説明

経口適用および局所適用のための脂質系薬学的調製物、ならびにそれらの組成物、方法、および使用

本発明は、対象における疾患または症状を治療するための、1つ以上の活性剤を含む組成物の局所送達および経口送達に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの活性化合物、例えば、フィナステリドまたはミノキシジル、ならびに1つ以上の脂質を含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、アンドロゲン性脱毛症(AGA)の治療、脱毛の予防、および女性多毛症のための、組成物および調製方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、良性前立腺肥大の治療のためのフィナステリドおよび少なくとも1つの脂質成分を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、皮膚または眼に関連する疾患の治療のための、タクロリムスまたはアムホテリシンBおよび少なくとも1つの脂質成分を含む。本発明は、少なくとも1つの活性化合物および少なくとも1つの脂質を含む組成物の調製方法、ならびに経口送達または局所送達によって対象にその組成物を投与することを提供する。ある実施形態では、対象は哺乳動物である。ある好ましい実施形態では、対象はヒトである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分または化合物、例えば、薬学的化合物と、例えば、溶液、複合体、ミセル、乳剤、リポソームまたは脂質粒子、ならびにミセルおよびベシクルの混合物を含む脂質とを含む、組成物に関する。さらに、本発明は、その調製方法と、疾患の治療の際の使用とに関する。本発明はまた、活性剤の局所送達のための方法、およびそこで使用される組成物にも関する。いくつかの実施形態では、本発明は、フィナステリドおよびミノキシジル等の、脱毛予防薬または発毛薬を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、哺乳動物における、皮膚もしくは眼の感染、または皮膚もしくは眼に関連する疾患を治療する際に使用するための活性化合物を含む、組成物に関する。いくつかの実施形態では、本発明はまた、活性剤の経口送達のための方法にも関する。本発明による方法は、工業生産規模での実践に対し好適であって、例えば、連続的プロセスとして実践され得る。
【背景技術】
【0002】
アンドロゲン性脱毛症(AGA)は、成人男女の約30〜40パーセントに影響を及ぼす、脱毛の最も一般的な形態である。その発生頻度は、概して女性よりも男性において高いと考えられる。男性では、この状態は男性型禿頭症とも呼ばれる。一般的に、アンドロゲン性脱毛症の治療には、毛嚢移植、局所療法、および抗アンドロゲン薬の経口処方が含まれる(J.L.Roberts,1997)。脱毛症を引き起こす高アンドロゲン刺激は、尋常性座瘡、良性前立腺肥大、女性多毛症、および脂漏を含む他の望ましくない生理的症状も生じさせる。
【0003】
高アンドロゲン症の望ましくない結果に対抗するために化学療法剤を提供する初期の試みによって、それら自身の望ましくないホルモン活性を有するいくつかのステロイド性抗アンドロゲン剤の発見がもたらされた。いくつかの標的器官、例えば、前立腺におけるアンドロゲン活性の主要な介在物質は、テストステロン−5−α−還元酵素の作用によってこの標的器官に局所的に形成される、5α−ジヒドロテストステロン(DHT)である。テストステロン−5α−還元酵素の阻害剤は、これらの器官内の高アンドロゲン刺激の症状を予防または軽減する役割を果たす(Gormleyらの米国特許第5,981,543号(1999)およびRasmussonらの米国特許第4,377,584号(1983))。
【0004】
ミノキシジル(6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミド3オキシド)は、AGAの治療のための既知の薬物である。ミノキシジルは、約0.01%〜約5%の濃度で局所送達される場合、有効である。ミノキシジルの局所用溶液は、現在、(60%v/v)プロピレングリコール、および水の溶液中、2%のミノキシジル濃度を有する「Rogaine」として市販されている。不都合なことに、治験は、脱毛を経験している患者への2%ミノキシジル溶液の局所適用では、患者の約5%未満のみに刺激による密集した発毛、および患者の約30%のみに中程度の発毛がもたらされたことを示している(E.A.Olsen,et al.,1985;J.Roberts,1987)、S.Niemieeらの米国特許第6,419,913 B1号、2002)。
【0005】
フィナステリドは、良性前立腺肥大の治療用に現在PROSCAR(登録商標)として市販されている、合成アンドロゲン阻害剤である。また、これは、アンドロゲン性脱毛症(AGA)(脱毛)の治療用にPROPECIA(登録商標)として低容量の形態の経口薬としても市販されている。化学的には、フィナステリドは、(5α、17β)−N−(1、1−ジメチルエチル)−3−オキソ−4−アザアンドロスト−1−エン−17−カルボキサミドであり、事実上水に不溶性であり、エタノールおよびメタノール等の有機溶媒中でのみ可溶性である。フィナステリドは、5α−還元酵素2型を阻害することが知られている。
【0006】
フィナステリドは、現在経口投与されているが、AGAの治療に承認された製品として局所的に利用することはできない。フィナステリドの経口投与の結果としての副作用には、勃起障害、インポテンス、低性欲、女性化乳房、顔の発毛が含まれる。
【0007】
局所送達および経皮送達を改善し、フィナステリドおよびミノキシジル等の組成物に関連する毒性を減少させるための、新規脂質系製剤の開発が必要である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、活性化合物の脂質製剤を調製する新規方法、および対象の疾患または症状の治療における該製剤の使用方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、フィナステリドまたはミノキシジル等の少なくとも1つの活性剤を含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの活性化合物、例えば、フィナステリドと、1つ以上の脂質とを含む組成物を調製することと、その組成物を対象に投与することと、を含む、方法を含む。ある実施形態では、対象は、哺乳動物である。ある好ましい実施形態では、対象は、ヒトである。
【0009】
本発明の別の目的は、好適なビヒクル中に形成される、少なくとも1つの活性成分と、少なくとも1つの脂質、例えば、リン脂質、または中性脂質とを含む脂質製剤を提供することである。本発明において好適なビヒクルは、非毒性溶媒または水性媒体を含む。
【0010】
本発明による組成物に含まれるリン脂質の量は、最終組成物のいかなる特定の量または百分率(例えば、重量による)にも限定されない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのリン脂質の割合は、総脂質(例えば、市販形態)の約0.5重量%〜約98重量である。いくつかの好ましい実施形態では、少なくとも1つのリン脂質の量は、脂質複合体の0.5重量%〜90重量%である。
【0011】
本発明の脂質製剤は、いかなる特定の使用または用途にも限定されない。例えば、薬学的に活性な原料を含む、本発明による活性成分の脂質製剤は、異なる薬学的用途に使用可能である。本発明の水性系または非毒性溶媒系はまた、例えば、活性成分を含む複合体に対する対照として使用するための、非装填脂質複合体(例えば、いずれのカプセル化した活性成分も含まない)の形成において使用することができる。
【0012】
例として、本発明のリポソーム系内にフィナステリドをカプセル化または封入する(Entrap)ことが可能である。そのような薬学的生成物は、経口または局所適用に特に好適である。さらに、既知の活性成分は、良性前立腺肥大、アンドロゲン性脱毛症(男性および女性型禿頭症)の治療、ならびに脱毛、女性多毛症、尋常性座瘡、および脂漏の予防のためのものである。
【0013】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物の1つ以上の脂質は、1つ以上のコレステロール、硫酸コレステリルおよびその塩(例えば、ナトリウム塩)、コレステリルヘミスクシナート、コハク酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、コレステロールのポリエチレングリコール誘導体(コレステロール−PEG)、コプロスタノール、コレスタノール、コレスタン、コール酸、コルチゾール、コルチコステロン、ヒドロコルチゾン、またはカルシフェロールを含むが、一方いくつかの実施形態では、1つ以上の脂質は、ステロールを含む。ある実施形態では、ステロールは、β−シトステロール、スチグマステロール、スチグマスタノール、ラノステロール、α−スピナステロール、ラソステロール、カンプエステロール、またはそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、ステロールは、ググルステロール、ググルステロールの誘導体(例えば、硫酸ググル(guggulsulfate)およびナトリウム塩等のその塩、ミリスチン酸ググル(guggulmyristate)、ラウリン酸ググル(gugullaurate)、オレイン酸ググル(gugguloleate)、またはググルステロールの短鎖脂肪酸誘導体、あるいはそれらの混合物である。
【0014】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物の1つ以上の脂質は、鎖長約C〜C34を有する脂肪酸のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の脂肪酸鎖は、不飽和であるが、一方いくつかの実施形態では、脂肪酸鎖のうちの1つ以上は、飽和である。いくつかの実施形態では、脂肪酸のうちの1つ以上は、塩の形態であるが、一方いくつかの実施形態では、脂肪酸のうちの1つ以上は、酸の形態である。いくつかの実施形態では、1つ以上の脂肪酸は、エステルの形態である。
【0015】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物の1つ以上の脂質は、鎖長約C〜C34を有する長アルキル鎖アルコールのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアルキル鎖は不飽和であるが、一方いくつかの実施形態では、アルキル鎖のうちの1つ以上は飽和である。
