説明

置換フェニルアセトアミおよびプロテアーゼインヒビターとしてのその使用

フェニルアセトアミド化合物が記述され、これには、式(I)の化合物、またはそれらの水和物、溶媒和物または薬学的に受容可能な塩が挙げられる;R〜R、R11、B、YおよびWは本明細書中で述べられる。本発明の化合物は、プロテアーゼ(特に、トリプシン様セリンプロテアーゼ、例えば、トロンビンおよび第Xa因子)の強力なインヒビターである。血小板の損失を阻止し、血液の血小板凝集塊の形成を阻止し、フィブリンの形成を阻止し、血栓の形成を阻止し、そして塞栓の形成を阻止する組成物が記述される。本発明の化合物の他の用途は、血液収集、血液循環および血液保存で使用する装置(例えば、カテーテル、血液透析機、血液収集注射器およびチューブ、血液ラインおよびステント)で使用される材料に包埋または物理的に結合された抗凝血剤である。さらに、これらの化合物は検出可能に標識される。例えば、トロンビンのインビボ画像化剤に使用できる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2003年4月10日に出願された、米国仮出願第60/461,421号に対して優先権を主張し、これは、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(分野)
本発明は、タンパク質分解酵素インヒビターとして機能する新規化合物、詳細にはトロンビンインヒビターの新規クラスに関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
プロテアーゼは、単独の特定のペプチド結合でタンパク質を切断する酵素である。プロテアーゼは、4つの一般的なクラス:セリンプロテアーゼ、チオールプロテアーゼまたはシステイニルプロテアーゼ、酸プロテアーゼまたはアスパルチルプロテアーゼ、および金属プロテアーゼに分類され得る(Cuypersら,J.Biol.Chem.257:7086(1982))。プロテアーゼは、種々の生物学的活性(例えば、消化、血餅の形成および溶解、再生成ならびに体外細胞および外来生物に対する免疫反応)に必須である。異常なタンパク質分解は、ヒトおよび他の哺乳動物における多くの疾患状態に関連する。ヒト好中球プロテアーゼ、エラスターゼ、およびカテプシンGは、組織破壊により特徴付けられる疾患状態の一因として関連する。これらの疾患状態としては、終末細気管支、リウマチ関節炎、角膜潰瘍、および糸球体腎炎が挙げられる(Barret,in Enzyme Inhibitors as Drugs,Sandlerら,University Park Press,Baltimore(1980))。プラスミン、C−1エラスターゼ、C−3コンバターゼ、ウロキナーゼ、プラスミノーゲン活性化剤、アクロシン、およびカリクレインといったさらなるプロテアーゼが、哺乳動物の正常な生物学的機能において重要な役割を果たす。多くの例において、哺乳動物を治療処置する過程において、1つ以上のタンパク質分解酵素の機能を乱すことは有益である。
【0004】
セリンプロテアーゼとしては、エラスターゼ(ヒト白血球)、カテプシンG、プラスミン、C−1エステラーゼ、C−3コンバターゼ、ウロキナーゼ、プラスミノーゲン活性化因子、アクロシン、キモトリプシン、トリプシン、トロンビン、第Xa因子およびカリクレインといった酵素が挙げられる。
【0005】
ヒト白血球エラスターゼは、炎症部位において多型核白血球により放出され、従って、多くの疾患状態の一因である。カテプシンGは、別のヒト好中球セリンプロテアーゼである。これらの酵素の活性を阻害する能力を有する化合物は、痛風、リウマチ関節炎、および他の炎症性疾患の処置ならびに気腫の処置に有用である。キモトリプシンおよびトリプシンは、消化酵素である。これらの酵素のインヒビターは、膵炎を処置するのに有用である。ウロキナーゼおよびプラスミノーゲン活性化因子のインヒビターは、超過細胞増殖疾患状態(例えば、良性前立腺肥大、前立腺癌、および乾癬)を処置するのに有用である。
【0006】
このセリンプロテアーゼトロンビンは、うっ血および血栓症において中心的な役割を占め、そして、多機能タンパク質として、血小板、内皮細胞、平滑筋細胞、白血球、心臓およびニューロンにおいて、多くの効果を誘導する。内因性経路(接触活性化)または外因性経路(血漿の非内皮表面に対する曝露、血管壁の損傷または組織因子放出による活性化)のどちらかを介した凝固カスケードの活性化により、トロンビンを収斂する一連の生物化学的事象を誘導する。トロンビンは、フィブリノーゲンを切断して、最終的に止血栓(血餅形成)を誘導し、細胞表面トロンビンレセプターの独特のタンパク質分解切断を介して血小板を強力に活性化し(Coughlin,Seminars in Hematology 31(4):270−277(1994))、 そしてフィードバック機構を介してそれ自身の生成を自己増幅する。従って、トロンビン機能のインヒビターは、多くの心血管疾患および非心血管疾患において治療の可能性を有する。
【0007】
第Xa因子は、凝固経路における別のセリンプロテアーゼである。第Xa因子は、リン脂質膜上の第Va因子およびカルシウムと結合し、それによりプロトロンビナーゼ複合体を形成する。次いで、プロトロンビナーゼ複合体は、プロトロンビンをトロンビンに変換する(Claeson,Blood Coagulation and Fibrinolysis 5:411−436(1994);Harker Blood Coagulation and Fibrinolysis 5(補遺1):S47−S58(1994))。第Xa因子のインヒビターは、直接的なトロンビンインヒビターがなお、有意な新規トロンビン生成を可能にすることから、トロンビンを直接的に阻害する物質を超える利点を備えると考えられる(LefkovitsおよびTopol,Circulation 90(3):1522−1536(1994);Harker,Blood Coagulation and Fibrinolysis 5(補遺1):S47−S58(1994))。
【0008】
血管内トロンビンに対するインビトロ画像診断法が、以前に報告されている。これらの画像法は、放射性原子または常磁性原子で検出可能に標識された化合物を使用する。例えば、γ線放出体、In−111で標識された血小板が、トロンビンを検出するための画像化剤として使用され得る(Thakur,M.L.ら,Thromb Res.9:345(1976);Powersら,Neurology 32:938(1982))。Tc−99mで標識された、血栓崩壊性酵素ストレプトキナーゼは、画像化剤として提案されている(Wong,米国特許第4,418,052号(1983))。γ線放出体I−125およびI−131で標識されたプロテインA由来のStaphylococcus aureusのフィブリン結合ドメインは、画像化剤として提案されている(Pang,米国特許5,011,686号(1991))。(フィブリノーゲンとは対照的に)フィブリンに対し特異性を有し、かつTc−99mで標識されたモノクローナル抗体は、画像化剤として提案されている(Bergerら、米国特許第5,024,829号(1991);Deanら,米国特許4,980,148号(1990))。急性の心筋梗塞に対して血栓崩壊により処置される患者の磁性応答の画像化において、常磁性造影剤、ジエチレンアミンペンタ酢酸ガドリニウムの使用が、報告されている(De Roos,A.ら,Int.J.Card.Imaging 7:133(1991))。放射標識され、かつ常磁性標識されたα−ケトアミド誘導体もまた、血栓の画像化剤として提案されている(Abelmanら,米国特許第5,656,600号)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
強力かつ選択的プロテアーゼインヒビターであり、そして現在利用可能なプロテアーゼインヒビターよりバイオアベイラビティーが大きく副作用が小さい非ペプチド化合物に対する必要性が存在し続けている。従って、強力な阻害能力および哺乳類毒性の低さにより特徴付けられる強力なプロテアーゼインヒビターの新規クラスは、多くの哺乳類のタンパク質分解性疾患状態を処置することを包含する種々の状況のための、潜在的に有益な治療剤である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(要旨)
本発明は、とりわけ、式I(以下)を有する新規置換フェニルアセトアミドに関する。また、式Iの化合物を調製するためのプロセスが提供される。本発明の新規化合物は、プロテアーゼ、特にトリプシン様セリンプロテアーゼ(例えば、キモトリプシン、トリプシン、トロンビン、プラスミン、および第Xa因子)の強力なインヒビターである。特定の化合物は、直接的、選択的なトロンビンの阻害を介して抗トロンビン活性を示すか、または抗トロンビン活性を有する化合物を形成するのに有用な中間体である。また、哺乳動物において、異常なタンパク質分解を阻害または処置する方法、および式Iの化合物の有効量を投与することによる血栓崩壊、虚血、脳卒中、再狭窄または炎症を処置する方法が提供される。
【0011】
本発明は、哺乳動物において血小板の損失を阻害し、血小板凝集体の形成を阻害し、フィブリンの形成を阻害し、血栓形成を阻害し、そして塞栓形成を阻害するための組成物を包含し、この組成物は、薬学的に受容可能なキャリア中に本発明の化合物を含有する。これらの組成物は、必要に応じて、抗凝固剤、抗血小板剤および血栓崩壊剤を包含し得る。この組成物は、所望の阻害を達成するために血液、血液製剤、または哺乳動物の器官に添加され得る。
【0012】
哺乳動物における異常なタンパク質分解を阻止または治療する方法、および以下を治療する方法もまた、提供されている:心筋梗塞;不安定狭心症;脳卒中;再狭窄;深部静脈血栓;外傷、敗血症または腫瘍転移により引き起こされる播種性血管内血液凝固;血液透析;人工心肺手術;成人呼吸困難症候群;内毒素ショック;関節リウマチ;潰瘍性大腸炎;硬結;転移;化学療法中の凝固性亢進;アルツハイマー病;ダウン症候群;眼内のフィブリン形成;および創傷治癒。本発明の化合物の他の用途には、血液収集、血液循環および血液貯蔵で使用される装置(例えば、カテーテル、血液透析機、血液収集注射器およびチューブ、血液ラインおよびステント)の製造で使用される材料に包埋または物理的に連結されたいずれかの抗凝血剤としての用途がある。
【0013】
本発明はまた、哺乳動物における表面に共有結合的または非共有結合的のいずれかで本発明の化合物を結合することにより、この表面の血栓形成性を低下させる方法を包含する。
【0014】
他の局面では、本発明は、哺乳動物における血栓のインビボ画像化に有用な組成物を包含し、この組成物は、体外で検出できる本発明の化合物を含有する。本発明の化合物と検出可能標識(例えば、放射性原子または常磁性原子)とを含有する組成物が好ましい。
【0015】
(詳細な説明)
本発明の化合物は、式Iの化合物:
【0016】
【化9】

またはその溶媒和物、水和物、もしくは薬学的に受容可能な塩を包含する;ここで:
Wは、RまたはRS(O)であり;
は、

(CHC(R12であって、tは0〜3であり、各R12は同じかもしくは異なり得る、R(CHC(R12
(R)(OR12)CH(CHであって、pが1〜4である、(R)(OR12)CH(CH
(R(OR12)C(CHであって、pが1〜4である、(R(OR12)C(CH
C(R12(CHであって、tが0〜3であり、各R12は、各R12は同じかもしくは異なり得、ここで(R12はまた、CとともにC3〜9シクロアルキルにより表わされる環を形成し得る、RC(R12(CH
CFC(R12(CHであって、qは0〜2であり、各R12は同じかもしくは異なり得、ここで(R12はまた、CとともにC3〜9シクロアルキルにより表わされる環を形成し得る、RCFC(R12(CH
CHC(R12(CHであって、qは0〜2であり、各R12は同じかもしくは異なり得、ここで(R12はまた、CとともにC3〜9シクロアルキルにより表わされる環を形成し得る、RCHC(R12(CH
(RCH(CHであって、ここでrは0〜4であり、各Rは、同じかもしくは異なり得、ここで、(Rはまた、CHとともにC3〜9シクロアルキル、C7〜12二環式アルキル、C10〜16三環式アルキル、または飽和もしくは不飽和であり得、N、OおよびSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の単環式のもしくは二環式のヘテロ環式環により表わされる環を形成し得る、(RCH(CH
O(CHであって、pは2〜4である、RO(CH
(RCF(CHであって、rは0〜4であり、各Rは同じかもしくは異なり得、ここで(Rはまた、CとともにC3〜9シクロアルキル、C7〜12二環式アルキル、C10〜16三環式アルキル、または飽和もしくは不飽和であり得、N、OおよびSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の単環式のヘテロ環式環もしくは二環式のヘテロ環式環により表わされる環を形成し得る、(RCF(CH
【0017】
【化10】

ここで、sは0または1であり;あるいは、
CFC(R12
であり;
は、
フェニル、ナフチルもしくはビフェニルであって、その各々は、置換されないか、または1つ以上の、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CF、OCF、COOH、CO21、CONH、CONR2223、SOアルキル、SONH、もしくはSONR2223で置換される、フェニル、ナフチルもしくはビフェニル、
飽和または不飽和であり得る5〜7員の単環式のヘテロ環式環もしくはヘテロアリール環または9〜10員の二環式のヘテロ環式環もしくはヘテロアリール環であって、このへテロ環式環またはこのへテロアリール環は、N、OおよびSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子は、必要に応じて酸化され、そしてこのへテロ環式環またはこのへテロアリール環は置換されないか、または1つ以上のC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CF、OCF、COOH、CO21、CONH、CONR2223、SOアルキル、SONH、もしくはSONR2223で置換される、へテロ環式環またはヘテロアリール環、
3〜9シクロアルキルであって、このC3〜9シクロアルキルは、置換されないか、または1つ以上のC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CF、OCF、COOH、CO21、CONH、CONR2223、SOアルキル、SONH、もしくはSONR2223で置換される、C3〜9シクロアルキル、あるいは、
7〜12二環式アルキルであって、このC7〜12二環式アルキルは置換されないか、または1つ以上のC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CF、OCF、COOH、CO21、CONH、CONR2223、SOアルキル、SONH、もしくはSONR2223で置換される、C7〜12二環式アルキル、
であり;
Yは、−NH−またはOであり;
は、水素、ハロゲンまたはOHであり;
およびRは、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、ニトロ、−CO、−CHORまたは−ORであり、ここで各例において、Rは、独立して水素またはC1〜6アルキルのうちの1つであり;
は、シアノまたはアセチレニルであり;
11は、水素、ハロゲンまたはアルキルであり;
12は、
水素もしくはハロゲン、
非置換の、もしくは1つ以上のヒドロキシで置換されたC1〜6アルキル、
COOH、アミノ、もしくはハロゲン、
CF
であり;
21は、C1〜8アルキル、C1〜8シクロアルキル、C1〜8アルキルエーテルまたはC1〜8シクロアルキルエーテルであり;
22およびR23は、独立して水素、C1〜8アルキル、C1〜8シクロアルキル、C1〜8アルキルエーテルもしくはC1〜8シクロアルキルエーテルであるか、またはこれらが結合する窒素原子と一緒になって、R22およびR23は、必要に応じて窒素もしくは酸素より選択される0〜2個のさらなるヘテロ原子を有する3〜9員の飽和環を形成し;
Bは、以下:
【0018】
【化11】

からなる群より選択され;
ここで、
、R、RおよびR10は、独立して水素またはアルキルであり;
Xは、−O−、−NR18−もしくは−CH=N−であり(Nは、NR13に結合される)、R18は水素もしくはアルキルであり、このアルキルは、必要に応じて、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルアミノ、シアノもしくはトリフルオロメチルで置換され;
、RおよびRは、独立して水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニルオキシ、シアノもしくは−COであり、
は、C1〜12アルキル、C3〜9シクロアルキル、C6〜14アリール、C6〜14ar(C1〜12)アルキル、
【0019】
【化12】

であり、
およびRは、独立して水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、もしくはC6〜14アリールであり、Rは、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニルもしくはC6〜14アリールであり、Rは、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニルもしくはC6〜14アリールであり、そしてRは、C6〜14ar(C1〜12)アルキルもしくはC1〜12アルキルであり;
nは0〜2であり;
mは0〜2であり;
13は水素もしくはアルキルであり;
14およびR15は、独立して水素、アルキル、シクロアルキル、ハロゲンもしくはアルコキシであり;
16およびR17は、独立して水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノもしくは−COであり、Rは、C1〜12アルキル、C3〜9シクロアルキル、C6〜14アリール、C6〜14ar(C1〜12)アルキル、ハロ(C1〜12)アルキルもしくは:
【0020】
【化13】

であり、
、RおよびRは、独立して水素もしくはC1〜12アルキルであり;そして、
Aは、飽和または不飽和であり得る9〜10員の二環式のヘテロ環式環もしくはヘテロアリール環であり、
このへテロ環式環もしくはヘテロアリール環は、N、O、およびSからなる群より選択される3〜5個のヘテロ原子を含み、ならびに、必要に応じて1つ以上のハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、もしくは−NR1920で置換され、R19およびR20は、独立して水素もしくはC1〜4アルキルであるか、
あるいは、このへテロ環式環もしくはヘテロアリール環は、Nから選択される1〜2個のヘテロ原子を含み、ならびに−NR1920で一置換され、R19およびR20は、独立して水素またはC1〜4アルキルであり、
あるいは、このへテロ環式環もしくはヘテロアリール環はN、OおよびSからなる群より選択される1〜2個のヘテロ原子を含み、このヘテロ原子の1つは、OもしくはSのどちらかでなければならず、ならびに、必要に応じて1つ以上のハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、もしくは−NR1920で置換され、R19およびR20は、独立して水素またはC1〜4アルキルである。
【0021】
本発明の範囲内の化合物には、以下であるものが挙げられる:Rは、
フェニル、ナフチル、またはビフェニルであって、その各々は、置換されていないか、または1つ以上のC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CF、OCF、COOH、CONH、もしくはSONHで置換されている、フェニル、ナフチルもしくはビフェニル、
飽和または不飽和であり得る5〜7員の単環式のヘテロ環式環もしくはヘテロアリール環または9〜10員の二環式のヘテロ環式環もしくはヘテロアリール環であって、このヘテロ環式環またはこのヘテロアリール環は、N、OおよびSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、そして、必要に応じてハロゲン、ヒドロキシ、またはアルキルで置換される、ヘテロ環式環もしくはヘテロアリール環、
飽和もしくは不飽和であり得るC3〜9シクロアルキル、あるいは、
飽和もしくは不飽和であり得るC7〜12二環式アルキルであり、残りの置換基は、本明細書中で定義したとおりである。
【0022】
本発明の範囲内の化合物には、以下であるものが挙げられる:
およびRは、別個に、水素、ハロゲン、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜8アルキニル、ヒドロキシ、ハロ(C1〜6)アルキル、C1〜8アルコキシ、ハロ(C1〜8)アルコキシまたはヒドロキシ(C1〜6)アルキル、シアノ、ニトロ、−CO、−CHORまたは−ORであり、
ここで、Rは、各場合において、別個に、水素またはC1〜6アルキルの1つである;
11は、水素もしくはC1〜6アルキルである;
、R、RおよびR10は、独立して水素もしくはC1〜6アルキルである;
18は、必要に応じてアミノ、モノ(C1〜6)アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、C1〜8アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、C1〜8アルコキシカルボニル、C6〜14アリールオキシカルボニル、C6〜14ar(C1〜20)アルコキシカルボニル、アシルアミノ、シアノもしくはトリフルオロメチルで置換されたC1〜6アルキルである;
、RおよびRは、独立してC1〜6アルキル、C1〜8アルコキシまたはC1〜8アルコキシカルボニルオキシである;
13は、C1〜6アルキルである;
14およびR15は、別個に、C1〜6アルキル、C3〜9シクロアルキルまたはC1〜8アルコキシである;そして
16およびRl7は、別個に、水素、C1〜6アルキル、C1〜8アルコキシまたはC1〜8アルコキシカルボニルである。
【0023】
上記式Iの化合物の好ましい亜属には、Bが以下であるものがある:
【0024】
【化14】

