説明

経口腔粘膜剤形の投与のための貯蔵および投与デバイス

患者の口腔粘膜に剤形を投与するための薬物貯蔵および投与デバイスが開示される。本薬物貯蔵および投与デバイスは、投与前にデバイス中の薬物剤形(単数または複数)が乾燥しているように、唾液および/または水分の進入を遅らせるか、または防ぐ手段を含む、(a)単回用量アプリケータ(SDA)または(b)デバイスである。一つ実施形態において、本発明のデバイスは、一回一用量で複数用量を投与することができて、部分的または完全にディスポーザブルである。本デバイスは再利用可能なヘッドおよびディスポーザブルなボディーを有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2007年7月3日に出願された米国特許出願第11/825,212号;および2007年1月5日に出願された米国特許出願第11/650,230号の一部継続出願であり、これの米国特許出願の双方は、それらの全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、小容量薬物剤形を経口腔粘膜投与するための投与デバイスおよびシステムに関する。本投与デバイスは、口腔粘膜経由の薬物送達を最大化するために小容量経口腔粘膜剤形を然るべく置くことを提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
医薬の口腔粘膜経由の送達には利点があり、かかる医薬のための薬物の製剤、送達および投与技術は、活発な研究分野を代表するものである。制御された薬物送達システムは、現在の薬物送達システムと比較して、送達の制御、安全性の向上、患者コンプライアンスおよび利便性の向上を含めて多数の利点を提供する。
【0004】
「Patient Controlled timed oral medication drug dispensing device」と題する2006年5月16日に成立した特許文献1および特許文献2(Conley;Avancen)は、必要に応じた医薬のための経口薬送達デバイス、すなわち薬物へのアクセス可能性がロックアウトによりプログラムされるデバイスについて記載している。
【0005】
2001年5月22日に成立した「Automated portable medication radial dispensing apparatus and method」と題する特許文献3(Papp;Papp Enterprise,LLC)は、放射状の投与装置を通して実質的にすべてのサイズのタブレットまたはカプセルの手動、または自動化(マイクロプロセッサ制御)投与を可能にするポータブルな医薬カートリッジであって、医薬が、該医薬カートリッジから順次進められてタブレットトレイの開いた側面を通して放射上に投与される、カートリッジについて記載している。
【0006】
特許文献4は、医師が処方した医薬療法の正確な遂行を助ける、比較的小さいマイクロプロセッサ制御された機構を含む医薬投与システムを開示している。該機構は、スタンドアローン・ユニットとして用いることもでき、または中央制御された医薬ネットワークに統合することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,044,302号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20030052135号明細書
【特許文献3】米国特許第6,234,343号明細書
【特許文献4】米国特許第5,945,651号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
口腔粘膜に剤形を送達するための手段を提供して薬物を適切に置くことを容易にする投与デバイスについては、従来の技術は記載しない。
【0009】
現在入手できる投薬デバイスが様々なタイプの薬物の投与に有効であったとはいえ、薬物を口腔粘膜に投与するために、中に保存された薬物の完全性を維持する一方で、多数回使用が可能な改良デバイスのニーズが依然としてある。かかる剤形の自己投与に使用できるデバイスであって、小容量剤形を経口腔粘膜送達のための然るべき部位に配置するために使用できるディスポーザブルなデバイスを提供するのみならず、安全で制御された送達を提供するデバイスのニーズもある。
【0010】
それ故に、病院および外来患者の両環境で口腔粘膜に薬物を送達するための改良デバイスおよびシステムの開発に実質的な興味がもたれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
対象の口腔粘膜に薬物剤形を投与するための投与デバイスであって、該デバイスは、投与端をもつハウジング、および唾液または水分の進入を防ぐか、または遅らせるための手段をもつデバイスが提供される。本デバイスは、ハンドヘルドかつポータブルとすることができる。
【0012】
本剤形は、典型的に生体接着特性をもち、本投与デバイスは、口腔粘膜上、例えば舌下の空間内に剤形を配置するのに有効である。
【0013】
本デバイスは、一回一用量で複数用量を投与することができて、部分的または完全にディスポーザブルである。本デバイスは再利用可能なヘッドおよびディスポーザブルなボディーを有することができる。
【0014】
本投与デバイスは、シュラウドを備える口吻部、(薬物剤形を収納し、ディスポーザブルとするとよい)交換可能なカートリッジ、およびプッシュロッド、例えば、可撓性プッシュロッドを含めて、多くの構成部品を有する。
【0015】
本カートリッジは、1つまたはそれ以上の配送タブレット、および1から5日までの治療に十分な薬物剤形、例えば、2から3日までの治療に十分な薬物剤形を含むことができる。
【0016】
本投与デバイスの動作は、手動または電気機械的とすることができる。
【0017】
本デバイスは、以下の1つまたはそれ以上をさらに備えることができる:ロックアウト機能;チャイルド・レジスタントである;投薬履歴を記録するための手段および投薬記録を閲覧またはダウンロードするための手段を備え、投薬履歴はリセット可能である;剤形を検出するための手段を備え、1つまたはそれ以上の配送タブレット或いは剤形が投与されたときをデバイスが検出することができる;配送タブレットおよび剤形を区別できて、投与メカニズムの自己キャリブレーションができる;および、データ転送のための接続性手段。さらに、本投与デバイスは、薬物剤形カートリッジと一方向または双方向に通信する1つまたはそれ以上の手段を備えることができる(例えば、カートリッジをデバイスに搭載した時点で、カートリッジは、投与デバイスに薬物および投薬情報をアップロードすることができる。)
本発明は、例えば、痛みを処置するための投与デバイスを用いる方法、およびそれを備えたシステムをさらに提供する。
【0018】
本発明は、対象の口腔粘膜に薬物剤形を投与するためのディスポーザブルな単回用量アプリケータ(SDA:single dose applicator)をさらに提供する。
【0019】
本発明は、SDAを用いる方法、およびそれを備えるシステムをさらに提供する。
【0020】
投与デバイスまたはSDAの応用は、いかなる特定タイプの薬物または患者集団にも限定されない。かくして、本明細書に記載される投与デバイスおよびSDAは、小児、成人および非ヒト哺乳動物の対象への薬物送達に有用性を見いだす。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】治療下にある患者の口腔粘膜に薬物剤形を送達するように設計された、本発明の例となる投与デバイスの概略図を示す。図1Aはもとの完全な投薬デバイス11、図11B〜Dはその展開を示す。
【図1B】治療下にある患者の口腔粘膜に薬物剤形を送達するように設計された、本発明の例となる投与デバイスの概略図を示す。投薬デバイスの再利用可能なヘッド13およびディスポーザブルなボディー15。
【図1C】治療下にある患者の口腔粘膜に薬物剤形を送達するように設計された、本発明の例となる投与デバイスの概略図を示す。投薬デバイスの再利用可能なヘッド13、ディスポーザブルなボディー15およびカートリッジ17、投与ボタン23、および口吻部31。
【図1D】治療下にある患者の口腔粘膜に薬物剤形を送達するように設計された、本発明の例となる投与デバイスの概略図を示す。再利用可能なヘッド13、ディスポーザブルなボディー15およびカートリッジ17、口吻部31、およびデバイスをロック解除するための掛け金19、ハブロック21、遠位シール33、35、ならびにパワートレイン・カプリング25を含む投薬デバイス11の様々な様態。
【図1E】治療下にある患者の口腔粘膜に薬物剤形を送達するように設計された、本発明の例となる投与デバイスの概略図を示す。再組み立てされた完全な投薬デバイス11。
【図2】唾液および水分の進入を阻止するか、または遅らせるように設計された特徴を示す、本発明の例となる投与デバイスの概略図である。好ましい実施形態は、シュラウド29を有する投与チップを含み、拭き取りシール/バルブ33、35、吸収剤パッド39、プッシュロッド51、乾燥チャンバー/水分伝達チャンネル43、チャンネル中の乾燥剤45、剤形67を含むカートリッジ17およびカートリッジ中の乾燥剤47の1つまたはそれ以上を有する。
【図3】図3Aおよび図3Bは、投与チップのための例となる幾何学的配置の概略図を示す。
【図4】図4A〜Dは、口吻部31がS字形53でありシュラウド29およびバルブ33を備える、本発明の投与デバイス11の例となる口吻部31の概略図を示す。シュラウドは、舌および他の粘膜からの水分および唾液の進入からバルブを遮蔽し、剤形が、濡れた遠位バルブまたはシュラウド領域に「固着」しないでデバイスから送出されるための領域を提供する。シュラウドは、デバイスを口腔空間から取り出すときに、剤形が引きずられるのを緩和するための切り欠き/起伏55も備える。バルブは、剤形の送達を助けるのみならず、唾液および水分の進入を抑制するためにシュラウドとともに機能する。
【図5−1】図5A〜Dは、デバイス使用の間のプッシュロッド/タブレット相互作用の段階を示す、本発明の例となるデバイスを使用するための一連のフロー図であり、搭載機能を示す。
【図5−2】図5A〜Dは、デバイス使用の間のプッシュロッド/タブレット相互作用の段階を示す、本発明の例となるデバイスを使用するための一連のフロー図であり、搭載機能を示す。
【図6】デバイス使用の間のプッシュロッド/タブレット相互作用の段階を示す、本発明の例となるデバイスの概略図を示す。図6には、プッシュロッド51、剤形67、配送タブレット69、スプリング73および位置センサ71が示される。使用の間に、プッシュロッド51は、図6にも示されるポジション57、59、61、63、65および67の間を移動する。
【図7】例となるプッシュロッド51、剤形67および隔膜タイプのシール75の幾何学的配置の概略図である。
【図8】薬物剤形を送達するための、本発明の投与デバイスの例となる投与メカニズムの概略図を示す。
【図9】図9Aは、本発明の投与デバイス11を用いて薬物剤形67を送達するために使用されるプッシュロッド51の投与端の概略図である。図9B〜Eは、プッシュロッドが透明および/または反射部分をもつことができる、本発明の投与デバイスに用いるためのプッシュロッドの実施形態の概略図を示す。プッシュロッド51は、完全に透明であってもよい。
【図10】分離した投薬デバイスヘッド13、投薬デバイスボディー15をもつデバイス、薬物カートリッジ17、ポータブル・ドッキングFOB113、患者RFIDタグ115、および基地局117を含んだ、本発明のデバイスまたはシステムに含むことができる様々な構成要素を示す、図式的な構造接続図である。
【図11】本発明の投薬システムに含むことができる様々な機能要素を示す図式的な構造接続図であって、RAMおよびROMを備えるマイクロプロセッサ、ドッキング・コネクタ、投与ボタンセンサ、投与センサ、テザーセンサ、ヘッド/ボディー組み立てセンサ、電池、投与ボタン・ロックアウト、アクチュエータ・エンコーダ、WI/FIアンテナ、RFIDアンテナ、グラフィック表示、可聴アラームおよびユーザインターフェースを含む構造接続図である。
【図12】図12Aは、RFIDタグ、投薬デバイス、基地局/ドックおよび医療提供者のパーソナルコンピュータを含む、本発明のシステムにおける通信の一様態を示すブロック図である。図12Bは、RFIDタグ、投薬デバイス、ポータブル・ドッキングFOB、基地局および医療提供者のパーソナルコンピュータを含む、本発明のシステムにおける通信また別の一様態を示すブロック図である。
【図13】図13Aおよび図13Bは、例となる薬物剤形の形状を示す。
【図14】図14Aおよび図14Bは、例となる単回用量アプリケータの概略図である。
【図15】図15A〜Cは、単回用量アプリケータの1タイプおよび対象に剤形を送達するときのその使用に関する説明図を示す。
【図16】図16A〜Fは、6つの付加的な単回用量アプリケータの説明図を示す。
【図17】使用前に複数の単回用量アプリケータが蓄積される複数回用量アプリケータの説明図を示す。
【図18】図18A〜Cは、付加的な単回用量アプリケータおよび複数回用量アプリケータの実施形態の説明図を示す。
【図19】図19A〜Bは、単回用量アプリケータの一実施形態を使用する二つの段階を示す。
