説明

繊維強化複合材料用樹脂組成物およびその製造方法ならびに複合材料中間体

【課題】複合材料としたときに良好な機械強度が得られるとともに、耐熱性および耐衝撃性(靱性)に優れた繊維強化複合材料用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】2官能エポキシ樹脂(a1)と、3官能エポキシ樹脂(a2)と、フェノール化合物(a3)と、特定のポリアミド樹脂(a4)とを混合、加熱してなるエポキシ樹脂成分(A)、2官能エポキシ樹脂(B)、環構造を含むエポキシ樹脂(C)、および芳香族アミン化合物(D)を含有する繊維強化複合材料用樹脂組成物。ポリアミド樹脂(a4)は特定のポリエーテルエステルアミド(ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば航空機、自動車、一般工業等に用いられる繊維強化複合材料用の樹脂組成物、およびその製造方法、ならびに該樹脂組成物を用いた複合材料中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化複合材料用のマトリックス樹脂としては、従来よりエポキシ樹脂がその接着性や高剛性のために多用されているが、複合材料に対する要求性能の高度化に伴い、使用されるマトリックス樹脂にも様々な検討がなされている。複合材料に適用される樹脂組成物にあっては、複合材料としたときに良好な機械強度を有するとともに、耐熱性および耐衝撃性(靱性)が良好であることが要求される。
【0003】
一般に、複合材料からなるゴルフシャフトやテニスラケット等の成形品を製造する際には、マトリックス樹脂を補強用繊維に含浸させた複合材料中間体(プリプレグともいう。)が材料として用いられる。
下記特許文献1では、複合材料中間体としての取り扱い性と貯蔵安定性、および複合材料における高温吸湿時の機械特性と耐衝撃性を向上させるために、2官能エポキシ樹脂と、3官能エポキシ樹脂と、フェノール化合物との反応物に、4官能エポキシ樹脂および芳香族アミン類を配合した樹脂組成物をマトリックス樹脂として使用する技術が提案されている。
【0004】
また下記特許文献2には、重合脂肪酸系アミド化合物を主成分とするアミド化合物と、ポリエポキシ化合物とをプレリアクションさせて得られるエポキシプレポリマーを用いることにより、靭性や可撓性に優れたエポキシ樹脂組成物が得られることが記載されている。
【特許文献1】特許第3026372号公報
【特許文献2】特開平3−203923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、最近では、複合材料に対する市場の要求性能はますます高くなり、さらに高い耐熱性と耐衝撃性を併せ持つ材料が求められている。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、複合材料としたときに良好な機械強度が得られるとともに、耐熱性および耐衝撃性(靱性)に優れた繊維強化複合材料用樹脂組成物、およびその製造方法、ならびに該樹脂組成物を用いた複合材料中間体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物は、10〜89.5質量部の2官能エポキシ樹脂(a1)と、0.5〜40質量部の3官能エポキシ樹脂(a2)と、10〜50質量部の下記式(I)で示されるフェノール化合物(a3)との合計100質量部に対して、下記式(II)で示されるポリアミド樹脂(a4)1〜45質量部を混合し、前記フェノール化合物(a3)のフェノール性水酸基のうち80%以上が反応する条件で加熱してなるエポキシ樹脂成分(A)の20〜70質量部と、2官能エポキシ樹脂(B)の10〜50質量部と、下記式(VII)で表されるエポキシ樹脂、下記式(VIII)で表されるエポキシ樹脂、骨格に下記式(IX)で表される構造を有するエポキシ樹脂、および骨格に下記式(X)で示される構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂(C)の15〜70質量部とを含有するとともに、芳香族アミン化合物(D)を、エポキシ基に対する理論当量が90〜175%となる範囲で含有することを特徴とする。
【0007】
【化1】

【0008】
(式(I)中、X’はそれぞれ独立に水素原子、炭素数が6以下のアルキル基またはBrを示し、Y’は直接結合、−CH−、−C(CH−、−SO−、または
【0009】
【化2】

【0010】
を示す。)
【0011】
【化3】

【0012】
(式(II)中、Xは1〜10の整数、Yは1〜10の整数、Zは1〜20の整数であり、PAは下記式(III)で表される構造を示し、PEは下記式(VI)で表される構造を示す。)
【0013】
【化4】

【0014】
(式(III)中、aは0または1〜2の整数、bは0または1〜2の整数、lは1〜10の整数、a+bは1以上4以下である。Rは−(CHα−(αは2〜40の整数)を示す。PAおよびPAはそれぞれ独立に、下記式(IV)で表される構造および/または下記式(V)で表される構造を示す。)
【0015】
【化5】

【0016】
【化6】

【0017】
(式(IV)および(V)中、Rは−(CHβ−(βは2〜40の整数)を示し、Rは−(CH−(dは1〜6の整数)を示す。RおよびR’はそれぞれ独立にHまたはCHを示す。)
【0018】
【化7】

