説明

脇見検出装置および方法、並びに、プログラム

【課題】より的確に脇見を検出できるようにする。
【解決手段】撮影部111により撮影された画像に基づいて、顔方向検出部121は、ドライバの顔の向きを検出し、視線方向検出部122は、ドライバの視線の向きを検出する。視野検出部123は、ドライバの視線の向きを基準にして、ドライバの顔の向きと視線の向きのズレに応じた範囲をドライバの視野として検出する。判定部124は、ドライバの顔の向きが顔向き判定範囲外である場合、脇見をしていると判定する。また、判定部124は、ドライバの顔の向きが顔向き判定範囲内である場合、ドライバの視野に基づいて、ドライバが脇見をしているか否かを判定する。本発明は、ドライバの脇見検出装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脇見検出装置および方法、並びに、プログラムに関し、特に、より的確に脇見を検出できるようにした脇見検出装置および方法、並びに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドライバの運転中の脇見が原因となる事故が多発している。そこで、ドライバの脇見を検出し、脇見に対する警告を行う技術の開発が行われている。
【0003】
例えば、ドライバの視線または顔の向きの少なくとも一方が進行方向を向いていない状態が、車両の走行速度に応じた時間だけ経過した場合、アラームを作動させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】特開2003−317197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、ドライバの視線が進行方向を向いていても、顔が進行方向を向いていない場合、アラームが作動してしまうため、ドライバに煩わしさを感じさせてしまう。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より的確に脇見を検出できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の脇見検出装置は、人の視線の向きを基準とする第1の範囲を人の視野として検出する視野検出手段と、検出された人の視野に基づいて、人が脇見をしているか否かを判定する判定手段とを備える。
【0008】
本発明の一側面の脇見検出装置においては、人の視線の向きを基準とする第1の範囲が人の視野として検出され、検出された人の視野に基づいて、人が脇見をしているか否かが判定される。
【0009】
従って、より的確に脇見を検出することができる。
【0010】
この視野検出手段、判定手段は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。
【0011】
この視野検出手段には、人の顔の向きと視線の向きのズレの大きさに応じて、第1の範囲の広さを調整させることができる。
【0012】
これにより、より的確に脇見を検出することができる。
【0013】
この視野検出手段には、人が運転する乗り物の速度に応じて、第1の範囲の広さを調整させることができる。
【0014】
この判定手段には、所定の基準方向に対する人の顔の水平方向の向きが第2の範囲を超えている場合、人の視線の向きおよび視野に関わらず、脇見をしていると判定させることができる。
【0015】
これにより、迅速に脇見を検出することができる。
【0016】
本発明の一側面の脇見検出方法またはプログラムは、人の視線の向きを基準とする所定の範囲を人の視野として検出する視野検出ステップと、検出された人の視野に基づいて、人が脇見をしているか否かを判定する判定ステップとを含む。
【0017】
本発明の一側面の脇見検出方法またはプログラムにおいては、人の視線の向きを基準とする第1の範囲が人の視野として検出され、検出された人の視野に基づいて、人が脇見をしているか否かが判定される。
【0018】
従って、より的確に脇見を検出することができる。
【0019】
この視野検出ステップは、例えば、人の視線の向きを基準とする所定の範囲を人の視野としてCPUにより検出する視野検出ステップにより構成され、この定ステップは、例えば、検出された人の視野に基づいて、人が脇見をしているか否かをCPUにより判定する判定ステップにより構成される。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明の一側面によれば、脇見を検出することができる。特に、本発明の一側面によれば、より的確に脇見を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明を適用した運転支援装置の一実施の形態を示すブロック図である。運転支援装置101は、運転支援装置101が設けられた車両(以下、自車とも称する)を運転するドライバの脇見の検出処理を行い、ドライバの脇見を検出した場合、脇見に対する処理を行うように自車に設けられている車載装置の制御を行う。運転支援装置101は、撮影部111、車速検出部112、脇見検出部113、および、車両制御部114を含むように構成される。
