説明

置換1−ピペリジン−3−イル−4−ピペリジン−4−イル−ピペラジン誘導体およびそれらのニューロキニン拮抗薬としての使用

本発明はニューロキニン拮抗作用、特にNK拮抗作用、NK/NK組み合わせ拮抗作用およびNK/NK/NK組み合わせ拮抗作用を有する置換1−ピペリジン−3−イル−4−ピペリジン−4−イル−ピペラジン誘導体、それらの製造、それらを含有させた組成物、そしてそれらを薬剤、特に統合失調症、嘔吐、不安および鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、日周期の乱れ、内蔵痛、神経炎症、喘息、排尿障害、例えば尿失禁などおよび痛覚などを治療するための薬剤として用いることに関する。本発明に従う化合物は一般式(I)
【化1】


で描写可能であり、これには、また、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグも含まれ、ここで、あらゆる置換基は請求項1に定義する如きである。本発明に従う化合物は、ニューロキニン受容体を阻害することでタキキニンの作用に拮抗作用を及ぼし、特にNK、NKおよびNK受容体を阻害することでサブスタンスP、ニューロキニンAおよびニューロキニンBの作用に拮抗作用を及ぼす能力を有することを鑑み、薬剤、特にタキキニン媒介状態、例えばCNS疾患、特に統合失調性感情障害、鬱病、不安症、ストレス関連の不調、睡眠障害、認識力障害、人格障害、摂食障害、神経変性病、依存症、気分障害、性機能障害、痛みおよび他のCNS関連状態;炎症;アレルギー性疾患;嘔吐;胃腸疾患、特に過敏性腸症候群(IBS);皮膚疾患;血管痙攣;線維症および膠原病;免疫増強または抑圧に関連した疾患およびリュウマチ性疾患などの予防および治療処置および体重管理で用いるに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はニューロキニン拮抗作用、特にNK拮抗作用、NK/NK組み合わせ拮抗作用およびNK/NK/NK組み合わせ拮抗作用を有する置換1−ピペリジン−3−イル−4−ピペリジン−4−イル−ピペラジン誘導体、それらの製造、それらを含有させた組成物、そしてそれらを薬剤、特に統合失調症、嘔吐、不安および鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、日周期の乱れ、内蔵痛、神経炎症、喘息、排尿障害、例えば尿失禁などおよび痛覚などを治療するための薬剤として用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
タキキニンは哺乳動物の中枢および抹消神経系に幅広く分布している短ペプチドのファミリーに属する(非特許文献1、2、3、4)。それらは共通のC末端配列Phe−Xaa−Gly−Leu−Met−NHを共有している。抹消感覚神経末端部から放出されるタキキニンが神経炎症に関与すると考えられている。脊髄/中枢神経系では、タキキニンが痛みの伝達/知覚およびある種の自律反射および行動である役割を果たしている可能性がある。主要な3種類のタキキニンはサブスタンスP(SP)、ニューロキニンA(NK)およびニューロキニンB(NK)であり、それらは個々別々の3種類の受容体サブタイプ(それぞれNK、NKおよびNKと呼ばれる)に優先的親和性を示す。しかしながら、クローン化受容体に関する機能的研究は、その3種類のタキキニンとそれらの相当する受容体の間に強力な機能的異種相互作用が存在することを示唆している(非特許文献5)。
【0003】
NK受容体の構造に種差が存在することがNK拮抗薬が示す効力に種に関連した差があることの一因になっている(非特許文献3、6)。ヒトNK受容体はモルモットおよびアレチネズミのNK受容体に非常に類似しているが、齧歯類のNK受容体とは顕著に異なる。ニューロキニン拮抗薬が開発されたことで今日までに一連のペプチド化合物がもたらされはしたが、それらは代謝的にあまりにも不安定であることから薬学的に活性のある物質として用いるのは不可能であると考えられ得る(非特許文献7)。
【0004】
タキキニンは統合失調症、鬱病、(ストレス関連)不安状態、嘔吐、炎症反応、平滑筋収縮および痛み知覚に関与している。嘔吐、不安および鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、日周期の乱れ、内蔵痛、神経炎症、喘息、排尿障害および痛覚などの如き徴候のためのニューロキニン拮抗薬が開発下にある。特に、NK拮抗薬は嘔吐および鬱病に高い治療効力を有し、そしてNK拮抗薬は喘息の治療に高い治療効力を有する。NK拮抗薬は痛み/炎症の治療(非特許文献8)および統合失調症の治療である役割を果たすと思われる。
統合失調症
NK拮抗薬であるSR142801(Sanofi)が統合失調症患者に否定的な症状を与えることなく抗精神病活性を示すことが最近示された(非特許文献9)。NK受容体の活性化は不安の原因になり、ストレスの多い出来事によって血漿のサブスタンスP(SP)濃度が高くなり、NK拮抗薬はいくつかの動物モデルで不安を緩解すると報告されている。MerckのNK拮抗薬であるMK−869はひどい鬱症状に抗鬱効果を示すが、プラセボ反応率が高いことが理由でデータは決定的ではなかった。その上、Glaxo−WelcomのNK拮抗薬である(S)−GR205,171は前頭葉の中で起こるドーパミン放出を向上させるが、線条体の中では向上させないことも示された(非特許文献10)。従って、NK拮抗薬をNK拮抗薬と組み合わせると統合失調症の肯定的および否定的両方の症状に対して有益であろうと言った仮説が存在する。
不安および鬱病
鬱病は現代社会の最も一般的な情動障害の1つであり、特に人口の中の若年層患者の数が多くかつ更に増えている。ひどい鬱病(MDD、DSM−IV)の生涯罹病率は現在女性では10−25%で男性では5−12%であると推定されており、それによって、患者の約25%が生涯MDDを再発し、症状が発現する間で完全な回復は示さずかつ気分変調性障害を併発する。鬱病と他の精神障害を一緒に発症する率が高く、特に薬物およびアルコール依存症を高い度合で伴う若年層では一緒に発症する率が高い。鬱病は主に年齢が18−44歳の間の人、例えば最も生産性のある人に影響を与えることを考慮すると、それは個人、家族および社会全体に高い負担を強いるのは明らかである。
【0005】
あらゆる治療可能性の中で、抗鬱薬を用いた治療が明白に最も有効である。最近の40年間の間に抗鬱薬が多数開発されて市場に導入された。それにも拘らず、現在の抗鬱薬はいずれも理想的な薬剤の判断基準(治療および予防効力が高く、作用の発現が迅速であり、短期および長期の安全性が完全に満足され、薬物動態が簡潔で好ましいこと)の全部を満足させないか、或はあらゆるグループおよびサブグループの鬱病患者で用いることをある様式または他の様式で制限する副作用を有する。
【0006】
鬱病の原因を治療する方法は現在のところ全く存在せずかつ緊急ではないと思われておりかつ患者の60−70%以上に有効な抗鬱薬は存在しないことから、入手可能な薬剤の欠点のいずれかを克服し得る新規な抗鬱薬を開発することは正当化される。
【0007】
いくつかの発見によってストレスに関連した不安状態にSPが関与していることが分かっている。SPを中枢に注入すると古典的な「闘争または躍動」反応に類似した心臓血管反応が誘発されるが、それは生理学的に骨格筋の中で起こる血管拡張そして腸間膜および腎臓の血流低下で特徴づけられる。そのような心臓血管反応は、齧歯類に有害な刺激またはストレスを与えた時に行動的反応が観察されることを伴う(非特許文献11)。マウスの中枢にNK作動薬および拮抗薬を投与するとそれぞれ不安の発現(anxiogenec)および不安の緩解が起こる(非特許文献12)。NK拮抗薬がSP(または電気ショック)によって誘発させた動悸を抑制する能力を有すること(非特許文献13)はそれが抗鬱/抗不安活性を有することに相当している可能性がある、と言うのは、アレチネズミにおける動悸は同種に対する警戒または警告シグナルとしてある役割を果たすからである。
【0008】
NK受容体は脳の辺縁系および恐怖処理経路(扁桃、海馬、中隔、視床下部および中脳水道周囲灰白質を包含)の全体に渡って幅広く分布している。加うるに、外傷性または有害な刺激に反応してサブスタンスPが中枢に放出されそしてサブスタンスP関連神経伝達が不安、恐怖および情緒障害(情動障害、例えば鬱病および不安などを伴う)の一因になっているか或はそれらに関与している可能性がある。そのような考えの裏付けで、ストレスの多い刺激に反応して個々の脳領域の中のサブスタンスPの含有量が変化することを観察することができる(非特許文献14)。
【0009】
サブスタンスPの類似物(作動薬)を中枢に注入すると、ある範囲の防御行動および心臓血管変化が誘発され、それには、条件付き場所嫌悪(非特許文献15)、相乗的音驚愕反応(非特許文献16)、苦悩発声、逃避行動(非特許文献17)および高所十字形迷路(elevated plus maze)における不安(非特許文献18)が含まれる。そのような化合物はロータロッド装置に関するモーターパフォーマンス(motor performance)およびコーディネーション(co−ordination)を変えることもアクティビティーケージ(activity cage)における歩行を変えることもなかった。公知抗不安薬および抗鬱薬の投与に反応してサブスタンスP生合成のダウンレギュレーションが起こる(非特許文献19、20)。モルモットの中枢にNK作動薬を投与して誘発させた発声反応も同様に抗鬱薬、例えばイミプラミンおよびフルオキセチンばかりでなくNK拮抗薬であるL−733,060によって拮抗作用を受け得る。このような研究は、中枢性NK受容体を阻害すると精神的ストレスが現在の薬剤が示す副作用無しに抗鬱および抗不安に類似した様式で抑制される可能性があることを示す証拠を与えている(非特許文献21)。
嘔吐
癌の化学療法の最も悲惨な副作用はとりわけ吐き気および嘔吐である。それによって生活の質が低下しかつそれは患者が効力のある治療薬の服用を遅らせるか或は拒絶する原因になり得る(非特許文献22)。嘔吐が起こる率、強さおよびパターンはいろいろな要因、例えば化学治療薬、投薬量および投与経路などで決まる。初期または急性嘔吐は典型的に化学治療薬を投与してから最初の4時間以内に始まり、4時間から10時間の間に頂点に到達した後、12から24時間で軽減する。「嘔吐活性が最も高い」化学治療薬が用いられた時に遅発性嘔吐(化学療法を行ってから24時間後に始まりそして3−5日間継続する)が観察される(非特許文献23に従いレベル4および5)。そのように「嘔吐活性が高い」抗癌治療(シスプラチンを包含)をヒトに対して行うと癌患者の>98%に急性嘔吐が誘発されそして60−90%に遅発性嘔吐が誘発される。
【0010】
化学療法の動物モデル、例えばフェレットに嘔吐をシスプラチンで誘発させるモデル(非特許文献24、25)によって、5−HT受容体拮抗薬が臨床的に効力があることが成功裏に予測された。そのような発見によって癌患者に化学療法によって誘発されかつ放射線によって誘発される吐き気を治療するに有効な治療がもたらされはしたが、5−HT拮抗薬、例えばオンダンセトロン(ondansetron)およびグラニセトロン(granisetron)(デキサメタゾンに関連しているか或は関連していない)などは急性嘔吐段階(最初の24時間)の制御には有効であるが、遅発性嘔吐の発症(>24時間)を軽減し得るとしても効力が劣る(非特許文献26、27)。急性および遅発性両方の嘔吐の予防に現時点で最も有効な治療を施したとしても患者の50%が遅発性嘔吐および/または吐き気に苦しんでいる(非特許文献28)。
【0011】
5−HT拮抗薬とは対照的に、現在、NK拮抗薬、例えばCP−99,994(非特許文献29)およびアプレピタント(aprepitant)(またMK−869またはL−754,030としても知られる)(非特許文献30、31)などは動物にシスプラチンによって誘発させた嘔吐の急性段階ばかりでなく遅発性段階も抑制することが分かっている(非特許文献32、33)。また、NK拮抗薬がヒトの「遅発性」嘔吐を付随的治療の存在なしで軽減することも示された(非特許文献34、35)。その上、NK拮抗薬(例えばMK−869およびCJ−11,974、またエズロピタントとしても知られる)をデキサメタゾンおよび5−HT拮抗薬と一緒に投与すると急性嘔吐の予防で追加的効果がもたらされることも示された(非特許文献36、37)。
【0012】
中枢性ニューロキニンNK受容体が嘔吐の制限で主要な役割を果たしている。NK拮抗薬は幅広く多様な嘔吐刺激に対して活性を示す(非特許文献38、39、40)。そのような化合物は孤束核の中の中枢性NK受容体を阻害することで作用すると思われている。従って、そのような化合物が抗嘔吐活性を示すにはNK拮抗作用以外にCNSに侵入することが必須条件である。NK拮抗薬が示す抗嘔吐活性を迅速かつ信頼できる様式で選別するモデルとしてフェレットにロペラミドによって誘発させる嘔吐を用いることができる。シスプラチンによって誘発される嘔吐の急性および遅発性両方の段階の治療でそれらが治療的に価値有ることのさらなる評価が、確立されたフェレットモデルでも示された(非特許文献41)。そのようなモデルを用いてシスプラチン投与後の「急性」および「遅発性」両方の嘔吐が研究され、それは5−HT受容体拮抗薬であるグルココルチコイド(非特許文献42)および他の薬理学的チャレンジに対して敏感であると言った意味で有効であることが確認された。将来の如何なる抗嘔吐薬も「急性」および「遅発性」両方の段階の嘔吐を成功裏に治療しない限り臨床的に受け入れられる可能性は低い。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)にかかっている患者は生活の質の悪化を経験し、より良好な「解決法」(検査または外科手術さえ不必要に繰り返すことを包含)を求めることから、医療源を広範に利用する。そのような患者が苦しんでいる疾患は「良性」(言い換えれば、彼らは決して死ぬことも重大な合併症を発症することもない)ではあるが、それにも拘らず、医療源を広範に利用しかつ仕事を休むことで経済的負担が大きい。
【0013】
NK受容体が内蔵痛で果たす役割に関する臨床前出版物がかなりの数で出版されている。いろいろなグループが動物モデルとしてNK受容体不活化マウスを用いかつNK拮抗薬を用いることでNK受容体が痛覚過敏および内蔵痛で重要な役割を果たしていることを立証した。NK受容体およびサブスタンスPの分布は体性痛よりもむしろ内蔵痛で主要な役割を果たすに好都合である。実際、内蔵一次求心系の80%以上がサブスタンスPを含有しており、それに対比して皮膚求心系は25%のみである。NK受容体はまた胃腸運動性にも関与している(非特許文献43、44)。そのようにNK拮抗薬は胃腸運動性および痛覚の両方の二重役割を果たすことから、IBS患者の症状の軽減に効力を有すると考えている。
(背景の従来技術)
1−ピペリジン−4−イル−ピペラジニル部分を含有する化合物をサブスタンスPの拮抗薬として用いることが特許文献1に公開され、それらがニューロキニン拮抗薬として特に有利であることが特許文献2に公開され(より具体的には4−ピペラジン−1−イル−ピペリジン−1−カルボン酸アミド誘導体が開示され)、日周期系(circadian timing system)に影響を与えるサブスタンスP拮抗薬として用いることが特許文献3に公開され、そしてニューロキニン−1拮抗薬として用いることが特許文献4に公開された。
【0014】
本発明の化合物は、ピペラジニル部分の置換部分が置換ピペリジニル部分であるばかりでなく経口および中枢的に活性を示す効力のあるニューロキニン拮抗薬として向上した能力を有することに加えて治療的価値、特に統合失調症、嘔吐、不安および鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、日周期の乱れ、内蔵痛、神経炎症、喘息、排尿障害、例えば尿失禁などおよび痛覚の治療で価値が有る点で従来技術の化合物とは異なる。
【特許文献1】WO 97/16440−A1、Janssen Pharmaceutical(N.V.)が1997年5月9日に公開
【特許文献2】WO 02/32867、Glaxo Group Ltd.が2002年4月25日に公開
【特許文献3】WO 01/30348−A1、Janssen Pharmaceutical(N.V.)が2001年5月3日に公開
【特許文献4】WO 02/062784−A1、Hoffmann−La Roche AGが2002年8月15日に公開
【非特許文献1】BertrandおよびGeppetti、Trends Pharmacol.Sci.17:255−259(1996)
【非特許文献2】Lundberg、Can.J.Physiol.Pharmacol.73:908−914(1995)
【非特許文献3】Maggi、Gen.Pharmacol.26:911−944(1995)
【非特許文献4】Regoli他、Pharmacol.Rev.46(1994)
【非特許文献5】MaggiおよびSchwartz、Trends Pharmacol.Sci.18:351−355(1997)
【非特許文献6】Regoli他、Pharmacol.Rev.46(4):551−599(1994)
【非特許文献7】Longmore J.他、DN&P 8(1):5−23(1995)
【非特許文献8】Giardin,G.他、Exp.Opin.Ther.Patents、10(6):939−960(2000)
【非特許文献9】Arvantis,L.、ACNP Meeting、2001年12月
【非特許文献10】Lejeune他、Soc.Neurosci.、2001年11月
【非特許文献11】CulmanおよびUnger、Can.J.Physiol.Pharmacol.73:885−891(1995)
【非特許文献12】Teixeira他、Eur.J.Pharmacol.311:7−14(1996)
【非特許文献13】Ballard他、Trends Pharmacol.Sci.17:255−259(2001)
【非特許文献14】Brodin他、Neuropeptides 26:253−260(1994)
【非特許文献15】Elliott、Exp.Brain.Res.73:354−356(1988)
【非特許文献16】Krase他、Behav.Brain.Res.63:81−88(1994)
【非特許文献17】Kramer他、Science 281:1640−1645(1998)
【非特許文献18】AguiarおよびBrandao、Physiol.Behav.60:1183−1186(1996)
【非特許文献19】Brodin他、Neuropeptides 26:253−260(1994)
【非特許文献20】Shirayama他、Brain.Res.739:70−78(1996)
【非特許文献21】RupniakおよびKramer、Trends Pharmacol.Sci.20:1−12(1999)
【非特許文献22】Kris他、J.Clin.Oncol.、3:1379−1384(1985)
【非特許文献23】Hesketh他、J.Clin.Oncol.、15:103(1997)
【非特許文献24】RuddおよびNaylor、Neuropharmacology 33:1607−1608(1994)
【非特許文献25】NaylorおよびRudd、Cancer.Surv.21:117−135(1996)
【非特許文献26】DeMulder他、Annuals of Internal Medicine 113:834−840(1990)
【非特許文献27】Roila、Oncology 50:163−167(1993)
【非特許文献28】Antiemetic Subcommittee、Annals Oncol.9:811−819(1998)
【非特許文献29】Piedimonte他、L.Pharmacol.Exp.Ther.266:270−273(1993)
【非特許文献30】Kramer他、Science 281:1640−1645(1998)
【非特許文献31】RupniakおよびKramer、Trends Pharmacol.Sci.20:1−12(1999)
【非特許文献32】Rudd他、Br.J.Pharmacol.119:931−936(1996)
【非特許文献33】Tattersall他、Neuropharmacology 39:652−663(2000)
【非特許文献34】Cocquyt他、Eur.J.Cancer 37:835−842(2001)
【非特許文献35】Navari他、N.Engl.L.Med.340:190−195(1999)
【非特許文献36】Campos他、J.Clin.Oncol.19:1769−1767(2001)
【非特許文献37】Hesketh他、Clin.Oncol.17:338−343(1999)
【非特許文献38】Watson他、Br.J.Pharmacol.115:84−94(1995)
【非特許文献39】Tattersall他、Neuropharmacol.35:1121−1129(1996)
【非特許文献40】Megens他、J.Pharmacol.Exp.Ther.302:696−709(2002)
【非特許文献41】Rudd他、Br.J.Pharmacol.119:931−936(1994)
【非特許文献42】Sam他、Eur.J.Pharmacol.417:231−237(2001)
【非特許文献43】Tonini他、Gastroenterol.120:938−945(2001)
【非特許文献44】Okano他、J.Pharmacol.Exp.Ther.298:559−564(2001)
【発明の開示】
【0015】
(発明の説明)
本発明は、一般式(I)
【0016】
【化1】