(式(VI)中、mは3〜20の整数、nは1〜10の整数である。Rは−(CH−(eは2〜8の整数)を示し、Rは−(CHγ−(γは2〜40の整数)を示す。)
【0019】
【化8】

【0020】
【化9】

【0021】
(式(VIII)中、nは0、1、または2である。)
【0022】
【化10】

【0023】
【化11】

【0024】
前記エポキシ樹脂成分(A)は、予め前記2官能エポキシ樹脂(a1)および前記3官能エポキシ樹脂(a2)の少なくとも一方と、前記ポリアミド樹脂(a4)とを混合、加熱した後、前記2官能エポキシ樹脂(a1)および前記3官能エポキシ樹脂(a2)の残りと、前記フェノール化合物(a3)を混合、加熱して調製されたものであることが好ましい。
また本発明は、本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物が補強用繊維に含浸した複合材料中間体を提供する。
【0025】
また本発明は、10〜89.5質量部の2官能エポキシ樹脂(a1)と、0.5〜40質量部の3官能エポキシ樹脂(a2)と、10〜50質量部の上記式(I)で示されるフェノール化合物(a3)との合計100質量部に対して、上記式(II)で示されるポリアミド樹脂(a4)1〜45質量部を混合し、前記フェノール化合物(a3)のフェノール性水酸基のうち80%以上が反応する条件で加熱してエポキシ樹脂成分(A)を得る工程と、前記エポキシ樹脂成分(A)の20〜70質量部と、2官能エポキシ樹脂(B)の10〜50質量部と、上記式(VII)で表されるエポキシ樹脂、上記式(VIII)で表されるエポキシ樹脂、骨格に上記式(IX)で表される構造を有するエポキシ樹脂、および骨格に上記式(X)で示される構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂(C)の15〜70質量部と、エポキシ基に対する理論当量が90〜175%となる量の芳香族アミン化合物(D)とを混合する工程を有することを特徴とする繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0026】
前記エポキシ樹脂成分(A)を得る工程において、予め前記2官能エポキシ樹脂(a1)および前記3官能エポキシ樹脂(a2)の少なくとも一方と、前記ポリアミド樹脂(a4)とを混合、加熱した後、前記2官能エポキシ樹脂(a1)および前記3官能エポキシ樹脂(a2)の残りと、前記フェノール化合物(a3)を加えて混合、加熱することが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複合材料としたときに良好な機械強度が得られるとともに、耐熱性および耐衝撃性(靱性)に優れた繊維強化複合材料用樹脂組成物が得られる。
また本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物を用いることにより、複合材料としたときに良好な機械強度が得られるとともに、耐熱性および耐衝撃性(靱性)に優れた複合材料中間体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<繊維強化複合材料用樹脂組成物>
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ということもある。)は、以下に説明する(A)〜(D)成分を必須成分として含有する。
【0029】
[エポキシ樹脂成分(A)]
(A)成分は、2官能エポキシ樹脂(a1)と、3官能エポキシ樹脂(a2)と、上記式(I)で示されるフェノール化合物(a3)と、上記式(II)で示されるポリアミド樹脂(a4)とが混合され、加熱されて得られるエポキシ樹脂成分である。
【0030】
[2官能エポキシ樹脂(a1)]
(a1)成分である2官能エポキシ樹脂とは、分子中に2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂である。代表例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、それらのブロム化エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、アルキル骨格を主鎖とするエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂あるいはこれらを変性したエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
これらのうちでも下記式(XI)で示されるビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。該ビスフェノール型エポキシ樹脂は、市販品から入手可能であり、例えばジャパンエポキシレジン社製のJER807、828等が使用できる。
【0031】
【化12】

