説明

給電制御装置

【課題】本体部とケーブルとの着脱が容易な給電制御装置を提供する。
【解決手段】電動車両への給電を制御する給電制御部を具備した本体部1と、本体部1に接続されて電源から電力供給を受ける第1ケーブル2と、本体部1に接続されて電動車両への給電を行う第2ケーブルとを備えた給電制御装置10である。本体部1と、第1ケーブル2あるいは第2ケーブルとは、一方に筒状の筒体部5aを有する取付係止部5を備えている。また、他方は、筒体部5aに挿入される挿入部4aを有する取付部4を備えている。取付係止部5は、筒体部5aの内壁面5aa側から筒状の内部に突出する突出量が変化可能な爪部6aを有する弾性係止片6を備えており、爪部6aと挿入部4aの外面4a1側の係合部4acとを係合することで、取付部4側と係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、家屋の外壁に取り付けられるコンセントなどの電源側と、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などの車両(以下、電動車両という)に搭載される二次電池とを電気的に接続し、二次電池への給電を制御する給電制御装置が用いられている。
【0003】
この種の給電制御装置として、電動車両への充電を制御する本体ブロックと、本体ブロックと電気的に接続され電源から電力供給を受ける電源側ケーブルと、本体ブロックと電気的に接続され電動車両への給電を行う自動車側ケーブルとを備えたものが知られている(たとえば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1の給電制御装置は、図8に示すように、電源側ケーブルや自動車側ケーブルなどのケーブルに設けられたホルダー103と、本体ブロック101のハウジング102全体とを覆うケース106を有している。ケース106は、ハウジング102を挟んで結合する半割体106a,106bで構成されている。各半割体106a,106bそれぞれは、本体部163a,163bと、ハウジング102から突設された結合部121(嵌合筒121a)を囲む半円環部161a,161bとを有している。
【0005】
給電制御装置は、ホルダー103が結合部121に取り付けられる際、ホルダー103の接続凹部(図示していない)に嵌合筒121aが押し込まれるに従い、係合片135が係合凸部121eに沿って徐々に弾性変形する。給電制御装置は、やがて、係合凸部121eが係合穴135aに至ると、係合片135が弾性復帰して係合凸部121eが係合穴135aに係入することで、ホルダー103が結合部121に結合して保持される。
【0006】
ケース106は、ハウジング102を固定した状態で、結合部分である係合穴135aと、係合穴135aに係入された係合凸部121eとをそれぞれ覆っている。ケース106は、係合凸部121eを係合穴135aから抜くような係合片135の弾性変形を不可能とし、ハウジング102からのホルダー103の分離が禁止される。
【0007】
特許文献1の給電制御装置は、ケーブル側の交換時における整備性が改善できる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−176920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、電源と接続される電源側プラグの形状は、国や地域などによって異なる場合もあり、電源側プラグの形状ごとに給電制御装置を製造していたのでは多品種が必要となる。同様に、電動車両側と接続する車両側プラグの形状は、車種などによって異なる場合もあり、車種ごとに給電制御装置を製造していたのでは多品種が必要となる。そのため、給電制御装置は、電源側プラグや車両側プラグを交換できるものが望まれる場合がある。また、給電制御装置は、ケーブル側が破損した場合、ケーブル側だけを給電制御装置の本体部とは別途に交換するニーズもある。
【0010】
