説明

羊膜由来ペプチドおよびその使用

【解決課題】様々な状態、傷害および疾患の進行を治療および/または予防するための生物学的に活性なペプチドの合成方法ならびに治療および美容への応用に関する。
【解決手段】生物学的に活性なペプチドは、アミノ酸配列NVSまたはNVSpを含む単離されたペプチドまたはポリペプチド、およびその機能的均等物を提供する。ある態様では、Sの後のアミノ酸は、生物活性を抑制しない。別の態様では、セリンはリン酸化されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傷害および疾患の進行を治療および/または予防するための、生物活性ペプチドの合成方法、ならびに治療および美容への応用に関する。
【0002】
本出願は、2003年11月13日出願の米国特許出願第60/520,458号、2003年11月13日出願の米国特許出願60/520,430号、2004年9月20日出願の米国特許出願第60/611,619号の便益を主張する。これら先行出願の内容は、参照によって、その全体が本明細書の中に組み入れられる。
【0003】
本出願のいたる箇所に、様々な刊行物が参照されている。これら刊行物の開示全体は、本発明が属する技術水準をより完全に記載するために、参照によって本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0004】
本明細書に引用の参照は、請求の発明の先行技術であることを認められたものではない。
本発明は、皮膚の外観を改善するため、創傷の治癒を促進するため、ならびに、これに限定されるものではないが、ウイルス性B型およびC型肝炎、ヘルペス性帯状疱疹神経節神経炎、糖尿病性末梢多発性神経炎、ネフローゼ症候群、若年性リウマチ性関節炎、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、気管支喘息、呼吸器感染症、乳癌、てんかん、乾癬、アテローム性動脈硬化およびその他形状の血管閉塞症、心筋梗塞、HIVおよびSARS感染症、虚血および外傷による脳細胞機能不全、虚血−再潅流による病的結果、臓器移植後の拒絶反応、麻酔薬、アルコールおよびモルヒネを含むが、これに限定されない化学物質および薬物の中毒、癌、1型糖尿病、多発性硬化症、敗血症ショック(グラム陰性敗血症)、パーキンソン病、2型糖尿病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、甲状腺機能更新症、ギラン−バレー症候群、全身性エリテマトーデスおよびその他コラーゲン病、ならびにアポトーシスが起こる疾患を含む様々な状態、傷害および疾患の進行を治療および/または予防するための、生物活性ペプチドの合成方法、ならびに治療および美容への応用に関する。
【0005】
アポトーシス、またはプログラム細胞死は、それによって生体が不要な細胞を排除する主たるメカニズムである。アポトーシスの脱制御は、過剰なアポトーシスもしくはそれが行えないかのいずれについても、癌、急性および慢性炎症性疾患、自己免疫性、免疫性およびアレルギー性疾患、虚血性疾患および/またはある種の神経退行性疾患のような多くの疾患に関係している。
【0006】
アポトーシスの重要な調節因子は、腫瘍壊死因子レセプターである(Chan et al. A Role for Tumor Necrosis Factor Receptor 2 (TNFR-2) and Receptor-interacting Protein (RIP) in Programmed Necrosis and Anti-Viral Responses. JBC Papers in Press. 2004年10月7日を参照):
腫瘍壊死因子(TNF)は、炎症から細胞死に広がる多様な生物反応を仲介する多面発現性サイトカインである。TNFは、その生物学的機能を、その二種類の細胞表面レセプター、即ちTNFR-1およびTNFR-2への結合を通して主に発揮する。研究は、TNFR-2がある条件では、TNFR-1シグナル伝達を亢進できることを示している。集合前TNFR-1のシグナル伝達は、死ドメイン(DD)含有TRADDアダプターの漸増をもたらす。TNF誘導JnkキナーゼおよびNF-κBの活性化には、それぞれ引き続いてのTRAF2またはタンパク質セリン/スレオニンキナーゼRIPの結合が重要である。これに加え、FADDおよびカスパーゼ-8もしくはカスパーゼ-10のTRADDへの結合は、カスパーゼカスケードを始動でき、これが最終的にアポトーシスによる細胞死を起こす。
【0007】
1978年頃に、Vladimir(Lado) Bakhutashviliは、羊膜と漿膜の付いたヒト胎盤組織を用いた、インターフェロン(IF)の安価な供給元を見つける研究を開始した。この材料を記載するのに用いられる用語は、「胎盤インターフェロン」、「プラフェロン(Plaferon)」および「PL」を包含する。
【0008】
この薬学的に活性な作用物質は、次のIF分画を含有することが知られている:アルファ85〜90%、ベータ8〜10%およびガンマ3〜5%。プラフェロンは、国際単位(IU)のIF力価に従って試験され、グルジア国厚生省(Georgian Ministry of Health Care)より抗ウイルスおよび免疫変調薬として登録されている。
【0009】
実験的証拠は、プラフェロンがインターフェロンには知られていない追加の特性を有することを示した。その後、ヒトの羊膜から新規の薬学および治療生成物を製造した。この生成物は、プラフェロン-LB(「PLB」)の名称で市販された。それは、インターフェロンは含まないが、抗低酸素、抗アレルギー、抗毒性、免疫変調性、およびアポトーシス変調性のようなプラフェロンに観察されているいくつかの特性をまた有していた。プラフェロン-LBはまた、HIV、B型およびC型肝炎ウイルスならびにプリオンを含んでいない。
【0010】
プラフェロンの製造は1992年に終了し、またプラフェロンの製造法は米国特許出願第09/928,178号および国際PCT出願第PCT/US01/41666号の出願前には公に開示されていない。
【0011】
プラフェロン-LBは、1992年にグルジア共和国政府から、抗アレルギー抗ウイルスおよび免疫変調作用を持つ医薬品として承認された(グルジア共和国、厚生省、登録番号A-0001)。プラフェロン-LBの製造法は、2001年8月9日出願の米国特許出願第09/928,178号、および2001年8月9日出願の、国際出願番号WO 02/12444の特許協力条約(PCT)出願番号、PCT/US01/41666に開示され、その内容は全ての目的についてそのまま、参照によって本明細書に組み入れられる。米国特許出願第09/928,178号および国際PCT出願第PCT/US01/41666号の出願時点においては、本特許出願の課題である、PLBの活性成分またはプラフェロン-LBの生物活性組成を単離するための方法は共に開示されていない。
【0012】
本明細書に開示された実験は、プラフェロンおよびプラフェロン-LBの多くの生物活性が、低分子ペプチドによりもたらされることを示唆した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
発明のこれら、およびその他目的に従って、本発明の概要を示す。以下の概要では、いくつかの簡略化および省略を行うことがあるが、それは本発明のいくつかの局面を強調して紹介することを意図したものであり、その範囲を限定する意図はない。当業者に発明の概念を作成および使用できるようにするのに適した、好ましい例示的態様の詳細な説明を以降の段落に続ける。
【0014】
本発明は、元々PLBに見出され、DNA組換え体技術、化学合成、rDNA技術、化学工学、および/またはポリヌクレオチドコード化を含む、本明細書に記載の方法によって今回合成された生物活性ペプチドを特徴とする。PLBに元々見出された生物活性ペプチドは、動物の羊膜からも得られる。この生物化性ペプチドはまた、本明細書では「LAJOR ACTIVE PEPTIDE」または「LAP」とも呼ばれる。一つの態様では、LAPは配列番号1〜5のアミノ酸配列の一つを有している。
【0015】
一つの局面では、本発明は、LPAを含有する化粧用、薬学的および/または治療用組成物を用いた、皮膚の外観を改良するため、および創傷の治癒を早めるための方法を提供する。
【0016】
別の局面では、本発明は、LAP含有薬学的および治療用組成物を用いた、ウイルス性肝炎患者の肝機能および免疫学的指標の生化学的パラメータを正常化するための方法を提供する。
【0017】
別の局面では、本発明は、LAP含有薬学的および治療用組成物を用いた、乳癌被験体において、腫瘍血清マーカーのCA15.3のレベルを正常化し、また腫瘍浸潤性CD5’T細胞およびCD11マクロファージを増やす、免疫変調のための方法を提供する。
【0018】
さらなる局面では、本発明は、ヘルペス性帯状疱疹神経節神経炎、糖尿病性末梢多発性神経炎、ネフローゼ症候群、突発性腎疾患症候群、若年性リウマチ性関節炎、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、気管支喘息、呼吸器感染症、乳癌、てんかん、乾癬、アテローム性動脈硬化およびその他形状の血管閉塞症、心筋梗塞、HIVおよびSARS感染症、多臓器の虚血および外傷による脳細胞機能不全、虚血−再潅流による病的結果、臓器移植後の拒絶反応、麻酔、アルコールおよびモルヒネを含むが、これに限定されない化学物質および薬物の中毒、癌、1型糖尿病、多発性硬化症、敗血症ショック(グラム陰性敗血症)、パーキンソン病、2型糖尿病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、甲状腺機能亢進症、ギラン−バレー症候群、寄生虫感染、特にリーシュマニア症、全身性エリテマトーデスおよびその他コラーゲン病および潰瘍性大腸炎を含むが、これに限られるものではない各種の状態、傷害、および疾患の進行を治療する、および/または予防するための方法を提供する。
【0019】
さらに別の局面では、本発明はアポトーシスが起こる疾患を治療するための方法を提供する。
【0020】
発明を例示する目的で、現時点で好ましい形態を図面に示す。しかしながら、本発明は図面に描かれたものと寸分違わない配置および手段に限定されるものではないことを理解しなければならない。
【0021】
本発明を、好ましい態様と関連付けて記載するが、しかしながら、これが発明を記載した態様に限定することを意図するものではないことが分かるだろう。逆に、添付のクレームによって画定される発明の精神および範囲内に含めることができる全ての変換、改良および均等物を包含することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、配列番号1〜5またはその機能的均等物からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたペプチドを提供する。ある態様では、配列中のセリンは、その活性状態、局在、代謝回転、および/または他タンパク質との相互作用を変えるように変換される。別の態様では、セリンはリン酸化により修飾される。リン酸化したセリンを持つペプチドは、NH2-NVSpAVEIA-COOH(配列番号2)のアミノ酸配列を有する。
【0023】
本明細書に用いる場合、タンパク質変換は、タンパク質の物理的および科学的特性、折りたたみ、高次構造分布、安定性、活性および機能を変えることを包含するが、これらに限定されるものではない[103]。変換は、タンパク質分解的に開裂すること、または一または複数のアミノ酸に修飾基を付加することによってタンパク質の特性を変えることを含んでもよい[101]。さらには、変換そのものが、付加された官能基として働くことができる。タンパク質変換の生物効果の例としては、シグナル伝達に関するリン酸化、タンパク質分解の遍在、膜の固着および会合のための脂肪酸の付着、タンパク質半減期に関する糖化、標的化、細胞:細胞および細胞:マトリックス相互作用[103]が挙げられる。その他の一般的なタイプのタンパク質変換としては、アセチル化、メチル化、脂肪酸修飾、酵素およびレセプターのグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーまたは膜束縛、ヒドロキシプロリン、硫酸化、ジスルフィド結合形成、脱アミド化、ピログルタミン酸、および遍在化が挙げられる[101]。
【0024】
糖化は、タンパク質の折りたたみ、高次構造分布、安定性よび活性に対し大きな影響を有することが知られている。アスパラギン結合(N結合)またはセリン/スレオニン(O結合)オリゴ糖の形態をした炭水化物は、多くの細胞表面および分泌タンパク質の主要構造成分である[103]。リン酸化、主にセリン、スレオニンまたはチロシン残基でのリン酸化は、最も重要かつ良く研究された翻訳後修飾の一つである。リン酸化は、細胞周期、増殖、アポトーシスおよびシグナル伝達経路を含む多くの細胞プロセスの制御において重要な役割を果たしている[103]。
【0025】
変換後のタンパク質の機能は、例えば、未知の機能を持つタンパク質を機能分類に割り振るのに用いることができる関連特性を見つけ出して統合する配列をベースとした方法を用いるような、当技術分野周知である方法を用いて決定できる[102]。
【0026】
本明細書で用いる場合、機能的均等物は、上記ペプチドと均等な機能を実行できる化合物である。一つの態様では、配列番号1または2のアミノ酸配列を有するタンパク質、その対立遺伝子変種、相同種およびウイルス相同体、同じく前記アミノ酸配列の生物特性を保持している断片を含むその誘導体、ならびにそれに実質的に相同であるタンパク質は、発明のポリペプチドの全ての特性を保持している。
【0027】
ペプチドは、2またはそれ以上のアミノ酸からなる。ペプチドは、同様にアミノ酸のより長い差であるタンパク質より小さい。十分に小さく、構成アミノ酸から合成できる分子は、便宜上タンパク質ではなくペプチドと呼ぶ。境界線は約25〜50アミノ酸である。
【0028】
アミノ酸は、タンパク質またはポリペプチドの基本的構築単位である。それらは塩基性のアミノ(NH2)基、酸性カルボキシル(COOH)基、およびアルファ炭素原子に結合した側鎖(様々な種類の複数のR-)を含む。二十種類のアルファアミノ酸について、それらの生物学的および薬学的特性が認められている。
【0029】
二十種類の生物学的に活性なアルファアミノ酸およびその三文字および一文字標記は次の通りである:アラニン−ala−A;アルギニン−arg−R;アスパラギン−asn−N;アスパラギン酸−asp−D;システイン−cys−C;グルタミン-gln−Q;グルタミン酸−glu−E;グリシン−gly−G;ヒスチジン−his−H;イソロイシン−ile−I;ロイシン−leu−L;リジン−lys−K;メチオニン−met−M;フェニルアラニン−phe−F;プロリン−pro−P;セリン−ser−S;スレオニン−thr−T;トリプトファン−trp−W;チロシン−tyr−Y;およびバリン−val−V。
【0030】
これら二十種類のアルファアミノ酸は、側鎖の性質に従ってサブグループに分類される:
・脂肪族−アラニン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、バリン
・芳香族−フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン
・酸性−アスパラギン酸、グルタミン酸
・塩基性−アルギニン、ヒスチジン、リジン
・水酸性−セリン、スレオニン
・硫黄含有−システイン、メチオニン
・アミド性(アミド基を含有する)−アスパラギン、グルタミン
【0031】
本発明は、配列番号1〜5から成る群より選択されるアミノ酸配列、またはその機能的均等物を含む単離されたポリペプチドを提供する。ある態様では、配列中のセリンは、その活性状態、局在、代謝回転および/または他のタンパク質との相互作用が変化するように変換されている。別の態様では、セリンは、リン酸化によって修飾されている。
【0032】
本出願は、これらアミノ酸の変換およびこれらアミノ酸の置換基を包含する発明の変換体を含むことを意図する。
【0033】
ポリペプチドは、ペプチド結合により連結したアミノ酸鎖(10〜100)からなる化合物である。
【0034】
本発明は、配列番号1〜5から成る群より選択されるアミノ酸配列、またはその機能的均等物を含むポリペプチドをコードする単離された核酸分子を提供する。一つの別の態様では、本発明は、配列NH2-NVSAVEIA-COOH(配列番号1)またはNH2-NVSpAVEIA-COOH(配列番号2)を持つペプチドをコードする単離された核酸分子を提供する。
【0035】
本発明は、アミノ酸配列NVSまたはNVSpを含む単離されたペプチドまたはポリペプチド、およびその機能的均等物を提供する。ある態様では、Sの後のアミノ酸は、生物活性を抑制しない。別の態様では、セリンはリン酸化されている。
【0036】
本発明はまた、NVS、NVSpのアミノ酸配列を有するトリペプチド、またはアミノ酸配列X-N-(VまたはL)-ブロッキング化学物質-Yを含むペプチドを提供するが、このときNの前のアミノ酸は生物活性を抑制せず、VもしくはLの後のアミノ酸は非天然アミノ酸もしくはリン酸塩またはポリビニルスルホンのようなその他ブロッキング化学物質でよい。一つの態様では、NVSもしくはNVSpのアミノ酸配列を有するトリペプチドは、被験体の皮膚の状態を改善するのに用いることができる。
【0037】
本発明は、アミノ酸配列NVSpを包含するポリペプチドをコードしている単離された核酸分子を提供する。別の態様では、本発明は、配列NVSpを持つペプチドをコードしている単離された核酸分子を提供する。
【0038】
本明細書で使用する場合、核酸は、本発明の単離されたペプチドもしくはその機能的均等物またはポリペプチドをコードするRNAまたはDNA、あるいはそのようなペプチドもしくはポリペプチドをコードする核酸に相補的であるRNAまたはDNAとして定義される。
【0039】
本発明は、配列番号1〜5からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードする核酸分子を含むベクター、またはその機能的均等物を提供する。
【0040】
本明細書で使用する場合、ベクターは、遺伝子工学的に作られたDNA断片を宿主細胞に運び込む、ウイルスまたはプラスミドのような、キャリアまたはトランスポータとして働く作用体として定義される。
【0041】
本発明は、配列番号1〜5よりなる群から選択されたアミノ酸配列をコードする核酸分子または核酸分子のベクター、またはその機能的均等物を含有する細胞を提供する。
【0042】
本発明は、上記ポリペプチドもしくはペプチド、またはその機能的均等物の発現のための発現系を提供する。一つの態様では、本発明は、アミノ酸配列N2-NVSAVEIA-COOH(配列番号1)をコードする単離された核酸分子または単離された核酸分子のベクターを含む発現系を提供する。
【0043】
本発明は、配列番号1〜5よりなる群から選択されたアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド、またはその機能的均等物を製造するための方法を提供する。前記単離されたペプチドもしくはその均等物、または前記単離されたポリペプチドは、前記ポリペプチドをコードする核酸分子を適当な細胞に導入すること、および細胞を好ましい条件に置いて、前記ペプチドもしくはその均等物または前記ポリペプチドを発現させることによって製造する。
【0044】
ある態様では、上記の方法は、前記ペプチドおよびその機能的均等物または前記ポリペプチドの回収をさらに含む。
【0045】
別の態様では、核酸分子は制御要素に作動可能に連結する。前記制御要素としては、プロモータ、エンハンサーおよび遺伝子発現にとって必須であるモチーフがあげられるが、これらに限定されものではない。
【0046】
さらなる態様では、核酸分子はベクターに連結する。
【0047】
本発明は、配列番号1〜5よりなる群から選択されたアミノ酸配列またはその均等物をコードする核酸分子またはベクターを含むトランスジェニック動物またはキメラを提供する。
【0048】
本発明はまた、前記トランスジェニック動物またはキメラの作製方法も提供する。
【0049】
一つの態様では、本発明は、アミノ酸配列N2-NVSAVEIA-COOH(配列番号1)をコードする核酸分子またはアミノ酸配列N2-NVSAVEIA-COOH(配列番号1)をコードする核酸分子のベクターを含む動物を提供する。本発明はまた、前記動物の作製方法も提供する。
【0050】
本発明は、適当なキャリアおよび配列番号1〜5よりなる群から選択されたアミノ酸配列を含む単離されたペプチドまたはその機能的均等物を含む組成物を提供する。
【0051】
本明細書で用いる場合、用語適当なキャリアとしては、当業者に公知である、薬学的組成物を投与するのに適したキャリアが挙げられるが、これに限定されるものではない。キャリアのタイプは、投与の様式によって変わるだろう。
