耐酸化性の高結晶性架橋ポリエチレン
本発明は、高結晶性の架橋高分子材料、例えば高結晶性の架橋超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の製造方法に関する。本発明は、高圧および高温結晶化製法を使用し、酸化防止剤ドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法、その材料から製造された医療用充填材、およびそれに使用する材料も提供する。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2004年2月3日提出された米国仮特許出願第60/541,073号(この開示は引用することにより本明細書の一部とされる)について優先権を主張したものである。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、高結晶性で耐酸化性の架橋した高分子材料を包含する、結晶性で、耐酸化性の、架橋した高分子材料の製造方法に関する。架橋した高分子材料を高圧下、高温で結晶化させる方法およびその方法で使用する材料も提供する。
【発明の背景】
【0003】
最終段階関節疾病のための全関節形成術では、最も一般的には金属/重合体関節対が使用されている。この関節対の負荷を支える関節表面には、ポリエチレン、特に超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、が、40年以上も主として使用されている(Kurtzら, Biomaterials, 1999. 20(18):p. 1659-1688)。このような再生技術に関しては長期にわたる成功率が高いにもかかわらず、ポリエチレンの摩耗および疲労損傷が、関節全体の寿命を制限している。膝全体では、充填材(implant)破損は、主としてポリエチレン成分に対する疲労損傷により引き起こされる(Collierら, J. Arthroplasty, 1996. 11(4): p.377-389)。股全体における骨軟化に対する解決策の一つは、架橋であり、これによってポリエチレンの摩耗は著しく低下する(Muratogluら, J. Arthroplasty, 2001. 16(2): p. 149-160; Muratogluら, Biomaterials, 1999. 20(16)p. 1463-1470; McKellopら, J. Orthop Res, 1999. 17(2): p. 157-167)。
【0004】
高分子材料の架橋密を高めると、耐摩耗性が著しく高くなるため、支持表面用途での関節形成術に好ましい。耐酸化性の架橋高分子材料、例えばUHMWPEは、装置の耐摩耗性を著しく増加させるので医療用装置に望ましい。架橋の方法は、UHMWPEにイオン化放射線を照射することによる。しかし、架橋によってポリエチレンの疲労強度も低下するため、構成部品が高い応力を伴う周期的な負荷にさらされる膝全体においては、高架橋密度のポリエチレンの使用は制限される。イオン化放射線は、架橋に加えて、残留フリーラジカルも発生させ、これが酸化により誘発される脆化の前駆体となる。これは、生体内装置の性能に悪影響を及ぼすことが知られている。従って、照射の後、残留フリーラジカルの濃度を、好ましくは検出不可能なレベルにまで、下げ、長期間の酸化を回避することが望まれる。
【0005】
照射したUHMWPE中の残留フリーラジカル濃度を実質的に下げる一つの方法は、照射したUHMWPEをその融解温度(例えば約137〜140℃)より上に加熱することである。融解により、残留フリーラジカルが捕獲されていると考えられる結晶性構造が解除または除去される。このフリーラジカル移動度の増加により、再結合反応が起こり易くなり、それによって、残留フリーラジカル濃度を著しく下げることができる。この技術は、残留フリーラジカルを再結合させるには有効であるが、材料の最終的な結晶化度を下げることが分かっている。この結晶化度の低下は、UHMWPEのモジュラスを低下させる。しかし、高応力用途、例えばユニコンパートメント(unicompartmental)膝設計、薄いポリエチレン頸骨膝挿入物、低適合性関節等にはクリープを最小に抑えるために高いモジュラスが望ましい。
【0006】
照射による架橋は、UHMWPEの疲労強度を低下させる。さらに、照射後の融解により、UHMWPEの疲労強度はさらに低下する。放射線および融解により、UHMWPEの降伏強度、極限引張強度、靱性および破断伸度も低下する。
【0007】
照射と融解を組み合わせることにより、架橋が形成され、大部分が結晶性区域に捕獲されている、酸素との反応により酸化性脆化を引き起こす恐れがある残留フリーラジカルの再結合が容易になる。しかし、架橋および融解の両方共、UHMWPEの結晶化度を低下させる。架橋、および結晶化度の低下は、疲労強度、降伏強度、極限引張強度、靱性および破断伸度を低下させる理由であると考えられている。これらの特性変化の一部または全部が、低摩耗性で高度に架橋したUHMWPEの、低応力用途への使用を制限している。従って、結晶化度が高い架橋したUHMWPEが、低摩耗性を必要とする高応力用途向けの低摩耗性で高疲労耐性に望ましい。
【0008】
従って、低摩耗性を必要とする高応力用途向けの高い疲労耐性を達成するには、結晶化度を下げずに、架橋したUHMWPE中の、照射により形成された残留フリーラジカルを減少させることが望ましい。融解に代わる方法を使用し、照射されたUHMWPEの長期間酸化を阻止して高レベルの結晶化度および疲労強度を保存することができる。
【0009】
従来のUHMWPEの疲労強度に対する結晶化度の影響は公知である。高圧結晶化により未照射UHMWPEの結晶化度を増加し、これによって未照射UHMWPEの疲労亀裂伝播抵抗を約25%増加させた研究者もいる(Bakerら, Polymer, 2000. 41(2): p. 795-808)。他の研究者は、高圧(2,000〜7,000バール)かつ高温(>200℃)で、ポリエチレンにおいて伸びきり鎖結晶を成長させて、より高い結晶化度レベルを達成することを見出している(Wunderlichら, Journal of Polymer Science Part A-2: Polymer Physics, 1969. 7(12): p. 2043-2050)。しかしながら、高架橋密度のUHMWPEの高圧結晶化は、これまで試行または考察されていない。また、高度に架橋したポリエチレンの高圧における結晶化挙動も確認されていない。
【0010】
ポリエチレンは、高い温度かつ圧力で、斜方晶から六方晶相への相転移を受ける。六方晶相は、伸びきり鎖結晶を成長させ、ポリエチレン中でより高い結晶化度を達成することができる。これは、斜方晶相と比較して六方晶相における束縛結晶化速度が低い結果であると考えられる。高圧結晶化の前にポリエチレン中に可塑剤または核形成剤を導入することにより、結晶化速度に対する束縛をさらに小さくすることができると考えられる。高圧結晶化の前に、ポリエチレンを可塑剤、例えばα−トコフェロールまたはビタミンE、でドーピングすることができる。このドーピングは、ポリエチレン樹脂粉末を可塑剤と混合し、その混合物を固化させるか、または固化させたポリエチレン中に可塑剤を拡散させることにより達成できる。米国特許出願第10/757,551号、2004年1月15日提出、およびPCT特許出願第PCT/US04/00857号、2004年1月15日提出(これらの開示は引用されることにより本明細書の一部とされる)に記載されているように、様々なドーピング法を採用できる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、一般的には、耐酸化性の結晶性架橋高分子材料の製造方法に関し、好ましくは、この架橋材料は、従来の方法により得られる結晶化度よりも高い結晶化度を有する。より詳しくは、本発明は、高結晶性UHMWPEを放射線架橋させ、続いてそのUHMWPEを処理し、その耐酸化性を向上させる方法に関する。また、本発明は、架橋した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を、高圧下、高温で、六方晶相中で結晶化させ、それによって伸びきり鎖結晶が存在し、高結晶化度が達成され、続いてUHMWPEを処理し、その耐酸化性を向上させる方法にも関する。本発明は、架橋した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を、高圧下、高温で、六方晶相中で結晶化させ、それによって、高結晶化度が達成され、残留フリーラジカル密度が低下する方法にも関する。また、本発明は、検出可能な残留フリーラジカルを含まないか、またはフリーラジカル密度が低い、耐酸化性の架橋UHMWPEの結晶化度を、高圧結晶化により増加させる方法にも関する。
【0012】
本発明の方法は、高圧下、高温でポリエチレンを結晶化させる工程、溶融状態よりも低い様々な温度で照射し、架橋の際に無定形の、折りたたみ鎖および伸びきり鎖結晶の量を制御する工程、を含んでなる。本発明は、酸化防止剤をポリエチレン中に配合するか、または架橋したポリエチレンを機械的に変形させ、アニーリングするか、もしくは高圧かつ高温で架橋したポリエチレンを処理する、耐酸化性を向上させるための方法にも関する。本方法は、本開示およびこの分野における技量に応じて、個別に、または一緒に、様々な順序で使用することができる。本発明の概要および説明に記載する範囲は、その範囲の近傍またはその範囲中のすべての数または値を包含する。本発明の範囲は、その範囲内のすべての整数および分数を明確に表示する。
【0013】
本発明の一態様は、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)加熱された高分子材料を、好ましくは少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、c)この圧力に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0014】
本発明の別の態様においては、耐酸化性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、c)この圧力に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、g)高結晶性の架橋高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、h)加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、i)この圧力に保持し、j)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、k)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0015】
本発明の別の態様においては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度でイオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0016】
本発明の別の態様においては、耐酸化性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、b)加圧された高分子材料を、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度、例えば140℃より低い温度に加熱し、c)この圧力に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、g)高結晶性の架橋高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、h)加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、i)この圧力に保持し、j)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、k)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0017】
本発明の別の態様においては、耐酸化性で高結晶性の架橋高分子材料を機械加工し、それによって医療用充填材を形成する。別の態様においては、耐酸化性で高結晶性の架橋した医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌処理し、それによって無菌の、耐酸化性で高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する。
【0018】
本発明の一態様として、架橋した高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、d)加圧されたブレンドを、100℃より高く、加圧されたブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、e)この圧力に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の架橋重合体と添加剤とのブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0019】
本発明の一態様として、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、ブレンドの融点よりも高い温度に加熱し、d)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、e)この圧力に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、耐酸化性で、高結晶性の架橋重合体と添加剤とのブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0020】
本発明の一態様として、耐酸化性であり架橋した、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、d)架橋したブレンドを、そのブレンドの融点よりも高い温度に加熱し、e)架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、f)この圧力に保持し、g)加熱された架橋したブレンドを略室温に冷却し、h)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性で高結晶性の架橋重合体と添加剤とのブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0021】
本発明の一態様として、架橋した、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、そのブレンドの融点よりも高い温度に加熱し、d)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、e)この圧力に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高分子材料を機械加工して、医療用充填材を形成し、i)医療用充填材を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0022】
本発明の一態様としては、架橋した、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、d)加圧されたブレンドを、100℃より高く、加圧されたブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、e)この圧力に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高分子材料を機械加工して、医療用充填材を形成し、i)医療用充填材を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0023】
本発明の一態様としては、耐酸化性であり架橋した、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、d)架橋したブレンドを、ブレンドの融点よりも高い温度に加熱し、e)架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、f)この圧力に保持し、g)加熱された、架橋したブレンドを略室温に冷却し、h)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性であり架橋した、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを形成し、i)高分子材料を機械加工して、耐酸化性であり、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する、方法を提供する。
【0024】
別の態様としては、高結晶性の架橋した重合体と添加剤とのブレンドを機械加工して医療用充填材を形成する。別の態様としては、高結晶性の架橋した医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌処理して、無菌の、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する。
【0025】
本発明の別の態様としては、高結晶性の重合体と、可塑剤または核形成剤を含む添加剤とのブレンドを製造する方法を提供する。
【0026】
本発明の別の態様としては、耐酸化性の、高度に架橋した重合体のブレンドを製造する方法であって、酸化防止性可塑剤、例えばビタミンEのような添加剤で重合体を可塑化することを含んでなる、方法を提供する。
【0027】
本発明の別の態様としては、耐酸化性で、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、高結晶性の架橋高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することをさらに含んでなる、方法を提供する。
【0028】
本発明の別の態様としては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高結晶性の架橋高分子材料を機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、b)医療用充填材を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成することをさらに含んでなる、方法を提供する。
【0029】
本発明の別の態様としては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高結晶性の架橋高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、b)酸化防止剤でドーピングした高結晶性の架橋高分子材料を機械加工して、酸化防止剤でドーピングした高結晶性の架橋した医療用充填材を形成することをさらに含んでなる、方法を提供する。
【0030】
本発明の一態様としては、酸化防止剤でドーピングした高結晶性の架橋した医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌処理して、無菌の、酸化防止剤でドーピングした高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する。
【0031】
本発明の別の態様としては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、d)圧力を略大気圧レベルに解除し、e)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、f)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することをさらに含んでなる、方法を提供する。
【0032】
本発明の別の態様としては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、d)圧力を略大気圧レベルに解除し、e)高結晶性の高分子材料を機械加工して、医療用充填材を形成し、f)医療用充填材を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を形成し、g)酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することをさらに含んでなる、方法を提供する。
【0033】
本発明の別の態様としては、耐酸化性で高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料(例えばUHMWPE)を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、酸化防止剤でドーピングした、架橋高分子材料を形成し、c)酸化防止剤でドーピングした、架橋高分子材料をその融点よりも低い温度に加熱し、d)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、e)この圧力に保持し、f)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0034】
本発明の別の態様としては、耐酸化性で、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料(例えばUHMWPE)を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、酸化防止剤でドーピングした、架橋高分子材料を形成し、c)架橋高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、d)加圧された、架橋高分子材料を、100℃より高く、加圧された架橋高分子材料の融点よりも低い温度に加熱し、e)この圧力および温度に保持し、f)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0035】
本発明の別の態様としては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、c)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、d)圧力を略大気圧レベルに解除し、e)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、f)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0036】
本発明の別の態様としては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、c)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、d)圧力を略大気圧レベルに解除し、e)高結晶性の高分子材料を機械加工して、医療用充填材を形成し、f)医療用充填材を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を形成し、g)酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0037】
本発明の別の態様としては、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を機械加工して、医療用充填材を形成する。
【0038】
本発明の別の態様としては、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋医療用充填材を洗浄し、包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌処理して、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する。
【0039】
本発明の一態様としては、包装および滅菌の前に、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を、工業用洗浄機中で洗剤により洗浄する。別の態様としては、包装および滅菌の前に、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を、エタノール等の溶剤中に浸漬することにより、洗浄する。
【0040】
本発明の別の態様としては、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した高分子材料を洗浄し、次いで機械加工して、医療用充填材を形成する。
【0041】
本発明の別の態様では、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌処理して、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する。
【0042】
本発明の別の態様では、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を包装し、ガス滅菌により滅菌処理して、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する。
【0043】
本発明の別の態様では、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を包装し、イオン化放射線で、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上の放射線量に照射して架橋し、医療用充填材を滅菌処理する。好ましくは、放射線量レベルは、75kGyを超え、より好ましくは100kGyを超え、さらに好ましくは約150kGyである。
【0044】
本発明の一態様では、高分子材料を、加圧された高分子材料の融点を超える温度、例えば150℃、180℃、225℃、300℃、または320℃、および熱分解点温度よりも低い温度範囲内で、その間の、またはその近傍の温度に加熱する。
【0045】
本発明の別の態様としては、耐酸化性で高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、c)この圧力に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、g)酸化防止剤、例えばビタミンEでドーピングして、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、h)酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を、その融点よりも低い温度で機械的に変形させ、i)機械的に変形させた、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点よりも低い温度でアニーリングすることを含んでなる、方法を提供する。
【0046】
本発明の別の態様としては、耐酸化性で高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、g)酸化防止剤、例えばビタミンEでドーピングして、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、h)酸化防止剤でドーピングした高結晶性の架橋高分子材料を、その融点よりも低い温度で機械的に変形させ、i)機械的に変形させた酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点よりも低い温度でアニーリングすることを含んでなる、方法を提供する。
【0047】
本発明の別の態様としては、耐酸化性であり、架橋した高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、ブレンドの融点よりも高い温度に加熱し、d)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、e)この圧力に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、耐酸化性であり高結晶性の架橋重合体と添加剤とのブレンドを形成し、i)酸化防止剤、例えばビタミンEでドーピングして、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋したブレンドを形成し、j)酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋したブレンドを、その融点よりも低い温度で機械的に変形させ、k)機械的に変形させた、酸化防止剤でドーピングしたブレンドを、その融点よりも低い温度でアニーリングすることを含んでなる、方法を提供する。
【0048】
本発明の別の態様としては、耐酸化性であり架橋した、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、d)加圧されたブレンドを、100℃より高く、加圧されたブレンドの融点よりも低い温度に加熱し、e)この圧力に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した、重合体と添加剤とのブレンドを形成し、i)酸化防止剤、例えばビタミンEでドーピングして、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋したブレンドを形成し、j)酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋したブレンドを、その融点よりも低い温度で機械的に変形させ、k)機械的に変形させた、酸化防止剤でドーピングしたブレンドを、その融点よりも低い温度でアニーリングすることを含んでなる方法を提供する。
【0049】
本発明の別の態様としては、高結晶性の高分子材料を、略室温〜約90℃の温度で、または約90℃〜高結晶性の高分子材料の融点のピーク温度で照射する。
【0050】
本発明の別の態様では、照射した高分子材料を、高分子材料の融点より低い温度、例えば約90℃〜照射した高分子材料の融点のピーク温度でアニーリングする。
【0051】
本発明の別の態様では、分子材料を、約150MPaより高く、例えば約200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPaに加圧することができる。
【0052】
さらに本発明の別の態様では、上記のように製造された、高結晶性の架橋した架橋高分子材料、および酸化防止剤でドーピングした高結晶性の架橋高分子材料、ならびに、高結晶性の架橋した、重合体と添加剤とのブレンド、を含んでなる医療用充填材を提供する。別の態様においては、高分子材料を別の部品または医療用充填材に圧縮成形し、それによって、界面または噛み合ったハイブリッド材料を形成する。この医療用充填材は、本発明の一態様において、寛骨臼ライナー、肩関節窩(shoulder glenoid)、膝蓋骨成分、指関節成分、踝関節成分、肘関節成分、手首関節成分、足指関節成分、二極人工股関節、頸骨膝挿入物、補強金属およびポリエチレンポストを備えた頸骨膝挿入物、椎間板、縫合、腱、心臓弁、ステント、血管移植片、を包含する医療用装置を含む。
【0053】
本発明の一態様として、3つ以上の融解ピークを有し、かつ約50%を超える結晶化度を有する、放射線処理したUHMWPEを提供する。別の態様としては、UHMWPEを含み、そのUHMWPEが、少なくとも2つの融解ピークを有し、かつ約50%を超える結晶化度を有する、完成製品、例えば物品、医療用装置または医療用補欠物を提供する。本発明により、UHMWPEまたは完成製品は、ビタミンEでドーピングし、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量で照射し、検出可能なフリーラジカルを有する。
【0054】
本発明の別の態様においては、UHMWPE粉末をビタミンEとブレンドし、ビタミンEをブレンドしたUHMWPEを照射して、ブレンドを、常圧で、照射したUHMWPEの融点よりも高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧することにより、高圧結晶化させ、加圧下で略室温に冷却し、除圧することにより製造したUHMWPEを提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、機械加工して完成製品、例えば医療用充填材等を形成する。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0055】
本発明の別の態様においては、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の重合体(例えばUHMWPE)と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、架橋した、高分子材料と添加剤とのブレンドを形成し、d)架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、e)加圧された架橋したブレンドを、100℃より高く、加圧された架橋したブレンドの融点よりも低い温度に加熱し、f)この圧力および温度に保持し、g)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、h)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、架橋した、高分子材料と添加剤とのブレンドを形成することを含む方法を提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、検出可能なフリーラジカルを有し、機械加工して完成製品、例えば医療用充填材等を形成する。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0056】
本発明の別の態様においては、UHMWPE粉末をビタミンEとブレンドし、ビタミンEをブレンドしたUHMWPEを照射し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、常圧で、照射したポリエチレンの融点よりも高い温度に加熱し、加圧下で略室温に冷却し、除圧することにより製造したUHMWPEを提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、検出可能なフリーラジカルを有し、機械加工して完成製品、例えば医療用充填材等を形成する。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0057】
本発明の別の態様においては、耐酸化性で、架橋した、高結晶性の重合体(例えばUHMWPE)と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、架橋した、高分子材料と添加剤とのブレンドを形成し、d)ブレンドを機械加工し、それによって、完成製品、例えば医療用充填材等を形成し、e)医療用充填材をその融点よりも高い温度に加熱し、f)医療用充填材を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、g)この圧力に保持し、h)加熱された医療用充填材を略室温に冷却し、i)圧力を略大気圧レベルに解除して、酸化防止剤でドーピングした、架橋した、高結晶性の医療用充填材を形成することを含んでなる、方法を提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、検出可能なフリーラジカルを有し、機械加工して完成製品、例えば医療用充填材等を形成する。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0058】
本発明の別の態様においては、UHMWPE粉末をビタミンEとブレンドし、ビタミンEをブレンドしたUHMWPEを照射し、完成製品、例えば医療用充填材を形成し、ブレンドを、常圧で、照射したポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧することにより、高圧結晶化させ、加圧下で略室温に冷却し、除圧することにより製造したUHMWPEを提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、その際、完成製品は、ビタミンEでドーピングしたUHMWPEを固化させ、機械加工することにより、形成される。別の態様では、完成製品は、ビタミンEでドーピングしたUHMWPEを充填材形状に直接圧縮成形することにより、形成され、その際、充填材形状は、充填材の完成した形状であるか、または充填材形状は、充填材の完成した形状にさらに機械加工する必要がある。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0059】
本発明の別の態様では、UHMWPE粉末をビタミンEとブレンドし、ビタミンEをブレンドしたUHMWPEを照射し、完成製品、例えば医療用充填材を形成し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、常圧で、照射したポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧することにより製造したUHMWPEを提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、それによって、完成製品は、検出可能なフリーラジカルを有する。完成製品は、ビタミンEでドーピングしたUHMWPEを充填材形状に直接圧縮成形することにより、形成され、その際、充填材形状は、充填材の完成した形状であるか、または充填材形状は、充填材の完成した形状にさらに機械加工する必要がある。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0060】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の重合体(例えばUHMWPE)と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、架橋した、高分子材料と添加剤とのブレンドを形成し、d)ブレンドを機械加工して、完成製品、例えば医療用充填材等を形成し、e)充填材を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、f)加圧された充填材を、100℃より高く、加圧された充填材の溶融状態よりも低い温度に加熱し、g)この圧力および温度に保持し、h)加熱された充填材を略室温に冷却し、i)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成することを含んでなる、方法を提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、検出可能なフリーラジカルを有し、機械加工して完成製品、例えば医療用充填材等を形成する。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0061】
本発明の別の態様では、照射されたUHMWPEを提供するが、そこでは、UHMWPEを機械加工して完成製品、例えば物品、充填材、または医療用補欠物を形成し、完成製品を高圧結晶化させる。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGy、より好ましくは約65kGyの線量で照射するが、その際、UHMWPEは、約85℃より高く、照射されたUHMWPEの融点よりも低い温度に加熱し、UHMWPEを融解させてから、機械加工して完成製品または物品を形成する。高圧結晶化は、常圧で、照射したポリエチレンの融点よりも高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、常圧で、照射したポリエチレンの融点よりも高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧することにより、行う。高圧結晶化は、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、常圧で、照射したポリエチレンの融点よりも高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧することにより、行うこともできる。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0062】
本発明の別の態様では、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、g)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、h)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高結晶性の、高度に架橋した高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、i)この圧力および温度に保持し、j)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、k)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0063】
本発明の別の態様では、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、g)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、h)加圧された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加熱し、i)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高結晶性の、高度に架橋した高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、j)この圧力および温度に保持し、k)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、l)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0064】
本発明の別の態様では、耐酸化性で、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、g)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0065】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、g)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0066】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、g)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、その融点より低い温度で機械的に変形させ、h)機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、その融点より低い温度でアニーリングして、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0067】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、g)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、その融点より低い温度で機械的に変形させ、h)機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、その融点より低い温度でアニーリングして、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0068】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、d)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、e)この圧力および温度に保持し、f)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、i)高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、j)高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、k)この圧力および温度に保持し、l)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、m)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0069】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、d)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、e)この圧力および温度に保持し、f)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、i)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、j)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、k)この圧力および温度に保持し、l)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、m)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0070】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、高度に架橋した、高結晶性の、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性のブレンドを形成し、f)ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、g)高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、h)高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、i)この圧力および温度に保持し、j)加熱された、高度に架橋したブレンドを略室温に冷却し、k)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0071】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、高度に架橋した、高結晶性の、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性のブレンドを形成し、f)ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、g)高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、h)加圧された、架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加熱し、i)加圧された、架橋したブレンドを、100℃より高く、加圧された、高結晶性の、高度に架橋したブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、j)この圧力および温度に保持し、k)加熱された、架橋したブレンドを略室温に冷却し、l)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0072】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、d)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、e)この圧力および温度に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性のブレンドを形成し、h)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、i)高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、j)機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングして、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0073】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、d)加圧されたブレンドを、100℃より高く、加圧されたブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、e)この圧力および温度に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、h)ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、i)高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、j)機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングして、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0074】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、酸化防止剤でドーピングした、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料をその溶融状態よりも高い温度に加熱し、c)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、d)この圧力および温度に保持し、e)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、f)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、g)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、h)高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、i)高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、j)この圧力および温度に保持し、k)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、l)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0075】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、酸化防止剤でドーピングした、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料をその溶融状態よりも高い温度に加熱し、c)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、d)この圧力および温度に保持し、e)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、f)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、g)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、h)高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、i)加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、100℃より高く、加圧された、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、j)この圧力および温度に保持し、k)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、l)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0076】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、酸化防止剤でドーピングした、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、c)加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、100℃より高く、加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、d)この圧力および温度に保持し、e)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、f)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、g)ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、h)高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、i)高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、j)この圧力および温度に保持し、k)加熱された、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、l)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0077】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、酸化防止剤でドーピングした、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、c)加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、100℃より高く、加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、d)この圧力および温度に保持し、e)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、f)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、g)高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、h)高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、i)加圧した、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加熱し、j)加圧された、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、100℃より高く、加圧された、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、k)この圧力および温度に保持し、l)加熱された、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、m)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0078】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、c)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、d)この圧力および温度に保持し、e)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、f)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、g)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、h)高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点より低い温度で機械的に変形させ、i)機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0079】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、c)加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、100℃より高く、加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、d)この圧力および温度に保持し、e)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、f)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、g)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、h)高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点より低い温度で機械的に変形させ、i)機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0080】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、架橋したブレンドを形成し、d)高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、e)機械的に変形させた、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0081】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、架橋したブレンドを形成し、d)高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、e)機械的に変形させた、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性の、高度に架橋したブレンドを形成し、f)耐酸化性の、高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、g)加圧された、高度に架橋したブレンドを、100℃より高く、加圧された、高度に架橋したブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、h)この圧力および温度に保持し、i)加熱された、高度に架橋したブレンドを略室温に冷却し、j)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0082】