【図20】図20A〜Dは、単回用量アプリケータ(SDA)の付加的な例の概略図である。
【図21】図21A〜Dは、使用前に複数のSDAの蓄積を提供する複数回用量アプリケータまたは容器、および薬物剤形を舌下投与するためのSDAの使用の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(発明の詳細な説明)
以下の開示は、本発明を構成する投与デバイス、システムおよび方法を記載する。薬物剤形を投与するための本発明のデバイス、システムおよび方法の詳細な開示が、本明細書において以下に示される。本発明は、一般に、(1)投薬デバイス;(2)投与デバイスおよび薬物剤形を含むシステム;および(3)かかる投与デバイスおよびシステムを用いるための方法を包含する。
【0023】
本発明は、一般に、多数のタイプの剤形のいずれかを口腔粘膜に投与するための投与デバイス、かかる投与デバイスを用いる方法およびそれを備えるシステムに関する。本明細書に記載される特定のデバイス、システムおよび方法論または症候群は、もちろん変化し得るので、本発明はそれらには限定されない。本明細書で用いる用語法は、特定の実施形態を記載することのみを目的としており、本発明の範囲を限定する意図をもたないことも理解されるべきである。
【0024】
別な定義がなされない限り、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に共通に理解されるのと同じ意味をもつ。本発明を実施またはテストするのに、本明細書に記載されるのと同様または等価な任意の方法、デバイスおよび物質を用いることができるとは言え、好ましい方法、デバイスおよび物質は、以下に記載される。
【0025】
本明細書および添付の請求項に用いられるように、単数形「1つの(a)」、「および(and)」並びに「(前記の)(the)」は、文脈が明確に別に指示しない限り、複数の参照を含むことに留意すべきである。従って、例えば、「1つの薬物製剤」への言及は複数のかかる製剤を含み、「1つの薬物送達デバイス」への言及は、薬物製剤、およびかかる製剤を格納、貯蔵および送達するためのデバイスを備えるシステムを含む。
【0026】
本明細書で議論される出版物は、ひとえにそれらの公開が本出願の出願日に先立つ故に示される。本記載のいずれも、先行発明の故に本発明がかかる公開に先行する権利なしと認めるものと解釈されるべきではない。
【0027】
定義
本明細書で用いる用語「製剤」および「薬物製剤」または「薬物剤形」は、対象に送達するための多くの剤形のいずれかの中に提供されることができる少なくとも1つの治療薬を含む物理的組成物を指す。本剤形は、ロゼンジ、丸薬、カプセル、膜、細片、液体、パッチ、パッド、フィルム、ガム、ゲル、スプレーまたは他の形態で患者に提供されることができる。
【0028】
本明細書で用いる用語「薬物」は、動物の生理機能を変化させる任意の物質を一般的に指す意図をもつ。用語「薬物」は、本明細書では、「治療薬」、「医薬」、「薬理作用のある活性薬剤」などと同義で用いることができる。本発明の「薬物」製剤は、1つより多い治療薬を含み、治療薬の例となる組み合わせは、二つまたはそれ以上の薬物の組み合わせを含むと理解する。
【0029】
用語「対象」は、疾患の治療が望まれる任意の対象、一般的には哺乳類(例えば、ヒト、イヌ、ネコ、馬、牛、有蹄動物など)、大人または子供を含む。用語「対象」および「患者」は、本明細書において同義で用いることができる。
【0030】
薬物などの「経粘膜」送達の用語は、粘膜を横断または通過する送達のすべての形態を包含する意図をもつ。特に、本明細書で用いる用語「経口腔粘膜薬物送達」および「経口腔粘膜投与」は、嚥下とそれに続くGI吸収によるのではなく、経口腔粘膜経路によって実質的に生じる薬物送達を指す。これは、頬側、舌下および歯茎の経粘膜領域を経由する送達を含む。本明細書で用いる用語「経口腔粘膜剤形」は、薬物送達が、嚥下とそれに続くGI吸収によるのではなく経口腔粘膜経路によって実質的に生じる剤形を指す。かかる剤形は、口腔粘膜経由の、典型的には舌下の空間内に剤形を配置することよる、送達を最大にできる溶解速度が提供されるように設計がなされる。
【0031】
本明細書において「舌下」は、文字通り「舌の下」を意味し、物質が消化管経由よりむしろ、舌下の血管を経由して迅速に吸収されるようなやり方で、口を経由して物質を投与する方法を指す。吸収は、血管が高度に発達した頬粘膜を経由して生じて、物質がより直接的に血液循環にアクセスすることができるため、胃腸の影響を受けない直接的な全身投与が提供される。
【0032】
医学的障害または状態の「治療」または「管理」の用語は、本明細書では、主観的な基準、客観的な基準、または両方によって決定される、対象をより心地よくするための医学的障害または状態に関する症状の後退、抑制、または軽減を一般的に記述するために用いる。
【0033】
本明細書で用いる用語「動作可能なように接続された」は、目標を達成するために意図通り機能するように、構成部分がデバイス中に提供されることを意味する。例えば、放出メカニズムに動作可能なように接続されたCPUに、動作可能なようにさらに接続されメモリデバイスは、作動すると、CPUがメモリデバイスと通信して薬物送達の状況または履歴をチェックし、次にさらに、放出メカニズムと(例えば、ソレノイドおよびスイッチを経由して)通信して、薬物を放出および投与することを示す意図をもつ。
【0034】
用語「FOB」は、小さい、ポータブル・ハンドヘルドで電力供給されるドッキング式電子デバイスを指し、該デバイスは、データのアップロード、データのダウンロード、投薬デバイスへの制御されたアクセス、薬物剤形への制御されたアクセスを行うため、或いは投薬デバイスのユーザインターフェースを強化または変更するために、投薬デバイスと連繋させて用いることができる。FOBは、投薬デバイスと有線または無線いずれかの方法で通信およびドッキングすることができる。FOBは、特に病院環境において、患者、或いは医者または介護人のような医療専門家の首から掛けられるようにひもに取り付ける改造を行ってもよい。投薬デバイスは、FOB経由で医者または介護人と通信することができる。
【0035】
用語「投与デバイス」、「投薬デバイス」、「ディスペンサー」、「薬物ディスペンサー」、「薬物投与ディスペンサー」および「薬物送達デバイス」は、本明細書において用語「投与デバイス」と同義で用いられ、薬物剤形を投与するデバイスを指す。単回用量アプリケータは、一「投薬デバイス」であると考えられる。投与デバイスは、患者の口腔粘膜への送達を目的として剤形に製剤された医薬を、制御性よく安全に送達するためのメカニズムを提供し、該デバイスは、ロゼンジ、丸薬、タブレット、カプセル、膜、細片、液体、パッチ、フィルム、ゲル、スプレーまたは他の形態のような剤形の貯蔵および/または送達に適合される。
【0036】
本明細書で用いる用語「薬物剤形および投与デバイスを含むシステム」は、薬物投与の送達および/またはモニターのための投薬システムを指す。本発明のシステムは、送達薬物量、それに対応する効能および安全性が、現在入手できるシステムに比べて向上するように、有効および最高投与量の両方をモニターおよび送達する用い方ができる。本システムは、貯蔵薬物への無認可アクセスを防止する安全機能、すなわち制御された薬物アクセスのための投薬ロックアウト機能、用量カウント機能、用量送達に関する情報保持のためのメモリ手段、およびユーザ、薬物カートリッジ、またはコンピュータのような別のデバイスとの双方向情報交換のためのインターフェース、並びに患者または医療提供者のようなデバイスユーザを識別するための手段などの安全機能を含み、現在入手可能なシステムに優る安全性の向上および使い易さを提供する、1つまたはそれ以上の機能をもつことができる。
【0037】
用語「口吻部」は、「投与チップ」および「送達チップ」と同義で用いられ、剤形を所望の部位(例えば、口腔粘膜)に送達する薬物ディスペンサーの投与および/または位置決めチップを指す。
用語「シュラウド」は、口腔の唾液または他の水分との接触から送達ポートを保護するための、口吻部における送達ポートの部分的または完全な覆いを記述するために用いられる。
【0038】
本発明の投与デバイスの特徴
一実施形態において、本発明の投薬デバイスは、ハンドヘルドかつポータブルである。
【0039】
また別の実施形態において、本デバイスは、口腔粘膜経由の、例えば舌下の空間内への送達のために、一回一用量で複数の剤形を投与することができる。
【0040】
本投薬デバイスは、本明細書で以下にさらに記載されるように、唾液の進入を阻止するか、または遅らせるためのシュラウドまたは他の手段への手段をもつ、口吻部を典型的に有する投与端のあるハウジングを有する。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、本投薬デバイスは、手で作動し、かつ完全にディスポーザブルである。
【0042】
本発明の他の実施形態において、本投薬デバイスは、電気機械的な手段によって作動する。
【0043】
本発明の投薬デバイスは、以下にさらに記載される多くの付加的な機能を有する。
【0044】
唾液および水分進入の阻止/遅延
いくつかの実施形態において、本発明のデバイスは、投与デバイス中への唾液の進入および水分の進入を最小限に抑えるか、またはなくすための手段を備える:(1)中にある剤形を濡らすのを回避すること;(2)中にある剤形が乾燥しているやり方で、投与デバイスに入るいかなる唾液も分離すること;(3)剤形が乾燥しているやり方で、投与デバイスに入るいかなる唾液も吸収または吸着すること;(4)剤形を気相および液相の水分から保護するために、唾液および水分がデバイスに入るのを阻止すること、または(5)それらの任意の組み合わせ。
【0045】
本発明のデバイスは、デバイスの外側の周囲条件に起因する湿度の進入を防ぐおよび/または制御するための手段を備えることができる。
【0046】
唾液の進入を最小限に抑えるか、またはなくす、或いは他の水分が投与デバイスに入るのを防ぐための手段は、限定されることなしに、1つまたはそれ以上のフレキシブルまたは硬いシール、1つまたはそれ以上のフレキシブルまたは硬いワイパー、乾燥剤またはパッドのような1つまたはそれ以上の吸収物質成分の使用、手動または自動で開閉されるドアまたは掛け金、多段階送達システム、正の空気圧および気流、またはタブレット送達オリフィスと唾液を輸送できる口内粘膜組織との間に維持されたエアギャップまたは既定の間隔ないしバリア/シュラウドを含む。シュラウドは、舌または口腔粘膜が剤形の投与領域に接触する能力を制限し、その結果として唾液の接触および進入を抑制する。シュラウド内部およびバルブ/シール表面の「湿気」を抑制するか、またはなくすことによって、剤形とシュラウドまたはバルブ/シールとの間に付着を生じることなく、剤形が投与される。本発明の投薬デバイスは、患者の口腔粘膜に薬物が投与される間、唾液がデバイス中に進入するのを最小限に抑えるか、またはなくすための手段を提供する。
【0047】
湿度、唾液の進入、または他の水性液体への不慮の暴露のいずれかによる水分への暴露から薬物剤形を保護するために、剤形をデバイス内に収納する本投与デバイスおよび容器またはカートリッジは、乾燥剤を含む。デバイス内の薬物剤形が水分に暴露されるのを防ぐメカニズムは、限定されることなしに、乾燥剤、シール、吸収剤、吸着剤、ワイパーおよびセンサの使用を含む。
【0048】
唾液または水分がデバイスに入ってしまった時点で、それらを捕捉或いは分離するための手段は、限定されることなしに、親水性のウィッキング物質または構成部分、吸収ないし吸着物質または構成部分、或いは乾燥物質または構成部分、水分を集める別のトラックまたはチャンネル、水分を吸収剤または吸着剤に伝える別のチャンネル、またはそれらの物質または構成部分の任意の組み合わせを含む。
【0049】
乾燥剤は、水に親和性をもつ固体、液体、またはゲルの形態の吸着剤であり、周囲から水分を吸収または吸着し、かくして身近な環境における水分を制御する。通常はペレット、キャニスター、パケット、カプセル、粉末、固体物質、ペーパー、ボード、タブレット、粘着パッチ、およびフィルムの形態をとり、射出成形プラスチックを含めて特定用途のために成形することができる任意の市販の乾燥剤を、本発明を実施するために用いることができる。シリカゲル(けい酸ナトリウム、固体でゲルではない)、アルミノけい酸塩、活性アルミナ、ゼオライト、モレキュラーシーブ、モンモリロナイト粘土、酸化カルシウムおよび硫酸カルシウムなどを含めて、多くのタイプの固体乾燥剤があり、それらのいずれも本発明を実施するために用いることができる。異なった乾燥剤は、水分または他の物質に対して異なった親和性、並びに吸収または吸着に関する異なった能力、および速度を有する。同様に、異なったタイプの乾燥剤は、異なった相対湿度で身近な周囲と平衡状態に達することになる。本発明の剤形、および投与デバイスの内部を水分から保護するための手段として、1つまたはそれ以上の乾燥剤を、口吻部に、剤形、送達ルート内または近傍に、剤形、タブレット・マガジンないしカートリッジ内または近傍に、投与デバイスの他の構成部分内または近傍に用いることができる。該乾燥剤は、投与デバイスの射出成形部分として形成することができ、位置に圧入された圧縮乾燥剤、またはデバイス内外の任意の他の位置の乾燥剤とすることができる。
