説明

縮合によって架橋可能であり、フィラーを含む単一成分のポリオルガノシロキサン組成物

本発明は、フィラーを含む一成分重縮合ポリオルガノシロキサン組成物に関する。本発明は、湿気の不存在下で貯蔵安定的であり、水の存在下で架橋してエラストマーになる一成分ポリオルガノシロキサン(POS)組成物に関し、少なくとも1種の架橋可能な直鎖ポリオルガノシロキサンPOS、フィラーおよび架橋触媒を含み、POSがアルコキシ、オキシム、アシルおよび/又はエノキシ、好ましくはアルコキシ末端を有し、組成物には、基本的には末端にヒドロキシル化POSがなく、触媒がバナジウム組成物およびチタン組成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明が、湿気の不存在下で貯蔵中に安定で、そして周囲温度(例えば5〜35℃)でおよび水(例えば環境湿度)の存在下で重縮合によってエラストマーに架橋する、フィラーを含む単一成分のシリコーン組成物に関する。これら等の組成物は、単一成分冷加硫可能エラストマーを表すCVE−1と時々呼ばれる。
【背景技術】
【0002】
重縮合により冷加硫可能エラストマーの処方は、一般的にSi(OR)末端、b<3の架橋剤RSi(OR’)4−b、重縮合触媒、通常スズ塩またはチタン酸アルキル、補強フィラーおよびフィラー、接着促進剤、着色剤、殺生剤など等の他の任意選択的添加物を含むように、一般的にシリコーンオイル、シランによって任意選択的に予め官能化されたヒドロキシル化末端を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む。架橋中に、環境湿度が、重縮合反応が起こることを可能にし、そしてこれがエラストマーネットワークの形成となる。
【0003】
これら等のエラストマーは、接着、防水加工および成形のため等の広範な用途で使用可能である。最も大きい市場機会は、空気中の湿気によって架橋するシーリング材、接着剤または被膜の形で、単一成分(CVE−1)生成物によって表される。
【0004】
このタイプのCVE−lは、とりわけ、特に建設、自動車業界および家庭用具業界で、シーリング、接着部および/又は組立手段として使用される。これらの単一成分シリコーン材料(ペースト形態で)のレオロジー的特性は、これらの用途での大きな関心の焦点であった。同じことが、風化および熱に対する耐性、低温での柔軟性、使い勝手の良さおよびそのままでの空気中の湿気との接触での急速な架橋/硬化にも当てはまる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
硬化の場合、材料は、最初に表面皮膚(表面硬化、スキン形成時間SFTによって測定される速度)を形成し、そして次に、硬化が完了するまで(コア硬化)、架橋がコアへと続く。硬化速度はCVE−1の基礎的な基準である。従って、できるだけ速い硬化速度で架橋可能なコアを有する組成物を有することに大きな関心がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
通常使用される架橋触媒は、チタン化合物またはバナジウム化合物である。チタン化合物は、遅い表面硬化速度を有する組成物をもたらすと知られている。さらに急速な表面硬化は、バナジウム化合物を使用して起こると知られている。しかし、コアの硬化は、常に最適とは限らない。本発明者らは、特に炭酸塩ベースのフィラーの存在がバナジウム化合物を触媒とするCVE−1組成物の架橋を妨害することを見出した。この妨害は、特にコア硬化での遅い速度となる。
さらに、アルコキシ反応基を有するCVE−lは、酢酸またはオキシム反応基を有するCVE−lよりはるかに遅い架橋速度を有する。
【0007】
従って、本発明の目的は、周囲温度で、および湿気の存在下で、重縮合によって良好な状態のエラストマーに架橋できる、炭酸塩ベースフィラーを含むフィラーを有する単一成分のシリコーン組成物を提供するために、これらの問題への解決策を提案することである。
さらに本発明の目的は、アルコキシタイプ反応基を有するCVE−lの架橋速度を上げることである。
他の事の中で、本発明に従う組成物は、急速な表面硬化速度および良好なコア硬化を含む、急速な硬化速度で架橋するに違いない。
特に、15分未満、好ましくは10分以下のスキン形成時間が、想定される。
さらに本発明の目的は、架橋の間に有毒な揮発性生成物を放出しないタイプの組成物を提案することである。
【0008】
これらおよび他の目的は、触媒としてバナジウム化合物およびチタン化合物の組み合わせた使用、または湿気の不存在下で貯蔵中に安定であり、水の存在下でエラストマーを形成する、フィラーおよび架橋を含むポリオルガノシロキサン組成物(POS)の架橋反応の加速によって達成される、組成物中では、該POSは、非ヒドロキシル化の架橋可能な直鎖のPOSおよびアルコキシ、オキシム、アシルおよび/又はエノキシ(enoxy)タイプ、好ましくはアルコキシタイプの官能化末端を有する。本発明は、OH基を含む少数比率、すなわち組成物のg当たり10μモル未満のOHの比率のPOSの存在を除外しない。事実上、これらのPOSは、官能化触媒の存在下で、ヒドロキシル化末端を有するPOSと好適な架橋剤とを含む官能化反応によって生成可能であり、そしてヒドロキシル化末端を有するいくらかのPOS鎖がまだ残ってもよい。好ましくは、本発明に従うPOSは、完全にヒドロキシル化末端がなくてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
従って、本発明は、湿気の不存在下で貯蔵中に安定であり、そして水の存在下で架橋してエラストマーになる単一成分のポリオルガノシロキサン組成物(POS)であって、該組成物が少なくとも1種の架橋可能な直鎖のポリオルガノポリシロキサンPOS、フィラー(補強および/又は半補強および/又は非補強フィラー)および架橋触媒を含み、該POSがアルコキシ、オキシム、アシルおよび/又はエノキシタイプ、好ましくはアルコキシタイプの官能化末端を有し、該組成物が基本的にまたは完全にヒドロキシル化POSを含まず、すなわち特に組成物のg当たり10μモル未満のOHを有する、そして該触媒が、バナジウム化合物およびチタン化合物を含むことを特徴とすることに関する。
