説明

繊維機械

【課題】回転速度にかかわらず効率良く正確に電気モータを制御できる繊維機械を提供する。
【解決手段】自動ワインダは、モータ51と、位置センサ56と、電流センサ70と、パルス検出部55と、モータ制御部52と、を備える。位置センサ56は、モータ51のロータ磁極位置を検出する。電流センサ70は、モータ51の電流を検出する。パルス検出部55は、モータ51の回転に応じたパルスを検出する。モータ制御部52は、モータ51の回転を制御する。また、モータ制御部52は、第1制御部71と、第2制御部72と、を備える。第1制御部71は、位置センサ56の検出結果及びパルス検出部55の検出結果に基づいてモータ51の回転を制御する。第2制御部72は、電流センサ70の検出結果に基づいてモータ51の回転を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維機械に関する。詳細には、繊維機械が備える電気モータを制御するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、巻取ボビンを電気モータで直接又は間接的に駆動して当該ボビン表面に糸を巻き取り、パッケージを形成する糸巻取機等の繊維機械が知られている。近年、この種の繊維機械において、効率向上、小型化、長寿命化などの観点から、前記電気モータとしてブラシレスDCモータ(以下、単にブラシレスモータという場合がある)が使用されている。ブラシレスDCモータを採用した糸巻取機としては、例えば特許文献1が開示する構成のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−267627号公報
【0004】
上記ブラシレスモータは、ロータ側に永久磁石を、ステータ側に複数のコイルをそれぞれ有し、前記コイルに流す電流をモータ制御部が切り替えることによりロータを回転させる仕組みである。また、一般的なブラシレスモータは、ロータの磁極位置を検知するための位置センサを有している。位置センサを備えたブラシレスモータの場合、モータ制御部は、位置センサが検出したロータ磁極位置に応じてコイルに印加する電圧を制御する。
【0005】
一方、前記ブラシレスモータの制御方法の1つとして、位置センサを用いずにロータの位置を推定するセンサレス制御(正確にいえば、位置センサレス制御)も知られている。これは、コイルに発生する逆起電力波形に基づいて、モータの各コイルに印加する電圧を制御するものである。前記特許文献1には、糸巻取機が備えるブラシレスモータをセンサレス制御により制御しても良い旨が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
糸巻取機等の繊維機械においては、高品質なパッケージを形成するため、低速域から高速域までの広い回転速度範囲においてパッケージ回転速度を正確に制御することが重要な課題となっている。また繊維機械においては、糸継時などにおいて糸端を引き出すためにパッケージを逆回転させる場合もあるが、この逆回転時にも正確な回転制御を行うことが好ましい。この点、上記のような位置センサ付きのブラシレスモータを繊維機械に用いた場合、以下のような問題があった。
【0007】
一般的に、ブラシレスモータの位置センサは進角を付けて配置される。これは、コイルに電圧を掛けてもインダクタンスの関係で直ちには磁力が発生しないため、この時間的な遅れを先読みにより解決すべく、位置センサの取付け位相をズラしたものである。このようにセンサに進角を設けると、当該進角にマッチした特定の速度で回転を続けている場合には効率良く駆動させることができるが、それ以外の回転速度の場合には力率及び効率が低下してしまうとともに、制御性が悪化してしまう。特に、ロータを逆回転させた場合には位置センサの位相ズレが更に大きくなるので、制御性が更に悪化してしまう。また、上述のように特定の回転速度以外では効率が低下するため、モータに余分な電流が必要となり、モータの大型化と高コスト化、及び消費電力の増大の原因となっていた。
【0008】
また、位置センサに進角を設けると、複数の糸巻取ユニットが備えるブラシレスモータの間でセンサ位置のバラツキが生じてしまい、ユニット間で制御のバラツキが生じる点でも好ましくない。また、位置センサからの信号は(モータの極数にもよるが)ロータ1周あたり数パルスしか出力されない。このため、特に低速回転時において、滑らかな駆動を行うためには信号の時間的分解能が十分ではなかった。以上のように、位置センサによる制御では効率良く運転できる回転速度に制限があった。
【0009】
この点、センサレス制御によれば位置センサの進角に基づく上記のような問題が無いため、正転、逆転を問わず、また、幅広い速度域でモータを効率良く制御することができる。しかし、センサレス制御はコイルに生じる逆起電力を利用するため、ロータの停止時のように逆起電力が発生していない場合や、低速回転時のように逆起電力が低い場合には、利用することが困難であった。このため、一般的なセンサレス制御においては、例えばモータを停止状態から始動する際には、ロータの位置に関係なく一定の電圧信号をコイルに印加することでロータを一応回転させ、十分な逆起電力が発生する回転速度に達してからセンサレス制御を開始するという制御が行われていた。このようであるから、センサレス制御では低速時における正確な回転制御を行うことができなかった。
