの遺伝子発現は、転写レベルにおいて、脂肪蓄積により脂肪組織で過分泌されるアディポサイトカインである腫瘍壊死因子−α(tumer necrosis factor、TNF−α)によって調節されている。すなわち、アディポネクチンとTNF−αは互いにその発現を抑制し合っており、アディポネクチンの発現量が低下している状態はTNF−αの発現量が上昇している状態であり、アディポネクチンの発現量が上昇している状態はTNF−αの発現量が低下している状態といえる。よって、糖尿病や肥満の状態は、アディポネクチンの発現量が低下し、TNF−αの発現量が上昇している状態と捉えることができる(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。
【0009】
【非特許文献1】門脇孝ら編「別冊・医学のあゆみ糖尿病・代謝症候群−State ofarts 2004−2006」,医歯薬出版株式会社,2004年,第42−44頁
【非特許文献2】岩城正則ら「アディポサイトカインの転写調節」,細胞工学,秀潤社、2004年,第23巻,第2号,第169−173頁
【非特許文献3】フ イー(Hu E)ら,ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(Journalof BiologicalChemistry),1996年,第271巻,第10697−10703頁
【0010】
アディポネクチンノックアウトマウスを用いた研究によれば、血中アディポネクチン量が低下したマウスがインスリン抵抗性糖尿病を発症したが、血中アディポネクチンを補充することでこれが改善された(非特許文献1)。この知見によれば、アディポネクチンの血中濃度が低下することを阻害・防止することにより、糖尿病や肥満を治療・予防することができると考えられる。そのためには、外部からアディポネクチンを投与する方法と、体内のアディポネクチン合成量を上昇させる方法とが考えられる。
【0011】
外部からアディポネクチンを投与する方法は、例えば、組換えDNA技術により生産された組換え型アディポネクチンを糖尿病患者に投与することが考えられる。しかし、アディポネクチンの血中濃度は健常人で5〜20μg/mLと高く、アディポネクチンの投与によって低下したアディポネクチン濃度を上げるためには、大量かつ連続的な投与が必要になり、現実的でない。特に、組換えタンパク質を人体に大量投与する場合は、極めて高純度な組換えタンパク質が必要となり、実現が困難である。したがって、アディポネクチンを外部から投与するのではなく、体内のアディポネクチンの合成量を上昇させる方法が好ましい。すなわち、アディポネクチンの合成量を上昇させることにより、糖尿病や肥満を治療・予防する方法を採用する方が、より現実的である。
【0012】
アディポネクチンの発現を誘導する物質としては、チアゾリジン誘導体が知られている。チアゾリジン誘導体は、アディポネクチン遺伝子の転写因子に直接作用して、アディポネクチンの発現量を上昇させ、糖尿病や肥満を改善しようとするものである。チアゾリジン誘導体は、TNF−αの発現量とは無関係にアディポネクチンの発現量を上昇させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、チアゾリジン誘導体は、TNF−αの発現量とは無関係にアディポネクチンの発現を上昇させるものであり、血中アディポネクチン量の正常・異常に関係なく、アディポネクチンの発現量を上昇させる。すなわち、糖尿病や肥満を発症していない健常人がチアゾリジン誘導体を摂取すると、血中アディポネクチン量が必要以上に上昇する恐れがある。よって、チアゾリジン誘導体は、糖尿病や肥満をすでに発症し、アディポネクチンの発現量が低下している人に対して治療目的で用いる場合にはよいが、健常人が日常的に摂取して糖尿病や肥満の予防を目的として用いるには不適である。以上より、健常時にはアディポネクチンの発現量を上昇させず、健常時にあらかじめ摂取することにより糖尿病や肥満を予防することができる物質が求められている。
【0014】
このような背景の下、本発明者らは、ショウガオール類がアディポネクチンの発現作用を有し、更に、TNF−αの発現量が上昇しているとき、低いアディポネクチンの発現作用を有し、TNF−αの発現量が低下するに従いアディポネクチンの発現量が上昇する作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、日常的に摂取することによって糖尿病及び/又は肥満を予防することを可能にする物質を有効成分として含有する新規な糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤はショウガオール類を有効成分とすることを特徴とする。また、上記ショウガオール類は6−ショウガオールであることが好ましい。
また、本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤は、医薬品、飲食品、皮膚外用剤として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤は、ショウガオール類を有効成分とすることを特徴とする。
上記「ショウガオール類」とは、以下の化学式で示される化合物である。
【0017】
【化1】


【0018】
これらのうち、6−ショウガオール、8−ショウガオール、10−ショウガオールを含有することが好ましい。ここで、6−ショウガオールとは上記化学式にて、n=4のものをいい、8−ショウガオールとは、上記化学式にてn=6のもの、10−ショウガオールとは上記化学式にてn=8のものをいう。
ここで、少なくとも6−ショウガオールを含有することが特に好ましい。尚、これらのショウガオール類は1種のみを用いても良いし、2種類以上併用しても良い。
【0019】
また、上記ショウガオール類を得る方法は特に限定されないが、合成により得る方法、植物から抽出する方法等が挙げられる。また、その原料として、ショウガ科の植物であるショウガ(生姜)、やアカショウガ等が挙げられる。
原料としてアカショウガを用いる場合、以下の方法にて抽出、精製されたショウガオール類を糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤として使用することができる。
【0020】