【0010】
チタンおよびバナジウム化合物は相乗的に作用し、そして、POSがアルコキシタイプであるか、および/又は炭酸塩タイプの半補強フィラーが存在する場合でさえ急速な表面およびコア硬化速度となる。
好ましい態様において、該組成物は以下ものを含むことを特徴とする:
A)次式の少なくとも1種の架橋可能な直鎖のポリオルガノポリシロキサンA:
【0011】
【化1】

【0012】
[上式中:
置換基Rは、同一又は異なっており、そしてそれぞれが置換または非置換、脂肪族、環式または芳香族であることができる一価の飽和または不飽和のC〜C13炭化水素基を表し:
置換基Rは、同一又は異なっており、そしてそれぞれが置換または非置換、脂肪族、環式または芳香族であることができる一価の飽和または不飽和のC〜C13炭化水素基を表し:
官能化置換基Rf0同一又は異なっており、そしてそれぞれが以下のものを表す:
・次式のオキシム基:
【0013】
(RC=N−O−
(上式中、Rは、独立して直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル;C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、アリル:からなる群から選択されるものを表す);
・次式のアルコキシ基:
O(CHCHO)
(上式中、Rは、独立して直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル;;C〜Cシクロアルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、アリル;からなる群から選択されるものを表し、そしてbは0または1である);
・次式のアシル基:
【0014】
【化2】

【0015】
(上式中、Rは、分枝鎖または非分枝鎖、置換または非置換、脂肪族、環式または芳香族であることができる、一価の飽和または不飽和のC〜C13炭化水素基);
・次式のエノキシ基:
C=CR−O−
(上式中、Rは、同一又は異なっており、そして水素、または分枝鎖もしくは非分枝鎖、置換もしくは非置換、脂肪族の、環式または芳香族であることができる、一価の飽和または不飽和のC〜C13炭化水素基を表す);
nは、POS Aに、25℃で500〜1,000,000mPa・sの動粘度を与えるのに充分な値を有し;
aは、0または1である];
【0016】
任意選択のB)上記に与えられた定義に相当し、そしてその構造中に、式(RSiO1/2(単位M)、(RSiO2/2(単位D)、RSiO3/2(単位T)およびSiO(単位Q)のものから選択される、少なくとも2つの異なるシロキシル単位を有する少なくとも1種の基Rfoにより、官能化された少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂B、少なくとも一つの該単位は、単位TまたはQであり、基Rは同一又は異なっており、式(A)に関して与えられた上記の意味を有し、該樹脂は0.1〜10重量%の官能基Rfoを含有し、基Rの一部が基Rfoであると理解される。
任意選択のC)次式の少なくとも1種の架橋剤C:
(RSi[Rf04−a
(上式中、R,Rfoおよびaは上記と同様に定義される);
任意選択のD)非反応性であり、そして次式の非官能化されたRfoである少なくとも1種の直鎖のポリジオルガノシロキサンD:
【0017】
【化3】

【0018】
(上式中:
置換基Rは同一又は異なっており、そして式(A)のポリオルガノシロキサンAについて上記に与えられたものと同じ意味を有し;
mは、式(D)のポリマーに、25℃で10〜200,000mPa・sの動粘度を与えるのに充分な値を有する);
E)架橋触媒または促進剤として作用するための、有効量のバナジウム化合物E’およびチタン化合物E”;
F)補強および/又は半補強および/又は非補強フィラーF;
任意選択のH)少なくとも1種の助剤 H。
バナジウム化合物E’は、3(V)、4(V)または5(V)の酸化度のバナジウム化合物であってもよい。
【0019】
第1の態様において、化合物E’は、V化合物、および特に式(E’):XVOの化合物であり:式中基Xが同一又は相違し、そして以下から選択されている:1電子、特にアルコキシまたはハロゲン原子を有する基配位子Xおよび3電子を有する基配位子LX、特にアセチルアセトン、β−ケトエステル、マロン酸エステル、アリル化合物、カルバメート、ジチオカルバメート、カルボン酸から誘導された配位子。
配位子の定義は、EDPサイエンス社から2000年に出版された、Didier Astrucの「ケミエオルガノメタリーク:Chimie Organometallique」から得られる。特に31頁の第1章「Les complexeses monometalliques」およびその後の頁を参照のこと。
【0020】
アルコキシ基は、さらに具体的にRが直鎖または分枝鎖のC〜C13アルキル、特にC〜C、好ましくはC〜C、またはC〜CシクロアルキルであるOR基をいう。
この記載に合うV化合物の例は、バナジルトリアルコキシレート、好ましくは以下ものを含む:[(CHCHO]VO(バナジウムオキソトリイソプロポキシド)、(CHCHO)VO、[(CHCO]VO、[(CHCH)(CH)CHO]VO、[(CH(CH)CHO]VO。
ハロゲン原子の例は、ClおよびBrおよびF、好ましくはClを含む。
アセチルアセトン誘導体またはアリル化合物の例は、特に、アセチルアセトナト基(CHCOCHCOCH)およびアリル基(CH=CH−CH)を含む。
【0021】