【0050】
好ましい一実施形態において、乾燥剤はカートリッジ側面の空洞にはめ込まれる。乾燥剤の空洞にはタブレット・スタックにつながる孔があり、タブレットを乾燥剤に曝して乾燥状態に保つ。
【0051】
本発明の投与デバイスは、剤形投与の間の投与デバイスへの唾液の進入または水分を最小減に抑えるか、またはなくすために、バルブ、パッド、シール、プッシュロッドの休止ポジション、口吻部のデザインおよびシュラウドを利用する。
【0052】
本発明のデバイスに用いるためのバルブは、唾液および/または水分がデバイスに入るのを避けるのに十分なシール力を提供する典型的にドーム/外套針タイプのバルブであり、投与中およびタブレットが投与された時点で、遠位オリフィスを閉じることによって唾液の進入または水分を最小限に抑えるか、またはなくす機能を果たす。
【0053】
本発明のデバイスに用いるためのパッドは、プッシュロッド表面から液体を除去するためにプッシュロッドに接触するか、または繋がるのに役立つ様々な幾何学的形状を有する。かかるパッドは、典型的に親水特性を含み、液体をトラックおよびプッシュロッドから運び去ることによって唾液の進入または水分の進入を最小限に抑えるか、またはなくす機能を果たす。
【0054】
本発明のデバイスに用いるためのシール/ワイパーは、送達の間に薬物剤形およびプッシュロッドの周りに均一なシールを維持するように設計されており、これらは、剤形およびプッシュロッドの周りをシールし、投与の前、中、および後のオリフィスおよびプッシュロッドのシールおよび拭き取りにより唾液の進入または水分を最小限に抑えるか、またはなくす機能を果たす可撓性物質によって特徴づけられる。
【0055】
本発明のデバイスに用いるためのプッシュロッドの休止ポジションは、プッシュロッドを、カートリッジ出口から遠位にあり、かつ遠位の投与オリフィスから近位にある中間位置に配置することによって特徴づけられ、該休止ポジションは、投薬の合間の休止時にプッシュロッドを乾燥剤、吸収剤を含む位置、すなわちプッシュロッドを乾燥させるチャンネルに存在させることにより唾液の進入または水分を最小限に抑えるか、またはなくす機能を果たす。
【0056】
本発明のデバイスに用いるための口吻部のデザインは、デバイスの使用および/または対象の口腔粘膜上へのチップの配置を助ける遠位のデバイス形状、典型的にS字型によって特徴づけられる。本形状は、デバイスの適切な使用および対象の口腔粘膜上、例えば舌下の空間内への剤形の配置を可能にするように、典型的に曲線、角度、および幾何学的形状をもつ。
【0057】
本発明のデバイスのシュラウドは、デバイスと口腔粘膜および舌との間にバリアを形成する幾何学的形状、剤形を送達するための起伏、および疎水性または親水性の内部をもち、口腔粘膜をバルブ領域および剤形に接触させないバリアをつくることによって、唾液の進入または水分の進入を最小限に抑えるか、またはなくす機能を果たし、剤形の投与を助け、かつ剤形のシュラウドへの付着を妨げる。本シュラウドは、剤形のシュラウドへの付着を抑制するために、丸い内部表面または他の幾何学的形状をもつことができる。本シュラウドは、舌または口腔粘膜が剤形の投与領域に接触する能力を制限し、それによって唾液の接触および進入を抑制する。
【0058】
図2は、投与チップが、拭き取り/シールバルブ37、吸収剤パッド39、薬物乾燥チャンバー/水分伝達チャンネル43、チャンネル中の乾燥剤45、剤形67を含むカートリッジ17、およびカートリッジ中の乾燥剤47の1つまたはそれ以上をもつシュラウド29を備える、例となる投与デバイスの概略図を示す。
【0059】
図3Aおよび3Bは、1つまたはそれ以上のシール33、35がシュラウド29を通して口腔粘膜の湿った、または濡れた表面と接触することを防ぐ、投与チップのための例となる幾何学的配置の概略図である。
【0060】
図4A〜4Dは、本発明の投与デバイス11の例となる口吻部31の概略図であり、該口吻部31は、シュラウド29、剤形67を投与するためのバルブ33、並びに剤形67を口腔粘膜に対して置き、投与後にデバイス11を取り去るときにこれを動かさないための切り欠き/起伏55を備える。
【0061】
本発明の投与デバイスへの唾液の進入および水分を最小限に抑えるための手段は、貯蔵の間に、例えば、経口腔粘膜投与の合間に剤形の完全性を維持するために重要である。
【0062】
本発明の投薬デバイスは、水分および/または湿度に敏感な薬物剤形を投与するために用いることができる。かかる場合には、湿度、液体水分、唾液、粘液などを含む、液相および気相水分から薬物剤形を保護する薬物剤形のカートリッジが必要である。本カートリッジは、円筒状、ディスク状、らせん状、直線状であっても、秩序化していなくてもよく、または投与デバイスが制御されたやり方で投与できる薬物剤形の任意の集合形態をとってもよい。未使用の薬物剤形が使用前に水分を吸収したり、或いは別なやり方で水分に曝されるのを防ぐために、カートリッジは、水分への暴露から薬物剤形をシールする手段を提供することができる。これは、1つの薬物剤形がカートリッジから投与されたときに残された剤形を保護するシールが壊れずに残るように、薄い不透水性の箔または不透水性物質によって分離された、個別包装の薬物剤形を含むカートリッジを用いることによって達成することができる。代わりに、各々が分離したシール区分に2つまたはそれ以上の剤形を一緒に包装するようなやり方で、カートリッジ内に剤形を包装してもよい。いくつかの実施形態においては、カートリッジ内のすべての剤形を、箔シールされた一区分に一緒に包装してもよい。
【0063】
薬物カートリッジは、隔膜、エラストマーシールまたはバルブ、スライド式、移動式、ヒンジ付きドアまたはバルブによって、或いは、投薬デバイスに搭載されたときに別の構成部分からシールする手段によって、水分をシールすることが可能である。このように、単一の再シール可能なシールは、単独に或いは剤形をカートリッジ外に送出するときに開くことができる。剤形がカートリッジから送達された時点で、水分または他の汚染物質がカートリッジ内に残された薬物剤形に損傷を与えるのを防ぐために、カートリッジ上の再シール可能なシールを再シールすることができる。カートリッジは、投薬デバイスに搭載されたとき、またはカートリッジから最初の剤形が送出された時点で壊れる、再シール可能でないシールをさらに有してもよい。
他の実施形態において、カートリッジは、使用前または通常使用中のいずれかにカートリッジに浸入する水分を吸収または吸着するための乾燥剤または他の吸収剤ないし吸着材を含む。本発明の投与デバイスに用いるためのカートリッジは、個別にシールされた剤形、多重にシールされた剤形、再シール可能なシール、再シール可能でないシール、乾燥剤、吸収剤、または吸着剤の1つまたはそれ以上を含むことができる。
【0064】
プッシュロッドの設計
図5Aは、デバイス搭載ロジックフローを示す。プッシュロッドは、(図6に示されるように)ポジションAにあり、剤形67および配送タブレット69が、プッシュロッド51との相互作用なしにデバイス11に搭載されることを可能にする。配送タブレット69は、タブレット・スタック49の底部にある。
【0065】
図7は、薬物剤形67を投与するために設計された例となるプッシュロッド51を図示する。プッシュロッド51は、疎水性または親水性物質からできていてもよく、一般に可撓性物質を用いて作製される。
【0066】
図5A〜Dは、本発明の例となるデバイスを使用するための一連のフロー図であり、プッシャー・ロジックが示されている。図5Aは、搭載機能を示す。図5Bは、デバイス・キャリブレーションのロジックフローを示す。図6に関して、プッシュロッド51は、ポジション65から進んで、ポジション63で配送タブレット69を拾い上げ、さらにポジション61に進む。ポジション61において、デバイスは、配送タブレット69および/またはプッシュロッド51の存在を検出する。そうすることで、デバイスは、キャリブレーションされて、組み立て誤差、プッシュロッド長およびプッシュロッド端状態の変動に関わらず、配送タブレット69および/またはプッシュロッド51端の位置を知る。このキャリブレーションに続いて、プッシュロッド51は、配送タブレット69をポジション61から、配送タブレット69がデバイスから投与されるポジション57に進める。この動作の間に、デバイスは、配送タブレット69、プッシュロッド51、および薬物タブレット67を識別することができる。配送タブレットは、デバイス・セットアップの間に新しいカートリッジから投与される最初のものなので、この識別によってデバイスは、カートリッジが未使用なことを確認することができる。配送タブレット、プッシュロッド、およびタブレット67を識別するための手段を提供する特徴は、光学的、物理的、RF、電子的(抵抗性、容量性など)または磁気的であってもよい。加えて、この特徴は、タブレットまたはプッシュロッドを用いて達成できるのと比べて、デバイス・キャリブレーション精度を高める手段を提供するように設計することができる。上述のポジション65およびポジション57からのプッシュロッド51の前進は、連続的または断続的であってもよく、ポジション61で物理的に停止する必要はない。プッシュロッド51は、次にポジション57からポジション59まで退いて、デバイス11を準備完了ポジションに配置するとともに、プッシュロッド51は残された剤形67の下側に留まる。この位置で、プッシュロッド51は、剤形67がデバイス11から不用意に落下することを防ぐ。
【0067】
図5Cは、デバイスの投与ロジックフローを示す。図6を参照して、投薬コマンドに続いて、プッシュロッド51は、ポジション59からポジション65まで退いて、タブレット67がプッシュロッド・トラック中に進むことを可能にする。プッシュロッド51は、次にポジション65から進んで、ポジション63でタブレットを拾い上げ、その後ポジション57でデバイスから剤形67を投与する。ポジション63および57間のポジション61で、位置センサが剤形67の存在を検出/確認する。プッシュロッドは、次にポジション57からポジション59まで退いて、それを準備完了のポジションに配置するとともに、プッシュロッド51は残された剤形67の下側に留まる。この位置で、プッシュロッド51は、剤形67がデバイス11から不用意に落下するのを防ぐのみならず、次の剤形67の投与前に乾燥することができる。
【0068】
図5Dは、デバイスの分解ロジックフローを示す。「分解」コマンドの後に、プッシュロッド51はポジション65まで移動する。これは、任意の残された剤形67をプッシュロッドの干渉なしに取り去ることを可能にする。
【0069】
図6は、デバイス使用の間のプッシュロッド/タブレット相互作用の段階を示す本発明の例となるデバイスの概略図である。図6にプッシュロッド51、剤形67、配送タブレット69、スプリング73および位置センサ71が示される。使用の間に、プッシュロッド51は、図6にも示され、図5A〜Dにさらに詳細に示されるように、ポジション57、59、61、63および65の間を移動する。
【0070】
図7は、隔膜シール75を通して薬物剤形67を投与するために設計された例となるプッシュロッドを図示する。図に例示されたプッシュロッド51は、任意の適切なフレキシブル物質から作製することができる。
【0071】
投薬履歴/フィードバック
本デバイスのさらなる実施形態は、使用履歴情報を蓄積する能力、およびかかる情報を伝達するデバイスの能力を含む。本デバイスは、一方向(ダウンロード)または双方向に情報伝達することができる。例えば、かかる情報交換は、USBまたは任意の他の通信接続のような物理的接続インターフェースを通じてコンピュータに蓄積情報をダウンロードすることにより達成することができる。代わりに、ワイヤレスシステムによって情報通信してもよい。
【0072】
また別の実施形態において、本発明の投与デバイスは、薬物使用の履歴をモニターして蓄積する用量カウント機能をもつ。かかる情報は、使用履歴情報、例えば、貯蔵および投与された剤形数並びに投与時間を含むことができる。
【0073】
キャリブレーション
本発明の投与デバイスは、投与メカニズムの自己キャリブレーションが可能であってもよく、または該デバイスは、手動でキャリブレーションできてよい。このプロセスにタブレットまたはプッシュロッドと区別される1つまたは複数の特徴をもつ配送タブレットを用いることができる。これらの特徴は、デバイスのキャリブレーション精度がより高い、タブレットまたはプッシュロッドを用いて達成できるそれであるように設計することができる。区別される特徴は、物理的、光学的、RF、電子的または磁気的であってもよい。
【0074】
ユーザ識別機能
本発明の投与デバイスは、指紋リーダ、光学的網膜リーダ、音声認識システム、顔認識システム、歯インプリント認識システム、視覚認識システム、またはDNAリーダのような、患者識別のための検出手段を備えることができる。投与デバイスは、投与リクエストが認可または無認可いずれのやり方でなされているかシステムが決定することを可能にする、ユーザを識別するための1つまたはそれ以上の手段を用いることができる。多くの薬物を有効に送達するためには、投与デバイスが、無認可の個人によって偶発的または意図的に用いられないことを確実にして、薬物の偶発的または意図的な転用を防ぐことが重要である。かかるユーザ識別システムは、一人またはそれ以上のユーザを認識することが可能であり、例えば、入院患者の病院環境において、本投与デバイスは、看護師および医師のような認可された医療提供者のみならず、それが処方された患者を認識するようにプログラムされることができる。例えば、外来患者の家庭環境において、本投与デバイスは、それが処方された患者にのみ応答することができる。
