説明

組成物及び該組成物を用いてなる発光素子

【課題】発光効率が優れた発光素子を作製することができる発光材料を提供する。
【解決手段】下記式の化合物を例とする窒素原子を含む環の構成員数が5以上の飽和複素環構造を有する化合物と、燐光発光性化合物とを含有する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物及び該組成物を用いてなる発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子の発光層に用いる発光材料として、三重項励起状態からの発光を示す化合物(以下、「燐光発光性化合物」ということがある。)を発光層に用いた素子は、発光効率が高いことが知られている。燐光発光性化合物を発光層に用いる場合、通常、該化合物をマトリックスに添加してなる組成物を発光材料として用いる。マトリックスとしては、塗布によって薄膜が形成できることから、ポリビニルカルバゾールが使用されている(特許文献1)。
【0003】
しかし、この化合物は、最低非占分子軌道(以下、「LUMO」という。)が高いため、電子を注入しにくい。一方、ポリフルオレン等の共役系高分子化合物は、LUMOが低いため、これをマトリックスとして用いると、比較的容易に低駆動電圧が実現できる。ところが、このような共役系高分子化合物は、最低三重項励起エネルギー(以下、「T1エネルギー」という。)が小さく、緑色よりも短波長発光のためのマトリックスとしての使用には適さないと考えられている(特許文献2)。例えば、共役系高分子化合物であるポリフルオレンと三重項発光化合物とからなる発光材料(非特許文献1)は、三重項発光化合物からの発光が弱いため、発光効率が低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−50483号公報
【特許文献2】特開2002−241455号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】APPLIED PHYSICS LETTERS, 80, 13, 2308(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、発光効率が優れた発光素子を作製することができる発光材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は第一に、窒素原子を含む環の構成員数が5以上の飽和複素環構造を有する化合物と、燐光発光性化合物とを含有する組成物を提供する。
本発明は第二に、後述の式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(2−1)、(2−2)、(2−3)及び(2−4)からなる群から選ばれる式で表される化合物の残基と、前記燐光発光性化合物の残基とを有する高分子化合物を提供する。
本発明は第三に、前記組成物又は前記高分子化合物を用いてなる薄膜及び発光素子を提供する。
本発明は第四に、前記発光素子を備えた面状光源、表示装置及び照明を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組成物、高分子化合物(以下、「本発明の組成物等」という)は、発光効率が高い。したがって、本発明の組成物等は、発光素子等の作製に用いた場合、発光効率が優れた発光素子が得られるものである。また、本発明の組成物等は、緑色〜青色の発光において、通常、比較的優れた発光性を有するが、これは、本発明の組成物に含まれる窒素原子を含む環の構成員数が5以上の飽和複素環構造を有する化合物、本発明の高分子化合物のT1エネルギーの値が大きいためである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、構造式中のアルキル基、アルコキシ基に接頭辞(t−等)が付いていない場合、n−を意味する。
【0010】
<組成物>
本発明の組成物は、窒素原子を含む環の構成員数が5以上の飽和複素環構造を有する化合物と、燐光発光性化合物とを含有する組成物である。本明細書において、「飽和複素環構造」とは、飽和複素環式化合物における水素原子の一部又は全部(特には、1個又は2個)を取り除いてなる基を意味する。また、本明細書において、「高分子化合物」は、同じ構造(繰り返し単位)が一分子中に2個以上存在する化合物を意味する。
【0011】
−飽和複素環構造を有する化合物−
前記飽和複素環構造を有する化合物は、例えば、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(2−1)、(2−2)、(2−3)及び(2−4):

[式中、R*は、水素原子又は置換基を表すか、同一の炭素原子に結合した2個のR*が一体となって=Oを表す。複数存在するR*は、同一であっても異なっていてもよい。]
からなる群から選ばれる式で表される化合物の残基(即ち、該化合物における水素原子の一部又は全部を取り除いてなる基)を有する化合物であるが、これらの化合物の残基を少なくとも二種有することが好ましい。
【0012】
前記飽和複素環構造を有する化合物が高分子化合物である場合、飽和複素環構造を高分子化合物の主鎖、側鎖若しくは末端、又はこれらの組み合わせで有することができるが、主鎖及び/又は側鎖に有することが好ましい。
【0013】
前記飽和複素環構造を有する化合物が高分子化合物である場合、前記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(2−1)、(2−2)、(2−3)及び(2−4)からなる群から選ばれる式で表される化合物の残基を繰り返し単位として有する高分子化合物、前記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(2−1)、(2−2)、(2−3)及び(2−4)からなる群から選ばれる式で表される化合物の残基と、芳香環を有する構造、ヘテロ原子を含有する構成員数が5以上の複素環を有する構造、芳香族アミン構造、及び後述の式(4)で表される構造から選ばれる一種以上とを、各々、繰り返し単位として含む高分子化合物がより好ましい。
【0014】
前記式(1−1)〜(2−4)中、R*で表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基、置換カルボキシル基、シアノ基等が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。なお、N価の複素環基(Nは1又は2)とは、複素環式化合物からN個の水素原子を取り除いた残りの原子団であり、本明細書において、同様である。なお、1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。
【0015】
前記R*で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0016】
前記R*で表されるアルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。このアルキル基の炭素数は、通常、1〜10である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられ、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。
【0017】
前記R*で表されるアルコキシ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。このアルコキシ基の炭素数は、通常、1〜10である。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基等が挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
【0018】
前記R*で表されるアルキルチオ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。このアルキルチオ基の炭素数は、通常、1〜10である。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基等が挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
【0019】
前記R*で表されるアリール基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。アリール基としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(「C1〜C12アルコキシ」は、アルコキシ部分の炭素数が1〜12であることを意味する。以下、同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基(「C1〜C12アルキル」は、アルキル部分の炭素数が1〜12であることを意味する。以下、同様である。)、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。ここで、アリール基とは、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた残りの原子団である。この芳香族炭化水素としては、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン基等を介して結合したものが含まれる。更に、該アリール基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基等が挙げられる。
前記C1〜C12アルコキシフェニル基としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、イソプロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、イソブトキシフェニル基、s−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基等が挙げられる。
前記C1〜C12アルキルフェニル基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、イソブチルフェニル基、s−ブチルフェニル、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基等が挙げられる。
【0020】
前記R*で表されるアリールオキシ基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールオキシ基としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
前記C1〜C12アルコキシフェノキシ基としては、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、イソプロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、イソブトキシフェノキシ基、s−ブトキシフェノキシ基、t−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ラウリルオキシフェノキシ基等が挙げられる。
前記C1〜C12アルキルフェノキシ基としては、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、イソブチルフェノキシ基、s−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基等が挙げられる。
【0021】
前記R*で表されるアリールチオ基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールチオ基としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
【0022】
前記R*で表されるアリールアルキル基は、炭素数が、通常、7〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールアルキル基としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
【0023】
前記R*で表されるアリールアルコキシ基は、炭素数が、通常、7〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールアルコキシ基としては、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基等のフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0024】
前記R*で表されるアリールアルキルチオ基は、炭素数が、通常、7〜60であり、好ましくは7〜48である。アリールアルキルチオ基としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基が好ましい。
【0025】
前記R*で表されるアシル基は、炭素数が、通常、2〜20であり、好ましくは2〜18である。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基等が挙げられる。
【0026】
前記R*で表されるアシルオキシ基は、炭素数が、通常、2〜20であり、好ましくは2〜18である。アシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0027】
前記R*で表されるアミド基は、炭素数が、通常、2〜20であり、好ましくは2〜18である。アミド基としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基等が挙げられる。
【0028】
前記R*で表される酸イミド基とは、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を1個除いて得られる残基を意味する。この酸イミド基は、炭素数が、通常、2〜60であり、好ましくは2〜48である。酸イミド基としては、以下の構造式で示される基等が挙げられる。