さらなる態様において、化合物E’は、V化合物、および特に式(E'):XVOの化合物であり、式中基Xは同一又は異なっており、そして以下から選択される:上記の様に1電子、特にアルコキシまたはハロゲン原子、を有する基配位子X、および3電子を有する基配位子LX、特にアセチルアセトン、β−ケトエステル、マロン酸エステル、アリル化合物、カルバメート、ジチオカルバメート、カルボン酸の配位子誘導体。
このタイプの化合物(E')は、VOHa(Ha=ハロゲン、例えば、Br、F、Cl、特にVOCl)、[(CHCHO]VO、(CHCHO)VO、[(CHCO]VO、[(CHCH)(CH)CHO]VO、[(CH(CH)CHO]VOである。
【0022】
アセチルアセトンの誘導体またはアリル化合物の例は、特に、アセチルアセトナト基(CHCOCHCOCH)およびアリル基(CH=CH−CH)を含む。
さらなる態様では、化合物E'は、式(E'):VXのV化合物であり、式中Xは同一又は異なっており、そしてハロゲン、特にBr、FまたはCl、および特に、直鎖のまたは分枝鎖のC〜C13、特にC〜C、好ましくはC〜Cアルキル、またはC〜Cシクロアルキルを表すORアルコキシから選択される。
このタイプのバナジウム化合物(E')の例は、以下の化合物を含む:[(CHCHO]V、(CHO)V、(CHCHO)V、[(CHCO]V、[(CHCH)(CH)CHO]V、[(CH(CH)CHO]V。
【0023】
さらなる態様では、化合物E’はV化合物、および特に式(E'):XVOの化合物であり、式中基Xは、3電子を有する基配位子LX、特にアセチルアセトン、β−ケトエステル、マロン酸エステル、アリル化合物、カルバメート、ジチオカルバメート、カルボン酸の配位子誘導体である。アセチルアセトンの誘導体またはアリル化合物の例は、特に、アセチルアセトナト配位子(CHCOCHCOCH)およびアリル配位子(CH=CH−CH)を含む。
さらなる態様では、化合物E’(E')は、5電子の基配位子LXを有するV化合物、特にシクロペンタジエニル、例えば(CVまたは(CVClである。
【0024】
チタン化合物E’は、以下の群から選択される有機チタン誘導体であってもよい:
式E”のモノマー
Ti[(OCHCHOR
上式中:
置換基Rは同一又は異なっており、そしてそれぞれが直鎖または分枝鎖のC〜C12アルキル基を表す;
cが0、1または2;
好ましくはcが0である場合に、該アルキル基Rが2〜12炭素原子を有し、そしてcが1または2の場合、該アルキル基Rが1〜4炭素原子を有する状態にあり;
cが0の場合、Rが上記のように定義されたモノマーE”の部分的な加水分解から誘導されたポリマーE”
有機チタン誘導体E”中のRの例は、以下の基を含む:メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、エチル−2−ヘキシル、オクチル、デシルおよびドデシル。
【0025】
モノマーE"の具体例は、チタン酸エチル、チタン酸プロピル、チタン酸イソプロピル、チタン酸ブチル、チタン酸エチル−2−ヘキシル、チタン酸オクチル、チタン酸デシル、チタン酸ドデシル、チタン酸β−メトキシエチル、チタン酸β−エトキシエチル、チタン酸β−プロポキシエチル、次式のチタン酸Ti[(OCHCHOCHを含む。チタン酸モノマーの部分的な加水分解から誘導されたポリマーE"の具体例は、以下ものを含む:チタン酸イソプロピル、ブチルまたは2−エチルヘキシルの部分的な加水分解から誘導されたポリマーE"
本発明を実施するために、以下のチタン酸モノマーE”が、個々にまたは混合して、チタン化合物として好ましくは使用される:チタン酸エチル、チタン酸プロピル、チタン酸イソプロピル、チタン酸ブチル(n−ブチル)。
【0026】
本発明に従う組成物は、以下のものを含んでもよい:
0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.3重量%の金属性バナジウム;
0.01〜1重量%、好ましくは0.03〜0.25重量%の金属性チタン
これらのパーセンテージは、全組成物の重量に相対して表されている。
触媒は固体または液体であってもよい。単独でまたは好適な無水溶媒、例えばシリコーンオイル中で、取り込まれてもよい。
【0027】
本発明に従う組成物は、このタイプの生成物ためのすべての好都合な固有特性を有し、そしてさらに、アルコキシPOSおよび/又は炭酸塩ベースのフィラーの存在下においてさえ、急速な架橋表面およびコア速度を有する。従来の厚さ、すなわち特に0.5または1mmから2〜3センチメートルまでの厚さでエラストマー部分を生成するために使用してもよい。特に接合部では、厚さは0.01〜2cmであってもよい。
【0028】
さらに、本発明に従う組成物は、経済的であり、そして多数の基材に接着するという好都合な機械的特性に恵まれた架橋エラストマーになる。
本発明に従う組成物は、基本的な成分、すなわちPOSがその末端(一般的に最初ヒドロキシル基を有する)官能化基Rfoによって官能性されて、シラン架橋剤Cを生成する態様に対応する。
POS Aの前駆体のOHは、シラン架橋剤CのRfoと縮合によって反応した。
【0029】
POS Aは当業者に公知の方法によって官能化される。官能性POS Aは、湿気の不存在下で、このケースに記載された単一成分マスチックの安定な形である。実際にはこの安定な形は、使用中に作業者によって開けられ、そして作業者がマスチックを全ての所望の基材に塗布できる密閉されたコンテナ中に包装された組成物の形である。
POS AへのRfo官能性ヒドロキシル化前駆体A’は、一般的に次式のα、ω−ヒドロキシル化ポリジオルガノシロキサンである:
【0030】
【化4】

【0031】
上式中Rおよびnは上記式(A)中に定義されるようである。
任意選択的Rfo官能性POS樹脂Bは、官能化基Rfoを有するシラン架橋剤Cとの縮合によって、Rfo官能性POS Aと同様に生成されてもよい。
fo官能性POS樹脂Bへの前駆体は、Bに上記で与えられた定義に従って、ヒドロキシル化POS樹脂B’であってもよく、相違は、一部分の基RがOHに相当することである。
