説明

美肌作用を有する組成物

【課題】安全性が高く、肌のくすみ防止、肌荒れ防止、しみ防止、しわの改善などの総合的な美肌作用に優れる組成物を提供するとともに、美肌作用を有する食品、医薬品、飼料を提供する。
【解決手段】クリプトキサンチンとスフィンゴ脂質とを含むことを特徴とする組成物であり、好ましくは、クリプトキサンチンとスフィンゴ脂質とを、質量として10:1〜1:100の割合である組成物であり、クリプトキサンチン及び/又はスフィンゴ脂質がカンキツ類由来であり、好ましくは、カンキツ類が温州みかんであるものである。また、前記した組成物は美肌作用を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌のくすみ防止、肌荒れ防止、しみ防止、しわの改善などに効果があり、食品、医薬品、飼料として摂取することができるクリプトキサンチンとスフィンゴ脂質とを含む組成物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、日焼け等により生じる皮膚の黒化や炎症、あるいは色素沈着によるシミ・そばかすの予防・改善効果並びに美白効果を目的として、様々のメラニン生成抑制剤が提案され、美白用食品に配合されてきた。また、美白以外でも高齢化の進行により、特に女性ではしみの発生、しわ、たるみなどの老化現象を少しでも防ぎたいと努力される方が多いのが現状である。また、肌荒れの改善や皮膚の老化防止といった総合的な美肌効果を有する組成物についてはまだまだその効果の面において満足のいくものは少ないのが現状である。
【0003】
そのような現状を鑑み、様々な食品、医薬品が提案されている。それらの多くは、ビタミン類、ポリフェノール類、植物抽出物などであるが、その中でも強い抗酸化作用及び抗炎症作用を有する食品としてカロテノイド類が提案されている。カロテノイド類は、優れた活性酸素除去作用を有するため、肌荒れ改善、皮膚老化防止を有することが明らかになっている(例えば、特許文献1)。その中でも、温州みかん、柿などに特異的に含まれるクリプトキサンチンは強い美白作用を示すことが明らかになっている(特許文献2)。しかしながら、クリプトキサンチンは強い美白作用を示すものの、総合的な美肌効果という面では他の素材に劣る面がある。
【0004】
一方、スフィンゴ脂質には、最近の研究の結果から様々な機能性があることが明らかとなってきている。例えば、スフィンゴ脂質であるセラミド及びグリコシルセラミドは、ヒトの角質層に多く存在し、体内から水分の蒸散防止と外部刺激からの防御の役割を担っていることが明らかとなっている。
【0005】
また、スフィンゴ脂質は、皮膚の保湿、水分調節、弾力性維持、コラーゲン保護、ビタミンCやEの安定化などの機能を有する物質であり、基礎化粧品に配合されて保湿剤として、シャンプー・リンスなどに配合されて髪のダメージ防止剤として、様々な化粧品・医薬部外品に使用されている。
【0006】
これらスフィンゴ脂質は、動物・植物から抽出されたもの、又は化学合成により製造されたものなどが使用されているが、用途を食品に限定した場合、動物由来は感染の危険性があり、化学合成品は食品として利用の制約があるため、現在では植物由来のスフィンゴ脂質が食品として主に使用されている。スフィンゴ脂質を化粧品や食品に利用したものとして、セラミドを含有する機能性食品(特許文献3)などが知られている。
【0007】
また、スフィンゴ脂質を経口的に摂取することにより、保湿、肌荒れ防止などの効果があることが報告されている(非特許文献1)。しかしながら、スフィンゴ脂質は非常に優れた保湿効果を有する物質であるが、美白作用によるしみ・そばかすの防止や、活性酸素の除去による皮膚の老化防止という面では他の素材に劣る面がある。
【特許文献1】特開平5−155736号公報
【特許文献2】特開2006−104089号公報
【特許文献3】特許3650587号広報
【非特許文献1】バイオインダストリー、 19(8)、16−26 (2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のような現状を鑑み、これらのクリプトキサンチンやスフィンゴ脂質を単独で配合した食品などでは、薬効が充分でない場合が多く、総合的な美肌作用を有する食品、医薬品、飼料の提供が待ち望まれていた。本発明は、安全性が高く、総合的な美肌作用を有する食品、医薬品、飼料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討の結果、クリプトキサンチンとスフィンゴ脂質とを併用すると、その相乗作用により、単独で使用した場合に期待できる機能性以上の効果が発揮できることを見出し、本発明を完成した。また、これらの併用はカンキツ類植物を原料として使用すると、容易に抽出・濃縮が可能であることを見出した。