【0075】
本投与デバイスは、指紋識別、能動的または受動的RFIDタグであって、ブレスレット、ネックレス、クリップ、ベルト、ストラップ、粘着パッチ、インプラント、または位置を決めてタグを取り付ける手段につけたRFIDタグ、を用いたRFID検出、網膜識別、DNA鑑定、音声認識、パスワードまたはコード入力、物理的キー、電子または磁気キー、データまたは信号管路として人体または衣類を利用するパーソナル・エリア・ネットワーク識別、光学スキャナまたは顔認識、音波、亜音波または超音波識別、或いは個人を識別して身元を照合する任意の他の手段を含む任意のユーザ識別手段を用いることができる。
【0076】
ユーザ識別の一方法は、ブレスレット、ネックレス、粘着パッチ、衣類タグ、口腔取付具、例えば、歯科矯正固定具、ベルト、ストラップ、これらのいくつかの組み合わせ、または別の位置に取り付けた近距離(「近距離場」)の受動的RFIDタグを用いることである。RFIDタグを受信信号波長の約16%と概ね定義される「近距離場」で用いるとき、該タグは、リーダおよびタグアンテナ間を磁気的に結合する誘導動作モードで振舞う。近距離場は、少なくとも2つのことで特徴づけられる:第一は距離に伴う電界強度の急速な減少であり、第二は信号の強い指向性である。近距離場において、信号強度は、10倍の距離当たり信号強度損失がおよそ60dBと非常に急速に落ち込む。送信機アンテナおよびRFIDタグアンテナ間を良好に誘導結合するために、各々のアンテナ中心を通る軸を近接近させて、2つのアンテナを平行面内に配置する。デバイスがRFIDタグに極めて近いときに、強い信号強度(ロバストなユーザ識別)が与えられる。同時に、デバイスがタグから遠く離れていると与えられる信号が非常に弱いために、デバイスの使用を企てる患者以外の誰かが無認可で使用するのを防ぐのに役立つ。この近距離場域で、アンテナを良好に位置合せして動作させることが望ましい。さらに、もしデバイスがRFIDタグに対して適切な向きで近接していなければ信号受信が非常に難しいことから、確実な識別のためには、信号が十分に強いごく近距離で動作させることが好ましい。アンテナ間の距離を近付けて適切に位置合わせするために、投与デバイスに取り付けたRFIDリーダアンテナが、例えば、リストバンドまたはブレスレット、ないし衿上の衣類タグ、或いは手、腕、頬、首または他のところの粘着パッチにつけたRFIDタグアンテナに近接して適切に配置されるように、デバイスを設計することができる。さらに、リストバンドまたはブレスレットにつけたRFIDタグアンテナは、ブレスレットが手首の上で移動または回転するのを防ぐ小さい粘着パッチを用いて、適切な位置に合わせて保持することができる。
【0077】
また別の実施形態において、本投与デバイスは、入院患者(病院、クリニックなど)環境で用いるために13.56MHz振動数帯上またはその付近で動作する高周波RFIDリーダを使用する。患者は、ディスポーザブルなブレスレットまたはリストバンド上にマッチングRFIDタグおよびアンテナを装着するが、該ブレスレットまたはリストバンドは、もし外されるとRFIDタグ、アンテナ或いは関連回路の別の構成部分が損傷を受けるか、または破壊されて機能しなくなるように設計される。一例において、RFID通信の範囲は狭く、好ましくは0インチと10インチとの間、より好ましくは0インチと5インチとの間、最も好ましくは0インチと3インチとの間であり、付加的に指向性であってもよく、意図された患者が適正に使用することは容易で信頼性が高いが、一方で同時に、別の個人が無認可で使用することは、困難、非常に困難、または不可能にすることができる。
【0078】
また別の実施形態において、外来患者環境(例えばホーム、オフィスなど)で使用するための本発明の投与デバイスは、電子指紋センサシステムを含み、処方または最初の使用時に患者の指紋を識別するように訓練されることになる。
【0079】
ロックアウト
本投与デバイスは、規則的な間隔または期間、例えば毎日または1ないし2週毎にロックアウトすることができ、患者は、次の一定期間デバイスをロック解除するために医師または他の認可された介護人と通信することを要求される。このように、デバイスは、医師がより十分に監督およびケアマネジメントを行うことを可能にする。
【0080】
本投与デバイスは、ロックアウト時間のみならず、最初の用量およびその後の用量の両方を調整するための手段を提供する。患者の反応、治療の持続期間などに依存して、最初の用量およびロックアウト時間を後に調整することができる。
【0081】
本発明の投与デバイスに対する時間を定めた最初のロックアウト期間は、典型的に約1分から約60分まで、3分から40分まで、または5分から30分までであり、特別な場合には1分から60分までの任意の1分間隔、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59または60分に設定される。
【0082】
ある場合には、本発明の投与デバイスは、投薬の合間に一定のロックアウトをもつことができ、一定期間後にシャットダウンを示すことができる。
【0083】
付加的な機能
本発明の投与デバイスは、機械的、光学的(例えば、バーコード)、電子的(例えば、マイクロチップ)、磁気的、無線周波数、化学的、またはカートリッジを検出して識別する他の手段によって、特定のカートリッジを認識する能力を提供することができる。本発明の例となる一実施形態において、カートリッジは、本投与デバイスの一つのセンサまたはスイッチ、或いは一連のセンサまたはスイッチによって物理的に検出される物理的キー入力細部をカートリッジ上に含むことができる。さらに、本投与デバイスは、情報交換するためにカートリッジと一方向または双方向に通信することができる。かかる情報は、薬物名、投与力価、使用情報、ロックアウト期間、製造ロット番号、使用の適用、副作用、薬物間相互作用、製造日、有効期限、シリアルナンバー、カートリッジ内の用量数、または任意の他の関連情報を含むことができる。本投与デバイスは、使用日、医療提供者または患者の識別、使用済み用量数などの情報を、読み込むのに加えて、カートリッジに書き込むことができる。
【0084】
本発明の投与デバイスは、中に含まれる剤形に機械的保護を提供して破壊、かけ、水和などを防ぎ、それによって中に含まれる無損傷の剤形を投与することを可能にする。これは、小さい、脆くて砕けやすい剤形にとって特に重要である。
【0085】
投与デバイスは、電池、キャパシタ、燃料電池、または他の電源によって電力供給することができ、或いは電力を必要としないが、しかし手動で作動させてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態において、本投与デバイスは、機能上または安全上の問題が生じたとき、アラームまたは他の通知を発することができる。アラームまたは他の通知は、投与デバイス、ドックまたは他の周辺デバイス、コンピュータ上の、或いは有線または無線ネットワークによる警報を始動させるか、ないしは他の遠隔デバイスに警報することができる。アラームまたは通知は、聞こえても、触れても、見えてもよく、或いは1人またはそれ以上の個人に通知する他の手段を用いてもよい。
【0087】
ドッキング・ステーション
ある実施形態において、本デバイスは、ポータブルまたは固定のドッキング・ステーション、すなわちデバイスに問い合わせを行い、投薬の合間にそれをリセットし、適正にアクセスされないときにそれをロックして投薬法を制御することができるドッキング・ステーションを含む。本投薬デバイスは、医師または介護人と、ドックを通じて、或いは有線または無線の通信手段によって通信することができる。
【0088】
本投与デバイスは、異なったタイプの認可ユーザ、例えば、患者、看護師、医師、薬剤師または他の認可された医療またはヘルスケア要員に対して、1つまたはそれ以上のレベルのインタフェースを用いることができる。これらの異なったインタフェースは、キーパッド、ボタン、グラフィック・アイコンおよびインストラクション、光、LED、モノクロまたはカラーグラフィックまたはテキスト表示、タッチスクリーン、LCD、音、触覚フィードバック、音声認識のインターフェース、並びに他の入出力デバイスおよび手段のような構成要素を含むことができる。ユーザインターフェースの活動、またはモードは、投与デバイスの動作モードによって、パスワードまたはコード入力のようなユーザによるログインまたはアクセス活動によって、ドック、コンピュータ、またはネットワークからの投与デバイスの接続または切断によって、或いはキー、および/またはRFIDタグないし同様の組み合わせのような認可されたアクセスキーの検出によって、決定することができる。インタフェース・モードを変えると、上述の様々なインタフェース構成要素における機能性が活性化、不活性化、または変化いずれかして、デバイスの機能性を変化させることができる。付随する機能性が個々に異なる1つまたはそれ以上のインターフェース・モードをデバイスに持たせることによって、様々な用途に対してデバイスを最適化することができる。
【0089】
基地局
いくつかの実施形態においては、使用の合間に投薬デバイスおよびポータブル・ドッキングFOBを再充電するための基地局があってもよい。この基地局は、複数の投与デバイスおよび/またはFOBの電池または燃料電池を同時に再充電することができる。投薬デバイスおよびFOBを再充電するのに加えて、基地局は、次の機能性の1つまたはそれ以上を提供することができる:周辺デバイス、コンピュータまたはネットワークへの無線または有線接続性;再充電しているデバイスの充電状態に関するフィードバック;投薬デバイスまたはFOB上のデータを閲覧、追加、削除、または修正するためのインタフェース;複数の投薬デバイスおよび/またはFOB間のデータを同期させる手段;並びに投薬デバイスおよび/またはFOBに関する診断テストを行なうための手段。
【0090】
例となる投与デバイス
図1A〜Eは、本発明の投薬デバイスにおける一実施形態の様々な様態の概略図を示す。本投薬デバイスは、経口腔粘膜薬物送達のための複数の剤形を保持するように構築される。
【0091】
図1Aは、本発明の完全に組み立てられた、または一体の投与デバイス11の概略図である。
【0092】
図1Bは、患者に薬物剤形を送達するための投与デバイス11の概略図である。この実施形態において、本投与デバイス11は、再利用可能なヘッド13およびディスポーザブルなボディー15を含む。
【0093】
図1Cは、再利用可能なヘッド13およびディスポーザブルなボディー15並びにカートリッジ17を含む、投与デバイス11のさらなる概略図である。
【0094】
図1Dは、バルブ33、口吻部31、掛け金ボタン19、パワートレイン・カップリング25、ハブロック21および投与ボタン23を含む、投与デバイス11のまた別の概略図である。
【0095】
図1Eは、本発明の再組み立てされた完全な投与デバイス11の概略図である。
【0096】
図は、薬物剤形を送達するための投与デバイスに関する、例となる投与メカニズムの概略図を示す。本投与メカニズムは、一つまたはそれ以上のカートリッジ組み立て品81、投与ボタン23、モーター、カム83、乾燥剤85、シール91、送達センサ93、スプリング・クリップ95、およびスプリング97の1つまたはそれ以上を備える。図8Aおよび8Bは、本投与デバイス11において薬物剤形67の送達を検出するための光学的検出メカニズムを図示する。
【0097】
図9B〜Eは、本発明の投与デバイスに用いるためのプッシュロッドの実施形態の概略図を示し、プッシュロッド51は透明107であってもよい(図9B);プッシュロッドは、窓105の有無にかかわらず、かつ反射体106の有無にかかわらず不透明な部分を有しもよい(図9C);プッシュロッドは、透明な107先端部分および不透明なプッシュロッド部分109を有してもよい(図9D);或いは、透明なプッシュロッド部分107および不透明な先端部分109を有してもよい(図9E)。これらのアプローチは、タブレットおよびプッシュロッドを光学的に位置検出するための様々な仕組みを提供する。
【0098】
剤形
いくつかの実施形態において、本発明は、患者への経口腔経粘膜投与のために、個別(単一)の薬物剤形を単回または繰り返し投与するための投与デバイスを提供し、例えば、本明細書においてNanoTab(商標)と称してよいも該剤形は、約0.1から約100マイクロリットル(μl)までの容量、および約0.01から100mgまでの質量、約1.0から約30mmまでの直径、約0.25mmから約10.0mmまでの厚さ、および約0.01から2.0g/mlまでの密度からなる群から選択されるサイズを有する。
【0099】
例となる剤形は、約0.1μlから約100μlまでの容量、および約0.01mgから約100mgまでの質量を有し、典型的に生体接着性である.
