説明

細胞アッセイ及び組織の自動解析のためのシステム及び方法

生物学的試料の画像を提供する方法が開示される。本方法は、少なくとも1つの生物学的試料の画像を取得すること、該少なくとも1つの生物学的試料の画像を位置決めすること、該少なくとも1つの生物学的試料の画像を評価すること、該少なくとも1つの生物学的試料の画像、及び該少なくとも1つの生物学的試料の制御パラメータの取得に応答して、該少なくとも1つの生物学的試料の対象領域を同時に求めながら、該少なくとも1つの生物学的試料の該画像を自動的にセグメント化すること、並びに、対象領域を受信すると共に該対象領域のロケーションの表示を提供することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞アッセイ及び組織の自動解析のためのシステム及び方法に関する。
[関連出願の相互参照]
本願は、2007年5月7日に出願された米国仮特許出願第60/916,425号に対する優先権を主張する。該仮特許出願の開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
一般的に、大多数の遺伝子、細胞及びウイルスの人間及び他の有機体における機能は、ゲノム配列決定プログラム及び他の種類のプログラムが成功していることを除いては比較的知られていない。したがって、遺伝子機能を学習及び理解することを可能にする高スループットのスクリーニング及び細胞アッセイが必要とされている。高スループットスクリーニングによって、数十万の遺伝子産物を検討及び解析することが可能となる。これらの解析の結果として、細胞内で起こる生物学的過程を検討することが可能となる。これは、生物学的アッセイの学術調査にとって重要であるため、細胞の解析に必要である。
【0003】
通常、細胞アッセイ、細胞集塊、又は組織のための画像解析モジュールは、均質な制御集団又は予備知識に依存する、対象物の試料容器が配置される自動画像解析システムを利用することによって行われる。これはたとえば、視野(FOV)内の物体密度が均一であり、対象の用途を表していることを意味する。細胞集塊のように、対象物が疎である場合、ユーザはこれらの細胞の集塊を手作業で発見しなければならない。
【0004】
したがって、外植体を培養する疎な細胞集塊のような対象物を発見すると共に、試料面積全体のうちの、関連物体を含む領域のみを画像化する単純な方法をユーザに提供する自動システム及び方法が必要とされている。これによって、不要な画像取得及び画像解析の量が低減し、ステッチングのような複雑な画像後処理ルーチンが時代遅れなものになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の技術的背景に鑑みて達成されており、本発明の目的は、細胞アッセイ及び組織の自動解析を提供するシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい一実施の形態では、生物学的試料の画像を提供する方法が開示される。本方法は、少なくとも1つの生物学的試料の画像を取得すること、該少なくとも1つの生物学的試料の画像を位置決めすること、該少なくとも1つの生物学的試料の画像を評価すること、該少なくとも1つの生物学的試料の画像及び該少なくとも1つの生物学的試料の制御パラメータの取得に応答して、該少なくとも1つの生物学的試料の対象領域を同時に求めながら、該少なくとも1つの生物学的試料の画像を自動的にセグメント化すること、並びに、対象領域を受信すると共に該対象領域のロケーションの表示を提供することを含む。
【0007】
本発明の別の好ましい実施の形態では、生物学的試料の画像を提供するシステムが開示される。本システムは、顕微鏡システムと、画像受信装置とを備える。顕微鏡システムは、少なくとも1つの生物学的試料の画像を取得し、該少なくとも1つの生物学的試料の画像を位置決めし、該少なくとも1つの生物学的試料の画像を評価するように構成される。顕微鏡システムは画像受信装置に結合される。画像受信装置は少なくとも1つの生物学的試料の画像を受信するように構成される。画像受信装置は、少なくとも1つの生物学的試料の画像及び該少なくとも1つの生物学的試料の制御パラメータの取得に応答して、該少なくとも1つの生物学的試料の対象領域を同時に求めながら、該少なくとも1つの生物学的試料の画像を自動的にセグメント化し、対象領域を受信すると共に該対象領域のロケーションの表示を提供するように構成される。
【0008】
