説明

紛粒体の充填包装装置

【課題】 長尺フィルムに形成される扁平状袋部内に、紛粒体を高速に充填することができるようにした紛粒体の充填包装装置を提供する。
【解決手段】 長さ方向に搬送される長尺フィルム1を有底状に二つ折りとし、該長尺フィルム1を幅方向にシールすることにより、上向きの挿入口3aを設けた扁平状袋部3,3…を多数連続して形成し、前記挿入口3aから各扁平状袋部3内に紛粒体Fを充填するため、バレル10と、駆動装置20とを備える。バレル10は、紛粒体Fを受容する幅広のシュート部11と紛粒体Fを排出する扁平なノズル部12とが上下方向に連続して設けられる。駆動装置20は、前記バレル10を多数、環状に連結し、該バレル10を前記扁平状袋部3と並進するように搬送し、かつ、前記バレル10内の紛粒体Fを扁平状袋部3内に充填する間のみノズル部12を扁平状袋部3内に挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状物や粉状物からなる健康食品や粉末食品などの紛粒体が所定量ずつ袋体内に封入されるようにした紛粒体の充填包装装置に関し、詳しくは、二つ折り状態にされた長尺フィルムに形成される扁平状袋部内に紛粒体を充填するようにした紛粒体の充填包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉状物や粒状物からなる健康食品や粉末食品などの紛粒体は、所定量ずつ袋体内に封入されている。紛粒体を所定量ずつ袋体内に封入するようにした自動包装機が特許文献1に開示されている。
【0003】
この自動包装機は、図6および図7に示すように、機枠100に回転軸101が鉛直方向に支承され、回転軸101の頂部にホッパー102が固定され、そして、回転軸101の中間部に回転体103が固定されている。ホッパー102と回転体103とは同一方向に同一速度で回転する。
【0004】
ホッパー102内は、回転しない2枚のスクレーパ104,104によって広い部分と狭い部分とに仕切られている。また、ホッパー102の底板には、多数の定量充填口102a,102a…が等間隔で環状に形成されている。そして、ホッパー102の底板の下側には、スクレーパ104,104によって仕切られた広い部分側に形成されている定量充填口102a,102a…のみ塞ぐ盲板105が配置されている。
【0005】
また、回転体103の周囲には、複数のシール装置106,106…が等間隔に配置されている。各シール装置106は、一対の可動片106a,106aを備えている。この一対の可動片106a,106aは、スクレーパ104,104によって仕切られた広い部分側の3分の2の領域で離隔し、残りのほぼ3分の1の領域で近接する方向に移動し、長尺フィルム1を幅(上下縦)方向にシールする。長尺フィルム1は、中心線を折目として有底状に二つ折りにされ、長さ方向に搬送される。
【0006】
また、回転体103の周囲には、多数の漏斗状のノズル107,107…が配置されている。ノズル107,107…は昇降動し、下降したときに、下端部が前記シール装置106,106…の可動片106a,106aに挟まれた状態の長尺フィルム1間内に挿入される。
【0007】
この自動包装機は以上のように構成され、次に、紛粒体を袋体2内に充填する方法について説明する。まず、長尺フィルム1を有底状の二つ折りとして、シール装置106の方へ搬送する。そして、ノズル107の下端部が長尺フィルム1間内に挿入された状態で、シール装置106が回転しながら長尺フィルム1を幅方向にシールし、充填空間である扁平状袋部を形成する。
【0008】
一方、ホッパー102内には、スクレーパ104,104によって仕切られた広い部分側に紛粒体が供給される。そして、ホッパー102が回転することにより、紛粒体はスクレーパ104,104によって掻き取られ、定量充填口102a,102a…内に所定量だけ充填された状態となる。そして、この定量充填口102a,102a…が盲板105のない位置まで移動すると、紛粒体はノズル107,107…内に落下し、長尺フィルム1の幅方向のシールされた扁平状袋部内に供給される。
【0009】
そして、ノズル107の下端部が長尺フィルム1内から上昇した後、長尺フィルム1はシール装置106から外れて直進し、回転ロール形シール装置110によって上部が長さ方向に連続してシールされる。最後に、回転カッター111によって幅方向にシールされた部分の長尺フィルム1が切断されることにより、紛粒体を封入した袋体2が完成する。
【0010】