【0010】
以上のように、位置センサに基づいた制御とセンサレス制御にはそれぞれ一長一短の特徴があり、双方の長所を生かした制御が望まれる。この点、上記特許文献1は糸巻取機が備えるブラシレスモータの制御にセンサレス制御を用いても良い旨を述べているものの、具体的な構成は何ら開示していない。
【0011】
本願発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、回転速度にかかわらず効率良く正確に電気モータを制御できる繊維機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0012】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0013】
本発明の観点によれば、以下の構成の繊維機械が提供される。即ち、この繊維機械は、電気モータと、位置センサと、電流検出部と、パルス検出部と、モータ制御部と、を備える。前記位置センサは、前記電気モータのロータ磁極位置を検出する。前記電流検出部は、前記電気モータの電流を検出する。前記パルス検出部は、前記電気モータの回転に応じたパルスを検出する。前記モータ制御部は、前記電気モータの回転を制御する。また、前記モータ制御部は、第1制御部と、第2制御部と、を備える。前記第1制御部は、前記位置センサの検出結果及び前記パルス検出部の検出結果に基づいて前記電気モータの回転を制御する。前記第2制御部は、前記電流検出部の検出結果に基づいて前記電気モータの回転を制御する。
【0014】
この構成によれば、第1制御部によって位置センサの検出結果に基づいて駆動制御を行うことができ、第2制御部によって位置センサによらない制御(位置センサレス制御)を行うことができる。これにより、位置センサを用いた駆動制御と位置センサレス制御のそれぞれの利点と欠点を考慮し、状況に応じて適切に電気モータの制御を行うことができる。また、第1制御部においては、位置センサの検出結果のみでは時間分解能が足りない場合でも、パルス検出部の検出結果を補助的に用いることができるので、高価なエンコーダを設けることなく低速回転時においても滑らかにモータを駆動することができる。
【0015】
上記の繊維機械においては、前記第1制御部は、前記電気モータの回転速度が所定の回転速度未満の場合に当該電気モータの回転を制御することが好ましい。
【0016】
即ち、モータの停止時又は低速回転時においてはモータの誘起電圧が低いため、電流検出部の検出結果に基づいた位置センサレス制御を第2制御部が行うことが困難である。この点、第1制御部は位置センサの検出結果に基づいて制御を行うので、低速回転時においても適切にモータの制御を行うことができる。また、第1制御部は、位置センサの検出結果に加えてパルス検出部の検出結果を補助的に用いて制御を行うので、低速回転時においても滑らかにモータを駆動することができる。
【0017】
前記の繊維機械においては、前記第2制御部は、前記電気モータの回転速度が所定の回転速度以上の場合に当該電気モータの回転を制御することが好ましい。
【0018】
即ち、ある程度の回転速度以上であれば、電流検出部の検出結果に基づいて第2制御部による制御を行うことが容易となる。これにより、位置センサの進角にかかわらず、幅広い回転速度域でモータを効率的に駆動できるという位置センサレス制御の利点を良好に発揮することができる。このように効率的な駆動を行うことで運転時の電流を抑えることが可能となり、モータ及びパワーモジュールを最適化して製造コストを抑えることができる。
【0019】
前記の繊維機械は、以下のように構成することが好ましい。即ち、この繊維機械は、パッケージに接触して当該パッケージを従動回転させる巻取ドラムを備える。前記電気モータは、前記巻取ドラムを回転させる巻取ドラム駆動モータである。
【0020】
即ち、繊維機械が備える巻取ドラム駆動モータは、低速回転から高速回転まで幅広い回転速度域での正確な制御が必要であるため、本発明の構成を用いて制御することが特に好適である。
【0021】
また、前記の繊維機械において、前記電気モータは、パッケージを直接回転駆動するパッケージ駆動モータであっても良い。
【0022】
即ち、繊維機械が備えるパッケージ駆動モータは、低速回転から高速回転まで幅広い回転速度域での正確な制御が必要であるため、本発明の構成を用いて制御することが特に好適である。
【0023】
また、前記の繊維機械において、前記電気モータは、スピンドルを回転させることにより糸に撚りを掛けるスピンドルモータであっても良い。
【0024】
即ち、繊維機械が備えるスピンドルモータは、低速回転から高速回転まで幅広い回転速度域での正確な制御が必要であるため、本発明の構成を用いて制御することが特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自動ワインダに備えられた糸巻取ユニットの構成の概略図。
