説明

結合光学系

【課題】マルチコアファイバと光回路アレイとを結合する際に、コアと光回路とを1対1で確実に結合することが可能な結合光学系を提供する。
【解決手段】光回路の出射端又は入射端が一次元に配列された光回路アレイと、複数のコアが二次元に配列されたマルチコアファイバとを結合する結合光学系において、前記一次元に配列された各光回路の出射端又は入射端を、前記二次元に配列されたコアに光学的に結合させる光路変換回路を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光通信等に用いられる光学素子を結合させる結合光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレット端末等の普及により、莫大な情報量を有するデータの通信が要求されている。それに伴い、光通信の更なる大容量化が望まれている。
【0003】
従来の光通信は、クラッド内に一つのコアが設けられたシングルコアファイバを用いて行われている。しかし、一つのシングルコアファイバで通信を行う場合には容量の限界があるため、それを超える容量のデータ通信を行うための手段が要求されている。
【0004】
これに関し、たとえば、一つのクラッド内に複数のコアが設けられた光ファイバであるマルチコアファイバを用いることができる(特許文献1、2参照)。マルチコアファイバは複数のコアを有するため、シングルコアファイバに比べ、大容量のデータ通信を行うことが可能となる。
【0005】
光通信においては、このようなマルチコアファイバを、たとえば、シングルコアファイバ、レーザーダイオード等の発光素子、及びフォトダイオード等の受光素子を直線状に並べたファイバアレイ、発光素子アレイ、及び受光素子アレイと光学的に結合させて使用する場合がある。以下、シングルコアファイバ、発光素子及び受光素子を「光回路」という場合がある。ファイバアレイ、発光素子アレイ及び受光素子アレイを「光回路アレイ」という場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−104443号公報
【特許文献2】特開平8−119656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
同じコア数のマルチコアファイバ同士を結合する場合、マルチコアファイバ同士の位置合わせを行うことで、コア同士を確実に結合することができる。このとき、結合損失を生じ難く、高い結合効率を達成することができる。
【0008】
一方、マルチコアファイバと光回路アレイとを結合する場合には、マルチコアファイバのコアが二次元に配列され、光回路アレイの光回路の出射端又は入射端が一次元に配列されているため、また、一般的にコア間のピッチと光回路の出射端等間のピッチとが異なるため、コアと光回路とを1対1で結合することが困難となる。
【0009】
さらに、一般的に、マルチコアファイバの各コアは、光回路としてのシングルコアファイバの径より狭い間隔で配列されているため、コア間のピッチは、光回路間のピッチに対し数分の一から数十分の一と、狭くなっている。このことからしても、コアと光回路とを1対1で結合することが困難となる。
【0010】
この発明は上記の問題点を解決するものであり、マルチコアファイバと光回路アレイとを結合する際に、コアと光回路とを1対1で確実に結合することが可能な結合光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1記載の結合光学系は、光回路の出射端又は入射端が一次元に配列された光回路アレイと、複数のコアが二次元に配列されたマルチコアファイバとを結合する結合光学系において、前記一次元に配列された各光回路の出射端又は入射端を、前記二次元に配列されたコアに光学的に結合させる光路変換回路を有することを特徴とする結合光学である。
【0012】
また、請求項2記載の結合光学系は、請求項1記載の結合光学系であって、前記光路変換回路は、前記光回路アレイと前記マルチコアファイバとの間に配置され、複数層の一つを構成し、各光回路からの光が入射されるとともに、入射された光の一部がコアに出射される第1の光導波路と、複数層の他の一つを構成し、第1の光導波路に積層されるように配置され、入射された光の他の一部がコアに出射される第2の光導波路と、前記入射された光の他の一部を前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との間で伝搬させる層間伝搬手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項3記載の結合光学系は、請求項1または請求項2に記載の結合光学系であって、前記第1の光導波路は、入射端部、導波部及び出射端部を有し、前記第2の光導波路は、導波部及び出射端部を有し、前記層間伝搬手段は、前記第1の光導波路の導波部と前記第2の光導波路の導波部とを光結合させる結合手段を有することを特徴とする。
【0014】
さらに、請求項4記載の結合光学系は、請求項3に記載の結合光学系であって、前記結合手段は、前記第1の光導波路の所定位置で、前記導波部をその中心軸に対して斜めに切断したときの傾斜面を、入射端部からの光を反射させる反射面として、前記第2の光導波路の前記所定位置に対応する位置で、前記導波部をその中心軸に対して斜めに切断したときの傾斜面を有し、前記反射面からの光を前記傾斜面で受けて出射端部へ送ることを特徴とする。
【0015】
さらに、請求項5記載の結合光学系は、請求項3に記載の結合光学系であって、結合手段は、前記第1の光導波路の前記導波部と前記第2の光導波路の前記導波部とを重ねた状態で拡径した構造とすることで光学的結合させることを特徴とする。
【0016】
さらに、請求項6記載の結合光学系は、請求項3に記載の結合光学系であって、結合手段は、前記第1の光導波路の前記導波部と前記第2の光導波路の前記導波部とを重ねた状態で溶融延伸した構造とすることで光学的結合させることを特徴とする。