【特許文献1】特公昭51−32155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示された自動包装機は、長尺フィルム1、ノズル107,107…、そしてシール装置106,106などが半周することによって紛粒体を扁平状袋部内に充填するため、高速化することが困難であり、生産性が悪いものとなっている。その他の従来の紛粒体の充填包装装置も、一般的に1分間に80袋しか生産することができない。
【0012】
そこで、本発明は、長尺フィルムに形成される扁平状袋部内に、紛粒体を高速に充填することができるようにした紛粒体の充填包装装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る紛粒体の充填包装装置は、長さ方向に搬送される長尺フィルムを有底状に二つ折りとし、該長尺フィルムを幅方向にシールすることにより、上向きの挿入口を設けた扁平状袋部を多数連続して形成し、前記挿入口から各扁平状袋部内に紛粒体を充填する紛粒体の充填装置であって、上方から落下する定量の紛粒体を受容する幅広のシュート部と前記紛粒体を排出する扁平なノズル部とが上下方向に連続して設けられたバレルと、該バレルを多数、環状に連結し、各バレルを前記扁平状袋部と並進するように搬送し、かつ、前記バレル内の紛粒体を扁平状袋部内に充填する間のみノズル部を扁平状袋部内に挿入する駆動装置とが備えられていることを特徴としている。
【0014】
この紛粒体の充填包装装置によれば、シュート部の上方から落下する紛粒体がバレル内に受容される。紛粒体が一定の時間に落下する量を一定とし、かつ、バレルの搬送速度を一定とすることにより、各バレル内には一定量の紛粒体が受容される。この一定量の紛粒体は、ノズル部が扁平状袋部内に挿入されている間に、ノズル部から扁平状袋部内に自重によって落下する。バレルは、駆動装置によって、扁平状袋部と並進する、すなわち扁平状袋部と同一搬送方向、かつ、同一速度で搬送される。したがって、ノズル部は、下降することによって、扁平状袋部内に挿入される。バレル内の紛粒体が扁平状袋部内に全て充填されると、ノズル部が扁平状袋部内から排出される。換言すれば、ノズル部が扁平状袋部内に挿入されている時間および搬送距離は、バレル内の紛粒体が全て扁平状袋部内に充填される時間から設定される。
【0015】
また、前記紛粒体の充填包装装置において、前記バレルは、シュート部が前傾姿勢となっていることが好ましい。
【0016】
この紛粒体の充填包装装置によれば、シュート部が前傾姿勢とされることにより、バレル内に受容された紛粒体がシュート部の後方(上流)側の内壁に堆積することなく、ノズル部の方へ落下させることができる。すなわち、バレルが高速に搬送される場合においては、シュート部内に落下した紛粒体は、シュート部の後方側の内壁に押し当てられる状態となる。したがって、シュート部が鉛直姿勢であると、シュート部の後方側の内壁に紛粒体が堆積することもあり得る。しかし、シュート部が前傾姿勢であると、紛粒体はシュート部の後方側の内壁に堆積することなく、全てノズル部の方へ落下する。
【0017】
また、前記紛粒体の充填包装装置において、前記バレルは、シュート部とノズル部とが分離しており、ノズル部のみ昇降動することが好ましい。
【0018】
この紛粒体の充填包装装置によれば、ノズル部のみ昇降動する、すなわち、シュート部が昇降動しないことにより、特に、前記のようにシュート部が前傾姿勢とされる場合において、シュート部の搬送機構を簡素化することができる。なお、シュート部が鉛直姿勢の場合においては、バレルはシュート部とノズル部とが一体化したものとし、シュート部も昇降動するようにしてもよい。
【0019】
また、前記紛粒体の充填包装装置において、前記駆動装置は、前記各バレルを保持する無端のベルトと、前記ノズル部を昇降動させるスライド機構とを備えていることが好ましい。
【0020】
この紛粒体の充填包装装置によれば、各バレルがタイミングベルトのような無端のベルトに保持されることにより、各バレルは一定の速度で、しかも高速に循環して搬送される。また、ベルトは、チェーンを使用たときのように金属紛が発生することもなく、衛生上も優れている。そして、スライド機構によって、ノズル部が昇降動し、紛粒体を扁平状袋部内に充填するときのみノズル部を扁平状袋部内に挿入することができる。
【0021】
また、前記紛粒体の充填包装装置において、前記スライド機構は、前記各バレルの間隔と同じ間隔で前記ベルトに固定されたベースプレートと、前記ノズル部を保持し、かつ、ベースプレートに沿って昇降動するスライダと、該スライダの下端部を支承し、ノズル部が扁平状袋部の外側と内部とに位置するように昇降させる板カムとを備えていることが好ましい。
