説明

給電プラグロック装置

【課題】認証装置を給電プラグロック装置に搭載することなく、ユーザ認証を容易に行うことができる給電プラグロック装置を提供する。
【解決手段】給電プラグロック装置40は、インレット5に接続した給電プラグ10を、ロック機構41をロック状態にすることでインレット5に固定することにより、給電プラグ10をインレット5に抜け止めし、ロック機構41をアンロック状態にすることで給電プラグ10をインレット5から取り外し可能とする。給電プラグロック装置40は、インレット5が搭載される車両1のドアロックの施解錠に使用するID照合の結果を取得するID照合結果取得部77aと、ID照合の成立を条件に、ロック機構41の動作を制御するロック機構制御部77cとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、インレットに接続されてバッテリに充電を行う給電プラグをロックする給電プラグロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両からの排出ガスを少なく抑えることを目的として、各車両メーカでは、モータを駆動とする電気自動車(ハイブリッド車も含む)の開発機運が非常に高くなってきている。このような電気自動車では、車両の動力源であるバッテリの電力残量が少なくなる度に、例えば家庭や電気スタンド等においてバッテリに充電を行わなくてはならないことから、電気自動車にはユーザが簡単に扱える様々な充電システムが設けられることになる(例えば、特許文献1参照)。この場合の例としては、例えば家庭の商用電源に繋がる給電プラグを接続可能な受電コネクタが取り付けられたインレットを車両に設け、帰宅したときなどに駐車車両のインレットに給電プラグを接続し、商用電源を車両に送り込むことによって車両のバッテリに充電を行うことが想定される。
【0003】
そこで、給電プラグがインレットから不正に取り外されないようにするために、許可のない給電プラグの取り外しを不可とする給電プラグロック装置が考案されている。このロック装置の例としては、モータを駆動源として往復動可能なロックバーを設け、給電プラグがインレットに接続した際に、ロックバーをロック位置に位置させて給電プラグの動きを固定する。これにより、給電プラグロック装置がロック状態においては、給電プラグをインレットから引き抜くことができなくなる。給電プラグをインレットから取り外す際には、ロックバーをアンロック位置に位置させて給電プラグの動きを解放することで、給電プラグロック装置をアンロック状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−161898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の給電プラグロック装置においては、ユーザ認証を行って、認証が成立したことを条件に、ロック状態、アンロック状態にすることが望ましい。そこで、給電プラグロック装置に認証装置を搭載することが考えられる。しかしながら、給電プラグロック装置に専用の認証装置を搭載すると、給電プラグロック装置が大型化するとともに、構成が複雑化するため、認証装置を給電プラグロック装置に搭載することなく、ユーザ認証ができる給電プラグロック装置が求められていた。
【0006】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、新たな認証装置を給電プラグロック装置に搭載することなく、ユーザ認証を容易に行うことができる給電プラグロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、インレットに接続した給電プラグを、ロック機構をロック状態にすることで前記インレットに固定することにより、当該給電プラグを該インレットに抜け止めし、前記ロック機構をアンロック状態にすることで前記給電プラグを前記インレットから取り外し可能とする給電プラグロック装置であって、前記インレットが搭載される搭載機器のドアロックの施解錠に使用する電子キーシステムのID照合の結果を取得するID照合結果取得手段と、前記ID照合の成立を条件に、前記ロック機構の動作を制御する制御手段と、を備えたことをその要旨としている。
【0008】
同構成によれば、搭載機器のドアロックの施解錠に使用する電子キーシステムのID照合の結果をID照合結果取得手段が取得することで、ユーザ認証を行い、制御手段がロック機構の動作を制御する。このため、給電プラグロック装置に認証装置を搭載することなく、ユーザ認証を容易に行うことが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の給電プラグロック装置において、前記ロック機構の動作状態を切り換えるときに操作する操作手段を備え、前記ID照合の成立のみならず、前記操作手段の操作も条件に加え、前記ロック機構の動作を制御することをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、給電プラグロック装置の動作開始を、単にドアロックのID照合の成立に基づくのではなく、操作手段の操作も条件として含ませたので、給電プラグロック装置を真に必要なときにのみ装置を動作させることが可能である。このため、ドアロックのID照合の成立に基づいて給電プラグロック装置が動作するよりも給電プラグロック装置の動作回数を抑制することが可能となる。よって、ロック動作及びアンロック動作を不要に実行させずに済む。
【0011】
ここで、例えば操作手段が操作されたことを条件に給電プラグロック装置のロック動作を行う場合には、搭載機器のドアロックのID照合成立のみでは給電プラグロック装置のロック動作は行われない。このため、ユーザは給電プラグロック装置をロックする意図を持った操作が行われたとき、つまりユーザの操作意志があったときのみ、給電プラグロック装置をロックすることが可能である。なお、これは給電プラグロック装置のアンロック動作のときも同様に言える。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の給電プラグロック装置において、前記制御手段は、前記ロック機構をロック状態にする際には前記ID照合の成立に基づいて動作させ、前記ロック機構をアンロック状態にする際には前記ID照合の成立に加え、前記操作手段の操作があることを条件に動作させることをその要旨としている。
【0013】
同構成によれば、給電プラグロック装置をアンロック状態にするときのみ、ユーザが操作手段を操作するので、ユーザによる操作をアンロック時のみ追加することで、ドアロックのID照合成立に基づいてロック機構が毎回動作することを防止することが可能となる。また、給電プラグロック装置をロック状態にするには、ドアロックのID照合成立に伴って行われるので、ロック操作を忘れることを抑制することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の給電プラグロック装置において、前記制御手段は、前記ID照合が成立してから一定時間の間に前記操作手段の操作があることを条件に、前記ロック機構の動作を制御することをその要旨としている。