このとき、溶媒としては、n−ヘキサン、アセトン、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル等を使用することができる。これらの溶媒を単独で用いても良いし、これらの溶媒を2種以上併用してもよい。
このとき、特にn−ヘキサン、及び/又はアセトンを用いて抽出を行うことが好ましい。6−ショウガオールを含有量が高いショウガオール類を得ることができるからである。
【0021】
また、好ましくは、水及び/又はエタノールを抽出溶媒として用いることもできる。有効成分が効率よく抽出できるからである。特に、含水エタノールは、抽出の際に有効成分の活性を低下させにくく、抽出物の食品使用における安全面の上でも好ましい抽出溶媒である。抽出用の水の種類は、特に限定されず、水道水、蒸留水、ミネラル水、アルカリイオン水、深層水等を使用することができる。
【0022】
このとき、上記抽出を行う回数は特に限定されず、各回に用いる溶媒の種類は、上記したものから適宜、任意に1種又は2種以上選択することができる。即ち、各回の抽出で同じ溶媒を用いても良いし、各回の抽出毎に異なった溶媒を用いても良い。更に、各回の抽出で同じ溶媒を用いた場合、そのときに用いる溶媒の含有比は適宜変えても良いし、同じ含有比のものを用いても良い。
【0023】
アカショウガから有効成分を抽出する抽出温度としては、例えば、含水エタノールを使用する場合、抽出温度20〜100℃、好ましくは60〜80℃程度で行うとよい。抽出温度が低すぎると、有効成分が抽出されにくくなり、また、抽出温度が高すぎると、有効成分の活性が低下しやすくなるためである。
【0024】
抽出溶媒としての含水エタノールは、エタノール濃度20〜90重量%、好ましくはエタノール濃度30〜70重量%であるとよい。エタノール濃度20重量%以上としたのは、エタノール含有量が少なすぎると、デンプン質の混入が増加し、有効成分の抽出量が不十分になりやすいためである。また、エタノール濃度90重量%以下としたのは、エタノール濃度が高すぎると、アカショウガの他の精油分が含水エタノール中に溶け出しやすくなるからである。なお、含水エタノール抽出は、有効成分の含有率を向上させるため、エタノール濃度を段階的に変えながら繰り返して行うとよい。
【0025】
有効成分の抽出方法としては、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出、超臨界抽出など任意の方法を採用することができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
【0026】
具体的な抽出方法を示すと、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料(脱脂アカショウガ)を投入し、攪拌しながら有効成分を溶出させる。例えば、抽出溶媒として含水エタノールを用いる場合には、抽出原料の5〜100倍量程度(重量比)の抽出溶媒を使用し、30分〜2時間程度抽出を行う。溶媒中に有効成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって抽出液を得る。その後、常法に従って抽出液に希釈、濃縮、乾燥させ、その後、精製することによりショウガオール類を得る。
なお、精製方法としては、例えば、活性炭処理、樹脂吸着処理、イオン交換樹脂、液−液向流分配等の方法が挙げられる。
【0027】
本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤は、各種飲食品の素材として使用することができる。飲食品としては、例えば、食用油(サラダ油)、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。これらの飲食品に本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を適宜配合するとよい。
【0028】
これら飲食品には、その種類に応じて種々の成分を配合することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等の食品素材を使用することができる。さらに、健康維持機能をもった本糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤には、他の抗酸化物質や健康食品素材などの配剤、例えば、抗酸化物質(還元型アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE、還元型グルタチン、トコトリエノール、ビタミンA誘導体、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、尿酸、ユビキノン、コエンザイムQ10、葉酸、ニンニクエキス、アリシン、セサミン、リグナン類、カテキン、イソフラボン、カルコン、タンニン類、フラボノイド類、クマリン、イソクマリン類、ブルーベリーエキス)、健康食品素材(V.(ビタミン)A、V.B1、V.B2、V.B6、V.B12、V.C、V.D、V.E、V.P、コリン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸カルシウム、EPA、オリゴ糖、食物繊維、スクアレン、大豆レシチン、タウリン、ドナリエラ、プロテイン、オクタコサノール、DHA、卵黄レシチン、リノール酸、ラクトフェリン、マグネシウム、亜鉛、クロム、セレン、カリウム、ヘム鉄、カキ肉エキス、キトサン、キチンオリゴ糖、コラーゲン、コンドロイチン、ウコン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、サンザシ、生姜、霊芝、シジミエキス、スッポン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、サンザシ、霊芝、オオバコ、カミツレ、カモミール、セイヨウタンポポ、ハイビスカス、ハチミツ、ボーレン、ローヤルゼリー、ライム、ラベンダー、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、ビフィズス菌、フェーカリス菌、ラクリス、小麦胚芽油、ゴマ油、シソ油、大豆油、中鎖脂肪酸、アガリクス、イチョウ葉エキス、ウコン、コンドロイチン、玄米胚芽エキス、レイシ、タマネギ、DHA、 EPA、 