【0032】
[3官能エポキシ樹脂(a2)]
(a2)成分である3官能エポキシ樹脂とは、分子中にエポキシ基を3つ有するエポキシ樹脂である。代表例としては、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−m−クレゾール、N,N,O−トリグリシジル−5−アミノ−o−クレゾール、1,1,1−(トリグリシジルオキシフェニル)メタン等が挙げられる。これらは1種単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
また、3官能エポキシ樹脂(a2)として、市販されている3官能エポキシ樹脂を用いることもできる。その製品名の例としては、ジャパンエポキシレジン社製のJER630、YX−4、ハンツマン社製のMY0510、住友化学社製のELM−100、大日本インキ社製のEXA4506等が挙げられる。
【0033】
[フェノール化合物(a3)]
(a3)成分であるフェノール化合物は、上記(I)の構造式を満たす化合物である。具体的には、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラ3級ブチルビフェニル、ビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールF、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールS、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビス(キシレノール)が挙げられる。これらは1種単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0034】
[ポリアミド樹脂(a4)]
(a4)成分であるポリアミド樹脂は、上記式(II)で表されるポリエーテルエステルアミド(ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体)である。このポリエーテルエステルアミドは、ポリアミド成分と、ポリオキシアルキレングリコールおよびジカルボン酸からなるポリエーテルエステル成分との反応で得られ、分子鎖中にアミド結合とエーテル結合とエステル結合とを有する重合体である。
かかるポリエーテルエステルアミドは、エポキシ樹脂と高い相溶性を示すとともに、高温高湿度環境下における吸湿量が少ない。したがって、このポリエーテルエステルアミドを用いることにより、本発明の樹脂組成物を用いて繊維強化複合材料を作成した場合に、高い耐熱性および耐衝撃性が得られるとともに、高温高湿度環境下においても優れた機械的特性を得ることができる。
【0035】
式(II)中、PAは上記式(III)で表される構造を示し、PEは上記式(VI)で表される構造を示す。
式(III)において、PAとPAはそれぞれ独立に、上記式(IV)で表される構造および/または上記式(V)で表される構造を示す。
したがって、aが1のとき、PAは式(IV)で表される構造または式(V)で表される構造である。aが2のとき、PAは式(IV)で表される構造のみでもよく、式(V)で表される構造のみでもよく、両方でもよい。
同様に、bが1のとき、PAは式(IV)で表される構造または式(V)で表される構造である。bが2のとき、PAは式(IV)で表される構造のみでもよく、式(V)で表される構造のみでもよく、両方でもよい。
【0036】
式(II)中、Xは1〜10、Yは1〜10、Zは1〜20で、いずれも整数である。式(III)中、aは0または1〜2の整数、bは0または1〜2の整数、lは1〜10の整数である。a+bは1以上4以下であり、aとbが同時に0(ゼロ)になることはない。
また、Rは−(CHα−(αは2〜40の整数)である。
式(IV)および(V)において中、Rは−(CHβ−(βは2〜40の整数)であり、Rは−(CH−(dは1〜6の整数)である。RおよびR’はそれぞれ独立に、HまたはCHである。
【0037】
式(II)中のPEを表わす上記式(VI)において、mは3〜20の整数であり、nは1〜10の整数である。また、Rは−(CH−(eは2〜8の整数)である。Rは−(CHγ−(γは2〜40の整数)である。
【0038】
(a4)成分としてのポリエーテルエステルアミドの製造方法は、均一で所望の分子量の重合体が得られる方法であれば、どのような方法でも採用できる。例えば、まず、ポリアミドオリゴマーを合成し、これにポリオキシアルキレングリコールとジカルボン酸を加え、減圧下で加熱して高重合度化させる方法が挙げられる。
【0039】
(a4)成分であるポリエーテルエステルアミドとして、市販品を用いることもできる。具体的な製品名の例としては、富士化成工業社製のTPAEシリーズ(TPAE12、TPAE31、TPAE32、TPAE38、TPAE8、TPAE10、TPAE100、TPAE23、TPAE63、TPAE200、TPAE201、TPAE260、TPAE260)が挙げられる。該TPAEシリーズは、不飽和脂肪酸の分子間重合により得られる重合脂肪酸を用いて製造されたポリエーテルエステルアミドである。