【0017】
[式中、
nは、0、1または2に相当する整数であり、
mは、1または2に相当する整数であるが、但し、mが2の時にはnが1であることを条件とし、
pは、1または2に相当する整数であり、
qは、0または1に相当する整数であり、
Qは、OまたはNRであり、
Xは、共有結合、または式−O−、−S−または−NR−で表される二価の基であり、
各Rは、互いに独立して、水素またはアルキルであり、
各Rは、互いに独立して、Ar、Ar−アルキルおよびジ(Ar)−アルキルの群から選択され、
は、Ar、Ar−アルキル、ジ(Ar)アルキル、HetまたはHet−アルキルであり、
Yは、共有結合、または式−C(=O)−、−SO−、>C=CH−Rまたは>C=N−R(ここで、RはCNまたはニトロである)で表される二価の基であり、
各Alkは、互いに独立して、共有結合;炭素原子数が1から6の二価の直鎖もしくは分枝飽和もしくは不飽和炭化水素基;または炭素原子数が3から6の環状飽和もしくは不飽和炭化水素基を表し、ここで、各基は場合により1個以上の炭素原子が1個以上のフェニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ホルミルまたはアミノ基で置換されていてもよく、
Lは、水素、アルキル、アルキルオキシ、Ar−オキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、モノ−およびジ(アルキル)アミノ、モノ−およびジ(Ar)アミノ、Ar、Arカルボニル、HetおよびHetカルボニルの群から選択され、
Arは、場合により各々が互いに独立してハロ、アルキル、シアノ、アミノカルボニルおよびアルキルオキシの群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
Arは、各々が場合により各々が互いに独立してハロ、ニトロ、アミノ、モノ−およびジ(アルキル)アミノ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニルおよびモノ−およびジ(アルキル)アミノカルボニルの群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいナフタレニルもしくはフェニルであり、
Arは、場合により各々が互いに独立してアルキルオキシ、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、Arカルボニルオキシカルボニル、ピリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、モルホリニルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、アミノおよびシアノの群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいナフタレニルもしくはフェニルであり、
Hetは、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される一環状複素環式基、またはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルおよび4a,8a−ジヒドロ−2H−クロメニルの群から選択される二環状複素環式基であり、ここで、各複素環式基は場合によりいずれかの原子がハロ、オキソおよびアルキルの群から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、
Hetは、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ジオキソリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、2H−ピロリル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルおよびトリアジニルの群から選択される一環状複素環式基、またはベンゾピペリジニル、キノリニル、キノキサリニル、インドリル、イソインドリル、クロメニル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾ[2,1,3]オキサジアゾリル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシルおよびオクタヒドロベンゾ[1,4]ジオキシルの群から選択される二環状複素環式基であり、ここで、各基は場合によりAr、Arアルキル、Arアルキルオキシアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシカルボニル、ピペリジニル、ピリジニル、ピロリル、チエニル、オキソおよびオキサゾリルの群から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、そして
アルキルは、炭素原子数が1から6の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基または炭素原子数が3から6の環状飽和炭化水素基であり、これは場合により1個以上の炭素原子がフェニル、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノの群から選択される1個以上の基で置換されていてもよい]
に従う新規な置換1−ピペリジン−3−イル−4−ピペリジン−4−イル−ピペラジン誘導体、これらの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これらの立体化学的異性体形態、これらのN−オキサイド形態およびこれらのプロドラッグに関する。
【0018】
より詳細には、本発明は、
nが1であり、
mが1であり、
pが1であり、
qが0であり、
QがOであり、
Xが共有結合であり、
各RがArまたはAr−アルキルであり、
がArであり、
Yが共有結合、または式−C(=O)−、−SO−、>C=CH−Rまたは>C=N−R(ここで、RはCNまたはニトロである)で表される二価の基であり、
各Alkが互いに独立して共有結合;炭素原子数が1から6の二価の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基;または炭素原子数が3から6の環状飽和炭化水素基を表し、ここで、各基が場合により1個以上の炭素原子が1個以上のヒドロキシ基で置換されていてもよく、
Lが水素、アルキル、アルキルオキシ、アルキルカルボニルオキシ、モノ−およびジ(アルキル)アミノ、モノ−およびジ(Ar)アミノ、Ar、HetおよびHetカルボニルの群から選択され、
Arがフェニルであり、
Arが場合により1、2または3個のアルキル基で置換されていてもよいフェニルであり、
Arが場合により各々が互いに独立してアルキルオキシ、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、Arカルボニルオキシカルボニルおよびシアノの群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
Hetがテトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ベンゾ[2,1,3]オキサジアゾリルおよびイミダゾ[2.1−b]チアゾリルの群から選択される複素環式基であり、ここで、各基が場合により1個以上のArアルキルオキシアルキル、ハロ、アルキル、アルキルカルボニル、ピリジニルまたはオキサゾリル基で置換されていてもよく、そして
アルキルが場合によりハロおよびヒドロキシの群から選択される1個以上の基で置換されていてもよい炭素原子数が1から6の直鎖炭化水素基である、
一般式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグに関する。
【0019】
より詳細には、本発明は、mおよびnが1に相当しそしてArが置換されていないフェニルである式(I)に従う化合物に関する下記の式のいずれかで例示されるように、RがArメチルでありかつ2位に結合しているか或はRがArでありかつ3位に結合している一般式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグに関する。
【0020】
【化2】

