説明

給電システム、電子装置及び電力供給具

【課題】携帯電話、携帯型コンピュータ、携帯型情報端末等の電子装置の不正使用を防止する給電システム、電子装置及び電力供給具を提供する。
【解決手段】電子装置1に、ACアダプタ、充電台、配電機能付き装着型コンピュータ補助装置等の電力供給具2を装着した場合、電子装置1は、電子供給器2に予め記録されている識別情報を取得し、取得した識別情報の照合処理を行い、照合処理の結果に基づいて、実行を許可する処理の制限及び受電の可否の判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力の供給を受けて処理を実行する電子装置と、該電子装置に電力を供給する着脱可能な電力供給具とを備える給電システム、該給電システムにて用いられる電子装置及び電力供給具に関し、特に電子装置の使用に関する安全性を高めることが可能な給電システム、電子装置及び電力供給具に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、携帯型コンピュータ、携帯型情報端末等の携帯型の電子装置が広く普及している(例えば特許文献1参照。)。これらの電子装置にて実行可能な処理は多様化し、記録可能な情報量が増大し、また記録している情報の重要性も高くなる一方である。
【特許文献1】特開2005−165436号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらこれらの電子装置は、軽量小型化が進んでいるため紛失しやすく、また重要性が高まっているため盗難、情報漏洩等の被害に遭いやすいという問題がある。特に盗難時、また紛失時においても、記録されている情報の漏洩、改竄の防止は、今日の情報化社会において、避けて通ることのできない課題である。
【0004】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、電子装置に電力を供給する着脱可能な電力供給具に識別情報を記録しておき、電子装置は、装着された電力供給具に記録されている識別情報の照合結果に基づいて、処理の実行の許可及び/又は電力供給具からの受電の可否の判定を行うことにより、情報漏洩等の危険性を低減することが可能な給電システム、該給電システムにて用いられる電子装置及び電力供給具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の給電システムは、電力の供給を受けて処理を実行する電子装置と、該電子装置に電力を供給する着脱可能な電力供給具とを備える給電システムにおいて、前記電力供給具は、自身を識別する識別情報を記録する手段を備え、前記電子装置は、前記電力供給具の装着を検出する手段と、前記電力供給具の装着を検出した場合に、前記電力供給具に記録されている識別情報を取得する手段と、取得した識別情報を、予め記録している識別情報と照合する手段と、照合結果に基づいて処理の実行を許可する手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明では、識別情報が記録されている電力供給具を装着していない場合、電子装置で実行される処理が制限されるので、電子装置に記録されている情報の漏洩等の危険性を低減し、安全性を高めることが可能である。
【0007】
本発明の給電システムは、電力の供給を受けて処理を実行する電子装置と、該電子装置に電力を供給する着脱可能な電力供給具とを備える給電システムにおいて、前記電力供給具は、自身を識別する識別情報を記録する手段を備え、前記電子装置は、前記電力供給具の装着を検出する手段と、前記電力供給具の装着を検出した場合に、前記電力供給具に記録されている識別情報を取得する手段と、取得した識別情報を照合する手段と、照合結果に基づいて前記電力供給具からの受電の可否を判定する手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明では、識別情報が記録されている電力供給具を装着していない場合、電子装置へ給電することができないため、結果として電子装置の使用が制限され、安全性を高めることが可能である。
【0009】
本発明の電子装置は、着脱可能な電力供給具から電力を受電する電子装置において、前記電力供給具の装着を検出する手段と、前記電力供給具の装着を検出した場合に、前記電力供給具に予め記録されている識別情報を取得する手段と、取得した識別情報を照合する手段と、照合結果に基づいて処理の実行を許可する許可手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明では、識別情報が記録されている電力供給具を装着した場合に、処理の実行が許可されるので、電子装置に記録されている情報の漏洩等の危険性を低減し、安全性を高めることが可能である。
【0011】
本発明の電子装置は、複数の処理を実行する様に構成してあり、前記許可手段は、照合結果に基づいて、実行を許可する処理を判定する様に構成してあることを特徴とする。
【0012】
本発明では、識別情報が記録されている電力供給具を装着していない場合、例えば一般的な処理を実行することができるが、管理設定に関する処理等の重要な処理を実行することができない様にすることで、利便性を確保しながらも、安全性を高めることが可能である。