これらのうちTPAE32は、式(II)で示されるものの混合物であって、式(II)〜(VI)中、平均値として、X=Y=1、Z=7.26、a=0.16、b=0.84、l=2.23、α=10、β=34、d=2、m=14、n=1、γ=10、e=4である。また、RおよびR’はいずれもHである。また、該TPAE32においては、PA、PAはいずれも、式(IV)の構造のものと式(V)の構造のものとが混在した状態となっている。
【0040】
[エポキシ樹脂成分(A)の調製方法]
以上説明した(a1)成分と、(a2)成分と、(a3)成分と、(a4)成分とを混合し、加熱してエポキシ樹脂成分(A)を調製する。
該加熱の際には、必要に応じて触媒を加えてもよい。該触媒としては、エポキシ基とフェノール性水酸基の反応を適度に促進するものであれば特に制限ないが、トリフェニルホスフィン(TPP)が特に好ましい。触媒の量は反応がスムーズに進行する様に適宜設定すればよい。
【0041】
また、ここでの加熱は、フェノール化合物(a3)中に含まれるフェノール性水酸基の80%以上が反応し、未反応のフェノール性水酸基が20%未満となる程度に行うことが必要である。20%以上のフェノール性水酸基が未反応で残存していると、得られる樹脂組成物の耐水性および貯蔵安定性が大幅に低下する。好ましくはフェノール性水酸基の反応率は90%以上である。
【0042】
エポキシ樹脂成分(A)の調製方法としては、(a1)〜(a4)成分の混合物を、上述したようにフェノール性水酸基の80%以上が反応し、好ましくは反応が比較的穏やかに進行するような条件下で加熱する方法が好ましい。具体的には、触媒を用いない場合では、混合物を100〜150℃で5〜24時間加熱し、触媒を用いる場合では、混合物を100〜130℃で2〜6時間加熱する条件が適当である。
【0043】
より好ましいエポキシ樹脂成分(A)の調製方法として、以下の2段階の調製法が挙げられる。まず(a1)成分および(a2)成分の少なくとも一方と、(a4)とをあらかじめ混合して、150〜180℃で1〜6時間加熱し、(a1)成分および/または(a2)成分に(a4)成分の少なくとも一部を溶解させる。その後、フェノール化合物(a3)と、残りの必須成分すなわち(a1)成分および(a2)成分の残りを加え、触媒を用いない場合では100〜150℃で5〜24時間、触媒を用いる場合では100〜130℃で2〜6時間加熱する。このような調製法で得られたエポキシ樹脂成分(A)を使用することにより、より高い耐熱性、耐衝撃性が達成できる繊維強化複合材料用樹脂組成物が得られる。
【0044】
エポキシ樹脂成分(A)の調製に用いる各成分の比率は、(a1)、(a2)および(a3)の合計100質量部のうち、2官能エポキシ樹脂(a1)は10〜89.5質量部であり、30〜70質量部が好ましい。3官能エポキシ樹脂(a2)は0.5〜40質量部であり、2〜30質量部が好ましい。フェノール化合物(a3)は10〜50質量部であり、20〜40質量部が好ましい。この(a1)、(a2)および(a3)の合計100質量部に対して、ポリアミド樹脂(a4)は1〜45質量部であり、3〜20質量部が好ましい。
【0045】
(a1)、(a2)および(a3)の合計100質量部に対して、2官能エポキシ樹脂(a1)の比率を10質量部以上とすることにより、樹脂組成物の耐衝撃性が十分となり、89.5質量部以下とすることにより、樹脂組成物の耐熱性の低下を抑えることができる。3官能エポキシ樹脂(a2)の比率を0.5質量部以上としておけば十分な耐熱性が得られ、40質量部以下とすると、エポキシ樹脂成分(A)の調製時にゲル化が起こる可能性を最小限に抑えられる。フェノール化合物(a3)の比率を10質量部以上としておけば十分な耐衝撃性が得られ、50質量部以下としておけばエポキシ樹脂成分(A)の調製時に密な架橋骨格が得られ、耐熱性を良好なものとできるだけでなく、20%以上のフェノール性水酸基が未反応で残存してしまうこともない。
また、ポリアミド樹脂(a4)の比率が、(a1)〜(a3)成分の合計100質量部に対して1質量部以上であれば、樹脂組成物の耐衝撃性は充分なものとなり、45質量部以下であれば、樹脂組成物の粘度を低く抑えられ、取扱性が良好なプリプレグを得るうえで好ましい。
【0046】
このようにしてエポキシ樹脂成分(A)を調製することにより、フェノール化合物(a3)とポリアミド樹脂(a4)とがそれぞれ島相(ソフトセグメント)をなし、2官能エポキシ樹脂(a1)および3官能エポキシ樹脂(a2)が海相(ハードセグメント)をなす海島構造が得られるようにモルフォロジー制御ができる。
【0047】
[2官能エポキシ樹脂(B)]
(B)成分として使用される2官能エポキシ樹脂は、上記(a1)成分として例示したものと同じ2官能エポキシ樹脂を1種または2種以上使用できる。なお、(a1)成分と(B)成分に使用さる2官能エポキシ樹脂が、互いに同一であっても異なっていてもよい。(B)成分は1種でもよく、2種類以上を併用してもよい。上記(A)成分とは別に該2官能エポキシ樹脂(B)を含有させることにより、樹脂組成物の粘度調製が容易になる。
【0048】
[エポキシ樹脂(C)成分]
(C)成分は、上記式(VII)で表されるエポキシ樹脂、上記式(VIII)で表されるエポキシ樹脂、骨格に上記式(IX)で表される構造を有するエポキシ樹脂、および骨格に上記式(X)で示される構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上である。
