説明

置き忘れ発生遠隔通知方法、システム、サーバおよびプログラム

【課題】貴重品の置き忘れが発生した場合に、貴重品の所有者だけでなく、貴重品の回収に適した相手に置き忘れの発生を通知する置き忘れ発生遠隔通知方法、置き忘れ発生遠隔通知システム、置き忘れ発生遠隔通知サーバおよび置き忘れ発生遠隔通知プログラムを提供する。
【解決手段】携帯電話機302は、所定の期間、親機100が子機103からの応答を受信しない場合に、置き忘れが発生したと判断する。携帯電話機302は、携帯電話機302において警告通知を行う。また、携帯電話機302は、監視サーバ401に、置き忘れの発生を示す情報と自身の位置情報とを送信する。監視サーバ401は、予め定められた連絡リスト及び受信した位置情報に基づいて、適切な連絡先を抽出し、連絡先に優先順位を付けて画面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貴重品の所有者が貴重品を置き忘れたことを通知する置き忘れ発生遠隔通知方法、置き忘れ発生遠隔通知システム、置き忘れ発生遠隔通知サーバおよび置き忘れ発生遠隔通知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンや重要書類を電車の網棚などに置き忘れ、最終的に回収できずに紛失し、結果として機密情報の流出につながる事例が数多く報告されている。このような事例は、個人情報保護の観点等から大きな社会問題になっている。
【0003】
貴重品の置き忘れを防止することを目的とする装置であって、親機と子機との間の近距離無線通信をモニターすることにより、貴重品所有者が置き忘れの発生を知ることができる装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。実際に、特許文献1に記載された方式と同様の原理に基づく商品が市販されている。また、親機側を携帯電話機にすることにより、コスト削減と利便性の向上を意図したシステムが検討されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
また、近距離無線通信の切断もしくは受信レベルの継続的な低下に基づいて、置き忘れを通知する装置が考案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0005】
特許文献4には、携帯電話機と携帯用機器とが、互いに相手の存在状態を監視し、存在状態を受信できない場合に、管理センタを介して、予め定められた転送先にその旨を転送することが記載されている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−287265号公報(段落0007−0010)
【特許文献2】特開平11−346389号公報(段落0005−0009)
【特許文献3】特開2003−348659号公報(段落0014−0018)
【特許文献4】特開2003−229812号公報(段落0029,0045,0054)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1,2に記載された方式では、専用の装置または近距離無線通信機能を内蔵した携帯電話機が必要となり、置き忘れによる機密情報の流出事件が多発していることからも、あまり普及しているとは言い難い状況である。また、置き忘れの発生を、貴重品所有者本人にのみ通知する。したがって、貴重品所有者が体調不良の場合や泥酔している場合には、置き忘れの発生を通知されても、十分な対応ができないという問題がある。
【0008】
また、特許文献3に記載された方式は、携帯電話機の置き忘れを通知する装置であるため、携帯電話機を利用して貴重品の置き忘れを通知するものではない。すなわち、携帯電話機を利用して貴重品の置き忘れを遠隔の第三者に通知し、その対応を依頼することはできない。
【0009】
また、特許文献4に記載された方式では、置き忘れの発生を他人に通知することはできる。しかし、予め定められた通知先に通知するため、置き忘れの発生地点に応じた相手に通知することはできない。
【0010】