本発明の別の態様では、融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、この温度に保持し、略室温に冷却し、除圧し、高圧結晶化させたUHMWPEを照射し、次いで酸化防止剤、例えばビタミンE、を拡散させることにより製造したUHMWPEを提供する。高圧結晶化は、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、この圧力および温度に保持し、略室温に冷却し、除圧することにより、行うこともできる。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、その際、完成製品は検出可能なフリーラジカルを有し、完成製品は、ビタミンEでドーピングしたUHMWPEを 充填材形状に直接圧縮成形することにより、形成され、その際、充填材形状は、充填材の完成した形状であるか、または充填材形状は、充填材の完成した形状にさらに機械加工する必要がある。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0083】
本発明の別の態様では、融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、この温度に保持し、略室温に冷却し、除圧し、高圧結晶化させたUHMWPEを照射し、高圧結晶化させたUHMWPEを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、その溶融状態よりも低い温度でアニーリングすることにより製造したUHMWPEを提供する。高圧結晶化は、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、この圧力および温度に保持し、略室温に冷却し、除圧することにより、行うこともできる。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、その際、完成製品は検出可能なフリーラジカルを含まない。完成製品は、機械加工して医療用装置を形成することができる。医療用装置は包装し、滅菌処理することができる。
【0084】
本発明の別の態様では、酸化防止剤、例えばビタミンE、を拡散させ、融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、この温度に保持し、略室温に冷却し、除圧し、高圧結晶化させたUHMWPEを照射し、高圧結晶化させたUHMWPEを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、その溶融状態よりも低い温度でアニーリングすることにより製造したUHMWPEを提供する。高圧結晶化は、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、この圧力および温度に保持し、略室温に冷却し、除圧することにより、行うこともできる。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、その際、完成製品は検出可能なフリーラジカルを含まない。完成製品は、機械加工して医療用装置を形成することができる。医療用装置は包装し、滅菌処理することができる。
【0085】
本発明の別の態様では、酸化防止剤、例えばビタミンE、を拡散させ、融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、この温度に保持し、略室温に冷却し、除圧し、高圧結晶化させたUHMWPEを照射し、融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、この温度に保持し、室温に冷却し、除圧することにより製造したUHMWPEを提供する。高圧結晶化は、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、この圧力および温度に保持し、略室温に冷却し、除圧することにより、行うこともできる。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射する。完成製品は、機械加工して医療用装置を形成することができる。医療用装置は包装し、滅菌処理することができる。
【0086】
他に定義されていない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、それらの様々な文法的な形態において、本発明が属する分野における当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載するものと類似の方法および材料を、本発明の実施および試験で使用できるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。矛盾する場合、定義を包含する本明細書が調整する。さらに、材料、方法、および例は、例示目的にのみ記載するのであって、本発明を制限するものではない。
【0087】
本発明の他の特徴、目的、および優位性は、請求項および下記の詳細な説明から明らかである。しかし、無論、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい態様を示しているが、当業者には、この詳細な説明から、本発明の精神および範囲内での様々な変形および修正が明らかなので、例示目的にのみ記載する。
【発明の詳細な説明】
【0088】
本発明は、高結晶性の、耐酸化性の、架橋高分子材料の製造方法、その材料で製造した、永久的および非永久的医療用装置を包含する医療用装置を含んでなる医療用充填材を提供する。本発明は、ポリエチレン、例えばUHMWPE、を、高圧下、高温で結晶化させ、様々な温度で照射し、架橋したポリエチレンを酸化防止剤でドーピングする方法に関する。本発明は、ポリエチレンを添加剤、例えばビタミンE、とブレンドし、溶融状態よりも低い温度における低温照射を包含する様々な温度で照射し、続いて機械的にアニーリングする方法にも関する。
【0089】
ポリエチレンは、半結晶性材料(55〜60%)であり、常圧下で溶融物から結晶化する時に折りたたみ鎖を含む。これらの結晶の大部分は、格子寸法がa、bおよびc次元に対してそれぞれ7.42、4.95、および2.55Åである斜方晶相にある。単位胞軸は相互に90°である。変形により、格子寸法8.09、4.79、および2.55Åを有する単斜晶相を与える。300MPaを超える圧力でのみ生じる(例えば、図1参照)六方晶相では、単位胞寸法は8.42、4.56、および<2.55Åになる。この相では、個々の鎖軸(stem)が、相互に不規則な相角度で回転し、鎖が互いに横滑りして通り過ぎ、密に充填された構造を形成する。この相における結晶は、密充填により結晶が、折りたたみ鎖の結晶よりも、大きく成長し得るので、「伸びきり鎖結晶(ECC)」と呼ばれる。
【0090】
未架橋UHMWPEの結晶化度は、高圧および高温結晶化により増加できることが公知である。例えば、未架橋UHMWPEを300MPaを超える圧力および180℃で結晶化させて六方晶相転移させた時、示差走査熱量測定(DSC)により測定される結晶のピーク融点は、より高温にシフトし、全体的な結晶化度が増加した。結晶化度が高い未架橋の、高圧結晶化させたポリエチレンは、結晶化度の増加と共に、疲労耐性がより高くなると思われる(Bakerら, Polymer, 2000. 41(2): p. 795-808参照)。従って、本発明の目的の一つは、結晶化度が高く(>51%)、良好な耐酸化性を有する、高度に架橋した(25〜1000kGy)ポリエチレンを達成することであった。
【0091】
重合体の高い靱性および高い疲労強度は、エネルギー吸収機構、例えばキャビテーションや塑性変形に起因する。ポリエチレンにおける主要エネルギー吸収機構は、結晶性領域の塑性変形(結晶塑性)であり、これは延性および結晶化度によって異なる。高線量レベルの照射でポリエチレンを架橋させることにより、鎖の移動度が急激に低下し、そのために全体的な延性が低下する。架橋の存在下における融解は、鎖の再整列能力を制限し、従って、ポリエチレンの結晶化度を低下させる。これら2つのファクターを組み合わせると、すなわち鎖の移動度を下げ、結晶化度を下げると、架橋した、融解したポリエチレンの疲労耐性が低下する。
【0092】
本発明により、高結晶性の、架橋した、耐酸化性のポリエチレンが、以下に説明する様々な製法および工程(例えば、図2参照)により得ることができる。
【0093】
1.経路Iまたは経路IIのいずれかを使用する、未照射/未架橋ポリエチレンの高圧結晶化
A.経路I
所望の温度、例えば溶融状態よりも高い(例えば、約140℃、約180℃、約200℃、約250℃、または約300℃)温度に加熱し、次いで加圧し、次いで圧力をほぼ同じ圧力に、1分間〜1日以上、好ましくは約0.5時間〜12時間、より好ましくは1〜6時間保持し、次いで除圧する(圧力は、高圧下で達成された結晶の融解を避けるために、室温に冷却した後で解除する)。
B.経路II
所望の圧力に加圧し、次いで所望の温度、例えば加圧されたポリエチレンの溶融状態よりも低い温度(例えば約150℃、約180℃、約195℃、約225℃、約300℃、および約320℃)、に加熱し、次いで圧力をほぼ同じ圧力に、1分間〜1日以上、好ましくは約0.5時間〜12時間、より好ましくは1〜6時間保持し、次いで室温に冷却し、次いで除圧する(圧力は、高圧下で達成された結晶の融解を避けるために、室温に冷却した後で解除する必要がある)。
【0094】
2.続く、低温または温照射を用いた高圧結晶化させた(HPC)ポリエチレンへの照射
A.低温照射(CI)
略室温〜90℃で、e−線またはガンマ放射線を使用して照射する。HPC−ポリエチレンの結晶化度が高過ぎる場合、十分な無定形ポリエチレンが架橋に使用できない場合がある。従って、所望の耐摩耗性または架橋密度を達成するには、通常の線量レベル、すなわち高圧を使用せずに結晶化させたポリエチレンに必要な線量レベル(本明細書で記載するように、例えば通常線量レベル75kGyまたは100kGy)、よりも高くする必要がある。
B.温照射(WI)
約90℃〜HPC−ポリエチレンのピーク融点、一般的には約145℃で照射する。照射の際に、照射の温度を調節し、所望の無定形程度を達成することができる。
【0095】
3.続く、照射したHPC−ポリエチレン(I−HPC)への、下記の方法の一つ、またはそれらの組合せによる処理
A.上記の様に、経路Iまたは経路IIに従って高圧結晶化を繰り返する。
B.酸化防止剤、例えばビタミンE、でドーピングするが、これは様々な様式で行うことができる、例えば
i.最終製品を機械加工し、ビタミンEまたはその溶液中に、室温〜ビタミンE溶液の沸点までの温度で浸漬し、次いで洗浄し、包装し、ガスプラズマ、エチレンオキシド、またはイオン化放射線、例えば空気中または不活性ガス中のガンマ線、で滅菌処理する。
ii.高結晶性の高分子材料をビタミンEまたはその溶液中に、室温〜ビタミンE溶液の沸点の温度で浸漬し、医療用充填材を機械加工し、次いで洗浄し、包装し、包装した医療用充填材を照射して架橋および滅菌処理する。
C.CIMA(低温照射および機械的アニーリング)法で処理する、例えば
i.90℃〜I−HPCのピーク融点の温度に加熱し、圧縮下で2.5を超える圧縮比に変形させ、変形を保持し、室温に冷却し、90℃〜I−HPCのピーク融点の温度でアニーリングし、最終製品を機械加工し、包装し、滅菌処理、好ましくはエチレンオキシドまたはガスプラズマで滅菌処理する。CIMA法は、ここにその全文を参考として含める公開米国特許第20030149125号(米国特許出願第10/252,582号)、2002年9月24日提出、に記載されているようにして使用することができる。
【0096】
本発明の一態様では、経路Iの高圧結晶化の際に、高分子材料を、融点を超える温度、例えば約140℃、約180℃、約200℃、約250℃、または約300℃、に加熱する。
【0097】
別の態様では、経路IIの高圧結晶化の際に、高分子材料を、加圧された高分子材料の融点より低い温度、例えば約150℃、約180℃、約195℃、約225℃、約300℃、および約320℃、に加熱する。
【0098】
親油性ポリエチレンと相容性がある酸化防止剤は、100kGyまでの放射線量で照射されたポリエチレンと良く混合し、それを酸化から保護する。その上、酸化防止剤は、照射後に拡散したした時、ポリエチレンの架橋を妨害しない。従って、照射後に拡散した、架橋したポリエチレンは、同時に架橋した、融解したポリエチレンに匹敵する摩耗速度を示す。溶融状態よりも低い温度における機械的変形も、照射されたポリエチレンから残留フリーラジカルを、融解せずに除去するもう一つの手法である。
【0099】
本発明は、重合体と添加剤のブレンドを高圧および高温で結晶化させ、そうして形成された高結晶性のブレンドを照射し、高結晶性の、架橋した、重合体と添加剤のブレンドを得る方法も提供する。本発明は、重合体と、酸化防止剤でもある添加剤のブレンドを高圧および高温で結晶化させ、そうして形成された高結晶性のブレンドを照射し、高結晶性の、架橋した、耐酸化性の、重合体と、酸化防止剤でもある添加剤のブレンドを得る方法も提供する。
【0100】
本発明は、高結晶性の、架橋したUHMWPEの耐酸化性を、融解させずに改良する方法も提供する。高結晶性のUHMWPEの融解は、ECCを排除し、重合体の結晶化度を下げる。従って、本発明は、融点より低い温度で酸化防止剤または機械的変形を使用する方法を提供する。本発明で、本明細書で記載する酸化防止剤でドーピングすることにより、または機械的変形方法により、耐酸化性の改良を達成することができる。機械的変形は、照射の後に、重合体を融解させずに、残留フリーラジカル密度を下げるのに使用し、例えば融点より低い温度(例えば約150℃より低い温度)で少なくとも2.0の圧縮比に単軸圧縮し、残留フリーラジカル濃度を下げる。本発明により、機械的変形の後にも持続することがある配向および熱的応力の一部は、融点未満の高温でさらにアニーリングし、冷却することにより、低減させる。アニーリングに続いて、ポリエチレンを十分に遅い冷却速度(例えば約10℃/時間)で冷却させ、熱的応力を最小に抑えるのが望ましい場合がある。
【0101】
本明細書に記載するように、機械的変形は、放射線架橋したUHMWPE中の残留フリーラジカルを排除できることが立証されている。本発明は、UHMWPEを、固体または溶融状態で、例えば圧縮により、先ず新しい形状に変形させることができる方法も提供する。本発明の方法により、UHMWPEの機械的変形を溶融状態で行うと、重合体は負荷の下で結晶化し、変形した新しい形状を維持する。変形工程に続いて、変形したUHMWPE試料を融点より低い温度で照射し、架橋させるが、これは残留フリーラジカルを発生させる。これらのフリーラジカルを減少させるか、または排除するために、照射された重合体試料を、変形させ、照射したポリエチレンの融点より低い温度(例えば、約150℃まで)に加熱し、形状記憶により、本来の形状を部分的に回復させる。一般的に、本来の形状の約80〜90%が回復すると期待される。この回復の際、結晶は運動を受け、フリーラジカルの再結合および排除に役立つ。上記の方法は、「逆IBMA」と呼ばれる。逆IBMA(溶融状態よりも低い温度での逆照射および機械的アニーリング)技術は、UHMWPEを基材とする医療用装置の大規模製造に応用するのに適した方法である。
【0102】
本発明の一態様では、高度に架橋した、融解したポリエチレンに匹敵する高い架橋密度、高い結晶化度、摩耗および酸化耐性を有し、高度に架橋した、融解したポリエチレンより高い疲労耐性を有する、永久的および非永久的医療用装置を包含する医療用充填材を開示する。
【0103】
本明細書で開示する医療用充填材は、本明細書で開示する様々な方法、例えば高分子材料固化させ、固化した高分子材料を、例えば150℃を超える高温、および例えば10〜1000MPaを超える高圧(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、で結晶化させ、続いて室温に冷却した後、常圧に除圧し、続いて高圧結晶化させた高分子材料を加熱し、特定の温度、例えば150℃未満、に保持して部分的に無定形のポリエチレンを達成し、イオン化放射線により、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約75kGy、より好ましくは約100kGy、さらに好ましくは約150kGyの、線量に照射し、酸化防止剤でドーピングするか、または例えば機械的変形およびアニーリングおよび/または高い圧力および温度で結晶化させることにより、残留フリーラジカルの濃度を下げることにより、耐酸化性を増加させる方法により、得ることができる。
【0104】
高圧下での結晶化は、先ずポリエチレンを定圧で融解させ、続いて10〜1000MPaより高く(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、室温に冷却するか、または先ず10〜1000MPaより高く(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、次いで温度を、斜方晶相から六方晶相への相転移が起こるまで増加し、次いで冷却し、除圧することにより、行うことができる。
【0105】
溶融状態の保持時間、加圧下の保持時間、最終的な温度と圧力、および冷却速度を変化させ、最も高い結晶化度およびほぼ等しい量の伸びきり鎖結晶および折りたたみ鎖結晶を得ることができる。
【0106】
高圧結晶化したポリエチレンの折りたたみ鎖結晶が融解する温度、およびその温度での保持時間を変化させ、伸びきり鎖結晶と折りたたみ鎖結晶の所望の比および無定形含有量を得ることができる。
【0107】
照射により、高圧結晶化したポリエチレンが架橋し、耐摩耗性が得られる。照射は、室温またはポリエチレンの融点より低い温度で行うことができる。照射は、空気中、真空中、または不活性ガス、例えば窒素または希ガス、を包含する、酸素を含まない環境で行うことができる。照射は、電子線、ガンマ放射線、またはX線照射により行うことができる。
【0108】
イオン化放射線により引き起こされる残留フリーラジカルの有害な酸化性効果は、酸化防止剤、例えばα−トコフェロール、を、高圧結晶化した、部分的に融解した、架橋したポリエチレン中に拡散させることにより、低減する。酸化防止剤は、照射された材料の酸化を防止する。酸化防止剤によるポリエチレンのドーピングは、本明細書に記載するように行う。
【0109】
イオン化放射線により引き起こされる残留フリーラジカルの有害な酸化性効果は、重合体と、やはり酸化防止剤、例えばα−トコフェロール、である添加剤のブレンドを使用し、高圧結晶化および照射することにより、低減される。
【0110】
別の態様では、イオン化放射線により引き起こされる残留フリーラジカルを、機械的アニーリングにより除去するが、そこではポリエチレンを融点より低い温度(約150℃より低い温度)、好ましくは145℃、より好ましくは約140℃、に加熱し、機械的に変形させて残留フリーラジカルに移動度を与え、再結合させ、安定化させる。
【0111】
別の態様では、ポリエチレンを加熱して融解させることにより、イオン化放射線照射の際に発生した残留フリーラジカルを除去する。照射されたポリエチレンの融解は、照射に続く高圧結晶化の一部として使用する。
【0112】
高結晶性のポリエチレンは、未照射ポリエチレンの高圧結晶化、それに続く照射、および照射中に発生したフリーラジカルの排除を含んでなる方法により、達成される結晶化度の犠牲を最小に抑えながら、製造することができる。
【0113】
本発明の一態様により、ポリエチレンを約10〜1000MPaを超える(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、さらに好ましくは320MPaを超える圧力に加圧し、約180℃または約225℃に加熱し、この温度および圧力に保持し、室温に冷却し、圧力を常圧に下げ、室温で照射する。続いて、高圧結晶化したポリエチレンの耐酸化性を改良するために、下記の方法の一つを使用することができる。すなわち、a)高圧結晶化したポリエチレンを酸化防止剤、例えばビタミンE、でドーピングする、またはb)高圧結晶化したポリエチレンをその融点より低い温度で機械的変形させ、続いてその融点近くでアニーリングし、実質的にCIMA法のいずれかを適用する、およびc)融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、さらに好ましくは320MPaを超える圧力に加圧し、この温度および圧力に保持し、略室温に冷却し、圧力を常圧に下げる。
【0114】
高結晶性のポリエチレンを室温で照射することの潜在的な欠点は、架橋が主として起こる無定形相の濃度が低下する場合があり、結晶化度が増加したポリエチレンでは、照射により形成された架橋の濃度も低下する場合があることである。従って、ポリエチレンを、結晶性の重合体が約60%以下であり、無定形含有量が増加する高温で照射するのが好ましい。高圧結晶化したポリエチレンは、2つの融解ピークを示し、一方は約137℃にあり、他方は約140℃より高い。第二のピークは、高圧結晶化の際に形成され、伸びきり鎖結晶(大きい方)を代表する。本発明の一態様では、下記の手順を採用する。すなわち、140℃より低い温度に加熱して小さな結晶を融解させ、小さな結晶を含む領域を架橋させ、この温度で照射(温照射(WI))し、次いで下記の方法の一つを使用し、高圧結晶化したポリエチレンの耐酸化性を改良する。
a)高圧結晶化したポリエチレンを酸化防止剤、例えばビタミンE、でドーピングする、
b)高圧結晶化したポリエチレンをその融点より低い温度で機械的変形させ、続いてその融点近くでアニーリングし、実質的にCIMA法の一つを適用する、および
c)融点より高い温度に加熱することにより融解させ、次いで少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、さらに好ましくは320MPaを超える圧力に加圧し、圧力および温度をほぼ一定に保持し、略室温に冷却し、圧力を常圧に下げる。この方法の融解工程は結晶を排除するので、この方法に続いて高圧結晶化を行い、高レベルの結晶化度を達成する。
【0115】
本発明の一態様では、高圧結晶化したポリエチレンのドーピングは、酸化防止剤、例えばα−トコフェロール、例えばビタミンE、を拡散させることにより、行うことができる。本発明の一態様では、温度および/または圧力を増加することにより、酸化防止剤の拡散を促進する。
【0116】
本発明の別の態様では、純粋な形態、例えば純粋なビタミンEとして、または溶剤中に溶解させた形態を包含する様々な形態で酸化防止剤を送達する。
【0117】
本発明の別の態様では、酸化防止剤溶液、例えばビタミンE溶液、の濃度を増加することにより、ポリエチレン中への酸化防止剤の拡散速度を増加する。
【0118】
本発明の別の態様では、高圧結晶化したポリエチレンを、超臨界流体、例えば超臨界CO2、すなわち温度が超臨界温度、31.3℃より高く、圧力が超臨界圧力、73.8バールより高い流体中で膨潤させることにより、ポリエチレン中への酸化防止剤の拡散速度を増加する。
【0119】
一般的に、例えば酸化防止剤としてビタミンEの場合、樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物をビタミンEと混合し、固化させた後、高分子材料の色が黄色に変化する。本発明の一態様では、固化に続いてドーピングすることにより、ビタミンEが固化の高い温度および圧力にさらされず、高分子材料の変色が阻止される。
【0120】
固化した状態でドーピングすることにより、固化した高分子材料中に酸化防止剤の勾配を達成することができる。医療用装置中の高分子材料の酸化が摩耗の観点で問題となる表面層の特定の厚さをドーピングすることができる。これは、完成した装置、例えば完成した医療用充填材、を、純粋なビタミンEまたはビタミンEの溶液中に、特定の温度で特定時間、単純に浸漬するか、または浸すことにより、達成できる。
【0121】
本明細書に記載する方法により、酸化防止剤、例えばビタミンE、を高圧結晶化した高分子材料中に、照射の前、最中、または後にドーピングすることができる。
【0122】
ドーピングした酸化防止剤が、医療用充填材または医療用装置の製造に使用した高分子材料から、使用前の貯蔵中または生体内使用中に浸出することは可能である。永久的医療用装置には、生体内の持続時間は、患者の余命までになることがあり、これは装置の植え込みから患者の死亡までの長さ、例えば1〜120年である。酸化防止剤の浸出が問題になる場合、医療用充填材または医療用装置の照射もしくはそれらのいずれかの部分の照射は、酸化防止剤をドーピングした後に行うことができる。これによって、酸化防止剤を宿主重合体に共有結合により架橋させ、医療用充填材または装置からの酸化防止剤の損失を確実に最小に抑えることができる。
【0123】
本発明の別の態様では、酸化防止剤をドーピングした高分子材料または酸化防止剤ドーピングした医療用充填材を、包装および滅菌処理の前に、工業用洗浄機中で洗剤で洗浄することができる。工業用洗浄機、例えば洗浄機/乾燥機、例えばHAMO T-21または洗浄機/消毒薬/乾燥機、例えばHAMO M-100(HAMO AG, Pieterlen, スイス製)を使用できる。
【0124】
本発明の別の態様では、酸化防止剤をドーピングした高分子材料または酸化防止剤ドーピングした医療用充填材を、包装および滅菌処理の前に、溶剤、例えばエタノール、中に浸漬することができる。酸化防止剤が溶解する溶剤を選択し、洗浄環境が、高分子材料から酸化防止剤を除去するための伝導性環境を与えることができる。これによって、酸化防止剤をドーピングした高分子材料から酸化防止剤が浸出する可能性が小さくなる。溶剤は、室温でも高温でも、常圧下でも高圧下でも、静止していても攪拌されていてもよい。酸化防止剤をドーピングした高分子材料または医療用充填材が溶剤と接触する時間は、約1時間から、少なくともドーピングが行われた時間まででよく、好ましくは16時間未満である。
【0125】
本発明の別の態様では、高分子材料、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物を酸化防止剤と混合し、次いでその混合物を固化させる。固化した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料(ブレンド)を、機械加工し、医療用充填材中の部品として、または医療用装置として使用することができる。
【0126】
本発明の別の態様により、高圧結晶化した高分子材料、例えば高圧結晶化した樹脂粉末、成形シート、ブロー成形シート、チューブ、バルーン、フレーク、粒子、またはそれらの混合物を、酸化防止剤、例えばα−トコフェロールの形態にあるビタミンE、で、拡散によりドーピングすることができる。高圧結晶化した高分子材料、例えば高圧結晶化したUHMWPE、を、100%ビタミンEまたはα−トコフェロールをアルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノール、に入れた溶液中に浸漬することができる。α−トコフェロールの約50重量%エタノール溶液を使用し、超臨界流体、例えばCO2、と接触させたUHMWPE中に拡散させることができる。
【0127】
本発明は、高度に架橋したポリエチレンから製造され、金属片を含む医療用装置、例えば二極人工股関節、補強金属およびポリエチレンポストを備えた頸骨膝挿入物、椎間板系、およびガス滅菌法により容易に滅菌できない表面を含むすべての充填材を製造するための下記の処理工程にも関する。
【0128】
本発明の一態様により、医療用充填材の高圧結晶化したポリエチレン成分が別の材料(モジュール式の充填材ではない)、例えば金属製メッシュまたはバック、非金属製メッシュまたはバック、頸骨トレー、膝蓋骨トレー、または寛骨臼シェル、と緊密に接触し、その際、ポリエチレン、例えば樹脂粉末、フレークおよび粒子をこれらの対向面に直接圧縮成形する。例えば、ポリエチレン頸骨挿入物をポリエチレン樹脂粉末を頸骨トレーに、金属製メッシュまたはバックに、もしくは非金属製メッシュまたはバックに圧縮成形することにより製造する。後者の場合、メッシュは、成長骨(bony in-growth)を通して、または接着剤、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)骨セメントの使用により、骨との固定界面として役立つように成形する。これらの形状は、寛骨臼ライナー、全またはユニコンパートメント膝充填材用の頸骨トレー、膝蓋骨トレー、および関節窩成分、踝、肘、または指成分を包含する様々な形態を有する。本発明の別の態様は、成形されたポリエチレンと、充填材の一部を形成する他の断片、例えば金属または非金属片、との機械的な噛み合わせに関する。その場合、金属片を含む固化したポリエチレンを高圧結晶化(HPC)させ、高結晶性のポリエチレンを達成する。HPCは、非モジュール式充填材を先ず加熱または加圧することにより行う。
【0129】
界面の幾何学的構造は、ポリエチレンがその固化した形状で、その幾何学的構造を取るので、極めて重要である。ポリエチレンは、高密度の物理的絡み合いを生じる非常に高い分子量を有するために、「形状記憶」の顕著な特性を有する。固化に続いて、塑性変形が、融解した時に好ましい高エントロピー形状を達成する永久的形状変化を導入する。この、本来の固化した形状の回復は、ポリエチレンを固化させた時に達成される「形状記憶」によるものである。この形状記憶のために、機械的噛み合わせは、非モジュール式充填材の高圧結晶化の最中および後にも無傷のまま残る。
【0130】
本発明の別の態様は、対向面に機械的噛み合わせにより成形されたポリエチレンの高圧結晶化に続いて、そのハイブリッド成分をイオン化放射線を使用して所望の線量レベル、例えば約25kGy〜約1000kGy、好ましくは約50kGy〜約150kGy、に照射する。本発明の別の態様は、照射工程が残留フリーラジカルを発生させるので、その後に融解工程を導入し、残留フリーラジカルを消滅させてから、別の高圧結晶化工程を行うことを開示する。ポリエチレンを最初に界面の形状に固化させ、それによって、重合体の「形状記憶」を設定するので、ポリエチレンは、融解およびその後の高圧結晶化工程の際に、対向面から分離しない。
【0131】
本発明の別の態様では、ポリエチレンを架橋させ、ポリエチレンを基材とする医療用装置を製造する方法であって、装置を耐酸化性媒体、例えば不活性ガスまたは不活性流体、中に浸漬し、媒体を、照射された、高結晶性のポリエチレン、例えば高圧結晶化したUHMWPE、の融点より高い温度(約140℃を超える)に加熱し、結晶性物質を排除し、再結合/残留フリーラジカルを達成する、方法を提供する。圧縮成形された重合体の形状記憶が機械的に噛み合わされた界面で設定され、その記憶は架橋工程により強化されるので、ポリエチレンと対向面との間の界面に重大な分離は起こらない。
【0132】
本発明の別の態様は、上記のフリーラジカル排除工程に続いて、照射の際に高い照射線量レベルにより、金属と重合体との間の界面が無菌になることを提供する。HPC−ポリエチレンの外側表面上に、フリーラジカル排除工程または照射工程の際に誘発されるかなりの酸化がある場合、装置の表面をさらに機械加工し、酸化された表面層を除去することができる。本発明の別の態様では、充填材の融解後の機械加工を行う場合、融解工程を不活性ガスの存在下で行うことができる。
【0133】
本発明の別の態様は、界面は無菌であるが、残りの部分が無菌ではない場合、装置をエチレンオキシド、ガスプラズマ、または他のガスでさらに滅菌する、製作された装置の滅菌処理方法を包含する。
【0134】
UHMWPEと添加剤のブレンドから製造された完成製品の照射と、それに続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を照射し、次いで高圧結晶化する。すなわち、高分子材料、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物、を添加剤、例えば酸化防止剤、好ましくはビタミンE(好ましくは約10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは0.3%未満、さらに好ましくは0.1%未満のビタミンE)と混合/ブレンドし、次いで
a.ブレンドを固化させ、好ましくは固化させたブレンドをアニーリングし、熱的応力を除去する工程を加えること、および
b.ブレンドを機械加工し、完成製品を形成すること、または
c.ブレンドを直接圧縮成形し、完成製品を形成すること
により、物品または医療用装置を形成する。
【0135】
完成製品は、少なくとも1kGy、好ましくは約25kGy〜約1000kGy以上、より好ましくは約25、50、75、100、125、150、175、または200kGyの線量に、ガンマ線、e−線、またはX線により照射する。
【0136】
照射された完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0137】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0138】
UHMWPEと添加剤のブレンドから製造された完成製品の照射と、それに続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を照射し、次いで高圧結晶化する。すなわち、高分子材料、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物、を添加剤、例えば酸化防止剤、好ましくはビタミンE(好ましくは約10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは0.3%未満、さらに好ましくは0.1%未満のビタミンE)と混合/ブレンドし、次いで
a.高分子材料を拡散により酸化防止剤でドーピングすること、および
b.ブレンドを機械加工し、完成製品を形成すること、または
c.ブレンドを直接圧縮成形し、完成製品を形成すること
により、物品または医療用装置を形成する。
【0139】
完成製品は、少なくとも1kGy、好ましくは約25kGy〜約1000kGy以上、より好ましくは約25、50、75、100、125、150、175、または200kGyの線量に、ガンマ線、e−線、またはX線により照射する。
【0140】
照射された完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0141】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0142】
UHMWPEと添加剤のブレンドから製造された完成製品の照射と、それに続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を照射し、次いで高圧結晶化する。すなわち、高分子材料、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物、を添加剤、例えば酸化防止剤、好ましくはビタミンE(好ましくは約10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは0.3%未満、さらに好ましくは0.1%未満のビタミンE)と混合/ブレンドし、次いで
a.ブレンドを機械加工し、完成製品を形成すること、または
b.ブレンドを直接圧縮成形し、完成製品を形成すること、および
c.高分子材料を拡散により酸化防止剤でドーピングすること
により、物品または医療用装置を形成する。
【0143】
完成製品は、少なくとも1kGy、好ましくは約25kGy〜約1000kGy以上、より好ましくは約25、50、75、100、125、150、175、または200kGyの線量に、ガンマ線、e−線、またはX線により照射する。
【0144】
照射された完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0145】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0146】
完成製品の照射、融解、および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を照射し、融解させ、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0147】
高分子材料を照射し、融解させ、機械加工して完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を形成する。
【0148】
完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0149】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0150】
完成製品の照射および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を照射し、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0151】
高分子材料を照射し、機械加工して完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を形成する。
【0152】
完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0153】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0154】
完成製品の温照射、融解、および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を温照射し、融解させ、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0155】
高分子材料を、室温より高い温度、例えば約80℃を超え、高分子材料の融点より低い温度で温照射する。温照射した高分子材料を融解させ、機械加工して完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を形成する。
【0156】
完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0157】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0158】
完成製品の温照射および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を温照射し、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0159】
高分子材料を、室温より高い温度、例えば約80℃を超え、高分子材料の融点より低い温度で温照射し、機械加工して完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を形成する。
【0160】
完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0161】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0162】
完成製品の低温照射および機械的アニーリング(CIMA)および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、をCIMA法により照射し、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0163】
高分子材料を、高温、例えば90℃を超え、140℃より低い温度で照射し、機械的に変形させ、加圧下で室温に冷却するまで変形させ、室温より高い温度、例えば90℃を超え、140℃より低い温度でアニーリングして変形した状態を回復させ、機械加工して完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を形成する。
【0164】
完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0165】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
定義
【0166】
「高圧結晶化された」(HPC)とは、本発明により、本明細書に記載する高圧結晶化過程を受けた高分子材料の状態を意味する。
【0167】
「高圧結晶化」とは、本発明により、本明細書に記載する、高圧結晶化されたポリエチレンを製造する方法を意味する。
【0168】
「高結晶性の」または「高結晶化度」とは、材料の結晶化度が少なくとも約51%である状態を意味する。
【0169】
「酸化防止剤」とは、この分野で公知の内容を意味する(例えば、国際特許第WO01/80778号、米国特許第6,448,315号参照)。アルファ−およびデルタ−トコフェロール、プロピル、オクチル、またはドデシルガレート、乳酸、クエン酸、および酒石酸およびそれらの塩、オルトホスフェート、トコフェロールアセテート。好ましくはビタミンEである。
【0170】
「超臨界流体」とは、この分野で公知の、例えば超臨界プロパン、アセチレン、二酸化炭素(CO2)を意味する。これに関して、臨界温度とは、それを超えると、ガスが圧力だけでは液化できない温度である。臨界温度において、ある圧力未満で、ある物質がその液体と平衡状態にあるガスとして存在し得る場合、その圧力が臨界圧である。超臨界流体状態は、一般的に流体が、超臨界流体およびそれによって、超臨界流体混合物が得られるような温度および圧力にさらされることを意味し、その温度は超臨界温度を超え、超臨界温度は、CO2では31.3℃であり、その圧力は超臨界圧を超え、超臨界圧は、CO2では73.8バールである。より詳しくは、超臨界条件とは、例えばUHMWPEと酸化防止剤の混合物の、高い温度および圧力で、超臨界流体混合物が形成され、次いで、その混合物からCO2が蒸発し、酸化防止剤でドーピングされたUHMWPEが得られる条件である(例えば、米国特許第6,448,315号および国際特許第WO02/26464号、参照)。
【0171】
本明細書で使用する用語「圧縮成形」とは、一般的にはこの分野で公知の内容に関し、特に高分子材料を高温成形することに関連し、粉末形態を包含するすべての物理的状態にある高分子材料がスラブ形態または医療用充填材、例えば頸骨挿入物、寛骨臼ライナー、関節窩ライナー、膝蓋骨、またはユニコンパートメント挿入物、の型の中に圧縮される。
【0172】
本明細書で使用する用語「直接圧縮成形」とは、一般的にはこの分野で公知の内容に関し、特にポリエチレンを基材とする装置、例えば医療用充填材、に適用できる成形に関連し、そこでは粉末形態を包含するすべての物理的状態にあるポリエチレンが、非中空の支持体、例えば金属製バック、金属製メッシュ、または溝、刻み目または切り取り部を含む金属表面に押し付けられる。圧縮成形は、ポリエチレンを、樹脂粉末、フレークおよび粒子を包含する様々な状態で、対向面に高温圧縮成形し、医療用充填材、例えば頸骨挿入物、寛骨臼ライナー、関節窩ライナー、膝蓋骨、またはユニコンパートメント挿入物、を形成することも包含する。
【0173】
用語「機械的に噛み合わされた」とは、一般的にはポリエチレンと対向面の噛み合わせを意味し、これは、圧縮成形、熱および照射、を包含する様々な方法で行われ、それによって、噛み合う界面を形成し、噛み合わされたポリエチレンを「形状記憶」させる。そのような噛み合わせ界面を有する装置の成分は、「ハイブリッド材料」と呼ぶことができる。そのようなハイブリッド材料を有する医療用充填材は、実質的に無菌の界面を含む。
【0174】
用語「実質的に無菌」とは、物体、例えば界面またはハイブリッド材料または界面を含む医療用充填材、の、その界面が、医療用に受け入れるのに十分に無菌である、すなわち感染を引き起こさないか、または修正手術を必要としない、状態を意味する。
【0175】
「金属製メッシュ」とは、様々な細孔径、例えば0.1〜3mm、の多孔質金属表面を意味する。多孔質表面は、幾つかの異なった方法により得られ、例えば金属粉末を結合剤と共に焼結させ、この結合剤を続いて除去し、後に多孔質表面を残すか、直径0.1〜3mmの短い金属繊維を焼結させるか、または異なったサイズの金属製メッシュを重ね合わせ、連続開気孔構造を得る。
【0176】
「骨セメント」とは、この分野で公知の、医療用装置を骨に結合させるのに使用する接着剤を意味する。典型的には、骨セメントは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)から製造される。
【0177】
「高温圧縮成形」とは、あらゆる形態、例えば樹脂粉末、フレークまたは粒子、にあるポリエチレンを、圧力および温度をかけて圧縮成形し、新しい幾何学的構造を与えることを意味する。高温(ポリエチレンの融点より高い)圧縮成形の際、ポリエチレンをその融点より高い温度に加熱し、所望の形状を有する型の中に押し込み、加圧下で冷却させ、所望の形状を維持する。
【0178】
「形状記憶」とは、この分野で公知のように、ポリエチレン、例えばUHMWPE、の、融解した時に好ましい高エントロピー形状を取る特性を意味する。好ましい高エントロピー形状は、樹脂粉末を、圧縮成形を通して固化させた時に達成される。
【0179】
「検出可能な残留フリーラジカルが実質的に無い」とは、ポリエチレン成分の、十分なフリーラジカルを排除し、酸化性劣化を避ける状態を意味し、これは電子スピン共鳴(ESR)により評価できる。「検出可能な残留フリーラジカル」とは、ESRにより検出可能なフリーラジカルの最も低いレベルを意味する。現状技術水準の計器で検出可能なフリーラジカルの最も低いレベルは、約1014スピン/グラムであり、従って、用語「検出可能な」とは、ESRによる1014スピン/グラムの検出限界を意味する。
【0180】
数値および範囲における用語「約」または「およそ」は、本発明を意図した通りに実行できるように、例えば本明細書に含まれる開示から当業者には明らかなように、所望の程度の結晶化度または架橋を有する、および/またはフリーラジカルが所望の程度に少なくなるように、記載する値または範囲に近似するか、または近い値または範囲を意味する。これは、少なくとも部分的に、重合体組成物の特性が様々なであることに起因する。従って、これらの用語は、系統的な誤差から生じる値を超える値を包含する。
【0181】
高分子材料 超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)とは、分子量が約500,000を超える、好ましくは約1,000,000を超える、より好ましくは約2,000,000を超える、直鎖状の、分岐していないエチレン鎖を意味する。初期平均分子量とは、あらゆる照射前の、UHMWPE出発材料の平均分子量を意味する(米国特許第5,879,400号、PCT/US99/16070/号、1999年7月16日提出、PCT/US97/02220/号、1997年2月11日提出、および公開米国特許第2003049125号(米国特許出願第10/252,582号)、2002年9月24日提出、参照)。
【0182】
本発明の製品および方法は、様々な種類の高分子材料、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、またはそれらの混合物を包含するすべてのポリオレフィン、にも適用される。高分子材料は、本明細書で使用するように、様々な形態のポリエチレン、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、粉末、またはそれらの混合物、もしくは上記のいずれかに由来する固化した形態、にも適用される。
【0183】
用語「添加剤」とは、ベース重合体に50v/v%未満で加えることができるすべての材料を意味する。この材料は、ベース重合体の分子量より低い分子量を有する、有機または無機材料でよい。添加剤は、高分子材料に異なった特性を与えることができ、例えば、添加剤は、可塑剤、核形成剤、または酸化防止剤でよい。
【0184】
「ブレンドする」とは、一般的に、ポリオレフィンをその固化前の形態で添加剤と混合することを意味する。両方の構成成分が固体である場合、ブレンドは、第三の成分、例えば液体、を使用して行い、2成分の混合を仲介し、その後、その液体を蒸発により除去することができる。添加剤が液体、例えばα−トコフェロール、である場合、固体を大量の液体と混合し、次いで固体の重合体を使用して所望の濃度に希釈し、均質なブレンドを得ることができる。添加剤が酸化防止剤、例えばビタミンE、またはα−トコフェロール、でもある場合、ブレンドされた重合体は、酸化防止剤でドーピングもされている。高分子材料は、本明細書で使用するように、ポリオレフィンと可塑剤のブレンド、例えばUHMWPE樹脂粉末をα−トコフェロールとブレンドし、固化させたものにも適用される。高分子材料は、本明細書で使用するように、添加剤、ポリオレフィンおよび可塑剤のブレンド、例えばα−トコフェロール中に浸漬したUHMWPE、にも適用される。
【0185】
「可塑剤」とは、この分野で公知の、ベース重合体の分子量より低い分子量を有する材料、例えばポリエチレン中のα−トコフェロールまたはポリエチレン中の低分子量ポリブタジエン、を意味し、どちらの場合も、ポリエチレンがベース重合体である。可塑剤は、典型的にはベース重合体に20重量%未満で添加される。可塑剤は、たわみ性を増加し、高分子材料を軟化させる。
【0186】
用語「可塑化」または「可塑化する」とは、可塑剤が、それを加えた高分子材料に付与する特性を意味する。これらの特性には、破断伸度の増加、剛性低下、および延性増加があるが、これらに限定するものではない。
【0187】
「核形成剤」とは、この分野で公知の、高分子材料中の結晶化度を増加する、ベース重合体の分子量より低い分子量を有する有機または無機材料を意味する。典型的には、有機カルボン酸塩、例えば炭酸カルシウム、がポリオレフィンに対する良好な核形成剤である。核形成剤は、典型的には低濃度、例えば0.5重量%、で使用される。
【0188】
ドーピング ドーピングとは、この分野で良く知られている過程である(例えば米国特許第6,448,315号および第5,827,904号参照)。これに関して、ドーピングは、一般的に、本明細書で記載するように、高分子材料を酸化防止剤と特定の条件下で接触させることを意味し、例えばUHMWPEを、超臨界条件下で酸化防止剤でドーピングする。「ドーピング」は、ベース高分子材料中に第二の成分を50v/v%未満の量で導入することも意味する。より詳しくは、ドーピングとは、高分子材料中に酸化防止剤を、最も多くは周囲の媒体から高分子材料中に酸化防止剤の拡散により、導入することを意味する。そのように処理された高分子材料は、「酸化防止剤でドーピングされた」高分子材料と呼ばれる。しかし、酸化防止剤を高分子材料中にドーピングする方法は、拡散方法に限定されない。高分子材料は、他の添加剤、例えば可塑剤、によっても「ドーピング」することができ、この場合、そのように処理された高分子材料は、「可塑剤でドーピングされた」と呼ばれる。