【0015】
同構成によれば、ID照合の成立から一定時間の間でないと、操作手段による給電プラグロック装置の操作が許可されないので、給電プラグロック装置の不正操作防止に効果が高くなる。また、インレットがID照合の通信エリア内に設置されていなくとも、一定時間内であれば給電プラグロック装置の操作が許可されるので、利便性を損なうことなく、認証を行うことが可能である。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の給電プラグロック装置において、前記給電プラグに前記インレットが接続されているか否かを検出する検出手段を備え、前記制御手段は、前記給電プラグが前記インレットに接続されたことを条件に前記ロック機構の動作を行うことをその要旨としている。
【0017】
同構成によれば、給電プラグがインレットに接続されたときのみロック機構の動作を行わせるので、最低限必要なときのみ動作を行わせることが可能となる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の給電プラグロック装置において、前記給電プラグに前記インレットが接続されているか否かを検出する検出手段を備え、前記制御手段は、前記ロック機構をロック状態からアンロック状態に切り換えたとき、前記給電プラグが前記インレットから取り外されない場合には、一定時間経過後に前記ロック機構をロック状態に動作することをその要旨としている。
【0018】
同構成によれば、給電プラグロック装置をアンロック状態に動作して一定時間経過しても給電プラグがインレットから取り外されないと、給電プラグロック装置をロック状態に戻す。このため、給電プラグロック装置をアンロック状態にして給電プラグをインレットから取り外すことを忘れたとしても、給電プラグロック装置を再度ロックするので、盗電等を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、給電プラグロック装置において、新たな認証装置を給電プラグロック装置に搭載することなく、ユーザ認証を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】車両及び充電システムの構成を示す構成図。
【図2】受電コネクタが搭載されたインレットの正面図。
【図3】給電プラグの概略構成を示す断面図。
【図4】アンロック状態のロック機構の構成を示す斜視図。
【図5】ロック状態のロック機構の構成を示す斜視図。
【図6】給電プラグをインレットの受電コネクタに接続する際を示す斜視図。
【図7】給電プラグが受電コネクタに接続された状態のインレットを示す正面図。
【図8】電子キーシステムの通信エリアを示す車両の上面図。
【図9】給電プラグロック装置のロック動作時のフローチャート。
【図10】給電プラグロック装置のアンロック動作時のフローチャート。
【図11】給電プラグロック装置のアンロック動作時のフローチャート。
【図12】給電プラグロック装置の動作時のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をプラグインハイブリッド車のインレットに具体化した一実施形態について図1〜図10を参照して説明する。
図1に示されるように、ハイブリッド式の車両1には、駆動輪2の駆動源としてエンジンとモータとの駆動力を組み合わせて出力するハイブリッドシステム3が備えられている。ハイブリッドシステム3は、エンジンの動力のみを機械的に駆動輪2に伝えて走行するモードと、エンジンの動力で発電を行ってモータにより走行するモードと、エンジン及びモータの双方で駆動輪2を直接駆動するモードと、エンジンを使用せずにモータのみで走行するモードの各種モードにより走行する。
【0022】
ハイブリッドシステム3には、モータに電力を供給するバッテリ4が接続されている。バッテリ4は、エンジンの動力によって発電された電力がバッテリ4に充電されるだけではなく、車両1の外部電源61、例えば家庭用コンセントから夜間電力などでバッテリ4に充電することが可能である。
【0023】
この車両1には、例えば運転者が実際に車両キーを操作しなくてもドアロックの施解錠等の車両動作を行うことが可能な電子キーシステム70が搭載されている。電子キーシステム70は、キー固有のIDコードを無線通信で発信可能な電子キー80が車両キーとして使用されている。電子キーシステム70は、車両1からIDコード返信要求としてリクエスト信号Srqを発信させ、このリクエスト信号Srqを電子キー80が受信すると、それに応答する形で電子キー80が自身のIDコードを含ませたIDコード信号Sidを狭域無線通信により車両1に返信し、電子キー80のIDコードが車両1のIDコードと一致すると、ドアロックの施解錠が許可又は実行されるシステムである。なお、電子キー80が通信端末として機能する。
【0024】
電子キーシステム70を以下に説明すると、車両1には、電子キー80との間で狭域無線通信を行う際にID照合を行う照合ECU(Electronic Control Unit)71が設けられている。照合ECU71には、車両1の各ドアに埋設されて車外にLF(Low Frequency)帯の無線信号を発信可能な車外LF発信機72と、車内床下等に埋設されて車内にLF帯の無線信号を発信可能な車内LF発信機73と、車内後方の車体等に埋設されてUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号を受信可能なUHF受信機74とが接続されている。照合ECU71は、固有のキーコードとしてIDコードが記憶されたメモリ71aを備えている。
【0025】
一方、電子キー80には、車両1との間で電子キーシステム70に準じた無線通信を行う際のコントロールユニットとして通信制御部81が設けられている。通信制御部81は、固有のキーコードとしてIDコードが記憶されたメモリ81aを備えている。通信制御部81には、外部で発信されたLF帯の信号を受信可能なLF受信部82と、通信制御部81の指令に従いUHF帯の信号を発信可能なUHF発信部83とが接続されている。
【0026】
照合ECU71は、車両駐車時、車外LF発信機72からリクエスト信号Srqを間欠的に発信させ、車両1の周辺に車外通信エリアAo(図8参照)を形成して、スマート通信(車外通信)の成立を試みる。また、照合ECU71は、車外照合が成立してドアロックが解錠された後、ドアが開けられて運転者が乗車したことを例えばカーテシスイッチで認識すると、今度は車内LF発信機73からリクエスト信号Srqを発信して車内全域に車内通信エリアAi(図8参照)を形成して、スマート通信(車内通信)の成立を試みる。
【0027】