そこで、本発明は、貴重品の置き忘れが発生した場合に、貴重品の所有者だけでなく、貴重品の回収に適した相手に置き忘れの発生を通知する置き忘れ発生遠隔通知方法、置き忘れ発生遠隔通知システム、置き忘れ発生遠隔通知サーバおよび置き忘れ発生遠隔通知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による置き忘れ発生遠隔通知方法は、置き忘れの発生を本人に通知するとともに所定の連絡先に通知するための置き忘れ発生遠隔通知方法であって、携帯端末が、置き忘れの発生を検出し、携帯端末が、置き忘れの発生を検出した場合に、当該携帯端末の位置を示す位置情報を算出し、置き忘れの発生を示す置き忘れ情報と位置情報とを送信し、置き忘れの発生を連絡すべき連絡先を提示するサーバ装置が、連絡先を示す情報に対応付けて当該連絡先の位置情報を予め記憶し、サーバ装置が、置き忘れ情報および位置情報を受信した場合に、受信した位置情報と記憶する連絡先に対応する位置情報とに基づいて、携帯端末から最も距離が近い連絡先を特定することを特徴とする。
【0012】
特定した連絡先装置を示す情報を表示してもよい。そのような構成によれば、置き忘れの発生を通知すべき連絡先装置を表示することができる。
【0013】
連絡先を示す情報として連絡先に設けられた連絡先端末の宛先情報を記憶し、特定した連絡先端末の宛先情報を宛先として置き忘れ情報を送信してもよい。そのような構成によれば、特定した連絡先装置に置き忘れの発生を通知することができる。
【0014】
連絡先端末の位置情報として、連絡先端末が送信した位置情報を記憶してもよい。そのような構成によれば、連絡先装置が移動可能な場合であっても、正しい位置情報を記憶することができる。
【0015】
本発明による置き忘れ発生遠隔通知システムは、置き忘れの発生を本人に通知するとともに所定の連絡先に通知するための置き忘れ発生遠隔通知システムであって、携帯端末と、置き忘れの発生を連絡すべき連絡先を提示するサーバ装置とを備え、携帯端末は、置き忘れの発生を検出する検出手段と、置き忘れの発生を検出した場合に、当該携帯端末の位置を示す位置情報を算出し、サーバ装置に置き忘れの発生を示す置き忘れ情報と位置情報とを送信する情報送信手段とを備え、サーバ装置は、連絡先を示す情報に対応付けて当該連絡先の位置情報を予め記憶する連絡先記憶手段と、置き忘れ情報および位置情報を受信した場合に、受信した位置情報と連絡先記憶手段が記憶する連絡先に対応する位置情報とに基づいて、携帯端末から最も距離が近い連絡先を特定する連絡先特定手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明による置き忘れ発生遠隔通知サーバは、置き忘れの発生を検出する携帯端末から置き忘れの発生を示す置き忘れ情報を受信し、置き忘れの発生を本人に通知するとともに所定の連絡先に通知するための置き忘れ発生遠隔通知サーバであって、連絡先を示す情報に対応付けて当該連絡先の位置情報を予め記憶する連絡先記憶手段と、携帯端末から置き忘れ情報と当該携帯端末の位置を示す位置情報とを受信した場合に、受信した位置情報と連絡先記憶手段が記憶する連絡先に対応する位置情報とに基づいて、携帯端末から最も距離が近い連絡先を特定する連絡先特定手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明による置き忘れ発生遠隔通知プログラムは、置き忘れの発生を検出する携帯端末から置き忘れの発生を示す置き忘れ情報を受信し、置き忘れの発生を本人に通知するとともに所定の連絡先に通知するための置き忘れ発生遠隔通知プログラムであって、コンピュータに、携帯端末から置き忘れ情報と当該携帯端末の位置を示す位置情報とを受信した場合に、受信した位置情報と、予め連絡先を示す情報に対応付けて記憶する連絡先の位置情報とに基づいて、携帯端末から最も距離が近い連絡先を特定する処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、置き忘れが発生した場合に、置き忘れが発生した位置に応じた連絡先を提示することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施の形態1.