【0189】
より詳しくは、例えばHPC高分子材料は、その材料を酸化防止剤溶液中に浸漬することにより、酸化防止剤でドーピングすることができる。これによって、酸化防止剤を重合体中に拡散させることができる。例えば、材料を100%酸化防止剤中に浸漬することができる。材料を酸化防止剤溶液中に浸漬することもでき、その際、キャリヤー溶剤は、酸化防止剤濃度の希釈に使用できる。酸化防止剤の拡散深度を増加させるために、材料をより長い時間、より高い温度で、より高い圧力で、および/または超臨界流体の存在下で浸漬することができる。
【0190】
ドーピング工程では、高分子材料、医療用充填材または装置に、酸化防止剤、例えばビタミンE、を、約1時間〜数日間、好ましくは約1時間〜24時間、より好ましくは1時間〜16時間しみ込ませることができる。酸化防止剤を室温に、または約160℃まで加熱することができ、ドーピングを室温で、または約160℃までで行うことができる。好ましくは、酸化防止剤を100℃に加熱し、ドーピングを100℃で行う。
【0191】
ベース高分子材料中の酸化防止剤の均質性をさらに高めるために、ドーピングされた高分子材料を融点より低いか、または高い温度でアニーリングする。アニーリングは、好ましくは約1時間〜数日間、より好ましくは約1時間〜24時間、最も好ましくは1時間〜16時間行う。ドーピングされた高分子材料は、室温に、または約160℃まで加熱することができ、アニーリングを室温で、または約160℃までで行うことができる。好ましくは、ドーピングされた高分子材料を100℃に加熱し、アニーリングを100℃で行う。
【0192】
用語「従来のUHMWPE」とは、市販の、分子量が約500,000を超えるポリエチレンを意味する。好ましくは、UHMWPE出発材料は、平均分子量が約2百万を超える。
【0193】
「初期平均分子量」とは、あらゆる照射前の、UHMWPE出発材料の平均分子量を意味する。
【0194】
架橋性ポリエチレン高分子材料 高分子材料、例えばUHMWPE、は、架橋薬品(例えば過酸化物および/またはシラン)および/または照射を使用する方法を包含する、様々な手法により架橋させることができる。架橋させるための好ましい手法は、照射を使用する。架橋したUHMWPEは、ここにその全文を参考として含める、米国特許第5,879,400号、PCT/US99/16070号、1999年7月16日提出、PCT/US97/02220/号、1997年2月11日提出、公開米国特許第2003049125号(米国特許出願第10/252,582号)、2002年9月24日提出、および米国特許第6,641,617号の開示により得ることができる。
【0195】
固化した高分子材料 固化した高分子材料とは、固体の、固化した棒状原料、原料から機械加工した固体材料、または本明細書に記載する、固化させることができるすべての形態、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物、に由来する高分子材料半固体形態を意味する。固化した高分子材料は、スラブ、ブロック、固体の棒状原料、機械加工した部品、フィルム、チューブ、バルーン、プリフォーム、充填材、または完成した医療用装置の形態でもよい。
【0196】
「結晶化度」とは、重合体の、結晶性である画分を意味する。結晶化度は、試料の重量(グラムで表示した重量)、融解中に試料によって吸収された熱(E、J/gで表示)、および性結晶の融解熱(ΔH=291J/g)を知ることにより、下記の式により計算される。
結晶化度%=E/w・ΔH
【0197】
引張「弾性率」は、標準的な試験ASTM638MIII、等またはそれらの後継版を使用して求められる、公称応力と対応するひずみの比を意味する。
【0198】
用語「非永久的装置」は、この分野で公知の、数ヶ月より短い期間体内に植え込むための装置を意味する。非永久的装置の中には、体内に数秒間〜数分間存在するものもあれば数日、数週間、または数ヶ月まで植え込むことができるものもある。非永久的装置としては、例えばカテーテル、チューブ、静脈内チューブ、および縫合がある。
【0199】
「永久的装置」とは、この分野で公知の、数ヶ月より長い期間体内に埋め込むことを意図する装置である。永久的装置としては、医療用装置、例えば寛骨臼ライナー、肩関節窩、膝蓋骨成分、指関節成分、踝関節成分、肘関節成分、手首関節成分、足指関節成分、二極人工股関節、頸骨膝挿入物、補強金属およびポリエチレンポストを備えた頸骨膝挿入物、椎間板、縫合、腱、心臓弁、ステント、血管移植片、がある。
【0200】
「薬学的化合物」とvは、本明細書で使用するように、粉末、懸濁液、エマルション、粒子、フィルム、ケーキ、または成形された形態にある薬物を意味する。薬物は、独立していても、医療用装置の成分として取り入れることもできる。
【0201】
用語「圧力チャンバー」とは、内部圧力を大気圧より高いレベルに上昇できる容器またはチャンバーを意味する。
【0202】
用語「包装物」とは、医療用装置を中に入れて包装および/または輸送する容器を意味する。包装物としては、バッグ、PTP包装、熱収縮包装物、箱、アンプル、ビン、チューブ、トレー、等またはそれらの組合せを挙げることができる。単一の成分を幾つかの個別の種類の包装物で輸送することができ、例えば成分をバッグに入れ、それをトレーに載せ、それを箱に入れることができる。その組立構造全体を滅菌し、輸送することができる。包装物材料としては、植物性羊皮紙、多層ポリエチレン、ナイロン6、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびエチレン−酢酸ビニル(EVA)共重合体があるが、これらに限定するものではない。
【0203】
用語「熱収縮性包装物」とは、内部に高度の配向を有するプラスチックフィルム、バッグ、またはチューブを意味する。熱を作用させることにより、配向した鎖が後退するにつれて包装物が収縮し、医療用装置の周囲を緊密に包み込むことが多い。
【0204】
「メルト転移温度」とは、材料中のすべての結晶性領域が消失する、最低温度を意味する。
【0205】
「融点」は、示差走査熱量測定により、加熱速度毎分10℃で、20℃から220℃まで加熱した時に測定されるピーク融解温度を意味する。
【0206】
ポリエチレンと緊密に接触する、工場で組み立てた部品を含む医療用充填材は界面を形成する。ほとんどの場合、これらの界面には、ガス滅菌の際、EtOガスまたはGPが容易に到達できない。
【0207】
照射 本発明の一態様では、好ましくはイオン化する種類の放射線を使用する。本発明の別の態様により、使用するイオン化放射線の線量は約25kGy〜約1000kGyである。放射線量は、約50kGy、約65kGy、約75kGy、約100kGy、約200kGy、約300kGy、約400kGy、約500kGy、約600kGy、約700kGy、約800kGy、約900kGy、あるいは約1000kGy、または約1000kGyを超える、もしくはそれらの近くまたは間のすべての整数もしくは分数でよい。好ましくは、放射線量は、約50kGy〜約200kGyでよい。X線、ガンマ線、および/または電子線を包含するこれらの種類の放射線が、細菌、ウイルス、または他の、界面を含む医療用充填材を汚染する可能性がある微生物剤を殺すか、または不活性化させ、製品の無菌性を達成する。本発明により電子線またはガンマ線でよい照射は、酸素を含む空気雰囲気中で行うことができ、その際、雰囲気中の酸素濃度は少なくとも1%、2%、4%、または約22%まで、もしくはそれらの近くまたは間のすべての整数である。別の態様では、照射を不活性雰囲気中で行うことができ、その際、雰囲気は、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、等、またはそれらの組合せからなる群から選択されたガスを含む。照射は、真空中で行うこともできる。
【0208】
本発明の好ましい態様では、照射は、増感性雰囲気中で行うことができる。この雰囲気は、重合体中に拡散するのに十分に小さい分子サイズを有し、照射により、多官能性グラフト化部分として作用する気体状物質を含んでなることができる。例としては、置換された、または置換されていない、ポリ不飽和炭化水素、例えばアセチレン系炭化水素、例えばアセチレン、共役または非共役オレフィン系炭化水素、例えばブタジエンおよび(メタ)アクリレートモノマー、一塩化硫黄があり、クロロ−トリ−フルオロエチレン(CTFE)またはアセチレンが特に好ましい。「気体状」とは、本明細書では、増感性雰囲気が、照射温度で、その臨界温度より上または下で、気相にあることを意味する。
【0209】
金属断片 本発明では、高分子材料と界面を形成する断片は、例えば金属である。本発明により、ポリエチレンと機能的な関係にある金属断片は、例えばコバルトクロム合金、ステンレス鋼、チタン、チタン合金またはニッケルコバルト合金から製造することができる。様々な種類の金属は、米国特許第60/424,709号、2002年11月8日提出、(PCT/US03/18053、2003年6月10日提出、WO2004000159号)にも記載されている。
【0210】
非金属断片 本発明では、高分子材料と界面を形成する断片は、例えば非金属である。本発明により、ポリエチレンと機能的な関係にある非金属断片は、例えばセラミック材料から製造することができる。
【0211】
界面 本発明における用語「界面」は、充填材が、ある成分が別の断片(例えば金属または非金属成分)と接触する配置にある時に形成される、医療用装置中のニッシェとして定義され、これが重合体と金属または別の高分子材料との間の界面を形成する。例えば、重合体−重合体または重合体−金属の界面は、医療用補欠物、例えば整形外科学的関節および骨置換部品、例えば股、膝、肘または踝置換物、中にある。様々な金属/非金属種類および界面が、ここにその全文を参考として含める米国特許第60/424,709号、2002年11月8日提出、(PCT/US03/18053、2003年6月10日提出、WO2004000159号)にも記載されている。
【0212】
不活性雰囲気 用語「不活性雰囲気」とは、酸素含有量が1%以下である環境、より好ましくは滅菌処理の際に、高分子材料中のフリーラジカルに酸素無しに架橋を形成させる酸化体が存在しない条件、を意味する。不活性雰囲気は、高分子材料、例えばUHMWPE、を含んでなる医療用装置を酸化する恐れがあるO2を避けるために使用する。不活性雰囲気条件、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、またはネオン、は、イオン化放射線により高分子医療用充填材を滅菌処理するのに使用される。
【0213】
不活性雰囲気条件、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、または真空は、イオン化放射線により医療用充填材中の重合体−金属および/または重合体−重合体の界面を滅菌処理することにも使用される。
【0214】
不活性雰囲気条件は、不活性ガス、不活性流体、または不活性液体媒体、例えば窒素ガスまたはシリコーン油、も意味する。
【0215】
「無酸素環境」は、酸素含有量が21%〜22%未満、好ましくは酸素含有量が2%未満の、ガス、例えば窒素、を含む環境を意味する。無酸素環境中の酸素濃度は、少なくとも1%、2%、4%、6%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、または約22%まで、あるいはそれらに近いまたはそれらの間のすべての整数もしくは分数でもよい。
【0216】
真空 用語「真空」とは、滅菌処理の際に高分子材料中のフリーラジカルに架橋を形成させる恐れがある、感知できる量のガスを含まない環境を意味する。真空は、高分子材料、例えばUHMWPE、を含んでなる医療用装置を酸化する恐れがあるO2を避けるために使用する。真空条件は、イオン化放射線により高分子医療用充填材を滅菌処理するのに使用される。
【0217】
真空条件は、市販の真空ポンプを使用して造り出すことができる。真空条件は、イオン化放射線により医療用充填材中の重合体−金属および/または重合体−重合体の界面を滅菌処理する時にも使用される。
【0218】
残留フリーラジカル 「残留フリーラジカル」とは、重合体をイオン化放射線、例えばガンマ線またはe線照射、に露出した時に発生するフリーラジカルを意味する。フリーラジカルの中には、互いに再結合して架橋を形成するものもあれば、結晶性領域中に捕獲されるものもある。捕獲されたフリーラジカルは、残留フリーラジカルと呼ばれる。
【0219】
本発明の一態様では、重合体中の、イオン化放射線(例えばガンマ線または電子線)照射の際に発生した残留フリーラジカルのレベルは、電子スピン共鳴を使用して測定し、適切に処理し、再結合によりフリーラジカルを減少させる。
【0220】
滅菌 本発明の一態様は、高分子材料、例えば架橋したUHMWPE、を含む医療用充填材の滅菌方法を開示する。本方法は、ガンマ線または電子線放射で、例えば線量レベル約25〜70kGy、でイオン化滅菌することにより、あるいはエチレンオキシドまたはガスプラズマでガス滅菌することにより、医療用充填材を滅菌することを含んでなる。
【0221】
本発明の別の態様は、高分子材料、例えば架橋したUHMWPE、を含む医療用充填材の滅菌方法を開示する。本方法は、ガンマ線または電子線放射で、例えば線量レベル約25〜200kGy、でイオン化滅菌することにより、医療用充填材を滅菌することを含んでなる。この滅菌の線量レベルは、照射に使用する標準的なレベルよりも高い。これは、滅菌の際に医療用充填材を架橋させるか、またはさらに架橋させるためである。
【0222】
用語「アルファ転移」とは、転移温度を意味し、通常は約90〜95℃であるが、ポリエチレン中に溶解する増感性環境の存在下では、アルファ転移を下げることができる。アルファ転移は、結晶相中に運動を誘発すると考えられ(「アルファ転移温度」の説明は、N.G. McCrum, B.E. Read and G. WilliamsによるAnelastic and Dielectric Effects in Polymeric Solids, 141-143頁、J. Wiley and Sons, N.Y., N.Y., 1967出版、に記載されている)、この運動が、増感性環境をこの相中への拡散を増加させる、および/または捕獲されたフリーラジカルを解放すると仮定されている。アルファ転移より高い温度に加熱することにより、添加剤、例えば可塑剤または酸化防止剤、のベース重合体中への拡散も増加する。
【0223】
用語「臨界温度」とは、ポリエチレンのアルファ転移に対応する。用語「融点より低い」または用語「溶融状態よりも低い」は、ポリエチレン、例えばUHMWPE、の融点より低い温度を意味する。用語「融点より低い」または用語「溶融状態よりも低い」とは、155℃より低い温度を意味し、これはポリエチレンの融点によって異なる。用語「融点より高い」または用語「溶融状態よりも高い」は、ポリエチレン、例えばUHMWPE、の融点より高い温度を意味する。用語「融点より高い」または用語「溶融状態よりも高い」とは、145℃を超える温度を意味し、これはポリエチレンの融点によって異なる。ポリエチレンの融点は、例えば155℃、145℃、140℃または135℃でよく、やはり処理しているポリエチレンの特性、例えば伸びきり鎖結晶、結晶化度、分子量の平均および範囲、バッチ変動、等によって異なる。例えば、高分子材料の、高圧結晶化工程の際の高圧下での「融点より高い」または用語「溶融状態よりも高い」は、150℃以上の温度を意味する。融解温度は、典型的には示差走査熱量測定(DSC)を使用し、毎分10℃の加熱速度で測定される。こうして測定されたピーク融解温度を融点と呼び、例えばある等級のUHMWPEには約137℃にある。融解試験は、出発ポリエチレン材料に対して行い、融解温度を測定し、照射およびアニーリング温度を決定するのが望ましい。
【0224】
用語「アニーリング」とは、重合体をそのピーク融点より低い温度に加熱することを意味する。アニーリング時間は、少なくとも1分間〜数週間まで長くてよい。一態様では、アニーリング時間は約4時間〜約48時間、好ましくは24〜48時間、より好ましくは約24時間である。機械的変形に続いて所望のレベルに回復させるのに必要なアニーリング時間は、通常、アニーリング温度が低い程、長くなる。「アニーリング時間」とは、本発明によるアニーリングのための熱的条件を指す。
【0225】
用語「接触した」とは、増感剤がその意図する機能を果たせるような、物理的な近傍または接触を包含する。好ましくは、ポリエチレン組成物またはプリフォームを、増感剤が浸漬されるように、十分に接触させ、これによって十分な接触が確保される。浸漬は、試料を特殊な環境中に十分な時間、適切な温度で、配置することとして定義され、例えば試料を酸化防止剤溶液中に浸漬する。この環境を、室温〜材料の融点より低い温度に加熱する。接触時間は、少なくとも約1分間〜数週間であり、この持続時間は、環境の温度によって異なる。
【0226】
用語「耐酸化性」とは、高分子材料の、高分子材料を空気炉中、80℃で5週間エージングした後の酸化指数(A.U.)が約0.5未満である状態を意味する。耐酸化性の、架橋した高分子材料は、一般的にこのエージング期間の後、約0.5未満のA.U.を示す。
【0227】
「酸化指数」とは、高分子材料における酸化の程度を意味する。酸化指数は、高分子材料の赤外スペクトルを取り、このスペクトルを解析し、酸化指数を、対応する基線を差し引いた後の、1740cm−1カルボニルおよび1370cm−1メチレン伸縮吸収の下である面積の比として計算する。
【0228】
「機械的変形」とは、材料の融点より低い温度で起こる変形を意味し、実質的に材料の「冷間加工」である。変形様式としては、単軸、チャネルフロー、単軸圧縮、二軸圧縮、振動圧縮、伸張、単軸伸張、二軸伸張、超音波振動、曲げ、平面応力圧縮(チャネルダイ)またはそれらのいずれかの組合せがある。変形は、静止でも動的でもよい。動的変形は、小または大振幅振動様式における変形モードの組合せでよい。超音波振動を使用できる。変形はすべて増感性ガスの存在下および/または高温で行うことができる。
【0229】
用語「変形した状態」とは、高分子材料の、固体または溶融状態における変形工程、例えば本明細書で記載するような機械的変形、に続く状態を意味する。変形工程に続いて、固体状態または溶融状態における変形したポリエチレンを、変形した形状または新たに獲得した変形状態を維持している間に、固化/結晶化させる。
【0230】
「IBMA」とは、溶融状態よりも低い温度での照射および機械的アニーリングを意味する。「IBMA」は、「CIMA」(冷間照射および機械的アニーリング)とも呼ばれる。
【0231】
振動数範囲10〜100kHzにおける超音波処理(sonication)または超音波を振幅1〜50ミクロンのオーダーで使用できる。超音波処理の時間は、超音波処理の振動数および温度によって異なる。一態様で、超音波処理は、約1秒間〜約1週間、好ましくは約1時間〜約48時間、より好ましくは約5時間〜約24時間、さらに好ましくは約12時間である。
【0232】
本発明を下記の例によりさらに説明するが、これらの例は、本発明をいかなる様式においても制限するものではない。
【実施例】
【0233】
例1 滅菌または架橋のためのポリエチレンの電子線照射
UHMWPEのブロックまたはロッドを厚さ1cmの断片に機械加工した。これらの試料を、Massachusetts Institute of Technologyで、2.5MeVのVan de Graff発生器(e線)を使用し、電子線の下を多数回通過させて照射し、所望の放射線量レベル(1回あたり約12.5kGy)を達成した。
【0234】
例2 滅菌または架橋のためのポリエチレンのガンマ線照射
円筒形ブロック(直径89mm、長さ50cmを超える)を、Co60線源(Steris Isomedix, Northborough, MA)を使用して照射した。これらのブロック群は、照射の前に真空包装し、包装したブロックを照射した。別のブロック群は、包装し、窒素下で照射した。
【0235】
例3 予め融解させたポリエチレンの、高圧下での結晶化(経路I)
スラブに圧縮成形したGUR 1050を使用した。これらのブロックから円筒(直径5cm、高さ3cm)を機械加工し、アルミニウムで覆い、金属ラミネートし、熱的に密封できる小袋の中に入れた。小袋の中を真空に吸引し、小袋を密封した。次いで、この真空密封した小袋に入れた試料を圧力チャンバー中に入れた。このように包装した試料をアルゴン中で180℃に加熱し、180℃に少なくとも4時間保持し、次いで、等温的に320MPa(45,000psi)に加圧した。圧力をほぼ一定に5時間維持した。加圧サイクル完了時点で、試料を加圧下で室温に冷却した。続いて、圧力を解除した。
【0236】
例4 溶融状態よりも低い温度で、高圧下でのポリエチレンの結晶化(経路II)
スラブに圧縮成形したGUR 1050を使用した。これらのブロックから円筒(直径5cm、高さ3cm)を機械加工し、アルミニウムで覆い、金属ラミネートし、熱的に密封できる小袋の中に入れた。小袋の中を真空に吸引し、小袋を密封した。次いで、この真空密封した小袋に入れた試料を圧力チャンバー中に入れた。このように包装した試料を320MPa(45,000psi)に加圧した。次いで、温度を加圧したUHMWPEの融点より低い温度(180℃)に増加し、この圧力に5時間保持した。試料を一定圧力下で室温に冷却し、次いで圧力を解除した。
【0237】
例5 ポリエチレン中への酸化防止剤拡散
スラブに圧縮成形したGUR 1050UHMWPEブロックをUHMWPEの薄い部分(厚さ=3.2mm)に機械加工した。これらの試料を、0.5atm窒素分圧の真空下、132℃で96時間、α−トコフェロールと接触させた。次いで、試料を取り出し、酸化防止剤をぬぐい取って表面を清浄にし、0.5atm窒素分圧/真空下、132℃で96時間、アニーリングした。
【0238】
例6 照射(100kGy)に続く、ポリエチレン中への酸化防止剤拡散
スラブに圧縮成形したGUR 1050UHMWPEブロックを、窒素中、ガンマ線で線量111kGyに照射した。UHMWPEの薄い部分(厚さ=3.2mm)を機械加工し、0.5atm窒素分圧の真空下、136℃で96時間、α−トコフェロールと接触させた。次いで、試料を取り出し、酸化防止剤をぬぐい取って表面を清浄にし、0.5atm窒素分圧/真空下、136℃で96時間、アニーリングした。
【0239】
例7 ポリエチレン中への酸化防止剤拡散の測定
α−トコフェロール中に浸漬した試験試料(例えば例5および6参照)における酸化防止剤の拡散プロファイルを測定するために、LKB Sledge Microtomeを使用し、浸漬した部分から断面(100〜150μm)を切り取った。次いで、この薄い断面を、BioRad UMA 500赤外顕微鏡(Natick, MA)を使用して分析した。赤外スペクトルを、開口径50x50μmで、浸漬の際に酸化防止剤と接触した試料の自由表面と一致する縁部の一方から離れる深度の関数として集めた。1226〜1295cm−1の吸光度は、α−トコフェロールに特徴的であり、ポリエチレンはこれらの周波数の近くでは吸収しない。ポリエチレンに関して、CH2横揺れモードに対する1895cm−1波数が内部参照として典型的である。1260cm−1および1895cm−1の積分吸光度の比である規格化された値は、ポリエチレン中のα−トコフェロール組成物の相対的な距離を与える指数である。図3は、例5に記載する手順によりドーピングし、この例に記載する様式で測定したα−トコフェロールポリエチレンのプロファイルを示す。
【0240】
例8 ポリエチレンにおける酸化レベルの測定
酸化レベルは、下記例の幾つかに記載する様々な処理工程にかけた複数のUHMWPE試験試料に対して、自由表面から離れる距離の関数として定量した。このために、LKB Sledge Microtomeを使用し、UHMWPE試験試料の薄い断面(100〜150μm)を切り取った。BioRad UMA 500赤外顕微鏡を使用し、この断面における酸化の程度および深度を測定した。赤外スペクトルを、開口径50x50μmで、試料の自由表面と一致する縁部の一方から離れる深度の関数として集めた。これらの赤外スペクトルを解析し、酸化指数を、1740cm−1カルボニルおよび1370cm−1メチレン伸張吸光度の下にある面積の比として計算した。
【0241】
例9 疲労亀裂伝播試験
疲労亀裂伝播は、下記例の幾つかに記載する様々な処理工程にかけた複数のUHMWPE試験試料に対して定量した。この目的に、疲労亀裂伝播試験を、疲労亀裂成長速度を測定するための標準的な方法であるASTM E−647に従い、MiniBionix 858 (MTS, Eden Prairie, MN)で行った。タイプA1のコンパクト張力(CT)試料を使用し、切欠きを予め入れ、試験を、生体内環境を模擬するために40℃水浴中で、応力比0.1で行った。
【0242】
例10 二方向ピン−オン−ディスク(POD)摩耗試験
摩耗速度は、下記例の幾つかに記載する様々な処理工程にかけた複数のUHMWPE試験試料に対して定量した。この目的に、UHMWPE試料の摩耗挙動を、円筒形試料(直径9mm、高さ13mm)を使用し、特注二方向ピン−オン−ディスク(POD)摩耗試験機で頻度2Hzで試験した。子牛血清を潤滑剤として使用し、摩耗を重量的に0.5百万サイクル間隔で定量した。最初に、ピンを200,000サイクルのPOD試験にかけ、表面上の拡散または粗さと無関係の定常状態摩耗速度を達成した。各群から3個のピンを合計2百万サイクル試験した。摩耗速度は、0.2〜2百万サイクルまでの摩耗対サイクル数の直線回帰として計算した。
【0243】
例11 示差走査熱量測定による結晶化度の測定
結晶化度は、下記例の幾つかに記載する様々な処理工程にかけた複数のUHMWPE試験試料に対して定量した。この目的に、示差走査熱量測定(DSC)を使用し、ポリエチレン試験試料の結晶化度を測定した。DSC試料は、Sartorius CP 225D天秤で分解能0.01ミリグラムまで秤量し、アルミニウム試料パン中に入れた。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、TA instruments Q-1000示差走査熱量計中に配置した。次いで、これらの試料および基準を加熱速度10℃/分で−20℃から180℃に加熱し、−10℃に冷却し、10℃/分で別の加熱サイクル−20℃から180℃にかけた。時間と温度の関数としての熱流動を記録し、そのサイクルをそれぞれ第一加熱、第一冷却および第二加熱と呼ぶ。
【0244】
結晶化度は、20℃〜160℃のエンタルピーピークを積分し、それを結晶化度100%ポリエチレンの融解エンタルピー291J/gで規格化することにより、求めた。
【0245】
例12 経路Iによる高圧結晶化に続くポリエチレンの結晶化度測定
圧縮成形したGUR 1050UHMWPE(従来型ポリエチレンとも呼ぶ)を、例3に記載するようにして高圧結晶化させた。比較試料は、高圧結晶化していない圧縮成形したGUR 1050UHMWPEである。これら2種類のポリエチレンからDSC試験試料を調製し、例11に記載するTA Instruments Q-1000熱量計を使用して分析した。
【0246】
試験した高圧結晶化試料は、透明および不透明部分を含んでいた。円筒形ブロックから断面を切り取った時、その中心は縁部よりも透明であることがほとんどであった。図4は、高圧結晶化履歴が無い従来型ポリエチレン、および高圧結晶化した従来型ポリエチレンの中心から得た部分の、加熱サイクルの代表的なサーモグラムである。従来型ポリエチレンは、第一加熱結晶化度が62%で、ピーク融解温度が134℃であった。高圧結晶化ポリエチレンは、第一加熱結晶化度が78%で、ピーク融解温度は145℃で、130℃に肩部を有していた。
【0247】
ここで使用した高圧結晶化パラメータにより、従来型ポリエチレンの結晶化度が増加した。さらに、ピーク融解温度の134℃から145℃へのシフトは、高圧結晶化の際により大きな結晶(伸びきり鎖結晶)が形成されることを示している。
【0248】
上に考察したように、従来型ポリエチレンを高圧結晶化させたシリンダーは、半径方向で不均一な外観を示した(図5に図式的に示すように)。ポリエチレンの結晶化度と外観の変化を表1に示す。直径約2cmのコアは高い結晶化度を示した。結晶化度は、縁部に向かって減少した。不透明の縁部では、結晶化度が従来型ポリエチレンの結晶化度と大きく異なっていないが、これは、加圧媒体(アルゴンガス)がポリエチレンの外側層中に拡散し、膨潤させたためであろう。膨潤により、ポリエチレン中に空洞が生じていることがある。空洞は光を散乱させ、そのためにポリエチレンが不透明に見えることが分かっている。
【0249】
【表1】
【0250】
例13 経路Iによる高圧結晶化に続くポリエチレンの結晶化度測定
圧縮成形したGUR 1050を120℃で95kGyにe線照射し、続いて融解させた(WIAM-95)。円筒形ブロック(直径50mm、高さ約40mm)を例3に記載するようにして経路Iにより高圧結晶化させた。
【0251】
WIAM-95および高圧結晶化させたWIAM-95を、例11に記載するようにしてTA Instruments Q-1000熱量計を使用して試験した。
【0252】
第一加熱結晶化度は、WIAM-95が57%で、高圧結晶化させたWIAM-95が62%であった。この増加は、主として、ピーク融解温度が141℃の、より大きな結晶によるものである(図6)。
【0253】
高圧結晶化による結晶化度およびピーク融解温度の増加は、照射/融解したポリエチレンでは、例12に記載する従来型ポリエチレンと比較して、それ程大きくはなかった。高分子量直鎖数の減少および架橋により引き起こされる移動度の低下により、結晶成長速度が低下した。従って、高圧結晶化の際、六方晶層では結晶が、架橋したポリエチレン中では、従来型ポリエチレンと同程度には成長しなかった。
【0254】
これらの結果は、320MPaの比較的低い圧力でも、従来型ポリエチレン(例12参照)および高圧結晶化したポリエチレンの両方で、伸びきり鎖結晶が得られることを示している。この実験は、従来型(例12参照)および高度に架橋したポリエチレンの両方の高圧結晶化により、常圧で結晶化させた従来型GUR 1050と比較して、結晶化度が増加すると共に、より大きな結晶の密度が増加することを示している。
【0255】
例14 高圧結晶化させた試料上の透明および不透明部分の形態
固化させたGUR 1050ブロック(直径50mm、長さ90mm)を、例3に記載するようにして、経路Iにより高圧結晶化させた。
【0256】
透明および不透明領域の両方を示すブロックの薄い断面を凍結破砕し、金被覆した。この断面を、電場放出ガンを使用し、高真空下の走査電子顕微鏡で分析した。図7A、7B、および7Cは、不透明および透明領域、および過渡領域の形態をそれぞれ示す。
【0257】
図7Aおよび7Bから分かるように、透明側は、より一様な形態を示し、粒界が少なく、空隙も無いのに対し、不透明側は、粒界および空隙の数が多いことを示している。空洞は、高圧結晶化の際に使用する加圧ガス(例えばアルゴンガス)の膨潤効果により形成されると考えられる。空洞は、光を散乱させ、ポリエチレンを不透明に見せることが分かっている。
【0258】
例15 温照射温度の測定
高度に架橋させる照射の際に、特定の結晶含有量を維持するために、ポリエチレンの温照射を行った。示差走査熱量測定(DSC)を使用し、ポリエチレン試験試料の結晶化度を測定した。試料および基準を10℃/分の加熱速度で−20℃から180℃に加熱し、−10℃/分で−20℃に冷却し、10℃/分で別の加熱サイクル−20℃から180℃にかけた。時間と温度の関数としての熱流動を記録し、そのサイクルをそれぞれ第一加熱、第一冷却および第二加熱と呼ぶ。
【0259】
熱流動を、ポリエチレンの第一加熱サイクルに対して20℃から160℃まで、温度の関数として積分した。各温度における積分を160℃における積分から差し引き、その差を、結晶性100%UHMWPEの融解の理論的エンタルピー(291J/mol)で割った。このようにしてプロットし、結晶化度%を温度の関数として得た。このプロットを使用し、所望の結晶含有量で温照射を行うべき温度を決定することができる。
【0260】
例16 高圧結晶化させ、照射した(I−HPC)UHMWPE
例3に記載するようにして、経路Iにより高圧結晶化させたGUR 1050UHMWPEを、厚さ1cmのスライス(直径5cm)に機械加工し、例1に記載するようにして、放射線量150kGyに、2種類の異なった温度、すなわち室温(低温照射)(I−HPC1−CI)およびポリエチレンが約50%結晶性である温度、この場合は136℃(温照射)(I−HPC1−WI)で、電子線照射した。UHMWPEが50%結晶性である温度は、例15に記載するようにして計算した。
【0261】
例17 高圧結晶化させ、照射したUHMWPE(I−HPC)を続いて高圧結晶化
例16に記載するようにして調製したUHMWPEを、例3に記載するようにして、経路Iによりさらに高圧結晶化させた。
【0262】
経路Iにより高圧結晶化させた(HPC1)、高圧結晶化させ、照射した(HPC1−CI、HPC1−WI)、および高圧結晶化させ、低温または温照射し、続いて経路Iにより高圧結晶化させた(HPC1−CI−HPC1またはHPC1−WI−HPC1)UHMWPE試料の結晶化度値を図8に示す。略記した製法の詳細な説明は、下記の表2に示す。比較用材料は、未照射GUR 1050、100kGy低温照射したGUR 1050、100kGy低温照射し、続いて融解させ、95kGy温照射し、続いて融解させたUHMWPEである。
【0263】
HPC1の第一加熱結晶化度は79%であり、これが線量150kGyに低温照射(HPC1−CI)することにより、78%に低下した。HPC1−CIは、照射工程で終わっているために、残留フリーラジカルを含むと予想される。従って、HPC1−CIを別のHPC1工程にかけた。第二HPC1の際に、加圧の前にHPC1−CIを融点より高い温度に加熱した時、残留フリーラジカルは再結合したであろう。しかし、加圧および結晶化に続いて、結晶化度はHPC1−CI−HPC1でさらに62%に低下した。それにも関わらず、高度に架橋し、高圧結晶化工程の際の融解のために残留フリーラジカルを含まないはずであるHPC1−CI−HPC1の結晶化度は、100kGy低温照射し、融解させた試料および95kGy温照射し、融解させた試料の両方の結晶化度よりも、なお高かった。
【0264】
【表2】
【0265】
例18 低温照射に続いて機械的変形
2個の圧縮成形したGUR 1050ロッド(直径9.1cm、長さ41cm)を真空包装物中で100kGyガンマ線照射にかけた。次いで、両ロッドを130℃に加熱し、続いて一方をその縦軸に対して直角に、圧縮比2.7(初期直径/最終直径)に一軸圧縮下で変形させた。圧縮は、130℃で行った。圧縮したロッドを一定変形下で保持し、室温に冷却させた。次いで、このロッドの圧縮を解除し、ロッドの寸法を記録した(長さ=58cm、幅=16.6cm、厚さほぼ40.5cm)。両方のロッドを135℃に加熱して残留変形を回復させ、最終寸法を記録した(直径=7.5cm、長さ=40cm)。このように、一方のロッドは機械的変形および熱処理にかけ、他方は、変形を行わず、同じ熱履歴にのみかけたので、比較試料として使用する。
【0266】
例19 照射し、機械的変形したUHMWPEのフリーラジカル濃度、酸化レベル、および摩耗速度
例18に記載するようにして調製した2個のGUR 1050ブロックを、電子スピン共鳴(ESR)(University of Utah, Department of Physics)により分析し、残留フリーラジカル濃度を定量した。結晶化度は、11に記載するようにして、DSCにより測定した。両ロッドから機械加工した立方体を、80℃で5週間の促進エージングにかけ、試料の酸化を例8に記載するようにして、赤外線顕微鏡で測定した。最後に、機械的にアニーリングしたロッド(n=3)の摩耗挙動を、我々の二方向摩耗試験機で、例10に記載する方法を使用して測定した。
【0267】
ESR分析は、熱的比較試料では2x105スピン/グラムであったのに対し、機械的にアニーリングした試料は、検出可能な残留フリーラジカルを示さず、100kGy照射し、融解させたポリエチレンと同等であった。DSC分析は、機械的にアニーリングした試料の第一加熱に対して、非照射UHMWPEの結晶化度に匹敵する、結晶化度レベル62±0.5%を示した。結晶化度レールは、照射後の融解に続いて典型的には55〜57%に低下する。促進エージングは、熱的比較試料で、機械的にアニーリングした試験試料(酸化指数=0.01±0.01)(p<0.01)よりはるかに大きい酸化(酸化指数=1.30±0.2)を示した。機械的にアニーリングしたロッドのPOD摩耗速度は0.8±0.0mg/百万サイクルであり、これは、100kGy照射し、融解させたポリエチレンに匹敵する。
【0268】
例20 照射ていない、照射した、および融解させた試料の疲労亀裂伝播試験
圧縮成形したUHMWPEGUR 1050(空気中で25kGy〜40kGyにγ−滅菌した)、高度に架橋したUHMWPE(真空中で100kGyにγ線照射した)、および100kGyに高度に照射し、融解させたポリエチレンを比較試料として使用した。ガンマ線照射は、例2に記載するようにして、行った。
【0269】
疲労亀裂伝播試験は、例9に記載するように行った。亀裂開始における応力強度(ΔKi)を、比較試料の結晶化度と共に表3に示す。結晶化度は、例11に記載するようにして、DSCにより測定した。UHMWPEの結晶化度は、低および高線量照射の後、同等であった。高線量照射したポリエチレンを融解させた時、結晶化度は大きく減少した(p<0.001)。放射線量を25〜40kGyから100kGyに増加した時、疲労強度(ΔKi)は44%減少した(p<0.0001)が、これは恐らく架橋数の増加によるものであろう。100kGy照射したUHMWPEの融解により、疲労強度はさらに19%減少した(p<0.001)が、これは恐らく結晶化度の低下によるものであろう。
【0270】
【表3】
【0271】
例21 高圧結晶化させたUHMWPEの疲労亀裂伝播試験
例9に記載するようにして、疲労亀裂伝播試験を、圧縮成形した、未照射の、例3に記載するようにして経路Iにより高圧結晶化させたGUR 1050UHMWPEに行った。
【0272】
亀裂開始における応力強度(ΔKi)は、GUR 1050UHMWPEおよび高圧結晶化させたGUR 1050UHMWPEに対してそれぞれ1.37±0.06(n=3)および1.49MPa√m(n=2)であった。高圧結晶化させたシリンダーの、例12に記載するように高結晶性の領域であることが分かっているコアに亀裂先端を有する小型伸張試験片を機械加工した。
【0273】
例22 固化の前に0.1%および0.3%ビタミンEとブレンドしたUHMWPEのピン−オン−ディスク(POD)摩耗試験
照射前にUHMWPE樹脂粉末とブレンドしたビタミンEの、照射したGUR 1050UHMWPEの耐摩耗性に対する影響を測定した。ビタミンE(α−トコフェロール)をGUR 1050UHMWPE粉末と、2種類の濃度0.1重量%および0.3重量%、で混合し、固化させた。圧縮成形により、UHMWPEをブロックに固化させた。もう一つの固化を、α−トコフェロール添加剤を使用せずに行い、比較試料として使用した。3点の固化させたブロックを半分に機械加工し、各半分を真空包装し、例2に記載するようにして、100kGyにガンマ線照射した。
【0274】
照射したブロックから、直径9mm、長さ13mmの円筒形のピンを切り出した。これらのピンを先ず、空気中、80℃で5週間の促進エージングにかけ、続いて例10に記載するようにして、二方向ピン−オン−ディスク(POD)で試験した。
【0275】
放射線およびα−トコフェロール処理履歴の無いUHMWPEの典型的な摩耗速度は百万サイクルあたり約8.0ミリグラムであり、100kGy照射し、融解させたUHMWPEでは1mg/MCである。100kGy照射し、α−トコフェロールをブレンドしたピンの摩耗速度は、0.1重量%および0.3重量%α−トコフェロール濃度に対して、それぞれ百万サイクルあたり2.10±0.17および5.01±0.76ミリグラムであった。α−トコフェロール含有量が高い程、耐摩耗性の低下は少ない。
【0276】
これらの結果は、高照射線量により達成されるUHMWPEの架橋密度が、混合物中のα−トコフェロール含有量が増加するにつれて低下することを示唆している。我々は、これが、α−トコフェロールが存在しなければ互いに架橋を形成するであろうUHMWPE鎖上のフリーラジカルに対して作用するα−トコフェロールの酸化防止活性によるものであると考えらている。
【0277】
例23 α−トコフェロールドーピングによる、照射されたUHMWPEの酸化安定化
固化させたGUR 1050UHMWPEバー原料を、例2に記載するようにして、65および100kGyにガンマ線照射した。これらの試料は、空気中、室温で16時間、ビタミンE(α−トコフェロール(α−T))でドーピングした。ドーピングに続いて、試料を27kGyでさらにガンマ線滅菌した。これらの2群は、総放射線量92kGyおよび127kGyで、それぞれα−T−92およびα−T−127と呼ぶ。比較用材料は、100kGyガンマ線照射したGUR 1050であった。
【0278】
すべての試料を、空気中、80℃で5週間の促進エージングを行った。この後、立方体を半分に切り、例8に記載するようにして、酸化レベルを評価した。
【0279】
ドーピングしていない、およびα−Tドーピングした試料の酸化に対するエージングの影響を図9に示す。これらの曲線は、3試料の平均を示す。100kGy照射した比較試料は、α−T−92およびα−T−127試料と比較した時に著しく高い酸化レベルを示し、最大酸化指数は、それぞれ3.74±0.16、0.48±0.25(p<0.001)、および0.44±0.06(p<0.001)であった。α−トコフェロール保護された、照射されたポリエチレンは、空気中、80℃における促進エージングの際に耐酸化性であると考えられる。
【0280】
例24 高圧結晶化し、照射したUHMWPEの、ビタミンEドーピングによる酸化安定化
圧縮成形されたGUR 1050ブロック(直径2”)を例3に記載するようにして、高圧結晶化させた。このブロックを厚さ約8.5mmの薄い部分に機械加工した。これらの薄い部分を、例1に記載するようにして、線量100kGyに電子線照射した。
【0281】
得られた円形断面の一つを四等分した。その一つをα−トコフェロール(ビタミンE)中に空気中、室温で、もう一つを空気中、100℃で、16時間α−トコフェロール中にドーピングした。2個の対応する熱的比較試料は、それぞれ空気中、室温および100℃で、16時間、ドーピングせずにした。全4個の試料を半分に切断し、半分の一方を対流加熱炉中で、空気中、80℃で5週間、促進エージングした。他方の半分はエージングしなかった。
【0282】
すべての試料に対する酸化プロファイルを、例8に記載するようにして評価した。エージングした熱的比較試料には、重大な表面下酸化があったのに対し、α−トコフェロールドーピングした試料は、比較試料よりもはるかに低い酸化レベルを示した(室温(RT)および100℃ドーピングした試料に対してp<0.01、およびp<0.0001、図10および11参照)。
【0283】
例25 高圧結晶化させ、照射したUHMWPEの、機械的変形による酸化安定化
圧縮成形されたGUR 1050ブロック(直径2”)を例3に記載するようにして、高圧結晶化させた。このブロックを厚さ約8.5mmの薄い部分に機械加工した。これらの薄い部分を、例1に記載するようにして、線量100kGyに電子線照射した。
【0284】
この薄い部分の一つを137℃に加熱し、この温度で、圧縮比約2.5(初期/最終高さ)に一軸圧縮下で機械的に変形させた。この圧縮したロッドを一定変形下に保持し、一定変形下で室温に冷却した。次いで、負荷を除き、ロッドの寸法を記録した。続いて、この部分を144℃に加熱して残留変形を回復させた。薄い部分を半分に切り、半分の一方を空気中、80℃で5週間促進エージングした。
【0285】
残りの部分から薄い断片(断面約3mmx3mm)を機械加工し、電子スピン共鳴(ESR)分析にかけた(Department of Physics, University of Memphis, TN)。
【0286】
高圧結晶化させ、100kGy照射したUHMWPEを機械的変形により安定化させ、この試料に対するESR値は、スピンの背景値と大きく異なっていないと予想される。
【0287】
高圧結晶化させ、100kGy照射し、機械的変形により安定化させたUHMWPEである、強く促進エージングしたUHMWPEは、促進エージングし、高圧結晶化させ、100kGy照射した比較試料の酸化よりも、はるかに小さな酸化を示すことがある。
【0288】
例26 照射後にビタミンEでドーピングしたUHMWPEのピン−オン−ディスク(POD)摩耗試験
固化させたGUR 1050UHMWPEのバー原料を65および100kGyにガンマ線照射した。これらの照射したポリエチレンから、POD摩耗試験用の円筒形のピン(直径9mm、長さ13mm)を機械加工した。これらの試料をビタミンE(α−トコフェロール)で、空気中、室温で16時間ドーピングした。ドーピングに続いて、試料をさらに線量27kGyでガンマ線滅菌した。これらの2群は、総放射線量が92および127kGyであり、それぞれα−T−92およびα−T−127と呼ぶ。
【0289】
比較試料1)は、100kGyガンマ線照射し、続いて150℃で融解させたGUR 1050、2)105kGyガンマ線照射し、続いて120℃でアニーリングしたGUR 1050、および3)窒素中で25kGyガンマ線滅菌したGUR 1050であった。ガンマ線照射は、例2に記載するようにして行った。
【0290】
円筒形試料の半分を空気中、80℃で5週間の促進エージングにかけた。次いで、エージングしていない試料とエージングした試料の両方を、例10に記載するようにして、POD摩耗試験にかけた。
【0291】
ドーピングした、およびドーピングしていない、架橋した、および従来のポリエチレンの、促進エージングの前と後の摩耗速度を図12に示す。2つの群のα−T−ドーピングした、高度に架橋したポリエチレンに対して測定した摩耗速度を、25kGy照射した従来のポリエチレン(窒素中、γ−滅菌)、100kGy照射/融解させた試料、および105kGy照射/アニーリングした試料のエージングの前と後の摩耗速度と共に示す。100kGy照射/アニーリングした、および従来のポリエチレンの摩耗速度は、エージングの後、増加している。α−T−92およびα−T−127の摩耗速度は、照射し、融解させたUHMWPEの摩耗速度と同等であった。エージングにより、α−T−92またはα−T−127の摩耗挙動は変化しなかった(p<0.05)。この結果は、α−Tドーピングした試料が酸化せず、それらの摩耗速度がエージングしていない試料と類似しているので、α−TがUHMWPEを酸化から保護できることを示している。
【0292】
例27 照射したUHMWPEの酸化および摩耗挙動に対する、エタノール抽出の影響
固化させたGUR 1050UHMWPEバー原料を、65kGyおよび100kGyにガンマ線照射した。これらの照射したポリエチレンから、POD摩耗試験用の円筒形のピン(直径9mm、長さ13mm)および促進エージングおよび酸化試験用の立方体(2cm)を機械加工した。これらの試料をビタミンE(α−T)で、空気中、室温で16時間ドーピングした。ドーピングに続いて、試料をさらに線量27kGyでガンマ線滅菌した。これらの2群は、総放射線量が92および127kGyであり、それぞれα−T−92およびα−T−127と呼ぶ。
【0293】
立方体とピンの半分を沸騰しているエタノール中に一晩入れ、UHMWPEからα−トコフェロールを除去した。次いで、これらの試料を対流加熱炉中に入れ、空気中、80℃で5週間の促進エージングにかけた。残りの半分には、空気中、80℃で5週間の促進エージングだけを行った。
【0294】
立方体の酸化プロファイルは、例8に記載するようにして評価し、POD摩耗試験は、例10に記載するようにして、ピンに対して行った。観察された平均最大酸化レベルを表4に示す。100kGy照射した比較試料およびα−T−127に対して、エージングおよび抽出した試料とエージングした試料との間には、重要(p<0.05)であるが、小さな差があった(図13および表4)。従って、エージングだけを行った試料と、抽出およびエージングした試料との間の酸化挙動に、認められる大きな差は無かった。沸騰しているエタノール中での抽出により、α−トコフェロールはUHMWPEから除去されず、α−トコフェロールはUHMWPEを酸化から保護することができた。
【0295】
また、α−T−92およびα−T−127の酸化レベルは、100kGy照射した比較試料のそれよりも、抽出およびエージングした試料に関して著しく低かった。これは、α−トコフェロールが、沸騰エタノール処理にかけた後にも、照射されたUHMWPEの酸化から保護し得ることを示している。
【0296】
【表4】
【0297】
同様に、エージングしたα−T−92およびα−T−127摩耗速度は、抽出工程により大きな影響を受けなかった(図13参照)。
【0298】
例28 照射したUHMWPEの酸化および摩耗挙動に対する、洗浄によるクリーニングの影響
スラブ圧縮成形したGUR 1050UHMWPEブロック(Perplas Ltd., Lancashire, UK)(直径3”)を、真空中で線量111kGyにガンマ線照射した(Steris Isomedix, Northborough, MA)。次いで、これらのブロックを半立方体(2cmx2cmx1cm)に機械加工した。
【0299】
これらの半立方体を、α−トコフェロール(α−D、L−トコフェロール、Fischer Scientific, Houston, TX)中に、空気中、室温および100℃で、1および16時間それぞれ浸漬した(各n=3)。3種類の熱的比較試料(室温、100℃で1および16時間)を同じドーピング温度に、α−トコフェロール無しに、さらした。
【0300】
クリーニングは、持ち運び可能なKenmore食器洗浄機(Sears Inc., Hoffman Estates, IL)により、濯ぎおよび熱乾燥を含む通常サイクルで行った。クリーニングの際、すべての半立方体試験試料を、直径2”の円筒形非弾性ポリエチレンメッシュ中に入れ、末端を閉鎖した。これによって、確実に、試料は動き回らないが、洗浄媒体は中に入れるようにした。洗浄剤として、Electrasol(商品名)(Reckitt Benckiser Inc., Berkshire, UK)を使用した。
【0301】
これらの立方体に対する酸化プロファイルを、例8に記載するようにして、評価し、最大酸化レベルの平均を表5に示す。
【0302】
【表5】
【0303】
これらの、クリーニングおよびエージングし、α−Tドーピングし、111kGy照射したUHMWPEに対する酸化値は、例27における、65および100kGyに照射し、α−トコフェロールドーピングし、次いでガンマ線滅菌(27kGy)し、クリーニングせずにエージングした試料の酸化値と類似している。それぞれA.U.0.48±0.25および0.44±0.06(表4)。クリーニング手順は、UHMWPEの表面中にすでに拡散しているα−トコフェロールを除去することはできなかった。
【0304】
α−トコフェロールを100℃で1時間拡散させたUHMWPEに対する、111kGy照射し、クリーニングし、エージングした試料に対する熱的比較試料は、α−トコフェロール拡散させた試験試料の酸化よりも高い酸化レベルを示した(p<0.0005)。同様に、α−トコフェロールを100℃で16時間拡散させたUHMWPEに対する、111kGy照射し、クリーニングし、エージングした試料に対する熱的比較試料は、α−トコフェロール拡散させた試験試料の酸化よりも高い酸化レベルを示した(p<0.0005)。比較試料および試験試料の酸化レベルは、浸漬時間1時間と16時間との間に大きな差を示さなかった。100℃でドーピングした試料に対する酸化レベルは、室温でドーピングした試料よりも大幅に低かった(1および16時間に対してそれぞれp<0.01およびp<0.005)。各調製の代表的な試料の酸化プロファイルを表14に示す。
【0305】
例29 動的機械的分析装置による、UHMWPEの架橋密度計算
架橋密度測定は、動的機械的分析装置(DMA 7e, Perkin Elmer, Wellesley, MA)により行った。UHMWPEの長方形断片を歯科用セメント中に固定し、薄い部分(厚さ2mm)にスライスした。分析すべきこれらの薄い部分から小さな部分(2mmx2mm)をレーザーブレードにより切り取った。これらの小片をDMAの石英プローブの下に配置し、試料の初期高さを記録した。次いで、プローブをキシレン中に浸漬し、続いて130℃に加熱し、45分間保持した。UHMWPE試料を、沸騰キシレン中で平衡に達する(重量変動0.1%未満)まで膨潤させた。最終的な重量を記録した。
【0306】
架橋密度は、下記の様式で計算した。
【0307】
最終高さと初期高さの比を3乗し、3方向すべてにおいて膨脹が等しいと仮定して、膨潤比qを得る。次いで、架橋密度υcを下記の式から計算した。
【数1】
式中、V1 は、キシレン(136cm3/mol)の部分体積であり、χはFlory-Huggins相互作用パラメータであり、χ=0.33+0.55/qとして定義される。架橋間の平均分子量も計算した。
【数2】
【0308】
より密に架橋した構造は、よりゆるく架橋した構造よりも、架橋密度が高くなり、架橋間の分子量が低くなる。
【0309】
例30 低温および温照射した、高圧結晶化させたポリエチレンの架橋密度
架橋密度および架橋間の分子量を、例29に記載するようにして、I−HPCCIおよびI−HPCWIに関して計算し、これら2種類のUHMWPE間の、温照射工程における無定形相の増加による架橋の差を調査した(表6参照)。
【0310】
【表6】
【0311】
温および低温照射したI−HPCポリエチレンは、大きな差を示さなかったが、150kGy照射したUHMWPEは、150kGy低温照射し、融解させたUHMWPE(209mol/m3、Muratoglu et al., 1999)よりも、低い架橋比を示した。これは、照射の際に、例12で考察したように、高圧結晶化させたUHMWPE中で利用できる無定形相が少なかったためである(例えば、78%結晶性のUHMWPEは、架橋に利用できる無定形含有量が21%しか無いのに対し、100kGy低温照射したUHMWPEでは約36%である)。本手法は、先行技術における手法よりも、はるかに高度に架橋した、高結晶性のUHMWPEを提供することができる。
【0312】
例31 ビタミンE
他に指示がない限り、本明細書で使用する実験には、ビタミンE(Acros(商品名)99%D−α−トコフェロール、Fisher Brand)を使用した。使用したビタミンEは、色が非常に明るい黄色であり、室温で粘性の液体である。その融点は2〜3℃である。
【0313】
例32 UHMWPEの可塑化
