説明

耐溶媒性サーマルインクジェット印刷ヘッド

インクジェット印刷システムは、インク貯蔵器と流体連通し、複数のオリフィス及び対応する複数の付属噴射チャンバを有する印刷ヘッドを含む。印刷ヘッドは、基板と、基板に配置されたバリア層とを含む。バリア層は、一部で複数の流体チャネル及び複数の噴射チャンバを画定する。バリア層は、エポキシ系フォトレジスト材料及びメタクリル酸メチル系フォトレジスト材料から選択された材料を含む。オリフィスプレートは基板上に配置される。オリフィスプレートは、噴射チャンバと流体連通する複数のオリフィスを含む。オリフィスプレートは、ポリイミド及びニッケルから選択された材料を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、サーマルインクジェット印刷ヘッドに関する。より詳細には、本発明は、有機溶媒に対して耐性を有するサーマルインクジェット印刷ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルインクジェット印刷ヘッド及びその電気構成要素を印刷システムコントローラに相互接続する公知の構造として、テープ自動ボンディング式(tape automated bonded:TAB)相互接続回路がある。サーマルインクジェット印刷ヘッドとともに使用されるTAB相互接続回路が、下記の特許文献1〜3に開示されている。TAB回路は、金メッキされた銅などの金属導体を支持するフレキシブルポリイミド基板を使用して作製してもよい。「2層化プロセス」又は「3層化プロセス」などの公知の製造方法を使用して、TAB導体回路用のデバイスウィンドウ、導体パッド及びインナーリードを含む構成要素を形成してもよい。さらに、TAB回路が固定されたカートリッジハウジングから導体パッド及びトレースを絶縁するために、TAB回路の導体側に打抜き絶縁フィルムが貼り付けられる。
【0003】
印刷ヘッドは、導体パッドと離間した関係を保ってTAB回路に固定され、トレースは、導体パッドと印刷ヘッドの電気構成要素との間を電気的に接続する。印刷ヘッドを含むTAB回路がインクジェットカートリッジに固定されると、TAB回路の印刷ヘッド部分は、インク供給源と流体連通するカートリッジの1つの側面に固定される。TABの導体パッドを有する部分は、通常、カートリッジハウジングのうちの印刷ヘッドが取り付けられる側面に対して垂直に配置されたカートリッジハウジングの隣接する側面に固定される。導体パッドは、カートリッジハウジング上で、印刷システムの電気リードと整列するように配置され、それにより、印刷ヘッドを、印刷コマンドを実行する印刷システムコントローラと電気的に相互接続する。
【0004】
典型的なサーマルインクジェット印刷ヘッドは、基本的には、抵抗型ヒータアレイ、及びヒータへの出力パルスを切り換える、対応するトランジスタなどの薄膜構造体を有するシリコンチップ/基板である。印刷ヘッドはまた、印刷ヘッド特性の符号化情報を提供する識別回路、及び静電放電要素などの他の構成要素、又はヒータの加熱を多重化する電子ロジックを含んでもよい。チップ上に膜構造体及び回路を形成後、インクバリア層が薄膜構造体上に形成され、エッチング処理又はその他の方法で処理されて、複数のインク流動チャネル及びインクチャンバを形成する。公知のインク流動チャネル及びインクチャンバ構造が、下記の特許文献4及び5に開示されている。さらに、サンドブラストなどの公知のカッティング技術を使用して、印刷ヘッドの中央部分を通るスロットを切り出すことでインクスロットが形成される。このスロットは、インク流動回路網を完成させ、印刷ヘッドをインク供給源と流体連通させる。
【0005】
複数のオリフィスを有するノズルプレートはインクバリア層に接合され、それにより、各オリフィスは対応するインクチャンバと整列し、各インクチャンバに対しては、付属するヒータ及びトランジスタがある。印刷ヘッドへの印刷コマンドに従って出力パルスが送られると、抵抗型ヒータは、インクチャンバ内のインクを加熱して、チャンバ内に1つ又は複数の圧力気泡を発生させ、この圧力気泡は、それぞれのオリフィスから印刷媒体上に小滴の形態でインクを噴射させる。
【0006】
抵抗型ヒータ及びノズルプレートの対応するオリフィスは、印刷ヘッドの向きに応じて少なくとも2つの縦列又は横列で配置される。単一横列のヒータ及びノズルは、互いにずれており、各縦列は、垂直方向又は水平方向に互いにずれている。ヒータ及びノズルのこのタイプの配置は、縦列のヒータ間のクロストークを最小限にするために使用され、インク滴の誤発射を引き起こすことがある。多重化駆動回路が設けられて加熱のタイミングを制御するので、縦列内の隣接するヒータが同時に加熱されず、加熱されたヒータ間のクロストークは最小限になる。多重化により、回路内の信号線の本数を削減し、回路を完成するために必要な面積を縮小することもでき、この面積は、フレックス回路上の他の電気構成要素により過密化することから貴重である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,989,317号明細書
【特許文献2】米国特許第4,944,850号明細書
【特許文献3】米国特許第5,748,209号明細書
【特許文献4】米国特許第4,794,410号明細書
【特許文献5】米国特許第4,882,595号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
