説明

素子搭載部材ウエハの製造方法及び素子搭載部材の製造方法

【課題】素子搭載部材ウエハの状態であってもそれぞれの素子搭載部材となる部分の電気的特性を検査することができ、部品素子用凹部空間を所定の位置に設けることができる生産性のよい素子搭載部材ウエハの製造方法及び素子搭載部材の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】レーザーを用いて、一方の主面に部品素子用凹部空間が設けられている他方の主面に外部端子が設けられている素子搭載部材が行列状に設けられている素子搭載部材ウエハのそれぞれの素子搭載部材となる部分の縁に沿って溝を設けつつ、所定の一つの前記素子搭載部材の外部端子と隣接する所定の他の一つの前記素子搭載部材の外部端子とを電気的に接続している接続膜を切断する接続膜切断溝形成工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品素子が気密封止されている電子部品に用いられる素子搭載部材ウエハの製造方法及び素子搭載部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋部材と素子搭載部材とが接合されて素子搭載部材に搭載されている部品素子が気密封止されている電子部品は、例えば、その部品素子が圧電振動素子である圧電デバイスがある。
【0003】
ここで、圧電デバイスの一例である圧電振動子について説明する。
圧電振動子は、例えば、部品素子である圧電振動素子と蓋部材と素子搭載部材とから主に構成されている。
【0004】
蓋部材は、例えば、金属が用いられ、矩形形状の平板状となっている。
また、蓋部材は、素子搭載部材と接合されるために、例えば、一方の主面の縁に沿って環状の蓋部材接合用膜が設けられている。
【0005】
部品素子である圧電振動素子は、例えば、圧電片と励振電極と引き回し電極とから主に構成されている。
圧電片は、例えば、圧電材料が用いられ、矩形形状の平板状に設けられている。
励振電極は、例えば、2つ一対となっている。
また、励振電極は、一方の励振電極が圧電片の一方の主面に設けられており、他方の励振電極が圧電片の他方の主面であって一方の励振電極と対向する位置に設けられている。
引き回し電極は、例えば、2つ一対となっている。
また、引き回し電極は、一方の端部が所定の励振電極に接続されており、他方の端部が所定の励振電極が設けられている圧電片の主面と対向する主面であって圧電片の一方の端部に位置するように設けられている。
【0006】
素子搭載部材は、例えば、セラミックスが用いられ、基板部と枠部とから主に構成されている。
【0007】
基板部は、例えば、矩形形状の平板状に設けられており、一方の主面に搭載端子が設けられ、他方の主面に複数の外部端子が設けられている。
搭載端子は、例えば、2つ一対となっており、基板部の一方の短辺側に沿って2つ並んで設けられている。
搭載端子は、例えば、圧電振動素子に設けられた引き回し電極と導電性接着剤により固定されている。
外部端子は、例えば、4つ設けられ、基板部の他方の主面の4隅に一つずつ設けられている。
所定の外部端子が、所定の搭載端子と電気的に接続された状態となっている。
【0008】
枠部は、貫通している孔が中央部に設けられた枠状の平板状となっている。
また、枠部は、基板部の一方の主面に設けられ、素子搭載部材に部品素子用凹部空間が設けられる。
枠部は、枠部と基板部とが接している面に対向する面の縁に沿って環状の素子搭載部材接合用膜が設けられる。
ここで、素子搭載部材接合用膜は、素子搭載部材と蓋部材とを接合する役割を果たす。
【0009】
素子搭載部材は、基板部の一方の主面に枠形状の枠部が設けられて、部品素子用凹部空間が設けられる。
また、素子搭載部材は、部品素子用凹部空間の底面に搭載端子が設けられており、一方の主面の縁に沿って環状の素子搭載部材接合用膜が設けられている。
ここで、素子搭載部材の一方の主面は、枠部と基板部とが接している面に対向する枠部の面、つまり、部品素子用凹部空間が設けられている主面となっている。
また、素子搭載部材の他方の主面は、枠部と基板部とが接している面に対向する基板部の面、つまり、外部端子が設けられている基板部の他方の主面となっている。
【0010】
電子部品である圧電振動子は、 例えば、素子搭載部材の搭載端子と圧電振動素子の引き回し電極とが導電性接着剤により固定されて、素子搭載部材に部品素子である圧電振動素子が搭載されている。
また、電子部品である圧電振動子は、素子搭載部材接合用膜と蓋部材接合用膜とが重ね合わされた状態で溶融され素子搭載部材と蓋部材とが接合されて、素子搭載部材に搭載されている圧電振動素子が気密封止された状態となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
このような素子搭載部材は、例えば、複数の素子搭載部材となる部分が行列状に設けられている素子搭載部材ウエハが製造された後に個片化されることで製造されている。
素子搭載部材ウエハの製造方法は、例えば、形状打ち抜き工程、埋め込み工程、スクリーン印刷工程、積層工程、割断溝形成工程、焼結工程、めっき工程、個片化工程とから主になっている。
【0012】
(形状打ち抜き工程)
形状打ち抜き工程は、複数の基板部となる部分が設けられる基板部グリーンシート及び複数の枠部となる部分が設けられる枠部グリーンシートを設け、基板部となる部分及び枠部となる部分が所定の形状となる様に形状を打ち抜く工程である。
形状打ち抜き工程では、例えば、パンチングマシーンが用いられる。
基板部グリーンシート及び枠部グリーンシートは、例えば、アルミナ等からなる主成分となる粉末、マグネシア等からなる焼結助剤、アクリル樹脂等からなる可塑剤、トルエンやキシレンやアルコール類からなる溶剤から主に構成されている。
また、基板部グリーンシート及び枠部グリーンシートは、構成している材料が十分に混練された状態で脱泡されて設けられたスラリーを、例えば、ドクターブレード法によって所定の大きさとなるように矩形形状の平板状に設けられる。
【0013】
基板部用グリーンシートは、基板部となる部分が行列状に設けられる。
また、基板部用グリーンシートは、それぞれの基板部となる部分の一方の短辺側に沿って2つ並んでいる貫通孔が設けられる。
【0014】
枠部用グリーンシートは、枠部となる部分が基板部用グリーンシートに設けられる基板部となる部分に対応して行列状に設けられる。
また、枠部用グリーンシートは、それぞれの枠部となる部分の所定の位置に矩形形状の孔が設けられる。
【0015】
(埋め込み工程)
埋め込み工程は、基板部グリーンシートのそれぞれの基板部となる部分に設けられた貫通孔に、例えば、タングステンやモリブデン等の高融点金属からなる導電材料が埋め込まれる工程である。
【0016】
(スクリーン印刷工程)
スクリーン印刷工程は、基板部グリーンシートのそれぞれの基板部となる部分と枠部グリーンシートのそれぞれの枠部となる部分の所定の位置に配線パターンと接続パターンを設ける工程である。
スクリーン印刷工程では、例えば、スクリーン印刷が用いられる。
【0017】