以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明による置き忘れ発生遠隔通知システムの第1の実施の形態を示すブロック図である。図1に示す置き忘れ発生遠隔通知システムは、近距離無線通信の親機100と、子機101,102,103と、携帯電話機302と、監視サーバ401と、監視端末402と、固定電話機501,502とを備える。
【0020】
親機100と子機101〜103とは、近距離無線通信機能を有し、データの送受信を行う。また、携帯電話機302と監視サーバ401とは、基地局301と、携帯電話網300およびIPネットワーク400等の通信ネットワークを介して通信可能に接続される。また、監視サーバ401と監視端末402とは、通信可能に接続される。固定電話機501,502は、固定電話網500を介して通話が可能である。携帯電話機302、監視サーバ401および監視端末402は、プログラムにより動作する。
【0021】
親機100は、貴重品所有者10が所持する携帯電話機302の外部接続端子に取り付けられるアダプタである。親機100は、例えば、携帯電話機302の入出力端子に接続される。携帯電話機302の制御部は、入出力端子を介して親機100と子機101〜103との通信状況を監視する。また、親機100の電源は、携帯電話機302から供給される。通常動作時、親機100は、同一規格の近距離無線通信機能を有する子機101〜103と定期的に通信を行い、子機101〜103が通信可能な距離にあることを確認する。子機101〜103が通信可能な距離にあることは、すなわち、子機101〜103が貴重品所有者10の身の周りに存在することを意味する。なお、通信の規格がBluetooth(登録商標)である場合、親機100は、1〜7台の子機と通信可能である。また、親機100と子機101〜103とが通信可能な距離は、10メートル以内である。
【0022】
子機101〜103は、近距離無線通信機能を有し、親機100と無線通信を行って、通信圏内に子機があることを通知する機能を有する。子機101〜103は、それぞれ独立した端末であって、それぞれ貴重品11,12,13に取り付けられる。子機101〜103には、電源として、内蔵バッテリが設けられる。なお、図1では、3つの子機を示しているが、子機は3つに限られない。例えば、4以上の子機(ただしBluetoothの場合7以内)を用いてもよい。
【0023】
携帯電話機302は、プログラム(Java、BREW等で開発されたアプリケーション)を実行することにより、親機100と子機101〜103との間の通信状況を監視する。なお、Javaは登録商標である。携帯電話機302は、例えば、設定された一定時間(例えば、30秒間)継続して通信が切断されたり、受信電力が連続して規定値より低い場合に、音声や振動の出力または画面表示により、子機が取り付けられた貴重品を置き忘れた可能性について貴重品所有者10に通知する機能を有する。なお、本実施の形態では、親機を携帯電話機に接続する場合を説明するが、PHSやPDA等の携帯端末に接続するようにしてもよい。
【0024】
図2は、貴重品を置き忘れた可能性について通知する警告画面の例を示す説明図である。例えば、携帯電話機302に含まれるメモリ等の記憶部(図示せず。)は、通信状況を監視している子機に対応させて、子機が取り付けられている貴重品の名称を記憶する。携帯電話機302は、例えば、通信が切断された子機と、対応する貴重品の名称とを含む通知を行う。図2には、貴重品「重要書類」に取り付けられた子機103(子機No.3)との通信が切断された場合の警告画面が例示されている。
【0025】
また、携帯電話機302は、携帯電話機302自身の位置情報を取得する機能を備えてもよい。例えば、携帯電話機302は、GPS衛星600からGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて位置情報(緯度や経度)を求める。また、例えば、携帯電話機302は、通信キャリアが提供する位置情報サービスを利用して、基地局301から受信する信号に基づいて位置情報を求める。この場合、携帯電話機302は、置き忘れ発生地点の地図を携帯電話機302の画面に表示する。図3は、置き忘れ発生地点を通知する地図の画面の例を示す説明図である。置き忘れ発生地点の地図の画面は、例えば、図2に例示する警告画面に設けられたリンクを選択することにより表示される。