照合ECU71は、リクエスト信号Srqに対する応答として電子キー80からIDコード信号Sidを受信すると、ID照合としてスマート照合を実行する。照合ECU71は、車外の電子キー80とスマート照合、即ち車外照合が成立することを確認すると、その時点でリクエスト信号Srqの送信を一旦停止し、所定時間内においてドアロックECU78にドアロックの施解錠を許可する。そして、ドアロックECU78は、ドアハンドル56に設けられるロックセンサ57にユーザが触れるとドアロック装置79によるドアロックの施錠を実行する。また、ドアロックECU78は、ドアハンドル56に設けられるアンロックセンサ58にユーザが触れるとドアロック装置79によるドアロックの解錠を実行する。また、照合ECU71は、車内の電子キー80とスマート照合、即ち車内照合が成立することを確認すると、ハイブリッドシステム3の始動を許可する。
【0028】
プラグインハイブリッド式の車両1は、プラグイン式の充電システム60によってバッテリ4に充電する。充電システム60は、例えば住宅や充電スタンド等の外部電源61に設けられた給電プラグ10を車両1に接続してバッテリ4に充電する。この給電プラグ10は、接続ケーブル12を介して外部電源61として例えば交流(商用電源)200Vに接続されている。
【0029】
車両1には、同車両1における給電プラグ10の接続先としてインレット5が設けられている。インレット5は、例えば車体の前方側面にガソリン車の給油口のように搭載されている。インレット5には、給電プラグ10を挿し込む受電コネクタ20が取り付けられている。受電コネクタ20は、給電プラグ10から送り込まれた交流電圧をコンバータ6によって直流電圧に変換して車両1のバッテリ4に送って、バッテリ4に電力を充電する。車両1は、受電コネクタ20に給電プラグ10が嵌合されるとともに、ユーザが携帯する電子キー80により認証が成立すると、充電が可能となる。なお、車両1が搭載機器に相当する。
【0030】
図2に示されるように、インレット5の中央には、受電コネクタ20が取り付けられている。そして、この受電コネクタ20の挿込口21の内部には、給電プラグ10を受電コネクタ20に電気的に繋ぐ複数の接続端子25が設けられている。接続端子25は、電力の伝送経路となるパワー端子25aや、各種信号の通信経路となる信号端子25b等を備える。受電コネクタ20の外周面上部22には、給電プラグ10の係止爪16が係合先として係止部23が形成されている。
【0031】
図3に示されるように、給電プラグ10の本体11の先端11aには、受電コネクタ20の挿込口21に嵌着される円筒状の嵌着部14が備えられている。嵌着部14の内部には、受電コネクタ20に設けられる接続端子25と電気的に接続される複数の接続端子15が設けられている。接続端子15は、電力の伝送経路となるパワー端子15aや、各種信号の通信経路となる信号端子15b等を備える。
【0032】
この嵌着部14の上部には、給電プラグ10を受電コネクタ20に挿し込んだ際に、この挿し込み状態を保持する係止爪16が設けられている。係止爪16は、受電コネクタ20に係合する状態(同図の実線)をとると、給電プラグ10を受電コネクタ20に保持する状態をとり、係止爪16が嵌着部14から開くように傾動する状態(同図の二点鎖線)をとると、給電プラグ10を受電コネクタ20から取り外すことが可能な状態となる。係止爪16は、付勢ばね17によって通常時において閉じた状態をとり、本体11のグリップ部13の上側の操作部18を押し操作すると、回動軸19を中心軸として開き状態に操作可能となっている。
【0033】
図1に示されるように、車両1には、充電に関わる制御を行う充電ECU75が設けられている。充電ECU75は、車内LAN(Local Area Network)76を介して照合ECU71と通信可能であり、照合ECU71からID照合の成立結果を確認可能である。充電ECU75は、充電開始の条件として、ID照合が成立することと、給電プラグ10が受電コネクタ20に嵌着したこととを確認する。
【0034】
図4及び図5に示されるように、充電システム60に設けられる給電プラグロック装置40には、機構部分としてロック機構(電動ロック機構)41の各種部品を収納するケース42が設けられている。本例の給電プラグロック装置40は、駆動手段としてのモータ43の駆動力によって伝達部材(ギア付きシャフト)44が回転すると、この伝達部材44の回転運動がストッパ45の直線運動に変換され、ストッパ45の直線移動によりロックバー46が係止爪16の上方に位置するロック部材47に係合して、係止爪16をロック状態にする。なお、ロック状態とは、係止爪16が開き状態をとることができない状態をいう。
【0035】
モータ43の駆動軸には、円柱状の伝達部材44が駆動軸と一体回転可能に固定されている。伝達部材44の外周には、周方向に沿って螺子溝が切られた雄螺子部44aが形成されている。
【0036】
伝達部材44には、ロックバー46に当接してロックバー46をモータ43の軸方向に変位させるストッパ45が螺合されている。ストッパ45の中央部には伝達部材44の軸方向に貫通孔が形成され、同貫通孔に伝達部材44の雄螺子部44aが螺合する雌螺子部45aが形成されている。すなわち、伝達部材44は、自身の雌螺子部45aをストッパ45の雌螺子部45aに螺合することにより、一体に組み付けられている。これにより、伝達部材44がモータ43によって回動されると、伝達部材44の雄螺子部44aがストッパ45の雌螺子部45a内を回動して、ストッパ45が伝達部材44の軸方向へ直線移動する。係止部23に係合した状態の係止爪16に当接するロック部材47が係止爪16の上方に位置し、回動軸47aを中心に回動可能に設けられている。このロック部材47の係合部47bにロックバー46が係合することでロック部材47の変位が規制されると、係止爪16の変位も係止されてロック状態となる。ストッパ45は、ロックバー46がロック部材47の係合部47bに係合することで係止爪16の変位を規制するロック位置(規制位置)と、ロックバー46がロック部材47の係合部47bに非係合である係止爪16の変位を規制しないアンロック位置(非規制位置)との2位置の間を往復動可能である。
【0037】
ストッパ45には、ロック部材47の動きを規制する部品として板状のロックバー46が嵌装されている。ロックバー46の中央には、ストッパ45の下部(ストッパ下部)45bが遊嵌される緩衝孔46aが形成されている。この緩衝孔46aは、挿し込み状態にあるストッパ下部45bとの間に、伝達部材44の軸方向において隙間を持った状態で形成されている。そして、ストッパ下部45bが緩衝孔46aの内壁に当接した状態でストッパ45がロック位置からアンロック位置へ変位することにより、ロックバー46がロック位置からアンロック位置へ変位する(図4参照)。
【0038】
この緩衝孔46aとストッパ下部45bとのロック部材47側の隙間には、付勢ばね48が取り付けられている。この付勢ばね48は、ロックバー46を常にロック側に付勢している。付勢ばね48によってストッパ下部45bが緩衝孔46aのモータ43側の内壁に常に当接している。そして、ストッパ45がアンロック位置からロック位置へ変位すると、ストッパ下部45bが付勢ばね48を介して緩衝孔46aの内壁を押して、ロックバー46がアンロック位置からロック位置へ変位する(図5参照)。なお、係止爪16の半嵌合等によってロックバー46がアンロック位置からロック位置へ移動できないときには、緩衝孔46aと付勢ばね48とによってストッパ45の変位を吸収して、ロックバー46への負荷を緩衝する。