【0017】
さらに、請求項7記載の結合光学系は、請求項2に記載の結合光学系であって、前記層間伝搬手段は、複数の反射ミラーを有し、複数の反射ミラーは、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との間で光を伝搬させるように配置されることを特徴とする。
【0018】
さらに、請求項8記載の結合光学系は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の結合光学系であって、前記光回路アレイと前記光路変換回路との間に配置されたコリメートレンズアレイと、光路変換回路とマルチコアファイバとの間に配置された集光レンズと、を有することを特徴とする。
【0019】
さらに、請求項9記載の結合光学系は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の結合光学系であって、前記光回路アレイと前記光路変換回路とは直接接合され、光路変換回路とマルチコアファイバとは直接接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の結合光学系によれば、光路変換回路を設けることにより、一次元に配列された光回路の出射端又は入射端を、二次元に配列されたコアに1対1で結合させることが可能となる。
【0021】
また、請求項2記載の結合光学系によれば、一次元に配列された光回路からの光を、第1の光導波路、第2の光導波路及び層間伝搬手段を介して、コアに1対1で結合させることが可能となる。
【0022】
さらに、請求項3記載の結合光学系によれば、第1の光導波路の導波部と第2の光導波路の導波部とを光学的に結合させたので、光導波路を二次元に変換させることが可能となる。
【0023】
さらに、請求項4記載の結合光学系によれば、第1の光導波路の反射面及び第2の光導波路の傾斜面により、第1の光導波路の入射端部からの光を第2の光導波路の出射端部に簡単に伝搬させることが可能となる。
【0024】
さらに、請求項5記載の結合光学系によれば、導波部同士を拡径させることで、簡単に光学的結合させることが可能となる。
【0025】
さらに、請求項6記載の結合光学系によれば、導波部同士を溶融延伸させることで、簡単に光学的結合させることが可能となる。
【0026】
さらに、請求項7記載の結合光学系によれば、反射ミラーを設けることで、第1の光導波路の入射端部からの光を第2の光導波路の出射端部に簡単に伝搬させることが可能となる。
【0027】
さらに、請求項8記載の結合光学系によれば、コリメートレンズアレイ及び集光レンズを配置することにより、結合損失を低減することが可能となる。
【0028】
さらに、請求項9記載の結合光学系によれば、直接接合することで、結合光学系を簡単な構成にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】マルチコアファイバの端部を示す部分斜視図。
【図2】第1の実施形態に係る結合光学系をファイバアレイ側から見たときの斜視図。
【図3】結合光学系をマルチコアファイバ側から見たときの斜視図。
【図4】マルチコアファイバ、結合光学系、ファイバアレイを模式的に示した平面図。
【図5】光路変換回路をファイバアレイ側から見たときの背面図。
【図6】光路変換回路をマルチコアファイバ側から見たときの正面図。
【図7】第1の光導波路の平面図。
【図8】第1の光導波路の上方に配置される第2の光導波路の平面図。
【図9】第1の光導波路の下方に配置される第2の光導波路の平面図。
【図10】結合手段の断面図。
【図11】第1変形例に係る結合手段の断面図。
【図12】第2変形例に係る結合手段の断面図。
【図13】第2の実施形態に係る結合光学系をファイバアレイ側から見たときの斜視図。
【図14】第1の光導波路の平面図、正面図、及び側面図。
【図15】第1の光導波路の上方に配置される第2の光導波路の平面図、正面図、及び側面図。
【図16】第1の光導波路の下方に配置される第2の光導波路の平面図、正面図、及び側面図。
【図17】変形例に係る第1の光導波路の平面図である。
【図18】コリメートレンズアレイ及び集合レンズを有する結合光学系の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1の実施形態>
次に、結合光学系の第1の実施形態について各図を参照して説明する。
結合光学系は、複数の光回路の出射端又は入射端が一次元に配列された光回路アレイと、複数のコアが二次元に配列されたマルチコアファイバとを光学的に結合するものである。ここで、一次元の位置をX座標で表せるものとし、二次元の位置をXY座標で表せるものとする。
【0031】
なお、X方向を横方向または水平方向という場合がある。また、Y方向を高さ方向または上下方向という場合がある。さらに、X、Yにそれぞれ略直交するZ方向を光の入射方向または出射方向という場合がある。
【0032】
先ず、マルチコアファイバ及び光回路アレイについて説明し、その後、結合光学系について説明する。
【0033】
[マルチコアファイバの構成]
図1を参照して、マルチコアファイバ1の構成について説明する。マルチコアファイバ1は、一般に可撓性を有する長尺の円柱部材である。図1は、マルチコアファイバ1の斜視図である。図1では、マルチコアファイバ1の先端部分のみを示している。
【0034】
マルチコアファイバ1は、たとえば石英ガラスやプラスチック等、光の透過性が高い素材により形成されている。マルチコアファイバ1は、複数のコアC(k=1〜n)と、クラッド2を含んで構成されている。
【0035】