【0026】
携帯電話機302は、貴重品を置き忘れた可能性の警告通知後、設定された一定時間内(例えば、60秒間)に、通信が回復したり受信電力が規定値より高くならない場合には、携帯電話網300およびIPネットワーク400を介して、監視サーバ401へのデータ通信呼を確立する。そして、携帯電話機302は、監視サーバ401に対し、例えば、貴重品所有者10の氏名、所属、携帯電話302の電話番号、対象子機の番号、および子機の番号に対応する貴重品の名称等を通知する。また、携帯電話機302は、前述した位置情報を取得する機能を有する場合、その時点の位置情報(例えば、緯度・経度、エリア名)もあわせて監視サーバ401に通知する。
【0027】
監視サーバ401は、携帯電話302が送信したデータを記憶し、監視端末402に表示して監視者20に通知する。したがって、監視者20は、貴重品を置き忘れた可能性を認識し、貴重品所有者10に連絡を取るなどの対応措置を取ることができる。
【0028】
また、監視サーバ401は、貴重品所有者10と連絡を取ることができない場合に備え、予め設定された(例えば、予めデータベースに記憶する)連絡体制表のうち必要な連絡先を案内するなどの、監視者20が適切な対処を取ることができるよう支援する機能を有する。携帯電話機302が前述した位置情報を取得する機能を有し、置き忘れ発生箇所の位置情報が得られた場合、監視サーバ401は、最も短時間で置き忘れ発生現場に急行できる可能性のある他の関係者の連絡先(例えば、固定電話、携帯電話の電話番号又は任意の電子メールアドレス)を監視者20に提示する。ここで、監視サーバ401は、関係者の連絡先に対応付けて位置情報を記憶し、置き忘れ発生箇所の位置情報と各連絡先の位置情報に基づいて、置き忘れ発生箇所に最も近い連絡先を抽出し、監視者20に提示する。
【0029】
また、他の関係者が、位置情報を取得する機能を有する携帯電話機を所持している場合には、位置情報を予め監視サーバ401に定期的に送信させるか、置き忘れ発生時に監視サーバ401からの要求にしたがって、当該携帯電話機に位置情報を返信させる(センタプッシュ機能)ことにより、最も置き忘れ発生地点に近い関係者を特定し、関係者が所有する携帯電話機を最優先の連絡先として提示する。
【0030】
なお、監視を行う監視者20が不在の場合や、監視者20を常駐させることが困難な場合、監視サーバ401は、携帯電話302から送信されたデータを、電子メール等により他の最適な関係者に転送し、対応を依頼する。
【0031】
次に、図面を参照して第1の実施の形態の動作について説明する。図4は、第1の実施の形態における置き忘れ発生遠隔通知システムの動作を示すフローチャートである。
【0032】
以下の説明では、携帯電話機302に親機100が取り付けられるとともに、貴重品11〜13にそれぞれ子機101〜103が取り付けられている場合を例にする。また、携帯電話機302を身に着けた貴重品所有者10が、貴重品11〜13を持って移動する場合を例にする。
【0033】
携帯電話機302は、プログラムに従って動作し、親機100に対し、近距離無線通信により定期的に(例えば、10秒に1回)子機101〜103の応答を確認させる(ステップS1)。携帯電話機302は、一定の時間(例えば5秒間)内に、子機101〜103の応答を確認した場合(ステップS2)、貴重品が貴重品所有者10の身の回りに存在すると判断し、監視動作を継続する(ステップS3)。
【0034】
その後、貴重品所有者10が、例えば、貴重品13が入ったバッグを置き忘れ、携帯電話機302を形態したまま立ち去って貴重品13から離れた場合を例にして説明する。親機100と子機103とが近距離無線通信で通信可能な距離以上に離れると、親機100は、子機103からの応答を受信しない。親機100は、子機103に対し、応答を所定の回数要求し、一定時間(例えば、30秒間)経過後に、親機100と子機103との通信が回復しない場合、携帯電話機302は、プログラムに従って、置き忘れの発生と判断する(ステップS4)。
【0035】