【図2】モータ制御部の機能的な構成を示したブロック図。
【図3】U相電流波形と、位置センサからの信号及びドラムパルスの関係を示すグラフ。
【図4】モータ制御部によるモータの制御フローチャート。
【図5】本発明の第2実施形態に係る自動ワインダに備えられた糸巻取ユニットの構成の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る繊維機械としての自動ワインダが備えるワインダユニット16の概略図である。
【0027】
図1に示すワインダユニット16は、給糸ボビン21から解舒される紡績糸20をトラバースさせながら巻取ボビン22に巻き付けて、所定長で所定形状のパッケージ30とするものである。それぞれのワインダユニット16は、当該ワインダユニット16の各構成を制御するためのユニット制御部50を備えている。
【0028】
ユニット制御部50は、例えば、CPUと、RAMと、ROMと、I/Oポートと、を備えて構成されている。前記ROMには、ワインダユニット16の各構成を制御するためのプログラムが記録されている。
【0029】
前記ワインダユニット16は、給糸ボビン21と巻取ドラム24との間の糸走行経路中に、給糸ボビン21側から順に、解舒補助装置12と、テンション付与装置13と、スプライサ装置14と、クリアラ(糸品質測定器)15と、を配置した構成となっている。
【0030】
解舒補助装置12は、芯管に被さる規制部材40を給糸ボビン21からの糸の解舒と連動して下降させることにより、給糸ボビン21からの糸の解舒を補助するものである。規制部材40は、給糸ボビン21から解舒された糸の回転と遠心力によって給糸ボビン21上部に形成されたバルーンに対し接触し、当該バルーンを適切な大きさに制御することによって糸の解舒を補助する。
【0031】
テンション付与装置13は、走行する紡績糸20に所定のテンションを付与するものである。テンション付与装置13としては、例えば、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式のものを用いることができる。このテンション付与装置13によって、巻き取られる糸に一定のテンションを付与し、パッケージ30の品質を高めることができる。なお、テンション付与装置13には、上記ゲート式のもの以外にも、例えばディスク式のものを採用することができる。
【0032】
スプライサ装置14は、クリアラ15が糸欠点を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン21からの解舒中の糸切れ時等に、給糸ボビン21側の下糸と、パッケージ30側の上糸とを糸継ぎするものである。
【0033】
クリアラ15のクリアラヘッド49には、紡績糸20の太さを検出するための図略のセンサが備えられている。クリアラ15はこのセンサからの糸太さ信号を監視することにより糸欠陥を検出するように構成されている。また、前記クリアラヘッド49の近傍には、前記クリアラ15が糸欠点を検出したときに直ちに紡績糸20を切断するための図略のカッタが付設されている。
【0034】
スプライサ装置14の下側及び上側には、給糸ボビン21側の下糸を捕捉してスプライサ装置14に案内する下糸案内パイプ25と、パッケージ30側の上糸を捕捉してスプライサ装置14に案内する上糸案内パイプ26と、が設けられている。また、下糸案内パイプ25と上糸案内パイプ26は、それぞれ軸33,35を中心にして回動可能に構成されている。下糸案内パイプ25の先端には吸引口32が形成され、上糸案内パイプ26の先端にはサクションマウス34が備えられている。下糸案内パイプ25及び上糸案内パイプ26には適宜の負圧源がそれぞれ接続されており、前記吸引口32及びサクションマウス34に吸引流を発生させて、上糸及び下糸の糸端を吸引捕捉することができるように構成されている。
【0035】
スプライサ装置14の更に上側には、パッケージ30を回転可能に挟持できるように構成されたクレードル23と、前記パッケージ30に対向して配置される巻取ドラム24と、が設けられている。
【0036】
クレードル23は、パッケージ30を巻取ドラム24に対して所定の接圧で接触させるように構成されている。また、クレードル23は、巻取ドラム24に対して前記パッケージ30を近接又は離間させる方向に揺動可能に構成されている。これによって、パッケージ30の糸層が積層されて徐々に厚くなっていっても、その積層部分の厚みの増大をクレードル23の揺動によって吸収し、パッケージ30の外周面を巻取ドラム24に確実に接触させることができる。
【0037】
巻取ドラム24は、その外周面には螺旋状の綾振溝27が形成されている。また、巻取ドラム24はモータ(電気モータ)51の出力軸に連結されており、当該モータ51によって回転駆動される。この構成で、前記綾振溝27に紡績糸20が導入された状態で巻取ドラム24を回転駆動することにより、当該巻取ドラム24と接触しているパッケージ30を従動回転させ、当該パッケージ30の外周面に紡績糸20をトラバースさせながら巻き取ることができる。これにより、パッケージ30の表面に糸層が形成されていく。