【0021】
より詳細には、本発明は、R−X−C(=Q)−部分が3,5−ジ−(トリフルオロメチル)フェニルカルボニルである一般式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグに関する。
【0022】
より詳細には、本発明は、pが1である一般式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグに関する。
【0023】
より詳細には、本発明は、Yが−C(=O)−である一般式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグに関する。
【0024】
より詳細には、本発明は、Alkが共有結合である一般式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグに関する。
【0025】
より詳細には、本発明は、LがHetである一般式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグに関する。
【0026】
より詳細には、本発明は、本出願の中の表1−2のいずれか1つに更に挙げる如き化合物番号が25、48、79、39、15、41、64、88、50、59および3の化合物の群から選択される化合物である一般式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグに関する。
【0027】
本出願の構成において、アルキルは炭素原子数が1から6の一価の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、ペンチル、ヘキシルなどであると定義し、アルキルは、更に、炭素原子数が3から6の一価の環状飽和炭化水素基、例えばシクロプロピル、メチルシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルなども定義する。アルキルの定義は、また、場合により1個以上の炭素原子が1個以上のフェニル、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノ基で置換されていてもよいアルキル基、例えばヒドロキシアルキル、特にヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチルなど、およびポリハロアルキル、特にジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルなども包含する。
【0028】
本出願の構成において、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの総称である。
【0029】
本出願の構成において、「本発明に従う化合物」は、一般式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグを意味する。
【0030】
本出願の構成において、特に式(I)中の部分Alk−Y−Alkに関して、前記部分が有する連続する2個以上の要素が共有結合を表す場合、単一の共有結合を表す。例えば、AlkおよびYの両方が共有結合を表しそしてAlkがCHである場合、部分Alk−Y−Alkは−CHを表す。同様に、Alk、YおよびAlkの各々が共有結合を表しそしてLがHを表す場合、部分Alk−Y−Alk−Lは−Hを表す。
【0031】
薬学的に受け入れられる塩には式(I)に従う化合物が形成し得る治療的に活性な無毒の酸付加塩形態が含まれると定義する。前記塩は、式(I)に従う化合物の塩基形態を適切な酸、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、特に塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸および燐酸など、有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、しゅう酸、マロン酸、こはく酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸およびパモ酸などで処理することで入手可能である。
【0032】
また、酸性プロトンを含有する式(I)に従う化合物を適切な有機および無機塩基で処理することでそれらの治療的に活性のある無毒の金属もしくはアミン付加塩形態に変化させることも可能である。適切な塩基塩形態には、例えばアンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩など、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒブラミンなどの塩、およびアミノ酸との塩、例えばアルギニンおよびリシンなどの塩が含まれる。
【0033】
逆に、前記塩形態を適切な塩基もしくは酸で処理することで遊離形態に変化させることも可能である。
【0034】
用語「付加塩」を本出願の構成で用いる場合、これはまた式(I)に従う化合物ばかりでなくこれらの塩が形成し得る溶媒和物も包含する。そのように溶媒和物は例えば水化物およびアルコラートなどである。
【0035】
式(I)に従う化合物のN−オキサイド形態は、これに1個または数個の窒素原子が酸化されていわゆるN−オキサイドになっている式(I)で表される化合物、特に1個以上の第三級窒素(例えばピペラジニルまたはピペリジニル基の第三級窒素)がN−オキサイドになっているN−オキサイドを包含させることを意味する。そのようなN−オキサイドを技術者は独創的な技術を全く用いることなく容易に入手することができ、それらは式(I)に従う化合物の明らかな代替品である、と言うのは、そのような化合物は人の体の中に吸収された後に酸化されることで生じる代謝物であるからである。一般的に知られるように、酸化は一般に薬剤代謝に関与する1番目の段階である(Textbook of Organic Medicinal and Pharmaceutical Chemistry、1977、70−75頁)。また一般的に知られているように、また、ある化合物の代謝形態をその化合物自身の代わりに人に投与することも可能であり、その結果としてほぼ同じ効果を得ることができる。
【0036】
本発明に従う化合物は被酸化性窒素(第三級アミン部分)を少なくとも2個有する。従って、ヒト代謝作用でN−オキサイドが生じる可能性が高い。
【0037】
三価窒素をこれのN−オキサイド形態に変化させるに適することが本技術分野で知られる手順に従って前記式(I)で表される化合物を相当するN−オキサイド形態に変化させることができる。前記N−酸化反応は、一般に、式(I)で表される出発材料を適切な有機もしくは無機過酸化物と反応させることで実施可能である。適切な無機過酸化物には、例えば過酸化水素、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の過酸化物、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムなどが含まれ、適切な有機過酸化物には過酸、例えば過安息香酸(benzenecarboperoxoic acid)またはハロ置換過安息香酸、例えば3−クロロ過安息香酸など、過アルカン酸(peroxoalkanoic acids)、例えば過酢酸など、アルキルヒドロパーオキサイド、例えばt−ブチルヒドロパーオキサイドなどが含まれ得る。適切な溶媒は、例えば水、低級アルカノール、例えばエタノールなど、炭化水素、例えばトルエンなど、ケトン、例えば2−ブタノンなど、ハロゲン置換炭化水素、例えばジクロロメタンなど、そしてそのような溶媒の混合物である。
【0038】
用語「立体化学的異性体形態」を本明細書の以下で用いる場合、これは、式(I)で表される化合物が取り得る可能なあらゆる異性体形態を定義するものである。特に明記しない限り、ある化合物の化学的表示は可能なあらゆる立体化学異性体形態の混合物を表し、前記混合物は基本的分子構造を有するジアステレオマーおよび鏡像異性体の全部を含有する。より詳細には、立体幾何中心(stereogenic centers)はR形態またはS形態を取り得、二価の環状(部分)飽和基上の置換基はシス形態またはトランス形態のいずれかを取り得る。二重結合を含有する化合物は前記二重結合の所にE立体化学またはZ立体化学を取り得る。式(I)で表される化合物の立体化学異性体形態は明らかに本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【0039】
CAS命名慣例に従い、絶対的形態が既知の立体幾何中心が分子中に2個存在する場合、RまたはS記述子を番号が最も小さいキラル中心、即ち基準中心(reference center)に割り当てる(Cahn−Ingold−Prelog配列規則を基に)。絶対的形態が決まっていない時には、R*およびS*の各々が光学的に純粋な立体幾何中心を示す。「α」および「β」を用いる場合、適宜、環員数が最も少ない環系の中の不斉炭素原子上の最優先置換基の位置が常に環系によって決まる平均面の「α」位である。その環系の中の他の不斉炭素原子上の最優先置換基[式(I)に従う化合物の中の水素原子]が前記環系によって決まる平均面の同じ側に位置する場合、それの位置(前記基準原子上の最優先置換基の位置を基準)を「α」と命名し、それが前記環系によって決まる平均面のもう一方の側に位置する場合、それの位置を「β」と命名する。
【0040】
式(I)に従う化合物および中間体化合物のいくつかはこれらの構造の中に立体幾何中心を少なくとも2個有し、それらを表1および2に星印で示す。
【0041】
本発明は、また、インビボで分解を起こして本発明に従う化合物になる本発明に従う薬理学的に活性のある化合物の誘導化合物(通常は「プロドラッグ」と呼ぶ)も包含する。プロドラッグは、一般に(必ずしもではなく)、これが分解を起こして生じる化合物よりも標的受容体の所で低い効力を示す。プロドラッグは特に所望化合物の化学的もしくは物理的特性が理由で投与が困難であるか或は効率が良くない時に有用である。例えば、所望化合物の溶解度がほんの僅かのみであり得るか、それが粘膜上皮を通る透過が劣り得るか、或はそれが血漿中で示す半減期が望ましくなく短いこともあり得る。プロドラッグに関するさらなる考察をStella,V.J.他、「Prodrugs」、Drug Delivery Systems、1985、112−176頁およびDrugs、1985、29、455−473頁に見ることができる。
【0042】
本発明に従う薬理学的に活性のある化合物のプロドラッグ形態は、一般に、酸基がエステルまたはアミドになっている式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態およびこれのN−オキサイド形態であろう。そのように酸がエステルになった基には、式−COOR[式中、RはC1−6アルキル、フェニル、ベンジル、または下記の基:
【0043】
【化3】

