説明

絶縁構造を改良した平面垂直通電型(CPP)磁気抵抗(MR)センサ

【課題】絶縁構造を改良した平面垂直通電型(CPP)磁気抵抗(MR)センサを提供する。
【解決手段】CPP MRディスク・ドライブ読取りヘッドなどの平面垂直通電型(CPP)磁気抵抗(MR)センサは、センサを構成する層のスタックを囲む改良絶縁構造を有する。センサは、センサの側縁上で、およびセンサの強磁性バイアス層の下でセンサに隣接する下遮蔽層の領域上で、約1〜5nmの厚さを有する第1の窒化ケイ素層を有する。センサは、センサの後縁上で、およびセンサ後縁に隣接する下遮蔽層の領域上で、約2〜5nmの厚さを有する第2の窒化ケイ素層と、第2の窒化ケイ素層上の実質的により厚い金属酸化物層とを有する。絶縁構造は、センサの周辺で縁損傷を防止し、従って、実質的に小さい寸法を有するCPP MR読取りヘッドの製造を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、センサスタックを構成する層の平面に垂直に流した検出電流で動作する平面垂直通電型(CPP)磁気抵抗(MR)センサに関し、より詳細には、センサスタックを囲む絶縁構造を改良したCPP MRセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録ディスク・ドライブで読取りヘッドとして使用される1つの種類の従来の磁気抵抗(MR)センサは、巨大磁気抵抗(GMR)効果に基づく「スピンバルブ」センサである。GMRスピンバルブセンサは、通常は銅(Cu)である非磁性導電スペーサ層によって分離される2つの強磁性層を含む層のスタックを有する。スペーサ層に隣接する一方の強磁性層は、例えば隣接反強磁性層との交換結合でピン留めされることによって固定される磁化方向を有し、参照層と呼ばれる。スペーサ層に隣接する他方の強磁性層は、外部磁場の存在下で自由に回転する磁化方向を有し、自由層と呼ばれる。検出電流をセンサに流した状態で、外部磁場の存在のために参照層の磁化に対して自由層の磁化が回転すると、電気抵抗の変化として検出可能である。センサスタック内の層の平面と垂直に検出電流を流した場合、センサは、平面垂直通電型(CPP)センサと呼ばれる。
【0003】
CPP−GMR読取りヘッドに加えて、別の種類のCPP MRセンサは、非磁性スペーサ層が非常に薄い非磁性トンネル障壁層であるトンネルMRまたはTMRセンサとも呼ばれる磁気トンネル接合センサである。CPP−TMRセンサにおいて、層に垂直なトンネル電流は、2つの強磁性層内の磁化の相対的な配向に左右される。CPP−GMR読取りヘッドでは、非磁性スペーサ層を、導電性材料、通常Cuなどの金属で形成する。CPP−TMR読取りヘッドでは、非磁性スペーサ層を、電気絶縁材料、例えばTiO、MgOまたはAlで形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,465,185号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CPP MR読取りヘッド内のセンサスタックは、読み取られるデータビットに隣接しているディスク上の記録データビットから読取りヘッドを遮蔽する透磁性材料の2つの遮蔽体の間に設置されている。センサスタックは、トラック幅(TW)と呼ばれる幅を有するディスクに面する縁を有する。センサスタックは、ストライプ高さ(SH)と呼ばれるディスク向き縁から後縁までの寸法で、ディスクに面する縁から凹ませた後縁を有する。センサスタックは一般に、絶縁材料によってTW縁および後縁で囲まれている。強磁性バイアス材料の層は、静磁結合によって自由層の磁化を安定させるのに使用され、センサの両側においてTW縁の各側上の絶縁材料上に堆積される。データ密度が磁気記録ディスク・ドライブで増加すると、読取りヘッドの寸法、より詳細には、TW、SHおよび遮蔽体間の間隔を減少させる必要がある。従って、バイアス材料から自由層を分離する絶縁材料の厚さを減少させて、自由層の磁気安定化を維持する必要がある。
【0006】
必要なのは、センサスタックを囲む絶縁構造を改良したCPP MRセンサである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、センサを構成する層のスタックを囲む絶縁構造を改良したCPP−GMRまたはCPP−TMR読取りヘッドなどのCPP MRセンサである。センサは、センサの側縁上で側縁と接触し、かつ強磁性バイアス層の下でセンサに隣接する下遮蔽層の領域上の、第1の電気絶縁窒化ケイ素層を有する。第1の窒化ケイ素層は、センサの側縁上で1nm以上かつ5nm以下の厚さを有して、イオンミリング工程中に窒化ケイ素層の後退を最小にし、従って、自由層を介して向けられるのではなくバイアス層から上遮蔽層への磁束の部分的分流を防止する。センサは、センサの後縁上で後縁と接触し、かつセンサ後縁に隣接する下遮蔽層の領域上の第2の薄い電気絶縁窒化ケイ素層と、第2の窒化ケイ素層上の実質的に厚い金属酸化物層とを有する。