該エポキシ樹脂(C)を含有させることにより、樹脂組成物の耐熱性をより向上させることができる。
【0049】
エポキシ樹脂(C)は市販されているエポキシ樹脂から選択して用いることができる。具体的には、上記式(VII)で表されるエポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン社製のjER1032S50、上記式(VIII)で表されるエポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン社製のjER1032H60、ハンツマン株式会社製のTACTIX742、日本化薬社製のHPPN―502H等を挙げることができる。
【0050】
また上記式(IX)で示されるナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂としては、ナフトールやナフタレンジオールなどのナフタレン骨格を有する化合物の誘導体を用いてグリシジル基を付与させたエポキシ樹脂が好適に使用できる。市販されているナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂を用いても構わない。例えば、大日本インキ社製のHP−4032(1,6−ヒドロキシナフタレンのグリシジル化合物)、EXA−4750(ナフタレン骨格を有する3官能エポキシ樹脂)、EXA−4700(ナフタレン骨格を有する4官能エポキシ樹脂)等が挙げられる。さらに日本化薬社製のNC−7000シリーズ、新日鐵化学社製のESN―165,ESN―175,ESN―185、ESN―375等を挙げることができるが、これらに限定するものではない。
上記式(X)で示されるジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂としては、大日本インキ株式会社製のHP7200、東都化成株式会社のEX1257等が挙げることができるが、これに限定するものではない。
(C)成分は1種でもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0051】
[芳香族アミン化合物(D)]
芳香族アミン化合物(D)は硬化剤として作用する。具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、トリメチレン−ビス(4−アミノベンゾエート)等の芳香族アミンが用いられる。これらのうちで、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、または3,3’−ジアミノジフェニルスルホンが耐熱性の発現性や入手のし易さの点で特に好ましい。(D)成分は1種でもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0052】
[他のエポキシ樹脂(E)]
本発明の樹脂組成物には、全体の物性バランスをくずさない範囲内で、上記(a1)成分、(a2)成分、(B)成分および(C)成分のいずれの範疇にも含まれない、他のエポキシ樹脂(E)を含有させてもよい。
該他のエポキシ樹脂(E)としては、N,N,N’,N’−テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル4,4’−(4−アミノフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,1,2,2−(テトラグリシジルオキシフェニル)エタン等をグリシジル化した4官能エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂等の炭素=炭素2重結合を前駆体とするエポキシ樹脂;を挙げることができるがこれらに限定するものではない。さらに、エポキシ基の一部を熱可塑性樹脂やエラストマー、イソシアネート等で変性したエポキシ樹脂も例示できる。また、これらのエポキシ樹脂をブロム等で変性し、難燃性を付与したエポキシ樹脂も好ましく用いることができるがこれらに限定するものではない。
(E)成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
[その他の樹脂成分]
さらに本発明の樹脂組成物には、両末端がカルボキシル基のブタジエン−アクリロニトリル共重合体等のいわゆるエラストマー成分;ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリビニルブチラート等の熱可塑性樹脂成分を目的に応じて併用してもよい。これら成分の使用量は、全体の物性バランスを損なわない範囲内で目的に応じて適宜設定すればよい。またシリカ粉末、アエロジル、マイクロバルーン、三酸化アンチモン等の無機化合物を目的に応じて適宜配合してもよい。
【0054】
[繊維強化複合材料用樹脂組成物]
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物は、(A)成分の20〜70質量部と、(B)成分の10〜50質量部と、(C)成分の15〜70質量部を含有し、さらに芳香族アミン化合物(D)を、エポキシ基に対する理論当量が90〜175%となる範囲で含有する。該エポキシ基に対する理論当量とは下記数式(1)から計算される値である。
【0055】
【数1】