配線パターンは、例えば、搭載端子配線パターン、外部端子配線パターン、素子搭載部材接合用膜配線パターンとから主になっている。
【0018】
素子搭載部材接合用膜配線パターンは、素子搭載部材接合用膜が設けられる位置に設けられる。つまり、素子搭載部材接合用膜配線パターンは、枠部グリーンシートのそれぞれの枠部となる部分の一方の主面の縁に沿って環状に設けられる。
【0019】
搭載端子配線パターンは、搭載端子が設けられる位置に設けられる。つまり、搭載端子配線パターンは、2つ一対となっており、基板部グリーンシートのそれぞれの基板部となる部分の一方の主面であって、基板部となる部分の一方の短辺側に沿って2つ並んで設けられる。
また、搭載端子配線パターンは、基板部となる部分に設けられている2つ一対の貫通孔の基板部となる部分の一方の主面側の開口部と重なる位置に設けられている。
【0020】
外部端子配線パターンは、外部端子が設けられる位置に設けられる。つまり、外部端子配線パターンは、基板部となる部分に4つ設けられ、基板部グリーンシートの基板部となる部分の他方の主面の4隅に一つずつ設けられる。
また、所定の2つの外部配線パターンは、基板部となる部分に設けられている2つ一対の貫通孔の基板部となる部分の他方の主面側の開口部と重なる位置に設けられる。
従って、所定の2つの外部端子配線パターンが、搭載端子配線パターンと貫通孔に埋め込まれている導電材料を介して電気的に設けられた状態となっている。
【0021】
接続パターンは、後述するめっき工程に於いて、作業を容易にするためにそれぞれの素子搭載部材となる部分に設けられている外部端子を電気的に接続している。
また、接続パターンは、基板部グリーンシートの基板部となる部分の他の部分に設けられている。
接続パターンは、例えば、所定の一つの素子搭載部材となる部分に設けられた外部端子配線パターンと隣接する所定の他の一つの素子搭載部材となる部分に設けられた外部端子配線パターンとを電気的に接続した状態となる位置に設けられている。
【0022】
従って、基板部グリーンシートは、それぞれの基板部となる部分の他方の主面に着目した場合、外部配線パターンは接続されていない状態となっており、複数の基板部となる部分が設けられた基板部グリーンシートの他方の主面に着目した場合、基板部となる部分に設けられている外部配線パターンが接続パターンによって電気的に接続された状態となっている。
【0023】
つまり、スクリーン印刷工程では、基板部グリーンシートのそれぞれの基板部となる部分の一方の主面に2つ一対の搭載端子配線パターンが設けられ、他方の主面に4つの外部端子配線パターンが設けられる。また、スクリーン印刷工程では、基板部グリーンシートのそれぞれの基板部となる部分でない部分に接続パターンが設けられ、外部端子配線パターンが電気的に接続された状態となっている。
また、スクリーン印刷工程では、枠部グリーンシートのそれぞれの枠部となる部分の一方の主面の縁部に環状の素子搭載部材接合用膜配線パターンが設けられる。
【0024】
(積層工程)
積層工程は、基板部グリーンシートの基板部となる部分と枠部グリーンシートの枠部となる部分とを重ね合わせた状態で積層成形する工程である。
積層工程では、基板部グリーンシートと枠部グリーンシートを重ね合わせた状態で加熱しながら加圧することで積層成形されて部品素子用凹部空間が設けられた素子搭載部材となる部分が行列状に設けられた素子搭載部材ウエハが設けられる。
ここで、素子搭載部材ウエハの一方の主面は、枠部となる部分と基板部となる部分が接している面に対向する枠部となる部分の面、つまり、複数の部品素子用凹部空間が設けられた主面である。
素子搭載部材ウエハの他方の主面は、枠部となる部分と基板部となる部分が接している面に対向する基板部となる部分の面、つまり、外部端子配線パターンが設けられている基板部となる部分の他方の主面である。
つまり、素子搭載部材ウエハは、基板部グリーンシートと枠部グリーンシートとからなり、一方の主面に部品素子用凹部空間が設けられている。
【0025】
(溝形成工程)
溝形成工程は、カッター刃を素子搭載部材ウエハの所定の位置に押圧して溝を設ける工程である。
溝形成工程では、例えば、刃先が所定の間隔で欠落しているカッター刃が用いられる。
従って、溝は、点線、つまり、溝が設けられている箇所と設けられていない箇所とが交互に設けられている。
溝は、素子搭載部材ウエハのそれぞれの素子搭載部材となる部分の縁に沿って、素子搭載部材ウエハの両主面に設けられる。つまり、溝は、基板部グリーンシートの外部端子配線パターンが設けられている他方の主面であって、基板部となる部分の縁に沿って基板部グリーンシートの厚みより浅い深さとなる様に設けられる。
また、溝は、枠部グリーンシートの素子搭載部材接合用膜配線パターンが設けられている一方の主面であって、枠部となる部分の縁に沿って、枠部グリーンシートの厚みより浅い深さとなる様に設けられる。
【0026】
(焼結工程)
焼結工程は、基板部グリーンシートと枠部グリーンシートとが積層されて設けられた素子搭載部材ウエハを焼結させる工程である。
素子搭載部材ウエハは、焼結されることで収縮されて焼結前と比較して硬くなる。
【0027】
(めっき工程)
めっき工程は、例えば、電解めっきを用いて、焼結された素子搭載部材ウエハの他方の主面に設けられている接続パターンに電流を流し、配線パターンにめっき金属膜を設ける工程である。
配線パターンは、搭載端子配線パターンと外部端子配線パターンと素子搭載部材接合用膜配線パターンとから主になっている。
めっき金属膜は、搭載端子配線パターンに設けられて搭載端子が素子搭載部材となる部分に設けられる。
また、めっき金属膜は、外部端子配線パターンに設けられて外部端子が素子搭載部材となる部分に設けられる。
また、めっき金属膜は、素子搭載部材接合用膜配線パターンに設けられて素子搭載部材接合用膜が素子搭載部材となる部分に設けられる。
めっき工程では、素子搭載部材ウエハの他方の主面に設けられている接続パターンにめっき金属膜がもうけられて接続膜が設けられる。
【0028】
(個片化工程)
個片化工程は、このようにして製造された素子搭載部材ウエハを素子搭載部材となる部分ごとに個片化させて、複数の素子搭載部材を設ける工程である。
個片化工程では、複数の素子搭載部材となる部分が設けられている素子搭載部材ウエハが、例えば、溝を広げる向きに力が加えられて、いわゆるチョコレートブレイク方式で分割されて個片化される。
なお、ここでは、めっき工程後の状態、つまり、複数の素子搭載部材となる部分が行列状に設けられている状態で個片化しているが、の素子搭載部材となる部分に部品素子を搭載して部品素子を封止した状態、つまり、複数の電子部品が設けられた状態とした後個片化工程を行う場合もある。
【0029】
このような素子搭載部材の製造方法では、基板部グリーンシートと枠部グリーンシートを積層させ素子搭載部材ウエハを設け、素子搭載部材ウエハの両主面に溝を設けて、素子搭載部材ウエハを焼結させている(例えば、特許文献2参照)。
【0030】
また、素子搭載部材の製造方法では、例えば、積層工程に於いて積層されて設けられた素子搭載部材ウエハに溝形成工程に於いて溝を形成しない状態で焼結させめっき工程を行い、焼結された素子搭載部材ウエハにレーザーを用いて溝を設ける場合がある。