【0013】
本発明の電子装置は、着脱可能な電力供給具から電力を受電する電子装置において、前記電力供給具の装着を検出する手段と、前記電力供給具の装着を検出した場合に、前記電力供給具に予め記録されている識別情報を取得する手段と、取得した識別情報を照合する手段と、照合結果に基づいて前記電力供給具からの受電の可否を判定する手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明では、識別情報が記録されている電力供給具の装着状況に基づいて、受電の可否が判定されるので、例えば盗難された電子装置の不正使用の防止等のユーザが意図しない状況下で使用されることを防止することが可能である。
【0015】
本発明の電子装置は、装着された電力供給具を脱離後の時間を計時する手段と、計時している時間が所定の時間に到達した場合に、実行可能な処理を制限する手段とを更に備えることを特徴とする。
【0016】
本発明では、電力供給具から脱離させた場合、一定時間内に処理が制限されるので、例えば盗難にあった場合でも、情報の漏洩を防止し、安全性を高めることが可能である。
【0017】
本発明の電力供給具は、電子装置に着脱可能な電力供給具において、自身を識別する識別情報を記録する手段と、装着した前記電力供給具へ記録している識別情報を発信する手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明では、記録している識別情報を、電子装置へ発信することにより、電子装置の安全性の確保に用いることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る給電システム、電子装置及び電力供給具は、携帯電話、携帯型コンピュータ、携帯型情報端末等の電子装置に、ACアダプタ、充電台、配電機能付き装着型コンピュータ補助装置等の電力供給具を装着した場合、電子装置は、電子供給器に予め記録されている識別情報を取得し、取得した識別情報の照合処理を行う。そして照合処理の結果に基づいて、実行を許可する処理の制限及び受電の可否の判定を行う。
【0020】
この構成により、識別情報を記録している電力供給具を装着していない場合、電子装置が実行できる処理及び電子装置への給電が制限されるので、電子装置に記録している情報の漏洩、改竄等の危険性を制限し、また例えば電力供給具を装着していない場合、通信処理を制限することで、ユーザの意志に反して従量課金制の無線LANに接続する等の処理の実行を防止することが可能である等、優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1及び図2は、本発明の給電システムの一例を示す外観図である。図1中1は、携帯型音楽再生装置を用いた本発明の電子装置であり、電子装置1は、着脱可能な充電台を用いた電力供給具2を装着することにより、給電を受け付け各種処理及び充電が行われる。
【0022】
また図2中1は、ノートパソコンと呼ばれる携帯型コンピュータを用いた本発明の電子装置であり、電子装置1は、CD−ROMドライブ及び各種コネクタを備えたドッキングステーション(登録商標)と呼ばれる着脱可能な配電機能付き装着型コンピュータ補助装置を用いた電力供給具2を装着することにより、給電を受け付け各種処理及び充電が行われる。なお本発明の給電システムは、図1及び図2に示した形態に限るものではなく、例えば電子装置1として、携帯型情報端末(PDA: Personal Digital Assistants)、携帯電話等の装置を用いることも可能であり、また電力供給具2としてACアダプタ、直流電源等の装置を用いることも可能である。
【0023】
図3は、本発明の給電システムの構成例を示すブロック図である。なお図3は、図2に示した携帯型コンピュータである電子装置1と、配電機能付き装着型コンピュータ補助装置である電力供給具2とを用いた給電システムを例示している。電子装置1は、装置全体を制御するCPU(Central Processing Unit) 等の制御部10と、各種プログラム及びデータを記録するハードディスク等の記録部11と、制御部10の制御により発生する一時的なデータを記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶部12と、時間を計時する計時部13と、キーボード、トラックパッド等の入力部14と、液晶モニタ、スピーカ等の出力部15とを備えている。
【0024】
また記録部11の記録領域の一部は、識別情報と実行を許可する処理とを対応付けて記録する識別情報データベース(識別情報DB)11aとして用いられている。
【0025】
さらに電子装置1は、電力供給具2からの給電を受け付けるコネクタ等の受電部16と、電力供給具2の装着を検出する検出部17と、電力供給具2との通信を行う通信部18と、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池を用いた内蔵電源部19とを備えている。
【0026】
電力供給具2は、100ボルト家庭用交流電源等の商用電源から交流電力の入力を受け付ける入力部20と、入力部20が受け付けた交流電力を変圧するトランス等の変圧部21と、変圧した交流電力を直流電力に変換する整流部22と、整流部22により変換された直流電力を平滑化する平滑部23と、平滑化した直流電力を出力する出力部24とを備えている。