【0052】
非経口投与(例えば皮下注射)用組成物に関しては、用語適当なキャリアとしては、水、食塩水、アルコール、脂質、ワックスまたはバッファーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
経口投与用組成物に関しては、用語適当なキャリアとしては上記キャリアが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、あるいはマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウム糖、タルク、セルロース、グルコース、ショ糖および炭酸マグネシウムのような固体キャリアも使用できる。
【0054】
生体分解性マイクロスフェア(例えばポリラクテートポリグリコレート)もまた、本発明の薬学的組成物のキャリアとして用いることができる。
【0055】
本発明は、薬学的に許容されるキャリア中に、配列番号1〜5よりなる群から選択されたアミノ酸配列を含む単離されたペプチドまたはその機能的均等物を有効量含有する薬学的組成物を提供する。
【0056】
本明細書で使用する場合、薬学的に許容されるキャリアとしては、リン酸緩衝化食塩水液、水および、油/水もしくは水/油乳剤乳液のような乳液のような標準的な薬学的キャリア、ならびに各種湿潤剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。組成物はまた、安定化剤および保存剤を含むことができる。キャリア、安定化剤および補助剤の例については、Martin REMINGTON’S PHARM.SCI., 15版(Mack Publ. Co., Easton (1975))を参照。薬学的に許容されるキャリアは、液体、エアゾール、カプセル、錠剤、ピル、粉末、ゲル、軟膏、クリームおよび下流の群から選択できるだろう。別の態様では、薬学的に許容されるキャリアは、制御放出製剤を含むだろう。さらに別の態様では、薬学的に許容されるキャリアは、水、リン酸緩衝化食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、血清含有溶液、ハンクス溶液、その他の水性の生理学的平衡溶液、油、エステル、グリコール、生体適合ポリマー、重合性マトリックス、カプセル、マイクロカプセル、微粒子、ボーラス製剤、浸透圧ポンプ、拡散装置、リポソーム、リポスフェア、細胞、および細胞膜の群から選択される。
【0057】
別の態様では、上記薬学的組成物はまた、抗生物質、創傷治癒剤、抗酸化剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗虚血剤、傷害治療薬、抗老化剤、免疫変調剤、抗低酸素剤、抗毒剤、抗アレルギー剤、抗シワ剤、抗炎症剤、抗感染症剤、抗免疫原性剤、抗原虫剤、抗寄生虫剤、および抗ガン剤からなる群より選択される作用物質を含んでもよい[1,2,4,7,8,10,13,15,16,18,19,20,27,28,39,50,52,60,66]。
【0058】
一つの態様では、本発明は、局所、舌下、非経口、または胃腸管投与もしくはエアゾール化に適した薬学的に許容されるキャリア中に、アミノ酸配列N2-NVSAVEIA-COOH(配列番号1)を含む単離されたペプチドもしくはその機能的均等物、またはアミノ酸配列N2-NVSAVEIA-COOH(配列番号1)を含む単離されたポリペプチドを有効量含有する薬学的組成物を提供する。
【0059】
一つの態様では、本発明は、化学合成または遺伝子工学によって、配列番号1〜5よりなる群から選択されたアミノ酸配列を含む単離されたペプチドまたはその機能的均等物を製造する方法を提供する。
【0060】
本発明は、被験体に、アミノ酸配列N2-NVSAVEIA-COOH(配列番号1)を含む単離されたペプチドもしくはその機能的均等物、またはアミノ酸配列N2-NVSAVEIA-COOH(配列番号1)を含む単離されたポリペプチドを有効量投与することによって、前記被験体の腎臓組織を保護するための方法を提供する[96]。別の態様では、本明細書に記載されているペプチドまたはそれらの機能的均等物は、眼表面の毛細血管の増殖および炎症を阻止する点眼剤として製剤化でき、例えば本明細書に記載のペプチドまたはそれらの機能的均等物を含む点眼剤は、腐食性作用物質による角膜炎症の治療での治療的使用を提供する。
【0061】
本発明は、被験体の皮膚表面に、配列番号1〜5よりなる群から選択されたアミノ酸配列を含む単離されたペプチドまたはその機能的均等物を有効量接触させることによって、前記被験体の皮膚の外観を改善するための方法を提供する。
【0062】
本明細書に用いる場合、皮膚状態としては、乾癬、アトピー性皮膚炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、湿疹、各種重症度および起源の皮膚火傷、シワ、色素沈着が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ある態様では、本発明のペプチドまたはポリペプチドは、化粧品キャリアと混合または結合する。本明細書で使用する場合、化粧品キャリアは、作用物質、シリコンオイル、増量剤、香油、濁度誘発剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、湿潤剤、色素材、光保護材、抗酸化剤、光沢付加剤および保存剤のような追加成分を少なくとも一つ含む。
【0063】
本発明は、上記ペプチドもしくはその機能的均等物または上記ポリペプチドを有効量用いた、肝炎患者を治療するための方法を提供する。ある態様では、上記ペプチドもしくはその機能的均等物またはポリペプチドは、急性B型肝炎またはC型肝炎患者の肝機能の生化学的パラメータおよび免疫学的指標を正常化し、疾患の症状からの回復を早め、または患者の疾患再発を予防できる[14,26,32,41,42,53,97]。
【0064】
本発明は、上記ペプチドもしくはその機能的均等物またはポリペプチドを有効量用いた、ヘルペス性帯状疱疹神経節神経炎患者を治療するための方法を提供する。ある態様では、前記ペプチドおよび/もしくはその機能的均等物またはポリペプチド有効量は、CD3+、CD4+、CD8+およびHLA-DR抗原を持つT細胞の細胞数を正常化し、ヘルペス性帯状疱疹神経節神経炎患者の神経学的症状を改善できる[45]。
【0065】
本発明は、糖尿病性末梢多発性神経炎患者におけるCD3+およびCD4+T細胞表現形レベルを正常化するための方法を提供する。
【0066】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量、被験体に投与することによってネフローゼ症候群の患者を治療するための方法を提供する[29]。一つの態様では、本発明は、アミノ酸配列NH2-NVSAVEIA-COOH(配列番号1)を含む単離されたペプチドもしくはその機能的均等物、またはアミノ酸配列NH2-NVSAVEIA-COOH(配列番号1)を含む単離されたポリペプチドを被験体に投与することを含む、小児患者のネフローゼ症候群の進行を治療または阻止するための方法を提供する[29]。
【0067】
上記ペプチドもしくはその機能的均等物または上記ポリペプチドは、突発性ネフローゼ症候群(INS)の小児患者に早期および長期の臨床検査値の寛解を促進し、またCD3+およびCDB+Tリンパ細胞の減少を修正できる[29]。
【0068】
発明は、上記ペプチドもしくはその機能的均等物または上記ポリペプチドを有効量投与することを含む、被験体の関節炎の治療または進行を阻止するための方法を提供する。ある態様では、前記ペプチドもしくはその機能的均等物または前記ポリペプチドは、若年性リウマチ性関節炎、リウマチ性関節炎または乾癬性関節炎の被験体の臨床症状および検査指標を改善し、リンパ細胞のインターフェロン形成を刺激し、そして体液性および細胞性免疫を正常化できる[63]。
【0069】
本発明は、上記ペプチドもしくはその機能的均等物またはポリペプチドを有効量投与することを含む、被験体の気管支喘息の治療または進行を阻止するための方法を提供する。ある態様では、前記ペプチドもしくはその機能的均等物または前記ポリペプチドは、気管支喘息患者において、症状軽減のために求められる経口ステロイドの平均一日用量を減らすこと;肺活量パラメータを適度に改善し;またデキサメタゾンに対する感受性を上げることができる[11、36,38,64,65,66,67,68]。
【0070】
本発明は、上記ペプチドもしくはその機能的均等物または上記ポリペプチドを有効量投与することを含む、小児患者での呼吸器感染症の治療または進行を阻止するための方法を提供する。ある態様では、前記ペプチドもしくはその機能的均等物または前記ポリペプチドは、呼吸器感染症の小児患者において、免疫学的指標を改善でき、感染症の頻度を減らすことができる。
【0071】
本発明は、上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することを含む、抗痙攣剤使用しているてんかん被験体におけるアレルギー反応および薬物中毒を軽減するための方法を提供する[6]。
【0072】
本発明は、前記ペプチドもしくはその機能的均等物、または前記ポリペプチドを有効量投与することを含む、被験体の乳癌の治療または進行を阻止するための方法を提供する。ある態様では、上記ペプチドもしくはその機能的均等物または上記ポリペプチドは、乳癌被験体の腫瘍血清マーカーのCA15.3のレベルを正常化することによって、および腫瘍浸潤CD5’-T細胞およびCD11マクロファージを増加させることによって、免疫変調を提供する[60]。
【0073】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその均等物を有効量投与することを含む、結腸直腸癌治療または手術後の被験体の回復を改善するための方法を提供する[98]。
【0074】
本発明は、上記ペプチドもしくはその均等物を有効量投与することを含む、被験体にホジキン病の寛解を誘導するための方法を提供する[100]。
【0075】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその均等物を有効量投与することを含む、被験体の乾癬を治療または進行を阻止するための方法を提供する。ある態様では、前記ペプチドもしくはその均等物または前記ポリペプチドは、乾癬被験体の臨床症状を改善でき、発疹を根絶でき、免疫制御リンパ細胞の活性およびCD3+とCD8のパーセンテージを上げることができる。別の態様では、単離されたペプチドまたはポリペプチドは、本発明の単離されたペプチドまたはポリペプチドの効力を高めるために、乾癬を治療または予防するのに効果的なその他治療用化合物と組み合わせて投与される。LAPと組み合わせて効果的または相乗効果的に用いることのできる薬物または製剤としては、アントラリン、コールタール、コルチコステロイド、レチノイド(タザロテン)、ビタミンD(カルシポトリエン)、ピメクロリムスおよびタクロリムスが挙げられるが、これらに限定されるものではない[104]。
【0076】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって、ヒト被験体のアテローム性動脈硬化およびその他形態の血管閉塞を治療するための方法を提供する。
【0077】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって、被験体の心筋細胞死を制限するための方法を提供する[7,37]。
【0078】
本発明は、高血圧性、ウイルス性および突発性を含む様々な心筋症により減じた心筋収縮力を改善するための方法を提供する。
【0079】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって、被験体に臓器移植後に起こる拒絶反応を制限するための方法を提供する。
【0080】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって、被験体のHIVまたはSARS(重症性急性呼吸器症候群)感染を治療または進行阻止するための方法を提供する。
【0081】
重症性急性呼吸器症候群(SARS)と呼ばれる、中国、広東省で最初に見つかった非定型肺炎の流行は、複数の国に拡大している。同様の例は、2003年2月および3月の間に、香港、ベトナム、カナダの患者に見つかった。世界保険機構(WHO)は、この病気について全世界に警告を発した。2003年3月半ばに、SARSが極東の、重症の呼吸器疾患の世話をしていた医療従事者およびその家族に認められた。これらの例の多くは、広東省から香港を訪れ、肺炎で入院して死亡した者から医療従事者へと伝染した複数の経路を辿ると考えられた。2003年4月下旬までに、世界中の25を超える国から、1000例を超えるSARS例および数百例のSARS関連死がWHOに報告された。これらの例の大部分は、家庭または医療施設内でSARS患者に暴露した後発症していた。本開示は、SARSを予防および/または治療するための方法を提供する。
【0082】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することを含む、被験体の虚血または外傷による脳細胞機能不全を治療する、または進行を阻止するための方法を提供する[17,24]。
【0083】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって、被験体の虚血−再潅流の病的予後を治療するための方法を提供する[8]。
【0084】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって、アルコールおよびモルヒネを含むが、これに限定されるものではない化学物質または麻酔薬中毒を治療するための方法を提供する。
【0085】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって、被験体の創傷治癒を支援または加速するための方法を提供する。
【0086】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって、被験体のウイルス性疾患を治療するための方法を提供する。
【0087】
本発明は、心筋細胞に有効量の上記ペプチドもしくはその機能的均等物を接触させることによって前記心筋細胞を傷害から保護するための方法を提供する。
【0088】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって被験体の心筋細胞を保護するための方法を提供する。
【0089】
ある態様では、心筋細胞は傷害を受けている。本発明は、有効量の上記ペプチドもしくはその機能的均等物に接触させることにより、心筋細胞を更なる傷害から前記心筋細胞を保護するための方法を提供する。心筋細胞が傷害されている場合、本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって、被験体の心筋細胞を保護するための方法を提供する。
【0090】
ある態様では、本発明は心筋細胞への傷害を軽減する。本発明は、有効量の上記ペプチドもしくはその機能的均等物に接触させることにより、心筋細胞を更なる傷害から前記心筋細胞を保護するための方法を提供する。本発明は、被験体に有効量の上記ペプチドもしくはその機能的均等物を投与することによって、化学物質または被験体の血液もしくは酸素不足によるさらなる傷害から心筋細胞を保護するための方法を提供する。
【0091】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって、アポトーシスが起こる状態、傷害および疾患の治療法を提供する[3]。
【0092】
本発明は、癌細胞を阻止または殺すことができる組成物を提供し、前記組成物は有効量の上記ペプチドもしくはその機能的均等物、および適当なキャリアを含む。
【0093】
本発明は、癌細胞を治療有効量の上記ペプチドもしくはその機能的均等物に接触させることによって、前記癌細胞を阻止または殺すための方法を提供する。
【0094】
本明細書で用いる場合、癌細胞としては、乳癌、腸癌、脳癌、Jurkat細胞(急性T細胞白血病細胞株)が挙げられるが、これらに限定されるものではない[3,15,52,60]。
【0095】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって、癌細胞を阻止または殺すための方法を提供する。
【0096】
本発明は、ある量の、H1ヒスタミンレセプターに対し拮抗的である上記ペプチドもしくはその機能的均等物を含有する組成物を提供する。
【0097】
本発明は、細胞を有効量の上記ペプチドまたはその機能的均等物に接触させることによって、前記細胞中に、前記細胞のH1ヒスタミンレセプターに対し拮抗的な作用を作り出すめの方法を提供する。
【0098】
本発明は、被験体に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量投与することによって、被験体のH1ヒスタミンレセプターに対し拮抗的である効果を作り出すための方法を提供する。
【0099】
本発明は、A2-ホスホリパーゼ活性に対し阻害的であり、また適当なキャリア内に上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量含有する組成物を提供する[39]。
【0100】
本発明は、細胞を、適当なキャリアと共に有効量の上記ペプチドもしくはその機能的均等物を含有する、有効量の組成物に接触させることによって、細胞内に抑制A2-ホスホリパーゼ活性を作り出すための方法を提供する[39]。
【0101】
本発明は、上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量含有する、腫瘍壊死因子(TNF)の作用から保護するための組成物を提供する。
【0102】
本発明は、細胞を、上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量含有する、有効量の組成物に接触させることによって、前記細胞内の腫瘍壊死因子(TNF)の作用から保護するための方法を提供する。
【0103】
本発明は、上記ペプチドもしくはその機能的均等物を有効量含有する組成物を有効量被験体に投与することによって、被験体において腫瘍壊死因子(TNF)の作用から保護するための方法を提供する。
【0104】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の炎症性腸疾患を治療する、または進行を阻止するための方法を提供する。
【0105】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の1型糖尿病を治療する、または進行を阻止するための方法を提供する。
【0106】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の多発性硬化症を治療する、または進行を阻止するための方法を提供する。
【0107】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の敗血症ショック(グラム陰性菌敗血症)を治療する、または進行を阻止するための方法を提供する[62]。
【0108】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体のパーキンソン病を治療する、または進行を阻止するための方法を提供する。
【0109】
本発明は、シグマ1およびシグマ2レセプターの機能を変換するための、上記ペプチドまたはその機能的均等物の使用方法を提供する。一つの態様では、変換を用いて、被験体の心筋梗塞の進行を阻止することができる。それゆえに、有効量の上記ペプチドまたはその機能的均等物を適当なキャリアと共に含有する組成物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の心筋梗塞の進行を阻止するための方法を提供する。
【0110】
別の態様では、シグマ1およびシグマ2レセプターの上記の変換を用いて、被験体の脳卒中の進行を阻止できる。それゆえに、有効量の上記ペプチドまたはその機能的均等物を含有する組成物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の脳卒中の進行を防止する、シグマ1およびシグマ2レセプターを変換するための方法を提供する。
【0111】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の2型糖尿病を治療、または進行を阻止するための方法を提供する。
【0112】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体のアルツハイマー病を治療、または進行を阻止するための方法を提供する。