第2の窒化ケイ素層は、酸化物層内の酸素が自由層に縁損傷を与えるのを防止して後退も最小にする、少なくとも2nmの厚さを有し、剥離を防止する約10nm未満の厚さを有する。より厚い金属酸化物層および下部のより薄い第2の窒化ケイ素層は、縁損傷を許容せず剥離の影響下にないセンサの後部で、絶縁構造を提供する。側面上厚さと磁場中厚さの比として規定される絶縁窒化ケイ素層のステップカバレッジ比は、好ましくは0.5〜1である。窒化ケイ素層を蒸着するイオンビーム蒸着(IBD)を使用した場合、入射角の選択によって比を選択する。絶縁構造は、センサの周辺で縁損傷を防止し、従って、実質的に小さい寸法、特にTWを有するCPP MR読取りヘッドの製造を可能にする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、センサスタックを囲む絶縁構造を改良したCPP MRセンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の性質および利点のより十分な理解のために、添付図面と一緒に次の詳細な説明を参照すべきである。
【図1】カバーを取り外した状態の従来の磁気記録ハードディスク・ドライブの略平面図である。
【図2】スライダの拡大端面図であり、図1中の方向2−2についてのディスクの断面である。
【図3】図2の方向3−3における図であり、ディスクから見た読み書きヘッドの端部を示す。
【図4】磁気遮蔽層間に設置された層のスタックを示すCPP MR読取りヘッドの断面略図である。
【図5】ダイヤモンド状炭素(DLC)層の除去およびシリコン(Si)層のイオンミリングの前のCPP MRセンサ構造の一部の断面図であり、窒化ケイ素絶縁層の上縁を示す。
【図6】実際のセンサの走査型透過電子顕微鏡(STEM)の画像に基づく線図であり、厚過ぎる窒化ケイ素絶縁層に起因する後退の問題を例示する。
【図7】センサスタック中の層の平面とABSの両方と直交する平面についてのCPP MR読取りヘッド構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明のCPP磁気抵抗(MR)センサは、磁気記録ディスク・ドライブ用に適用され、そのセンサの動作について、図1〜図3を参照して簡単に説明する。図1は、従来の磁気記録ハードディスク・ドライブのブロック図である。ディスク・ドライブは、ディスク・ドライブ・ハウジングまたはベース16上に支持された回転音声コイルモータ(VCM)アクチュエータ14および磁気記録ディスク12を含む。ディスク12は、回転中心13を有し、ベース16に取り付けられたスピンドルモータ(図示せず)によって方向15に回転される。アクチュエータ14は、軸17を中心として枢動し、剛性アクチュエータ・アーム18を含む。全体として柔軟なサスペンション20は、屈曲要素23を含み、アーム18の端部に取り付けられている。ヘッドキャリアまたは空気軸受スライダ22は、屈曲部23に取り付けられている。磁気記録読み書きヘッド24は、スライダ22の後面25上に形成されている。屈曲部23およびサスペンション20により、回転ディスク12によって生成される空気軸受上でスライダは「縦揺れ」および「横揺れ」することができる。通常、別々のスライダおよび読み書きヘッドを各ディスク面に対応付けた状態で、スピンドルモータによって回転されるハブ上に積み重ねられた多数のディスクがある。
【0011】
図2は、スライダ22の拡大端面図であり、図1中の方向2−2についてのディスク12の断面である。スライダ22は、屈曲部23に取り付けられ、ディスク12に面する空気軸受面(ABS)27とABSに略垂直な後面25とを有する。ABS27は、回転ディスク12からの気流が、ディスク12の面と非常に接近してまたは殆ど接触してスライダ22を支持する空気の軸受を生成するようにする。読み書きヘッド24は、後面25上に形成され、後面25上の端子パッド29との電気的接続によってディスク・ドライブ読み書きエレクトロニクスに接続されている。図2の断面図に示すように、ディスク12は、横トラック方向に間隔を空けた離散データトラック50を有するパターン化媒体ディスクであり、トラックのうち1つを読み書きヘッド24と対応させて整列させて示してある。離散データトラック50は、横トラック方向にトラック幅TWを有し、円周方向に連続磁化可能材料で形成してもよく、その場合、パターン化媒体ディスク12は離散トラック媒体(DTM)ディスクと呼ばれる。代わりに、データトラック50は、トラックに沿って間隔を空けた離散データ島を含んでもよく、その場合、パターン化媒体ディスク12はビットパターン化媒体(BPM)ディスクと呼ばれる。ディスク12は、記録層はパターン化されていないが記録材料の連続層である従来の連続媒体(CM)ディスクであってもよい。CMディスクでは、書込みヘッドが連続記録層に書き込んだ場合、トラック幅TWを有する同心データトラックを生成する。
【0012】