【0056】
(A)〜(C)成分の配合比率を上記の範囲内とすることにより、高い耐熱性および耐衝撃性を両立できる繊維強化複合材料用樹脂組成物が得られる。(D)成分の配合比率を90%当量以上とすることにより、樹脂組成物は硬化が十分なものとなり、満足できる物性が得られる。また(D)成分の配合比率を175%当量以下とすれば、架橋密度を適正な範囲とすることができ、耐熱性、耐溶剤性が良好なものとなる。
【0057】
(A)〜(D)成分の配合比率の好ましい範囲は、(A)成分が30〜60質量部で、(B)成分が20〜40質量部で、(C)成分が20〜60質量部であり、(D)成分が理論当量の100〜150%である。
(A)〜(D)成分の配合比率のより好ましい範囲は、(A)成分が45〜55質量部で、(B)成分が20〜35質量部で、(C)成分が20〜35質量部であり、(D)成分が理論当量の100〜130%(35〜45質量部)である。
上記(E)成分を含有させる場合、その使用量は(A)、(B)および(C)成分の合計である全樹脂成分の20質量%以下が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
【0058】
本発明の繊維強化複合材料用樹脂組成物において、エポキシ樹脂成分(A)は、ポリアミド樹脂(a4)がエポキシ樹脂成分(A)中に島相として固定されている構造を有するため、得られた樹脂組成物を加熱硬化させた場合でも、ポリアミド樹脂(a4)の相分離が生じ難く、ソフトセグメントの役割を担う島相として樹脂組成物中に存在することができ、その結果、得られる樹脂組成物は非常に高い耐衝撃性を発現する。さらに、ソフトセグメントとしては、ポリアミド樹脂(a4)からなる島相に加え、フェノール化合物(a3)からなる島相も存在している。よって、それぞれのソフトセグメントの相乗効果が発現し、どちらか一方のみからソフトセグメントが構成されている場合に比べて、得られる樹脂組成物の耐衝撃性が非常に向上し、その結果、炭素繊維複合材料などの複合材料とした際に、高い衝撃後圧縮強度(CAI)が発現する。
また、ポリアミド樹脂(a4)が島相として樹脂組成物中に均一に分散しているため、ポリアミド樹脂(a4)の吸湿量を飛躍的に低減でき、従来困難であった高温高湿度環境下での複合材料の機械特性の低下が低減できる。
【0059】
さらに、該エポキシ樹脂成分(A)成分とともに、耐熱性が発現できる多官能エポキシ樹脂(C)と、硬化剤として作用する(D)成分とを海相として用いることにより、得られる樹脂組成物は、上述のような耐衝撃性などの向上に加え、ガラス転移温度(Tg)が160℃を超える耐熱性にも優れたものとなる。
したがってエポキシ樹脂成分(A)と(B)〜(D)成分とが配合された樹脂組成物を使用することにより、従来困難であった高い耐熱性、耐衝撃性を満足する複合材料を与えることが可能となる。
また特に、ポリアミド樹脂(a4)として、高温高湿度環境下においても吸湿量が少ない式(II)のポリエーテルエステルアミドを使用することにより、複合材料とした際に高温高湿度環境下でも本来の高い機械強度を維持することが期待できる。
【0060】
[複合材料中間体]
本発明の複合材料中間体は、繊維強化複合材料用樹脂組成物を補強用繊維に含浸させたものである。補強用繊維は公知のものを適宜使用できる。
補強用繊維を構成する強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、シリコンカーバイド繊維等が挙げられる。補強用繊維の形態としては、ミルドファイバー状、チョップドファイバー状、連続繊維、各種織物等が挙げられる。
特に、引張強度が450MPa以上、引張伸度が1.7%以上である高強度・高伸度の炭素繊維が連続繊維状または各種織物状の形態となって補強用繊維が好適である。
樹脂組成物を補強用繊維に含浸する方法としては特に制限はなく、通常の方法によればよい。
【実施例】
【0061】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
各例で使用した各成分は以下の通りである。
(a1)成分および(B)成分
・jER807:ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、平均分子量:約312
(a2)成分
・jER630:ジャパンエポキシレジン社製、平均分子量318
(a3)成分
・4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビス(2,6−キシレノール)(分子量402)
・4,4’−ジヒドロキシビフェニル(分子量178)
(a4)成分
・TPAE32:富士化成工業社製、重合脂肪酸系のポリエーテルエステルアミド
(C)成分
・HP4032:大日本インキ化学工業株式会社製、1,6−ヒドロキシナフタレンをベースとする2官能型エポキシ樹脂
・EXA4700:大日本インキ化学工業株式会社製、式(IX)で表されるナフタレン骨格を有する4官能エポキシ樹脂
・jER1032H60:ジャパンエポキシレジン社製、式(VIII)表されるエポキシ樹脂
・jER1032S50:ジャパンエポキシレジン社製、式(VII)で表されるエポキシ樹脂
・HP7200:大日本インキ化学工業株式会社製 式(X)で表されるジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂
(D)成分
・DDS:和歌山精化社製、セイカキュアS、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
(その他の成分)
・アエロジル:日本アエロジル社製、シリカ粉末(A380PE)
・jER604:ジャパンエポキシレジン社製、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン
(触媒)
・TPP:キシダ化学社製、トリフェニルホスフィン、純度99%以上
【0062】
[実施例1]
表1に示す配合でエポキシ樹脂成分(A)を調製し、これを用いて表1に示す配合で繊維強化複合材料用樹脂組成物を調製した。表1における数値の単位は特に断りがない限り「質量部」である。表中の「ポリアミド含有量(単位%)」は、(a1)、(a2)および(a3)の合計質量を100%としたときのポリアミド樹脂(a4)の配合質量の割合である。
すなわち、(a1)成分であるJER807の580gと(a4)成分であるTPAE32の60gとを混合して180℃で4時間加熱し、(a1)成分に(a4)成分を溶解させた後、さらに、(a2)成分であるJER630の60gと、(a3)成分である4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビス(2,6−キシレノール)の350gと、触媒であるトリフェニルホスフィン(TPP、キシダ化学社製)の10gとを加えて、100℃で2時間加熱し、(A)成分を調製した。この際、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビス(2,6−キシレノール)のフェノール性水酸基の未反応量は1%以下であった。
なおフェノール性水酸基の未反応量は、GPC測定により検出された、反応していないフェノール化合物(以下、未反応フェノール化合物という)のピーク強度と、予め作成したピーク強度とフェノール化合物量との検量線から、未反応フェノール化合物量を算出し、次式(2)により未反応量(単位%)を算出した。
未反応量(%)=(未反応フェノール化合物量/反応に使用したフェノール化合物量)×100…(2)
GPCの測定条件は以下の通りとした。
測定機器: 東ソー社製HLC−8220GPC、
カラム : TSK−gel G4000HXLおよびTSK−gel G2000HXL、
溶離液 :THF(テトラヒドロフラン)、
流量 :1.0m/min、
検出器 :RI。
【0063】
次に、得られた(A)成分の350gに対して、(B)成分であるJER807の200gと、(C)成分であるHP4032の200gと、(D)成分であるDDSの250gとを順次投入し、卓上ニーダーを使用して、60℃において全体が均一になるまで十分に混合して、樹脂組成物を調製した。なお、(D)成分は、エポキシ基に対する理論当量が120%となるように配合した。
【0064】
[実施例2〜6]
各成分の配合比を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。各例において、(a3)成分である4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビス(2,6−キシレノール)のフェノール性水酸基の未反応量は、(A)成分中において1%以下であった。
【0065】
[実施例7]
各成分の配合比を表1に示すように変更し、その他の成分を追加すること以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。各例において、(a3)成分である4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビス(2,6−キシレノール)のフェノール性水酸基の未反応量は、(A)成分中において1%以下であった。
【0066】
[実施例8]
(a3)成分としてのフェノール化合物を4,4’−ジヒドロキシビフェニルに変更すること以外は実施例2と同様にして樹脂組成物を得た。(a3)成分である4,4’−ジヒドロキシビフェニルのフェノール性水酸基の未反応量は、(A)成分中において1%以下であった。
【0067】
[比較例1〜3]
各成分の配合比を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして(A)成分を調製し、樹脂組成物を得た。
すなわち、比較例1は(A)成分を含有させず、比較例2はポリアミド樹脂(a4)を含有させず、比較例3は(C)成分を含有させなかった。
【0068】
【表1】