上述の特許文献1の給電制御装置では、本体ブロック101とケーブル側との着脱を係合凸部121eと係合片135の係合穴135aとにより行っており、本体ブロック101とケーブル側とを固定しケース106を用いて防水性を高めている。そのため、給電制御装置は、本体ブロック101からケーブル側を交換することが可能であるものの、ケーブル側を本体ブロック101から取り外す際、ケース106をハウジング102から取り外す必要がある。
【0011】
電動車両側と電源側とを接続させる給電制御装置は、本体部と、ケーブルとの着脱が、より容易なものも求められている。
【0012】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、本体部とケーブルとの着脱が容易な給電制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の給電制御装置は、電動車両への給電を制御する給電制御部を具備した本体部と、該本体部に接続されて電源から電力供給を受ける第1ケーブルと、上記本体部に接続されて上記電動車両への給電を行う第2ケーブルとを備えた給電制御装置であって、上記本体部と、上記第1ケーブルあるいは上記第2ケーブルとは、一方に筒状の筒体部を有する取付係止部を備え、他方に上記筒体部に挿入される挿入部を有する取付部を備えており、上記取付係止部は、上記筒体部の内壁面側から上記筒状の内部に突出する突出量が変化可能な爪部を有する弾性係止片を備えており、上記爪部と上記挿入部の外面側の係合部とを係合することで、上記取付部側と係止可能なことを特徴とする。
【0014】
この給電制御装置において、上記取付係止部は、上記挿入部を上記筒体部へ挿入するにあたって、上記本体部と、上記第1ケーブルあるいは上記第2ケーブルとの電気的な接続を行う接続端子部同士の位置を合わせる位置合わせ部を上記筒体部に備えていることが好ましい。
【0015】
この給電制御装置において、上記筒体部は、上記挿入部の上記外面側と接触して上記筒体部と上記挿入部との間から水分が浸入することを抑制する防水シール材を上記内壁面側に備えていることが好ましい。
【0016】
この給電制御装置において、上記取付係止部は、上記筒体部の外壁面側に設けられた上記弾性係止片が上記外壁面側と上記内壁面側とを貫通する孔部に挿通して上記筒体部の上記内壁面側に上記爪部を突出させており、上記外壁面側において上記弾性係止片側に当接し上記弾性係止片の上記外壁面側から離れる方向への撓みを規制することで上記爪部が上記係合部に係合状態で固定可能な位置と、上記弾性係止片の撓みにより上記内壁面側から上記筒状の内部に突出する上記爪部の突出量を減少させて上記爪部と上記係合部との係合状態を解除可能な位置との間を変位する撓み規制部を備えていることが好ましい。
【0017】
この給電制御装置において、上記防水シール材は、上記筒体部における上記挿入部の挿入方向において、上記孔部よりも上記挿入方向の奥側に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の給電制御装置は、本体部とケーブルとの着脱を容易にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の給電制御装置の本体部の要部を示す断面説明図である。
【図2】同上の給電制御装置の要部を示す分解斜視図である。
【図3】同上の給電制御装置の要部を示す平面図である。
【図4】同上の給電制御装置を示す外観図である。
【図5】同上の給電制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】同上の給電制御装置における取付部の取付係止部への装着を説明する説明図である。
【図7】同上の給電制御装置における取付部の取付係止部からの取り外しを説明する説明図である。
【図8】従来の給電制御装置の要部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施形態の給電制御装置10を、図1ないし図7を用いて説明する。本実施形態の給電制御装置10については、給電制御装置10の要部を図1ないし図3で説明し、給電制御装置10全体の構成を図4および図5を用いて説明する。また、本実施形態の給電制御装置10は、給電制御装置10の要部の動作を図6および図7を用いて説明する。