このとき、素子搭載部材ウエハは、素子搭載部材となる部分の縁に沿ってレーザーが照射され、一方の主面、又は、他方の主面に素子搭載部材となる部分の縁に沿って溝が設けられる。
また、素子搭載部材は、レーザーにより一方の主面に溝が設けられている素子搭載部材ウエハを他方の主面側から押圧して素子搭載部材となる部分ごとに個片化している(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開2006−261684号公報
【特許文献2】特許第3916136号公報
【特許文献3】特開平04−241401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
しかしながら、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法は、素子搭載部材ウエハが溝を設けられた後に焼結されている。
従って、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法は、素子搭載部材ウエハが焼結される際の熱のかかり方等によって収縮の仕方が異なり、素子搭載部材となる部分の所定の位置に対して大きく異なる位置に設けられる恐れがある。
このため、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法は、素子搭載部材となる部分の大きさがばらつく恐れがあり、生産性が低下する恐れがある。
【0033】
また、従来の素子搭載部材の製造方法は、溝が設けられた後に焼結された素子搭載部材ウエハの素子搭載部材となる部分ごとに個片化している。
つまり、従来の素子搭載部材の製造方法は、素子搭載部材となる部分の大きさのばらつきが大きい恐れがある素子搭載部材ウエハを個片化することとなり、素子搭載部材の大きさがばらつく恐れがあるので、生産性が低下する恐れがある。
【0034】
従来の素子搭載部材ウエハの製造方法は、レーザーを用いて、素子搭載部材ウエハの素子搭載部材となる部分の縁に沿って、素子搭載部材ウエハの一方の主面、又は、他方の主面に溝を設けている。
部品素子用凹部空間が設けられている素子搭載部材ウエハの一方の主面に溝を設けた場合、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法は、素子搭載部材となる部分に設けられた外部端子が接続膜により電気的に接続されている恐れがある。従って、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法は、素子搭載部材ウエハの状態で素子搭載部材となる部分ごとの電気的特性検査、例えば、所定の外部端子と所定の搭載端子との電気抵抗等の検査、を測定することができない恐れがある。また、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法は、素子搭載部材ごとの電気的特性検査をするために、所定の一つの素子搭載部材となる部分に設けられている外部端子と隣接する所定の他の一つの素子搭載部材となる部分に設けられている外部端子とを電気的に接続している接続膜と切断する工程、または、個片化する工程が必要となり、生産性が低下する恐れがある。
部品素子用凹部空間が設けられている素子搭載部材ウエハの他方の主面に溝を設けた場合、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法は、焼結時の加熱され方によって収縮のされ方が異なり基板部となる部分の縁と枠部となる部分の縁とが対応しない恐れがある。このため、部品素子用凹部空間が設けられている素子搭載部材ウエハの一方の主面側から見た場合、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法は、枠部の部品素子用凹部空間側の辺が、前記辺と対向する位置であって間に部品素子用凹部空間が設けられていない枠部の外縁の辺と一定の間隔となっておらず、部品素子用凹部空間が所定の位置に設けられていない恐れがある。つまり、素子搭載部材と蓋部材とが接合されて素子搭載部材に搭載されている部品素子が気密封止される場合、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法は、素子搭載部材の枠部となる部分に力が均一に加わらず枠部となる部分が破損してしまう恐れがあるので、部品素子用凹部空間の位置を測定する必要があり生産性が低下する恐れがある。
【0035】
従来の素子搭載部材の製造方法では、素子搭載部材となる部分の一方の主面、又は/及び、他方の主面にそれぞれの素子搭載部材となる部分の縁に沿って溝を設けた素子搭載部材ウエハが用いられている。また、従来の素子搭載部材の製造方法は、焼結される際に加熱のされ方によって収縮の仕方が異なる恐れがある素子搭載部材ウエハを用いているので、基板部となる部分の縁と枠部となる部分の縁とが対応していない状態で個片化される恐れがある。
従って、素子搭載部材となる部分の他方の主面の縁、つまり、基板部となる部分の縁に沿って溝が設けられている素子搭載部材ウエハを用いた場合、従来の蓋部材の製造方法は、部品素子用凹部空間の開口部側、つまり、素子搭載部材の一方の主面側から見ると、枠部の部品素子用凹部空間側の辺が、前記辺と対向する位置であって間に部品素子用凹部空間が設けられていない枠部の外縁の辺と一定の間隔となっておらず、部品素子用凹部空間が素子搭載部材の所定の位置に設けられていない恐れがある。
つまり、素子搭載部材と蓋部材とが接合されて素子搭載部材に搭載されている部品素子が気密封止される場合、従来の素子搭載部材の製造方法は、素子搭載部材の枠部に力が均一に加わらず枠部が破損してしまう恐れがあるため、部品素子用凹部空間が設けられる位置を測定する必要があり生産性が低下する恐れがある。
【0036】
そこで、本発明は、素子搭載部材ウエハの状態であってもそれぞれの素子搭載部材となる部分の電気的特性を検査することができ、部品素子用凹部空間を所定の位置に設けることができる生産性のよい素子搭載部材ウエハの製造方法及び素子搭載部材の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
前記課題を解決するため、レーザーを用いて、一方の主面に部品素子用凹部空間が設けられつつ他方の主面に外部端子が設けられている素子搭載部材が行列状に設けられている焼結体からなる素子搭載部材ウエハの、それぞれの素子搭載部材となる部分の縁に沿って溝を設けつつ、所定の一つの前記素子搭載部材の外部端子と隣接する所定の他の一つの前記素子搭載部材の外部端子とを電気的に接続している接続膜を切断する接続膜切断溝形成工程を含むことを特徴とする。
【0038】