(式中、窒素原子から延びた線は結合手を表し、Meはメチル基、Etはエチル基、n−Prはn−プロピル基を表す。以下、同様である。)
【0029】
前記R*で表されるイミン残基とは、イミン化合物(即ち、分子内に−N=C−を持つ有機化合物である。その例としては、アルジミン、ケチミン、及びこれらの分子中の窒素原子に結合した水素原子が、アルキル基等で置換された化合物等が挙げられる。)から水素原子1個を除いた残基を意味する。このイミン残基は、通常炭素数2〜20であり、好ましくは2〜18である。具体的には、以下の構造式で示される基等が挙げられる。

(式中、i−Prはイソプロピル基、n−Buはn−ブチル基、t−Buはt−ブチル基を表す。波線で示した結合は、「楔形で表される結合」及び/又は「破線で表される結合」であることを意味する。ここで、「楔形で表される結合」とは、紙面からこちら側に向かって出ている結合を意味し、「破線で表される結合」とは、紙面の向こう側に出ている結合を意味する。)
【0030】
前記R*で表される置換アミノ基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選ばれる1個又は2個の基で置換されたアミノ基を意味する。該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。置換アミノ基の炭素数は、該置換基の炭素数を含めないで、通常、1〜60であり、好ましくは2〜48である。置換アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、s−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基等が挙げられる。
【0031】
前記R*で表される置換シリル基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリル基を意味する。置換シリル基の炭素数は、通常、1〜60であり、好ましくは3〜48である。なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換シリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、ジメチル−イソプロピルシリル基、ジエチル−イソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
【0032】
前記R*で表される置換シリルオキシ基は、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基及び1価の複素環オキシ基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリルオキシ基を意味する。置換シリルオキシ基の炭素数は、通常、1〜60であり、好ましくは3〜48である。該アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基及び1価の複素環オキシ基は置換基を有していてもよい。置換シリルオキシ基としては、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリプロピルシリルオキシ基、トリ−イソプロピルシリルオキシ基、ジメチル−イソプロピルシリルオキシ基、ジエチル−イソプロピルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ペンチルジメチルシリルオキシ基、ヘキシルジメチルシリルオキシ基、ヘプチルジメチルシリルオキシ基、オクチルジメチルシリルオキシ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルオキシ基、ノニルジメチルシリルオキシ基、デシルジメチルシリルオキシ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルオキシ基、ラウリルジメチルシリルオキシ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルオキシ基、トリフェニルシリルオキシ基、トリ−p−キシリルシリルオキシ基、トリベンジルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基、ジメチルフェニルシリルオキシ基等が挙げられる。
【0033】
前記R*で表される置換シリルチオ基は、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアルキルチオ基及び1価の複素環チオ基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリルチオ基を意味する。置換シリルチオ基の炭素数は、通常、1〜60であり、好ましくは3〜48である。該アルコキシ基、アリールチオ基、アリールアルキルチオ基及び1価の複素環チオ基は置換基を有していてもよい。置換シリルチオ基としては、トリメチルシリルチオ基、トリエチルシリルチオ基、トリプロピルシリルチオ基、トリ−イソプロピルシリルチオ基、ジメチル−イソプロピルシリルチオ基、ジエチル−イソプロピルシリルチオ基、t−ブチルジメチルシリルチオ基、ペンチルジメチルシリルチオ基、ヘキシルジメチルシリルチオ基、ヘプチルジメチルシリルチオ基、オクチルジメチルシリルチオ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルチオ基、ノニルジメチルシリルチオ基、デシルジメチルシリルチオ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルチオ基、ラウリルジメチルシリルチオ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルチオ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルチオ基、トリフェニルシリルチオ基、トリ−p−キシリルシリルチオ基、トリベンジルシリルチオ基、ジフェニルメチルシリルチオ基、t−ブチルジフェニルシリルチオ基、ジメチルフェニルシリルチオ基等が挙げられる。
【0034】
前記R*で表される置換シリルアミノ基は、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アリールアルキルアミノ基及び1価の複素環アミノ基からなる群から選ばれる1、2又は3個の基で置換されたシリルアミノ基を意味する。置換シリルアミノ基の炭素数は、通常、1〜60であり、好ましくは3〜48である。該アルコキシ基、アリールアミノ基、アリールアルキルアミノ基及び1価の複素環アミノ基は置換基を有していてもよい。置換シリルアミノ基としては、トリメチルシリルアミノ基、トリエチルシリルアミノ基、トリプロピルシリルアミノ基、トリ−イソプロピルシリルアミノ基、ジメチル−イソプロピルシリルアミノ基、ジエチル−イソプロピルシリルアミノ基、t−ブチルジメチルシリルアミノ基、ペンチルジメチルシリルアミノ基、ヘキシルジメチルシリルアミノ基、ヘプチルジメチルシリルアミノ基、オクチルジメチルシリルアミノ基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリルアミノ基、ノニルジメチルシリルオアミノ基、デシルジメチルシリルアミノ基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリルアミノ基、ラウリルジメチルシリルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルシリルオキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリルアミノ基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリルアミノ基、トリフェニルシリルアミノ基、トリ−p−キシリルシリルアミノ基、トリベンジルシリルアミノ基、ジフェニルメチルシリルアミノ基、t−ブチルジフェニルシリルオアミノ基、ジメチルフェニルシリルアミノ基等が挙げられる。
【0035】
前記R*で表される1価の複素環基は、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。1価の複素環基の炭素数は、通常、3〜60であり、好ましくは3〜20である。なお、1価の複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここで、複素環式化合物とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、燐、硼素等のヘテロ原子を環内に含むものをいう。1価の複素環基としては、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、インドリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基、フェノキサジニル基等が挙げられる。また、1価の複素環基は、1価の芳香族複素環基(ヘテロアリール基)であることが好ましい。
【0036】
前記R*で表されるヘテロアリールオキシ基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。ヘテロアリールオキシ基としては、ピリジルオキシ基、C1〜C12アルコキシピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基、イソキノリルオキシ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシピリジルオキシ基、C1〜C12アルキルピリジルオキシ基が好ましい。
前記C1〜C12アルキルピリジルオキシ基としては、メチルピリジルオキシ基、エチルピリジルオキシ基、ジメチルピリジルオキシ基、プロピルピリジルオキシ基、1,3,5−トリメチルピリジルオキシ基、メチルエチルピリジルオキシ基、イソプロピルピリジルオキシ基、ブチルピリジルオキシ基、イソブチルピリジルオキシ基、s−ブチルピリジルオキシ基、t−ブチルピリジルオキシ基、ペンチルピリジルオキシ基、イソアミルピリジルオキシ基、ヘキシルピリジルオキシ基、ヘプチルピリジルオキシ基、オクチルピリジルオキシ基、ノニルピリジルオキシ基、デシルピリジルオキシ基、ドデシルピリジルオキシ基等が挙げられる。
【0037】
前記R*で表されるヘテロアリールチオ基は、炭素数が、通常、6〜60であり、好ましくは7〜48である。ヘテロアリールチオ基としては、ピリジルチオ基、C1〜C12アルコキシピリジルチオ基、C1〜C12アルキルピリジルチオ基、イソキノリルチオ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシピリジルチオ基、C1〜C12アルキルピリジルチオ基が好ましい。
【0038】
前記R*で表されるアリールアルケニル基は、炭素数が、通常、8〜60であり、好ましくは8〜48である。アリールアルケニル基としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基(「C2〜C12アルケニル」は、アルケニル部分の炭素数が2〜12であることを意味する。以下、同様である。)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルケニル基が好ましい。
【0039】
前記R*で表されるアリールアルキニル基は、炭素数が、通常、8〜60であり、好ましくは8〜48である。アリールアルキニル基としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基(「C2〜C12アルキニル」は、アルキニル部分の炭素数が2〜12であることを意味する。以下、同様である。)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0040】
前記R*で表される置換カルボキシル基は、炭素数が、通常、2〜60であり、好ましくは2〜48であり、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換されたカルボキシル基を意味する。置換カルボキシル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等が挙げられる。該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。置換カルボキシル基の炭素数には、該置換基の炭素数は含まれない。
【0041】
前記飽和複素環構造を有する化合物としては、下記式(3):

