説明

経路探索装置及び経路探索方法

【課題】ユーザの要望や好みに合った誘導経路を生成できる経路探索装置を提供する。
【解決手段】本発明の経路探索装置は、出発地から目的地に移動体を誘導する誘導経路を生成するものであり、探索条件を変えて経路探索を繰り返して、出発地から目的地に至る複数の経路を生成し、複数の経路と、複数の経路における2以上の経路の交点とを表示し、出発地から目的地に向かって複数の経路上の区間を組み合わせて誘導経路を生成する。そして、本発明の経路探索装置では、出発地又はある交点からそれらの何れかに隣接する交点又は目的地に至っており、複数の経路の一部である複数の区間が存在する場合、操作手段を操作することで、複数の区間の何れかを含む経路が、誘導経路を構成する経路として選択される。また、本発明の経路探索装置では、複数の区間の何れかを含む経路が指定されると、その経路に関する情報が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の移動体を誘導するために、出発地から目的地に至る経路を探索する経路探索装置及び経路探索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、カーナビゲーション装置に代表される経路探索装置は、地図情報を参照して、出発地から目的地に至る経路を探索し、その結果得られた経路に沿って移動体を目的地に誘導する。一般的な経路探索装置は、ダイクストラ法又はそれを改良した方法を用いたアルゴリズムに基づいて、評価コストが最低であるような経路を生成し、探索指針となる評価コストを変化させることで、距離優先、一般道路優先及び有料道路優先等の異なる条件下で、経路探索が可能となっている。例えば、距離優先を条件として経路探索が行われる場合、目的地から出発地までの移動距離が最小となる経路が生成される。また、例えば、一般道路優先を条件として経路探索が行われる場合、有料道路に対応するリンクのコストが、一般道路に対応するリンクのコストよりも大きく設定されることで、有料道路に対して一般道路が優先的に選ばれた経路が生成される。また、有料道路優先を条件として経路探索が行われる場合には、例えば、一般道路に対応するリンクのコストが、有料道路に対応するリンクのコストよりも大きく設定される。
【0003】
従来の経路探索装置は、ユーザが選択した1つの探索条件に基づいて経路探索を行うことに加えて、複数の探索条件の各々について経路探索を行って、特性又は特徴が夫々異なる複数の経路を生成することも可能である(例えば特許文献1参照)。複数の経路が生成されると、経路探索装置は、生成された経路を表示手段に表示して、ユーザは、これらの経路の中から誘導経路として用いる経路を選択する。
【0004】
【特許文献1】特開平11−23304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、距離優先、一般道路優先及び有料道路優先などの探索条件に基づいて生成される経路の特性は、ある意味画一的又は極端であって、ユーザの要望や好みに合わないことが多い。大抵の場合、一般道路優先に基づいて生成された経路は、有料道路を含むことはなく、有料道路優先に基づいて生成された経路は、出発地に最も近い入口を通って有料道路に入って、目的地に最も近い出口を通って有料道路から出るように構成されている。従来の経路探索装置では、ユーザの要求又は好みに対応するために、探索条件が選択可能であり、また、探索条件が異なる複数の経路を生成可能であるが、これらの機構のみでは、ユーザの要望や好みに合った誘導経路を常にもたらすことは困難である。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、距離優先や一般道路優先等の探索条件に基づいて経路探索を行って誘導経路を得る場合よりも、ユーザの要望や好みにより合った誘導経路を生成できる経路探索装置及び経路探索方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の経路探索装置は、出発地から目的地に移動体を誘導する誘導経路を生成する経路探索装置において、探索条件を変えて経路探索を繰り返して、前記出発地から前記目的地に至る複数の経路を生成し、前記複数の経路と、前記複数の経路における2以上の経路の交点とを表示手段に表示し、前記出発地から前記目的地に向かって前記複数の経路上の区間を組み合わせて、前記誘導経路を生成し、前記出発地又はある交点からそれらに隣接する交点又は前記目的地に至っており、前記複数の経路の一部である複数の区間が存在する場合、操作手段を操作することで、前記複数の区間の何れかを含む経路が、前記誘導経路を構成する経路として選択されることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の経路探索装置では、前記複数の区間の何れかを含む経路が指定されると、その経路に関する情報が前記表示手段に表示される。