【0021】
まず、最初に本実施形態の給電制御装置10全体の構成を説明する。本実施形態の給電制御装置10は、図4に示すように、電動車両(図示していない)への給電を制御する給電制御部を具備した本体部1を備えている。また、給電制御装置10は、本体部1に接続されて電源(図示していない)から電力供給を受ける第1ケーブル2と、本体部1に接続されて上記電動車両への給電を行う第2ケーブル3とを備えている。
【0022】
本実施形態の給電制御装置10における本体部1は、図1および図2で示すように、筒状の筒体部5aを有する取付係止部5を備えている。また、給電制御装置10の第1ケーブル2は、筒体部5aに挿入される挿入部4aを有する取付部4を備えている。
【0023】
特に、本実施形態の給電制御装置10における取付係止部5は、筒体部5aの内壁面5aa側から筒状の内部に突出する突出量が変化可能な爪部6aを有する弾性係止片6を備えている。取付係止部5は、爪部6aと挿入部4aの外面4a1側の係合部4acとが係合することで取付部4側と係止可能としている。
【0024】
これにより、本実施形態の給電制御装置10は、本体部1と、第1ケーブル2との着脱を容易にすることが可能となる。なお、本実施形態の給電制御装置10では、第1ケーブル2に筒状の筒体部5aを有する取付係止部5を備え、本体部1に筒体部5aに挿入される挿入部4aを有する取付部4を備えた構成でもよい。
【0025】
本実施形態の給電制御装置10では、本体部1と第2ケーブル3とを予め接続固定したものを示している。給電制御装置10は、本体部1と第2ケーブル3とが、第1ケーブル2と同様に、一方に筒状の筒体部5aを有する取付係止部5を備え、他方に筒体部5aに挿入される挿入部4aを有する取付部4を備えた構成としてもよい(図示していない)。これにより、給電制御装置10は、本体部1と、第2ケーブル3との着脱を容易にすることが可能となる。
【0026】
なお、電動車両には、電動機を動力源とする車両として、たとえば、動力源として電動機のみを備えた電気自動車(EV)や電動バイクなどが挙げられる。また、電動車両は、動力源としてエンジンと電動機と備え両者を併用するハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などであってもよい。
【0027】
以下、本実施形態の給電制御装置10の各構成について、より詳細に説明する。
【0028】
本体部1は、図4で例示するように、電動車両に設けられた充電ポート(図示していない)に接続される充電ガンたる車両側プラグ30を備えた第2ケーブル3と接続している。また、本体部1は、電源に接続する電源側プラグ20を備えた第1ケーブル2と接続する。給電制御装置10は、電源から電力供給を受ける第1ケーブル2と接続された本体部1、本体部1と接続された第2ケーブル3を介して電動車両の二次電池へ給電することができる。車両側プラグ30は、電動車両と電気的および機械的に接続する円柱状の接続部30bが突出するL字状のボディ部30aを備えている。車両側プラグ30は、ボディ部30aの接続部30bと反対側から第2ケーブル3のケーブル部3aが導出している。車両側プラグ30は、接続部30bに内蔵する導電部(図示してない)により、上述の充電ポート側に給電する。車両側プラグ30のボディ部30aには、利用者が車両側プラグ30を握り易いようにグリップ部30hが設けられている。
【0029】
また、車両側プラグ30には、電動車両の二次電池を充電中に車両側プラグ30が電動車両の充電ポートから脱落しないように、充電ポートに設けられた電動車両の係止部に引っ掛ける係止爪30gaを備えた金属製のラッチ部30gが設けられている。
【0030】
車両側プラグ30のボディ部30aには、ケーブル部3aが導出するボディ部30aの背面に、押ボタン式のリリーススイッチ30cが設けられている。車両側プラグ30は、リリーススイッチ30cによって、係止爪30gaを備えたラッチ部30gを駆動させることができる。
【0031】