図3は、図2の方向3−3における図であり、ディスク12から見た読み書きヘッド24の端部を示す。読み書きヘッド24は、スライダ22の後面25上にリソグラフィでパターン化され堆積された一連の薄膜である。書込みヘッドは、垂直書込み磁極(WP)を含み、後および/または側遮蔽体(図示せず)を含んでもよい。CPP MRセンサまたは読取りヘッド100は、2つの磁気遮蔽体S1およびS2の間に設置されている。遮蔽体S1、S2は、透磁性材料、通常NiFe合金で形成されており、読取りヘッド100への導線として機能できるように導電性であってもよい。遮蔽体は、読み取られるデータビットに隣接している記録データビットから読取りヘッド100を遮蔽する機能を果たす。別々の導線を使用してもよく、その場合、遮蔽体S1、S2と接触している、タンタル、金または銅などの導線材料の層と接触して読取りヘッド100を形成する。図3は、非常に小さい寸法を示すのが難しいので原寸に比例していない。各遮蔽体S1、S2は通常、20〜40nmの範囲にある、トラック沿いの方向における読取りヘッド100の全厚に比べて、トラック沿いの方向に数ミクロンの厚さである。
【0013】
図4は、ディスクから見たCPP MRセンサ構造を構成する層を示すABSの図である。図4を使用して、この発明によるセンサ構造だけでなく先行技術のセンサ構造も説明する。センサ100は、2つの磁気遮蔽層S1、S2の間に形成された層のスタックを含むCPP MR読取りヘッドである。センサ100は、ABSにおける前縁とトラック幅(TW)を規定する間隔を空けた側縁102、104とを有する。遮蔽体S1、S2は、導電性材料で形成され、従って、センサスタック内の層と略垂直に流された検出電流I用の導線として機能することもできる。代わりに、別々の導線層を、遮蔽体S1、S2とセンサスタックとの間に形成してもよい。下遮蔽体S1を通常、化学機械研磨(CMP)によって研磨して、センサスタックの成長のために滑らかな基板を設ける。薄いRu/NiFe2層などのシード層101をS2の下に、通常スパッタリングによって堆積させて、比較的厚いS2の電気めっきを容易にする。
【0014】
センサ100の層は、(頁内で)横方向に配向された固定磁気モーメントまたは磁化方向121を有する参照強磁性層120と、ディスク12からの横外部磁場に応じて層110の平面上で回転できる磁気モーメントまたは磁化方向111を有する自由強磁性層110と、参照層120と自由層110との間の非磁性スペーサ層130とを含む。CPP MRセンサ100はCPP GMRセンサであってもよく、その場合、非磁性スペーサ層130を、導電性材料、通常Cu、AuまたはAgなどの金属で形成する。代わりに、CPP MRセンサ100はCPPトンネルMR(CPP−TMR)センサであってもよく、その場合、非磁性スペーサ層130は、TiO、MgOまたはAlなどの電気絶縁材料で形成されたトンネル障壁である。
【0015】
CPP MRセンサ内のピン留め強磁性層は、図4に示すように逆平行(AP)ピン留め構造または単一のピン留め層である。APピン留め構造は、実質的に逆平行に配向された2つのAPピン留め強磁性層の磁化方向を有する非磁性逆平行結合(APC)層によって分離された第1(AP1)および第2(AP2)の強磁性層を有する。一方の側面で非磁性APC層と、および他方の側面でセンサの電気的非磁性スペーサ層と接触しているAP2層は、参照層と通常呼ばれる。一方の側面で反強磁性または硬質磁石ピン留め層と、および他方の側面で非磁性APC層と通常接触しているAP1層は、ピン留め層と通常呼ばれる。硬質磁気層と接触している代わりに、一方の側面で下層と、および他方の側面で非磁性APC層とAP1が接触しているように、AP1は単独で硬質磁性材料からなることができる。APピン留め構造は、参照/ピン留め層とCPP MR自由強磁性層との間の正味の静磁結合を最小にする。「積層」ピン留め層、時には合成反強磁性体(SAF)とも呼ばれるAPピン留め構造は、(特許文献1)に記載されている。
【0016】
図4中のCPP GMRセンサ内のピン留め層は、AP結合(APC)層123を跨いで反強磁性的に結合された参照強磁性層120(AP2)および下強磁性層122(AP1)を有する周知のAPピン留め構造である。APC層123は通常、Ru、Ir、Rh、Crまたはそれらの合金である。自由強磁性層110だけでなくAP1およびAP2層も通常、結晶質CoFeまたはNiFe合金、またはこれらの材料の多層、例えばCoFe/NiFe2層で形成されている。AP1およびAP2強磁性層は、逆平行に配向されたそれらの各磁化方向127、121を有する。AP1層122は、図4に示すように反強磁性(AF)層124に交換結合されることによってピン留めされた磁化方向を有することができる。AF層124は通常、Mn合金、例えばPtMn、NiMn、FeMn、IrMn、PdMn、PtPdMnまたはRhMnである。代わりに、APピン留め構造は、「自己ピン留め」されてもよく、または、Co100−xPtまたはCo100−x−yPtCr(ただし、xは約8〜30原子百分率)などの硬質磁気層によってピン留めされてもよい。硬質磁気層と接触している代わりに、一方の側面で下層および他方の側面で非磁性APC層123とAP1層122が接触しているようにAP1層122は単独で硬質磁性材料からなることができる。