【0009】
本発明の経路探索方法は、出発地から目的地に移動体を誘導する誘導経路を生成する経路探索方法において、探索条件を変えて経路探索を繰り返して、前記出発地から前記目的地に至る複数の経路を生成する工程と、前記複数の経路と、前記複数の経路における2以上の経路の交点とを表示手段に表示する工程と、前記出発地から前記目的地に向かって前記複数の経路上の区間を組み合わせて、前記誘導経路を生成する工程とを含んでおり、前記誘導経路を生成する工程にて、前記出発地又はある交点からそれらの何れかに隣接する交点又は前記目的地に至っており、前記複数の経路の一部である複数の区間が存在する場合、操作手段を操作することで、前記複数の区間の何れかを含む経路が、前記誘導経路を構成する経路として選択されることを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の経路探索方法では、前記誘導経路を生成する工程にて、前記複数の区間の何れかを含む経路が指定されると、その経路に関する情報が前記表示手段に表示される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、出発地から目的地に至る複数の経路を生成し、その後これら経路上の区間を組み合わせて誘導経路を生成することで、さらに、出発地又交点から次の交点又は目的地に至る区間が複数存在する場合に、誘導経路を構成する区間をユーザが選択可能とすることで、ユーザの要望や好みにより合った誘導経路が生成される。
【0012】
さらに、本発明では、選択可能な経路の何れか1つがユーザによって指定されると、その経路に関する情報が表示手段に表示される。表示された情報は、ユーザが、自分の要望又は好みに合うように誘導経路を構築する際の指針となる。表示される情報には、指定された経路の有料道路料金、移動距離、燃費及び移動時間の少なくとも何れか1つが含まれるのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、自動車用の車載式ナビゲーション装置(以下、「ナビゲーション装置」と称する)に本発明を適用した実施例について、図を用いて説明する。図1は、ナビゲーション装置(1)のブロック図である。本ナビゲーション装置(1)は、該装置(1)が搭載されている車両の現在位置や方位等を決定する位置検出手段と、地図情報等を記録する記録手段と、記録手段に記録された情報を用いた経路探索、誘導経路に沿って車両を誘導するために必要な処理(例えば、誘導用の画像データや音声データの作成)、及び装置(1)の統括的な制御等を行う制御手段と、車両の現在位置とその周囲の地図等が示された誘導用画面や各種設定画面等を表示する表示手段と、誘導用音声を発生する音声出力手段と、ユーザが装置(1)に各種指示を行うための操作手段とを具えている。
【0014】
位置検出手段は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されるGPS信号をGPSアンテナ(3)を介して受信して、受信したGPS信号から車両の現在位置(例えば、緯度及び経度)を特定するGPS受信部(5)を含んでいる。また、位置検出手段は、ジャイロスコープ(7)及び車速センサ(9)と、これらから送られた信号を処理して車両の方位及び速度を特定するジャイロマイクロコンピュータ(以下、マイクロコンピュータを「マイコン」と称する)(11)を含んでいる。ナビゲーション装置(1)が車両の経路誘導動作を行っている際、GPS受信部(5)及びジャイロマイコン(11)は、車両の位置、方位及び速度を決定し、それらの情報を制御手段に送ることを周期的又は定期的に行う。
【0015】
記録手段は、地図情報等を記録した記録媒体(13)と、制御手段からの指示に基づいて、記録媒体(13)から情報を読み出すドライバ(15)とを含んでいる。記録媒体(13)には、CD−ROM、DVD、HD、又はICメモリ等が用いられる。地図情報は、地理的領域が所定の大きさのブロックに区分けされた形態で記録媒体(13)に記録されている。各ブロックに係るデータには、そのブロックに含まれる道路のノード及びリンクに関するデータ、コンビニエンスストアやガソリンスタンド等の施設の位置データ及び種別データ等、及びそのブロックの地図を表示手段に表示するために用いるデータ等が含まれている。
【0016】