DPA、甜茶、冬虫夏草、ニンニク、蜂の子、パパイヤ、プーアル、プロポリス、メグスリの木、ヤブシタケ、ロイヤルゼリー、ノコギリヤシ、ヒアルロン酸、コラーゲン、ギャバ、ハープシールオイル、サメ軟骨、グルコサミン、レシチン、ホスファチジルセリン、田七ニンジン、桑葉、大豆抽出物、エキナセア、エゾウコギ、大麦抽出物、オリーブ葉、オリーブ実、ギムネマ、バナバ、サラシア、ガルシニア、キトサン、セントジョーンズワート、ナツメ、ニンジン、パッションフラワー、ブロッコリー、プラセンタ、ハトムギ、ブドウ種子、ピーナッツ種皮、ビルベリー、ブラックコホシュ、マリアアザミ、月桂樹、ラフマ、黒酢、ゴーヤー、マカ、紅花、亜麻、ウーロン茶、花棘、カフェイン、カプサイシン、キシロオリゴ糖、グルコサミン、ソバ、シトラス、食物繊維、プロテイン、プルーン、スピルリナ、大麦若葉、核酸、酵母、椎茸、梅肉、アミノ酸、深海鮫抽出物、ノニ、カキ肉、スッポン、シャンピニオン、オオバコ、アセロラ、パイナップル、バナナ、モモ、アンズ、メロン、イチゴ、ラズベリー、オレンジ、フコイダン、メシマコブ、クランベリー、コンドロイチン硫酸、亜鉛、鉄、セラミド、シルクペプチド、グリシン、ナイアシン、チェストツリー、L-システイン、赤ワイン葉、ミレット、ホーステール、ビオチン、センテラアジアティカ、ハスカップ、ピクノジェノール、フキ、ルバーブ、クローブ、ローズマリー、カテキン、プーアル、クエン酸、ビール酵母、メリロート、ブラックジンガー、ショウガ、ガジュツ、ナットウキナーゼ、ベニコウジ、トコトリエノール、ラクトフェリン、シナモン、韃靼ソバ、ココア、ユズ種子エキス、シソの実エキス、ライチ種子エキス、月見草エキス、黒米エキス、α−リポ酸、ギャバ、生コーヒー豆エキス、フキエキス、キウイ種子エキス、温州みかんエキス、アスタキサンチン、クルミエキス)なども配合することができる。
【0029】
具体的な製法としては、糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を粉末セルロースとともにスプレードライまたは凍結乾燥し、これを粉末、顆粒、打錠または溶液にすることで容易に飲食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また、糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を、例えば、油脂、エタノール、グリセリンあるいはこれらの混合物に溶解して液状にし、飲料に添加するか、固形食品に添加することが可能である。必要に応じてアラビアガム、デキストリン等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし、飲料に添加するか固形食品に添加することも可能である。
【0030】
本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を飲食品に適用する場合の添加量としては、健康を維持することが主な目的であるので、飲食品に対して有効成分の含量が合計1〜20wt%であるのが好ましい。
【0031】
本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤は、薬品(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いてもよい。薬品製剤用の原料に、本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を適宜配合して製造することができる。本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤に配合しうる製剤原料としては、例えば、賦形剤(ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等)、結合剤(蒸留水、生理食塩水、エタノール水、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(アルギン酸ナトリウム、カンテン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖、アラビアゴム末、ゼラチン、エタノール等)、崩壊抑制剤(白糖、ステアリン、カカオ脂、水素添加油等)、吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等)、吸着剤(グリセリン、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、硅酸等)、滑沢剤(精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0032】
本発明による糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤の投与方法は、一般的には、錠剤、丸剤、軟・硬カプセル剤、細粒剤、散剤、顆粒剤、液剤等の形態で経口投与することができるが、非経口投与であってもよい。非経口剤として投与する場合は、溶液の状態、または分散剤、懸濁剤、安定剤などを添加した状態で、ハップ剤、ローション剤、軟膏剤、チンキ剤、クリーム剤などの剤形で適用することができる。
投与量は、投与方法、病状、患者の年齢等によって変化し得るが、大人では、通常、1日当たり有効成分として0.1〜10mg、子供では通常0.5〜5mg程度投与することができる。
【0033】
また、本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤は、哺乳類の動物用飼料に含有することができる。上記動物用飼料は、上記飲食品と同様の方法にて含有することができる。また、上記動物用飼料は、使用する動物は特に限定されず、例えば、牛、豚等の家畜用動物、犬、猫、ハムスタ等の伴侶動物(ペットとして飼われている動物)等にも使用することができる。
また、例えば、伴侶動物の飼料として、穀粉、食肉等を用いることができる。このとき、穀粉としては、小麦粉、米粉、ライ麦粉、えんばく粉、ひえ粉、あわ粉、トウモロコシ粉、大豆粉などが例示でき、これらの穀粉は2種以上を併用してもよい。穀粉を使用することにより、伴侶動物に炭水化物などの栄養素を供給することができる。上記の穀粉の中で小麦粉を使用するのが最も好ましく、小麦粉としては、強力粉、中力粉、薄力粉を単独又は適宜組み合わせて使用することができ、また係る小麦粉と他の穀粉を併用してもよい。更に、加熱処理後の動物用飼料の弾力を調整するために、小麦粉と小麦グルテン、大豆蛋白質などを組み合わせてもよい。なお、小麦粉に含まれるグルテンに由来する網目構造は、加熱処理されると、膨化した組織構造を構成することができ、食感の改善に寄与する。