インクジェット印刷システムの実施形態は、インク貯蔵器と流体連通する印刷ヘッドを含む。印刷ヘッドは、複数のノズル及び付属する複数のインク噴射チャンバを含み、各チャンバは、対応するヒータを制御する複数のトランジスタドライバのそれぞれ1つに付属する。印刷コマンド信号に応答して、ヒータが作動され、チャンバからノズルを通って印刷媒体上に至るインク滴を噴射させる。印刷ヘッドに電気的に接続されたコントローラは、印刷コマンド信号を生成し、この印刷コマンド信号は、作動されるトランジスタドライバ及びヒータと、印刷作業を完全なものにするために、トランジスタドライバ及びヒータを互いに関連付けて作動させるシーケンスとを特定する。
【0009】
実施形態では、インクジェット印刷システムは、インク貯蔵器と流体連通し、複数のオリフィス及び対応する複数の付属噴射チャンバを有する印刷ヘッドを含む。印刷ヘッドは、基板と、基板に配置されたバリア層とを含む。バリア層は、一部で複数の流体チャネル及び複数の噴射チャンバを画定する。バリア層は、エポキシ系フォトレジスト材料及びメタクリル酸メチル系フォトレジスト材料から選択された材料を含む。オリフィスプレートは基板上に配置される。オリフィスプレートは、噴射チャンバと流体連通する複数のオリフィスを含む。オリフィスプレートは、ポリイミド及びニッケルから選択された材料を含む。
【0010】
印刷ヘッドは、テープ自動ボンディング式(TAB)フレックス回路の端部に固定することができ、このフレックス回路は、印刷ヘッドに対して末端側に電気相互接続部を有する。実施形態では、TABフレックス回路は、インクジェット印刷カートリッジの突出部に装着され、電気相互接続部は、印刷ヘッドに対して鋭角に配置される。
【0011】
添付の図面に示した本発明の特定の実施形態を参照して、上記に簡単に説明した本発明が更に詳細に説明される。当然ながら、これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示し、したがって、本発明の範囲を限定するとみなすべきではなく、添付の図面を使用して、本発明が更に具体的かつ詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】テープ自動ボンディング(TAB)フレックス回路の概略斜視図である。
【図2】TABフレックス回路が装着された印刷カートリッジの斜視図であり、TABフレックス回路の電気相互接続部を示している。
【図3】TABフレックス回路が装着された印刷カートリッジの斜視図であり、TABフレックス回路の印刷ヘッドを示している。
【図4】TABフレックス回路とともに使用される印刷ヘッドの概略回路レイアウトである。
【図5】インクスロット、インク流体チャネル、噴射チャンバ及びノズル付きノズルプレートを有する印刷ヘッドの概略部分立面図である。
【図6】図5の6−6線に沿って切り取った印刷ヘッドの断面図である。
【図7】印刷ヘッドの部分断面斜視図である。
【図8】印刷ヘッドの概略立断面図であり、印刷ヘッドの回路構成要素及び層を示している。
【図9A】本発明の実施形態の電気相互接続部の断面図である。
【図9B】本発明の別の実施形態の電気相互接続部の断面図である。
【図10】噴射チャンバの実施形態の平面図である。
【図11】図10の噴射チャンバの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に従った実施形態について以下に詳細に言及され、その実施形態の例が添付の図面に示されている。可能な限り同じ参照数字が図面全体に使用され、同じ参照数字は、同じ又は同様な部品を指す。本発明が、サーマルインクジェットプリンタに関連して下記に説明されるが、本発明はそれに限定されず、インクを噴射するのに圧電変換器などの他の技術を利用する他のインクジェット印刷システムに組み込んでもよい。本明細書において「ノズル」という用語は、そこを通ってインクが噴射される、印刷ヘッドカバープレートに形成されたオリフィスを意味し、かつ/又はそのようなオリフィス、及びそこからインクが噴射される噴射チャンバなどの印刷ヘッドの他の構成要素も含む。さらに、インクジェット印刷システム用の説明するシステム及び方法は、印刷ヘッドアセンブリが、使い捨てカートリッジであってもそうでなくてもよいカートリッジハウジングに装着される応用例に限定されない。本発明は、印刷システムに永続的に装着される印刷ヘッドで使用してもよく、インク供給源は、印刷するために必要に応じて用意される。したがって、用語、カートリッジには、永続的に装着された印刷ヘッドのみ、及び/又は印刷ヘッドとインク供給源との組み合わせを含んでもよい。
【0014】
本開示は、溶媒系インクに対する耐性をもたらす材料で構成されたサーマルインクジェット印刷ヘッドに関する。特に、印刷ヘッドの構成要素は、数ヶ月、又は数年にわたって強力な溶媒に曝された場合に、溶解、剥離、収縮、膨張、あるいは変形することがあまりない印刷ヘッドアセンブリを可能にする材料及び表面処理を含む。特に、システムは、印刷システムの完全な機能性を維持しながら、少なくとも6ヶ月、好ましくは少なくとも12ヶ月の期間にわたり有機溶媒系インクを保存できるのが好ましい。システムはまた、完全な機能性を維持しながら、少なくとも3ヶ月の使用期間にわたり有機溶媒系インクを印刷できることが好ましい。有機溶媒系インクの使用により、システムの印刷性能に実質的に影響を及ぼす、印刷ヘッド材料の溶解、剥離、収縮又は膨張が、特定の期間を通じて起こることがないのが好ましい。印刷システムでの使用を企図される有機溶媒には、ケトン、特に、メチルエチルケトン、アセトン、及びシクロヘキサノン、アルコール、特に、エタノール、エステル、エーテル、極性非プロトン性溶媒、並びにそれらの組み合わせがある。