【0022】
この紛粒体の充填包装装置よれば、スライダの下端部が板カムに支承されるため、スライダは板カムに沿って昇降動する。スライダが昇降動することによって、スライダに保持されたノズル部が昇降動する。板カムは、紛粒体を扁平状袋部内に充填する位置において、下側に変位し、スライダが下降することにより、ノズル部が扁平状袋部内に挿入される。なお、シュート部とノズル部とが前記のように分離している場合は、シュート部はベースプレートに保持され、ノズル部のみ昇降動し、シュート部とノズル部とが一体に形成されている場合は、シュート部もノズル部と一体に昇降動する。
【0023】
また、前記紛粒体の充填包装装置において、前記バレルは、隣り合っているシュート部の開口した上端同士が当接していることが好ましい。
【0024】
この紛粒体の充填装置によれば、各バレルのシュート部の開口端縁同士が当接していることにより、紛粒体が連続してシュート内に落下しても、紛粒体は、隣り合っているバレルのシュート部間にこぼれることなく、全てバレル内に受容される。
【0025】
また、前記紛粒体の充填包装装置において、前記バレルのノズル部が下降して、二つ折りにされた長尺フィルム間に挟まれる状態で、長尺フィルムを幅方向にシールし、扁平状袋部を形成するシール装置が備えられていることが好ましい。
【0026】
この紛粒体の充填包装装置によれば、ノズル部が既に形成された扁平状袋部の挿入口から挿入されるのではなく、ノズル部が二つ折りにされた長尺フィルム間に挟まれた状態で、シール装置が長尺フィルムの下流側を幅方向にシールし、扁平状袋部を形成することにより、ノズル部を扁平状袋部内に挿入した状態とすることができる。
【0027】
また、前記紛粒体の充填包装装置において、前記シュート部内に落下する紛粒体を一定時間に一定量排出する定量供給装置が備えられていることが好ましい。
【0028】
この紛粒体の充填包装装置によれば、定量供給装置が備えられたことにより、紛粒体がシュート部内に一定時間に一定量落下するようにすることができ、各扁平状袋部内には、一定量の紛粒体が充填され、品質管理を的確に行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、一定量の紛粒体が受容されるバレルのノズル部が長尺フィルムに形成された扁平状袋部内に挿入され、バレル内に受容された紛粒体が全て扁平状袋部内に充填されることにより、扁平状袋部内には一定量の紛粒体が充填される。したがって、バレルと扁平状袋部とを高速に搬送することにより、生産性を向上させることができる。この結果、本発明に係る紛粒体の充填包装装置を使用して生産される健康食品や粉末食品などの紛粒体を封入した袋体からなる商品は、コストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明に係る紛粒体の充填包装装置の第1の実施形態について、図1ないし図3を参照しながら説明する。この第1の実施形態における紛粒体の充填包装装置は、図1に示すように、ロールRから繰り出され、長さ方向に搬送される長尺フィルム1が中心線を折目として有底状に二つ折りにされ、連続して形成される各扁平状袋部3,3…内に紛粒体Fを高速に充填する装置であり、多数のバレル10,10…と、このバレル10を駆動する駆動装置20と、紛粒体Fをバレル10内に供給する定量供給装置30と、長尺フィルム1をシールするシール装置40などを備えている。
【0031】
バレル10は、図2に示すように、上方から落下する紛粒体Fを受容するシュート部11と、紛粒体Fを下方に排出するノズル部12とを上下方向に連続して設けたものである。シュート部11は、長方形状に幅広に開口した上端から下方に次第に狭窄する受け口11aと、狭い幅で扁平な角筒状の連結部11bとが一体成形され、鉛直姿勢の連結部11bに対して、受け口11aが前傾姿勢となるように成形されている。また、受け口11aと連結部11bの境界部は、円弧形とされている。
【0032】
そして、ノズル部12は、前記連結部11bよりも一回り大きな角筒状で、連結部11bを挿入する状態に嵌め込んでいる。シュート部11は昇降動しないが、ノズル部12は後記のスライド機構22によって昇降動する。また、ノズル部12と連結部11bとの間には、図3に示すように、空気抜きのための隙間13が設けられている。
【0033】