【0034】
本発明で使用される食肉は特に限定されず、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、山羊肉、兎肉、七面鳥肉、馬肉などを使用するこができるが、風味の点から鶏肉が好適に使用される。上記の食肉は常法により家畜類を屠殺し解体して得られる。なお、中間水分又は低水分状態の製品の品質劣下は主に脂肪の酸化により生じるので、使用する食肉は脂肪含量が少ないか脂肪を取り除いた赤身肉が好適に使用される。また、食肉の共存は、良質の動物性蛋白質の強化と共に伴侶動物に対する嗜好性の改善を図ることができる。
【0035】
伴侶動物の飼料は種々の方法により調製することができるが、好ましい方法としては、穀粉(好ましくは小麦粉)及び食肉を含有した練りあがり原料混合物(以下、「ドウ」という。)を調製し、成形後、加熱処理する方法が例示できる。ドウ中の穀粉及び食肉の組成は特に限定されないが、通常、穀粉5〜60%程度、好ましくは10〜50%程度、食肉5〜80%程度、好ましくは20〜50%程度、及び必要量の水からなるように調整される。また、Aw調整剤を使用する場合には、当該Aw調整剤は5〜30%程度、好ましくは10〜20%程度となるように添加される。なお、水の使用量は、ドウが混練・成形できる程度に、穀粉、食肉、Aw調整剤などの使用量に応じて適宜調整すればよい。
ドウの調製方法は特に限定されないが、好ましくは、まず食肉をサイレントカッター、チョッパーなどにより細挽する。この際、細挽した食肉に気泡が十分に含まれるように細切しておくのが好ましい。ついで、細挽した食肉に、穀粉、水及び必要に応じてAw調整剤などを添加し、十分に混練して気泡を含有させることにより含泡体ドウを調製することができる。ドウの調製に際して、起泡剤を添加してもよく、特に穀粉として小麦粉以外の穀粉を使用する場合には起泡剤を使用するのが好ましい。起泡剤の添加により、ドウ中に微細な気泡を均一に含有させることができる。起泡剤としては各種起泡剤が使用できるが、気泡の安定性などの点から、大豆蛋白系起泡剤及び/又は酵素分解大豆蛋白系起泡剤を使用するのが好ましい。
【0036】
かくして調製されたドウを成形し、加熱処理することにより、本発明の伴侶動物の飼料が得られる。ドウの成形は、本発明の伴侶動物用飼料を伴侶動物が食する際の食べ易さ、飼い主の取扱い易さなどに応じて適宜な形状に成形すればよく、例えば、板状、スティック状、円板状、ドーナツ状、ハート形状などが例示される。また、同一の配合から調製したドウから、各々異なる色調の色素で染色し、又は野菜又はフルーツなどを配合して異なる外観の複数のドウを調製し、それらを多層状又は同心円状に組み合わせて成形することもできる。
成形されたドウの加熱手段は特に限定されず、例えば、オーブン加熱、マイクロ波加熱などが例示される。これらの加熱方法は公知であり、常法に準じて加熱処理を行えばよい。加熱処理後の飼料の水分含量は、通常20〜40%程度である。上記の加熱処理により、水分の蒸発と気泡の膨張によりドウは膨化し、また短時間に水分が蒸発するのでAwが低下し、保存性が向上する。また、穀粉として小麦粉を使用した場合には、加熱処理により、小麦粉に含まれるグルテンに由来する網目構造が固定化し、食感が改善される。なお、オーブン加熱の場合には、飼料に独特の色調(狐色)や香気を生じさせることができる利点があり、一方、マイクロ波加熱による場合には、ドウの内部から加熱することができるので、均質に膨化させることが可能であり、均一な気泡を有する飼料を得ることができる利点がある。上記の加熱処理に際して、得られた飼料のAwが0.6〜0.9の範囲になるように調整するのが好ましい。前述のように、Awをこの範囲に調整することより、飼料の保存性を著しく高めることができる。
【0037】
かくして得られた上記伴侶動物の飼料は、パン状の性状を有する飼料であり、ソフトな食感と適度な柔軟性と弾力性を有するので、幼犬、老齢犬や猫などの歯の弱い伴侶動物の飼料、おやつなどとして好適である。勿論、健常な成犬や成猫の飼料、おやつなどとしても利用することができる。上記動物用飼料は、包装容器に適当量を収納し、密封することにより製品化される。包装容器としては、酸素ガス非透過性の包材を使用するのが好ましい。包装の形態としては、真空包装、不活性ガス充填包装などが例示されるが、脱酸素剤(例えば、エージレスTM等)と共に不活性ガス充填包装するのが好ましい。係る包装形態によれば、保存期間中における酸素による品質劣化と微生物の増殖を防止することができる。
【0038】
また、上記伴侶動物の飼料は、例えば、使用する食肉又はドウには、当業者が慣用的に用いている添加物(例えば、食塩、重合リン酸塩、エリソルビン酸ナトリウム等の酸化防止剤、植物性蛋白質、脱脂粉乳、カゼインナトリウム、卵白、グルテン、貝殻粉、骨粉、ビタミン類、ミネラル類、微量元素、調味料、香料、色素、保存料、pH調整剤等)及び/又は野菜やフルーツを添加することもできる。また、ドウを板状に成形し加熱処理し、その後にスティック状、円板状、ドーナツ状、ハート形状などに切断して飼料を調製してもよい。更に、使用する食肉又はドウに、各種のビタミン類やミネラル類などを配合し、犬又は猫のNRC栄養基準に合致させることもできる。
【0039】
本発明の本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤は、皮膚外用剤(化粧品、医薬品および医薬部外品を含む。)として用いても、糖尿病及び/又は肥満の治療・予防作用を期待することができる。
本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を配合しうる皮膚外用剤の形態としては、例えば、乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、乳液、化粧水、オーデコロン、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、化粧油、日焼け・日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。