例となる一実施形態において、本発明のデバイスを用いて送達される剤形は、30μlより小さい容量、例えば、5μl、6μl、7μl、8μl、9μl、10μl、11μl、12μl、13μl、14μl、15μl、16μl、17μl、18μl、19μl、20μl、21μl、22μl、23μl、24μl、25μl、26μl、27μl、28μl、29μlまたは30μlより小さい容量をもつ。
【0100】
また別の例となる実施形態において、本発明のデバイスを用いて送達される剤形は、30mgより小さい質量、例えば、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mgまたは30mgより小さい質量をもつ。
【0101】
本発明のデバイスを用いて送達される剤形は、経粘膜経路で吸収することができてGIおよび初回通過代謝の影響を受ける任意の薬物、それ故にこの剤形および投与経路の恩恵を受けることができる薬物の経口腔粘膜投与に有用性を見出す。
【0102】
一つの様態において、本発明のデバイスは、約0.25μgから99.9mgまで、約1μgから50mgまで、または約1μgから10mgまでの薬物を含む剤形を含む。
【0103】
また別の様態において、本発明のデバイスは剤形を備え、薬物は、スフェンタニル、アルフェンタニル、フェンタニル、ロフェンタニル、カルフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニルおよびミルフェンタニルからなる群から選択されるオピオイドである。
【0104】
例となる一実施形態において、本請求項の経口腔粘膜薬物剤形は、約0.25から約200mcgまでのスフェンタニルを含む。スフェンタニルは、クエン酸スフェンタニル、スフェンタニル塩基、またはそれらの組み合わせとして供給することができる。
【0105】
本剤形は、医薬として許容される添加剤を備え、米国特許出願第11/650,174号に詳述されるようにNanoTab(商標)と称してもよい。本剤形は、発泡性でもなく、キャリア粒子表面に付着した薬物微粒子の実質的に水のない秩序化した混合物も備えない製剤を備え、キャリア粒子は薬物微粒子より実質的に大きい。本明細書で用いる用語「経口腔粘膜薬物送達」および「経口腔粘膜投与」は、嚥下とそれに続くGI吸収によるのではなく、経口腔粘膜経路によって実質的に生じる薬物送達を指す。これは、口の頬側、舌下および歯茎の経粘膜領域を経由する送達を含む。
【0106】
本発明のデバイスまたはアプリケータは、固体タブレット、液体カプセル、ゲルカプセル、液体、ゲル、粉末、フィルム、細片、リボン、スプレー、ミスト、パッチなどを含む、様々な薬物剤形のいずれかを口腔粘膜に投与するために有用である。
【0107】
図13Aは、平、凹または凸面をもつ円形ディスク、平、凹または凸面をもつ楕円形状、球形状、3つまたはそれ以上の稜と平、凹または凸面とをもつ多角形、または任意の他の曲がった固形物を含めて、対称的な薬物剤形119の概略図である。図13Bは、非対称な剤形120の概略図である。
【0108】
本発明のデバイスは、一度に多くの日数(例えば、30日またはそれ以上)相当の医薬を搭載することができ、医薬用に特別に包装しなくてもよい。典型的に、本医薬は予め装填されたカートリッジの形態で提供される。
【0109】
経口腔粘膜投与
本発明を実施するとき、剤形は、デバイスの有無にかかわらず、例えば、単回または複数回用量アプリケータを用いて、対象の口腔粘膜に投与される。
【0110】
例となる一実施形態において、本発明の投与デバイスは、入院患者(病院、クリニックなど)または外来患者環境において患者に剤形を直接に経口腔粘膜投与するために用いられる。
【0111】
例となる他の実施形態において、剤形は、入院患者(病院、クリニックなど)または外来患者環境において患者にディスポーザブルな単回または複数回用量アプリケータを用いて投与される。
【0112】
経口腔粘膜薬物送達のための本発明の投与デバイス
本発明の投与デバイスを用いて治療可能な例となる状態は、限定されることなしに、急性痛、術後痛、がんの突出痛、処置前不安、吐き気および/または嘔吐を含む。
【0113】
入院患者環境
本発明の投与デバイスの一つの使い方は、入院患者環境において生じる。例えば、急性痛の迅速な処置の必要性は、病院環境における事故後の痛み、術後痛、関節リウマチ、背部損傷、がんなどを含む、多くの異なった臨床的状況で生じる。例えば、手術後に、患者は初めの数日は激痛に苦しみ、その後は軽度から中程度の痛みの日々が続く。
【0114】
術後痛を例ととると、本発明の投与デバイスは、以下の特徴のいくつかまたはすべてを備える:デバイスは、薬物剤形を備える独立したディスポーザブルなカートリッジをもつ完全にディスポーザブルな一体物である;カートリッジは、1つまたはそれ以上の配送タブレットを含んでも含まなくてもよい;デバイスは、ハンドヘルドかつポータブルであり、シュラウドの有無にかかわらず口吻部のあるハウジングを有する;デバイスは、プッシュロッド・デバイス構造をもつ;本デバイスは、唾液の進入を防ぐか、または遅らせるため、およびデバイス内に貯蔵した剤形の乾燥を保つための手段をもつ投与端を有する;デバイスは、口腔粘膜経由の、例えば、舌下の空間内への送達のために、一回一用量で複数用量を投与することができる;デバイスは、自己投与またはアシスト投与に用いることができる;さらにデバイスの投与メカニズムは、手動である。
【0115】
本発明の一実施形態において、入院患者または外来患者環境においてデバイスに使用するためのカートリッジは、1〜5日間の治療に十分な薬物剤形、例えば48から72時間の治療に役立つ40タブレットを保持することができる。
【0116】
また別の実施形態において、本投薬デバイスは、ディスポーザブルな薬物カートリッジ、ディスポーザブルな投与端、再利用可能な制御端、RFIDタグのようなユーザ手段、本投薬デバイスの制御およびアクセスのためのポータブル・ドッキングFOB、および再利用可能な制御端およびポータブル・ドックキングFOBを再充電するための基地局から成る。この実施形態において、薬物カートリッジがディスポーザブルな投与端に搭載され、次には該投与端が再利用可能な制御端に接続されて一緒に固定される。この組み立てによって投薬デバイスが完成し、該投薬デバイスは、リクエストに応じて患者に剤形を投与すること、投薬合間のロックアウト期間を提供すること、投薬および使用履歴を記録すること、およびこの履歴および投薬デバイス設定を再吟味または電子的にダウンロードすることを可能にする。RFIDタグは、投薬デバイスが正しいRFIDタグに近接したときに適正な動作を可能にするあろう無線識別手段を提供するために、患者に取り付けることになろう。医療提供者は、ポータブル・ドッキングFOBを用いて投薬デバイスにドッキングさせ、設定、制御、履歴、および他の機能へのアクセスを可能にすることもできる。再利用可能な制御端およびポータブル・ドックングFOBは、使用していないときには電池または電源を再充電するために基地局に配置することもできる。
【0117】
入院患者環境で用いるとき、本発明の投与デバイスは、最先端の入院患者の薬物投与に優るいくつかの特徴および利点を提供する。本投与デバイスは、PRN「必要に応じた(Pro Re Nata)」医薬の自己投与のために、医療提供者が患者に薬物剤形を提供することを可能にする。PRNは、痛み、吐き気、便秘、不安用などに必要に応じて服用される薬物を指す。本発明の投与デバイスは、米国特許出願第11/473,551号に記載されるように入院患者環境において、任意のPRN医薬を任意の薬物剤形で投与するために用いることができ、上述の機能の任意の組み合わせを提供する。
【0118】
外来患者環境
本発明の投与デバイスは、外来患者環境、或いは入院患者および外来患者の両環境で、例えば、術後痛またはがんの突出痛を処置するためにも用いることができる。本発明の投与デバイスが有用性を見出す外来患者の兆候は、慢性痛、慢性突出痛、不安、不眠、高血圧症、冠動脈疾患、抑圧、精神病、中毒、ADHD、血圧上昇、糖尿病、およびその他を含む。
【0119】
この実施形態において、本発明の投与デバイスは、以下の特徴のいくつか、またはすべてを備える:デバイスは、再利用可能なヘッド13、ディスポーザブルなボディー15、および薬物剤形67を備える独立したディスポーザブルなカートリッジ17をもち、部分的または完全にディスポーザブルである(図1C);カートリッジ17は、1つまたはそれ以上の配送タブレット69を含んでも含まなくてもよい;デバイス11は、ハンドヘルドかつポータブルであって、シュラウド29の有無にかかわらず口吻部31をもつハウジングを有する;デバイスはプッシュロッド・デバイス構造をもつ;デバイスは、唾液の進入を防ぐか、または遅らせるため、およびデバイス内に蓄積された剤形67の乾燥を保つための手段をもつ投与チップ27を有する;デバイスは、口腔粘膜経由で、例えば、舌下の空間内に送達するために一回一用量で複数用量を投与することができる;デバイスは、自己投与またはアシスト投与のために用いることができる;デバイスの投与メカニズムは、電気機械的に作動させることができる;デバイスは、ロックアウト機能をもち、チャイルド・レジスタントとすることができる;デバイスは、投薬履歴を記録し、医療提供者により再設定が可能である;デバイスは、投薬フィードバックおよび用量カウントが可能である;デバイスは、タブレットの検出/センシング、すなわち1つまたはそれ以上の配送タブレットが投与されたときの検出が可能である;デバイスは、投与メカニズムの自己キャリブレーションが可能である;およびデバイスは、データ転送、例えば、自動データ・アップロードが可能な接続性を有する。デバイス・キャリブレーションは、タブレットまたはプッシュロッドから区別される1つまたはそれ以上の特徴をもつ配送タブレットを用いても用いなくてもよい。これらの特徴は、本デバイス・キャリブレーション精度が、タブレットまたはプッシュロッドを用いて達成されるより向上するように設計することができる。区別される特徴は、物理的、光学的、RF、電子的または磁気的であってもよい。
【0120】
本発明のさらにまた別の実施形態において、本発明の投与デバイスは、上述の機能のいくつかまたはすべてを、以下の機能のいくつかまたはすべてと組み合わせて備える:ユーザ識別機能、例えばRFID;体温をモニターして、もし薬物投与量が安全限界を越えればシャットダウンする能力;ディスプレイ;および2方向データ転送、例えばローカルまたは遠隔コンピュータシステム経由の自動データ・アップロードおよびダウンロードのためにデバイス接続ができる、ドッキング・ステーションとの接続および通信手段、或いは他のドッキングまたは通信手段。
【0121】
緊急の外来患者環境における薬物投与を効果的に助けるために、本投与デバイスは、次の特徴のいくつかまたはすべてを提供することができる:患者が医薬を自己投与することを可能にする;投薬履歴を記録する;投薬履歴を読み込んで、コンピュータ、ネットワークまたは他の電子デバイスに転送することを可能にする;不正変更または転用を阻止する;薬物剤形を然るべき部位(例えば、舌下または頬側)に送達する;投薬の投与または温度ないし湿度事象を記録する。
【0122】
緊急の外来患者環境(ホーム、オフィス、戦場など)で用いるとき、本投与デバイスは、外来患者への最先端の薬物投与に優るいくつかの特徴および利点を提供する。本投与デバイスは、個人が、医師、医療提供者、または医薬品表示ガイドラインに従って薬物を自己投与することを可能にする。外来患者の例となるいくつかの緊急な兆候は、術後痛、身体外傷に関する痛み、不安、不眠、高血圧症、アンギナ、冠状動脈疾患、抑圧、精神病、便秘、吐き気、中毒、ADHD、めまいなどである。例えば、米国特許出願第11 / 429,904号を参照。
【0123】
本投与デバイスは、外来患者の緊急環境において任意の医薬を任意の薬物剤形で投与するために用いることができ、上述の機能の任意の組み合わせを提供する。本デバイスのいくつかの使用例は、第1応答者の緊急現場看護、衛生兵、緊急救助などである。
【0124】
例えば、急性痛の処置は、多分に次善の条件下にある「戦場において」しばしば必要である。医療補助員または衛生兵のような第1応答者は、IVまたはIM投与に用いる注射針が、感染などのような不慮のリスクを招きかねない、無消毒状態で激しい急性痛を処置することをしばしば求められる。本投与デバイス、方法およびシステムは、このような環境で有用性を見出す。
【0125】
単回および複数回用量アプリケータ
スフェンタニルを含む剤形を所定の薬物送達部位(例えば、口、舌下の空間内など)に適用することを目的として、患者の口腔粘膜に送達するためのディスポーザブルなアプリケータが提供される。
【0126】
一取り組みにおいて、剤形は、単回用量アプリケータを用いて口腔粘膜に送達される。本剤形は、チャイルド・レジスタントな投薬デバイスまたは包装中に提供され、例えば、舌下腔に送達される。本剤形は、自己投与されてもよく、または代わりに、本剤形はデバイスの有無にかかわらず助けを得て投与されてもよい。
【0127】
一実施形態において、固体タブレット、液体カプセル、ゲルカプセル、液体、ゲル、粉末、フィルム、細片、リボン、スプレー、ミスト、パッチ、または任意の他の適切な薬物剤形として提供される薬物剤形に対して単回用量アプリケータ(SDA)が用いられる。
【0128】
本単回用量アプリケータ(SDA)は、剤形を中に含んでもよく、付着または添付した薬物剤形を有してもよく、溶解した剤形を中に有してもよく、水分、湿度および光に対するシールを提供することができる。本単回用量アプリケータは、剤形を薬物送達のための然るべき部位に配置するために患者、医療提供者、または他のユーザが手で操作することができる。
【0129】
本発明を実践するとき、タブレットまたは他の剤形を手、口内、舌下に、または特定の薬物送達に必要な然るべき他の部位に送達するために、単回または複数回用量アプリケータ、或いは投薬デバイスを用いることができる。
【0130】
一実施形態において、剤形を口腔粘膜、例えば、舌下の空間に送達するために単回または複数回用量アプリケータ、或いは投薬デバイスが用いられる。
【0131】