前記課題を解決するため、前記接続膜切断溝形成工程の前工程に、認識手段を用いて取り込んだ前記部品素子用凹部空間の底面の画像データから前記部品素子用凹部空間の底面の中心点を求め、所定の一つの中心点と隣接する所定の他の一つの中心点との中心の位置を切断点として決定する切断点決定工程と、所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを含んでおり前記所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを結んだ直線と重なる位置に前記溝を設けることを特徴とする溝位置決定工程と、を含むことを特徴とする。
【0039】
素子搭載部材ウエハの一方の主面側から圧力を加えて素子搭載部材ごとに個片化する個片化工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
このような素子搭載部材ウエハの製造方法は、焼結された素子搭載部材ウエハにレーザーを用いて溝を設けているので、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法の場合と比較して素子搭載部材となる部分の縁に沿って設けられる溝の位置のばらつきを抑えることができる。従って、このような素子搭載部材ウエハの製造方法は、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法と比較して生産性を向上させることができる。
【0041】
また、このような素子搭載部材ウエハの製造方法は、レーザーを用いて、一方の主面に部品素子用凹部空間が設けられている他方の主面に外部端子が設けられている素子搭載部材が行列状に設けられている焼結体の素子搭載部材ウエハのそれぞれの素子搭載部材となる部分の縁に沿って溝を設けつつ、所定の一つの前記素子搭載部材の外部端子と隣接する所定の他の一つの前記素子搭載部材の外部端子とを電気的に接続している接続膜を切断している。
つまり、このような素子搭載部材ウエハの製造方法は、レーザーを用いて、溝を設けると同時に接続膜を切断している。
従って、このような素子搭載部材ウエハの製造方法は、素子搭載部材ウエハの状態で素子搭載部材となる部分ごとの電気的特性の検査を容易にすることができる。
このため、このような素子搭載部材ウエハの製造方法は、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法のように接続膜を切断する工程又は個片化する工程が不要となるので、生産性を向上させることができる。
【0042】
また、このような素子搭載部材ウエハの製造方法は、部品素子用凹部空間の底面の画像データから部品素子用凹部空間の底面の中心点を求め、所定の一つの中心点と隣接する所定の他の一つの中心点と中心の位置である切断点を決定し、所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを含みつつ、所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを結んだ直線と重なる位置に溝が設けられている。
つまり、このような素子搭載部材ウエハの製造方法は、部品素子用凹部空間の底面を基準に素子搭載部材となる部分の縁を決定し溝を設けている。
部品素子用凹部空間の開口部側、つまり素子搭載部材ウエハの一方の主面側から見た場合、素子搭載部材ウエハの製造方法は、枠部の部品素子用凹部空間側の辺が、前記辺と対向する位置であって間に部品素子用凹部空間が設けられていない枠部の外縁の辺と一定の間隔となる様に、部品素子用凹部空間を素子搭載部材となる部分の所定の位置に設けることができる。
従って、このような素子搭載部材ウエハの製造方法は、素子搭載部材となる部分の所定の位置に部品素子用凹部空間を設けることができるので、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法と比較して生産性を向上させることができる。
【0043】
このような素子搭載部材の製造方法は、レーザーによって、焼結されて素子搭載部材となる部分の縁に沿って溝が設けられている素子搭載部材ウエハが用いられている。
このため、このような素子搭載部材の製造方法は、素子搭載部材となる部分の縁に沿って設けられる溝の位置のばらつきが抑えられた素子搭載部材ウエハが用いられているので、従来の素子搭載部材の製造方法と比較して素子搭載部材となる部分の大きさのばらつきを抑えることができ生産性を向上させることができる。
【0044】
また、このような素子搭載部材の製造方法は、部品素子用凹部空間の底面の画像データから部品素子用凹部空間の底面の中心点を求め所定の一つの中心点と隣接する所定の他の一つの中心点との中心に位置である切断点を決定し、所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを含みつつ、所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを結んだ直線と重なる位置に溝が設けられた素子搭載部材ウエハが用いられている。
つまり、このような素子搭載部材の製造方法は、部品素子用凹部空間の底面を基準に素子搭載部材となる部分の縁が決定されて溝が設けられている素子搭載部材ウエハを用いている。
従って、部品素子用凹部空間が設けられている素子搭載部材の一方の主面側から見た場合、このような素子搭載部材の製造方法は、枠部の部品素子用凹部空間側の辺が、前記辺と対向する位置であって間に部品素子用凹部空間が設けられていない枠部の外縁の辺と一定の間隔となる様に、部品素子用凹部空間を素子搭載部材の所定の位置に設けることができる。
このため、このような素子搭載部材の製造方法は、部品素子用凹部空間を素子搭載部材の所定の位置に設けることができるので、部品素子用凹部空間が設けられている位置を測定する必要がないため生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る素子搭載部材を用いた電子部品の一例を示す概念図である。
【図2】(a)は、打ち抜き工程に於ける基板部グリーンシートの状態の一例を示す概念図であり、(b)は、打ち抜き工程における枠部グリーンシートの状態の一例を示す概念図である。
【図3】埋め込み工程における基板部グリーンシートの状態の一例を示す概念図である。
【図4】(a)は、配線パターン形成工程における基板部グリーンシートの状態の一例を示す概念図であり、(b)は、配線パターン形成工程における枠部グリーンシートの状態の一例を示す概念図である。
【図5】配線パターン形成工程後の基板部グリーンシートの状態の一例を示す概念図である。
【図6】積層工程における素子搭載部材ウエハの状態の一例を示す概念図である。
【図7】めっき形成工程における素子搭載部材ウエハの状態の一例を示す概念図である。
【図8】溝位置決定工程における素子搭載部材ウエハの状態の一例を示す概念図である。
【図9】接続膜切断溝形成工程における素子搭載部材ウエハの状態の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に、本発明の実施するための最良の形態について説明する。なお、各図面において、各構成要素の状態をわかりやすくするために誇張して図示している。
【0047】
本発明の実施形態に係る蓋部材の製造方法により製造された素子搭載部材について説明する。
【0048】