ここで、Xは、Oであり、そしてR〜R10、R13、R〜R、mおよびnは、上で定義したとおりである。
【0025】
上記式Iの化合物の他の好ましい亜属には、Bが以下であるものがある:
【0026】
【化15】

ここで、Rは、R10、R14〜R17であり、mおよびnは、上で定義したとおりである。
【0027】
上記式Iの化合物のさらに他の好ましい亜属には、Bが以下であるものがある:
【0028】
【化16】

ここで、A、R、R10、mおよびnは、上で定義したとおりである。この亜属の特に好ましい化合物には、Aが3−アミノベンズイソオキサゾリルまたはベンゾテトラゾリルであるものがある。
【0029】
上記式Iの好ましい化合物には、RがRCFC(R12(CHであるものがある。Rが、RCFC(R12(CHであって、ここで、Rが、アリール、ピリジル、ピリジル−N−オキシドまたはキノリニルであり、それらのいずれかが、必要に応じて、ハロゲンまたはC1〜6アルキルで置換されている;R12が、水素である;そしてqが、0である化合物は、特に好ましい。好ましい化合物には、また、Rが、RCFC(R12(CHであって、ここで、Rが、アリール、ピリジル、ピリジル−N−オキシド、キノリニルまたはキノリニル−N−オキシドであり、それらのいずれかが、必要に応じて、ハロゲン、C1〜6アルキルまたはSOアルキルで置換されている;R12が、水素である;そしてqが、0である化合物がある。
【0030】
上記式Iの好ましい化合物には、Rがハロゲンまたは水素であるものがある。上記式Iのさらに好ましい化合物には、Rがハロゲンであるものがある。この亜属の範囲内のさらに好ましい化合物には、Rがフルオロであるもの(Rがフルオロであるもの対して、RおよびRが水素であるものを含めて)がある。
【0031】
上記式Iの好ましい化合物には、Rがシアノであるものがある。他の局面では、Rは、アセチレンである。
【0032】
11が水素またはアルキルである上記式Iの化合物もまた、好ましい。上記式Iのさらに好ましい化合物には、R11が水素であるものがある。
【0033】
がハロゲンまたは水素であり、そしてR11が水素またはアルキルである上記式Iの化合物もまた、好ましい。
【0034】
がシアノであり、そしてRがハロゲンである上記式Iの化合物もまた、好ましい。上記式Iのさらに好ましい化合物には、Rがシアノであり、そしてRがフルオロであるものがある。上記式Iの好ましい化合物には、Rがシアノであり、そしてRがフルオロであるのに対して、Rが水素またはフルオロであり、そしてRが水素であるものがある。
【0035】
式IにおけるR、RおよびRの好ましい値は、別個に、水素、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、シアノまたは−COであり、ここで、Rは、各場合において、好ましくは、C1〜4アルキル、C4〜7シクロアルキルまたはベンジルオキシカルボニルである。R、RおよびRの適当な値には、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、シアノ、−COCH、−COCHCHおよび−COCHCHCHが挙げられる。最も好ましい実施態様では、R、RおよびRは、それぞれ、水素である。
【0036】
、RおよびRでは、−CO基もまた好ましく、ここで、Rは、以下の1つである:
【0037】
【化17】

ここで、R〜Rは、上で定義したとおりである。R、RおよびRが−COであり、ここで、Rが、これらの部分の1つであるとき、得られる化合物は、望ましい処方特性およびバイオアベイラビリティー特性を有するプロドラッグである。R、RおよびRの各々についての好ましい値は、水素であり、Rは、メチルであり、そしてRについての好ましい値には、ベンジルおよび第三級ブチルが挙げられる。
【0038】
好ましい化合物には、式Iの化合物であって、R、R、RおよびR10が、別個に、水素またはC1〜6アルキルの1つであるものがある。R、R、RおよびR10の有用な値には、水素、メチル、エチル、プロピルおよびn−ブチルが挙げられる。
【0039】
XがNR18である好ましい化合物には、R18が水素またはC1〜6アルキルであり、このアルキルが、必要に応じて、以下の1個、2個または3個、好ましくは、1個で置換されているものがある:アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、ヒドロキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、カルボアルコキシ、フェニル、シアノ、トリフルオロメチル、アセチルアミノ、ピリジル、チオフェニル、フリル、ピロリルまたはイミダゾリル。
【0040】
18の適当な値には、水素、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピルおよび4−ヒドロキシブチルが挙げられる。
【0041】
Xが酸素である式Iの化合物は、最も好ましい。
【0042】
式Iにおけるnの好ましい値には、0〜2、最も好ましくは、0または1が挙げられる。mの好ましい値には、0〜2、さらに好ましくは、0または1が挙げられる。
【0043】
本発明の範囲内の化合物の代表的な構造には、以下だけでなく、それらの薬学的に受容可能な塩(例えば、それらの塩酸塩および酢酸塩)が挙げられる:
【0044】
【化18】

【0045】
【化19】

【0046】
【化20】

【0047】
【化21】

本発明はまた、光学異性体だけでなく立体異性体(例えば、個々の鏡像異性体およびジアステレオマーだけでなく鏡像異性体の混合物(これらは、現在の系列の選択した化合物における構造上の非対称性の結果として、生じる))も含むと考えられることが理解できるはずである。本発明の化合物はまた、多形結晶形状を有し得、全ての多形結晶形状は、本発明に含まれる。
【0048】
式Iの化合物はまた、溶媒和(特に、水和)できる。水和は、これらの化合物またはそれらの化合物を含有する組成物の製造中に起こり得るか、または水和は、時間の経過と共に、これらの化合物の吸湿性が原因で起こり得る。
【0049】
式Iの範囲内の特定の化合物には、プロドラッグと呼ばれる誘導体がある。「プロドラッグ」との表現は、公知の直接作用性薬剤の誘導体であり、この誘導体は、その薬剤と比較して、高い送達特性および治療価値を有し、そして酵素過程または化学過程により、その活性薬剤に変換される。有用なプロドラッグには、R、R、Rおよび/またはRが−COであるものがあり、ここで、Rは、上で定義したとおりである。米国特許第5,466,811号およびSaulnierら、Bioorg.Med.Chem.Lett.4:1985〜1990(1994)を参照。
【0050】
任意の構成成分または式Iにおいて、任意の変数が1回より多く生じるとき、各出現時のその定義は、各他の出現時のその定義とは無関係である。また、置換基および/または変数の組合せは、このような組合せが安定な化合物を生じる場合に限り、許容できる。
【0051】
他の局面では、本発明は、哺乳動物における血栓のインビボ画像化に有用な組成物を包含し、この組成物は、体外で検出できる本発明の化合物を含有する。本発明の化合物と検出可能標識(例えば、放射性原子または常磁性原子)とを含有する組成物が好ましい。
【0052】
他の局面では、本発明は、哺乳動物における血栓のインビボ画像化で使用される診断用組成物を包含し、この組成物は、薬学的に受容可能なキャリアと本発明の化合物または組成物の診断有効量とを含有する。
【0053】
他の局面では、本発明は、哺乳動物における血栓のインビボ画像化に有用な方法を包含する。
【0054】
好ましい局面によれば、有用な化合物には、R置換基が検出可能標識(例えば、放射性ヨウ素原子(例えば、I−125、I−131または1−123))で置換されているものがある。この局面では、Rは、好ましくは、パラI−123、パラI−125またはパラI−131置換基を有するフェニル、またはメタI−123、メタI−125またはメタI−131置換基を有するベンジルである。
【0055】
この検出可能標識はまた、放射性または常磁性キレートであり得、ここで、適当な配位子(L)は、直接または二価連結基A”を介して、いずれかで、R置換基に結合される。あるいは、−A”−Lは、式IにおけるW基の代わりをする。適当な配位子とは、放射性または常磁性金属イオンをキレート化できる有機部分を意味する。
【0056】
これらの化合物では、二価連結基A”には、遊離アミノ基およびキレート化手段と結合できる基が挙げられる。例えば、A”は、−C(=S)−、−C(=O)−、−C(=NH)−(CH−C(=NH)−,−C(=O)−(CH−C(=O)−、
【0057】
【化22】

などであり得る。
【0058】
また、式Iで表わされる化合物では、キレート化配位子Lには、放射性または常磁性原子のいずれかと共有結合または非共有結合できる基が挙げられる。このキレート化手段は、放射性または常磁性原子を錯化するのに通例使用されるものを含む。これらには、3個〜12個、好ましくは、3個〜8個のメチレンホスホン酸基、メチレンカルボヒドロキサム酸基、カルボエチリデン基、特に、カルボメチレン基(これらは、窒素原子に結合されている)が挙げられる。もし、これらの酸基の1個または2個が窒素原子に結合されるなら、その窒素は、必要に応じて置換したエチレン基により、または窒素原子または酸素原子またはイオウ原子で分離さりた4個までの分離エチレン単位により、このような基を有する他の窒素原子に結合される。完成手段として好ましいものには、ジエチレントリイミン−N,N,N’,N”,N”−五酢酸(DTPA)がある。DTPAは、放射性原子であるインジウム−111(In−111)、テクネチウム−99m(Tc−99m)、および常磁性原子ガドリニウム(Gd)のキレート化手段として、当該技術分野で周知である。Khawら、Science 209:295(1980);Paik C.H.ら、米国特許第4,652,440号(1987);Gries,H.ら、米国特許第4,957,939号(1990)。好ましいキレート化配位子Lには、1−(p−アミノベンジル)−ジエチレントリアミン五酢酸がある。キレート化手段としては、また、スルフヒドリル部分またはアミン部分を含む化合物があり、任意の組み合わせにおけるそれらの全体は、少なくとも4つである。これらのスルフヒドリル部分またはアミン部分は、少なくとも2個の原子(これは、炭素、窒素、酸素またはイオウであり得る)で互いから分離されている。キレート化手段Lには、メタロチオネイン(これは、Tc−99mのキレート化手段として、当該技術分野で周知である)がある。
【0059】
本明細書中で使用する「アルキル」との用語は、単独でまたは他の基の一部として、12個までの炭素の直鎖基または分枝鎖基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル)のいずれかを意味する。好ましくは、アルキルは、1個〜6個の炭素原子である。
【0060】
本明細書中で使用する「アルケニル」との用語は、2個〜20個の炭素原子(但し、その炭素長が限定されている場合は除く)の直鎖または分枝鎖基を意味するように使用され、これには、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−エチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、このアルケニル鎖は、2個〜10個の炭素原子の長さであり、さらに好ましくは、2個〜8個の炭素原子の長さであり、最も好ましくは、2個〜4個の炭素原子の長さである。
【0061】
本明細書中で使用する「アルキニル」との用語は、2個〜20個の炭素原子(但し、その炭素長が限定されている場合は除く)の直鎖または分枝鎖基を意味するように使用され、これには、アセチレン、1−プロピレン、2−プロピレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、このアルキニル鎖は、2個〜10個の炭素原子の長さであり、さらに好ましくは、2個〜8個の炭素原子の長さであり、最も好ましくは、2個〜4個の炭素原子の長さである。
【0062】
置換基としてのアルケニル部分が存在している本明細書中の全ての場合、不飽和連鎖(すなわち、ビニレンまたはアセチレン連鎖)は、好ましくは、窒素部分、酸素部分またはイオウ部分には直接結合していない。
【0063】
「アルコキシ」との用語は、本明細書中では、酸素原子に結合した1個〜20個の炭素原子(但し、その炭素長が限定されている場合は除く)の直鎖または分枝鎖基を意味するように使用され、これには、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、このアルコキシ鎖は、1個〜10個の炭素原子の長さであり、さらに好ましくは、1個〜8個の炭素原子の長さである。
【0064】
本明細書中で使用する「アリール」との用語は、単独でまたは他の基の一部として、その環部分に6個〜12個の炭素(好ましくは、その環部分に6個〜14個の炭素)を含有する単環式または二環式の芳香族基(例えば、フェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフチル)を意味する。
【0065】
本明細書中で使用する「ヘテロアリール」との用語は、5個〜14個の環原子、環状アレイで共有されている6個、10個または14個のπ電子を有し、そして炭素原子および1個、2個、3個または4個(好ましくは、1個、2個または3個)の酸素、窒素またはイオウヘテロ原子を含有する基を意味する(この場合、ヘテロアリール基の例には、以下がある:チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアンスレニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾキサゾリル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4αH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリジニル基、フェナジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基およびフェノザジニル基)。
【0066】
本明細書中で使用する「アラルキル」または「アリールアルキル」との用語は、単独でまたは他の基の一部として、上述のC1〜6アルキル(好ましくは、C1〜6アルキル)基を意味し、これは、アリール置換基(例えば、ベンジル、フェニルエチルまたは2−ナフチルメチル)を有する。
【0067】
本明細書中で使用する「シクロアルキル」との用語は、単独でまたは他の基の一部として、3個〜9個の炭素原子、好ましくは、3個〜7個の炭素原子を含有するシクロアルキル基を意味する。典型的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルおよびシクロノニルがある。
【0068】
「C7〜12二環式アルキル」との用語は、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(ノルボルニル)、ビシクロ[2.2.2]オクチル、1,1,3−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチル(ボルニル)などを含むと解釈される。
【0069】
本明細書中で使用する「ハロゲン」または「ハロ」との用語は、単独でまたは他の基の一部として、塩素、臭素、フッ素またはヨウ素を意味し、塩素およびフッ素が好ましい。
【0070】
本明細書中で使用する「モノアルキルアミン」との用語は、単独でまたは他の基の一部として、1個〜12個の炭素原子、好ましくは、1個〜6個の炭素原子を有する1個のアルキル基で置換されたアミノ基を意味する。
【0071】
本明細書中で使用する「ジアルキルアミン」との用語は、単独でまたは他の基の一部として、2個のアルキル基(各々は、1個〜12個の炭素原子、好ましくは、1個〜6個の炭素原子を有する)で置換されたアミノ基を意味する。
【0072】
本明細書中で使用する「ヒドロキシアルキル」とは、1個またはそれ以上のヒドロキシル部分で置換された上記アルキル基のいずれかを意味する。
【0073】
本明細書中で使用する「カルボキシアルキル」とは、1個またはそれ以上のカルボン酸部分で置換された上記アルキル基のいずれかを意味する。
【0074】
本明細書中で使用する「ヘテロサイクル」または「複素環」との用語は、記述している場合を除いて、安定な5員〜7員の単環式または二環式または安定な7員〜10員の二環式複素環系を表わし、それらの任意の環は、飽和または不飽和であり得、これは、炭素原子および1個〜4個のヘテロ原子(好ましくは、1個〜3個のヘテロ原子)からなり、このヘテロ原子は、N、OおよびSからなる群から選択され、ここで、これらの窒素およびイオウヘテロ原子は、必要に応じて、酸化され得、その窒素ヘテロ原子は、必要に応じて、四級化でき、これには、上で定義した複素環のいずれかがベンゼン環に縮合された任意の二環式基が挙げられる。1個の酸素またはイオウ、1個〜4個の窒素原子(好ましくは、1個〜3個の窒素原子)、または1個または2個の窒素原子と組み合わせた1個の酸素またはイオウを含有する環は、特に有用である。このような複素環基の例には、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロロジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾテトラゾリル、フリル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホンおよびオキサジアゾリルが挙げられる。モルホリノは、モルホリニルと同じである。
【0075】
「ヘテロ原子」との用語は、本明細書中にて、酸素原子(「O」)、イオウ原子(「S」)または窒素原子(「N」)を意味するように使用される。このヘテロ原子が窒素であるとき、それは、NR部分を形成し得、ここで、RおよびRは、互いから独立して、水素またはC〜Cアルキルを形成するか、それらが結合している窒素と一緒になって、飽和または不飽和の5員、6員または7員環を形成することが認められる。
【0076】
スキーム1〜5は、式Iの代表的な化合物の合成経路を概説する。
【0077】
(スキーム1)
【0078】
【化23】

スキーム1では、典型的な条件(例えば、触媒水素化)下にて、アリールニトロ化合物1を、活性炭上パラジウムの存在下にて、エタノールまたはメタノール中で、水素で還元すると、アリールアミン2が得られる。化合物2のアセチル保護基は、(アミノ基操作前の化合物の溶解性を高めるために)、塩基性条件(例えば、炭酸カリウム(KCO)のメタノール溶液)下での加水分解により除去されて、遊離の保護水酸基となり、化合物3が得られる。適当な試薬(例えば、亜硝酸ナトリウム(NaNO)およびHClに続いてシアン化銅(CuCN)およびシアン化カリウム(KCN))を使って、Sandmeyer型反応により、化合物3のNH基に代えて、その中心足場には、所望のR基が導入され((a)Gunstone,F.D.,etal.,Org.Syiz.Collect Vol.1,Wiley,New York,N.Y.(1941),p.170;(b)Yokomoto,M,W.,et al.,EP公開出願第0 470578 A1号(1991))、化合物4が得られる。R=アセチレンの場合、アニリン3は、典型的なSandmeyer条件(例えば、亜硝酸ナトリウム(NaNO)およびHClに続いて臭化銅(CuBr))下にて、対応する臭化物に変換される。この臭化物は、標準的な条件(例えば、PdCl(pphおよびトリブチルエチレニルスズ)下にて、適当な溶媒(例えば、DMF)中で、そのアセチレンに変換される。化合物4は、順に、適当な還元剤(例えば、BH)で還元されて、化合物5の所望の断片WYが産生し、ここで、Yは、−NH−である。5を、DCM中にて、酸化剤(例えば、三酸化イオウ−ピリジン錯体(SO・ピリジン)で酸化すると、アルデヒド6が得られる。この標的化合物の中心および左断片の作成は、適当な酸化条件(例えば、亜塩素酸ナトリウム(NaClO))下で、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)およびDMSOの存在下にて、アルデヒド6をカルボン酸7にさらに酸化することにより、達成される(Dalcanale、E.,et al.,J.07−g.Chem.51:567(1986))。
【0079】
(スキーム2)
【0080】
【化24】