本投与デバイス内の剤形は、投与前は乾燥している。投与時点で、単一の剤形がデバイスから口内、例えば、舌下の空間内に投与され、患者の唾液がタブレットを濡らしてタブレットの崩壊/浸食および薬物送達を可能にする。
【0132】
SDAは、鉗子、注射器、棒またはロッド、ストロー、パッド、カプセル、カップ、スプーン、細片、チューブ、アプリケータ、ドロッパ、パッチ、粘着パッド、粘着フィルム、スプレー、アトマイザー、或いは対象の口腔粘膜、例えば、舌下空間の口腔粘膜に単一の薬物剤形を適用するのに適した任意の他の形態で提供することができる。当業者によって理解されるであろうように、SDAのデザインは、投与の過程で薬物剤形の完全性を維持するやり方で、タブレットのような薬物剤形を口腔粘膜上の所望の部位、例えば、舌下の空間内に配置するのに有効でさえあれば、変化してもよい。SDAは、投薬デバイスが唾液または他の汚染物質で汚染されるリスクをなくすために使用後に処分される。
【0133】
舌下投与のために、小容量剤形がSDAを用いて舌下、一般的には舌小帯近傍に置かれることにより舌下投与される。
【0134】
本剤形は、剤形を配置する窪み(「ブリスター」)をもち本明細書で「ブリスターパック」と称する、成型プラスチックまたは積層プラスチックからなる包装中に提供することができる。成型部分をシールするためにカバー、通常は積層材または箔が用いられる。ブリスターパックは、プリフォームまたは成型部分を持っても持たなくてもよく、任意のタイプのSDAを包装するために用いることができる。
【0135】
かかるブリスターパックは、チャイルド・レジスタントな複数薬物ディスペンサー(MDA:multiple drug dispenser)の中に供することができ、該ディスペンサーは、中に収納された剤形を投与する機能を果すこともでき、或いは複数のSDAを貯蔵するために用いることもできる。
【0136】
図15A〜C、図16A〜F、図18A〜C、並びに図19AおよびBは、本発明のSDAの例となる実施形態の概略図である。
【0137】
一取り組みにおいて、本発明は、ハウジング内に薬物剤形67を含むブリスターパック151、およびハンドル131を備えるディスポーザブルな単回用量アプリケータであって、例えば、図16Bおよび16Dに示されるように、箔シール135のような裏張りが剤形67およびハンドル131を覆う単回用量アプリケータを提供する。
【0138】
一実施形態において、ディスポーザブルな単回用量アプリケータ、ハウジングまたはチューブ129およびハンドル131の組み合わせは、スプーンの形状をもつ。
【0139】
剤形67のためのハウジングまたはチューブ129は、対象への投与のための剤形67の単位用量を収容するブリスターパック151である。剤形67は、箔または他のタイプのシール135によってブリスターパック151中にシールされる。
【0140】
いくつかの実施形態では、箔または他のタイプのシール135が、剤形67の投与前に除去され、ハンドル131が、剤形67を口腔粘膜に接着させるように、対象の口腔粘膜に対して然るべき部位に配置するために用いられる。例えば、図16B、16D、16Eおよび16Fを参照。他の実施形態において、箔または他の種類のシール135は、目打ちされていて投与に先立ってアプリケータ123を目打ち149で折り曲げることによって剤形67の投与前に除去され、剤形67を対象の口腔粘膜に対して然るべき部位に配置するためにハンドル131が用いられる。例えば、図19AおよびBを参照。これは、一回に1つの薬物剤形67のみを取り扱うことを可能にして、他の個別にシールされた薬物剤形67が唾液、湿度などに曝されるのを防ぐ。
【0141】
ハンドル131を含むディスポーザブルなアプリケータ123における箔または他のタイプのシール135は、積層プラスチック箔、ペーパー、プラスチックまたは他の覆いの単一片でできている。すなわち、ハウジングまたはチューブ129のみ、或いはハウジングまたはチューブ129およびハンドル131の両方、の背面に跨るアプリケータタブ147が、ブリスターパック151または他の容器中の剤形67を効果的にシールする。
【0142】
ハンドル131は、剤形67に触れることなく、剤形67を適切に配置することを可能にする。
【0143】
裏当てで連結されるか、或いは複数回用量ディスペンサー137に収納された複数の単回用量アプリケータを、個別の単回用量アプリケータの一組として提供することができる。
【0144】
図14Aおよび14Bは、薬物剤形を送達するための単回用量アプリケータ123投与デバイスの一実施形態を示す。図14Aの投与デバイスは、薬物剤形67を投与する準備のできた単回用量アプリケータ123を示す。この実施形態の一様態において、ユーザが単回用量アプリケータ125を抓むと、図14Bに示されるようにアプリケータが開いて薬物剤形67が投与される。
【0145】
図15A〜Cは、チューブ129として形作られたアプリケータ、栓シール127、ハンドル131(例えば、人間工学的なハンドル)、および単一の剤形67からなる単回用量アプリケータ123の実施形態を示す。図15Aは、使用前のシールされた配置における単回用量アプリケータ123を示す。図15Bは、栓シール127が除去されて開口133を生じ、使用の準備ができた単回用量アプリケータ123を示す。図15Cは、剤形67を口腔粘膜上、例えば、舌下の空間内に投与するために傾けられた単回用量アプリケータ123を示す。
【0146】
図16A〜Fは、単回用量アプリケータ123のいくつか代わりの実施形態を示す。これらすべての図では、剤形を舌下に配置するためにアプリケータシール127が壊され、薬物剤形67が対象の口内、例えば、舌下の口腔粘膜近傍に落下するようにアプリケータが傾けられる。図16Aは、チューブ129下の軸方向にハンドル131があるチューブ状アプリケータ129を示す。図16Bは、アプリケータ包装141を開いて剤形67を配置する前に剥がされる箔シール135をもつ、サーモフォームまたはブリスター包装151に成形されたアプリケータを示す。図16Cは、シールを破いて剤形67を配置する前に壊されるチューブ129であるアプリケータを示す。図16Dは、シール135を剥ぎ取った後に薬物剤形67を口腔粘膜上に配置するために、ブリスターパック151を保持して傾けられるようにハンドル131をもつブリスターパック・チューブ151タイプの剤形包装141を示す。図16Eおよび16Fは、小児向けに設計される単回用量アプリケータ123のためにそれぞれ花または動物のような形をしたハンドル131をもつブリスターパック151タイプの包装を示す。他の単回用量アプリケータの形状は、漫画のキャラクター、動物、スーパーヒーローまたは小児応用のための他の然るべき形状を含むこともできるであろう。
【0147】
図18Aは、平坦で硬いアプリケータであって、剤形をもつアプリケータ端が舌下に置かれたときに接着剤が溶けて、剤形67は舌下空間のような口腔粘膜上に置かれ、かつアプリケータは取り去ることができるように、例えば、速溶性で摂取可能な粘着物質で付着させた剤形67を端部にもつアプリケータ123を示す。図18Bは、薬物が含浸されており、物質およびからの投与量マトリックスを形成する透水性物質でできたアプリケータ123を示す。このアプリケータ123の含浸された端部が口内の口腔粘膜上に置かれたとき、唾液の水分が薬物を溶解させて経粘膜的にそれを送達する。図18Cは、フィルム溶解型剤形145、および複数のフィルム溶解型剤形143を内部にもつ剤形包装を示す。フィルム溶解型剤形143は、包装141から取り出されて口腔粘膜上、例えば、舌下の空間内に置かれ、そこで溶解して薬物が経粘膜的に送達される。
【0148】
図19A〜Bは、単回用量アプリケータ123の一実施形態を用いる2つの段階の説明図を示す。図19Aは、2つのアプリケータタブ147、2つの目打ち149、および剤形67を含んだブリスターパック151をもつ使用前の配置のアプリケータ123を示す。剤形67を投与するために、2つのアプリケータタブ147を目打ち149で下向きに曲げてハンドル131を形成し、さらにシール135を剥がしてブリスターパック151を顕現させて剤形67が口腔粘膜上、例えば、舌下の空間内に落下することを可能にする。
【0149】
また別の実施形態において、本発明の投薬デバイスは、カートリッジ中に或いは個別包装された、複数のSDAを含むことができ、患者、医療提供者、またはユーザによる使用に対して単一の薬物剤形を含む単一のSDAを投与することができる。本投薬デバイスは、本発明に記載される単一の薬物剤形を投与するのに有益であろう同じ方法おなじ機能を用いて、単一のSDAを投与することができる。
【0150】
さらにまた別の実施形態において、複数回用量アプリケータ137は、1つまたはそれ以上の薬物剤形67または単回用量アプリケータ123、電池のようなポータブルな電力手段、プリント回路基板、データ接続性手段、およびユーザインターフェースを備えるデバイスである。この実施形態において、本投薬デバイスは、次の機能の1つまたはそれ以上を実行する能力を含むことができる:薬物投与履歴を記録する、指紋識別、RFID、音声認識などの手段によりユーザ(例えば、患者または医療提供者)識別チェックを行う、投与履歴を別のデバイス、コンピュータまたはネットワークに転送することができる、および/または用量投与間のロックアウト期間を提供する。
【0151】
図17は、各々が個別に単回用量アプリケータ123に包装された、投与薬物剤形67を送達するための例となる複数回用量アプリケータ137の概略図である。
【0152】
図20A〜Dは、SDAの付加的な例の概略図であり、以下のものを含む;掛け金19が解放されたときに、SDAはもはや薬物剤形67を保持せずにユーザが口腔粘膜上に配置することができるように、薬物剤形67がSDA123の2つの側面153間に保持されたピンセットまたは逆ハサミ型SDA(20A);ユーザがスライダーまたはピストン159を押した155ときに薬物剤形67がチャンネル端から押し出される、円形チャンネルをもつ注射器型SDA(20B);ユーザがスライダー159を押した155ときに薬物剤形67がチャンネル端から押し出される、長方形チャンネルをもつ押し出し型SDA(20C);または、薬物剤形67がポケット161中に保持され、ユーザがスライダー159を引いた157ときに薬物剤形67へのアクセスが可能になるスライダー型SDA(20D)。
【0153】
図21A〜21Dは、使用前に複数のSDA123を貯蔵するための複数回用量アプリケータ(MDA)137または容器の概略図を示し(図21A);例示される実施形態において、MDA137の上部カバーには個別のSDA123を取り出すためのスロットがあり(図21B);各個別のSDA123は、薬物剤形67を備え(図21C);該SDA123は、薬物剤形67が舌下空間内に置かれることを容易にする(図21D)。
【0154】
患者に剤形を投与するためのシステム
例となる一実施形態において、本発明は、(1)対象の口腔粘膜に薬物剤形、例えば、小容量剤形またはNanoTab(商標)を投与するための投与デバイス;(2)小容量剤形またはNanoTab(商標)のような経口腔粘膜投与のための剤形;および(3)対象を備えるシステムを提供する。
【0155】
また別の例となる実施形態において、本発明の投薬デバイスを用いて患者に剤形を投与するためのシステムは、投薬デバイスを含み、該投与デバイスは、使用の前および間に薬物剤形がデバイス中で乾燥しているように水分および唾液の進入を低減するか、またはなくすための手段を含む。
【0156】
本発明のシステムに含むことができる付加的な機能は、ドッキング・ステーションまたは他のドッキング手段、ローカルまたは遠隔コンピュータシステムとの双方向通信リンク(有線または無線)のようなコンピュータ・ネットワークをもつ通信手段、製薬ネットワーク・モニターおよび制御機器、デバイスおよび1つまたはそれ以上のユーザインターフェースからの薬物送達情報を記憶する、記録する、および通過させるコンピュータ・ネットワークを含む。
【0157】
図10は、本発明のデバイスまたはシステムに含むことができる様々な構成部分を示す図式的な構造接続図であり、分離したヘッド13、ボディー15およびカートリッジ17をもつデバイス、ポータブル・ドッキングFOB 113、患者RFID 115および基地局117が含まれる。
【0158】
図11は、本発明の投薬システムに含むことができる様々な機能要素を示す図式的な構造接続図であり、RAMおよびROMを備えるマイクロプロセッサ、ドッキング・コネクタ、投与ボタンセンサ、投与センサ、およびテザーセンサ、ヘッド/ボディー組み立てセンサ、電池、投与ボタン・ロックアウト、アクチュエータ・エンコーダ、WI/FIアンテナ、RFIDアンテナ、グラフィック表示、可聴アラームおよびユーザインターフェースが含まれる。
【0159】
図12Aは、RFIDタグ、投薬デバイス、基地局/ドックおよび医療提供者のパーソナルコンピュータシステムを含む本発明のシステムにおける通信であって、投薬デバイスが、ドック経由で、有線または無線の通信手段によって医師または介護人と通信することができる通信の一様態を説明するブロック図である。
【0160】
図12Bは、RFIDタグ、投薬デバイス、ポータブル・ドッキングFOB、基地局および医療提供者パーソナルコンピュータを含む本発明のシステムにおける通信のまた別の様態を説明するブロック図である。投薬デバイスは、規則的な間隔で医師に使用情報および患者の呼吸状態または血圧に関する情報を提供するために、有線または無線の通信方法によりFOB経由で、医師または介護人と通信することができる。FOBは、医師または介護人の首から懸けられるようにひもに取り付ける改造を行うことができる。
【0161】
別の定義がなされない限り、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に共通に理解されるのと同じ意味をもつ。本発明の実施またはテストに本明細書に記載されるのと同様または等価な任意の方法、デバイスおよび物質を用いることができるが、好ましい方法、デバイスおよび物質は、以下に記載される。
【実施例1】
【0162】