【0039】
図2に示されるように、給電プラグロック装置40には、係止爪16が係止部23内に挿入されたか否かを検知する挿入検知スイッチ27が設けられている。挿入検知スイッチ27は、係止部23に挿入された係止爪16が接触して変位するスライドピース26の変位を検知することで、係止爪16の挿入を検知する。スライドピース26は、係止爪16の挿入位置に突出しており、係止爪16が挿入すると係止爪16の挿入方向と直交する側面方向へ変位する。なお、スライドピース26は、係止爪16の挿入位置側へ常に付勢されている。挿入検知スイッチ27が検出手段として機能する。
【0040】
図1に示されるように、インレット5には、給電プラグロック装置40のコントロールユニットとしてロックECU77が設けられている。ロックECU77は、車内LAN76に接続され、各種ECUと各種情報のやり取りが可能である。ロックECU77は、インレット5のロック機構41に設けられる挿入検知スイッチ27及びモータ43に接続されている。ロックECU77は、モータ43を通電制御することにより、ロック機構41の動作状態をロック状態又はアンロック状態に切り換える。
【0041】
本実施例の充電システム60は、給電プラグ10が受電コネクタ20に接続されると、車両1のドアロックのロック動作に連動して、給電プラグ10を受電コネクタ20に係止状態とする給電プラグロック装置40のロック動作が行われる。挿入検知スイッチ27は、係止爪16が係止部23に位置しているか否かを監視する。そして、挿入検知スイッチ27は、係止爪16が係止部23に位置したことを検知すると、挿入検知信号を充電ECU75やロックECU77へ出力する。
【0042】
図2に示されるように、インレット5には、インレット5の表側を覆うカバーモジュール7が取り付けられている。カバーモジュール7には、受電コネクタ20の挿込口21を露出させる開口部30が形成されるとともに、受電コネクタ20の挿込口21以外を覆うようになっている。
【0043】
カバーモジュール7には、給電プラグロック装置40のロックを解除するときに操作するアンロックスイッチ31が設けられている。アンロックスイッチ31は、例えばプッシュ式のモーメンタリスイッチからなるとともに、プッシュ操作時に操作信号(スイッチ信号)をロックECU77に出力する。アンロックスイッチ31は、受電コネクタ20の近傍に位置し、リッド9が開操作されると外部に露出する。なお、アンロックスイッチ31が操作手段として機能する。
【0044】
カバーモジュール7には、電子キーシステム70のID照合の成立を示す認証ランプ32が設けられている。認証ランプ32は、ロックECU77に接続され、点灯状態がロックECU77にて制御される。認証ランプ32は、電子キーシステム70のID照合(車外照合)が成立すると、ロック操作時及びアンロック操作時の各々において、所定時間の間、緑色で点灯する。これによりユーザが認証状態を認識し易くなる。また、認証ランプ32は、給電プラグロック装置40の動作に異常があるときは、赤色で連続点灯する。なお、認証ランプ32が報知手段として機能する。
【0045】
カバーモジュール7には、バッテリ4の充電量を示す充電インジケータ33が設けられている。充電インジケータ33は、ロックECU77に接続され、表示がロックECU77にて制御される。充電インジケータ33は、3個の表示部が縦に並んでおり、バッテリ4の充電量に合わせてこれらの表示部が点灯する。充電インジケータ33は、満充電となると3個の表示部全てが点灯する。充電インジケータ33は、インレット5に設けられる蓋となるリッド9が開いている間は常に点灯し、リッド9が閉じられると消灯する。
【0046】
インレット5には、リッド9の開蓋を検知するリッド開閉検知スイッチ35が設けられている。リッド開閉検知スイッチ35は、リッド9が閉蓋すると接触して収納されるスライドピース36の変位を検知することでリッド9の開蓋を検知して、ロックECU77にリッド開信号を出力する。なお、スライドピース36は、受電コネクタ20に取り付けられているとともに、カバーモジュール7から突出してインレット5の正面側へ常に付勢されている。
【0047】
図1に示されるように、ロックECU77には、照合ECU71からID照合の結果を取得するID照合結果取得部77aが設けられている。ID照合結果取得部77aは、例えば照合ECU71からID照合結果信号(ID照合成立信号、ID照合不成立信号)を定期的に受け取るものでもよいし、或いは照合ECU71に問い合せてID照合結果信号を定期的に取得するものでもよい。なお、ID照合結果取得部77aがID照合結果取得手段に相当する。
【0048】
ロックECU77には、認証ランプ32の点灯を制御するランプ点灯制御部77bが設けられている。ランプ点灯制御部77bは、電子キーシステム70のID照合(車外照合)が成立すると、所定時間の間、認証ランプ32に認証完了表示として緑色で点灯させる。また、ランプ点灯制御部77bは、給電プラグロック装置40のロック動作又はアンロック動作が通常通り動作しない際には、認証ランプ32にエラー表示として赤色で連続点灯させる。
【0049】
ロックECU77には、ロック機構41の動作を制御するロック機構制御部77cが設けられている。ロック機構制御部77cは、ロック機構41がアンロック状態の際、係止爪16の挿入検知信号を取得しているとともに、照合ECU71から電子キーシステム70の車外のID照合成立信号を取得したことを条件に、モータ43へ正回転の駆動信号を出力してロック機構41をロック状態に切り換える。つまり、給電プラグ10をインレット5に挿し込んだとき、車外照合が成立していれば、給電プラグロック装置40がロック状態となる。
【0050】
また、ロック機構制御部77cは、ID照合(車外照合)が成立するとともに、車両1に設けられたアンロックスイッチ31が操作されたことを条件に、受電コネクタ20から給電プラグ10を取り外すことを可能とする。つまり、給電プラグロック装置40をアンロックに切り換えるには、車外照合の成立と、アンロックスイッチ31の操作とが条件となっている。この場合、アンロックスイッチ31が操作されると操作信号がロックECU77へ出力される。ロック機構制御部77cは、ロック機構41がロック状態の際、アンロックスイッチ31から操作信号を取得するとともに、ID照合成立信号を取得したことを条件に、モータ43へ逆回転の駆動信号を出力してロック機構41をアンロック状態に切り換える。
【0051】
ここで、インレット5はID照合が成立する車外通信エリアAo及び車内通信エリアAi内に位置しない場合(図8参照)には、ID照合の成立とアンロックスイッチ31の操作との両方が同時に成立し難い。そこで、ロック機構制御部77cは、ユーザが移動してアンロックスイッチ31を操作するまでの時間に相当する所定時間T1(例えば5秒)内はID照合が成立しているとして処理する。このため、ロックECU77には、ID照合が成立してからの経過時間を計測するタイマカウンタ77dが設けられている。なお、ロック機構制御部77cが制御手段に相当する。