スキーム2では、このアミンは、典型的な条件(例えば、100℃でDMSO)下にて、求核芳香族置換により導入され、化合物9が得られる。9のエステル基は、標準的な条件(例えば、LiOH)下にて、適当な溶媒(例えば、MeOH:THF:HO)中で、加水分解されて、対応するカルボン酸が得られる。この酸は、標準的なカップリング手順(例えば、BOP、DIEA)を使用し、適当な溶媒(例えば、DMF)を使用して、アミンにカップリングされて、構造10を有する化合物が得られる。
【0081】
(スキーム3)
【0082】
【化25】

スキーム3では、ニトロフェニル酢酸11は、標準的なペプチドカップリング手順(例えば、スキーム2のもの)を使用して、アミノアルコール12(例えば、エタノールアミン)にカップリングされて、アルコール13が得られる。このアルコールは、標準的な試薬(Mitsunobu,O.,Synthesis1:1(1981))(例えば、トリフェニルホスフィンおよびアゾジカルボン酸ジエチル)を使用して、適当な溶媒(例えば、THF)中で、N−ヒドロキシフタルイミドにカップリングすることにより、保護アルコキシアミンに変換されて、化合物14が得られ、これは、次いで、典型的な還元条件(例えば、炭素上パラジウム(0)による水素化)下にて、適当な溶媒(例えば、エタノール)中で、アニリン15に変換される。このアミンは、スキーム1において、溶媒(例えば、DCM)中で、アシル化剤(W=RC(O))またはスルホニル化剤(W=RS(O))(例えば、塩化ベンジルスルホニル)と反応されて、中間体16が得られ、このアルコキシアミンは、当該技術分野で周知の標準的な条件(Greene,T.W.and Wuts,P.G.M.,Protective Groups in Organic Synthesis,2nd edition,John Wiley and Sons,New York(1991))(エタノール/THF中のメチルアミン水溶液)を使用して、脱保護される。得られたアルコキシアミン17のグアニジニル化は、標準的なグアニジニル化試薬(例えば、N,N’−ビス(第三級ブトキシカルボニル)−S−メチルチオ尿素(Bergeron,R.J.and McManis,J.S.,J.Org.Chem.52:1700(1987))またはN−R−N’−R、R−1H−ピラゾール−1−カルボキサミジン(Bernatowicz,M.S.et al.Tetrahedron Lett.34:3389(1993))を使って達成され、このグアニジンは、必要に応じて、典型的な脱保護条件(例えば、1,4−ジオキサン中のDCMまたはHCl溶液中のトリフルオロ酢酸(TFA)溶液)で脱保護されて、最終標的18が得られる。
【0083】
(スキーム4)
【0084】
【化26】

スキーム4では、ケトン、アルデヒド(R11=H)またはカルボン酸(R11=OH)出発物質19は、適当な試薬(例えば、ボラン−THF)で還元されて、アルコール20が得られ、これは、次いで、適当な溶媒(例えば、DCM)中にて、塩化スルホニル(例えば、塩化メタンスルホニル)と反応させることにより、さらに良好な脱離基に変換されて、化合物21が生成される。このスルホネートは、標準的な条件(例えば、シアン化カリウム)で、還流しているアセトニトリル中にて、シアン化物で置き換えられて、ニトリル22が得られ、これは、次いで、典型的な試薬(例えば、水酸化物水溶液)で加水分解される。得られた酸11のアミン23とのカップリングは、スキーム2のように達成されて、中間体24が得られ、そのニトロ基は、スキーム3のように還元されて、アニリン25が得られる。これは、スキーム3のようにアシル化またはスルホニル化され、そのグアニジンは、必要に応じて、スキーム3のように脱保護されて、最終標的26(Y=NH)が得られる。
【0085】
(スキーム5)
【0086】
【化27】