医師は、患者の急性痛管理治療が必要なことを決定する。薬剤師は、投薬デバイスに所望の力価の剤形を含む薬物カートリッジを搭載する。各々のカートリッジは、最初に投与される2つの剤形となるように配置された色のついた2つのプラシーボ剤形(「配送タブレット」と呼ぶ)をもつ。デバイスは、安全で無認可ユーザにはアクセスできないポート、ハッチ、またはドアいずれかのカートリッジ搭載手段を有する。薬剤師は、カートリッジをデバイスに搭載した時点で、デバイスのアクセス・ポート、ハッチ、またはドアをロックする。次に、薬剤師は、パーソナルまたは他のコンピュータに接続したドックに、ドッキング・コネクタを用いて初めて投与デバイスをドッキングさせ、続いてデバイスをプログラムする。プログラミングは、剤形の投与力価、デバイスに搭載された剤形数、処方された剤形使用頻度、一日に使用すべき剤形数、現在の日時、好ましい言語、ユーザ識別のために有効な親指の指紋または他の身元証明、およびデバイスの紛失・発見に備えた医師の識別情報をアップロードすることを含む。
【0163】
投与デバイスがプログラムされた時点で、薬剤師は、単一の配送タブレットを投与することによって適正な使用を実証してデバイスをテストする。薬剤師は、次に投与デバイスを患者に与えて、患者が配送タブレットを投与するのを観察し、適正な使用および機能性を確かめる。投与デバイスとともに、薬剤師は、投与デバイスの動作を可能とするためにデバイスのおよそ5インチ以内に存在する必要のある無線自動識別(RFID)タグを患者に提供する。
【0164】
患者が薬物の用量を投与したいとき、彼または彼女は投与デバイスを保持して任意のボタンを押し、デバイスをスリープ・モードから復帰させる。デバイスは、ユーザに親指の指紋読み込み、または暗証番号(PIN)のいずれかを問い合わせる。デバイスは、次に範囲内の有効なRFIDキーを検索する。これらの条件が満たされた時点で、投与デバイスは、現在の使用要求が薬剤師によってプログラムされた投与法に違反しないことを確かめるために、内部メモリおよびクロックに問い合わせる。この時点で、デバイスは、日時、残された用量数、前回の剤形使用日時、患者名などのようなステータス情報を表示し、薬剤師は、見えるおよび/または聴こえる信号によって、デバイスが剤形を投与する準備ができたことを患者に知らせる。
【0165】
患者は、デバイスの投与端を彼または彼女の舌下に保持して投与レバーを押す。剤形が投与されるとき、音が鳴って剤形が適正に送達されたことを患者に知らせる。この時点でデバイスは、さらなる投与を防ぐためにプログラムされたロックアウト時間が経過するまでロックされ、その時点で再び使用準備ができる状態になる。
【実施例2】
【0166】
患者がより直接的な監督下のある病院環境において、アクセスおよび識別がRFIDタグの検出に限られる投薬デバイスが提供される。手術後または別な原因で無力になった患者が、過度にからだを動かすことなしにデバイスを動作させる。
【0167】
本剤形投与デバイスは、有線または無線通信(WI‐FI)によって看護師室と定期的に連絡がとられる。これは、医療スタッフが、投与デバイスの使用および残された用量数をモニターすることを可能にする。WI‐FI通信は、看護師が、電池寿命、使用された用量、用量が使用された時間、残された用量などを含む使用履歴およびデバイス状況を確かめるために、投与デバイスにいつでも十分に問い合わせることを可能にする。
【実施例3】
【0168】
ホスピスにおいて患者は、鎮痛薬を定期的に服用する。患者の医師は、本発明の投薬デバイスで使用するために経口鎮痛薬を処方する。付添いの介護人は、外来薬局で処方箋に記入して、舌下鎮痛タブレットを含む予め充填された投薬デバイスを提供する。
【0169】
介護人は、電池を起動して投薬デバイスを準備し、システムが適切に電力供給されていることをチェックして、メニューを小さい表示画面上でスクロールダウンすることにより薬物、投与量および用量数が正しいことを確認する。介護人は、適正な使用法について患者に指示し、患者管理の鎮痛薬投与のために患者に投薬デバイスを与える。
【0170】
患者が鎮痛薬を必要とするとき、彼女は、投薬デバイスを彼女の手に取り、投与チップを彼女の口内、頬領域の頬および歯茎間に置いて投与ボタンを押す。投薬デバイスは、タブレットを患者の頬粘膜に投与し、患者は、投薬デバイスを彼女の口から取り出して、舌下タブレットがそこで溶解することを可能にする。
【0171】
定期的に、患者および介護人は、小さい表示画面を読むことによって投薬デバイスに残された用量数をチェックする。
【0172】
患者が投薬デバイス中のすべての用量を投与してしまうと、表示画面上のカウンターがタブレットが残されていないことを示し、投薬デバイスは処分される。
【実施例4】
【0173】
病院の術後回復室では、手術を受けた患者が急性痛の処置を必要としている。外科医は、本発明の投薬デバイスで用いるための経口鎮痛薬を処方する。担当看護師は、処方オーダーを薬剤師または自動薬剤在庫管理システム(例えば、Pyxis)に持ち込み、経口腔粘膜送達のための鎮痛剤形を含む薬物カートリッジを得る。カートリッジは、ラベルが付いており、薬物ラベル情報を含むRFID電子タグを装備している。
【0174】
看護師は、次に在庫から投薬デバイスのディスポーザブルな投与部分を入手して、基地局に進み、再充電サイクルを終えて使用準備ができた、再利用可能な投薬デバイス制御部分を取る。看護師は、薬物カートリッジをディスポーザブルな投与部分に挿入し、次に、これを再利用可能な投薬デバイス制御部分に固定させて、ディスポーザブルな部分を再利用可能な投薬デバイス部分にキー入力ツールを用いてロックさせる。この時点で、デバイスは、薬物カートリッジ上のRFIDタグを読み込み、薬物のタイプ、投与力価、投薬間のロックアウト期間などを含む然るべき薬物情報をアップロードする。看護師は、投薬デバイスが適正な薬物カートリッジ情報を読み込んだことを確認して、患者管理の鎮痛薬投与のために投薬デバイスを患者に与える。
【0175】
患者が鎮痛薬を必要とするとき、彼女は、投薬デバイスを彼女の手に取り、投与チップを彼女の口内、彼女の舌下に置いて投与ボタンを押す。投薬デバイスは、次に内部チェックを行って、前回の剤形投与から適正なロックアウト期間が経過したことを確かにする。この時点で、投薬デバイスは、タブレットを患者の舌下に投与して、投薬に成功したことをフィードバックする。患者は、投薬デバイスを彼女の口から取り出して、舌下剤形が彼女の舌下で溶解することを可能にする。患者は、好きなだけ頻繁に投与を試みることができるが、しかし投薬デバイスは、然るべきロックアウト期間の経過後にのみ首尾よく投薬することを許すことになる。投薬デバイスは、投与の試みおよび成功した投与を投与履歴に電子的に記録する。
【0176】
看護師は、患者および投薬デバイスについて定期的にチェックする。かかる患者チェックの間に、看護師はエラーがないことを確かめるため、および投薬デバイスに残されたタブレット数をチェックするために投薬デバイスを点検して、それから患者に返却する。
【0177】
患者が退院するとき、看護師は、投薬デバイスを取り、キー入力ツールを用いて再利用可能な部分をディスポーザブルな部分からロック解除して、カートリッジおよび投薬デバイスのディスポーザブルな部分を処分する。次に、看護師は、患者の医療記録にインプットするために、再利用可能な部分をコンピュータに接続して、患者の使用情報を投薬デバイスからコンピュータにアップロードする。看護師は、再利用可能な制御部分を清浄化して、再充電のために基地局に戻す。
【実施例5】
【0178】
病院の術後回復室では、手術を受けた患者が急性痛を処置する治療を必要としている。外科医は、本発明の投薬デバイスで用いるための経口腔粘膜鎮痛薬を処方する。担当看護師は、処方オーダーを薬剤師または自動薬剤在庫管理システム(例えば、Pyxis)に持ち込み、舌下鎮痛剤形を含む薬物カートリッジを回収する。カートリッジは、ラベルが付いており、薬物ラベル情報を含むRFID電子タグを装備している。カートリッジは、タブレット・スタックの底部、または最初に投与すべき位置に、配送タブレットの複製も搭載している。
【0179】
看護師は、次に在庫から投薬デバイスのディスポーザブルな投与部分を入手して、基地局に進み、再充電サイクルを終えて使用準備ができた、再利用可能な投薬デバイス制御部分を取る。看護師は、薬物カートリッジをディスポーザブルな投与部分に挿入し、次にこれを再利用可能な投薬デバイス制御部分に固定させる。次に、看護師は、再充電していた基地局からポータブル・ドック(またはドッキングFOB)を入手して、組み立てられた投薬デバイスをポータブル・ドックにドッキングさせる。ポータブル・ドックおよび組み立てられた投薬デバイスは、電子的に通信して、投薬デバイスをセットアップするためのセットアップ・メニューが、ポータブル・ドック上に現れる。
【0180】
この時点で、デバイスは、再利用可能な部分とディスポーザブルな部分とを一緒にロックして、薬物カートリッジ上のRFIDタグを読み込み、薬物のタイプ、投与力価、投薬間のロックアウト期間などを含む、然るべき薬物情報をアップロードする。投与デバイスは、カートリッジ上のRFIDタグにコードを書き込み、これを使用済みカートリッジとして識別する。看護師は、セキュリティを維持してアクセスするために、彼女の指紋をポータブル・ドック上の指紋リーダに入力して、投薬デバイスを使用するためのセットアップに進む。セットアップ手順は、患者ID、医療提供者(例えば、看護師)IDを入力すること、デバイス上の適正な時間を確認すること、および適正な薬物カートリッジ情報を確認することを含む。次に、看護師がディスポーザブルなRFIDブレスレットを手に取って、これを投薬デバイスの近くに配置すると、そこで投薬デバイスがタグを読み込み、看護師は、適正なブレスレット・タグが読み込まれたことを確認する。
【0181】
看護師は、次に一度投与ボタンを押すことによって、投薬デバイスの適正なセットアップを確認する。投薬デバイスが作動して、看護師の手中に配送タブレットの複製を投与し、適正な動作を確認する。投薬デバイスが配送タブレットの投与を検出することで、適正な動作の内部システムチェック、および新しく組み立てられたシステムの内部キャリブーションが可能になる。もし内部投与チェックがうまくいけば、ポータブル・ドックは、配送テーブルが適正に投与されたことを確認するために看護師に問い合わせを行い、看護師は、適正なセットアップを確認する。看護師は、次にポータブル・ドックから投薬デバイスを外して、セットアップの最終ステップのために患者のベッド脇に進む。
【0182】
看護師は、RFIDブレスレットを患者の望ましい手首に付け、防盗用テザーを患者のベッドに、および他端を投薬デバイスに固定する。看護師は、次に舌下PCA投薬デバイスの適正な使用法について患者に指導し、患者管理の鎮痛薬投与のために投薬デバイスを患者に与える。
【0183】
患者が鎮痛薬を必要とするとき、彼女は投薬デバイスを彼女の手に取り、投与チップを彼女の口内、彼女の舌下に置いて投与ボタンを押す。投薬デバイスは、次に内部チェックを行って、前回の剤形投与から適正なロックアウト期間が経過したこと、および患者のRFIDブレスレットが存在して読み込み可能なことを確かめる。この時点で、投薬デバイスは、タブレットを患者の舌下に投与して、投薬に成功したことをフィードバックする。患者は、投薬デバイスを彼女の口から取り出して、舌下剤形が彼女の舌下で溶解することを可能にする。患者は好きなだけ頻繁に投与を試みることができるが、しかし投薬デバイスは、然るべきロックアウト期間の経過後にのみ、首尾よく投与することを許すことになる。投薬デバイスは、投与の試みおよび成功した投与を投薬履歴に電子的に記録する。
【0184】
看護師は、患者およびデバイスについて定期的にチェックする。かかる患者のチェックの間に、看護師はポータブル・ドッキングFOBを持ち込んで、デバイスをFOBにドッキングさせる。電子接続によって看護師は、投薬デバイスからFOBに情報をダウンロードすることが可能である。この情報は、使用履歴、薬物情報、残されたタブレット数、および最初のセットアップからの使用期間を含む。看護師は、次に情報および投薬デバイスにアクセスするために、彼女の指紋を指紋スキャナに入力する。患者は、ロックアウト期間が切れる前に追加の用量を必要としているため、看護師は、ロックアウト期間を無効にしてから投薬デバイスを患者に返し、その時点で患者はまた別の用量を服用することができる
看護師はポータブル・ドッキングFOBを持って病室を退き、看護師室に戻って患者記録に投薬履歴を記録する。終わると、看護師は、FOBを再充電するために基地局に返す。
【0185】
患者が投薬デバイスにおけるすべてのタブレットを使ってしまうと、看護師は、病室にポータブル・ドッキングFOBを持ち込んで、投薬デバイスをFOBにドッキングさせる。看護師は、次に投薬デバイスにセキュリティを維持してアクセスするために、彼女の指紋をFOB上の指紋スキャナに入力する。続いて、看護師は、セキュリティ・テザーをロック解除して、投薬デバイスをベッドから切り離す。彼女は、次に投薬デバイスをロック解除して、分解のためにFOBから取り外す。看護師は、再利用可能な部分からディスポーザブルな部分を切り離して、ディスポーザブルな部分からカートリッジを取り出す。看護師は、ディスポーザブルな部分およびカートリッジは処分し、再利用可能な制御部分は、基地局に返す前に消毒ティッシュで拭き取って清浄化する。看護師は、再利用可能な制御部分を基地局に返す必要があり、そこで再使用の準備ができるのに先立って、再充電および内部診断テストを行う。
【0186】
看護師は、次に新しい投薬デバイスを上述のようにセットアップすることに進み、これを患者に提供する。
【0187】
前述の発明は、明確で理解しやすいように、説明および例を手段として幾分詳細に記載されたとはいえ、いくらかの変更および修正が行われ得ることは、当業者にとって明らかであろう。本発明の様々な様態は、一連の実験によって達成されたものであり、そのいくつかが非限定の例に記載されている。それ故に、その記載および例は、例となる実施形態の追加的記述によって描出された本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に薬物剤形を経口腔粘膜投与するための投与デバイスであって、