ノードは、道路の交差点、分岐点、合流点、終点、及びブロックにおける道路の端点に対応して設けられる。各ブロックに係るデータは、そのブロックに含まれる各ノードについて、そのノードのID番号と、そのノードの位置(例えば、緯度及び経度)と、そのノードの属性(例えば、交差点や有料道路の入口)と、そのノードに接続するリンクのIDと、そのノードに隣接するノードのID番号とを含んでいる。
【0017】
また、リンクは、ノード間を繋ぐ道路の一区間に対応しており、通常、向きを持っている。各ブロックに係るデータは、そのブロックに含まれる各リンクについて、そのリングのID番号と、そのリンクの始端ノード及び終端ノードのID番号と、そのリンクの道路の種別(例えば、有料道路や国道)と、そのリンクの距離(長さ)、そのリンクに接続するリンクのIDと、経路探索処理で参照されるリンクコストとを含んでいる。
【0018】
制御手段には、CPU(17)、RAM(19)、ROM(21)、フラッシュメモリ(23)や図示を省略したローカルバス等を含む制御マイコン(25)が用いられている。ROM(21)には、カーナビゲーション装置(1)の各種制御及び処理を実行するためのプログラム及びパラメータ等が記憶されている。経路探索動作や経路誘導動作を行うためのプログラムなど、更新される可能性があるプログラム及びパラメータ等は、フラッシュメモリ(23)に記憶される。これらのプログラムはCPU(17)により実行される。また、RAM(19)は、経路探索動作や経路誘導動作にて読み出された地図情報や演算結果などの一時的なデータの記憶に用いられる。
【0019】
表示手段は、描画IC(27)と、液晶表示装置(以下、「LCD」と称する)(29)と、LCDI/F(31)とを含んでいる。経路探索結果の表示画面、経路誘導動作中に表示される誘導用画面や各種設定画面等を表示する指示が制御マイコン(25)から送られると、描画IC(27)は、その指示に基づいて画像データを作成して、それら画面を、LCDI/F(31)を介してLCD(29)に表示する。
【0020】
音声出力手段は、デジタルアナログコンバータ(以下、「DAC」と称する)(33)と、アンプ(35)と、スピーカ(37)とを含んでいる。制御手段は、ユーザを誘導経路に沿って案内する案内音声に係るデジタル音声信号を、経路誘導動作中に適宜作成して、DAC(33)に送る。デジタル音声信号は、DAC(33)にてアナログ音声信号に変換されてアンプ(35)に送られる。そして、アナログ音声信号はアンプ(35)にて増幅されて、スピーカ(37)から案内音声が出力される。
【0021】
操作手段は、ナビゲーション装置(1)の筐体(図示せず)に設けられた各種操作キー(39)と、LCD(29)上に配置されるタッチパネル(41)と、図示を省略したリモートコントローラ(以下、「リモコン」と称する)と、リモコンから送られる赤外線信号を受信するリモコン受光部(43)と、キーマイコン(45)とを含んでいる。操作キー(39)が押されると、キーマイコン(45)は、押された操作キー(39)を判別して、それに応じた動作コマンドを制御マイコン(25)に送る。また、キーマイコン(45)は、LCD(29)に設定画面等が表示されている状態にて、タッチパネル(41)が押された領域を判別して、操作に対応した動作コマンドを制御マイコン(25)に送る。リモコン受光部(43)は、受光した赤外線信号を電気信号に変換及び復調してキーマイコン(45)に送り、キーマイコン(45)は、送られた信号から特定した動作コマンドを制御マイコン(25)に送る。
【0022】
次に、本実施例のナビゲーション装置(1)が行う経路探索動作について説明する。図2及び図3は、経路探索動作の概要を示すフローチャートである。まず、図2を参照する。経路探索動作が開始されると、制御マイコン(25)は、目的地設定画面をLCD(29)に表示させる(S1)。ユーザが、操作キー(39)やリモコン等を操作して目的地を入力すると、制御マイコン(25)は、それらの位置を特定して、RAM(19)に記憶する。ナビゲーション装置(1)では、種々の手順で、目的地を設定することが可能になっている。例えば、記録媒体(13)には、住所や名称等の目的地に関する情報と、目的地の位置とが対応づけられた検索用データベースが記録されており、ユーザが目的地に関する情報を入力すると、検索用データベースが参照されて、目的地の位置が特定される。また、目的地設定画面が表示されると、GPS受信部(5)から得られた車両の現在位置が特定されて、制御マイコン(25)は、その位置を出発地の位置としてRAM(19)に記憶する。なお、ナビゲーション装置(1)では、目的地を設定するように出発地を設定することも可能である。
【0023】