【0044】
の中の1つである]で表される基が含まれる。アミドになった基には、式−CONR[式中、RはH、C1−6アルキル、フェニルまたはベンジルであり、そしてRは−OH、H、C1−6アルキル、フェニルまたはベンジルである]で表される基が含まれる。アミノ基を有する本発明に従う化合物にケトンまたはアルデヒド、例えばホルムアルデヒドなどを用いた誘導体化を受けさせることでマンニッヒ塩基を生じさせることも可能である。そのような塩基は水溶液中で加水分解を一次速度式に従って起こすであろう。
【0045】
以下に記述する方法で調製可能な式(I)で表される化合物は鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成可能であり、それらを本技術分野で公知の分割基準に従って互いに分離することができる。式(I)で表されるラセミ化合物を適切なキラリティーを持つ酸と反応させて相当するジアステレオマー塩形態に変化させることができる。次に、前記ジアステレオマー塩形態を例えば選択的または分別結晶化などで分離した後、アルカリを用いてそれから鏡像異性体を遊離させる。式(I)で表される化合物の鏡像異性体形態を分離する代替様式はキラル固定相を用いた液クロの使用を伴う。また、適切な出発材料の相当する高純度の立体化学的異性体形態を用いて前記高純度の立体化学異性体形態を生じさせることも可能ではあるが、但しその反応が立体特異的に起こることを条件とする。好適には、特定の立体異性体が望まれる場合、立体特異的分離方法を用いて前記化合物の合成を行うことになるであろう。そのような方法では有利に鏡像異性体的に高純度の出発材料を用いることになるであろう。
薬理学
いろいろな生物学的作用、例えば痛みの伝達(痛覚)、神経炎症、平滑筋収縮、血漿蛋白質溢出、血管拡張、分泌、肥満細胞脱顆粒およびまた免疫系の活性化にサブスタンスPおよび他のニューロキニンが関与している。個々の細胞、例えば胃腸管のニューロンプレキシ(neuronal plexi)、無髄一次知覚性求心性ニューロン、交感および副交感神経ニューロンおよびニューロンではない種類の細胞株の中の細胞などの中でサブスタンスPおよび他のニューロキニンの過剰放出が起こることによってニューロキニン受容体、特にNK受容体が活性化されると数多くの病気が発症すると思われている[DN&P 8(1):5−23(1995)およびLongmore J.他、「Neurokinin Receptors」、Pharmacological Reviews 46(4):551−599(1994)]。
【0046】
本発明の化合物はニューロキニンが介在する影響、特にNK、NKおよびNK受容体が介在する影響の効力のある抑制剤であり、従って、それはインビトロでサブスタンスPによって誘発させたブタ冠動脈弛緩に拮抗作用を及ぼすことによって示され得るように、ニューロキニン拮抗薬、特にサブスタンスP拮抗薬であるとして記述可能である。また、H−サブスタンスPを放射性リガンドとして用いた受容体結合試験によって、本化合物がヒト、モルモットおよびアレチネズミのニューロキニン受容体に対して結合親和性を示すことをインビトロで測定することも可能である。本主題化合物は、また、例えばモルモットにサブスタンスPで誘発させた血漿溢出に拮抗作用を及ぼすか或はフェレットに薬剤で誘発させた嘔吐[Watson他、Br.J.Pharmacol.115:84−94(1995)]に拮抗作用を及ぼすことなどで明らかであり得るように、インビボでもサブスタンスP拮抗作用を示す。
【0047】
本発明に従う化合物は、ニューロキニン受容体を阻害、特にNK、NKおよびNK受容体を阻害することでタキキニンの作用に拮抗作用を及ぼす能力を有することを鑑み、特にタキキニン介在状態を予防および治療的に処置する時の薬剤として用いるに有用である。
【0048】
より詳細には、実験章の中の表8から分かるであろうように、いくつかの化合物はNK拮抗作用、NK/NK組み合わせ拮抗作用およびNK/NK/NK組み合わせ拮抗作用を示すことを見いだした。
【0049】
従って、本発明は、一般式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグを薬剤として用いることにも関する。
【0050】
本発明は、また、本発明に従う化合物をタキキニン介在状態を予防または治療または両方で処置するに適した薬剤を製造する目的で用いることにも関する。
【0051】
本発明に従う化合物は、CNS疾患、特に統合失調症、鬱病、不安症、ストレス関連の不調、睡眠障害、認識力障害、人格障害、摂食障害、神経変性病、依存症、気分障害、性機能障害、痛みおよび他のCNS関連状態;炎症;アレルギー性疾患;嘔吐;胃腸疾患、特に過敏性腸症候群(IBS);皮膚疾患;血管痙攣;線維症および膠原病;免疫増強または抑圧に関連した疾患およびリュウマチ性疾患の治療および体重管理で用いるに有用である。
【0052】
本発明に従う化合物は、特に、いろいろな原因に由来する統合失調性感情障害の治療および予防で用いるに有用であり、それには、躁型、鬱型、混合型の統合失調感情障害;妄想型、解体型、緊張型、非定型型および残遺統合失調症;統合失調症様障害;妄想性障害;短期間の精神障害;共通精神障害;物質誘発精神障害および特定不能精神障害が含まれる。
【0053】
本発明に従う化合物は、特に、鬱病の治療および予防で用いるに有用であり、鬱病には、これらに限定するものでないが、大鬱病性障害(双極性鬱病を包含);単極性鬱病;単発性または反復性大鬱病発作(これは精神病的特徴、緊張型特徴、憂鬱特徴、非典型的特徴または分娩後発症を伴うか或は伴わず、そして反復性発作の場合には季節的傾向を伴うか或は伴わない)が含まれる。用語「大鬱病性障害」に包含される他の気分障害には、気分変調性障害(これは早期発症または晩発型発症を伴いかつ非典型的特徴、双極性I障害、双極性II障害、気分循環性障害、短期反復性鬱病性障害、混合型情動障害、神経症性鬱病、心的外傷後ストレス障害および対人恐怖気分を伴うか或は伴わない);アルツハイマー型の痴呆(早期発症または晩発型発症を伴い、抑鬱気分を伴う);血管性痴呆(抑鬱気分を伴う);物質誘発気分障害、例えばアルコール、覚醒剤、コカイン、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静剤、睡眠薬、抗不安薬および他の物質によって誘発される気分障害;抑鬱型の統合失調性感情障害;および抑鬱気分を伴う適応障害が含まれる。大鬱病性障害はまた一般的病状によってももたらされる可能性があり、そのような病状には、これらに限定するものでないが、心筋梗塞、糖尿病、流産または堕胎などが含まれる。
【0054】
本発明に従う化合物は、特に、不安症の治療および予防で用いるに有用であり、不安症には、これらに限定するものでないが、パニック発作、広場恐怖症、広場恐怖症を伴わないパニック障害;パニック障害の履歴を伴わない広場恐怖症;特異恐怖症;対人恐怖症;脅迫性障害;心的外傷後ストレス障害;急性ストレス障害;全般性不安障害;一般的症状に起因する不安症;物質誘発不安症;および特定不能の不安症が含まれる。
【0055】
本発明に従う化合物は、特に、鬱病および/または不安に伴うストレス関連不調の治療および予防で用いるに有用であり、それらには、これらに限定するものでないが、急性ストレス反応;適応障害、例えば短期抑鬱反応、長期抑鬱反応、混合型不安および抑鬱反応、主に他の感情の乱れを伴う適応障害、主に行動の乱れを伴う適応障害、感情と行動の乱れが混ざった適応障害および主に他の特定の症状を伴う適応障害;そしてひどいストレスに対する他の反応が含まれる。
【0056】
本発明に従う化合物は、特に、睡眠障害の治療および予防で用いるに有用であり、睡眠障害には、これらに限定するものでないが、原発性睡眠障害としてのダイソムニア(dysomnia)および/または睡眠時異常行動;不眠症;睡眠時無呼吸;発作性睡眠;日周リズム障害;他の精神障害に関連した睡眠障害;一般的症状に起因する睡眠障害;および物質誘発睡眠障害が含まれる。
【0057】
本発明に従う化合物は、特に、認識力障害の治療および予防で用いるに有用であり、それには、これらに限定するものでないが、痴呆;記憶喪失障害および特定不能認識力障害、特に、変性疾患、損傷、外傷、感染、血管障害、毒素、酸素欠乏症、ビタミン不足または内分泌障害に起因する痴呆;アルツハイマー型の痴呆(早期または晩期発症を伴い、抑鬱気分を伴う);エイズ関連痴呆;またはアルコールまたは他の原因のチアミン欠乏、単純ヘルペス脳炎および他の辺縁脳炎による両側頭葉損傷、二次的酸素欠乏/低血糖症/ひどい痙攣および外科手術によるニューロン欠損、変性疾患、血管障害またはIII室の回りの病変によって引き起こされる記憶喪失障害が含まれる。その上、本発明に従う化合物は、また、認識力および/または記憶力不足のない健康な人の記憶および/または認識力増強で用いるにも有用である。
【0058】
本発明に従う化合物は、特に、人格障害の治療および予防で用いるに有用であり、それには、これらに限定するものでないが、妄想性人格障害;統合失調性人格障害;統合失調症型人格障害、非社会性人格障害;境界型人格障害;演技性人格障害;自己愛性人格障害;回避性人格障害;依存性人格障害;強迫性人格障害および特定不能の人格障害が含まれる。
【0059】
本発明に従う化合物は、特に、また、摂食障害の治療および予防で用いるにも有用であり、それには、拒食症、非定型拒食症;多食症;非定型多食症;他の精神的乱れに関連した過食;他の精神的乱れに関連した嘔吐;および非特定的摂食障害が含まれる。
【0060】
本発明に従う化合物は、特に、また、神経変性疾患の治療および予防で用いるにも有用であり、それには、これらに限定するものでないが、アルツハイマー病;ハンチントン舞踏病;クロイツフェルト−ヤコブ病;ピック病;脱髄障害、例えば多発性硬化症およびALSなど;他の神経障害および神経痛;多発性硬化症;筋委縮性測索硬化症;卒中および頭部外傷が含まれる。
【0061】
本発明に従う化合物は、特に、また、依存症{これには、これらに限定するものでないが、物質依存もしくは乱用(生理学的依存を伴うか或は伴わない)[特に物質がアルコール、アンフェタミン、アンフェタミン様物質、カフェイン、コカイン、幻覚剤、吸入剤、ニコチン、オピオイド(例えば大麻、ヘロインおよびモルヒネ)、フェンシクリジン、フェンシクリジン様化合物、鎮静−睡眠薬、ベンゾジアゼピンおよび/または他の物質である場合]が含まれる}の治療および予防で用いるにも有用であり、特に前記物質およびアルコール離脱性せん妄に由来する禁断症状の治療で用いるに有用である。
【0062】
本発明に従う化合物は、特に、また、特にアルコール、アンフェタミン、カフェイン、大麻、コカイン、幻覚剤、吸入剤、ニコチン、オピオイド、フェンシクリジン、鎮静薬、睡眠薬、抗不安薬および他の物質によって誘発される気分障害の治療および予防で用いるにも有用である。
【0063】
本発明に従う化合物は、特に、また、性機能障害の治療および予防で用いるにも有用であり、それには、これらに限定するものでないが、性的欲求障害;性的興奮障害、オルガスム障害;性交痛障害;一般的病状による性機能障害;物質誘発性機能障害および特定不能性機能障害が含まれる。
【0064】
本発明に従う化合物は、特に、また、痛みの治療および予防で用いるにも有用であり、それには、これらに限定するものでないが、外傷痛、例えば手術後の痛みなど;外傷剥離痛、例えば腕神経叢など;慢性痛、例えば関節痛、例えば変形性リューマチまたは乾癬性関節炎の時に起こる痛みなど;神経障害性痛、例えば疱疹後の神経痛、三叉神経痛、分節性もしくは肋間神経痛、線維筋痛、灼熱痛、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、化学療法誘発神経障害、エイズ関連神経障害、後頭神経痛、膝神経痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィーおよび幻肢痛など;いろいろな形態の頭痛、例えば偏頭痛、急性もしくは慢性緊張性頭痛、側頭下顎骨痛、上顎洞痛および群発性頭痛など;歯痛;癌痛;内蔵痛;胃腸痛;神経絞扼痛;スポーツ損傷痛;月経困難症;月経痛;髄膜炎;クモ膜炎;筋骨格系疼痛;腰痛、例えば脊髄狭窄、椎間板脱出、座骨神経痛、アンギナ、強直性脊椎炎など;通風;熱傷;瘢痕痛;かゆみおよび視床痛、例えば卒中後の視床痛などが含まれる。
【0065】
本発明に従う化合物は、特に、また、下記の他のCNS関連状態の治療および予防で用いるにも有用である:運動不能症、運動不能症の硬直症候群、運動障害および薬剤誘発パーキンソニズム、ギレスデラトゥレットシンドロームおよびそれの症状、震え、舞踏病、ミオクローヌス、チックおよびジストニア、注意欠陥/過活動性障害(ADHD)、パーキンソン病、薬剤誘発パーキンソニズ、脳炎後のパーキンソニズ、進行性核上麻痺、多系統委縮症、多系統委縮症、パーキンソン−ALS痴呆症候群および大脳基底核石灰化症、痴呆および知的障害(情動不安および興奮を包含)における行動障害および行為障害、錐体外運動障害、ダウン症および静座不能。
【0066】
本発明に従う化合物は、特に、また、炎症の治療および予防で用いるにも有用であり、それには、これらに限定するものでないが、喘息、インフルエンザ、慢性気管支炎および関節リューマチにおける炎症状態、胃腸管における炎症状態、例えばこれらに限定するものでないが、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸病および非ステロイド系抗炎症薬誘発損傷など;皮膚の炎症状態、例えば疱疹および湿疹など;膀胱の炎症状態、例えば膀胱炎および急迫性尿失禁など、眼および歯の炎症が含まれる。
【0067】
本発明に従う化合物は、特に、また、アレルギー性疾患の治療および予防で用いるにも有用であり、それには、これらに限定するものでないが、皮膚のアレルギー性疾患、例えばこれらに限定するものでないが、蕁麻疹など、および気道のアレルギー性疾患、例えばこれらに限定するものでないが、鼻炎などが含まれる。
【0068】
本発明に従う化合物は、特に、また、嘔吐、即ちむかつき、吐気および嘔吐の治療および予防で用いるにも有用であり、それには、これらに限定するものでないが、急性嘔吐、遅発性嘔吐および期待的嘔吐;薬剤、例えば癌化学治療薬、例えばアルキル化剤、例えばシクロホスファミド、カルムスチン、ロムスチンおよびクロラムブシルなど、細胞毒性抗生物質、例えばダクチノマイシン、ドキソルビシン、ミトマイシン−Cおよびブレオマイシンなど、抗代謝薬、例えばシタラビン、メトトレキセートおよび5−フルオロウラシルなど、ビンカ・アルカロイド、例えばエトポシド、ビンブラスチンおよびビンクリスチンなど、および他の薬剤、例えばシスプラチン、ダカルバジン、プロカルバジンおよびヒドロキシ尿素など、およびそれらの組み合わせ、放射線病、放射線療法、例えば癌治療における放射線療法、毒物、毒素、例えば代謝障害または感染、例えば胃炎などが原因であるか或は細菌またはウイルスが胃腸に感染している時に放出される毒素など、妊娠、前庭障害、例えば乗り物酔い、目まい(vertigo)、目まい(dizainess)およびメニエール病など、手術後の吐き気、胃腸障害、胃腸運動性低下、内蔵痛、例えば心筋梗塞または腹膜炎など、偏頭痛、頭蓋内圧力上昇、頭蓋内圧力低下(例えば高山病)、オピオイド鎮痛薬、例えばモルヒネなど、胃腸−食道反射病、胃酸過多、食料または飲料の過剰摂取、アシッドストマック(acid stomach)、サワーストマック(sour stomack)、ウォーターブラッシュ(waterbrash)/逆流;胸焼け、例えば突発性胸焼け、夜間胸焼けおよび食事誘発胸焼けなどおよび消化不良などによって誘発される嘔吐などが含まれる。
【0069】
本発明に従う化合物は、特に、また、胃腸障害[これらに限定するものでないが、過敏性腸症候群(IBS)が含まれる]、皮膚疾患、例えば乾癬、痒みおよび日焼けなど;血管痙攣、例えば狭心症、血管性頭痛およびレイノー病など、脳虚血、例えばクモ膜下出血後の脳血管痙攣など;線維症および膠原病、例えば強皮症および好酸球肝てつ症など;免疫増強または抑制に関連した疾患、例えば全身性エリトマトーデスなど;およびリューマチ性疾患、例えば結合組織炎など;咳の治療および予防および体重管理(肥満を包含)で用いるにも有用である。
【0070】
本発明に従う化合物は、最も詳細には、統合失調症、嘔吐、不安、鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、日周期の乱れ、痛み、神経炎症、喘息、排尿障害、例えば尿失禁などおよび痛覚を治療する薬剤を製造する目的で用いるに有用である。
【0071】
本発明は、また、タキキニン介在病を治療および/または予防、特に統合失調症、嘔吐、不安、鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、日周期の乱れ、痛み、神経炎症、喘息、排尿障害、例えば尿失禁などおよび痛覚を治療および/または予防する方法にも関し、この方法は、そのような投与を必要としている人に本発明に従う化合物、特に式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態ばかりでなくこれのプロドラッグを有効量で投与することを含んで成る。
【0072】
本発明は、また、薬学的に受け入れられる担体を含有しかつ本発明に従う化合物、特に式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグを活性材料として治療有効量で含有して成る薬剤組成物にも関する。
【0073】
本発明に従う化合物、特に式(I)に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグ、またはそれらのサブグループまたは組み合わせのいずれかを投与の目的でいろいろな薬剤形態物に調合してもよい。全身投与用薬剤として通常用いられるあらゆる組成物を適切な組成物として挙げることができる。本発明の薬剤組成物を調製する時、有効量の個々の化合物を場合により付加塩の形態で活性材料として薬学的に受け入れられる担体との密な混合物として一緒にするが、前記担体に持たせる形態は投与に望まれる調剤の形態に応じて幅広く多様であり得る。本薬剤組成物を特に経口、直腸、経皮投与、非経口注入または吸引による投与に適した単位投薬形態物にするのが望ましい。例えば、本組成物を経口投薬形態で調製する時、通常の薬剤媒体のいずれも使用可能であり、例えば液状の経口用調剤、例えば懸濁液、シロップ、エリキシル、乳液および溶液などの場合には水、グリコール、油、アルコールなど、または粉末、ピル、カプセルおよび錠剤の場合には固体状担体、例えば澱粉、糖、カオリン、希釈剤、滑剤、結合剤、崩壊剤などを用いてもよい。投与が容易なことから錠剤およびカプセルが最も有利な経口投薬単位形態物に相当し、この場合には明らかに固体状の薬剤担体を用いる。非経口用組成物の場合の担体は少なくとも大部分が一般に無菌水を含んで成るが、他の材料、例えば溶解性を補助する材料などを含有させることも可能である。例えば、注射可能溶液を調製することも可能であり、その場合の担体は食塩水溶液、グルコース溶液、または食塩水とグルコース溶液の混合物を含んで成る。また、注射可能懸濁液を調製することも可能であり、この場合には適切な液状担体、懸濁剤などを用いてもよい。また、使用直前に液状形態の調剤に変換することを意図する固体形態の調剤も含まれる。経皮投与に適した組成物の場合、その担体に場合により浸透向上剤および/または適切な湿潤剤を含めてもよく、それらを場合によりいずれかの性質を有する適切な添加剤と少しの比率で組み合わせてもよく、そのような添加剤は、皮膚に対して有害な影響を大きな度合では与えない添加剤である。前記添加剤は皮膚への投与を助長しそして/または所望組成物の調製に役立ち得る。そのような組成物はいろいろな様式で投与可能であり、例えば経皮パッチ、スポットオン(spot−on)、軟膏などとして投与可能である。
【0074】
上述した薬剤組成物を単位投薬形態で調合するのが特に有利である、と言うのは、その方が投与が容易でありかつ投薬が均一であるからである。本明細書で用いる如き「単位投薬形態物」は、各単位が要求される薬剤担体と一緒に所望治療効果をもたらすように計算して前以て決めておいた量の活性材料を含有する単位投薬形態物として用いるに適した物理的に個々別々の単位を指す。そのような単位投薬形態物の例は錠剤(切り目が入っている錠剤または被覆されている錠剤を包含)、カプセル、ピル、粉末、パケット、ウエハース、座薬、注射可能溶液もしくは懸濁液など、そしてそれらを複数に分離させたもの(segregated multiples)である。
【0075】
本発明に従う化合物は効力のある経口投与可能NK、NK/NKおよびNK/NK/NK拮抗薬であることから、前記化合物を含んで成る経口投与用薬剤組成物が特に有利である。
合成
本発明に従う化合物の製造は一般に各々が本分野の技術者に公知の一連の段階で実施可能である。
【0076】
式(I)で表される最終的化合物の調製を、便利には、式(II)で表される中間体化合物に還元N−アルキル置換を式(III)で表される中間体化合物を用いて受けさせることで実施する。前記還元N−アルキル置換は反応に不活性な溶媒、例えばジクロロメタン、エタノールまたはトルエンまたはこれらの混合物など中で適切な還元剤、例えばホウ水素化塩、例えばホウ水素化ナトリウム、シアノホウ水素化ナトリウムまたはトリアセトキシホウ水素化塩などの存在下で実施可能である。ホウ水素化物を還元剤として用いる場合、J.Org.Chem.1990、55、2552−2554に記述されているように、錯体を形成する作用剤、例えばチタン(IV)イソプロピラートなどの使用が便利であり得る。前記錯体を形成する薬剤を用いると結果としてまたシス/トランス比もトランス異性体に好都合のように向上し得る。また、水素を還元剤として適切な触媒、例えば炭に担持されているパラジウムまたは炭に担持されている白金などと組み合わせて用いるのが便利であり得る。水素を還元剤として用いる場合、脱水剤、例えばアルミニウムt−ブトキサドなどを反応混合物に添加するのが有利であり得る。反応体および反応生成物が有する特定の官能基が望ましくなくさらなる水添を受けないようにする目的で、また、適切な触媒毒、例えばチオフェンまたはキノリン−硫黄などを反応混合物に添加するのも有利であり得る。撹拌を行ないそして場合により温度および/または圧力を高くすると反応速度が速くなる可能性がある。
【0077】
【化4】