【0052】
また、ロック機構41をアンロック状態に切り換えてから所定時間T2(例えば3秒)経過しても給電プラグ10をインレット5から引き抜く操作がない場合には、第3者に勝手に給電プラグ10を取り外されるおそれがある。そこで、ロックECU77は、モータ43へ正回転の駆動信号を出力してロック機構41をロック状態に切り換える。
【0053】
充電システム60は、リッド9が開蓋されると、カバーモジュール7に設けられた充電インジケータ33に充電量を表示する。ロックECU77は、リッド開閉検知スイッチ35からリッド開蓋信号が入力すると、充電ECU75へ問い合わせて定期的に充電量を取得する。また、ロックECU77は、取得した充電量を充電インジケータ33に表示させる。ロックECU77は、バッテリ4の充電量が残り少ない状態に合わせて、充電インジケータ33の3個の表示部のうち最下部の表示部のみ点灯させている(図2参照)。
【0054】
次に、給電プラグ10でバッテリ4に充電を行うときにとる動作と、給電プラグロック装置40の働きとについて図2、図4〜図10を参照して説明する。
まず、図2に示されるように、給電プラグ10で車両1のバッテリ4に充電する際には、インレット5のリッド9を開ける。このとき、リッド9が開いたことに伴って、リッド開閉検知スイッチ35に接続されるスライドピース36がインレット5の正面側へ変位するので、リッド開閉検知スイッチ35からロックECU77にリッド開蓋信号が出力される。すると、ロックECU77は、取得した充電量に基づいて充電インジケータ33に充電量を表示させる。ここでは、充電量が低下しているので、充電インジケータ33の最下部の表示部が点灯する。続いて、受電コネクタ20のコネクタ蓋24を開ける。
【0055】
続いて、図6に示されるように、給電プラグ10を受電コネクタ20に挿し込む際には、係止爪16が係止部23に入り込むように位置を合わせ、その状態のまま給電プラグ10を受電コネクタ20の軸方向に沿って奥に挿し込む。このとき、係止爪16の側面がスライドピース26に当接しながら、係止爪16が係止部23へ押し込まれる。挿入検知スイッチ27は、スライドピース26の変位によって係止爪16の挿入を検知して、挿入検知信号をロックECU77へ出力する。
【0056】
そして、給電プラグ10が受電コネクタ20の奥まで挿し込まれると、給電プラグ10の接続端子15と受電コネクタ20の接続端子25とが接続される。このとき、係止爪16の上面は、ロック部材47に接触している。給電プラグ10の接続端子15とインレット5の接続端子25とが接続されると、ロックECU77は、信号端子25bを介して接続信号を取得して、給電プラグ10とインレット5とが接続されたことを認識する。
【0057】
図9に示されるように、ロックECU77は、まず給電プラグ10がインレット5に接続されたか否かを確認する(ステップS1)。給電プラグ10がインレット5に接続されていない場合(ステップS1:NO)には、処理を終了する。
【0058】
ロックECU77は、給電プラグ10が受電コネクタ20に接続されたことを確認する(ステップS1:YES)と、ID照合(車外照合)が成立したか否かを判断する(ステップS2)。すなわち、ID照合結果取得部77aがドアロックECU78からID照合成立信号があるか否かを確認する。そして、ロックECU77は、ID照合が成立しない場合(ステップS2:NO)には、ID照合が成立するまで、すなわちID照合結果取得部77aがID照合成立信号を取得するまで待機する。
【0059】
一方、ロックECU77は、ID照合が成立する場合(ステップS2:YES)には、給電プラグロック装置40をロック状態とする(ステップS3)。本例の場合、例えば、図8の実線で示されるように、ユーザは、左側面前方に設けられたインレット5に近づいて、給電プラグ10をインレット5に接続して、助手席ドア周辺に形成された車外通信エリアAoに進入している。なお、車外通信エリアAoへの進入は、電子キー80を所持する正規ユーザが各ドアの車外側に形成されるいずれの車外通信エリアAoに進入すればよい。
【0060】
ロックECU77のロック機構制御部77cは、係止爪16の挿入検知信号及びID照合成立信号を取得したことを条件に、ロック機構41のモータ43へ正回転の駆動信号を出力して、ロックバー46をロック部材47に係合させる(図4参照)。よって、係止爪16の変位がロック部材47に規制されるので、係止爪16の引き抜きが規制されたロック状態となる。このロック状態において給電プラグ10からインレット5に電流が流し込まれ、バッテリ4の充電が開始される。
【0061】
係止爪16がロック状態である際、例えば第三者等が給電プラグ10をインレット5から取り外そうとしたとする。このとき、係止爪16を係止部23の外部へ抜き出そうとしても、係止爪16はロック部材47によって当接されるので、抜出が規制される。これにより、給電プラグ10を無理に引き抜こうとしても、給電プラグ10をインレット5から取り外すことができない。
【0062】
なお、図9及び図10に示されるように、ロックECU77は、ID照合成立から所定時間T1内は認証ランプ32を点灯する(ステップS12)。ここで、仮に、ロック機構41をロック状態にした後に、ID照合成立から所定時間T1内にアンロックスイッチ31が操作された場合(ステップS13)には、アンロック動作を行う(ステップS14)。アンロック動作の詳細は、給電プラグロック装置40のアンロック時に記載する。
【0063】
図10に示されるように、ロックECU77は、充電が完了すると、ID照合(車外照合)が成立したか否かを判断する(ステップS11)。すなわち、ID照合結果取得部77aが照合ECU71からID照合成立信号があるか否かを確認する。そして、ロックECU77は、ID照合が成立しない場合(ステップS11:NO)には、ID照合が成立するまで、すなわちID照合結果取得部77aがID照合成立信号を取得するまで待機する。
【0064】
一方、ロックECU77は、ID照合が成立する場合(ステップS11:YES)には、認証ランプを点灯させる(ステップS12)。すなわち、ランプ点灯制御部77bは、認証ランプ32を認証完了表示として緑色で所定時間T1の間点灯させる(図7参照)。
【0065】
そして、ロックECU77は、アンロックスイッチ31への操作があったか否かを判断する(ステップS13)。ロックECU77は、アンロックスイッチ31から操作信号がない場合(ステップS13:NO)には、操作信号があるまで待機する。
【0066】
一方、ロックECU77は、アンロックスイッチ31から操作信号がある場合(ステップS13:YES)には、給電プラグロック装置40をアンロック状態とする(ステップS14)。ここでは、バッテリ4の充電が完了すると、インレット5から給電プラグ10を取り外す作業に移行し、ユーザは車外通信エリアAoへの進入と、アンロックスイッチ31への操作とが行われている。よって、図8の破線で示されるように、ユーザは、助手席ドア周辺に形成された車外通信エリアAoに進入した後に、左側面前方に設けられたインレット5に近づき給電プラグ10をインレット5から取り外す。なお、車外通信エリアAoへの進入は、電子キー80を所持する正規ユーザが各ドアの車外側に形成されるいずれの車外通信エリアAoに進入すればよい。