制御マイコン(25)(のCPU(17))は、出発地及び目的地の設定が完了したか否かを、例えば、操作手段にて設定完了を指示する操作が行われたが否かを判別し(S2)、設定が完了すると、設定された出発地及び目的地を含む所定の範囲のノードデータ及びリンクデータが記録媒体(13)から読み出されて、制御マイコン(25)のRAM(19)に記憶される(S3)。ナビゲーション装置(1)は、複数の探索条件の各々に基づいて経路探索を行って、特性の異なる複数の経路を生成する。ステップS3の後、ある探索条件が選択されて、その探索条件に基づいて経路探索が行われる(S4)。
【0024】
ステップS4の経路探索処理では、ダイクストラ法又はその改良法に基づいたアルゴリズムに基づいて、出発地に最も近いノード又は出発地のノード(以下、「出発地ノード」と称す)から、目的地に最も近いノード又は目的地のノード(以下、「目的地ノード」と称す)までの経路が探索される。制御マイコン(25)は、ステップS3にて設定された条件に基づいて、読み出されたリンクデータのリンクコストを参照して、評価コストが最も低い経路を生成する。生成された経路は、リンク列で表現されて、そのデータはRAM(19)に記憶される。
【0025】
ステップS4の後、全ての探索条件について経路探索処理が行われたか否かが判断される(S5)。残りの探索条件がある場合は、探索条件を変えて再度ステップS4が行われる。このように探索条件を変えてステップS4が繰り返して行われて、全ての探索条件について経路探索処理が行われると、記録媒体(13)に記録された地図情報が読み出されて、出発地及び目的地が収まる縮尺で、地図がLCD(29)に表示される(S6)。
【0026】
ステップS6の後、ステップS4を繰り返すことで生成された複数の経路が地図上に表示される(S7)。これら経路は、視覚的に容易に区別可能な形態で、例えば色分けされて表示される。その後、これら複数の経路の交点が抽出されて、RAM(19)に記憶される。そして、制御マイコン(25)の指示によって、抽出された交点が、視覚的に強調されて地図上に表示される(S8)。ここで交点とは、生成された複数の経路に含まれる2以上の経路が交差する交差点、又は、複数の経路に含まれる2以上の経路が重なった共通部分の端点(道路の合流点又は分岐点に相当する)である。より具体的には、このような交点に対応するノード(以下、「交点ノード」と称する)が、ステップS8にて抽出されて、RAM(19)に記憶される。
【0027】
図4に、ステップS8が行われた後にLCD(29)に表示された画面の一例を示す。ステップS4が繰り返されることによって、探索条件が夫々異なった出発地から目的地に至る3つの経路、経路A(リンクL1、L2、L4、L7及びL9)、経路B(リンクL1、L2、L6、L8、L10及びL11)、及び経路C(リンクL1、L3、L5、L7、L10及びL11)が生成されており、これら経路は、ステップS7にて視覚的に容易に区別可能なように表示される。本図(及び図5乃至図7)では、経路Aを実線で、経路Bを一点鎖線で、経路Cを破線で示している。画面では、出発地及び目的地が、具体的には出発地ノードN1及び目的地ノードN9が、夫々に対応した記号で示されており、さらに、ステップS8にて抽出されたこれら経路の交点が、具体的には交点ノードN2、N3、N5及びN7(図4乃至図7にて、黒色の菱形で示す)が、交点ノードではないノードN4、N6及びN8(図4乃至図7にて、黒丸で示す)と区別可能なように強調表示される。なお、ステップS6乃至S8の何れかにて、画面の右下に、通行料金、燃費、移動時間及び移動距離を示す文字列を含む経路情報表示部(47)が表示される。経路情報表示部(47)については後述する。
【0028】
図2に示した処理の後、生成された複数の経路を部分的に組み換えて又は組み合わせて誘導経路を生成する処理が行われる。誘導経路の生成は、出発地から目的地に向かって、これら経路を構成する区間を順次加えていくようにして行われる。図3を参照すると、ステップS8の後、制御マイコン(25)は、出発地、即ち出発地ノードを最初の組換点に設定する(S9)。組換点とは、加えられる区間の始点であり、言い換えると、誘導経路として既に確定した経路の終点である。ステップS9の後、組換点が目的地、即ち目的地ノードに到達したか否かが判断される(S10)。組換点が目的地に到達していない場合、その組換点に、目的地に向かう複数の隣接交点間区間が繋がっているか否かが判断される(S11)。ここで、隣接交点間区間とは、複数の経路の少なくとも何れかに含まれる区間であって、その区間の始点及び終点が交点であって、その間に他の交点を含まない区間である。隣接交点間区間には、始点が目的地であり、終点が交点であり、その間に他の交点を含まない区間と、始点が交点であり、終点が出発地であり、その間に他の交点を含まない区間とも該当する(出発地及び目的地が、交点に含まれると理解してもよい)。また、目的地に向かう隣接交点間区間とは、始点から終点に向かう区間の進行方向が、目的地に進む向きであることを意味する。なお、始点及び終点は共通するが、互いに異なる複数の隣接交点間区間が存在し得る。