コアCは、光回路の出射端からの光を伝送し及び光回路の入射端への光を伝送する伝送路である。コアCはそれぞれ端面E(k=1〜n)を有する。端面Eからは、光源(図示なし)で発せられた光が出射される。クラッド2よりも屈折率を高めるために、コアCは、たとえば石英ガラスに酸化ゲルマニウム(GeO)が添加された素材により形成されている。なお、図1では7つのコアC〜Cを有する構成を示したが、コアCの数は少なくとも2つ以上であればよい。
【0036】
クラッド2は、複数のコアCを覆う部材である。クラッド2は、光源(図示なし)からの光をコアC内に閉じ込める役割を有する。クラッド2は端面2aを有する。コアCの端面E及びクラッド2の端面2aは同一面(マルチコアファイバ1の端面1b)を形成している。クラッド2の素材としては、コアCの素材よりも屈折率が低い素材が用いられる。たとえば、コアCの素材が石英ガラスと酸化ゲルマニウムからなる場合には、クラッド2の素材としては石英ガラスを用いる。このように、コアCの屈折率をクラッド2の屈折率よりも高くすることで、光源(図示なし)からの光をコアCとクラッド2の境界面で全反射させる。よって、コアC内に光を伝送させることができる。
【0037】
マルチコアファイバ1の端面1bには、コアCの端面Eが二次元に配列されている。Z方向に延びるコアC、及びXY平面に配列されたコアCの端面Eを図1に示す。
【0038】
一般的に複数nのコアをクラッド2内に配列したマルチコアファイバ1において、その外径をd1、コアC 間ピッチをp1とし、d1、p1の長さを比較すると、コアの数n及びコア径にもよるが、p1は、d1の10分の1から5分の1程度(d1/10≦p1≦d1/5)となる。例えば、d1=250μmのとき、p1=40μmとなる。
【0039】
[光回路アレイの構成]
次に、光回路アレイの構成について図1〜図3を参照して説明する。図2は結合光学系をファイバアレイ側から見たときの斜視図、図3は結合光学系をマルチコアファイバ側から見たときの斜視図である。
【0040】
図2及び図3に示すように、光回路アレイは、それぞれ光を出射する複数の出射端が一次元(X方向)に配列されている。
【0041】
光回路アレイには、例えば、発光素子(レーザーダイオード、LED)が一次元に配列された発光素子アレイがあり、光回路としてのシングルコアファイバが一次元に配列されたファイバアレイがある。
【0042】
以下、光回路アレイについてファイバアレイ3を例にとって説明する。一般的なファイバアレイ3において、その外径をd2、隣接するシングルコアファイバ3aのコア3b間のピッチをp2とすると、p2、d2はほぼ同じ長さ(p2≒d2)となる。d1、d2をほぼ同じ長さ(d1≒d2)であるとし、p1、p2を比較すると、p1は、p2の10分の1から5分の1程度(p2/10≦p1≦p2/5)となる。
【0043】
しがって、p2をp1と同じ長さ(p2=p1)にすることができない。さらに、シングルコアファイバ3aにおいて一次元に配列されたコア3bとマルチコアファイバ1において二次元に配列されたコアCとをZ方向で対向させることができない。
【0044】
すなわち、単に、ファイバアレイ3とマルチコアファイバ1とを結合したのでは、シングルコアファイバ3aのコア3bの端面(図示省略)とマルチコアファイバ1のコアCの端面EとをZ方向で対向させることができない。すなわち、コア3bとコアCとを1対1で結合することが困難となる。
【0045】
コア3bとコアCとを1対1で結合するためには、シングルコアファイバ3aのコア3bの端面とマルチコアファイバ1のコアCの端面EとをZ方向で対向させる必要がある。
【0046】
[結合光学系]
次に、一次元配列のコア3bと二次元配列のコアCとを1対1で結合することが可能な結合光学系について図1〜図10を参照して説明する。
【0047】
結合光学系は、図2及び図3に示すように、一次元に配列されたシングルコアファイバ3aのコア3bからの光を、二次元に配列されたマルチコアファイバ1のコアCに結合させる光路変換回路4を有する。なお、図2及び図3では、互いに離れて配置されたファイバアレイ3と光路変換回路4とを示しているが、実際には、ファイバアレイ3と光路変換回路4とは直接接合(バット接合)されている。なお、バット接合については後述する。
【0048】
図4は、マルチコアファイバ1、ファイバアレイ3、光路変換回路4を模式的に示した平面図、図5は光路変換回路4をファイバアレイ3側から見た図、図6は光路変換回路4をマルチコアファイバ1側から見た図である。図4では、ファイバアレイ3のシングルコアファイバのコアから出射される光が導波される一定の幅を有する経路を、点線、破線、一点鎖線で示す。一部が重なって見えるのは二次元配列に変換されているためである。図5及び図6に、第1の光導波路40の入射端部Cikの端面Eikと、それをY方向(積層方向)から挟むように配置された第2の光導波路50、50aとを示す。なお、図2〜図4では、互いに離れて配置されたマルチコアファイバ1と光路変換回路4とを示しているが、実際には、マルチコアファイバ1と光路変換回路4とは直接接合(バット接合)されている。なお、バット接合については後述する。
【0049】
図2〜図6に示すように、光路変換回路4は、ファイバアレイ3とマルチコアファイバ1との間に配置され、第1の光導波路40、第2の光導波路50及び層間伝搬手段(図示省略)を有している。
【0050】
〔第1の光導波路〕
次に第1の光導波路40について図7を参照して説明する。図7は第1の光導波路40の平面図である。図7では、第1の光導波路40を模式的に示す。
【0051】
第1の光導波路40は、複数層の一つを構成し、シングルコアファイバ3aからの光が入射されるとともに、入射された光の一部がマルチコアファイバ1のコアCに出射される。具体的に、第1の光導波路40は、薄膜、またはフィルム等で構成された基板に形成されたものをいう。
【0052】