【0010】
すなわち本発明の第一は、クリプトキサンチンとスフィンゴ脂質とを含むことを特徴とする組成物であり、好ましくは、クリプトキサンチンとスフィンゴ脂質とを、質量として10:1〜1:100の割合である組成物であり、クリプトキサンチン及び/又はスフィンゴ脂質がカンキツ類由来であり、好ましくは、カンキツ類が温州みかんであるものである。また、前記した組成物は美肌作用を有するものである。
【0011】
本発明の第二は、カンキツ類植物に酵素を添加して酵素処理することを特徴とする前記したいずれかの組成物の製造方法を要旨とするものである。
【0012】
本発明の第三は、カンキツ類植物に有機溶剤を添加し、該有機溶剤中にクリプトキサンチン及び/又はスフィンゴ脂質を抽出することを特徴とする前記したいずれかの組成物の製造方法を要旨とするものである。
【0013】
本発明の第四は、前記した美肌作用を有する組成物を含んでなる食品、医薬品、飼料を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高い美肌作用を示し、安全性が高く、様々な食品、医薬品、飼料に配合することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明におけるクリプトキサンチンは、特に限定されるものではなく、例えばα−クリプトキサンチン、β−クリプトキサンチン及びこれらの脂肪酸エステル体や構造的に許容できる誘導体も含まれる。脂肪酸エステル体の脂肪酸長も特に限定されるものではないが、例えば、ラウリン酸(C12)、ミリスチン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)などの脂肪酸エステルが挙げられる。また、これらクリプトキサンチンの供給源としては、カンキツ類植物であることが好ましく、生産量が多く、日本古来の果物である温州みかん由来であることが特に好ましい。
【0017】
本発明におけるスフィンゴ脂質とは、スフィンゴシンと称する炭素数14〜24程度からなるアミノアルコールあるいはこれと類似した構造を有する長鎖アミノアルコールと、長鎖脂肪酸などの脂肪酸とがアミド結合した一群の化合物を言い、それらに糖類が結合した化合物や、リン酸基が結合した化合物なども含まれる。脂肪酸は飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれであっても良く、直鎖又は分岐鎖であってもよく、1以上の水酸基が置換していても良い。また、アミノアルコールの水酸基には、糖、リン酸、シアル酸、コリン、エタノールアミンなどが結合していても良い。糖類としては、グルコース、マンノース、ガラクトース、ラクトースなどが結合していることが好ましく、特にグルコースが結合していることが更に好ましい。リン酸基が結合したものでは、リン酸基を介してイノシトール、更に糖が結合したスフィンゴ脂質も含まれる。本発明は、特定の鎖長のものや構造のものを対象としているわけではなく、スフィンゴ脂質と呼ばれる全てのものが含まれる。また、その由来は天然物由来でも化学合成により得られる従来既知のスフィンゴ脂質及びその誘導体であっても良い。これらスフィンゴ脂質は、食品用として用いる場合には、コメ、小麦、牛乳、トウモロコシ、ビート、こんにゃく、リンゴ、タモギタケ・マイタケなどの各種キノコ、酢酸菌など由来のものが入手可能であるので、それらをそのまま用いることも可能である。
【0018】
本発明の組成物において、クリプトキサンチンとスフィンゴ脂質の含有されている割合は、質量比で10:1〜1:100の割合であることが好ましく、より好ましくは、8:1〜1:80、最も好ましくは、5:1〜1:50である。この範囲外では、それぞれの効果のみが強調されるだけでクリプトキサンチンとスフィンゴ脂質の相乗効果が期待できないため好ましくない。
【0019】