【0029】
ステップS11にて、目的地に向かう複数の隣接交点間区間が組換点に繋がっていない、つまり組換点には、目的地に向かう1つの隣接交点間区間が繋がっていると判断された場合、制御マイコン(25)は、誘導経路の構成部分として既に確定している確定経路にその隣接交点間区間を加えた経路について、図2に示すステップS3にてRAM(19)に記憶されたデータや記録媒体(13)に記録されたデータを用いて、(有料道路の)通行料金、燃費、移動時間及び移動距離を計算し、その結果を文字列で示すように経路情報表示部(47)を変更する(S12)。そして、制御マイコン(25)は、既に確定している確定経路にその隣接交点間区間を加えて構成される経路に確定経路を更新し(確定経路がない場合、その隣接交点間区間が確定経路として制御マイコン(25)に記憶される)、その隣接交点間区間の終点に組換点を移動させる(S13)。また、更新された確定経路及びその端点は、画面にて強調表示される。ステップS13の後、ステップS10以後の処理が再度行われる。
【0030】
ステップS11にて、目的地に向かう複数の隣接交点間区間が組換点に繋がっていると判断された場合、これら隣接交点間区間の何れかを指定するカーソル(49)(図5(a)等参照)が画面に表示される。そして、出発地からカーソル(49)で指定された隣接交点間区間の終点に至る選択候補の経路について、制御マイコン(25)は、出発地からその終点に至るまでに要する通行料金等を計算して、その結果を文字列で示すように経路情報表示部(47)を変更する(S14)。ここで、選択候補の経路とは、1又は複数の隣接交点間区間で構成されており、誘導経路を構成する経路として既に確定した経路(確定経路)がある場合、その経路と、カーソル(49)で指定された隣接交点間区間とからなる経路である。また、確定経路がない場合、選択候補の経路は、カーソル(49)で指定された隣接交点間区間のみとなる(その始点が出発点)。
【0031】
操作キー(39)やリモコン等を操作することで、カーソル(49)が移動して、それによって指定される隣接交点間区間が変化する。制御マイコン(25)は、カーソル(49)を移動させる操作が行われたか否かを判別し(S15)、操作が行われると、画面上にてカーソル(14)を移動させて、新たに指定された隣接交点間区間についてステップS14の処理を行う。ユーザは、カーソル(14)を適宜移動させることで、選択可能な候補経路の各々について、経路情報表示部(47)を通じて、通行料金等の経路情報を知ることができる。所望の経路を構成する隣接交点間区間を、つまり所望の候補経路をカーソル(49)で指定した後、操作キー(39)やリモコン等が操作されて、ある特定の経路が選択される(S16)。ステップS16の後、ステップS13が行われて、確定経路が選択された経路に更新される(確定経路がない場合、選択された隣接交点間区間が確定経路として制御マイコン(25)に記憶される)。また、更新された確定経路の終点に組換点が移動される。そして、ステップS10以後の処理が行われる。ステップS10以後の処理が繰り返して行われて、組換点が目的地に至ると、出発地から目的地に至る経路、即ち誘導経路が確定する。
【0032】
以下、図4乃至図7を参照して、図2及び図3に示した本実施例のナビゲーション装置(1)の経路探索動作において誘導経路が生成される模様を具体的に説明する。先に説明したように図4に示す画面が表示されると、ステップS9にて、出発地、即ち出発地ノードN1が組換点に設定される。ステップS10及びS11が行われると、組換点に繋がる隣接交点間区間は、経路A、経路B及び経路Cに含まれたリンクL1に対応した1つの区間のみであるから、ステップS12及びS13が行われる。当初、確定経路が記憶されていないことから、ステップS13にて、制御マイコン(25)は、この隣接交点間区間(リンクL1)を確定経路として記憶して、リンクL1の終点である交点ノードN2に組換点を移動させる。また、確定経路(及びその端点)が強調表示される(図5(a)及図5(b)参照。図5乃至図7にて、確定経路を太い実線で示す)。
【0033】