【0027】
さらに電力供給具2は、自身を識別する識別情報を記録する記録部25と、記録部25に記録している識別情報を発信し、電子装置1との通信を行う通信部26とを備えている。また電力供給具2は、電子装置1の機能を補助するCD−ROMドライブ等の補助機構部27を備えている。
【0028】
次に本発明の給電システムにおける各種装置の処理について説明する。図4は、本発明の電子装置1の充電モード遷移処理を示すフローチャートである。ユーザは、電子装置1の充電を所望する場合、電子装置1に電力供給具2を装着する。電子装置1に電力供給具2が装着されると、電力供給具2は、記録部25に記録している識別情報を通信部26から発信する。電子装置1は、検出部17にて電力供給具2の装着を検出し(S101)、電力供給具2の記録部25に記録されている識別情報を、通信部18から取得し(S102)、取得した識別情報を識別情報データベース11aに記録している識別情報と照合し(S103)、照合結果に基づいて電力供給具2からの受電の可否を判定する(S104)。ステップS103の照合とは、識別情報データベース11aに、実行を許可する処理として充電処理に対応付けて記録されている識別情報と、取得した識別情報とが一致するか否かを判定する照合であり、識別情報が一致する場合、ステップS104にて受電可と判定する。
【0029】
ステップS104において、受電可と判定した場合(S104:YES)、電子装置1は、電力供給具2からの受電による充電を開始する(S105)。ステップS105にて開始される充電は、例えば定電圧充電により行われ、充電時間、電流及び電圧の検出により、充電制御がなされる。
【0030】
ステップS104において、受電不可と判定した場合(S104:NO)、充電は開始せず、電子装置1に予め配設されているLED(Light Emitting Diode)等の警告灯の点灯等の異常処理が行われる(S106)。このように充電モード遷移処理では、識別情報の照合結果に基づいて、電力供給具からの受電の可否を判定する。
【0031】
図5は、本発明の電子装置1の充電モード解除処理を示すフローチャートである。ユーザは、電子装置1の充電が完了したと判定した場合、電子装置1を電力供給具2から脱離させる。電子装置1は、検出部17にて電力供給具2の脱離を検出し(S201)、計時部13により、脱離からの経過時間の計時を開始し(S202)、充電モードを解除して充電を終了させる。
【0032】
図6は、本発明の電子装置1の実行可能処理判定処理を示すフローチャートである。電子装置1は、検出部17にて電力供給具2の装着を検出し(S301)、電力供給具2の記録部25に記録されている識別情報を、通信部18から取得し(S302)、取得した識別情報を識別情報データベース11aに記録している識別情報と照合し(S303)、照合結果に基づいて実行可能な処理を判定し(S304)、判定結果に基づいて処理の実行を許可する(S305)。ステップS303〜S305の処理により、取得した識別情報に、実行可能な処理として対応付けられている処理については処理の実行を許可し、実行可能な処理として対応付けられていない処理については処理の実行を禁止する。なお図4を用いて説明した充電モード遷移処理についても、実行の可否を判定する処理の一つとみなすことができる。実行を許可する処理の一つとして、例えば識別情報データベース11aの記録内容の変更等の管理処理を挙げることができる。このように実行可能処理判定処理を行うことにより、例えば管理権限の異なる複数のユーザで一の電子装置1を共有することも可能である。即ち一の電子装置1を共有する複数のユーザが夫々電力供給具2を所持し、夫々のユーザは、所持している電力供給具2を電子装置1に装着することにより、許可されている処理のみを電子装置1に実行させることが可能となる。
【0033】
図7は、本発明の電子装置1の電力供給具脱離時処理を示すフローチャートである。電子装置1は、検出部17にて電力供給具2の脱離を検出し(S401)、計時部13により、脱離からの経過時間の計時を開始する(S402)。なお図5を用いて説明した充電モード解除処理についても、電力供給具脱離時処理の一つとみなすことができる。
【0034】
図8は、本発明の電子装置1の時間制限処理を示すフローチャートである。電力供給具2から脱離した状態にある電子装置1は、ステップS202又はステップS402にて計時を開始した脱離からの経過時間と、予め設定されている脱離時間上限値とを比較し(S501)、経過時間が脱離時間上限値に到達したか否かを判定する(S502)。
【0035】
ステップS502において、経過時間が脱離時間上限値に到達したと判定した場合(S502:YES)、電子装置1は、実行可能な処理を制限する(S503)。ステップS503の実行可能な処理の制限とは、例えばそれまで実行を許可していた処理の全て又は一部の実行を禁止することを示す。なおステップS503にて実行を禁止された処理を実行するためには、電力供給具2の装着が必要となる。このため例えば電子装置1が盗難された場合であっても、電子装置1を盗難した者が電力供給具2を使用可能な状態でなければ、電子装置1が不正に使用されることを防止することができる。
【0036】