【0016】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物の1つ以上の脂質は、リン脂質を含む。いくつかの好ましい実施形態では、本組成物の脂質のうちの1つ以上は、ホスファチジルコリンまたはホスファチジルグリセロールを含むが、一方いくつかの好ましい実施形態では、本組成物の脂質のうちの1つ以上は、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、またはホスファチジン酸を含む。いくつかの好ましい実施形態では、本発明の1つ以上の脂質は、大豆リン脂質を含む。いくつかの特に好ましい実施形態では、本発明の方法および組成物で使用される大豆リン脂質は、高濃度のホスファチジルコリンを含む。さらにより特に好ましい実施形態では、本発明の方法および組成物で使用される大豆リン脂質は、少なくとも90重量%のホスファチジルコリンを含有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のリン脂質は、リン脂質のペグ化(PEG)誘導体である。ある実施形態では、組成物の脂質のうちの1つ以上は、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、またはジオレオイルホスファチジルグリセロールリン脂質のペグ化誘導体を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物の1つ以上の脂質は、モノグリセリド、ジグリセリド、またはトリグリセリド脂質を含む。
【0018】
モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリドの該脂肪酸は、短鎖または長鎖を有する飽和および不飽和脂肪酸の群から選択される、組成物の方法。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む。いくつかの実施形態では、PEGは、200〜20,000の範囲の平均分子量を有するが、一方ある好ましい実施形態では、PEGの平均分子量は、500〜2000である。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、活性化合物(例えばフィナステリド)、コレステロールもしくはコレステロール誘導体、および1つ以上のリン脂質を含む。組成物がコレステロール誘導体を含む、いくつかの実施形態では、コレステロール誘導体は、硫酸コレステリルである。いくつかの実施形態では、リン脂質が大豆ホスファチジルコリンまたは水素添加ホスファチジルコリンを含む。いくつかの好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)とコレステロールもしくはコレステロール誘導体とのモル比は、約1:0.5〜1:50の範囲であるが、一方ある特に好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)とコレステロールもしくはコレステロール誘導体とのモル比は、約1:1〜1:10である。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物の1つ以上の脂質は、水素添加大豆ホスファチジルコリンを含み、活性化合物(例えば、フィナステリド)と水素添加大豆ホスファチジルコリンとのモル比は、約1:1〜1:80である。ある好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)と水素添加大豆ホスファチジルコリンとのモル比は、約1:1〜1:60である。
【0022】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物の1つ以上の脂質は、大豆ホスファチジルコリンを含み、活性化合物(例えば、フィナステリド)と大豆ホスファチジルコリンとのモル比は、約1:1〜1:80である。ある好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)と大豆ホスファチジルコリンとのモル比は、約1:1〜1:60である。
【0023】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、約0.5mg/mL〜約200mg/mLの濃度の活性化合物(例えば、フィナステリド)を含むが、一方いくつかの好ましい実施形態では、本組成物の活性化合物(例えば、フィナステリド)は、約1mg/mL〜約10mg/mLの濃度である。いくつかの特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、約1mg/mL〜約5mg/mLの濃度の活性化合物(例えば、フィナステリド)を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、約0.5mg/g〜約200mg/gの濃度の活性化合物(例えば、フィナステリド)を含むが、一方いくつかの好ましい実施形態では、本組成物の活性化合物(例えば、フィナステリド)は、約1mg/g〜約50mg/gの濃度である。いくつかの特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、約1mg/g〜約10mg/gの濃度の活性化合物(例えば、フィナステリド)を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、約0.5重量%〜約95重量%の総脂質濃度または割合を含むが、一方いくつかの好ましい実施形態では、本組成物は、約0.5重量%〜約80重量%の総脂質濃度を含む。ある特に好ましい実施形態では、本組成物は、約10重量%〜約90重量%の総脂質濃度を含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、約1:1〜約1:100の範囲の重量対重量比を有する活性化合物(例えば、フィナステリド)および総脂質を含むが、一方ある好ましい実施形態では、その比は1:1〜約1:60である。
【0027】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、ミセルおよび乳剤から成る群から選択される組成物を含む。ある好ましい実施形態では、本組成物は、複数のミセルを含み、該ミセルは、単量体、二量体、重合体、または混合ミセルの形態である。
【0028】
本発明は、本発明の組成物のいかなる特定の形態にも限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、凍結乾燥された形態である。いくつかの実施形態では、本組成物は、抗凍結剤をさらに含む。ある好ましい実施形態では、抗凍結剤は、1つ以上の糖類を含むが、一方特に好ましい実施形態では、1つ以上の糖類は、トレハロース、マルトース、乳糖、スクロース、グルコース、および/またはデキストランを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、直径約20ミクロン以下を有する複合体、リポソーム、ミセル、ベシクルを含むが、一方いくつかの実施形態では、直径約10ミクロン以下を有する複合体、リポソーム、ミセル、ベシクルを含む。いくつかの実施形態では、直径約5ミクロン以下を有する複合体、リポソーム、ミセル、ベシクルであるが、一方いくつかの実施形態では、直径約1ミクロン以下を有する複合体、リポソーム、ミセル、ベシクルである。いくつかの実施形態では、直径約500nm以下を有する複合体、リポソーム、ミセル、ベシクルであるが、一方いくつかの実施形態では、直径約200nm以下を有する複合体、リポソーム、ミセル、ベシクルである。いくつかの好ましい実施形態では、直径約100nm以下を有する複合体、リポソーム、ミセル、ベシクルである。
【0030】
いくつかの実施形態では、本発明による組成物は、粉末形態であるが、一方いくつかの実施形態では、複合体は、溶液形態である。いくつかの実施形態では、本組成物は、懸濁液形態であるが、一方他の実施形態では、本組成物は、乳剤形態であり、一方さらに他の実施形態では、本組成物は、ミセル形態または混合ミセル形態、あるいはリポソーム形態である。いくつかの実施形態では、本組成物は、凍結乾燥またはゲル形態であるが、一方いくつかの実施形態では、本組成物は、ペースト形態である。いくつかの実施形態では、本組成物は、混合ミセル、リポソーム、またはベシクル形態の混合物である。
【0031】
本発明の方法によって産生された組成物は、直ちに使用可能な状態の対応するアンプル、バイアル、ビン、管に直接充填することができる。生成物は、本組成物を粉末形態で提供することが所望される場合、凍結乾燥させることができ、これは、局所適用のために好適なビヒクル中で混合され得る。好適なビヒクルの例には、油、ゲル、ペースト、ローション、洗髪剤、石鹸等が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、この凍結乾燥粉末は、治療剤(例えば、フィナステリド)の経口送達用に使用することができる。
【0032】
本発明の方法および組成物は、男性型および女性型禿頭症等のアンドロゲン性脱毛症の治療、脱毛、女性多毛症、尋常性座瘡、および脂漏の予防に使用されることが企図される。いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、男性型および女性型禿頭症等のアンドロゲン性脱毛症、脱毛、女性多毛症、尋常性座瘡、および脂漏の予防に対して、対象を治療するための医薬の調製における、前述の組成物の使用を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、対象内の細胞の暴露は、対象への本組成物の局所送達を含むことが企図される。いくつかの好ましい実施形態では、対象は、哺乳動物である。いくつかの特に好ましい実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
【0034】
定義
本明細書で使用される「脂質組成物」という用語は、リポソーム形成、ベシクル形成、ミセル形成、乳剤形成が可能であり、リポソームとして必要濃度で投与される場合、実質的に非毒性である、両性化合物を指す。脂質組成物は、卵ホスファチジルコリン(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール(EPG)、大豆ホスファチジルコリン(SPC)、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、コレステロール(Chol)、コレステロール硫酸およびその塩(CS)、コレステロールヘミスクシナートおよびその塩(Chems)、コレステロールリン酸およびその塩(CP)、コレステリルホスホリン(cholesterylphospholine)、ならびに他のヒドロキシコレステロールもしくはアミノコレステロール誘導体、ググルステロールもしくはググルステロール誘導体(例えば、硫酸ググルおよびその塩、ラウリン酸ググル(guggullaurate)、ミリスチン酸ググル、またはググルステロールの他の飽和もしくは不飽和脂肪酸誘導体)を含み得るが、それらに限定されない。
【0035】
本明細書で使用される、「水性」という用語は、溶媒、流体、または系の参照において使用される場合、いかなる有機溶媒をも含有しない、水を基材とする溶媒、流体、または系を指す。水性系は、緩衝液をさらに含有することができる。塩基または緩衝液の例としては、二塩基性コハク酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、三塩基性リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0036】