第1の光導波路40は、7つの入射端部Cik(Ci1〜Ci7)、3つの出射端部Cok(Co1、Co4、Co7)、3つの連絡部42、及び、4つの導波部43を有する。
【0053】
7つの入射端部Cikは、シングルコアファイバ3aに対向する第1の光導波路40の端部に設けられている。入射端部Cikの端面Eik(Ei1〜Ei7)は、シングルコアファイバ3aのコア3bの端面に対向するように配置されている。図5に端面をEi1〜Ei7で示す。図7にXY平面に直交する方向(Z方向)に直線状に延びる入射端部をCi1〜Ci7で示す。
【0054】
両端及び中央の3つの入射端部Cik(Ci1、Ci4、Ci7)には、連絡部42の一端部が接続され、連絡部42の他端部には、出射端部Cok(Co1、Co4、Co7)が接続されている。
【0055】
出射端部Cokは、マルチコアファイバ1に対向する第1の光導波路40の端部に設けられている。出射端部Cokの端面Eok(Eo1、Eo4、Eo7)は、マルチコアファイバ1のコアCの端面E(E、E、E)に対向するように配置されている。それにより、出射端部CokとコアCとを1対1で結合することが可能となる。図7に中心軸を一致させた出射端部Co2、Co4、Co7及びコアCを示す。
【0056】
両端及び中央部以外の4つの入射端部Cik(Ci2、Ci3、Ci5、Ci6)の端面Eik(Ei2、Ei3、Ei5、Ei6)の反対側の端部には、導波部43の一端部が接続されている。なお、図7では入射端部Cik、連絡部42、出射端部Cok、導波部43の接続部分を折れ線で示したが、接続部分は、滑らかな曲線とすればよい。
【0057】
〔第2の光導波路〕
次に、第2の光導波路50、50aについて図8及び図9を参照して説明する。
【0058】
第2の光導波路50は、複数層の他の一つを構成し、第1の光導波路40と同様に基板に形成されたものであって、第1の光導波路40の上方(Y方向)に積層されるように配置され、入射された光の他の一部がマルチコアファイバ1のコアCに出射される。
【0059】
ここで、コアC を正六角形の中心の位置と各頂点の位置との7箇所に設け、マルチコアファイバ1のコアC 間ピッチをp1とし、p3を、第1の光導波路40と第2の光導波路50との間のピッチをp3とすると、p3は、一辺をp1の長さとする正三角形の高さに相当し、次の式で表される。
p3=p1*√3/2
【0060】
第2の光導波路50aは、複数層の他の一つを構成し、第1の光導波路40と同様に基板に形成されたもので、第1の光導波路40の下方(Y方向)積層されるように配置され、入射された光の他の一部(上方の第2の光導波路50に伝搬する光を除く)がマルチコアファイバ1のコアCに出射される。
【0061】
第2の光導波路50と同様に、第1の光導波路40と第2の光導波路50aとの間のピッチp3はp3=p1*√3/2の式で表される。
【0062】
(上方の第2の光導波路)
始めに、第2の光導波路50について説明する。図8は第2の光導波路50の平面図である。図8では、第2の光導波路50を模式的に示す。
【0063】
第2の光導波路50は、2つの導波部53、2つの連絡部52、及び、2つの出射端部Cok(Co3、Co6)を有する。
【0064】
2つの導波部53は、第1の光導波路40の導波部43(図7参照)の上方に配置されている。導波部53には、連絡部52の一端部が接続されている。連絡部52の他端部には、出射端部Cokが接続されている。
【0065】
出射端部Cokは、マルチコアファイバ1に対向する第1の光導波路40の端部に設けられている。出射端部Cok(Co3、Co6)の端面Eok(Eo3、Eo6)は、マルチコアファイバ1のコアCの端面E(E、E)にZ方向で対向するように配置されている。それにより、出射端部CokとコアCとを1対1で結合することが可能となる。図8に中心軸を一致させた出射端部Co3、Co6及びコアCを示す。また、図8に、下方に配置された第1の光導波路40の入射端部Cik(Ci1、Ci2、Ci4、Ci5、Ci7)を一点鎖線で示す。なお、図8では、連絡部52、導波部53、出射端部Cokの繋ぎ目(接続部分を折れ線で示したが、接続部分は、光の漏れが生じない所定以上の曲げ半径を有する曲線とすればよい。
【0066】
(下方の第2の光導波路)
続いて、第2の光導波路50aについて説明する。図9は第2の光導波路50aの平面図である。図9では、第2の光導波路50aを模式的に示す。
【0067】
第2の光導波路50aは、2つの導波部53、2つの連絡部52、及び、2つの出射端部Cok(Co2、Co5)を有する。
【0068】
2つの導波部53は、第1の光導波路40の導波部43(図7参照)の下方に配置されている。導波部53には、連絡部52の一端部が接続されている。連絡部52の他端部には、出射端部Cokが接続されている。
【0069】
出射端部44Cokは、マルチコアファイバ1に対向する第1の光導波路40の端部に設けられている。出射端部Cok(Co2、Co5)の端面Eok(Eo2、Eo5)は、マルチコアファイバ1のコアC(C、C)の端面E(E、E)に対向するように配置されている。それにより、出射端部CokとコアCとを1対1で結合することが可能となる。図9に中心軸を一致させた出射端部Co2、C05及びコアC、Cを示す。また、図9に、上方に配置された第1の光導波路40の入射端部Cik(Ci1、Ci3、Ci4、Ci6、Ci7)を一点鎖線で示す。なお、図9では、連絡部52、導波部53、出射端部Cokの接続部分を折れ線で示したが、接続部分は、光の漏れが生じない所定以上の曲げ半径を有する曲線とすればよい。
【0070】
以上のマルチコアファイバ1、ファイバアレイ3、第1の光導波路40、第2の光導波路50,50aの対応関係を要約すれば、次のようになる。
【0071】
ファイバアレイ3のシングルコアファイバ3aがX方向に配列されるとき、X方向と平行な方向にいくつかのコアCが配列されるように、マルチコアファイバ1を配置し、それらのコアCを一層とし、第1の光導波路40を対応させる。