[式中、HTは前記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(2−1)、(2−2)、(2−3)又は(2−4)で表される化合物の残基を表す。nは1〜5の整数である。nが2以上の場合、複数存在するHTは同一であっても異なっていてもよい。Y1及びY2はそれぞれ独立に、−C(Ra)(Rb)−、−N(Rc)−、−O−、−Si(Rd)(Re)−、−P(Rf)−、−S−、−C(=O)−又は−C(Rg)=C(Rh)−を表す。Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg及びRhはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。m1及びm2はそれぞれ独立に、0〜5の整数である。m1が2以上の場合、複数存在するY1は同一であっても異なっていてもよい。m2が2以上の場合、複数存在するY2は同一であっても異なっていてもよい。ET1及びET2はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。]
で表される化合物、及びその残基(即ち、該化合物における水素原子の一部又は全部を取り除いてなる基)を有する化合物が挙げられる。
【0042】
前記式(3)中、nは、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
【0043】
前記式(3)中、m1及びm2は、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0044】
一般に、化合物が大きく剛直な方が熱的安定性に優れる。本発明の組成物に含まれる前記飽和複素環構造を有する化合物においては、T1エネルギーを大きく低下させることなく該化合物の剛直性を維持することにより、配向性やキャリア輸送性等へ対する悪影響を抑制することができる。
【0045】
前記式(3)中、ET1及びET2で表される置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(「C1〜C12アルコキシ」は、アルコキシ部分の炭素数が1〜12であることを意味する。以下、同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基(「C1〜C12アルキル」は、アルキル部分の炭素数が1〜12であることを意味する。以下、同様である。)、1−ナフチル基、2−ナフチル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられ、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基が好ましい。
【0046】
前記式(3)中、ET1及びET2で表される置換基を有していてもよいヘテロアリール基としては、環を構成する原子として炭素原子の他に、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を含有するヘテロアリール基等が挙げられ、チエニル基、フリル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、インドリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基、フェノキサジニル基が好ましく、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、インドリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基がより好ましい。
【0047】
前記式(3)中、溶解性や最高占有軌道(以下、「HOMO」という。)又はLUMOのエネルギーレベルの観点から、ET1及びET2の少なくとも一方が、置換基を有していてもよいヘテロアリール基であることが好ましく、アルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基で置換されたヘテロアリール基であることがより好ましく、炭素数3〜10のアルキル基、炭素数3〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のアルキル基若しくは炭素数3〜10のアルコキシ基で置換されたアリール基、又は炭素数3〜10のアルキル基若しくは炭素数3〜10のアルコキシ基で置換されたヘテロアリール基であることが特に好ましい。
【0048】
前記式(3)中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg及びRhで表される置換基は、前記R*で表される置換基として説明し例示したものと同じである。
【0049】
前記飽和複素環構造を有する化合物は、その他の部分構造を含んでいてもよい。その他の部分構造の種類は、それが末端に存在するか否かによって好ましいその他の部分構造の種類は異なる。
【0050】
その他の部分構造が末端に存在する場合は、安定な置換基であればよく、合成の容易さ等の観点から、前記R*で表される置換基又は水素原子が好ましい。
【0051】
その他の部分構造が末端以外に存在する場合は、通常、安定な多価の基であるが、LUMOやHOMOのエネルギーレベルの点で、共役する性質の多価の基が好ましい。このような基として、2価の芳香族基、3価の芳香族基が挙げられる。ここで、芳香族基とは、芳香族性を示す有機化合物から誘導される基である。芳香族基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピリジン、キノリン、イソキノリン等の芳香環からn’個(n’は2又は3)の水素原子を結合手に置き換えてなる基が挙げられる。
【0052】
前記飽和複素環構造を有する化合物に含まれていてもよいその他の部分構造としては、下記式(4):