圧縮成形したGUR 1050UHMWPEを、薄い部分(直径約90mm、厚さ3.2mm)に機械加工した。薄い部分の一つをα−トコフェロール中に、部分真空窒素下、132℃で5時間入れた。次いで、この部分をα−トコフェロールから取り出し、表面を綿ガーゼで拭い、清浄にした。次いで、この薄い部分を132℃で48時間、部分真空窒素下に置いた。試料中のα−トコフェロールプロファイルを、例7に記載するようにして、測定した。このプロファイルは、一様で、試料の厚さに沿って16地点から取った平均α−トコフェロール指数が0.92±0.10であった。固化させたGUR 1050の、同じ寸法の薄い部分を、α−トコフェロールでドーピングしていない比較試料として使用した。
【0314】
この薄い部分からドッグボーン形試料(n=5)を打ち抜き、試験をASTMD−638、プラスチックの引張特性標準試験方法により、クロスヘッド速度10mm/分で行った。破断点における工学ひずみは、比較用UHMWPEで521±16%であり、α−トコフェロールドーピングし、アニーリングしたUHMWPEでは1107±36%であった。この結果は、UHMWPEをα−トコフェロールで均質にドーピングした時に、破断点における工学ひずみが大きく増加したことを示している。この破断点における工学ひずみの増加は、α−トコフェロールのUHMWPEに対する可塑化効果を示唆していると云える。
【0315】
例33 照射したUHMWPEの可塑化
圧縮成形したGUR 1050UHMWPEブロック(直径3”、長さ3’)を100kGyに照射した。このブロックから、薄い部分(厚さ3.2mm)を機械加工した。ブロックの薄い部分の一つをα−トコフェロール中に、部分真空窒素下、136℃で72時間入れた。ブロックの薄い部分をα−トコフェロールから取り出し、表面を綿ガーゼで拭い、清浄にした。次いで、この薄い部分を136℃で100時間、部分真空窒素下に置いた。α−トコフェロールプロファイルを、例7に記載するようにして、測定した。このプロファイルは、一様で(図15参照)、試料の厚さに沿って16地点から取った平均α−トコフェロール指数が3.33±0.22であった。100kGy照射したGUR 1050UHMWPEの薄い部分を、α−トコフェロールでドーピングしていない比較試料として使用した。
【0316】
これらの薄い部分からドッグボーン形試料(n≧5)を打ち抜き、試験をASTMD−638、プラスチックの引張特性標準試験方法により、クロスヘッド速度10mm/分で行った。100kGy照射し、α−トコフェロールドーピングしたUHMWPEの破断伸度(EAB)、極限引張応力(UTS)および降伏強度(YS)を表7に示す。
【0317】
【表7】
【0318】
破断点における工学ひずみは、100kGy照射したUHMWPEで741±46%であり、α−トコフェロールドーピングし、照射したUHMWPEでは1049±135%であった。この結果は、照射したUHMWPEをα−トコフェロールでドーピングした時に、UTS、EABおよび破断点における工学ひずみが大きく増加したことを示している。これらの増加は、α−トコフェロールの、照射したUHMWPEに対する可塑化効果を示唆している。
【0319】
例34 固化の前にビタミンEとブレンドしたUHMWPEの高圧結晶化
高圧結晶化されたUHMWPEの機械的特性に対するビタミンEの影響を測定した。ビタミンE(α−トコフェロール)をGUR 1050UHMWPE粉末と0.1重量%濃度で混合し、固化させた。UHMWPEは、圧縮成形によりブロックに固化させた。
【0320】
直径約2”、高さ2”のブロックを、例3に記載するようにして、経路Iにより高圧結晶化させた。
【0321】
この高圧結晶化させた、ビタミンEをブレンドしたUHMWPEから、薄い断面(厚さ=3.2mm)を機械加工した。
【0322】
先ず、ブレンドしたUHMWPEおよび高圧結晶化させ、ブレンドしたUHMWPEの熱結晶化度を、例11に記載するようにして、測定した。
【0323】
これらの薄い部分からドッグボーン形試料(n≧2)を打ち抜き、試験をASTMD−638、プラスチックの引張特性標準試験方法により、クロスヘッド速度10mm/分で行った。ブレンドしたUHMWPEおよび高圧結晶化させ、ブレンドしたUHMWPEの破断伸度(EAB)、極限引張応力(UTS)および降伏強度(YS)を表8に示す。
【0324】
【表8】
【0325】
0.1重量%ブレンドしたUHMWPEは、高圧結晶化させた未処理UHMWPEおよび高圧結晶化前の0.1重量%ブレンドしたUHMWPEと比較して、UTS、YSおよびEABの増加を示した。高圧結晶化させ、0.1重量%ブレンドしたUHMWPEのドッグボーン形試料は、広範囲な白色化を示し、これは、これらの試料中の空洞を示唆している。
【0326】
例35 固化の前にビタミンEとブレンドしたUHMWPEの照射
照射したUHMWPEの機械的および摩耗特性に対するビタミンEの影響を測定した。ビタミンE(α−トコフェロール)をGUR 1050UHMWPE粉末と濃度0.1重量%で混合し、固化させた。UHMWPEは、圧縮成形によりブロックに固化させた。
【0327】
5cmx10cmx10cmのブレンドしたブロックをガンマ線で線量150kGyに照射した。この照射したブロックから、薄い部分(厚さ=3.2mm)および円筒形のピン(直径9mm、高さ13mm)を機械加工した。
【0328】
ブレンドし、照射したUHMWPEの結晶化度を、例11に記載するようにして、測定した。
【0329】
ブレンドし、照射したUHMWPEの架橋密度を、例29に記載するようにして、測定した。
【0330】
これらの薄い部分からドッグボーン形試料(n≧2)を打ち抜き、試験をASTMD−638、プラスチックの引張特性標準試験方法により、クロスヘッド速度10mm/分で行った。
【0331】
ブレンドし、照射したUHMWPEのピン−オン−ディスク(POD)摩耗速度を、例10に記載するPOD摩耗試験を使用して定量した。
【0332】
0.1重量%α−トコフェロールをブレンドし、150kGy照射したUHMWPEの結晶化度は65±4%であった。動的機械的分析装置で測定した架橋密度は166±2モル/m3であった。極限引張強度は40±3MPaであり、降伏強度は20±1MPaであり、破断伸度は244±22%であった。POD摩耗速度は、1.9±0.3mg/百万サイクルであった。比較試験で、150kGy電子線照射UHMWPEは、極限引張強度(UTS)29±1MPa、降伏強度(YS)22±1MPa、および破断伸度(EAB)219±16%を示した。
【0333】
例36 固化の前にビタミンEとブレンドし、照射したUHMWPEの高圧結晶化
高圧結晶化させた、照射したUHMWPEの機械的特性に対するビタミンEの影響。ビタミンE(α−トコフェロール)をGUR 1050UHMWPE粉末と濃度0.1重量%で混合し、固化させたものを測定した。UHMWPEは、圧縮成形によりブロックに固化させた。
【0334】
5cmx10cmx10cmのブレンドしたブロックをガンマ線で線量150kGyに照射した。
【0335】
上記のブロックから、直径約2”、高さ2”のブロックを機械加工し、水中の圧力チャンバー中に入れた。これらの試料を185℃に5時間加熱し、次いで、等温的に45,000psiに加圧した。圧力および温度を一定に5時間保持した。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却した。続いて、圧力を解除した。
【0336】
ブレンドし、照射したUHMWPEの結晶化度を、例11に記載するようにして、測定した。
【0337】
この高圧結晶化させ、照射したブロックから薄い部分(厚さ=3.2mm)を機械加工した。これらの薄い部分からドッグボーン形試料(n≧2)を打ち抜き、試験をASTMD−638、プラスチックの引張特性標準試験方法により、クロスヘッド速度10mm/分で行った。
【0338】
高圧結晶化させ、150kGy照射し、0.1重量%α−トコフェロールをブレンドしたUHMWPEの結晶化度は70±1%であった。高圧結晶化させ、150kGy照射し、0.1重量%α−トコフェロールをブレンドしたUHMWPEの極限引張強度は37±2MPaであり、降伏強度は23±1MPaであり、破断伸度は234±0%であった。
【0339】
例37 α−トコフェロールブレンドし、照射したUHMWPEの架橋密度
照射したUHMWPEのクロス効率に対するビタミンEの影響を測定した。ビタミンE(α−トコフェロール)をGUR 1050UHMWPE粉末と濃度0.1、0.3および1.0重量%で混合し、固化させた。UHMWPEは、圧縮成形によりブロックに固化させた。比較試料として、未処理UHMWPEを使用した。
【0340】
それぞれのブロック1個をガンマ線で65、100、150および200kGyに照射した。
【0341】
薄い部分(厚さ=3.2mm)を、α−トコフェロールブレンドし、照射したUHMWPEから機械加工した。
【0342】
α−トコフェロールブレンドし、照射したUHMWPEの架橋密度を、例29に記載するようにして測定した。
【0343】
【表9】
【0344】
これらの結果は、照射前にUHMWPE中のα−トコフェロール濃度を増加することにより、照射したUHMWPEの架橋が減少することを示している(表9参照)。
【0345】
例38 高圧結晶化させ、照射し、続いて融解させたUHMWPE
直径約2”、高さ2”のブロックを、GUR 1050ラム押出した原料から機械加工し、水中の圧力チャンバー中に入れた。このブロックを185℃に5時間加熱し、次いで、等温的に45,000psiに加圧した。圧力および温度を一定に5時間保持した。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却した。続いて、圧力を解除した。
【0346】
この高圧結晶化させたUHMWPEから厚さ1cmの円形断片を機械加工した。この断片を、例1に記載するようにして、空気中電子線照射を使用し、150kGyに照射した。この断片から薄い部分(3.2mm)を機械加工し、これらの薄い部分の一つを真空中、170℃で融解させた。これを、溶融状態に2時間保持し、真空下で室温に冷却した。
【0347】
高圧結晶化させ、照射し、融解させたUHMWPEの結晶化度を、例11に記載するようにして、測定し、引張特性をASTMD−638による機械的試験により、測定した。
【0348】
高圧結晶化させ、150kGy照射し、融解させたUHMWPEの結晶化度は59±1%であり、極限引張強度は36±0MPaであり、破断伸度は223±26%であった。
【0349】
例39 高圧結晶化させ、照射し、続いて高圧結晶化させたUHMWPE
直径約2”、高さ3”のブロックを、GUR 1050ラム押出した原料から機械加工し、水中の圧力チャンバー中に入れる。このブロックを185℃に5時間加熱し、次いで、等温的に45,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0350】
この高圧結晶化させたUHMWPEから厚さ1cmの円形断片を機械加工する。この断片を、例1に記載するようにして、空気中電子線照射を使用し、150kGyに照射する。
【0351】
この照射した断片を水中の圧力チャンバー中に入れる。このブロックを195℃に5時間加熱し、次いで、等温的に55,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0352】
例40 UHMWPEを高圧結晶化させ、続いて照射するサイクル
直径約2”、高さ3”のブロックを、GUR 1050ラム押出した原料から機械加工し、水中の圧力チャンバー中に入れる。このブロックを185℃に5時間加熱し、次いで、等温的に45,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0353】
この高圧結晶化させたUHMWPEから厚さ1cmの円形断片を機械加工する。この断片を、例1に記載するようにして、空気中電子線照射を使用し、50kGyに照射する。
【0354】
この50kGy照射した断片を水中の圧力チャンバー中に入れる。このブロックを190℃に5時間加熱し、次いで、等温的に50,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0355】
この断片を、例1に記載するようにして、空気中電子線照射を使用し、50kGyに照射し、蓄積照射線量を100kGyにする。
【0356】
この100kGy照射した断片を水中の圧力チャンバー中に入れる。このブロックを190℃に5時間加熱し、次いで、等温的に55,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0357】
この断片を、例1に記載するようにして、空気中電子線照射を使用し、50kGyに照射し、蓄積照射線量を150kGyにする。
【0358】
この150kGy照射した断片を水中の圧力チャンバー中に入れる。このブロックを195℃に5時間加熱し、次いで、等温的に60,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0359】
各照射および結晶化工程の後に、架橋密度、結晶化度および機械的特性を測定する。
【0360】
例41 高度に架橋したUHMWPEの高圧結晶化
直径約2”、高さ3”のブロックを、圧縮成形したGUR 1050UHMWPEから機械加工し、120℃で65kGyに電子線照射し、続いて融解させた。このブロックを水中の圧力チャンバー中に入れた。このブロックを195℃に5時間加熱し、次いで、等温的に52,000psiに加圧した。圧力および温度を一定に5時間保持した。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0361】
この高圧結晶化させ、高度に架橋した、融解させたUHMWPEから薄い部分(厚さ3.2mm)を機械加工した。機械的試験をドッグボーン形試料に対して、ASTMD−638により、行った。結晶化度は、例11に記載するようにして、測定した。結晶化度は63±1%であり、極限引張強度は42±4MPaであり、破断伸度は354±20%であった。高圧結晶化の前、結晶化度は59±0%であり、極限引張強度は35±2MPaであった。
【0362】
例42 高度に架橋した医療用装置の高圧結晶化
ラム押出した、または熱的にアニーリングしたGUR 1050UHMWPE原料から機械加工した、高度に架橋した医療用装置、例えば頸骨膝挿入物または圧力寛骨臼ライナー、を水中の圧力チャンバー中に入れる。このライナーを195℃に5時間加熱し、次いで、等温的に60,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持した。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0363】
例43 照射し、ドーピングしたUHMWPEの、加熱してから加圧にすることによる高圧結晶化(経路I)
医療用装置、例えば頸骨膝挿入物または圧力寛骨臼ライナー、をUHMWPE原料から機械加工する。この装置を、不活性環境中、電子線またはガンマ線で65または100kGyに照射する。続いて、この装置をα−トコフェロールでドーピングする。次いで、この装置を水中の圧力チャンバー中に入れる。この装置を195℃に5時間加熱し、次いで、等温的に45,000psi、好ましくは55,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0364】
例44 照射し、ドーピングしたUHMWPEの、加圧してから加熱することによる高圧結晶化(経路II)
医療用装置、例えば頸骨膝挿入物または圧力寛骨臼ライナー、をUHMWPE原料から機械加工する。この装置を、不活性環境中、電子線またはガンマ線で65または100kGyに照射する。続いて、この装置をα−トコフェロールでドーピングする。次いで、この装置を水中の圧力チャンバー中に入れる。この装置を先ず少なくとも45,000psi、好ましくは55,000psiに加圧し、続いて195℃に5時間加熱する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0365】
例45 照射した、残留フリーラジカルを含むUHMWPEの、加圧してから加熱することによる高圧結晶化(経路II)
UHMWPE原料をアニーリングし、UHMWPE粉末を固化させる際に取り込まれた熱的応力を低下させる。アニーリングは、下記のように行う、すなわち130℃に加熱し、5時間保持し、1℃/時間で125℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で120℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で115℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で110℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で105℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で100℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で室温に冷却する。
【0366】
医療用装置、例えば頸骨膝挿入物または圧力寛骨臼ライナー、をアニーリングしたUHMWPE原料から機械加工する。この装置を、不活性環境中、電子線またはガンマ線で65または100kGyに照射する。この時点で、装置は残留フリーラジカルを含んでいる。続いて、この装置を水中の圧力チャンバー中に入れる。この装置を先ず少なくとも45,000psi、好ましくは55,000psiに加圧し、続いて少なくとも180℃、または好ましくは195℃に5時間加熱する。圧力および温度を一定に少なくとも5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。高圧結晶化が完了した時点で、この装置は検出可能な残留フリーラジカルを含まず、結晶性が高いと期待される。
【0367】
例46 照射した、残留フリーラジカルを含むUHMWPEの、加熱してから加圧することによる高圧結晶化(経路I)
UHMWPE原料をアニーリングし、UHMWPE粉末を固化させる際に取り込まれた熱的応力を低下させる。アニーリングは、下記のように行う、すなわち130℃に加熱し、5時間保持し、1℃/時間で125℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で120℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で115℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で110℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で105℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で100℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で室温に冷却する。
【0368】
医療用装置、例えば頸骨膝挿入物または圧力寛骨臼ライナー、をアニーリングしたUHMWPE原料から機械加工する。この装置を、不活性環境中、電子線またはガンマ線で65または100kGyに照射する。この時点で、装置は残留フリーラジカルを含んでいる。続いて、この装置を水中の圧力チャンバー中に入れる。この装置を先ず少なくとも180℃、または好ましくは195℃に5時間加熱し、続いて少なくとも45,000psi、好ましくは55,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に少なくとも5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。高圧結晶化が完了した時点で、この装置は検出可能な残留フリーラジカルを含まず、結晶性が高いと期待される。
【0369】
本説明、具体例およびデータは、代表的な実施態様を示しているが、説明のために記載するのであって、本発明を限定するものではないことはいうまでもない。本明細書に含まれる考察、開示およびそこに含まれるデータから、様々な変形および修正が当業者には明らかであり、従って、本発明の一部と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0370】
【図1】種々の温度および圧力条件下におけるポリエチレンの、高圧結晶化過程および相を図式的に示す。
【図2】高結晶性の、耐酸化性の、架橋高分子材料を製造する方法の様々な工程を図式的に示す。
【図3】96時間ドーピングし、132℃で96時間アニーリングしたUHMWPEにおける、α−トコフェロールプロファイルを示す。
【図4】従来のポリエチレンおよび高圧結晶化させた従来の未照射ポリエチレンのDSCサーモグラムを示す。
【図5】高圧結晶化させた従来のポリエチレンの円筒形断面の光学顕微鏡写真を示す。
【図6】温照射/融解させた、および高圧結晶化させ、高温照射/融解させたポリエチレンのDSCサーモグラムを示す。
【図7A】高圧結晶化させた従来のUHMWPEの、(a)不透明(7A)、(b)透明(7B)、および(c)不透明から透明への過渡部分(7C)の走査電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。
【図7B】高圧結晶化させた従来のUHMWPEの、(a)不透明(7A)、(b)透明(7B)、および(c)不透明から透明への過渡部分(7C)の走査電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。
【図7C】高圧結晶化させた従来のUHMWPEの、(a)不透明(7A)、(b)透明(7B)、および(c)不透明から透明への過渡部分(7C)の走査電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。
【図8】高圧結晶化させて照射したUHMWPE、および比較用UHMWPEの種々の結晶化度を示す。
【図9】促進エージングした、100−kGy照射した、α−T−92およびα−T−127試料の表面から離れる距離と酸化指数との関係を示す。これらの曲線は、試験試料3点の平均値を示す。
【図10】エージングしていない、およびエージングした、高圧結晶化させ、100−kGye−線照射し、α−トコフェロールドーピングしたUHMWPEに対する平均最大酸化レベルを示す。ドーピングは、空気中、室温および100℃で16時間行った。対応する熱的比較試料も、ドーピングせずに、室温および100℃で、それぞれ16時間、空気中に保持した。
【図11】高圧結晶化させ、100−kGy照射し、α−トコフェロールドーピングし、促進エージングしたUHMWPEの酸化プロファイルの平均値(n=3)を示す。
【図12】エージングしていない、およびエージングした、ビタミンEドーピングした、およびドーピングしていない試料の、ピン−オン−ディスク(POD)摩耗速度を示す。
【図13】エージングしていない、促進エージングだけを行った、およびエタノール抽出し、促進エージングしたα−T−92およびα−T−127の摩耗速度を示す。
【図14】促進エージングし、111−kGy照射した比較試料、および111−kGy照射し、α−トコフェロールドーピングし、洗浄したUHMWPEの酸化プロファイルを示す。
【図15】72時間ドーピングし、136℃で100時間アニーリングした、100−kGy照射したUHMWPEのα−トコフェロールプロファイルを示す。
【関連出願】
【0001】
本願は、2004年2月3日提出された米国仮特許出願第60/541,073号(この開示は引用することにより本明細書の一部とされる)について優先権を主張したものである。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、高結晶性で耐酸化性の架橋した高分子材料を包含する、結晶性で、耐酸化性の、架橋した高分子材料の製造方法に関する。架橋した高分子材料を高圧下、高温で結晶化させる方法およびその方法で使用する材料も提供する。
【発明の背景】
【0003】
最終段階関節疾病のための全関節形成術では、最も一般的には金属/重合体関節対が使用されている。この関節対の負荷を支える関節表面には、ポリエチレン、特に超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、が、40年以上も主として使用されている(Kurtzら, Biomaterials, 1999. 20(18):p. 1659-1688)。このような再生技術に関しては長期にわたる成功率が高いにもかかわらず、ポリエチレンの摩耗および疲労損傷が、関節全体の寿命を制限している。膝全体では、充填材(implant)破損は、主としてポリエチレン成分に対する疲労損傷により引き起こされる(Collierら, J. Arthroplasty, 1996. 11(4): p.377-389)。股全体における骨軟化に対する解決策の一つは、架橋であり、これによってポリエチレンの摩耗は著しく低下する(Muratogluら, J. Arthroplasty, 2001. 16(2): p. 149-160; Muratogluら, Biomaterials, 1999. 20(16)p. 1463-1470; McKellopら, J. Orthop Res, 1999. 17(2): p. 157-167)。
【0004】
高分子材料の架橋密を高めると、耐摩耗性が著しく高くなるため、支持表面用途での関節形成術に好ましい。耐酸化性の架橋高分子材料、例えばUHMWPEは、装置の耐摩耗性を著しく増加させるので医療用装置に望ましい。架橋の方法は、UHMWPEにイオン化放射線を照射することによる。しかし、架橋によってポリエチレンの疲労強度も低下するため、構成部品が高い応力を伴う周期的な負荷にさらされる膝全体においては、高架橋密度のポリエチレンの使用は制限される。イオン化放射線は、架橋に加えて、残留フリーラジカルも発生させ、これが酸化により誘発される脆化の前駆体となる。これは、生体内装置の性能に悪影響を及ぼすことが知られている。従って、照射の後、残留フリーラジカルの濃度を、好ましくは検出不可能なレベルにまで、下げ、長期間の酸化を回避することが望まれる。
【0005】
照射したUHMWPE中の残留フリーラジカル濃度を実質的に下げる一つの方法は、照射したUHMWPEをその融解温度(例えば約137〜140℃)より上に加熱することである。融解により、残留フリーラジカルが捕獲されていると考えられる結晶性構造が解除または除去される。このフリーラジカル移動度の増加により、再結合反応が起こり易くなり、それによって、残留フリーラジカル濃度を著しく下げることができる。この技術は、残留フリーラジカルを再結合させるには有効であるが、材料の最終的な結晶化度を下げることが分かっている。この結晶化度の低下は、UHMWPEのモジュラスを低下させる。しかし、高応力用途、例えばユニコンパートメント(unicompartmental)膝設計、薄いポリエチレン頸骨膝挿入物、低適合性関節等にはクリープを最小に抑えるために高いモジュラスが望ましい。
【0006】
照射による架橋は、UHMWPEの疲労強度を低下させる。さらに、照射後の融解により、UHMWPEの疲労強度はさらに低下する。放射線および融解により、UHMWPEの降伏強度、極限引張強度、靱性および破断伸度も低下する。
【0007】
照射と融解を組み合わせることにより、架橋が形成され、大部分が結晶性区域に捕獲されている、酸素との反応により酸化性脆化を引き起こす恐れがある残留フリーラジカルの再結合が容易になる。しかし、架橋および融解の両方共、UHMWPEの結晶化度を低下させる。架橋、および結晶化度の低下は、疲労強度、降伏強度、極限引張強度、靱性および破断伸度を低下させる理由であると考えられている。これらの特性変化の一部または全部が、低摩耗性で高度に架橋したUHMWPEの、低応力用途への使用を制限している。従って、結晶化度が高い架橋したUHMWPEが、低摩耗性を必要とする高応力用途向けの低摩耗性で高疲労耐性に望ましい。
【0008】
従って、低摩耗性を必要とする高応力用途向けの高い疲労耐性を達成するには、結晶化度を下げずに、架橋したUHMWPE中の、照射により形成された残留フリーラジカルを減少させることが望ましい。融解に代わる方法を使用し、照射されたUHMWPEの長期間酸化を阻止して高レベルの結晶化度および疲労強度を保存することができる。
【0009】
従来のUHMWPEの疲労強度に対する結晶化度の影響は公知である。高圧結晶化により未照射UHMWPEの結晶化度を増加し、これによって未照射UHMWPEの疲労亀裂伝播抵抗を約25%増加させた研究者もいる(Bakerら, Polymer, 2000. 41(2): p. 795-808)。他の研究者は、高圧(2,000〜7,000バール)かつ高温(>200℃)で、ポリエチレンにおいて伸びきり鎖結晶を成長させて、より高い結晶化度レベルを達成することを見出している(Wunderlichら, Journal of Polymer Science Part A-2: Polymer Physics, 1969. 7(12): p. 2043-2050)。しかしながら、高架橋密度のUHMWPEの高圧結晶化は、これまで試行または考察されていない。また、高度に架橋したポリエチレンの高圧における結晶化挙動も確認されていない。
【0010】
ポリエチレンは、高い温度かつ圧力で、斜方晶から六方晶相への相転移を受ける。六方晶相は、伸びきり鎖結晶を成長させ、ポリエチレン中でより高い結晶化度を達成することができる。これは、斜方晶相と比較して六方晶相における束縛結晶化速度が低い結果であると考えられる。高圧結晶化の前にポリエチレン中に可塑剤または核形成剤を導入することにより、結晶化速度に対する束縛をさらに小さくすることができると考えられる。高圧結晶化の前に、ポリエチレンを可塑剤、例えばα−トコフェロールまたはビタミンE、でドーピングすることができる。このドーピングは、ポリエチレン樹脂粉末を可塑剤と混合し、その混合物を固化させるか、または固化させたポリエチレン中に可塑剤を拡散させることにより達成できる。米国特許出願第10/757,551号、2004年1月15日提出、およびPCT特許出願第PCT/US04/00857号、2004年1月15日提出(これらの開示は引用されることにより本明細書の一部とされる)に記載されているように、様々なドーピング法を採用できる。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、一般的には、耐酸化性の結晶性架橋高分子材料の製造方法に関し、好ましくは、この架橋材料は、従来の方法により得られる結晶化度よりも高い結晶化度を有する。より詳しくは、本発明は、高結晶性UHMWPEを放射線架橋させ、続いてそのUHMWPEを処理し、その耐酸化性を向上させる方法に関する。また、本発明は、架橋した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を、高圧下、高温で、六方晶相中で結晶化させ、それによって伸びきり鎖結晶が存在し、高結晶化度が達成され、続いてUHMWPEを処理し、その耐酸化性を向上させる方法にも関する。本発明は、架橋した超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を、高圧下、高温で、六方晶相中で結晶化させ、それによって、高結晶化度が達成され、残留フリーラジカル密度が低下する方法にも関する。また、本発明は、検出可能な残留フリーラジカルを含まないか、またはフリーラジカル密度が低い、耐酸化性の架橋UHMWPEの結晶化度を、高圧結晶化により増加させる方法にも関する。
【0012】
本発明の方法は、高圧下、高温でポリエチレンを結晶化させる工程、溶融状態よりも低い様々な温度で照射し、架橋の際に無定形の、折りたたみ鎖および伸びきり鎖結晶の量を制御する工程、を含んでなる。本発明は、酸化防止剤をポリエチレン中に配合するか、または架橋したポリエチレンを機械的に変形させ、アニーリングするか、もしくは高圧かつ高温で架橋したポリエチレンを処理する、耐酸化性を向上させるための方法にも関する。本方法は、本開示およびこの分野における技量に応じて、個別に、または一緒に、様々な順序で使用することができる。本発明の概要および説明に記載する範囲は、その範囲の近傍またはその範囲中のすべての数または値を包含する。本発明の範囲は、その範囲内のすべての整数および分数を明確に表示する。
【0013】
本発明の一態様は、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)加熱された高分子材料を、好ましくは少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、c)この圧力に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0014】
本発明の別の態様においては、耐酸化性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、c)この圧力に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、g)高結晶性の架橋高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、h)加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、i)この圧力に保持し、j)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、k)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0015】
本発明の別の態様においては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度でイオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0016】
本発明の別の態様においては、耐酸化性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、b)加圧された高分子材料を、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度、例えば140℃より低い温度に加熱し、c)この圧力に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、g)高結晶性の架橋高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、h)加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、i)この圧力に保持し、j)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、k)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0017】
本発明の別の態様においては、耐酸化性で高結晶性の架橋高分子材料を機械加工し、それによって医療用充填材を形成する。別の態様においては、耐酸化性で高結晶性の架橋した医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌処理し、それによって無菌の、耐酸化性で高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する。
【0018】
本発明の一態様として、架橋した高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、d)加圧されたブレンドを、100℃より高く、加圧されたブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、e)この圧力に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の架橋重合体と添加剤とのブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0019】
本発明の一態様として、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、ブレンドの融点よりも高い温度に加熱し、d)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、e)この圧力に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、耐酸化性で、高結晶性の架橋重合体と添加剤とのブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0020】
本発明の一態様として、耐酸化性であり架橋した、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、d)架橋したブレンドを、そのブレンドの融点よりも高い温度に加熱し、e)架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、f)この圧力に保持し、g)加熱された架橋したブレンドを略室温に冷却し、h)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性で高結晶性の架橋重合体と添加剤とのブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0021】
本発明の一態様として、架橋した、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、そのブレンドの融点よりも高い温度に加熱し、d)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、e)この圧力に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高分子材料を機械加工して、医療用充填材を形成し、i)医療用充填材を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0022】
本発明の一態様としては、架橋した、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaで加圧し、d)加圧されたブレンドを、100℃より高く、加圧されたブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、e)この圧力に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高分子材料を機械加工して、医療用充填材を形成し、i)医療用充填材を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0023】
本発明の一態様としては、耐酸化性であり架橋した、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、d)架橋したブレンドを、ブレンドの融点よりも高い温度に加熱し、e)架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、f)この圧力に保持し、g)加熱された、架橋したブレンドを略室温に冷却し、h)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性であり架橋した、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを形成し、i)高分子材料を機械加工して、耐酸化性であり、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する、方法を提供する。
【0024】
別の態様としては、高結晶性の架橋した重合体と添加剤とのブレンドを機械加工して医療用充填材を形成する。別の態様としては、高結晶性の架橋した医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌処理して、無菌の、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する。
【0025】
本発明の別の態様としては、高結晶性の重合体と、可塑剤または核形成剤を含む添加剤とのブレンドを製造する方法を提供する。
【0026】
本発明の別の態様としては、耐酸化性の、高度に架橋した重合体のブレンドを製造する方法であって、酸化防止性可塑剤、例えばビタミンEのような添加剤で重合体を可塑化することを含んでなる、方法を提供する。
【0027】
本発明の別の態様としては、耐酸化性で、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、高結晶性の架橋高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することをさらに含んでなる、方法を提供する。
【0028】
本発明の別の態様としては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高結晶性の架橋高分子材料を機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、b)医療用充填材を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成することをさらに含んでなる、方法を提供する。
【0029】
本発明の別の態様としては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高結晶性の架橋高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、b)酸化防止剤でドーピングした高結晶性の架橋高分子材料を機械加工して、酸化防止剤でドーピングした高結晶性の架橋した医療用充填材を形成することをさらに含んでなる、方法を提供する。
【0030】
本発明の一態様としては、酸化防止剤でドーピングした高結晶性の架橋した医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌処理して、無菌の、酸化防止剤でドーピングした高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する。
【0031】
本発明の別の態様としては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、d)圧力を略大気圧レベルに解除し、e)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、f)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することをさらに含んでなる、方法を提供する。
【0032】
本発明の別の態様としては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、d)圧力を略大気圧レベルに解除し、e)高結晶性の高分子材料を機械加工して、医療用充填材を形成し、f)医療用充填材を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を形成し、g)酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することをさらに含んでなる、方法を提供する。
【0033】
本発明の別の態様としては、耐酸化性で高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料(例えばUHMWPE)を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、酸化防止剤でドーピングした、架橋高分子材料を形成し、c)酸化防止剤でドーピングした、架橋高分子材料をその融点よりも低い温度に加熱し、d)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、e)この圧力に保持し、f)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0034】
本発明の別の態様としては、耐酸化性で、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料(例えばUHMWPE)を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、酸化防止剤でドーピングした、架橋高分子材料を形成し、c)架橋高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、d)加圧された、架橋高分子材料を、100℃より高く、加圧された架橋高分子材料の融点よりも低い温度に加熱し、e)この圧力および温度に保持し、f)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0035】
本発明の別の態様としては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、c)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、d)圧力を略大気圧レベルに解除し、e)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、f)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0036】
本発明の別の態様としては、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、c)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、d)圧力を略大気圧レベルに解除し、e)高結晶性の高分子材料を機械加工して、医療用充填材を形成し、f)医療用充填材を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を形成し、g)酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0037】
本発明の別の態様としては、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を機械加工して、医療用充填材を形成する。
【0038】
本発明の別の態様としては、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋医療用充填材を洗浄し、包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌処理して、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する。
【0039】
本発明の一態様としては、包装および滅菌の前に、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を、工業用洗浄機中で洗剤により洗浄する。別の態様としては、包装および滅菌の前に、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を、エタノール等の溶剤中に浸漬することにより、洗浄する。
【0040】
本発明の別の態様としては、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した高分子材料を洗浄し、次いで機械加工して、医療用充填材を形成する。
【0041】
本発明の別の態様では、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌処理して、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する。
【0042】
本発明の別の態様では、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を包装し、ガス滅菌により滅菌処理して、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する。
【0043】
本発明の別の態様では、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を包装し、イオン化放射線で、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上の放射線量に照射して架橋し、医療用充填材を滅菌処理する。好ましくは、放射線量レベルは、75kGyを超え、より好ましくは100kGyを超え、さらに好ましくは約150kGyである。
【0044】
本発明の一態様では、高分子材料を、加圧された高分子材料の融点を超える温度、例えば150℃、180℃、225℃、300℃、または320℃、および熱分解点温度よりも低い温度範囲内で、その間の、またはその近傍の温度に加熱する。
【0045】
本発明の別の態様としては、耐酸化性で高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、c)この圧力に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、g)酸化防止剤、例えばビタミンEでドーピングして、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、h)酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を、その融点よりも低い温度で機械的に変形させ、i)機械的に変形させた、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点よりも低い温度でアニーリングすることを含んでなる、方法を提供する。
【0046】
本発明の別の態様としては、耐酸化性で高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaの圧力下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、g)酸化防止剤、例えばビタミンEでドーピングして、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、h)酸化防止剤でドーピングした高結晶性の架橋高分子材料を、その融点よりも低い温度で機械的に変形させ、i)機械的に変形させた酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点よりも低い温度でアニーリングすることを含んでなる、方法を提供する。
【0047】
本発明の別の態様としては、耐酸化性であり、架橋した高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、ブレンドの融点よりも高い温度に加熱し、d)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、e)この圧力に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、耐酸化性であり高結晶性の架橋重合体と添加剤とのブレンドを形成し、i)酸化防止剤、例えばビタミンEでドーピングして、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋したブレンドを形成し、j)酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋したブレンドを、その融点よりも低い温度で機械的に変形させ、k)機械的に変形させた、酸化防止剤でドーピングしたブレンドを、その融点よりも低い温度でアニーリングすることを含んでなる、方法を提供する。
【0048】
本発明の別の態様としては、耐酸化性であり架橋した、高結晶性の重合体と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、d)加圧されたブレンドを、100℃より高く、加圧されたブレンドの融点よりも低い温度に加熱し、e)この圧力に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した、重合体と添加剤とのブレンドを形成し、i)酸化防止剤、例えばビタミンEでドーピングして、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋したブレンドを形成し、j)酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋したブレンドを、その融点よりも低い温度で機械的に変形させ、k)機械的に変形させた、酸化防止剤でドーピングしたブレンドを、その融点よりも低い温度でアニーリングすることを含んでなる方法を提供する。
【0049】
本発明の別の態様としては、高結晶性の高分子材料を、略室温〜約90℃の温度で、または約90℃〜高結晶性の高分子材料の融点のピーク温度で照射する。
【0050】
本発明の別の態様では、照射した高分子材料を、高分子材料の融点より低い温度、例えば約90℃〜照射した高分子材料の融点のピーク温度でアニーリングする。
【0051】
本発明の別の態様では、分子材料を、約150MPaより高く、例えば約200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPaに加圧することができる。
【0052】
さらに本発明の別の態様では、上記のように製造された、高結晶性の架橋した架橋高分子材料、および酸化防止剤でドーピングした高結晶性の架橋高分子材料、ならびに、高結晶性の架橋した、重合体と添加剤とのブレンド、を含んでなる医療用充填材を提供する。別の態様においては、高分子材料を別の部品または医療用充填材に圧縮成形し、それによって、界面または噛み合ったハイブリッド材料を形成する。この医療用充填材は、本発明の一態様において、寛骨臼ライナー、肩関節窩(shoulder glenoid)、膝蓋骨成分、指関節成分、踝関節成分、肘関節成分、手首関節成分、足指関節成分、二極人工股関節、頸骨膝挿入物、補強金属およびポリエチレンポストを備えた頸骨膝挿入物、椎間板、縫合、腱、心臓弁、ステント、血管移植片、を包含する医療用装置を含む。
【0053】
本発明の一態様として、3つ以上の融解ピークを有し、かつ約50%を超える結晶化度を有する、放射線処理したUHMWPEを提供する。別の態様としては、UHMWPEを含み、そのUHMWPEが、少なくとも2つの融解ピークを有し、かつ約50%を超える結晶化度を有する、完成製品、例えば物品、医療用装置または医療用補欠物を提供する。本発明により、UHMWPEまたは完成製品は、ビタミンEでドーピングし、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量で照射し、検出可能なフリーラジカルを有する。
【0054】