本発明に従う組成物は、酸性タイプ(アセトキシまたは中性のタイプ(エノキシ、オキシム、アルコキシ)であってもよい。
【0032】
本発明の好ましい態様に従って、関係するシリコーン組成物は、むしろ中性のタイプ、例えばオキシムまたはアルコキシであり、式A、BおよびCの官能化置換基Rfoは、同一又は異なっており、そして以下のものを表すことを意味する:
・次式のオキシム基:
(RC=N−O−
(上式中、Rは、独立して直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル;C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニル、好ましくは以下の群から選択される:メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、アリル;を表す。)
・次式のアルコキシ基:
O(CHCHO)
(上式中、Rは、独立して直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル;;C〜Cシクロアルキル;好ましくは以下の群から選択される:メチル、エチル、プロピル、ブチル、メチルグリコールを表し、そしてbは0または1である。)
【0033】
本発明の好ましい態様において、官能化置換基Rfoは、アルコキシタイプおよび上記で定義されたような式RO(OCHCHに相当する。
本発明に従う組成物ために特に有益である助剤Hまたは添加物の例は、接着促進剤を含む。
従って本発明に従うPOS組成物は、特に非求核性で、そして非アミノ化されており、またはターシャリーアミンであり、好ましくは同時に以下のものを有する有機ケイ素化合物から選択される、少なくとも1種の接着促進剤HIを含んでもよい:
(1)ケイ素原子に結合した1または2以上の加水分解可能基および
(2)(メタまたはア)アクリレート、エポキシ、およびアルケニル基の群、およびさらに好ましくは以下の群から選択される基によって置換された1または2以上の有機基:
ビニルトリメトキシシラン(VTMO)、
(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン(GLYMO)、
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)、
プロピルトリメトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、
エチルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン、
メチルトリエトキシシラン、
プロピルトリエトキシシラン、
テトラエトキシシラン、
テトラプロポキシシラン、
テトライソプロポキシシラン、
または20%超の量で、このタイプの有機基を有するポリオルガノシロキサンオリゴマー。
【0034】
接着促進剤として、1または2以上の加水分解可能基、具体的にアルキル基、典型的には1〜8Cを有するシリケートを使用することも可能である。例は、プロピルシリケート、イソプロピルシリケートおよびエチルシリケートを含む。シリケートは、重縮合または非重縮合のいずれであってもよい。
【0035】
今まで以上に詳しく本発明に従う組成物の成分エレメントの性質を記載するために、官能性POSポリマーAの置換基R、Rfo官能性樹脂Bおよび任意選択的非官能性ポリマーDが、以下の群から選択されてもよいことを特定することは重要である:
1〜13炭素原子を有するアルキルおよびハロゲノアルキル基、
5〜13炭素原子を有するシクロアルキルおよびハロゲノシクロアルキル基、
2〜8炭素原子を有するアルケニル基、
6〜13炭素原子を有する単環式アリールおよびハロゲノアリール基、
アルキル要素が、2〜3炭素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ヘキシル、フェニル、ビニルを有するシアノアルキル基、そして3,3,3−トリフルオロプロピル基が、特に好ましい。
【0036】
さらに具体的に、そしてそれによってなんらかの制約を伴うことなく、POSポリマーAおよび(任意選択的)D上記に記載した置換基Rは、以下ものを含む:
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、エチル−2−ヘキシル、オクチル、デシル、トリフルオロ−3、3、3−プロピル、トリフルオロ−4,4,4−ブチル、ペンタフルオロー4,4,4,3、3−ブチル基等の1〜13炭素原子を有するアルキルおよびハロゲノアルキル基、
シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、プロピルシクロヘキシル、ジフルオロ−2,3−シクロブチル、ジフルオロ−3、4−メチル−5−シクロヘプチル基等の5〜13炭素原子を有するシクロアルキルおよびハロゲノシクロアルキル基、
ビニル、アリル、ブテン−2−イル基等の2〜8炭素原子を有するアルケニル基、
フェニル、トリル、キシリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル基等の6〜13炭素原子を有する単環式アリールおよびハロゲノアリール基、
(3−シアノエチルおよびy−シアノプロピル基等のアルキル要素が2〜3炭素原子を有するシアノアルキル基。
【0037】
シロキシル単位Dの具体例:式(A)のRfo官能性ジ有機ポリシロキサンAおよび以下ものを含む式(D)の任意選択的非反応性ジ有機ポリシロキサンD中に存在する(RSiO2/2
(CHSiO、CH(CH=CH)SiO、
CH(C)SiO、
(CSiO、
CFCHCH(CH)SiO、
NC−CHCH(CH)SiO、
NC−CH(CH)CH(CH=CH)SiO、
NC−CHCHCH(C)SiO。
当然のことながら、本発明の範囲内で、好ましくは最初にヒドロキシル化され、そしてその後にRfo官能化され、それらの粘度値および/又ケイ素原子に結合した置換基の性質についてお互いに異なる、複数のポリマーからなる混合物は、式(A)の官能性ポリマーAとして使用されてもよい。