本明細書で使用される、「非毒性溶媒」という用語は、アルコールおよび油を指す。アルコールの例としては、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ブタノール、およびt−ブタノールが挙げられるが、それらに限定されない。油の好適な例としては、オリーブ油、大豆油、ヤシ油、アーモンド油、ひまわり油、ひまわり油、植物油、キャノーラ油、ヤシ油、ゴマ油、アボカド油、タラ油等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0037】
「カプセル化量」または「封入量」という用語は、難溶性化合物をカプセル化または封入し、直径5,000nm未満、好ましくは30〜1000nmの適切な平均粒径のリポソームまたは脂質粒子を形成するために必要な脂質の量を指す。カプセル化量は、薬学的に活性な化合物および選択されるプロセス条件に依存するが、一般に、化合物:脂質比は、2:1〜約1:100、好ましくは約1:1〜約1:50の範囲である。
【0038】
本明細書で使用される、「脂質粒子」という用語は、好適な脂質と、カプセル化または複合された薬学的に活性な化合物とから成る、未定義構造の粒子を指す。脂質粒子は、層状構造を有し得るが、いずれの定義された構造も呈する必要はない。
【0039】
本明細書で使用される、「有効量」という用語は、有益なまたは所望の結果をもたらすために十分な活性組成物(例えば、脂質製剤の成分として提供される薬学的化合物もしくは組成物)の量を指す。有効量は、1つ以上の投与、適用、または用量で投与可能であるが、特定の製剤または投与経路に限定されることを意図するものではない。
【0040】
本明細書で使用される、「活性」または「薬学的に活性」という用語は、薬剤、組成物、または化合物の参照において使用される場合、投与または適用時、有益な、所望の、あるいは期待される効果を生じさせる薬剤を指す。投与は、1つ以上の投与、適用、または用量において成され、かつ特定の製剤または投与経路に限定されることを意図するものではない。該用語は、任意の特定のレベルの活性に限定されない。例えば、脂質製剤中の活性剤が十分に活性で、活性剤の有効量が薬剤の脂質製剤の投与によって投与可能である限り、活性剤の脂質製剤は、活性剤の異なる製剤と同一レベルの活性を有する必要はない。
【0041】
「薬剤」および「化合物」という用語は、属性の特徴を有する任意の原子、分子、混合物、またはより複雑な組成物を指すために、本明細書において同義に使用される。例えば、「活性剤」または「活性化合物」は、投与または適用時、有益な、所望の、または期待される効果を生じさせる、任意の原子、分子、調製物、混合物等を指す。
【0042】
本明細書で使用される、「投与」という用語は、薬物、プロドラッグ、または他の活性剤、あるいは医薬治療剤(例えば、本発明の組成物)を対象に与える行為を指す。人体への例示的な投与経路は、口および皮膚を通じてであり得る。投与は、1つ以上の投与、適用、または用量において成され得るものであり、かつ特定の投与経路に限定されることを意図するものではない。
【0043】
本明細書で使用される、「同時投与」という用語は、少なくとも2つの薬剤(例えば、異なる活性化合物を含有する、2つの別個の脂質組成物)または療法を対象に投与することを指す。いくつかの実施形態では、2つ以上の薬剤または療法の同時投与は、併用投与である。他の実施形態では、第1の薬剤/療法は、第2の薬剤/療法の前に投与される。当業者は、使用される種々の薬剤または療法の製剤および/または経路が異なり得ることを理解している。同時投与に適切な用量は、当業者によって、容易に判断可能である。いくつかの実施形態では、薬剤または療法が同時投与される場合、それぞれの薬剤または療法は、その単独投与に適切な用量よりも少なく投与される。したがって、薬剤または療法の同時投与によって、潜在的に有害な(例えば、毒性)薬剤の必要用量を低減させる実施形態において、同時投与は特に望ましい。
【0044】
本明細書で使用される、「毒性」という用語は、毒物の投与前の同一細胞または組織と比較して、対象、細胞、あるいは組織に及ぼす何らかの悪性または有害である影響を指す。
【0045】
本明細書で使用される、「薬学的組成物」という用語は、組成物を、診断用途または局所的治療用途に特に好適にする、活性剤(例えば、活性な薬学的化合物)と、不活性担体または活性担体(例えば、リン脂質)との組み合わせを指す。
【0046】
本明細書で使用される、「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」という用語は、対象に投与される時に、有害反応、例えば、毒性、アレルギー、あるいは免疫反応を実質的に産生しない組成物を指す。
【0047】
本明細書で使用される、「局所的に」という用語は、皮膚表面ならびに粘膜細胞および組織(例えば、歯槽、頬側、舌側、咀嚼面、または鼻粘膜、および中空器官または体腔を覆う他の組織および細胞)への本発明の組成物の適用を指す。
【0048】
本明細書で使用される、「薬学的に許容される担体」という用語は、非毒性溶媒、リン酸緩衝生理食塩水、水、乳剤(例えば、油/水または水/油乳剤等)、ならびに種々の種類の湿潤剤、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、ラウリル硫酸ナトリウム、等張遅延剤および吸収遅延剤、崩壊剤(例えば、ジャガイモ澱粉またはグリコール酸ナトリウム澱粉)等を含むが、それらに限定されない、任意の標準的な薬学的担体を指す。また、組成物は、安定剤および防腐剤を含むことができる。担体、安定剤、およびアジュバントの例について、(例えば、Martin,Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.,Mack Publ.Co.,Easton,Pa.(1975)を参照されたく、これは、参照により組み込まれる)。さらに、ある実施形態では、本発明の組成物は、園芸または農業用途向けに製剤化され得る。そのような製剤は、浸漬、スプレー、種子粉衣、茎部注入、スプレー、および噴霧を含む。
【0049】
本明細書で使用される、「薬学的に許容される塩」という用語は、標的対象(例えば、哺乳動物対象)において生理的に耐性である、本発明の化合物の任意の塩(例えば、酸または塩基との反応によって得られる)を指す。本発明の化合物の「塩」は、無機または有機の酸および塩基から誘導され得る。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、スルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸等が挙げられるが、それらに限定されない。他の酸、例えば、シュウ酸は、それ自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物およびその薬学的に許容される酸付加塩を得る際に中間物として有用な塩の調製において採用され得る。
【0050】
塩基の例としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、および式NW(式中、Wは、C1〜4アルキル)の化合物等が挙げられるが、それらに限定されない。
【0051】
塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩等が挙げられるが、それらに限定されない。塩の他の例には、Na、NH、およびNW(式中、WはC1〜4アルキル基である)等の好適なカチオンと化合される、本発明の化合物のアニオンが含まれる。治療用途向けに、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容されると企図される。しかしながら、薬学的に許容されない酸および塩基の塩もまた、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製においての使用に見られ得る。
【0052】
治療用途向けに、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容されると企図される。しかしながら、薬学的に許容されない酸および塩基の塩もまた、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製においての使用に見られ得る。
【0053】
「ポリエチレングリコール(PEG)」という用語は、低級アルキレンオキシドのポリマー、特にポリマー分子の少なくとも一端にエステル化可能なヒドロキシル基を有するエチレンオキシド(ポリエチレングリコール)、ならびにエステル化可能なカルボキシル基を有するそのようなポリマーの誘導体が含まれる。200〜20,000の範囲の平均分子量のポリエチレングリコールが好ましく500〜2000の範囲の平均分子量を有するものが特に好ましい。
【0054】
本発明を記載する文脈(特に、下記の特許請求の範囲の文脈)において、「a」、「an」、および「the」という用語、ならびに類似言及の使用は、別途本明細書に記載されるか、または文脈によって明確に否定されない限り、単数および複数の両方を網羅するものと解釈される。「備える」、「含む」、「有する」、および「含有する」という用語は、別途記載がない限り、非制約用語(すなわち、「含まれるが、限定されない」ことを意味する)として解釈される。本明細書に提供されるあらゆる例、または例示的言語(例えば、「等」)の使用は、別途特許請求されない限り、単に、本発明をより明らかにすることを意図し、本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書中のいかなる言語も、非特許請求要素を本発明の実践に不可欠であるとして示すものとは解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明は、水性または非毒性溶媒系中の溶液、懸濁液、リポソーム、脂質複合体、またはミセルの調製に関する。本発明の調製には、治療的に活性な不溶性もしくは難溶性化合物とともに、水性媒体または非毒性溶媒中の大豆ホスファチジルコリン等の少なくとも1つのリン脂質を必要とする。
【0056】
本発明の特定の実施形態を、発明の概要および発明を実施するための形態に記載する。本発明は、具体的な実施形態と関連させて記載されたが、特許請求される本発明は、そのような具体的実施形態に不当に制限されるものではないことを理解されたい。例えば、本発明の組成物および方法は、フィナステリドまたはミノキシジル等の特定の発毛剤に関連して記載される。本発明は、フィナステリドまたはミノキシジルを使用するか、または含む、方法または組成物に限定されないことを理解されたい。
【0057】
いくつかの実施形態では、本発明は、活性化合物(例えば、フィナステリド)とともに脂質組成物を含み、該組成物は、脂質または脂質の混合物を含有する。いくつかの実施形態では、該組成物は、溶液、ミセル、乳剤、またはミセルおよびベシクルの混合物、ゲル、ペーストの形態である。本発明のミセルは、例えば、単量体、二量体、重合体、または混合ミセルの形態であることができる。いくつかの実施形態では、ミセル、乳剤、またはミセルおよびベシクルの混合物を含む組成物は、主に50nm〜20ミクロンの粒径範囲であるが、一方いくつかの好ましい実施形態では、ミセルおよび乳剤は、50nm〜5ミクロンの粒径範囲である。