本発明の別の態様においては、UHMWPE粉末をビタミンEとブレンドし、ビタミンEをブレンドしたUHMWPEを照射して、ブレンドを、常圧で、照射したUHMWPEの融点よりも高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧することにより、高圧結晶化させ、加圧下で略室温に冷却し、除圧することにより製造したUHMWPEを提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、機械加工して完成製品、例えば医療用充填材等を形成する。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0055】
本発明の別の態様においては、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の重合体(例えばUHMWPE)と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、架橋した、高分子材料と添加剤とのブレンドを形成し、d)架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、e)加圧された架橋したブレンドを、100℃より高く、加圧された架橋したブレンドの融点よりも低い温度に加熱し、f)この圧力および温度に保持し、g)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、h)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、架橋した、高分子材料と添加剤とのブレンドを形成することを含む方法を提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、検出可能なフリーラジカルを有し、機械加工して完成製品、例えば医療用充填材等を形成する。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0056】
本発明の別の態様においては、UHMWPE粉末をビタミンEとブレンドし、ビタミンEをブレンドしたUHMWPEを照射し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、常圧で、照射したポリエチレンの融点よりも高い温度に加熱し、加圧下で略室温に冷却し、除圧することにより製造したUHMWPEを提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、検出可能なフリーラジカルを有し、機械加工して完成製品、例えば医療用充填材等を形成する。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0057】
本発明の別の態様においては、耐酸化性で、架橋した、高結晶性の重合体(例えばUHMWPE)と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、架橋した、高分子材料と添加剤とのブレンドを形成し、d)ブレンドを機械加工し、それによって、完成製品、例えば医療用充填材等を形成し、e)医療用充填材をその融点よりも高い温度に加熱し、f)医療用充填材を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、g)この圧力に保持し、h)加熱された医療用充填材を略室温に冷却し、i)圧力を略大気圧レベルに解除して、酸化防止剤でドーピングした、架橋した、高結晶性の医療用充填材を形成することを含んでなる、方法を提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、検出可能なフリーラジカルを有し、機械加工して完成製品、例えば医療用充填材等を形成する。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0058】
本発明の別の態様においては、UHMWPE粉末をビタミンEとブレンドし、ビタミンEをブレンドしたUHMWPEを照射し、完成製品、例えば医療用充填材を形成し、ブレンドを、常圧で、照射したポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧することにより、高圧結晶化させ、加圧下で略室温に冷却し、除圧することにより製造したUHMWPEを提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、その際、完成製品は、ビタミンEでドーピングしたUHMWPEを固化させ、機械加工することにより、形成される。別の態様では、完成製品は、ビタミンEでドーピングしたUHMWPEを充填材形状に直接圧縮成形することにより、形成され、その際、充填材形状は、充填材の完成した形状であるか、または充填材形状は、充填材の完成した形状にさらに機械加工する必要がある。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0059】
本発明の別の態様では、UHMWPE粉末をビタミンEとブレンドし、ビタミンEをブレンドしたUHMWPEを照射し、完成製品、例えば医療用充填材を形成し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、常圧で、照射したポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧することにより製造したUHMWPEを提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、それによって、完成製品は、検出可能なフリーラジカルを有する。完成製品は、ビタミンEでドーピングしたUHMWPEを充填材形状に直接圧縮成形することにより、形成され、その際、充填材形状は、充填材の完成した形状であるか、または充填材形状は、充填材の完成した形状にさらに機械加工する必要がある。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0060】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の重合体(例えばUHMWPE)と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、架橋した、高分子材料と添加剤とのブレンドを形成し、d)ブレンドを機械加工して、完成製品、例えば医療用充填材等を形成し、e)充填材を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、f)加圧された充填材を、100℃より高く、加圧された充填材の溶融状態よりも低い温度に加熱し、g)この圧力および温度に保持し、h)加熱された充填材を略室温に冷却し、i)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成することを含んでなる、方法を提供する。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、検出可能なフリーラジカルを有し、機械加工して完成製品、例えば医療用充填材等を形成する。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0061】
本発明の別の態様では、照射されたUHMWPEを提供するが、そこでは、UHMWPEを機械加工して完成製品、例えば物品、充填材、または医療用補欠物を形成し、完成製品を高圧結晶化させる。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGy、より好ましくは約65kGyの線量で照射するが、その際、UHMWPEは、約85℃より高く、照射されたUHMWPEの融点よりも低い温度に加熱し、UHMWPEを融解させてから、機械加工して完成製品または物品を形成する。高圧結晶化は、常圧で、照射したポリエチレンの融点よりも高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、常圧で、照射したポリエチレンの融点よりも高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧することにより、行う。高圧結晶化は、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、常圧で、照射したポリエチレンの融点よりも高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧することにより、行うこともできる。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0062】
本発明の別の態様では、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、g)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、h)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高結晶性の、高度に架橋した高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、i)この圧力および温度に保持し、j)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、k)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0063】
本発明の別の態様では、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、g)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、h)加圧された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加熱し、i)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高結晶性の、高度に架橋した高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、j)この圧力および温度に保持し、k)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、l)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0064】
本発明の別の態様では、耐酸化性で、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、g)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0065】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、g)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングして、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0066】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、b)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、g)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、その融点より低い温度で機械的に変形させ、h)機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、その融点より低い温度でアニーリングして、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0067】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、f)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、g)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、その融点より低い温度で機械的に変形させ、h)機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、その融点より低い温度でアニーリングして、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0068】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、d)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、e)この圧力および温度に保持し、f)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、i)高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、j)高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、k)この圧力および温度に保持し、l)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、m)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0069】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、d)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、e)この圧力および温度に保持し、f)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の高分子材料を形成し、h)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、i)高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、j)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、k)この圧力および温度に保持し、l)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、m)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0070】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、高度に架橋した、高結晶性の、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性のブレンドを形成し、f)ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、g)高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、h)高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、i)この圧力および温度に保持し、j)加熱された、高度に架橋したブレンドを略室温に冷却し、k)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0071】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、高度に架橋した、高結晶性の、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、b)加圧された高分子材料を、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、c)この圧力および温度に保持し、d)加熱された高分子材料を略室温に冷却し、e)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性のブレンドを形成し、f)ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、g)高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、h)加圧された、架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加熱し、i)加圧された、架橋したブレンドを、100℃より高く、加圧された、高結晶性の、高度に架橋したブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、j)この圧力および温度に保持し、k)加熱された、架橋したブレンドを略室温に冷却し、l)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0072】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、d)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、e)この圧力および温度に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性のブレンドを形成し、h)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、i)高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、j)機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングして、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0073】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、d)加圧されたブレンドを、100℃より高く、加圧されたブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、e)この圧力および温度に保持し、f)加熱されたブレンドを略室温に冷却し、g)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、h)ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、i)高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、j)機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングして、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0074】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、酸化防止剤でドーピングした、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料をその溶融状態よりも高い温度に加熱し、c)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、d)この圧力および温度に保持し、e)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、f)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、g)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、h)高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、i)高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、j)この圧力および温度に保持し、k)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、l)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0075】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、酸化防止剤でドーピングした、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料をその溶融状態よりも高い温度に加熱し、c)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、d)この圧力および温度に保持し、e)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、f)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、g)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、h)高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、i)加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、100℃より高く、加圧された、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、j)この圧力および温度に保持し、k)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、l)圧力を略大気圧レベルに解除して、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0076】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、酸化防止剤でドーピングした、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、c)加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、100℃より高く、加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、d)この圧力および温度に保持し、e)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、f)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、g)ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射して、高結晶性の、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、h)高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、i)高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、j)この圧力および温度に保持し、k)加熱された、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、l)圧力を略大気圧レベルに解除して、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0077】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、酸化防止剤でドーピングした、架橋した、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、c)加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、100℃より高く、加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、d)この圧力および温度に保持し、e)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、f)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、g)高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、h)高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、i)加圧した、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加熱し、j)加圧された、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、100℃より高く、加圧された、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、k)この圧力および温度に保持し、l)加熱された、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、m)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0078】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、c)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、d)この圧力および温度に保持し、e)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、f)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、g)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、h)高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点より低い温度で機械的に変形させ、i)機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0079】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、架橋した、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を製造する方法であって、a)高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、b)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa下で加圧し、c)加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、100℃より高く、加圧された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、d)この圧力および温度に保持し、e)加熱された、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を略室温に冷却し、f)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、g)酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、h)高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点より低い温度で機械的に変形させ、i)機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0080】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、架橋したブレンドを形成し、d)高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、e)機械的に変形させた、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0081】
本発明の別の態様では、耐酸化性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、a)高分子材料を添加剤とブレンドし、b)ブレンドを固化させ、c)ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、架橋したブレンドを形成し、d)高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、e)機械的に変形させた、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性の、高度に架橋したブレンドを形成し、f)耐酸化性の、高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、g)加圧された、高度に架橋したブレンドを、100℃より高く、加圧された、高度に架橋したブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、h)この圧力および温度に保持し、i)加熱された、高度に架橋したブレンドを略室温に冷却し、j)圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性の、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成することを含んでなる、方法を提供する。
【0082】
本発明の別の態様では、融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、この温度に保持し、略室温に冷却し、除圧し、高圧結晶化させたUHMWPEを照射し、次いで酸化防止剤、例えばビタミンE、を拡散させることにより製造したUHMWPEを提供する。高圧結晶化は、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、この圧力および温度に保持し、略室温に冷却し、除圧することにより、行うこともできる。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、その際、完成製品は検出可能なフリーラジカルを有し、完成製品は、ビタミンEでドーピングしたUHMWPEを 充填材形状に直接圧縮成形することにより、形成され、その際、充填材形状は、充填材の完成した形状であるか、または充填材形状は、充填材の完成した形状にさらに機械加工する必要がある。完成製品は包装し、滅菌処理することができる。
【0083】
本発明の別の態様では、融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、この温度に保持し、略室温に冷却し、除圧し、高圧結晶化させたUHMWPEを照射し、高圧結晶化させたUHMWPEを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、その溶融状態よりも低い温度でアニーリングすることにより製造したUHMWPEを提供する。高圧結晶化は、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、この圧力および温度に保持し、略室温に冷却し、除圧することにより、行うこともできる。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、その際、完成製品は検出可能なフリーラジカルを含まない。完成製品は、機械加工して医療用装置を形成することができる。医療用装置は包装し、滅菌処理することができる。
【0084】
本発明の別の態様では、酸化防止剤、例えばビタミンE、を拡散させ、融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、この温度に保持し、略室温に冷却し、除圧し、高圧結晶化させたUHMWPEを照射し、高圧結晶化させたUHMWPEを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、その溶融状態よりも低い温度でアニーリングすることにより製造したUHMWPEを提供する。高圧結晶化は、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、この圧力および温度に保持し、略室温に冷却し、除圧することにより、行うこともできる。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射し、その際、完成製品は検出可能なフリーラジカルを含まない。完成製品は、機械加工して医療用装置を形成することができる。医療用装置は包装し、滅菌処理することができる。
【0085】
本発明の別の態様では、酸化防止剤、例えばビタミンE、を拡散させ、融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、この温度に保持し、略室温に冷却し、除圧し、高圧結晶化させたUHMWPEを照射し、融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、この温度に保持し、室温に冷却し、除圧することにより製造したUHMWPEを提供する。高圧結晶化は、少なくとも約10〜1000MPa、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPaに加圧し、100℃より高く、加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、この圧力および温度に保持し、略室温に冷却し、除圧することにより、行うこともできる。本発明により、UHMWPEは、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約150kGyの線量に照射する。完成製品は、機械加工して医療用装置を形成することができる。医療用装置は包装し、滅菌処理することができる。
【0086】
他に定義されていない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、それらの様々な文法的な形態において、本発明が属する分野における当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載するものと類似の方法および材料を、本発明の実施および試験で使用できるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。矛盾する場合、定義を包含する本明細書が調整する。さらに、材料、方法、および例は、例示目的にのみ記載するのであって、本発明を制限するものではない。
【0087】
本発明の他の特徴、目的、および優位性は、請求項および下記の詳細な説明から明らかである。しかし、無論、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい態様を示しているが、当業者には、この詳細な説明から、本発明の精神および範囲内での様々な変形および修正が明らかなので、例示目的にのみ記載する。
【発明の詳細な説明】
【0088】
本発明は、高結晶性の、耐酸化性の、架橋高分子材料の製造方法、その材料で製造した、永久的および非永久的医療用装置を包含する医療用装置を含んでなる医療用充填材を提供する。本発明は、ポリエチレン、例えばUHMWPE、を、高圧下、高温で結晶化させ、様々な温度で照射し、架橋したポリエチレンを酸化防止剤でドーピングする方法に関する。本発明は、ポリエチレンを添加剤、例えばビタミンE、とブレンドし、溶融状態よりも低い温度における低温照射を包含する様々な温度で照射し、続いて機械的にアニーリングする方法にも関する。
【0089】
ポリエチレンは、半結晶性材料(55〜60%)であり、常圧下で溶融物から結晶化する時に折りたたみ鎖を含む。これらの結晶の大部分は、格子寸法がa、bおよびc次元に対してそれぞれ7.42、4.95、および2.55Åである斜方晶相にある。単位胞軸は相互に90°である。変形により、格子寸法8.09、4.79、および2.55Åを有する単斜晶相を与える。300MPaを超える圧力でのみ生じる(例えば、図1参照)六方晶相では、単位胞寸法は8.42、4.56、および<2.55Åになる。この相では、個々の鎖軸(stem)が、相互に不規則な相角度で回転し、鎖が互いに横滑りして通り過ぎ、密に充填された構造を形成する。この相における結晶は、密充填により結晶が、折りたたみ鎖の結晶よりも、大きく成長し得るので、「伸びきり鎖結晶(ECC)」と呼ばれる。
【0090】
未架橋UHMWPEの結晶化度は、高圧および高温結晶化により増加できることが公知である。例えば、未架橋UHMWPEを300MPaを超える圧力および180℃で結晶化させて六方晶相転移させた時、示差走査熱量測定(DSC)により測定される結晶のピーク融点は、より高温にシフトし、全体的な結晶化度が増加した。結晶化度が高い未架橋の、高圧結晶化させたポリエチレンは、結晶化度の増加と共に、疲労耐性がより高くなると思われる(Bakerら, Polymer, 2000. 41(2): p. 795-808参照)。従って、本発明の目的の一つは、結晶化度が高く(>51%)、良好な耐酸化性を有する、高度に架橋した(25〜1000kGy)ポリエチレンを達成することであった。
【0091】
重合体の高い靱性および高い疲労強度は、エネルギー吸収機構、例えばキャビテーションや塑性変形に起因する。ポリエチレンにおける主要エネルギー吸収機構は、結晶性領域の塑性変形(結晶塑性)であり、これは延性および結晶化度によって異なる。高線量レベルの照射でポリエチレンを架橋させることにより、鎖の移動度が急激に低下し、そのために全体的な延性が低下する。架橋の存在下における融解は、鎖の再整列能力を制限し、従って、ポリエチレンの結晶化度を低下させる。これら2つのファクターを組み合わせると、すなわち鎖の移動度を下げ、結晶化度を下げると、架橋した、融解したポリエチレンの疲労耐性が低下する。
【0092】
本発明により、高結晶性の、架橋した、耐酸化性のポリエチレンが、以下に説明する様々な製法および工程(例えば、図2参照)により得ることができる。
【0093】
1.経路Iまたは経路IIのいずれかを使用する、未照射/未架橋ポリエチレンの高圧結晶化
A.経路I
所望の温度、例えば溶融状態よりも高い(例えば、約140℃、約180℃、約200℃、約250℃、または約300℃)温度に加熱し、次いで加圧し、次いで圧力をほぼ同じ圧力に、1分間〜1日以上、好ましくは約0.5時間〜12時間、より好ましくは1〜6時間保持し、次いで除圧する(圧力は、高圧下で達成された結晶の融解を避けるために、室温に冷却した後で解除する)。
B.経路II
所望の圧力に加圧し、次いで所望の温度、例えば加圧されたポリエチレンの溶融状態よりも低い温度(例えば約150℃、約180℃、約195℃、約225℃、約300℃、および約320℃)、に加熱し、次いで圧力をほぼ同じ圧力に、1分間〜1日以上、好ましくは約0.5時間〜12時間、より好ましくは1〜6時間保持し、次いで室温に冷却し、次いで除圧する(圧力は、高圧下で達成された結晶の融解を避けるために、室温に冷却した後で解除する必要がある)。
【0094】
2.続く、低温または温照射を用いた高圧結晶化させた(HPC)ポリエチレンへの照射
A.低温照射(CI)
略室温〜90℃で、e−線またはガンマ放射線を使用して照射する。HPC−ポリエチレンの結晶化度が高過ぎる場合、十分な無定形ポリエチレンが架橋に使用できない場合がある。従って、所望の耐摩耗性または架橋密度を達成するには、通常の線量レベル、すなわち高圧を使用せずに結晶化させたポリエチレンに必要な線量レベル(本明細書で記載するように、例えば通常線量レベル75kGyまたは100kGy)、よりも高くする必要がある。
B.温照射(WI)
約90℃〜HPC−ポリエチレンのピーク融点、一般的には約145℃で照射する。照射の際に、照射の温度を調節し、所望の無定形程度を達成することができる。
【0095】
3.続く、照射したHPC−ポリエチレン(I−HPC)への、下記の方法の一つ、またはそれらの組合せによる処理
A.上記の様に、経路Iまたは経路IIに従って高圧結晶化を繰り返する。
B.酸化防止剤、例えばビタミンE、でドーピングするが、これは様々な様式で行うことができる、例えば
i.最終製品を機械加工し、ビタミンEまたはその溶液中に、室温〜ビタミンE溶液の沸点までの温度で浸漬し、次いで洗浄し、包装し、ガスプラズマ、エチレンオキシド、またはイオン化放射線、例えば空気中または不活性ガス中のガンマ線、で滅菌処理する。
ii.高結晶性の高分子材料をビタミンEまたはその溶液中に、室温〜ビタミンE溶液の沸点の温度で浸漬し、医療用充填材を機械加工し、次いで洗浄し、包装し、包装した医療用充填材を照射して架橋および滅菌処理する。
C.CIMA(低温照射および機械的アニーリング)法で処理する、例えば
i.90℃〜I−HPCのピーク融点の温度に加熱し、圧縮下で2.5を超える圧縮比に変形させ、変形を保持し、室温に冷却し、90℃〜I−HPCのピーク融点の温度でアニーリングし、最終製品を機械加工し、包装し、滅菌処理、好ましくはエチレンオキシドまたはガスプラズマで滅菌処理する。CIMA法は、ここにその全文を参考として含める公開米国特許第20030149125号(米国特許出願第10/252,582号)、2002年9月24日提出、に記載されているようにして使用することができる。
【0096】
本発明の一態様では、経路Iの高圧結晶化の際に、高分子材料を、融点を超える温度、例えば約140℃、約180℃、約200℃、約250℃、または約300℃、に加熱する。
【0097】
別の態様では、経路IIの高圧結晶化の際に、高分子材料を、加圧された高分子材料の融点より低い温度、例えば約150℃、約180℃、約195℃、約225℃、約300℃、および約320℃、に加熱する。
【0098】
親油性ポリエチレンと相容性がある酸化防止剤は、100kGyまでの放射線量で照射されたポリエチレンと良く混合し、それを酸化から保護する。その上、酸化防止剤は、照射後に拡散したした時、ポリエチレンの架橋を妨害しない。従って、照射後に拡散した、架橋したポリエチレンは、同時に架橋した、融解したポリエチレンに匹敵する摩耗速度を示す。溶融状態よりも低い温度における機械的変形も、照射されたポリエチレンから残留フリーラジカルを、融解せずに除去するもう一つの手法である。
【0099】
本発明は、重合体と添加剤のブレンドを高圧および高温で結晶化させ、そうして形成された高結晶性のブレンドを照射し、高結晶性の、架橋した、重合体と添加剤のブレンドを得る方法も提供する。本発明は、重合体と、酸化防止剤でもある添加剤のブレンドを高圧および高温で結晶化させ、そうして形成された高結晶性のブレンドを照射し、高結晶性の、架橋した、耐酸化性の、重合体と、酸化防止剤でもある添加剤のブレンドを得る方法も提供する。
【0100】
本発明は、高結晶性の、架橋したUHMWPEの耐酸化性を、融解させずに改良する方法も提供する。高結晶性のUHMWPEの融解は、ECCを排除し、重合体の結晶化度を下げる。従って、本発明は、融点より低い温度で酸化防止剤または機械的変形を使用する方法を提供する。本発明で、本明細書で記載する酸化防止剤でドーピングすることにより、または機械的変形方法により、耐酸化性の改良を達成することができる。機械的変形は、照射の後に、重合体を融解させずに、残留フリーラジカル密度を下げるのに使用し、例えば融点より低い温度(例えば約150℃より低い温度)で少なくとも2.0の圧縮比に単軸圧縮し、残留フリーラジカル濃度を下げる。本発明により、機械的変形の後にも持続することがある配向および熱的応力の一部は、融点未満の高温でさらにアニーリングし、冷却することにより、低減させる。アニーリングに続いて、ポリエチレンを十分に遅い冷却速度(例えば約10℃/時間)で冷却させ、熱的応力を最小に抑えるのが望ましい場合がある。
【0101】
本明細書に記載するように、機械的変形は、放射線架橋したUHMWPE中の残留フリーラジカルを排除できることが立証されている。本発明は、UHMWPEを、固体または溶融状態で、例えば圧縮により、先ず新しい形状に変形させることができる方法も提供する。本発明の方法により、UHMWPEの機械的変形を溶融状態で行うと、重合体は負荷の下で結晶化し、変形した新しい形状を維持する。変形工程に続いて、変形したUHMWPE試料を融点より低い温度で照射し、架橋させるが、これは残留フリーラジカルを発生させる。これらのフリーラジカルを減少させるか、または排除するために、照射された重合体試料を、変形させ、照射したポリエチレンの融点より低い温度(例えば、約150℃まで)に加熱し、形状記憶により、本来の形状を部分的に回復させる。一般的に、本来の形状の約80〜90%が回復すると期待される。この回復の際、結晶は運動を受け、フリーラジカルの再結合および排除に役立つ。上記の方法は、「逆IBMA」と呼ばれる。逆IBMA(溶融状態よりも低い温度での逆照射および機械的アニーリング)技術は、UHMWPEを基材とする医療用装置の大規模製造に応用するのに適した方法である。
【0102】
本発明の一態様では、高度に架橋した、融解したポリエチレンに匹敵する高い架橋密度、高い結晶化度、摩耗および酸化耐性を有し、高度に架橋した、融解したポリエチレンより高い疲労耐性を有する、永久的および非永久的医療用装置を包含する医療用充填材を開示する。
【0103】
本明細書で開示する医療用充填材は、本明細書で開示する様々な方法、例えば高分子材料固化させ、固化した高分子材料を、例えば150℃を超える高温、および例えば10〜1000MPaを超える高圧(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、で結晶化させ、続いて室温に冷却した後、常圧に除圧し、続いて高圧結晶化させた高分子材料を加熱し、特定の温度、例えば150℃未満、に保持して部分的に無定形のポリエチレンを達成し、イオン化放射線により、1kGyを超える、例えば約25〜400kGy以上、好ましくは約75kGy、より好ましくは約100kGy、さらに好ましくは約150kGyの、線量に照射し、酸化防止剤でドーピングするか、または例えば機械的変形およびアニーリングおよび/または高い圧力および温度で結晶化させることにより、残留フリーラジカルの濃度を下げることにより、耐酸化性を増加させる方法により、得ることができる。
【0104】
高圧下での結晶化は、先ずポリエチレンを定圧で融解させ、続いて10〜1000MPaより高く(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、室温に冷却するか、または先ず10〜1000MPaより高く(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、次いで温度を、斜方晶相から六方晶相への相転移が起こるまで増加し、次いで冷却し、除圧することにより、行うことができる。
【0105】
溶融状態の保持時間、加圧下の保持時間、最終的な温度と圧力、および冷却速度を変化させ、最も高い結晶化度およびほぼ等しい量の伸びきり鎖結晶および折りたたみ鎖結晶を得ることができる。
【0106】
高圧結晶化したポリエチレンの折りたたみ鎖結晶が融解する温度、およびその温度での保持時間を変化させ、伸びきり鎖結晶と折りたたみ鎖結晶の所望の比および無定形含有量を得ることができる。
【0107】
照射により、高圧結晶化したポリエチレンが架橋し、耐摩耗性が得られる。照射は、室温またはポリエチレンの融点より低い温度で行うことができる。照射は、空気中、真空中、または不活性ガス、例えば窒素または希ガス、を包含する、酸素を含まない環境で行うことができる。照射は、電子線、ガンマ放射線、またはX線照射により行うことができる。
【0108】
イオン化放射線により引き起こされる残留フリーラジカルの有害な酸化性効果は、酸化防止剤、例えばα−トコフェロール、を、高圧結晶化した、部分的に融解した、架橋したポリエチレン中に拡散させることにより、低減する。酸化防止剤は、照射された材料の酸化を防止する。酸化防止剤によるポリエチレンのドーピングは、本明細書に記載するように行う。
【0109】
イオン化放射線により引き起こされる残留フリーラジカルの有害な酸化性効果は、重合体と、やはり酸化防止剤、例えばα−トコフェロール、である添加剤のブレンドを使用し、高圧結晶化および照射することにより、低減される。
【0110】
別の態様では、イオン化放射線により引き起こされる残留フリーラジカルを、機械的アニーリングにより除去するが、そこではポリエチレンを融点より低い温度(約150℃より低い温度)、好ましくは145℃、より好ましくは約140℃、に加熱し、機械的に変形させて残留フリーラジカルに移動度を与え、再結合させ、安定化させる。
【0111】
別の態様では、ポリエチレンを加熱して融解させることにより、イオン化放射線照射の際に発生した残留フリーラジカルを除去する。照射されたポリエチレンの融解は、照射に続く高圧結晶化の一部として使用する。
【0112】
高結晶性のポリエチレンは、未照射ポリエチレンの高圧結晶化、それに続く照射、および照射中に発生したフリーラジカルの排除を含んでなる方法により、達成される結晶化度の犠牲を最小に抑えながら、製造することができる。
【0113】
本発明の一態様により、ポリエチレンを約10〜1000MPaを超える(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、さらに好ましくは320MPaを超える圧力に加圧し、約180℃または約225℃に加熱し、この温度および圧力に保持し、室温に冷却し、圧力を常圧に下げ、室温で照射する。続いて、高圧結晶化したポリエチレンの耐酸化性を改良するために、下記の方法の一つを使用することができる。すなわち、a)高圧結晶化したポリエチレンを酸化防止剤、例えばビタミンE、でドーピングする、またはb)高圧結晶化したポリエチレンをその融点より低い温度で機械的変形させ、続いてその融点近くでアニーリングし、実質的にCIMA法のいずれかを適用する、およびc)融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、さらに好ましくは320MPaを超える圧力に加圧し、この温度および圧力に保持し、略室温に冷却し、圧力を常圧に下げる。
【0114】
高結晶性のポリエチレンを室温で照射することの潜在的な欠点は、架橋が主として起こる無定形相の濃度が低下する場合があり、結晶化度が増加したポリエチレンでは、照射により形成された架橋の濃度も低下する場合があることである。従って、ポリエチレンを、結晶性の重合体が約60%以下であり、無定形含有量が増加する高温で照射するのが好ましい。高圧結晶化したポリエチレンは、2つの融解ピークを示し、一方は約137℃にあり、他方は約140℃より高い。第二のピークは、高圧結晶化の際に形成され、伸びきり鎖結晶(大きい方)を代表する。本発明の一態様では、下記の手順を採用する。すなわち、140℃より低い温度に加熱して小さな結晶を融解させ、小さな結晶を含む領域を架橋させ、この温度で照射(温照射(WI))し、次いで下記の方法の一つを使用し、高圧結晶化したポリエチレンの耐酸化性を改良する。
a)高圧結晶化したポリエチレンを酸化防止剤、例えばビタミンE、でドーピングする、
b)高圧結晶化したポリエチレンをその融点より低い温度で機械的変形させ、続いてその融点近くでアニーリングし、実質的にCIMA法の一つを適用する、および
c)融点より高い温度に加熱することにより融解させ、次いで少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、さらに好ましくは320MPaを超える圧力に加圧し、圧力および温度をほぼ一定に保持し、略室温に冷却し、圧力を常圧に下げる。この方法の融解工程は結晶を排除するので、この方法に続いて高圧結晶化を行い、高レベルの結晶化度を達成する。
【0115】
本発明の一態様では、高圧結晶化したポリエチレンのドーピングは、酸化防止剤、例えばα−トコフェロール、例えばビタミンE、を拡散させることにより、行うことができる。本発明の一態様では、温度および/または圧力を増加することにより、酸化防止剤の拡散を促進する。
【0116】
本発明の別の態様では、純粋な形態、例えば純粋なビタミンEとして、または溶剤中に溶解させた形態を包含する様々な形態で酸化防止剤を送達する。
【0117】
本発明の別の態様では、酸化防止剤溶液、例えばビタミンE溶液、の濃度を増加することにより、ポリエチレン中への酸化防止剤の拡散速度を増加する。
【0118】
本発明の別の態様では、高圧結晶化したポリエチレンを、超臨界流体、例えば超臨界CO2、すなわち温度が超臨界温度、31.3℃より高く、圧力が超臨界圧力、73.8バールより高い流体中で膨潤させることにより、ポリエチレン中への酸化防止剤の拡散速度を増加する。
【0119】
一般的に、例えば酸化防止剤としてビタミンEの場合、樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物をビタミンEと混合し、固化させた後、高分子材料の色が黄色に変化する。本発明の一態様では、固化に続いてドーピングすることにより、ビタミンEが固化の高い温度および圧力にさらされず、高分子材料の変色が阻止される。
【0120】
固化した状態でドーピングすることにより、固化した高分子材料中に酸化防止剤の勾配を達成することができる。医療用装置中の高分子材料の酸化が摩耗の観点で問題となる表面層の特定の厚さをドーピングすることができる。これは、完成した装置、例えば完成した医療用充填材、を、純粋なビタミンEまたはビタミンEの溶液中に、特定の温度で特定時間、単純に浸漬するか、または浸すことにより、達成できる。
【0121】
本明細書に記載する方法により、酸化防止剤、例えばビタミンE、を高圧結晶化した高分子材料中に、照射の前、最中、または後にドーピングすることができる。
【0122】
ドーピングした酸化防止剤が、医療用充填材または医療用装置の製造に使用した高分子材料から、使用前の貯蔵中または生体内使用中に浸出することは可能である。永久的医療用装置には、生体内の持続時間は、患者の余命までになることがあり、これは装置の植え込みから患者の死亡までの長さ、例えば1〜120年である。酸化防止剤の浸出が問題になる場合、医療用充填材または医療用装置の照射もしくはそれらのいずれかの部分の照射は、酸化防止剤をドーピングした後に行うことができる。これによって、酸化防止剤を宿主重合体に共有結合により架橋させ、医療用充填材または装置からの酸化防止剤の損失を確実に最小に抑えることができる。
【0123】
本発明の別の態様では、酸化防止剤をドーピングした高分子材料または酸化防止剤ドーピングした医療用充填材を、包装および滅菌処理の前に、工業用洗浄機中で洗剤で洗浄することができる。工業用洗浄機、例えば洗浄機/乾燥機、例えばHAMO T-21または洗浄機/消毒薬/乾燥機、例えばHAMO M-100(HAMO AG, Pieterlen, スイス製)を使用できる。
【0124】