本発明のこれらの利点及び他の利点は、以下の説明を添付の図面と共に読むとより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に従って採用される細胞アッセイシステムのブロック図を示す。
【図2】本発明の一実施形態による、図1の細胞アッセイシステムの画像受信装置の概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による、図1の細胞アッセイシステムを利用する方法を示す流れ図である。
【図4】本発明の一実施形態による、外植体を培養するいくつかの細胞集塊を有する可能な生物医学的試料の一例を示す。
【図5】本発明の一実施形態による、図4の外植体を培養する1つの一般的な細胞集塊を拡大したものを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の現時点で好ましい実施形態を図面を参照しながら説明する。図面において、同様の構成要素は同じ参照符号を用いて識別される。好ましい実施形態の説明は例示であり、本発明の範囲を限定することは意図しない。
【0011】
図1は、本発明の細胞同定システムのブロック図を示す。この細胞同定システム100又は細胞アッセイシステムは、通信リンク117によって従来のコンピュータ103に電気的に又は無線で接続される従来の顕微鏡システム101を備える。顕微鏡システム101は、マクロスコープ、高スループットスクリーニングシステム又はマルチモダリティ画像形成システムであってもよい。また、顕微鏡システム101は、ニュージャージー州ピスカタウェイ所在のGE Healthcareによって製造されるIN CELL(商標)Analyzer 1000又は3000であってもよい。通信リンク117は、ローカルアクセスネットワーク(LAN)、無線ローカルネットワーク、広域ネットワーク(WAN)、都市規模ネットワーク、仮想エリアネットワーク、ユニバーサルサービスバス(USB)、イーサネットリンク、衛星リンク、ケーブル、セルラ、ツイストペア、光ファイバー、又は蛍光顕微鏡101とコンピュータ103との間のデータの転送を促進することが可能な任意のネットワークとすることができる。顕微鏡システム101は、光源105と、光検出器107と、走査ミラー109と、対物レンズ111を保持する対物レンズタレット119と、物体ステージ113と、試料115とを備える。対物レンズ111を調整するために、制御ユニット121が、対物レンズ111を動かす対物レンズタレット119にワイヤによって接続される。制御ユニット121は、対物レンズ111のうちの1つを動かすために対物レンズタレット119を動かすアクチュエータ121aを備える。アクチュエータは、一般的なリニアアクチュエータ又は回転アクチュエータとすることができる。回転アクチュエータ121aは、一般的なステッパモータ、直流モータ又はサーボモータとすることができる。顕微鏡システム100は、光検出器107を利用することによって、試料115又は物体ステージ113上に配置される任意の種類の物体の画像を捕捉することが可能な画像送信装置として参照される場合がある。試料115は、スライド上の、マイクロタイタープレートのウェル内の、又は任意の他の簡便な試料ホルダ内の生きている生物有機体、生物学的試料、生体細胞、細菌、化学試薬及び/又は生化学試薬、合成物質及び/又は天然物質とすることができる。蛍光顕微鏡システム101は、通常の蛍光顕微鏡、位相差顕微鏡、微分干渉コントラスト顕微鏡、又は当業者に既知の任意の顕微鏡とすることができる。別の実施形態では、顕微鏡システム101は、生物有機体等の画像を迅速に検出、解析及び提供することが可能な一般的な高スループットアッセイであってもよい。
【0012】
光源105は、レーザ、複数のレーザ、レーザに結合される光ファイバー光源、発光ダイオード、ランプ、又は当業者に既知の任意の種類の発光源とすることができる。この光源105は連続光源とすることができる。光源105は、試料115内の蛍光染料に試料115の染色された部分から光を放射させる励起光を提供する。通常、試料115が物体ステージ113上に配置される前に、蛍光染料分子が試料115内に挿入されるか、又は試料が染色され、それによって、光源105の励起光が試料115と接触すると、試料115内の蛍光染料が光又は光の周波数の放射線を吸収し、照明光又はより低い固定周波数の放射線を放射する。
【0013】