第2ケーブル3は、電源側に給電制御部として充電回路遮断装置((CCID(ChargingCircuit Interrupt Device))を具備する本体部1に取り付けられている。本体部1は、電動車両との接続状態の検出や漏電検出、異常時における電動車両側と電源側との間の電気的接続の切り離しを行うことができる。なお、本実施形態の給電制御装置10では、第1ケーブル2が接続される本体部1のボディ1aと反対側のボディ1aに筒部1fを設けている(図3を参照)。給電制御装置10は、本体部1のボディ1aに設けた筒部1f側から図示していないコードブッシュを介してケーブル部3aを挿出させている。また、本体部1は、コードブッシュをキャップ3bで覆って保護している(図4を参照)。
【0032】
本体部1は、図5に示す電源回路11、制御回路12やリレー13などを、本体部1におけるボディ1aの内部に収納して構成している。給電制御装置10は、たとえば、商用交流電源などの電源側と電動車両側との間で、導電路を構成する。導電路は、電圧側極の導電路となる電圧側ラインL1と、接地側極の導電路となる接地側ラインL2と、接地極の導電路となるグランドラインL3とを備えている。さらに、第2ケーブル3側の導電路には、電動車両側から本体部1へ電気信号を伝送する電路となる信号ラインL4も備えている。
【0033】
給電制御装置10は、本体部1が電圧側ラインL1と接地側ラインL2とにそれぞれ接続されて電源側から電動車両側への給電の入/切を制御するリレー13を備えている。さらに、本体部1は、リレー13の入/切を制御する制御回路12を有している。また、本体部1は、リレー13よりも電源側において電圧側ラインL1と接地側ラインL2とグランドラインL3とにそれぞれ接続されて制御回路12の電源を生成する電源回路11を備えている。本体部1は、リレー13よりも電源側において電圧側ラインL1と接地側ラインL2とが貫挿される零相変流器14を備えている。
【0034】
本体部1は、零相変流器14に誘導される誘導電流に基いて、制御回路12が漏電を検出する。本体部1は、制御回路12が漏電を検出した場合、電動車両側へ給電することを中止するようにリレー13を制御回路12が制御する。すなわち、給電制御装置10の本体部1は、電源回路11、制御回路12、リレー13および零相変流器14などが給電制御部を構成している。また、給電制御装置10の本体部1は、第1ケーブル2の電圧側極の電線2C1と第2ケーブル3の電圧側極の電線3C1との電気的接続の入/切をリレー13によって制御している。給電制御装置10の本体部1は、第1ケーブル2の接地側極の電線2C2と第2ケーブル3の接地側極の電線3C2との電気的接続の入/切をリレー13によって制御している。
【0035】
給電制御装置10は、リレー13の接点が開成した状態で本体部1側から電動車両へ給電する給電経路が遮断され、リレー13の接点が閉成した状態では、本体部1側から電動車両への給電が可能となる。制御回路12は、パイロット信号を電動車両に搭載されたECU(ElectronicControl Unit)に送信することにより、本体部1の定格電流を通知することができる。これにより、ECUでは、本体部1の定格電流に基づいた充電電流で電動車両の二次電池を充電する。また、制御回路12は、漏電などの異常を検出した場合、リレー13の接点を強制的に開成して給電経路を遮断する機能を有している。
【0036】
本体部1は、ボディ1aの前面に、図4に示すように3つの表示灯1dが、ボディ1aの長手方向(図4の紙面の左右方向)に沿って設けている。表示灯1dは、たとえば、それぞれ互いに発光色の異なる発光ダイオードから成り、表示灯1dの点灯状態により、電動車両の二次電池の充電状態などを確認することができるように構成している。
【0037】