本発明の別の態様では、酸化防止剤をドーピングした高分子材料または酸化防止剤ドーピングした医療用充填材を、包装および滅菌処理の前に、溶剤、例えばエタノール、中に浸漬することができる。酸化防止剤が溶解する溶剤を選択し、洗浄環境が、高分子材料から酸化防止剤を除去するための伝導性環境を与えることができる。これによって、酸化防止剤をドーピングした高分子材料から酸化防止剤が浸出する可能性が小さくなる。溶剤は、室温でも高温でも、常圧下でも高圧下でも、静止していても攪拌されていてもよい。酸化防止剤をドーピングした高分子材料または医療用充填材が溶剤と接触する時間は、約1時間から、少なくともドーピングが行われた時間まででよく、好ましくは16時間未満である。
【0125】
本発明の別の態様では、高分子材料、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物を酸化防止剤と混合し、次いでその混合物を固化させる。固化した、酸化防止剤でドーピングした高分子材料(ブレンド)を、機械加工し、医療用充填材中の部品として、または医療用装置として使用することができる。
【0126】
本発明の別の態様により、高圧結晶化した高分子材料、例えば高圧結晶化した樹脂粉末、成形シート、ブロー成形シート、チューブ、バルーン、フレーク、粒子、またはそれらの混合物を、酸化防止剤、例えばα−トコフェロールの形態にあるビタミンE、で、拡散によりドーピングすることができる。高圧結晶化した高分子材料、例えば高圧結晶化したUHMWPE、を、100%ビタミンEまたはα−トコフェロールをアルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノール、に入れた溶液中に浸漬することができる。α−トコフェロールの約50重量%エタノール溶液を使用し、超臨界流体、例えばCO2、と接触させたUHMWPE中に拡散させることができる。
【0127】
本発明は、高度に架橋したポリエチレンから製造され、金属片を含む医療用装置、例えば二極人工股関節、補強金属およびポリエチレンポストを備えた頸骨膝挿入物、椎間板系、およびガス滅菌法により容易に滅菌できない表面を含むすべての充填材を製造するための下記の処理工程にも関する。
【0128】
本発明の一態様により、医療用充填材の高圧結晶化したポリエチレン成分が別の材料(モジュール式の充填材ではない)、例えば金属製メッシュまたはバック、非金属製メッシュまたはバック、頸骨トレー、膝蓋骨トレー、または寛骨臼シェル、と緊密に接触し、その際、ポリエチレン、例えば樹脂粉末、フレークおよび粒子をこれらの対向面に直接圧縮成形する。例えば、ポリエチレン頸骨挿入物をポリエチレン樹脂粉末を頸骨トレーに、金属製メッシュまたはバックに、もしくは非金属製メッシュまたはバックに圧縮成形することにより製造する。後者の場合、メッシュは、成長骨(bony in-growth)を通して、または接着剤、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)骨セメントの使用により、骨との固定界面として役立つように成形する。これらの形状は、寛骨臼ライナー、全またはユニコンパートメント膝充填材用の頸骨トレー、膝蓋骨トレー、および関節窩成分、踝、肘、または指成分を包含する様々な形態を有する。本発明の別の態様は、成形されたポリエチレンと、充填材の一部を形成する他の断片、例えば金属または非金属片、との機械的な噛み合わせに関する。その場合、金属片を含む固化したポリエチレンを高圧結晶化(HPC)させ、高結晶性のポリエチレンを達成する。HPCは、非モジュール式充填材を先ず加熱または加圧することにより行う。
【0129】
界面の幾何学的構造は、ポリエチレンがその固化した形状で、その幾何学的構造を取るので、極めて重要である。ポリエチレンは、高密度の物理的絡み合いを生じる非常に高い分子量を有するために、「形状記憶」の顕著な特性を有する。固化に続いて、塑性変形が、融解した時に好ましい高エントロピー形状を達成する永久的形状変化を導入する。この、本来の固化した形状の回復は、ポリエチレンを固化させた時に達成される「形状記憶」によるものである。この形状記憶のために、機械的噛み合わせは、非モジュール式充填材の高圧結晶化の最中および後にも無傷のまま残る。
【0130】
本発明の別の態様は、対向面に機械的噛み合わせにより成形されたポリエチレンの高圧結晶化に続いて、そのハイブリッド成分をイオン化放射線を使用して所望の線量レベル、例えば約25kGy〜約1000kGy、好ましくは約50kGy〜約150kGy、に照射する。本発明の別の態様は、照射工程が残留フリーラジカルを発生させるので、その後に融解工程を導入し、残留フリーラジカルを消滅させてから、別の高圧結晶化工程を行うことを開示する。ポリエチレンを最初に界面の形状に固化させ、それによって、重合体の「形状記憶」を設定するので、ポリエチレンは、融解およびその後の高圧結晶化工程の際に、対向面から分離しない。
【0131】
本発明の別の態様では、ポリエチレンを架橋させ、ポリエチレンを基材とする医療用装置を製造する方法であって、装置を耐酸化性媒体、例えば不活性ガスまたは不活性流体、中に浸漬し、媒体を、照射された、高結晶性のポリエチレン、例えば高圧結晶化したUHMWPE、の融点より高い温度(約140℃を超える)に加熱し、結晶性物質を排除し、再結合/残留フリーラジカルを達成する、方法を提供する。圧縮成形された重合体の形状記憶が機械的に噛み合わされた界面で設定され、その記憶は架橋工程により強化されるので、ポリエチレンと対向面との間の界面に重大な分離は起こらない。
【0132】
本発明の別の態様は、上記のフリーラジカル排除工程に続いて、照射の際に高い照射線量レベルにより、金属と重合体との間の界面が無菌になることを提供する。HPC−ポリエチレンの外側表面上に、フリーラジカル排除工程または照射工程の際に誘発されるかなりの酸化がある場合、装置の表面をさらに機械加工し、酸化された表面層を除去することができる。本発明の別の態様では、充填材の融解後の機械加工を行う場合、融解工程を不活性ガスの存在下で行うことができる。
【0133】
本発明の別の態様は、界面は無菌であるが、残りの部分が無菌ではない場合、装置をエチレンオキシド、ガスプラズマ、または他のガスでさらに滅菌する、製作された装置の滅菌処理方法を包含する。
【0134】
UHMWPEと添加剤のブレンドから製造された完成製品の照射と、それに続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を照射し、次いで高圧結晶化する。すなわち、高分子材料、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物、を添加剤、例えば酸化防止剤、好ましくはビタミンE(好ましくは約10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは0.3%未満、さらに好ましくは0.1%未満のビタミンE)と混合/ブレンドし、次いで
a.ブレンドを固化させ、好ましくは固化させたブレンドをアニーリングし、熱的応力を除去する工程を加えること、および
b.ブレンドを機械加工し、完成製品を形成すること、または
c.ブレンドを直接圧縮成形し、完成製品を形成すること
により、物品または医療用装置を形成する。
【0135】
完成製品は、少なくとも1kGy、好ましくは約25kGy〜約1000kGy以上、より好ましくは約25、50、75、100、125、150、175、または200kGyの線量に、ガンマ線、e−線、またはX線により照射する。
【0136】
照射された完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0137】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0138】
UHMWPEと添加剤のブレンドから製造された完成製品の照射と、それに続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を照射し、次いで高圧結晶化する。すなわち、高分子材料、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物、を添加剤、例えば酸化防止剤、好ましくはビタミンE(好ましくは約10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは0.3%未満、さらに好ましくは0.1%未満のビタミンE)と混合/ブレンドし、次いで
a.高分子材料を拡散により酸化防止剤でドーピングすること、および
b.ブレンドを機械加工し、完成製品を形成すること、または
c.ブレンドを直接圧縮成形し、完成製品を形成すること
により、物品または医療用装置を形成する。
【0139】
完成製品は、少なくとも1kGy、好ましくは約25kGy〜約1000kGy以上、より好ましくは約25、50、75、100、125、150、175、または200kGyの線量に、ガンマ線、e−線、またはX線により照射する。
【0140】
照射された完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0141】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0142】
UHMWPEと添加剤のブレンドから製造された完成製品の照射と、それに続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を照射し、次いで高圧結晶化する。すなわち、高分子材料、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物、を添加剤、例えば酸化防止剤、好ましくはビタミンE(好ましくは約10%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは0.3%未満、さらに好ましくは0.1%未満のビタミンE)と混合/ブレンドし、次いで
a.ブレンドを機械加工し、完成製品を形成すること、または
b.ブレンドを直接圧縮成形し、完成製品を形成すること、および
c.高分子材料を拡散により酸化防止剤でドーピングすること
により、物品または医療用装置を形成する。
【0143】
完成製品は、少なくとも1kGy、好ましくは約25kGy〜約1000kGy以上、より好ましくは約25、50、75、100、125、150、175、または200kGyの線量に、ガンマ線、e−線、またはX線により照射する。
【0144】
照射された完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0145】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0146】
完成製品の照射、融解、および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を照射し、融解させ、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0147】
高分子材料を照射し、融解させ、機械加工して完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を形成する。
【0148】
完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0149】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0150】
完成製品の照射および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を照射し、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0151】
高分子材料を照射し、機械加工して完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を形成する。
【0152】
完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0153】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0154】
完成製品の温照射、融解、および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を温照射し、融解させ、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0155】
高分子材料を、室温より高い温度、例えば約80℃を超え、高分子材料の融点より低い温度で温照射する。温照射した高分子材料を融解させ、機械加工して完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を形成する。
【0156】
完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0157】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0158】
完成製品の温照射および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を温照射し、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0159】
高分子材料を、室温より高い温度、例えば約80℃を超え、高分子材料の融点より低い温度で温照射し、機械加工して完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を形成する。
【0160】
完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0161】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
【0162】
完成製品の低温照射および機械的アニーリング(CIMA)および機械加工に続く高圧結晶化
本発明の一態様により、下記の様に、完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、をCIMA法により照射し、機械加工し、次いで高圧結晶化する。
【0163】
高分子材料を、高温、例えば90℃を超え、140℃より低い温度で照射し、機械的に変形させ、加圧下で室温に冷却するまで変形させ、室温より高い温度、例えば90℃を超え、140℃より低い温度でアニーリングして変形した状態を回復させ、機械加工して完成製品、例えば物品、医療用装置、または医療用補欠物、等、を形成する。
【0164】
完成製品は、
a.常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、加圧下で略室温に冷却し、圧力を解除すること、または
b.少なくとも約10〜1000MPa(例えば、少なくとも約150MPa、200MPa、250MPa、310MPa、300MPa、320MPa、400MPa、または450MPa)、好ましくは少なくとも約150MPa、より好ましくは少なくとも約250MPa、に加圧し、常圧下で、照射されたポリエチレンの融点より高い温度に加熱し、略室温に冷却し、除圧すること
により高圧結晶化させる。
【0165】
高圧結晶化された完成製品は、包装し、滅菌処理することができる。
定義
【0166】
「高圧結晶化された」(HPC)とは、本発明により、本明細書に記載する高圧結晶化過程を受けた高分子材料の状態を意味する。
【0167】
「高圧結晶化」とは、本発明により、本明細書に記載する、高圧結晶化されたポリエチレンを製造する方法を意味する。
【0168】
「高結晶性の」または「高結晶化度」とは、材料の結晶化度が少なくとも約51%である状態を意味する。
【0169】
「酸化防止剤」とは、この分野で公知の内容を意味する(例えば、国際特許第WO01/80778号、米国特許第6,448,315号参照)。アルファ−およびデルタ−トコフェロール、プロピル、オクチル、またはドデシルガレート、乳酸、クエン酸、および酒石酸およびそれらの塩、オルトホスフェート、トコフェロールアセテート。好ましくはビタミンEである。
【0170】
「超臨界流体」とは、この分野で公知の、例えば超臨界プロパン、アセチレン、二酸化炭素(CO2)を意味する。これに関して、臨界温度とは、それを超えると、ガスが圧力だけでは液化できない温度である。臨界温度において、ある圧力未満で、ある物質がその液体と平衡状態にあるガスとして存在し得る場合、その圧力が臨界圧である。超臨界流体状態は、一般的に流体が、超臨界流体およびそれによって、超臨界流体混合物が得られるような温度および圧力にさらされることを意味し、その温度は超臨界温度を超え、超臨界温度は、CO2では31.3℃であり、その圧力は超臨界圧を超え、超臨界圧は、CO2では73.8バールである。より詳しくは、超臨界条件とは、例えばUHMWPEと酸化防止剤の混合物の、高い温度および圧力で、超臨界流体混合物が形成され、次いで、その混合物からCO2が蒸発し、酸化防止剤でドーピングされたUHMWPEが得られる条件である(例えば、米国特許第6,448,315号および国際特許第WO02/26464号、参照)。
【0171】
本明細書で使用する用語「圧縮成形」とは、一般的にはこの分野で公知の内容に関し、特に高分子材料を高温成形することに関連し、粉末形態を包含するすべての物理的状態にある高分子材料がスラブ形態または医療用充填材、例えば頸骨挿入物、寛骨臼ライナー、関節窩ライナー、膝蓋骨、またはユニコンパートメント挿入物、の型の中に圧縮される。
【0172】
本明細書で使用する用語「直接圧縮成形」とは、一般的にはこの分野で公知の内容に関し、特にポリエチレンを基材とする装置、例えば医療用充填材、に適用できる成形に関連し、そこでは粉末形態を包含するすべての物理的状態にあるポリエチレンが、非中空の支持体、例えば金属製バック、金属製メッシュ、または溝、刻み目または切り取り部を含む金属表面に押し付けられる。圧縮成形は、ポリエチレンを、樹脂粉末、フレークおよび粒子を包含する様々な状態で、対向面に高温圧縮成形し、医療用充填材、例えば頸骨挿入物、寛骨臼ライナー、関節窩ライナー、膝蓋骨、またはユニコンパートメント挿入物、を形成することも包含する。
【0173】
用語「機械的に噛み合わされた」とは、一般的にはポリエチレンと対向面の噛み合わせを意味し、これは、圧縮成形、熱および照射、を包含する様々な方法で行われ、それによって、噛み合う界面を形成し、噛み合わされたポリエチレンを「形状記憶」させる。そのような噛み合わせ界面を有する装置の成分は、「ハイブリッド材料」と呼ぶことができる。そのようなハイブリッド材料を有する医療用充填材は、実質的に無菌の界面を含む。
【0174】
用語「実質的に無菌」とは、物体、例えば界面またはハイブリッド材料または界面を含む医療用充填材、の、その界面が、医療用に受け入れるのに十分に無菌である、すなわち感染を引き起こさないか、または修正手術を必要としない、状態を意味する。
【0175】
「金属製メッシュ」とは、様々な細孔径、例えば0.1〜3mm、の多孔質金属表面を意味する。多孔質表面は、幾つかの異なった方法により得られ、例えば金属粉末を結合剤と共に焼結させ、この結合剤を続いて除去し、後に多孔質表面を残すか、直径0.1〜3mmの短い金属繊維を焼結させるか、または異なったサイズの金属製メッシュを重ね合わせ、連続開気孔構造を得る。
【0176】
「骨セメント」とは、この分野で公知の、医療用装置を骨に結合させるのに使用する接着剤を意味する。典型的には、骨セメントは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)から製造される。
【0177】
「高温圧縮成形」とは、あらゆる形態、例えば樹脂粉末、フレークまたは粒子、にあるポリエチレンを、圧力および温度をかけて圧縮成形し、新しい幾何学的構造を与えることを意味する。高温(ポリエチレンの融点より高い)圧縮成形の際、ポリエチレンをその融点より高い温度に加熱し、所望の形状を有する型の中に押し込み、加圧下で冷却させ、所望の形状を維持する。
【0178】
「形状記憶」とは、この分野で公知のように、ポリエチレン、例えばUHMWPE、の、融解した時に好ましい高エントロピー形状を取る特性を意味する。好ましい高エントロピー形状は、樹脂粉末を、圧縮成形を通して固化させた時に達成される。
【0179】
「検出可能な残留フリーラジカルが実質的に無い」とは、ポリエチレン成分の、十分なフリーラジカルを排除し、酸化性劣化を避ける状態を意味し、これは電子スピン共鳴(ESR)により評価できる。「検出可能な残留フリーラジカル」とは、ESRにより検出可能なフリーラジカルの最も低いレベルを意味する。現状技術水準の計器で検出可能なフリーラジカルの最も低いレベルは、約1014スピン/グラムであり、従って、用語「検出可能な」とは、ESRによる1014スピン/グラムの検出限界を意味する。
【0180】
数値および範囲における用語「約」または「およそ」は、本発明を意図した通りに実行できるように、例えば本明細書に含まれる開示から当業者には明らかなように、所望の程度の結晶化度または架橋を有する、および/またはフリーラジカルが所望の程度に少なくなるように、記載する値または範囲に近似するか、または近い値または範囲を意味する。これは、少なくとも部分的に、重合体組成物の特性が様々なであることに起因する。従って、これらの用語は、系統的な誤差から生じる値を超える値を包含する。
【0181】
高分子材料 超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)とは、分子量が約500,000を超える、好ましくは約1,000,000を超える、より好ましくは約2,000,000を超える、直鎖状の、分岐していないエチレン鎖を意味する。初期平均分子量とは、あらゆる照射前の、UHMWPE出発材料の平均分子量を意味する(米国特許第5,879,400号、PCT/US99/16070/号、1999年7月16日提出、PCT/US97/02220/号、1997年2月11日提出、および公開米国特許第2003049125号(米国特許出願第10/252,582号)、2002年9月24日提出、参照)。
【0182】
本発明の製品および方法は、様々な種類の高分子材料、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、またはそれらの混合物を包含するすべてのポリオレフィン、にも適用される。高分子材料は、本明細書で使用するように、様々な形態のポリエチレン、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、粉末、またはそれらの混合物、もしくは上記のいずれかに由来する固化した形態、にも適用される。
【0183】
用語「添加剤」とは、ベース重合体に50v/v%未満で加えることができるすべての材料を意味する。この材料は、ベース重合体の分子量より低い分子量を有する、有機または無機材料でよい。添加剤は、高分子材料に異なった特性を与えることができ、例えば、添加剤は、可塑剤、核形成剤、または酸化防止剤でよい。
【0184】
「ブレンドする」とは、一般的に、ポリオレフィンをその固化前の形態で添加剤と混合することを意味する。両方の構成成分が固体である場合、ブレンドは、第三の成分、例えば液体、を使用して行い、2成分の混合を仲介し、その後、その液体を蒸発により除去することができる。添加剤が液体、例えばα−トコフェロール、である場合、固体を大量の液体と混合し、次いで固体の重合体を使用して所望の濃度に希釈し、均質なブレンドを得ることができる。添加剤が酸化防止剤、例えばビタミンE、またはα−トコフェロール、でもある場合、ブレンドされた重合体は、酸化防止剤でドーピングもされている。高分子材料は、本明細書で使用するように、ポリオレフィンと可塑剤のブレンド、例えばUHMWPE樹脂粉末をα−トコフェロールとブレンドし、固化させたものにも適用される。高分子材料は、本明細書で使用するように、添加剤、ポリオレフィンおよび可塑剤のブレンド、例えばα−トコフェロール中に浸漬したUHMWPE、にも適用される。
【0185】
「可塑剤」とは、この分野で公知の、ベース重合体の分子量より低い分子量を有する材料、例えばポリエチレン中のα−トコフェロールまたはポリエチレン中の低分子量ポリブタジエン、を意味し、どちらの場合も、ポリエチレンがベース重合体である。可塑剤は、典型的にはベース重合体に20重量%未満で添加される。可塑剤は、たわみ性を増加し、高分子材料を軟化させる。
【0186】
用語「可塑化」または「可塑化する」とは、可塑剤が、それを加えた高分子材料に付与する特性を意味する。これらの特性には、破断伸度の増加、剛性低下、および延性増加があるが、これらに限定するものではない。
【0187】
「核形成剤」とは、この分野で公知の、高分子材料中の結晶化度を増加する、ベース重合体の分子量より低い分子量を有する有機または無機材料を意味する。典型的には、有機カルボン酸塩、例えば炭酸カルシウム、がポリオレフィンに対する良好な核形成剤である。核形成剤は、典型的には低濃度、例えば0.5重量%、で使用される。
【0188】
ドーピング ドーピングとは、この分野で良く知られている過程である(例えば米国特許第6,448,315号および第5,827,904号参照)。これに関して、ドーピングは、一般的に、本明細書で記載するように、高分子材料を酸化防止剤と特定の条件下で接触させることを意味し、例えばUHMWPEを、超臨界条件下で酸化防止剤でドーピングする。「ドーピング」は、ベース高分子材料中に第二の成分を50v/v%未満の量で導入することも意味する。より詳しくは、ドーピングとは、高分子材料中に酸化防止剤を、最も多くは周囲の媒体から高分子材料中に酸化防止剤の拡散により、導入することを意味する。そのように処理された高分子材料は、「酸化防止剤でドーピングされた」高分子材料と呼ばれる。しかし、酸化防止剤を高分子材料中にドーピングする方法は、拡散方法に限定されない。高分子材料は、他の添加剤、例えば可塑剤、によっても「ドーピング」することができ、この場合、そのように処理された高分子材料は、「可塑剤でドーピングされた」と呼ばれる。
【0189】
より詳しくは、例えばHPC高分子材料は、その材料を酸化防止剤溶液中に浸漬することにより、酸化防止剤でドーピングすることができる。これによって、酸化防止剤を重合体中に拡散させることができる。例えば、材料を100%酸化防止剤中に浸漬することができる。材料を酸化防止剤溶液中に浸漬することもでき、その際、キャリヤー溶剤は、酸化防止剤濃度の希釈に使用できる。酸化防止剤の拡散深度を増加させるために、材料をより長い時間、より高い温度で、より高い圧力で、および/または超臨界流体の存在下で浸漬することができる。
【0190】
ドーピング工程では、高分子材料、医療用充填材または装置に、酸化防止剤、例えばビタミンE、を、約1時間〜数日間、好ましくは約1時間〜24時間、より好ましくは1時間〜16時間しみ込ませることができる。酸化防止剤を室温に、または約160℃まで加熱することができ、ドーピングを室温で、または約160℃までで行うことができる。好ましくは、酸化防止剤を100℃に加熱し、ドーピングを100℃で行う。
【0191】
ベース高分子材料中の酸化防止剤の均質性をさらに高めるために、ドーピングされた高分子材料を融点より低いか、または高い温度でアニーリングする。アニーリングは、好ましくは約1時間〜数日間、より好ましくは約1時間〜24時間、最も好ましくは1時間〜16時間行う。ドーピングされた高分子材料は、室温に、または約160℃まで加熱することができ、アニーリングを室温で、または約160℃までで行うことができる。好ましくは、ドーピングされた高分子材料を100℃に加熱し、アニーリングを100℃で行う。
【0192】
用語「従来のUHMWPE」とは、市販の、分子量が約500,000を超えるポリエチレンを意味する。好ましくは、UHMWPE出発材料は、平均分子量が約2百万を超える。
【0193】
「初期平均分子量」とは、あらゆる照射前の、UHMWPE出発材料の平均分子量を意味する。
【0194】
架橋性ポリエチレン高分子材料 高分子材料、例えばUHMWPE、は、架橋薬品(例えば過酸化物および/またはシラン)および/または照射を使用する方法を包含する、様々な手法により架橋させることができる。架橋させるための好ましい手法は、照射を使用する。架橋したUHMWPEは、ここにその全文を参考として含める、米国特許第5,879,400号、PCT/US99/16070号、1999年7月16日提出、PCT/US97/02220/号、1997年2月11日提出、公開米国特許第2003049125号(米国特許出願第10/252,582号)、2002年9月24日提出、および米国特許第6,641,617号の開示により得ることができる。
【0195】
固化した高分子材料 固化した高分子材料とは、固体の、固化した棒状原料、原料から機械加工した固体材料、または本明細書に記載する、固化させることができるすべての形態、例えば樹脂粉末、フレーク、粒子、またはそれらの混合物、に由来する高分子材料半固体形態を意味する。固化した高分子材料は、スラブ、ブロック、固体の棒状原料、機械加工した部品、フィルム、チューブ、バルーン、プリフォーム、充填材、または完成した医療用装置の形態でもよい。
【0196】
「結晶化度」とは、重合体の、結晶性である画分を意味する。結晶化度は、試料の重量(グラムで表示した重量)、融解中に試料によって吸収された熱(E、J/gで表示)、および性結晶の融解熱(ΔH=291J/g)を知ることにより、下記の式により計算される。
結晶化度%=E/w・ΔH
【0197】
引張「弾性率」は、標準的な試験ASTM638MIII、等またはそれらの後継版を使用して求められる、公称応力と対応するひずみの比を意味する。
【0198】
用語「非永久的装置」は、この分野で公知の、数ヶ月より短い期間体内に植え込むための装置を意味する。非永久的装置の中には、体内に数秒間〜数分間存在するものもあれば数日、数週間、または数ヶ月まで植え込むことができるものもある。非永久的装置としては、例えばカテーテル、チューブ、静脈内チューブ、および縫合がある。
【0199】
「永久的装置」とは、この分野で公知の、数ヶ月より長い期間体内に埋め込むことを意図する装置である。永久的装置としては、医療用装置、例えば寛骨臼ライナー、肩関節窩、膝蓋骨成分、指関節成分、踝関節成分、肘関節成分、手首関節成分、足指関節成分、二極人工股関節、頸骨膝挿入物、補強金属およびポリエチレンポストを備えた頸骨膝挿入物、椎間板、縫合、腱、心臓弁、ステント、血管移植片、がある。
【0200】
「薬学的化合物」とvは、本明細書で使用するように、粉末、懸濁液、エマルション、粒子、フィルム、ケーキ、または成形された形態にある薬物を意味する。薬物は、独立していても、医療用装置の成分として取り入れることもできる。
【0201】
用語「圧力チャンバー」とは、内部圧力を大気圧より高いレベルに上昇できる容器またはチャンバーを意味する。
【0202】
用語「包装物」とは、医療用装置を中に入れて包装および/または輸送する容器を意味する。包装物としては、バッグ、PTP包装、熱収縮包装物、箱、アンプル、ビン、チューブ、トレー、等またはそれらの組合せを挙げることができる。単一の成分を幾つかの個別の種類の包装物で輸送することができ、例えば成分をバッグに入れ、それをトレーに載せ、それを箱に入れることができる。その組立構造全体を滅菌し、輸送することができる。包装物材料としては、植物性羊皮紙、多層ポリエチレン、ナイロン6、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリ塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびエチレン−酢酸ビニル(EVA)共重合体があるが、これらに限定するものではない。
【0203】
用語「熱収縮性包装物」とは、内部に高度の配向を有するプラスチックフィルム、バッグ、またはチューブを意味する。熱を作用させることにより、配向した鎖が後退するにつれて包装物が収縮し、医療用装置の周囲を緊密に包み込むことが多い。
【0204】
「メルト転移温度」とは、材料中のすべての結晶性領域が消失する、最低温度を意味する。
【0205】
「融点」は、示差走査熱量測定により、加熱速度毎分10℃で、20℃から220℃まで加熱した時に測定されるピーク融解温度を意味する。
【0206】
ポリエチレンと緊密に接触する、工場で組み立てた部品を含む医療用充填材は界面を形成する。ほとんどの場合、これらの界面には、ガス滅菌の際、EtOガスまたはGPが容易に到達できない。
【0207】
照射 本発明の一態様では、好ましくはイオン化する種類の放射線を使用する。本発明の別の態様により、使用するイオン化放射線の線量は約25kGy〜約1000kGyである。放射線量は、約50kGy、約65kGy、約75kGy、約100kGy、約200kGy、約300kGy、約400kGy、約500kGy、約600kGy、約700kGy、約800kGy、約900kGy、あるいは約1000kGy、または約1000kGyを超える、もしくはそれらの近くまたは間のすべての整数もしくは分数でよい。好ましくは、放射線量は、約50kGy〜約200kGyでよい。X線、ガンマ線、および/または電子線を包含するこれらの種類の放射線が、細菌、ウイルス、または他の、界面を含む医療用充填材を汚染する可能性がある微生物剤を殺すか、または不活性化させ、製品の無菌性を達成する。本発明により電子線またはガンマ線でよい照射は、酸素を含む空気雰囲気中で行うことができ、その際、雰囲気中の酸素濃度は少なくとも1%、2%、4%、または約22%まで、もしくはそれらの近くまたは間のすべての整数である。別の態様では、照射を不活性雰囲気中で行うことができ、その際、雰囲気は、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、等、またはそれらの組合せからなる群から選択されたガスを含む。照射は、真空中で行うこともできる。
【0208】
本発明の好ましい態様では、照射は、増感性雰囲気中で行うことができる。この雰囲気は、重合体中に拡散するのに十分に小さい分子サイズを有し、照射により、多官能性グラフト化部分として作用する気体状物質を含んでなることができる。例としては、置換された、または置換されていない、ポリ不飽和炭化水素、例えばアセチレン系炭化水素、例えばアセチレン、共役または非共役オレフィン系炭化水素、例えばブタジエンおよび(メタ)アクリレートモノマー、一塩化硫黄があり、クロロ−トリ−フルオロエチレン(CTFE)またはアセチレンが特に好ましい。「気体状」とは、本明細書では、増感性雰囲気が、照射温度で、その臨界温度より上または下で、気相にあることを意味する。
【0209】
金属断片 本発明では、高分子材料と界面を形成する断片は、例えば金属である。本発明により、ポリエチレンと機能的な関係にある金属断片は、例えばコバルトクロム合金、ステンレス鋼、チタン、チタン合金またはニッケルコバルト合金から製造することができる。様々な種類の金属は、米国特許第60/424,709号、2002年11月8日提出、(PCT/US03/18053、2003年6月10日提出、WO2004000159号)にも記載されている。
【0210】
非金属断片 本発明では、高分子材料と界面を形成する断片は、例えば非金属である。本発明により、ポリエチレンと機能的な関係にある非金属断片は、例えばセラミック材料から製造することができる。
【0211】
界面 本発明における用語「界面」は、充填材が、ある成分が別の断片(例えば金属または非金属成分)と接触する配置にある時に形成される、医療用装置中のニッシェとして定義され、これが重合体と金属または別の高分子材料との間の界面を形成する。例えば、重合体−重合体または重合体−金属の界面は、医療用補欠物、例えば整形外科学的関節および骨置換部品、例えば股、膝、肘または踝置換物、中にある。様々な金属/非金属種類および界面が、ここにその全文を参考として含める米国特許第60/424,709号、2002年11月8日提出、(PCT/US03/18053、2003年6月10日提出、WO2004000159号)にも記載されている。
【0212】
不活性雰囲気 用語「不活性雰囲気」とは、酸素含有量が1%以下である環境、より好ましくは滅菌処理の際に、高分子材料中のフリーラジカルに酸素無しに架橋を形成させる酸化体が存在しない条件、を意味する。不活性雰囲気は、高分子材料、例えばUHMWPE、を含んでなる医療用装置を酸化する恐れがあるO2を避けるために使用する。不活性雰囲気条件、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、またはネオン、は、イオン化放射線により高分子医療用充填材を滅菌処理するのに使用される。
【0213】
不活性雰囲気条件、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、または真空は、イオン化放射線により医療用充填材中の重合体−金属および/または重合体−重合体の界面を滅菌処理することにも使用される。
【0214】
不活性雰囲気条件は、不活性ガス、不活性流体、または不活性液体媒体、例えば窒素ガスまたはシリコーン油、も意味する。
【0215】
「無酸素環境」は、酸素含有量が21%〜22%未満、好ましくは酸素含有量が2%未満の、ガス、例えば窒素、を含む環境を意味する。無酸素環境中の酸素濃度は、少なくとも1%、2%、4%、6%、8%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、または約22%まで、あるいはそれらに近いまたはそれらの間のすべての整数もしくは分数でもよい。
【0216】
真空 用語「真空」とは、滅菌処理の際に高分子材料中のフリーラジカルに架橋を形成させる恐れがある、感知できる量のガスを含まない環境を意味する。真空は、高分子材料、例えばUHMWPE、を含んでなる医療用装置を酸化する恐れがあるO2を避けるために使用する。真空条件は、イオン化放射線により高分子医療用充填材を滅菌処理するのに使用される。
【0217】
真空条件は、市販の真空ポンプを使用して造り出すことができる。真空条件は、イオン化放射線により医療用充填材中の重合体−金属および/または重合体−重合体の界面を滅菌処理する時にも使用される。
【0218】
残留フリーラジカル 「残留フリーラジカル」とは、重合体をイオン化放射線、例えばガンマ線またはe線照射、に露出した時に発生するフリーラジカルを意味する。フリーラジカルの中には、互いに再結合して架橋を形成するものもあれば、結晶性領域中に捕獲されるものもある。捕獲されたフリーラジカルは、残留フリーラジカルと呼ばれる。
【0219】
本発明の一態様では、重合体中の、イオン化放射線(例えばガンマ線または電子線)照射の際に発生した残留フリーラジカルのレベルは、電子スピン共鳴を使用して測定し、適切に処理し、再結合によりフリーラジカルを減少させる。
【0220】
滅菌 本発明の一態様は、高分子材料、例えば架橋したUHMWPE、を含む医療用充填材の滅菌方法を開示する。本方法は、ガンマ線または電子線放射で、例えば線量レベル約25〜70kGy、でイオン化滅菌することにより、あるいはエチレンオキシドまたはガスプラズマでガス滅菌することにより、医療用充填材を滅菌することを含んでなる。
【0221】
本発明の別の態様は、高分子材料、例えば架橋したUHMWPE、を含む医療用充填材の滅菌方法を開示する。本方法は、ガンマ線または電子線放射で、例えば線量レベル約25〜200kGy、でイオン化滅菌することにより、医療用充填材を滅菌することを含んでなる。この滅菌の線量レベルは、照射に使用する標準的なレベルよりも高い。これは、滅菌の際に医療用充填材を架橋させるか、またはさらに架橋させるためである。
【0222】
用語「アルファ転移」とは、転移温度を意味し、通常は約90〜95℃であるが、ポリエチレン中に溶解する増感性環境の存在下では、アルファ転移を下げることができる。アルファ転移は、結晶相中に運動を誘発すると考えられ(「アルファ転移温度」の説明は、N.G. McCrum, B.E. Read and G. WilliamsによるAnelastic and Dielectric Effects in Polymeric Solids, 141-143頁、J. Wiley and Sons, N.Y., N.Y., 1967出版、に記載されている)、この運動が、増感性環境をこの相中への拡散を増加させる、および/または捕獲されたフリーラジカルを解放すると仮定されている。アルファ転移より高い温度に加熱することにより、添加剤、例えば可塑剤または酸化防止剤、のベース重合体中への拡散も増加する。
【0223】
用語「臨界温度」とは、ポリエチレンのアルファ転移に対応する。用語「融点より低い」または用語「溶融状態よりも低い」は、ポリエチレン、例えばUHMWPE、の融点より低い温度を意味する。用語「融点より低い」または用語「溶融状態よりも低い」とは、155℃より低い温度を意味し、これはポリエチレンの融点によって異なる。用語「融点より高い」または用語「溶融状態よりも高い」は、ポリエチレン、例えばUHMWPE、の融点より高い温度を意味する。用語「融点より高い」または用語「溶融状態よりも高い」とは、145℃を超える温度を意味し、これはポリエチレンの融点によって異なる。ポリエチレンの融点は、例えば155℃、145℃、140℃または135℃でよく、やはり処理しているポリエチレンの特性、例えば伸びきり鎖結晶、結晶化度、分子量の平均および範囲、バッチ変動、等によって異なる。例えば、高分子材料の、高圧結晶化工程の際の高圧下での「融点より高い」または用語「溶融状態よりも高い」は、150℃以上の温度を意味する。融解温度は、典型的には示差走査熱量測定(DSC)を使用し、毎分10℃の加熱速度で測定される。こうして測定されたピーク融解温度を融点と呼び、例えばある等級のUHMWPEには約137℃にある。融解試験は、出発ポリエチレン材料に対して行い、融解温度を測定し、照射およびアニーリング温度を決定するのが望ましい。
【0224】
用語「アニーリング」とは、重合体をそのピーク融点より低い温度に加熱することを意味する。アニーリング時間は、少なくとも1分間〜数週間まで長くてよい。一態様では、アニーリング時間は約4時間〜約48時間、好ましくは24〜48時間、より好ましくは約24時間である。機械的変形に続いて所望のレベルに回復させるのに必要なアニーリング時間は、通常、アニーリング温度が低い程、長くなる。「アニーリング時間」とは、本発明によるアニーリングのための熱的条件を指す。
【0225】
用語「接触した」とは、増感剤がその意図する機能を果たせるような、物理的な近傍または接触を包含する。好ましくは、ポリエチレン組成物またはプリフォームを、増感剤が浸漬されるように、十分に接触させ、これによって十分な接触が確保される。浸漬は、試料を特殊な環境中に十分な時間、適切な温度で、配置することとして定義され、例えば試料を酸化防止剤溶液中に浸漬する。この環境を、室温〜材料の融点より低い温度に加熱する。接触時間は、少なくとも約1分間〜数週間であり、この持続時間は、環境の温度によって異なる。
【0226】
用語「耐酸化性」とは、高分子材料の、高分子材料を空気炉中、80℃で5週間エージングした後の酸化指数(A.U.)が約0.5未満である状態を意味する。耐酸化性の、架橋した高分子材料は、一般的にこのエージング期間の後、約0.5未満のA.U.を示す。
【0227】
「酸化指数」とは、高分子材料における酸化の程度を意味する。酸化指数は、高分子材料の赤外スペクトルを取り、このスペクトルを解析し、酸化指数を、対応する基線を差し引いた後の、1740cm−1カルボニルおよび1370cm−1メチレン伸縮吸収の下である面積の比として計算する。
【0228】
「機械的変形」とは、材料の融点より低い温度で起こる変形を意味し、実質的に材料の「冷間加工」である。変形様式としては、単軸、チャネルフロー、単軸圧縮、二軸圧縮、振動圧縮、伸張、単軸伸張、二軸伸張、超音波振動、曲げ、平面応力圧縮(チャネルダイ)またはそれらのいずれかの組合せがある。変形は、静止でも動的でもよい。動的変形は、小または大振幅振動様式における変形モードの組合せでよい。超音波振動を使用できる。変形はすべて増感性ガスの存在下および/または高温で行うことができる。
【0229】
用語「変形した状態」とは、高分子材料の、固体または溶融状態における変形工程、例えば本明細書で記載するような機械的変形、に続く状態を意味する。変形工程に続いて、固体状態または溶融状態における変形したポリエチレンを、変形した形状または新たに獲得した変形状態を維持している間に、固化/結晶化させる。
【0230】
「IBMA」とは、溶融状態よりも低い温度での照射および機械的アニーリングを意味する。「IBMA」は、「CIMA」(冷間照射および機械的アニーリング)とも呼ばれる。
【0231】
振動数範囲10〜100kHzにおける超音波処理(sonication)または超音波を振幅1〜50ミクロンのオーダーで使用できる。超音波処理の時間は、超音波処理の振動数および温度によって異なる。一態様で、超音波処理は、約1秒間〜約1週間、好ましくは約1時間〜約48時間、より好ましくは約5時間〜約24時間、さらに好ましくは約12時間である。
【0232】
本発明を下記の例によりさらに説明するが、これらの例は、本発明をいかなる様式においても制限するものではない。
【実施例】
【0233】
例1 滅菌または架橋のためのポリエチレンの電子線照射
UHMWPEのブロックまたはロッドを厚さ1cmの断片に機械加工した。これらの試料を、Massachusetts Institute of Technologyで、2.5MeVのVan de Graff発生器(e線)を使用し、電子線の下を多数回通過させて照射し、所望の放射線量レベル(1回あたり約12.5kGy)を達成した。
【0234】
例2 滅菌または架橋のためのポリエチレンのガンマ線照射
円筒形ブロック(直径89mm、長さ50cmを超える)を、Co60線源(Steris Isomedix, Northborough, MA)を使用して照射した。これらのブロック群は、照射の前に真空包装し、包装したブロックを照射した。別のブロック群は、包装し、窒素下で照射した。
【0235】
例3 予め融解させたポリエチレンの、高圧下での結晶化(経路I)
スラブに圧縮成形したGUR 1050を使用した。これらのブロックから円筒(直径5cm、高さ3cm)を機械加工し、アルミニウムで覆い、金属ラミネートし、熱的に密封できる小袋の中に入れた。小袋の中を真空に吸引し、小袋を密封した。次いで、この真空密封した小袋に入れた試料を圧力チャンバー中に入れた。このように包装した試料をアルゴン中で180℃に加熱し、180℃に少なくとも4時間保持し、次いで、等温的に320MPa(45,000psi)に加圧した。圧力をほぼ一定に5時間維持した。加圧サイクル完了時点で、試料を加圧下で室温に冷却した。続いて、圧力を解除した。
【0236】
例4 溶融状態よりも低い温度で、高圧下でのポリエチレンの結晶化(経路II)
スラブに圧縮成形したGUR 1050を使用した。これらのブロックから円筒(直径5cm、高さ3cm)を機械加工し、アルミニウムで覆い、金属ラミネートし、熱的に密封できる小袋の中に入れた。小袋の中を真空に吸引し、小袋を密封した。次いで、この真空密封した小袋に入れた試料を圧力チャンバー中に入れた。このように包装した試料を320MPa(45,000psi)に加圧した。次いで、温度を加圧したUHMWPEの融点より低い温度(180℃)に増加し、この圧力に5時間保持した。試料を一定圧力下で室温に冷却し、次いで圧力を解除した。
【0237】
例5 ポリエチレン中への酸化防止剤拡散
スラブに圧縮成形したGUR 1050UHMWPEブロックをUHMWPEの薄い部分(厚さ=3.2mm)に機械加工した。これらの試料を、0.5atm窒素分圧の真空下、132℃で96時間、α−トコフェロールと接触させた。次いで、試料を取り出し、酸化防止剤をぬぐい取って表面を清浄にし、0.5atm窒素分圧/真空下、132℃で96時間、アニーリングした。
【0238】
例6 照射(100kGy)に続く、ポリエチレン中への酸化防止剤拡散
スラブに圧縮成形したGUR 1050UHMWPEブロックを、窒素中、ガンマ線で線量111kGyに照射した。UHMWPEの薄い部分(厚さ=3.2mm)を機械加工し、0.5atm窒素分圧の真空下、136℃で96時間、α−トコフェロールと接触させた。次いで、試料を取り出し、酸化防止剤をぬぐい取って表面を清浄にし、0.5atm窒素分圧/真空下、136℃で96時間、アニーリングした。
【0239】
例7 ポリエチレン中への酸化防止剤拡散の測定
α−トコフェロール中に浸漬した試験試料(例えば例5および6参照)における酸化防止剤の拡散プロファイルを測定するために、LKB Sledge Microtomeを使用し、浸漬した部分から断面(100〜150μm)を切り取った。次いで、この薄い断面を、BioRad UMA 500赤外顕微鏡(Natick, MA)を使用して分析した。赤外スペクトルを、開口径50x50μmで、浸漬の際に酸化防止剤と接触した試料の自由表面と一致する縁部の一方から離れる深度の関数として集めた。1226〜1295cm−1の吸光度は、α−トコフェロールに特徴的であり、ポリエチレンはこれらの周波数の近くでは吸収しない。ポリエチレンに関して、CH2横揺れモードに対する1895cm−1波数が内部参照として典型的である。1260cm−1および1895cm−1の積分吸光度の比である規格化された値は、ポリエチレン中のα−トコフェロール組成物の相対的な距離を与える指数である。図3は、例5に記載する手順によりドーピングし、この例に記載する様式で測定したα−トコフェロールポリエチレンのプロファイルを示す。
【0240】
例8 ポリエチレンにおける酸化レベルの測定
酸化レベルは、下記例の幾つかに記載する様々な処理工程にかけた複数のUHMWPE試験試料に対して、自由表面から離れる距離の関数として定量した。このために、LKB Sledge Microtomeを使用し、UHMWPE試験試料の薄い断面(100〜150μm)を切り取った。BioRad UMA 500赤外顕微鏡を使用し、この断面における酸化の程度および深度を測定した。赤外スペクトルを、開口径50x50μmで、試料の自由表面と一致する縁部の一方から離れる深度の関数として集めた。これらの赤外スペクトルを解析し、酸化指数を、1740cm−1カルボニルおよび1370cm−1メチレン伸張吸光度の下にある面積の比として計算した。
【0241】
例9 疲労亀裂伝播試験
疲労亀裂伝播は、下記例の幾つかに記載する様々な処理工程にかけた複数のUHMWPE試験試料に対して定量した。この目的に、疲労亀裂伝播試験を、疲労亀裂成長速度を測定するための標準的な方法であるASTM E−647に従い、MiniBionix 858 (MTS, Eden Prairie, MN)で行った。タイプA1のコンパクト張力(CT)試料を使用し、切欠きを予め入れ、試験を、生体内環境を模擬するために40℃水浴中で、応力比0.1で行った。
【0242】
例10 二方向ピン−オン−ディスク(POD)摩耗試験
摩耗速度は、下記例の幾つかに記載する様々な処理工程にかけた複数のUHMWPE試験試料に対して定量した。この目的に、UHMWPE試料の摩耗挙動を、円筒形試料(直径9mm、高さ13mm)を使用し、特注二方向ピン−オン−ディスク(POD)摩耗試験機で頻度2Hzで試験した。子牛血清を潤滑剤として使用し、摩耗を重量的に0.5百万サイクル間隔で定量した。最初に、ピンを200,000サイクルのPOD試験にかけ、表面上の拡散または粗さと無関係の定常状態摩耗速度を達成した。各群から3個のピンを合計2百万サイクル試験した。摩耗速度は、0.2〜2百万サイクルまでの摩耗対サイクル数の直線回帰として計算した。
【0243】
例11 示差走査熱量測定による結晶化度の測定
結晶化度は、下記例の幾つかに記載する様々な処理工程にかけた複数のUHMWPE試験試料に対して定量した。この目的に、示差走査熱量測定(DSC)を使用し、ポリエチレン試験試料の結晶化度を測定した。DSC試料は、Sartorius CP 225D天秤で分解能0.01ミリグラムまで秤量し、アルミニウム試料パン中に入れた。このパンにアルミニウムカバーを取り付け、TA instruments Q-1000示差走査熱量計中に配置した。次いで、これらの試料および基準を加熱速度10℃/分で−20℃から180℃に加熱し、−10℃に冷却し、10℃/分で別の加熱サイクル−20℃から180℃にかけた。時間と温度の関数としての熱流動を記録し、そのサイクルをそれぞれ第一加熱、第一冷却および第二加熱と呼ぶ。
【0244】
結晶化度は、20℃〜160℃のエンタルピーピークを積分し、それを結晶化度100%ポリエチレンの融解エンタルピー291J/gで規格化することにより、求めた。
【0245】
例12 経路Iによる高圧結晶化に続くポリエチレンの結晶化度測定
圧縮成形したGUR 1050UHMWPE(従来型ポリエチレンとも呼ぶ)を、例3に記載するようにして高圧結晶化させた。比較試料は、高圧結晶化していない圧縮成形したGUR 1050UHMWPEである。これら2種類のポリエチレンからDSC試験試料を調製し、例11に記載するTA Instruments Q-1000熱量計を使用して分析した。
【0246】
試験した高圧結晶化試料は、透明および不透明部分を含んでいた。円筒形ブロックから断面を切り取った時、その中心は縁部よりも透明であることがほとんどであった。図4は、高圧結晶化履歴が無い従来型ポリエチレン、および高圧結晶化した従来型ポリエチレンの中心から得た部分の、加熱サイクルの代表的なサーモグラムである。従来型ポリエチレンは、第一加熱結晶化度が62%で、ピーク融解温度が134℃であった。高圧結晶化ポリエチレンは、第一加熱結晶化度が78%で、ピーク融解温度は145℃で、130℃に肩部を有していた。
【0247】
ここで使用した高圧結晶化パラメータにより、従来型ポリエチレンの結晶化度が増加した。さらに、ピーク融解温度の134℃から145℃へのシフトは、高圧結晶化の際により大きな結晶(伸びきり鎖結晶)が形成されることを示している。
【0248】
上に考察したように、従来型ポリエチレンを高圧結晶化させたシリンダーは、半径方向で不均一な外観を示した(図5に図式的に示すように)。ポリエチレンの結晶化度と外観の変化を表1に示す。直径約2cmのコアは高い結晶化度を示した。結晶化度は、縁部に向かって減少した。不透明の縁部では、結晶化度が従来型ポリエチレンの結晶化度と大きく異なっていないが、これは、加圧媒体(アルゴンガス)がポリエチレンの外側層中に拡散し、膨潤させたためであろう。膨潤により、ポリエチレン中に空洞が生じていることがある。空洞は光を散乱させ、そのためにポリエチレンが不透明に見えることが分かっている。
【0249】
【表1】
【0250】
例13 経路Iによる高圧結晶化に続くポリエチレンの結晶化度測定
圧縮成形したGUR 1050を120℃で95kGyにe線照射し、続いて融解させた(WIAM-95)。円筒形ブロック(直径50mm、高さ約40mm)を例3に記載するようにして経路Iにより高圧結晶化させた。
【0251】
WIAM-95および高圧結晶化させたWIAM-95を、例11に記載するようにしてTA Instruments Q-1000熱量計を使用して試験した。
【0252】
第一加熱結晶化度は、WIAM-95が57%で、高圧結晶化させたWIAM-95が62%であった。この増加は、主として、ピーク融解温度が141℃の、より大きな結晶によるものである(図6)。
【0253】