スキーム5では、ニトロフェノール27は、極性非プロトン性溶媒(例えば、DMF)中にて、ハロゲン化アリル28および適当な塩基(例えば、炭酸セシウム)でアルキル化されて、中間体29が得られ、これは、次いで、加熱による芳香族クライゼン転位によって、化合物30に変換される。このフェノールは、溶媒(例えば、DMF)中にて、典型的な試薬(例えば、臭化ベンジルおよび炭酸セシウム)を使用して保護されて、31が得られ(ここで、Pは、典型的なヒドロキシル保護基であるp)、そのニトロ基は、スキーム3のように還元されて、アニリン32が生成する。アニリン32は、スキーム4のように、中間体33に変換され、そのアルケンは、標準的な条件(例えば、ジオキサン/水中の過ヨウ素酸ナトリウムおよび四酸化オスミウムに続いて、ジョーンズ試薬)を使用して酸化的に開裂されて、酸34が得られる。これは、次いで、アミン23にカップリングされ、そのグアニジンは、必要に応じて、スキーム3のように脱保護され、そのフェノール基は、必要に応じて、標準的な条件(例えば、炭素上パラジウム(0)による水素化)を使用して、適当な溶媒(例えば、エタノール)中にて、脱保護されて、標的化合物35が生成する。
【0087】
式Iの化合物の薬学的に受容可能な塩(水溶性、油溶性または分散性生成物の形状)には、通常の非毒性塩または四級アンモニウム塩が挙げられ、これらは、例えば、無機または有機の酸または塩基から形成される。このような酸付加塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシルスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩(hemisulfate)、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモエート(pamoate)、ペクチニン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシラート、およびウンデカン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。塩基塩には、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)、有機塩基を備えた塩(例えば、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン)、およびアミノ酸を備えた塩(例えば、アルギニン、リシン)など(グアニジニル部分との塩を含めて)が挙げられるが、これらに限定されない。また、その塩基性窒素含有基は、ハロゲン化低級アルキル(例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチル);硫酸ジアルキル(例えば、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミル);長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル);ハロゲン化アラルキル(例えば、臭化ベンジルおよびフェネチル)などのような試薬で四級化できる。酸付加塩を形成するのに好ましい酸には、HCl、酢酸およびトリフルオロ酢酸が挙げられる。
【0088】
本発明の化合物は、メタロ、酸、チオールおよびセリンプロテアーゼの新規種の強力インヒビターに相当している。本発明の範囲内の化合物で阻害されるセリンプロテアーゼの例には、白血球好中球エラスターゼ、肺気腫の病原に関係しているプロテアーゼ;キモトリプシンおよびトリプシン、消化酵素;膵臓エラスターゼ、およびカテプシンG、白血球にも関連しているキモトリプシン様タンパク質分解酵素;トロンビンおよび第Xa因子、血液凝固経路でのタンパク質分解酵素が挙げられる。サーモリシン、メタロプロテアーゼ、およびペプシン(酸性プロテアーゼ)の阻害もまた、本発明の化合物の予想される用途である。本発明の化合物は、好ましくは、トリプシン様プロテアーゼを阻害するのに使用される。
【0089】
それらの最終用途には、本発明の化合物の酵素阻害特性の効力および他の生化学的パラメータは、当業者に公知の標準的な生化学技術により、容易に確認される。例えば、キモトリプシンおよびトリプシンを阻害する化合物の最終用途は、膵炎の治療にある。それらの特定の最終用途のための実際の用量範囲は、もちろん、担当診断医が判定するように、治療する患者または動物の疾患状態の性質および重症度に依存する。有用な用量範囲は、有効な治療効果を得るために、約0.01〜10mg/kg/日である。
【0090】
トロンビンを阻害する性能により区別される本発明の化合物は、多数の治療目的に使用できる。トロンビンインヒビターとして、本発明の化合物は、トロンビン産生を阻害する。従って、これらの化合物は、トロンビンの産生または作用のいずれかに関与している異常な静脈または動脈の血栓症により特徴付けられる状態の治療または予防に有用である。これらの状態には、深部静脈血栓;播種性血管内凝固症候群(これは、敗血症性ショック、ウイルス感染および癌の間に起こる);心筋梗塞;脳卒中;冠状動脈バイパス;目におけるフィブリン形成;臀部置換;および血栓溶解療法または経皮的冠動脈形成術のいずれかから生じる血栓形成が挙げられるが、これらに限定されない。他の用途には、血液収集、血液循環および血液保存で使用される装置(例えば、カテーテル、血液透析機、血液収集注射器、および血液ライン)の製造で使用される材料に包埋されたまたは物理的に結合された抗凝血剤として、このトロンビンインヒビターを使用することが挙げられる。本発明の化合物はまた、体外血液回路での抗凝血剤としても、使用できる。
【0091】
ステントは、再狭窄を少なくすることが明らかになっているが、血栓形成性である。ステントの血栓形成性を少なくする戦略には、そのステント表面らトロンビンインヒビターを被覆、包埋、吸収または共有結合することがある。本発明の化合物は、この目的のために使用できる。本発明の化合物は、溶解性および/または生物分解性重合体に結合できるかまたはその中に包埋でき、その後、ステント材料上に被覆できる。このような重合体には、ポリビニルピロリドン、ポリヒドロキシ−プロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチル−アスパルタミド−フェノール、またはポリエチレンオキシド−ポリリシン(これは、パルミトイル残基、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびポリグリコール酸の共重合体、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋共重合体または両親媒性ブロック共重合体で置換されている)を挙げることができる。ヨーロッパ出願761251、ヨーロッパ出願604,022、カナダ特許2,164,684およびPCT公開出願第WO96/11668号、第WO96/32143号および第WO96/38136号を参照。
【0092】
細胞型(例えば、平滑筋細胞、上皮細胞および好中球)のホストに対するトロンビンの効果によって、本発明の化合物は、成人呼吸窮迫症候群;炎症応答;創傷治癒;再灌流損傷;アテローム性動脈硬化症;および再狭窄(これは、バルーン血管形成、アテローム切除術、および動脈ステント設置のような外傷に続いて起こる)の治療または予防で、さらに用途が見出されている。
【0093】
本発明の化合物は、新生物形成および転移だけでなく、神経変性病(例えば、アルツハイマー病およびパーキンソン病)を治療するのに有用であり得る。
【0094】
トロンビンインヒビターとして使用するとき、本発明の化合物は、単一用量または2〜4回の分割した毎日用量で、約0.1〜約500mg/体重1kg、好ましくは、0.1〜10mg/体重1kgの間の投薬量の範囲内の有効量で、投与できる。
【0095】
トロンビンのインヒビターとして使用するとき、本発明の化合物は、血栓溶解剤(例えば、組織プラスミノゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、およびウロキナーゼ)と組み合わせて、使用できる。それに加えて、本発明の化合物は、他の抗血栓剤または抗凝血剤(例えば、フィブリノーゲンアンタゴニストおよびトロンボキサンレセプタアンタゴニストがあるが、これらに限定されない)と併用できる。
【0096】
これらのトロンビンインヒビターはまた、目標を定めることができる薬剤キャリアとして、溶解性重合体とカップリングできる。このような重合体には、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシ−プロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチル−アスパルタミド−フェノール、またはポリエチレンオキシド−ポリリシン(これは、パルミトイル残基で置換されている)を挙げることができる。さらに、これらのトロンビンインヒビターは、薬剤の制御放出を達成するのに有用な種類の生物分解性重合体(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸およびポリグリコール酸の共重合体、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋共重合体または両親媒性ブロック共重合体)とカップリングできる。
【0097】
ヒト白血球エラスターゼは、炎症部位にて、多形核白血球により放出され、それゆえ、多数の疾患状態に寄与している原因である。本発明の化合物は、痛風、関節リウマチおよび他の炎症性疾患の治療、および肺気腫の治療において、有用な抗炎症効果を有すると予想されている。本発明の化合物の白血球エラスターゼ阻害特性は、以下で記述する方法により、決定される。関節炎、痛風および肺気腫の疾患状態には、カテプシンGもまた関係しており、それに加えて、糸状体腎炎および肺侵襲(これは、肺における感染により、引き起こされる)にも関係している。それらの最終用途では、式Iの化合物の酵素阻害特性は、当該技術分野で周知の標準的な生化学技術により、容易に確認される。
【0098】
本発明の範囲内の化合物のカテプシンG阻害特性は、以下の方法により決定される。部分的に精製したカテプシンGの調製は、Baughら、Biochemistry 15:836(1979)の手順により、得られる。白血球顆粒は、白血球エラスターゼおよびカテプシンG(キモトリプシン様活性)の調製の主要原料である。これらの白血球顆粒は溶解され、顆粒が単離される。これらの白血球顆粒は、0.20M酢酸ナトリウム(pH4.0)で抽出され、抽出物は、4℃で、0.05M NaClを含有する0.05Mトリス緩衝液に対して透析される。透析中には、タンパク質画分が沈殿し、これは、遠心分離により、単離される。この画分は、白血球顆粒のキモトリプシン様活性の殆どを含む。各酵素に対して、特定の基質、すなわち、N−Suc−Ala−Ala−Pro−Val−p−ニトロアニリドおよびSuc−Ala−Ala−Pro−Phe−p−ニトロアニリドが調製される。後者は、白血球エラスターゼで加水分解されない。酵素調製物は、2.00mLの0.01M Hepes緩衝液(pH7.5)(これは、0.50M NaCl、10%ジメチルスルホキシドおよび基質としての0.0020MのSuc−Ala−Ala−Pro−Phe−p−ニトロアニリドを含有する)でアッセイされる。このp−ニトロアニリド基質の加水分解は、405nmおよび25℃でモニターされる。
【0099】
好中球エステラーゼインヒビターおよびカテプシンGインヒビターとしての本発明の化合物の適用に有用な用量範囲は、担当診断医が判定するように、その疾患状態の性質および重症度に依存するが、前記疾患状態には、0.01〜10mg/体重kg/日の範囲が有用である。
【0100】
ウロキナーゼまたはプラスミノーゲン活性化因子を阻害する本発明の化合物は、潜在的に、過度の細胞増殖疾患状態を治療するのに有用である。そういうものとして、本発明の化合物はまた、前立腺肥大症および前立腺癌の治療、乾癬の治療に有用であり得、また、人工妊娠中絶薬として有用であり得る。それらの最終用途のために、本発明の化合物の酵素阻害特性の効力お-よび他の生化学パラメータは、当該技術分野で周知の標準的な生化学技術により、容易に確認される。この用途のための実際の用量は、担当診断医が判定するように、治療する患者または動物の疾患状態の性質および重症度に依存している。一般的な用量範囲は、有効な治療効果のために、約0.01〜10mg/kg/日であると予想される。
【0101】
本発明の化合物のその他の用途には、活性部位濃度についての市販試薬酵素の分析が挙げられる。例えば、キモトリプシンは、膵液および糞便でのキモトリプシン活性の臨床的な定量で使用する標準試薬として、供給される。このようなアッセイは、胃腸障害および膵臓障害の診断用である。膵臓エラスターゼはまた、血漿中のα−抗トリプシンの定量用の試薬として、市販されている。重症の炎症性疾患の過程での血漿α−抗トリプシンの濃度増加、およびα−抗トリプシンの欠乏は、肺疾患の発生率増加と関連している。本発明の化合物は、試薬として供給される市販のエラスターゼの滴定標準化により、これらのアッセイの精度および再現性を高めるのに使用できる。米国特許第4,499,082号を参照。
【0102】
特定のタンパク質の精製中でのある種のタンパク質抽出物中のプロテアーゼ活性は、繰り返し発生する問題であり、これは、タンパク質単離手順の結果を悪化し傷つけ得る。このような抽出物中に存在しているある種のプロテアーゼは、精製工程中にて、本発明の化合物(これらは、種々のタンパク質分解酵素と堅く結合している)により阻害できる。
【0103】
本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物の有益な効果を享受できる任意の動物に投与され得る。このような動物のうちで主要なものには、ヒトがあるが、本発明は、そのように限定することを意図していない。
【0104】
本発明の薬学的組成物は、意図した目的を達成する任意の手段により、投与できる。例えば、投与は、非経口経路、皮下経路、静脈内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、経皮経路、舌下経路または眼内経路により、行うことができる。あるいは、または同時に、投与は、経口経路により行うことができる。その投薬量は、受容者の年齢、健康および体重、それと同時に行う治療(もし、あれば)の種類、治療周期、および望ましい効果の性質に依存している。
【0105】
この薬理学的に活性な化合物に加えて、その新規な医薬品は、適当な薬学的に受容可能なキャリア(これは、この化合物を薬学的に使用できる製剤として処理するのを容易にする賦形剤および補助剤を含有する)を含む。
【0106】
本発明の医薬品は、それ自体公知の様式で(例えば、通常の混合、顆粒化、糖衣錠製造、溶解または凍結乾燥プロセスによって)、製造される。それゆえ、経口用途のための医薬品は、これらの活性化合物を固形賦形剤と配合すること、必要に応じて、適当な補助剤(もし、望ましいか、または必要なら)を加えた後、得られた混合物を粉砕し顆粒混合物を処理して錠剤または糖衣錠核を得ることにより、得ることができる。
【0107】
ヒトへの投与に適当な本発明の組成物について、「賦形剤」との用語は、the Handbook of Phaamaceutical Excipients,American Pharmaceutical Association,2nd Ed.(1994)(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述された賦形剤が挙げられるが、これらに限定されないことを意味する。適当な賦形剤には、特に、充填剤(例えば、糖類(例えば、ラクトースまたはスクロース、マンニトールまたはソルビトール)、セルロース製剤および/またはリン酸カルシウム(リン酸三カルシウムまたはリン酸水素カルシウム))だけけでなく、結合剤(例えば、デンプンペースト(例えば、トウモロコシデンプンを用いる)、小麦デンプン、コメデンプン、イモデンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン)がある。もし、望ましいなら、崩壊剤(例えば、前記デンプン、また、カルボキシメチル−デンプン架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム))もまた、加えることができる。補助剤には、特に、流動制御剤および潤滑剤(例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム)、および/またはポリエチレングリコール)がある。糖衣錠核には、適当な被覆(これは、もし、望ましいなら、胃液に耐える)が設けられる。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用でき、これは、必要に応じて、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含有できる。胃液に耐える被覆を作成するために、適当なセルロース製剤(例えば、フタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の溶液が使用される。例えば、確認用、または活性化合物の用量の組合せを特徴付けるために、これらの錠剤または糖衣錠被覆には、染料材料また顔料が加えることができる。
【0108】
経口的に使用できる他の医薬品には、ゼラチンから製造されるプッシュフィット(push−fit)カプセルだけでなく、ゼラチンおよび可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)から製造される柔軟な密封カプセルが挙げられる。このプッシュフィットカプセルは、顆粒(これは、充填剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)、および/または潤滑剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム)、および必要に応じて、安定剤と混合され得る)の形状で、これらの活性化合物を含有できる。柔軟なカプセルでは、これらの活性化合物は、好ましくは、適当な液体(例えば、脂肪油または液状パラフィン)に溶解または懸濁されている。さらに、安定剤が加えることができる。
【0109】
非経口投与に適当な製剤には、水溶性形状(例えば、水溶性塩およびアルカリ溶液およびシクロデキストリン包接錯体)でのこれらの活性化合物の水溶液が挙げられる。特に好ましいアルカリ塩には、例えば、トリス、コリン、ビス−トリスプロパン、N−メチルグルカミンまたはアルギニンを使って調製されたアンモニウム塩がある。本発明の化合物の水溶性を安定化し高めるために、1種またはそれ以上の変性または非変性シクロデキストリンが使用できる。この目的のために有用なシクロデキストリンは、米国特許第4,727,064号、第4,764,604号および第5,024,998号で開示されている。
【0110】
さらに、適当な油性注射懸濁液としてのこれらの活性化合物の懸濁液は、投与できる。適当な親油性溶媒またはベヒクルには、脂肪油(例えば、ゴマ油)、または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド)またはポリエチレングリコール−400(この化合物は、PEG−400に溶解性である)が挙げられる。水性注射懸濁液は、この懸濁液の粘度を高める物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストリン)を含有できる。必要に応じて、この懸濁液はまた、安定剤を含有できる。
【0111】
式Iの化合物は、交換反応を使用することにより、放射性ヨウ素で標識できる。冷ヨウ素を熱ヨウ素で交換することは、当該技術分野で周知である。あるいは、放射性ヨウ素標識化合物は、トリブチルスタニル中間体を介して、対応しているブロモ化合物から調製できる。米国特許第5,122,361号(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)を参照。
【0112】
本発明はまた、哺乳動物において血栓をインビボ画像化するのに有用な組成物を包含し、ここで、これらの組成物は、放射性原子で錯化した式Iの化合物から構成される。
【0113】
式Iの化合物に適当な放射性原子には、Co−57,Cu−67,Ga−67,Ga−68,Ru−97,Tc−99m,In−111,In−113m,Hg−197,Au−198およびPb−203が挙げられる。一部の放射活性原子は、放射化学画像化技術で使用するのに優れた特性を有する。特に、テクネチウム−99m(Tc−99m)は、その核的性質のために、画像化に理想的な放射性原子である。レニウム−186および−188もまた、ガンマ放射を有し、これにより、画像化できるようになる。好ましい組成物は、この放射性原子Tc−99mを含有する。
【0114】
式Iの化合物は、当該技術分野で公知の多くの技術のいずれかにより標識され、本発明の組成物が提供できる。例えば、これらの化合物は、キレート化試薬(例えば、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)またはメタロチオネイン(これらの両方は、式Iの化合物に共有結合できる))により、標識できる。
【0115】
一般に、テクネチウム−99mを含有する本発明の組成物は、テクネチウム−99mおよび還元剤および水溶性配位子の混合物を形成することにより、次いで、この混合物を式Iにより表わされる本発明の化合物と接触させることにより、調製される。例えば、本発明の画像化化合物は、還元剤の存在下にて、テクネチウム−99m(酸化状態)を本発明の化合物(これは、キレート化手段を有する)と反応させて還元状態(IVまたはV原子価状態)でテクネチウム−99m間で安定な錯体を形成することにより、製造される。
【0116】
本発明の組成物の1実施態様は、DTPAキレート化手段を有する式Iの化合物をテクネチウム−99mで標識することにより、調製される。これは、所定量(5μg〜0.5mgとして)の本発明の化合物を水溶液(これは、クエン酸塩緩衝液および第一スズ還元剤を含有する)と配合することにより、次いで、ナトリウムパーテクネテート(pertechnetate)(これは、所定レベルの放射活性(15mCiとして)を含む)を加えることにより、達成できる。この混合物を室温でインキュベーションさせた後、この反応混合物は、滅菌フィルター(0.2〜0.22ミクロン)により被覆注射器に装填され、次いで、もし望ましいなら、注入用の0.9%生理食塩水に調剤される。
【0117】
本発明の組成物の他の実施態様は、メタロチオネインキレート化剤を有する式Iの化合物をテクネチウム−99mで標識することにより、調製される。これは、水性ナトリウムパーテクネテート−99mを水性スズグルコヘプトネートと配合してテクネチウム−99m(還元状態)(2個のグルコヘプトネート分子を備えている)の溶解性錯体を形成することにより、次いで、この溶液を式Iの化合物(そこには、メタロチオネインが結合した)と配合することにより、達成でき。このグルコヘプトネート錯体に由来のテクネチウム−99mを式Iの化合物のメタロチオネインと交換できる条件下にて、一定期間にわたって、この混合物をインキュベートした後、本発明のテクネチウム標識組成物が形成される。
【0118】
この方法で使用する還元試薬は、テクネチウム−99mをその酸化状態からIVまたはV原子価状態に還元するために、またはレニウムをその酸化状態から還元するために、生理学的に受容可能である。使用できる還元剤には、塩化第一スズ、フッ化第一スズ、グルコヘプトン酸第一スズ(stannous glucoheptonate)、酒石酸第一スズ、および亜ジチオン酸ナトリウムがある。これらの好ましい試薬には、第一スズ還元剤、特に、塩化第一スズまたはグルコヘプトン酸第一スズがある。還元剤の量は、テクネチウム−99mを還元してこの放射性同位元素の還元状態で式Iの化合物のキレート化手段への結合を生じるのに必要な量である。例えば、塩化第一スズ(SnCl)は、この還元剤であり、1〜1,000μg/mLの範囲で使用できる。
【0119】
安定なテクネチウム−99mクエン酸塩錯体を迅速に形成するために、テクネチウム−99mと、クエン酸が錯化される。式Iの化合物と接触すると、穏やかな条件下にて、テクネチウム−99mのそのクエン酸塩錯体から式Iの化合物のキレート化手段への実質的に定量的な移動が迅速に達成される。クエン酸(クエン酸ナトリウムとして)の量は、約0.5mg/mlから、その媒体中で最大に溶解する量までの範囲であり得る。好ましい量のクエン酸は、15〜30μg/mlの範囲である。
【0120】
キレート化手段を有する式Iの化合物の量は、0.001〜約3mg/mL、好ましくは、約0.017〜約0.15mg/mlの範囲であり得る。最終的には、テクネチウム−99mは、パーテクネテートの形状で、好ましくは、約1〜50mCiの量で使用できる。本発明の化合物1mgあたりのmCiの量は、好ましくは、約30〜150である。
【0121】
式Iの化合物と金属イオン−移動配位子錯体との間の反応は、好ましくは、水溶液中にて、式Iの化合物が安定であるpHで、実行される。「安定である」とは、その化合物が溶解したままでありα−トロンビンに対するその阻害活性を保持していることを意味する。通常、この反応のpHは、約5〜9であり、好ましいpHは、6〜8の間である。テクネチウム−99m−クエン酸塩錯体および式Iの化合物は、好ましくは、約20℃〜約60℃の温度、最も好ましくは、約20℃〜約37℃の温度で、そのクエン酸塩錯体から式Iの化合物のキレート化手段への金属イオンの移動を可能にするのに十分な時間にわたって、インキューベートされる。一般に、これらの条件下でのこの移動反応を完結するには、1時間未満が十分である。
【0122】
本発明の代替組成物には、本発明のIn−111標識化合物が挙げられる。
【0123】
本発明はまた、哺乳動物における血栓をインビボ画像化するのに有用な本発明の化合物の組成物(これは、常磁性原子に錯化した式Iにより表わされる化合物から構成される)を包含する。
【0124】
好ましい常磁性原子には、21〜29、42、44および58〜70の原子番号の元素の二価または三価イオンがある。適当なイオンには、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(III)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、プラセオジム(III)、ネオジム(III)、サマリウム(III)およびイットリウム(III)が挙げられる。それらの非常に強い磁気モーメントのために、ガドリニウム(III)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)およびエルビウム(III)が好ましい。常磁性原子としては、ガドリニウム(III)が特に好ましい。
【0125】
本発明の組成物は、例えば、式Iの化合物と常磁性原子とを配合することにより、調製できる。例えば、適当な常磁性原子の金属酸化物または金属塩(例えば、硝酸塩、塩化物または硫酸塩)は、水およびアルコール(例えば、メチルアルコール、エチルアルコールまたはイソプロピルアルコール)から構成される媒体に溶解または懸濁される。この混合物は、類似の水性溶媒中の等モル量の式Iの化合物の溶液に加えられ、そして攪拌される。この反応混合物は、その反応が完結するまで、穏やかに加熱できる。形成された不溶性組成物は、濾過により単離できるのに対して、溶解性組成物は、その溶媒を蒸発することにより、単離できる。本発明の組成物において、依然として、このキレート手段上の酸基が存在するなら、その酸性錯体を中性錯体に転化して均一な組成物の単離または精製を促進するために、無機または有機塩基およびアミノ酸にも加えることができる。有機塩基または塩基性アミノ酸は、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウムの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩)と同様に、中性化剤として使用できる。
【0126】
本発明はまた、哺乳動物における血栓をインビボ画像化するのに有用な診断用組成物を包含し、これは、薬学的に受容可能なキャリアおよび式Iの化合物から誘導された組成物の診断有効量のを含有する。
【0127】
用量として必要な組成物の「診断有効量」は、投与経路、治療する哺乳動物の種類、および考慮中の特定哺乳動物の身体特性に依存する。これらの因子およびそれらとこの用量を決定することとの関係は、医学診断分野の熟練医に周知である。また、この診断有効量および投与方法は、最適な有効性を達成するように改造できるが、体重、常食、同時薬物療法のような因子、および医学分野の当業者が認識している他の因子に依存している。いずれにしても、画像化のための用量は、当該血栓部位でのこの画像化剤の存在を検出するのに十分であるべきである。典型的には、放射線学的な画像化には、本発明の薬学的組成物位置により供給される用量が、例えば、約5〜20μCi、好ましくは、約10μCiである必要がある。磁気共鳴画像化には、供給する用量は、常磁性原子で錯化した式Iの化合物が、例えば、約0.001〜5mmole/kg、好ましくは、約0.005〜0.5mmole/kgである必要がある。いずれかの場合、その実際の用量は、その血栓の位置に依存することは、当該技術分野で公知である。
【0128】
インビボ用途のための「薬学的に受容可能なキャリア」とは、薬学分野で周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.(A.R.Gennaro著、1985)で記述されている。本発明の薬学的組成物は、薬学的に受容可能なキャリアで処方でき、注射可能投与のための無菌溶液または懸濁液が得られる。特に、注射可能物は、通常の形状で、液体溶液または懸濁液、注射前に液体中の溶液または懸濁液にするのに適当な固体形状、または乳濁液のいずれかとして、調製できる。適当な賦形剤には、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、システイン塩酸塩などがある。それに加えて、もし望ましいなら、これらの注射可能薬学的組成物は、少量の非毒性補助物質(例えば、湿潤剤、pH緩衝剤など)を含有できる。もし望ましいなら、吸収向上製剤(例えば、リポソーム)が利用できる。
【0129】
本発明はまた、保存または投与用に調製された診断用組成物を包含する。これらは、さらに、防腐剤、安定剤および染料を含有する。例えば、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルは、防腐剤として加えることができる。それに加えて、酸化防止剤および懸濁剤は、使用できる。
【0130】
本発明のインビボ画像化方法はまた、血栓の存在、大きさ、後退または増大を検出またはモニタリングすることに関して、以前の画像化技術よりも、いくつかの利点を与える。特に、本発明は、化合物、組成物および診断用組成物を提供し、これらは、血栓に関連したトロンビンに堅く結合し、それにより、未結合画像化剤から生じる放射活性または常磁性を循環させることによる「背景」を少なくする。さらに、本発明の化合物、組成物または診断用組成物を冠内注入することによるインビボ画像化は、これらの画像化剤が血栓に結合したトロンビンを直ちに飽和するので、殆ど瞬間的に起こると予想される。
【0131】
従って、本発明はまた、哺乳動物における血栓をインビボ画像化する方法を包含し、これは、以下の工程を包含する:(1)哺乳動物に、診断上受容可能な量の本発明の化合物、組成物または診断用組成物を投与する工程;および(2)血管内の血栓を検出する工程。
【0132】
本明細書中で使用する「インビボ画像化」との用語は、哺乳動物において血栓を検出する方法だけでなく、哺乳動物において血栓の大きさ、位置および数だけでなく血栓の溶解または成長をモニターする方法に関する。
【0133】
この方法により、これらの化合物、組成物または診断用組成物をインビボで使用する際に、「投与する」は、全身的または局所的のいずれかの標的化様式で、非経口的に達成される。全身投与は、本発明の診断用組成物により、これらの化合物、組成物を、好都合でアクセス可能な静脈または動脈に注入することにより、達成される。これには、アンケクブタール(ankecubutal)静脈による投与が挙げられるが、これに限定されない。局所標的化投与は、本発明の化合物、組成物または診断用組成物を、その注射部位から遠位に血栓を含む疑いがある静脈または動脈への流れに近接して注入することにより、達成される。これには、冠状動脈血管系に直接注入して冠状血栓を画像化すること、頚動脈に直接注入して脳の血管系にある血栓を画像化すること、または足の静脈に直接注入して足の深部静脈血栓を画像化することが挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
また、本発明の組成物の血栓部位への送達様式は、「投与する」との用語の範囲内であると考えられる。例えば、そこにキレート手段を結合した式Iで表わされる化合物は、哺乳動物に注入でき、その後、この放射性原子が注入され得、それにより、血栓部位において、インビボで、放射性原子に錯化された式の化合物を含有する組成物が形成される。あるいは、放射性原子に錯化された式の化合物を含有する組成物は、哺乳動物に注入できる。
【0135】
本発明の方法で使用される化合物、組成物または診断組成物の「診断有効量」は、投与経路、治療する哺乳動物の種類、および治療中の特定哺乳動物の身体特性に依存する。これらの因子およびそれらとこの用量を決定することとの関係は、医学診断分野の熟練医に周知である。いずれにしても、インビボ画像化のための用量は、当該血栓部位でのこの画像化剤の存在を検出するのに十分であるべきである。典型的には、放射線学的な画像化には、本発明の薬学的組成物位置により供給される用量が、約5〜20μCi、好ましくは、約10μCiである必要がある。磁気共鳴画像化には、供給する用量は、常磁性原子で錯化した式Iの化合物が、約0.001〜5mmole/kg、好ましくは、約0.005〜0.5mmole/kgである必要がある。いずれかの場合、その実際の用量は、その血栓の位置に依存することは、当該技術分野で公知である。
【0136】
画像化による血栓の検出は、このような血栓で局在化された放射性原子または常磁性原子の存在により、可能になる。
【0137】
本発明の組成物および診断用組成物に関連した放射線原子は、好ましくは、ガンマ放射線を検出できる放射線検出手段(例えば、ガンマカメラなど)を使用して、画像化される。典型的には、放射線画像化カメラは、転換媒体(ここで、その高エネルギーガンマ線は、吸収され、電子の位置をずらして、それが軌道状態に戻ると、光子を放射する)、光電検出器(これは、放射した光子の位置を決定するために、空間検出チャンバに配置されている)、およびこのチャンバで検出した光子を分析して画像を作製する回路網を使用する。
【0138】
本発明の組成物および診断用組成物に関連した常磁性原子は、磁気共鳴画像法(MRI)システムで検出される。このようなシステムでは、これらの原子の核スピンベクトルを患者の体内で整列するために、強力な磁場が使用される。この磁場は、血栓で局在化された常磁性原子の存在により乱され、そして患者の画像は、これらの核がそれらの平衡整列に戻るにつれて、読み取られる。
【0139】
以下の実施例は、本発明の方法および組成物を説明しているが、それらを限定するものではない。通常遭遇し当業者に明らかな種々の状態およびパラメータの他の適当な変更および適応は、本発明の精神および範囲内である。
【実施例】
【0140】
(実施例1)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(5−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド)
【0141】
【化28】

a.N−[2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エトキシ]フタルイミド
【0142】
【化29】

N−(2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸ベンジル(5.9g、30mmol)、N−ヒドロキシフタルイミド(4.9g、30mmol)およびトリフェニルホスフィン(7.9g、30mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、アゾジカルボン酸ジエチル(5.2g、30mmol)を加えた。その反応混合物を、室温で、一晩攪拌した。酢酸エチル(200mL)を加え、飽和NaHCO(2×100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして濾過した。その濾液を蒸発させた後、その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン〜塩化メチレン中の4%酢酸エチル)で精製して、白色固形物(9.3g、91%)として、表題化合物を得た。
【0143】
【化30】

b.2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エトキシアミン
【0144】
【化31】

N−[2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エトキシ]フタルイミド(1.36g、4.0mmol)(これは、先の工程で調製した)のエタノール(20mL)およびテトラヒドロフラン (20mL)溶液に、40%メチルアミン(2.0mL、25mmol)を加え、そして室温で、1時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、その残留物をシリカゲル(3:1の酢酸エチル:ヘキサン〜酢酸エチル)に通して、白色固形物(800mg、95%)として、表題化合物を得たる
【0145】
【化32】

c.[N,N’−ジ(第三級ブトキシカルボニル)]2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エトキシグアニジン
【0146】
【化33】

2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エトキシアミン(780mg、3.7mmol)(これは、先の工程で調製した)のN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)溶液に、[N,N’−ジ(第三級ブトキシカルボニル)]アミジノピラゾール(1.25g、4.0mmol)を加えた。その混合物を、室温で、一晩攪拌し、そして高真空下にて、溶媒を蒸発させた。その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン中の0〜5%酢酸エチル)で精製して、無色オイル(1.55g、93%)として、表題化合物を得た。
【0147】
【化34】

d.[N,N’−ジ(第三級ブトキシカルボニル)]2−アミノエトキシグアニジン
【0148】
【化34A】

[N,N’−ジ(第三級ブトキシカルボニル)]2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エトキシグアニジン(730mg、1.5mmol)(これは、先の工程で調製した)、炭素上10%パラジウム(70mg)(エタノール(20mL)中)およびテトラヒドロフラン(20mL)の混合物を、水素(バルーン)下にて、30分間水素化した。セライトで濾過することにより触媒を除去し、その濾液を真空中で濃縮した。その残留物をWaters Sep−Pak(10g、95:5の塩化メチレン:メタノール(これは、アンモニアで飽和した))で精製して、無色オイル(290mg、61%)として、表題化合物を得た。
【0149】
【化35】