式(A)の官能性ポリマーAが、任意選択的に式RSiO3/2のシロキシル単位Tおよび/又はシロキシル単位Q:SiO4/2を、1%超の比率で(このパーセンテージは、100ケイ素原子当たり単位Tおよび/又はQの数を表す)含んでもよいことを当然のことながら指摘する。同じことが式(D)の非官能性および非反応性ポリマーD(任意選択的)に適用される。
【0038】
工業製品でのそれらの入手可能性によって有利に使用される官能性ポリマーAの置換基Rおよび非反応性および非官能性ポリマーD(任意選択的)は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ヘキシル、フェニル、ビニルおよび3,3,3−トリフルオロプロピル基である。さらに有利なことに、これらの置換基の数で少なくとも80%は、メチル基である。
25℃で500〜1,000,000mPa・s、および好ましくは2,000〜200,000mPa・sの動粘度を有する官能性ポリマーが、使用される。
25℃で10〜200,000mPa・s、および好ましくは50〜150,000mPa・sの動粘度を有する非官能性ポリマーD(任意選択的)が利用される。
【0039】
非反応性および非官能性ポリマーDが使用される場合、全部にまたは複数の留分に、そして複数ステージに渡ってまたは組成物の調製の一つのステージで、導入されてもよい。任意選択的留分は、性質および/又は比率について、同一又は異なっていてもよい。好ましくは、Dは全部が一つのステージで導入される。
fo官能化POS樹脂Bの好適なまたは好都合な置換基Rの例は、官能性ポリマーAために上記に記載したタイプの種々の基Rを含む。これらのシリコーン樹脂は、周知の分枝鎖ポリオルガノシロキサンポリマーであり、多数の特許中に記載された調製工程である。使用されても良い樹脂の具体例は、MQ、MDQ、TDおよびMDT樹脂を含む。
【0040】
使用されてもよい樹脂の例は、好ましくはその構造中に単位Qを有さないRfo官能化POS樹脂Bである。さらに好ましくは、使用されても良い樹脂の例は、少なくとも20重量%の単位Tを含み、そして0.3〜5重量%のRfo基の含有量を有する官能性TDおよびMDT樹脂を含む。なおさらに好ましくは、構造中の置換基Rの数で少なくとも80%が、メチル基であるタイプの樹脂が使用される。樹脂Bの官能基Rfoは、単位M、Dおよび/又はTで有される。
官能性POS Aおよび架橋剤Cために、特に好適である置換基Rの具体例は、官能性ポリマーAの置換基Rで上記に記載したものと同じ基である。
基Rfoを構成する置換基R、R、Rについて、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびn−ブチル基等のC〜Cアルキル基は、特に好適であることが見出された。
【0041】
本発明に従う組成物の好ましい態様によって、最初ヒドロキシル化されるPOSを官能化するために使用される基Rfoは、アルコキシタイプであり、そしてさらに好ましくは以下の群から選択されるシラン架橋剤Cから誘導される:
Si(OCH
Si(OCHCH
Si(OCHCHCH
(CHO)SiCH
(CO)SiCH
(CHO)Si(CH=CH
(CO)Si(CH=CH
(CHO)Si(CH−CH=CH
(CHO)Si[CH−(CH)C=CH
(CO)Si(OCH
Si(OCH−CH−OCH
CHSi(OCH−CH−OCH
(CH=CH)Si(OCHCHOCH
Si(OCH
Si(OCH−CH−OCH
【0042】
本発明の態様中にしたがって、POS Aおよび触媒を含む組成物も、上記の様に少なくとも1種の架橋剤Cを含んでもよい。
フィラーFは、全組成物を基準として5〜50重量%、好ましくは15〜40重量%の存在量であってもよい。
第1の態様に従って、フィラーFは、補強または半補強フィラーとして作用する少なくとも1種の炭酸塩ベースのフィラーを含む。
【0043】
炭酸塩ベースのフィラーは、少なくともアルカリまたはアルカリ土類金属、好ましくはアルカリ土類金属炭酸塩、好ましくは炭酸カルシウムを含むフィラーをいう。0.5μm以下の平均粒径を有するフィラーが、好ましくは使用される。沈殿炭酸塩、例えば沈殿炭酸カルシウム等の工業用炭酸塩が、特に使用されてもよい。これらの状態下で、平均粒径が一般的に1μm未満、特に0.5μm以下である炭酸塩を入手することが可能である。従って、これらの沈殿炭酸塩は、5m/g超である高いBET比表面積を有することができる。0.1μm以下、さらに好ましくは0.01および0.1μmの平均粒径または粒子径分布、および好ましくは10〜70m/g、好ましくは15〜30m/gのBET比表面積を有するこのタイプの炭酸塩が、好ましくは使用される。使用される炭酸塩は、一般的に約0.1〜0.6%である具体理的な量の残留する水和された湿気を含んでもよい。
【0044】
本発明に従う炭酸塩が、特に好ましい方式で、疎水性の媒体中での炭酸塩の分散性を改善するとして特にそれ自体公知のステアリン酸等のカルボキシル脂肪酸で処理される。
第2の態様に従って、フィラーFは、少なくとも1種の珪質補強フィラー、具体的にはアモルファスシリカを含む。本発明に従って使用されることが可能なアモルファスシリカについては、当業者に公知の全ての沈殿または焼成シリカ(または燃焼シリカ)が、好適である。もちろん種々のシリカの切片を使用することが可能である。これらのシリカは、0.1μm以下の平均粒径を有してもよい。
粉末化形での沈殿シリカ、粉末化形の燃焼シリカまたは2つの混合物が、好ましくは使用され;それらのBET比表面積は、一般的に40m/g超、そして好ましくは100〜300m/gであり;粉末化形の燃焼シリカが、好ましくは使用される。
【0045】