「自己ピン留め」センサでは、AP1およびAP2層の磁化方向127、121を通常、製造センサ内に存在する残留応力および磁気歪みによってディスクと略垂直に設定する。AP1およびAP2層は同様のモーメントを有することが望ましい。これは、自由層110との静磁結合を最小にし、APピン留め構造の正味の磁化に略逆比例している、AF層124の有効ピン留め場が高いままであるように、APピン留め構造の正味の磁気モーメントが小さいことを保証する。硬質磁気ピン留め層の場合、自由層との静磁結合を最小にするのにAP1およびAP2のモーメントのバランスをとる際に硬質磁気ピン留め層のモーメントを考慮する必要がある。
【0017】
シード層125を、下遮蔽体S1とAPピン留め構造との間に設置してもよい。AF層124を使用する場合、シード層125は、AF層124の成長を高める。シード層125は通常、NiFeCr、NiFe、Ta、CuまたはRuの1つ以上の層である。キャッピング層112を、自由強磁性層110と上遮蔽体S2との間に設置する。キャッピング層112は、腐食を防止し、単一の層または異なる材料の多層、例えばRu、Ta、Ti、またはRu/Ta/Ru、Ru/Ti/Ru、またはCu/Ru/Taの3層であってもよい。
【0018】
対象範囲内の外部磁場、即ちディスク上の記録データからの磁場の存在下で、自由層110の磁化方向111は回転する一方、参照層120の磁化方向121は固定されたままであり回転しない。従って、検出電流Iをセンサスタックと垂直に上遮蔽体S2から下遮蔽体S1に(またはS1からS2に)流した場合、ディスク上の記録データからの磁場は、電気抵抗の変化として検出できる、参照層の磁化121に対する自由層の磁化111の回転を引き起こす。
【0019】
CoPtまたはCoCrPt硬質磁性バイアス層などの強磁性バイアス層115も通常、センサ100の側縁102、104の近くのセンサスタックの外側に形成されている。バイアス層115は、絶縁層116によってセンサ100の側縁102、104から電気的に絶縁されている。特にバイアス層がCoPtまたはCoPtCr層である場合、CrMoまたはCrTiのようなCr合金などのオプションのシード層114を絶縁層116上に堆積させてバイアス層115の成長を促進してもよい。Crの層またはTa/Crの多層などのキャッピング層118は、バイアス層115の上に堆積されている。キャッピング層118の上層、例えばCrも、センサの製造中に化学機械研磨(CMP)停止層としての目的にかなう。バイアス層115は、ABSと略平行な磁化117を有し、よって自由層110の磁化111に縦方向にバイアスをかける。従って、外部磁場の不在下で、その磁化117は自由層110の磁化111に平行である。強磁性バイアス層115は、反強磁性層に交換結合される強磁性層または硬質磁性バイアス層であってもよい。
【0020】
先行技術のCPP MRセンサにおいて、TWは、50nmを超え、通常50〜80nmの範囲にあり、絶縁層116はアルミナ(Al)である。この発明は、図4に示され記載されたものに似たCPP MRセンサであるが、センサ100は、50nm未満の実質的に減少したTWを有し、絶縁層116は、特定の厚さ範囲を有する窒化ケイ素で形成されている。従って、先行技術は好ましい絶縁材料としてアルミナを教示しているが、50nmを超える比較的大きいTWを有するセンサとの関連で窒化ケイ素が代替物として提案されている。しかし、この発明の開発の一部として、センサ側縁102、104、特に自由層110の縁でアルミナは縁損傷を与えることが発見されている。この損傷は、センサ製造プロセスで必要な工程である、堆積中または熱アニーリング後に酸素拡散のせいで生じる。センサTWが比較的大きい、例えば約50nmを超える場合、縁損傷は、センサの有効TW、ひいてはセンサ性能に比較的小さい影響を与える。しかし、TWを減らす場合、ディスクのデータ密度を増やすのに必要な場合、縁損傷は、センサの有効TWに許容できないほど大きい影響を与えることがある。先行技術は、アルミナに起因する縁損傷を教示していないかもしれない、またはセンサ性能に最小限の影響を与えるとみなしているかもしれない。
【0021】
窒化ケイ素絶縁層を有する多数のCPP TMRセンサを製造し、それらの性能を、アルミナ絶縁層を用いて製造された同数のCPP TMRセンサと比較した。センサは、60〜480nmの間のTWを有した。測定された磁気抵抗(△R/R)対抵抗面積の積(RA)のデータは、より小さいトラック幅でSiN絶縁層を有するセンサと比較してアルミナ絶縁層を有するセンサの場合に著しく低い△R/Rを示したが、より大きいトラック幅での前記両タイプのセンサの△R/Rは同一であった。縁損傷は、アルミナ中の酸素によって縁における自由層が酸化した可能性が高い。従って、縁損傷は、周辺に限定され、従って大きいTWのセンサと比較して小さいTWのセンサの場合にセンサ領域の大部分を占めるので、縁損傷は明らかに、より小さいTWで一層著しい。縁損傷は、センサ幅方向に合計最大約4nmの場合に最大約2nmであることがあり、40nmTWのセンサの場合にTWの約10%であると考えられる。