塩酸塩の形状での白色吸湿性固形物として表題化合物を得るために、2LのParrガラス水素化ボトルを窒素でフラッシュし、そしてクロロホルム(150mL)および炭素上10%パラジウム(30g)を充填した。[N,N’−ジ(第三級ブトキシカルボニル)]2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エトキシグアニジン(196.7g、0.37moles)(これは、先の工程で調製した)をメタノールに溶解し、640mLの容量まで希釈した。このメタノールを上記水素化ボトルの内容物に加えた。その混合物を、15〜30psiの水素圧を維持しつつ、振盪した。(注記:1時間後、また、さらに2時間後、その容器を排気し、そして真空下に5分間置いて、二酸化炭素副生成物を除去した。次いで、この振盪ボトルに水素を30psiまで再充填した)。この二酸化炭素副生成物混合物の第二置換後、水素の取り込みが止まるまで(約20時間、全反応時間)、振盪を継続した。この反応容器を排気し、その混合物をセライト(30g)で処理した。その懸濁液をセライトのパッド(30g)で濾過した。その濾過ケークを無水エタノール(3×150mL)で洗浄した。この濾液にClarion 470粘土(0.5g)を加え、その懸濁液を、真空濾過により、透明にした。その溶液を、減圧下(28インチHg、50℃)にて、ローターリーエバポレーターで、乾燥状態まで濃縮した。その残留物を、全真空(29インチHg、50℃)下にて、さらに2時間乾燥した。
【0150】
乾燥した残留物を水(1.2L)で処理し、その混合物を、完全な溶液に達するように、30分間撹拌した。この溶液に炭酸カリウム(110g)を加え、その混合物を20分間撹拌した。塩化メチレン(450mL)を加え、その二相混合物を40分間撹拌した。有機層を分離し、水(4×1.2L)で洗浄し、そして炭酸カリウムで乾燥した。その懸濁液を真空濾過し、その濾液を、pH2〜3になるまで、5〜6M無水塩化水素(2−プロパノール(62mL)中)で、少しずつ慎重に処理した。(注記:この酸性化中にて、さらに酸性のpHにすると、BOC基が喪失することに注意しなければならない)。その濾液を、減圧下(28インチHg、40℃)にて、ローターリーエバポレーターで、乾燥状態まで濃縮した。その固形残留物を乾燥パンに除去し、そして真空中で、50℃で、一晩(約12時間)オーブン乾燥して、白色吸湿性固形物(111.9g、収率98.4%、0.36moles)として、表題化合物を得た。
【0151】
【化36】

e.ジフルオロ−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−酢酸エチルエステル
【0152】
【化37】

Cu(0)(12.2g、0.19mmol、2.2×)のDMSO(87mL)撹拌懸濁液に、室温で、アルゴン下にて、ブロモジフルオロ酢酸エチル(13.4mL、0.10mol、1.2x)(Eto,H.,et al.;Chem.Pharm.Bull.48:982−990,2000;およびAshwood,M.S.,et al.;Tetrahedron Lett.43:9271−9273,2002を参照)を加えた。2.5時間後、2−ブロモ−5−メチルピリジンを一度に加え、そのフラスコを再密封し、再脱気し、そしてアルゴンでパージした。48時間後、その反応物をEtOAc(200mL)と飽和NHCl(150mL)との間で分配した。その有機相を、青色が消失するまで、飽和NHCl(100mL)で再洗浄した。この有機相をNaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮して、黄色/緑色の非粘稠オイルを得た。フラッシュクロマトグラフィー(30%EtOAc/ヘキサン)で精製すると、透明オイル(10.5g、0.05mol、収率56%)として、生成物が得られた。
【0153】
【化38】

f.2,2−ジフルオロ−2−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−エタノール
【0154】
【化39】

ジフルオロ−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−酢酸エチルエステル(10.5g、0.05mol)(これは、先の工程で調製した)のEtOH(98mL)溶液(これは、0℃まで冷却した)に、NaBH(3.7g、0.098mol、2×)を加えた。3時間後、その反応物を飽和NHCl(100mL)で慎重にクエンチし、そしてEtOAc(200mL)で分配した。その有機相をNaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮して、白色固形物(8.5g、0.05mol、粗収率100%)として、生成物を得た。
【0155】
【化40】

g.2−(1,1−ジフルオロ−2−ヨード−エチル)−5−メチル−ピリジン
【0156】
【化41】

2,2−ジフルオロ−2−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−エタノール(8.5g、0.05mol)(これは、先の工程で調製した)をトルエン:CHCN(98mL、2:1)に溶解し、そして0℃まで冷却した。この溶液に、PPh(19.3g、0.074mol、1.5×)、イミダゾール(6.7g、0.098mol、2×)およびI(18.7g、0.074mol、1.5×)を加えた。その反応物を90℃まで加熱し、次いで、室温まで冷却し、そして真空中で濃縮して、濃厚な琥珀色オイルを得た。フラッシュクロマトグラフィー(CHCl)で精製すると、透明オイル(4.6g、0.016mol、収率33%)として、生成物が得られた。
【0157】
【化42】

h.2−(2−アジド−1,1−ジフルオロ−エチル)−5−メチル−ピリジン
【0158】
【化43】

2−(1,1−ジフルオロ−2−ヨード−エチル)−5−メチル−ピリジン(3.8g、13.43mmol)の溶液(これは、先の工程で調製した)をDMSO(6mL)に溶解し、NaN(1.0g、16.12mmol、1.2×)で処理し、そして90℃まで加熱した。2日後、その反応物をEtOAc(125mL)とHO(2x50mL)との間で分配した。その有機相をNaSOで乾燥し、そして濃縮して、透明オイル(2.46g、12.42mmol、粗収率93%)として、生成物を得た。
【0159】
【化44】

i.2,2−ジフルオロ−2−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−エチルアミン
【0160】
【化45】

2−(2−アジド−1,1−ジフルオロ−エチル)−5−メチル−ピリジン(2.46g、12.42mol)(これは、先の工程で調製した)のEtOAc(150mL)溶液を、H雰囲気下にて、10重量%Pd−C(2.46g)で処理した。24時間後、その反応物をセライトで濾過し、その濾液を濃縮して、透明黄色オイル(1.85g、10.76mmol、粗収率86%)として、生成物を得た。
【0161】
【化46】

j.{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル
【0162】
【化47】

2,2−ジフルオロ−2−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−エチルアミン(1.85g、10.76mmol、2×)および(6−シアノ−2、3−ジフルオロ−フェニル)−酢酸エチルエステル(1.2g、5.33mmol)(これは、実施例2fで記述したように、調製した)の混合物をDMSO(3mL)に溶解し、そしてアルゴン下にて、90℃まで加熱した。20時間後、その反応物をEtOAc(50mL)とHO(50mL)との間で分配した。その水相をEtOAc(30mL)で再抽出し、合わせた有機相をNaSOで乾燥し、そして濃縮して、黄色オイルを得た。フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)で精製すると、透明オイル(968mg、2.57mmol、収率48%)として、生成物が得られた。
【0163】
【化48】

k.N−[2−(N’,N”−ビス(第三級ブトキシカルボニル)アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド
【0164】
【化49】

{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル(968mg、2.57mmol)(これは、先の工程で記述したように、調製した)をMeOH:THF:HO(51mL、1:2:1)に溶解し、そしてLiOH(92mg、3.85mmol、1.5×)で処理した。1.5時間後、その反応物を12N HCl(428μL)で中和し、そして真空中で濃縮した。その粗製物質をトルエンで希釈し、そして濃縮して(3×25mL)、ケン化生成物{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸を得た。{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(5−メチル−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸、[N,N’−ジ(第三級ブトキシカルボニル)]−2−アミノエトキシグアニジンのHCl塩(1.8g、5.13mmol、2×)(これは、実施例1dで記述したように、調製した)およびBOP(1.8g、4.16mmol、1.6×)をCHCN/CHCl(12mL、1:1)に溶解し、そして0℃まで冷却した。DIEA(2.7mL、15.6mmol、6×)を滴下し、氷浴を0℃まで冷却しつつ、その反応を12時間継続した。この反応物をEtOAc(50mL)とHO(50mL)との間で分配し、その有機相をNaSOで乾燥し、そして濃縮して、白色非晶質固形物として、粗生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc/CHCl)で精製すると、白色固形物(832mg、1.28mmol、収率50%)として、生成物が得られた。
【0165】
【化50】

l.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(5−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド
【0166】
【化51】

N−[2−(N’,N”−ビス(第三級ブトキシカルボニル)アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(5−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド(832mg、1.28mmol)(これは、先の工程で調製した)をCHCl(6mL)に溶解し、0℃まで冷却し、そしてTFA(2mL)で処理し、次いで、室温まで温めた。12時間後、その反応物を真空中で濃縮して、黄色オイルを得た。フラッシュクロマトグラフィー(NHで不活性化した、10%MeOH/CHCl)で精製すると、白色固形物(413mg、0.92mmol、収率72%)として、生成物が得られた。
【0167】
【化52】

m.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(5−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド塩酸塩
【0168】
【化53】

N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(5−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド(1.01g、2.24mmol)(これは、先の工程で調製した)のCHCN(25mL)溶液を、2.425M HCl/CHCN(2.0mL)で処理した。濾過により生成物(900mg)を集め、そしてEtOAc/MeOHから再結晶して、淡黄色固形物(800mg、1.65mmol、収率74%)として、最終生成物を得た。
【0169】
【化54】

(実施例2)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチルアミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド)
【0170】
【化55】

a.(3−クロロフェニル)ジフルオロ酢酸エチルエステル
【0171】
【化56】

DMSO(5.0mL)中の青銅(2.93g、46.1mmol)の混合物に、アルゴン下にて、室温で、ブロモジフルオロ酢酸エチル(3.2mL、25mmol)を加えた(Sato,K.et al;Chem.Pharm.Bull.47:1013−1016,1999を参照)。1時間撹拌した後、アルゴン下にて、室温で、1−クロロ−3−ヨードベンゼン(2.57mL、20.8mmol)を加えた。3日間振盪した後、その混合物を飽和NHCl(50mL)で希釈し、そしてエーテル(25mL)で抽出した。その二相混合物をセライトのパッドで濾過し、その濾過ケークをエーテル(25mL)で洗浄した。その濾液から有機層を分離し、水層をエーテル(25mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NHCl(2×15mL)およびブライン(15mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮して、透明黄色オイルとして、表題化合物(4.77g、97%)を得た。
【0172】
【化57】

b.2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロアセトアミド
【0173】
【化58】

NHのMeOH(2M、50mL、100mmol)溶液に、(3−クロロフェニル)ジフルオロ酢酸エチルエステル(4.78g、20.4mmol)(これは、先の工程で調製した)を加えた。その均一な黄色溶液を、室温で、13時間置き、次いで、濃縮して、黄色粉末として、3.99g(95%)の表題化合物を得た。
【0174】
【化59】

c.2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチルアミン塩酸塩
【0175】
【化60】

ボランのTHF溶液(1.0M、50mL、50mmol)に、2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロアセトアミド(3.99g、19.4mmol)(これは、先の工程で調製した)を加え、その反応混合物を9時間還流した。室温まで冷却した後、その均一無色反応物を水(2mL)で処理し、続いて、12M HCl(6mL)で処理し、次いで、1時間還流した。この反応物を濃縮し、その残留物に2.5M NaOH(30mL)を吸収させ、そしてエーテル(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮して、暗琥珀色オイルとして、5.08gの不純な遊離アミンを得た。これを無水エーテル(30mL)に溶解し、HCl(エーテル中で1.0M、30mL、30mmol)を一度に加え、得られた沈殿物を無水エーテル(3×15mL)で洗浄し、そして真空乾燥して、淡ベージュ色粉末として、表題化合物(2.96g、67%)を得た。
【0176】
【化61】

d.2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチルアミン
【0177】
【化62】

2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチルアミン塩酸塩(1.65g、7.23mmol)(これは、先の工程で調製した)に2.5M NaOH(4mL)を吸収させ、そしてエーテル(1×8mL、1×4mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、簡単に濃縮して、透明暗褐色オイルとして、1.44g(定量収率)の表題化合物を得た。
【0178】
【化63】

e.2−(6−シアノ−2、3−ジフルオロフェニル)マロン酸ジエチルエステル
【0179】
【化64】

THF(150mL)中のNaH(16.6g、657mmol、無水)の混合物に、30分間にわたって、撹拌しつつ、0〜5℃で、マロン酸ジエチル(104.7g、654mmol)のTHF(120mL)溶液を滴下した。次いで、この半透明混合物に、0〜5℃で撹拌しつつ、直ちに、2,3,4−トリフルオロベンゾニトリル(47.7g、304mmol)のTHF(50mL)溶液を滴下した。次いで、氷浴を取り除き、その混合物を、室温で、4日間撹拌した。次いで、その透明黄色反応物を1M HCl(350mL)で希釈し、pH約2(試験紙)になるまで、4N HClを加え、この混合物を1:1のエーテル/ヘキサン(1×350mL、1×200mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(1×300mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮して、1.35:1のレギオ異性体混合物として、表題化合物(88.1g、98%)を得た。
【0180】
【化65】

f.(6−シアノ−2、3−ジフルオロフェニル)酢酸エチルエステル
【0181】
【化66】

2−(6−シアノ−2、3−ジフルオロフェニル)マロン酸ジエチルエステル(88.1g、296mmol、1.35:1のレギオ異性体混合物)(これは、先の工程で調製した)のDMSO(350mL)および水(6.9mL、383mmol)溶液に、LiCl(13.2g、311mmol)を加えた。その混合物を、120℃で、40分間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。その透明琥珀色溶液を水(1750mL)に注ぎ、そしてエーテル(3×300mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(500mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮した。その残留物ををシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(5:1のヘキサン/EtOAc)にかけると、無色オイルとして、23.26g(2,3,4−トリフルオロベンゾニトリルから2段階で34%)の表題化合物を得た。
【0182】
【化67】

g.{3−[2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチルアミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}酢酸エチルエステル
【0183】
【化68】

DIPEA(1.38mL、7.9mmol)、2−(6−シアノ−2,3−ジフルオロフェニル)マロン酸ジエチルエステル(1.35g、6.00mmol)(これは、先の工程で調製した)およびDMSO(1.7mL)の溶液に、2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチルアミン(1.44g、7.51mmol)(これは、実施例2dで調製した)を加えた。その反応物を、アルゴン下にて、110℃で、69時間撹拌し、次いで、室温まで冷却した。その混合物を飽和NaHCO(15mL)で希釈し、そしてエーテル(2×15mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、そしてそして濃縮した。その残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(3:1のヘキサン/EtOAc)で精製して、黄褐色結晶性固形物として、表題化合物(1.525g、64%)を得た。
【0184】
【化69】

h.N−[2−(N’,N”−ビス(第三級ブトキシカルボニル)アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチルアミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド
【0185】
【化70】

LiOH(水中で1.0M、5.78mL、5.78mmol)、MeOH(5.8mL)およびTHF(11.6mL)の溶液に、{3−[2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチルアミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}酢酸エチルエステル(1.525g、3.85mmol)(これは、先の工程で調製した)を加えた。50℃で1時間撹拌した後、その均一黄色溶液を氷浴で冷却し、そして0〜5℃で撹拌しつつ、0.4M HCl(14.9mL、5.97mmol)を急速に滴下して、pH約2(試験紙)まで酸性化した。その混合物を、直ちに、1:1のヘキサン/EtOAc(40mL)およびEtOAc(20mL)で抽出した。合わせた有機層を2回乾燥し(NaSO)、そして濃縮して、淡ベージュイ色粉末として、遊離酸中間体(1.45g、102%)を得、これを、さらに精製することなく、次の工程に直ちに使用した。
【0186】
1:1のDCM/MeCN(18mL)中のこの遊離酸中間体(1.45g、3.85mmol)、BOP(2.80g、6.33mmol)および[N,N’−ジ(第三級ブトキシカルボニル)]2−アミノエトキシグアニジンのHCl塩(1.61g、4.54mmol)(これは、実施例1dで記述したように、調製した)の混合物に、氷浴で撹拌しつつ、急速な流れで、DIPEA(4.1mL、24mmol)を加えた。この氷浴を直ちに取り除き、その均一黄色溶液を、室温で、8時間撹拌した。この反応物を濃縮し、その残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc 5:6→2:3→1:2)で精製して、白色発泡体として、表題化合物(2.18g、83%)を得た。
【0187】
【化71】

i.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチルアミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド
【0188】
【化72】

N−[2−(N’,N”−ビス(第三級ブトキシカルボニル)アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(3−クロロフェニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド(2.18g、3.26mmol)(これは、先の工程で調製した)に、室温で、TFA(7.5mL、97mmol)およびアニソール(3.0mL、27.6mmol)のDCM(23mL)溶液を加えた。その暗黄色溶液を10時間撹拌し、次いで、濃縮した。その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(気体状NHで飽和したDCM/MeOH;95:5→90:10)にかけて、白色固形物として、1.286g(84%)の表題化合物を得た。
【0189】
【化73】

j.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチルアミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド塩酸塩
【0190】
【化74】

2−{3−[2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチルアミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}−N−(2−アミジノアミノオキシエチル)アセトアミド(1.28g、2.74mmol)(これは、先の工程で調製した)の無水MeCN(38mL)均一淡黄色溶液に、室温で、渦流にしつつ、5つの2mL部分で、無水HCl(MeCN中で0.283M、10.2mL、2.89mmol)を急速に加えた。HCl/MeCNの最後の部分を加えた直後、この溶液を、室温で、15分間にわたって、静置し、得られた結晶を濾過し、そして真空乾燥して、灰白色微結晶として、表題化合物(1.22g、88%)を得た。
【0191】
【化75】

(実施例3)
(N−(3−アミノベンゾ[d]イソキサゾール−6−イルメチル)−2−[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロフェニル]アセトアミド)
【0192】
【化76】