これらの珪質フィラーは、この目的のために通常使用される種々の有機ケイ素化合物で処理することによって、表面改質されてもよい。したがって、これらの有機ケイ素化合物は、有機クロロシラン、ジ有機シクロポリシロキサン、ヘキサ有機ジシロキサン、ヘキサ有機ジシラザン、またはジ有機シクロポリシラザン(仏国特許発明第1126884号明細書、仏国特許発明第1136885号明細書、仏国特許発明第1236505号明細書、英国特許第1024234号明細書)であってもよい。大部分の場合において、処理されたフィラーは、その重量の3〜30%の有機ケイ素化合物を含む。
他の珪質フィラーの例は、0.1μm以下の平均粒径を有する石英およびシリカまたは珪藻土を含む。
現在の用途では、オイルの粘度は、25℃でブルックフィールド(Brookfield)粘度計で、1982年5月のAmor基準NFT76102によって与えられる詳細に従って、測定されたニュートン動粘度である。
BET比表面積は、1987年11月のAfnor基準NFT45007に対応する「ジャーナルオブアメリカンケミカルソサイエティー:The Journal of American Chemical Society」80巻、309頁(1938)に記載されたBranauer、EmmetおよびTellerの方法に従って決定される。
本発明の範囲はまた、炭酸塩ベースのフィラーおよび珪質フィラー、特にシリカの組み合わせを含む。
【0046】
さらに非補強または半補強フィラー等のフィラーを使用または混合することも、本発明の範囲内となる。例は、酸化チタンまたは酸化アルミニウム等の白色隠蔽フィラー、カーボンブラックフィラー;粉末化石英、珪藻類シリカ、焼成粘土、酸化チタン(ルチル)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、種々の形態のアルミニウム(水和したまたは非水和した)、窒化ホウ素、リトポン、メタホウ酸バリウム、コルク粉、のこぎり粉、フタロシアニン、有機および鉱物性線維、有機ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ビニルポリクロライド)を含む。実際には、これらの追加のフィラーは、粗く挽かれそして平均粒径が0.1μm超特に、1μm超、そして一般的にほぼ10〜10数μmの鉱物性および/又は有機生成物の形であってもよい。
【0047】
粒子径が一般的にlμm超、そして、例えば本発明の範囲内で好ましい1〜10μmなどの平均粒径が10μm以下である天然炭酸カルシウム等の天然炭酸塩を使用してもよい
フィラーを加える目的は、良好な機械的およびレオロジー的特徴を本発明に従う組成物から誘導されたエラストマーに与えることである。
熱抵抗(異常酸化物および異常水酸化物等の希土類塩および酸化物)および/又は耐炎性を改善するために、無機および/又は有機顔料および試薬も上記フィラーと組み合わせて使用してもよい。耐炎性を改善する試薬は、有機ハロゲン化した誘導体、有機リン誘導体、クロロ白金酸(アルカノール、エーテル酸化物との反応生成物)、プラチナクロライドオレフィン錯体等のプラチナ誘導体を含む。
【0048】
本発明の好ましい特徴にしたがって、単一成分POSは以下ものを含む:
100重量部のRfoによる官能化直鎖ジ有機ポリシロキサンA、
0〜30、好ましくは5〜15重量部のヒドロキシル化樹脂B、
2〜15、好ましくは3.5〜12重量部の架橋剤C、
0〜60、好ましくは5〜60重量部の直鎖、非官能性および非反応性ジ有機ポリシロキサンD、
0.1〜10、好ましくは0.5〜6重量部の架橋/硬化触媒E’+E"、
2〜250、好ましくは10〜200重量部のフィラー、例えば炭酸塩および/又はシリカベースのフィラーF、および
0〜20、特に0.1〜20、好ましくは0.1〜10重量部の接着促進剤H。
【0049】
ほかの従来の補助剤および添加物Hが、本発明に従う組成物に加えられてもよく;これらは該組成物が使用されるであろう用途に従って選択される。
本発明に従う組成物は、湿気の存在下で、周囲温度で、そして特に5〜35℃の温度で硬化する。
これらの組成物は、建設業界における接続、組み立ておよび接着非常に広範な材料(金属;PVC、PMMA等のプラスチック材料;天然および合成ゴム;木材;ボール紙;陶器;れんが;ガラス;石;コンクリート;石造建築エレメント)、建設業界だけでなく、自動車、家庭用具および電子業界において等多くの用途で使用されてもよい。
【0050】
別の形態に従って、本発明は、および上記の様にバナジウム化合物およびチタン化合物を含む、本願中で上記に記載された単一成分シリコーンマスチックの組成物の架橋および硬化を通して得られるエラストマー、特に異なる基材に接着するエラストマーにも関する。
本発明に従う単一成分有機ポリシロキサン組成物は、湿気の不存在下で、攪拌機を備えた密閉された反応容器内で調製される。必要に応じて汎用容器内が真空にされて空気を除去し、その後に窒素等の無水ガスで置換する。
装置の例は、:低速混合アーム、パドル混合機、パグミル、アーム型混合機、アンカー混合機、プラネタリー混合機、フック混合機、単一のスクリューまたはマルチスクリュー押出機を含む。
【0051】
本発明は、さらに湿気の不存在下で貯蔵中に安定であり、そして水の存在下でエラストマーに架橋するポリオルガノシロキサン(POS)組成物の触媒としてのバナジウム化合物およびチタン化合物の使用に関し、組成物は、少なくとも1種の架橋可能な直鎖のポリオルガノポリシロキサンPOSおよび補強および/又は半補強および/又は非補強フィラー、特に炭酸塩ベースのフィラーを含み、POSが、非ヒドロキシル化官能化末端、特にアルコキシ、オキシム、アシルおよび/又はエノキシタイプ、好ましくはアルコキシタイプの末端を有し、組成物は、基本的に好ましくは完全に、ヒドロキシル化末端を有するPOSを含まない。
この使用の範囲内で、種々の態様におけるバナジウムおよびチタン化合物、POS、フィラーおよびほかの任意選択的成分は、上記の様である。
本発明のよりよい理解が、以下の限定されない例によって促進されるであろう。
【実施例】
【0052】
比較例1:チタンベース触媒により触媒されたRTV1の処方