【0038】
前記モータ51の作動はモータ制御部52によって制御されている。前記モータ制御部52は、ユニット制御部50と電気的に接続されている。そして、ユニット制御部50は、最適な形状のパッケージ30を生成するために、巻取ドラム24の目標回転速度を指示する回転速度指示信号を前記モータ制御部52に適宜出力するように構成されている。なお、モータ制御部52の構成については後述する。
【0039】
前記モータ51は、ブラシレスDCモータとして構成されている。ブラシレスモータの構成は公知であるので詳細な説明は省略するが、このモータ51は、永久磁石から構成された図略のロータと、U,V,Wの3つの相を構成する複数のコイルを有する図略のステータと、を主な構成要素として備えている。
【0040】
また、モータ51は、前記ロータの磁極位置を検出するためにステータ側に配置された3つの位置センサ56を備えている。なお、前記位置センサ56はホールICからなっている。また、本実施形態では、位置センサ56は進角無しで配置されている。これにより、低速回転時においては、正転逆転を問わずに高効率で正確な運転を実現することができる。この3つの位置センサ56はそれぞれモータ制御部52と電気的に接続されており、前記ロータ位置に応じた検出信号をモータ制御部52に対して出力するように構成されている。
【0041】
また、前記モータ51にはパルス検出部55が取り付けられている。このパルス検出部55は、巻取ドラム24の回転速度(即ち、モータ51の回転速度)に比例した周波数でパルス信号を検出するように構成されている。具体的には、このパルス検出部55は、円板状に構成されるとともに外周部が多数個に等分されて多極着磁された図略の円板状磁石と、前記円板状磁石の外周部に対するように配置されたホールICと、から構成されている。前記円板状磁石は、前記ロータと一体回転するように構成されている。そして、ロータが回転すると、当該ロータと一体回転する円板状磁石によって磁場の変化が生じ、1回転当たり所定数(本実施形態では60個)のパルス信号が前記ホールICによって検出される。そして、このパルス信号が、モータ制御部52及びユニット制御部50に出力されるように構成されている。なお、以下の説明では、パルス検出部55が出力するパルス信号を、巻取ドラム24の回転と対応して発生するパルスという意味でドラムパルスと称することがある。
【0042】
ユニット制御部50は、前記ドラムパルスのパルス数を測定することにより、パッケージ30に巻き取られた糸のおよその長さを算出することができる。これにより、ユニット制御部50は、パッケージ30の巻太りに応じた適切な制御を行うことができる。
【0043】
次に、図2を参照してモータ制御部52について説明する。図2は、モータ制御部52の機能的な構成を示したブロック図である。図に示すように、モータ制御部52は、CPU(中央演算処理装置)53と、パワー回路54と、を主に備えている。前記CPU53は、所定のプログラムを実行することにより、回転速度計算部57、制御切替部58、第1制御部71、第2制御部72及び出力部63としての機能を発揮するように構成されている。
【0044】
回転速度計算部57は、ドラムパルス及び位置センサ56の検出信号の少なくとも何れか一方の時間間隔を測定することにより、巻取ドラム24の現在の回転速度(即ちモータ51の現在の回転速度)を算出するように構成されている。なお、ドラムパルスと、位置センサ56の検出信号と、の2種類の信号を用いて速度を算出しているのは、以下のような理由による。即ち、巻取ドラム24の回転が高速回転域になると、ドラムパルスの分解能が細かくなりすぎて、当該ドラムパルスを検出して適切に速度算出することが困難になってしまう。一方、位置センサ56の検出信号は、ドラムパルスに比べて分解能が粗い(詳しくは後述)。そこで、回転速度計算部57は、高速回転域では、分解能の粗い位置センサ56からの検出信号の間隔を測定することでモータ51の回転速度を算出している。一方、低速回転域では、正確な回転速度を得るため、分解能の細かいドラムパルスの間隔を測定することによりモータ51の回転速度を算出している。これにより、高速回転域から低速回転域まで、正確な回転速度を算出することが可能となり、モータ51の回転を正確に制御することができる。
【0045】
制御切替部58は、前記回転速度計算部57が算出した巻取ドラム24の現在の回転速度(即ちモータ51の現在の回転速度)に基づいて、第1制御部71又は第2制御部72の何れか一方の機能を呼び出すように構成されている。
【0046】
第1制御部71及び第2制御部72は、巻取ドラム24の回転速度を前記目標回転速度に近づけるべく、U,V,W相それぞれのコイルに印加すべき電圧を求め、出力部63に電圧制御値を出力するように構成されている。なお、第1制御部71及び第2制御部72の詳細な構成については後述する。
【0047】