素子搭載部材は、部品素子が搭載された状態で蓋部材と接合されることにより部品素子が気密封止される電子部品に用いられる。
ここで、電子部品が、例えば、図1に示すような、圧電振動子100の場合について説明する。
【0049】
圧電振動子100は、図1に示すように、部品素子である圧電振動素子130と素子搭載部材110と蓋部材120とから主に構成されている。
【0050】
蓋部材120は、例えば、金属が用いられ、矩形形状の平板状となっている。
また、蓋部材120は、例えば、一方の主面の縁に沿って環状の蓋部材接合用膜121が設けられている。
蓋部材接合用膜121は、後述する素子搭載部材110に設けられた素子搭載部材接合用膜112と重ね合わされた状態で溶融されることで蓋部材120と素子搭載部材110とを接合させる役割を果たす。
【0051】
部品素子である圧電振動素子130は、図1に示すように、例えば、圧電片131と励振電極132と引き回し電極133とから主に構成されている。
【0052】
圧電片131は、例えば、圧電材料からなり、矩形形状の平板状に設けられている。
【0053】
励振電極132は、例えば、2つ一対となっている。
また、励振電極132は、一方の励振電極132が圧電片131の一方の主面に設けられており、他方の励振電極132が圧電片131の他方の主面であって一方の励振電極132と対向する位置に設けられている。
【0054】
引き回し電極133は、例えば、2つ一対となっている。
また、引き回し電極133は、一方の端部が所定の励振電極132に接続されており、他方の端部が所定の励振電極132が設けられている圧電片131の主面と対向する主面であって圧電片131の一方の端部に位置するように設けられている。
【0055】
素子搭載部材110は、例えば、焼結体であるセラミックが用いられ、図1に示すように、基板部110aと枠部110bとから主に構成されている。
【0056】
基板部110aは、例えば、矩形形状の平板状に設けられている。
また、基板部110aは、一方の主面に搭載端子Pが設けられ、他方の主面に複数の外部端子Gが設けられている。
【0057】
搭載端子Pは、例えば、2つ設けられており、基板部110aの一方の短辺側に沿って2つ並んで設けられている。
また、搭載端子Pは、搭載端子配線パターンP1とめっき金属膜P2とからなっており、例えば、圧電振動素子130の引き回し電極133と導電性接着剤D1により固定される。
【0058】
外部端子Gは、例えば、4つ設けられており、基板部の他方の主面の4隅に一つずつ設けられている。
外部端子Gは、搭載端子配線パターンG1とめっき金属膜G2とからなっている。
所定の外部端子Gは、所定の搭載端子Pと貫通孔Bに埋め込まれている導電材料D2を介して電気的に接続された状態となっている。
【0059】
枠部110bは、例えば、中央部に貫通する孔が設けられた枠形状の平板状に設けられている。
また、枠部110bは、基板部110aの一方の主面に設けられ、素子搭載部材110の一方の主面に部品素子用凹部空間111を設けている。
また、枠部110bは、基板部110aと枠部110bとが接している面に対向する面の縁部に環状の素子搭載部材接合用膜112が設けられている。
【0060】
素子搭載部材接合用膜112は、素子搭載部材接合用膜配線パターン112aとめっき金属膜112bとから構成されており、素子搭載部材110と蓋部材120とを接合する役割を果たしている。
【0061】
ここで、素子搭載部材110の一方の主面は、枠部110bと基板部110aとが接している面に対向する枠部110bの面、つまり、部品素子用凹部空間111が設けられている面となっている。
また、素子搭載部材110となる他方の主面は、枠部110bと基板部110aとが接している面に対向する基板部110aの面、つまり、外部端子Gが設けられている基板部110aの他方の主面となっている。
【0062】
素子搭載部材110は、基板部110aの一方の主面に枠形状の枠部110bが設けられて、部品素子用凹部空間111が設けられている。
また、素子搭載部材110は、この部品素子用凹部空間111の底面に搭載端子Pが設けられている。
また、素子搭載部材110は、例えば、部品素子用凹部空間111の底面に設けられた搭載端子Pと圧電振動素子130の引き回し電極133が導電性接着剤D1により固定され、部品素子である圧電振動素子130が搭載された状態となっている。
また、素子搭載部材110は、一方の主面の縁に沿って環状の素子搭載部材接合用膜112が設けられ、この素子搭載部材接合用膜112と蓋部材120に設けられた蓋部材接合用膜121が重ね合わされた状態で溶融されることにより蓋部材120と接合され、圧電振動素子130を気密封止している。
【0063】
次に、本発明の実施形態に係る素子搭載部材ウエハの製造方法について説明する。
本発明の実施形態に係る素子搭載部材ウエハの製造方法は、切断点決定工程と溝位置形成工程と接続膜切断溝形成工程とを含んでいる。
本発明の実施形態に係る素子搭載部材ウエハの製造方法は、例えば、形状打ち抜き工程、埋め込み工程、スクリーン印刷工程、積層工程、焼結工程、めっき工程、切断点決定工程、溝位置決定工程、接続膜切断溝形成工程を含んで構成されている。
【0064】
(形状打ち抜き工程)
形状打ち抜き工程は、複数の基板部110aとなる部分が設けられる基板部グリーンシートW110a及び複数の枠部110bとなる部分が設けられる枠部グリーンシートW110bを設け、基板部110aとなる部分及び枠部110bとなる部分が所定の形状となる様に形状を打ち抜く工程である。
形状打ち抜き工程では、例えば、パンチングマシーンが用いられる。
基板部グリーンシートW110a及び枠部グリーンシートW110bは、例えば、アルミナ等からなる主成分となる粉末、マグネシア等からなる焼結助剤、アクリル樹脂等からなる可塑剤、トルエンやキシレンやアルコール類からなる溶剤から主に構成されている。
また、基板部グリーンシートW110a及び枠部グリーンシートW110bは、構成している材料が十分に混練された状態で脱泡されて設けられたスラリーを、例えば、ドクターブレード法によって所定の大きさとなるように矩形形状の平板状に設けられる。
【0065】
基板部用グリーンシートW110aは、基板部110aとなる部分が行列状に設けられる。
また、基板部用グリーンシートW110aは、図2(a)に示すように、それぞれの基板部110aとなる部分の一方の短辺側に沿って2つ並んでいる貫通孔Bが設けられる。
【0066】
枠部用グリーンシートW110bは、枠部110bとなる部分が基板部用グリーンシートW110aに設けられる基板部110aとなる部分に対応して行列状に設けられる。
枠部用グリーンシートW110bは、図2(b)に示すように、それぞれの枠部110bとなる部分の所定の位置に矩形形状の孔111が設けられる。
【0067】
(埋め込み工程)
埋め込み工程は、図3に示すように、基板部グリーンシートW110aのそれぞれの基板部110aとなる部分に設けられた貫通孔Bに、例えば、タングステンやモリブデン等の高融点金属からなる導電材料D2が埋め込まれる工程である。
【0068】
(スクリーン印刷工程)