本発明におけるカンキツ類植物とは、ミカン科などに属する植物を挙げることができる。より具体的には、イヨカン、温州みかん、オレンジ、カボス、カワバタ、キシュウミカン、清見、キンカン、グレープフルーツ、ゲッキツ、三宝柑、シイクワサー、ジャバラ、スウィーティー、スダチ、ダイダイ、タチバナ、デコポン、ナツダイダイ、ハッサク、バレンシアオレンジ、晩白柚、ヒュウガナツ、ブンタン、ポンカン、マンダリンオレンジ、ヤツシロ、ユズ、ライム、レモン、カラタチなどを例示することができる。
【0020】
本発明で、抽出及び酵素処理用原料として使用するカンキツ類植物は、カンキツ類植物の部位は問わないが、その中でも含有量の多い部位として果実を用いることが好ましい。カンキツ類植物の果実は、そのままでも良いし、これらに対しすりつぶし、破砕、粉砕、加熱、脱水、乾燥などの物理的処理を行ったものでも良い。これらの処理を行うと酵素処理効率、抽出効率が上がるため好ましい。更に本発明では、果実の搾汁残さを用いることが好ましい。果実の搾汁残さは、インライン搾汁機、チョッパーヘルパー搾汁機、ブラウン搾汁機などにより果実を搾汁した後、パドル型又はスクリュー型のフィニッシャーなどでろ過又は篩別、又は遠心分離により果汁を調製した搾汁残さを集めることにより調製される。また、本発明で使用するカンキツ類植物の搾汁残さは、搾汁機により搾汁した後の果汁を遠心分離処理して得られる、微細なパルプ分である搾汁残さも用いることもできる。このような微細なパルプ分には、更にクリプトキサンチン及びスフィンゴ脂質の含有量が高いため、好ましい原料である。
【0021】
本発明において抽出工程に用いる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、アセトニトリル、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、エーテル類、ピリジン類、ポリエーテル類、超臨界二酸化炭素などが挙げられる。これらのうち、本発明においては食品用途に使用するため、安全性の観点から、アセトン、エタノール、ヘキサン、超臨界二酸化炭素を用いるのが特に好ましい。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、混合物を用いてもよい。また有機溶剤に水や界面活性剤などの添加物を加えることもできる。
【0022】
抽出に用いる有機溶剤の量としては、特に限定されず被抽出物からクリプトキサンチン及びスフィンゴ脂質を抽出するのに十分な量であればよい。具体的には、被抽出物の固形分重量に対して0.5〜100倍、好ましくは1〜50倍がよい。
【0023】
抽出の温度は使用する溶剤の沸点にもよるが、例えばエタノールを用いた場合では、好ましくは0℃〜80℃がよい。抽出温度がこの範囲以下であれば抽出効率が低下し、またこの範囲以上であれば溶剤の揮発をもたらし、またエネルギー使用量が増えるのみである。抽出時間は特に限定されないが、抽出効率と作業性から好ましくは10分〜24時間がよい。
【0024】
なお、抽出操作は1回のみの回分操作に限定されるものではない。抽出後の残査に再度新規な溶剤を添加し、抽出操作を施すこともできるし、抽出溶剤を複数回被抽出物に接触させることもできる。すなわち、抽出操作としては、回分操作、半連続操作、向流他段階接触操作のいずれの方式も使用可能である。また、ソックスレー抽出、還流抽出など公知の抽出方法を使用してもよい。抽出後の残さの分離除去も公知の方法で行えばよく、具体的には吸引濾過、フィルタープレス、シリンダープレス、デカンター、遠心分離器、濾過遠心機などを用いればよい。更に、引き続いて不純物類を取り除いても良い。不純物の除去方法としては、例えば水洗浄、有機溶媒洗浄、シリカゲルカラムや樹脂カラム、逆相カラムなどを通す方法、活性炭処理、極性の異なる溶媒による分配、再結晶法、真空蒸留法などが挙げられる。
【0025】
このようにして得られた抽出液は、その後、濃縮やカラムなどによる精製、乾燥、粉末化、担体、乳化剤などへの混合などの処理を行うことにより、あらゆる食品、医薬品、飼料に用いることができる。
【0026】