また、本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を配合しうる医薬品または医薬部外品の形態としては、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等が挙げられる。
【0040】
上記形態の皮膚外用剤には、本発明による糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤の他に、その糖尿病及び/又は肥満の治療・予防作用を損なわない範囲で化粧品、医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。
例を以下に羅列するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0041】
(1)油分の例
エステル系の油相成分:トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、炭酸ジプロピル、炭酸ジアルキル(C12-18)、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
炭化水素系の油相成分:スクワラン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
動植物油とその硬化油、および天然由来のロウ:牛脂、硬化牛脂、豚脂、硬化豚脂、馬油、硬化馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、魚油、硬化魚油、卵黄油等の動物油およびその硬化油、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、カカオ脂、キウイ種子油、杏仁油、ククイナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、シソ油、茶実油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、硬化ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、硬化ピーナッツ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ホホバ油、硬化ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、綿実油、硬化綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油、ミツロウ、高酸価ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬化ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。
シリコーン系の油相成分:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性シリコーン油、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
フッ素系の油相成分:パーフルオロポリエーテル、フッ素変性オルガノポリシロキサン、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0042】
(2)高級アルコールの例
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2-エチルヘキサノール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0043】
(3)脂肪酸の例
カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2-エチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0044】
(4)紫外線吸収剤の例
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸オクチルジメチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシヒドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2、4、6-トリアニリノ-p-(カルボ-2-エチルヘキシル-1-オキシ)-1、3、5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3、3-ジフェニルアクリレート、フェニルベンゾイミダゾール硫酸、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、イソプロピルジベンゾイルメタン、4-(3、4-ジメトキシフェニルメチレン)-2、5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等、およびこれらの高分子誘導体やシラン誘導体等が挙げられる。
【0045】
(5)粉体・顔料の例
赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号ALレーキ、黄色203号BAレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、デンプン、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)および粒子径に特に制限はない。なおこれらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属セッケン処理、アミノ酸処理、レシチン処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わない。
【0046】
(6)界面活性剤の例
アニオン性界面活性剤:脂肪酸セッケン、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤:カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
天然系界面活性剤:レシチン、サポニン、糖系界面活性剤等が挙げられる。
【0047】
(7)多価アルコール、糖の例