【0072】
他のコアCも層(Y方向で重なる層)として振り分ける。それらの層に対して、第2の光導波路50、50aを対応させる。
【0073】
すなわち、XY平面上に配列されたコアCを各層に振り分け、その中の一つの層と第1の光導波路40を対応させ、他の層と第2の光導波路50、50aを対応させることで、一次元(X方向)に配列された光回路としてのシングルコアファイバ3aからの光を、二次元(XY平面)に配列されたコアCに結合することが可能となる。
【0074】
〔層間伝搬手段〕
次に、層間伝搬手段60について説明する。
【0075】
層間伝搬手段60は第1の光導波路40と第2の光導波路50、50aとの間で光を伝搬させるよう構成され、結合手段60aを有している。
【0076】
(結合手段)
結合手段60aは、第1の光導波路40とその上方に配置された第2の光導波路50との間で光を伝搬させる上方の結合手段と、第1の光導波路40とその下方に配置された第2の光導波路50aとの間で光を伝搬させる下方の結合手段とを有している。
【0077】
上方の結合手段60aと下方の結合手段60aとは、重複した構成を有する。以下、下方の結合手段60aを代表して説明し、上方の結合手段60aについては、重複した構成の説明を省略する。
【0078】
下方の結合手段60aについて図10を参照して説明する。図10は結合手段の断面図である。
【0079】
結合手段60aは、Y方向(高さ方向)で互いに重なるように配置された導波部43、53(図7〜図9参照)間で光を伝搬させる。
【0080】
結合手段60aは、第1反射面61及び第2反射面62を有している。
【0081】
第1反射面61は、第1の光導波路40の所定位置Zp1で、導波部43をその中心軸に対して斜めに切断したときの第1傾斜面を有する。この第1傾斜面が入射端部Cikからの光を反射させる反射面となる。
【0082】
第2反射面62は、第2の光導波路50aの前記所定位置zp1に対応する位置Zp2で、導波部53をその中心軸に対して斜めに切断したときの第2傾斜面を有する。この第2傾斜面が、第1反射面61からの光を受けて出射端部Cokから送る反射面となる。
下方の結合手段60aと同様に、上方の結合手段60aは、第1反射面61及び第2反射面62を有している。
上方の結合手段60aにおいて、第2反射面62は、第2の光導波路50の前記所定位置zp1に対応する位置Zp2で、導波部53をその中心軸に対して斜めに切断したときの第2傾斜面を有する。この第2傾斜面が、第1反射面61からの光を受けて出射端部Cokから送る反射面となる。
【0083】
次に、下方の結合手段60aにおける光の伝搬について、図10を参照して説明する。なお、図10に伝搬される光を想像線で示す。
【0084】
入射端部Cikからの光は、導波部43に伝搬され、第1反射面61で第2反射面62が位置する方向(図10において下方)へ反射する。さらに、第2反射面62で連絡部52及び出射端部Cokが位置する方向(図10で左方)へ反射する。
【0085】
次に、上方の結合手段60aにおける光の伝搬について説明する。
【0086】
入射端部Cikからの光は、導波部43に伝搬され、第1反射面61で第2反射面62が位置する方向(上方)へ反射する。さらに、第2反射面62で連絡部52及び出射端部Cokが位置する方向(Z方向)へ反射する。
【0087】
[光路変換回路の製造方法]
次に、第1の光導波路40、第2の光導波路50、50a及び層間伝搬手段60を有する光路変換回路4の製造方法について説明する。
【0088】
光路変換回路4の製造には一般的な公知の技術、例えば、コア及びクラッドからなる導波路を成形するエッチング法(例えば、特開2000−356723号公報)、および、射出成形型を用いてコア及びクラッドを成形する射出成形法(特開2011−039149号公報)を用いればよい。
【0089】
例えば、第1の光導波路40及び第2の光導波路50、50aの素材としては、マルチコアファイバ1のコアC、クラッド2と同様な素材が用いられる。
【0090】
〔第1の光導波路及び第2の光導波路の製造方法〕
第1の光導波路40及び第2の光導波路50、50において、入射端部Cik、出射端部Cok、連絡部42、52及び、導波部43、53は、たとえば石英ガラスに酸化ゲルマニウム(GeO)が添加された素材により形成されている。第1の光導波路40及び第2の光導波路50、50aのクラッドの部分は、たとえば、石英ガラスにより形成されている。
【0091】
〔層間伝搬手段の製造方法〕
次に反射面61、62の製造方法の一例について図10を参照して説明する。図10に、Y方向(高さ方向)で重なり、Z方向に延びる導波部43、53を示す。なお、図10では、導波部43の右側が入射端部Cikとし、導波部53の左側が連絡部52及び出射端部Cokとする。
【0092】
(下方の結合手段の製造方法)
第1反射面61の製造方法の一例としては、ダイシングによる切削加工を用いて、第1の光導波路40の導波部43を上方開口の断面略V字状の溝により切断し、切断された第1傾斜面を第1反射面61とする。なお、第1反射面61は、切削加工したままの状態であってもよく、反射効率を向上させるため一般的な端面研磨の工程や金属蒸着などを行ってもよい。以下、同様な表面処理が第2反射面62についても行われる。
【0093】
第2反射面62の製造方法の一例としては、ダイシングによる切削加工を用いて、第2の光導波路50aの導波部53を下方開口の断面略V字状の溝により切断し、切断された第2傾斜面を第2反射面62とする。このとき、切断される第2傾斜面と第1傾斜面とが高さ方向(Y方向)で対向するようにする。
【0094】
(上方の結合手段の製造方法)
以上に、下方の結合手段60aの製造方法の一例について示したが、上方の結合手段60aについても同様な方法で製造することが可能である。