このようなバレル10は、隣り合っているシュート部11の受け口11aの上端同士が接合するように、駆動装置20によってトラック形状に多数連結されている。すなわち、駆動装置20は、バレル10を直進させるラインを設けている。また、この直進するラインは、長尺フィルム1の搬送ラインと重なり合っている。
【0034】
そして、駆動装置20は、無端のベルト21とスライド機構22とを備えている。無端のベルト21は、一対の駆動ローラ23,23に掛止され、多数のバレル10,10…を高速に循環させる。したがって、このベルト21は、すべりが生じない例えばタイミングベルトを使用することが好ましい。なお、駆動装置20として、無端のベルト21を使用することにより、金属紛などが発生する虞のあるチェーンよりも衛生的に実施することができる。
【0035】
一方、スライド機構22は図3に示すように、各バレル10,10…の間隔と同じ間隔でベルト21に固定されたベースプレート24と、このベースプレート24に鉛直姿勢で固定されたスライドレール25と、このスライドレール25に案内されて昇降動するスライダ26と、ノズル部12を扁平状袋部3内に挿入・排出するための板カム27とを備えている。なお、スライドレール25は、図示したようにベースプレート24から突出したもの以外に、ベースプレート24に形成する溝とし、スライダ26は、この溝に係入する凸条を形成したものとすることもできる。
【0036】
そして、前記ベースプレート24はホルダ24aによってシュート部11を保持し、シュート部11を一定の高さを維持しながら搬送する。また、スライダ26は、ホルダ26aによってノズル部12を保持し、スライダ26が昇降動することにより、ノズル部12が昇降動するようにされている。スライダ26の下端部には、ローラ28が取り付けられ、スライダ26がスムーズに板カム27上を移動するようにされている。板カム27は図2に示すように、ベルト21の下方に配置され、ノズル部12を扁平状袋部3内に挿入する範囲のみ下側に偏位している。
【0037】
そして、ノズル部12が扁平状袋部3内に挿入される位置において、バレル10内に紛粒体Fを落下させる定量供給装置30が配備されている。定量供給装置30は、図1に示すように、電子天秤31上に紛粒体Fを貯めるホッパー32が設置され、このホッパー32の端板の底部に紛粒体Fを排出するダクト33が取り付けられたもので、ダクト33の先端の吐出口34は、シュート部11の搬送ライン上であって、ノズル部12が扁平状袋部3内に挿入される位置の上方に配置されている。
【0038】
また、電子天秤31によってホッパー32内の紛粒体Fの減量状態が確認され、一定時間に一定量(以下、「定速」という。)の紛粒体Fがダクト33から連続して排出される。さらに、紛粒体Fが定速でダクト33から排出されるようにするため、ホッパー32内および/またはダクト33内には、スクリュー(図示せず)が内蔵されている。
【0039】
このような定量供給装置30のダクト33から落下する紛粒体Fは、扁平状袋部3内に充填されるが、扁平状袋部3は、長尺フィルム1がシール装置40によって幅方向にシールされることによって形成される。シール装置40には、図1に示すように、長尺フィルム1を幅方向にシールする第1と第2の縦方向のシール装置41,42と、長尺フィルム1の離隔している両側縁をシールする横方向のシール装置43とがある。
【0040】
長尺フィルム1は、上流側に配置されたロールRから繰り出され、途中において中心線を折目とした有底状の二つ折りとされる。二つ折りにされた長尺フィルム1は、前記バレル10が直進するラインの下側に並んで直進するように搬送される。
【0041】
第1と第2の縦方向のシール装置41,42は、二つ折りにされた長尺フィルム1を両側から挟む一対のローラ41a,41a、42a,42aによって構成され、各ローラ41a,42aの表面にヒータバーが41b,41b、42b,42b突設されている。ヒータバー41b,41b、42b,42bは、例えば図示したようにローラ41a,42aの表面に一対、突設される。この場合は、ローラ41a,42aが半回転するごとに、ヒータバー41b,42bが長尺フィルム1を両側から挟んで幅方向にヒートシールする。したがって、ヒータバー41b,42bは、ローラ41a,42aの回転速度や形成する扁平状袋部3の幅によって、1本のみ又は3本以上とすることもできる。
【0042】
ただし、扁平状袋部3が形成された後に、扁平状袋部3の挿入口3aからノズル部12を挿入することは困難である。したがって、第1の縦方向のシール装置41は、図2の仮想線に示すように、ノズル部12が二つ折りにされた長尺フィルム1間に挟まれた状態でシールすることができる位置に配置される。