出力部63は、第1制御部71又は第2制御部72からの電圧制御値に基づいて、U,V,Wのそれぞれの相のコイルに印加する電圧をPWM(パルス幅変調)によって制御するためのスイッチング信号を生成する。具体的には、このスイッチング信号は、各コイルについて電圧を印加するか否かのON/OFFを示す。電圧のON/OFFは高周波のキャリア周波数で繰り返されるとともに、電圧ONとなる時間割合は前記電圧制御値の大きさに比例したデューティ比によって決定される。
【0048】
前記CPU53の出力部63からのスイッチング信号は、パワー回路54に入力される。パワー回路54は、U,V,W相それぞれのコイルと電気的に接続されるとともに、所定電圧の直流電源(図略)が接続されている。そして、前記直流電源と各相のコイルとの間を前記スイッチング信号に基づいてスイッチングすることにより、各相のコイルに対してPWM制御された電圧を印加し、各相のコイルに印加される電圧の平均値を所望の値とすることができる。これにより各相のコイルに電流が流れ、モータ51を回転駆動することができる。
【0049】
また、パワー回路54からの3つのコイルに対する接続線のうち何れか2つには、電流センサ(電流検出部)70が接続されている。この電流センサ70は、前記コイルに流れる電流の大きさに比例する信号を出力する。前記各電流センサ70が出力した信号は、A/D変換されて電流値信号としてCPU53に入力される。なお、電流センサ70は3相すべてのコイルに対する接続線それぞれに接続しても良いが、3つのうち2つの電流値を検出すれば残り1つの電流値は計算によって求めることができるので、コスト削減の観点から2つのみに接続されている。
【0050】
次に、第1制御部71について説明する。第1制御部71は、ユニット制御部50からの回転速度指示信号と、3つの位置センサ56からの信号と、に基づいて3相の各コイルに印加する電圧の電圧値を求め、当該電圧値を出力部63に出力するように構成されている。
【0051】
本実施形態において、第1制御部71は、低速時におけるロータの滑らかな駆動を実現するため、ブラシレスモータの正弦波駆動を行うように構成されている。即ち、3相のコイルに対して、それぞれ略120°ずつ位相がズレた正弦波状に変化する電流を流すように、電圧を制御する。前記正弦波状の電流の振幅は、例えば、目標回転速度と現在の回転速度とに基づいてPI制御によって変化させる。即ち、モータ51を加速するときは正弦波状の電流の振幅をより大きくし、減速するときは振幅をより小さくするような電圧制御値を出力する。
【0052】
ここで、モータ51の効率の良い駆動を行うためには、ロータの磁極位置に合わせて前記正弦波状の電流の位相を調整しなければならない。周知のように、3つのホールIC(位置センサ56)によるロータ位置検出の分解能は電気角360°あたり6ステップ(即ち電気角60°の分解能)であり、正弦波駆動を行うには位置検出の精度が不十分である。この点、エンコーダを用いて高精度なロータ位置検出を行う方法が公知であるが、本実施形態ではパルス検出部55からのパルス信号を補助的に用いて位置検出の精度を向上させている。
【0053】
前述のように、パルス検出部55はロータの1周あたり60個のパルス信号を検出している。本実施形態のモータ51では、4つのSNペアを有する8極のロータを用いているので、パルス検出部55は電気角360°あたり15パルス(電気角の分解能は24°)でドラムパルスを検出可能である。このようにパルス検出部55からのドラムパルスを用いることで、位置センサ56よりも高い分解能でロータの位相の変化を検知することができる。
【0054】
このパルス検出部55は、パッケージ30に巻き取られた糸の長さをユニット制御部50で算出するために従来の自動ワインダが元々備えていたものであるから、新たなコストアップを抑えることができるという利点もある。ただし、パルス検出部55のパルス信号では、ロータの相対的な位相変化を知ることはできるが、ロータの絶対的な磁極位置を知ることはできない。そこで以下のように、第1制御部71においては、位置センサ56とパルス検出部55の両方を相補的に用いて制御を行う。
【0055】
以下、図3を参照して具体的に説明する。図3のグラフは、第1制御部71がモータ51の駆動を制御する場合において、U相のコイルに印加する電流と、位置センサ56からの信号及びドラムパルスの関係を示す。なお、グラフの横軸はU相のコイルに印加する電流波形の位相である。図3は、位置センサ56の信号が切り替わるタイミングと、ドラムパルスの検出タイミングとを見ることにより、U相のコイルに印加すべき電流の位相を決定することができることを示している。
【0056】
周知のように、位置センサ56からの信号が切り替わるタイミングを検出することで、コイル各相に印加する電流の位相を判断することができる。例えば図3においては、第1位置センサ及び第2位置センサの信号がHigh、第3位置センサの信号がLow、の状態から、第1位置センサの信号がLowの状態に切り替わると、その時U相のコイルに印加する電流位相は30°にすべきであることが分かる。ただし、前述のように、位置センサ56の信号のみでは各コイルに印加すべき電流の位相を60°間隔でしか知ることができない。