【0113】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の筋萎縮性側索硬化症を治療、または進行を阻止するための方法を提供する。
【0114】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の内毒素血症および外毒素血症ならびに関連疾患を治療、または進行を阻止するための方法を提供する。
【0115】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体のクローン病(即ち慢性腸炎)を治療、または進行を阻止するための方法を提供する。
【0116】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の潰瘍性大腸炎を治療、または進行を阻止するための方法を提供する。
【0117】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の甲状腺機能亢進症を治療、または進行を阻止するための方法を提供する[49,54,55,56,57,58,59]。
【0118】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体のギランバレー症候群を治療、または進行を阻止するための方法を提供する。
【0119】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の全身性エリテマトーデスおよび硬皮病を含むが、これに限定されないその他コラーゲン疾患を治療、または進行を阻止するための方法を提供する。
【0120】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体のカスパーゼ3、4および8の活性化を治療または阻止するための方法を提供する。
【0121】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することを含む、被験体の一酸化窒素合成酵素(NOS)を調整するための方法を提供する。
【0122】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することによって、リーシュマニア症を治療するための方法を提供する。
【0123】
本発明は、上記ペプチドまたはその機能的均等物を有効量被験体に投与することによって、被験体のリーシュマニア症を治療するための方法を提供する。上記ペプチドまたはポリペプチドは、被験体に筋肉内または皮下投与できる。または、その他投与経路を用いても良い。
【0124】
本発明は、リーシュマニア症の治療に適当な、薬学的に許容されるキャリア内に、有効量の上記ペプチドまたはその機能的均等物を含有する組成物を提供する。
【0125】
本発明は、リーシュマニア症の治療に適当な、薬学的に許容されるキャリア内に、有効量のプラフェロン-LBを含有する組成物を提供する。
【0126】
本発明はまた、プラフェロン-LBを有効量被験体に投与することを含む、前記被験体のリーシュマニア症を治療する方法を提供する。
【0127】
上記被験体は、哺乳動物を包含するが、これに限定されるものではない。一つの態様では、哺乳動物はイヌまたはネコである。
【0128】
発明はさらに、発明のペプチドを薬学的に許容される賦形剤またはキャリアと結びつけることを含む、薬学的組成物を調製する工程を提供する。
【0129】
本発明は、上記の単離されたペプチドまたはポリペプチドを含有する物質を提供する。一つの態様では、ペプチドは別の化合物に直接、または間接的に結合する。さらなる態様では、ペプチドはタンパク質である。
【0130】
生物活性化合物を単離および合成するための方法
本発明の生物活性ペプチドまたはポリペプチドは、以下記載の工程によって合成できる:
(1)羊膜組織を入手し、羊膜組織を、1.0ml当たり0.01mgのタンパク質含有量の媒体と37℃でインキュベーションする段階;
(2)ニューカッスル病ウイルス(NDV)を用いて、羊膜組織による生物活性ペプチドの産生を1時間、37℃で誘導する段階;
(3)羊膜組織を10〜12時間、37℃で培養する段階;
(4)羊膜組織を、生物活性ペプチドを含む溶液から、遠心分離によって分離する段階;
(5)溶液のpHを2.0に調節してNDVを不活性化し、溶液を+4℃で3日以上インキュベーションする段階;
(6)生物活性ペプチドを精製する段階;
段階(1)から(6)は、米国特許出願第09/928,178号および国際PCT出願第PCT/US01/41666号に詳しく論じられており、またその内容は参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
(7)ペプチドを高分子量(>5000Da)分画と低分子量(<5000Da)分画に分ける段階(実施例参照);
(8)分画を生物活性について試験する段階;
(9)生物活性ペプチドを確定して、アミノ酸配列を決定する段階;
(10)解読したアミノ酸配列を用いてペプチドまたはポリペプチドを合成する段階;および
(11)合成したペプチドまたはポリペプチドについて生物活性を試験する段階。
【0131】
本発明は、上記の工程により作られた化合物またはペプチドを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0132】
本発明は、以下の実施例により、より良く理解されるだろう。しかしながら、当業者は、論じた特定の方法および結果は、それに続いてクレームの中により完全に記載されている発明の単なる例示に過ぎないことを、容易に認めるだろう。
実験の詳細
【実施例1】
【0133】
プラフェロン-LBの低分子量分画中の生物活性ペプチド
プラフェロン-LBの低分子量成分(PM<5000Da)を、サイズ排除クロマトグラフィー(Sephadex G25)を用いてプラフェロン-LBの高分子量(PM>5000Da)成分から分離した(図1)。
【0134】
高分子量(>5000Da)化合物を含有する分画および低分子量(<5000Da)化合物を含有する分画をプールして、凍結乾燥した。二種類の凍結乾燥プールをSEおよびRP-HPLCを用いて分析した(図2aおよび2b)。RP-HPLC分析から、得られた結果および複数のペプチドが、低分子量分画中に見られることが確認された(図3)。
【0135】
プラフェロン-LBの低分子量分成分をさらに、逆相クロマトグラフィー(RP-クロマトグラフィー)を用いて、本明細書では分画0〜8と呼ぶ9分画に分画し(図4)、これら9分画を別々に、マウスリポポリサッカライド(LPS)敗血症モデルを用いて、生物活性について試験した。生物活性は、分画2、3および4に見出され、分画4が最も活性であった。
【0136】
材料および方法
試験を開始する前、5〜6週齢のメスのCD1マウス(Charles River, Calco, Italy)を、一週間環境に慣らせた。それらは標準的な研究条件の下に維持し、餌と水は自由に摂らせた。マウスに1mgのLPS(Sigma Chimica, Milan, Italy)を腹腔内注射した。LPS投与から24時間毎に、72時間まで死亡率を記録した。
【0137】
結果および考察
予想通りPBSで処理したコントロールマウスでは、LPS注射から72時間以内に100%の致死率が観察された(表1)。これに対し、LPS前-24および-1時間目に、0.5ml/マウスの分画2、3または4によりマウスを予防処理すると、累積致死率は大きく低下した(表1)。分画4が最も高い防御効果を示した。この実験のデータは、PLBの低分子分画2および3もまたLPS誘導致死率に対する防御効果を発揮できることを示した。最適効果は、LPSの-24および-1時間目に、0.5ml/マウスの分画を投与したときに見られた。
【0138】
【表1】

*LPS投与に対する時間
【0139】
分画0、5、6および8には、若干の生物活性が見られる。
【0140】
プラフェロン-LBの低分子量分画の分画2、3および4は、LPS誘導致死に最高の防御作用を発揮できるが、プラフェロン-LBの低分子量分画の他の分画(即ち分画0、5および6)も若干の生物活性を示した。プラフェロン-LBの低分子量分画の分画0、1、5、6、7および8、ならびに試験していないプラフェロン-LBの高分子量分画は、プラフェロン-LBの低分子量分画の分画2、3および4に見出される生物活性ペプチドと同一/類似の治療的および薬学的特性を有する生物活性ペプチドを含有すると考えられる。
【実施例2】
【0141】
プラフェロン-LB低分子量分画の分画2、3および4の生物活性ペプチド
プラフェロン-LB低分子分画の分画2、3および4を、質量分析(MALDI-TOF)を用いて
特徴付けした。
【0142】
材料および方法
質量分析装法(MALDI TOF)
調製逆相クロマトグラフィー後の分画2、3および4をVoyager System 1178(Applied Biosystem)を用いたMALDI TOF質量分析で分析した:
マトリックス: 3-ヒドロキシピクリン酸
運転モード: 直線
極性: 正
捕捉制御: 手動
加速電圧: 23000V
グリッド電圧: 95%
抽出遅延時間: 400nsec
捕捉質量域: 500〜2000Da
レーザーショット数: 25/スペクトル
レーザー強度: 1820
【0143】
結果
質量分析法(MALDI-TOF)
下表2に、得られた結果をまとめた。
【0144】
【表2】

【0145】
分画2は、664.9Daの一つの主要ペプチドと、複数(5)の約160Daの追加物を含んでいた。分画3は、同一ペプチドを三つの160Daの追加物と共に含み、また分画4は同一ペプチドを追加物なしに含んでいた。160Daの追加は、リン酸化と同じである(2×80Da)。
【0146】
分画4の生物活性ペプチドの配列を、質量分析法を用いて決定した(図5)。下表3に、分画4より得た質量分析の結果をまとめる。
【0147】
【表3】

【実施例3】
【0148】
化学合成したLajor活性ペプチド(LAP)の生物活性
合成ペプチドまたはLajor活性ペプチド(LAP)を化学的に合成し、PLBの低分子量成分の分画2、3および4に含まれている、同定済みの生物活性ペプチドのアミノ酸配列を生成した。LAPの効力は、プラフェロン-LBの低分子量成分の分画2、3および4が効果的であることを見出した、同一の実験条件を用いて評価した(実施例1を参照せよ)。PLBから調製した分画4で処理したマウスを陽性コントロールとして用いた。
【0149】
材料および方法
6週齢のメスのCD1マウス(Charles River, Calco, Italy)を用いた。マウスは、試験開始前、一週間その環境に慣らせた。マウスは標準的な研究条件の下で維持され、餌と水は自由に摂らせた。
【0150】
マウスに1mgのリポポリサッカライド(LPS)(Sigma Chimica, Milan, Italy)を腹腔内注射した。LPS投与から24時間毎に、72時間まで死亡率を記録した。
【0151】
結果
予想通りPBSで処理したコントロールマウスでは、LPS注射から72時間以内に100%の致死率が観察された(表4)。これに対し、LPS前-24および-1時間目に、0.5ml/マウスの分画4を用いてマウスを予防処理すると、累積致死率は大きく低下した(表4)。さらに致死率の動態および累積率は共に、試験したLAPの用量の違いに影響されず、処置を受けたマウスは、コントロールのものに極めて類似したLPS誘導致死の動態および累積頻度を示した。
【0152】
致死率の累積率は、10ucgのLAPで予防処理することで、顕著に低下した。この実験のデータは、LAPが、LPS誘導致死のマウスモデルにおいて、分画4で得られたものに匹敵する強力な免疫変調および防御作用を有することを示している。
【0153】
この研究は、ペプチドの生物活性、および1型糖尿病、多発性硬化症、ギラン−バレー症候群、慢性肝炎等の複数の免疫炎症性または自己免疫疾患へのその使用の可能性を確認する。免疫炎症性または自己免疫疾患の前臨床モデルを使った研究は、正当に「インビボ」での概念証明の提供している。多発性硬化症、1型糖尿病、リウマチ性関節炎および炎症性肝炎の前臨床モデルで天然(未分画化)PLBについて有益な効果が観察されたことから、これらの疾患についてもLAPが類似の有益な役割を果たすことが期待される。
【0154】
【表4】

*LPS投与に対する時間; b vs a, p>0.0001; d vs a, p=0.001; c vs .b=カイ自乗にて有意でない
【0155】
プラフェロン-LB(PLB)は、MS(DAラットのPR-EAE)、グラム陰性敗血症(LPS誘導致死)、慢性活動性肝炎(コンカナバリンA誘導肝炎)、リウマチ性関節炎(オイル誘導関節炎)および1型糖尿病(NODマウスモデル)のようなヒト免疫炎症性/自己免疫疾患の五種類の齧歯類モデルにおいて、明瞭な有効作用を示した。
【0156】
NH2-NVSAVEIA-COOH(配列番号1)のアミノ酸配列を含み、化学的または組換え体DNA技術を用いて製造されたこのLajor活性ペプチド(LAP)の合成活性ペプチドは、プラフェロン-LBから単離された生物活性ペプチド分画4に類似/同一の治療および薬学的特性を有すると考えられている(実施例5を参照)。それゆえに、様々なヒト疾患および傷害の齧歯類モデルでのLAPの効果を調べるために行われる研究は、プラフェロン-LBを用いて見出されたものに類似する効果を示すだろう。
【0157】
1型糖尿病(NODマウス)、多発性硬化症(DAラットEAE)免疫炎症性肝炎(マウスのCon-A誘導肝炎)、リウマチ性関節炎(DAラットのオイル誘導関節炎)および敗血症(マウス内毒素血症)の前臨床モデルにおいて、PLBの効果が証明されている。これらのデータは、これら自己免疫疾患におけるPLBの効力に関する概念の価値ある証拠を提供する。これら疾患は全て、1型前炎症サイトカイン(TNF-α、IL-2、IFNガンマ)のアップレギュレーションを特徴とするものであるから、考え得るPLBの作用モードの一つは、これらサイトカインの特異的拮抗作用によるものかもしれない。これに加えて、これらサイトカインは、橋本甲状腺炎、クローン病、乾癬およびギラン−バレー症候群のような、他のヒトの免疫炎症性もしくは自己免疫性疾患にも病原的として関係していることから、PLBはこれら疾患の治療についても、考慮できる(参照により、本明細書にその内容がそのまま組み入れられるNational Institute of Health Autoimmune Disease Coordinating Committee Autoimmune Diseases Research Plan, <http://www.niaid.nih.gov/dait/pdf/ADCC_Report.pdf>も参照せよ)。
【実施例4】
【0158】
DAラットでのPR-EAEの経過に及ぼすPLB予防の効果
MSに似た状態である、実験的アレルギー脳脊髄炎(EAE)は、適当なアジュバントに加えたCNS抗原で免疫感作することによって、哺乳動物種の感受性系統に誘導できる(69)。LewisラットのEAEのような、ほとんどのEAEモデルの主な欠点であり、また該当するヒト疾患との間の臨床的および組織学的に重要な差となる点は、これらラットでは、脱ミエリンがほとんど無いか、または全くない単相性の疾患として発症することである。しかしながら、最近、不完全(FIA)または完全フロイントアジュバント(FCA)に乳化した同系またはモルモットの脊椎を用いて免疫感作することで、DAラットに重症の、遅延再発型の、脱ミエリンを起こす形のEAEを誘導できることが報告された(70)。したがって、このモデルは、慢性化および脱ミエリンの発生に関わる免疫介在メカニズムを研究するための、またヒトMSの治療を想定した新規免疫治療法を研究するための、特有なインビボツールを提供する。
【0159】
DAラットのPR-EAEの経過に対するPLB予防の効果を評価した。
【0160】
材料および方法
動物
研究には、体重230〜370gの、オスのDAラット(Harlan Nossan, Italy)を用いた。
【0161】
免疫感作
よく切り刻んだモルモットの脊椎(Sigma St. Louis MO)50μgを100μlのFIA(Sigma)および2μgのMycobacterium tuberculosis、H37RA株(Difco, Detroit, MI)で乳化し、尾の基部に皮下注射(s.c.)した。
【0162】
処理
プラフェロン-LBを滅菌食塩水10mlに溶解してから、週当たり5連続日、0.5ml/ラットの用量を腹腔内注射した。処置は、免疫感作前の0日目に開始し、免疫後40日目まで続けた。1アンプルのプラフェロン-LBを10mLのPBSに溶解し、各ラットに、週当たり6回薬物日用量0.5mlを投与した。
【0163】
臨床スコア化
ラットは毎日体重測定し、また他所に記載したように処置計画を知らされていない観察者が臨床徴候をスコア化した(71)。臨床スコアは次の通りである:0=無病;1=尾がたれる;2=軽い麻痺、3=重い麻痺、4=全身麻痺、5=死
【0164】
結果
長期PLB処理の無毒性
ラットの行動および臨床的外観から判断して、PLBによる処理はよく受け入れられ、また毒性の臨床徴候は観察できなかった。
【0165】
PLBによる予防処理はDAラットにおけるPR-EAEの臨床経過を軽減する
予想通り、PBSで処理されたラットの群(15/15)では、50日間の観察期間を通してPR-EAEの臨床徴候が観察された(図6);前に報告されているとおり(71)、最初の発作に続いて様々な遅延性の疾患が起こり、いく匹かのラットは臨床徴候の寛解を示し、またあるものは2回以上の再発を示した(図6);PLBがPR-EAEの経過に影響するか評価するために、免疫感作1日前から免疫感作後+40日まで、初期予防レジメンに従って、この薬物を用いてDAラットを処理した。PLB処理ラットでのEAEの累積発生頻度(16/18、88.9%)はコントロールのラットと有意差を示さなかったが、これら後者の動物に比べ、プラフェロン-LBで処理されたラットは、疾患の経過が軽く、EAE累積スコアは後になるほど低くなり、その後の再発期間も短く、程度も軽くなっていた。これらのデータは、二回の独立した実験から確認された。二回の研究において、データ再現性が高いことから、本明細書では、それらを一つにまとめ、単独の研究として示している(図6)。
【実施例5】
【0166】
(実施例3も参照)
ヒト内毒素血症モデルである、マウスリポポリサッカライド(LPS)誘導致死におけるプラフェロン-LBの効果
この研究では、ヒト敗血症のモデルとしてLPSを用い、内毒素血症におけるプラフェロン-LBの効力を示す。
【0167】
インターロイキン(IL)-1、IL-12、腫瘍壊死因子(TNF)-αおよびインターフェロン(IFN)-γのような1型サイトカイン、ならびにIL-6およびIL-10(72)のような2型サイトカインは、その前炎症性および血管活性特性を通し、内毒素ショック状態の病因において中心的な役割を果たしている(71)。しかしながら、1型サイトカインの産生および作用は、2型抗炎症性サイトカインにより拮抗でき、従って、これら二種類のサイトカインサブセットの間のバランスは、内毒素血症に対する宿主の反応に影響を与えるだろう(73)。かくして、マウスでのリポポリサッカライド(LPS)誘導致死は、特異的アンタゴニストを用いた内因性IL-1、IL-12、TNFαまたはIFNγの遮断によって、あるいはIL-4、IL-10またはIL-13のような2型サイトカインを投与することによって阻止される(74〜78)。それゆえに、1型サイトカインの産生/作用を阻害できると同時に、2型サイトカインの産生をアップレギュレーションできる薬学的化合物は、内毒素血症の予防/治療にとって適当な候補になるだろう。
【0168】
これらの観察をうけて、発明者らは、次にマウスでの実験的致死内毒素血症の経過に及ぼすプラフェロン-LBの効果について評価することとなった。単回の、高用量のLPSの注射によって誘導できるこの状態は、ヒトの内毒素血症に似たいくつかの免疫学および病原経路を共有しており、病原メカニズムを理解するための、また症候群を治療するための新規の免疫治療法を評価するためのインビボモデルであり、またそのモデルとして良く用いられている。
【0169】
データは、PLBが、それを内毒素投与前、または1時間後に投与するかにかかわらず、マウスにおいてLPS誘導致死をうまく中和したことを示している。
【0170】
材料および方法
試薬
PLBは、他所に記載の通りに作成した(2001年8月9日出願の米国特許出願番号第09/928,178号および2001年8月9日出願の国際出願番号WO 02/12444の特許協力条約(PCT)出願番号、PCT/US01/41666を参照せよ)。それを10mlのPBSに溶解し、マウスに0.5mlまたは1mlを腹腔内投与した。LPS(血清型0127:B8)は、Sigma Chemicals(St. Louis, MO, USA)より購入し、注射用無菌水は地元薬局から購入した。
【0171】
マウス
4〜6週齢のメスのCD1マウスを、Charles River(Calco, Italy)から購入した。