{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(ピリジン−2−イル)エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}酢酸エチルエステル(161mg、0.444mmol)(これは、実施例1jにて、{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(5−mエチルピリジン−2−イル)エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}酢酸エチルエステルについて記述したのと同様にして調製した)を、THF(0.977mL)およびMeOH(0.488mL)に溶解した。室温で撹拌しつつ、LiOH(水中で1.0M、0.488mL、0.488mmol)を加えた。室温で7時間後、LiOH(水中で1.0M、0.300mL、0.300mmol)を追加し、その反応混合物を、50℃で、30分間撹拌した。室温まで冷却した後、pH約1(試験紙)まで、4M HCl(0.236mL、0.944mmol)を加えた。その半透明黄色溶液を濃縮し、その残留物にトルエン(2×2mL)を吸収させ、そしてローターリーエバポレーションに続いて高真空で濃縮して、遊離酸中間体(202mg、約100%)(これには、LiClが混入している)を得、これを、さらに精製または性質決定することなく、次の工程で使用した。
【0193】
DMF(0.6mL)中のこの遊離酸中間体(これには、LiCl(38.1mg、約84μmol)が混入している)、BOP(62mg、140μmol)および6−アミノメチルベンゾ[d]イソキサゾール−3−イルアミン(19.6mg、0.120mmol)(これは、以前に記述されたのとほぼ同様に[Sanderson et al.、WO 00/26210(2000)]、調製した)の混合物に、0〜5℃で撹拌しつつ、急速な流れで、DIPEA(95μL、0.545mmol)を加えた。この氷浴を直ちに取り除き、最初に不動であるペーストは、室温で数分振盪した後、容易に撹拌された白色スラリーとなった。室温で12時間撹拌した後、その混合物を濃縮し、飽和NaHCO(4mL)で希釈し、そしてEtOAc(2×4mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、そして濃縮し、その残留物を9:1の熱EtOAc/MeOHに溶解し、そしてローターリーエバポレーションでシリカゲルに吸着した。フラッシュクロマトグラフィー(9:1のEtOAc/MeOH)にかけると、灰白色粉末として、表題化合物(18.9mg、47%)が得られた。
【0194】
【化77】

上で概説した手順を使用して、以下の実施例を合成した。
【0195】
(実施例4)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミドトリフルオロアセテート)
【0196】
【化78】

実施例1lのクロマトグラフィー溶離液としてMeOH/CHCl(NHなし)で置き換えたこと以外は、実施例1a〜lについて記述したのとほぼ同様にして、調製した。
【0197】
【化79】

(実施例5)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(6−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド)
【0198】
【化80】

実施例1a〜lについて記述したのとほぼ同様にして、調製した。
【0199】
【化81】

a.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(6−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド塩酸塩
【0200】
【化82】

濾過により集めた生成物を再結晶しなかったこと以外は、実施例1mで示したプロトコルを使用して、先の工程で記述したように、N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(6−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミドから調製した。
【0201】
【化83】

1モルの遊離塩基は、1.83molのHClおよび0.41molの水を含有している。
【0202】
(実施例6)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2、2−ジフルオロ−2−(3−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミドトリフルオロアセテート)
【0203】
【化84】

実施例1lのクロマトグラフィー溶離液としてMeOH/CHCl(NHなし)で置き換えたこと以外は、実施例1a〜lについて記述したのとほぼ同様にして、調製した。
【0204】
【化85】

(実施例7)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2、2−ジフルオロ−2−(キノリン−8−イル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド)
【0205】
【化86】

a.2−クロロ−1−キノリン−8−イル−エタノン
【0206】
【化87】

n−BuLiの溶液(28mL、44.0mmol、ヘキサン中で1.6M)に、−78℃で、20分間にわたって、8−ブロモキノリン(8.5g、40.0mmol)のEtO(60mL)溶液を加えた。22分間撹拌した後、12分間にわたって、2−クロロ−N−メトキシ−N−メチルアセトアミド(5.7g、41mmol)のTHF(35mL)溶液を加えた(Tillyer,R.et al;Synlett 225−226,1996;およびDolling,U.H.et al;US 5786515を参照)。3時間後、その反応物を4N HCl(11mL)に注いだ。固形NaHCOを使用して、水相をpH7まで中和し、そしてEtO(2×100mL)で分配した。合わせた有機相をブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮した。SiOクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)で精製すると、黄色固形物(4.2g)として、生成物が得られた。1H NMR(300Hz、CDCl)δ9.0〜8.96(m、1H)、8.26〜8.19(m、2H)、8.04〜8.01(m、1H)、7.68〜7.63(m、1H)、7.52〜7.48(m、1H)、5.37(s、2H)。
【0207】
b.2−アジド−1−キノリン−8−イル−エタノン
【0208】
【化88】

2−クロロ−1−キノリン−8−イル−エタノン(5.85g、28.5mmol)のDMSO(60mL)溶液(これは、この前の工程で調製した)に、NaN(2.2g、33.9mmol)を加えた。2時間後、その反応物をEtOAc(250mL)で希釈し、そしてHO(3×100mL)で洗浄した。その有機相をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮した。SiOクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)で精製すると、淡黄色固形物(4.95g)として、生成物が得られた。1H NMR(300Hz、CDCl)δ9.0〜8.97(m、1H)、8.26〜8.22(m、2H)、8.04〜8.02(m、1H)、7.68〜7.63(m、1H)、7.52〜7.48(m、1H)、5.12(s、2H)。
【0209】
c.8−(2−アジド−1,1−ジフルオロ−エチル)−キノリン
【0210】
【化89】

2−アジド−1−キノリン−8−イル−エタノン(8.79g、41.46mmol)(これは、この前の工程で調製した)のCHCl(21mL)冷却溶液を、4℃で、DAST(12.2mL、91.21mmol)およびTFA(640μL、8.29mmol)で処理した。19時間後、その反応物を、4℃で、NaHCO3(飽和)に滴下した。その水相をEtOAc(100mL)で洗浄し、合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、そして真空中で濃縮した。SiOクロマトグラフィー(5%EtOAc/ヘキサン)で精製すると、黄色オイル(4.94g)が得られた。
【0211】
【化90】

d.2,2−ジフルオロ−2−キノリン−8−イル−エチルアミン
【0212】
【化91】

8−(2−アジド−1,1−ジフルオロ−エチル)−キノリン(3.8g、16.24mmol)のMeOH(20mL)溶液、(これは、この前の工程で調製した)を、10重量%Pd−C(754mg)およびNHHCO(3g)で処理した。45分後、その反応物をセライトのパッドで濾過し、そしてEtOAc(100mL)とNaHCO3(飽和)(100mL)との間で分配した。その有機相をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮して、黄色粘稠オイル(2.7g)として、生成物を得た。
【0213】
【化92】

e.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(キノリン−8−イル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド
【0214】
【化93】

実施例1j〜1lについて記述したのとほぼ同様にして、調製した。
【0215】
【化94】

f.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(キノリン−8−イル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド塩酸塩
【0216】
【化95】

実施例1mで示したプロトコルをほぼ使用して、N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(キノリン−8−イル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド(これは、先の工程で調製した)から調製した。
【0217】
【化96】

(実施例8)
(N−(6−アミノ−2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−2−[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロ−フェニル]−アセトアミド)
【0218】
【化97】

アミンカップリングパートナーとして(5−アミノメチル−6−メチル−ピリジン−2−イル)−カルバミン酸第三級ブチルエステル(Sanderson,P.E.J.et al;J.Med.Chem.41:4466、1998)を使用して、実施例1k〜lについて記述したのとほぼ同様にして、調製した。
【0219】
【化98】

a.N−(6−アミノ−2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−2−[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロ−フェニル]−アセトアミド塩酸塩
【0220】
【化99】

実施例1mで示したプロトコルをほぼ使用して、N−(6−アミノ−2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−2−[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロ−フェニル]−アセトアミド(これは、先の工程で調製した)から調製した。
【0221】
【化100】

(実施例9)
(N−(6−アミノ−ピリジン−3−イルメチル)−2−[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロ−フェニル]−アセトアミド)
【0222】
【化101】

アミンカップリングパートナーして5−アミノメチル−ピリジン−2−イルアミン(Feng、D.−M.et al;J.Med.Chez.40:3726,1997)を使用して、実施例1kについて記述したのとほぼ同様にして、調製した。
【0223】
【化102】

(実施例10)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−ピリジルエチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド)
【0224】
【化102A】

実施例1a〜lについて記述したのとほぼ同様にして、調製した。
【0225】
【化103】

【0226】
【化104】

濾過により集めた生成物を再結晶しなかったこと以外は、実施例1mで示したプロトコルをほぼ使用して、N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−ピリジルエチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド(これは、先の工程で調製した)から調製した。
【0227】
【化105】

(実施例11)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド塩酸塩)
【0228】
【化105A】

実施例2a〜jについて記述したのとほぼ同様にして、調製した。
【0229】
【化106】

(実施例12)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(3−フルオロフェニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド塩酸塩)
【0230】
【化107】

実施例2a〜jについて記述したのとほぼ同様にして、調製した。
【0231】
【化108】

(実施例13)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(3、5−ジフルオロフェニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド)
【0232】
【化109】

実施例2a〜iについて記述したのとほぼ同様にして、調製した。
【0233】
【化110】

a.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(3,4−ジフルオロフェニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド塩酸塩
【0234】
【化111】

実施例2jで示したプロトコルをほぼ使用して、N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(3、4−ジフルオロフェニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド(これは、先の工程で調製した)から調製した。
【0235】
【化112】

(実施例14)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−1−オキシ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}アセトアミド)
【0236】
【化113】

a.メタンスルホン酸2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−エチルエステル
【0237】
【化114】

2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−エタノール(2.82g、16.3mmol)(これは、実施例1fで記述したのとほぼ同様にして、調製した)の無水THF(60mL)溶液に、0℃で、塩化メタンスルホニル(1.52mL、19.6mmol)を加え、続いて、トリエチルアミン(4.54mL、32.6mmol)を加えた。2.5時間後、その反応混合物を氷/水でクエンチした。得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥し、そして蒸発させて、透明オイル(3.7g、97%)として、所望生成物を得た。
【0238】
【化115】

b.2−(2−アジド−1,1−ジフルオロ−エチル)−6−メチル−ピリジン
【0239】
【化116】

メタンスルホン酸2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−エチルエステル(900mg、3.83mmol)(これは、先の工程で調製した)をDMSO(2mol)に溶解した。この溶液に、ナトリウムアジド(498mg、7.65mmol)を加え、その反応混合物を、180℃で、マイクロ波照射下にて、1時間加熱した。この反応混合物を水と酢酸エチルとの間で分配した。合わせた酢酸エチル抽出物をNaSOで乾燥し、そして濃縮して、褐色残留物(700mg、92%)を得た。
【0240】
【化117】

c.2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−ピリジン−3−イル)−エチルアミン
【0241】
【化118】

2−(2−アジド−1,1−ジフルオロ−エチル)−6−メチル−ピリジン(700mg、3.54mmol)(これは、先の工程で調製した)のMeOH(10mL)溶液を、39PsiのH雰囲気下にて、一晩にわたって、10%Pd/C(150mg)で処理した。その反応混合物をセライトのパッドで濾過し、その濾液を蒸発させて、褐色オイル(605mg、99%)として、生成物を得た。H NMR(CDCl)δ7.69(t、J=7.74Hz、1H)、7.46(d、J=7.70Hz、1H)、7.22(d、J=7.81Hz、1H)、3.42(t、J=14.40Hz、2H)、2.58(s、3H);LC/MS(m/z)[M+1]173.2(C11についての計算値、173.1)。
【0242】
d.{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル
【0243】
【化119】

2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−エチルアミン(223.6mg、1.3mmol)(これは、先の工程で調製した)および(6−シアノ−2、3−ジフルオロ−フェニル)−酢酸エチルエステル(225mg、1.0mmol)(これは、実施例2fで調製した)の混合物をDMSO(1.0mL)に溶解し、そして150℃で、マイクロ波照射下にて、1時間加熱した。その反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配した。合わせたEtOAc抽出物をNaSOで乾燥し、そして蒸発させた。その粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン2/1、v/v)で精製して、白色固形物(208mg、初期アミンを基準にした収率42.5%)として、生成物を得た。
【0244】
【化120】

e.{6−シアノ−3−[[2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−エチル]−(2,2,2−トリフルオロ−アセチル)−アミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル
【0245】
【化121】

{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル(119.1mg、0.316mmol)(これは、先の工程で調製した)をCHCl(2mL)に溶解した。この溶液に、0℃で、DIEA(0.066mL、0.379mmol)およびTFAA(0.220mL、1.58mmol)を滴下した。3時間後、その反応混合物をCHClと水との間で分配した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥し、そして蒸発させた。その残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1/1、v/v)で精製して、所望生成物(142mg、95%)を得た。
【0246】
【化122】

f.{6−シアノ−3−[[2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−1−オキシ−ピリジン−2−イル)−エチル]−(2,2,2−トリフルオロ−アセチル)−アミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル
【0247】
【化123】

{6−シアノ−3−[[2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−エチル]−(2,2,2−トリフルオロ−アセチル)−アミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル(141.9mg、0.30mmol)(これは、先の工程で調製した)をCHCl(0.3mL)に溶解した。この溶液に、メチルトリオキソレニウム(Y(6mg、0.013mmol)および30%H水溶液(0.072mL、0.64mmol)を加えた。その反応混合物を、室温で、24時間攪拌し、そして濃縮した。その褐色残留物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 2/1、v/v)で精製して、所望生成物(34mg、23.1%)を得た。
【0248】
【化124】

g.{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−1−オキシ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸
【0249】
【化125】

{6−シアノ−3−[[2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−1−オキシ−ピリジン−2−イル)−エチル]−(2,2,2−トリフルオロ−アセチル)−アミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル(34mg、0.0695mmol)(これは、先の工程で調製した)をMeOH/THF/HO(1.5mL、3:2:1)に溶解し、そしてLiOH一水和物(8.8mg、0.21mmol)で処理した。3時間後、その反応混合物を2N HCl(1.0mL)で中和し、そして真空中で濃縮した。その粗製物質をトルエンで希釈し、そして濃縮して、白色固形物(25.4mg)として、所望生成物を得た。この物質を、さらに精製することなく、次の工程のカップリング反応に使用した。
【0250】
【化126】

h.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−1−オキシ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}アセトアミド
【0251】
【化127】

{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−1−オキシ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロフェニル}−酢酸(25.4mg、0.0695mmol)(これは、先の工程で調製した)、[N,N’−ジ(第三級ブトキシカルボニル)]−2−アミノエトキシグアニジンのHCl塩(34.5mg、0.097mmol)、HOBT(13.8mg、0.09mmol)(これは、実施例1dで調製した)およびHBTU(34.3mg、0.09mmol)を、室温で、無水THF(3mL)に溶解した。DIEA(44.8mg、0.35mmol)を滴下し、その反応混合物を一晩撹拌し続け、次いで、減圧下にて濃縮した。その残留物を酢酸エチルと水との間で分配した。その有機抽出物をNaSOで乾燥し、そして蒸発させて、粗生成物を得た。この粗生成物を、精製することなく、次の工程に使用した。25mL丸底フラスコ中のt−BOC保護前駆体に、0℃で、30%TFA/CHCl(4mL)を加えた。その反応混合物を、室温で、2時間撹拌し、そして有機溶媒を蒸発させた。得られた残留物をNH−飽和CHClで希釈し、濃縮した。その粗生成物をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(NH−飽和10%MeOH/CHCl)で精製して、白色固形物(20mg、収率62%)として、生成物を得た。
【0252】
【化128】

(実施例15)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(5−クロロピリジン−2−イル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド)
【0253】
【化129】

a.2,2−ジフルオロ−2−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−エチルアミン
【0254】
【化130】

2−(2−アジド−1,1−ジフルオロ−エチル)−5−クロロ−ピリジン(1.94g、8.87mmol)(これは、実施例14bで記述したのとほぼ同様にして、調製した)のTHF(30mL)溶液(これは、氷浴で冷却した)に、トリフェニルホスフィンペレット(2.6g、9.76mmol)を加えた。その混合物を、室温で、16時間攪拌した。この混合物に、水酸化アンモニウム溶液(10mL)を加え、続いて、さらに4時間撹拌した。次いで、NaOH溶液(3N、40mL)を加え、その混合物を、40℃で、1時間加熱した。その有機層を分離し、そしてHCl溶液(2N、60mL)で洗浄した。次いで、その水相を4N NaOH溶液で塩基性にし、そしてEtOAcで2回抽出した。溶媒を蒸発させると、淡黄色オイル(1.6g、収率93%)が残った。H NMR(CDCl)δ8.59(d、1H)、7.78(dd、1H)、7.62(d、1H)、3.40(t、2H);LC/MS(m/z)[M+1]193.0(CClFの計算値、192.0)。
【0255】
b.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(5−クロロピリジン−2−イル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド
【0256】
【化131】

実施例1j〜lで記述したのとほぼ同様にして、2,2−ジフルオロ−2−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−エチルアミン(これは、先の工程で調製した)から調製した。
【0257】
【化132】

c.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2、2−ジフルオロ−2−(5−クロロピリジン−2−イル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド塩酸塩
【0258】
【化133】

実施例1mで記述したのとほぼ同様にして、N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2、2−ジフルオロ−2−(5−クロロピリジン−2−イル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド(これは、先の工程で調製した)から調製した。
【0259】
【化134】

(実施例16)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(5−クロロ−1−オキシ−ピリジン−1−イル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド)
【0260】
【化135】

e.{6−シアノ−3−[N−トリフルオロアセチル−2,2−ジフルオロ−2−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル
【0261】
【化136】

無水トリフルオロ酢酸(5.05g、23.9mmol、5×)および{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル(これは、実施例1jで記述したのとほぼ同様にして、調製した)のCHCl(40mL)撹拌溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(914μL、5.26mmol)をゆっくりと加えた。その反応物を、一晩、室温にした。高真空下にて溶媒を蒸発させた。その残留物をCHClに溶解し、そして水で2回洗浄した。その有機層をNaSOで乾燥した。生成物(2.37g、収率100%)をクロマトグラフィー(10〜20%EtOac/ヘキサン)で精製した。
【0262】
【化137】

b.{6−シアノ−3−[N−トリフルオロアセチル−2,2−ジフルオロ−2−(N−オキシド−5−クロロ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル
【0263】
【化138】