【0058】
いくつかの実施形態では、活性剤−脂質組成物(例えば、フィナステリド−脂質組成物は、コレステロールまたはコレステロール誘導体を含有する。本発明における使用が見出されるコレステロール誘導体の例としては、硫酸コレステリル、コレステリルヘミスクシナート、コハク酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、リノール酸コレステリル、エイコサペンタエン酸コレステリル、リノレン酸コレステリル、アラキドン酸コレステリル、パルミチン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、ミリスチン酸コレステリル、コレステロールのポリエチレングリコール誘導体(コレステロール−PEG)、水溶性コレステロール(例えば、コレステロールメチル−β−シクロデキストリン)、コプロスタノール、コレスタノール、またはコレスタン、コール酸、コルチゾール、コルチコステロンまたはヒドロコルチゾン、および7−デヒドロコレステロールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
いくつかの好ましい実施形態では、本組成物には、α−、β−、γ−トコフェロール、ビタミンE、カルシフェロール、α−、β−、γ−トコフェロール有機酸誘導体、例えば、α−トコフェロールヘミスクシナート(THS)、α−コハク酸トコフェロール、またはそれらの混合物も含まれる。
【0060】
いくつかの好ましい実施形態では、活性剤−脂質組成物(例えば、フィナステリド−脂質組成物)は、ステロール類を含む。本発明における使用が見出されるステロールの例には、β−シトステロール、スチグマステロール、スチグマスタノール、ラノステロール、α−スピナステロール、ラソステロール、カンプエステロール、および/またはそれらの混合物が含まれる。
【0061】
いくつかの好ましい実施形態では、活性剤−脂質組成物(例えば、フィナステリド−脂質組成物)は、ググルステロールおよびググルステロール誘導体、例えば、硫酸ググルおよびその塩(好ましくはナトリウム塩)、ラウリン酸ググル、および長鎖もしくは短鎖、飽和もしくは不飽和の脂肪酸(オレイン酸ググル等)を含有するググルステロール誘導体を含有する。
【0062】
本発明の組成物はまた、遊離脂肪酸および/またはその塩もしくはエステルとともに、活性化合物(例えば、フィナステリド)を含む。いくつかの好ましい実施形態では、脂肪酸は、炭素鎖長約C〜C34、好ましくは約C〜約C24の範囲であり、特に、テトラ酸(C4:0)、ペンタン酸(C5:0)、ヘキサン酸(C6:0)、ヘプタン酸(C7:0)、オクタン酸(C8:0)、ノナン酸(C9:0)、デカン酸(C10:0)、ウンデカン酸(C11:0)、ドデカン酸(C12:0)、トリデカン酸(C13:0)、テトラデカン(ミリスチン)酸(C14:0)、ペンタデカン酸(C15:0)、ヘキサデカン(パルマチン)酸(C16:0)、ヘプタデカン酸(C17:0)、オクタデカン(ステアリン)酸(C18:0)、ノナデカン酸(C19:0)、ノナデカン(アラキジン)酸(C20:0)、ヘンエイコサン酸(C21:0)、ドコサン(ベヘン)酸(C22:0)、トリコサン酸(C23:0)、テトラコサン酸(C24:0)、10−ウンデセン酸(C11:1)、11−ドデセン酸(C12:1)、12−トリデセン酸(C13:1)、ミリストレイン酸(C14:1)、10−ペンタデセン酸(C15:1)、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C18:3)、エイコセン酸(C20:1)、エイコサジエン酸(C20:2)、エイコサトリエン酸(C20:3)、アラキドン酸(シス−5,8,11,14−エイコサテトラエン酸)、およびシス−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸が含まれる。また、他の脂肪酸鎖も、組成物中に採用可能である。そのような例としては、飽和脂肪酸、例えば、エタン(または酢)酸、プロパン(またはプロピオン)酸、ブタン(または酪)酸、ヘキサコサン(またはセロチン)酸、オクタコサン(またはモンタン)酸、トリアコンタン(またはメリシン)酸、ドトリアコンタン(またはラッセル)酸、テトラトリアコンタン(またはゲダ)酸、ペンタトリアコンタン(またはセロプラスチン)酸等;モノエタン不飽和脂肪酸、例えば、トランス−2−ブテン(またはクロトン)酸、シス−2−ブテン(またはイソクロトン)酸、2−ヘキセン(またはイソヒドロソルビン)酸、4−デカン(またはオブツシル)酸、9−デカン(またはカプロレイン)酸、4−ドデセン(またはリンデン)酸、5−ドデセン(またはデンチセン)酸、9−ドデセン(またはラウロレイン)酸、4−テトラデセン(またはツズ)酸、5−テトラデセン(またはフィセテリン)酸、6−オクタデセン(またはペトロセレン)酸、トランス−9−オクタデセン(またはエライジン)酸、トランス−11−オクタデセン(またはバクセン)酸、9−エイコセン(またはガドレイン)酸、11−エイコセン(またはゴンドレイン)酸、11−ドコセン(またはセトレイン)酸、13−デコセン(またはエルカ)酸、15−テトラコセン(またはネルボン)酸、17−ヘキサコセン(またはキシメン)酸、21−トリアコンテン(またはルメクエン)酸等;ジエン不飽和脂肪酸、例えば、2,4−ペンタジエン(またはβ−ビニルアクリル)酸、2,4−ヘキサジエン(またはソルビン)酸、2,4−デカジエン(またはスチリング)酸、2,4−ドデカジエン酸、9,12−ヘキサデカジエン酸、シス−9、シス−12−オクタデカジエン(またはα−リノール)酸、トランス−9、トランス−12−オクタデカジエン(またはリノエライジン)酸、トランス−10、トランス−12−オクタデカジエン酸、11,14−エイコサジエン酸、13,16−ドコサジエン酸、17,20−ヘキサコサジエン酸等;トリエン不飽和脂肪酸、例えば、6,10,14−ヘキサデカトリエン(またはヒラゴン)酸、7,10,13−ヘキサデカトリエン酸、シス−6、シス−9−、シス−12−オクタデカトリエン(またはγ−リノール)酸、トランス−8、トランス−10−、トランス−12−オクタデカトリエン(またはβ−カレンジン)酸、シス−8、トランス−10−、シス−12−オクタデカトリエン酸、シス−9、シス−12−、シス−15−オクタデカトリエン(またはα−リノレン)酸、トランス−9、トランス−12−、トランス−15−オクタデカトリエン(またはα−リノレンエライジン)酸、シス−9、トランス−11−、トランス−13−オクタデカトリエン(またはα−エレオステアリン)酸、トランス−9、トランス−11−、トランス−13−オクタデカトリエン(またはβ−エレオステアリン)酸、シス−9、トランス−11−、シス−13−オクタデカトリエン(またはプニカ)酸、5,8,11−エイコサトリエン酸、8,11,14−エイコサトリエン酸等;テトラエン不飽和脂肪酸、例えば、4,8,11,14−ヘキサデカテトラエン酸、6,9,12,15−ヘキサデカテトラエン酸、4,8,12,15−オクタデカテトラエン(またはモロクチン)酸、6,9,12,15−オクタデカテトラエン酸、9,11,13,15−オクタデカテトラエン(またはα−またはβ−パリナリン)酸、9,12,15,18−オクタデカテトラエン酸、4,8,12,16−エイコサテトラエン酸、6,10,14,18−エイコサテトラエン酸、4,7,10,13−ドコサテトラエン酸、7,10,13,16−ドコサテトラエン酸、8,12,16,19−ドコサテトラエン酸等;ペンタエン不飽和脂肪酸およびヘキサエン不飽和脂肪酸、例えば、4,8,12,15,18−エイコサペンタエン(またはティムノドン)酸、4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸、4,8,12,15,19−ドコサペンタエン(またはクルパノドン)酸、7,10,13,16,19−ドコサペンタエン、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸、4,8,12,15,18,21−テトラコサヘキサエン(またはニシン)酸等;分枝鎖脂肪酸、例えば、3−メチルブタン(またはイソ吉草)酸、8−メチルドデカン酸、10−メチルウンデカン(またはイソラウリル)酸、11−メチルドデカン(またはイソウンデシル)酸、12−メチルトリデカン(またはイソミリスチン)酸、13−メチルテトラデカン(またはイソペンタデシル)酸、14−メチルペンタデカン(またはイソパルミチン)酸、15−メチルヘキサデカン、10−メチルヘプタデカン酸、16−メチルヘプタデカン(またはイソステアリン)酸、18−メチルノナデカン(またはイソアラキン)酸、20−メチルヘンエイコサン(またはイソベヘン)酸、22−メチルトリコサノン(またはイソリグノセリン)酸、24−メチルペンタコサン(またはイソセロチン)酸、26−メチルヘプタコサノン(またはイソモナトニン)酸、2,4,6−トリメチルオクタコサン(またはミコセラニンまたはミコセロシン)酸、2−メチル−シス−2−ブテン(アンゲリカ)酸、2−メチル−トランス−2−ブテン(またはチグリン)酸、4−メチル−3−ペンテン(またはピロテレブ)酸等が挙げられる。
【0063】
また、本発明の組成物は、長アルキル鎖を有するアルコールとともに活性化合物(例えば、フィナステリド)を含む。いくつかの好ましい実施形態では、アルコールは、炭素鎖長約C〜C34、好ましくは約C〜約C24の範囲である。本発明のアルキル鎖は、飽和もしくは不飽和であることができる。
【0064】
ある好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)は、リン脂質を含む。任意の好適なリン脂質が使用可能である。例えば、リン脂質は、天然源から得るか、または化学的に合成することが可能である。本発明における使用に見出されるリン脂質の例としては、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジン酸(PA)、スフィンゴミエリン等が挙げられ、別個または組み合わせてのいずれかで使用される。ホスファチジルグリセロールは、短鎖もしくは長鎖、飽和もしくは不飽和の、例えばジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジアラキドニルホスファチジルグリセロール、短鎖ホスファチジルグリセロール(C6〜)、およびそれらの混合物を有し得る。ホスファチジルコリンの例としては、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジアラキドニルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、または水素添加大豆ホスファチジルコリンが挙げられ、これらの例はそれらの混合物としても使用可能である。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明は、少なくとも1つの活性化合物(例えば、フィナステリド)と、モノ−、ジ−、およびトリ−グリセリドの誘導体とを含む、組成物を提供する。本発明における使用に見出されるグリセリドの例としては、1−オレオイルグリセロール(モノオレイン)および1、2−ジオクタノイル−sn−グリセロールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの炭水化物系脂質とともに、少なくとも1つの活性化合物(例えば、フィナステリド)を有する組成物を提供することである。本発明における使用に見出される炭水化物系脂質の例としては、ガラクト脂質、マンノ脂質、ガラクトレシチン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