【0172】
実験計画
全ての動物に関する作業は、カタニア大学(University of Catania)の学内ガイドラインに従い、このガイドラインは実験動物の世話と使用に関する国際法を遵守している。致死的内毒素血症を誘導するために、マウスに、0.3mlの注射用の水で希釈したLPS3mgを腹腔内注射した。このLPS用量は、三日以内に75〜100%のマウスを死に至らしめることができることを示した以前の実験を基に選択した。
【0173】
LPS誘導致死の発生に及ぼすPLBの効果は、予防および「初期治療」レジメンの両方に基づいて評価した。予防の場合は、LPS処理24時間および1時間前に、マウスに0.5〜1mlのPLBを腹腔内注射した(表5)。コントロールのマウスは、同じ条件で、PBSのみ処理した。「治療」能力は、LPS処理30分後にマウスに1mlのPLBを単回、腹腔内注射処理して試験した。
【0174】
これに加えて、我々の研究および文献データより予防的に投与された場合にLPSの致死作用を中和するが、治療条件では中和しないことが分かっているポリクローナル抗マウスTNF-α(Peprotech、UK)抗体(Ab)を投与したマウスをマウスの陽性コントロール群とした。致死率は、3連続日、1日間隔で評価した。
【0175】
統計学
カイ二乗P値0.5以下を有意として、LPS注射後72時間時の累積致死率を比較した。
【0176】
結果
LPB誘導致死率に及ぼすPLB予防処理の効果
予想通りコントロールマウスは全て(15/15)、LPS注射から三日以内に死亡した(表5)。これに対し、LPS前-24および-1時間目に、0.5mlPLBを用いて予防処理すると、マウスの生存率は顕著に改善し、観察期間中死亡したマウスは10/15(66.7%)のみであった(表5)。コントロールまたはPLB処理群の残ったマウスのうち、一週間の追跡期間中に死亡したものはいないことから、PLBは単にLPSの致死作用を遅延するものではない。抗TNFα抗体で予防処理されたマウスは、PLBに観察されたものと同様の防御効果を示し、この治療群の9/15(60%)がLPS注射後72時間までに死亡し、PLB処理で観察されたものによく似た死亡動態を示した(表5)。
【0177】
LBP誘導致死率に及ぼすPLBによる「初期治療」処理の効果
PLBが治療能力も有しているか評価するために、マウスに、LPS注射30分後に薬物を初めて投与する実験を行った。表5に示すように、「治療的に投与された」PLBもまた、LPS誘導致死率を下げた。死亡率の累積頻度は、PBS処理コントロールで100%であり(15/15)、PLB処理マウスでは62.5%(10/15)であった。この場合も、一週間の追跡期間中に死亡したマウスはいなかった。これに対し、LPS後30分に抗TNFαAbを投与しても内毒素の致死効果を中和できず、この群に観察された死亡率の累積頻度(15/15、100%)は、LPS処理後にPBS処理を行ったコントロールマウスのものと同じであった。
【0178】
【表5】

**カイ二乗によりp<0.05 *カイ二乗によるPBS処理コントロールとの比較でp=0.05
【実施例6】
【0179】
プラフェロン-LBによるコンカナバリンA誘導T細胞依存性肝臓障害および変調からの保護
最近、コンカナバリン(Con)Aを単回静脈内注射することによって、マウスに誘導できる新しい肝炎モデルが報告されている(79〜81)。8〜24時間以内に、血漿中のトランスアミナーゼ活性の上昇、および顕著な顆粒球の蓄積と肝臓壊死を特徴とする肝臓障害を伴って、肝炎の臨床および組織学的証拠が起こる(79〜81)。ConA誘導肝炎は、T細胞およびマクロファージの両方に依存している;それは、免疫適格T細胞を欠いているヌード無胸腺マウスには誘導できず、またシクロスポリンA(CSA)やFK506といった抗T細胞免疫抑制剤、あるいはシリカ粒子によるマクロファージ機能の遮断によって予防される(79〜81)。
【0180】
T細胞およびマクロファージがその肝性能力を発揮する正確なメカニズムは分かっていない。ConAに反応して、様々な動態で、マクロファージおよびT細胞由来のサイトカイン(IL-1、IL-2、IL-6、IL-10、TNF-α、IFN-γガンマおよびGM-CSF)が大規模に放出されることから、肝臓障害の発生にこれらサイトカインがある役割を果たしていると考えられている。しかしながら、この免疫炎症状態の病因に於けるサイトカインの役割はまだ画定していない。例えば、この疾患は、TNF-α、IL-4、IFN-ガンマ、IL-12抗体(Ab)の特異的インヒビター(モノクローナル抗体、可溶性レセプター)ならびに外来性に投与されたIL-6およびIL-10によって等しく予防され、またそれゆえに疾患の帰結は、ConA-活性化細胞から放出される前−および抗炎症性サイトカイン間の微妙なバランスに依存しているだろう。
【0181】
ConA誘導肝臓障害に対するPLBの効果について試験した。データは、この薬物が、予防的(ConAの前)または治療的(ConAの後)に投与されたかに関わらず、肝炎の組織学的および血清学的徴候の予防に効果があることを明瞭に示している。
【0182】
材料および方法
試薬
PLBは、他所(2001年8月9日出願の米国特許出願第09/928,178号、および2001年8月9日出願の、国際出願番号WO 02/12444の特許協力条約(PCT)出願番号、PCT/US01/41666を参照せよ)に記載のようにして作製した。それを10mlのPBSに溶解し、マウスに、0.5ml腹腔内投与した。CSA(Novartis, Basle, Switzerland)は地元薬局から購入し、無菌オリーブオイルを使って所望濃度に希釈し、体重1kgあたり100mgの用量で腹腔内注射した。ConAは、Sigma Chemicals(St. Louis, MO, USA)から購入し、注射用無菌水は地元薬局から購入した。
【0183】
マウスおよび肝炎誘導
6〜8週齢のオスNava Medical Research Institute (NMRI)マウスは、Charles River、 Calco、 Italyより購入した。
【0184】
食物は、実験16時間前に引き上げた。マウスは3実験群に分け、それぞれ20mg/kgのConAで処理した。ConAは無菌リン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解し、尾静脈からマウスに注射した。三つの群は、表に示した実験計画に従って、PBS(Sigma Chemicals)、PLBまたは、陽性コントロールとしてCSAを用い、腹腔内処理した。後者の群は、これまでのデータからConA誘導肝炎を予防する能力が分かっていることから(79)、陽性コントロール群として用いた。PBSだけ処理したマウスを、別のコントロール群とした(表6参照)。
【0185】
これらマウスでは、ConA注射後8時間で、重症の肝臓障害の組織学的徴候を伴うトランスアミナーゼ活性の顕著な上昇が起こることが報告されていることから(79-81)、8時間後に動物を犠牲にし、血液と肝臓を採集した。
【0186】
【表6】

【0187】
ConA処理8時間後、マウスを犠牲にし、ALT測定のために、個々のマウスから血液サンプルを採取した。
統計分析のために、各群を群Bと比較した。
*PLBは0.5ml/マウスで与え、**CSAは100mg/kg/マウスで与えた。両薬物とも腹腔内に投与した。
【0188】
血漿トランスアミナーゼ活性のアッセイ
血漿アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性は、二波長分析装置を用いて、標準的な測光分析アッセイによって測定した。
【0189】
データの計算
結果は、平均値±SDで表す。統計分析はANOVAによって実施した。
【0190】
結果
ConA誘導肝臓障害の血漿学および組織学徴候に対するPLB誘導保護
ConA・PBS処理コントロールマウスでは15匹中3匹(20%)、ConA処理後CSAによる治療処理をうけたマウスは15匹中1匹(6.7%)が、犠牲する前に死亡した。これらのマウスについては、血清学分析を考慮しなかった。
【0191】
予想通り、そしてこれまでの研究に一致して(79-81、91-94)、PBS処理コントロールマウスでは、ConA処理後8時間以内に、急性肝障害の徴候を反映する血漿中のALTの顕著な上昇が見られた。これに対し、CSAおよびPLBは共に、ConA処理前に「予防」レジメに従って投与すると、極めて顕著な形で、また比較可能な程度に、ConAが誘導するALT値の上昇を下げた(表6)。しかしながら、ConA処理後「治療的」レジメに従って投与した場合は、肝炎の発症はPLBでのみ阻害され、CSAは阻害しなかった(表6参照)。
【0192】
この予備実験では組織学分析は行わなかったが、このモデルでは、ALT値は肝臓の炎症性浸潤の程度、および肝細胞壊死と相関することが知られている(79-81)。従って、PLB(およびCSA)処理マウスに観察されたALTの血中レベルの低下は、肝臓の炎症性浸潤の低下、および肝細胞損傷および死の壊死およびアポトーシス経路の阻害と関連するかもしれない。
【実施例7】
【0193】
プラフェロン-LB予防法によるDAラットでのオイル誘導関節炎の阻害
オイル誘導関節炎(OIA)は、DAラットでは、不完全フロインド不完全アジュバントのようなミネラルオイルを皮下注射することで誘導できる炎症性の自己限定多発性関節炎である(82-84)。最初、関節には主に多形核細胞が浸潤するが、単球も存在する。この疾患は、T細胞レセプターに対するモノクローナル抗体によってT細胞機能を阻害することで予防および治癒できること(82)、そしてTh1サブタイプに属するCD4+T細胞によって移せることから(83)、T細胞依存的である。ヒトRA同様に、DAラットOIAでは、TNFαも重要な病因的役割を果たすと考えられている(84)。かくしてOIAは、ヒトRAの免疫病理的メカニズムおよび治療のための新たな免疫薬学的アプローチの研究に適当なインビボツールを提供する。
【0194】
この研究の結果は、プラフェロン-LB予防法がラットのOIAの経過に良好に作用する証拠を提供した。
【0195】
材料および方法動物
Harlan Nossan(Udine, Italy)から購入した10〜12週齢のメスDAラットを研究に使用した。ラットは、カタニア大学(Italy)の生物医学科学部門の動物舎で、標準的研究室条件(非特異的病原菌の無い)で維持した。動物には自由に餌と水を摂らせ、研究開始前最低一週間、その環境に適応させた。
【0196】
OIAの誘導およびPLB予防法
FIA(Difco, Detroit, MI, USA)をリン酸緩衝化食塩水(PBS)pH7.4、1:v/vで乳化し、軽くエーテル麻酔をかけて、尾基部の皮下に200ulを注射した。
【0197】
プラフェロン-LBは、他所記載のように作製した(2001年8月9日出願の米国特許出願第09/928,178号、および2001年8月9日出願の、国際出願番号WO 02/12444の特許協力条約(PCT)出願番号、PCT/US01/41666)。それを10mlの食塩水に溶解し、ラットに0.5mlを腹腔内投与した(n=20)。処理は、FIA処理一日前に開始し、FIA処理前1注射後30日間、毎週6回続けた。薬物投与を中止した後、ラットをさらに10日間評価し、偶発的な関節炎の再燃について評価した。コントロール群の動物(n=20)は、PBSを用いて、同一の実験条件で処理したラットである。各群20匹のラットから構成された。
【0198】
関節炎の評価
試験期間中およびFIA処理後40日目まで、関節炎は、ラット処理について知らされていない観察者により、一日おきに、四肢それぞれ0〜4のスコアからなる、0〜16のスケールを用いて評価され、このとき0=関節炎なし、1かかとに腫脹があればポイント1;足根骨間および/または一または複数の中足骨関節に腫脹があるとき1ポイント;ならびに一または複数の指節骨関節に腫脹があるとき1ポイント;4=全ての関節、即ち四肢に腫脹があるときである。
【0199】
結果
プラフェロン-LBはDAラットのOIA誘導関節炎を予防する
DAラットのうち、200ulのFIAを単回用量注射したPBS処理ラットは100%がOIAを発症した。疾患の最初の徴候は、FIA注射後11〜14日目に観察され(図7)、大部分が後脚の中足指節または踝関節の非対称性の腫脹を示した。関節炎は、その後後脚全体を巻き込んだ;疾患の経過では、後になると前関節にも炎症が起こるようになった。FIA処理後30日目ころから、徐々に完全回復に向かって沈静化した(図7)。
【0200】
OIA関節炎の経過は、PLB予防法により良い影響を受け、処理されたラットはより軽い疾患の経過を示し、それはコントロールのラットに記録されている関節スコアに比べ有意に低い関節スコア(P<0.0001)に反映された(図7)。PLBは、ラットの行動および外観から判断して、明らかにラットに受け入れられた。試験終了時、PLBおよびPBS処理コントロールラットの間に体重差は認められなかった(図8)。
【実施例8】
【0201】
プラフェロン-LB予防法によるNODマウスでの自然発生自己免疫性糖尿病の予防
NODマウスは、最もよく特徴付けされ、且つ最も広く用いられている自己免疫性糖尿病モデルの一つである(85-89)。ヒトでの同疾患に似て、臨床的な高血糖の発症に一時的に伴って、T細胞およびマクロファージの膵臓ベータ細胞への選択的炎症性浸潤が起こる(85-89)。NODマウスマウス糖尿病は、T細胞およびマクロファージ依存性は、モノクローナル抗体、シリカ粒子(マクロファージに対し毒性)またはCSAのような抗T細胞薬を用いてこれら細胞の機能を標的にすることにより、その発症を完全に防止できる可能性から証明されている。疾患の累積頻度は、7〜8ヶ月齢で、コロニー間で変わるが、60〜80%に達し、オスに比べるとメスで糖尿病の頻度は高い(85-89)。ヒトの1型DMに似た様式で、NODマウスも糖尿病を発生する前、長期間インスリン炎を発症し、4〜5週齢よりゆっくりと進行することが多い(85-89)。
【0202】
本研究で発明者らは、PLBを用いた長期予防治療が、メスのNODマウスでの自然発生インスリン炎および自己免疫性糖尿病の発生に及ぼす効果について評価した。
【0203】
材料および方法
試薬
PLBは他所記載のようにして作製した(2001年8月9日出願の米国特許出願番号第09/928,178号および2001年8月9日出願の国際出願番号WO 02/12444の特許協力条約(PCT)出願番号、PCT/US01/41666を参照せよ)。それを10mlのPBSに溶解し、マウスに0.5mlを腹腔内投与した。CSA(Novartis, Basle, Switzerland)は地元薬局から購入し、無菌オリーブオイルを使って所望濃度に希釈し、体重1kgあたり25mgの用量を共生栄養により与えた。PBSはSigma Chemica (Milan, Italy)から購入した。
【0204】
動物
5〜6週齢のメスNODマウスはCharles River(Calco, Italy)より購入した。
【0205】
実験計画
オイグリセミックなメスNODマウスを、表に示す実験計画に従って、無作為に、PLB、PBSまたはCSAの投与を受ける3群に割り付けた。PBS処理マウスをPLB処理マウスのコントロールとし、一方CSA処理マウスは、これを本研究に用いた治療レジメに従って投与したときに(表7)、CSAがNODマウスマウスのインスリン炎と糖尿病の両方の発症を阻止できることが既に実証されていることから(90)、「陽性」コントロール群とした。
【0206】
処理は、第5週および第6週齢の間に開始した。この週齢のNODマウスでは、インスリン炎は認められないことから(85-89)、この方法によって、NODマウス糖尿病の初期糖尿病発生経路におけるPLB処理の効果を調べることができた。
【0207】
処理は、20週齢まで続けた。研究期間中、週に二回、マウスの尿糖を測定し、陽性の場合には続けて血糖を測定することによって糖尿病発生をスクリーニングした。マウスは、絶食時に血糖が二連続日、11.8mmol/lを超えた場合に糖尿病と診断された。研究期間採集日に、異なる群の残ったオイグリセミックマウスを犠牲にして、膵臓標本を集めて、インスリン炎の重症度を調べた。
【0208】
膵島の組織学的検査
これは、他所に詳しく記した通りに、処理およびマウスの状態について知らされていない観察者によって、ブランインド形式で行われた。各膵臓について、少なくとも10個の島を測定した。単核細胞浸潤の程度は次の通りとした;0、浸潤なし;1、膵管周囲の浸潤;2、島周囲の浸潤;3、島内の浸潤;4、ベータ細胞破壊を伴う島内の浸潤。各膵臓の平均スコアは、総スコアを検査した島の数で除して計算した。
【0209】
結果
PLBによる早期予防処理は、NODマウスのインスリン炎の発症を予防し、糖尿病の累積頻度を下げる
PBS処理コントロールマウスでは、糖尿および高血糖を伴う急性型の糖尿病が、20週齢までに多く(9/20、45%)発生した。これに対し、糖尿病の累積頻度は、CSA(2/20、10%)および、疾患の発生を完全に抑制した(0/20)のPLB、より広範囲を対象としても、の両方で有意に下がった(表7を参照せよ)。
【0210】
これら臨床データに一致する形で、これらマウス群の膵臓のベータ細胞の組織学分析は、CSAとPLBの両方が、PBS処理コントロール動物に比べて、インスリン炎のプロセスを顕著に緩和することを示した。即ち、後者のマウスの大部分は島周囲浸潤からベータ細胞の破壊を伴う島内への浸潤まで、活動的に進行中の多様なインスリン炎を表したのに対し、CSA-およびPLB処理マウスは、ほとんどが膵管周囲浸潤または島周囲浸潤を特徴とするインスリン炎のプロセスを示した。その結果、インスリンスコアは、PBS処理コントロールマウスのものに比べ有意に低かった(表7)。PLB-処理およびCSA処理NODマウスのあいだには、インスリン炎スコアに有意な差は認められなかった(表7)。
【0211】
【表7】

【0212】
5〜6週齢のオイグリセミックメスNODマウスを、20週齢までPBS(0.5ml)またはPLB(0,5ml)またはCSA(25mg/kg体重、強制栄養により)で処理した。PBSおよびPLBは週6回、腹腔内投与し、CSAは隔日に強制栄養を通して与えた。糖尿病はM&Mの項で記したようにして診断した。糖尿病マウスは、疾患発症時に犠牲にした。残った各群のオイグリセミックマウスは試験終了時に犠牲にし、インスリン炎の組織分析のために、その膵臓標本を集めた。インスリン炎スコアは、平均値±SDで表した。
【0213】
統計分析のために、各群をPBS処理コントロールマウスと比較した:
b vs a, p=0.034および;c vs a, p=0.002、カイ二乗による
e vs d, p=0.001および f vs d, p=0.02、一方向ANOVAによる。
【実施例9】
【0214】
ラット乳頭筋の収縮力に及ぼす効果
背景
1999年、Johnsonらは、44匹の雑種犬で、PLBの心臓保護効果を証明した。Shakarishviliらは、電子磁気共鳴(EPR)を用いて虚血性発作でのPLBの役割を研究し、ミトコンドリア膜の電子伝達鎖におけるフリーラジカル産生を定量化した。Nicollettiは、ウエスタンブロット分析により、イヌモデルにおいてサイトカインのTNF-α、インターフェロン-γ、IL-1、IL-12およびIL-18のレベルが低下することを実証した。
【0215】
結果
250mlの酸素化バッファー液に浴したラット乳頭筋の収縮力を、ラットで測定した。最適収縮力は、すこしずつ組織を伸ばして得た(0.05mm/5分)。最適収縮力でPLB1アンプルを投与し、発生した収縮力を記録した。
Mutrieらは、PLB投与後に乳頭筋の誘導力(収縮力−拡張力)が38%増加することを実証した(P=0.023, n=6)。マウスから得た六つの乳頭筋を、エクソビボ組織浴槽内で調べた。
【0216】
材料および方法
筋端部を力伝達装置(Harvard, Bioscience 529503)および硬質フックに固定し、水槽内、35.0〜38.0℃で等張状態にした。低カルシウムコントロール溶液中での初期平衡期間は約20分間であった。次に水槽に高カルシウムコントロール溶液(高カルシウムコントロール溶液1LのdH2O;1.73gのNaHCO3、0.277gのCaCl2、0.2mlのインスリン)に浸し、95%02〜5%CO2で酸素補給した。筋肉の長さを調節して最大等張力を得た後、筋肉をいずれかの側から超最大電圧で刺激した。単収縮について、張力の記録を解析した。収縮パラメータに及ぼすPLBの効果を評価し、PLB投与前の、初期平衡期間に得たものと比較した。インヒビター処理した筋肉も、同一時にコントロール筋肉と比較した。統計有意は、一連の対t検定で評価し、0.05未満のp値を有意とした。
【0217】
参考文献
9-1. Tbilisi State Medical University. Annals of Biomedical Research and Education. January 2002 (2):39.