【0015】
サーマルインクジェット印刷ヘッドは、テープ自動ボンディング(TAB)フレックス回路と統合してもよい。図1を参照すると、フレックス回路10の一端にある印刷ヘッド11と、印刷システムと電気接続するための末端電気相互接続部12とを含むTABフレックス回路10が示されている。印刷ヘッド11及び電気相互接続部12を含むTABフレックス回路10は、図2及び図3に示すように、インクジェットカートリッジ13に装着されるのが好ましい。カートリッジ13は、印刷ヘッド11及び電気相互接続部12が装着された突出部分14を含む。図2及び図3に示す実施形態では、突出部14は、印刷ヘッド11が固定された第1の面15と、電気相互接続部12が固定された第2の面16とを有してもよく、電気相互接続部12は、印刷ヘッド11に対して鋭角に配置されている。TABフレックス回路10は、下記に更に詳細に説明するが、印刷コントローラ(図示せず)への電気接続用の電気導体パッド42、さらには、導体パッド42から印刷ヘッド11までを電気接続するトレース47及びインナーリード43を支持するフィルム基板を含む2層システムであるのが好ましい。
【0016】
図4、図5、図6及び図7に関しては、印刷ヘッド11の概略レイアウト及び断面図が示されている。印刷ヘッド11は、抵抗型ヒータ18のアレイと、抵抗型ヒータ18への出力パルスを切り換える、対応するNMOSドライバ19とを持った薄膜構造体46がその上に形成されたシリコンチップ基板14を含む。インクスロット20は、カートリッジハウジング13A内に保存された大容量インク源から流体チャネル22を経由して複数の加熱チャンバ21にインクを供給するために、印刷ヘッド11の中心に置かれている。下記に更に詳細に説明するが、インクバリア層35は、薄膜構造体46上に形成され、エッチングされて、流体チャネル22及び加熱チャンバ21を含む流体回路網を形成する。ノズルプレート23は、インクバリア層35に接合され、複数のノズル24を含み、各ノズル24は、図示しない印刷システムコントローラからの印刷コマンドに応答して、小滴の形態でインクを噴射するための加熱チャンバ21に対応付けられている。
【0017】
図4に関連して、上記のインナーリード43(図1)は、印刷ヘッド11の周縁に沿って配置されたボンディングパッド48に接続される。さらに、印刷ヘッドの特性に関する符号化情報を示す識別回路49を印刷ヘッド11に設けてもよい。さらに、印刷動作を開始する前にインクを予熱する基板ヒータ50を設けてもよい。
【0018】
印刷ヘッド11の断面図が図8に示され、ドライバ/トランジスタ19及び抵抗型ヒータ18を含む印刷ヘッド11の薄膜半導体デバイスをより詳細に示している。半導体デバイス及び電子回路は、真空蒸着技術及びフォトリソグラフィを使用して、シリコンチップ基板14上に形成される。チップ基板14は、n−タイプシリコンウェハであるのが好ましい。二酸化ケイ素を含むパターン化されたフィールド酸化膜層25が、ドレイン28、ソース29、及びゲート領域27を含むトランジスタ19によって占められる領域の外側でチップ14の表面に加えられる。層25は、湿式酸化により二酸化ケイ素を熱で成長させるか、又は化学蒸着(CVD)によって形成してもよい。さらに、酸化膜層及びポリシリコン導体51が、トランジスタ19のゲート領域27の上に形成される。低圧化学蒸着酸化膜層、化学蒸着酸化膜層、りんけい酸ガラス(phosphosilicate glass)層、及びほうりんけい酸ガラス(brophosphosilicate glass:「BPSG」)層などの多層酸化膜を含む内側層絶縁体26が、トランジスタ19のソース29及びドレイン28の領域を除いた基板14のすべての領域に堆積される。
【0019】
米国特許第5,774,148号明細書は、CVD酸化膜の上にBPSGを有する内側層絶縁体を開示しているが、BPSGは、熱衝撃疲労を受けやすいとして公知である。さらに、処理ツール及び製造プロセスには特別な注意が必要である。本発明の印刷ヘッド11では、プラズマ促進式又は低圧式の化学蒸気圧プロセスを使用して、BPSGの上にさらなる酸化膜層を堆積させる。このさらなる酸化膜層は、BPSGと比較して熱応力に対する耐性が高い。同様の構造が、米国特許出願公開第20060238576A1号明細書に開示されている。
【0020】
抵抗型ヒータ18は、NMOSドライバ又はトランジスタ19の上に作製される。抵抗型ヒータ18は、ボンディングパッド48を形成する、熱バリア層30、抵抗膜31、導体層32、保護層33、キャビテーション保護層34、及び最上部のAu層36を含む。バリア層30は、ILD(内側層絶縁体)層26上に堆積したTiN膜を含む。抵抗膜31は、TiNバリア層30上に堆積したTaAl層を含むのが好ましく、導体32は、TaAl抵抗膜31上に堆積したAlCu膜を含むのが好ましい。スパッタ蒸着プロセスを使用して、TiNバリア層30、抵抗膜31、及び導体32を堆積させ、次いで、印刷ヘッド11の所定の設計に従って、これらをリソグラフィによりエッチング処理する。次いで、この3つの部分、TiNバリア層30、TaAl抵抗膜31、及び導体32を、TiNバリア層がILD層26とTaAl抵抗膜31との間に配置され、完全にTaAl抵抗膜31の下に延びるように、同じマスキングステップで、フォトリソグラフィによりともにパターン化する。さらに、TiNバリア層は、トランジスタ19のソース27及びドレイン28と直接接触する。