【0067】
ロックECU77のロック機構制御部77cは、ID照合成立信号及びアンロックスイッチ31の操作信号を取得したことを条件に、ロック機構41のモータ43に逆回転の駆動信号を出力して、ロックバー46をロック部材47から離間させる(図5参照)。よって、ロックバー46とロック部材47との係合状態が解除されたアンロック状態となる。
【0068】
そして、給電プラグ10の引き抜き操作を行うと、給電プラグ10は受電コネクタ20から取り出すことができる。このとき、給電プラグ10の操作部18を押して係止爪16を持ち上げることにより係止部23との係合を解除して係止爪16が係止部23の外側へ引き出される。これにより、給電プラグ10をインレット5から取り外すことができる。
【0069】
給電プラグロック装置40がアンロック状態となってから所定時間T2内に、給電プラグ10が受電コネクタ20から取り外されない場合には、給電プラグロック装置40がロック状態となる。
【0070】
ロックECU77は、給電プラグロック装置40がアンロック状態となる(ステップS14)と、給電プラグ10の引き抜き操作があるか否かを判断する(ステップS15)。すなわち、ロックECU77は、挿入検知スイッチ27から挿入検知信号を取得していないか否かで判断する。そして、ロックECU77は、挿入検知信号を取得しない場合(ステップS15:YES)には、処理を終了する。
【0071】
一方、ロックECU77は、挿入検知信号を取得する場合(ステップS15:NO)には、給電プラグロック装置40がアンロック状態となってから所定時間T2経過したか否かを判断する(ステップS17)。ロックECU77は、所定時間T2経過していなければ(ステップS17:NO)、ステップS15に移行する。
【0072】
一方、ロックECU77は、所定時間T2経過していれば(ステップS17:YES)、給電プラグロック装置40をロック状態とする(ステップS18)。ロックECU77のロック機構制御部77cは、係止爪16の挿入検知信号及びID照合成立信号を取得したことを条件に、ロック機構41のモータ43へ正回転の駆動信号を出力して、ロックバー46をロック部材47に係合させる(図4参照)。
【0073】
さて、本実施形態では、ドアロックのID照合成立に伴って、給電プラグロック装置40が給電プラグ10を係止状態となるロック動作を行うとともに、ドアロックのID照合が成立したことと、インレット5に設けられるアンロックスイッチ31を操作したことを条件に給電プラグロック装置40がアンロック動作を行う。このため、給電プラグロック装置40に、ユーザを認証する新たな認証装置を搭載することなく、ユーザ認証を容易に行うことができる。よって、ユーザ認証に基づいて給電プラグロック装置40を動作させることができる。
【0074】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)ドアロックの施解錠に使用する電子キーシステムのID照合の結果を照合ECU71からID照合結果取得部77aが取得することで、ユーザ認証を行い、ID照合が成立する際に、ロック機構41の動作を制御する。このため、給電プラグロック装置40にユーザ認証を行うための認証装置を搭載することなく、ユーザ認証を容易に行うことができる。
【0075】
(2)ID照合の結果に加え、アンロックスイッチ31が操作されたことを条件に給電プラグロック装置40のアンロック動作を行うので、車両1のドアロックのID照合成立のみでは給電プラグロック装置40のアンロック動作は行われない。このため、給電プラグロック装置40の動作回数を抑制することができる。よって、給電プラグロック装置40を不要に実行させずに済む。
【0076】
(3)給電プラグロック装置40の動作がドアロックの施解錠と連動する場合、給電プラグロック装置40をアンロックしたときには、それに伴ってドアロックも解錠した状態をとる。よって、給電プラグ10の取り外しをしている間に、第3者によってドアを開けられ、車内の荷物を盗難される可能性も否めない。しかし、本例の場合は、ドアロックと給電プラグロックとが連動していないので、このような問題は生じない。
【0077】
(4)ID照合の成立に伴ってロック機構41をロック状態に動作させ、ID照合の成立に加えて、アンロックスイッチ31の操作があるとロック機構41をアンロック状態に動作させる。このため、ID照合の成立に伴ってロック機構41が毎回動作することを防止できる。また、ID照合の成立に伴って給電プラグロック装置40をロック状態にするので、ロック操作を忘れることを抑制できる。
【0078】
(5)給電プラグ10が受電コネクタ20に接続されると、給電プラグロック装置40の動作を開始するので、最低限必要なときのみロック機構41を動作させることができる。
【0079】
(6)給電プラグロック装置40をアンロック状態に動作して所定時間T2経過しても給電プラグ10がインレット5から取り外されないと、給電プラグロック装置40をロック状態に戻す。このため、給電プラグロック装置40をアンロック状態にして給電プラグ10をインレット5から取り外すことを忘れたとしても、給電プラグロック装置40を再度ロックするので盗電等を防止することができる。
【0080】
(7)ID照合の成立から所定時間T1の間にアンロックスイッチ31の操作があれば、給電プラグロック装置40が動作する。このため、ドアロックのID照合が可能な車外通信エリアAoとアンロックスイッチ31の設置場所が離れているような場合に、ID照合を成立させてからアンロックスイッチ31を操作することで、ロック機構41を動作させることができる。また、所定時間T1内の間でないと、アンロックスイッチ31の操作が許可されないので、給電プラグロック装置40の不正操作を防止することができる。
【0081】
(8)アンロックスイッチ31がインレット5の受電コネクタ20の近傍であるカバーモジュール7に設置されるので、ユーザが操作し易い。また、リッド9が開いた際にアンロックスイッチ31が外部に露出するので、第3者に操作される心配がなく必要なときのみ操作することができる。
【0082】
(9)ID照合が成立すると、認証ランプ32が点灯することで、ユーザがアンロック操作時に、認証ランプ32の点灯によって給電プラグロック装置40のアンロック操作が可能であることを把握することができる。
【0083】
(10)電子キーシステム70の無線認証によって本人認証を行うので、盗難防止に効果的で、給電プラグロック装置40の認証のために新たな装置を設けずに済む。
(11)係止爪16にロック部材47が当接した状態でロックバー46がロック部材47の変位を規制することでロック状態とすることができるとともに、ロックバー46がロック部材47との係合を解除することでアンロック状態とすることができる。このため、簡易な構成で係止爪16の変位を規制して、ひいては給電プラグ10をインレット5の受電コネクタ20に係止状態とすることができる。