9-2. Shakarishvili R, Sanikidze T, Mitagvaria N, Beridze M, Mikeladze D, Bakhutashvili V. 虚血性発作の病原における酸素および窒素反応種の役割。Georgian State Medical Academy, Georgian Academy of Sciences (未発行).
9-3. Rukhadze R, Sanikidze T, Bakhutashvili V, Chikovani T, Pantsulaia L, Jgenti M. Proceedings of the Georgian Academy of Sciences. 1998 (24):339-343.
9-4. Sharma R, Bolger AP, Li W, Davlouros PA, Volk HD, Poole-Wilson PA, Coats AJ, Gatzoulis MA, Anker S. 先天性心臓疾患を持つ成人での炎症性サイトカインおよび細菌内毒素の血中レベルの上昇。American Journal of Cardiology. 92(2):188-93, 2003 Jul 15.
9-5. Heba G. Kreminski T. Porc M. Grzyb J. Dembinska-Kiec A. ラットにおける、実験的心筋梗塞後の、TNF-α、iNOS、VEGF mRNAの発現と心不全発症との関係。 Journal of Physiology & Pharmacology. 52(1):39-52, 2001 Mar.
9-6. Mariell J, Brozena S. 心不全。New England Journal of Medicine. 348 (20):2007-2018 May 2003.
【実施例10】
【0218】
プラフェロン-LBの生物活性ペプチドの「親」ポリペプチドをコードしている遺伝子のヒトDNA配列
ペプチドの配列は本明細書に開示されているので、この配列をコードすることができるヌクレオチド配列を導き出すことができ、またプライマーをペプチドまたはその前駆体をコードしている遺伝子を「釣り上げる」ようにデザインできるだろう。これは、いわゆる「縮重プライマー法」と呼ばれるものである。これら縮重プライマー、即ちハイブリダイゼーションできるペプチド配列を含む核酸分子、の混合物を用いて、ヒトライブラリーを用いて、タンパク質を単離し、同定してもよい。例えば、Joseph Sambrook and David W. Russellによる分子クローニング:A Laboratory Manualを参照せよ。
【0219】
ペプチドの配列をコードしている核酸分子のベクターも、本明細書に開示したペプチドの配列を用いて導き出せる。ベクターは、当技術分野で周知である。前記ベクターはプラスミドでもよい。例えば、Graupner、2002年1月8日に登録された、クローニングベクター(Cloning Vector)と題する米国特許第6,337,208号を参照せよ。また、Schumacherら、2001年2月20日に登録された、前核生物で外来遺伝子を制御可能に発現させるための発現ベクター(Expression Vector for the Regulatable Expression of Foreign Genes in Prokaryotes)と題する米国特許第6,190,906号も参照せよ。
【0220】
さらにまた、ペプチドをコードする核酸分子のベクターを含む細胞もまたは、本明細書に開示されたペプチドの配列を用いて導き出せる。
【実施例11】
【0221】
2バッチのプラフェロン-LBのペプチド組成の比較
プラフェロン-LB(PLB)(2種類のバッチ)2ミリグラムを精製水に溶解し、RP-HPLCで分析した。
【0222】
クロマトグラフィーシステム:ダイオードアレイ検出器(Agilent)付きHP1100
クロマトグラフィーカラム:Alltech RP18、5μm
バッファーA:H2O+TFA 0.1%
バッファーB:アセトニトリル+TFA 0.1%
勾配:0〜100%B、25分
注入容積:100μl
【0223】
得られたクロマトグラフィープロフィールについては、図9を見よ。図9に描かれている様に、LAPの濃度は低いが、しかし対応するピークの位置は最初のバッチと同じであった。濃度は、2バッチ間の塩含有量の僅かな差を反映することが分かっている。
【0224】
しかしながらLAPは、両標本で、同じ保持時間に検出され、UVスペクトルは、両プラフェロン-LB標本中のLAPのアミノ酸配列が同じであることを証明している。
【実施例12】
【0225】
様々な製造段階でのプラフェロン-LBのペプチド組成
プラフェロン-LB(最終製品)および2つの製造段階(段階IおよびII)のプラフェロン-LB2ミリグラムを精製水に溶解し、実施例11に記載のRP-HPLCで分析した。
【0226】
得られたクロマトグラフィープロフィールについては、図10を見よ。図10に描かれている様に、LAPはプラフェロン-LPの各製造段階に存在している。しかし最終製品のLAPの量は少なくなっている。プラフェロン-LB製造に用いた苛酷な条件が、LAPを一部分解したのだろう。
【実施例13】
【0227】
LAPの大規模精製
新しいプラフェロン-LBのバッチから開始する、LAPの大規模精製を行った。
【0228】
サイズ排除クロマトグラフィー
35本のプラフェロン-LBのバイアルを3.5mlの0.9%NaClに溶解した。溶解後、プラフェロンに含まれる化合物を、Sephadex G25カラムを用いたサイズ排除クロマトグラフィー(XK50/30カラム中に500ml、バッファー:10mM重炭酸アンモニウム pH7.8、流速:20ml/分)によって、高分子(>5000Da)と低分子(<5000Da)に分けた。
【0229】
得られたクロマトグラフィープロフィールについては、図11を見よ。両ピーク(低分子および高分子化合物)のサンプルの一つをRP-HPLCで分析した(図12参照)。予想通り、LAPに相当するピークは低分子量分画に見出された。RPクロマトグラフィーによって更に精製するために、低分子量化合物を含むピーク(青+黒矢印)をプールした。
【0230】
逆相クロマトグラフィー
低分子量を含む分画を、CG161を用いたRPクロマトグラフィーにより、さらに精製した。
マトリックス:CG161M(TosaHass)
HR16/20カラム中20ml
サンプル:プラフェロン-LBの低分子量分画
バッファーA:水+0.1%TFA
バッファーB:アセトニトリル+0.1%TFA
0〜100%B、87分
流速:9ml/分
【0231】
ピークを手動で集め、すぐに凍結乾燥した。図13に得られたクロマトグラフィープロフィールを示す。
【実施例14】
【0232】
リポポリサッカライド(LPS)誘導敗血症ショックに及ぼすLAPの効果
背景
グラム陰性細菌の細胞壁から抽出したリポポリサッカライド(LPS)の、単回、高用量(0.75〜1.5mg)の腹腔内(i.p)または静脈内(i.v)注射は、3日以内にマウスの50〜100%を死亡させる敗血症ショックを引き起こす(14-1から14-4参照せよ)。この作用は、1型サイトカイン(IL-1、IL-2、TNF-αおよびIFN-γ)の血流への急激な放出と密接に関係していることが証明されており、またそれは2型サイトカイン(IL-4およびIL-10)によって中和される(14-1から14-4を参照)。LPS誘導致死を軽減する薬学的化合物の能力は、通常、型サイトカインの産生または作用の阻害および/または2型サイトカインのアップレギュレーションと関係している(14-1から14-5を参照)。それゆえに、マウスLPS誘導致死は、1型サイトカインの合成/作用をダウンレギュレーションできる、または2型サイトカインをアップレギュレーションできる免疫変調化合物をスクリーニングするための、さらにヒト内毒素血症を予防、および/または治療する能力を持つ薬物を同定するための、インビボツールとして用いられる(14-1から14-4を参照)。
【0233】
予備研究において、発明者らは、免疫変調ペプチドLajor活性ペプチド(LAP)が、マウスのLPS誘導致死の推移に有益な効果を発揮することを示した(上記実施例3を参照)。本研究は、発明者らの観察を補完および拡大し、LPSが誘発する血中サイトカイン上昇に対するLAPの効果を評価するものである。LPS前1時間および後1時間、10マイクログラム(mcg)のLAPで処理されたマウスは、コントロールに比べ有意に低い致死率を示した。これに加えて、このような処理を受けたマウスは、LPS処理2時間および8時間後において、有意に低い血中TNF-α値を示した。IFN-γおよびIL-10のLPS誘導血液レベルには、LAPは影響しなかった。致死率の減少は、LAPを治療的に投与した場合、即ち、LPS処理後のみにのみ認められた。
【0234】
材料および方法
動物
6週齢のメスのCD1マウス(Charles River, Calco, Italy)を、餌と水は自由に摂らせながら、標準的な研究室(無非特異的病原菌)で維持した。
【0235】
敗血症ショックの誘導、および実験処理
致死的内毒素血症を誘導するために、マウスにリポポリサッカライド(LPS、Cod. L6011、ロット112K0463、Sigma Chimica, Milan, Italy)を腹腔内注射した。6つのマウス群を作り、表ipに示す実験計画に従って処理をした。LAPはLajor BioTech(Pittsburgh, PA USA)から提供され、これをトリフルオロ酢酸0.1%の水溶液およびNa2HPO4に容積/容積溶解し、最終容積100mclを腹腔内に注射した。
【0236】
TNF-α、IFN-γおよびIL-10のLPS誘導血液レベルに及ぼすLAP処理の効果
LPSによるマウス血流中のサイトカイン増加に及ぼすLAP処理のインパクトを評価するための実験を行い、実験では記載に従い10mcgのLAPまたはビークルで処理したマウスを半致死量(0.5mg/マウス)のLPS注射前(T0、即ちこの群のマウスが受けたLAPの処理は一回のみである)、ならびにLPS後2時間および3時間(各時点ともn=10マウス)に犠牲にした。犠牲時に個々のマウスから採取した血液から血漿サンプルを得た。TNF-α、IFN-γおよびIL-10は、マウス特異的固相ELISAにより、製造元(Celbio Euroclone, Milan, Italy)の指示書に従って測定した。アッセイ内およびアッセイ間変動係数は、10%以内であった。アッセイの限界感度は7pg/mlであった。統計分析するために、検出不可能な量のサイトカインの入ったサンプルは、理論値として7pgとした。
【0237】
統計分析
統計分析は、致死率についてはカイ二乗法により、サイトカイン測定値については一元配置ANOVAで行った。0.05未満のP値を有意とした。
【0238】
結果
LAP予防法は、LPS誘導致死率を大きく下げる
予想通り、ビークル処理コントロールマウスはほとんどがLPS注射72時間以内に死亡した。1または20mcgのLAPで処理したマウスは、投与レジメに関係なく、コントロールマウスに非常によく似た致死率の動態および累積を示した。これに対し10mcgのLAPで処理したマウスは、致死率が劇的に低下した。このLAPの用量は、LPS前-24と-1時間、またはLPS前1時間〜投与後1時間のいずれに投与しても、その効果は等しかった(表7および図14を参照)。しかしながら、LPS注射1時間後に「治療的」に投与した場合、LAは所望の効果を発揮しなかった(表8および図14を参照)。
【0239】
【表8】

【0240】
統計学分析のために、各群をビークル処理コントロールと比較した。統計分析は、カイ二乗で行った。
【0241】
LAPはLPSが誘導するTNF-αの血中レベルの上昇を抑制する
LPSの注射に伴って、毒素接種後に様々な動態で生ずる1型(IFN-γ、TNF-α、IL-1)および2型(IL-10)サイトカインの血液レベルが顕著に増加した。マウスでの、LPS誘導の血中サイトカインの上昇に及ぼすLAP処理の効果を評価するために、10mcgのLAPまたはそのビークルで処理したマウスを、LAPまたはPBS処理1時間後、半致死用量のLPSを注射する直前(T0)、LPS2時間後(T2)および8時間後(T8)に犠牲にする実験を行った。
【0242】
LPS注射直前T0で犠牲にした場合、コントロールマウスのいずれにも、血中にIFN-γ、TNF-αおよびIL-10は検出されなかった(図15A〜Cを参照)。LAP処理マウスの血中には、IFN-γまたはTNF-αのいずれも検出できなかったが、発明者らは犠牲前1時間にLAPを投与された10匹のマウスのうち3匹が、血中に検出可能なレベルのIL-10を有していることを観察した(図15A〜Cを参照)。
【0243】
LPS注射後2および8時間目には、コントロールマウスについて、TNF-αおよびIL-10がまず増加し(T2)、その後(T8)にIFN-γが増加することを特徴とする、これらサイトカインの血中レベルの特徴的変化が観察された(図15A〜Cを参照)。これらコントロールマウスに対し、LAPで処理されたマウスは、LPS投与2時間後(対コントロール37.3%減、p=0.01)および8時間後(対コントロール76.5%減、p=0.005)のいずれについても、TNF-αの血液レベルの有意な低下を示した(図15A〜Cを参照)。これに対し、LAP処理は、IFN-γまたはIL-10の血液レベルを変えなかった(図15A〜C)。
【0244】
結論
この結果は、予防として、即ち毒素を投与する前に、10mcgの用量で投与した場合、LAPはマウスにおいて、高用量のLPSの致死作用を強力に中和した。発明者らは、LAPで処理されたマウスが、ビークル処理コントロール群に比べ、TNF-αの量が有意に低いことも観察している。これに対し、LPSが誘導するIL-10またはIFN-γの血液レベルについては、LAP処理マウスとビークル処理マウスの間に有意な差はなかった。しかしながら発明者らは、10mcgのLAPで処理した1時間後、10匹のマウスのうち3匹が検出可能なレベルのIL-10を有していたのに対し、コントロールでは10匹中0匹であったことも認めている。
【0245】
内因性のTNF-αは、マウスのLPS誘導致死において主要な病原的役割を果たしていることが繰り返し証明されていることから(14-5を参照)、LPS誘導のTNF-α合成の低下と、本モデルにおけるLAPの有益な効果との間には因果関係あると思われる。
【0246】
TNF-α合成の阻害は、LAPの作用の重要な免疫薬理学的様態を表しているかもしれない。事実、TNF-αは、リウマチ性関節炎、クローン病、乾癬および炎症性皮膚炎を含む、いくつかのヒトの免疫炎症性および自己免疫性疾患において主要な病原的役割を果たしていることが、明瞭に実証されている(6〜8)。従って、TNF-α合成に対するLAPの拮抗作用は、TNF-αが介在するこれら、そして恐らくはその他の免疫病理学的状態の治療に関する、このペプチドの重要な応用であろう。
【0247】
発明者らは、本研究の主な成果は、LPS誘導致死のような急性免疫炎症の積極的モデルにおいて、LAP予防法により成される臨床的(致死率の低下)および免疫薬理学的(LPSが誘導したTNFα血液レベル上昇の抑制)活性を明瞭に実証したことだと考えている。これは、TNF-αと恐らくは他の1型サイトカインが主要な病原的役割を果たしているその他免疫炎症性もしくは自己免疫疾患でのLAPの潜在的有用性に関する概念の強固な証拠を提供している。
【0248】
参考文献
14-1 Nicoletti F., et al. 新規免疫変調剤MFP-14による、致死的マウス内毒素血症の予防と治療。Antimicrob. Agents Chemother, 45: 1591, 2001
14-2 Genovese F., et al. Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 40: 1733, 1996
14-3 Nicoletti F., et al. インターロイキン-13による、マウス新生児における内毒素誘導致死の予防。Eur. J. Immunol., 27: 1580, 1997
14-4 Nicoletti F., et al., マウス新生児の内毒素誘導致死は、インターロイキン-10(IL-10)で中和され、抗IL-10により悪化する。 Clin. Diagn. Lab. Immunol., 4: 607, 1997
14-5 Scallon BJ, et al. 各種腫瘍壊死因子レセプター/IgG融合タンパク質の機能の比較。Cytokine, 7: 759, 1995
14-6 Nahar IK, Shojaunia K, Marra CA, Alamgir AH and Anis AH. リウマチ性関節炎およびクローン病のインフリキシマブ治療。リウマチ性関節炎およびクローン病のインフリキシマブ治療。 Ann. Pharmacother. 37:1256, 2003
14-7. Victor FC and Gottlieb AB. TNF-αとアポトーシス:乾癬の病因および治療との関係: J. Drugs Dermatol., 1: 264, 2002
14-8. Drosou A., et al. 炎症性皮膚炎への、インフリキシマブ、抗腫瘍壊死因子アルファ抗体の使用。J. Cutan, Med. Surg., 7: 382-386, 2003
14-9. Li MC and He SH. 炎症性疾患治療を目的としたIL-10およびその関連サイトカイン。 World J. Gastroenterol., 10: 620, 2004
【実施例15】
【0249】
マウスでの、コンカナバリンA誘導T細胞依存的免疫炎症性肝炎でのLAPの効果
背景
ConA誘導肝炎は、ヒトの自己免疫性肝炎に似た細胞介在型の免疫炎症性疾患であり、マウスではコンカナバリン(ConA)の単回静脈(iv)注射によって誘導できる(15-1〜15-9を参照)。この疾患は、ConA投与後短時間での(8〜24時間)トランスアミナーゼの血漿レベルの顕著な上昇し、好中球、マクロファージおよびT細胞の肝臓への同時浸潤と、それに続く肝細胞のアポトーシスおよび壊死を特徴とする(15-1〜15-9を参照)。ConA注射は、脾臓T細胞の肝臓への移動を誘発し、それらはそこでパーホリン/グランザイムを放出し、またマクロファージを活性化させて肝細胞を障害する(15-4を参照)。このモデルにT細胞が関与していることは、ヌード無胸腺マウスがConAの肝炎誘導作用に対し耐性であること、およびT細胞を標的とする薬物、例えばシクロスポリンA、FK506およびフシジン酸ナトリウムの予防効果によって裏付けられている(15-1、15-2、15-5を参照)。遺伝子操作が加えられたマウスを用いた研究での、外因的に投与されたサイトカインおよび特異的サイトカイン拮抗剤の使用から、疾患の発症にはサイトカインのIL-4、IFN-γおよびTNF-αが必須であるが、IL-6およびIL-10は肝臓細胞への免疫炎症の攻撃をダウンレギュレーションすることが明瞭にしめされている(15-1〜15-3、15-6〜15-9を参照)。
【0250】
Lajor活性ペプチド(LAP、Lajor Biotech, Pittsburgh、USA)は、発明者らによって、マウスにおいて、マウスリポポリサッカライド(LPS)誘導致死作用を中和できることが前にしめされている、免疫変調特性を付与されたペプチドである。この後者のモデルはTNF-αに依存していることが知られていること、そしてLAP処理により、LPSが誘導するTNF-α血液レベルの上昇を下げることから、これらの観察をうけて、発明者らはマウスConA誘導肝炎の発症に及ぼすLAP予防法の効果を試験することとした。
【0251】
結果は、ConA投与後8時間以内にPBS処理コントロールマウスに誘発されたトランスアミナーゼの顕著な上昇が、LAPによる短期間の予防処理で強力に下げられることを示した。
【0252】
材料および方法
動物
8週齢の、非交系CD1オスマウス(Charles River, Calco, Italy)は、標準的研究室条件(非特異的病原菌の無い)、24℃で維持し、自由に餌と水を摂らせた。実験16時間前に、食物を取り除いた。
【0253】
肝炎誘導
ConA(Sigma Chemical, St. Louis, MO)は、無菌のリン酸緩衝化食塩水(PBS)に溶解し、尾静脈から注射した。群は、LAP(トリフルオロ酢酸0.1%の水溶液およびNa2HPO4に容積/容積溶解した後、さらに注射用の水で希釈した)またはそのビークルで、ConA前1時間、または後1時間処理した。追加のコントロールマウス群には、ConAを注射したのち処理を加えなかった。最後に、PBSを静脈注射するか、なんの処理も加えない別の2つのマウス群を、比較のために加えた(表8)LAP、そのビークル、PBSおよびCon Aは、全て最終容積100マイクロリットル(mcl)を注射した。動物は、肝臓障害の生化学および徴候(トランスアミナーゼの上昇)が顕著になるCon A注射後8時間目に、採血のために犠牲にした(15-1〜15-9を参照)。犠牲の前に死亡したマウス(表8)は、対象としなかった。
【0254】
トランスアミナーゼ活性のアッセイ
血漿アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALAT)活性は、二波長測定装置を用いる標準的な分光アッセイにより測定した。
【0255】
統計学分析
結果は平均値±SDで示す。統計分析は、一元配置ANOVAで実施した。LAPの効果は、ALAT血液レベルとコントロールとの差が、少なくとも0.05より小さくなる時、統計有意とした。
【0256】
結果
LAP予防法によりCon A誘導ALAT上昇は大きく低下した
予想通り、PBS静脈注射8時間後、ALATの血液値は未処理の正常マウスに非常に近いものであった(表9および図15を参照)。これに対し、ビークル処理コントロールマウスでは、Con A処理後8時間以内にALATの血液レベルの顕著な増加が観察された(表9および図15を参照)。この増加は、LAPによる短期間の予防処理によって顕著に低下し、このように処理されたマウスは、Con A、8時間後、コントロールよりも有意に低いALAT値を示した(84.7%減少)(表9および図15を参照)。