走査ミラー109が試料115の上方に配置され、この走査ミラー109は、光源105から光又は励起光を受け取り、該光を対物レンズ111を通じて伝達して試料115内の蛍光染料に蛍光又は照明光を放射させることが可能な通常の走査ミラー又はストリップミラーとして動作し、該蛍光又は照明光は対物レンズ111及び走査ミラー109を通じて再び光検出器107に伝送される。走査ミラー109は、特定の波長よりも短い光を反射して該波長よりも長い光を通過させる2色性ミラー109として参照される場合もある。照明光を受け取る光検出器107は、光電子増倍管、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像検出器、固体光電子増倍管アレイ(SSPM)、ダイオードアレイ、アレイ検出器、フォトダイオード、光電子増倍管(PMT)又は当業者によって利用される任意の光検出器とすることができる。上述のように、光検出器107は通信リンク117によって電気的に又は無線でコンピュータ103に接続される。
【0014】
コンピュータ103は画像受信装置103、画像検出装置103又は高スループットスクリーニング装置として参照される場合がある。本発明の別の実施形態では、画像受信装置103は画像送信装置101の内部に位置することができる。画像受信装置103は一般的なコンピュータとして機能し、試料115の画像を光検出器107から受信することが可能であり、その結果画像受信装置103は、標準的な画像処理ソフトウェアプログラム、アルゴリズム又は式を利用することによって、通常一度に1画素ずつ画像を構築又は再構成することが可能である。また、コンピュータ103は個人情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、移動電話、ハードドライブベースの装置、又は、通信リンク117を通じて情報を受信、送信及び記憶することができる任意の装置とすることができる。本発明においては1つのコンピュータが利用されるが、複数のコンピュータをコンピュータ103の代わりに利用してもよい。
【0015】
図2は、図1のセグメント化システムの画像受信装置の概略図を示す。画像受信装置103は、従来のコンピュータに関連付けられる一般的な構成要素を含む。画像受信装置103は、プロセッサ103aと、入出力(I/O)コントローラ103bと、大容量記憶装置103cと、メモリ103dと、ビデオアダプタ103eと、接続インタフェース103fと、上記システム構成要素を、電気的に又は無線でプロセッサ103aに動作可能に結合するシステムバス103gとを含む。また、システムバス103gは、電気的に又は無線で、一般的なコンピュータシステム構成要素をプロセッサ103aに動作可能に結合する。プロセッサ103aは、処理装置、中央処理装置(CPU)、複数の処理装置又は並列処理装置として参照される場合がある。システムバス103gは、従来のコンピュータに関連付けられる一般的なバスとすることができる。メモリ103dは、読出し専用メモリ(ROM)及びランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。ROMは、起動中にコンピュータの構成要素間の情報の転送を支援する基本ルーチンを含む一般的な入出力システムを含む。
【0016】
メモリ103dの上には大容量記憶装置103cがあり、該大容量記憶装置103cは、1.ハードディスクドライブに対して読み書きを行うハードディスクドライブコンポーネント(図示せず)及びハードディスクドライブインタフェース(図示せず)、2.磁気ディスクドライブ(図示せず)及びハードディスクドライブインタフェース(図示せず)、並びに、3.CD−ROM又は他の光媒体のような取外し可能光ディスクに対して読み書きを行う光ディスクドライブ(図示せず)及び光ディスクドライブインタフェース(図示せず)を含む。上記のドライブ及びそれらに関連付けられるコンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造体、プログラムモジュール及び他のデータの不揮発性記憶をコンピュータ103に提供する。また、上記のドライブは、メモリ103dと協働して生物学的物質中の集塊を発見する、本発明の細胞アッセイ及び組織の自動解析のためのシステム、アルゴリズム、ソフトウェア又は式を含み、これについては図3の流れ図において説明する。本発明の別の実施形態では、細胞アッセイ及び組織の自動解析のためのシステム、アルゴリズム、ソフトウェア又は式は、メモリ103d、プログラム103a、又は、画像受信装置103の、当業者に既知の任意の他の部分に記憶することができる。