{6−シアノ−3−[N−トリフルオロアセチル−2,2−ジフルオロ−2−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル(2.37g、4.8mmol)(これは、先の工程のようにして、調製した)の1,2−ジクロロエタン(5mL)撹拌溶液に、mCPBA(1.55g、6.24mmol、1.3×)および硫化3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル(Kishiのラジカル開始剤、172mg、0.48mmol)を加えた。その混合物を、55℃で、一晩加熱した。この溶液を飽和NaHCO/Na溶液(100mL)に注いだ。その有機層を分離し、その水層をCH2Cl2で逆洗した。合わせた有機層を飽和NaHCOで2回、そしてブラインで1回洗浄し、そしてNaSOで乾燥した。フラッシュクロマトグラフィー(30〜50%EtOAc/ヘキサン)で精製すると、オイル(2g、収率81%)として、生成物が得られた。
【0264】
【化139】

c.{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(N−オキシド−5−クロロ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸
【0265】
【化140】

{6−シアノ−3−[N−トリフルオロアセチル−2,2−ジフルオロ−2−(N−オキシド−5−クロロ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸エチルエステル(2g、3.9mmol)(これは、先の工程で調製した)を、THF(10mL)およびCHOH(10mL)に溶解した。その撹拌溶液に、NaOH溶液(1N、9.8mL、2.5×)を加えた。その混合物を4N HCl溶液で中和し、次いで、EtOAcで抽出した。その有機層をブラインで洗浄し、そしてNaSOで乾燥した。溶媒を蒸発させ、白色固形物(1.5g、収率100%)を、さらに精製することなく、次の工程に使用した。
【0266】
d.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(N−オキシド−5−クロロピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド
【0267】
【化141】

実施例1k〜lについて記述したものとほぼ同じプロトコルを使用して、{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(N−オキシド−5−クロロ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}−酢酸(これは、先の工程で調製した)から調製した。
【0268】
【化142】

e.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(N−オキシド−5−クロロピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド塩酸塩
【0269】
【化143】

実施例2jについて記述したのとほぼ同様に、N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(N−オキシド−5−クロロピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド(これは、先の工程で調製した)から調製した。
【0270】
【化144】

(水ピークの内側に埋もれている、の計算値、遊離塩基の元素分析計算値、実測値)
(実施例17)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(1−オキシ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}アセトアミド)
【0271】
【化145】

実施例1a〜jおよび14e〜hについて記述したのとほぼ同様にして、調製した
【0272】
【化146】

a.N[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(1−オキシ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}アセトアミド塩酸塩
【0273】
【化147】

実施例2jについて記述したものとほぼ同じプロトコルを使用して、N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(1−オキシ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}アセトアミド(これは、先の工程で調製した)から調製した。
【0274】
【化148】

(実施例18)
(N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(2−メタンスルホニルフェニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド)
【0275】
【化149】

a.1−ヨード−2−メタンスルホニルベンゼン
【0276】
【化150】

2−メチルスルホニルアニリン塩酸塩(1.71g、10mmol)および濃HCl(5mL)の氷水(10mL)溶液に、亜硝酸ナトリウム(20mLのHOに溶解した11mmol)を滴下し、その混合物を、0℃で、15分間撹拌した。次いで、KIの水溶液(30mLのHOに溶解した34mmol)を滴下し、その混合物を、室温で、12時間撹拌した。この黒褐色混合物を、そのpHがアルカリ性になるまで、2N NaOH溶液でクエンチした。得られた淡褐色沈殿物を濾過により集め、HOで洗浄し、そして真空乾燥して、所望化合物(1.97g、70%)を得た。
【0277】
【化151】

b.ジフルオロ−(2−メタンスルホニル−フェニル)−酢酸エチルエステル
【0278】
【化152】

Cu(0)(496mg、78mmol)のDMSO(2.5mL)撹拌懸濁液に、室温で、窒素雰囲気下にて、ブロモジフルオロ酢酸エチル(0.5mL、39mmol)を加えた。その反応混合物を、35℃で、30分間撹拌した。次いで、その溶液を室温にし、そして1−ヨード−2−メタンスルホニルベンゼン(1.0g、35mmol)(これは、先の工程で調製した)を加えた。この反応混合物を、35℃で、12時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、そしてEtOAcを使用して、セライトのパッドに通して、リンスした。その濾液を、青色が消失するまで、飽和NHCl(50mL)で洗浄した。次いで、その有機相をブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮して、772mgの粗生成物を得た。その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の20〜40%酢酸エチル)で精製して、所望化合物(264mg、27%)を得た。
【0279】
【化153】

c.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(2−メタンスルホニルフェニル)エチル)
【0280】
【化154】

N−[2−(N’,N”−ビス(第三級ブトキシカルボニル)アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(2−メタンスルホニルフェニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド(34.8mg、0.049mmol)(これは、実施例2hで記述したのとほぼ同様にして、調製した)に3:1のCHCl/TFAの溶液(0.8mL)を加え、その反応混合物を、室温で、3時間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、その残留物をフラッシュクロマトグラフィー(気体状NHで飽和したDCM/MeOH;95:5→90:10)にかけて、白色固形物として、18.4mg(74%)の表題化合物を得た。
【0281】
【化155】

d.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(2−メタンスルホニルフェニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド塩酸塩
【0282】
【化156】

実施例2jについて記述したプロトコルをほぼ使用して、N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(2−メタンスルホニルフェニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド(これは、先の工程で調製した)から調製した。
【0283】
【化157】

(実施例19)
(N−[2−(アミジノ−N−メチル−アミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−ピリジル−エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド)
【0284】
【化158】

a.N−ヒドロキシ−N−メチル−カルバミン酸メチルエステル
【0285】
【化159】

DCM(35mL)中のN−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(5.38g、64.4mmol)およびTEA(9.4mL、68mmol)の氷冷撹拌混合物に、注射器を経由して、クロロギ酸メチル(5.2mL、67mmol)を一度に加えた。0℃で5分間撹拌した後、0℃で撹拌しつつ、追加TEA(9.4mL、68mmol)を迅速に滴下した。次いで、氷浴を取り除き、その白色スラリーを、室温で、4時間振盪した。次いで、それを氷水(100mL)とエーテル(50mL)との間で分配し、その水層をエーテル(1×50mL)で抽出した。この水層を固形NaClで飽和させ、次いで、EtOAc(5×50mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、そして濃縮して、淡黄色オイル(これには、N−メトキシカルボニルオキシ−N−メチルカルバミン酸メチルエステルが混入している(約8mol%))として、5.91gの表題化合物(56.3mmol、87%)を得た。1H NMR(300Hz、CDCl)δ3.78(s、3H)、3.22(s、3H)。LC/MS(m/z)[MH]106(CNOの計算値、106.1)。
【0286】
b.[2−(N−メチル−N−メトキシカルボニル−アミノオキシ)−エチル]−カルバミン酸第三級ブチルエステル
【0287】
【化160】

N−ヒドロキシ−N−メチル−カルバミン酸メチルエステル(5.90g、56.2mmol)(これは、先の工程で調製した)のDMF(130mL)溶液に、0℃で、NaH(1.35g、53mmol)を一度に加えた。その混合物を、室温で、15分間攪拌し、次いで、氷浴で撹拌し、その間、メタンスルホン酸2−第三級ブトキシカルボニルアミノ−エチルエステル(10.38g、43mmol)(Clagett−Dame,M.,et al;Biochim.Biophys.Acta,986:271−280,1989)のDMF(50mL)溶液を一度に加えた。この氷浴を取り除き、その混合物を、室温で、23時間攪拌した。このDMFをローターリーエバポレーションで除去し、その残留物を半飽和NaHCO(100mL)で希釈し、そしてEtOAc(3×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥し(NaSO)、そして濃縮した。その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製すると(3:2のヘキサン/EtOAc)、無色オイル(2.59mmol、収率6%)として、643mgの表題化合物が得られた。
【0288】
【化161】

c.2−(第三級ブトキシカルボニルアミノ)エトキシ−N−メチルアミン
【0289】
【化162】

[2−(N−メチル−N−メトキシカルボニル−アミノオキシ)−エチル]−カルバミン酸第三級ブチルエステル(630mg、2.54mmol)(これは、先の工程で調製した)、KOH(439mg、6.65mmol、15%の水)、DO(2.0mL)の混合物を、90℃で、18時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し(二層が形成された)、そしてDCM(2×10mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥し(2×NaSO)、そして濃縮して、ほぼ無色のオイル(2.15mmol、収率85%)として、408mgの表題化合物(これには、10mol%の出発物質が混入していた)を得た。1H NMR(300Hz、CDCl)δ3.72(t、J=4.9Hz、2H)、3.33(br t、J=4.7Hz、2H)、2.70(s、3H)、1.45(s、9H)。
【0290】
d.[N,N’−ジ(第三級ブトキシカルボニルアミノ)]−2−(第三級ブトキシカルボニルアミノ−エトキシ)−N−メチルアミノグアニジン
【0291】
【化163】

2−(第三級ブトキシカルボニルアミノ)エトキシ−N−メチルアミン(500mg、2.63mmol)(これは、先の工程で調製した)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、[N,N’−ジ(第三級ブトキシカルボニル)]アミジノピラゾール(979mg、3.16mmol)を加え、その混合物を、50℃で、一晩撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、水(10mL)に注ぎ、そして塩化メチレン(2×20mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして真空中で濃縮して、1.48gの粗生成物を得た。その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の20〜40%酢酸エチル)で精製して、所望化合物(723mg、63%)を得た。
【0292】
【化164】

e.2−アミノエトキシ−N−メチルアミノグアニジン
【0293】
【化165】

この[N,N’−ジ(第三級ブトキシカルボニルアミノ)]−2−(第三級ブトキシカルボニルアミノ−エトキシ)−N−メチルアミノグアニジン(723mg、1.67mmol)(これは、先の工程で調製した)に、濃HClを加え、その反応混合物を、室温で、30分間撹拌した。高真空下にて溶媒を蒸発させて、定量収率で、所望生成物を得た。H NMR(300MHz、DO)δ4.09(t、J=5.0Hz、2H)、3.16〜3.21(tの頂部でs、J=5.0Hz、5H)。
【0294】
f.[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸ペンタフルオロフェニルエステル
【0295】
【化166】

[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸のリチウム塩(75mg、0.22mmol)(これは、実施例1kで記述したのとほぼ同様にして、調製した)のN,N−ジメチルホルムアミド(0.250mL)および塩化メチレン(0.750mL)溶液に、ペンタフルオロフェノール(121mg、0.66mmol)、ピリジン塩酸塩(52mg、0.45mmol)、ジメチルアミノピリジン(14mg、0.11mmol)を加え、最後に、ジイソプロピルカルボジイミド(0.038mL、0.24mmol)を加えた。その混合物を、室温で、24時間攪拌した、高真空下にて溶媒を蒸発させ、その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の20〜30%酢酸エチル)で精製して、所望化合物(51mg、50%)を得た。
【0296】
【化167】

g.N−[2−(アミジノ−N−メチル−アミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−ピリジル−エチル)
【0297】
【化168】

[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸ペンタフルオロフェニルエステル(50mg、0.11mmol)(これは、先の工程で調製した)のN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)溶液に、2−アミノエトキシ−N−メチルアミノグアニジン(これは、実施例19について記述したようにして、調製した)およびジイソプロピルエチルアミン(0.075mL、0.43mmol)を加え、その混合物を、室温で、12時間撹拌した。高真空下にて溶媒を蒸発させ、その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(NH3で不活性化した、10%MeOH/CHCl)で精製して、所望化合物(36mg、75%)を得た。
【0298】
【化169】

(実施例20)
(2−[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロフェニル]−N−テトラゾロ[1,5−b]ピリダジン−6−イルメチル−アセトアミド)
【0299】
【化170】

a.テトラゾロ[1,5−b]ピリダジン−6−カルボニトリル
【0300】
【化171】

6−クロロピリダジン−3−カルボニトリル(291mg、2.12mmol)(Szilagyi,G.,et al;European J.Med.Chem.19:111−117,1984)、アジ化ナトリウム(149mg、2.29mmol)およびDMSO(0.9mL)の混合物を、室温で、20分間撹拌し、次いで、水(10mL)で希釈し、そしてEtOAc(3×10mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(1×10mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、その透明ピンク色溶液をシリカプラグ(EtOAc溶離液)に通した。脱色木炭で処理し、濾過し、そしてローターリーエバポレーションで濃縮すると、灰白色固形物(243mg、1.69mmol、収率80%)として、表題化合物が得られた。H−NMR(300MHz、CDCl)δ8.66(d、J=9.3Hz、1H)、7.81(d、J=9.3Hz、1H)。
【0301】
b.C−テトラゾロ[1,5−b]ピリダジン−6−イル−メチルアミン
【0302】
【化172】

10%Pd/C(118mg)、MeOH(8.5mL)および12N HCl(0.54mL)の混合物に、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジン−6−カルボニトリル(228mg、1.58mmol)(これは、先の工程で調製した)を加え、次いで、Parr水素装置にて、40psigで、5時間振盪した。次いで、この混合物をセライトで濾過し、その濾過ケークをMeOH(2×5mL)で洗浄し、そして濃縮して、灰白色固形物(1.29mmol、収率82%、二塩酸塩と想定される)として、255mgの表題化合物の塩酸塩が得られた。この塩の一部を飽和NaCOで中和し、そしてEtOAcで抽出した。その有機層を乾燥し(NaSO)、そして濃縮して、表題化合物(遊離塩基)を得た。H−NMR(300MHz、CDCl)δ8.36(d、9.3Hz、1H)、7.65(d、9.3Hz、1H)、4.27(s、2H)、1.62(br s、水のピークと重なる)。LC/MS(m/z)[M+1]151.0(Cの計算値、150.1)。
【0303】
c.2−[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロ−フェニル]−N−テトラゾロ[1,5−b]ピリダジン−6−イルメチル−アセトアミド
【0304】
【化173】

アミンカップリングパートナーしてC−テトラゾロ[1,5−b]ピリダジン−6−イル−メチルアミン(これは、先の工程で調製した)を使用して、実施例1kについて記述したのとほぼ同様にして、調製した。
【0305】
【化174】

(実施例21)
(錠剤の調製)
以下で説明するようにして、それぞれ、25.0mg、50.0mgおよび100.0mgの以下の活性化合物を含有する錠剤を調製する:
a.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(キノリニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
b.N−(6−アミノ−2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−2−[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロ−フェニル]−アセトアミド;および
c.N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−ピリジルエチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド。
【0306】
【化175】

(25〜100mgの活性化合物を含有する用量の錠剤、量、活性化合物、微結晶セルロース、変性食用コーンスターチ、ステアリン酸マグネシウム)
この活性化合物、セルロースの全部、およびコーンスターチの一部を混合し、そして顆粒化して、10%コーンスターチにした。得られた顆粒を篩い分け、乾燥し、そしてコーンスターチの残りおよびステアリン酸マグネシウムとブレンドする。次いで、得られた顆粒を圧縮して、錠剤(これらは、それぞれ、1個の錠剤あたり、25.0mg、50.0mgおよび100.0mgの活性成分を含有する)にした。
【0307】
(実施例22)
(静脈内溶液製剤)
以下のようにして、実施例1および2の上記活性成分の静脈内剤形を調製する:
【0308】
【化176】