【0021】
トランジスタ19のソース27及びドレイン28に対するTaAl抵抗膜31の配置は、トランジスタ構成要素と直接接触する抵抗膜を開示している米国特許第5,122,812号明細書に開示された構成とは異なっている。本発明では、TiNバリア膜30は、抵抗膜31がトランジスタ19の構成要素と接触もしないし、その上に堆積もしないように、TaAl抵抗膜のすべての領域の下に延びている。さらに、TiNバリア層30は、加熱チャンバ18用のヒータの役割を果たす抵抗膜31の下で、熱衝撃バリア層として機能する。TiNバリア30は、確実に、ほとんどの電気パルス出力が抵抗膜31を通るようにするために、抵抗膜31よりも高い面積電気抵抗を有する。さらに、TiNバリア膜30は、ILD層26と比較してより高い熱伝導性を有し、したがって、TiNバリア30は、加熱時に、TiNバリア30及び抵抗膜31から発生した熱に対する熱拡散層として機能する。
【0022】
加熱チャンバ21が配置されたヒータ領域は、湿式エッチングプロセスを使用して、TaAl抵抗膜31の上のAlCu導体32を局所的に溶解させることで暴露され、図8に示すように、導体32が、TaAl抵抗膜30の接合部で先細りになるのを可能にする。窒化ケイ素及び炭化ケイ素の層を含む保護層33を、好ましくはPECVDにより導体32の上に堆積させる。次いで、タンタル(Ta)層を含むキャビテーション層34を、好ましくはスパッタ蒸着により保護層33上に堆積させる。
【0023】
上記のように、インク流動回路網は、大容量供給源から加熱チャンバ21にインクを送るインクスロット20及び流体チャネル22を含む。インクバリア層35は、NMOSドライバ又はトランジスタ19、及び抵抗型ヒータ18上に形成されている。ケトン、特に、メチルエチルケトン、アセトン、及びシクロヘキサノン、アルコール、特に、エタノール、エステル、エーテル、極性非プロトン性溶媒、ならびにそれらの組み合わせなどの、通常高性能産業用インクで使用される強力な有機溶媒とともに使用する場合、エポキシ/ノボラック系、又はメタクリル酸メチル系のネガティブフォトレジストを使用してもよい。エポキシ/ノボラック系フォトレジストの例として、MicroChem Corporation製のSU−8 3000 BXがある。エポキシ/ノボラック系フォトレジストの別の例には、DuPont製のPerMX 3000がある。メタクリル酸メチル系のフォトレジストの例として、東京応化工業製のOrdyl PR100アクリルドライフィルムがある。インクバリア層35は、トランジスタ19、抵抗型ヒータ18、流体チャネル22、及びインクスロット20を含むダイ表面全体に積層される。流体チャネル22及び加熱チャンバ21を含むインク流動回路網に対するマスクを形成し、マスクを介してフォトレジストを紫外線源にさらす。照射のレベルは、バリア層35に使用される材料のタイプに応じて変えてもよい。例えば、SU−8 3000フォトレジストに使用される照射のレベルは、約150mJ〜約250mJの範囲をとってもよい。PerMX 3000フォトレジストに使用される照射のレベルは、約300mJ〜約500mJの範囲をとってもよい。PR100フォトレジストに使用される照射のレベルは、約65mJ〜約200mJの範囲をとってもよい。照射後、高圧洗浄ステップで、所望の構造を残しながら、露光されなかったポリマーを除去する溶媒を使用して、バリア層35及び流体用構造部を形成する。
【0024】
インクバリア層35の厚さと、加熱チャンバ21及び流体チャネル22の寸法とは、印刷需要に応じて変えてもよい。図6及び図7に関しては、典型的な流体チャネル22と、失効した米国特許第4,794,410号の明細書に開示されたものと同様の3壁21A構成の加熱チャンバ21とが示されている。好ましい実施形態では、抵抗型ヒータ18の縁部は、加熱チャンバ21の壁21Aから約25μm以下だけ離れている。
【0025】
図10及び図11は、別の典型的な流体チャネル22及び加熱チャンバ21を示している。バリア層35の構造により、インクスロット20から加熱チャンバ21までの経路を決める形体が画定される。バリア層35の寸法は、動作周波数などの動作パラメータの最適化、及び特定の範囲の噴射距離での高い印刷品質を可能にするように選択されるべきである。好ましい実施形態では、オリフィスプレート23は、約50μmの厚さAを有し、インクバリア層35は、約35μmの厚さBを有し、オリフィス24は、約35μm〜約45μm、好ましくは38μm〜42μmの直径Cを有し、抵抗は、65μm〜75μm、好ましくは68μm〜73μmの長さDを有し、流体チャネル22は、約30μmの長さE及び約50μmの幅Fを有し、チャンバ21は、約50μm×約50μm〜約80μm×約80μmであってもよい。
【0026】