【0043】
長尺フィルム1は長さ方向に搬送されるため、第1の縦方向のシール装置41によってシールされた部分は、下流側に搬送される。したがって、ノズル部12が長尺フィルム1間に挟まれた状態で第1の縦方向のシール装置41が長尺フィルム1を幅方向にシールすると、ノズル部12を挿入した状態の扁平状袋部3が形成される。
【0044】
そして、第2の縦方向のシール装置42は、第1のシール装置41の下流側に配置され、ヒータバー42bの表面には、ローレットのような凹凸目が形成され、シール強度を高めるとともに、外観上の装飾的作用が発揮されるようにしている。なお、第1の縦方向のシール装置41によって、必要なシール強度が得られるときは、第2の縦方向のシール装置42を省略することができる。
【0045】
また、横方向のシール装置43は、第1と第2の縦方向のシール装置41,42によってシールされた間隔以上の長さの一対のバー43a,43aによって構成され、この一対のバー43a,43aが長尺フィルム1の両側縁部を挟むことにより、この部分が横方向にシールされ、三方がシールされた袋体2が形成される。
【0046】
この横方向のシール装置43の下流側には、横方向にシールされた部分にローレットのような凹凸目を形成するためのローラ43b,43bが配置されている。さらに、下流側には、縦方向にシールされた部分を切断するカッター(図示せず)が配置されている。また、微紛を吸い込むための溝状の吸気口を有する集塵装置50が、図3に示すようにベルト21に沿って配置されている。
【0047】
第1の実施形態における紛粒体の充填包装装置は、このように構成され、次に、紛粒体Fを袋体2内に充填する方法について説明する。
【0048】
ロールRから繰り出された長尺フィルム1は、中心線において二つ折りとされ、有底状、すなわち上側を離隔した状態として長さ方向に搬送される。そして、第1の縦方向のシール装置41によって、幅方向にシールされ、上向きの挿入口3aを設けた扁平状袋部3を形成する。
【0049】
このとき、図2に示すように、バレル10のノズル部12が下降して、扁平状袋部3内に挿入されている。すなわち、長尺フィルム1と同一速度で直進するベルト21にベースプレート24が固定され、このベースプレート24に沿って昇降動するスライダ26がノズル部12を保持し、扁平状袋部3が形成される位置において、板カム27が下側に変位することにより、スライダ26が下降し、スライダ26に保持されたノズル部12も下降して、扁平状袋部3内に挿入される。
【0050】
この時、シュート部11は、上方のダクト33から落下する紛粒体Fを受容する。紛粒体Fは、定量供給装置30のホッパー32内からダクト33を通って定速、かつ、連続してバレル10内に自重によって落下する。バレル10は、定速で搬送されていることから、シュート部11が紛粒体Fの落下地点を通過する間に、各バレル10内には定量の紛粒体Fが供給される。この時、ノズル部12は、扁平状袋部3内に挿入されていることから、紛粒体Fは扁平状袋部3外へこぼれることがない。
【0051】
そして、この紛粒体Fは、図2に示すように、自重によってシュート部11内に落下するが、バレル10が高速で搬送されていることから、シュート部11の後側板11cの内壁に押し付けられる状態となる。しかし、シュート部11が前傾姿勢とされていることにより、紛粒体Fは、シュート部11の後側板の内壁に堆積することなく、ノズル部12の方へ落下する。さらに、シュート部11の受け口11aと連結部11bとの境界部が円弧状とされることにより、この部分にも紛粒体Fが堆積しない。
【0052】
また、ノズル部12と連結部11bとの間には、空気抜きが設けられているため、紛粒体Fはノズル部12から扁平状袋部3内にスムーズに充填される。なお、紛粒体Fがノズル部12から落下した後、扁平状袋部3内に充填されるまでの間において、微紛が立ち上がることがあっても、この微紛は集塵装置50に吸い込まれる。
【0053】
そして、バレル10内に落下した紛粒体Fが全て扁平状袋部3内に落下することにより、扁平状袋部3内には所定量の紛粒体Fが充填される。バレル10および扁平状袋部3は、高速に搬送されるが、直進するラインが設けられているため、バレル10内に落下した全ての紛粒体Fが扁平状袋部3内に充填される。換言すれば、直進するラインは、バレル10内の紛粒体Fを全て扁平状袋部3内に充填するために必要な長さに設定されている。
【0054】