【0069】
[評価]
上記各例でそれぞれ得られた樹脂組成物を脱泡した後、ガラス板に挟み、180℃で2時間硬化して樹脂板を得た。得られた樹脂板についてJIS K6911に準拠して3点曲げ物性(強度、弾性率、伸度)を測定した。3点曲げ物性(強度、弾性率、伸度)は強化繊維複合材料としたときの機械強度の目安になる。
また、TMA法によりG’−Tg(熱転移点)を測定した。G’−Tgは耐熱性の指標となる。
さらに、ASTM D5045 SENB法に準拠して破壊靱性値(GIC)を測定した。GIC値は耐衝撃性の指標となる。
これらの結果を表2に示す。なお、各評価項目における目標値は以下の通りである。
耐熱性(G’−Tg):160℃、
靭性(GIC):300J/m
3点曲げ強度:15MPa、
3点曲げ弾性率:3.0GPa、
伸度:12%以上。
【0070】
【表2】

【0071】
表2の結果より、各実施例においてはG’−TgおよびGIC値がいずれも目標値を上回っており、耐熱性および耐衝撃性(靱性)に優れていることが認められる。また硬化樹脂の3点曲げ物性も目標値以上であり、複合材料としたときに良好な機械強度が得られることが認められる。
一方、樹脂組成物に(A)成分が含まれない比較例1、およびポリアミド樹脂(a4)が含まれない場合比較例2では、耐衝撃性が不十分であり、伸度も劣っていた。また、樹脂組成物に(C)成分が含まれていない比較例3は耐熱性が不十分であった。すなわち比較例1〜3では耐熱性と耐衝撃性の両立ができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10〜89.5質量部の2官能エポキシ樹脂(a1)と、0.5〜40質量部の3官能エポキシ樹脂(a2)と、10〜50質量部の下記式(I)で示されるフェノール化合物(a3)との合計100質量部に対して、下記式(II)で示されるポリアミド樹脂(a4)1〜45質量部を混合し、前記フェノール化合物(a3)のフェノール性水酸基のうち80%以上が反応する条件で加熱してなるエポキシ樹脂成分(A)の20〜70質量部と、
2官能エポキシ樹脂(B)の10〜50質量部と、
下記式(VII)で表されるエポキシ樹脂、下記式(VIII)で表されるエポキシ樹脂、骨格に下記式(IX)で表される構造を有するエポキシ樹脂、および骨格に下記式(X)で示される構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂(C)の15〜70質量部とを含有するとともに、
芳香族アミン化合物(D)を、エポキシ基に対する理論当量が90〜175%となる範囲で含有することを特徴とする繊維強化複合材料用樹脂組成物。
【化1】