677gの約20,000mPa・sの粘度を有するα、ω−ヒドロキシル化ポリジメチルシロキサン油、66gの約100mPa・sの粘度を有するα、ω−トリメチルシリル化ポリジメチルシロキサン油、55gの黒色カラーベース(83%のα、ω−トリメチルシリル化ポリジメチルシロキサン油および17%のカーボンブラックからなるカラーベース)、7.42gのBreoxB225(商標)、ラポルテパフォーマンス化学品(Laporte Performance Chemicals)から販売されているチキソトロピー剤、および67.6gのビニルトリメトキシシランを、一軸"バタフライ"混合機の内部チャンバーに導入する。
それらを140回転/分で約5分間混合し、そして6gのリチウム水酸化物ベースの官能化触媒をチャンバーに加えた。混合物を5分間、330回転/分で混合させて、官能化反応を起こさせた。デグサ(Degussa)社からAE150(商標)の商品名で販売される28.9gのアモルファスシリカを、その後に加え、最初に減速した攪拌速度(140回転/分)、次により速い速度(330回転/分で5分間)にして、混合物中に充分に分散させた。ソルブウェイ(Solvay)社からウィノフィル(Winnofil)SPM(商標)の名称で販売される421gの処理された炭酸カルシウムを、次に加えた。炭酸カルシウムを、6分間の活発な攪拌(330回転/分)によって処方中に分散した。混合物は、次に約60mbarの真空中で中速の攪拌(140回転/分)により6分間、液化の第一相を経た。16.7%量のメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MEMO)および83.3%のチタン酸ブチル(TBOT)を含有する23gの混合物を加えた。330回転/分で4分間攪拌後、容器内に包装する前に、媒体を6分間液化させ、約60mbarの真空中および140回転/分での減速した攪拌に供する。
このように生成した処方の特徴を表1内で"比較"のタイトルの下まとめる。
【0053】
例2:共触媒されたRTV1の処方
複数のテスト1〜6を、チタンおよびバナジウムベースの共触媒系を使用して実施した。テストは、例1と同じ操作モードで行い、第1の液化ステージ後に加えた混合物の組成物についてのみ異なる。この混合物は、これらの3つの成分のそれぞれの含有量を、表1内に示すそれぞれの内容の処方の結果の比率でMEMO、TBOTおよびバナジウムオキソトリイソプロポキシドを含む。この表内で、存在する場合には、比較例1の処方中にこれらの成分の含有量も示される。
【0054】
表1:
【表1】

【0055】
結果:すべての処方の架橋速度を記載する結果を、表2中にまとめる。
架橋速度が評価できる3つの特性がある:
表面硬化の速度を示すスキン形成時間(SFT)。
24時間後のショアA硬度(DSA24h)
7日後のショアA硬度(DSA7d)
後者2つの特性は、24時間および7日それぞれ後の、エラストマーネットワーク形成の進展状態を理解する様子を与える。それらの比率は直接的に、所与の処方の架橋速度を与える。
【0056】
表2:
【表2】

【0057】
共触媒TiおよびVベースの系の使用は、架橋速度を改善させることが表2から明らかである。従ってチタン触媒は、DSAの変化に見るように、ネットワークを効果的に構築させるが、表面硬化に関しては受け入れ難く遅い。2つの金属の組み合わせが、良好なDSAの進展を伴う表面硬化中で、はっきりとした改善となる。
【0058】
当然のことながら、請求項により規定される本発明は、上記に記載の特別な態様によって限定されず、本発明の範囲または精神から離れない変化を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿気の不存在下で貯蔵中に安定であり、そして水の存在下で架橋してエラストマーになる単一成分のポリオルガノシロキサン組成物(POS)であって、該組成物が少なくとも1種の架橋可能な直鎖のポリオルガノポリシロキサンPOS、フィラーおよび架橋触媒を含み、該POSがアルコキシ、オキシム、アシルおよび/又はエノキシタイプ、好ましくはアルコキシタイプの官能化末端を有し、該組成物が基本的にヒドロキシル化されたPOSを含まず、そして該触媒が、バナジウム化合物およびチタン化合物を含むことを特徴とする。
【請求項2】
以下のものを含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物:
A)次式の少なくとも1種の架橋可能な直鎖のポリオルガノポリシロキサンA:
【化1】

[上式中:
置換基Rは、同一又は異なっており、そしてそれぞれが置換または非置換、脂肪族、環式または芳香族であることができる一価の飽和または不飽和のC〜C13炭化水素基を表し:
置換基Rは、同一又は異なっており、そしてそれぞれが置換または非置換、脂肪族、環式または芳香族であることができる一価の飽和または不飽和のC〜C13炭化水素基を表し:
官能化置換基Rf0は、同一又は異なっており、そしてそれぞれが以下のものを表し:
・次式のオキシム基:
(RC=N−O−
(上式中、Rは、独立して直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル;C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルケニルを表す);
・次式のアルコキシ基:
O(CHCHO)
(上式中、Rは、独立して直鎖または分枝鎖のC〜Cアルキル;C〜Cシクロアルキルを表し、そしてbは0または1である);
・次式のアシル基:
【化2】

(上式中、Rは、置換または非置換、脂肪族、環式または芳香族であることができる、一価の飽和または不飽和のC〜C13炭化水素基);
・次式のエノキシ基:
C=CR−O−
(上式中、Rは、同一又は異なっており、そして水素、または分枝鎖もしくは非分枝鎖、置換もしくは非置換、脂肪族の、環式または芳香族であることができる、一価の飽和または不飽和のC〜C13炭化水素基を表す);