交点ノードは目的地ではないから、ステップS10の後、ステップS11が行われる。交点ノードN2に繋がる目的地に向かう隣接交点間区間には、経路Cに含まれており、リンクL3及びL5で構成された区間と、経路A及び経路Bに含まれており、リンクL2に対応した区間とが該当する。故に、ステップS11の後、ステップS14が行われて、図5(a)に示す画面がLCD(29)に表示される。本実施例では、ステップS11の直後にステップS14が行われる場合、カーソル(49)は、最上に配置された隣接交点間区間を指定することから、図5(a)では、リンクL3及びL5で構成された隣接交点間区間が、カーソル(49)で指定されている。また、現在指定されている候補経路、即ちリンクL1、L3及びL5で構成される経路に関する通行料金等が計算されて、経路情報表示部(47)に示されている。ユーザが操作手段を操作すると、図5(b)に示すように、カーソル(49)は、リンクL2に対応する隣接交点間区間上に移動する。また、ステップS14が再度行われて、現在指定している候補経路、即ちリンクL1及びL2で構成される経路に関する通行料金等が計算されて、経路情報表示部(47)に示される。ユーザは、図5(a)及び図5(b)に表示された経路情報を参考にして、誘導経路を構成する経路を決定する。そして、ユーザは、その経路が指定された画面が表示された状態にて操作手段を操作することで(例えば、確定キーの押下)、経路の選択が完了する。
【0034】
例えば、図5(a)に示す画面が表示された状態で、ユーザが経路の選択を行うと(ステップS16)、リンクL1、L3及びL5で構成される経路が選択される。そして、ステップS13にて、確定経路がこの経路に更新されて、リンクL3及びL5で構成される隣接交点間区間の終点である交点ノードN5に、組換点が移動する。その後、ステップS10乃至S13が行われて、リンクL1、L3、L5及びL7で構成される経路に確定経路が更新された後、リンクL7で構成される隣接交点間区間の終点である交点ノードN7に、組換点が移動する。その後、ステップS10に引き続いて、ステップS11が行われる。
【0035】
交点ノードN7に繋がっており、目的地に向いている隣接交点間区間には、経路Aに含まれており、リンクL9で構成される区間と、経路B及び経路Cに含まれており、リンクL10及びL11で構成される区間とが該当する。故に、ステップS11が行われると、ステップS14が行われて図6(a)に示す画面が表示される。図6(a)に示す画面では、カーソル(49)が、リンクL9で構成される交点隣接区上に配置されており、経路情報表示部(47)には、リンクL1、L3、L5、L7及びL9で構成される候補経路の経路情報が示されている。また、リンクL1、L3、L5及びL7で構成される確定経路が、強調表示されている。カーソル(49)が移動されると、再度ステップS14が行われて、図6(b)に示す画面が表示される。図6(b)に示す画面では、カーソル(49)は、リンクL10及びL11で構成される交点隣接区間上に配置されている。経路情報表示部(47)には、リンクL1、L3、L5、L7、L10及びL11で構成される候補経路の経路情報が示されている。
【0036】
例えば、ユーザが図6(a)に示す画面が表示された状態で、ユーザが経路の選択を指示する操作を行うと(ステップS16)、リンクL1、L3、L5、L7及びL9で構成される経路が選択される。そして、ステップS13にて、確定経路がこの経路に更新されて、リンクL9に対応する隣接交点間区間の終点である目的地ノードN9に、組換点が移動する。また、リンクL1、L3、L5、L7及びL9で構成される経路が強調表示される。
【0037】
その後、ステップS10が行われると、組換点が目的地、即ち目的地ノードN9に到達したと、即ち、出発地から目的地に至る誘導経路が確定したと判断されて、経路探索動作は終了する。図7は、この際にLCD(29)に表示される画面を示しており、出発地ノードN1から目的地ノードN9に至る誘導経路が強調表示されている。また、この誘導経路の経路情報が経路情報表示部(47)に示される。なお、ステップS12及びS13に引き続いてステップS10が行われて、経路探索動作が終了する場合には、ステップS12で求められた経路情報が、最終的に経路情報表示部(47)に示される。
【0038】
ナビゲーション装置(1)が行う経路探索動作の処理は、図2及び図3に示す順序で行われる必要は必ずしもなく、適宜変更されてよい。また、誘導経路の生成過程を後戻りできるように、図2及び図3に示す経路探索動作が構成されてもよい。例えば、確定経路上にある交点ノードを(例えばカーソル(49)を用いて)選択することで、出発地からその交点ノードに至る経路に確定経路が更新されるようにすることで、所望の地点から誘導経路の生成をやり直すことが可能となる。
【0039】
図5(a)及び図5(b)等に示すように、上述の経路探索動作では、選択可能な候補経路に関する経路情報を、その経路が指定されている状態で表示しているが、選択可能な全ての候補経路について経路情報を求めて、これら候補経路の経路情報表示部(47)を同時に画面上に示してもよい。また、その場合、指定されている経路の経路情報表示部(47)が強調表示されるのが好ましい。
【0040】