【0257】
【表9】

【0258】
考察
発明者らは、本明細書でLAPによる短期間の予防処理が、ビークル処理コントロールマウスに比べ、ALATの血液レベルを顕著に下げることを示した。このモデルでのトランスアミナーゼ値の上昇は、Tリンパ細胞、マクロファージおよび好中球の浸潤によって引き起こされる肝臓傷害の組織学的徴候とよく相関することが知られている(15-1〜15-5を参照)ことから、本結果は、Con A誘導肝炎の血清学的徴候および組織学的徴候の発生に対するLAP予防法の強力な予防効果を強く示唆している。
【0259】
本所見は、マウスでのLPS誘導致死についてLAPに観察された有益な抗炎症効果を、急性細胞介在型免疫炎症のこのモデルまで拡張した。これに加えて、後者のモデルにおけるTNF-α合成を阻害するLAPの明瞭な能力は、Con A誘導肝炎においてこのサイトカインが中心的な役割を果たすことと一緒になり(15-3を参照)、LAPの抗肝炎作用には、TNF-α産生の拮抗も関係することを示唆している。ここに示したLAPの予防能力は、臨床使用に関し重要な意味を持つだろう。LAPを、例えば自己免疫性肝炎の患者に、自然および/または薬学的に誘導された疾患の寛解期中に投与し、再発を防止することができ、またB型肝炎ウイルス感染後に起こることがあり、また疾患の慢性化および肝硬変の発症に関係する可能性のある免疫炎症性の肝臓事象を防止するのに用いることもできるだろう。
【0260】
参考文献
15-1. Tiegs G.J. et al. コンカナバリンAで誘導可能な、マウスのT細胞依存型実験的肝臓傷害 A. J. Clin. Invest., 90;196, 1992
15-2. Mizuhara H., et al., T細胞活性化関連肝障害:腫瘍壊死因子の仲介とインターロイキン-6による防御。 J. Exp. Med., 179: 1529, 1994
15-3. Gantner F., et al. マウスに於けるコンカナバリンA誘導T細胞仲介肝障害:腫瘍壊死因子の役割。 Hepatology, 21: 190: 1995
15-4. Watanabe Y. et al. コンカナバリンAはパーホリン仲介肝障害を誘導するが、Fas仲介肝障害は誘導しない。 Hepatology 24: 702, 1996
15-5. Nicoletti F., Beltrami B., Raschi E., Di Marco R., Magro G., Grasso S., BendtzenK., Fiorelli G., Meroni PL. フシジン酸ナトリウムによる、マウスでのコンカナバリンA(Con-A)誘導T細胞依存的肝傷害の防御およびサイトカイン放出の変調。 Clin. Exp. Immuno., 110:479-484, 1997
15-6. Xiang M., Zaccone P., Di Marco R., Magro S., Di Mauro M., Beltrami B., Meroni PL., and Nicoletti F. マウスでの、コンカナバリンA誘導T細胞依存的肝炎のロリプラムによる予防。Eur. J. Pharmacol., 367:399-404, 1999
15-7. Di Marco R., Xiang M., Zaccone P., Leonardi C., Franco S., Meroni PL., and Nicoletti F. マウスでのコンカナバリンA誘導肝炎はインターロイキン(IL)-10によって防御され、内因性IL-10欠失によって増悪化する。 Autoimmunity, 31: 75-83, 1999
15-8. Nicoletti, F., et al., コンカナバリンA誘導T細胞依存的肝炎における、インターフェロン(IFN)-γの不可欠な病理発生的役割:外因性IFN-γによる増悪化とIFN-γレセプター免疫グロブリン融合タンパク質による予防。 Cytokine, 12: 315-323, 2000
15-9. Nicoletti F., Di Marco R., Zaccone P., Salvaggio A., Magro G., Bendtzen K., and Meroni PL. マウスコンカナバリンA誘導肝炎は、インターフェロン-γ-依存的メカニズムを通じ、インターロイキン(IL)-12抗体で予防され、外因性IL-12で増悪化する。Hepatology, 32: 728-733, 2000
【実施例16】
【0261】
非肥満糖尿病(NOD)マウスでの自己免疫性糖尿病の発症に於けるLajor活性ペプチド(LAP)の効果に関する予備的報告
【0262】
材料および方法
動物
メスNODマウス(Charles River, Calco, Italy)は、標準的研究室条件(非特異的病原菌の無い)で維持し、自由に餌と水を摂らせた。糖尿病予防試験期間中、週に二回、マウスの尿糖を測定し、陽性の場合には続けて血糖を測定した。マウスは、絶食時血糖が二連続日、12mmol/lを超えた場合に糖尿病と診断した。
【0263】
実験処理
オイグリセミックのメスNODマウスを、LAPまたはビークルを、第4週齢または第12週齢から投与する4つの群に無作為に割り付けた。インスリン炎は、4週齢のNODマウスでは確認できず、12種まで活発に進行することから、この方法を用いることで本発明者らは、NODマウス糖尿病の初期および後期の糖尿病発生段階におけるLAP処理の効果について調べることができた。初期予防処理の結果は、インスリン炎発生に及ぼすLAPの効果を評価することであり、一方後期予防処理の結果は、臨床的に顕在化した糖尿病の発生頻度に及ぼすLAPの効果を評価であった。
【0264】
初期予防
初期予防処理では、4週齢のNODマウスを、10mcgのLAP(実施例14および15に記載したように溶解および希釈した[最終容積100mcl]または100mlのビークルで毎日、14週齢になるまで毎週6回処理した。この時点でオイグリセミックなマウスを犠牲にし、インスリン炎の組織学検査のためにその膵臓検体を集めた。
【0265】
後期予防
後期予防処理では、初期予防処理に記載したものと同一の実験レジメの下、12週齢のNODマウスを無作為に2つの実験群、一つはLAP処理群、もう一つはビークル処理群に分けた。処理を続けた。
【0266】
膵島の組織学検査
膵島の組織学検査は、前に記載した(16-3〜16-5を参照)ようにして、動物の状態および/または処理について知らされていない2名の病理学者により、ブラインド形式で行われた。単核細胞浸潤の程度は次の通りとした;0、浸潤なし;1、膵管周囲の浸潤;2、島周囲の浸潤;3、島内の浸潤;4、ベータ細胞破壊を伴う島内の浸潤。各マウスについて、少なくとも12の島を測定した。各膵臓の平均スコアは、総スコアを検査した島の数で除して計算した。
【0267】
結果
LAPの無毒性
4から14週齢まで、または12週から25週齢までのNODマウスマウスへのLAPの長期投与は、その臨床的外観および行動から判断して、動物によく受け入れられたと思われる。これに加えて、LAP処理動物の体重は、試験期間を通じてコントロール動物のそれに似ており、また組織分析のために第14週で犠牲にしたマウスの、試験終了時の窒素血症およびトランスアミナーゼ値の両方に差は認められなかった(未提示)。図17Aは、NODマウスの体重増加に対し、LAP長期処理(14〜25週)が影響しないことを示している。
【0268】
LAPによる初期予防処理は、NODマウスのインスリン炎重症度を軽減する
4週齢からビークルで処理されたNODマウス8匹のうち2匹(25%)が、14週齢の試験終了時前に糖尿病を発症し、そのため犠牲にし、組織学分析には加えなかった。LAP処理したNODマウスマウスで、処理期間中に糖尿病を発症したものはいなかった。LAPによる初期予防処理の、明瞭な臨床的に有用な効果と一致して、LAP処理マウスのインスリン炎スコアも、ビークルで処理されたコントロールマウスのそれに比べ有意に低かった(0.9±0.6対2±0.9、p00.018)(図17Bを参照)
【0269】
考察
発明者らは、初期予防レジメに従って、4週齢のNODマウスに、10連続週投与すると、LAPはこれら動物のインスリン炎プロセスの重症度を大きく軽減することを示した。この組織学的効果は臨床的効力を有することは、コントロールが8匹中2匹で糖尿病を発症したのに対し、LAPで処理されたマウスでは14週齢までに糖尿病を発症したものがいないという事実から示唆された。
【0270】
参考文献
16-1. Rabinovitch A. インスリン依存型糖尿病の病理発生に於けるサイトカインについての最新情報。 Diabetes Metab. Rev., 14: 129, 1998
16-2. Bach JF. 1型糖尿病の免疫治療:他自己免疫性疾患に対する教訓。 Arthritis Rheum., 4 Suppl 3:S3-15, 2002
16-3. Nicoletti F et al. フシジン酸とインスリン依存型糖尿病。Autoimmunity 24: 187, 1996
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16-5. Nicoletti F et al. 組換え体ヒトインターロイキン-11による初期予防は、NODマウスの自然発生糖尿病を予防する。Diabetes, 48: 233-2339, 1999
【実施例17】
【0271】
リーシュマニア症治療でのPLBの使用
PLBは、被験体リーシュマニア症の治療に有益な効果を発揮すると思われることが見出されている。一つの態様では、被験体は動物である。
【0272】
材料および方法
リーシュマニア症の臨床症状(高度の末梢リンパ節症および皮膚傷害、主に基質の消失を伴う潰瘍および出血、食欲不振および体重の減少)を示す10匹のイヌの群に、表10に示した用量および時間でPLBを皮下投与したところ、症状が実質的に軽快化した。
【0273】
結果および結論
処理中有害作用は観察されなかった。これらの所見は、PLB投与が、完全に安全な様式でリーシュマニア症の臨床症状を治癒することを実証している。
【0274】
好ましい水性無菌溶媒10mlの溶液または件濁液の形をした組成物を、リーシュマニア症に罹っている被験体に、非経口経路、特には皮下または筋肉内に、症状が消失または実質的に軽減するまで投与した。
【0275】
【表10】

【実施例18】
【0276】
PLBの化粧品使用
PLBの抗シワ特性を調べるために、合計200名の女性に軟膏ベースのPLBラノリンを、14日間顔の右半分に塗り、左半分をコントロールとした。参加した美容師により、実質的な改善が報告された。200名全員の女性が、結果とは関係なしに顔の左側(コントロール)に
PLBラノリンベースの軟膏を使用した。
【0277】
化粧品用キャリア、または以下に記載する添加物(A)もしくは(B)のような添加物と、PLBまたは本発明のペプチドまたはポリペプチドの合成物を含有する加湿クリームおよびより濃厚な「漿液」を、米国、欧州およびアジアの、少なくとも50人のヒトを対象に試験した。被検者はあらゆるタイプの肌色、シワ、かぶれ(虫さされやウルシのようなアレルギー反応)、乾癬、一度または二度の火傷、外傷、日光およびUVへの暴露、帯状ヘルペス発疹(帯状疱疹)および/または全身性エリテマトーデスに伴う発疹、糖尿病性潰瘍、皮膚移植を有している。クリームまたは漿液は、ほとんど全ての原因で損傷を受けた皮膚の外観および状態を改善した。さらには、漿液で処理したグレーの髪または白髪は、処理後に元の色を取り戻したと報告された。
【0278】
添加物(A):精製水、ステアリン酸グリセリル(および)Laureth 23、グリセリン、アセチル化モノグリセリド、ココナッツオイル、アロエの葉の汁、サフラワー油、ステアリン酸、オレイン酸、セチルアルコール、ミネラルオイル、ラノリン、Laneth 16、酢酸トコフェロール(ビタミンE)、プロピレングリコール(および)メチルパラベン(および)プロピルパラベン(および)ジアゾリジニル尿素、ホホバ油、カルボマー、PLB、レチニルパルミテート(ビタミンA)、トリエタノールアミン、芳香剤、BHT。
【0279】
添加物(B):精製水、PLB、ポリアクリルアミドC13〜C14(および)イソパラフィン(および)Laureh 7、プロピレングリコール、イソプロピルアルコール、グリセリン、ジメチコン、水酸化カリウム、ジアゾリジニル尿素、ヨードプロピニルブチルカルバメート、芳香剤。
【実施例19】
【0280】
作用メカニズム
あり得る作用メカニズムとしては、カテプシンSを特異的に阻害し、それにより抗原性ペプチドを結合するためのクラスII MHC分子の反応能力を下げ、クラスII MHC分子による抗原性ペプチドの提示を低下させ、免疫反応を抑制すること、用量依存的なTNF-αの増減によるアポトーシスを変調すること、障害されたミトコンドリア呼吸鎖の電子伝達を回復すること、およびホスホリパーゼA2の阻害による抗炎症作用が挙げられる。
【実施例20】
【0281】
PLB抗催奇活性試験
シクロホスファミド(CP)による催奇作用のメカニズムは、アポトーシスの活性化を含む。アポトーシスの強度に及ぼすプラフェロンLBの影響を、TUNEL法を用い、CP処理したマウスの胎児の能を用いて調べた。
【0282】
次の3つの動物群を用いた:
群(A):無処理;コントロール(12匹)。群(B):CPのみで処理(18)。群(C):CPとプラフェロンLBで処理(18)。
【0283】
CP(15mg/kg)は、群Bおよび群Cの妊娠したマウスに、着床12日目に腹腔内注射した。プラフェロンLB(0.8mg/kg)は、同じ経路から群Cに3回−CP注射1時間前、注射3時間後および6時間後に投与した。動物を着床18日目に麻酔し、その胎児を取りだし調べた。
【0284】
プラフェロンLB処理は、CPのみで処理された動物群に比べ、マウス胎児脳のアポトーシス細胞の割合が低くく、抗催奇効果を示したことが見出された。
【0285】
3群全ての胎児のマウス脳の5〜6μM切片をTUNEL法で染色した。濃いスポットがアポトーシスを表す。図19(A)〜(C)を参照。(A)コントロール(無処理)。(B)CPのみ。(C)CP+プラフェロンLB。
【0286】
群Aの胎児には奇形はなかった;群Bは64.8%が奇形を示し、また群Cは11.2%のみ奇形を示した。
【0287】
B群の動物(CPのみ)の胎児は、典型的な奇形、即ち欠指症候群(四肢の異常)、口蓋裂、屈曲尾、および低いボディマスを示した。図19Dを参照。
【0288】
CPおよびPLBで処理したC群の動物の胎児は奇形を示さず、正常な体重/大きさを有すると思われる。図19Eを参照。
【0289】
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【図面の簡単な説明】
【0290】
【図1】セファデックスG25を用いたプラフェロン-LB精製のクロマトグラフィープロフィールの図。図1は、セファデックスG25を用いた、プラフェロン化合物の分離後に得られたクロマトグラフィープロフィールを示している。高分子(>5000Da)化合物を含有する分画および低分子(<5000Da)化合物を含有する分画はプールして、凍結乾燥した。
【図2A】スパーデックス30HR 10/30でのプラフェロン-LB低分子および高分子化合物のSE-HPLCの図の2Aは、高分子生成物(排除容積内の、保持時間=14.425分の1ピーク)のみを含有する高分子化合物を含むプールを示す。
【図2B】スパーデックス30HR 10/30でのプラフェロン-LB低分子および高分子化合物のSE-HPLCの図2Bは、高分子生成物(保持時間:14.408分)と同時に小ペプチド(保持時間38分以上)の両方を含有する低分子化合物を含むプールを示す。
【図3】プラフェロン-LB低分子化合物のRP-HPLCの図。RP-HPLC分析は、プラフェロン-LB低分子化合物中に複数のペプチドを検出した。
【図4】プラフェロン-LBの低分子化合物のRPクロマトグラフィーの図。逆クロマトグラフィー(RPクロマトグラフィー)を用いて得たクロマトグラフィープロフィールは、RP-HPLCで得た分析結果を確認し、8つのピークを収集した。ピークを含まない分画を集め、プールした(分画「RP Non pic」)。
【図5】図4のペプチドの質量分析の図。図4のペプチドの配列を、質量分析とNH2アミノ酸シーケンシングを用いて決定した。
【図6】DAラットのPR-EAEの変化に対するPLB予防法の効果を示す図。表6は、PLB処理ラット間の、EAEの累計発生頻度の比較である。PLB処理ラット間の累計発生頻度は、コントロールの頻度と有意差ははなかったが、プラフェロン-LB処理を受けたこれら後者の動物は、より低いEAE累積スコアを伴うより軽い疾患経過を示し、そしてより短い期間の後に重症度の低い再発を示した。
【図7】プラフェロン-LB予防法が、DAラットでのOIA誘導関節炎を防止することを示す図。OIA関節炎の経過は、PLB-予防法から好ましい影響を受けた。処理を受けたラットは、顕著に軽度の疾患経過を示し、それはコントロールのラットに記録されたものに比べ有意に低い(p<0.0001)関節炎スコアとなって表れた。
【図8A】DAラットにおけるオイル誘導関節炎に対するPLB分画4を用いた実験でコントロールラットのオイル誘導関節炎を示す写真。
【図8B】DAラットにおけるオイル誘導関節炎に対するPLB分画4を用いた実験でコントロールラットのオイル誘導関節炎を示す写真。
【図8C】DAラットにおけるオイル誘導関節炎に対するPLB分画4を用いた実験でコントロールラットのオイル誘導関節炎を示す写真。
【図8D】DAラットにおけるオイル誘導関節炎に対するPLB分画4を用いた実験でコントロールラットのオイル誘導関節炎を示す写真。
【図8E】DAラットにおけるオイル誘導関節炎に対するPLB分画4を用いた実験で分画4による処理を受けたラットのものを示す写真。
【図8F】DAラットにおけるオイル誘導関節炎に対するPLB分画4を用いた実験で分画4による処理を受けたラットのものを示す写真。
【図8G】DAラットにおけるオイル誘導関節炎に対するPLB分画4を用いた実験で分画4による処理を受けたラットのものを示す写真。
【図8H】DAラットにおけるオイル誘導関節炎に対するPLB分画4を用いた実験で分画4による処理を受けたラットのものを示す写真。関節炎の発生頻度は、図8A−8Dのコントロールラットでは100%であり、また図8E−8Hの分画4処理ラットでは50%である。これに加え、関節炎を発症した分画4で処理した二匹の動物も、その疾患スコアはかなり低い。
【図9】二つのバッチのプラフェロン-LBのRP-HPLCクロマトグラフィープロフィールの図。青:「第一」プラフェロン-LBバッチ赤:「第二」プラフェロン-LBバッチLAP(Lajor活性ペプチド)は、黒の矢印で示す。
【図10】プラフェロン-LBのRP-HPLCクロマトグラフィープロフィール(最終生成物および二種類の製造段階の)の図。青:プラフェロン-LB(最終精製品)赤:プラフェロン-LB(製造段階I)緑:プラフェロン-LB(製造段階II)LAP(Lajor活性ペプチド)は、黒の矢印で示す。
【図11】プラフェロン-LBのサイズ排除クロマトグラフィープロフィールの図。
【図12】プラフェロン-LB(SEクロマトグラフィー後の低分子および高分子)のRP-HPLCプロフィールの図。青:プラフェロン-LB(最終精製品)赤:SEクロマトグラフィー後の低分子分画緑:SEクロマトグラフィー後の高分子分画LAP(Lajor活性ペプチド)は、黒の矢印で示す。
【図13】図13のA−Bは、プラフェロン-LBのRP-HPLCクロマトグラフィープロフィールの図である。両方向矢印は、最初の大規模精製で得た分画4のLAPを示す。
【図14】LPS誘発致死率に及ぼすLAPの時間および用量効果を示す図。
【図15】図15のA−CはLPS誘導TNF-αの血中レベル上昇をLAPが抑制することを示す図である。
【図16】ConA誘発ALAT上昇が、LAP予防法によって低下することを示す図。
【図17】図17Aは、NODマウスの体重増加に、LAPを用いた長期処理(14〜25週間)が影響しないことを示す図である。図17Bは、NODマウスでのインスリン炎発症に及ぼす、LAPを用いた早期予防処置の効果を示す図である。
【図18】リーシュマニア症の治療におけるPLBを用いた実験で撮影された写真。図18A〜Cは、リーシュマニア症の臨床症状を示すイヌの写真を示す。図18D〜Fは、PLB投与後に症状が実質的に軽減したイヌの写真を示す。
【図19】図19のA−Cは、TUNEL法で染色した全三群の胎児より得たマウスの脳の切片(5〜6μM)を示す図。黒い点はアポトーシスを表す。Aはコントロール(無処理)。BはCPのみ。(C)CP+プラフェロンLB。図19Dは、B群(CPのみ)の動物の胎児が、典型的な奇形、即ち欠指症(脚部奇形)、口蓋裂、捻れた尾、および低体重を示した。図19Eは、CPおよびPLBで処理した動物のC群の、奇形および正常体重/大きさを持つ胎児を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NH2-NVSAVEIA-COOH、NH2-NVSpAVEIA-COOHまたはその機能的均等物の配列を含む単離されたペプチド。
【請求項2】
NH2-NVSAVEIA-COOHまたはNH2-NVSpAVEIA-COOHの配列を含む単離されたポリペプチド。
【請求項3】
NH2-NVSAVEIA-COOHまたはNH2-NVSpAVEIA-COOHの配列をコードする単離された核酸分子。
【請求項4】
請求項3記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項5】
請求項3記載の核酸または請求項4記載の核酸を含む細胞。
【請求項6】
請求項3記載の単離された核酸分子または請求項4記載のベクターを含む、NH2-NVSAVEIA-COOHまたはNH2-NVSpAVEIA-COOHの配列を含有するポリペプチドまたはペプチドの発現のための発現システム。