紛粒体Fがバレル10内から全て排出された後、スライダ26が板カム27に案内されて上昇することにより、ノズル部12は扁平状袋部3の上方へ排出される。図2においては、ノズル部12は2ピッチで上昇する場合を模式的に描いてあるが、実際は3ピッチ以上でノズル部12が上昇することもあることもある。
【0055】
そして、バレル10,10…は、ベルト21に多数、連結され、各バレル10のノズル部12が次々と形成される扁平状袋部3内に挿入されることにより、各扁平状袋部3内には紛粒体Fが次々と高速に充填される。
【0056】
このようにして、扁平状袋部3内に紛粒体Fを充填した長尺フィルム1は下流側へ搬送され、第2の縦方向のシール装置42が、既に幅方向にシールされている部分に重ねて幅方向のシールをする。第2の縦方向のシール装置42によって、幅方向のシール部分に凹凸目が形成されるとともに、シール強度が高められる。そして、さらに下流側において、扁平状袋部3の挿入口3aが横方向のシール装置43のバー43a,43aによってシールされ、ローラ43b,43bによって凹凸目が形成される。さらに、下流側において、カッターが縦方向にシールされた部分を切断すると、紛粒体Fを封入した袋体2が完成する。この袋体2は、例えば1分間に2,000袋以上製造することができる。
【0057】
次に、本発明に係る紛粒体の充填包装装置の第2の実施形態について、図4を参照しながら説明する。この第2の実施形態における紛粒体の充填包装装置は、バレル10の受け口11aの後側板11cの全体と前側板の上端部11dとを鉛直姿勢としたことを特徴としている。
【0058】
このようなシュート部11は、隣り合っているバレル10の後側板11cとバレル10の前側板の上端部11dとが面で密着し、この両側板11c,11d間に隙間が生じない。したがって、バレル10の搬送路の上方に配置されたダクト33の吐出口34から落下する紛粒体Fは、隣り合っているシュート部11間にこぼれることなく、確実にシュート部11内に落下し、バレル10内には一定量の紛粒体Fが受容される。
【0059】
ただし、このようなバレル10は、高速で搬送されると、紛粒体Fがシュート部11の後側板の内壁に堆積することもあり得る。したがって、シュート部11は、紛粒体Fが必ず滑り落ちるような材質のものが使用される。あるいは、紛粒体Fがシュート部11の後側板の内壁に堆積しない速度でバレル10を搬送させる。
【0060】
第2の実施形態の他の構成は、第1の実施形態と同じであるため、その説明は省略する。
【0061】
次に、本発明に係る紛粒体の充填包装装置の第3の実施形態について、図5を参照しながら説明する。この第3の実施形態における紛粒体の充填包装装置は、シュート部11とノズル部12とを一体化したバレル10を使用することを特徴としている。
【0062】
したがって、このバレル10は、シュート部11がベースプレート24に保持されず、バレル10全体がスライド機構22によって昇降動するようにされている。すなわち、シュート部11とノズル部12がスライダ26に保持されるようにしてもよいし、シュート部11またはノズル部12の一方のみがスライダ26に保持されるようにしてもよい。
【0063】
また、シュート部11は、前記第1または第2の実施形態で示したような形状とすることもできるが、図5に示すような漏斗形状としてもよい。ただし、漏斗形状のシュート部11は、第2の実施形態で説明したシュート部11以上に紛粒体Fが内壁上に蓄積しやすい。したがって、このようなシュート部11を使用する場合は、バレル10が低速で搬送される場合において好適に実施することができる。
【0064】
また、シュート部11はノズル部12と一体に昇降動するため、隣り合っているバレル10のシュート部11同士を密着させることができない。したがって、隣り合っているシュート部11,11同士間に隙間が生じても、この隙間に紛粒体Fがこぼれ落ちないようにするためのカバー14が備えられている。
【0065】
このカバー14は、隣り合っているシュート部11,11間の上方を覆うように後側板11cを延長して設けられる。このカバー14は、図示したようなヘ字形以外に、先端部を下向きに屈曲した形状のものなど、任意の形状とすることができる。
【0066】
第3の実施形態の他の構成は、第1の実施形態と同じであるため、その説明は省略する。
【0067】