【0078】
前記および以下の調製では、反応生成物を反応媒体から単離することができ、必要ならば、本技術分野で一般に公知の方法、例えば抽出、結晶化、すり潰しおよびクロマトグラフィーなどに従ってそれにさらなる精製を受けさせることも可能である。
【0079】
この上に記述した反応スキームに従ってAlk−Y−Alk−L−部分がベンジルである式(I)に従う最終的化合物を調製することでAlk−Y−Alk−L−部分がベンジルである式(I)に従う化合物を生じさせるのが特に有利である。前記最終的化合物は薬理学的に活性があり、それに還元水添を例えば水素を還元剤として適切な触媒、例えば炭に担持されているパラジウムまたは炭に担持されている白金などと組み合わせて用いて受けさせることで、それをAlk−Y−Alk−L−部分が水素である本発明に従う最終的化合物に変化させることも可能である。次に、その結果として得た本発明に従う最終化合物に本技術分野で公知の変換、例えばアシル化およびアルキル置換などによる変換を受けさせることで、式(I)に従う他の化合物を生じさせることも可能である。
【0080】
詳細には、式(I’)で表される最終的化合物をWが適切な脱離基、例えばハロゲン、例えばクロロまたはブロモなど、またはスルホニルオキシ脱離基、例えばメタンスルホニルオキシまたはベンゼンスルホニルオキシなどである式(V)で表される中間体化合物と反応させることで、式(I)で表される最終的化合物を生じさせることができる。この反応は反応に不活性な溶媒、例えば塩素置換炭化水素、例えばジクロロメタンなど、またはケトン、例えばメチルイソブチルケトンなど中で適切な塩基、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたはトリエチルアミンなどの存在下で実施可能である。撹拌を行うと反応速度が速くなる可能性がある。この反応は便利に室温から還流温度の範囲の温度で実施可能である。
【0081】
【化5】

【0082】
別法として、式(I)で表される最終的化合物の調製をまた式(I’)で表される最終的化合物を式(VI)で表されるカルボン酸と反応させることで実施することも可能である。この反応は反応に不活性な溶媒、例えば塩素置換炭化水素、例えばジクロロメタンなど中で適切な塩基、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたはトリエチルアミンなどの存在下および活性化剤、例えばDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、CDI(カルボニルジイミダゾール)およびEDCI(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・HCl)などの存在下で実施可能である。撹拌を行うと反応速度が速くなる可能性がある。この反応は便利に室温から還流温度の範囲の温度で実施可能である。
【0083】
【化6】

【0084】
詳細には、式(I’)で表される最終的化合物をWが適切な脱離基、例えばハロゲン、例えばクロロまたはブロモなど、またはスルホニルオキシ脱離基、例えばメタンスルホニルオキシまたはベンゼンスルホニルオキシなどである式(VII)で表される化合物と反応させることで、式(I)で表される最終的化合物を生じさせることができる。この反応は反応に不活性な溶媒、例えば塩素置換炭化水素、例えばジクロロメタンなど、アルコール、例えばエタノールなど、またはケトン、例えばメチルイソブチルケトンなど中で適切な塩基、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたはトリエチルアミンなどの存在下で実施可能である。撹拌を行うと反応速度が速くなる可能性がある。この反応は便利に室温から還流温度の範囲の温度で実施可能である。
【0085】
【化7】

【0086】
式(I’)で表される最終的化合物に還元アミン化またはアルキル置換を式(VIII)で表される化合物または(IX)で表される化合物のいずれかを用いて受けさせることで式(I)および式(I)で表される最終的化合物を生じさせることができるが、ここで、式(VIII)中のWは適切な脱離基、例えばハロゲン、例えばクロロまたはブロモなど、またはスルホニルオキシ脱離基、例えばメタンスルホニルオキシまたはベンゼンスルホニルオキシなどであり、そして式(I)中の−CH−Alk’はAlkである。この反応は反応に不活性な溶媒、例えば塩素置換炭化水素、例えばジクロロメタンなど、アルコール、例えばエタノールなど、またはケトン、例えばメチルイソブチルケトンなど中で適切な塩基、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたはトリエチルアミンなどの存在下で実施可能である。撹拌を行うと反応速度が速くなる可能性がある。この反応は便利に室温から還流温度の範囲の温度で実施可能である。
【0087】
【化8】

【0088】
前記出発材料および中間体の中の数種は公知化合物で商業的に入手可能であるか或は本技術分野で一般に公知の通常の反応手順に従って調製可能である。例えば、式(II)で表される中間体化合物の調製は、式(XI)で表される中間体化合物に還元N−アルキル置換をWがベンジル基である式(XII)で表される中間体化合物を用いて受けさせた後、その結果として生じた化合物に還元を受けさせることで式(II)に従う中間体化合物を生じさせることで実施可能である。前記還元N−アルキル置換は反応に不活性な溶媒、例えばジクロロメタン、エタノール、トルエンまたはこれらの混合物など中で適切な還元剤、例えばホウ水素化塩、例えばホウ水素化ナトリウム、シアノホウ水素化ナトリウムまたはトリアセトキシホウ水素化塩など存在下で実施可能である。ホウ水素化物を還元剤として用いる場合、J.Org.Chem.1990、55、2552−2554に記述されているように、錯体を形成する作用剤、例えばチタン(IV)イソプロピラートなどの使用が便利であり得る。前記錯体を形成する薬剤を用いると結果としてまたシス/トランス比もトランス異性体に好都合のように向上し得る。また、水素を還元剤として適切な触媒、例えば炭に担持されているパラジウムまたは炭に担持されている白金などと組み合わせて用いるのが便利であり得る。水素を還元剤として用いる場合、脱水剤、例えばアルミニウムt−ブトキサドなどを反応混合物に添加するのが有利であり得る。反応体および反応生成物が有する特定の官能基が望ましくなくさらなる水添を受けないようにする目的で、また、適切な触媒毒、例えばチオフェンまたはキノリン−硫黄などを反応混合物に添加するのも有利であり得る。撹拌を行ないそして場合により温度および/または圧力を高くすると反応速度が速くなる可能性がある。
【0089】
【化9】

【0090】
中間体化合物(XI)および(XII)および他の中間体の調製が、1997年5月9日付けで公開されたJanssen Pharmaceutica N.V.のWO 97/16440−A1(これの開示は引用することによって本明細書に組み入れられる)ばかりでなくWO 97/16440−A1に挙げられている他の公開、例えばEP−0,532,456−Aなどに記述されている。
【実施例】
【0091】
以下の実施例は説明を意図するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものでない。
実験部分
本明細書では以降、「RT」は室温を意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「MIK」はメチルイソブチルケトンを意味し、「EDCI」は1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを意味し、そして「HOBT」は1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾールを意味する。
A. 中間体化合物の調製
実施例A1
a. 中間体化合物1の調製
【0092】
【化10】

【0093】
7−(フェニルメチル)−1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン(0.5モル)をトルエン(1500ml)に入れることで生じさせた混合物を撹拌しながらこれにEtN(0.55モル)を添加した。3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロライド(0.5モル)を1時間かけて加えた(発熱反応)。この混合物を室温で2時間撹拌し、次に週末に渡って放置した後、水で3回(500ml、2x250ml)洗浄した。その有機層を分離し、乾燥させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。収量:245g(100%)。この画分の一部を石油エーテルを用いて結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させた。収量:中間体化合物1を1.06g。
b1. 中間体化合物2の調製
【0094】
【化11】

【0095】
中間体化合物1(0.5モル)をエタノール(300ml)とHO(300ml)に入れることで生じさせた混合物にHCl cp(300ml)を加えた。この反応混合物を60℃で20時間撹拌した。その沈澱物を濾別し、粉砕し、HOに入れて撹拌し、濾別し、石油エーテルで洗浄した後、乾燥させた。収量:中間体化合物2((+−)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−(フェニルメチル)−4−ピペリジノン)(89.4%)(RとS鏡像異性体の混合物)を192g。
b2. 中間体化合物9および中間体化合物10の調製
【0096】
【化12】

【0097】
Chiralpak[CHIRALPAK AS 1000Å 20mm(DAICEL);溶離剤:ヘキサン/2−プロパノールが70/30]を用いたキラルカラムクロマトグラフィーで中間体化合物2をこれの光学異性体に分離した。生成物画分を2つ集めた後、各溶媒を蒸発させた。収量:画分1;中間体化合物9(R)を32.6g、および画分2;中間体化合物10(S)を30.4g。
c. 中間体化合物3の調製
【0098】
【化13】