【請求項7】
適当な細胞の中にNH2-NVSAVEIA-COOHまたはNH2-NVSpAVEIA-COOHのアミノ酸配列をコードする核酸分子を導入すること、細胞をNH2-NVSAVEIA-COOHまたはNH2-NVSpAVEIA-COOHのアミノ酸配列の発現を可能にする適当な条件に置くこと、それにより請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを産生することを含む、請求項1記載の単離されたペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを産生するための方法。
【請求項8】
核酸分子が、制御エレメントと作動可能に連結している、請求項7記載の方法。
【請求項9】
核酸分子が、ベクターの中で連結している、請求項7記載の方法。
【請求項10】
請求項3記載の核酸または請求項4記載のベクターを含む、トランスジェニック動物。
【請求項11】
請求項1記載の単離されたペプチドまたは請求項2記載のポリペプチド、および適当なキャリアを含む、組成物。
【請求項12】
請求項1記載の単離されたペプチドまたは請求項2記載のポリペプチド、および薬学的に許容されるキャリアを有効量含む、薬学的組成物。
【請求項13】
抗生物質、創傷治癒剤、抗酸化剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗虚血剤、抗損傷剤および抗加齢剤、免疫変調剤、抗低酸素症剤、抗毒素剤、抗アレルギー剤、抗シワ剤、抗炎症剤、抗感染症剤、抗免疫原性剤または抗癌剤からなる群より選択された作用物質をさらに含む、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
キャリアが、局所、舌下、非経口または胃腸管投与またはエアゾール化に適している、請求項12記載の組成物。
【請求項15】
化学的に合成された、または遺伝子工学を用いて作られた、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチド。
【請求項16】
有効量の、請求項1記載のペプチド、または請求項2記載のポリペプチドを被験体の皮膚表面に接触させることを含む、前記被験体の皮膚状態を改善するための方法。
【請求項17】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、急性ウイルス性B型肝炎またはC型肝炎被験体の肝機能の生化学パラメータおよび免疫学指標を正常化させる、疾患の症状の回復を早める、または疾患の再発を防止するための方法。
【請求項18】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、ヘルペス性帯状疱疹神経節神経炎被験体の、HLA-DR抗原を担持するCD3+、CD4+、CD8+およびT細胞の細胞数を正常化し、さらに神経学的症状を改善する方法。
【請求項19】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、糖尿病性末梢多発性神経炎被験体のCD3+およびCD4+T細胞表現形のレベルを正常化する方法。
【請求項20】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、被験体であるネフローゼ症候群患者を治療する方法。
【請求項21】
患者が小児であって、ペプチドまたはポリペプチドが突発性ネフローゼ症候群(INS)の子供に臨床検査値の初期よび長期寛解を促すことができるか、またはCD3+およびCDB+のTリンパ細胞の減少を正すことができる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、若年性リウマチ性関節炎、リウマチ性関節炎または乾癬性関節炎被験体の臨床症状および検査指標を改善し、白血球のインターフェロン産生を促進し、または液性もしくは細胞性免疫を正常化する方法。
【請求項23】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、気管支喘息被験体の沈静化に必要な経口ステロイドの平均日用量を減らす、スパイロメータパラメータを適度に改善する、またはデキサメタゾンに対する感度を上げる方法。
【請求項24】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、呼吸器感染症小児患者における免疫学指標を改善する、または感染頻度を減らす方法。
【請求項25】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、抗けいれん剤を使用しているてんかん被験体のアレルギー反応または薬物中毒を軽減する方法。
【請求項26】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、乳癌被験体における腫瘍血清マーカー、CA15.3のレベルを正常化する、または腫瘍に浸潤するCD5’-T細胞またはCD11マクロファージを増やす、免疫変調の方法。
【請求項27】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、乾癬被験体の臨床症状を改善する、発疹を根絶する、疼痛を解除する、免疫制御リンパ細胞の活動またはCD3+もしくはCD8+細胞のパーセンテージを高める方法。
【請求項28】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、ヒト被検者におけるアテローム性動脈硬化、動脈硬化またはその他形状の血管閉塞症を治療する方法。
【請求項29】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、心筋細胞死を制限する、または心筋の収縮力を改善する方法。
【請求項30】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、被験体における臓器移植後の拒絶反応を制限する方法。
【請求項31】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、被験体のHIV感染を治療する方法。
【請求項32】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、被験体の脳虚血または外傷を治療する方法。
【請求項33】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、被験体の虚血−再潅流による病的結果を治療する方法。
【請求項34】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、化学物質または麻酔薬の中毒を治療する方法。
【請求項35】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、被験体の創傷治癒を治療する方法。
【請求項36】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、被験体のウイルス性疾患を治療する方法。
【請求項37】
心筋細胞を、有効量の請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドと接触させることを含む、前記心筋細胞を傷害から保護するための方法。
【請求項38】
被験体に、有効量の請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを投与することを含む、被験体の心筋細胞を保護するための方法。
【請求項39】
心筋細胞が傷害を受けている、請求項37または38記載の方法。
【請求項40】
傷害が化学物質または血液および酸素の欠乏である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを有効量含む、癌細胞を阻止または殺すことができる組成物。
【請求項42】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドに癌細胞を接触させることを含む、前記癌細胞を阻止または殺す方法。
【請求項43】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、癌細胞を阻止または殺す方法。
【請求項44】
H1ヒスタミンレセプターを拮抗する量の請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む組成物。
【請求項45】
細胞内に、細胞のH1ヒスタミンレセプターを拮抗する効果を生ずる方法であって、前記細胞を有効量の請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドに接触させることを含む方法。
【請求項46】
被験体に、有効量の請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを投与することを含む、前記被検者にH1ヒスタミンレセプターに拮抗する作用を生ずる方法。
【請求項47】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドおよび適当なキャリアを含む、A2-ホスホリパーゼ活性に対し阻害的な組成物。
【請求項48】
有効量の、請求項47記載の組成物に細胞を接触させることを含む、前記細胞にA2-ホスホリパーゼ阻害活性を生ずるための方法。
【請求項49】
有効量の、請求項47記載の組成物を被験体に投与することを含む。前記被験体にA2-ホスホリパーゼ阻害活性を生ずる方法。
【請求項50】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、腫瘍壊死因子(TNF)の作用から保護するための組成物。
【請求項51】
有効量の、請求項50記載の組成物に細胞を接触させることを含む、前記細胞において腫瘍壊死因子(TNF)の作用から保護するための方法。
【請求項52】
有効量の、請求項50記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体において腫瘍壊死因子(TNF)の作用から保護するための方法。
【請求項53】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、炎症性腸疾患を治療するための方法。
【請求項54】
有効量の、請求項53記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の炎症性腸疾患を治療するための方法。
【請求項55】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、1型糖尿病を治療するための組成物。
【請求項56】
有効量の、請求項55記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の1型糖尿病を治療するための方法。
【請求項57】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、多発性硬化症を治療するための組成物。
【請求項58】
有効量の、請求項57記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の多発性硬化症を治療するための方法。
【請求項59】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、敗血症ショックまたはグラム陰性敗血症を治療するための組成物。
【請求項60】
有効量の、請求項59記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の敗血症ショックまたはグラム陰性敗血症を治療するための方法。
【請求項61】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、パーキンソン病を治療するための組成物。
【請求項62】
有効量の、請求項61記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体のパーキンソン病を治療するための方法。
【請求項63】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、心筋梗塞を予防する、または心筋収縮力を改善するための組成物。
【請求項64】
有効量の、請求項63記載の組成物と細胞とを接触させることを含む、前記細胞のシグマ1および2レセプターを変更することによって、心筋梗塞を予防するための方法。
【請求項65】
有効量の、請求項63の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の心筋梗塞を予防する方法。
【請求項66】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、2型糖尿病を治療するための組成物。
【請求項67】
有効量の、請求項66記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の2型糖尿病を治療するための方法。
【請求項68】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、アルツハイマー病を治療または予防するための組成物。
【請求項69】
有効量の、請求項68記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体のアルツハイマー病を治療または予防するための方法。
【請求項70】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、筋萎縮性側索硬化症を治療するための組成物。
【請求項71】
有効量の、請求項70記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の萎縮性側索硬化症を治療するための方法。
【請求項72】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、内毒素血症、外毒素血症または関連状態を治療するための組成物。
【請求項73】
有効量の、請求項72記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の内毒素血症、外毒素血症および関連状態を治療するための方法。
【請求項74】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、クローン病または慢性腸炎を治療するための組成物。
【請求項75】
有効量の、請求項74記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体のクローン病を治療するための方法。
【請求項76】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、甲状腺炎を治療するための組成物。
【請求項77】
有効量の、請求項76記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の甲状腺炎を治療するための方法。
【請求項78】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、ギラン−バレー症候群を治療するための組成物。
【請求項79】
有効量の、請求項78記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体のギラン−バレー症候群を治療するための方法。
【請求項80】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、全身性エリテマトーデスを治療するための組成物。
【請求項81】
有効量の、請求項80記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の全身性エリテマトーデスを治療するための方法。
【請求項82】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、カスパーゼ3、4および8を処理するための組成物。
【請求項83】
有効量の、請求項82記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体のカスパーゼ3、4および8の活性化を処理または防止するための方法。
【請求項84】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを含む、潰瘍性大腸炎を治療するための組成物。
【請求項85】
有効量の、請求項84記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の潰瘍性大腸炎を治療するための方法。
【請求項86】
アミノ酸配列NH2-NVSAVEIA-COOH、NH2-NVSpAVEIA-COOHまたはその機能的均等物を含む単離されたペプチド、あるいはアミノ酸配列NH2-NVSAVEIA-COOHを含む単離されたポリペプチドの有効量を被検体に投与することを含む、被験体の酸化窒素合成酵素(NOS)を変調するための方法。
【請求項87】
請求項3記載の核酸または請求項4記載のベクターを含むクローン動物。
【請求項88】
請求項3記載の核酸または請求項4記載のベクターを含むキメラ。
【請求項89】
有効量の、請求項1記載のペプチドまたは請求項2記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む。被験体のSARS感染症を治療するための方法。
【請求項90】
配列X-N-(VもしくはL)-ブロッキング化学物質-Y)、NVSp、NVSまたはその機能的均等物を含む、単離されたペプチド。
【請求項91】
配列X-N-(VもしくはL)-ブロッキング化学物質-Y)、NVSp、NVSまたはその機能的均等物を含む、単離されたポリペプチド。
【請求項92】
アミノ酸配列X-N-(VもしくはL)-ブロッキング化学物質-Y)、NVSp、NVSまたはその機能的均等物をコードする、単離された核酸分子。
【請求項93】
請求項92記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項94】
請求項92記載の核酸または請求項93記載のベクターを含む細胞。
【請求項95】
配列X-N-(VもしくはL)-ブロッキング化学物質-Y)、NVSp、NVSまたはその機能的均等物を含むポリペプチドまたはペプチドの発現のための発現システムであって、請求項92記載の単離された核酸分子または請求項93記載のベクターを含む発現システム。
【請求項96】
請求項90記載の単離されたペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを生成するための方法であって、アミノ酸配列X-N-(VもしくはL)-ブロッキング化学物質-Y)、NVSp、NVSまたはその機能的均等物をコードする核酸分子を適当な細胞内に導入すること、細胞をアミノ酸配列X-N-(VもしくはL)-ブロッキング化学物質-Y)、NVSp、NVSまたはその機能的均等物の発現を許す適当な条件に置くこと、それによって請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを産生することを含む方法。
【請求項97】
核酸分子が制御エレメントと作動可能に連結している請求項96記載の方法。
【請求項98】
核酸分子が、ベクターの中で連結している、請求項96記載の方法。
【請求項99】
請求項92記載の核酸または請求項93記載のベクターを含む、トランスジェニック動物。
【請求項100】
請求項90記載の単離されたペプチドまたは請求項91記載のポリペプチド、および適当なキャリアを含む組成物。
【請求項101】
有効量の、請求項90記載の単離されたペプチドまたは請求項91記載のポリペプチド、および薬学的に許容されるキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項102】
抗生物質、創傷治癒剤、抗酸化剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗虚血剤、抗損傷剤および抗加齢剤、免疫変調剤、抗低酸素症剤、抗毒素剤、抗アレルギー剤、抗シワ剤、抗炎症剤、抗感染症剤、抗免疫原性剤または抗癌剤からなる群より選択された作用物質をさらに含む、請求項101記載の組成物。
【請求項103】
キャリアが、局所、舌下、非経口または胃腸管投与またはエアゾール化に適している、請求項101記載の組成物。
【請求項104】
化学的に合成された、または遺伝子工学を用いて作られた、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチド。
【請求項105】
有効量の、請求項90記載のペプチド、または請求項91記載のポリペプチドを被験体の皮膚表面に接触させることを含む、前記被験体の皮膚状態を改善するための方法。
【請求項106】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、急性ウイルス性B型肝炎またはC型肝炎被験体の肝機能の生化学パラメータおよび免疫学指標を正常化させる、疾患の症状の回復を早める、または疾患の再発を防止するための方法。
【請求項107】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、ヘルペス性帯状疱疹神経節神経炎被験体の、HLA-DR抗原を担持するCD3+、CD4+、CD8+およびT細胞の細胞数を正常化し、さらに神経学的症状を改善する方法。
【請求項108】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、糖尿病性末梢多発性神経炎被験体のCD3+およびCD4+T細胞表現形のレベルを正常化する方法。