【0017】
入出力コントローラ103bはバス103gによってプロセッサ103aに接続され、ここで入出力コントローラ103bは、ユーザがキーボード及びポインティング装置のような入力装置104を通じてコンピュータにコマンド及び情報を入力することを可能にするシリアルポートインタフェースとして機能する。利用される一般的なポインティング装置はジョイスティック、マウス、ゲームパッド等である。ディスプレイ106がビデオアダプタ103eによってシステムバス103gに電気的に又は無線で接続される。ディスプレイ106は、一般的なコンピュータモニタ、液晶ディスプレイ、高精細TV(HDTV)、投影スクリーン、又はコンピュータ103によって生成される文字及び/若しくは静止画像を有することが可能な装置とすることができる。コンピュータ103のビデオアダプタ103eの隣には接続インタフェース103fがある。接続インタフェース103fは、上述のように、通信リンク117によって光検出器107に接続されるネットワークインタフェースとして参照される場合がある。また、画像受信装置103は、該画像受信装置103が他のコンピュータに結合されることを可能にするネットワークアダプタ又はモデムを含むことができる。
【0018】
図3は、本発明による自動細胞解析を採用する方法の流れ図を示す。ユーザは、上述の試料115(図1)のような細胞又は生物学的物質を取得し、該細胞又は生物学的物質を一般的なマイクロアレイスライド、一般的なウェルプレート、又は一般的なマイクロタイタープレート上に配置し、それを顕微鏡システム101のステージ113上に挿入することができる。顕微鏡システム101は一般的に、試料115を一般的な画像に変換する。この画像401を図4に示す。この画像はゼブラフィッシュ又は或る他の一般的な生体画像とすることができる。図4は、外植体を培養する細胞集塊の概略図を示す。充満構造ではないこれらの丸い細胞集塊は細胞を表し、繊維状の黒い構造は外植体を表す。細胞と外植体とが組み合された構造は外植体集塊として参照される。この概略図では、1つの調製容器内に5つの外植体集塊が存在する。通常、これらの集塊は、IN CELL(商標)Analyzer 1000又は3000のような自動アッセイを使用して手作業で又は半自動で画像化する必要がある。これは、ユーザが試料115を、顕微鏡システム101の対物レンズ111の視野(FOV)内に位置決めするか、又は試料115若しくは試料115内の対象物を覆う画像のバッチを取得し、後にこれらの画像を再構築して物体のサイズ全体を含む重ね合わされた画像にすることを必要とする。一般的に、画像の外観を取得し、画像をセグメント化し、或る強度重みを提供することが可能な顕微鏡システム101を利用することが可能であり、そのため、該顕微鏡システム101は対象領域事自体を発見することができ、該顕微鏡システム101の較正方式に基づいてサイズが最適化された画像を提案することができる。サイズが最適化された画像は一般的には、より高い倍率及び/又は異なる最適モダリティを用いて撮影される。本システムはすべての場合において、ユーザが許容又は拒否することができる最適なFOV及び最適な倍率に対する提案を行う。
【0019】
図3を参照して、ブロック301において、顕微鏡システム101が画像を解析又は評価する。一般的に、ユーザが、試料115の外観画像を撮影する顕微鏡システム101を利用して評価を行い、該画像は顕微鏡システム101の低分解能拡大構成要素を用いて撮影される。ユーザは、ハードウェア制御ユニットプログラム、一般的には、顕微鏡システム101の画像受信装置103(図2)のメモリ103d内に存在する計測ソフトウェアの一部を利用して対物レンズ111から低分解能対物レンズを選択し、該低分解能対物レンズを試料115の対象領域の初期走査のために所定の位置に配置する。画像受信装置103のメモリ103dは、無線又は有線で制御ユニット121に接続することができる。ユーザはたとえば、常に、顕微鏡システムに応じて10X、20X又は50Xのような、顕微鏡システム101において利用可能な最低倍率の対物レンズ111を用いて画像化を開始する計測ソフトウェアのデフォルトの設定を使用することができる。ユーザはまた、いずれの対物レンズ倍率において、調査される生物学的試料の良好な外観画像を撮影することができるかに関する予備知識を使用して、ディスプレイ106上のグラフィカルユーザインタフェース上の拡大対物レンズ111のリストから対話的に対物レンズ111のうちの1つを選択することができる。