【0022】
窒化ケイ素層の目的は、バイアス層115への電流の分流がないようにセンサ100の側縁102、104および遮蔽体S1からバイアス層115およびオプションのシード層114を絶縁させることである。さらに、間隔層としての機能を果たすように窒化ケイ素層の厚さを選択して、自由層の安定化を最適化する。これらの目的のために、バイアス層を介してS2からS1、またはその逆への電流の分流および電気的ピンホールを防止するために厚い絶縁体を磁場(バイアス層の下)に有しながら自由層をうまく安定させるのに薄い絶縁体を側面上に有することが望ましい。側面上厚さと磁場中厚さの比として規定される絶縁体のステップカバレッジ比は通常、0.5〜1である。イオンビーム蒸着または制御入射角スパッタリング蒸着を使用すると、入射角を変えることによって、この比を容易に変えることができる。この発明では、窒化ケイ素を使用すると、上遮蔽体S2に面する絶縁層の縁で絶縁層が著しく後退することが発見されている。この後退は、先行技術で好ましい絶縁材料である理由を説明できる、アルミナでは観察されていない。
【0023】
CPP MRセンサ用の種々の製造方法および処理工程は、周知であり、この発明の一部ではない。しかし、窒化ケイ素絶縁層の後退の問題を説明し例示する前に、図4のCPP MRセンサ用の製造方法を簡潔に要約することは重要である。まず、センサ100のスタックを構成する層のすべてを完全な膜としてS1上に堆積させる。次に、薄いシリコン(Si)膜を完全な膜としてキャッピング層112上に堆積させる。Siは、次にダイヤモンド状炭素(DLC)などの硬質マスク材料の完全な膜を堆積させるための密着膜である。次に、フォトレジストの層をDLC上に堆積させる。次に、フォトレジストをリソグラフィでパターン化して、センサ100の2つの側縁102、104を規定する。イオンミリング工程は、S1に至るまでセンサ側縁の外側の層を除去する。次に、窒化ケイ素絶縁層116、バイアス層115用のオプションのシード層114、バイアス層115およびキャッピング層118の堆積によって側領域に再充填する。しかし、TWを規定するイオンミリング工程は遮蔽層S1に至るまでずっとは実行されないかもしれないことが分かるはずである。そのような場合、第1の窒化ケイ素層116は、S1と直接接触しているのではなく、残りのセンサ材料と直接接触している。次に、第2のSi密着層および第2のDLC層を、キャッピング層118の上に側領域で堆積させる。次に、フォトレジストおよびフォトレジストの上の堆積材料を、DLC層に至るまでリフトオフ支援の化学機械研磨(CMP)によって除去する。図5は、原寸に比例していない、製造プロセスの現時点でのセンサ構造の一部の断面図であり、キャッピング層112(センサスタック内の上層)上のSi/DLCとキャッピング層118上の側領域内のSi/DLCとの間に設置された窒化ケイ素絶縁層116の上端部116a、116bを示す。次に、反応性イオンエッチング(RIE)工程は、DLCを除去する。これにより、センサスタック上のSi層と側領域内のキャッピング層118上のSi層との間の窒化ケイ素層116の上端部116a、116bを残す。次に、イオンミリング工程を実行してSi層を除去する。これに続いて、センサスタックと側領域の両方の上のRu/NiFeシード層101の上キャップ堆積を行ってから、層101上のS2の電気めっきを行う。
【0024】
この発明の開発の一部として発見された窒化ケイ素層116の後退の問題を引き起こすのは、Si層のイオンミリングである。実際のセンサの走査型透過電子顕微鏡(STEM)の画像に基づく線図である図6は、窒化ケイ素を絶縁層として用いた場合の問題を例示する。次に層101の堆積のために、Si層を除去、ならびにキャッピング層118およびキャッピング層112を露光するためのイオンミリング中に、端部116a、116b(図5)における多過ぎる窒化ケイ素を除去することができ、凹んだポケットまたは領域116c、116dができる。従って、S2からの磁性材料が、凹んだポケットに堆積されて、バイアス層に一層近く突出したS2材料ができる。これにより、バイアス層115からS2への磁束が、部分的分流を生じ、自由層110を介して向けられるのではないために、自由層110の磁化の安定性の低下およびセンサの性能低下となる。窒化ケイ素は比較的高いミル速度を有するので、比較的厚い窒化ケイ素層で後退が生じることが発見されている。広いミル角度にわたる通常のイオンビーム出力設定における窒化ケイ素のミル速度は、絶縁層116として通常使用される酸化アルミニウムのミル速度よりも約2倍速い。従って、酸化アルミニウムの場合、後退は観察されない。しかし、窒化ケイ素がセンサの側面上で比較的薄い、例えば1nm以上で5nm以下好ましくは3nm以下である場合、S2に面する窒化ケイ素層の縁は、最小の後退を有し、従ってセンサ性能に悪影響がないようにバイアス層からの磁束がS2にそらされるのを防止することが、この発明で発見されている。