【0095】
すなわち、第1反射面61の製造方法の一例としては、ダイシングによる切削加工を用いて、第1の光導波路40の導波部43を下方開口の略V字状の溝により切断し、切断された第1傾斜面を第1反射面61とする。なお、第1反射面61とZ軸とが成す角度を45°とする。
【0096】
第2反射面62の製造方法の一例としては、ダイシングによる切削加工を用いて、第2の光導波路50の導波部53を上方開口の略V字状の溝により切断し、切断された第2傾斜面を第2反射面62とする。
【0097】
(バット結合)
ファイバアレイ3と光路変換回路4とは直接接合されている(バット接合)。それにより、光回路としてのシングルコアファイバ3aからの光が、光路変換回路4に入射される。バット接合することにより、ファイバアレイ3と光路変換回路4との接合構造を簡単に構成することが可能となる。
【0098】
光路変換回路4とマルチコアファイバ1とは直接接合されている(バット接合)。それにより、光路変換回路4からの光が、マルチコアファイバ1のコアCに入射される。バット接合することにより、光路変換回路4とマルチコアファイバ1との接合構造を簡単に構成することが可能となる。
【0099】
[第1変形例]
第1の実施形態に限らず、層間伝搬手段60は、種々の技術を用いることにより形成することが可能となる。
【0100】
次に、層間伝搬手段60の第1変形例について図11を参照して説明する。図11は結合手段60aの断面図である。
【0101】
層間伝搬手段60は、第1の光導波路40とその上方に配置された第2の光導波路50とを光結合させる上方の結合手段60aと、第1の光導波路40とその下方に配置された第2の光導波路50aとを光結合させる下方の結合手段60aとを有する。
【0102】
なお、上方の結合手段60a及び下方の結合手段60aは、基本的に同じ構成をしており、以下、上方の結合手段60aを代表して説明し、下方の結合手段60aの説明を省略する。
【0103】
上方の結合手段60aにおいて、導波部43、53同士を拡径させることにより、拡径部43a、53a同士を適当な干渉距離に近接させたモード結合部63を有する。モード結合部63により、隣接層間で効率良くエネルギー遷移を行うことが可能となる。
【0104】
拡径部43a、53aは、第1の光導波路40、50、50aを加熱し、導波部43、53に添加された酸化ゲルマニウムを拡散させることによって形成される。
【0105】
コアの拡径によるモード結合には、例えば、コアを加熱し、コアに添加されたドーパント(dopant)を拡散させることによって拡径部を形成する公知の技術(特開2000−356723号公報)を用いればよい。
【0106】
[第2変形例]
次に、層間伝搬手段60の第2変形例について図12を参照して説明する。図12は結合手段60aの断面図である。
【0107】
第2変形例においても、第1変形例と同様に、上方の結合手段60a及び下方の結合手段60aは、基本的に同じ構成をしており、以下、上方の結合手段60aを代表して説明し、下方の結合手段60aの説明を省略する。
【0108】
上方の結合手段60aにおいて、導波部43、53同士を溶融延伸させることにより、溶融延伸部43b、53b同士を細線化し、適当な干渉距離に近接し、近接させた領域を所定長さにわたり形成したモード結合部63を有する。モード結合部63により、隣接層間で効率良くエネルギー遷移を行うことが可能となる。
【0109】
溶融延伸によるモード結合には、例えば、クラッド部を溶融延伸することにより、コア同士の間が所定距離となる領域を所定長さにわたり形成する公知の技術(特開2008−209685号公報)を用いればよい。
【0110】
<第2の実施形態>
次に、結合光学系の第2の実施形態について図13〜図17を参照して説明する。図13は、光路変換回路4をファイバアレイ3側から見たときの斜視図である。図13では、立体的な光導波路(いわゆる層構造)で構成された結合光学系を模式的に示す。
【0111】
なお、図13では、ファイバアレイ3の各シングルコアファイバ3aを1〜7の番号で表し、また、シングルコアファイバ3aにZ方向で対向する位置(入射位置)を1〜7の番号で表し、さらに、マルチコアファイバ1の各コアC、(C〜C)にZ方向で対応する位置(出射位置)を1〜7の番号で表す。
【0112】
第1の実施形態では、ファイバアレイ3からの光がコア内を伝搬することにより光路変換され、マルチコアファイバ1に出射されるものであったが、第2の実施形態では、ファイバアレイ3からの光が光路変換回路4内を空間伝搬することにより光路変換され、マルチコアファイバ1に出射されるものである。
【0113】
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態の構成と同じものについては同一番号を付してその説明を省略する。
【0114】
第1実施形態では、第1の光導波路40、第2の光導波路50、50aが、各種のコア部を有し、層間伝搬手段60が結合手段60aを有するものであった。
【0115】
これに対し、第2実施形態では、図13に示すように、第1の光導波路40は、第1反射体71a、71bを有する。第2の光導波路50、50aは、第2反射体72a、72b、72c、72dを有する。層間伝搬手段60は、第3反射体73a、73bを有する。
【0116】
図14は、第1の光導波路40の平面図、正面図、及び側面図である。図13及び図14に示すように、第1の光導波路40において、ファイバアレイ3に対応する一端部には、シングルコアファイバ3aの位置1〜7に対向する入射位置1〜7が配置されている。また、マルチコアファイバ1に対応する他端部には、出射位置3〜5がコアC〜Cの位置にZ方向で対向するように配置されている。
【0117】