【0084】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態において、ロック機構41のロックバー46の移動方向は任意に設定可能である。
【0085】
・上記実施形態において、ロック機構41は、モータ43に駆動されたロックバー46がロック部材47に係合することで給電プラグ10の係止爪16を係止したが、ロックバー46が直接係止爪16を係止してもよい。
【0086】
・上記実施形態において、ロック機構41は、モータ43で駆動するようにしたが、ソレノイド等の他の駆動手段で駆動するようにしてもよい。
・上記実施形態では、給電プラグ10に設けられた係止爪16を規制する給電プラグロック装置40を採用したが、給電プラグ10の嵌着部14等の抜け止めを係止する等、他の給電プラグ10を受電コネクタ20に係止状態とするロック装置を採用してもよい。
【0087】
・上記実施形態において、給電プラグロック装置40をアンロック動作させる際に、例えば先にアンロックスイッチ31を操作させ、この操作状態をメモリ等に記憶保持しておく。そして、この状態下でID照合が成立すると、給電プラグロック装置40がロックからアンロックに切り換わるものでもよい。詳しくは、図11に示されるように、ロックECU77は、充電が完了すると、アンロックスイッチ31への操作があったか否かを判断する(ステップS21)。ロックECU77は、アンロックスイッチ31から操作信号がない場合(ステップS21:NO)には、操作信号があるまで待機する。一方、ロックECU77は、アンロックスイッチ31から操作信号がある場合(ステップS21:YES)には、ID照合が成立するか否かを判断する(ステップS22)。すなわち、ID照合結果取得部77aが照合ECU71からID照合成立信号があるか否かを確認する。そして、ロックECU77は、ID照合が成立しない場合(ステップS22:NO)には、ID照合が成立するまで、すなわちID照合結果取得部77aがID照合成立信号を取得するまで待機する。一方、ロックECU77は、ID照合が成立する場合(ステップS22:YES)には、給電プラグロック装置40をアンロック状態とする(ステップS23)。
【0088】
・上記実施形態では、給電プラグロック装置40のロック動作時には、ID照合の成立を条件としたが、ID照合の成立に関わらず、インレット5に給電プラグ10が接続されたことに基づいて給電プラグロック装置40をロック動作させてもよい。
【0089】
・上記構成において、インレット5にロックスイッチを備えて、給電プラグロック装置40のロック動作時には、ID照合の成立に加えて、ロックスイッチの操作を条件に給電プラグロック装置40をロック動作させてもよい。また、アンロックスイッチ31とロックスイッチとを両方備えてもよいし、1つのスイッチを操作する度にロック/アンロックが交互に切り換わるものでもよい。
【0090】
・上記実施形態において、アンロックスイッチ31は、受電コネクタ20の隣位置、つまりリッド9により開閉される部屋に配置されることに限らず、他の位置に設けてもよい。
【0091】
・上記構成において、アンロックスイッチ31を省略して、単にID照合成立結果のみを基に動作させてもよい。詳しくは、図12に示されるように、ロックECU77は、ID照合が成立したか否かを判断する(ステップS11)。すなわち、ID照合結果取得部77aが照合ECU71からID照合成立信号があるか否かを確認する。そして、ロックECU77は、ID照合が成立しない場合(ステップS11:NO)には、ID照合が成立するまで、すなわちID照合結果取得部77aがID照合成立信号を取得するまで待機する。一方、ロックECU77は、ID照合が成立する場合(ステップS11:YES)には、給電プラグロック装置40をアンロック状態とする(ステップS14)。そして、所定時間T2内に給電プラグ10の引き抜き操作がない場合(ステップS15:NO、ステップS17:YES)には、給電プラグロック装置40をロック状態とする(ステップS18)。
【0092】
・上記実施形態では、ID照合の成立から所定時間T1の間にアンロックスイッチ31の操作があればロック機構41を動作させた。しかしながら、車外通信エリアAo内にアンロックスイッチ31が設置されていれば、所定時間T1を設定せず、ID照合の成立とアンロックスイッチ31の操作とが同時にあることをもってロック機構41を動作させてもよい。
【0093】
・上記実施形態では、アンロックスイッチ31の操作から所定時間T1の間にID照合が成立すればロック機構41を動作させた。しかしながら、車外通信エリアAo内にアンロックスイッチ31が設置されていれば、所定時間T1を設定せず、ID照合の成立とアンロックスイッチ31の操作とが同時にあることをもってロック機構41を動作させてもよい。
【0094】
・上記実施形態では、ロック機構41がアンロック状態になってから所定時間T2の間に給電プラグ10の引き抜き操作がないとロック機構41をロック状態とした。しかしながら、アンロック状態であることを音等で報知して、自動でロック状態に戻らない構成を採用してもよい。なお、アンロックスイッチ31を搭載しない場合には、自動でロック状態に戻ることが望ましい。
【0095】
・上記実施形態では、ID照合として車外照合に基づいてロック機構41を動作させたが、ID照合として車内照合に基づいてロック機構41を動作させてもよい。また、車外照合と車内照合とのいずれも採用してもよい。
【0096】
・上記実施形態では、インレット5を左側面前方に設けたが、左側面前方以外にインレット5を設けてもよい。
・上記構成において、カバーモジュール7を省略した構成を採用してもよい。この場合、アンロックスイッチ31、認証ランプ32、充電インジケータ33等は受電コネクタ20や車体51のインレット5等に搭載することとなる。
【0097】
・上記実施形態において、電子キーシステム70は、例えばIDコードの発信元としてトランスポンダを使用するイモビライザーシステムを採用してもよい。
・上記実施形態では、車両1からリクエスト信号Srqを発信して電子キー80がIDコード信号Sidを返信してID照合を行うスマート照合を採用したが、電子キー80のボタンを操作することで車両1のドアロックの施解錠を行うワイヤレス通信によるID照合を採用してもよい。
【0098】
・上記実施形態において、電子キーシステム70で使用する電波の周波数は、必ずしもLFやUHFに限定されず、これら以外の周波数が使用可能である。また、車両1から電子キー80に電波発信するときの周波数と、電子キー80から車両1に電波を返すときの周波数とは、必ずしも異なるものに限定されず、これらを同じ周波数としてもよい。
【0099】
・上記実施形態において、ユーザ認証は、必ずしも電子キー80を使用したキー認証に限定されず、例えば生体認証等の他の認証を応用してもよい。