nは、POS Aに、25℃で500〜1,000,000mPa・sの動粘度を与えるのに充分な値を有し;
aは、0または1である];
任意選択のB)上記に与えられた定義に相当し、そしてその構造中に、式(RSiO1/2(単位M)、(RSiO2/2(単位D)、RSiO3/2(単位T)およびSiO(単位Q)のものから選択される、少なくとも2つの異なるシロキシル単位を有する少なくとも1種の基Rfoにより、官能化された少なくとも1種のポリオルガノシロキサン樹脂B、少なくとも1つの該単位は単位TまたはQであり、基Rは、同一又は異なっており、式(A)に関して与えられた意味を有し、該樹脂は0.1〜10重量%の官能基Rfoを有し、基Rの一部が基Rfoであると理解される。
任意選択のC)次式の少なくとも1種の架橋剤C:
(RSi[RfO4−a
(上式中、R,Rfoおよびaは上記と同様に定義される)
任意選択のD)非反応性であり、そして次式の非官能化されたRfoである少なくとも1種の直鎖のポリジオルガノシロキサンD:
【化3】

(上式中:
置換基Rは同一又は異なっており、そして式(A)のポリオルガノシロキサンAについて上記に与えられたものと同じ意味を有し;
mは、式(D)のポリマーに、25℃で10〜200,000mPa・sの動粘度を与えるのに充分な値を有する);
E)架橋触媒または促進剤として作用するための、有効量のバナジウム化合物E’およびチタン化合物E”;
F)フィラーF;
任意選択のH)少なくとも1種の助剤 H。
【請求項3】
該POS Aが、アルコキシ末端を有する、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項4】
該フィラーFが、珪質または炭酸塩ベースの補強または半補強フィラーを含む、請求項1、2または3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
バナジウム化合物が、バナジルトリアルコキシレートであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
該バナジウム化合物が、[(CHCHO]VO(CHCHO)VO、[(CHCO]VO、[(CHCH)(CH)CHO]VO、[(CH(CH)CHO]VO、VOC1、[(CHCHO]VO、(CHCHO)VO、[(CHCO]VO、[(CHCH)(CH)CHO]VO、[(CH(CH)CHO]VO、[(CHCHO]V、(CHO)V、(CHCHO)V、[(CHCO]V、[(CHCH)(CH)CHO]V、[(CH(CH)CHO]Vから選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
該チタン化合物が、以下の式に相当することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物:
Ti[(OCHCHOR
上式中:
置換基Rは同一又は異なっており、そしてそれぞれが直鎖または分枝鎖のC〜C12アルキル基を表す;
Cが0、1または2;
好ましくは、cが0である場合に、該アルキル基Rが2〜12炭素原子を有し、そしてcが1または2の場合、該アルキル基Rが1〜4炭素原子を有する状態にあり;
または、cが0の場合、これらのモノマーの部分的な加水分解から生じるポリマー。
【請求項8】
該チタン化合物が、チタン酸エチル、チタン酸プロピル、チタン酸イソプロピル、チタン酸ブチル、チタン酸2−エチルヘキシル、チタン酸オクチル、チタン酸デシル、チタン酸ドデシル、チタン酸β−メトキシエチル、チタン酸β−エトキシエチル、チタン酸β−プロポキシエチル、式Ti[(OCHCHOCHのチタン酸、チタン酸イソプロピル、ブチルまたは2−エチルヘキシルの部分的な加水分解から生じるポリマー、から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
以下のものを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物:
0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.3重量%の金属性バナジウム;
0.01〜1重量%、好ましくは0.03〜0.25重量%の金属性チタン。
【請求項10】
該官能化されたPOSポリマーAの置換基R、Rfoで官能化された樹脂Bおよび任意選択的非官能化および非反応性ポリマーDが以下の群から選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物:
1〜13炭素原子を有するアルキルおよびハロゲノアルキル基
5〜13炭素原子を有するシクロアルキルおよびハロゲノシクロアルキル基
2〜8炭素原子を有するアルケニル基
6〜13炭素原子を有する単環式アリールおよびハロゲンノアリール基、
アルキル部分が2〜3炭素原子を有するシアノアルキル基
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ヘキシル、フェニル、ビニルおよび3,3,3−トリフルオロプロピル基が特に好ましい。
【請求項11】
異なる基材に接着可能であって、そして請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物の架橋および硬化によって得られるエラストマー。

【公表番号】特表2008−525560(P2008−525560A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547575(P2007−547575)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際出願番号】PCT/FR2005/003248
【国際公開番号】WO2006/070118
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【Fターム(参考)】