(式中、P環及びQ環はそれぞれ独立に芳香環を示すが、P環は存在してもしなくてもよい。2本の結合手は、P環が存在する場合は、それぞれP環又はQ環上に存在し、P環が存在しない場合は、それぞれYを含む5員環若しくは6員環上又はQ環上に存在する。また、前記P環、Q環、Yを含む5員環若しくは6員環上に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。この置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基が好ましい。Yは、−O−、−S−、−Se−、−B(R0)−、−Si(R2)(R3)−、−P(R4)−、−P(R5)(=O)−、−C(R6)(R7)−、−N(R8)−、−C(R9)(R10)−C(R11)(R12)−、−O−C(R13)(R14)−、−S−C(R15)(R16)−、−N−C(R17)(R18)−、−Si(R19)(R20)−C(R21)(R22)−、−Si(R23)(R24)−Si(R25)(R26)−、−C(R27)=C(R28)−、−N=C(R29)−、又は−Si(R30)=C(R31)−を表す。R0、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30及びR31はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基又はハロゲン原子を表す。)
で表される構造が好ましい。
【0053】
前記式中、R0及びR2〜R31としては、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、1価の複素環基がより好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、1価の複素環基が更に好ましく、アルキル基、アリール基が特に好ましい。
【0054】
前記式(4)で表される構造としては、下記式(4−1)、(4−2)又は(4−3):

(式中、A環、B環及びC環はそれぞれ独立に芳香環を示す。式(4−1)、(4−2)及び(4−3)は、それぞれ、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。Yは前記と同じ意味を表す。)
で表される構造、及び下記式(4−4)又は(4−5):

(式中、D環、E環、F環及びG環はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい芳香環を表す。Yは前記と同じ意味を表す。)
で表される構造が挙げられる。
【0055】
前記式(4−4)、(4−5)中、Yは、発光効率の観点から、炭素原子、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましい。
【0056】
前記式(4−1)〜(4−5)中、A環、B環、C環、D環、E環、F環及びG環で表される芳香環としては、非置換のものを一例として示すと、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、フェナントレン環等の芳香族炭化水素環;ピリジン環、ビピリジン環、フェナントロリン環、キノリン環、イソキノリン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環等の複素芳香環が挙げられる。これらの芳香環は、置換基を有していてもよい。
【0057】
前記飽和複素環構造を有する化合物に含まれていてもよいその他の部分構造としては、以下の式で表される構造の芳香族アミン構造も挙げられる。

(式中、Ar6、Ar7、Ar8及びAr9はそれぞれ独立にアリーレン基又は2価の複素環基を示す。Ar10、Ar11及びAr12はそれぞれ独立にアリール基又は1価の複素環基を示す。Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11及びAr12は置換基を有していてもよい。x及びyはそれぞれ独立に0又は1を示し、0≦x+y≦1である。)
【0058】
Ar6、Ar7、Ar8、Ar9で表されるアリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた残りの原子団である。芳香族炭化水素としては、縮合環をもつ化合物、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン基等を介して結合した化合物が含まれる。
【0059】
Ar6、Ar7、Ar8、Ar9で表される2価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団である。2価の複素環基の炭素数は、通常、4〜60である。複素環式化合物とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、燐、硼素等のヘテロ原子を環内に含む化合物を意味する。2価の複素環基としては、2価の芳香族複素環基が好ましい。
【0060】
Ar10、Ar11、Ar12で表されるアリール基とは、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いた残りの原子団である。芳香族炭化水素は、前述のとおりである。
【0061】
Ar10、Ar11、Ar12で表される1価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。1価の複素環基の炭素数は、通常、4〜60である。複素環式化合物は、前述のとおりである。1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。
【0062】
前記飽和複素環構造を有する化合物が高分子化合物である場合、該化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、成膜性の観点から、3×102以上が好ましく、3×102〜1×107がより好ましく、1×103〜1×107が更に好ましく、1×104〜1×107が特に好ましい。
【0063】
前記飽和複素環構造を有する化合物は、広い発光波長領域で用いることができるが、そのためには、該化合物のT1エネルギーの値は、3.0eV以上が好ましく、3.2eV以上がより好ましく、3.4eV以上が更に好ましく、3.6eV以上が特に好ましい。また、通常、上限は5.0eVである。
【0064】
前記飽和複素環構造を有する化合物のHOMOのエネルギーレベルの絶対値は、6.0eV以下が好ましく、5.8eV以下がより好ましく、5.6eV以下が更に好ましい。また、通常、下限は5.0eVである。
【0065】
前記飽和複素環構造を有する化合物のLUMOのエネルギーレベルの絶対値は、1.5eV以上が好ましく、1.7eV以上がより好ましく、1.9eV以上が更に好ましく、2.1eV以上が特に好ましい。また、通常、上限は4.0eVである。
【0066】
本明細書において、各化合物のT1エネルギーの値、LUMOのエネルギーレベルの値、HOMOのエネルギーレベルの値は、計算科学的手法により算出した値を用いる。本明細書において、計算科学的手法としては、量子化学計算プログラムGaussian03を用い、HF(Hartree-Fock)法により基底状態の構造最適化を行い、該最適化された構造において、B3P86レベルの時間依存密度汎関数法を用いて、T1エネルギー及びLUMOのエネルギーレベルの値を算出する。その際、基底関数として6−31g*を用いる。基底関数6−31g*を使用できない場合は、LANL2DZを用いる。
【0067】
前記飽和複素環構造を有する化合物が高分子化合物であって、該高分子化合物を構成する繰り返し単位が1種類の場合、該繰り返し単位をAとすると、該飽和複素環式化合物を有する化合物は、下記式:

(式中、nは重合度を表す。)
で表される。ここで、n=1、2及び3の構造に対して、T1エネルギーの値、LUMOのエネルギーレベルの値、HOMOのエネルギーレベルの値を算出し、算出されたT1エネルギーの値、LUMOのエネルギーレベルの値、HOMOのエネルギーレベルの値を(1/n)の関数として線形近似した場合のn=∞の値を、該高分子化合物のT1エネルギーの値、LUMOのエネルギーレベルの値、HOMOのエネルギーレベルの値と定義する。
【0068】
前記飽和複素環構造を有する化合物が高分子化合物であって、該高分子化合物を構成する繰り返し単位が2種類以上存在する場合、組成比を満足するすべての場合についてn=∞(ここで、nは繰り返し単位の重合度)におけるT1エネルギーの値を前記と同様の方法で算出し、その中で最低のT1エネルギーの値を該化合物のT1エネルギーの値と定義する。LUMOのエネルギーレベルの値、HOMOのエネルギーレベルの値は、最低のT1エネルギーの値を与える繰り返し単位におけるn=∞の値を、該高分子化合物のLUMOのエネルギーレベルの値、HOMOのエネルギーレベルの値と定義する。本発明では、その「LUMOのエネルギーレベルの値」及び「HOMOのエネルギーレベルの値」の絶対値(即ち、LUMO、HOMOのエネルギーレベルの値が負の場合、絶対値とは当該負の符号を取った値を意味する。)が重要である。
【0069】
前記飽和複素環構造を有する化合物が、前記式(3)で表される化合物の残基を含む場合には、ET1及びET2で表される基の少なくとも一方(好ましくは、ET1及びET2で表される基)が、部分構造(ここで、該部分構造は、少なくとも2個のπ共役電子を有する)と結合していることが好ましい。更に、ET1及びET2で表される基が、該記部分構造と結合しており、ET1及びET2で表される基と該部分構造との間の2面角は20°以上が好ましく、30°以上がより好ましく、50°以上が更に好ましく、65°以上が特に好ましく、75°以上がとりわけ好ましい。
【0070】
また、前記飽和複素環構造を有する化合物において、芳香環、ヘテロ芳香環等の不飽和環が結合して存在する場合、あらゆる不飽和環の間の2面角が、30°以上であることが好ましく、50°以上であることがより好ましく、65°以上であることが更に好ましく、75°以上であることが特に好ましい。
【0071】
ここで、本明細書において、「2面角」とは、基底状態における最適化構造から算出される角度を意味する。2面角は、例えば、前記式(3)では、ET1又はET2で表される基において結合位置にある炭素原子(a1)とa1に隣接する炭素原子又は窒素原子(a2)、及びET1又はET2で表される基と結合している構造の結合位置にある原子(a3)とa3に隣接する原子(a4)で規定される。ここで、原子(a2)又は原子(a4)が複数選択可能な場合は、すべての場合について2面角を算出し、その中で値が最低の値(180°以下である)を2面角とする。原子(a3)及び(a4)は、π共役電子を有する原子であり、より好ましくは、炭素原子、窒素原子、珪素原子、リン原子である。本明細書においては、計算科学的手法により求められるn=3(nは重合度)の構造の基底状態における最適化構造(即ち、該構造の生成エネルギーが最小となる構造)から算出する。前記飽和複素環構造を有する化合物において、前記2面角が複数存在する場合は、すべての2面角が前記条件を満たしていることが好ましい。
【0072】
前記飽和複素環構造を有する化合物としては、下式(5−1)〜(5−30)で表される化合物が挙げられる。下式(5−1)〜(5−30)中、Rは水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、イミン残基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基、置換カルボキシル基、シアノ基が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基が好ましい。R*は、前記と同じ意味を表す。複数存在するR及びR*は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
【0073】

【0074】

【0075】

【0076】
前記飽和複素環構造を有する化合物としては、以下の化合物も挙げられる。
【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】

(式中、nは重合度を表す。)
【0082】
−燐光発光性化合物−
前記燐光発光性化合物としては、三重項発光錯体等の公知の化合物が使用でき、例えば、従来から低分子系のEL発光性材料として利用されてきた化合物が挙げられる。これらは、Nature, (1998), 395, 151、Appl. Phys. Lett. (1999), 75(1), 4、Proc. SPIE-Int. Soc. Opt. Eng. (2001), 4105(Organic Light-Emitting Materials and DevicesIV), 119、J. Am. Chem. Soc., (2001), 123, 4304、Appl. Phys. Lett., (1997), 71(18), 2596、Syn. Met., (1998), 94(1), 103、Syn. Met., (1999), 99(2), 1361、Adv. Mater., (1999), 11(10), 852、 Inorg. Chem., (2003), 42, 8609、 Inorg. Chem., (2004), 43, 6513、Journal of the SID 11/1、161 (2003)、WO2002/066552、WO2004/020504、WO2004/020448等に開示されている。これらの中でも、金属錯体のHOMOにおける、中心金属の最外殻d軌道の軌道係数の2乗の和が、全原子軌道係数の2乗の和において占める割合が1/3以上であることが、高発光効率を得る観点で好ましい。前記燐光発光性化合物としては、中心金属が第6周期に属する遷移金属である、オルトメタル化錯体等も挙げられる。
【0083】
前記三重項発光錯体の中心金属としては、通常、原子番号50以上の原子で、該錯体にスピン−軌道相互作用があり、一重項状態と三重項状態間の項間交差を起こし得る金属であり、好ましくは、金、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、タングステン、ユーロピウム、テルビウム、ツリウム、ディスプロシウム、サマリウム、プラセオジム、ガドリニウム、イッテルビウムの原子であり、より好ましくは、金、白金、イリジウム、オスミウム、レニウム、タングステンの原子であり、更に好ましくは、金、白金、イリジウム、オスミウム、レニウムの原子であり、特に好ましくは、金、白金、イリジウム、レニウムの原子であり、とりわけ好ましくは、白金及びイリジウムの原子である。
【0084】
前記三重項発光錯体の配位子としては、8−キノリノール及びその誘導体、ベンゾキノリノール及びその誘導体、2−フェニル−ピリジン及びその誘導体等が挙げられる。
【0085】
前記燐光発光性化合物は、溶解性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいヘテロアリール基等の置換基を有する化合物であることが好ましい。更に、該置換基は、水素原子以外の原子の総数が3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、7以上であることが更に好ましく、10以上であることが特に好ましい。また、該置換基は、各配位子に少なくとも1個存在することが好ましく、該置換基の種類は、配位子毎に同一であっても異なっていてもよい。
【0086】
前記燐光発光性化合物としては、以下の化合物が挙げられる。
【0087】