【0099】
中間体化合物2(0.046モル)と1−(フェニルメチル)ピペラジン(0.051モル)とTi−テトライソプロピルオキサイド(0.056モル)の混合物を40℃で2時間撹拌した。この反応混合物を室温に冷却した。エタノールp.a.(350ml)を加えた。NaBH(0.138モル)を加えた。その結果として得た反応混合物を室温で1時間撹拌した後、50℃で1時間撹拌した。更にNaBH(5.2g)を加えた後、この反応混合物を50℃で2時間撹拌した。再びNaBHを加え、その反応混合物を室温で一晩撹拌した後、50℃で2時間撹拌した。水(10ml)を加えた。この混合物を15分間撹拌し、CHCl(200ml)を加えた後、この混合物を15分間撹拌した。その有機相を分離し、乾燥(MgSO)させ、ジカライトを加え、その混合物をジカライトの上に置いて濾過した後、その濾液に蒸発を受けさせた。その画分をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィーで(シス)と(トランス)に分離させた。所望の(トランス)画分を集め、溶媒を蒸発させることで、残留物[(I)、1.06%(シス)]を14.8gと残留物[(II)、6%(シス)]を4.9g得た。Prochrom LC110 35barに入っている固定相Chiralcel OD(1900Gr)を用いたクロマトグラフィー(溶離剤:ヘキサン/エタノールが90/10)で分割および精製を行って(トランス)画分(全体で±20g)を得た。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:中間体化合物3(2R−トランス)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−(フェニルメチル)−4−[4−(フェニルメチル)−1−ピペラジニル]ピペリジンを9.5g。
d. 中間体化合物4の調製
【0100】
【化14】

【0101】
中間体化合物3(0.288モル)をメタノール(700ml)に入れることで生じさせた溶液に水添を10%Pd/C(5g)を触媒として用いて40℃で受けさせた。H(1当量)の吸収が起こった後、前記触媒を濾別し、そしてその濾液に蒸発を受けさせた。収量:中間体化合物4(+)−(2R−トランス)−1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−(フェニルメチル)−4−(1−ピペラジニル)ピペリジンを141.2g。
実施例A2
a. 中間体化合物5の調製
【0102】
【化15】

【0103】
3−チオフェンエタノール(0.078モル)をTHFに入れることで生じさせた5℃の溶液にN流下でNaH(0.086モル)を分割して加えた。この混合物を5℃で1時間撹拌した。BuNI(0.001モル)および(ブロモメチル)ベンゼン(0.080モル)を加えた。この混合物を室温で3時間撹拌し、HOで取り上げた後、AcOEtで抽出した。有機層を分離し、乾燥(MgSO)させた後、溶媒を蒸発させた。その濃縮物1(18g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(勾配溶離剤:シクロヘキサン/AcOEtを100/0から80/20)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:中間体化合物5を9.9g(58%)。
b. 中間体化合物6の調製
【0104】
【化16】

【0105】
中間体化合物16(0.023モル)をTHF(50ml)に入れることで生じさせた−50℃の溶液にN流下でBuLi[1.6M](0.025モル)を分割して加えた。温度を0℃になるまでゆっくり上昇させた。この混合物を0℃で1時間撹拌した後、−40℃になるまで冷却した。SOCl(0.046モル)をペンタン(50ml)に入れることで生じさせた溶液を−40℃で加えた。この混合物を−40℃で1時間撹拌した。その濃縮物に加水分解、AcOEtを用いた抽出、飽和NaCl溶液による洗浄、MgSOを用いた乾燥そして濃縮を受けさせることで9g得た。その濃縮物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(勾配溶離剤:シクロヘキサン/AcOEtを100/0から80/20)で精製した。収量:中間体化合物6を1.2g(16%)。
実施例A3
a. 中間体化合物7の調製
【0106】
【化17】

【0107】
2−(2−チエニル)エタノール(0.078モル、10g)をTHF(150ml)に入れることで生じさせた5℃の溶液にN流下でNaH(油中60%)(0.086モル、3.4g)を分割して加えた。この混合物を5℃で1時間撹拌した。この溶液にヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.001モル、0.3g)に続いて(ブロモメチル)ベンゼン(0.080モル、9.5ml)を加えた。この混合物を室温で3時間撹拌し、水の中に注ぎ込み、酢酸エチルで抽出し、MgSOで乾燥させた後、濃縮した。その粗生成物(18g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(勾配溶離剤:CHCl/シクロヘキサンを0/100から20/80)で精製して、生成物画分に濃縮を受けさせた。収量:中間体化合物7を11.4g(66%)。
b. 中間体化合物8の調製
【0108】
【化18】

【0109】
中間体化合物7(0.014モル、3g)をTHF(30ml)に入れることで生じさせた−40℃の溶液にN流下でn−BuLi[1.6M](0.015モル、0.45ml)をゆっくり加えた。この反応物を0℃になるまでゆっくり温めた後、−70℃になるまで冷却した。ドライアイス(〜2g)を加えた。温度を室温になるまでゆっくり上昇させた。NaOH(1リットル当たり1モル、30ml)を加えた後の混合物をジエチルエーテルで洗浄した。その水層をHCl(1N)で酸性にした後、CHClで抽出した。その有機層をMgSOで乾燥させた後、濃縮した。収量:中間体化合物8を2.6g(71%)。
B. 最終的化合物の製造
実施例B1
a)最終的化合物1の製造
【0110】
【化19】

【0111】
中間体化合物4(0.005モル)と1−(フェニルメチル)−3−ピペリジノン(0.005モル)と酢酸カリウムをメタノール(150ml)に入れることで生じさせた混合物に水添を50℃で10%Pd/C(1g)を触媒として用いてチオフェン溶液(1ml)の存在下で受けさせた。H(1当量)の吸収が起こった後、前記触媒を濾別し、そしてその濾液に濃縮を受けさせた。その残留物をシリカゲル使用フラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/(MeOH/NH)を95/5)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:最終的化合物1を2.5g(74%)。
b)最終的化合物2の製造
【0112】
【化20】

【0113】
最終的化合物1(B1.aに従って調製)(0.09モル)をメタノール(500ml)に入れることで生じさせた溶液に水添を50℃で10%Pd/C(5g)を触媒として用いて受けさせた。H(1当量)の吸収が起こった後、前記触媒を濾別し、そしてその濾液に濃縮を受けさせた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/(MeOH/NH)を85/15)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:最終的化合物2を41.3g(78.7%)。
c) 最終的化合物105と71の製造
【0114】
【化21】

【0115】
最終的化合物2(Bl.bに従って調製)(0.007モル)をCHCl、p.a.(100ml)に入れることで生じさせた溶液にビス(1,1−ジメチルエチル)ジ炭酸エステル(0.008モル)を加えた後、この反応混合物を室温で6時間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、その乾燥させた残留物をシリカゲルの上に置いて濾過した(溶離剤:CHCl/CHOHを95/5)。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その得た残留物をADカラム使用キラル分離で分離した(溶離剤:ヘキサン/EtOHを95/5)。生成物画分を2画分集めた後、それらの溶媒を蒸発させた。各残留物をガラス製フィルターで精製(勾配溶離剤:CHCl/CHOHを100/0−90/10)して、所望画分を集めた後、それらの溶媒を蒸発させた。画分1の収量:最終的化合物105([2R−[2α,4β(R*)]])を1.2g。画分2の収量:最終的化合物71([2R−[2α,4β(S*)]])を0.75g。
d) 最終的化合物108の製造
【0116】
【化22】

【0117】
最終的化合物105(B1.cに従って調製)(0.00175モル)を2−プロパノール(50ml)に入れることで生じさせた溶液にHCl/2−プロパノール(5ml)を加えた。この反応混合物を撹拌しながら90分間還流させた。溶媒を蒸発させた後、その残留物をDIPEに入れて懸濁させた。その結果として生じた沈澱物を濾別した後、HOで取り上げた。その混合物をNaOH溶液でアルカリ性にした後、CHClで抽出した。その有機層を水で洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾別した後、溶媒を蒸発させた。最後に、所望生成物を乾燥させた。収量:最終的化合物108を0.550g(54%)(2R−[2α,4β(R*)])。
実施例B2
最終的化合物26の製造
【0118】
【化23】

【0119】
最終的化合物2(B1bに従って調製)(0.007モル)をMIK(50ml)に溶解させた。クロロピラジン(0.11g)およびNaCO(0.5g)を加えた。この混合物を撹拌しながら44時間還流させた後、水で洗浄し、乾燥させた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/MeOHを90/10)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:最終的化合物26を54mg。
実施例B3
最終的化合物49の製造
【0120】
【化24】

【0121】
最終的化合物2(B1bに従って調製)(0.0007モル)をCHCl(20ml)に溶解させた。ベンゼンメタンスルホニルクロライド(0.0008モル)を加えた。この反応混合物を撹拌した。次に、NaCO(0.5g)を加えた後の混合物を3時間撹拌した。この反応混合物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/MeOHを95/5)で精製した。所望画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物を乾燥させた。収量:最終的化合物49を0.237g。
実施例B4
最終的化合物41の製造
【0122】
【化25】

【0123】
最終的化合物2(B1.bに従って調製)(0.0007モル)をCHCl(20ml)に入れることで生じさせた溶液にシクロペンタンカルボニルクロライド(0.0008モル)を加えた後の混合物を撹拌し、次にNaCO(0.005モル)を加えた後、この反応混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(勾配溶離剤:CHCl/CHOHを100/0−90/10)で精製した。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させた後、その残留物を乾燥させた。収量:最終的化合物41を0.296g。
実施例B5
最終的化合物17の製造
【0124】
【化26】

【0125】
3−フランカルボン酸(0.0025モル)をCHCl(50ml)に入れることで生じさせた溶液に1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール(0.0025モル)を加えた後の混合物を室温で2時間撹拌した。最終的化合物2(B1.bに従って調製)(0.002モル)を加えた後、この反応混合物を室温で18時間撹拌した。この混合物を希NaOH溶液そして水で洗浄し、乾燥させた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(勾配溶離剤:CHCl/CHOHを98/2−90/10)で精製した。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させた後、その残留物を乾燥させた。収量:最終的化合物17を0.915g。
実施例B6
最終的化合物24および21の製造
【0126】
【化27】

【0127】
α−オキソ−2−フラン酢酸(0.001モル)と1,1’−カルボニルビス−1H−イミダゾール(0.0011モル)をCHCl(50ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で4時間撹拌した後、最終的化合物2(B1.bに従って調製)(0.001モル)を加えて、この反応混合物を一晩撹拌した。この混合物を希NaOH溶液で30分間洗浄しそして水で洗浄し、乾燥させた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をカラムクロマトグラフィー(勾配溶離剤:CHCl/CHOHを98/2−90/10)で精製した。生成物画分を2画分集め、それらの溶媒を蒸発させた後、各残留物を乾燥させた。画分1の収量:化合物24を0.120gおよび画分2の収量:化合物21を0.147g。
実施例B7
最終的化合物54の製造
【0128】
【化28】

【0129】
(2S)−1−(1,1−ジメチルエチル)−1,2−ピロリジンジカルボン酸エステル(0.0028モル)とN’−(エチルカルボニミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(0.0038モル)と最終的化合物2(B1.bに従って調製)(0.0025モル)をCHCl、p.a.(50ml)に入れることで生じさせた混合物にEtN(0.0051モル)を加えた。この反応混合物を室温で1.5時間撹拌した後、一晩放置した。その溶液をNaOH(0.3N)で洗浄し、その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾別した後、溶媒を蒸発させた。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(勾配溶離剤:CHCl/CHOHを100/0から90/10)で精製した。生成物画分を集め、溶媒を蒸発させた後、その残留物を50℃で2日間乾燥(真空)させた。収量:最終的化合物54を1.01g(52%)。
実施例B8
最終的化合物67の製造
【0130】
【化29】

【0131】
最終的化合物2(B1.bに従って調製)(0.001モル)と4−ヒドロキシ安息香酸(0.001モル)とHOBT(0.001モル)とEtN(0.001モル)をCHCl(5ml)に入れることで生じさせた溶液にEDCI(0.001モル)を分割して加えた。この混合物を室温で8時間撹拌した後、HOで洗浄した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(0.5g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOHを96/4/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。その残留物をジエチルエーテルから結晶化させた。その沈澱物を濾別した後、乾燥させた。収量:最終的化合物67を0.14g(23%)。
実施例B9
最終的化合物66の製造
【0132】
【化30】

【0133】
最終的化合物2(B1.bに従って調製)(0.0006モル)をTHF(5ml)に入れることで生じさせた室温の混合物に2−イソシアナトプロパン(0.0007モル)を加えた。この混合物を室温で2時間撹拌した。HOを加えた。この混合物にCHClを用いた抽出を受けさせた。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(0.4g)をクロマシル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOHを95/5/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:最終的化合物66を0.2g(43%)。
実施例B10
a. 最終的化合物77の製造
【0134】
【化31】

【0135】
最終的化合物2(B1.bに従って調製)(0.001モル)と2−チエニルホウ素酸(0.001モル)と1,4−ジオキサン−2,5−ジオール(0.001モル)をエタノール(5ml)に入れることで生じさせた混合物を室温で18時間撹拌した。溶媒を乾燥まで蒸発させた。その残留物をCHClに溶解させた。その有機層を10%のKCOで洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(0.6g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOHを97/3/0.5)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:最終的化合物77を0.13g(21%)。
b. 最終的化合物124の製造
【0136】
【化32】