本実施例のナビゲーション装置(1)では、図2及び図3に示す経路探索動作を行うか否かを選択することができ、例えば経路探索動作を行う前にモード設定画面をLCD(29)に呼び出して、図2及び図3に示す経路探索動作を行う動作モード、ある探索条件で経路探索をして誘導経路を生成する動作モード、又は、探索条件を変化させて経路探索を繰り返して、その結果得られた経路から誘導経路を選択する動作モードが選択される。また、ナビゲーション装置(1)は、必ずしも車載式である必要はなく、その具体的形態は特に限定されない。上記実施例の機能の一部、例えば経路探索機能を、別個に設けられたサーバ装置で実現し、サーバ装置とナビゲーション装置(1)間で通信手段を用いて、探索結果等のデータが送受されてもよい。さらに、本発明は、自動車用のナビゲーション装置に限定されることはなく、移動体用の経路探索装置及び経路探索方法に広く適用可能である。
【0041】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施例であるナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施例であるナビゲーション装置の経路探索動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例であるナビゲーション装置の経路探索動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明のナビゲーション装置に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図5】図5(a)及び図5(b)は、本発明のナビゲーション装置に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図6】図6(a)及び図6(b)は、本発明のナビゲーション装置に表示される画面の一例を示す説明図である。
【図7】本発明のナビゲーション装置に表示される画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
(1) カーナビゲーション装置
(5) GPS受信部
(13) 記録媒体
(25) 制御マイクロコンピュータ
(29) 液晶表示装置
(41) タッチパネル
(47) 経路情報表示部
(49) カーソル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地に移動体を誘導する誘導経路を生成する経路探索装置において、
探索条件を変えて経路探索を繰り返して、前記出発地から前記目的地に至る複数の経路を生成し、
前記複数の経路と、前記複数の経路における2以上の経路の交点とを表示手段に表示し、
前記出発地から前記目的地に向かって前記複数の経路上の区間を組み合わせて、前記誘導経路を生成し、
前記出発地又はある交点からそれらの何れかに隣接する交点又は前記目的地に至っており、前記複数の経路の一部である複数の区間が存在する場合、操作手段が操作されて、前記複数の区間の何れかを含む経路が、前記誘導経路を構成する経路として選択されることを特徴とする経路探索装置。
【請求項2】
前記複数の区間の何れかを含む経路が指定されると、その経路に関する情報が前記表示手段に表示される、請求項1に記載の経路探索装置。
【請求項3】
出発地から目的地に移動体を誘導する誘導経路を生成する経路探索方法において、
探索条件を変えて経路探索を繰り返して、前記出発地から前記目的地に至る複数の経路を生成する工程と、
前記複数の経路と、前記複数の経路における2以上の経路の交点とを表示手段に表示する工程と、
前記出発地から前記目的地に向かって前記複数の経路上の区間を組み合わせて、前記誘導経路を生成する工程とを含んでおり、
前記誘導経路を生成する工程にて、前記出発地又はある交点からそれらの何れかに隣接する交点又は前記目的地に至っており、前記複数の経路の一部である複数の区間が存在する場合、操作手段が操作されて、前記複数の区間の何れかを含む経路が、前記誘導経路を構成する経路として選択されることを特徴とする経路探索方法。
【請求項4】
前記誘導経路を生成する工程にて、前記複数の区間の何れかを含む経路が指定されると、その経路に関する情報が前記表示手段に表示される、請求項3に記載の経路探索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−258600(P2006−258600A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76321(P2005−76321)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】