本発明において、カンキツ類植物の酵素処理物を製造するために使用する酵素は、カンキツ類に含まれる有機物、特に細胞壁などを構成する生体高分子などを分解することができるものであれば特に限定されず、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ、ペプチダーゼ、リパーゼ、マセレーションエンザイム(細胞壁崩壊酵素)などが用いられる。これらの中でも糖質加水分解酵素であるセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、キシラナーゼ、マレーションエンザイムがスフィンゴ脂質を濃縮する効率が高いために好ましい酵素である。添加する酵素剤は、これらの精製酵素を用いてもよいし、これらの活性を示す微生物菌体や培養物、これらの粗精製物を用いてもよい。また、市販酵素も用いることができ、例えば、ペクチナーゼには、スミチームPX(新日本化学工業株式会社製)、スミチームSPC(新日本化学工業株式会社製)、ペクチネックスSRL(ノボザイムズジャパン株式会社製)、スミチームPMAC(新日本化学工業株式会社製)などを用いることができ、ヘミセルラーゼには、セルロシンGM5(エイチビィアイ株式会社製)、セルロシンHC(エイチビィアイ株式会社製)などを用いることができ、セルラーゼには、セルラーゼY-NC(ヤクルト薬品工業株式会社製)、エンチロンMCH(洛東化成工業株式会社)、セルラーゼR10(ヤクルト薬品工業株式会社製)、スミチームCAP(新日本化学工業株式会社製)、セルラーゼTP−3(協和化成株式会社)などを用いることができ、プロテアーゼには、プロテアーゼM(天野エンザイム株式会社製)、オリエンターゼ20A(エイチビィアイ株式会社製)などを用いることができる。
【0027】
これらの酵素は単独で用いてもよいし、2種類以上の酵素を混合して用いてもよい。添加する酵素の量は、特に限定されず酵素の反応性に応じて添加すればよい。例えば、ペクチナーゼを用いた場合であれば、搾汁残さ100gに対して1〜100,000ユニットであることが好ましく、更に10〜10,000ユニットであることが好ましい。
【0028】
上記酵素を添加したのち、攪拌などにより酵素と被抽出物を均一に混合して酵素反応を進行させる。このときの反応温度としては、酵素が失活せず、かつ腐敗の起こりにくい条件、またスフィンゴ脂質が喪失しない条件下で行うことが望ましい。具体的には、温度は0℃〜90℃、好ましくは0℃〜80℃、さらに好ましくは0℃〜70℃がよい。反応のpHとしては酵素の至適条件下で行うのが望ましいのは言うまでもなく、pH2〜12、好ましくはpH2.5〜8とするのがよい。反応時間は使用する搾汁残渣と酵素の量に依存するが、通常1〜48時間に設定するのが作業上好ましい。反応の際、この反応物を攪拌しながら反応を行ってもよいし、静置反応でもよい。
【0029】
酵素処理終了後、酵素処理された反応物そのままを用いてもよいし、なんらかの加工を行ったものを用いてもよい。具体的には、反応物を固液分離した残渣、固液分離した残渣を乾燥させたもの、固液分離せず反応物そのままを乾燥させたものなどを用いてもよい。また、酵素処理反応物を固液分離し、更に水を添加した後、再度固液分離することにより、酵素処理で生成した糖などの反応生成物を容易に除去することができる水洗浄法を用いると、不純物を簡単に取り除けるため好ましい。更引き続いて不純物類を取り除いても良い。不純物の除去方法としては、例えば水洗浄・有機溶剤洗浄、アルカリ処理などの化学処理が挙げられる。
【0030】
以上のようにして得られた本発明の組成物は、さまざまな機能性を発揮することとなるが、その中でも特に肌のくすみ防止、肌荒れ防止、しみ防止、しわの改善などのいわゆる美肌作用を有するものである。
【0031】
本発明の組成物を摂取する方法としては、本組成物を単独でそのまま摂取しても良いし、粉末、錠剤、顆粒、カプセル剤、ソフトカプセル剤、ゲル、ペースト、シロップ、懸濁液、乳化液、ドリンク剤などに加工して摂取しても良い。摂取する場合の摂取量の目安は、対象者の年齢・性別・体重などにより適時選択すれば良いが、通常、成人の場合、1日あたりクリプトキサンチンを0.01mg〜1g、スフィンゴ脂質を0.01mg〜10g、好ましくはクリプトキサンチンを0.1mg〜100mg、スフィンゴ脂質を0.1mg〜1g摂取するようにすれば良い。
【0032】
本発明の別の発明は、上記した本発明の組成物を含有する飲食品、飼料および医薬品である。医薬品としては、注射液、輸液、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、腸溶剤、懸濁剤、シロップ剤、内服液剤、トローチ剤、乳剤、外用液剤、湿布剤、点鼻剤、点耳剤、点眼剤、吸入剤、軟膏剤、ローション剤、座剤、経腸栄養剤などの形態で摂取することができる。これらは、その症状により単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の組成物の含有量は、0.1%〜90%の範囲で適時決定すればよいが、上記した1日あたりの摂取量の目安を摂取できるように製剤設計することが好ましい。