なお、本発明は、前記3つの実施形態に限定することなく特許請求の範囲に記載した技術的事項の範囲内において種々変更することができる。例えば、紛粒体Fは、ダクト33から連続して落下するのではなく、断続的に落下するようにしてもよい。この場合は、隣り合っているバレル10,10のシュート部11,11間に隙間が生じてもよい。また、前記の実施形態では、トラック形状に循環するバレル10が往路において紛粒体Fを扁平状袋部3内に充填する場合について説明したが、復路においても同様に実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明にかかる紛粒体の充填包装装置の第1の実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明にかかる紛粒体の充填包装装置の第1の実施形態を示す要部拡大正面図である。
【図3】本発明にかかる紛粒体の充填包装装置の第1の実施形態を示す要部拡大斜視図である。
【図4】本発明にかかる紛粒体の充填包装装置の第2の実施形態を示す要部拡大正面図である。
【図5】本発明にかかる紛粒体の充填包装装置の第3の実施形態を示す要部拡大正面図である。
【図6】従来の自動包装機の断面正面図である。
【図7】従来の自動包装機の平面図である。
【符号の説明】
【0069】
1……長尺フィルム
3……扁平状袋部
3a…挿入口
10……バレル
11……シュート部
12……ノズル部
20……駆動装置
21……ベルト
22……スライド機構
24……ベースプレート
26……スライダ
27……板カム
40……シール装置
41……第1のシール装置
F……紛粒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向に搬送される長尺フィルムを有底状に二つ折りとし、該長尺フィルムを幅方向にシールすることにより、上向きの挿入口を設けた扁平状袋部を多数連続して形成し、前記挿入口から各扁平状袋部内に紛粒体を充填する紛粒体の充填装置であって、
上方から落下する定量の紛粒体を受容する幅広のシュート部と前記紛粒体を排出する扁平なノズル部とが上下方向に連続して設けられたバレルと、
該バレルを多数、環状に連結し、各バレルを前記扁平状袋部と並進するように搬送し、かつ、前記バレル内の紛粒体を扁平状袋部内に充填する間のみノズル部を扁平状袋部内に挿入する駆動装置とが備えられていることを特徴とする紛粒体の充填包装装置。
【請求項2】
前記バレルは、シュート部が前傾姿勢となっていることを特徴とする請求項1に記載の紛粒体の充填包装装置。
【請求項3】
前記バレルは、シュート部とノズル部とが分離しており、ノズル部のみ昇降動することを特徴とする請求項1または2に記載の紛粒体の充填包装装置。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記各バレルを保持する無端のベルトと、前記ノズル部を昇降動させるスライド機構とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の紛粒体の充填包装装置。
【請求項5】
前記スライド機構は、前記各バレルの間隔と同じ間隔で前記ベルトに固定されたベースプレートと、前記ノズル部を保持し、かつ、ベースプレートに沿って昇降動するスライダと、該スライダの下端部を支承し、ノズル部が扁平状袋部の外側と内部とに位置するように昇降させる板カムとを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の紛粒体の充填包装装置。
【請求項6】
前記バレルは、隣り合っているシュート部の開口した上端同士が当接していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の紛粒体の充填包装措置。
【請求項7】
前記バレルのノズル部が下降して、二つ折りにされた長尺フィルム間に挟まれる状態で、長尺フィルムを幅方向にシールし、扁平状袋部を形成するシール装置が備えられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の紛粒体の充填包装装置。
【請求項8】
前記シュート部内に落下する紛粒体を一定時間に一定量排出する定量供給装置が備えられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の紛粒体の充填包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−51977(P2006−51977A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234349(P2004−234349)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(593089666)池田機械産業株式会社 (21)
【Fターム(参考)】