スクリーン印刷工程は、基板部グリーンシートW110aと枠部グリーンシートW110bの所定の位置に配線パターンP1,G1,112a,接続パターンS1を設ける工程である。
スクリーン印刷工程では、例えば、スクリーン印刷が用いられる。
【0069】
配線パターンP1,G1,112aは、例えば、搭載端子配線パターンP1、外部端子配線パターンG1、素子搭載部材接合用膜配線パターン112aとから主になっている。
【0070】
素子搭載部材接合用膜配線パターン112aは、素子搭載部材接合用膜112が設けられる位置に設けられる。
つまり、素子搭載部材接合用膜配線パターン112aは、図4(b)に示すように、それぞれの枠部110bとなる部分の中央部に貫通した孔111が設けられている枠部グリーンシートW110bのそれぞれの枠部110bとなる部分の一方の主面の縁に沿って環状に設けられる。
【0071】
搭載端子配線パターンP1は、搭載端子Pが設けられる位置に設けられる。
つまり、搭載端子配線パターンP1は、2つ一対となっており、基板部グリーンシートW110aのそれぞれの基板部110aとなる部分の一方の主面であって、基板部110aとなる部分の一方の短辺側に沿って2つ並んで設けられる。
また、搭載端子配線パターンP1は、図4(a)に示すように、基板部110aとなる部分に設けられている2つ一対の貫通孔Bの基板部110aとなる部分の一方の主面側の開口部と重なる位置に設けられている。
【0072】
外部端子配線パターンG1は、外部端子Gが設けられる位置に設けられる。
つまり、外部端子配線パターンG1は、基板部グリーンシートW110aのそれぞれの基板部110aとなる部分に4つ設けられ、基板部グリーンシートW110aの基板部110aとなる部分の他方の主面の4隅に一つずつ設けられる。
また、所定の2つの外部配線パターンG1は、図4(a)に示すように、基板部110aとなる部分に設けられている2つ一対の貫通孔Bの基板部110aとなる部分の他方の主面側の開口部と重なる位置に設けられる。
【0073】
接続パターンS1は、後述するめっき工程に於いて、作業を容易にするためにそれぞれの基板部110aとなる部分に設けられている外部端子配線パターンG1を電気的に接続している。
また、接続パターンS1は、基板部グリーンシートW110aの基板部110aとなる部分の他の部分に設けられている。
接続パターンS1は、例えば、所定の一つの素子搭載部材110となる部分に設けられた外部端子配線パターンG1と隣接する所定の他の一つの素子搭載部材110となる部分に設けられた外部端子配線パターンG1とを電気的に接続した状態となる位置に設けられている。
【0074】
従って、図5に示すように、それぞれの基板部110aとなる部分の他方の主面に着目した場合、それぞれの外部端子配線パターンG1は電気的に接続されていない状態となっている。
複数の基板部110aとなる部分が設けられている基板部グリーンシートW110aの他方の主面に着目した場合、図5に示すように、それぞれの基板部110aとなる部分に設けられているそれぞれの外部端子配線パターンG1は、接続パターンS1によって電気的に接続されている。
【0075】
つまり、スクリーン印刷工程では、基板部グリーンシートW110aのそれぞれの基板部110aとなる部分の一方の主面に2つ一対の搭載端子配線パターンP1が設けられ、他方の主面に4つの外部端子配線パターンG1が設けられる。また、スクリーン印刷工程では、基板部グリーンシートW110aのそれぞれの基板部110aとなる部分でない部分に接続パターンS1が設けられ、外部端子配線パターンG1が電気的に接続された状態となっている。
また、スクリーン印刷工程では、枠部グリーンシートW110bのそれぞれの枠部110bとなる部分の一方の主面の縁部に環状の素子搭載部材接合用膜配線112aパターンが設けられる。
【0076】
(積層工程)
積層工程は、図6に示すように、基板部グリーンシートW110aの基板部110aとなる部分と枠部グリーンシートW110bの枠部110bとなる部分とを重ね合わせた状態で積層成形する工程である。
積層工程では、基板部グリーンシートW110aの一方の主面と枠部グリーンシートW110bの素子搭載部材接合膜配線パターン112aが設けられていない他方の主面を重ね合わせた状態で、加熱しながら加圧することで積層成形されて部品素子用凹部空間111が設けられた素子搭載部材110となる部分が行列状に設けられた素子搭載部材ウエハW110が設けられる。
ここで、素子搭載部材ウエハW110の一方の主面は、枠部110bとなる部分と基板部110aとなる部分が接している面に対向する枠部110bとなる部分の面、つまり、複数の部品素子用凹部空間111が設けられた主面である。素子搭載部材ウエハW110の他方の主面は、枠部110bとなる部分と基板部110aとなる部分が接している面に対向する基板部110aとなる部分の面、つまり、外部端子配線パターンG1が設けられている基板部110aとなる部分の他方の主面である。
つまり、素子搭載部材ウエハW110は、基板部グリーンシートW110aと枠部グリーンシートW110bとからなり、一方の主面に部品素子用凹部空間111が設けられている。
【0077】
(焼結工程)
焼結工程は、基板部グリーンシートW110aと枠部グリーンシートW110bとが積層されて設けられた素子搭載部材ウエハW110を焼結させる工程である。
素子搭載部材ウエハW110は、焼結されることで収縮されて焼結前と比較して硬くなる。
【0078】
(めっき工程)
めっき工程は、例えば、電解めっきを用いて、焼結された素子搭載部材ウエハW110の他方の主面に設けられている接続パターンS1に電流を流し、図7に示すように、配線パターンP1,G1,112aにめっき金属膜P2,G2,112bを設ける工程である。
配線パターンP1,G1,112aは、搭載端子配線パターンP1と外部端子配線パターンG1と素子搭載部材接合用膜配線パターン112aとから主になっている。
めっき金属膜P2は、搭載端子配線パターンP1に設けられて搭載端子Pが素子搭載部材110となる部分に設けられる。
また、めっき金属膜G2は、外部端子配線パターンG1に設けられて外部端子Gが素子搭載部材110となる部分に設けられる。
また、めっき金属膜112bは、素子搭載部材接合用膜配線パターン112aに設けられて素子搭載部材接合用膜112が素子搭載部材110となる部分に設けられる。
めっき工程では、素子搭載部材ウエハ110aの他方の主面に設けられている接続パターンS1にめっき金属膜S2が設けられて接続膜Sが設けられる。
【0079】
(切断点決定工程)
切断点決定工程は、認識手段を用いて取り込んだ前記部品素子用凹部空間H11,H12,H21,H22の底面の画像データから前記部品素子用凹部空間H11,H12,H21,H22の底面の中心点C11,C12,C21,C22を求め、所定の一つの中心点と隣接する所定の他の一つの中心点との中心の位置を切断点として決定する工程である。
【0080】
ここで、素子搭載部材ウエハW110は、例えば、図8に示すように、部品素子用凹部空間H11,H12,H21,H22が2行×2列の行列状に設けられている。