【0033】
また、本発明の飲食品とは、一般食品に加えて、特定保健用食品、健康食品、機能性食品、医薬部外品などすべての食品および/又は飲料が含まれる。該食品および/又は飲料は特に限定されるものではなく、例えば、上記医薬品的な形態のものに加えて、パン、うどん、そば、ご飯等主食となるもの、チーズ、ウインナー、ソーセージ、ハム、魚介加工品等の食品類、アイスクリーム、クッキー、ケーキ、ゼリー、プリン、キャンディー、チューインガム、ヨーグルト、グミ、チョコレート、ビスケットなどの菓子類、清涼飲料水、調味料類、酒類、栄養ドリンク、コーヒー、茶、牛乳、果汁飲料、清涼飲料などの飲料が挙げられる。本発明の組成物の含有量は、0.1%〜70%の範囲で適時決定すればよいが、上記した1日あたりの摂取量の目安を摂取できるように配合量を決定することが好ましい。
【0034】
飼料としては、本発明の組成物に、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦などの穀類、ふすま、米ぬかなどのぬか類、コーングルテンミール、コーンジャムミールなどの粕類、脱脂粉乳、ホエー、魚粉、骨粉などの動物性飼料類、ビール酵母などの酵母類、リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどのカルシウム類、ビタミン類、油脂類、アミノ酸類、糖類などを配合することにより製造することができる。飼料の形態としては、ペットフード、家畜飼料、養殖魚用飼料などに用いることができる。組成物の含有量は、0.01〜20%の範囲で適時決定すればよく、1日あたり、体重1kgあたりクリプトキサンチンを0.001mg〜100mg、スフィンゴ脂質を0.01mg〜1g摂取できるように、飼料原料などに添加することが好ましい。
【実施例】
【0035】
以下に本実験の実施例を記す。なお本発明はこの実施例によりその範囲を限定するものではない。クリプトキサンチンの測定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた。HPLC装置として、LC−10A(島津製作所製)を用い、ResolveC18(φ3.9×150mm、ウォーターズ社製)カラムを接続し、メタノールを等量加えた試料を導入した。移動相には、メタノール:酢酸エチル=7:3、カラム温度30℃、流速1.0ml/min、検出波長450nmで分析した。
【0036】
スフィンゴ脂質の測定には、InertsilSIL100Aカラム(ジーエルサイエンス社製)を接続したHPLC装置LC−10Aを用い、光散乱検出器(500ELSD、ALLTECH社製)で検出した。移動相には、クロロホルムとクロロホルム/メタノール(1/1)の2液によるリニアグラジェントを用い、流速1.0ml/min、37℃で測定した。
【0037】
実施例1
温州みかんを剥皮した後、ブラウン搾汁機で果汁を搾り、フィニッシャー(0.5mmスクリーン)で搾汁残さを集めた。その搾汁残さ(みかんジュース粕、水分率約90%)8kgに、食品加工用ペクチナーゼ酵素剤スミチームPX(新日本化学工業株式会社製、ユニット数:ペクチナーゼ5,000u/g、アラバナーゼ90u/g)10gとセルラーゼ、ヘミセルラーゼ酵素剤であるセルラーゼY-NC(ヤクルト薬品工業株式会社製、ユニット数:セルラーゼ30,000u/g)10gを添加し、よくかき混ぜて室温で8時間静置反応を行った。この反応液を遠心分離し、上清を除去した後、水を添加して撹拌し、再度遠心分離により上清を除去し、ドラムドライヤーを用いて、ドラム温度110℃、1回転/分の回転速度で乾燥した。粉砕機で粉砕した粉末50g中には、β−クリプトキサンチン0.5重量%、スフィンゴ脂質が3.3重量%含まれていた。
【0038】
実施例2
温州みかんをインライン搾汁機で搾汁し、フィニッシャー(0.5mmスクリーン)で濾別した果汁に対し、遠心分離機(アルファ・ラバル株式会社BRPX417)により軽遠心分離(2,500×g・分)を施した。軽遠心分離の上清部に対して、同遠心分離機により重遠心分離(4,000×g・分)を施し、沈殿部を回収した。その搾汁残さ(みかんジュース微細パルプ、水分率85%)8kgを凍結乾燥し、粉砕機で粉砕した粉末1.2kg中にエタノール4.5Lを加えて2時間撹拌し、抽出を実施した。ろ過して、エタノール画分を回収し、エバポレーターを用いてエタノールを留去した後、300mlの水を加えて撹拌した後、ろ過し水不溶性成分を回収し、同様な操作を2回繰り返した。その結果、温州みかん抽出物10gが得られた。この抽出物中には、クリプトキサンチンが4重量%、スフィンゴ脂質が20重量%含まれていた。