有機溶媒系のインクの特性が水性インクと比較して異なるために、溶媒系インク用には、水性インク用に使用するのとは異なる流体用構造部を使用するべきであると分かった。特に、溶媒系インクは、水性インクよりも小さい気泡を発生させる。気泡径を大きくし、速度を上げるために、水性インクで使用するよりも大きな抵抗18を使用してもよい。特に、抵抗の長さのオリフィス径に対する比率は、水性インクに使用される比率よりも大きい。抵抗の長さDのオリフィス径Cに対する比率は、1.7〜2.1であるのが好ましい。
【0027】
基板14に適用された前述のフォトリソグラフィステップを使用して、一時的なフォトレジスト層にインクスロット20の所定の寸法の開口を形成し、それにより基板14を露出させる。インクスロット20を意図された露出領域は、インクスロット20を形成するために、サンドブラストステップの前にあらゆる膜を除去される。次いで、X−Y走査サンドブラスト機械を使用して、基板14を片側1回でサンドブラスト加工して、インクスロット20を形成する。このステップは、チップ基板に形成された複数の薄膜層を含み、インクスロットが、グリットブラスト作業時に、欠けを防止するようにインクスロット領域内の複数の薄膜層を貫通して形成される手順を開示している米国特許第6,648,732号明細書に開示された技術とは異なっている。本発明の実施形態によれば、抵抗型ヒータ18及びトランジスタ19を形成する膜は、インクスロット20を意図された領域から離れており、そのため、チップ基板14は、直接的にサンドブラスト加工される。
【0028】
インクスロット20は、両側サンドブラストプロセスを使用して形成されてもよい。抵抗型ヒータ18及びトランジスタ19を上記のように形成及びエッチング処理した後、インクスロット20がチップ基板14を貫通して形成される。単一の感光性厚膜又はフォトレジストが、ウェハ又はチップ基板17の両側に積層される。このプロセスは、二重フォトレジト層を組み込む技術を開示している米国特許第6,757,973号明細書に開示された技術とは異なっている。
【0029】
ノズルプレート23及びノズル24の配置が、図5、図6、及び図7を参照して説明される。(「オリフィス」又は「ノズルオリフィス」とも呼ばれる)ノズル24のアレイを有する、上記に説明したポリイミド製ノズルプレート23は、熱接合ステップを使用して、インクバリア層35に機械的及び化学的に接合される。ノズルプレートの表面を処理して、非常に平滑で非反応性の表面に物理的及び/又は化学的に改質することができ、それによって、物理的接触性及び化学的接合性が向上する。(苛性エッチング又はアンモニアエッチングなどの)化学処理は、表面層を反応性がより高い官能基に化学修飾することで作用する。高エネルギーの表面処理では、高エネルギーの原子又は分子が表面に照射される。化学エッチング及び高エネルギー表面処理はともに、表面の化学的及び物理的性質を変えることが知られている。
【0030】
上記の強力な有機溶媒及び上記のバリア層とともに使用する場合、酸素プラズマエッチングされたポリイミド材料を使用してもよい。使用可能なポリイミドの例は、Kapton(登録商標)、Kaptrex and Upilex(登録商標)という名称で販売されている。ポリイミドフィルムに使用してもよい、酸素プラズマエッチング以外の表面処理には、クロム原子照射、又は苛性エッチングがある。あるいは、金メッキされたニッケルベースのオリフィスプレートを使用してもよい。
【0031】
各ノズル24は、それぞれの抵抗型ヒータ18及び加熱チャンバ21と一列に並んでいる。加熱チャンバ21を形成するインクバリア層35へのノズルプレート23の接合については、流体チャネルと加熱チャンバとをノズルプレートの一部として統合する米国特許第5,907,333号明細書、米国特許第6,045,214号明細書、及び米国特許第6,371,600号明細書に開示された印刷ヘッドとは異なっている。さらに、抵抗型ヒータの導体は、米国特許第5,291,226号明細書に開示されたようにノズルプレートと一体化されることはない。
【0032】
ノズルプレート23は、未加工のロール状ポリイミドフィルムから作製することができ、未加工のロール状ポリイミドフィルムは、フィルムを貫通するノズルオリフィス24を切り出す/穿設するマスク導波(mask-guided)レーザカットステーションにフィルムを通すことで連続的に加工される。次いで、ロール状フィルムを接着促進剤槽に通して処理する。他の表面処理をノズルプレート材料に施してもよい。フィルムを清浄し、乾燥させた後、ロールから個々のノズルプレートを打ち抜く。一般的に、ノズルプレート材料は、その材料がロールの形態にあるときか、又は個々のノズルプレートが形成された後に処理してもよい。しかし、処理とノズルプレートの印刷ヘッドへの組み込みとの間の時間は、材料特性の劣化を回避するために最小限にされるのが好ましい。
【0033】