まず、切断点決定工程では、例えば、カメラ等の認識手段が用いられ、部品素子用凹部空間H11,H12,H21,H22の底面が画像データとして認識されている。
次に、切断点決定工程では、例えば、コンピューター等の制御手段が用いられ、認識手段により認識された部品素子用凹部空間H11,H12,H21,H22の底面の画像データから部品素子用凹部空間の底面の中心点C11,C12,C21,C22が求められる。
つまり、切断点決定工程に於いて決定される切断点CR11は、部品素子用凹部空間H11の底面の中心点C11と部品素子用凹部空間H12の底面の中心点C12との中心に位置している。また、切断点決定工程に於いて決定される切断点CR21は、部品素子用凹部空間H21の底面の中心点C21と部品素子用凹部空間H22の底面の中心点C22との中心に位置している。また、切断点決定工程に於いて決定される切断点CG11は、部品素子用凹部空間H11の底面の中心点C11と部品素子用凹部空間H21の底面の中心点C21との中心に位置している。また、切断点決定工程に於いて決定される切断点CG12は、部品素子用凹部空間H12の底面の中心点C12と部品素子用凹部空間H22の底面の中心点C22との中心に位置している。
【0081】
つまり、切断点決定工程では、部品素子用凹部空間H11,H12,H21,H22の底面のそれぞれの中心点C11,C12,C21,C22が求められ、切断される切断点CG11,CG12,CR11,CR21を決定されている。
【0082】
(溝位置決定工程)
溝位置決定工程は、所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを含んでおり前記所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを結んだ直線と重なる位置に前記溝を設けることを特徴とする工程である。
溝は、例えば、それぞれの素子搭載部材110となる部分の間隔と同じになっている。
列方向と平行な溝は、例えば、切断点決定工程に於いて決定された所定の一つの切断点CR11と所定の他の一つの切断点CR21とを含んだ直線LRと重なる位置に設けられる。
行方向と平行な溝は、例えば、切断点決定工程に於いて決定された所定の一つの切断点CG11と所定の他の一つの切断点CG12とを含んだ直線LGと重なる位置に設けられる。
【0083】
つまり、溝位置決定工程は、列方向と平行な溝の位置が、切断点決定工程に於いて決定された所定の行で隣接している部品素子用凹部空間H11,H12の底面の中心点C11,C12の中心に位置する切断点CR11と切断点決定工程に於いて決定された所定の他の行で隣接している部品素子用凹部空間H21、H22の底面の中心に位置している切断点CR21とを含んだ直線LRと重なる位置にくる様に決定される。
また、溝位置決定工程は、行方向と平行な溝の位置が、切断点決定工程に於いて決定された所定の列で隣接している部品素子用凹部空間H11,H21の底面の中心店C11,C21の中心に位置する切断点CG11と切断点決定工程に於いて決定された所定の他の列で隣接している部品素子用凹部空間H12,H22の底面の中心点C12,C22の中心に位置している切断点CG12とを含んだ直線LGと重なる位置にくる様に決定される。
【0084】
(接続膜切断溝形成工程)
接続膜切断溝形成工程は、レーザーを用いて、一方の主面に部品素子用凹部空間111が設けられつつ他方の主面に外部端子Gが設けられている素子搭載部材110が行列状に設けられている焼結体からなる素子搭載部材ウエハW110の、それぞれの素子搭載部材110となる部分の縁に沿って溝を設けつつ、所定の一つの素子搭載部材110の外部端子Gと隣接する所定の他の一つの前記素子搭載部材110の外部端子Gとを電気的に接続している接続膜Sを切断する工程である。
また、接続膜切断溝形成工程では、溝を設けることで、所定の一つの素子搭載部材110に設けられた外部端子Gと所定の他の一つの素子搭載部材110に設けられた外部端子Gとを電気的に接続している接続膜Sを切断している。
従って、接続膜切断溝形成工程では、図9に示すように、接続膜Sが切断されて所定の一つの素子搭載部材110に設けられている外部端子Gと隣接する所定の他の一つの素子搭載部材110に設けられている外部端子Gとが電気的に接続されていない状態となる。
【0085】
このような本発明の実施形態に係る素子搭載部材ウエハの製造方法は、焼結された素子搭載部材ウエハW110にレーザーを用いて溝を設けているので、従来の素子搭載部材ウエハW110の製造方法の場合と比較して素子搭載部材となる部分110の縁に沿って設けられる溝の位置のばらつきを抑えることができる。従って、このような素子搭載部材ウエハの製造方法は、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法と比較して生産性を向上させることができる。
【0086】
また、このような本発明の実施形態に係る素子搭載部材ウエハの製造方法は、レーザーを用いて、一方の主面に部品素子用凹部空間111が設けられている他方の主面に外部端子Gが設けられている素子搭載部材110が行列状に設けられている焼結体の素子搭載部材ウエハW110のそれぞれの素子搭載部材110となる部分の縁に沿って溝を設けつつ、所定の一つの前記素子搭載部材110の外部端子Gと隣接する所定の他の一つの前記素子搭載部材110の外部端子Gとを電気的に接続している接続膜Sを切断している。
つまり、このような本発明の実施形態に係る素子搭載部材ウエハの製造方法は、レーザーを用いて、溝を設けると同時に接続膜Sを切断している。
従って、このような本発明の実施形態に係る素子搭載部材ウエハの製造方法は、素子搭載部材ウエハW110の状態で素子搭載部材110となる部分ごとの電気的特性の検査を容易にすることができる。
このため、このような本発明の実施形態に係る素子搭載部材ウエハの製造方法は、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法のように接続膜を切断する工程又は個片化する工程が不要となるので、生産性を向上させることができる。
【0087】
また、このような本発明の実施形態に係る素子搭載部材ウエハの製造方法は、部品素子用凹部空間の底面の画像データから部品素子用凹部空間の底面の中心点を求め、所定の一つの中心点と隣接する所定の他の一つの中心点と中心の位置である切断点を決定し、所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを含みつつ、所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを結んだ直線と重なる位置に溝が設けられている。
つまり、このような素子搭載部材ウエハの製造方法は、部品素子用凹部空間の底面を基準に素子搭載部材となる部分の縁を決定し溝を設けている。
部品素子用凹部空間の開口部側、つまり素子搭載部材ウエハの一方の主面側から見た場合、素子搭載部材ウエハの製造方法は、枠部の部品素子用凹部空間側の辺が、前記辺と対向する位置であって間に部品素子用凹部空間が設けられていない枠部の外縁の辺と一定の間隔となる様に、部品素子用凹部空間を素子搭載部材となる部分の所定の位置に設けることができる。