センサの側面上の薄い窒化ケイ素層は、1のステップカバレッジ比または低いステップカバレッジ比、例えば、ステップカバレッジ比が0.5の全体に薄い層によって実現することができ、このとき磁場中の窒化ケイ素はセンサの側面上の窒化ケイ素よりも2倍厚い。0.5のステップカバレッジ比は、自由層の近くにバイアス層を配置して後退を最小にするだけでなく、より厚い絶縁層を磁場中に設けて分流も防止するので、好ましい。例えば、1のステップカバレッジ比の場合、窒化ケイ素層は、センサの側縁で約3nmの厚さ、バイアス層の下で約3nmの厚さを有する。0.5のステップカバレッジ比の場合、窒化ケイ素層は、センサの側縁で約3nmの厚さ、バイアス層の下で約6nmの厚さを有する。
【0025】
図7は、センサスタック中の層の平面とABSの両方と直交する平面についてのCPP MRセンサ構造の断面図である。図7を使用して、この発明によるセンサ構造および先行技術のセンサ構造との差を説明する。従って、ABSにおける前縁106およびABSから凹ませた後縁108を用いてセンサ100を図示する。前縁および後縁106、108は、センサ100のストライプ高さ(SH)を規定する。
【0026】
この発明では、層156および170を含む2層絶縁構造をセンサ100の後ろに、即ちABSから凹ませた領域に設置する。層156は、(第1の窒化ケイ素層116と区別するために)第2の窒化ケイ素層であり、層170はアルミナ層である。第2の窒化ケイ素層156は、センサ後縁108と接触しており、センサ後縁108の後ろで隣接する第1の遮蔽層S1の領域と接触している。センサの後縁を規定するイオンミリング工程を遮蔽層S1に至るまでずっと実行しないことも可能である。そのような場合、第2の窒化ケイ素層156は、S1と直接接触しているのではなく、残りのセンサ材料と直接接触している。アルミナ層170は、第2の窒化ケイ素層156上で第2の窒化ケイ素層156と接触している。
【0027】
図7に示す2層絶縁構造とは対照的に、先行技術では、好ましい絶縁構造は、センサ後縁108と接触し、センサ後縁108の後ろで隣接する第1の遮蔽層S1の領域と接触しているアルミナの単層である。しかし、上述のように、センサ側縁102、104に関して、センサに、特に自由層110の縁にアルミナは縁損傷を与えることが発見されている。この縁損傷は、センサ後縁108でも生じ、センサ性能をさらに低下させる。従って、この発明では、窒化ケイ素はセンサに縁損傷を与えないことが発見されているので、窒化ケイ素をセンサ後縁108で絶縁層156として使用する。従って、S1とS2との間の後領域全体に窒化ケイ素の単層を充填する、即ち、わずか1つの堆積工程を必要とする、窒化ケイ素と先行技術のアルミナ単層を単に交換することは好ましい。しかし、これを試みると、窒化ケイ素が剥離するまたは割れることが発見された。窒化ケイ素層156およびアルミナ層170の2層を使用することによって、この問題を解決した。剥離または割れが生じる前に窒化ケイ素層156は最大約10nmの厚さまで可能であることが分かっている。窒化ケイ素の厚さが少なくとも2nm、好ましくは2〜5nmである場合、これは、アルミナ層170がセンサ後縁108で縁損傷を与えるのを防止するのに十分な厚さであることも分かっている。窒化ケイ素層156の上縁156aは上述の後退の問題の影響下にあるので、窒化ケイ素層156をできるだけ薄くすることも望ましい。一例では、窒化ケイ素層156の厚さは3nmであり、アルミナ層170の厚さは31nmである。また、センサの縁における第1の窒化ケイ素層のように、センサの後部における第2の窒化ケイ素層は、約0.5〜約1のステップカバレッジ比を示すことができる。アルミニウムの酸化物(例えば、アルミナ)は層170用の好ましい材料であるが、酸化タンタル(Ta)および酸化マグネシウム(Mg)を含む他の金属酸化物を使用してもよい。
【0028】
本明細書では、第1の層116(図4)および第2の層156(図7)用の電気絶縁窒化ケイ素材料を説明するために、「窒化ケイ素」という用語は、Siおよびこの化学当量からのずれを意味し、Siの不飽和ダングリングボンドを有する窒素欠乏の窒化ケイ素(SiNと一般的に呼ばれる)を含むが、ただしSiの総量は最大50原子百分率まで、即ちSiおよびNが同量であることが可能であるとする。イオンビーム蒸着または制御入射角スパッタリング蒸着によって層をSiNで形成すると、窒化ケイ素は通常、アモルファスである。絶縁窒化ケイ素層は、比較的少量、即ち、最大10原子百分率までの第3の元素を含んでもよい。例えば、Mg、Ta、TiおよびCrなどの元素を窒化ケイ素に加えて、応力などの機械的性質、絶縁耐力などの電気的性質、または酸素との親和力などの化学的性質を変えてもよい。しかし、これらの少量の第3の元素を用いて、窒化ケイ素は電気絶縁状態のままであることが重要である。
【0029】
本発明は好ましい実施形態を参照して詳細に示され説明されているが、本発明の精神と範囲から離れることなく形状および細部の種々の変更を行うことができることは当業者が理解するであろう。従って、開示された発明は、例示するだけのものと考えられ、添付の特許請求の範囲に明記された範囲のみに限定されるべきである。