【0137】
最終的化合物89(B10.aに従って調製)(0.185g、0.251ミリモル)とジメチルアミノピリジン(0.05g、0.376ミリモル)をCHCl(2ml)に入れることで生じさせた室温の混合物に無水酢酸(0.003ml、0.301ミリモル)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌し、10%のKCOの中に注ぎ込み、CHClで抽出し、MgSOで乾燥させた後、真空下で濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOHを97/3/0.3)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:最終的化合物124を0.147g(75%)。
実施例B11
最終的化合物91の製造
【0138】
【化33】

【0139】
ジメチル−N−シアノジチオイミノカーボネート(1g、6.8ミリモル)とイソプロピルアミン(0.6ml、6.8ミリモル)を10mlのアセトニトリルに入れることで生じさせた混合物を還流下に5時間加熱した。この溶液を−10℃に冷却した後、最終的化合物2(B1.bに従って調製)(3.87g、6.8ミリモル)そして3NのNaOH溶液(2.3ml、6.8ミリモル)を逐次的に加えた。この混合物を5分間撹拌した後、硝酸銀(1.16g、6.8ミリモル)をアセトニトリル(5ml)に入れて滴下した。この反応混合物を0℃で2時間に続いて室温で2時間撹拌した。この反応混合物を濾過した後、その残留物をアセトニトリルで洗浄した。溶媒を蒸発させた後、その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/MeOH/NHOHを95/5/0.5)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:最終的化合物91を0.96g(21%)。
実施例B12
最終的化合物103の製造
【0140】
【化34】

【0141】
1,1−ビス(メチルチオ)−2−ニトロエチレン(0.30g、1.8ミリモル)とイソプロピルアミン(0.16ml、1.8ミリモル)をアセトニトリル(5ml)に入れることで生じさせた混合物を還流下に一晩加熱した。この溶液を−10℃に冷却した後、最終的化合物2(B1.bに従って調製)(0.529g、0.9ミリモル)そして3Nの水酸化ナトリウム溶液(0.9ml、0.9ミリモル)を逐次的に加えた。この混合物を5分間撹拌した後、硝酸銀(0.16g、0.9ミリモル)をアセトニトリル(5ml)に入れることで生じさせた溶液を滴下した。この反応混合物を0℃で2時間に続いて室温で一晩撹拌した。この溶液を濾過した後、その残留物をアセトニトリルで洗浄した。溶媒を蒸発させた後、その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(クロマシル10μm、溶離剤:CHCl/MeOH/NHOHを96/4/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、蒸発させた。収量:最終的化合物103を0.217g(34%)。
実施例B13
a. 最終的化合物83の製造
【0142】
【化35】

【0143】
最終的化合物2(B1.bに従って調製)(0.002モル、1.0g)をジクロロメタンに入れることで生じさせた室温の溶液に中間体化合物6(A2.bに従って調製)(0.002モル、0.55g)を分割して加えた。この混合物を室温で18時間撹拌し、10%のKCOで洗浄し、MgSOで乾燥させた後、濃縮した。その粗生成物(1.6g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(クロマシル10μm、溶離剤:CHCl/MeOH/NHOHを99/1/0.2)で精製した。高純度画分を集めた後、蒸発させた。収量:最終的化合物83を1.19g(77%)。
b. 最終的化合物96の製造
【0144】
【化36】

【0145】
最終的化合物83(B13.aに従って調製)(0.001モル、0.9g)をジクロロメタン(10ml)に入れることで生じさせた−70℃の溶液にN流下で三臭化ホウ素(CHCl中1M)(0.009モル、5.2ml)をゆっくり加えた。この反応物の温度を−50℃になるまでゆっくり上昇させた後、この混合物を−50℃で1時間撹拌した。この混合物に10%のKCOを用いた加水分解、ジクロロメタンを用いた抽出、MgSOを用いた乾燥、そして濃縮を受けさせた。その粗生成物(0.65g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(クロマシル10μm、勾配溶離剤:CHCl/MeOH/NHOHを96/4/0.1から92/8/0.5)で精製した。高純度画分を集めた後、蒸発させた。収量:最終的化合物96を0.11g(14%)。
実施例B14
a. 最終的化合物93の製造
【0146】
【化37】

【0147】
最終的化合物2(B1.bに従って調製)(0.002モル、1g)と中間体化合物8(A3.bに従って調製)(0.002モル、0.54g)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.002モル、0.28g)とトリエチルアミン(0.003モル、0.36ml)をジクロロメタン(10ml)に入れることで生じさせた室温の溶液に塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(0.002モル、0.32g)を分割して加えた。この混合物を室温で18時間撹拌した後、10%のKCOで洗浄し、MgSOで乾燥させた後、濃縮した。その粗生成物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(クロマシル10μm、溶離剤:CHCl/MeOH/NHOHを97/3/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、蒸発させた。収量:最終的化合物93を01.07g(65%)。
b. 最終的化合物98の製造
【0148】
【化38】

【0149】
最終的化合物83(B13.aに従って調製)の代わりに最終的化合物93(B14.aに従って調製)を用いる以外は実施例B13.bに記述した手順と同じ手順を用いた。
実施例B15
最終的化合物3の製造
【0150】
【化39】

【0151】
最終的化合物2(B1.bに従って調製)(0.00257モル)とEtN p.a.(0.0035モル)とN,N−ジメチル−4−ピリジンアミン(0.01g)をCHCl p.a.(10ml)に入れることで生じさせた室温の溶液に3,5−ジメチルベンゾイルクロライド(0.00309モル)を加えた後の混合物を一晩撹拌した。この反応混合物をHOとCHClの間で分離させた。有機層を分離してHOで洗浄し、乾燥させた後、濃縮した。その残留物をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/MeOHを95/5)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。この画分(淡黄色油)を再びシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/MeOHを98/2)で精製した。生成物画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:1.75g。この画分をNaOH溶液そしてHOで洗浄した後、乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。収量:最終的化合物3を1.3g。
実施例B16
最終的化合物78の製造
【0152】
【化40】

【0153】
最終的化合物72(B3に従って調製)(0.001モル)をCHCl(10ml)に入れることで生じさせた−70℃の溶液にBBr(0.005モル)をゆっくり加えた。この混合物を室温になるまでゆっくり冷却した後、18時間撹拌した。HOを加えた。この混合物をNHOHで塩基性にした後、CHClで抽出した。その有機層を分離し、乾燥(MgSO)させ、濾過した後、溶媒を蒸発させた。その残留物(0.8g)をシリカゲル使用カラムクロマトグラフィー(溶離剤:CHCl/CHOH/NHOHを97/3/0.1)で精製した。高純度画分を集めた後、溶媒を蒸発させた。収量:最終的化合物78を0.497g(63%)。
【0154】
以下の表1および2に例示する化合物をこの上に示した実施例の中の1つに類似した様式で調製した。
【0155】
【表1】

【0156】
【表2】

【0157】
【表3】

【0158】
【表4】

【0159】
【表5】

【0160】
【表6】

【0161】
【表7】

【0162】
【表8】

【0163】
【表9】

【0164】
【表10】

【0165】
【表11】

【0166】
C. 分析データ
数多くの化合物に関して融点、LCMSデータまたは旋光度を記録した。
1. 融点
可能ならばLeica VMHB Koffler bankを用いて融点(または範囲)を得た。融点に補正を受けさせない。
【0167】
【表12】

【0168】
2. LCMS条件
方法A
Waters Alliance HT 2790装置(Waters、Milford、MA)を用い、カラムヒーターを40℃に設定して、HPLC勾配をかけた。カラムから出る流れをWaters 996光ダイオードアレイ(PDA)検出器とWaters−Micromass ZQ質量分析計(正および負イオン化モードで作動するエレクトロスプレーイオン化源が備わっている)に分割した。Xterra MS C18カラム(3.5mm、4.6x100mm)を用い、流量を1.6ml/分にして、逆相HPLCを実施した。3種類の可動相[可動相A:25mMの酢酸アンモニウムが95%+アセトニトリルが5%;可動相B:アセトニトリル;可動相C:メタノール]を用いて、Aが100%からBが50%とCが50%に6.5分間で至らせ、Bが100%に1分間で至らせ、Bが100%に1分間で至らせ、そして再びAが100%の平衡状態に1.5分間置くと言った勾配条件で流した。10μLの注入容積を用いた。
【0169】
0.1秒の滞留時間を用いて100から1000を1秒間で走査することで質量スペクトルを取得した。毛細管針電圧を3kVにしそして源の温度を140℃に維持した。噴霧ガスとして窒素を用いた。コーン電圧を正イオン化モードの時には10Vにしそして負イオン化モードの時には20Vにした。Waters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いてデータ取得を実施した。
【0170】
【表13】

【0171】
【表14】

【0172】
【表15】

【0173】
方法B
Waters Alliance HT 2790装置(Waters、Milford、MA)を用い、カラムヒーターを40℃に設定して、HPLC勾配をかけた。カラムから出る流れをWaters 996光ダイオードアレイ(PDA)検出器とWaters−Micromass ZQ質量分析計(正および負イオン化モードで作動するエレクトロスプレーイオン化源が備わっている)に分割した。Xterra MS C18カラム(5mm、3.9x150mm)を用い、流量を1ml/分にして、逆相HPLCを実施した。2種類の可動相[可動相A:6.5mMの酢酸アンモニウムが85%+アセトニトリルが15%;可動相B:6.5mMの酢酸アンモニウムが20%+アセトニトリルが80%]を用いて、Aが100%に3分間置きそしてそれからBが100%に5分間で至らせ、Bが100%に6分間置きそしてそれからAが100%に3分間で至らせそして再びAが100%の平衡状態に3分間置くと言った勾配条件で流した。質量スペクトルを方法Aと同様に取得した。
【0174】
【表16】

【0175】
方法C
Waters Alliance HT 2790装置(Waters、Milford、MA)を用い、カラムヒーターを40℃に設定して、HPLC勾配をかけた。カラムから出る流れをWaters 996光ダイオードアレイ(PDA)検出器とWaters−Micromass ZQ質量分析計(正および負イオン化モードで作動するエレクトロスプレーイオン化源が備わっている)に分割した。クロマシル(Kromoasil)C18カラム(5mm、4.6x150mm)を用い、流量を1ml/分にして、逆相HPLCを実施した。2種類の可動相[可動相A:6.5mMの酢酸アンモニウムが30%+アセトニトリルが40%+蟻酸(2ml/l)が30%;可動相B:アセトニトリルが100%]を用いて、Aが100%に1分間置きそしてそれからBが100%に4分間で至らせ、Bが100%に5分間置きそしてそれからAが100%に3分間で至らせそして再びAが100%の平衡状態に2分間置くと言った勾配条件で流した。質量スペクトルを方法Aと同様に取得した。
【0176】
【表17】

【0177】
旋光度
旋光計(Perkin Elmer)を用い、セル光路=1dm、容積=5mlおよび濃度=0.5mg/mlを用いて、旋光度を20℃のメタノール中で記録した。
【0178】
【表18】

【0179】
D. 薬理学的実施例
実施例C.1:h−NK、h−NKおよびh−NK受容体に対する結合実験
放射性リガンド結合技術を用いて、本発明に従う化合物がいろいろな神経伝達物質受容体、イオンチャネルおよびトランスポータ結合部位に対して示す相互作用を調査した。組織ホモジェネートまたは興味の持たれる受容体またはトランスポータを発現する細胞から得た膜を放射能標識化物質([H]−または[125I]リガンド)と一緒にインキュベートすることで個々の受容体に標識を付けた。当該受容体部位との結合に関して前記放射性リガンドと競合することが知られている未標識薬剤(ブランク)を用いて当該受容体の標識付けを選択的に阻害することを通して、そのような放射性リガンドが示す特異的受容体結合を非特異的膜標識付けから区別した。インキュベーションを行った後、標識が付けられた膜を収穫し、そして吸引下の急速濾過を用いて過剰量の冷緩衝液で濯ぐことで、結合しなかった放射能を除去した。膜に結合した放射能の計数をシンチレーションカンウタを用いて実施し、結果を1分当たりのカウント数(cpm)で表した。
【0180】
当該化合物をDMSOに溶解させて、10−10から10−5Mの範囲の10種類の濃度で試験した。
【0181】
本発明に従う化合物がCHO細胞の中で発現するクローン化ヒトh−NK受容体から[H]−サブスタンスPを追い出す能力、Sf9細胞の中で発現するクローン化ヒトh−NK受容体から[H]−SR−48968を追い出す能力およびCHO細胞の中で発現するクローン化ヒトh−NK受容体から[H]−SR−142801を追い出す能力を評価した。
【0182】
本発明に従うあらゆる化合物が示したh−NKに関する受容体結合値(pIC50)は10から6の範囲である。
実施例C.2: シグナル伝達(ST)
この試験では機能的NK拮抗活性をインビトロで評価する。細胞内Ca++濃度を測定する目的で、Costarの96穴(黒色の壁/透明な底)プレートを用いて細胞をこれらが密集状態に到達するまで2日間増殖させた。前記細胞にBSAが0.1%とプロベネシドが2.5mM入っているDMEM中2μMのFluo3を37℃で1時間充填した。それらをプロベネシドが2.5mMとBSAが0.1%入っているクレブス緩衝液(140mMのNaCl、1mMのMgClx6HO、5mMのKCl、10mMのグルコース、5mMのHEPES;1.25mMのCaCl;pH7.4)(Ca++緩衝液)で3回洗浄した。前記細胞をある範囲の濃度の拮抗薬と一緒にして室温で20分間プレインキュベートしそして作動薬を添加した後のCa++シグナルをFluorescence Image Plate Reader[Molecular Devices(Crawley、英国)のFLIPR]で測定した。Ca++過渡電流のピークを関連シグナルと見なして、相当する穴の平均値を以下に記述する如く分析した。
【0183】
GraphPad Programを用い、カーブフィッティングをコンピューターで処理することで、S字用量反応曲線を分析した。ある化合物が示すEC50値は最大効果の50%を示す有効用量である。平均曲線に関して、最も高い効力を示す作動薬に対する反応を100%に正規化した。拮抗薬の反応に関しては、非線形回帰を用いてIC50値を計算した。
【0184】
選択した代表的な化合物がシグナル伝達試験で示したpIC50データを表8に示す。最後の縦列に当該化合物に最も適した作用(これに限定するものでないが)を示す。勿論、いくつかのニューロキニン受容体に関してはデータを全く測定しなかったことから、そのような化合物に適した用途は別の用途である可能性があることは明らかである。
【0185】
【表19】