従って、このような素子搭載部材ウエハの製造方法は、素子搭載部材となる部分の所定の位置に部品素子用凹部空間を設けることができるので、従来の素子搭載部材ウエハの製造方法と比較して生産性を向上させることができる。
【0088】
次に、本発明の実施形態に係る素子搭載部材の製造方法について説明する。
本発明の実施形態に係る素子搭載部材の製造方法は、素子搭載部材ウエハW110を用いて、個片化工程を行っている。
【0089】
(個片化工程)
個片化工程は、素子搭載部材ウエハW110の一方の主面側から圧力を加えて素子搭載部材110となる部分ごとに個片化する工程である。
個片化工程では、溝が設けられていない素子搭載部材ウエハW110の一方の主面側から圧力が加えられることで、いわゆる、チョコレートブレイク方式によって素子搭載部材110となる部分ごとに分割されて個片化される。
【0090】
このような本発明の実施形態に係る素子搭載部材の製造方法は、レーザーによって、焼結されて素子搭載部材110となる部分の縁に沿って溝が設けられている素子搭載部材ウエハW110が用いられている。
このため、このような素子搭載部材の製造方法は、素子搭載部材110となる部分の縁に沿って設けられる溝の位置のばらつきが抑えられた素子搭載部材ウエハW110が用いられているので、従来の素子搭載部材の製造方法と比較して素子搭載部材110となる部分の大きさのばらつきを抑えることができ生産性を向上させることができる。
【0091】
また、このような本発明の実施形態に係る素子搭載部材の製造方法は、部品素子用凹部空間の底面の画像データから部品素子用凹部空間の底面の中心点を求め所定の一つの中心点と隣接する所定の他の一つの中心点との中心に位置である切断点を決定し、所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを含みつつ、所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを結んだ直線と重なる位置に溝が設けられた素子搭載部材ウエハが用いられている。
つまり、このような本発明の実施形態に係る素子搭載部材の製造方法では、部品素子用凹部空間の底面を基準に素子搭載部材となる部分の縁が決定されて溝が設けられている素子搭載部材ウエハを用いている。
従って、部品素子用凹部空間が設けられている素子搭載部材の一方の主面側から見た場合、このような素子搭載部材の製造方法は、枠部の部品素子用凹部空間側の辺が、前記辺と対向する位置であって間に部品素子用凹部空間が設けられていない枠部の外縁の辺と一定の間隔となる様に、部品素子用凹部空間を素子搭載部材の所定の位置に設けることができる。
このため、このような本発明の実施形態に係る素子搭載部材の製造方法は、部品素子用凹部空間を素子搭載部材の所定の位置に設けることができるので、部品素子用凹部空間が設けられている位置を測定する必要がないため生産性を向上させることができる。
【0092】
なお、部品素子が圧電振動素子である圧電振動子に素子搭載部材が用いられる場合について説明したが、蓋部材と素子搭載部材とが接合されることで素子搭載部材に搭載されている圧電振動素子を気密封止することができる圧電デバイスであれば、例えば、圧電振動素子と集積回路素子とが素子搭載部材に搭載される圧電発振器であってもよい。
【0093】
なお、部品素子が圧電振動素子である圧電デバイスに素子搭載部材が用いられる場合について説明したが、蓋部材と素子搭載部材とが接合されることで素子搭載部材に搭載されている部品素子を気密封止することができれば、例えば、部品素子がチップコンデンサである電子部品であってもよい。
【0094】
なお、所定の一つの素子搭載部材となる部分の外部端子とこの所定の一つの素子搭載部材となる部分に隣接する所定の他の一つの素子搭載部材となる部分に設けられた部分の外部端子とが素子搭載部材ウエハの他方の主面で電気的に接続されている場合について説明しているが、溝を設けることで素子搭載部材となる部分の外部端子を電気的に独立された状態とすることができれば、素子搭載部材ウエハの一方の主面で電気的に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0095】
100 圧電振動子
110 素子搭載部材
110a 基板部
110b 枠部
111,H11,H12,H21,H22 部品素子用凹部空間
112 素子搭載部材接合用膜
120 蓋部材
121 蓋部材接合膜
130 圧電振動素子
131 圧電片
132 励振電極
133 引き回し電極
P 搭載端子
G 外部端子
B 貫通孔
D1 導電性接着剤
D2 導電材料
W110 素子搭載部材ウエハ
W110a 基板部グリーンシート
W110b 枠部グリーンシート
P1,G1,112a 配線パターン
P2,G2,112b めっき金属膜
C11,C21,C12,C22 中心点
CG11,CG12,CR11,CR21 切断点
S 接続膜
S1 接続パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーを用いて、一方の主面に部品素子用凹部空間が設けられつつ他方の主面に外部端子が設けられている素子搭載部材が行列状に設けられている焼結体からなる素子搭載部材ウエハの、それぞれの素子搭載部材となる部分の縁に沿って溝を設けつつ、所定の一つの前記素子搭載部材の外部端子と隣接する所定の他の一つの前記素子搭載部材の外部端子とを電気的に接続している接続膜を切断する接続膜切断溝形成工程を含むことを特徴とする素子搭載部材ウエハの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の素子搭載部材ウエハの製造方法であって、
前記接続膜切断溝形成工程の前工程に、
認識手段を用いて取り込んだ前記部品素子用凹部空間の底面の画像データから前記部品素子用凹部空間の底面の中心点を求め、所定の一つの中心点と隣接する所定の他の一つの中心点との中心の位置を切断点として決定する切断点決定工程と、
所定の一つの切断点と所定の他の一つの切断点とを含んでおり前記所定の一つの切断点と前記所定の他の一つの切断点とを結んだ直線と重なる位置に前記溝を設けることを特徴とする溝位置決定工程と、
を含むことを特徴とする素子搭載部材ウエハの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の素子搭載部材ウエハの製造方法により製造された素子搭載部材ウエハの一方の主面側から圧力を加えて素子搭載部材ごとに個片化する個片化工程を含むことを特徴とする素子搭載部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−159705(P2011−159705A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18540(P2010−18540)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】