本発明の別の態様は、ペグ化リン脂質等のリン脂質の誘導体とともに、少なくとも1つの活性化合物(例えば、フィナステリド)を含む組成物を提供することである。例としては、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール等のポリエチレングリコール(ペグ化、PEG)誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0068】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも1つの活性化合物(例えば、フィナステリド)と、ポリエチレングリコール(PEG)と、1つ以上の脂質とを含む組成物を提供する。
【0069】
別の態様により、本発明は、少なくとも1つの活性化合物(例えば、フィナステリド)と、1つ以上の脂質とを含む組成物を提供する。例には、フィナステリド、コレステロール、またはコレステロール誘導体と、1つ以上のリン脂質とを含む組成物が含まれる。本発明による組成物の他の例には、フィナステリドと、β−シトステロールと、1つ以上のリン脂質とが含まれる。いくつかの好ましい実施形態では、本発明の組成物には、フィナステリドと、硫酸コレステリルと、水素添加大豆ホスファチジルコリンもしくは大豆ホスファチジルコリンとが含まれる。
【0070】
別の態様により、本発明は、少なくとも1つの活性化合物(例えば、タクロリムス)と、1つ以上の脂質とを含む組成物を提供する。例には、タクロリムス、コレステロール、またはコレステロール誘導体と、1つ以上のリン脂質とを含む組成物が含まれる。本発明による組成物の他の例には、フィナステリドと、β−シトステロールと、1つ以上のリン脂質とが含まれる。いくつかの好ましい実施形態では、本発明の組成物には、タクロリムスと、硫酸コレステリルと、水素添加大豆ホスファチジルコリンもしくは大豆ホスファチジルコリンとが含まれる。
【0071】
別の態様により、本発明は、アムホテリシンB等の少なくとも1つの活性化合物と、1つ以上の脂質とを含む組成物を提供する。例には、アムホテリシンBと、コレステロールもしくはコレステロール誘導体と、1つ以上のリン脂質とを含む組成物が含まれる。本発明による組成物の他の例には、アムホテリシンBと、β−シトステロールと、1つ以上のリン脂質とが含まれる。いくつかの好ましい実施形態では、本発明の組成物には、アムホテリシンBと、硫酸コレステリルと、水素添加大豆ホスファチジルコリンもしくは大豆ホスファチジルコリンとが含まれる。
【0072】
本発明の組成物は、約0.5mg/mL〜約100mg/mLの濃度で70%イソプロピルアルコールに活性化合物、例えば、フィナステリド)を溶解することによって、作製することができる。いくつかの実施形態では、活性化合物は、1mg/mL〜約50mg/mLの濃度に溶解される。ある好ましい実施形態では、活性化合物は、1mg/mL〜20mg/mLの濃度に溶解される。特に好ましい実施形態では、活性化合物は、1mg/mL〜10mg/mLの濃度に溶解される。
【0073】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、約2.5%〜約95重量%の総脂質、好ましくは約10重量%〜約90重量%の総脂質、より好ましくは約20重量%〜約90重量%の総脂質を含有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1:1〜1:100の間のモル比、例えば、1:1〜1:20の間のモル比、または1:1〜1:30の間のモル比、または1:1〜1:40の間のモル比、または1:1〜1:50の間のモル比、1:1〜1:60の間のモル比、1:1〜1:70の間のモル比、および1:1〜1:80の間のモル比で、少なくとも1つの活性化合物(例えば、フィナステリド)および脂質を含有する。本明細書で使用される、「〜の間の」という用語は、参照範囲の制限値を含む。例えば、1:1〜1:20「の間の」モル比には、1:1および1:20の比が含まれる。
【0075】
ある好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)と、硫酸コレステリルと、水素添加大豆ホスファチジルコリンとを含有する組成物中の、活性化合物(例えば、フィナステリド)と硫酸コレステリルとのモル比は、1:0.25〜1:20の間、例えば、1:0.5〜1:10の間、または1:1〜1:5もしくは1:1〜1:2の間等である。特に好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)と硫酸コレステリルとのモル比は、1:0.5〜1:5の間である。
【0076】
ある好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)と、硫酸ググルと、水素添加大豆ホスファチジルコリンとを含有する組成物中の、活性化合物(例えば、フィナステリド)と硫酸ググルとのモル比は、1:0.25〜1:20の間、例えば、1:0.5〜1:10の間、または1:1〜1:5もしくは1:1〜1:2の間等である。特に好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)と硫酸ググルとのモル比は、1:0.5〜1:5の間である。
【0077】
ある好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)と、硫酸コレステリルと、水素添加大豆ホスファチジルコリンとを含有する組成物中の、活性化合物(例えば、フィナステリド)と水素添加大豆ホスファチジルコリンとのモル比は、約1:1〜1:90の間、例えば、1:1〜1:70、または1:1〜1:60、または1:1〜1:50、または1:1〜1:40、および1:1〜1:30の間である。特に好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)と水素添加大豆ホスファチジルコリンとのモル比は、1:5〜1:60の間である。
【0078】
ある好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)と、硫酸コレステリルと、大豆ホスファチジルコリンとを含有する組成物中の、活性化合物(例えば、フィナステリド)と大豆ホスファチジルコリンとのモル比は、1:1〜1:90の間、例えば、1:1〜1:70、または1:1〜1:60、または1:1〜1:50、または1:1〜1:40、および1:1〜1:30の間である。特に好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)と大豆ホスファチジルコリンとのモル比は、1:5〜1:60の間である。
【0079】
ある好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)と、硫酸ググルと、大豆ホスファチジルコリンとを含有する組成物中の、活性化合物(例えば、フィナステリド)と大豆ホスファチジルコリンとのモル比は、1:1〜1:90の間、例えば、1:1〜1:70、または1:1〜1:60、または1:1〜1:50、または1:1〜1:40、および1:1〜1:30の間である。特に好ましい実施形態では、活性化合物(例えば、フィナステリド)と大豆ホスファチジルコリンとのモル比は、1:5〜1:60の間である。
【0080】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1:1〜1:100の間の比率、例えば、1:1〜1:20の間の比率、または1:1〜1:30の間の比率、または1:1〜1:40の間の比率、または1:1〜1:50の間の比率、または1:1〜1:60の間の比率、または1:1〜1:70の間の比率、および1:1〜1:80の間の比率、または1:1〜1:90の間の比率の重量対重量比を有する、活性化合物(例えば、フィナステリド)および総脂質を含有する。
【0081】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1:1〜1:100の間の比率、例えば、1:1〜1:20の間の比率、または1:1〜1:30の間の比率、または1:1〜1:40の間の比率、または1:1〜1:50の間の比率、または1:1〜1:60の間の比率、または1:1〜1:70の間の比率、および1:1〜1:80の間の比率、または1:1〜1:90の間の比率の重量対重量比を有する、活性化合物(例えば、フィナステリド)および大豆ホスファチジルコリンを含有する。
【0082】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1:1〜1:100の間の比率、例えば、1:1〜1:20の間の比率、または1:1〜1:30の間の比率、または1:1〜1:40の間の比率、または1:1〜1:50の間の比率、または1:1〜1:60の間の比率、または1:1〜1:70の間の比率、および1:1〜1:80の間の比率、または1:1〜1:90の間の比率の重量対重量比を有する、2つの活性化合物(例えば、フィナステリドおよびミノキシジル)と、大豆ホスファチジルコリンとを含有する。
【0083】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、活性化合物、例えば、フィナステリドおよび脂質を、水または好適な緩衝液中に可溶化することを含む。活性化合物−脂質複合体溶液は、好適なフィルタを通して濾過し、形成される複合体の粒径分布を管理することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、活性化合物、例えば、フィナステリドを非毒性溶媒に溶解し、溶解された活性化合物と脂質とを混合することを含む。本発明の非毒性溶媒としては、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、および1−ブタノールが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の非毒性溶媒の百分率は、100%〜10%の間、例えば、80%〜20%の間、例えば、60%〜40%の間の範囲である。好ましい実施形態では、非毒性溶媒の百分率は、80%〜50%の間の範囲である。