高圧結晶化による結晶化度およびピーク融解温度の増加は、照射/融解したポリエチレンでは、例12に記載する従来型ポリエチレンと比較して、それ程大きくはなかった。高分子量直鎖数の減少および架橋により引き起こされる移動度の低下により、結晶成長速度が低下した。従って、高圧結晶化の際、六方晶層では結晶が、架橋したポリエチレン中では、従来型ポリエチレンと同程度には成長しなかった。
【0254】
これらの結果は、320MPaの比較的低い圧力でも、従来型ポリエチレン(例12参照)および高圧結晶化したポリエチレンの両方で、伸びきり鎖結晶が得られることを示している。この実験は、従来型(例12参照)および高度に架橋したポリエチレンの両方の高圧結晶化により、常圧で結晶化させた従来型GUR 1050と比較して、結晶化度が増加すると共に、より大きな結晶の密度が増加することを示している。
【0255】
例14 高圧結晶化させた試料上の透明および不透明部分の形態
固化させたGUR 1050ブロック(直径50mm、長さ90mm)を、例3に記載するようにして、経路Iにより高圧結晶化させた。
【0256】
透明および不透明領域の両方を示すブロックの薄い断面を凍結破砕し、金被覆した。この断面を、電場放出ガンを使用し、高真空下の走査電子顕微鏡で分析した。図7A、7B、および7Cは、不透明および透明領域、および過渡領域の形態をそれぞれ示す。
【0257】
図7Aおよび7Bから分かるように、透明側は、より一様な形態を示し、粒界が少なく、空隙も無いのに対し、不透明側は、粒界および空隙の数が多いことを示している。空洞は、高圧結晶化の際に使用する加圧ガス(例えばアルゴンガス)の膨潤効果により形成されると考えられる。空洞は、光を散乱させ、ポリエチレンを不透明に見せることが分かっている。
【0258】
例15 温照射温度の測定
高度に架橋させる照射の際に、特定の結晶含有量を維持するために、ポリエチレンの温照射を行った。示差走査熱量測定(DSC)を使用し、ポリエチレン試験試料の結晶化度を測定した。試料および基準を10℃/分の加熱速度で−20℃から180℃に加熱し、−10℃/分で−20℃に冷却し、10℃/分で別の加熱サイクル−20℃から180℃にかけた。時間と温度の関数としての熱流動を記録し、そのサイクルをそれぞれ第一加熱、第一冷却および第二加熱と呼ぶ。
【0259】
熱流動を、ポリエチレンの第一加熱サイクルに対して20℃から160℃まで、温度の関数として積分した。各温度における積分を160℃における積分から差し引き、その差を、結晶性100%UHMWPEの融解の理論的エンタルピー(291J/mol)で割った。このようにしてプロットし、結晶化度%を温度の関数として得た。このプロットを使用し、所望の結晶含有量で温照射を行うべき温度を決定することができる。
【0260】
例16 高圧結晶化させ、照射した(I−HPC)UHMWPE
例3に記載するようにして、経路Iにより高圧結晶化させたGUR 1050UHMWPEを、厚さ1cmのスライス(直径5cm)に機械加工し、例1に記載するようにして、放射線量150kGyに、2種類の異なった温度、すなわち室温(低温照射)(I−HPC1−CI)およびポリエチレンが約50%結晶性である温度、この場合は136℃(温照射)(I−HPC1−WI)で、電子線照射した。UHMWPEが50%結晶性である温度は、例15に記載するようにして計算した。
【0261】
例17 高圧結晶化させ、照射したUHMWPE(I−HPC)を続いて高圧結晶化
例16に記載するようにして調製したUHMWPEを、例3に記載するようにして、経路Iによりさらに高圧結晶化させた。
【0262】
経路Iにより高圧結晶化させた(HPC1)、高圧結晶化させ、照射した(HPC1−CI、HPC1−WI)、および高圧結晶化させ、低温または温照射し、続いて経路Iにより高圧結晶化させた(HPC1−CI−HPC1またはHPC1−WI−HPC1)UHMWPE試料の結晶化度値を図8に示す。略記した製法の詳細な説明は、下記の表2に示す。比較用材料は、未照射GUR 1050、100kGy低温照射したGUR 1050、100kGy低温照射し、続いて融解させ、95kGy温照射し、続いて融解させたUHMWPEである。
【0263】
HPC1の第一加熱結晶化度は79%であり、これが線量150kGyに低温照射(HPC1−CI)することにより、78%に低下した。HPC1−CIは、照射工程で終わっているために、残留フリーラジカルを含むと予想される。従って、HPC1−CIを別のHPC1工程にかけた。第二HPC1の際に、加圧の前にHPC1−CIを融点より高い温度に加熱した時、残留フリーラジカルは再結合したであろう。しかし、加圧および結晶化に続いて、結晶化度はHPC1−CI−HPC1でさらに62%に低下した。それにも関わらず、高度に架橋し、高圧結晶化工程の際の融解のために残留フリーラジカルを含まないはずであるHPC1−CI−HPC1の結晶化度は、100kGy低温照射し、融解させた試料および95kGy温照射し、融解させた試料の両方の結晶化度よりも、なお高かった。
【0264】
【表2】
【0265】
例18 低温照射に続いて機械的変形
2個の圧縮成形したGUR 1050ロッド(直径9.1cm、長さ41cm)を真空包装物中で100kGyガンマ線照射にかけた。次いで、両ロッドを130℃に加熱し、続いて一方をその縦軸に対して直角に、圧縮比2.7(初期直径/最終直径)に一軸圧縮下で変形させた。圧縮は、130℃で行った。圧縮したロッドを一定変形下で保持し、室温に冷却させた。次いで、このロッドの圧縮を解除し、ロッドの寸法を記録した(長さ=58cm、幅=16.6cm、厚さほぼ40.5cm)。両方のロッドを135℃に加熱して残留変形を回復させ、最終寸法を記録した(直径=7.5cm、長さ=40cm)。このように、一方のロッドは機械的変形および熱処理にかけ、他方は、変形を行わず、同じ熱履歴にのみかけたので、比較試料として使用する。
【0266】
例19 照射し、機械的変形したUHMWPEのフリーラジカル濃度、酸化レベル、および摩耗速度
例18に記載するようにして調製した2個のGUR 1050ブロックを、電子スピン共鳴(ESR)(University of Utah, Department of Physics)により分析し、残留フリーラジカル濃度を定量した。結晶化度は、11に記載するようにして、DSCにより測定した。両ロッドから機械加工した立方体を、80℃で5週間の促進エージングにかけ、試料の酸化を例8に記載するようにして、赤外線顕微鏡で測定した。最後に、機械的にアニーリングしたロッド(n=3)の摩耗挙動を、我々の二方向摩耗試験機で、例10に記載する方法を使用して測定した。
【0267】
ESR分析は、熱的比較試料では2x105スピン/グラムであったのに対し、機械的にアニーリングした試料は、検出可能な残留フリーラジカルを示さず、100kGy照射し、融解させたポリエチレンと同等であった。DSC分析は、機械的にアニーリングした試料の第一加熱に対して、非照射UHMWPEの結晶化度に匹敵する、結晶化度レベル62±0.5%を示した。結晶化度レールは、照射後の融解に続いて典型的には55〜57%に低下する。促進エージングは、熱的比較試料で、機械的にアニーリングした試験試料(酸化指数=0.01±0.01)(p<0.01)よりはるかに大きい酸化(酸化指数=1.30±0.2)を示した。機械的にアニーリングしたロッドのPOD摩耗速度は0.8±0.0mg/百万サイクルであり、これは、100kGy照射し、融解させたポリエチレンに匹敵する。
【0268】
例20 照射ていない、照射した、および融解させた試料の疲労亀裂伝播試験
圧縮成形したUHMWPEGUR 1050(空気中で25kGy〜40kGyにγ−滅菌した)、高度に架橋したUHMWPE(真空中で100kGyにγ線照射した)、および100kGyに高度に照射し、融解させたポリエチレンを比較試料として使用した。ガンマ線照射は、例2に記載するようにして、行った。
【0269】
疲労亀裂伝播試験は、例9に記載するように行った。亀裂開始における応力強度(ΔKi)を、比較試料の結晶化度と共に表3に示す。結晶化度は、例11に記載するようにして、DSCにより測定した。UHMWPEの結晶化度は、低および高線量照射の後、同等であった。高線量照射したポリエチレンを融解させた時、結晶化度は大きく減少した(p<0.001)。放射線量を25〜40kGyから100kGyに増加した時、疲労強度(ΔKi)は44%減少した(p<0.0001)が、これは恐らく架橋数の増加によるものであろう。100kGy照射したUHMWPEの融解により、疲労強度はさらに19%減少した(p<0.001)が、これは恐らく結晶化度の低下によるものであろう。
【0270】
【表3】
【0271】
例21 高圧結晶化させたUHMWPEの疲労亀裂伝播試験
例9に記載するようにして、疲労亀裂伝播試験を、圧縮成形した、未照射の、例3に記載するようにして経路Iにより高圧結晶化させたGUR 1050UHMWPEに行った。
【0272】
亀裂開始における応力強度(ΔKi)は、GUR 1050UHMWPEおよび高圧結晶化させたGUR 1050UHMWPEに対してそれぞれ1.37±0.06(n=3)および1.49MPa√m(n=2)であった。高圧結晶化させたシリンダーの、例12に記載するように高結晶性の領域であることが分かっているコアに亀裂先端を有する小型伸張試験片を機械加工した。
【0273】
例22 固化の前に0.1%および0.3%ビタミンEとブレンドしたUHMWPEのピン−オン−ディスク(POD)摩耗試験
照射前にUHMWPE樹脂粉末とブレンドしたビタミンEの、照射したGUR 1050UHMWPEの耐摩耗性に対する影響を測定した。ビタミンE(α−トコフェロール)をGUR 1050UHMWPE粉末と、2種類の濃度0.1重量%および0.3重量%、で混合し、固化させた。圧縮成形により、UHMWPEをブロックに固化させた。もう一つの固化を、α−トコフェロール添加剤を使用せずに行い、比較試料として使用した。3点の固化させたブロックを半分に機械加工し、各半分を真空包装し、例2に記載するようにして、100kGyにガンマ線照射した。
【0274】
照射したブロックから、直径9mm、長さ13mmの円筒形のピンを切り出した。これらのピンを先ず、空気中、80℃で5週間の促進エージングにかけ、続いて例10に記載するようにして、二方向ピン−オン−ディスク(POD)で試験した。
【0275】
放射線およびα−トコフェロール処理履歴の無いUHMWPEの典型的な摩耗速度は百万サイクルあたり約8.0ミリグラムであり、100kGy照射し、融解させたUHMWPEでは1mg/MCである。100kGy照射し、α−トコフェロールをブレンドしたピンの摩耗速度は、0.1重量%および0.3重量%α−トコフェロール濃度に対して、それぞれ百万サイクルあたり2.10±0.17および5.01±0.76ミリグラムであった。α−トコフェロール含有量が高い程、耐摩耗性の低下は少ない。
【0276】
これらの結果は、高照射線量により達成されるUHMWPEの架橋密度が、混合物中のα−トコフェロール含有量が増加するにつれて低下することを示唆している。我々は、これが、α−トコフェロールが存在しなければ互いに架橋を形成するであろうUHMWPE鎖上のフリーラジカルに対して作用するα−トコフェロールの酸化防止活性によるものであると考えらている。
【0277】
例23 α−トコフェロールドーピングによる、照射されたUHMWPEの酸化安定化
固化させたGUR 1050UHMWPEバー原料を、例2に記載するようにして、65および100kGyにガンマ線照射した。これらの試料は、空気中、室温で16時間、ビタミンE(α−トコフェロール(α−T))でドーピングした。ドーピングに続いて、試料を27kGyでさらにガンマ線滅菌した。これらの2群は、総放射線量92kGyおよび127kGyで、それぞれα−T−92およびα−T−127と呼ぶ。比較用材料は、100kGyガンマ線照射したGUR 1050であった。
【0278】
すべての試料を、空気中、80℃で5週間の促進エージングを行った。この後、立方体を半分に切り、例8に記載するようにして、酸化レベルを評価した。
【0279】
ドーピングしていない、およびα−Tドーピングした試料の酸化に対するエージングの影響を図9に示す。これらの曲線は、3試料の平均を示す。100kGy照射した比較試料は、α−T−92およびα−T−127試料と比較した時に著しく高い酸化レベルを示し、最大酸化指数は、それぞれ3.74±0.16、0.48±0.25(p<0.001)、および0.44±0.06(p<0.001)であった。α−トコフェロール保護された、照射されたポリエチレンは、空気中、80℃における促進エージングの際に耐酸化性であると考えられる。
【0280】
例24 高圧結晶化し、照射したUHMWPEの、ビタミンEドーピングによる酸化安定化
圧縮成形されたGUR 1050ブロック(直径2”)を例3に記載するようにして、高圧結晶化させた。このブロックを厚さ約8.5mmの薄い部分に機械加工した。これらの薄い部分を、例1に記載するようにして、線量100kGyに電子線照射した。
【0281】
得られた円形断面の一つを四等分した。その一つをα−トコフェロール(ビタミンE)中に空気中、室温で、もう一つを空気中、100℃で、16時間α−トコフェロール中にドーピングした。2個の対応する熱的比較試料は、それぞれ空気中、室温および100℃で、16時間、ドーピングせずにした。全4個の試料を半分に切断し、半分の一方を対流加熱炉中で、空気中、80℃で5週間、促進エージングした。他方の半分はエージングしなかった。
【0282】
すべての試料に対する酸化プロファイルを、例8に記載するようにして評価した。エージングした熱的比較試料には、重大な表面下酸化があったのに対し、α−トコフェロールドーピングした試料は、比較試料よりもはるかに低い酸化レベルを示した(室温(RT)および100℃ドーピングした試料に対してp<0.01、およびp<0.0001、図10および11参照)。
【0283】
例25 高圧結晶化させ、照射したUHMWPEの、機械的変形による酸化安定化
圧縮成形されたGUR 1050ブロック(直径2”)を例3に記載するようにして、高圧結晶化させた。このブロックを厚さ約8.5mmの薄い部分に機械加工した。これらの薄い部分を、例1に記載するようにして、線量100kGyに電子線照射した。
【0284】
この薄い部分の一つを137℃に加熱し、この温度で、圧縮比約2.5(初期/最終高さ)に一軸圧縮下で機械的に変形させた。この圧縮したロッドを一定変形下に保持し、一定変形下で室温に冷却した。次いで、負荷を除き、ロッドの寸法を記録した。続いて、この部分を144℃に加熱して残留変形を回復させた。薄い部分を半分に切り、半分の一方を空気中、80℃で5週間促進エージングした。
【0285】
残りの部分から薄い断片(断面約3mmx3mm)を機械加工し、電子スピン共鳴(ESR)分析にかけた(Department of Physics, University of Memphis, TN)。
【0286】
高圧結晶化させ、100kGy照射したUHMWPEを機械的変形により安定化させ、この試料に対するESR値は、スピンの背景値と大きく異なっていないと予想される。
【0287】
高圧結晶化させ、100kGy照射し、機械的変形により安定化させたUHMWPEである、強く促進エージングしたUHMWPEは、促進エージングし、高圧結晶化させ、100kGy照射した比較試料の酸化よりも、はるかに小さな酸化を示すことがある。
【0288】
例26 照射後にビタミンEでドーピングしたUHMWPEのピン−オン−ディスク(POD)摩耗試験
固化させたGUR 1050UHMWPEのバー原料を65および100kGyにガンマ線照射した。これらの照射したポリエチレンから、POD摩耗試験用の円筒形のピン(直径9mm、長さ13mm)を機械加工した。これらの試料をビタミンE(α−トコフェロール)で、空気中、室温で16時間ドーピングした。ドーピングに続いて、試料をさらに線量27kGyでガンマ線滅菌した。これらの2群は、総放射線量が92および127kGyであり、それぞれα−T−92およびα−T−127と呼ぶ。
【0289】
比較試料1)は、100kGyガンマ線照射し、続いて150℃で融解させたGUR 1050、2)105kGyガンマ線照射し、続いて120℃でアニーリングしたGUR 1050、および3)窒素中で25kGyガンマ線滅菌したGUR 1050であった。ガンマ線照射は、例2に記載するようにして行った。
【0290】
円筒形試料の半分を空気中、80℃で5週間の促進エージングにかけた。次いで、エージングしていない試料とエージングした試料の両方を、例10に記載するようにして、POD摩耗試験にかけた。
【0291】
ドーピングした、およびドーピングしていない、架橋した、および従来のポリエチレンの、促進エージングの前と後の摩耗速度を図12に示す。2つの群のα−T−ドーピングした、高度に架橋したポリエチレンに対して測定した摩耗速度を、25kGy照射した従来のポリエチレン(窒素中、γ−滅菌)、100kGy照射/融解させた試料、および105kGy照射/アニーリングした試料のエージングの前と後の摩耗速度と共に示す。100kGy照射/アニーリングした、および従来のポリエチレンの摩耗速度は、エージングの後、増加している。α−T−92およびα−T−127の摩耗速度は、照射し、融解させたUHMWPEの摩耗速度と同等であった。エージングにより、α−T−92またはα−T−127の摩耗挙動は変化しなかった(p<0.05)。この結果は、α−Tドーピングした試料が酸化せず、それらの摩耗速度がエージングしていない試料と類似しているので、α−TがUHMWPEを酸化から保護できることを示している。
【0292】
例27 照射したUHMWPEの酸化および摩耗挙動に対する、エタノール抽出の影響
固化させたGUR 1050UHMWPEバー原料を、65kGyおよび100kGyにガンマ線照射した。これらの照射したポリエチレンから、POD摩耗試験用の円筒形のピン(直径9mm、長さ13mm)および促進エージングおよび酸化試験用の立方体(2cm)を機械加工した。これらの試料をビタミンE(α−T)で、空気中、室温で16時間ドーピングした。ドーピングに続いて、試料をさらに線量27kGyでガンマ線滅菌した。これらの2群は、総放射線量が92および127kGyであり、それぞれα−T−92およびα−T−127と呼ぶ。
【0293】
立方体とピンの半分を沸騰しているエタノール中に一晩入れ、UHMWPEからα−トコフェロールを除去した。次いで、これらの試料を対流加熱炉中に入れ、空気中、80℃で5週間の促進エージングにかけた。残りの半分には、空気中、80℃で5週間の促進エージングだけを行った。
【0294】
立方体の酸化プロファイルは、例8に記載するようにして評価し、POD摩耗試験は、例10に記載するようにして、ピンに対して行った。観察された平均最大酸化レベルを表4に示す。100kGy照射した比較試料およびα−T−127に対して、エージングおよび抽出した試料とエージングした試料との間には、重要(p<0.05)であるが、小さな差があった(図13および表4)。従って、エージングだけを行った試料と、抽出およびエージングした試料との間の酸化挙動に、認められる大きな差は無かった。沸騰しているエタノール中での抽出により、α−トコフェロールはUHMWPEから除去されず、α−トコフェロールはUHMWPEを酸化から保護することができた。
【0295】
また、α−T−92およびα−T−127の酸化レベルは、100kGy照射した比較試料のそれよりも、抽出およびエージングした試料に関して著しく低かった。これは、α−トコフェロールが、沸騰エタノール処理にかけた後にも、照射されたUHMWPEの酸化から保護し得ることを示している。
【0296】
【表4】
【0297】
同様に、エージングしたα−T−92およびα−T−127摩耗速度は、抽出工程により大きな影響を受けなかった(図13参照)。
【0298】
例28 照射したUHMWPEの酸化および摩耗挙動に対する、洗浄によるクリーニングの影響
スラブ圧縮成形したGUR 1050UHMWPEブロック(Perplas Ltd., Lancashire, UK)(直径3”)を、真空中で線量111kGyにガンマ線照射した(Steris Isomedix, Northborough, MA)。次いで、これらのブロックを半立方体(2cmx2cmx1cm)に機械加工した。
【0299】
これらの半立方体を、α−トコフェロール(α−D、L−トコフェロール、Fischer Scientific, Houston, TX)中に、空気中、室温および100℃で、1および16時間それぞれ浸漬した(各n=3)。3種類の熱的比較試料(室温、100℃で1および16時間)を同じドーピング温度に、α−トコフェロール無しに、さらした。
【0300】
クリーニングは、持ち運び可能なKenmore食器洗浄機(Sears Inc., Hoffman Estates, IL)により、濯ぎおよび熱乾燥を含む通常サイクルで行った。クリーニングの際、すべての半立方体試験試料を、直径2”の円筒形非弾性ポリエチレンメッシュ中に入れ、末端を閉鎖した。これによって、確実に、試料は動き回らないが、洗浄媒体は中に入れるようにした。洗浄剤として、Electrasol(商品名)(Reckitt Benckiser Inc., Berkshire, UK)を使用した。
【0301】
これらの立方体に対する酸化プロファイルを、例8に記載するようにして、評価し、最大酸化レベルの平均を表5に示す。
【0302】
【表5】
【0303】
これらの、クリーニングおよびエージングし、α−Tドーピングし、111kGy照射したUHMWPEに対する酸化値は、例27における、65および100kGyに照射し、α−トコフェロールドーピングし、次いでガンマ線滅菌(27kGy)し、クリーニングせずにエージングした試料の酸化値と類似している。それぞれA.U.0.48±0.25および0.44±0.06(表4)。クリーニング手順は、UHMWPEの表面中にすでに拡散しているα−トコフェロールを除去することはできなかった。
【0304】
α−トコフェロールを100℃で1時間拡散させたUHMWPEに対する、111kGy照射し、クリーニングし、エージングした試料に対する熱的比較試料は、α−トコフェロール拡散させた試験試料の酸化よりも高い酸化レベルを示した(p<0.0005)。同様に、α−トコフェロールを100℃で16時間拡散させたUHMWPEに対する、111kGy照射し、クリーニングし、エージングした試料に対する熱的比較試料は、α−トコフェロール拡散させた試験試料の酸化よりも高い酸化レベルを示した(p<0.0005)。比較試料および試験試料の酸化レベルは、浸漬時間1時間と16時間との間に大きな差を示さなかった。100℃でドーピングした試料に対する酸化レベルは、室温でドーピングした試料よりも大幅に低かった(1および16時間に対してそれぞれp<0.01およびp<0.005)。各調製の代表的な試料の酸化プロファイルを表14に示す。
【0305】
例29 動的機械的分析装置による、UHMWPEの架橋密度計算
架橋密度測定は、動的機械的分析装置(DMA 7e, Perkin Elmer, Wellesley, MA)により行った。UHMWPEの長方形断片を歯科用セメント中に固定し、薄い部分(厚さ2mm)にスライスした。分析すべきこれらの薄い部分から小さな部分(2mmx2mm)をレーザーブレードにより切り取った。これらの小片をDMAの石英プローブの下に配置し、試料の初期高さを記録した。次いで、プローブをキシレン中に浸漬し、続いて130℃に加熱し、45分間保持した。UHMWPE試料を、沸騰キシレン中で平衡に達する(重量変動0.1%未満)まで膨潤させた。最終的な重量を記録した。
【0306】
架橋密度は、下記の様式で計算した。
【0307】
最終高さと初期高さの比を3乗し、3方向すべてにおいて膨脹が等しいと仮定して、膨潤比qを得る。次いで、架橋密度υcを下記の式から計算した。
【数1】
式中、V1 は、キシレン(136cm3/mol)の部分体積であり、χはFlory-Huggins相互作用パラメータであり、χ=0.33+0.55/qとして定義される。架橋間の平均分子量も計算した。
【数2】
【0308】
より密に架橋した構造は、よりゆるく架橋した構造よりも、架橋密度が高くなり、架橋間の分子量が低くなる。
【0309】
例30 低温および温照射した、高圧結晶化させたポリエチレンの架橋密度
架橋密度および架橋間の分子量を、例29に記載するようにして、I−HPCCIおよびI−HPCWIに関して計算し、これら2種類のUHMWPE間の、温照射工程における無定形相の増加による架橋の差を調査した(表6参照)。
【0310】
【表6】
【0311】
温および低温照射したI−HPCポリエチレンは、大きな差を示さなかったが、150kGy照射したUHMWPEは、150kGy低温照射し、融解させたUHMWPE(209mol/m3、Muratoglu et al., 1999)よりも、低い架橋比を示した。これは、照射の際に、例12で考察したように、高圧結晶化させたUHMWPE中で利用できる無定形相が少なかったためである(例えば、78%結晶性のUHMWPEは、架橋に利用できる無定形含有量が21%しか無いのに対し、100kGy低温照射したUHMWPEでは約36%である)。本手法は、先行技術における手法よりも、はるかに高度に架橋した、高結晶性のUHMWPEを提供することができる。
【0312】
例31 ビタミンE
他に指示がない限り、本明細書で使用する実験には、ビタミンE(Acros(商品名)99%D−α−トコフェロール、Fisher Brand)を使用した。使用したビタミンEは、色が非常に明るい黄色であり、室温で粘性の液体である。その融点は2〜3℃である。
【0313】
例32 UHMWPEの可塑化
圧縮成形したGUR 1050UHMWPEを、薄い部分(直径約90mm、厚さ3.2mm)に機械加工した。薄い部分の一つをα−トコフェロール中に、部分真空窒素下、132℃で5時間入れた。次いで、この部分をα−トコフェロールから取り出し、表面を綿ガーゼで拭い、清浄にした。次いで、この薄い部分を132℃で48時間、部分真空窒素下に置いた。試料中のα−トコフェロールプロファイルを、例7に記載するようにして、測定した。このプロファイルは、一様で、試料の厚さに沿って16地点から取った平均α−トコフェロール指数が0.92±0.10であった。固化させたGUR 1050の、同じ寸法の薄い部分を、α−トコフェロールでドーピングしていない比較試料として使用した。
【0314】
この薄い部分からドッグボーン形試料(n=5)を打ち抜き、試験をASTMD−638、プラスチックの引張特性標準試験方法により、クロスヘッド速度10mm/分で行った。破断点における工学ひずみは、比較用UHMWPEで521±16%であり、α−トコフェロールドーピングし、アニーリングしたUHMWPEでは1107±36%であった。この結果は、UHMWPEをα−トコフェロールで均質にドーピングした時に、破断点における工学ひずみが大きく増加したことを示している。この破断点における工学ひずみの増加は、α−トコフェロールのUHMWPEに対する可塑化効果を示唆していると云える。
【0315】
例33 照射したUHMWPEの可塑化
圧縮成形したGUR 1050UHMWPEブロック(直径3”、長さ3’)を100kGyに照射した。このブロックから、薄い部分(厚さ3.2mm)を機械加工した。ブロックの薄い部分の一つをα−トコフェロール中に、部分真空窒素下、136℃で72時間入れた。ブロックの薄い部分をα−トコフェロールから取り出し、表面を綿ガーゼで拭い、清浄にした。次いで、この薄い部分を136℃で100時間、部分真空窒素下に置いた。α−トコフェロールプロファイルを、例7に記載するようにして、測定した。このプロファイルは、一様で(図15参照)、試料の厚さに沿って16地点から取った平均α−トコフェロール指数が3.33±0.22であった。100kGy照射したGUR 1050UHMWPEの薄い部分を、α−トコフェロールでドーピングしていない比較試料として使用した。
【0316】
これらの薄い部分からドッグボーン形試料(n≧5)を打ち抜き、試験をASTMD−638、プラスチックの引張特性標準試験方法により、クロスヘッド速度10mm/分で行った。100kGy照射し、α−トコフェロールドーピングしたUHMWPEの破断伸度(EAB)、極限引張応力(UTS)および降伏強度(YS)を表7に示す。
【0317】
【表7】
【0318】
破断点における工学ひずみは、100kGy照射したUHMWPEで741±46%であり、α−トコフェロールドーピングし、照射したUHMWPEでは1049±135%であった。この結果は、照射したUHMWPEをα−トコフェロールでドーピングした時に、UTS、EABおよび破断点における工学ひずみが大きく増加したことを示している。これらの増加は、α−トコフェロールの、照射したUHMWPEに対する可塑化効果を示唆している。
【0319】
例34 固化の前にビタミンEとブレンドしたUHMWPEの高圧結晶化
高圧結晶化されたUHMWPEの機械的特性に対するビタミンEの影響を測定した。ビタミンE(α−トコフェロール)をGUR 1050UHMWPE粉末と0.1重量%濃度で混合し、固化させた。UHMWPEは、圧縮成形によりブロックに固化させた。
【0320】
直径約2”、高さ2”のブロックを、例3に記載するようにして、経路Iにより高圧結晶化させた。
【0321】
この高圧結晶化させた、ビタミンEをブレンドしたUHMWPEから、薄い断面(厚さ=3.2mm)を機械加工した。
【0322】
先ず、ブレンドしたUHMWPEおよび高圧結晶化させ、ブレンドしたUHMWPEの熱結晶化度を、例11に記載するようにして、測定した。
【0323】
これらの薄い部分からドッグボーン形試料(n≧2)を打ち抜き、試験をASTMD−638、プラスチックの引張特性標準試験方法により、クロスヘッド速度10mm/分で行った。ブレンドしたUHMWPEおよび高圧結晶化させ、ブレンドしたUHMWPEの破断伸度(EAB)、極限引張応力(UTS)および降伏強度(YS)を表8に示す。
【0324】
【表8】
【0325】
0.1重量%ブレンドしたUHMWPEは、高圧結晶化させた未処理UHMWPEおよび高圧結晶化前の0.1重量%ブレンドしたUHMWPEと比較して、UTS、YSおよびEABの増加を示した。高圧結晶化させ、0.1重量%ブレンドしたUHMWPEのドッグボーン形試料は、広範囲な白色化を示し、これは、これらの試料中の空洞を示唆している。
【0326】
例35 固化の前にビタミンEとブレンドしたUHMWPEの照射
照射したUHMWPEの機械的および摩耗特性に対するビタミンEの影響を測定した。ビタミンE(α−トコフェロール)をGUR 1050UHMWPE粉末と濃度0.1重量%で混合し、固化させた。UHMWPEは、圧縮成形によりブロックに固化させた。
【0327】
5cmx10cmx10cmのブレンドしたブロックをガンマ線で線量150kGyに照射した。この照射したブロックから、薄い部分(厚さ=3.2mm)および円筒形のピン(直径9mm、高さ13mm)を機械加工した。
【0328】
ブレンドし、照射したUHMWPEの結晶化度を、例11に記載するようにして、測定した。
【0329】
ブレンドし、照射したUHMWPEの架橋密度を、例29に記載するようにして、測定した。
【0330】
これらの薄い部分からドッグボーン形試料(n≧2)を打ち抜き、試験をASTMD−638、プラスチックの引張特性標準試験方法により、クロスヘッド速度10mm/分で行った。
【0331】
ブレンドし、照射したUHMWPEのピン−オン−ディスク(POD)摩耗速度を、例10に記載するPOD摩耗試験を使用して定量した。
【0332】
0.1重量%α−トコフェロールをブレンドし、150kGy照射したUHMWPEの結晶化度は65±4%であった。動的機械的分析装置で測定した架橋密度は166±2モル/m3であった。極限引張強度は40±3MPaであり、降伏強度は20±1MPaであり、破断伸度は244±22%であった。POD摩耗速度は、1.9±0.3mg/百万サイクルであった。比較試験で、150kGy電子線照射UHMWPEは、極限引張強度(UTS)29±1MPa、降伏強度(YS)22±1MPa、および破断伸度(EAB)219±16%を示した。
【0333】
例36 固化の前にビタミンEとブレンドし、照射したUHMWPEの高圧結晶化
高圧結晶化させた、照射したUHMWPEの機械的特性に対するビタミンEの影響。ビタミンE(α−トコフェロール)をGUR 1050UHMWPE粉末と濃度0.1重量%で混合し、固化させたものを測定した。UHMWPEは、圧縮成形によりブロックに固化させた。
【0334】
5cmx10cmx10cmのブレンドしたブロックをガンマ線で線量150kGyに照射した。
【0335】
上記のブロックから、直径約2”、高さ2”のブロックを機械加工し、水中の圧力チャンバー中に入れた。これらの試料を185℃に5時間加熱し、次いで、等温的に45,000psiに加圧した。圧力および温度を一定に5時間保持した。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却した。続いて、圧力を解除した。
【0336】
ブレンドし、照射したUHMWPEの結晶化度を、例11に記載するようにして、測定した。
【0337】
この高圧結晶化させ、照射したブロックから薄い部分(厚さ=3.2mm)を機械加工した。これらの薄い部分からドッグボーン形試料(n≧2)を打ち抜き、試験をASTMD−638、プラスチックの引張特性標準試験方法により、クロスヘッド速度10mm/分で行った。
【0338】
高圧結晶化させ、150kGy照射し、0.1重量%α−トコフェロールをブレンドしたUHMWPEの結晶化度は70±1%であった。高圧結晶化させ、150kGy照射し、0.1重量%α−トコフェロールをブレンドしたUHMWPEの極限引張強度は37±2MPaであり、降伏強度は23±1MPaであり、破断伸度は234±0%であった。
【0339】
例37 α−トコフェロールブレンドし、照射したUHMWPEの架橋密度
照射したUHMWPEのクロス効率に対するビタミンEの影響を測定した。ビタミンE(α−トコフェロール)をGUR 1050UHMWPE粉末と濃度0.1、0.3および1.0重量%で混合し、固化させた。UHMWPEは、圧縮成形によりブロックに固化させた。比較試料として、未処理UHMWPEを使用した。
【0340】
それぞれのブロック1個をガンマ線で65、100、150および200kGyに照射した。
【0341】
薄い部分(厚さ=3.2mm)を、α−トコフェロールブレンドし、照射したUHMWPEから機械加工した。
【0342】
α−トコフェロールブレンドし、照射したUHMWPEの架橋密度を、例29に記載するようにして測定した。
【0343】
【表9】
【0344】
これらの結果は、照射前にUHMWPE中のα−トコフェロール濃度を増加することにより、照射したUHMWPEの架橋が減少することを示している(表9参照)。
【0345】
例38 高圧結晶化させ、照射し、続いて融解させたUHMWPE
直径約2”、高さ2”のブロックを、GUR 1050ラム押出した原料から機械加工し、水中の圧力チャンバー中に入れた。このブロックを185℃に5時間加熱し、次いで、等温的に45,000psiに加圧した。圧力および温度を一定に5時間保持した。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却した。続いて、圧力を解除した。
【0346】
この高圧結晶化させたUHMWPEから厚さ1cmの円形断片を機械加工した。この断片を、例1に記載するようにして、空気中電子線照射を使用し、150kGyに照射した。この断片から薄い部分(3.2mm)を機械加工し、これらの薄い部分の一つを真空中、170℃で融解させた。これを、溶融状態に2時間保持し、真空下で室温に冷却した。
【0347】
高圧結晶化させ、照射し、融解させたUHMWPEの結晶化度を、例11に記載するようにして、測定し、引張特性をASTMD−638による機械的試験により、測定した。
【0348】
高圧結晶化させ、150kGy照射し、融解させたUHMWPEの結晶化度は59±1%であり、極限引張強度は36±0MPaであり、破断伸度は223±26%であった。
【0349】
例39 高圧結晶化させ、照射し、続いて高圧結晶化させたUHMWPE
直径約2”、高さ3”のブロックを、GUR 1050ラム押出した原料から機械加工し、水中の圧力チャンバー中に入れる。このブロックを185℃に5時間加熱し、次いで、等温的に45,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0350】
この高圧結晶化させたUHMWPEから厚さ1cmの円形断片を機械加工する。この断片を、例1に記載するようにして、空気中電子線照射を使用し、150kGyに照射する。
【0351】
この照射した断片を水中の圧力チャンバー中に入れる。このブロックを195℃に5時間加熱し、次いで、等温的に55,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0352】
例40 UHMWPEを高圧結晶化させ、続いて照射するサイクル
直径約2”、高さ3”のブロックを、GUR 1050ラム押出した原料から機械加工し、水中の圧力チャンバー中に入れる。このブロックを185℃に5時間加熱し、次いで、等温的に45,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0353】
この高圧結晶化させたUHMWPEから厚さ1cmの円形断片を機械加工する。この断片を、例1に記載するようにして、空気中電子線照射を使用し、50kGyに照射する。
【0354】
この50kGy照射した断片を水中の圧力チャンバー中に入れる。このブロックを190℃に5時間加熱し、次いで、等温的に50,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0355】
この断片を、例1に記載するようにして、空気中電子線照射を使用し、50kGyに照射し、蓄積照射線量を100kGyにする。
【0356】
この100kGy照射した断片を水中の圧力チャンバー中に入れる。このブロックを190℃に5時間加熱し、次いで、等温的に55,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0357】
この断片を、例1に記載するようにして、空気中電子線照射を使用し、50kGyに照射し、蓄積照射線量を150kGyにする。
【0358】
この150kGy照射した断片を水中の圧力チャンバー中に入れる。このブロックを195℃に5時間加熱し、次いで、等温的に60,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0359】
各照射および結晶化工程の後に、架橋密度、結晶化度および機械的特性を測定する。
【0360】
例41 高度に架橋したUHMWPEの高圧結晶化
直径約2”、高さ3”のブロックを、圧縮成形したGUR 1050UHMWPEから機械加工し、120℃で65kGyに電子線照射し、続いて融解させた。このブロックを水中の圧力チャンバー中に入れた。このブロックを195℃に5時間加熱し、次いで、等温的に52,000psiに加圧した。圧力および温度を一定に5時間保持した。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0361】
この高圧結晶化させ、高度に架橋した、融解させたUHMWPEから薄い部分(厚さ3.2mm)を機械加工した。機械的試験をドッグボーン形試料に対して、ASTMD−638により、行った。結晶化度は、例11に記載するようにして、測定した。結晶化度は63±1%であり、極限引張強度は42±4MPaであり、破断伸度は354±20%であった。高圧結晶化の前、結晶化度は59±0%であり、極限引張強度は35±2MPaであった。
【0362】
例42 高度に架橋した医療用装置の高圧結晶化
ラム押出した、または熱的にアニーリングしたGUR 1050UHMWPE原料から機械加工した、高度に架橋した医療用装置、例えば頸骨膝挿入物または圧力寛骨臼ライナー、を水中の圧力チャンバー中に入れる。このライナーを195℃に5時間加熱し、次いで、等温的に60,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持した。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0363】
例43 照射し、ドーピングしたUHMWPEの、加熱してから加圧にすることによる高圧結晶化(経路I)
医療用装置、例えば頸骨膝挿入物または圧力寛骨臼ライナー、をUHMWPE原料から機械加工する。この装置を、不活性環境中、電子線またはガンマ線で65または100kGyに照射する。続いて、この装置をα−トコフェロールでドーピングする。次いで、この装置を水中の圧力チャンバー中に入れる。この装置を195℃に5時間加熱し、次いで、等温的に45,000psi、好ましくは55,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0364】
例44 照射し、ドーピングしたUHMWPEの、加圧してから加熱することによる高圧結晶化(経路II)
医療用装置、例えば頸骨膝挿入物または圧力寛骨臼ライナー、をUHMWPE原料から機械加工する。この装置を、不活性環境中、電子線またはガンマ線で65または100kGyに照射する。続いて、この装置をα−トコフェロールでドーピングする。次いで、この装置を水中の圧力チャンバー中に入れる。この装置を先ず少なくとも45,000psi、好ましくは55,000psiに加圧し、続いて195℃に5時間加熱する。圧力および温度を一定に5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。
【0365】
例45 照射した、残留フリーラジカルを含むUHMWPEの、加圧してから加熱することによる高圧結晶化(経路II)
UHMWPE原料をアニーリングし、UHMWPE粉末を固化させる際に取り込まれた熱的応力を低下させる。アニーリングは、下記のように行う、すなわち130℃に加熱し、5時間保持し、1℃/時間で125℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で120℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で115℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で110℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で105℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で100℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で室温に冷却する。
【0366】
医療用装置、例えば頸骨膝挿入物または圧力寛骨臼ライナー、をアニーリングしたUHMWPE原料から機械加工する。この装置を、不活性環境中、電子線またはガンマ線で65または100kGyに照射する。この時点で、装置は残留フリーラジカルを含んでいる。続いて、この装置を水中の圧力チャンバー中に入れる。この装置を先ず少なくとも45,000psi、好ましくは55,000psiに加圧し、続いて少なくとも180℃、または好ましくは195℃に5時間加熱する。圧力および温度を一定に少なくとも5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。高圧結晶化が完了した時点で、この装置は検出可能な残留フリーラジカルを含まず、結晶性が高いと期待される。
【0367】
例46 照射した、残留フリーラジカルを含むUHMWPEの、加熱してから加圧することによる高圧結晶化(経路I)
UHMWPE原料をアニーリングし、UHMWPE粉末を固化させる際に取り込まれた熱的応力を低下させる。アニーリングは、下記のように行う、すなわち130℃に加熱し、5時間保持し、1℃/時間で125℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で120℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で115℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で110℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で105℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で100℃に冷却させ、5時間保持し、1℃/時間で室温に冷却する。
【0368】
医療用装置、例えば頸骨膝挿入物または圧力寛骨臼ライナー、をアニーリングしたUHMWPE原料から機械加工する。この装置を、不活性環境中、電子線またはガンマ線で65または100kGyに照射する。この時点で、装置は残留フリーラジカルを含んでいる。続いて、この装置を水中の圧力チャンバー中に入れる。この装置を先ず少なくとも180℃、または好ましくは195℃に5時間加熱し、続いて少なくとも45,000psi、好ましくは55,000psiに加圧する。圧力および温度を一定に少なくとも5時間保持する。加圧サイクルが完了した時点で、試料を加圧下で室温に冷却する。続いて、圧力を解除する。高圧結晶化が完了した時点で、この装置は検出可能な残留フリーラジカルを含まず、結晶性が高いと期待される。
【0369】
本説明、具体例およびデータは、代表的な実施態様を示しているが、説明のために記載するのであって、本発明を限定するものではないことはいうまでもない。本明細書に含まれる考察、開示およびそこに含まれるデータから、様々な変形および修正が当業者には明らかであり、従って、本発明の一部と考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0370】
【図1】種々の温度および圧力条件下におけるポリエチレンの、高圧結晶化過程および相を図式的に示す。
【図2】高結晶性の、耐酸化性の、架橋高分子材料を製造する方法の様々な工程を図式的に示す。
【図3】96時間ドーピングし、132℃で96時間アニーリングしたUHMWPEにおける、α−トコフェロールプロファイルを示す。
【図4】従来のポリエチレンおよび高圧結晶化させた従来の未照射ポリエチレンのDSCサーモグラムを示す。
【図5】高圧結晶化させた従来のポリエチレンの円筒形断面の光学顕微鏡写真を示す。
【図6】温照射/融解させた、および高圧結晶化させ、高温照射/融解させたポリエチレンのDSCサーモグラムを示す。
【図7A】高圧結晶化させた従来のUHMWPEの、(a)不透明(7A)、(b)透明(7B)、および(c)不透明から透明への過渡部分(7C)の走査電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。
【図7B】高圧結晶化させた従来のUHMWPEの、(a)不透明(7A)、(b)透明(7B)、および(c)不透明から透明への過渡部分(7C)の走査電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。
【図7C】高圧結晶化させた従来のUHMWPEの、(a)不透明(7A)、(b)透明(7B)、および(c)不透明から透明への過渡部分(7C)の走査電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。
【図8】高圧結晶化させて照射したUHMWPE、および比較用UHMWPEの種々の結晶化度を示す。
【図9】促進エージングした、100−kGy照射した、α−T−92およびα−T−127試料の表面から離れる距離と酸化指数との関係を示す。これらの曲線は、試験試料3点の平均値を示す。
【図10】エージングしていない、およびエージングした、高圧結晶化させ、100−kGye−線照射し、α−トコフェロールドーピングしたUHMWPEに対する平均最大酸化レベルを示す。ドーピングは、空気中、室温および100℃で16時間行った。対応する熱的比較試料も、ドーピングせずに、室温および100℃で、それぞれ16時間、空気中に保持した。
【図11】高圧結晶化させ、100−kGy照射し、α−トコフェロールドーピングし、促進エージングしたUHMWPEの酸化プロファイルの平均値(n=3)を示す。
【図12】エージングしていない、およびエージングした、ビタミンEドーピングした、およびドーピングしていない試料の、ピン−オン−ディスク(POD)摩耗速度を示す。
【図13】エージングしていない、促進エージングだけを行った、およびエタノール抽出し、促進エージングしたα−T−92およびα−T−127の摩耗速度を示す。
【図14】促進エージングし、111−kGy照射した比較試料、および111−kGy照射し、α−トコフェロールドーピングし、洗浄したUHMWPEの酸化プロファイルを示す。
【図15】72時間ドーピングし、136℃で100時間アニーリングした、100−kGy照射したUHMWPEのα−トコフェロールプロファイルを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、
a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
b)前記加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
c)前記高分子材料を前記圧力に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、そして
f)前記高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の架橋高分子材料を形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項2】
高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、
a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力および温度に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、そして
f)前記高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の架橋高分子材料を形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項3】
前記加圧された高分子材料が、約180℃または約225℃に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加圧された高分子材料が、150℃より低い温度に加熱される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記高結晶性の高分子材料が、略室温〜約90℃の温度で照射される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記高結晶性の高分子材料が、約90℃〜前記高結晶性の高分子材料のピーク融点の温度で照射される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記高分子材料が約320MPaに加圧される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記高結晶性の架橋高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成することをさらに含んでなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
b)前記加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
c)前記高分子材料を前記圧力に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成する、
ことをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
a)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度に加熱し、
b)前記加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
c)前記高分子材料を前記圧力に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、そして
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成する、
ことをさらに含んでなる、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
a)前記高結晶性の、架橋した高分子材料を酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、
b)前記高分子材料を、その融点より低い温度で機械的に変形させ、そして
c)前記機械的に変形させた高分子材料を、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、検出可能な残留フリーラジカルを実質的に含まない、高結晶性の架橋高分子材料を形成する、
ことをさらに含んでなる、請求項1、2、9または10のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項12】
a)前記高結晶性の、架橋した高分子材料を機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、そして
b)前記医療用充填材を拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成すること、
をさらに含んでなる、請求項1または2に記載の、方法。
【請求項13】
a)前記高結晶性の、架橋した高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、そして
b)前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を機械加工し、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成すること、
をさらに含んでなる、請求項1または2に記載の、方法。
【請求項14】
前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌し、それによって、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する、請求項11〜13のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項15】
耐酸化性の、高結晶性架橋高分子材料を製造する方法であって、
a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
b)前記高結晶性の、架橋した高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
c)前記圧力に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を室温に冷却し、