【0057】
一方、前述のように、ドラムパルスではロータの絶対的な磁極位置は分からないので、コイルに印加する電流位相をドラムパルスのみから直接検知することはできない。そこで、3つの位置センサ56からの信号によってコイルに印加する電流位相を60°間隔で検知しつつ、分解能の高いドラムパルスに基づいて相対的な電流位相変化を求めて、前記絶対的な電流位相を補正するように構成している。これにより、コイルに印加する電流の位相を細かく制御することができる。
【0058】
また、第1制御部71は、ドラムパルスが出力される時間間隔を測定し、ロータの回転速度を求めている。この回転速度に基づいてロータ位置の相対的な変化を計算することができるので、ドラムパルス検出の合間の期間であっても、コイルに印加すべき電流の位相を推算することができる。これにより、コイルに印加する電流の位相をより細かく制御することができる。なお、上記回転速度は回転速度計算部57の計算結果を用いても良い。
【0059】
なお、図3にはU相の電流波形のみ図示したが、V相、W相のコイルについても、電流位相がオフセットするだけで同様の制御により電流を印加することができる。
【0060】
次に、第2制御部72について説明する。第2制御部72は、ユニット制御部50からの回転速度指示信号と、電流センサ70からの信号と、に基づいて3相の各コイルに印加する電圧の電圧値を求め、当該電圧値を出力部63に出力するように構成されている。
【0061】
即ち、第2制御部72においては、位置センサ56からの信号に基づかない、いわゆる位置センサレス制御によってモータを駆動する。本実施形態では、電流センサ70が検出した電流値に基づいて、センサレス正弦波駆動を行うように構成されている。センサレス正弦波制御については公知であるので詳細な説明は省略するが、センサレス正弦波制御とは、ロータの回転位置を電流値から推定して行う制御である。
【0062】
次に、図4を参照して本実施形態におけるモータの制御方法について説明する。図4は、モータ制御部52によるモータ51の制御フローチャートである。
【0063】
図4のフローが開始すると、回転速度計算部57は、パルス検出部55からのドラムパルス及び/又は位置センサ56の検出信号に基づいてモータ51の回転速度を計算する(S101)。次に、制御切替部58は、前記回転速度に基づいて、第1制御部71又は第2制御部72の何れか一方を呼び出して(S102の判断)、コイルへ印加する電圧の制御を行う。本実施形態では、前記回転速度が2000rpm以上か否かに基づいて、第1制御部71又は第2制御部72の何れか一方を呼び出している。
【0064】
低速回転時(2000rpm未満)においては、制御切替部58は第1制御部71を呼び出す(S103)。前述したように、当該第1制御部71は位置センサ56からの信号に基づいた制御を実行する。ここで、S103の処理で仮に第2制御部72によるセンサレス制御を行うとすると、十分な誘起電圧が得られない可能性が高く、安定して制御することができないという問題がある。この点、第1制御部71は位置センサを用いて制御するので、誘起電圧を考慮する必要はなく、停止状態からの始動制御や、低速回転時の制御を正確に行うことができる。
【0065】
また、前述のように本実施形態においては位置センサ56に進角を設けていないので、特に低速回転時において良好な効率で運転することができる。また、位置センサ56による検出結果の補間をドラムパルスを用いて行っているので、低速回転時においても滑らかな正弦波駆動を行うことができる。このように、第1制御部71は特に低速回転時において優れた制御性を発揮するので、本実施形態では2000rpm未満の低速回転域での制御に用いるのである。
【0066】
また、高速回転時(2000rpm以上)においては、制御切替部58は第2制御部72を呼び出す(S104)。前述したように、当該第2制御部72は、位置センサレス制御を行う。即ち、ロータの停止時や低速回転時にはセンサレス制御を行うことができないが、いったん第1制御部71によってある程度まで加速されればコイルに十分な誘起電圧が発生するので、第2制御部72によるセンサレス制御を行うことができる。
【0067】
また、本実施形態では位置センサ56が進角無しの設定であるので、高速回転であればあるほど、第1制御部71による運転を行うと効率が低下してしまう。この点、第2制御部72は位置センサを用いないので、回転速度の変化による効率の低下は少ない。また、センサレス制御では、実際にコイルに流れた電流に基づいて制御を行うので、当該コイルに対して理想的な電流位相で電圧を印加することができる。このように、第2制御部72は低速回転域以外の速度域で効率の優れた制御を行うことができるので、本実施形態では2000rpm以上の速度域での制御に用いるのである。
【0068】
なお、本実施形態では上記のように位置センサ56に進角を設けていないので、正転、逆転を問わず、上記のフローで効率的な制御を行うことができる。
【0069】