(式(I)中、X’はそれぞれ独立に水素原子、炭素数が6以下のアルキル基またはBrを示し、Y’は直接結合、−CH−、−C(CH−、−SO−、または
【化2】

を示す。)
【化3】

(式(II)中、Xは1〜10の整数、Yは1〜10の整数、Zは1〜20の整数であり、PAは下記式(III)で表される構造を示し、PEは下記式(VI)で表される構造を示す。)
【化4】

(式(III)中、aは0または1〜2の整数、bは0または1〜2の整数、lは1〜10の整数、a+bは1以上4以下である。Rは−(CHα−(αは2〜40の整数)を示す。PAおよびPAはそれぞれ独立に、下記式(IV)で表される構造および/または下記式(V)で表される構造を示す。)
【化5】

【化6】

(式(IV)および(V)中、Rは−(CHβ−(βは2〜40の整数)を示し、Rは−(CH−(dは1〜6の整数)を示す。RおよびR’はそれぞれ独立にHまたはCHを示す。)
【化7】

(式(VI)中、mは3〜20の整数、nは1〜10の整数である。Rは−(CH−(eは2〜8の整数)を示し、Rは−(CHγ−(γは2〜40の整数)を示す。)
【化8】

【化9】

(式(VIII)中、nは0、1、または2である。)
【化10】

【化11】

【請求項2】
前記エポキシ樹脂成分(A)は、予め前記2官能エポキシ樹脂(a1)および前記3官能エポキシ樹脂(a2)の少なくとも一方と、前記ポリアミド樹脂(a4)とを混合、加熱した後、前記2官能エポキシ樹脂(a1)および前記3官能エポキシ樹脂(a2)の残りと、前記フェノール化合物(a3)を加えて混合、加熱して調製されたものであることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物が補強用繊維に含浸した複合材料中間体。
【請求項4】
10〜89.5質量部の2官能エポキシ樹脂(a1)と、0.5〜40質量部の3官能エポキシ樹脂(a2)と、10〜50質量部の下記式(I)で示されるフェノール化合物(a3)との合計100質量部に対して、下記式(II)で示されるポリアミド樹脂(a4)1〜45質量部を混合し、前記フェノール化合物(a3)のフェノール性水酸基のうち80%以上が反応する条件で加熱してエポキシ樹脂成分(A)を得る工程と、
前記エポキシ樹脂成分(A)の20〜70質量部と、2官能エポキシ樹脂(B)の10〜50質量部と、下記式(VII)で表されるエポキシ樹脂、下記式(VIII)で表されるエポキシ樹脂、骨格に下記式(IX)で表される構造を有するエポキシ樹脂、および骨格に下記式(X)で示される構造を有するエポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂(C)の15〜70質量部と、エポキシ基に対する理論当量が90〜175%となる量の芳香族アミン化合物(D)とを混合する工程を有することを特徴とする繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造方法。
【化12】

(式(I)中、X’はそれぞれ独立に水素原子、炭素数が6以下のアルキル基またはBrを示し、Y’は直接結合、−CH−、−C(CH−、−SO−、または
【化13】

を示す。)
【化14】

(式(II)中、Xは1〜10の整数、Yは1〜10の整数、Zは1〜20の整数であり、PAは下記式(III)で表される構造を示し、PEは下記式(VI)で表される構造を示す。)
【化15】

(式(III)中、aは0または1〜2の整数、bは0または1〜2の整数、lは1〜10の整数、a+bは1以上4以下である。Rは−(CHα−(αは2〜40の整数)を示す。PAおよびPAはそれぞれ独立に、下記式(IV)で表される構造および/または下記式(V)で表される構造を示す。)
【化16】

【化17】

(式(IV)および(V)中、Rは−(CHβ−(βは2〜40の整数)を示し、Rは−(CH−(dは1〜6の整数)を示す。RおよびR’はそれぞれ独立にHまたはCHを示す。)
【化18】

(式(VI)中、mは3〜20の整数、nは1〜10の整数である。Rは−(CH−(eは2〜8の整数)を示し、Rは−(CHγ−(γは2〜40の整数)を示す。)
【化19】

【化20】

(式(VIII)中、nは0、1、または2である。)
【化21】

【化22】

【請求項5】
前記エポキシ樹脂成分(A)を得る工程において、予め前記2官能エポキシ樹脂(a1)および前記3官能エポキシ樹脂(a2)の少なくとも一方と、前記ポリアミド樹脂(a4)とを混合、加熱した後、前記2官能エポキシ樹脂(a1)および前記3官能エポキシ樹脂(a2)の残りと、前記フェノール化合物(a3)を加えて混合、加熱することを特徴とする請求項4に記載の繊維強化複合材料用樹脂組成物の製造方法。

【公開番号】特開2009−13255(P2009−13255A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175257(P2007−175257)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】