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、
f)前記高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、そして
g)前記酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項16】
耐酸化性の、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、
a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力および温度に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を室温に冷却し、
d)前記圧力を大気圧レベルに解除し、
e)前記高結晶性の高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の高分子材料を形成し、そして
f)前記酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項17】
前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した高分子材料を機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、前記医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌し、それによって、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成する、請求項15または16に記載の、方法。
【請求項18】
前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した高分子材料を機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、前記医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌し、それによって、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成する、請求項15または16に記載の、方法。
【請求項19】
酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、
a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
b)前記高結晶性の、架橋した高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
c)前記圧力に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を室温に冷却し、
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、
f)機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、
g)前記医療用充填材を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を形成し、そして
g)前記酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項20】
耐酸化性の、高結晶性架橋高分子材料を製造する方法であって、
a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を室温に冷却し、
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、
f)機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、
g)前記医療用充填材を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を形成し、そして
g)前記酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項21】
前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌し、それによって、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成する、請求項19または20に記載の、方法。
【請求項22】
前記高分子材料が、重合体と添加剤のブレンドである、請求項1または2に記載の、方法。
【請求項23】
前記高結晶性の、架橋した高分子材料を機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、前記医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌し、それによって、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成する、請求項22に記載の、方法。
【請求項24】
請求項1、2、9、10、11、15または16のいずれか一項に記載の、前記高結晶性の架橋高分子材料を含んでなる、医療用充填材。
【請求項25】
請求項19または20に記載の前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を含んでなる、医療用充填材。
【請求項26】
前記高分子材料が別の断片または医療用充填材に対して圧縮成形され、それによって、界面または噛み合わされたハイブリッド材料を形成する、請求項12または13に記載の、方法。
【請求項27】
前記ドーピングが、前記医療用充填材を酸化防止剤中に約1時間〜約16時間浸漬することにより、行われる、請求項11〜13、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
a)前記高分子材料を、その融点より低い温度で機械的に変形し、そして
b)前記機械的に変形させた高分子材料を、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した、検出可能な残留フリーラジカルを実質的に含まない高分子材料を形成する、
ことをさらに含んでなる、請求項1、2、9、10、12、13、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項29】
前記高分子材料がポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエーテルケトン、またはそれらの混合物である、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項30】
請求項29のポリオレフィンが、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状の低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【請求項31】
前記充填材が、寛骨臼ライナー、肩関節窩、膝蓋骨成分、指関節成分、踝関節成分、肘関節成分、手首関節成分、足指関節成分、二極人工股関節、頸骨膝挿入物、補強金属およびポリエチレンポストを備えた頸骨膝挿入物、椎間板、縫合、腱、心臓弁、ステント、血管移植片からなる群から選択された医療用装置を含んでなる、請求項19または20に記載の、方法。
【請求項32】
前記高分子材料が、高分子樹脂粉末、高分子フレーク、高分子粒子等、またはそれらの混合物または添加剤である、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項33】
前記照射が、約1%〜約22%の酸素を含む雰囲気中で行われる、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項34】
前記照射が、不活性雰囲気中で行われ、前記不活性雰囲気が、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、等、またはそれらの組合せからなる群から選択されたガスを含む、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項35】
前記照射が、真空中で行われる、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項36】
前記放射線量が約25〜約1000kGyである、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項37】
前記放射線量が約65kGy、約75kGy、または約150kGyである、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項38】
前記放射線がガンマ線照射である、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項39】
前記放射線が電子線照射である、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項40】
耐酸化性の、架橋した高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱すること、
d)前記高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、
h)前記高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
j)前記高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
k)前記圧力および温度に保持し、
l)前記加熱されたブレンドを略室温に冷却し、そして
m)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項41】
耐酸化性の、架橋した高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
d)前記高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、
h)前記高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
j)前記加圧された高分子材料を、100℃より高く、前記加圧された、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
k)前記圧力および温度に保持し、
l)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、そして
m)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項42】
耐酸化性の、高度に架橋した高結晶性の、高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、100℃より高く、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力および温度に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
f)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
g)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
h)前記高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
i)前記圧力および温度に保持し、
j)前記加熱された、高度に架橋したブレンドを略室温に冷却し、そして
k)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項43】
耐酸化性の、高度に架橋した高結晶性の、高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、100℃より高く、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力および温度に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
f)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
g)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
h)前記加圧された、架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa下で加熱し、
i)前記加圧された、架橋したブレンドを、100℃より高く、前記加圧された、高結晶性の、高度に架橋したブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、
j)前記圧力および温度に保持し、
k)前記加熱された、架橋したブレンドを略室温に冷却し、そして
k)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項44】
耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記ブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
d)前記ブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱されたブレンドを略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
h)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、そして
j)前記機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項45】
耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記ブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
d)前記加圧されたブレンドを、100℃より高く、前記加圧されたブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱されたブレンドを略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
h)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、そして
j)前記機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項46】
耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
d)前記高分子材料を、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、
h)前記高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
j)前記高度に架橋したブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
k)前記圧力および温度に保持し、
l)前記加熱されたブレンドを略室温に冷却し、そして
m)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項47】
耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
d)前記高分子材料を、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、
h)前記高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
j)前記加圧された高分子材料を、100℃より高く、前記加圧された、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
k)前記圧力および温度に保持し、
l)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、そして
m)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項48】
耐酸化性の、高度に架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、100℃より高く、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力および温度に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
f)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
g)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
h)前記高度に架橋したブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
i)前記圧力および温度に保持し、
j)前記加熱された、高度に架橋したブレンドを略室温に冷却し、そして
k)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項49】
耐酸化性の、高度に架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、100℃より高く、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力および温度に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
f)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
g)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
h)前記加圧された、架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa下で加熱し、
i)前記加圧された、架橋したブレンドを、100℃より高く、前記加圧された、高結晶性の、高度に架橋したブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、
j)前記圧力および温度に保持し、
k)前記加熱された、架橋したブレンドを略室温に冷却し、そして
l)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項50】
耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記ブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
d)前記ブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱されたブレンドを略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
h)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、そして
j)前記機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項51】
耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記ブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
d)前記加圧されたブレンドを、100℃より高く、前記加圧されたブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱されたブレンドを略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
h)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、そして
j)前記機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項52】
耐酸化性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、架橋したブレンドを形成し、
d)前記高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、そして
e)前記機械的に変形させた、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性で、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項53】
耐酸化性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、架橋したブレンドを形成し、
d)高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、
e)前記機械的に変形させた、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性で、高度に架橋したブレンドを形成し、
f)前記耐酸化性で、高度に架橋したブレンドを、少なくとも10〜1000MPaに加圧し、
g)前記加圧された、高度に架橋したブレンドを、100℃より高く、前記加圧された、高度に架橋したブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、
h)前記圧力および温度に保持し、
i)前記加熱された、高度に架橋したブレンドを略室温に冷却し、そして
j)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項54】
前記圧力が、少なくとも約150MPa、250MPa、310MPa、400MPa、または450MPaである、請求項1、2、9、10、15、16、19、20、および40〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記照射線量が1kGyを超え、1000kGyまで、またはそれ以上である、請求項40〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記照射線量が約25kGy〜400kGy以上である、請求項40〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記照射線量が少なくとも約150kGyである、請求項40〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、
a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
b)前記加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
c)前記高分子材料を前記圧力に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、そして
f)前記高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の架橋高分子材料を形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項2】
高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、
a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力および温度に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、そして
f)前記高結晶性の高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の架橋高分子材料を形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項3】
前記加圧された高分子材料が、約180℃または約225℃に加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加圧された高分子材料が、150℃より低い温度に加熱される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記高結晶性の高分子材料が、略室温〜約90℃の温度で照射される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記高結晶性の高分子材料が、約90℃〜前記高結晶性の高分子材料のピーク融点の温度で照射される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記高分子材料が約320MPaに加圧される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記高結晶性の架橋高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成することをさらに含んでなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
b)前記加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
c)前記高分子材料を前記圧力に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成する、
ことをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
a)高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度に加熱し、
b)前記加熱された高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
c)前記高分子材料を前記圧力に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、そして
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成する、
ことをさらに含んでなる、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
a)前記高結晶性の、架橋した高分子材料を酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、
b)前記高分子材料を、その融点より低い温度で機械的に変形させ、そして
c)前記機械的に変形させた高分子材料を、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、検出可能な残留フリーラジカルを実質的に含まない、高結晶性の架橋高分子材料を形成する、
ことをさらに含んでなる、請求項1、2、9または10のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項12】
a)前記高結晶性の、架橋した高分子材料を機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、そして
b)前記医療用充填材を拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成すること、
をさらに含んでなる、請求項1または2に記載の、方法。
【請求項13】
a)前記高結晶性の、架橋した高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成し、そして
b)前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を機械加工し、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成すること、
をさらに含んでなる、請求項1または2に記載の、方法。
【請求項14】
前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌し、それによって、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋した医療用充填材を形成する、請求項11〜13のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項15】
耐酸化性の、高結晶性架橋高分子材料を製造する方法であって、
a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
b)前記高結晶性の、架橋した高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
c)前記圧力に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を室温に冷却し、
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、
f)前記高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした高分子材料を形成し、そして
g)前記酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項16】
耐酸化性の、高結晶性の架橋高分子材料を製造する方法であって、
a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力および温度に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を室温に冷却し、
d)前記圧力を大気圧レベルに解除し、
e)前記高結晶性の高分子材料を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の高分子材料を形成し、そして
f)前記酸化防止剤でドーピングした高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項17】
前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した高分子材料を機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、前記医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌し、それによって、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成する、請求項15または16に記載の、方法。
【請求項18】
前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した高分子材料を機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、前記医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌し、それによって、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成する、請求項15または16に記載の、方法。
【請求項19】
酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の高分子材料を製造する方法であって、
a)高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
b)前記高結晶性の、架橋した高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
c)前記圧力に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を室温に冷却し、
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、
f)機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、
g)前記医療用充填材を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を形成し、そして
g)前記酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項20】
耐酸化性の、高結晶性架橋高分子材料を製造する方法であって、
a)高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を室温に冷却し、
e)前記圧力を大気圧レベルに解除し、
f)機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、
g)前記医療用充填材を、拡散により酸化防止剤でドーピングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を形成し、そして
g)前記酸化防止剤でドーピングした医療用充填材を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項21】
前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌し、それによって、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成する、請求項19または20に記載の、方法。
【請求項22】
前記高分子材料が、重合体と添加剤のブレンドである、請求項1または2に記載の、方法。
【請求項23】
前記高結晶性の、架橋した高分子材料を機械加工し、それによって、医療用充填材を形成し、前記医療用充填材を包装し、イオン化放射線またはガス滅菌により滅菌し、それによって、無菌の、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した医療用充填材を形成する、請求項22に記載の、方法。
【請求項24】
請求項1、2、9、10、11、15または16のいずれか一項に記載の、前記高結晶性の架橋高分子材料を含んでなる、医療用充填材。
【請求項25】
請求項19または20に記載の前記酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の架橋高分子材料を含んでなる、医療用充填材。
【請求項26】
前記高分子材料が別の断片または医療用充填材に対して圧縮成形され、それによって、界面または噛み合わされたハイブリッド材料を形成する、請求項12または13に記載の、方法。
【請求項27】
前記ドーピングが、前記医療用充填材を酸化防止剤中に約1時間〜約16時間浸漬することにより、行われる、請求項11〜13、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
a)前記高分子材料を、その融点より低い温度で機械的に変形し、そして
b)前記機械的に変形させた高分子材料を、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、酸化防止剤でドーピングした、高結晶性の、架橋した、検出可能な残留フリーラジカルを実質的に含まない高分子材料を形成する、
ことをさらに含んでなる、請求項1、2、9、10、12、13、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項29】
前記高分子材料がポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエーテルケトン、またはそれらの混合物である、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項30】
請求項29のポリオレフィンが、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状の低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【請求項31】
前記充填材が、寛骨臼ライナー、肩関節窩、膝蓋骨成分、指関節成分、踝関節成分、肘関節成分、手首関節成分、足指関節成分、二極人工股関節、頸骨膝挿入物、補強金属およびポリエチレンポストを備えた頸骨膝挿入物、椎間板、縫合、腱、心臓弁、ステント、血管移植片からなる群から選択された医療用装置を含んでなる、請求項19または20に記載の、方法。
【請求項32】
前記高分子材料が、高分子樹脂粉末、高分子フレーク、高分子粒子等、またはそれらの混合物または添加剤である、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項33】
前記照射が、約1%〜約22%の酸素を含む雰囲気中で行われる、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項34】
前記照射が、不活性雰囲気中で行われ、前記不活性雰囲気が、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、等、またはそれらの組合せからなる群から選択されたガスを含む、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項35】
前記照射が、真空中で行われる、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項36】
前記放射線量が約25〜約1000kGyである、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項37】
前記放射線量が約65kGy、約75kGy、または約150kGyである、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項38】
前記放射線がガンマ線照射である、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項39】
前記放射線が電子線照射である、請求項1、2、15、16、19、または20のいずれか一項に記載の、方法。
【請求項40】
耐酸化性の、架橋した高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱すること、
d)前記高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、
h)前記高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
j)前記高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
k)前記圧力および温度に保持し、
l)前記加熱されたブレンドを略室温に冷却し、そして
m)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項41】
耐酸化性の、架橋した高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
d)前記高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、
h)前記高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
j)前記加圧された高分子材料を、100℃より高く、前記加圧された、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
k)前記圧力および温度に保持し、
l)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、そして
m)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項42】
耐酸化性の、高度に架橋した高結晶性の、高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、100℃より高く、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力および温度に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
f)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
g)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
h)前記高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
i)前記圧力および温度に保持し、
j)前記加熱された、高度に架橋したブレンドを略室温に冷却し、そして
k)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項43】
耐酸化性の、高度に架橋した高結晶性の、高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、100℃より高く、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力および温度に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
f)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
g)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa下で加圧し、
h)前記加圧された、架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa下で加熱し、
i)前記加圧された、架橋したブレンドを、100℃より高く、前記加圧された、高結晶性の、高度に架橋したブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、
j)前記圧力および温度に保持し、
k)前記加熱された、架橋したブレンドを略室温に冷却し、そして
k)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項44】
耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記ブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
d)前記ブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱されたブレンドを略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
h)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、そして
j)前記機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項45】
耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記ブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
d)前記加圧されたブレンドを、100℃より高く、前記加圧されたブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱されたブレンドを略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
h)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、そして
j)前記機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項46】
耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
d)前記高分子材料を、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、
h)前記高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
j)前記高度に架橋したブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
k)前記圧力および温度に保持し、
l)前記加熱されたブレンドを略室温に冷却し、そして
m)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項47】
耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤のブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記高分子材料を、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
d)前記高分子材料を、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の高分子材料を形成し、
h)前記高分子材料を、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋した高分子材料を形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋した高分子材料を、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
j)前記加圧された高分子材料を、100℃より高く、前記加圧された、高結晶性の、高度に架橋した高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
k)前記圧力および温度に保持し、
l)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、そして
m)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項48】
耐酸化性の、高度に架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、100℃より高く、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力および温度に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
f)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
g)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
h)前記高度に架橋したブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
i)前記圧力および温度に保持し、
j)前記加熱された、高度に架橋したブレンドを略室温に冷却し、そして
k)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項49】
耐酸化性の、高度に架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
b)前記加圧された高分子材料を、100℃より高く、前記加圧された高分子材料の溶融状態よりも低い温度に加熱し、
c)前記圧力および温度に保持し、
d)前記加熱された高分子材料を略室温に冷却し、
e)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
f)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
g)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
h)前記加圧された、架橋したブレンドを、少なくとも約10〜1000MPa下で加熱し、
i)前記加圧された、架橋したブレンドを、100℃より高く、前記加圧された、高結晶性の、高度に架橋したブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、
j)前記圧力および温度に保持し、
k)前記加熱された、架橋したブレンドを略室温に冷却し、そして
l)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項50】
耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記ブレンドを、その溶融状態よりも高い温度に加熱し、
d)前記ブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱されたブレンドを略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
h)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、そして
j)前記機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項51】
耐酸化性の、架橋した、高結晶性の高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記ブレンドを、少なくとも10〜1000MPa下で加圧し、
d)前記加圧されたブレンドを、100℃より高く、前記加圧されたブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、
e)前記圧力および温度に保持し、
f)前記加熱されたブレンドを略室温に冷却し、
g)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、高結晶性のブレンドを形成し、
h)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、高結晶性の、架橋したブレンドを形成し、
i)前記高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、そして
j)前記機械的に変形させた、高結晶性の、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項52】
耐酸化性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、架橋したブレンドを形成し、
d)前記高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、そして
e)前記機械的に変形させた、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性で、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項53】
耐酸化性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤とのブレンドを製造する方法であって、
a)前記高分子材料を添加剤とブレンドし、
b)前記ブレンドを固化させ、
c)前記ブレンドを、その溶融状態よりも低い温度で、イオン化放射線で照射し、それによって、架橋したブレンドを形成し、
d)高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度で機械的に変形させ、
e)前記機械的に変形させた、高度に架橋したブレンドを、その融点より低い温度でアニーリングし、それによって、耐酸化性で、高度に架橋したブレンドを形成し、
f)前記耐酸化性で、高度に架橋したブレンドを、少なくとも10〜1000MPaに加圧し、
g)前記加圧された、高度に架橋したブレンドを、100℃より高く、前記加圧された、高度に架橋したブレンドの溶融状態よりも低い温度に加熱し、
h)前記圧力および温度に保持し、
i)前記加熱された、高度に架橋したブレンドを略室温に冷却し、そして
j)前記圧力を略大気圧レベルに解除し、それによって、耐酸化性で、高結晶性の、高度に架橋した、高分子材料と添加剤のブレンドを形成する、
ことを含んでなる、方法。
【請求項54】
前記圧力が、少なくとも約150MPa、250MPa、310MPa、400MPa、または450MPaである、請求項1、2、9、10、15、16、19、20、および40〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記照射線量が1kGyを超え、1000kGyまで、またはそれ以上である、請求項40〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記照射線量が約25kGy〜400kGy以上である、請求項40〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記照射線量が少なくとも約150kGyである、請求項40〜54のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−520620(P2007−520620A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552224(P2006−552224)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/003305
【国際公開番号】WO2005/074619
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(504256718)マサチューセッツ、ゼネラル、ホスピタル (3)
【氏名又は名称原語表記】MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2005/003305
【国際公開番号】WO2005/074619
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(504256718)マサチューセッツ、ゼネラル、ホスピタル (3)
【氏名又は名称原語表記】MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
【Fターム(参考)】
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