以上で説明したように、本実施形態の自動ワインダは、モータ51と、位置センサ56と、電流センサ70と、パルス検出部55と、モータ制御部52と、を備える。位置センサ56は、モータ51のロータ磁極位置を検出する。電流センサ70は、モータ51の電流を検出する。パルス検出部55は、モータ51の回転に応じたパルスを検出する。モータ制御部52は、モータ51の回転を制御する。また、モータ制御部52は、第1制御部71と、第2制御部72と、を備える。第1制御部71は、位置センサ56の検出結果及びパルス検出部55の検出結果に基づいてモータ51の回転を制御する。第2制御部72は、電流センサ70の検出結果に基づいてモータ51の回転を制御する。
【0070】
この構成によれば、第1制御部71によって位置センサ56の検出結果に基づいて駆動制御を行うことができ、第2制御部72によって位置センサ56によらない制御(位置センサレス制御)を行うことができる。これにより、位置センサ56を用いた駆動制御と位置センサレス制御のそれぞれの利点と欠点を考慮し、状況に応じて適切にモータ51の制御を行うことができる。また、第1制御部71においては、位置センサ56の検出結果のみでは時間分解能が足りない場合でも、パルス検出部55の検出結果を補助的に用いることができるので、高価なエンコーダを設けることなく低速回転時においても滑らかにモータ51を駆動することができる。
【0071】
また、本実施形態の自動ワインダにおいては、第1制御部71は、モータ51の回転速度が所定の回転速度未満の場合に当該モータ51の回転を制御している。
【0072】
即ち、モータ51の停止時又は低速回転時においてはモータ51の誘起電圧が低いため、電流センサ70の検出結果に基づいた位置センサレス制御を第2制御部72が行うことが困難である。この点、第1制御部71は位置センサ56の検出結果に基づいて制御を行うので、低速回転時においても適切にモータ51の制御を行うことができる。また、第1制御部71は、位置センサ56の検出結果に加えてパルス検出部55の検出結果を補助的に用いて制御を行うので、低速回転時においても滑らかにモータ51を駆動することができる。
【0073】
また、本実施形態の自動ワインダにおいては、第2制御部72は、モータ51の回転速度が所定の回転速度以上の場合に当該モータ51の回転を制御している。
【0074】
即ち、ある程度の回転速度以上であれば、電流センサ70の検出結果に基づいて第2制御部72による制御を行うことが容易となる。これにより、位置センサ56の進角にかかわらず、幅広い回転速度域でモータ51を効率的に駆動できるという位置センサレス制御の利点を良好に発揮することができる。このように効率的な駆動を行うことで運転時の電流を抑えることが可能となり、モータ51及びパワーモジュールを最適化して、製造コストを抑えることができる。
【0075】
また、本実施形態の自動ワインダは、パッケージ30に接触して当該パッケージ30を従動回転させる巻取ドラム24を備える。モータ51は、巻取ドラム24を回転させる巻取ドラム駆動モータである。
【0076】
即ち、自動ワインダが備える巻取ドラム駆動モータは、低速回転から高速回転まで幅広い回転速度域での正確な制御が必要であるため、本発明の構成を用いて制御することが特に好適である。
【0077】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5にはこの実施形態に係る自動ワインダに備えられたワインダユニット16の構成の概略図が示してある。なお、以降の説明において、前述の第1実施形態と同一又は類似の構成については図面に同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0078】
本実施形態のワインダユニット16は、巻取ボビン22を回転可能に把持できるように構成されたクレードル23と、紡績糸20をトラバースさせるためのアーム式のトラバース装置11と、巻取ボビン22の周面又はパッケージ30の周面に接触して従動回転可能な接触ローラ45と、を備えている。
【0079】
前記クレードル23の巻取ボビン22を挟持する部分にはモータ51が取り付けられている。このモータ51は、第1実施形態とは異なり、パッケージ30(巻取ボビン22)を直接回転駆動して紡績糸20を巻き取るように構成されている。このモータ51の動作は、前記第1実施形態と同様に構成されたモータ制御部52により制御されている。
【0080】
また、クレードル23の回動軸46には、当該クレードル23の角度(回動角)を検知するためのアナログ式の角度センサ83が取り付けられている。クレードル23はパッケージ30が巻き太るに従って角度が変化するので、クレードル23の回動角を前記角度センサ83によって検出することにより、パッケージ30の糸層の径を検知することができる。これにより、トラバース装置11をパッケージ糸径に応じて制御することで、糸の綾振りを適切に行うことができる。なお、角度センサ83は、デジタル式のセンサであっても良く、またパッケージ糸径を検出できるものであればその他の手段であっても良い。
【0081】