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1、3-ブタンジオール、1、3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。
【0048】
(8)高分子の例
アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28-2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、T-ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP、BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)、カルボキシビニルポリマー(カーボポール、BFGoodrich社製)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレン、BF Goodrich社製)等のアニオン性高分子化合物や、ジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー、三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER、NSC社製)等の両性高分子化合物、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、ISP社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)等のカチオン性高分子化合物、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK、BASF社製)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937、ISP社製)、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチン及びコラーゲンまたはその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
【0049】
(9)生理活性成分の例
生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白成分、抗疲労用組成物、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。これらの好適な配合成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キナエキス、キューカンバ-エキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セ-ジエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、加水分解ペプチド、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシンなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、フィトスフィンゴシン、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコールチゾン等の抗疲労用組成物、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ-オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、DL-α-トコフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、L-メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ-アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、ジンクピリチオン、ヒドロコルチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス等の育毛剤などが挙げられる。
【0050】
(10)酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、トコフェロール、トリルビグアナイド、ノルジヒドログアヤレチン酸、パラヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、リンゴエキスやチョウジエキスなどの酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙げられる。
【0051】
(11)溶媒の例
精製水、エタノール、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【実施例】
【0052】
〔実施例〕
6−ショウガオールの調製
原料としてのアカショウガは、インドネシア産のものを用いた。まず、アカショウガをスライスして乾燥させ、乾燥物100kgを得た。この乾燥物10kgを破砕し、4倍量の重量比でn−ヘキサンで還流し、圧搾物に残存する油分を除いて脱脂物とした。次いで、この脱脂物をエタノール濃度40wt%の含水エタノール80℃で2時間抽出し、エタノール抽出液を乾固させてアカショウガ抽出物1.5gを得た。なお、アカショウガ抽出物の含有成分をHPLC分析したところ、6−ジンゲロールが2wt%、アントシアニンが1wt%、6−ショウガオールが0.2wt%、10−ショウガオールが0.5wt%含有されていた。
このアカショウガ抽出物をHPLC(Prep.ODS,20×250mm,90%メタノール)で精製分離を行い、6−ショウガオールを得た。
【0053】
〔試験例〕
1.成熟脂肪細胞の調製
マウス由来前駆脂肪細胞株3T3−L1(ヒューマンサイエンス研究資源バンク)を24ウェルプレートに撒き、10%FBS(Japan Bioserum社)含有DMEM(シグマ社)にて、5%CO、37℃で培養した。細胞がハイパーコンフルエントになった時点で、分化誘導剤として最終濃度がそれぞれ2μM インスリン(シグマ社)、1μM デキサメタゾン(ICN社)、及び0.25mM 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(ICN社)を含む10%FBS含有DMEMに培地交換し(Day0とする)、3日間培養した。その後2μM インスリン含有10%FBS含有DMEMに培地交換して(Day3)培養を続け、2日間ごとに同様の培地に交換して4日間培養した(Day7)。