この初期設定に基づいて、メモリ103d内のハードウェア制御ユニットプログラムは、次いで、顕微鏡システム101の対物レンズタレット119を駆動する、上記で考察したモータ121aを制御して、選択された顕微鏡対物レンズ111の1つを光路内に移動させる。また、ユーザは、試料115の細胞集塊/実体のみが培養される場所に関するアッセイ調製の予備知識を有することができるか、又は一般的なマイクロタイタープレートの特定のロケーションにおける(たとえば、構造ウェルプレートにおける)培養を使用して後に試料115の対象領域を求めることもできる。一般的な目標は、物体を一切含まない画像を高解像度で撮影することなく、ウェル内の疎な物体を発見すると共に、計測器の構成要素を用いて動かし、疎な物体が位置する領域に高倍率でズームすることである。
【0020】
ブロック303において、一般的に、光検出器107及び顕微鏡システムの他の一般的な構成要素を利用する顕微鏡システム101は、試料115の画像を撮影し、該画像を画像受信装置103又はコンピュータ103に送信する。次に、ブロック305において、画像受信装置103は試料115の画像を受信する。画像受信装置103は、メモリ103d内に位置する専用セグメント化ソフトウェアを含む。また、専用セグメント化ソフトウェアを、プロセッサ103aに近接する、画像受信装置103に関連付けられる一般的なメモリキャッシュ内で使用することができる。このセグメント化ソフトウェアは、画像を自動的にセグメント化して、試料115の評価及び制御パラメータに基づく試料115の対象領域を求めるか又は提案することが可能である。この専用セグメント化ソフトウェアは、試料115を通じて走査すること、及び制御パラメータ、たとえば細胞集塊の数を報告することによって自動的に特定のセグメント化技法を利用することによって、画像401内の画像解析パラメータを求める。制御パラメータは、品質管理をよりロバストにするパラメータのエンティティとすることもでき、ここで、これらのパラメータは強度レベル、形状制約に関連する。顕微鏡システム101は一般的に、生物学的アッセイスクリーニング及び/又は生物学的試料調査に使用される。アッセイは、特定の目的を念頭に置いた生物学的アッセイ調製に従う。制御パラメータは、生物学的調整を、自動画像解析及び特徴抽出ルーチンを使用して測定量に関連付ける数である。たとえば、細胞ベースのアッセイの特定の播種密度が使用される場合、自動ルーチンは、対応する細胞カウント又は細胞密度を報告する。外植体集塊の例の場合、調製された外植体集塊の数も最初の画像解析ステップによって測定され、等しい数の外植体が発見されて報告される。ユーザがこれらのアッセイの部分母集団に関心があり、それらのサンプルの特定の物体をより詳細に、又は記載されている自動的な方法で異なる画像化モダリティを用いて詳細に調査することを望む場合、これらの制御パラメータをより一般的な様式で使用することもできる。制御パラメータは用途を限ったデフォルトのものとすることもできるし、ユーザ定義の構成可能パラメータとすることもできる。ユーザが特定のウェルにおいて外植体集塊を発見することを望む場合、物体カウントが1つのデフォルトのオプションであり得る。本発明の別の実施形態では、専用セグメント化ソフトウェアは、グラフィカルユーザインタフェースを利用することによって、ユーザ/アッセイ開発者に何が制御パラメータであるのかを対話的に尋ねることができる。そこで、ユーザは、物体選択を修正して形態学的記述子及び強度記述子又はこれらの記述子の論理結合を考慮に入れるオプションを有する。セットアップモードにおいて又は調査される物体の見え方の予備知識を使用することによってこのようなパラメータが求められると、該パラメータを、大容量記憶装置103c上の指定されたプロトコル構造を使用して記憶すると共に取り出すことができる。ソフトウェアプログラムが自動的に実行される場合、該ソフトウェアプログラムは、機械コードとしてシステム103のメモリ103d内にロードされる。メモリ内で使用される機械コードは、大容量記憶装置から制御パラメータを取り出すことができる。しかしながら、ソフトウェアコンポーネントは、さまざまな細胞用途のための変形形態及び機器に対処するのに十分な柔軟性を提供する。(本方法は、不当でない生物学的アッセイに関して特定のロバスト性を仮定する。)使用されるセグメント化技法は、単純な閾値、又は、IN CELL(商標)Analyzer 1000又は3000アッセイの現行のソフトウェアにおいて使用される任意の他の方法とすることができる。