(a)該対象の口内に投与するための投与端を有するハウジング、および
(b)唾液または水分の進入を防ぐか、または遅らせる手段
を備える、投与デバイス。
【請求項2】
前記唾液の進入を防ぐか、または遅らせる手段は口吻部を備える、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項3】
前記口吻部は、シュラウドを備える、請求項2に記載の投与デバイス。
【請求項4】
前記シュラウドは、拭き取りシールまたはバルブ、吸収剤パッド、乾燥剤を備える乾燥チャンバー、乾燥剤を備えるカートリッジの1つまたはそれ以上を備える、請求項3に記載の投与デバイス。
【請求項5】
薬物剤形をさらに含む、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項6】
前記薬物剤形は、生体接着特性を有する、請求項5に記載の投与デバイス。
【請求項7】
前記薬物剤形は、スフェンタニルを含む、請求項5に記載の投与デバイス。
【請求項8】
前記デバイスは、ポータブルである、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項9】
前記デバイスは、患者が管理する、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項10】
前記デバイスは、前記剤形を口腔粘膜上に配置するのに有効である、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項11】
前記口腔粘膜は、舌下膜である、請求項10に記載の投与デバイス。
【請求項12】
前記口腔粘膜は、頬粘膜である、請求項10に記載の投与デバイス。
【請求項13】
前記デバイスは、ロックアウト機能をさらに備える、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項14】
前記ロックアウト機能は、ロックアウト時間を設定するのに有効であって、該ロックアウト時間中は該デバイスから剤形が投与され得ない、請求項13に記載の投与デバイス。
【請求項15】
前記ロックアウト時間は、一定時間のロックアウト間隔、可変ロックアウト間隔、アルゴリズムによって決定されるプログラム可能なロックアウト間隔、或いは遠隔コンピュータ、ドッキング・ステーションまたは他のデバイスからデバイスに通信されるロックアウト間隔である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記デバイスは、再利用可能なヘッドおよびディスポーザブルなボディーを備える、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項17】
前記デバイスは、交換可能なカートリッジをさらに備える、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項18】
前記カートリッジは、ディスポーザブルなカートリッジである、請求項17に記載の投与デバイス。
【請求項19】
前記カートリッジは、1つまたはそれ以上の配送タブレットを備える、請求項18に記載の投与デバイス。
【請求項20】
前記デバイスは、いつ1つまたはそれ以上の配送タブレットが投与されるかを検出することができる、請求項19に記載の投与デバイス。
【請求項21】
前記カートリッジは、200までの薬物剤形を保持するように構成される、請求項17に記載の投与デバイス。
【請求項22】
前記投与メカニズムの自己キャリブレーションのための手段をさらに備える、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項23】
前記投与デバイスは、(i)投薬または使用履歴の記録、(ii)投薬および使用履歴の記録、(iii)投薬または使用履歴を閲覧またはダウンロードする手段、(v)投薬および使用履歴を閲覧またはダウンロードする手段、のための手段の1つまたはそれ以上をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
剤形検出のための手段をさらに備える、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項25】
前記剤形検出のための手段は、光学的である、請求項24に記載の投与デバイス。
【請求項26】
前記デバイスは、一回一用量で複数用量を投与するのに有効である、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項27】
前記デバイス全体は、ディスポーザブルである、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項28】
データ転送のための接続性手段をさらに備える、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項29】
前記デバイスは、一回一用量で複数用量を投与するのに有効である、請求項13に記載の投与デバイス。
【請求項30】
前記デバイス全体は、ディスポーザブルである、請求項13に記載の投与デバイス。
【請求項31】
データ転送のための接続性手段をさらに備える、請求項13に記載の投与デバイス。
【請求項32】
前記デバイスは、可撓性プッシュロッドを備える、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項33】
前記デバイスは、ユーザインターフェースを有し、該ユーザインターフェースは、画像表示、光、音および触覚フィードバックの1つまたはそれ以上を備える、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項34】
前記投与デバイスは、ユーザ識別手段をさらに備える、請求項1に記載の投与デバイス。
【請求項35】
前記ユーザ識別手段は、患者識別手段である、請求項34に記載の投与デバイス。
【請求項36】
前記患者識別手段は、識別されるべき患者につけたマッチングRFIDタグに接続するように構成された無線自動識別(RFID)リーダであって、前記投与デバイス上の該RFIDリーダが患者につけたマッチングRFIDタグを検出する場合に、該与デバイスがロック解除されるか、または使用可能になる、請求項35に記載の投与デバイス。
【請求項37】
前記ユーザ識別手段は、医療提供者の識別手段を備える、請求項34に記載の投与デバイス。
【請求項38】
前記医療提供者の識別手段は、無線自動識別(RFID)リーダである、請求項37に記載の投与デバイス。
【請求項39】
対象の口腔粘膜に薬物剤形を投与するためのシステムであって、
(a)請求項1に記載の投与デバイス、
(b)薬物剤形、および
(c)対象
を備える、システム。
【請求項40】
前記投与デバイスは、ポータブルである、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記投与デバイスは、患者が管理する、請求項39に記載のシステム。
【請求項42】
前記口腔粘膜は、舌下膜である、請求項39に記載のシステム。
【請求項43】
前記口腔粘膜は、頬粘膜である、請求項39に記載のシステム。
【請求項44】
前記投与デバイスは、再利用可能なヘッドおよびディスポーザブルなボディーを備える、請求項39に記載のシステム。
【請求項45】
前記投与デバイスは、交換可能なカートリッジを備える、請求項39に記載のシステム。
【請求項46】
前記交換可能なカートリッジは、ディスポーザブルなカートリッジである、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記投与デバイスは、唾液または水分の進入を防ぐか、または遅らせる手段を備える、請求項39に記載のシステム。
【請求項48】
前記唾液または水分の進入を防ぐか、または遅らせる手段は、シュラウドを有する口吻部を備え、該シュラウドは、拭き取りシールまたはバルブ、吸収剤パッド、乾燥剤を備える乾燥チャンバー、および乾燥剤を備えるカートリッジの1つまたはそれ以上を備える、請求項39に記載のシステム。
【請求項49】
前記投与デバイスは、(a)ユーザ識別手段、(b)ユーザインターフェース、(c)通信手段、(d)記憶手段、(e)再充電ステーション、および(f)ドッキング・ステーションまたはポータブル・ドッキングFOB、の1つまたはそれ以上を備える、請求項39に記載のシステム。
【請求項50】
前記投与デバイスは、ロックアウト機能を備える、請求項39に記載のシステム。
【請求項51】
前記ロックアウト機能は、ロックアウト時間を設定するのに有効であって、該ロックアウト時間中は該デバイスから剤形が投与され得ない、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記ロックアウト時間は、一定時間のロックアウト間隔、可変ロックアウト間隔、アルゴリズムによって決定されるプログラム可能なロックアウト間隔、或いは遠隔コンピュータ、ドッキング・ステーションまたは他のデバイスからデバイスに通信されるロックアウト間隔である、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記薬物剤形は、スフェンタニルを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項54】
対象の経口腔粘膜に薬物剤形を投与する方法であって、
(a)請求項1に記載の投与デバイスを提供するステップ、
(b)該対象の口腔粘膜近傍に該デバイスの投与端を配置するステップ、および
(c)口腔粘膜上に該剤形を投与するステップ、
を備える、方法。
【請求項55】
前記口腔粘膜は、舌下膜である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記口腔粘膜は、頬粘膜である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記剤形は、自己投与される、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記剤形は、助けを得て投与される、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記デバイスは、交換可能なカートリッジを備える、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
前記カートリッジは、ディスポーザブルなカートリッジである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記カートリッジは、1つまたはそれ以上の配送タブレットを備える、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
少なくとも1つの配送タブレットが、剤形の投与の前に投与される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記カートリッジは、200までの薬物剤形を保持するように構成される、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記薬物剤形は、スフェンタニルを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項65】
対象の経口腔粘膜に薬物剤形を投与する方法であって、
(a)請求項13に記載の投与デバイスを適用するステップ、
(b)該対象の口腔粘膜近傍に該デバイスの投与端を配置するステップ、および
(c)口腔粘膜上に前記剤形を投与するステップ、
を備える方法。
【請求項66】
前記口腔粘膜は、舌下膜である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記口腔粘膜は、頬膜である、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記剤形は、自己投与される、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記剤形は、助けを得て投与される、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記デバイスは、交換可能なカートリッジを備える、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記カートリッジは、ディスポーザブルなカートリッジである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記カートリッジは、1つまたはそれ以上の配送タブレットを備える、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
少なくとも1つの配送タブレットは、剤形の投与に先立って投与される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記カートリッジは、200個までの薬物剤形を保持するように構成される、請求項65に記載の方法。
【請求項75】
前記薬物剤形は、スフェンタニルを含む、請求項65に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【公表番号】特表2010−516302(P2010−516302A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544898(P2009−544898)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/089016
【国際公開番号】WO2008/085763
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(508202267)エーセルアールエックス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (8)
【出願人】(309043366)
【Fターム(参考)】