【0085】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、活性化合物、例えば、フィナステリドを非毒性溶媒−水系に溶解し、溶解された活性化合物および脂質を混合することを含む。本発明の非毒性溶媒−水系中の非毒性溶媒としては、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、および1−ブタノールが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の非毒性溶媒の百分率は、100%〜10%の間、例えば、80%〜20%の間、例えば、60%〜40%の間の範囲である。好ましい実施形態では、非毒性溶媒の百分率は、80%〜50%の間の範囲である。
【0086】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、活性化合物、例えば、フィナステリドおよび/またはミノキシジルと脂質とを一緒に、2つ以上の非毒性溶媒および水に溶解することを含む。例えば、フィナステリドおよび/またはミノキシジルは、イソプロピルアルコール−プロピレングリコール−水系に溶解することができる。本発明の総非毒性溶媒の百分率は、90%〜10%の間、例えば、80%〜20%の間、例えば、60%〜40%の間の範囲である。好ましい実施形態では、非毒性溶媒の百分率は、80%〜50%の間の範囲である。
【0087】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、イソプロピルアルコール−水の溶液中で、溶液が完全に透明になるまで活性化合物および脂質、例えば、フィナステリドおよび大豆ホスファチジルコリンを混合することを含む。イソプロピル−水の溶液中のイソプロピルアルコールの百分率は、10〜90パーセントの間、例えば、40〜80パーセントの間、例えば、50〜70パーセントの間の範囲である。
【0088】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、エタノール−水の溶液中で、溶液が完全に透明になるまで、活性化合物および脂質、例えば、フィナステリドおよび大豆ホスファチジルコリンを混合することを含む。イソプロピル−水の溶液中のエタノールの百分率は、10〜90パーセントの間、例えば、40〜80パーセントの間、例えば、50〜70パーセントの間の範囲である。
【0089】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、2つ以上の活性化合物と、1つ以上の脂質とを含む。例えば、本組成物は、第1の活性剤としてフィナステリドと、第2の活性剤としてミノキシジルとを含有する。本発明の1つの活性剤と別の活性剤とのモル比は、1:0.5〜1:100の間、例えば、1:1〜1:20の間のモル比、または1:1〜1:30の間のモル比、または1:1〜1:40の間のモル比、または1:1〜1:50の間のモル比、1:1〜1:60の間のモル比、1:1〜1:70の間のモル比、および1:1〜1:80の間のモル比の範囲である。本明細書で使用される、「〜の間の」という用語は、参照範囲の制限値を含む。例えば、1:1〜1:20「の間の」モル比には、1:1および1:20の比が含まれる。
【0090】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、イソプロピルアルコール−水の溶液中で、溶液が完全に透明になるまで活性化合物(例えば、フィナステリドおよびミノキシジル)と、脂質、例えば、大豆ホスファチジルコリンとを混合することを含む。イソプロピル−水の溶液中のイソプロピルアルコールの百分率は、30〜90パーセントの間、例えば、40〜80パーセントの間、例えば、50〜70パーセントの間の範囲である。
【0091】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、エタノール−水の溶液中で、溶液が完全に透明になるまで、活性化合物(例えば、フィナステリドおよび/またはミノキシジル)と、脂質、例えば、大豆ホスファチジルコリンとを混合することを含む。エタノール−水の溶液中のエタノールの百分率は、30〜90パーセントの間、例えば、40〜80パーセントの間、例えば、50〜70パーセントの間の範囲である。
【0092】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ポリソルベート80を含有するエタノール−水の溶液中で、溶液が完全に透明になるまで、活性化合物(例えば、フィナステリドおよび/またはミノキシジル)と、脂質、例えば、大豆ホスファチジルコリンとを混合することを含む。エタノール−水の溶液中のエタノールの百分率は、30〜90パーセントの間、例えば、40〜80パーセントの間、例えば、50〜70%の間の範囲である。エタノール−水混合物中のポリソルベート80の百分率は、10〜60パーセントの間、例えば、20〜50パーセントの間、例えば、25〜40パーセントの間の範囲である。
【0093】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ポリソルベート80を含有するイソプロピルアルコール−水の溶液中で、溶液が完全に透明になるまで、活性化合物(例えば、フィナステリドおよび/またはミノキシジル)と、脂質、例えば、大豆ホスファチジルコリンとを混合することを含む。イソプロピル−水の溶液中のイソプロピルアルコールの百分率は、30〜90パーセントの間、例えば、40〜80パーセントの間、例えば、50〜70パーセントの間の範囲である。エタノール−水の混合物中のポリソルベート80の百分率は、10〜60パーセントの間、例えば、20〜50パーセントの間、例えば、25〜40パーセントの間の範囲である。
【0094】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、オレイルアルコール中で、溶液が透明になるまで、活性化合物(例えば、フィナステリドおよび/またはミノキシジル)と、脂質、例えば、大豆ホスファチジルコリンとを混合することを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、プロピレングリコール中で、活性化合物(例えば、フィナステリドおよび/またはミノキシジル)と、脂質、例えば、大豆ホスファチジルコリンとを混合し、溶液が完全に透明になるまで均質化または超音波処理することを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、プロピレングリコール−イソプロピルアルコール−水の溶液中で、溶液が完全に透明になるまで、活性化合物(例えば、フィナステリドおよび/またはミノキシジル)と、脂質、例えば、大豆ホスファチジルコリンとを混合することを含む。プロピレングリコール−イソプロピルアルコール−水の溶液中のイソプロピルアルコールの百分率は、10〜90パーセントの間、例えば、30〜80パーセントの間、例えば、40〜70パーセントの間の範囲である。プロピレングリコール−イソプロピルアルコール−水の溶液中のプロピレングリコールの百分率は、10〜80パーセントの間、例えば、20〜60パーセントの間、例えば、25〜50パーセントの間の範囲である。
【0097】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、プロピレングリコール−エタノール−水の溶液中で、溶液が完全に透明になるまで、活性化合物(例えば、フィナステリドおよび/またはミノキシジル)と、脂質、例えば、大豆ホスファチジルコリンとを混合することを含む。プロピレングリコール−エタノール−水の溶液中のエタノールの百分率は、10〜90パーセントの間、例えば、30〜80パーセントの間、例えば、40〜70パーセントの間の範囲である。プロピレングリコール−エタノール−水の溶液中のプロピレングリコールの百分率は、10〜80パーセントの間、例えば、20〜60パーセントの間、例えば、25〜50パーセントの間の範囲である。
【0098】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、好適な油中で、活性化合物(例えば、フィナステリドおよび/またはミノキシジル)と、脂質、例えば、大豆ホスファチジルコリンとを混合し、それが完全に透明になるまで均質化または超音波処理することを含む。好適な油の例としては、オリーブ油、ヒマシ油、紅花油、ひまわり油、キャノーラ油、大豆油、ピーナッツ油、ヤシ油、ゴマ油、アーモンド油等の植物油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、1つを越える活性剤(例えば、フィナステリドおよびミノキシジル)を有し、第1の活性剤と第2の活性剤との重量対重量比は、1:0.5〜1:100の間の比率、例えば、1:1〜1:20の間の比率、または1:1〜1:30の間の比率、または1:1〜1:40の間の比率、または1:1〜1:50の間の比率、または1:1〜1:60の間の比率、または1:1〜1:70の間の比率、および1:1〜1:80の間の比率、または1:1〜1:90の間の比率である。
【0100】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、非毒性溶媒中で脂質および活性化合物を混合することを含む。活性化合物−脂質組成物の溶液は、好適なフィルタを通して濾過し、形成される複合体の粒径分布を管理することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、本発明の調製方法は、水または緩衝液中で、活性化合物(例えば、フィナステリド)と、コレステリル誘導体(例えば、硫酸コレステリル)と、大豆ホスファチジルコリンまたは水素添加大豆ホスファチジルコリン等のホスファチジルコリンとを混合することを含む。得られた懸濁液は、20〜60℃の範囲の任意の所望の温度で、均質化または超音波処理することができる。塩基または緩衝液の例としては、二塩基性コハク酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、三塩基性リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。得られた懸濁液は、均質化または超音波処理し、粒径を減少させることができる。いくつかの実施形態では、水酸化懸濁液は、好適なフィルタを通して濾過し、形成される複合体の粒径分布を管理することができる。いくつかの組成物では、水酸化懸濁液を凍結乾燥して、粉末形態の組成物を得ることができる。いくつかの実施形態では、水酸化組成物は、加圧滅菌可能である。いくつかの実施形態では、糖類等の抗凍結剤を添加して、凍結乾燥を促進することができる。糖類の例としては、トレハロース、デキストロース、スクロース、乳糖、マルトース等が挙げられるが、これらに限定されない。糖の百分率は、5%〜約25%の範囲であり得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、本発明の調製方法は、例えば、エタノールまたはイソプロパノール中で、1つ以上の活性化合物(例えば、タクロリムスまたはアムホテリシンB)と、コレステロール誘導体(例えば、硫酸コレステリル)と、大豆ホスファチジルコリンもしくは水素添加大豆ホスファチジルコリン等のホスファチジルコリンとを混合することを含む。得られた溶液または懸濁液は、軟膏およびスプレー中で一般的に使用される好適な塩基と混合することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、無菌状態下で、0.22μmまたは0.45μmのフィルタを通して濾過することによって、殺菌可能である。他の実施形態では、本発明の組成物は、15〜20分の間、110℃〜130℃の範囲で加圧滅菌することによって殺菌可能である。