【0021】
画像解析パラメータセットは、該画像解析パラメータセットが制御パラメータ又は制御パラメータのセットに最も近い結果を得る場合に許容される。本発明の別の実施形態では、このような制御パラメータが利用可能でない場合、プロセッサ103a内のソフトウェアが、外観画像のセグメント化を提案し、該セグメント化を許容するか又は拒否するかをユーザに尋ねることができる。本発明のさらに別の実施形態では、拒否の場合、ユーザは、外観画像401の妥当なセグメント化を達成するために、画像受信装置103上のソフトウェア及び画像解析パラメータを手作業で調整する能力を有するべきである。
【0022】
次に、ブロック307において、画像受信装置103において細胞の対象領域を受信する。対象領域は一般的に、対象物を自動的に枠で囲むバウンディングボックスによって設定される。代替的に、細胞実体がセグメント化されると、対象領域を、細胞実体/集塊の幾何学的中心又はその強度の質量中心から開始するユーザ定義の拡張ボックス(dilating box)のような他の方法によって設定することができる。セグメント化技法は、単純な閾値、又はIN CELL(商標)解析ソフトウェアにおいて使用される任意の他の方法とすることができる。バウンディングボックスは、図5に示すように、すべてのセグメント化された物体の詳細(たとえば外植体集塊)を含む細胞実体のその中心点を中心に描くことができるが、細胞実体の最も外側の左、右、上、下の座標を考慮に入れる。図5は、細胞の画像に関連付けられる物体の詳細の拡大図を示す。図3を参照して、図5に関連付けられる座標を、オプションでユーザ対話によって拡張することができる。これらの座標をメモリ103d内のソフトウェアの計測器制御に送信して、顕微鏡システム101内の利用可能な顕微鏡対物レンズ111との最大重なりを選択することができる。ブロック309において、メモリ103d内のソフトウェアコンポーネントは、顕微鏡システム101のハードウェア制御ユニットプログラムに、対物レンズ111のうちの、依然として対象物全体を画像化しながら可能な最大の分解能を与える1つを選択するように命令する。上述したように、メモリ103dの計測ソフトウェアは次いで、対物レンズタレット119を回転させるモータ121aを用いて制御ユニット121を駆動して対物レンズ111を回転させる。対物レンズタレット121は一般的に対物レンズ111を保持する。その間、システムは、計測ソフトウェアが正しい対物レンズを選択して該対物レンズを光路内に置くことを可能にする所定の順序で導入する必要がある顕微鏡対物レンズ111をセットアップする(図1)。常に最大分解能の対物レンズに向かうための、プロセッサ103a内の命令のような他のオプションも利用可能であってもよい。この最大分解能の対物レンズはここでも、所定の顕微鏡対物レンズ導入情報を使用して特定することができる。代替的に、さまざまな画像化モダリティがこの計測器において利用可能であり、且つ該計測器を駆動するのにソフトウェアコンポーネントが利用可能である場合、このステップにおいて該さまざまな画像化モダリティに切り換えることが可能である。
【0023】
ブロック311において、好ましい対物レンズ111のうちの1つが、対物レンズタレット119を駆動するハードウェアコンポーネントによって光路内に運ばれると、画像取得/セグメント化をここで行われるのと同じ方法で開始することができる。ブロック313において、細胞の画像がディスプレイ106上に表示され、その後、ブロック315においてプロセスが終了する。
【0024】
本発明は、ユーザが生体細胞内の外植体集塊を迅速に発見することを可能にする自動細胞アッセイシステムを提供する。物体の綿密な初期評価を行うことによって、ユーザは、生体が集塊であるか否かを直接特定することが可能である。自動細胞アッセイシステム内の顕微鏡システムは、制御パラメータを利用して外植体集塊を正確に同定するセグメント化ソフトウェアを含む。ユーザは、細胞内の外植体集塊を手作業で同定しなければならないことにはならない。これは、顕微鏡システムがユーザの代わりにこの機能を迅速且つ正確に実施することが可能であるためである。このように、本発明はユーザに、生物学的試料内の外植体集塊を同定するより単純な方法を提供する。
【0025】