次に、給電制御装置10の本体部1は、図1に示すように、給電制御部を構成する回路部を収納するボディ1aと、ボディ1aの収納凹部1aaを閉塞するカバー1bとを有している。また、本体部1は、ボディ1aの長手方向に向けてボディ1aの一端部側から突設された有底円筒形状の筒体部5aをボディ1aと一体形成している。本体部1は、ボディ1aとカバー1bとを、それぞれ合成樹脂の成型品で形成している。本体部1は、カバー1bとボディ1aとを、たとえば、螺子止めにより結合させることができる。さらに、本体部1は、たとえば、合成ゴムのような柔軟な材料からなり平面視が環状のパッキン1cを、ボディ1aとカバー1bとの間に介装している。これにより、本体部1は、ボディ1a側とカバー1b側との間で隙間が発生することを抑制し、ボディ1aとカバー1bとの間の防水性を確保することが可能となる。
【0038】
また、本体部1は、表示灯1d、電源回路11、制御回路12やリレー13などの電子部品を、図示していないプリント配線板上に実装して備えている。本体部1では、電子部品が実装されたプリント配線板を収納凹部1aaの内部に収納している。
【0039】
次に、給電制御装置10の第1ケーブル2では、第1ケーブル2の一端部に、外部の商用交流電源などの電源と電気的に接続する電源側プラグ20を備えている。電源側プラグ20は、電源側プラグ20の端部から栓刃20aを突出させている(図4を参照)。第1ケーブル2は、第1ケーブル2の他端部側に、本体部1と取り外し可能に接続可能な取付部4を備えている。第1ケーブル2は、電源側プラグ20と、取付部4とを第1ケーブル2のケーブル部2aで電気的に接続させている。取付部4は、円柱状の挿入部4aを備えている。
【0040】
取付部4は、たとえば、電気絶縁性の樹脂材料により形成することができる。取付部4では、図2に示すように、挿入部4aの先端側に複数個(ここでは、3個)の挿入孔4aaが設けられている。挿入部4aは、挿入部4aの内部で各挿入孔4aaに対応する位置に、第1ケーブル2側の接続端子部となる導電性のコンタクト部4eを各別に備えている。第1ケーブル2では、取付部4の各コンタクト部4eが電線2C1,2C2,2C3と一対一に対応して設けられている。
【0041】
挿入部4aでは、本体部1側の接続端子部となるコンタクト片1eが挿入孔4aaから挿入される。コンタクト部4eは、コンタクト片1eと接触してコンタクト片1eを保持できるように、断面視がC字形状に形成している。コンタクト部4eは、対向する一対の接触片4e1,4e1をコンタクト部4eの先端部に備えている。一対の接触片4e1,4e1は、コンタクト片1eが挿入しやすいように、対向する接触片4e1,4e1が互いに離れる外方に折り曲げられた形状をしている。コンタクト部4eは、たとえば、金属板の打ち抜き加工と折り曲げ加工とを施すことにより形成することができる。第1ケーブル2は、コンタクト部4eが本体部1の筒体部5aの内部で突出するコンタクト片1eと接触して電気的導通が取れるように構成している(図1を参照)。
【0042】
給電制御装置10は、取付部4と取付係止部5との係合により、コンタクト片1eが挿入孔4aaに挿入されるとコンタクト部4eの一対の接触片4e1,4e1が離れるように弾性変形する。コンタクト部4eは、接触片4e1の弾性変形に伴う弾性力によりコンタクト片1eへの接触圧を確保することが可能としている。
【0043】
次に、取付係止部5における有底円筒形状の筒体部5aは、取付部4における円柱状の挿入部4aが挿入可能なように、筒体部5aの内径を挿入部4aの外径よりも僅かに大きく形成している。
【0044】
取付係止部5は、筒体部5aの外壁面5ab側に設けられた弾性係止片6が外壁面5ab側と内壁面5aa側とを貫通する孔部5acに挿通して筒体部5aの内壁面5aa側に爪部6aを突出させている。取付係止部5は、外壁面5ab側において弾性係止片6側に当接し弾性係止片6の外壁面5ab側から離れる方向への撓みを規制することで爪部6aが係合部4acに係合状態で固定可能な撓み規制部9を備えている。取付係止部5の撓み規制部9は、爪部6aが係合部4acに係合状態で固定可能な位置と、弾性係止片6の撓みにより内壁面5aa側から筒状の内部に突出する爪部6aの突出量を減少させて爪部6aと係合部4acとの係合状態を解除可能な位置との間を変位する。言い換えれば、撓み規制部9は、筒体部5aの外壁面5abに沿ってスライドするスライドカバーとして機能する。撓み規制部9は、筒体部5aの外壁面5abに設けられたコイルばね部8で押圧され本体部1側と反対側にばね圧で付勢されている。取付係止部5は、筒体部5aの外壁面5abに沿って撓み規制部9を、挿入部4aの挿入方向(図7(b)の矢印を参照)にスライドさせることにより、弾性係止片6を外壁面5ab側から離れる方向へ変位させて爪部6aと挿入部4aとの係止を解除させることが可能となる。