【0054】
2.TNF−α存在下での培養
被検物質として6-ショウガオールを検討した。6−ショウガオールをジメチルスルフォキシド(DMSO)に溶解して100mM濃度の溶液を調製した。この溶液を必要に応じて希釈し、10%FBS含有DMEMに、最終濃度が0、10、25μMとなるようにそれぞれ添加した(6−ショウガオール含有培地)。Day7の時点で、当該6−ショウガオール含有培地に交換し、5%CO、37℃で1時間培養した。その後、マウスTNF−α(R&D SYSTEMS社)を最終濃度が10ng/mLとなるように培地に添加し、さらに、15時間、5%CO、37℃で培養した。対照として、6−ショウガオールを含まない培地でTNF−αも添加しないものについても同時に実験を行なった。
【0055】
3.核酸の回収
培地を取り除き、細胞をPBSで洗浄した後に、1ウェルあたり1mLのQIAZOL(キアゲン社)を加え、セルスクレイパーで細胞を回収し、全量を滅菌済みの1.5mL容チューブに加えてヴォルテックスミキサーでよく混合した。さらに、200μLのクロロホルムを加えてヴォルテックスミキサーでよく混合した後、そのまま室温で5分間静置した。次に、12000g、4℃で15分間遠心分離し、水層を新しい1.5mL容チューブに回収した。回収した液に同量のイソプロパノールを加えてよく混合し、室温で5分間静置した。次に、12000g、4℃で15分間遠心分離し、上清を取り除いた。さらに1mLの冷70%エタノールを加えてよく混合した後、12000×g、4℃で5分間遠心分離し、上清を取り除いた。そのまま沈殿を室温で5分間風乾させた。次に、沈殿にジエチルピロカーボネート(DEPC)で処理した水(DEPC処理水)30μLを加えてピペッティングを行い、よく混合した。分光光度計(NanoDrop ND-1000)を用いて、260nmにおける吸光度を測定し、RNA濃度を定量した。
【0056】
3.cDNA合成
得られたRNA1μgを含む、11.5μLのDEPC処理水、4μLの5×PCRバッファー(MBI Fermentas社)、2μLの10mM dNTP mixture(MBI Fermentas社)、0.5μLの40U/μL Ribonuclease Inhibitor(Invitrogen社)、1μLの200U/μL MuLV Reverse Transcriptase(MBI Fermentas社)、1μLの50pmol ランダムプライマー(9mer)(タカラバイオ社)、を加え(計20μL)、30℃で10分間、42℃で30分間、99℃で5分間、及び4℃で5分間反応させ、cDNAを合成した。
【0057】
4.Real time (RT)−PCRによるmRNAの定量
得られたcDNA1μgを含む11.25μLのDEPC処理水、12.5μLのTakara premix Ex Taq(タカラバイオ社)、ROX reference dye(タカラバイオ社)及び1.25μLのTaqMan(R)Gene Expression Assays(品番:Mm00456425_m1(マウスアディポネクチン用)或いはm00607939_s1(マウスβーアクチン用))、アプライドバイオシステムズ社)を加え(計25μL)、7300 real time PCRシステム(アプライドバイオシステムズ社)のプロトコールに従ってRT−PCRによる遺伝子発現量測定を行なった。アディポネクチン遺伝子発現量のmRNA量とβ−アクチン遺伝子発現量のmRNA量を測定し、アディポネクチン遺伝子発現量のmRNA量をβ−アクチン遺伝子発現量のmRNA量で割った値をアディポネクチンの発現量とした。結果を図1に示す。すなわち、6−ショウガオールはTNF−αに起因するアディポネクチンの発現量の抑制を阻害・防止することができた。
以上より、6−ショウガオールがTNF−αに起因するアディポネクチン発現量の抑制を阻害・防止できる抗糖尿病及び/又は抗肥満作用(メタボリックシンドローム予防)を有する物質であると判定した。
【0058】
5.TNF−α非処理の場合におけるアディポネクチン発現量
比較例として、6−ショウガオール(実施例)を10μMあるいは25μMを含有する培地を用い、TNF−αを添加しなかった場合のアディポネクチンmRNA量を、同様にして測定した。結果を図2に示す。TNF−αを添加しなかった場合は、6−ショウガオールを最終濃度として25mMになるように処理すると6−ショウガオール非処理群(コントロール)と比較してアディポネクチンの発現量は有意に上昇した。これにより、6−ショウガオールは、単独でもアディポネクチンの発現量を上昇させる作用を有し、またTNF−αに起因してアディポネクチンの発現量が低下した時にも、アディポネクチンの発現量を上昇させる作用を有していた。
【0059】
以下に本発明の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤(6−ショウガオール)の配合例を挙げるが、下記配合例は本発明を限定するものではない。
配合例1:チューインガム
砂糖 53.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 0.95
6−ショウガオール 0.05
100.0wt%
【0060】
配合例2:グミ
還元水飴 40.9wt%
グラニュー糖 20.0
ブドウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.68
キウイ果汁 4.0
キウイフレーバー 0.6
色素 0.02
6−ショウガオール 0.1
100.0wt%
【0061】
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 33.0
水 14.4
有機酸 2.0
香料 0.56
6−ショウガオール 0.04
100.0wt%
【0062】
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.8wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.065