前記トラバース装置11は、前記接触ローラ45の近傍に設けられている。このトラバース装置11は、支軸のまわりに旋回可能に構成した細長状のアーム部材42と、このアーム部材42の先端に形成されたフック状のトラバースガイド41と、アーム部材42を駆動するトラバースガイド駆動モータ43と、を備える。そして、前記アーム部材42をトラバースガイド駆動モータ43により図5の矢印のように往復旋回運動させることにより、紡績糸20の綾振りを行う構成になっている。このトラバースガイド駆動モータ43の作動はユニット制御部50によって制御されている。
【0082】
以上で説明したように、本実施形態の自動ワインダにおいて、モータ51は、パッケージ30を直接回転駆動するパッケージ駆動モータである。
【0083】
即ち、パッケージをモータで直接駆動する構成の自動ワインダにおいても、低速回転から高速回転までの幅広い回転速度域でモータを正確に制御する必要があるため、本発明の構成を用いて制御することが特に好適である。
【0084】
以上に本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0085】
上記実施形態では繊維機械としての自動ワインダについて説明したが、自動ワインダに限らずその他の繊維機械であっても本発明を適用することができる。例えば、繊維機械としての二重撚糸機(ダブルツイスタ)が備えるスピンドルユニットにおいて、スピンドルを回転駆動するためのスピンドルモータにブラシレスモータを採用し、上記実施形態と同様の構成のモータ制御部を用いて前記スピンドルモータの制御を行っても良い。
【0086】
前記スピンドルは、回転することにより糸に撚りを掛けるためのものである。ダブルツイスタにおいて、スピンドルの回転速度を正確に制御することは、糸の撚り数を一定にするために重要である。そこで、前記スピンドルモータを上記の実施形態と同様に制御することにより、低速回転域でも高速回転域でも効率良く正確な制御を行い、高品質なパッケージを生成することができる。即ち、ダブルツイスタが備えるスピンドルモータは、低速回転から高速回転まで幅広い回転速度域での正確な制御が必要であるため、本発明の構成を用いて制御することが特に好適である。
【0087】
第1制御部71と第2制御部72とで制御が切り替わる境界としてのモータ51の回転速度は、上記実施形態のように2000rpmとすることに限定されず、事情に応じて適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0088】
51 モータ(電気モータ)
52 モータ制御部
55 パルス検出部
56 位置センサ
70 電流センサ(電流検出部)
71 第1制御部
72 第2制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータと、
前記電気モータのロータ磁極位置を検出する位置センサと、
前記電気モータの電流を検出する電流検出部と、
前記電気モータの回転に応じたパルスを検出するパルス検出部と、
前記電気モータの回転を制御するモータ制御部と、
を備え、
前記モータ制御部は、
前記位置センサの検出結果及び前記パルス検出部の検出結果に基づいて前記電気モータの回転を制御する第1制御部と、
前記電流検出部の検出結果に基づいて前記電気モータの回転を制御する第2制御部と、
を備えることを特徴とする繊維機械。
【請求項2】
請求項1に記載の繊維機械であって、
前記第1制御部は、前記電気モータの回転速度が所定の回転速度未満の場合に当該電気モータの回転を制御することを特徴とする繊維機械。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の繊維機械であって、
前記第2制御部は、前記電気モータの回転速度が所定の回転速度以上の場合に当該電気モータの回転を制御することを特徴とする繊維機械。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の繊維機械であって、
パッケージに接触して当該パッケージを従動回転させる巻取ドラムを備え、
前記電気モータは、前記巻取ドラムを回転させる巻取ドラム駆動モータであることを特徴とする繊維機械。
【請求項5】
請求項1から3までの何れか一項に記載の繊維機械であって、
前記電気モータは、パッケージを直接回転駆動するパッケージ駆動モータであることを特徴とする繊維機械。
【請求項6】
請求項1から3までの何れか一項に記載の繊維機械であって、
前記電気モータは、スピンドルを回転させることにより糸に撚りを掛けるスピンドルモータであることを特徴とする繊維機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−202332(P2010−202332A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49299(P2009−49299)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】