【0104】
本発明における使用に見出される薬学的調製物には、溶液、懸濁液、乳剤、軟膏が含まれるが、これらに限定されず、坐薬、ゲルは、好適な薬学的調製物であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、局所適用および座薬については、活性化合物−脂質組成物(例えば、フィナステリド−脂質組成物)が、好適な水溶性または不水溶性の賦形剤、例えばポリエチレングリコール、特定の脂肪、およびエステル、高含量のポリ不飽和脂肪酸を有する化合物、ならびにその誘導体の添加によって既知であるような溶液、ゲル、油、および乳剤の形態で提供される。誘導体は、モノ−、ジ−、およびトリグリセリド、ならびにその脂肪族エステル(例えば、魚油、植物油等)、またはこれらの物質の混合物を含むが、それらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明の組成物との併用使用で見られる賦形剤は、薬物複合体が、十分安定しており、治療のための使用が可能であるものを含む。いくつかの実施形態では、経口様式の投与について、本発明の組成物は、錠剤、カプセル、トローチ剤、粉末、シロップ、水性溶液、懸濁液等の形態で使用される。
【0105】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、当該技術分野において知られる他の担体物質と混合することができる。担体物質の例としては、グリセリン、油、鉱物油、プロピレングリコール、アルコール、アロエベラゲル、アラントイン、ビタミンAおよびビタミンE、PPG2プロピオン酸ミリスチル等が挙げられるが、これらに限定されない。組成物の前記混合物および担体物質は、溶液、クリーム、ゲル、ローション、洗髪剤、ペーストの形態で、局所投与することができる(例えば、Rasmusson et al.,EP 0285 382,1988を参照)。
【0106】
本発明の活性化合物−脂質組成物(例えば、フィナステリド−脂質組成物)の調製物は、様々な粒径の組成物を含むことができるか、または実質的に均一粒径の組成物を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、本組成物は、約1mm以下の粒径範囲を有するが、一方好ましい実施形態では、本組成物は、ミクロンまたはサブミクロンの範囲である。いくつかの実施形態では、本組成物は、約5μm以下、例えば、0.2μm以下、またはさらには0.1μm以下の直径を有する。
【0107】
本発明の活性化合物−脂質組成物(例えば、フィナステリド−脂質組成物)は、異なる形状および粒径のミセル、混合ミセル、リポソーム、およびベシクルを含むか、あるいはそれらから本質的に成り得る。
【0108】
前述のように、フィナステリド組成物の調製のために本発明で概略される技術はまた、いずれの他の不水溶性の薬物への使用にも好適である。
【0109】
本発明の組成物、(例えば、フィナステリド−脂質組成物またはフィナステリド−ミノキシジル−脂質組成物)は、男性におけるアンドロゲン性脱毛症の治療および発毛の促進のために採用することができる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物はまた、男性の脱毛の予防にも採用することができる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物はまた、女性の多毛症を治療するためにも採用することができる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物はまた、尋常性座瘡および脂漏を治療するためにも使用することができる。
【0110】
本発明の組成物(例えば、フィナステリド−脂質組成物)はまた、男性の良性前立腺肥大を治療するためにも採用することができる。
【0111】
本発明の実施例を以下に示すが、本発明は、以下の実施例に限定されず、本願に記載される趣旨から逸脱することなく、修正が成され得る。
【0112】
実施例I
フィナステリド(100mg)および大豆ホスファチジルコリン(4g)をクエン酸一ナトリウム(100mL)中でブレンドし、次いで高圧均質化に供した。Nicomp Particle Sizer 380を使用して、粒径を測定した。平均体積径は、200nm未満であった。
【0113】
実施例II
フィナステリド(100mg)、硫酸コレステリルナトリウム(66mg)、および大豆ホスファチジルコリン(3.94g)をクエン酸一ナトリウム(100mL)中でブレンドし、次いで高圧均質化に供した。Nicomp Particle Sizer 380を使用して、粒径を測定した。平均体積径は、200nm未満であった。
【0114】
実施例III
フィナステリド(10mg)および大豆ホスファチジルコリン(25mg)を大豆油(2mL)中で混合し、40分間超音波処理した。
【0115】
実施例IV
フィナステリド(200mg)および大豆ホスファチジルコリン(1g)を70%のイソプロピルアルコール(40mL)中で混合し、溶液が形成されるまで超音波処理した。
【0116】
実施例V
フィナステリド(10mg)、大豆ホスファチジルコリン(50mg)、およびポリソルベート80(0.5mL)をエタノール(0.5mL)に可溶化し、水(1mL)を添加して、激しく撹拌した。
【0117】
実施例VI
フィナステリド(10mg)、大豆ホスファチジルコリン(50mg)、およびポリソルベート80(0.5mL)をエタノール(0.5mL)に可溶化し、水(1mL)を添加して、激しく撹拌した。
【0118】
実施例VII
フィナステリド(10mg)および大豆ホスファチジルコリン(50mg)をイソプロピルアルコール(0.5mL)に可溶化し、水(0.5mL)を添加して、激しく撹拌した。
【0119】
実施例VIII
フィナステリド(10mg)および大豆ホスファチジルコリン(50mg)をイソプロピルアルコール(2.5mL)に可溶化し、水(2.5mL)を添加して、激しく撹拌した。
【0120】
実施例VIII
フィナステリド(2mg)および大豆ホスファチジルコリン(10mg)を水(1mL)中の70%イソプロピルアルコールに可溶化し、水(1mL)中の60%プロピレングリコール中のミノキシジル(50mg)の懸濁液に添加した。懸濁液を、溶液が完全に透明になるまで、均質化または超音波処理した。
【0121】
実施例IX
フィナステリド(2mg)および大豆ホスファチジルコリン(20mg)を、水(1mL)中の70%イソプロピルアルコールに可溶化し、水(1mL)中の60%プロピレングリコール中のミノキシジル(80mg)の懸濁液に添加した。懸濁液を、溶液が完全に透明になるまで、均質化または超音波処理した。
【0122】
実施例X
フィナステリド(2mg)、ミノキシジル(100mg)、および大豆ホスファチジルコリン(20mg)をプロピレングリコール(2mL)に可溶化した。
【0123】
実施例XI
フィナステリド(2mg)、ミノキシジル(100mg)、および大豆ホスファチジルコリン(20mg)を、イソプロピルアルコール(0.7mL)、プロピレングリコール(0.6mL)、および水(0.6mL)を含有する溶液に可溶化した。
【0124】
実施例XII
フィナステリド(2mg)、ミノキシジル(100mg)、および大豆ホスファチジルコリン(20mg)を、イソプロピルアルコール(0.0.32mL)、プロピレングリコール(1.2mL)、および水(0.48mL)を含有する溶液に可溶化した。
【0125】
実施例XIII
フィナステリド(2mg)、ミノキシジル(100mg)、および大豆ホスファチジルコリン(20mg)を、イソプロピルアルコール(1.2mL)、プロピレングリコール(0.4mL)、および水(0.4mL)を含有する溶液に可溶化した。
【0126】
実施例XIV
フィナステリド(2mg)、ミノキシジル(100mg)、および大豆ホスファチジルコリン(20mg)を、イソプロピルアルコール(0.8mL)、プロピレングリコール(0.6mL)、および水(0.6mL)を含有する溶液に可溶化した。
【0127】
実施例XIV
フィナステリド(2mg)、ミノキシジル(100mg)、および大豆ホスファチジルコリン(20mg)を、イソプロピルアルコール(0.8mL)、プロピレングリコール(0.6mL)、および水(0.6mL)を含有する溶液に可溶化した。
【0128】
実施例XV
フィナステリド(20mg)、ミノキシジル(1g)、および大豆ホスファチジルコリン(20mg)を、イソプロピルアルコール(0.4mL)、プロピレングリコール(1.2mL)、および水(0.4mL)を含有する溶液に可溶化した。
【0129】
実施例XVI
フィナステリド(20mg)およびミノキシジル(1g)および大豆ホスファチジルコリン(200mg)を、プロピレングリコール(20mL)中に取り、すべての成分が完全に溶解するまで、均質化または超音波処理した。
【0130】
実施例XVII
フィナステリド(20mg)およびミノキシジル(1g)および大豆ホスファチジルコリン(200mg)を、プロピレングリコール(20mL)中に取り、溶液が完全に透明になるまで、均質化または超音波処理した。
【0131】
実施例XVIII
フィナステリド(40mg)およびミノキシジル(2g)および大豆ホスファチジルコリン(200mg)を、イソプロパノール:プロピレングリコール:水(50:30:20、40mL)中に取り、溶液が完全に透明になるまで、均質化または超音波処理した。
【0132】
実施例XIX
フィナステリド(40mg)およびミノキシジル(2g)および大豆ホスファチジルコリン(400mg)を、イソプロパノール:プロピレングリコール:水(50:30:20、40mL)中に取り、溶液が完全に透明になるまで、均質化または超音波処理した。
【0133】
実施例XX
フィナステリド(40mg)およびミノキシジル(2g)および大豆ホスファチジルコリン(200mg)を、イソプロパノール:プロピレングリコール:水(50:40:10、40mL)中に取り、溶液が完全に透明になるまで、均質化または超音波処理した。
【0134】
実施例XXI
フィナステリド(40mg)およびミノキシジル(2g)および大豆ホスファチジルコリン(400mg)を、イソプロパノール:プロピレングリコール:水(50:40:10、40mL)中に取り、溶液が完全に透明になるまで、均質化または超音波処理した。
【0135】
実施例XXII
フィナステリド(40mg)およびミノキシジル(2g)および大豆ホスファチジルコリン(200mg)を、イソプロパノール:プロピレングリコール:水(40:50:10、40mL)中に取り、溶液が完全に透明になるまで、均質化または超音波処理した。
【0136】
実施例XXIII
フィナステリド(40mg)およびミノキシジル(2g)および大豆ホスファチジルコリン(400mg)を、イソプロパノール:プロピレングリコール:水(40:50:10、40mL)中に取り、溶液が完全に透明になるまで、均質化または超音波処理した。