【0045】
筒体部5aは、挿入部4aの外面4a1側と接触して筒体部5aと挿入部4aとの間から水分が浸入することを抑制する防水シール材7を内壁面5aa側に備えている。防水シール材7は、たとえば、円環状のゴム材により形成することができる。給電制御装置10は、防水シール材7を備えることにより、比較的簡単な構成で筒体部5aと挿入部4aとの間から水分が浸入することを抑制可能な防水構造とすることが可能となる。また、防水シール材7は、筒体部5aにおける挿入部4aの挿入方向(図6(b)の矢印を参照)において、孔部5acよりも挿入方向の奥側に設けられている。これにより、給電制御装置10は、防水シール材7が弾性係止片6の爪部6aを挿通する孔部5acを介して浸入した水分を止水することが可能となる。
【0046】
給電制御装置10は、取付部4の挿入部4aを取付係止部5の筒体部5aに挿入させる際、各コンタクト片1eがそれぞれ対応するコンタクト部4eに挿入されるように位置合わせをした上で、挿入部4aを筒体部5aに挿入する。
【0047】
そのため、取付係止部5は、挿入部4aを筒体部5aへ挿入するにあたって、本体部1と、第1ケーブル2との電気的な接続を行う接続端子部(コンタクト片1e、コンタクト部4e)同士の位置を合わせる位置合わせ部5adを筒体部5aに備えている。位置合わせ部5adは、たとえば、挿入部4aの筒体部5aへの挿入方向に長手方向となる矩形状の嵌合凸部を筒体部5aの内壁面5aa側に設ければよい。また、挿入部4aでは、位置合わせ部5adとなる嵌合凸部である嵌合キーと対応して、嵌合可能なキー溝となる嵌合凹所4abを挿入部4aにおける外面4a1に設ければよい。言い換えれば、位置合わせ部5adは、本体部1と、第1ケーブル2とを、有底円筒形状の筒体部5aの中心軸(図示していない)回りに円柱状の挿入部4aが回動することを抑制する機能を果たす。これにより、給電制御装置10は、嵌合凹所4abに位置合わせ部5adを挿入する構成とすることで、本体部1と、第1ケーブル2とを電気的および機械的に接続させることが容易になる。
【0048】
給電制御装置10は、爪部6aと係合部4acとを利用して、本体部1と第1ケーブル2との着脱が制御できるように構成している。すなわち、給電制御装置10は、取付係止部5の筒体部5aが、挿入部4aを囲むように、筒体部5aの周方向に沿って複数個(ここでは、3個)設けられた孔部5acから筒体部5aの内壁面5aaに突出させる爪部6aを備えた弾性係止片6を設けている。弾性係止片6は、C字状の基端部6bに所定の間隔を隔てて複数個(ここでは、4個)設けている(図2を参照)。弾性係止片6は、爪部6aと基端部6bとを樹脂材料により一体的に形成している。給電制御装置10の本体部1は、筒体部5aの外壁面5abにリング状に設けた溝部5aeに、基端部6bを収納している。基端部6bは、筒体部5aの外壁面5ab側に設けられた突起部5afと突出部5agとの間で挟持されている。弾性係止片6は、基端部6bに対して、弾性係止片6の爪部6aが変位できるように弾性変形可能としている。
【0049】
給電制御装置10は、取付部4の挿入部4aにおいて、挿入部4aから外方に係合部4acを突設している。係合部4acは、挿入部4aが挿入される挿入方向の手前側ほど挿入部4aから外方への突出寸法が徐々に大きくなり、所定の位置から挿入部4aからの突出寸法が徐々に小さくなる、断面視V字形状に傾斜している。また、取付部4は、挿入部4aと取付係止部5の筒体部5aの開口部との当接面から水分の浸入を抑制する平面視が環状の防水リング4cを設けている。防水リング4cは、たとえば、合成ゴムのような柔軟な材料で形成すればよい。取付部4には、筒体部5a側と当接して防水リング4cが移動することを規制するため、挿入部4aの外面4a1側から突出する鍔部4dを備えている。