【符号の説明】
【0030】
12 磁気記録ディスク
14 回転音声コイルモータ・アクチュエータ
15 方向
16 ディスク・ドライブ・ハウジング
17 軸
18 剛性アクチュエータ・アーム
20 柔軟サスペンション
22 空気軸受スライダ
23 屈曲部
24 磁気記録読み書きヘッド
25 後面
27 空気軸受面
29 端子パッド
50 離散データトラック
100 CPP MRセンサ
101 シード層
102 側縁
104 側縁
106 前縁
108 後縁
110 自由強磁性層
111 磁化方向
112 キャッピング層
114 シード層
115 強磁性バイアス層
116 絶縁層
116a、116b 絶縁層上端部
116c、116d 凹んだポケットまたは領域
117 磁化
118 キャッピング層
120 参照強磁性層
121 磁化方向
122 下強磁性層
123 逆平行結合(APC)層
124 反強磁性(AF)層
125 シード層
127 磁化方向
130 非磁性スペーサ層
156 窒化ケイ素層
156a 上縁
170 アルミナ層
S1、S2 遮蔽体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録データを磁気記録媒体から検出する磁気抵抗センサ構造であって、
基板と、
前記基板上に透磁性材料で形成された第1の遮蔽層と、
前記第1の遮蔽層上に層のスタックを含み、磁気記録媒体に面する前縁と、前記前縁から凹ませた後縁と、前記前縁で50nm以下のセンサトラック幅(TW)を規定する間隔を空けた2つの側縁とを有する磁気抵抗センサであって、前記センサスタックにおける前記層の平面に垂直な検出電流を流した場合に磁気記録データを検出することができる磁気抵抗センサと、
前記センサの前記側縁上で前記側縁と接触し、かつ前記センサに隣接する前記第1の遮蔽層の領域上の、窒化ケイ素を含む第1の層であって、この第1の窒化ケイ素層は前記センサの前記側縁上で1nm以上かつ5nm以下の厚さを有する第1の層と、
前記第1の窒化ケイ素層上の強磁性バイアス層と、
前記センサおよび強磁性バイアス層の上に透磁性材料で形成された第2の遮蔽層と、
を含む磁気抵抗センサ構造。
【請求項2】
前記センサの前記側縁上の前記第1の窒化ケイ素層の前記厚さは、前記センサに隣接する前記第1の遮蔽層の領域上の前記第1の窒化ケイ素層の前記厚さの0.5〜1倍である、請求項1に記載の磁気抵抗センサ構造。
【請求項3】
前記第1の窒化ケイ素層はアモルファス窒化ケイ素を含む、請求項1に記載の磁気抵抗センサ構造。
【請求項4】
前記第2の遮蔽層も前記センサ側縁と前記強磁性バイアス層との間の前記第1の窒化ケイ素層の前記縁上にあり、前記第1の窒化ケイ素層の前記縁は前記バイアス層からの磁束が前記第2の遮蔽層にそらされるのを防止する、請求項1に記載の磁気抵抗センサ構造。
【請求項5】
前記強磁性バイアス層はCoPt合金を含む硬質磁性材料の層である、請求項1に記載の磁気抵抗センサ構造。
【請求項6】
前記センサの前記後縁上で前記後縁と接触し、かつ前記センサ後縁に隣接する前記第1の遮蔽層の前記領域上の、窒化ケイ素を含む第2の層であって、この第2の窒化ケイ素層は2nm以上かつ10nm以下の厚さを有する第2の層と、
前記第2の窒化ケイ素層上で前記第2の窒化ケイ素層と接触する金属酸化物層であって、前記第2の遮蔽層も前記金属酸化物層上にある金属酸化物層と、
をさらに含む、請求項1に記載の磁気抵抗センサ構造。
【請求項7】
前記金属酸化物は、酸化アルミニウム、酸化タンタルおよび酸化マグネシウムから選択されている、請求項6に記載の磁気抵抗センサ構造。
【請求項8】
前記センサの前記後縁上の前記第2の窒化ケイ素層の前記厚さは、前記センサ後縁に隣接する前記第1の遮蔽層の前記領域上の前記第2の窒化ケイ素層の前記厚さの0.5〜1倍である、請求項6に記載の磁気抵抗センサ構造。
【請求項9】
前記第2の窒化ケイ素層はアモルファス窒化ケイ素を含む、請求項6に記載の磁気抵抗センサ構造。
【請求項10】
前記強磁性バイアス層上のキャッピング層をさらに含む、請求項1に記載の磁気抵抗センサ構造。
【請求項11】
前記第2の遮蔽層の下の前記強磁性バイアス層上および前記センサ上の前記第2の遮蔽層用のシード層をさらに含む、請求項1に記載の磁気抵抗センサ構造。
【請求項12】
前記センサは巨大磁気抵抗センサである、請求項1に記載の磁気抵抗センサ構造。
【請求項13】
前記センサはトンネル磁気抵抗センサである、請求項1に記載の磁気抵抗センサ構造。
【請求項14】
磁気記録データを磁気記録媒体から検出するセンサ構造であって、
基板と、
前記基板上に透磁性材料で形成された第1の遮蔽層と、
前記第1の遮蔽層上に層のスタックを含み、磁気記録媒体に面する前縁と、前記前縁から凹ませた後縁と、前記前縁でセンサトラック幅(TW)を規定する間隔を空けた2つの側縁とを有する磁気抵抗センサであって、前記センサスタックにおける前記層の平面に垂直な検出電流を流した場合に磁気記録データを検出することができる磁気抵抗センサと、