図15は、第1の光導波路40の上方に配置される第2の光導波路50の平面図、正面図、及び側面図である。図13及び図15に示すように、第2の光導波路50は、第1の光導波路40の上方に配置されている。第2の光導波路50において、マルチコアファイバ1に対応する端部には、コアC、Cの位置にZ方向で対向する出射位置1、2が配置されている。
【0118】
図16は、第1の光導波路40の下方に配置される第2の光導波路50aの平面図、正面図、及び側面図である。図13及び図16に示すように、第2の光導波路50aは、第1の光導波路40の下方に配置されている。第2の光導波路50aにおいて、マルチコアファイバ1に対応する端部には、コアC、Cの位置にZ方向で対向する出射位置6、7が配置されている。
【0119】
第3反射体73a、73bは、第1の光導波路40と第2の光導波路50、50aとの間で光を伝搬させるように配置されている。
【0120】
第1反射体71a、71b、第2反射体72a、72b、72c、72d及び第3反射体73a、73bは、ファイバアレイ3からの光を反射させる、例えば反射ミラー及び反射プリズムである。
【0121】
第1反射体71aは、入射位置1に入射された光を第3反射体73aの方向に反射させる。さらに、第3反射体73aは、第2反射体72aの方向へ反射させる。さらに、第2反射体72aは、出射位置1の方向に反射させる。
【0122】
第1反射体71aは、入射位置2に入射された光を第3反射体73bの方向に反射させる。さらに、第3反射体73bは、第2反射体72bの方向へ反射させる。さらに、第2反射体72bは、出射位置2の方向に反射させる。
【0123】
第1反射体71bは、入射位置6に入射された光を第3反射体73bの方向に反射させる。さらに、第3反射体73bは、第2反射体72dの方向に反射させる。さらに、第2反射体72dは、出射位置6の方向に反射させる。
【0124】
第1反射体71bは、入射位置7に入射された光を第3反射体73aの方向に反射させる。さらに、第3反射体73aは、第2反射体72cの方向に反射させる。さらに、第2反射体72cは、出射位置7の方向に反射させる。
【0125】
なお、入射位置3〜5に入射された光は、いずれの反射体も介さずに、出射位置3〜5に伝搬する。
【0126】
以上により、入射位置1〜7に入射された光は出射位置1〜7に伝搬し、出射位置1〜7からの光がコアC〜Cに入射される。
【0127】
光路変換回路4は、光導波路内に反射体を設ける公知のMEMSのプロセス技術(例えば、特開2004−334190号公報)により成形される。
【0128】
以上の構成によれば、例えば、光導波路が第1層、第2層、第3層の順番に積層され、第1層と第3層との間で光を伝搬させる必要があるとき、第1の実施形態の層間伝搬手段60では、先ず、第1層と第2層との間で光を伝搬させた後に、第2層と第3層との間で光を伝搬させるよう構成する必要がある。これに対して、第2の実施形態の層間伝搬手段60では、第1層と第3層との間で光を直接的に伝搬させるように構成すればよく、層間伝搬手段60を容易に構成することが可能となる。
【0129】
[第2の実施形態の変形例]
第2の実施形態の変形例について図14及び図17を参照して説明する。図17は、第1の光導波路40の平面図である。
【0130】
変形例では、出射位置6、7の位置を交換する例をとって、出射位置を変更する構成について説明する。
【0131】
図17に示す出射位置6、7の位置は、図14に示す出射位置6、7の位置を入れ替えたものとなっている。
【0132】
このように、出射位置6、7を入れ替えるには、第1反射体71bを図14に示すような形状、位置から図17に示すような形状、位置を変更すればよい。
【0133】
第1反射体71bは、入射位置6に入射された光を第3反射体73aの方向に反射させる。さらに、第3反射体73aは、第2反射体72cの方向に反射させる。さらに、第2反射体72cは、出射位置6の方向に反射させる。
【0134】
第1反射体71bは、入射位置7に入射された光を第3反射体73bの方向に反射させる。さらに、第3反射体73bは、第2反射体72dの方向に反射させる。さらに、第2反射体72dは、出射位置7の方向に反射させる。
【0135】
以上のように、変形例においては、反射体の形状及び/または位置を変更することにより、出射位置を容易に変更することが可能となる。
【0136】
各実施形態では、一次元に配列された各光回路の出射端(一例として、シングルコアファイバ3aの端面)を二次元に配列されたコアCの端面Eに光学的に結合させる光路変換回路4を示したが、一次元に配列された各光回路の入射端をコアCの端面Eに光学的に結合させるように光路変換回路4が構成されてもよい。
【0137】
このような光路変換回路4の構成では、次のように光が伝搬される。すなわち、マルチコアファイバ1の第1コア群からの光が第1の光導波路40に入射される。また、マルチコアファイバ1の第2コア群からの光が第2の光導波路50、50aに入射される。さらに、層間伝搬手段60により第2の光導波路50、50aに入射された光が第1の光導波路40に伝搬される(このとき、光路が二次元から一次元に変換される)。さらに、第1の光導波路40からの光が各光回路の入射端に出射される。すなわち、二次元に配列されたコアからの光が一次元に配列された光回路に光学的に結合される。
【0138】
以上のような構成においても、層間伝搬手段60に、上記各実施形態に係る結合手段60a(第1反射面61、第2反射面62、モード結合部63、第1反射体71、第2反射体72、第3反射体73)を用いることが可能である。
【0139】
前記実施形態では、ファイバアレイ3と光路変換回路4とが直接接合され、さらに、マルチコアファイバ1と光路変換回路4とが直接接合されたものを示したが、これに限らない。
【0140】
例えば、図18に示すように、ファイバアレイ3と光路変換回路4との間には、コリメートレンズアレイ8が配置されてもよい。
【0141】