【0186】
【表20】

【0187】
【表21】

【0188】
E. 組成物実施例
本実施例の全体に渡って用いる如き「活性材料」(A.I.)は、式(I)で表される化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグに関する。
実施例E.1: 経口用点滴薬
500グラムのA.I.を0.5 lの2−ヒドロキシプロピオン酸と1.5 lのポリエチレングリコールに60〜80℃で溶解させた。30〜40℃に冷却した後、ポリエチレングリコールを35 l添加して、その混合物を充分に撹拌した。次に、1750グラムのサッカリンナトリウムを2.5 lの精製水に入れることで生じさせた溶液を加えた後、撹拌を行ないながらココア風味剤を2.5 lおよびポリエチレングリコールを体積が50 lになるに適切な量で加えることで、A.I.を10mg/ml含有する経口用点滴薬溶液(oral drop solution)を得た。その結果として得た溶液を適切な容器の中に充填した。
実施例E.2: 経口用溶液
9グラムの4−ヒドロキシ安息香酸メチルおよび1グラムの4−ヒドロキシ安息香酸プロピルを4 lの沸騰している精製水に入れて溶解させた。3 lの前記溶液に最初に2,3−ジヒドロキシブタン二酸を10グラム溶解させた後、A.I.を20グラム溶解させた。この後者の溶液を前者の溶液の残りの部分と一緒にした後、これに12 lの1,2,3−プロパントリオールおよび3 lの70%ソルビトール溶液を加えた。40グラムのサッカリンナトリウムを0.5 lの水に溶解させた後、ラズベリーのエキスを2 mlおよびグーズベリーのエキスを2 ml加えた。この後者の溶液を前者と一緒にし、水を体積が20 lになるに適切な量で加えることで、活性材料が茶サジ1杯(5ml)当たり5mg入っている経口用溶液を得た。その結果として得た溶液を適切な容器の中に充填した。
実施例E.3:フィルムコート錠
錠剤中心部の調製
A.I.が100グラムでラクトースが570グラムで澱粉が200グラムの混合物を充分に混合した後、5グラムのドデシル硫酸ナトリウムと10グラムのポリビニルピロリドンを約200mlの水に入れることで生じさせた溶液で湿らせた。その湿った状態の粉末混合物をふるいにかけ、乾燥させた後、再びふるいにかけた。次に、微結晶性セルロースを100グラムおよび水添植物油を15グラム加えた。その全体を充分に混合した後、圧縮して錠剤にすることで、各々が活性材料を10mg含有する錠剤を10,000個得た。
コーティング
10グラムのメチルセルロースを75mlの変性エタノールに入れることで生じさせた溶液に、5グラムのエチルセルロースを150mlのジクロロメタンに入れることで生じさせた溶液を加えた。次に、ジクロロメタンを75mlおよび1,2,3−プロパントリオールを2.5ml加えた。10グラムのポリエチレングリコールを溶融させた後、75mlのジクロロメタンに溶解させた。この後者の溶液を前者に加えた後、オクタデカン酸マグネシウムを2.5グラム、ポリビニルピロリドンを5グラムおよび濃カラー懸濁液を30ml加えて、その全体を均一にした。コーティング装置を用いて、そのようにして得た混合物で前記錠剤中心部を覆った。
実施例E.4: 注射可能溶液
1.8グラムの4−ヒドロキシ安息香酸メチルおよび0.2グラムの4−ヒドロキシ安息香酸プロピルを約0.5 lの沸騰している注射用水に入れて溶解させた。約50℃に冷却した後、撹拌を行ないながら乳酸を4グラム、プロピレングリコールを0.05グラムおよびA.I.を4グラム加えた。この溶液を室温に冷却した後、注射用水を総量(ad)が1 lになるに適切な量で補充することで、A.I.が4mg/ml入っている溶液を得た。この溶液を濾過で滅菌した後、無菌容器の中に充填した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

[式中、
nは、0、1または2に相当する整数であり、
mは、1または2に相当する整数であるが、但し、mが2の時にはnが1であることを条件とし、
pは、1または2に相当する整数であり、
qは、0または1に相当する整数であり、
Qは、OまたはNRであり、
Xは、共有結合、または式−O−、−S−または−NR−で表される二価の基であり、
各Rは、互いに独立して、水素またはアルキルであり、
各Rは、互いに独立して、Ar、Ar−アルキルおよびジ(Ar)−アルキルの群から選択され、
は、Ar、Ar−アルキル、ジ(Ar)アルキル、HetまたはHet−アルキルであり、
Yは、共有結合、または式−C(=O)−、−SO−、>C=CH−Rまたは>C=N−R(ここで、RはCNまたはニトロである)で表される二価の基であり、
各Alkは、互いに独立して、共有結合;炭素原子数が1から6の二価の直鎖もしくは分枝飽和もしくは不飽和炭化水素基;または炭素原子数が3から6の環状飽和もしくは不飽和炭化水素基を表し、ここで、各基は場合により1個以上の炭素原子が1個以上のフェニル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ホルミルまたはアミノ基で置換されていてもよく、
Lは、水素、アルキル、アルキルオキシ、Ar−オキシ、アルキルオキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、モノ−およびジ(アルキル)アミノ、モノ−およびジ(Ar)アミノ、Ar、Arカルボニル、HetおよびHetカルボニルの群から選択され、
Arは、場合により各々が互いに独立してハロ、アルキル、シアノ、アミノカルボニルおよびアルキルオキシの群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
Arは、各々が場合により各々が互いに独立してハロ、ニトロ、アミノ、モノ−およびジ(アルキル)アミノ、シアノ、アルキル、ヒドロキシ、アルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニルおよびモノ−およびジ(アルキル)アミノカルボニルの群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいナフタレニルもしくはフェニルであり、
Arは、場合により各々が互いに独立してアルキルオキシ、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、Arカルボニルオキシカルボニル、ピリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、モルホリニルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、アミノおよびシアノの群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいナフタレニルもしくはフェニルであり、
Hetは、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される一環状複素環式基、またはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルおよび4a,8a−ジヒドロ−2H−クロメニルの群から選択される二環状複素環式基であり、ここで、各複素環式基は場合によりいずれかの原子がハロ、オキソおよびアルキルの群から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、
Hetは、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ジオキソリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、2H−ピロリル、ピロリニル、イミダゾリニル、ピラゾリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルおよびトリアジニルの群から選択される一環状複素環式基、またはベンゾピペリジニル、キノリニル、キノキサリニル、インドリル、イソインドリル、クロメニル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾ[2,1,3]オキサジアゾリル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシルおよびオクタヒドロベンゾ[1,4]ジオキシルの群から選択される二環状複素環式基であり、ここで、各基は場合によりAr、Arアルキル、Arアルキルオキシアルキル、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシカルボニル、ピペリジニル、ピリジニル、ピロリル、チエニル、オキソおよびオキサゾリルの群から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、そして
アルキルは、炭素原子数が1から6の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基または炭素原子数が3から6の環状飽和炭化水素基であり、これは場合により1個以上の炭素原子がフェニル、ハロ、シアノ、オキソ、ヒドロキシ、ホルミルおよびアミノの群から選択される1個以上の基で置換されていてもよい]
に従う化合物、これの薬学的に受け入れられる酸もしくは塩基付加塩、これの立体化学的異性体形態、これのN−オキサイド形態およびこれのプロドラッグ。
【請求項2】
nが1であり、
mが1であり、
pが1であり、
qが0であり、
QがOであり、
Xが共有結合であり、
各RがArまたはAr−アルキルであり、
がArであり、
Yが共有結合、または式−C(=O)−、−SO−、>C=CH−Rまたは>C=N−R(ここで、RはCNまたはニトロである)で表される二価の基であり、
各Alkが互いに独立して共有結合;炭素原子数が1から6の二価の直鎖もしくは分枝飽和炭化水素基;または炭素原子数が3から6の環状飽和炭化水素基を表し、ここで、各基が場合により1個以上の炭素原子が1個以上のヒドロキシ基で置換されていてもよく、
Lが水素、アルキル、アルキルオキシ、アルキルカルボニルオキシ、モノ−およびジ(アルキル)アミノ、モノ−およびジ(Ar)アミノ、Ar、HetおよびHetカルボニルの群から選択され、
Arがフェニルであり、
Arが場合により1、2または3個のアルキル基で置換されていてもよいフェニルであり、
Arが場合により各々が互いに独立してアルキルオキシ、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、Arカルボニルオキシカルボニルおよびシアノの群から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり、
Hetがテトラヒドロフラニル、ピロリジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、フラニル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ベンゾ[2,1,3]オキサジアゾリルおよびイミダゾ[2.1−b]チアゾリルの群から選択される複素環式基であり、ここで、各基が場合により1個以上のArアルキルオキシアルキル、ハロ、アルキル、アルキルカルボニル、ピリジニルまたはオキサゾリル基で置換されていてもよく、そして
アルキルが場合によりハロおよびヒドロキシの群から選択される1個以上の基で置換されていてもよい炭素原子数が1から6の直鎖炭化水素基である、
ことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
がArメチルでありかつ2位に結合しているか或はRがArでありかつ3位に結合していることを特徴とする請求項1−2のいずれか記載の化合物。
【請求項4】
−X−C(=Q)−部分が3,5−ジ−(トリフルオロメチル)フェニルカルボニルであることを特徴とする請求項1−3のいずれか記載の化合物。
【請求項5】
pが1であることを特徴とする請求項1−4のいずれか記載の化合物。
【請求項6】
Yが−C(=O)−であることを特徴とする請求項1−5のいずれか記載の化合物。
【請求項7】
Alkが共有結合であることを特徴とする請求項1−6のいずれか記載の化合物。
【請求項8】
LがHetであることを特徴とする請求項1−3のいずれか記載の化合物。
【請求項9】
表1−2のいずれか1つに挙げる化合物番号が25、48、79、39、15、41、64、88、50、59および3の化合物の群から選択される化合物。
【請求項10】
薬剤として用いるための請求項1−9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
タキキニン介在状態治療用薬剤を製造するための請求項1−10のいずれか1項記載化合物の使用。
【請求項12】
統合失調症、嘔吐、不安、鬱病、過敏性腸症候群(IBS)、日周期の乱れ、痛み、神経炎症、喘息、排尿障害、例えば尿失禁などおよび痛覚を治療する薬剤を製造するための請求項11記載の化合物の使用。
【請求項13】
薬学的に受け入れられる担体を含有しかつ請求項1−9のいずれか1項記載の化合物を活性材料として治療的に有効な量で含有して成る薬剤組成物。
【請求項14】
請求項13記載の薬剤組成物を製造する方法であって、薬学的に受け入れられる担体を治療的に有効な量の請求項1−9のいずれか1項記載の化合物と密に混合することを特徴とする方法。
【請求項15】
基R、X、Q、R、m、n、pおよびqが請求項1で定義した通りである式(I”)で表される化合物を製造する方法であって、
【化2】

式(II)で表される中間体化合物と式(III)で表される中間体化合物を反応させる方法。
【請求項16】
基R、X、Q、R、m、n、pおよびqが請求項1で定義した通りである式(I’)で表される化合物を製造する方法であって、
【化3】

式(I”)で表される最終的化合物に還元水添を受けさせる方法。
【請求項17】
式(I’)に従う化合物を製造する方法であって、
1)請求項15記載の式(I”)で表される化合物を得、
2)請求項16記載の式(I’)で表される化合物を得る、
逐次的段階を含んで成る方法。

【公表番号】特表2006−512348(P2006−512348A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561502(P2004−561502)
【出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2003/051035
【国際公開番号】WO2004/056364
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】