携帯電話機302は、置き忘れの発生を検知すると、貴重品所有者10に貴重品13を置き忘れた可能性を警告するための通知を行う(ステップS5)。携帯電話機302は、例えば、携帯電話機302において、音声、振動の出力や画面表示(図2参照。)、またはこれらの組み合わせを行うことにより、警告通知を行う。
【0036】
また、GPSや位置情報サービスを用いて得られた位置情報を取得する機能を有する場合、携帯電話機302は、現在の位置情報を受信して保存し、置き忘れ発生地点を示す地図を表示する(ステップS6)。なお、置き忘れ発生地点を示す地図の表示は、例えば、携帯電話機302が操作されることにより、図2に示す画面表示から図3に示す画面表示に切り替えることにより、可能となる。
【0037】
ここで、貴重品所有者10が置き忘れに気付き、親機100と子機103とが通信可能な位置に戻った場合、または貴重品所有者10が予め定められた特定の手順で解除動作を実施した場合は、携帯電話機302は、ステップS5で行った音声、振動の出力や画面表示等による通知を解除し、保存した位置情報を破棄して通常の監視状態に移行する。
【0038】
一方、警告の通知を開始してから一定時間(例えば、60秒間)経過後も、上記の措置が実施されない場合、携帯電話機302は、携帯電話網300およびIPネットワーク400を介して、本社1に設置されている監視サーバ401へのデータ通信呼を確立する。そして、携帯電話機302は、監視サーバ401に対し、例えば、貴重品所有者10の氏名、所属、携帯電話302の電話番号、対象子機の番号、および子機の番号に対応する貴重品の名称等を通知する。また、携帯電話機302は、ステップS6において位置情報を受信した場合には、受信した位置情報をあわせて監視サーバ401に通知する(ステップS7)。
【0039】
監視サーバ401は、携帯電話機302からのデータ通信呼を受信し、携帯電話機302が送信した情報を受信して保存する(ステップS8)。その後、監視サーバ401は、データ通信呼の開放処理を実施し、携帯電話機302との通信を終了する(ステップS9)。監視サーバ401との通信の終了に基づいて、携帯電話機302は、置き忘れの遠隔通知が完了した旨を通知する画面を表示し、音声や振動の出力を停止して、置き忘れ警告処理を完了する(ステップS10)。
【0040】
監視サーバ401は、ステップS9において携帯電話機302との通信を終了すると、監視端末402に対し、置き忘れの発生を示す情報と携帯電話302が送信した関連情報とを、置き忘れ発生通知として送信する(ステップS11)。監視端末402は、監視サーバ401が送信した情報を受信し、監視者20に置き忘れの発生とその内容を通知するための警報音の出力や画面表示を行う(ステップS12)。
【0041】
また、監視サーバ401は、予め定められた連絡リストや、ステップS6において受信した位置情報に基づいて、適切な連絡先を抽出し、連絡先に優先順位を付けて画面に表示する(ステップS13)。監視サーバ401は、携帯電話機302から置き忘れ発生箇所の位置情報を受信した場合には、受信した置き忘れ発生箇所の位置情報と、予め記憶する各連絡先の位置情報とに基づいて、置き忘れ発生箇所に近い連絡先を抽出することが望ましい。
【0042】
最適な連絡先として、例えば、支社2に在籍する関係者30の固定電話機502が提示された場合、監視者20は、固定電話網500を介して、手元の固定電話機501から固定電話機502に連絡を取り、関係者30に置き忘れに対する対応を依頼することができる(ステップS14)。関係者30は、固定電話機502で通話し、置き忘れの内容を確認して置き忘れの発生場所に急行するなどの対応を実施することにより、置き忘れられた貴重品13の発見・回収に努めることができる(ステップS15)。
【0043】
以上に説明したように、本実施の形態では、貴重品所有者が置き忘れに対応できない場合であっても、貴重品所有者以外の最適な第三者による遠隔対応が可能となり、貴重品の保護や情報漏洩防止の観点から有効である。
【0044】
また、本実施の形態では、親機を携帯電話機に取り付けるため、携帯電話機を衣服のポケット等に入れて身に着ける習慣を持つ人にとっては、貴重品を鞄等に入れて運搬中に置き忘れても、貴重品所有者が手元に親機を所持するため、置き忘れに気付く可能性が高いという効果がある。
【0045】
実施の形態2.