コリメートレンズアレイ8は、光回路としてのシングルコアファイバ3aからの光を平行光に変換して、光路変換回路4に入射させるコリメートレンズ8aが一次元(X方向)に配列されている。コリメートレンズ8aは、その光軸がシングルコアファイバ3aのコア3bの中心軸と一致するように配置されている。それにより、結合損失を低減することが可能となる。
【0142】
また、例えば、図18に示すように、光路変換回路4とマルチコアファイバ1との間には、集光レンズ9が配置されていてもよい。
【0143】
集光レンズ9は、光路変換回路4からの光(平行光)をマルチコアファイバ1のコアCに入射させるように配置されている。集光レンズア9は、その光軸が光路変換回路4(第1の光導波路40及び第2の光導波路50、50aの各出射端部Cok)の中心軸と一致するように配置されている。それにより、結合損失を低減することが可能となる。なお、集合レンズ9に限らず、微小レンズアレイが配置されていてもよい。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるととともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0145】
1 マルチコアファイバ
1b マルチコアファイバの端面
2 クラッド
2a クラッドの端面
〜C コア
〜E コアの端面
3 ファイバアレイ(光回路アレイ)
3a シングルコアファイバ(光回路)
3b シングルコアファイバのコア
4 結合光学系
40 第1の光導波路
i1i7 入射端部
42 連絡部
43 導波部
43a 拡径部
43b 溶融延伸部
o1、Co4、Co7 出射端部
50 第2の光導波路
53 導波部
53a 拡径部
o2、Co3、Co5、Co6 出射端部
60 層間伝搬手段
60a 結合手段
61 第1反射面
62 第2反射面
63 モード結合部
71 第1反射体
72 第2反射体
73 第3反射体
8 コリメートレンズアレイ
9 集光レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光回路の入射端又は出射端が一次元に配列された光回路アレイと、複数のコアが二次元に配列されたマルチコアファイバとを結合する結合光学系において、
前記一次元に配列された各光回路の入射端又は出射端を、前記二次元に配列されたコアに光学的に結合させる光路変換回路を有する
ことを特徴とする結合光学系。
【請求項2】
前記光路変換回路は、前記光回路アレイと前記マルチコアファイバとの間に配置され、
複数層の一つを構成し、各光回路からの光が入射されるとともに、入射された光の一部がコアに出射される第1の光導波路と、
複数層の他の一つを構成し、第1の光導波路に積層されるように配置され、入射された光の他の一部がコアに出射される第2の光導波路と
前記入射された光の他の一部を前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との間で伝搬させる層間伝搬手段と、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の結合光学系。
【請求項3】
前記第1の光導波路は、入射端部、導波部及び出射端部を有し、
前記第2の光導波路は、導波部及び出射端部を有し、
前記層間伝搬手段は、前記第1の光導波路の導波部と前記第2の光導波路の導波部とを光結合させる結合手段を有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の結合光学系。
【請求項4】
前記結合手段は、
前記第1の光導波路の所定位置で、前記導波部をその中心軸に対して斜めに切断したときの傾斜面を、入射端部からの光を反射させる反射面として、
前記第2の光導波路の前記所定位置に対応する位置で、前記導波部をその中心軸に対して斜めに切断したときの傾斜面を有し、前記反射面からの光を前記傾斜面で受けて出射端部へ送る
ことを特徴とする請求項3に記載の結合光学系。
【請求項5】
結合手段は、
前記第1の光導波路の前記導波部と前記第2の光導波路の前記導波部とを重ねた状態で拡径した構造とすることで光学的結合させる
ことを特徴とする請求項3に記載の結合光学系。
【請求項6】
結合手段は、
前記第1の光導波路の前記導波部と前記第2の光導波路の前記導波部とを重ねた状態で溶融延伸した構造とすることで光学的結合させる
ことを特徴とする請求項3に記載の結合光学系。
【請求項7】
前記層間伝搬手段は、複数の反射ミラーを有し、
複数の反射ミラーは、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との間で光を伝搬させるように配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の結合光学系。
【請求項8】
前記光回路アレイと前記光路変換回路との間に配置されたコリメートレンズアレイと、
光路変換回路とマルチコアファイバとの間に配置された集光レンズと、
を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の結合光学系。
【請求項9】
前記光回路アレイと前記光路変換回路とは、直接接合され、
前記光路変換回路とマルチコアファイバとは、直接接合される
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の結合光学系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−57842(P2013−57842A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196772(P2011−196772)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】