【請求項109】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、問題のネフローゼ症候群患者を治療する方法。
【請求項110】
患者が小児であって、ペプチドまたはポリペプチドが突発性ネフローゼ症候群(INS)の子供に臨床検査値の初期よび長期寛解を促すことができるか、またはCD3+およびCDB+のTリンパ細胞の減少を正すことができる、請求項109記載の方法。
【請求項111】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、若年性リウマチ性関節炎、リウマチ性関節炎または乾癬性関節炎被験体の臨床症状および検査指標を改善し、白血球のインターフェロン産生を促進し、または液性もしくは細胞性免疫を正常化する方法。
【請求項112】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、気管支喘息被験体の沈静化に必要な経口ステロイドの平均日用量を減らす、スパイロメータパラメータを適度に改善する、またはデキサメタゾンに対する感度を上げる方法。
【請求項113】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、呼吸器感染症小児患者における免疫学指標を改善する、または感染頻度を減らす方法。
【請求項114】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、抗けいれん剤を使用しているてんかん被験体のアレルギー反応または薬物中毒を軽減する方法。
【請求項115】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、乳癌被験体における腫瘍血清マーカー、CA15.3のレベルを正常化する、または腫瘍に浸潤するCD5’-T細胞またはCD11マクロファージを増やす、免疫変調の方法。
【請求項116】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、乾癬被験体の臨床症状を改善する、発疹を根絶する、疼痛を解除する、免疫制御リンパ細胞の活動またはCD3+もしくはCD8細胞のパーセンテージを高める方法。
【請求項117】
被験体に、有効量の請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを投与することを含む、ヒト被検者におけるアテローム性動脈硬化、動脈硬化またはその他形状の血管閉塞症を治療する方法。
【請求項118】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、心筋細胞死を制限する、または心筋の収縮力を改善する方法。
【請求項119】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、被験体における臓器移植後の拒絶反応を制限する方法。
【請求項120】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、被験体のHIV感染を治療する方法。
【請求項121】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、被験体の脳虚血または外傷を治療する方法。
【請求項122】
被験体に、有効量の請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを投与することを含む、被験体の虚血−再潅流による病的結果を治療する方法。
【請求項123】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、化学物質または麻酔薬の中毒を治療する方法。
【請求項124】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、被験体の創傷治癒を治療する方法。
【請求項125】
被験体に、有効量の請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを投与することを含む、被験体のウイルス性疾患を治療する方法。
【請求項126】
心筋細胞を有効量の請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドと接触させることを含む、前記心筋細胞を傷害から保護するための方法。
【請求項127】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、被験体の心筋細胞を保護するための方法。
【請求項128】
心筋細胞が傷害を受けている、請求項126または127記載の方法。
【請求項129】
傷害が化学物質または血液および酸素の欠乏である、請求項128記載の方法。
【請求項130】
請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを有効量含む、癌細胞を阻止または殺すことができる組成物。
【請求項131】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドに癌細胞を接触させることを含む、前記癌細胞を阻止または殺す方法。
【請求項132】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、癌細胞を阻止または殺す方法。
【請求項133】
H1ヒスタミンレセプターを拮抗する量の請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを含む組成物。
【請求項134】
細胞内に、細胞のH1ヒスタミンレセプターを拮抗する効果を生ずる方法であって、前記細胞を有効量の請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドに接触させることを含む方法。
【請求項135】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む、前記被検者にH1ヒスタミンレセプターに拮抗する作用を生ずる方法。
【請求項136】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドおよび適当なキャリアを含む、A2-ホスホリパーゼ活性に対し阻害的な組成物。
【請求項137】
有効量の、請求項136記載の組成物に細胞を接触させることを含む、前記細胞にA2-ホスホリパーゼ阻害活性を生ずるための方法。
【請求項138】
有効量の、請求項136記載の組成物を被験体に投与することを含む。前記被験体にA2-ホスホリパーゼ阻害活性を生ずる方法。
【請求項139】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを含む、腫瘍壊死因子(TNF)の作用から保護するための組成物。
【請求項140】
有効量の、請求項139記載の組成物に細胞を接触させることを含む、前記細胞において腫瘍壊死因子(TNF)の作用から保護するための方法。
【請求項141】
有効量の、請求項139記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体において腫瘍壊死因子(TNF)の作用から保護するための方法。
【請求項142】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを含む、炎症性腸疾患を治療するための方法。
【請求項143】
有効量の、請求項142記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の炎症性腸疾患を治療するための方法。
【請求項144】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを含む、1型糖尿病を治療するための組成物。
【請求項145】
有効量の、請求項144記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の1型糖尿病を治療するための方法。
【請求項146】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを含む、多発性硬化症を治療するための組成物。
【請求項147】
有効量の、請求項146記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の多発性硬化症を治療するための方法。
【請求項148】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを含む、敗血症ショックまたはグラム陰性敗血症を治療するための組成物。
【請求項149】
有効量の、請求項148記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の敗血症ショックまたはグラム陰性敗血症を治療するための方法。
【請求項150】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを含む、パーキンソン病を治療するための組成物。
【請求項151】
請求項150記載の組成物を有効量被験体に投与することを含む、前記被験体のパーキンソン病を治療するための方法。
【請求項152】
請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを有効量含む、心筋梗塞を予防する、または心筋収縮力を改善するための組成物。
【請求項153】
有効量の、請求項152記載の組成物と細胞とを接触させることを含む、前記細胞のシグマ1および2レセプターを変更することによって、心筋梗塞を予防するための方法。
【請求項154】
有効量の、請求項152の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の心筋梗塞を予防する方法。
【請求項155】
請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを有効量含む、2型糖尿病を治療するための組成物。
【請求項156】
有効量の、請求項155記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の2型糖尿病を治療するための方法。
【請求項157】
請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを有効量含む、アルツハイマー病を治療または予防するための組成物。
【請求項158】
有効量の、請求項157記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体のアルツハイマー病を治療または予防するための方法。
【請求項159】
請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを有効量含む、筋萎縮性側索硬化症を治療するための組成物。
【請求項160】
有効量の、請求項159記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の萎縮性側索硬化症を治療するための方法。
【請求項161】
請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを有効量含む、内毒素血症、外毒素血症または関連状態を治療するための組成物。
【請求項162】
有効量の、請求項161記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の内毒素血症、外毒素血症および関連状態を治療するための方法。
【請求項163】
請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを有効量含む、クローン病または慢性腸炎を治療するための組成物。
【請求項164】
有効量の、請求項163記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体のクローン病を治療するための方法。
【請求項165】
請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを有効量含む、甲状腺炎を治療するための組成物。
【請求項166】
有効量の、請求項165記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の甲状腺炎を治療するための方法。
【請求項167】
請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを有効量含む、ギラン−バレー症候群を治療するための組成物。
【請求項168】
請求項167記載の組成物を有効量被験体に投与することを含む、前記被験体のギラン−バレー症候群を治療するための方法。
【請求項169】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを含む、全身性エリテマトーデスを治療するための組成物。
【請求項170】
有効量の、請求項169記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の全身性エリテマトーデスを治療するための方法。
【請求項171】
請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを有効量含む、カスパーゼ3、4および8を処理するための組成物。
【請求項172】
有効量の、請求項171記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体のカスパーゼ3、4および8の活性化を処理または防止するための方法。
【請求項173】
請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを有効量含む、潰瘍性大腸炎を治療するための組成物。
【請求項174】
有効量の、請求項173記載の組成物を被験体に投与することを含む、前記被験体の潰瘍性大腸炎を治療するための方法。
【請求項175】
アミノ酸配列X-N-(VもしくはL)-ブロッキング化学物質-Y)、NVSp、NVSまたはその機能的均等物を含む単離されたペプチド、あるいはアミノ酸配列X-N-(VもしくはL)-ブロッキング化学物質-Y)、NVSp、NVSまたはその機能的均等物を含む単離されたポリペプチドの有効量を被検体に投与することを含む、被験体の酸化窒素合成酵素(NOS)を変調するための方法。
【請求項176】
請求項92記載の核酸または請求項93記載のベクターを含むクローン動物。
【請求項177】
請求項92記載の核酸または請求項93記載のベクターを含むキメラ。
【請求項178】
有効量の、請求項90記載のペプチドまたは請求項91記載のポリペプチドを被験体に投与することを含む。被験体のSARS感染症を治療するための方法。
【請求項179】
配列がNVSである、請求項90記載のペプチドまたは91記載のポリペプチド。
【請求項180】
セリンがリン酸化されている、請求項170記載のペプチドまたはポリペプチド。
【請求項181】
NH2-NVSAVEIA-COOH、NH2-NVSpAVEIA-COOHまたはその機能的均等物の配列を含むペプチドを有効量投与することを含む、リーシュマニア症に罹った被験体のリーシュマニア症を治療する方法。
【請求項182】
NH2-NVSAVEIA-COOH、NH2-NVSpAVEIA-COOHまたはその機能的均等物の配列を含むポリペプチドを有効量投与することを含む、リーシュマニア症に罹った被験体のリーシュマニア症を治療する方法。
【請求項183】
ペプチド配列がX-N-(VもしくはL)-ブロッキング化学物質-Y)、NVSp、NVSまたはその機能的均等物である、請求項181記載の方法。
【請求項184】
ポリペプチド配列がX-N-(VもしくはL)-ブロッキング化学物質-Y)、NVSp、NVSまたはその機能的均等物である、請求項182記載の方法。
【請求項185】
前記ペプチドまたはその機能的均等物を、皮下または筋肉内に、毎日、前記ペプチドまたはその機能的均等物の有効量投与する、請求項181から184のいずれか一項に記載の方法。
【請求項186】
前記ポリペプチドまたはその機能的均等物を皮下または筋肉内に、毎日、前記ポリペプチドまたはその機能的均等物の有効量投与する、請求項181から184のいずれか一項に記載の方法。
【請求項187】
投与が皮下または筋肉内注射によって行われる、請求項185記載の方法。
【請求項188】
投与が皮下または筋肉内注射によって行われる、請求項186記載の方法。
【請求項189】
配列NH2-NVSAVEIA-COOHを含むペプチドまたはその機能的均等物、あるいは配列NH2-NVSAVEIA-COOHまたはNH2-NVSpAVEIA-COOHの配列を含むポリペプチドを有効量含む、リーシュマニア症を治療するための薬学的組成物。
【請求項190】
ペプチド配列がX-N-(VもしくはL)-ブロッキング化学物質-Y)、NVSp、NVSまたはその機能的均等物である、請求項189記載の組成物。
【請求項191】
ポリペプチド配列がX-N-(VもしくはL)-ブロッキング化学物質-Y)、NVSp、NVSまたはその機能的均等物である、請求項189記載の方法。
【請求項192】
請求項189から191のいずれか一項記載の組成物および適したキャリア。
【請求項193】
キャリアが皮下または筋肉内注射に適当である、請求項192記載の組成物。
【請求項194】
プラフェロン-LBを有効量含む、リーシュマニア症を治療するための薬学的組成物。
【請求項195】
請求項194記載の組成物および適当なキャリア。
【請求項196】
キャリアが皮下または筋肉内注射に適当である、請求項195記載の組成物。
【請求項197】
請求項1、2、15、90、91、または104のいずれか一項記載の単離されたペプチドまたはポリペプチドを含む物質。
【請求項198】
ペプチドが別の化合物に直接または間接的に結合している、請求項197記載の物質。
【請求項199】
ペプチドがタンパク質である、請求項198記載の物質。
【請求項200】
以下の段階を含む、請求項1、2、15、90、91または104のいずれか一項記載のペプチドまたはポリペプチドを産生する方法:
(a)適当量の羊膜組織を得る段階;
(b)羊膜組織を、適当量の培地と共に37℃でインキュベーションし、組織浮遊液を生成する段階;
(c)組織浮遊液にニューカッスル病ウイルス(NDV)を加えてペプチドまたはポリペプチドの産生を誘導する段階;
(d)組織浮遊液を10〜12時間、37℃で培養し、ペプチドまたはポリペプチドを産生する段階;
(e)羊膜組織を組織浮遊液から分離する段階;
(f)溶液のpHを2.0に調節してNDVを不活性化する段階;
(g)生物活性ペプチドを精製する段階;
(h)ペプチドまたはポリペプチドを高分子量(>5000Da)と低分子量(<5000Da)分画に分ける段階;
(i)分画の生物活性を試験する段階;
(j)生物活性を有するペプチドまたはポリペプチドの配列分析を行い、アミノ酸配列を決定する段階;
(k)解明されたアミノ酸配列を用いて、ペプチドまたはポリペプチドを合成する段階;
および
(l)合成されたペプチドまたはポリペプチドの生物活性を試験する段階。
【請求項201】
段階(b)の培地がMedia 199、3U/mlのヘパリン、3%ヒト血漿、0.0015U/mlのインスリン、0.16mg/mlのゲンタマイシンおよび30ml/Lのプラフェロン-LB(PLB)を含む、請求項200の方法。
【請求項202】
分離段階(e)が遠心分離によって行われる、請求項200記載の方法。
【請求項203】
精製段階(g)がゲルろ過、アフィニティークロマトグラフィーカラムまたはRP-HPLCにより行われる、請求項200記載の方法。
【請求項204】
分離段階(h)をSephadex G25を用いたサイズ排除クロマトグラフィーで行う、請求項200記載の方法。
【請求項205】
段階(i)または(l)の生物活性を、ヒト疾患の動物モデル、例えばLPS誘導敗血症ショック、コンカナバリンA誘導T細胞依存的肝炎、またはNODマウスの自己免疫性糖尿病を用いて測定する、請求項200記載の方法。
【請求項206】
ペプチドまたはポリペプチドのアミノ酸配列を、自動化エドマン分解により決定する、請求項200記載の方法。
【請求項207】
ペプチドまたはポリペプチドを、化学的および酵素的方法、固相法、液相法、またはその組合せ、ならびにフローラス合成法によって合成する、請求項200記載の方法。
【請求項208】
請求項1、2、15、90、91または104のいずれか一項記載の単離されたペプチドまたはポリペプチドを有効量投与することを含む、結腸直腸癌治療または手術後の被験体を回復させるための方法。
【請求項209】
請求項1、2、15、90、91または104のいずれか一項記載の単離されたペプチドまたはポリペプチドを有効量投与することを含む、被験体にホジキン病の寛解を誘導するための方法。
【請求項210】
請求項1、2、15、90、91または104のいずれか一項記載の単離されたペプチドまたはポリペプチドを有効量投与することを含む、被験体の網膜組織を保護するための方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図18】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2007−512812(P2007−512812A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539899(P2006−539899)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/037800
【国際公開番号】WO2005/049638
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(506163836)レイジャー バイオテック,インク. (1)
【Fターム(参考)】