【0088】

(式中、tBuは、tert−ブチル基を表す。)
【0089】
本発明の組成物における前記燐光発光性化合物の含有量は、前記飽和複素環構造を有する化合物100重量部に対して、通常、0.01〜80重量部であり、好ましくは0.1〜30重量部であり、より好ましくは0.1〜15重量部であり、特に好ましくは0.1〜10重量部である。なお、本発明の組成物において、前記飽和複素環構造を有する化合物、前記燐光発光性化合物は、各々、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0090】
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、前記飽和複素環構造を有する化合物、前記燐光発光性化合物以外の任意成分を含んでいてもよい。この任意成分としては、正孔輸送材料、電子輸送材料、酸化防止剤等が挙げられる。
【0091】
前記正孔輸送材料としては、有機EL素子等の発光素子の正孔輸送材料として公知の芳香族アミン、カルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体等が挙げられる。
【0092】
前記電子輸送材料としては、有機EL素子等の発光素子の電子輸送材料として公知のオキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体が挙げられる。
【0093】
本発明の組成物において、前記飽和複素環構造を有する化合物のT1エネルギーの値(ETP)と前記燐光発光性化合物のT1エネルギーの値(ETT)とが、下記式:
ETP > ETT (eV)
を満たすことが、高効率発光の観点から好ましく、
ETP > ETT+0.1 (eV)
を満たすことが、より好ましく、
ETP > ETT+0.2 (eV)
を満たすことが、更に好ましい。
【0094】
<高分子化合物>
本発明の高分子化合物は、前記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(2−1)、(2−2)、(2−3)及び(2−4)からなる群から選ばれる式で表される化合物の残基と、前記燐光発光性化合物の残基とを有する高分子化合物である。前記燐光発光性化合物及び前記飽和複素環構造を有する化合物は、前記組成物の項で説明し例示したものと同様である。本発明の高分子化合物は、前記燐光発光性化合物の残基を、分子鎖の主鎖、末端、側鎖のいずれに有していてもよい。
【0095】
<薄膜>
本発明の薄膜には、発光性薄膜、有機半導体薄膜等がある。これらの薄膜は、本発明の組成物等を用いてなるものである。
本発明の薄膜は、溶液の塗布、蒸着、転写等により作製することができる。溶液の塗布には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等を用いればよい。
【0096】
前記溶液の調製に用いる溶媒としては、本発明の組成物等を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としては、塩素系溶媒(クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等)、エーテル系溶媒(テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、芳香族炭化水素系溶媒(トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素系溶媒(シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等)、多価アルコール及びその誘導体(エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)、アミド系溶媒(N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等)が挙げられる。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0097】
インクジェット印刷法を用いる場合には、ヘッドからの吐出性、ばらつき等の改善のために、溶液中の溶媒の選択、添加剤として公知の方法を用いることができる。この場合、溶液の粘度が、25℃において1〜100mPa・sであることが好ましい。また、あまり蒸発が著しいとヘッドから吐出を繰り返すことが難しくなる傾向がある。このような観点から、用いられる溶媒としては、アニソール、ビシクロヘキシル、キシレン、テトラリン、ドデシルベンゼン等を含む単独又は混合の溶媒が好ましい。一般的には、複数の溶媒を混合する方法、組成物の溶液中での濃度を調整する方法等によって用いた組成物に合ったインクジェット印刷用の溶液を得ることができる。
【0098】
<発光素子>
次に、本発明の発光素子について説明する。
本発明の発光素子は、本発明の組成物等を用いてなるものであり、通常、陽極及び陰極からなる電極間に設けられた層の少なくとも一部に本発明の組成物等を含むが、それらは前記薄膜の形態で発光層として含まれることが好ましい。また、発光効率、耐久性等の性能を向上させる観点から、他の機能を有する公知の層を含んでいてもよい。このような層としては、例えば、電荷輸送層(即ち、正孔輸送層、電子輸送層)、電荷阻止層(即ち、正孔阻止層、電子阻止層)、電荷注入層(即ち、正孔注入層、電子注入層)、バッファ層等が挙げられる。なお、本発明の発光素子において、発光層、電荷輸送層、電荷阻止層、電荷注入層、バッファ層等は、各々、一層からなるものでも二層以上からなるものでもよい。
【0099】
前記発光層は、発光する機能を有する層である。前記正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する層である。前記電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する層である。これら電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と言う。また、電荷阻止層は、正孔又は電子を発光層に閉じ込める機能を有する層であり、電子を輸送し、かつ正孔を閉じ込める層を正孔阻止層と言い、正孔を輸送し、かつ電子を閉じ込める層を電子阻止層と言う。
【0100】
前記バッファ層としては、陽極に隣接して導電性高分子化合物を含む層が挙げられる。
【0101】
本発明の発光素子の具体例としては、以下のa)〜q)の構造が挙げられる。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/発光層/正孔阻止層/陰極
e)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
f)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
g)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
i)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
j)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
l)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
m)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
o)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
p)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
q)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下、同じである。なお、発光層、正孔輸送層、電子輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。)
【0102】
本発明の発光素子が正孔輸送層を有する場合(通常、正孔輸送層は、正孔輸送材料を含有する)、正孔輸送材料としては公知の材料、例えば、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体等の高分子正孔輸送材料が挙げられるが、特開昭63-70257号公報、同63-175860号公報、特開平2-135359号公報、同2-135361号公報、同2-209988号公報、同3-37992号公報、同3-152184号公報に記載されている化合物も挙げられる。
【0103】
本発明の発光素子が電子輸送層を有する場合(通常、電子輸送層は、電子輸送材料を含有する)、電子輸送材料としては公知の材料、例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体等が挙げられる。
【0104】
正孔輸送層及び電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層及び電子輸送層の膜厚は、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、更に好ましくは5nm〜200nmである。
【0105】
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(即ち、正孔注入層、電子注入層の総称である。以下、同じである。)と呼ばれることがある。
【0106】
更に電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は絶縁層(通常、平均膜厚で0.5nm〜4nmである。)を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファ層を挿入してもよい。
【0107】
積層する層の順番や数、及び各層の厚さは、発光効率や素子寿命を勘案して選択することができる。
【0108】
電荷注入層としては、導電性高分子化合物を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層等が挙げられる。
【0109】
電荷注入層に用いる材料としては、電極や隣接する層の材料との関係で選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子化合物、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)、カーボン等が挙げられる。
【0110】
絶縁層は、電荷注入を容易にする機能を有する。前記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。前記絶縁層を設けた発光素子としては、陰極に隣接して絶縁層を設けた発光素子、陽極に隣接して絶縁層を設けた発光素子が挙げられる。
【0111】
本発明の発光素子は、通常、基板上に形成される。前記基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等の基板が挙げられる。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0112】
本発明の発光素子が有する陽極及び陰極の少なくとも一方は、通常、透明又は半透明である。その中でも、陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。
【0113】
陽極の材料としては、通常、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられ、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性無機化合物を用いて作製された膜(NESA等)や、金、白金、銀、銅等が挙げられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。その作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。なお、陽極を2層以上の積層構造としてもよい。
【0114】
陰極の材料としては、通常、仕事関数の小さい材料が好ましく、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、及びそれらのうち2個以上の合金、又はそれらのうち1個以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1個以上との合金、グラファイト又はグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。なお、陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
【0115】
本発明の発光素子は、面状光源、表示装置(セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置等)、そのバックライト(前記発光素子をバックライトとして備えた液晶表示装置)等として用いることができる。
【0116】
本発明の発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極若しくは陰極のいずれか一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号等を表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる材料を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダー等の表示装置として用いることができる。
【0117】
更に、前記面状の発光素子は、通常、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、照明(面状の照明、該照明用の光源等)等として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源、照明、表示装置等としても使用できる。
【0118】
本発明の組成物等は、素子の作製に有用であるだけではなく、有機半導体材料等の半導体材料、発光材料、光学材料、導電性材料(例えば、ドーピングにより適用する。)として用いることもできる。したがって、本発明の組成物等を用いて、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜等の薄膜を作製することができる。
【0119】
本発明の組成物等は、前記発光素子の発光層に用いられる薄膜(発光性薄膜)の作製方法と同様の方法で、導電性薄膜及び半導体薄膜を成膜、素子化することができる。半導体薄膜は、電子移動度又は正孔移動度のいずれか大きい方が、10-5cm2/V/秒以上であることが好ましい。また、有機半導体薄膜は、有機太陽電池、有機トランジスタ等に用いることができる。
【実施例】
【0120】
以下、本発明を更に詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0121】
<実施例1>
WO02/066552に記載の方法で合成した下記式:

で表される燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−1)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、前記燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
化合物(C−1)のT1エネルギーの値は3.6eVであり、HOMOのエネルギーレベルの絶対値EHOMOは5.9eVであった。また、燐光発光性化合物(MC−1)のT1エネルギーの値は2.7eVであった。
パラメータの計算は、発明の詳細な説明に記載の計算科学的手法で行った。具体的には、化合物(C−1)に対して、HF法により構造最適化を行った。その際、基底関数としては、6−31G*を用いた。その後、同一の基底関数を用いて、B3P86レベルの時間依存密度汎関数法により、HOMOのエネルギーレベルの値及びT1エネルギーの値を算出した。
【0122】
<実施例2>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−2)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−2)のT1エネルギーの値は3.4eVであり、LUMOのエネルギーレベルの絶対値ELUMOは1.7eVであった。
【0123】
<実施例3>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−3)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−3)のT1エネルギーの値は3.8eVであった。
【0124】
<実施例4>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−4)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−4)のT1エネルギーの値は4.0eVであった。
【0125】
<実施例5>
実施例1において、燐光発光性化合物(MC−1)に代えて下記式:

で表される燐光発光性化合物(MC−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、混合物(溶液)を調製し、得られた固体膜に254nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−2、アメリカンダイソース社製、商品名:ADS065BE)からの強い水色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
計算科学的手法により算出した燐光発光性化合物(MC−2)のT1エネルギーの値は2.9eVであった。
【0126】
<実施例6>
実施例2において、燐光発光性化合物(MC−1)に代えて燐光発光性化合物(MC−2)を用いた以外は、実施例2と同様にして、混合物(溶液)を調製し、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−2)からの強い水色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0127】
<実施例7>
実施例3において、燐光発光性化合物(MC−1)に代えて燐光発光性化合物(MC−2)を用いた以外は、実施例3と同様にして、混合物(溶液)を調製し、254nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−2)からの強い水色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0128】
<実施例8>
実施例4において、燐光発光性化合物(MC−1)に代えて燐光発光性化合物(MC−2)を用いた以外は、実施例4と同様にして、混合物(溶液)を調製し、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−2)からの強い水色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0129】
<実施例9>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−5)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−5)のT1エネルギーの値は3.4eVであり、LUMOのエネルギーレベルの絶対値ELUMOは1.5eVであった。
【0130】
<実施例10>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−6)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−6)のT1エネルギーの値は3.4eVであり、LUMOのエネルギーレベルの絶対値ELUMOは1.7eVであった。
【0131】
<実施例11>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−7)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0132】
<実施例12>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−8)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−8)のT1エネルギーの値は3.8eVであった。
【0133】
<実施例13>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−9)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−9)のT1エネルギーの値は3.1eVであり、LUMOのエネルギーレベルの絶対値ELUMOは1.5eVであった。
【0134】
<実施例14>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−10)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−10)のT1エネルギーの値は3.5eVであり、LUMOのエネルギーレベルの絶対値ELUMOは1.7eVであった。
【0135】
<実施例15>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−11)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−11)のT1エネルギーの値は3.6eVであった。
【0136】
<実施例16>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−12)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−12)のT1エネルギーの値は3.6eVであった。
【0137】
<実施例17>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−13)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−13)のT1エネルギーの値は3.6eVであった。
【0138】
<実施例18>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−14)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−14)のT1エネルギーの値は3.8eVであった。
【0139】
<実施例19>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−15)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−15)のT1エネルギーの値は3.6eVであった。
【0140】
<実施例20>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−16)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−16)のT1エネルギーの値は3.4eVであり、LUMOのエネルギーレベルの絶対値ELUMOは1.5eVであった。
【0141】
<実施例21>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−17)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−17)のT1エネルギーの値は3.8eVであった。
【0142】
<実施例22>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−18)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−18)のT1エネルギーの値は3.6eVであった。
【0143】
<実施例23>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−19)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−19)のT1エネルギーの値は3.6eVであり、LUMOのエネルギーレベルの絶対値ELUMOは1.5eVであった。
【0144】
<実施例24>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−20)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−20)のT1エネルギーの値は3.5eVであり、LUMOのエネルギーレベルの絶対値ELUMOは1.6eVであった。
【0145】
<実施例25>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−21)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−21)のT1エネルギーの値は3.5eVであり、LUMOのエネルギーレベルの絶対値ELUMOは2.2eVであった。
【0146】
<実施例26>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−22)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−22)のT1エネルギーの値は3.7eVであり、LUMOのエネルギーレベルの絶対値ELUMOは2.2eVであった。
【0147】
<実施例27>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−23)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0148】
<実施例28>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−24)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−24)のT1エネルギーの値は3.8eVであった。
【0149】
<実施例29>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−25)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−25)のT1エネルギーの値は3.6eVであり、LUMOのエネルギーレベルの絶対値ELUMOは1.9eVであった。
【0150】
<実施例30>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−26)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−26)のT1エネルギーの値は3.5eVであり、LUMOのエネルギーレベルの絶対値ELUMOは1.9eVであった。
【0151】
<実施例31>
燐光発光性化合物(MC−1)のTHF溶液(0.05重量%)に対して、約5倍重量の下記式:

で表される化合物(C−27)のTHF溶液(約1重量%)を混合し、混合物(溶液)を調製した。この混合物10μlをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。この固体膜に、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの強い緑色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
パラメータの計算は、実施例1と同様に計算科学的手法で行った。化合物(C−27)のT1エネルギーの値は3.8eVであった。
【0152】
<実施例32>
実施例9において、燐光発光性化合物(MC−1)に代えて燐光発光性化合物(MC−2)を用いた以外は、実施例9と同様にして、混合物(溶液)を調製し、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−2)からの強い水色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0153】
<実施例33>
実施例10において、燐光発光性化合物(MC−1)に代えて燐光発光性化合物(MC−2)を用いた以外は、実施例10と同様にして、混合物(溶液)を調製し、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−2)からの強い水色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0154】
<実施例34>
実施例14において、燐光発光性化合物(MC−1)に代えて燐光発光性化合物(MC−2)を用いた以外は、実施例14と同様にして、混合物(溶液)を調製し、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−2)からの強い水色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0155】
<実施例35>
実施例22において、燐光発光性化合物(MC−1)に代えて燐光発光性化合物(MC−2)を用いた以外は、実施例22と同様にして、混合物(溶液)を調製し、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−2)からの強い水色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0156】
<実施例36>
実施例23において、燐光発光性化合物(MC−1)に代えて燐光発光性化合物(MC−2)を用いた以外は、実施例23と同様にして、混合物(溶液)を調製し、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−2)からの強い水色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0157】
<実施例37>
実施例25において、燐光発光性化合物(MC−1)に代えて燐光発光性化合物(MC−2)を用いた以外は、実施例25と同様にして、混合物(溶液)を調製し、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−2)からの強い水色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0158】
<実施例38>
実施例26において、燐光発光性化合物(MC−1)に代えて燐光発光性化合物(MC−2)を用いた以外は、実施例26と同様にして、混合物(溶液)を調製し、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−2)からの強い水色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0159】
<実施例39>
実施例29において、燐光発光性化合物(MC−1)に代えて燐光発光性化合物(MC−2)を用いた以外は、実施例29と同様にして、混合物(溶液)を調製し、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−2)からの強い水色発光が得られたことから、前記混合物の発光効率が高いことが認められた。
【0160】
<比較例1>
下記式:

(式中、nは重合度である。)
で表される高分子化合物(P−1)のnをn=∞に外挿して算出した最低三重項励起エネルギーの値T1(1/n=0)は2.6eVであり、最低非占分子軌道のエネルギーレベルの絶対値ELUMO(1/n=0)は2.1eVであり、最小の2面角は45°であった。
パラメータの計算は、下記の簡略化した繰り返し単位(M−3):

を用いて、実施例1と同様にして算出した。
次いで、高分子化合物(P−3)と燐光発光性化合物(MC−1)とからなる混合物10μlを調製し、それをスライドガラスに滴下し、風乾させることにより、固体膜を得た。これに、365nmの紫外線を照射したところ、燐光発光性化合物(MC−1)からの発光が弱かったことから、前記混合物の発光効率が低いことが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素原子を含む環の構成員数が5以上の飽和複素環構造を有する化合物と、燐光発光性化合物とを含有する組成物。
【請求項2】
前記飽和複素環構造を有する化合物が、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(2−1)、(2−2)、(2−3)及び(2−4)からなる群から選ばれる式で表される化合物の残基を有する化合物である請求項1に記載の組成物。

[式中、R*は、水素原子又は置換基を表すか、同一の炭素原子に結合した2個のR*が一体となって=Oを表す。複数存在するR*は、同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項3】
前記飽和複素環構造を有する化合物が、下記式(3)で表される化合物、又はその残基を有する化合物である請求項2に記載の組成物。

[式中、HTは前記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(2−1)、(2−2)、(2−3)又は(2−4)で表される化合物の残基を表す。nは1〜5の整数である。nが2以上の場合、複数存在するHTは同一であっても異なっていてもよい。Y1及びY2はそれぞれ独立に、−C(Ra)(Rb)−、−N(Rc)−、−O−、−Si(Rd)(Re)−、−P(Rf)−、−S−、−C(=O)−又は−C(Rg)=C(Rh)−を表す。Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg及びRhはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。m1及びm2はそれぞれ独立に、0〜5の整数である。m1が2以上の場合、複数存在するY1は同一であっても異なっていてもよい。m2が2以上の場合、複数存在するY2は同一であっても異なっていてもよい。ET1及びET2はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基を表す。]
【請求項4】
前記ET1及びET2の少なくとも一方が、置換基を有していてもよいヘテロアリール基である請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記置換基を有していてもよいヘテロアリール基が、アルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいヘテロアリール基で置換されたヘテロアリール基である請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記置換基を有していてもよいヘテロアリール基が、炭素数3〜10のアルキル基、炭素数3〜10のアルコキシ基、炭素数3〜10のアルキル基若しくは炭素数3〜10のアルコキシ基で置換されたアリール基、又は炭素数3〜10のアルキル基若しくは炭素数3〜10のアルコキシ基で置換されたヘテロアリール基である請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
計算科学的手法により算出した、前記飽和複素環構造を有する化合物の最低三重項励起エネルギーの値が3.0eV以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
計算科学的手法により算出した、前記飽和複素環構造を有する化合物の最低非占有分子軌道のエネルギーレベルの絶対値が1.5eV以上である1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
計算科学的手法により算出した、前記飽和複素環構造を有する化合物の最高占有分子軌道のエネルギーレベルの絶対値が6.0eV以下である1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記式(3)で表される化合物又はその残基を含む化合物において、ET1及びET2で表される基が、部分構造と結合しており、該部分構造は少なくとも2個のπ共役電子を有し、ET1及びET2で表される基と該部分構造との間の2面角が20°以上である請求項3〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記飽和複素環構造を有する化合物の最低三重項励起エネルギーの値(ETP)と前記燐光発光性化合物の最低三重項励起エネルギーの値(ETT)とが、下記式:
ETP > ETT (eV)
を満たす請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(2−1)、(2−2)、(2−3)又は(2−4)で表される化合物の残基を繰り返し単位として有する化合物が高分子化合物である請求項2〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(2−1)、(2−2)、(2−3)及び(2−4)からなる群から選ばれる式で表される化合物の残基と、前記燐光発光性化合物の残基とを有する高分子化合物。

[式中、R*は、水素原子又は置換基を表すか、同一の炭素原子に結合した2個のR*が一体となって=Oを表す。複数存在するR*は、同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物又は請求項13に記載の高分子化合物を用いてなる薄膜。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物又は請求項13に記載の高分子化合物を用いてなる発光素子。
【請求項16】
請求項15に記載の発光素子を備えた面状光源。
【請求項17】
請求項15に記載の発光素子を備えた表示装置。
【請求項18】
請求項15に記載の発光素子を備えた照明。

【公開番号】特開2010−31247(P2010−31247A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145144(P2009−145144)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(506061668)サメイション株式会社 (51)
【Fターム(参考)】