6−ショウガオール 0.04
香料 微量
水 残余
100.0wt%
【0063】
配合例5:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.545
6−ショウガオール 0.005
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0064】
配合例6:錠菓
砂糖 76.4wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
6−ショウガオール 0.05
精製水 4.35
100.0wt%
【0065】
配合例7:錠剤
乳糖 54.99wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
6−ショウガオール 0.01
100.0wt%
【0066】
配合例8:ソフトカプセル
アカショウガ油 87.99wt%
乳化剤 12.0
6−ショウガオール 0.01
100.0wt%
【0067】
配合例9:顆粒内服剤(医薬品)
6−ショウガオール 0.1wt%
乳糖 30.0
コーンスターチ 60.9
結晶セルロース 8.0
ポリビニールピロリドン 1.0
100.0wt%
【0068】
配合例10:化粧クリーム
スクワラン 20.0wt%
ミツロウ 5.0
精製ホホバ油 5.0
グリセリン 5.0
グリセリンモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン-
モノステアレート 2.0
6−ショウガオール 0.02
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0069】
配合例11:化粧水
エタノール 5.0wt%
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ポリエチレンオレイルエーテル 0.5
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.1
6−ショウガオール 0.01
精製水 残余
100.0wt%
【0070】
配合例12:ボディージェル
マカデミアナッツ油 2.0wt%
ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
ベヘニルアルコール 3.0
ステアリン酸 3.0
バチルアルコール 1.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 2.0
水素添加大豆リン脂質 1.0
セラミド 0.1
パルミチン酸レチノール 0.1
防腐剤 適量
ツボクサ抽出物 1.0
6−ショウガオール 0.01
1、3−ブチレングリコール 5.0
精製水 残余
100.0wt%
【0071】
配合例13:乳液
スクワラン 4.0wt%
ワセリン 2.5
セタノール 2.0
グリセリン 2.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
ステアリン酸 1.0
L−アルギニン 1.0
6−ショウガオール 0.05
水酸化カリウム 0.1
香料 微量
精製水 残余
100.0wt%
【0072】
配合例14:浴用剤(液状)
プロピレングリコール 50.45wt%
エタノール 20.0
硫酸ナトリウム 5.0
6−ショウガオール 0.05
ラノリン 0.5
アボガド油 0.5
色素 1.5
香料 22.0
100.0wt%
【0073】
配合例14:キャットフード
とうもろこし 34.99wt%
小麦粉 35.0
ミートミール 15.0
牛脂 8.99
食塩 1.0
かつおエキス 4.0
6−ショウガオール 0.01
タウリン 0.01
ビタミン類 0.5
ミネラル類 0.5
100.0wt%
【0074】
配合例15:ドッグフード
とうもろこし 34.95wt%
肉類(チキン) 15.0
脱脂大豆 10.0
小麦粉 25.0
糟糠類 5.0
6−ショウガオール 0.05
動物性油脂 8.9
オリゴ糖 0.1
ビタミン 0.5
ミネラル 0.5
100.0wt%
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上説明したように、本発明は、新規の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】6−ショウガオールが、TNF−α処理後の成熟脂肪細胞におけるアディポネクチンの発現量に与える影響を表すグラフである。
【図2】6−ショウガオールが、TNF−α処理を行わなかった成熟脂肪細胞におけるアディポネクチンの発現量に与える影響を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショウガオール類を有効成分として含有することを特徴とする糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤。
【請求項2】
前記ショウガオール類は、6−ショウガオールであることを特徴とする請求項1に記載の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を含有するヒトを含む哺乳類動物用医薬品。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を含有するヒトを含む哺乳類動物用皮膚外用剤。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を含有する飲食品。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の糖尿病及び/又は肥満の治療・予防剤を含有する哺乳類動物用飼料。




【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−189571(P2008−189571A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24008(P2007−24008)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(594045089)オリザ油化株式会社 (96)
【Fターム(参考)】