・上記実施形態において、接続ケーブル12に充電の開始・停止を操作する充電オンオフスイッチを設けてもよい。
【0100】
・上記実施形態では、プラグインハイブリッド式の車両1のインレット5に適用したが、プラグインハイブリッド式の車両に限らず、電気自動車のインレット等に適用してもよい。
【0101】
・上記実施形態において、ロックECU77と照合ECU71とを繋ぐバスは、専用のCANやLIN等であってもよい。
・上記実施形態において、本例の給電プラグロック装置40の搭載先である搭載機器は、必ずしも車両1のみに適用されることに限らず、充電式バッテリを持つ装置や機器であれば、その採用先は特に限定されない。
【0102】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想をその効果と共に記載する。
(イ)前記操作手段は、前記インレットにおいて受電コネクタの近傍に位置し、前記インレットを開閉するリッドを開状態にすると外部に露出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【0103】
同構成によれば、操作手段がインレットの受電コネクタの近傍に位置するので、ユーザが操作し易い。また、リッドが開いた際に操作手段が外部に露出するので、第3者に操作される心配がなく必要なときにのみ操作することが可能となる。
【0104】
(ロ)請求項1〜6、技術的思想(イ)のいずれかに記載の給電プラグロック装置において、前記ドアロックのID照合が成立すると、ID照合の成立をユーザに報知する報知手段を備えたことを特徴とする給電プラグロック装置。
【0105】
同構成によれば、ID照合の成立、すなわちユーザ認証が完了すると報知手段が認証完了をユーザに報知するので、ユーザは給電プラグロック装置のロック操作やアンロック操作する際に、報知手段の報知によって給電プラグロック装置の操作が可能であることを把握することが可能である。
【0106】
(ハ)前記制御手段は、前記ロック機構をロック状態にする際には前記給電プラグが前記インレットに接続されたことに基づいて動作させ、前記ロック機構をアンロック状態にする際には前記ID照合の成立に加え、前記操作手段の操作があることを条件に動作させることを特徴とする請求項2に記載の給電プラグロック装置。
【0107】
同構成によれば、給電プラグロック装置をアンロック状態にするときのみ、ユーザが操作手段を操作するので、ユーザによる操作をアンロック時のみ追加することで、ドアロックのID照合成立に基づいてロック機構が毎回動作することを防止することが可能となる。また、インレットへの給電プラグの接続で給電プラグロック装置をロック状態になるので、ユーザによるロック操作が不要であるとともに、ロック操作を忘れることを抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0108】
1…搭載機器としての車両、4…バッテリ、5…インレット、6…コンバータ、7…保護部材としてのカバーモジュール、9…リッド、10…給電プラグ、16…係止爪、20…受電コネクタ、21…挿込口、23…係止部、27…検出手段としての挿入検知スイッチ、30…開口部、31…操作手段としてのアンロックスイッチ、32…報知手段としての認証ランプ、34…雌螺子部、35…リッド開閉検知スイッチ、40…給電プラグロック装置、41…ロック機構、42…ケース、43…モータ、46…ロックバー、47…ロック部材、55…ボルト、51…車体、52…ボルト取付部、53…ボルト取付部、54…ボルト取付部、56…ドアハンドル、57…ロックセンサ、58…アンロックセンサ、59…ボルト取付部、60…充電システム、70…電子キーシステム、71…照合ECU、75…充電ECU、77…ロックECU、77a…ID照合結果取得手段としてのID照合結果取得部、77b…ランプ点灯制御部、77c…制御手段としてのロック機構制御部、77d…タイマカウンタ、78…ドアロックECU、79…ドアロック装置、80…通信端末としての電子キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インレットに接続した給電プラグを、ロック機構をロック状態にすることで前記インレットに固定することにより、当該給電プラグを該インレットに抜け止めし、前記ロック機構をアンロック状態にすることで前記給電プラグを前記インレットから取り外し可能とする給電プラグロック装置であって、
前記インレットが搭載される搭載機器のドアロックの施解錠に使用する電子キーシステムのID照合の結果を取得するID照合結果取得手段と、
前記ID照合の成立を条件に、前記ロック機構の動作を制御する制御手段と、を備えた
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給電プラグロック装置において、
前記ロック機構の動作状態を切り換えるときに操作する操作手段を備え、
前記ID照合の成立のみならず、前記操作手段の操作も条件に加え、前記ロック機構の動作を制御する
ことを特徴とする給電プラグロック装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ロック機構をロック状態にする際には前記ID照合の成立に基づいて動作させ、前記ロック機構をアンロック状態にする際には前記ID照合の成立に加え、前記操作手段の操作があることを条件に動作させる
ことを特徴とする請求項2に記載の給電プラグロック装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ID照合が成立してから一定時間の間に前記操作手段の操作があることを条件に、前記ロック機構の動作を制御する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の給電プラグロック装置。
【請求項5】
前記給電プラグに前記インレットが接続されているか否かを検出する検出手段を備え、
前記制御手段は、前記給電プラグが前記インレットに接続されたことを条件に前記ロック機構の動作を行う
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。
【請求項6】
前記給電プラグに前記インレットが接続されているか否かを検出する検出手段を備え、
前記制御手段は、前記ロック機構をロック状態からアンロック状態に切り換えたとき、前記給電プラグが前記インレットから取り外されない場合には、一定時間経過後に前記ロック機構をロック状態に動作する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の給電プラグロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−79503(P2012−79503A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222450(P2010−222450)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】