本発明を具体的な実施形態に関して上記で説明してきたが、以下の特許請求の範囲において述べるような本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者には自明となるような本発明の多くの変更及び変形を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的試料の画像を提供する方法であって、
少なくとも1つの生物学的試料の画像を取得すること、
前記少なくとも1つの生物学的試料の前記画像を位置決めすること、
前記少なくとも1つの生物学的試料の前記画像を評価すること、
前記少なくとも1つの生物学的試料の前記画像、及び少なくとも1つの細胞生物学的試料の制御パラメータの取得に応答して、該少なくとも1つの生物学的試料の対象領域を同時に求めながら、該少なくとも1つの生物学的試料の該画像を自動的にセグメント化すること、並びに
前記対象領域を受信すると共に該対象領域のロケーションの表示を提供すること、
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの生物学的試料の前記画像を表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像は細胞核を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの生物学的試料の前記画像を評価する低分解能の拡大構成要素を設けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの生物学的試料の前記画像における画像解析パラメータを求める専用セグメント化ソフトウェアを設けることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記対象領域は前記少なくとも1つの生物学的試料の集塊の幾何学的中心によって設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
バウンディングボックスは前記対象領域の前記表示を提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記制御パラメータは、前記少なくとも1つの細胞の強度レベルと、前記少なくとも1つの生物学的試料の形状制約とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
生物学的試料の画像を提供するシステムであって、
顕微鏡システムを備え、該顕微鏡システムは、
少なくとも1つの生物学的試料の画像を取得し、
前記少なくとも1つの生物学的試料の前記画像を位置決めし、
前記少なくとも1つの生物学的試料の前記画像を評価するように構成され、
該顕微鏡システムは画像受信装置に結合され、
前記画像受信装置は前記少なくとも1つの生物学的試料の前記画像を受信するように構成され、
前記画像受信装置は、
少なくとも1つの細胞生物学的試料の前記画像、及び該少なくとも1つの細胞生物学的試料の制御パラメータの取得に応答して、該少なくとも1つの生物学的試料の対象領域を同時に求めながら、該少なくとも1つの生物学的試料の該画像を自動的にセグメント化し、
前記対象領域を受信すると共に該対象領域のロケーションの表示を提供するように構成される、システム。
【請求項10】
前記画像受信装置はコンピュータである、請求項9に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−527007(P2010−527007A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507610(P2010−507610)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/062847
【国際公開番号】WO2008/137912
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(598041463)ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・コーポレイション (43)
【住所又は居所原語表記】800 Centennial Avenue, P.O.Box 1327,Piscataway,New Jersey 08855−1327,United States of America
【Fターム(参考)】