本発明の実施形態に関して、印刷ヘッド11の抵抗型ヒータ18及びノズルプレート23のノズル24のアレイは、印刷ヘッド11上で約1/2インチの距離にわたる2つの横列/縦列を含む。印刷ヘッド11の向きに応じて、ノズル24を縦列又は横列のいずれかに配置してもよい。本発明の実施形態を図5を参照して説明するために、ノズル24を2つの縦列51、52に配置する。ノズル24の各列は、240滴/インチ(「240dpi」)の解像度をもたらす64個のノズルを含む。各ノズル列51、52では、連続するノズル24が互いに対して水平方向にずれている。さらに、破線36で示すように、列51のノズル24は、他方の列52のノズル24に対して垂直方向にずれている。印刷ヘッド11の中心に置かれた1/2リニアインチ領域に、各列は64個のノズルを含む。各列のノズルは、1/120インチの距離d1だけ垂直方向に互いから離間してもよい。列51のノズル24は、240dpiの垂直方向ドット密度を達成するために、第2の列52のノズル24に対して距離d2又は1/240インチだけ垂直方向にずれている。印刷ヘッド11は、隣接する印刷されたドットといくらか重なるような体積を有するインク滴を生成してもよい。例えば、体積を選択することにより、印刷媒体上で直径が約106μm〜約150μmになるインクドットを生成することができ、目標直径は、隣接する滴が12μm重なる約125μm〜約130μmである。これらの選択された体積の場合、一実施形態では、任意の1つのノズル20が噴射してもよい最大周波数は約7.2kHzであるが、更に高い周波数も可能である。
【0034】
ノズルプレート23のインクバリア層35への組み込みは、米国特許第4,953,287号明細書に開示した熱接合プロセスといくつかの点で似ている。第1のステップで、ノズルプレート23及びバリア層35を光学的に整列させ、熱圧着プロセスを使用して、高温下でノズルプレート23の様々な箇所に圧力をかけることで互いに付着させる。これは、各ノズルプレート23に対して個別に行ってもよい。次いで、再度、ノズルプレート23を熱圧着プロセスにかけ、この熱圧着プロセスでは、高温においてノズルプレート23のすべての領域に所定の時間にわたって一定の圧力が加えられる。このプロセスは、単一のステップで複数のノズルプレート23に対して行ってもよい。ノズルプレート23をバリア層35に固定した後、印刷ヘッド11全体を約2時間にわたって約200℃〜250℃の範囲の温度で加熱して、バリア層35を硬化させる。
【0035】
接着促進剤を使用して、ノズルプレート23とバリア層35との間、及び基板14とバリア層35との間の接合を改善してもよい。(カップリング剤としても公知の)接着促進剤の使用は、界面接着を改善するための手法である。しかし、特定の用途に有効な接着促進剤を見つけるのが困難なことがある。適切な接着促進剤を選択する際に、基本となるバリア層/オリフィスプレート界面の表面化学が考慮される。接着促進剤は、メタクリル酸シラン、クロムメタクリル酸錯体、ジルコアルミネート、アミノシラン、メルカプトシラン、シアノシラン、イソシアナートシラン、テトラアルキルチタン酸塩、テトラアルコキシチタン酸塩、クロロベンジルシラン、塩素化ポリオレフィン、ジヒドロイミダゾールシラン、無水コハク酸シラン、ビニールシラン、ウレイドシラン及びエポキシシランから選択してもよい。
【0036】
TAB10の製造について以下に説明する。TAB10は、2又は3層化フレックス回路を形成するように、公知のプロセスを使用して製造してもよい。3層化フレックス回路は、接着層39により銅層38に積層された、図9Bに示すポリイミドフィルム層37を含む。ポリイミド層37は、スプロケット穴40及び導体パッド穴41を形成するように、穴をあけられるか、又は打ち抜かれる。次いで、フォトリソグラフィ手順を銅層38に適用して、印刷システムへの電気接続を確立する導体パッド42と、印刷ヘッド11の回路への電気接続を確立するトレース47及びインナーリード43とを含むTAB導体回路を形成する。耐溶媒性のエポキシ/ノボラック、ポリイミド、又はメタクリル酸メチル層44を銅層38上にスクリーン印刷して、電気絶縁体を形成し、化学腐食から保護してもよい。あるいは、EAAフィルムなどの打抜き熱可塑性フィルムを使用して、電気絶縁体及び化学的保護体を形成し、更に、TAB回路を突出部に取り付けるための手段を提供してもよい。TAB10のポリイミド層37側の露出した銅領域は、公知のめっき手順、又は電気めっき手順を使用して金メッキを施される。
【0037】
図9Aに示す2層化TAB10の場合、化学蒸着又は電気めっきなどの公知の技術を使用して、クロム結合層をポリイミド層37に堆積させる。次いで、銅層をクロム上に電気めっきし、次いで、銅層をエッチング処理でパターン化して導体回路38を形成する。次いで、フォトリソグラフィマスク技術を使用して、接点穴41及びインナーリード43用の窓の配置を確立した後、ポリイミド層37をエッチング処理する。絶縁/保護層44及び金メッキを上記のように施して、プロセスを完了する。2層TAB10の利点は、2層TAB10が接着層を使用しないことであり、その理由は、接着層が有機溶媒によって溶解されやすいからである。
【0038】
図1を参照すると、TABフレックス回路10は、電気導体パッド42及びインナーリード43を含む。さらに、導体回路は、周縁部の銅めっきされたバスバー45、及び導体パッド42からバスバー45に配線される電極(図示せず)も含む。印刷ヘッド11に隣接する領域で、インナーリード43は、バスバー45から印刷ヘッド11上のボンディングパッド48に配線される。実施形態では、TAB10には、70ミリメートルの幅があるので、TAB10上には、TABフレックス回路の製造で通常行われるように電極を周縁バスバー45に配線するのに十分な空きがある。この導体レイアウトは、米国特許第4,944,850号明細書、米国特許第4,989,317号明細書、及び米国特許第5,748,209号明細書に開示したような、導体レイアウトが密集しているためにブリッジ技術を取り入れたレイアウトとは異なっている。