【0039】
試験例1
健常人40名(男性20名、女性20名、平均年齢40.7歳)に実施例1で製造したクリプトキサンチンとスフィンゴ脂質を含む粉末をソフトカプセルに加工し、毎日2錠(粉末50mg/日(β−クリプトキサンチン0.25mg/日、スフィンゴ脂質1.65mg/日))のソフトカプセルを4週間摂取した。試験は、各群10名とし、比較としてβ−クリプトキサンチン(四国八州薬品製、β−クリプトキサンチン95%)を含むソフトカプセル(β−クリプトキサンチン0.25mg/日、比較例1)と米胚芽抽出物(日本製粉製、ニップンセラミドRPS、スフィンゴ脂質6重量%)を含むソフトカプセル(スフィンゴ脂質1.65mg/日、比較例2)及び粉末を含まないソフトカプセルをプラセボ錠(比較例3)として二重盲検法で実施した。
【0040】
メラニン量の測定には、MEXAMETER MX18(C+K社製)経皮水分蒸散量(TEWL)を用いた。また、水分量の測定には、CORNEOMETER CM825(C+K社製)を用いた。更に、水分蒸散量の測定には、TEWAMETER TM210(C+K社製)を用いた。
【0041】
摂取開始前、2週間後、4週間後に頬部のメラニン量、水分量、水分蒸散量を測定した。その結果を表に示す。メラニン量(表1)、水分量(表2)、水分蒸散量(表3)において、プラセボ群に比較して、クリプトキサンチンとスフィンゴ脂質を配合した試験群(実施例1)において著しい改善効果が認められた。また、クリプトキサンチンのみ(比較例1)においては、メラニン量において、スフィンゴ脂質のみ(比較例2)においては、水分量と水分蒸散量においてプラセボ群(比較例3)と比較して有意な改善を認めたが、両者を配合した試験群に比較してすべての測定値でその効果において劣るものであった。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

以上より、本発明の組成物は、クリプトキサンチンとスフィンゴ脂質を同時に配合することによって、単独よりもかなり強い肌のくすみの防止、肌荒れの防止、肌色の改善、しわの防止といった美肌作用を有することが確認された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリプトキサンチンとスフィンゴ脂質とを含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
クリプトキサンチンとスフィンゴ脂質とを、質量として10:1〜1:100の割合で含有する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
クリプトキサンチン及び/又はスフィンゴ脂質が、カンキツ類由来である請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
カンキツ類が、温州みかんである請求項3記載の組成物。
【請求項5】
美肌作用を有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
カンキツ類植物に酵素を添加して酵素処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【請求項7】
カンキツ類植物に有機溶剤を添加し、該有機溶剤中にクリプトキサンチン及び/又はスフィンゴ脂質を抽出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載の組成物を含んでなる食品。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載の組成物を含んでなる医薬品。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれかに記載の組成物を含んでなる飼料。


【公開番号】特開2008−297214(P2008−297214A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141878(P2007−141878)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】