次に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照して説明する。図5は、本発明による置き忘れ発生遠隔通知システムの第2の実施の形態を示すブロック図である。図5に示す置き忘れ発生遠隔通知システムは、親機100と、子機101,102,103と、携帯電話機302,312と、監視サーバ401と、保守端末412とを備える。
【0046】
第2の実施の形態では、監視者20が最適な連絡先に電話をかけるのではなく、監視サーバ401が、必要なデータに基づいて自動的に電子メールを作成し、最適な連絡先のアドレスに送信する。また、最適な連絡先とされる関係者31は、支社2等の特定拠点に所属している人物ではなく、位置情報取得機能を有する携帯電話を所持している人物とする。すなわち、最適な連絡先は、特定拠点の固定電話機ではなく、置き忘れ発生地点に最も近い携帯電話機となる。
【0047】
第2の実施の形態において、監視サーバ401は、最適な連絡先の候補となる携帯電話機についての情報を管理するとともに、各携帯電話機の位置情報を受信して、置き忘れ発生地点に最も近い携帯電話機を検索する。なお、図5には、最適な連絡先の候補となる携帯電話機として、携帯電話機312のみを例示するが、候補となる携帯電話機は2台以上であってもよい。また、貴重品所有者10が所持する携帯電話機302が、位置情報取得機能を有することを前提とする。
【0048】
第2の実施の形態では、一連の動作が自動的に実施されるため、本社1に常駐の監視者20を置かずに、監視サーバ401の保守のみを担当する保守者21を非常駐で置く場合を例に説明する。また、第1の実施の形態における監視端末402を、保守端末412に置き換える。なお、携帯電話機302の機能は、第1の実施の形態で示した機能と同様である。
【0049】
次に、図面を参照して第2の実施の形態の動作について説明する。図6は、第2の実施の形態の置き忘れ発生遠隔通知システムの動作を示すフローチャートである。
【0050】
なお、携帯電話機302が置き忘れの発生を検知して、監視サーバ401に置き忘れの発生を示す情報と関連情報とを送信し、監視サーバ401が関連情報を保存してデータ通信呼の開放処理を実施するまで(ステップS1〜S10)の動作は、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
ステップS21において、監視サーバ401は、保守端末412に対し、置き忘れ発生通知を送信する。保守端末412は、監視サーバ401が送信した置き忘れ発生通知を受信して表示する(ステップS22)。
【0052】
監視サーバ401は、連絡先の候補となる携帯電話機から位置情報を受信し、置き忘れ発生箇所の位置情報と連絡先の候補となる携帯電話機の位置情報とに基づいて、置き忘れ発生箇所に最も近い携帯電話機を検索することにより、最も早く急行できる位置にいる人物を検索し、連絡先として選択する(ステップS23)。
【0053】
ここで、監視サーバ401は、監視サーバ401に定期的に位置情報を送信するよう設定された携帯電話機から、ステップS23の処理前に位置情報を受信してもよく(ステップS101)、また、ステップS22において置き忘れ発生通知を受信した後に、予め登録された携帯電話機に位置情報の送信要求を送信することにより、位置情報を受信してもよい(ステップS102)。以下、ステップS23において携帯電話機312が選択され、携帯電話機312を所持する関係者31が連絡先として選択された場合を例にして説明する。
【0054】
監視サーバ401は、関係者31が所有する携帯電話機312に、置き忘れの発生を示す情報、携帯電話機302が送信した関連情報および対処を依頼する内容を含む電子メールを作成し(ステップS24)、携帯電話機312の電子メールアドレスを宛先として送信する(ステップS25)。
【0055】
監視サーバ401は、メール送信が正常終了したことを確認し、メール送信済みの通知を保守端末412に送信する(ステップS26)。保守端末412は、メール送信が正常に実施されたことを表示する(ステップS27)。
【0056】
携帯電話機312は、監視サーバ401が送信した電子メールを受信する。そして、一般の電子メールを受信した場合と同様に、例えば、関係者31にメールの内容を通知するための音声や振動の出力または画面表示等を行う(ステップS28)。関係者31は、置き忘れの内容を確認し、置き忘れ発生地点の位置情報(地図)を参照して、置き忘れの発生場所に急行するなどの対応を実施することができる(ステップS29)。
【0057】
以上に説明したように、第2の実施の形態では、第1の実施の形態による効果に加えて、第三者に対する置き忘れの発生通知から対応依頼までを一貫して自動的に処理することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、貴重品の置き忘れが発生した場合に、置き忘れの発生を通知するために適用でき、特に、置き忘れた貴重品を早期に回収するために効果的に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による置き忘れ発生遠隔通知システムの第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】貴重品を置き忘れた可能性について通知する警告画面の例を示す説明図である。