【0039】
TABフレックス回路10を印刷ヘッドに接続する金属リードを保護するために、封入剤を使用してもよい。封入剤を使用して、TAB回路フレックス回路10の他の領域を保護してもよい。封入剤は、膨張することなく、又は炭化ケイ素、金、銅、及びポリイミドへの接着性を損なうことなく、有機溶媒への暴露に耐えなければならない。一般的に、封入剤材料としては、強い耐化学性と、工業用プラスチック及びシリコン薄膜への接着性とが得られるように設計された速硬化エポキシ系接着システムが好ましい。Emerson & Cuming LA3032−78は、有機溶媒インクに暴露された場合にほとんど膨張せず、ポリイミドへの良好な接着性を有することから、好ましい封入剤である。Emerson & Cuming A316−48又はGMT Electronic Chemicals B−1026Eを使用してもよい。
【0040】
TABフレックス回路10は、3M Corporation製の接着フィルム(3M bonding film #406)などのホットメルト接着フィルムで突出部分14に取り付けてもよい。一実施形態では、接着フィルムを使用して、TABフレックス回路10上のポリイミド及び金属を突出部分14のPPS材料に接着する。接着フィルムは、単一層のエチレンアクリル酸コポリマー(EAA)であってもよく、電気的及び化学的に保護するように機能してもよい。直接熱かしめと接着との組み合わせを使用して、TABフレックス回路を突出部分14に取り付けてもよい。
【0041】
印刷ヘッド11は、接着剤を使用してカートリッジハウジング13Aに取り付けてもよい。接着剤は、有機溶媒への暴露に耐えることができなければならず、前述の封入剤材料と同様に、強い耐化学性と、工業用プラスチック及びシリコン薄膜への接着性とが得られるように設計された速硬化エポキシ系接着システムであってもよい。Emerson & Cuming E−3032が適切な接着剤である。他の適切な接着剤には、Loctite 190794、 Loctite 190665、及びMaster Bond 10HTがある。
【0042】
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されたが、そうした実施形態は単なる例として提示され、限定するものではないことは明らかである。当業者ならば、本発明の教示から逸脱することなく、様々な変形、変更、及び代替を思いつくであろう。したがって、本発明は、添付の請求項の全趣旨及び全範囲内で解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク貯蔵器と流体連通し、複数のオリフィス及び対応する複数の付属噴射チャンバを有する印刷ヘッドを含むインクジェット印刷システムであって、前記印刷ヘッドは、
基板と、
前記基板に配置され、一部で複数の流体チャネル及び複数の噴射チャンバを画定するバリア層であって、エポキシ系フォトレジスト材料及びメタクリル酸メチル系フォトレジスト材料から選択された材料を含むバリア層と、
前記基板上に配置されたオリフィスプレートであって、前記噴射チャンバと流体連通する複数のオリフィスを含み、ポリイミド及びニッケルから選択された材料を含むオリフィスプレートと、
を含む、インクジェット印刷システムにおいて、
少なくとも6ヶ月の期間にわたって有機溶媒系インクを保存でき、少なくとも6ヶ月の期間中に、印刷ヘッド材料の溶解、剥離、収縮、又は膨張のいずれもが、システムの印刷性能に実質的に影響を及ぼさない、インクジェット印刷システム。
【請求項2】
前記有機溶媒は、MEK、エタノール、アセトン、及びシクロヘキサノンから選択される、請求項1に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項3】
前記オリフィスプレートの表面は、O2プラズマ処理、クロム原子照射、及び苛性エッチングから選択された方法で処理される、請求項1に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項4】
前記バリア層はSU−8エポキシを含む、請求項1に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項5】
前記バリア層はPerMXエポキシを含む、請求項1に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項6】
前記バリア層はOrdylアクリルフォトレジスト材料を含む、請求項1に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項7】
前記バリア層と前記オリフィスプレートとの間に配置された接着促進剤を更に含む、請求項1に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項8】
前記接着促進剤は、メタクリル酸シラン、クロムメタクリル酸錯体、ジルコアルミネート、アミノシラン、メルカプトシラン、シアノシラン、イソシアナートシラン、テトラアルキルチタン酸塩、テトラアルコキシチタン酸塩、クロロベンジルシラン、塩素化ポリオレフィン、ジヒドロイミダゾールシラン、無水コハク酸シラン、ビニールシラン、ウレイドシラン、及びエポキシシランから選択された材料を含む、請求項7に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項9】