ステップS502において、経過時間が脱離時間上限値に到達していないと判定した場合(S502:NO)、ステップS501に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0037】
前記実施の形態では、電子装置を電力供給具から脱離させた後の経過時間が脱離時間上限値に到達した場合に、実行可能な処理を制限する形態を示したが、本発明はこれに限らず、記録されている情報の強制消去、所定の連絡先への異常信号の送信等の異常処理を強制的に実行する様にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の給電システムの一例を示す外観図である。
【図2】本発明の給電システムの一例を示す外観図である。
【図3】本発明の給電システムの構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の電子装置の充電モード遷移処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の電子装置の充電モード解除処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の電子装置の実行可能処理判定処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の電子装置の電力供給具脱離時処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の電子装置の時間制限処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 電子装置
11 記録部
11a 識別情報データベース
13 計時部
16 受電部
17 検出部
18 通信部
19 内蔵電源部
2 電力供給具
24 出力部
25 記録部
26 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力の供給を受けて処理を実行する電子装置と、該電子装置に電力を供給する着脱可能な電力供給具とを備える給電システムにおいて、
前記電力供給具は、
自身を識別する識別情報を記録する手段を備え、
前記電子装置は、
前記電力供給具の装着を検出する手段と、
前記電力供給具の装着を検出した場合に、前記電力供給具に記録されている識別情報を取得する手段と、
取得した識別情報を、予め記録している識別情報と照合する手段と、
照合結果に基づいて処理の実行を許可する手段と
を備えることを特徴とする給電システム。
【請求項2】
電力の供給を受けて処理を実行する電子装置と、該電子装置に電力を供給する着脱可能な電力供給具とを備える給電システムにおいて、
前記電力供給具は、
自身を識別する識別情報を記録する手段を備え、
前記電子装置は、
前記電力供給具の装着を検出する手段と、
前記電力供給具の装着を検出した場合に、前記電力供給具に記録されている識別情報を取得する手段と、
取得した識別情報を照合する手段と、
照合結果に基づいて前記電力供給具からの受電の可否を判定する手段と
を備えることを特徴とする給電システム。
【請求項3】
着脱可能な電力供給具から電力を受電する電子装置において、
前記電力供給具の装着を検出する手段と、
前記電力供給具の装着を検出した場合に、前記電力供給具に予め記録されている識別情報を取得する手段と、
取得した識別情報を照合する手段と、
照合結果に基づいて処理の実行を許可する許可手段と
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項4】
複数の処理を実行する様に構成してあり、
前記許可手段は、照合結果に基づいて、実行を許可する処理を判定する様に構成してある
ことを特徴とする請求項3に記載の電子装置。
【請求項5】
着脱可能な電力供給具から電力を受電する電子装置において、
前記電力供給具の装着を検出する手段と、
前記電力供給具の装着を検出した場合に、前記電力供給具に予め記録されている識別情報を取得する手段と、
取得した識別情報を照合する手段と、
照合結果に基づいて前記電力供給具からの受電の可否を判定する手段と
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項6】
装着された電力供給具を脱離後の時間を計時する手段と、
計時している時間が所定の時間に到達した場合に、実行可能な処理を制限する手段と
を更に備えることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかひとつに記載の電子装置。
【請求項7】
電子装置に着脱可能な電力供給具において、
自身を識別する識別情報を記録する手段と、
装着した前記電力供給具へ記録している識別情報を発信する手段と
を備えることを特徴とする電力供給具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−141164(P2007−141164A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337430(P2005−337430)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】