前記センサの前記後縁上で前記後縁と接触し、かつ前記センサ後縁に隣接する前記第1の遮蔽層の領域上の、窒化ケイ素を含む層であって、前記窒化ケイ素層は2nm以上かつ10nm以下の厚さを有する層と、
前記窒化ケイ素層上で前記窒化ケイ素層と接触する、酸化アルミニウム、酸化タンタルおよび酸化マグネシウムから選択された酸化物の層と、
前記センサおよび前記酸化物層の上に透磁性材料で形成された第2の遮蔽層と、
を含むセンサ構造。
【請求項15】
TWは50nm以下である、請求項14に記載のセンサ構造。
【請求項16】
前記酸化物層上のキャッピング層をさらに含む、請求項14に記載のセンサ構造。
【請求項17】
前記第2の遮蔽層の下の前記強磁性バイアス層上および前記センサ上の前記第2の遮蔽層用のシード層をさらに含む、請求項14に記載のセンサ構造。
【請求項18】
前記センサの前記後縁上の前記窒化ケイ素層の前記厚さは、前記センサ後縁に隣接する前記第1の遮蔽層の前記領域上の前記窒化ケイ素層の前記厚さの0.5〜1倍である、請求項14に記載のセンサ構造。
【請求項19】
前記窒化ケイ素層はアモルファス窒化ケイ素を含む、請求項14に記載のセンサ構造。
【請求項20】
ディスク・ドライブにおける磁気記録ディスク上のトラックから磁気記録データを読み取る平面垂直通電型(CPP)磁気抵抗(MR)読取りヘッド構造であって、
前記ディスクに面する空気軸受面(ABS)と前記ABSと略直交する後面とを有する空気軸受スライダと、
前記スライダの後面上の透磁性材料の第1の遮蔽層と、
前記第1の遮蔽層上に層のスタックを含み、実質的に前記ABSにおける前縁と、前記前縁から凹ませた後縁と、前記前縁で50nm以下の読取りヘッドトラック幅(TW)を規定する間隔を空けた2つの側縁とを有するMR読取りヘッドと、
前記読取りヘッドの前記側縁上で前記側縁と接触し、かつ前記読取りヘッドに隣接する前記第1の遮蔽層の領域上の、窒化ケイ素を含む第1の層であって、この第1の窒化ケイ素層は前記読取りヘッドの前記側縁上で1nm以上かつ5nm以下の厚さを有する第1の層と、
前記第1の窒化ケイ素層上の強磁性バイアス層と、
前記強磁性バイアス層上のキャッピング層と、
前記読取りヘッドの前記後縁上で前記後縁と接触し、かつ前記読取りヘッド後縁に隣接する前記第1の遮蔽層の前記領域上の、窒化ケイ素を含む第2の層であって、この第2の窒化ケイ素層は2nm以上かつ10nm以下の厚さを有する第2の層と、
前記第2の窒化ケイ素層上で前記第2の窒化ケイ素層と接触する、酸化アルミニウム、酸化タンタルおよび酸化マグネシウムから選択された酸化物の層と、
前記読取りヘッド、前記強磁性バイアス層および前記酸化物層の上に透磁性材料で形成された第2の遮蔽層と、
を含む平面垂直通電型(CPP)磁気抵抗(MR)読取りヘッド構造。
【請求項21】
前記読取りヘッドの前記側縁上の前記第1の窒化ケイ素層の前記厚さは、前記読取りヘッドに隣接する前記第1の遮蔽層の領域上の前記第1の窒化ケイ素層の前記厚さの0.5〜1倍である、請求項20に記載の平面垂直通電型(CPP)磁気抵抗(MR)読取りヘッド構造。
【請求項22】
前記読取りヘッドの前記後縁上の前記第2の窒化ケイ素層の前記厚さは、前記読取りヘッド後縁に隣接する前記第1の遮蔽層の前記領域上の前記第2の窒化ケイ素層の前記厚さの0.5〜1倍である、請求項20に記載の平面垂直通電型(CPP)磁気抵抗(MR)読取りヘッド構造。
【請求項23】
前記第1および第2の窒化ケイ素層の各々はアモルファス窒化ケイ素を含む、請求項20に記載の平面垂直通電型(CPP)磁気抵抗(MR)読取りヘッド構造。
【請求項24】
前記読取りヘッド側縁と前記強磁性バイアス層との間の前記第1の窒化ケイ素層の前記縁上の前記第2の遮蔽層用のシード層であって、前記第1の窒化ケイ素層の前記縁は前記強磁性バイアス層からの磁束が前記第2の遮蔽層にそらされるのを防止するシード層をさらに含む、請求項20に記載の平面垂直通電型(CPP)磁気抵抗(MR)読取りヘッド構造。
【請求項25】
前記読取りヘッドは巨大磁気抵抗読取りヘッドである、請求項20に記載の平面垂直通電型(CPP)磁気抵抗(MR)読取りヘッド構造。
【請求項26】
前記読取りヘッドはトンネル磁気抵抗読取りヘッドである、請求項20に記載の平面垂直通電型(CPP)磁気抵抗(MR)読取りヘッド構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−59345(P2012−59345A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157665(P2011−157665)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(503116280)ヒタチグローバルストレージテクノロジーズネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】