前記バリア層と前記基板との間に配置された接着促進剤を更に含む、請求項1に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項10】
前記印刷ヘッドは、エポキシ系接着剤を使用してカートリッジの一部に装着される、請求項1に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項11】
前記エポキシ系接着剤は、Emerson & Cuming E3032である、請求項10に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項12】
前記印刷ヘッドはカートリッジに配置され、前記カートリッジに配置されたテープ自動ボンディングフレックス回路を更に含む、請求項1に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項13】
前記テープ自動ボンディングフレックス回路は、ポリイミド系材料を含む、請求項12に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項14】
前記タブ自動ボンディングフレックス回路は、熱可塑性ホットメルト接着剤を使用して前記カートリッジに熱かしめされる、請求項12に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項15】
前記接着剤は、EAAフィルム及びPPSフィルムから選択される、請求項14に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項16】
前記テープ自動ボンディングフレックス回路の少なくとも一部は、電子部品用エポキシ封入剤で覆われる、請求項12に記載のインクジェット印刷システム。
【請求項17】
インク貯蔵器と流体連通し、複数のオリフィス及び対応する複数の付属噴射チャンバを有する印刷ヘッドを含む印刷ヘッドシステムを作製する方法であって、
基板を用意することと、
前記基板にフォトレジスト材料を配置し、前記フォトレジスト材料は、エポキシ系フォトレジスト材料及びメタクリル酸メチル系フォトレジスト材料から選択されることと、
紫外線源を用意することと、
前記紫外線源と前記フォトレジスト材料との間にマスクを設けることと、
前記フォトレジスト材料を重合するために前記フォトレジスト材料を前記紫外線源に暴露して、基板上にバリア層を形成し、前記バリア層は、一部で複数の流体チャネル及び複数の噴射チャンバを画定することと、
前記噴射チャンバと流体連通する複数のオリフィスを含むオリフィスプレートを前記基板上に取り付け、前記オリフィスプレートは、ポリイミド及びニッケルから選択された材料を含むことと、
を含む方法。
【請求項18】
前記オリフィスプレートを取り付ける前に、前記バリア層と前記オリフィスプレートとの間に接着促進剤を供給することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
エポキシ系接着剤を使用して、前記印刷ヘッドをカートリッジの一部に装着することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
熱可塑性ホットメルト接着剤を使用して、テープ自動ボンディングフレックス回路を前記カートリッジに熱かしめすることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
インク貯蔵器と流体連通し、複数のオリフィス及び対応する複数の付属噴射チャンバを有する印刷ヘッドを含むインクジェット印刷システムであって、前記印刷ヘッドは、
基板と、
前記基板に配置されたバリア層であって、一部で複数の流体チャネル及び複数の噴射チャンバを画定するバリア層と、
前記基板上に配置されたオリフィスプレートであって、前記噴射チャンバと流体連通する複数のオリフィスを含み、前記オリフィスは直径を有する、オリフィスプレートと、
前記噴射チャンバ内に配置され、長さを有する抵抗型ヒータと、
を含み、
前記抵抗型ヒータの前記長さの、前記オリフィスの前記直径に対する比率は、1.7〜2.1である、インクジェット印刷システム。
【請求項22】
前記抵抗型ヒータの前記長さは65μm〜75μmであり、前記オリフィスの前記直径は35μm〜45μmである、請求項19に記載のインクジェット印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−532037(P2012−532037A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517815(P2012−517815)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/040135
【国際公開番号】WO2011/008485
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(502153385)ヴィデオジェット テクノロジーズ インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】