【図3】置き忘れ発生地点を通知する地図の画面の例を示す説明図である。
【図4】第1の実施の形態における置き忘れ発生遠隔通知システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明による置き忘れ発生遠隔通知システムの第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態の置き忘れ発生遠隔通知システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
本社 1
支社 2
貴重品所有者 10
貴重品 11〜13
監視者 20
保守者 21
関係者 30
関係者 31
親機 100
子機 101〜103
携帯電話網 300
基地局 301
携帯電話機 302
携帯電話網 310
基地局 311
携帯電話機 312
IPネットワーク 400
監視サーバ 401
監視端末 402
保守端末 412
固定電話網 500
固定電話機 501,502
GPS衛星 600

【特許請求の範囲】
【請求項1】
置き忘れの発生を本人に通知するとともに所定の連絡先に通知するための置き忘れ発生遠隔通知方法であって、
携帯端末が、置き忘れの発生を検出し、
前記携帯端末が、置き忘れの発生を検出した場合に、当該携帯端末の位置を示す位置情報を算出し、置き忘れの発生を示す置き忘れ情報と位置情報とを送信し、
置き忘れの発生を連絡すべき連絡先を提示するサーバ装置が、連絡先を示す情報に対応付けて当該連絡先の位置情報を予め記憶し、
前記サーバ装置が、置き忘れ情報および位置情報を受信した場合に、受信した位置情報と記憶する連絡先に対応する位置情報とに基づいて、前記携帯端末から最も距離が近い連絡先を特定する
ことを特徴とする置き忘れ発生遠隔通知方法。
【請求項2】
特定した連絡先を示す情報を表示する請求項1記載の置き忘れ発生遠隔通知方法。
【請求項3】
連絡先を示す情報として連絡先に設けられた連絡先端末の宛先情報を記憶し、
特定した連絡先端末の宛先情報を宛先として置き忘れ情報を送信する
請求項1記載の置き忘れ発生遠隔通知方法。
【請求項4】
連絡先端末の位置情報として、前記連絡先端末が送信した位置情報を記憶する請求項3に記載の置き忘れ発生遠隔通知方法。
【請求項5】
置き忘れの発生を本人に通知するとともに所定の連絡先に通知するための置き忘れ発生遠隔通知システムであって、
携帯端末と、
置き忘れの発生を連絡すべき連絡先を提示するサーバ装置とを備え、
前記携帯端末は、
置き忘れの発生を検出する検出手段と、
置き忘れの発生を検出した場合に、当該携帯端末の位置を示す位置情報を算出し、前記サーバ装置に置き忘れの発生を示す置き忘れ情報と位置情報とを送信する情報送信手段とを備え、
前記サーバ装置は、
連絡先を示す情報に対応付けて当該連絡先の位置情報を予め記憶する連絡先記憶手段と、
置き忘れ情報および位置情報を受信した場合に、受信した位置情報と前記連絡先記憶手段が記憶する連絡先に対応する位置情報とに基づいて、前記携帯端末から最も距離が近い連絡先を特定する連絡先特定手段と
を備えたことを特徴とする置き忘れ発生遠隔通知システム。
【請求項6】
置き忘れの発生を検出する携帯端末から置き忘れの発生を示す置き忘れ情報を受信し、置き忘れの発生を本人に通知するとともに所定の連絡先に通知するための置き忘れ発生遠隔通知サーバであって、
連絡先を示す情報に対応付けて当該連絡先の位置情報を予め記憶する連絡先記憶手段と、
前記携帯端末から置き忘れ情報と当該携帯端末の位置を示す位置情報とを受信した場合に、受信した位置情報と前記連絡先記憶手段が記憶する連絡先に対応する位置情報とに基づいて、前記携帯端末から最も距離が近い連絡先を特定する連絡先特定手段と
を備えたことを特徴とする置き忘れ発生遠隔通知サーバ。
【請求項7】
置き忘れの発生を検出する携帯端末から置き忘れの発生を示す置き忘れ情報を受信し、置き忘れの発生を本人に通知するとともに所定の連絡先に通知するための置き忘れ発生遠隔通知プログラムであって、
コンピュータに、
前記携帯端末から置き忘れ情報と当該携帯端末の位置を示す位置情報とを受信した場合に、受信した位置情報と、予め連絡先を示す情報に対応付けて記憶する連絡先の位置情報とに基づいて、前記携帯端末から最も距離が近い連絡先を特定する処理を実行させるための置き忘れ発生遠隔通知プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−160509(P2008−160509A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347162(P2006−347162)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000232254)日本電気通信システム株式会社 (586)
【Fターム(参考)】