【0137】
実施例XXIV
タクロリムス(20mg)および大豆ホスファチジルコリン(200mg)を、イソプロパノール中に取り、溶液が完全に透明になるまで、均質化または超音波処理した。
【0138】
参照文献
1. Deray G.;Mercadal,L.;Bagnis,C.Nephrologie,2002,23,119−122.
2. Gormley,G.J.,Kauffmann,K.D.,Stoner,E.,Waldstreicher,J.米国特許第5,981,543号,1999.
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先行一覧内のもの、および本明細書に別様に引用されるものを含む、本明細書に引用の刊行物、特許出願、および特許を含む、すべての参照文献は、各参照文献が、個々に、かつ具体的に、参照することによって、本明細書に組み込まれるように示され、全体として本明細書に記載される場合と同程度に、参照することによって、本明細書に組み込まれる。
【0139】
本発明を実行するための、発明者に既知である最良の様式を含む、本発明の好ましい実施形態が記載される。本発明の記載の方法および系の種々の変更および変形例は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明白であり、発明者は、具体的に本明細書に記載される以外に別様に実践可能な発明も意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、添付の特許請求の範囲に記載の主題のあらゆる変更および同等物を含む。さらに、そのあらゆる可能な変形例における前述の要素の任意の組み合わせが、本明細書に示されるか、または文脈によって明確に反論されない限り、本発明に包含される。実際、当業者に明白な、本発明を実行するための記載の様式のいかなる変更も、以下の特許請求の範囲内であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の治療方法であって、前記対象に、少なくとも1つの活性化合物および少なくとも1つの脂質を含む組成物を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記活性化合物は、フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル、アムホテリシンB、およびタクロリムスから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの脂質は、卵ホスファチジルコリン(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール(EPG)、大豆ホスファチジルコリン(SPC)、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、コレステロール(Chol)、コレステロール硫酸およびその塩(CS)、コレステロールヘミスクシナートおよびその塩(Chems)、コレステロールリン酸およびその塩(CP)、コレステリルホスホコリンおよび他のヒドロキシコレステロールまたはアミノコレステロール誘導体、コハク酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、コレステロールのポリエチレングリコール誘導体(コレステロール−PEG)、コプロスタノール、コレスタノール、コレスタン、コール酸、コルチゾール、コルチコステロン、ヒドロコルチゾン、およびカルシフェロール;ググルステロール、硫酸ググルおよびその塩、好ましくはナトリウム塩、ラウリン酸ググル、ならびにオレイン酸ググル(gugguloleate)、ミリスチン酸ググル等の長鎖もしくは短鎖、飽和もしくは不飽和の脂肪酸を含有する他のググルステロール誘導体;モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド;ガラクト脂質、マンノ脂質、ガラクトレシチンから成る群から選択される炭水化物系脂質;鎖長C〜C34を有する飽和もしくは不飽和脂肪酸から成る群から選択される脂肪酸;鎖長C〜C34を有する飽和もしくは不飽和アルコールから成る群から選択される長鎖アルコール;ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、およびジオレオイルホスファチジルグリセロールのペグ化誘導体から成る群から選択されるリン脂質のペグ化誘導体から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物は、約200〜20,000の範囲の平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物は、少なくとも2つの活性剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの活性剤は、フィナステリドおよびミノキシジルを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物は、少なくとも1つのアルコールをさらに含み、前記アルコールは、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、およびブタノールから成る群から選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記組成物は、大豆油、植物油、オリーブ油、ヤシ油、ひまわり油、アーモンド油、キャノーラ油、ゴマ油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、およびタラ油から成る群から選択される少なくとも1つの油をさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記組成物は、粉末、溶液、懸濁液、乳剤、ミセル、リポソーム、脂質粒子、ゲル、洗髪剤、ペースト、クリームの形態から成る群から選択される形態を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物は、好適なビヒクル中で投与され、前記ビヒクルは、水もしくは水性緩衝液である、および/またはエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、およびブタノールから成る群から選択される1つ以上の非毒性溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物は、水中にフィナステリド、大豆ホスファチジルコリン、および70%のイソプロピルアルコールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物は、プロピレングリコール中にフィナステリド、ミノキシジル、および大豆ホスファチジルコリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物は、プロピレングリコール−イソプロピルアルコール−水の溶液中にフィナステリド、ミノキシジル、および大豆ホスファチジルコリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記対象を治療することは、アンドロゲン性脱毛症に対し、かつ脱毛を予防または減少させるための対象の治療を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記投与することは、前記対象への、局所送達および経皮送達から成る群から選択される送達のうちの1つ以上の方法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記対象は、ヒトを含む哺乳動物である、請求項1、14〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの活性化合物および少なくとも1つの脂質を含む組成物であって、前記活性化合物は、対象の局所治療として使用するために、フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル、アムホテリシンB、およびタクロリムスから成る群から選択される、組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つの脂質は、卵ホスファチジルコリン(EPC)、卵ホスファチジルグリセロール(EPG)、大豆ホスファチジルコリン(SPC)、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DSPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、コレステロール(Chol)、コレステロール硫酸およびその塩(CS)、コレステロールヘミスクシナートおよびその塩(Chems)、コレステロールリン酸およびその塩(CP)、コレステリルホスホコリンおよび他のヒドロキシコレステロールまたはアミノコレステロール誘導体、コハク酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、コレステロールのポリエチレングリコール誘導体(コレステロール−PEG)、コプロスタノール、コレスタノール、コレスタン、コール酸、コルチゾール、コルチコステロン、ヒドロコルチゾン、およびカルシフェロール;ググルステロール、硫酸ググルおよびその塩、好ましくはナトリウム塩、ラウリン酸ググル、ならびにオレイン酸ググル(gugguloleate)、ミリスチン酸ググル等の長鎖もしくは短鎖、飽和もしくは不飽和の脂肪酸を含有する他のググルステロール誘導体;モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド;ガラクト脂質、マンノ脂質、ガラクトレシチンから成る群から選択される炭水化物系脂質;鎖長C〜C34を有する飽和もしくは不飽和脂肪酸から成る群から選択される脂肪酸;鎖長C〜C34を有する飽和もしくは不飽和アルコールから成る群から選択される長鎖アルコール;ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、およびジオレオイルホスファチジルグリセロールのペグ化誘導体から成る群から選択されるリン脂質のペグ化誘導体から成る群から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物は、約200〜20,000の範囲の平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、請求項17または18に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物は、少なくとも2つの活性剤を含む、請求項17〜19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも2つの活性剤は、フィナステリドおよびミノキシジルを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物は、少なくとも1つのアルコールをさらに含み、前記アルコールは、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、およびブタノールから成る群から選択される、請求項17〜21のいずれかに記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物は、大豆油、植物油、オリーブ油、ヤシ油、ひまわり油、アーモンド油、キャノーラ油、ゴマ油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、およびタラ油から成る群から選択される少なくとも1つの油をさらに含む、請求項17〜22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物は、粉末、溶液、懸濁液、乳剤、ミセル、リポソーム、脂質粒子、ゲル、洗髪剤、ペースト、クリームの形態から成る群から選択される形態を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物は、好適なビヒクル中で投与され、前記ビヒクルは、水もしくは水性緩衝液である、および/またはエタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、およびブタノールから成る群から選択される1つ以上の非毒性溶媒を含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物は、水中に、フィナステリド、大豆ホスファチジルコリン、および70%のイソプロピルアルコールを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物は、プロピレングリコール中にフィナステリド、ミノキシジル、および大豆ホスファチジルコリンを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物は、プロピレングリコール−イソプロピルアルコール−水の溶液中にフィナステリド、ミノキシジル、および大豆ホスファチジルコリンを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物は、イソプロパノールまたはエタノール中にタクロリムス、硫酸コレステリル、および大豆ホスファチジルコリンを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物は、イソプロパノールまたはエタノール中にアムホテリシンB、硫酸コレステリル、および大豆ホスファチジルコリンを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項31】
前記対象を治療することは、リーシュマニアを含む真菌感染に対して対象を治療することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
前記対象を治療することは、皮膚感染、眼感染、皮膚炎、乾性角結膜炎(KCSまたはドライアイ)、および慢性表層角膜炎に対して対象を治療することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項33】
アンドロゲン性脱毛症に対し、かつ脱毛を予防または減少させるための治療のための医薬の製造における、請求項17〜32のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項34】
対象への局所送達および/または経皮送達のための医薬の製造における、請求項17〜32のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項35】
アンドロゲン性脱毛症に対し、かつ脱毛を予防または減少させるための治療のための、請求項17〜32のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項36】
前記使用は、対象への局所送達および/または経皮送達を含む、請求項17〜32のいずれかに記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2012−504135(P2012−504135A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529277(P2011−529277)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/058463
【国際公開番号】WO2010/036947
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(509103303)ジャイナ ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】