【0050】
給電制御装置10は、取付部4が取付係止部5に取り付けられる際、取付部4の挿入部4aが取付係止部5の筒体部5aが押し込まれるに従い、爪部6aが挿入部4aからの突出寸法が徐々に大きくなる係合部4acの形状に沿って徐々に弾性変形する。また、給電制御装置10は、取付部4が取付係止部5に取り付けられる際、取付部4の挿入部4aが取付係止部5の筒体部5aへさらに押し込まれるに従い、爪部6aが挿入部4aからの突出寸法が徐々に小さくなる係合部4acの形状に沿って徐々に形状が復帰する。言い換えれば、弾性係止片6は、断面視がV字状をしており、V字状の間隔が狭くなるように爪部6aが変位可能となっている。給電制御装置10は、爪部6aが係合部4acと係合することで、第1ケーブル2と本体部1とを係止することが可能となる。
【0051】
本実施形態の給電制御装置10は、たとえば、第1ケーブル2を使用地域の電源コンセント側の形状に合わせて本体部1と着脱自在な構成とすることが可能となる。
【0052】
次に、本実施形態の給電制御装置10における本体部1と第1ケーブル2との係止について図6を用いてより詳細に説明する。
【0053】
給電制御装置10は、取付部4の挿入部4aを取付係止部5の筒体部5aに挿入して、本体部1側と第1ケーブル2側とを係止するとともに、電気的に接続させる。本体部1では、筒体部5aに挿入部4aが挿入されるに従って、筒体部5aの内壁面5aa側から突出する爪部6aが挿入部4aにおける外面4a1側に接触することで、筒体部5aの内壁面5aa側に撓んで挿入部4aの挿入が行われる(図6(a)を参照)。
【0054】
本体部1では、さらに挿入部4aが筒体部5aに挿入されると、挿入部4aと、爪部6aが突出する孔部5acよりも筒体部5aにおける挿入方向(図6(b)の矢印を参照)の奥側に設けられた円環状の防水シール材7とが当接する。筒体部5aは、筒体部5aと挿入部4aとの間から水分が浸入することを、筒体部5aの内壁面5aa側に備えている防水シール材7より抑制することが可能となる(図6(b)を参照)。
【0055】
さらに、本体部1では、挿入部4aが筒体部5aに挿入されると、筒体部5aの内壁面5aa側の嵌合凸部となる位置合わせ部5adが挿入部4aにおける外面4a1の嵌合凹所4abと嵌合する。これにより、本体部1では、コンタクト部4eとコンタクト片1eとの位置合わせをしてコンタクト片1eを挿入孔4aaに挿入させることができる(図6(c)を参照)。
【0056】
最後に、本体部1は、筒体部5aの内底面5ae側に挿入部4aの先端部が当接するまで挿入されると、コンタクト部4eとコンタクト片1eとが電気的および機械的に接続される。また、本体部1は、爪部6aが挿入部4aの係合部4acと当接して、筒体部5aから挿入部4aが抜け出ることを抑制する(図6(d)を参照)。
【0057】
本体部1は、挿入部4aの筒体部5aへの挿入により、爪部6が挿入部4aの係合部4acを越えると、爪部6aの撓みによる付勢に伴って爪部6aが係合部4acと係止する。
【0058】
次に、本実施形態の給電制御装置10における本体部1と第1ケーブル2との係止を解除する方法について図7を用いてより詳細に説明する。
【0059】
給電制御装置10は、取付係止部5から取付部4を取り外す場合、図7(a)および図7(b)に示すように、スライドカバーである撓み規制部9をコイルばね部8の付勢に逆らって本体部1側に移動(図7(b)の矢印を参照)させる。給電制御装置10では、撓み規制部9が弾性係止片6と当接し弾性係止片6の外壁面5abから離れる方向への撓みを規制し爪部6aが挿入部4aと係止状態で固定された位置から、爪部6aが係合部4acとの係合状態を解除可能な位置に撓み規制部9が移動する。撓み規制部9では、撓み規制部9の移動に伴って撓み規制部9の内周に設けた弾性係止片6の一部を収納可能な収納凹所9aにより、弾性係止片6の基端部6b側が取付係止部5に保持されたまま、弾性係止片6の一部側が撓み規制部9と当接しなくなる。
【0060】