上記量を使用して、この活性化合物を、室温で、塩化ナトリウム、クエン酸およびクエン酸ナトリウムの注射水の予め調製した溶液(USP、United States Pharmacopeia/National Formulary for 1995(これは、United States Pharmacopeial Convention,Inc.,Rockville,Maryland(1994)により出版された)の1636ページを参照)に溶解する。
【0309】
(実施例23)
(精製された酵素のインビトロ阻害)
(試薬)
すべての緩衝塩を、Sigma Chemical Company(St.Louis、MO)から入手し、そしてこれらは利用可能な最大の純度のものであった。酵素基質であるS−2765 (Z−D−Arg−Gly−Arg−p−ニトロアニリド)を、DiaPharma(West Chester、OH)から入手した。N−スクシニル−Ala−Ala−Pro−Arg−p−ニトロアニリド(BACHEM L−1720)を、BACHEM(King of Prussia、PA)から入手した。N−p−トシル−Gly−Pro−Lys−p−ニトロアニリド(Sigma T6140)、N−スクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−p−ニトロアニリド(Sigma S7388)、およびN−CBZ−Val−Gly−Arg−p−ニトロアニリド(Sigma C7271)を、Sigmaから入手し、そしてN−スクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−p−ニトロアニリド(BACHEM L−1770)をBACHEM(King of Prussia、PA)から入手する。
【0310】
ヒトαトロンビンおよびヒト第Xa因子を、Enzyme Research Laboratories(South Bend、Indiana)から入手した。ヒトトリプシンをCalbiochem (La Jollla、CA)から入手した。ヒトプラスミンをEnzyme Research Laboratories(South Bend、Indiana)から入手した。ウシαキモトリプシン(Sigma C4129)およびヒト腎臓細胞ウロキナーゼ(Sigma U5004)をSigmaから入手する。ヒト白血球エラスターゼElastin Products(Pacific、MO)から入手する。
【0311】
(Ki決定)
すべてのアッセイは、試験化合物が、ペプチドp−ニトロアニリド基質の酵素触媒性の加水分解を阻害する能力に基づいている。代表的なKi決定において、基質を、DMSO中で調製し、そしてアッセイ緩衝液(50mM HEPES、pH7.5、200mM NaCl、0.05%n−オクチルβ−D−グルコピラノシドからなる)中に希釈する。この基質の各々の最終濃度を以下に列挙する。概して、基質濃度は、Kについて実験的に決定した値よりも低い。試験化合物を、DMSO中の10mM溶液として調製する。希釈物を、200倍の濃度範囲を包含する7種類の最終濃度を得るようにDMSO中で調製する。酵素溶液を、アッセイ緩衝液中で以下に列挙するような濃度で調製する。
【0312】
代表的なKi決定において、96ウェルプレートの各々のウェル中に、280μlの基質溶液をピペッティングし、10μlの試験化合物溶液をピペッティングし、そしてそのプレートを、15分間にわたり、Molecular Devicesのプレートリーダー中で37℃で熱的に平衡にさせる。反応を、10μlの酵素のアリコートを加えることによって開始させた。そして405nmでの吸光度の増加を15分にわたり記録する。総基質加水分解10%未満に対応するデータを計算に用いた。試験化合物を含まないサンプルについての速度(時間を関数として吸光度における変化率)の比率を、試験化合物を含むサンプルの速度によって除し、そしてこれを試験化合物の濃度の関数としてプロットする。このデータを回帰分析に適合させ、そしてその線の傾斜の値を算出する。傾斜の逆数は、実験的に決定された見かけ上のKi値(Ki app)である。このKiは、このアッセイについて特異的なKi係数を用いてKi appから算出する。ここで、Ki=Ki app×Ki係数またはKi=Ki app×(1/(1+[S]/K))である。
【0313】
(トロンビン)
トロンビン活性を、N−スクシニル−Ala−Ala−Pro−Arg−p−ニトロアニリド(Km=320μM、Ki係数=0.76)を加水分解する能力として評価した。基質溶液を、アッセイ緩衝液中で107μMの濃度で調製した。最終のDMSO濃度は4.3%であった。精製したヒトαトロンビンを、アッセイ緩衝液中に希釈して33nMの濃度とした。最終の試薬濃度は、[トロンビン]=1.1nM、[基質N−スクシニル−Ala−Ala−Pro−Arg−p−ニトロアニリド]=100μMであった。
【0314】
(第X因子[FXa])
FXa活性を、基質S−2765(Z−D−Arg−Gly−Arg−p−ニトロアニリド、Km=260μM、Ki係数=0.72)を加水分解する能力として評価した。基質溶液をアッセイ緩衝液中で107μMの濃度で調製した。最終のDMSO濃度は3.3%であった。精製した活性化ヒト第X因子を、アッセイ緩衝液中に希釈して16nMの濃度とした。最終の試薬濃度は、[FXa]=0.53nM、[S−2765]=100μMであった。
【0315】
(プラスミン)
プラスミンは、N−pトシル−Gly−Pro−Lys−p−ニトロアニリドを加水分解する能力として評価する。基質溶液は、アッセイ緩衝液中で37μM(37μM<<K=243μM)の濃度で調製する。最終のDMSO濃度は、4.3%である。精製したヒトプラスミンは、240nMの濃度でアッセイ緩衝液中に希釈する。最終の試薬濃度は、[プラスミン]=8nM、[N−p−トシル−Gly−Pro−Lys−p−ニトロアニリド]37μMである。
【0316】
(キモトリプシン)
キモトリプシン活性は、N−スクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−p−ニトロアニリドを加水分解する能力として評価する。基質溶液を、アッセイ緩衝液中で14μM(14μM<<K=62μM)の濃度で調製する。最終のDMSO濃度は、4.3%である。精製したウシキモトリプシンは、81nMの濃度でアッセイ緩衝液中に希釈する。最終の試薬濃度は:[キモトリプシン=2.7nM、[N−スクシニル−Ala−Ala−Pro−Phe−p−ニトロアニリド]=14μMである。
【0317】
(トリプシン)
トリプシンは、基質S−2765(Z−D−Arg−Gly−Arg−p−ニトロアニリド、K=61μM、Ki係数=0.50)を加水分解する能力として評価する。基質溶液を、アッセイ緩衝液中で64μMの濃度で調製した。最終のDMSO濃度は3.3%であった。精製したヒトトリプシンを、10nMの濃度でアッセイ緩衝液中に希釈した。最終の試薬濃度は、[トリプシン]=0.33nM、[S−2765]=60μMであった。
【0318】
(エラスターゼ)
エラスターゼ活性は、S−2765(N−スクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−p−ニトロアニリド)を加水分解する能力として評価する。基質溶液を、アッセイ緩衝液中で19μM(19μM<<K=89μM)の濃度で調製する。最終のDMSO濃度は、4.3%である。精製したヒト白血球エラスターゼを、アッセイ緩衝液中に、750nMの濃度で希釈する。最終の試薬濃度は:[エラスターゼ]=25nM、[N−スクシニル−Ala−Ala−Pro−Val−p−ニトロアニリド]=19μMである。
【0319】
(ウロキナーゼ)
ウロキナーゼ活性を、
N−CBZ−Val−Gly−Arg−p−ニトロアニリドを加水分解する能力として評価する。基質溶液を、100μM(100μM<<K=1.2μM)の濃度で調製する。最終のDMSO濃度は4.3%である。精製したヒト腎臓ウロキナーゼは、1.2μMの濃度でアッセイ緩衝液中に希釈する。最終濃度は、[ウロキナーゼ]=40nM、および[N−CBZ−Val−Gly−Arg−p−ニトロアニリド]=100μMであった。
【0320】
これらの結果は、実施例1から実施例20までの化合物が0.0003μMと1.3μMとの間のヒトトロンビンについてのKi値を有することを示す。実施例10の化合物は、0.0011μMのKiを有する。
【0321】
今ここで、本発明を詳細に記述したが、当業者には、本発明およびそれらの任意の実施態様の範囲に影響を与えることなく、広範囲の等価な条件、処方および他のパラメータ内で、同じことが実行できることが理解できるはずである。本明細書中で引用した全ての特許および刊行物の内容は、本明細書中で参考として援用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

またはその溶媒和物、水和物、もしくは薬学的に受容可能な塩であって;ここで:
Wは、RまたはRS(O)であり;
は、

(CHC(R12であって、tは0〜3であり、各R12は同じかもしくは異なり得る、R(CHC(R12
(R)(OR12)CH(CHであって、pが1〜4である、(R)(OR12)CH(CH
(R(OR12)C(CHであって、pが1〜4である、(R(OR12)C(CH
C(R12(CHであって、tが0〜3であり、各R12は、各R12は同じかもしくは異なり得、ここで(R12はまた、CとともにC3〜9シクロアルキルにより表される環を形成し得る、RC(R12(CH
CFC(R12(CHであって、qは0〜2であり、各R12は同じかもしくは異なり得、ここで(R12はまた、CとともにC3〜9シクロアルキルにより表される環を形成し得る、RCFC(R12(CH
CHC(R12(CHであって、qは0〜2であり、各R12は同じかもしくは異なり得、ここで(R12はまた、CとともにC3〜9シクロアルキルにより表される環を形成し得る、RCHC(R12(CH
(RCH(CHであって、ここでrは0〜4であり、各Rは、同じかもしくは異なり得、ここで、(Rはまた、CHとともにC3〜9シクロアルキル、C7〜12二環式アルキル、C10〜16三環式アルキル、または飽和もしくは不飽和であり得、N、OおよびSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の単環式のもしくは二環式のヘテロ環式環により表される環を形成し得る、(RCH(CH
O(CHであって、pは2〜4である、RO(CH
(RCF(CHであって、rは0〜4であり、各Rは同じかもしくは異なり得、ここで(Rはまた、CとともにC3〜9シクロアルキル、C7〜12二環式アルキル、C10〜16三環式アルキル、または飽和もしくは不飽和であり得、N、OおよびSからなる群より選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5〜7員の単環式のヘテロ環式環もしくは二環式のヘテロ環式環により表される環を形成し得る、(RCF(CH
【化2】

ここで、sは0または1であり;あるいは、
CFC(R12
であり;
は、
フェニル、ナフチルもしくはビフェニルであって、その各々は、置換されないか、または1つ以上の、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CF、OCF、COOH、CO21、CONH、CONR2223、SOアルキル、SONH、もしくはSONR2223で置換される、フェニル、ナフチルもしくはビフェニル、
飽和または不飽和であり得る5〜7員の単環式のヘテロ環式環もしくはヘテロアリール環または9〜10員の二環式のヘテロ環式環もしくはヘテロアリール環であって、該へテロ環式環または該へテロアリール環は、N、OおよびSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子は、必要に応じて酸化され、そして該へテロ環式環または該へテロアリール環は置換されないか、または1つ以上のC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CF、OCF、COOH、CO21、CONH、CONR2223、SOアルキル、SONH、もしくはSONR2223で置換される、へテロ環式環またはヘテロアリール環、
3〜9シクロアルキルであって、該C3〜9シクロアルキルは、置換されないか、または1つ以上のC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CF、OCF、COOH、CO21、CONH、CONR2223、SOアルキル、SONH、もしくはSONR2223で置換される、C3〜9シクロアルキル、あるいは、
7〜12二環式アルキルであって、該C7〜12二環式アルキルは置換されないか、または1つ以上のC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CF、OCF、COOH、CO21、CONH、CONR2223、SOアルキル、SONH、もしくはSONR2223で置換される、C7〜12二環式アルキル、
であり;
Yは、−NH−またはOであり;
は、水素、ハロゲンまたはOHであり;
およびRは、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、ニトロ、−CO、−CHORまたは−ORであり、ここで各例において、Rは、独立して水素またはC1〜6アルキルのうちの1つであり;
は、シアノまたはアセチレニルであり;
11は、水素、ハロゲンまたはアルキルであり;
12は、
水素もしくはハロゲン、
非置換の、もしくは1つ以上のヒドロキシで置換されたC1〜6アルキル、
COOH、アミノ、もしくはハロゲン、
CF
であり;
21は、C1〜8アルキル、C1〜8シクロアルキル、C1〜8アルキルエーテルまたはC1〜8シクロアルキルエーテルであり;
22およびR23は、独立して水素、C1〜8アルキル、C1〜8シクロアルキル、C1〜8アルキルエーテルもしくはC1〜8シクロアルキルエーテルであるか、またはこれらが結合する窒素原子と一緒になって、R22およびR23は、必要に応じて窒素もしくは酸素より選択される0〜2個のさらなるヘテロ原子を有する3〜9員の飽和環を形成し;
Bは、以下:
【化3】

からなる群より選択され;
ここで、
、R、RおよびR10は、独立して水素またはアルキルであり;
Xは、−O−、−NR18−もしくは−CH=N−であり(Nは、NR13に結合される)、R18は水素もしくはアルキルであり、該アルキルは、必要に応じて、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アシルアミノ、シアノもしくはトリフルオロメチルで置換され;
、RおよびRは、独立して水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシカルボニルオキシ、シアノもしくは−COであり、
は、C1〜12アルキル、C3〜9シクロアルキル、C6〜14アリール、C6〜14ar(C1〜12)アルキル、
【化4】

であり、
およびRは、独立して水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、もしくはC6〜14アリールであり、Rは、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニルもしくはC6〜14アリールであり、Rは、水素、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニルもしくはC6〜14アリールであり、そしてRは、C6〜14ar(C1〜12)アルキルもしくはC1〜12アルキルであり;
nは0〜2であり;
mは0〜2であり;
13は水素もしくはアルキルであり;
14およびR15は、独立して水素、アルキル、シクロアルキル、ハロゲンもしくはアルコキシであり;
16およびR17は、独立して水素、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノもしくは−COであり、Rは、C1〜12アルキル、C3〜9シクロアルキル、C6〜14アリール、C6〜14ar(C1〜12)アルキル、ハロ(C1〜12)アルキルもしくは:
【化5】

であり、
、RおよびRは、独立して水素もしくはC1〜12アルキルであり;そして、
Aは、飽和または不飽和であり得る9〜10員の二環式のヘテロ環式環もしくはヘテロアリール環であり、
該へテロ環式環もしくはヘテロアリール環は、N、O、およびSからなる群より選択される3〜5個のヘテロ原子を含み、ならびに、必要に応じて1つ以上のハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、もしくは−NR1920で置換され、R19およびR20は、独立して水素もしくはC1〜4アルキルであるか、
あるいは、該へテロ環式環もしくはヘテロアリール環は、Nから選択される1〜2個のヘテロ原子を含み、ならびに−NR1920で一置換され、R19およびR20は、独立して水素またはC1〜4アルキルであり、
あるいは、該へテロ環式環もしくはヘテロアリール環はN、OおよびSからなる群より選択される1〜2個のヘテロ原子を含み、該ヘテロ原子の1つは、OもしくはSのどちらかでなければならず、ならびに、必要に応じて1つ以上のハロゲン、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、もしくは−NR1920で置換され、R19およびR20は、独立して水素またはC1〜4アルキルである、
化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、Rは、
フェニル、ナフチル、またはビフェニルであって、その各々は、置換されていないか、または1つ以上のC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、CF、OCF、COOH、CONH、もしくはSONHで置換されている、フェニル、ナフチルもしくはビフェニル、
飽和または不飽和であり得る5〜7員の単環式のヘテロ環式環もしくはヘテロアリール環または9〜10員の二環式のヘテロ環式環もしくはヘテロアリール環であって、該ヘテロ環式環または該ヘテロアリール環は、N、OおよびSからなる群より選択される1〜4個のヘテロ原子を含み、そして、必要に応じてハロゲン、ヒドロキシ、またはアルキルで置換される、ヘテロ環式環もしくはヘテロアリール環、
飽和もしくは不飽和であり得るC3〜9シクロアルキル、あるいは、
飽和もしくは不飽和であり得るC7〜12二環式アルキル、
である、化合物。
【請求項3】
が水素またはハロゲンであり、そしてR11が水素またはアルキルである、請求項1〜2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物であって、
は、ハロゲンであり;
およびRは、独立して、水素、ハロゲンもしくはC1〜6アルキルであり;
11は、水素もしくはC1〜6アルキルであり;
、R、RおよびR10は、独立して水素もしくはC1〜6アルキルであり;
18は、水素、または必要に応じてアミノ、モノ(C1〜6)アルキルアミノ、ジ(C1〜6)アルキルアミノ、C1〜8アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシ、C1〜8アルコキシカルボニル、C6〜14アリールオキシカルボニル、C6〜14ar(C1〜20)アルコキシカルボニル、アシルアミノ、シアノもしくはトリフルオロメチルで置換されたC1〜6アルキルであり、
、RおよびRは、独立して水素もしくはC1〜6アルキルであり;
13は、水素もしくはC1〜6アルキルであり;
14およびR15は、独立して水素もしくはC1〜6アルキルであり;そして、
16およびR17は、独立して、水素もしくはC1〜6アルキルである、
化合物。
【請求項5】
Bが:
【化6】

である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
XがOである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Bが:
【化7】

である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
16およびR17は水素である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
Bが:
【化8】

である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Aは、3−アミノベンズイソオキサゾリルまたはベンゾテトラゾリルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物であって、ここで:
WはRであり、
は、RCFC(R12(CHであり;
は、アリール、ピリジル、またはキノリニルであり、その各々は、必要に応じてハロゲンもしくはアルキルで置換され;
12は水素であり;そして、
qは0である、
化合物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物であって、ここで:
Wは、Rであり;
は、RCFC(R12(CHであり;
は、アリール、ピリジル、ピリジル−N−オキシド、キノリニルもしくはキノリニル−N−オキシドであり、そのいずれも、必要に応じてハロゲン、アルキルもしくはSOアルキルで置換され;
12は水素であり;そして、
qは0である、
化合物。
【請求項13】
はハロゲンである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
はクロロまたはフルオロである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
はフルオロであるが、RおよびRは水素である、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
11は水素である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
、R、RおよびR13は各々水素である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
、R、RおよびR10の各々が、水素である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
はシアノである、請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
はハロゲンである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
はフルオロであるが、Rは水素またはフルオロであり、Rは水素である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
請求項1に記載の化合物であって、以下:
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[2,2−ジフルオロ−2−(5−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[2−(3−クロロフェニル)−2,2−ジフルオロエチルアミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−(3−アミノベンゾ[d]イソオキサゾル−6−イルメチル)−2−[6−シアノー3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロフェニル]アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[2,2−ジフルオロ−2−(6−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[2,2−ジフルオロ−2−(3−メチルピリジル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[2,2−ジフルオロ−2−(キノリン−8−イル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−(6−アミノ−2−メチル−ピリジン−3−イルメチル)−2−[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロ−フェニル]アセトアミド;
N−(6−アミノ−ピリジン−3−イルメチル)−2−[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロ−フェニル]アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−ピリジルエチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−フェニルエチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(3−フルオロフェニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(3,4−ジフルオロフェニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{6−シアノ−3−[(2,2−ジフルオロ−2−(6−メチル−1−オキシ−ピリジン−2−イル)−エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(5−クロロ−ピリジン−2−イル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(5−クロロ−1−オキシ−ピリジン−1−イル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{6−シアノ−3−[2,2−ジフルオロ−2−(1−オキシ−ピリジン−2−イル)エチルアミノ]−2−フルオロ−フェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノアミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−(2−メタンスルホニルフェニル)エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
N−[2−(アミジノ−N−メチル−アミノオキシ)エチル]−2−{3−[(2,2−ジフルオロ−2−ピリジル−エチル)アミノ]−6−シアノ−2−フルオロフェニル}アセトアミド;
2−[6−シアノ−3−(2,2−ジフルオロ−2−ピリジン−2−イル−エチルアミノ)−2−フルオロフェニル]−N−テトラゾロ[1,5−b]ピリダジン−6−イルメチル−アセトアミド;
のうちの1つであるか、またはその溶媒和物、水和物もしくは薬学的に受容可能な塩である、
化合物。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物、および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項24】
抗凝固剤、抗血小板剤、血栓溶解剤のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
前記化合物が、約0.1mg〜約500mgの間の量で存在する、請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
異常タンパク質分解、血栓症、虚血、脳卒中、再狭窄、または炎症を阻止するかあるいは処置することが必要な哺乳動物において異常タンパク質分解、血栓症、虚血、脳卒中、再狭窄、または炎症を阻止するかあるいは処置する方法であって、該方法は、有効量の請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項27】
トロンビン産生またはトロンビン作用のどちらかに関連する、静脈異常、動脈血栓症により特徴付けられた状態を処置または予防することが必要な哺乳動物において、トロンビン産生またはトロンビン作用のどちらかに関連する、静脈異常、動脈血栓症により特徴付けられた状態を処置または予防するための方法であって、請求項23の組成物を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項28】
血液収集、血液保管、または血液循環に使用するための医療デバイスであって、該医療デバイスに包埋されるかまたは物理的に結合された請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物を含む、医療デバイス。
【請求項29】
タンパク質分解酵素の作用を阻害する方法であって、該酵素を請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物と接触させる工程を包含する、方法。
【請求項30】
前記酵素が、白血球好中球性エラスターゼ、キモトリプシン、トリプリシン、ウロキナーゼ、プラスミノーゲン活性化因子、膵エラスターゼ、カテプシンG、トロンビンまたは第Xa因子である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
経口投与に適応された、請求項23に記載の薬学的組成物。
【請求項32】
哺乳動物において、異常タンパク質分解、血栓症、虚血、脳卒中、再狭窄または炎症を処置するための医薬を製造するための、請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項33】
哺乳動物において、トロンビン産生またはトロンビン作用のどちらかに関連する、静脈異常、または動脈血栓症、により特徴付けられる状態の処置または予防のための医薬の製造のための請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項34】
タンパク質分解酵素の作用を阻害するための医薬の製造のための請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項35】
前記酵素が、白血球好中球性エラスターゼ、キモトリプシン、トリプリシン、ウロキナーゼ、プラスミノーゲン活性化因子、膵エラスターゼ、カテプシンG、トロンビンまたは第Xa因子である、請求項34に記載の方法。

【公表番号】特表2006−522809(P2006−522809A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509582(P2006−509582)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/010034
【国際公開番号】WO2004/091613
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(500216167)3−ディメンショナル ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】