給電制御装置10は、この状態で、挿入部4aを筒体部5aから挿脱する挿脱方向(図7(c)の矢印を参照)に移動させる。本体部1では、挿入部4aの外面4a1側から突出する係合部4acが爪部6aを孔部5acから抜くように押圧し、弾性係止片6が外壁面5abから離れる方向へ撓むように弾性変形する(図7(c)を参照)。
【0061】
これにより、本実施形態の給電制御装置は、本体部1と第1ケーブル2との係止を解除して、本体部1から第1ケーブル2を容易に取り外すことが可能となる。
【0062】
なお、本実施形態の給電制御装置10は、第1ケーブル2と、本体部1とを着脱自在な構成として説明したが、第2ケーブル3と、本体部1とを着脱自在な構成としてもよい。また、給電制御装置10は、第1ケーブル2および第2ケーブル3と、本体部1とを着脱自在な構成としてもよい。
【0063】
いずれにしろ、本実施形態の給電制御装置10は、本体部1と、ケーブルとの着脱を容易にすることが可能となる。
【符号の説明】
【0064】
1 本体部
2 第1ケーブル
3 第2ケーブル
4 取付部
4a 挿入部
4a1 外面
4ac 係合部
5 取付係止部
5a 筒体部
5aa 内壁面
5ab 外壁面
5ac 孔部
5ad 位置合わせ部
6 弾性係止片
6a 爪部
7 防水シール材
9 撓み規制部
10 給電制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両への給電を制御する給電制御部を具備した本体部と、該本体部に接続されて電源から電力供給を受ける第1ケーブルと、前記本体部に接続されて前記電動車両への給電を行う第2ケーブルとを備えた給電制御装置であって、
前記本体部と、前記第1ケーブルあるいは前記第2ケーブルとは、一方に筒状の筒体部を有する取付係止部を備え、他方に前記筒体部に挿入される挿入部を有する取付部を備えており、
前記取付係止部は、前記筒体部の内壁面側から前記筒状の内部に突出する突出量が変化可能な爪部を有する弾性係止片を備えており、前記爪部と前記挿入部の外面側の係合部とを係合することで、前記取付部側と係止可能なことを特徴とする給電制御装置。
【請求項2】
前記取付係止部は、前記挿入部を前記筒体部へ挿入するにあたって、前記本体部と、前記第1ケーブルあるいは前記第2ケーブルとの電気的な接続を行う接続端子部同士の位置を合わせる位置合わせ部を前記筒体部に備えていることを特徴とする請求項1に記載の給電制御装置。
【請求項3】
前記筒体部は、前記挿入部の前記外面側と接触して前記筒体部と前記挿入部との間から水分が浸入することを抑制する防水シール材を前記内壁面側に備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給電制御装置。
【請求項4】
前記取付係止部は、前記筒体部の外壁面側に設けられた前記弾性係止片が前記外壁面側と前記内壁面側とを貫通する孔部に挿通して前記筒体部の前記内壁面側に前記爪部を突出させており、前記外壁面側において前記弾性係止片側に当接し前記弾性係止片の前記外壁面側から離れる方向への撓みを規制することで前記爪部が前記係合部に係合状態で固定可能な位置と、前記弾性係止片の撓みにより前記内壁面側から前記筒状の内部に突出する前記爪部の突出量を減少させて前記爪部と前記係合部との係合状態を解除可能な位置との間を変位する撓み規制部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の給電制御装置。
【請求項5】
前記防水シール材は、前記筒体部における前記挿入部の挿入方向において、前記孔部よりも前記挿入方向の奥側に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の給電制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−110873(P2013−110873A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254539(P2011−254539)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】