【0023】
撮影部111は、例えば、カメラにより構成され、ほぼ正面方向からドライバの顔を撮影する。撮影部111は、撮影したドライバの顔を含む画像(以下、顔画像と称する)を、脇見検出部113の顔方向検出部121および視線方向検出部122に供給する。
【0024】
車速検出部112は、例えば、速度センサにより構成され、自車の速度を検出する。車速検出部112は、検出した自車の速度を示す情報を、脇見検出部113の視野検出部123および判定部124に供給する。
【0025】
脇見検出部113は、ドライバの脇見の検出処理を行う。脇見検出部113は、顔方向検出部121、視線方向検出部122、視野検出部123、および、判定部124を含むように構成される。
【0026】
顔方向検出部121は、顔画像に基づいて、所定の手法を用いて、ドライバの顔の向きを検出する。顔方向検出部121は、ドライバの顔の向きを示す情報を、視野検出部123および判定部124に供給する。なお、顔方向検出部121が顔の向きを検出する手法は、特定の手法に限定されるものではなく、顔の向きをより迅速かつ正確に検出できる手法を適用することが望ましい。
【0027】
視線方向検出部122は、顔画像に基づいて、所定の手法を用いて、ドライバの視線の向きを検出する。視線方向検出部122は、ドライバの視線の向きを示す情報を視野検出部123に供給する。なお、視線方向検出部122が視線の向きを検出する手法は、特定の手法に限定されるものではなく、視線の向きをより迅速かつ正確に検出できる手法を適用することが望ましい。
【0028】
視野検出部123は、必要に応じて、ドライバの視線の向きの検出を視線方向検出部122に指示する。また、視野検出部123は、図2を参照して後述するように、ドライバの顔の向き、ドライバの視線の向き、および、自車の速度に基づいて、ドライバの視野を検出する。視野検出部123は、検出したドライバの視野を示す情報を判定部124に供給する。
【0029】
判定部124は、必要に応じて、ドライバの視野の検出を視野検出部123に指示する。判定部124は、図2を参照して後述するように、ドライバの顔の向き、ドライバの視野、および、自車の速度に基づいて、ドライバが脇見をしているか否か、および、脇見をしていないが危険度が高い状態であるか否かを判定する。判定部124は、判定結果を示す情報を車両制御部114に供給する。
【0030】
車両制御部114は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)により構成される。車両制御部114は、ドライバの脇見または危険度が高い状態が検出された場合、それらに対する処理を行うように自車に設けられている車載装置の制御を行う。
【0031】
なお、以下、ドライバの顔および視線の水平方向の向きを、自車の前方を基準方向とする角度により表す。具体的には、基準方向を0度とし、基準方向から左方向の角度を負の値で表し、基準方向から右方向の角度を正の値で表す。例えば、基準方向から左に30度の方向は−30度と表され、基準方向から右に30度の方向は+30度と表される。
【0032】
また、同様に、以下、ある方向を基準とした場合に、基準となる方向から左方向の角度を負の値で表し、基準となる方向から左方向の角度を正の値で表す。例えば、ドライバの顔の向きを基準とした場合、ドライバの顔の向きから左に30度の方向は−30度と表され、基準方向から右に30度の方向は+30度と表される。
【0033】
次に、図2のフローチャートを参照して、運転支援装置101により実行される運転支援処理について説明する。なお、この処理は、例えば、自車のエンジンが始動されたとき開始される。
【0034】
ステップS1において、撮影部111は、撮影を開始する。具体的には、撮影部111は、ドライバの顔の撮影を開始し、撮影した顔画像の顔方向検出部121および視線方向検出部122への供給を開始する。
【0035】
ステップS2において、車速検出部112は、自車の速度の検出を開始し、検出した速度を示す情報の視野検出部123および判定部124への供給を開始する。
【0036】
ステップS3において、顔方向検出部121は、顔の向きを検出する。具体的には、顔方向検出部121は、顔画像に基づいて、ドライバの顔の向きを検出し、検出した顔の向きを示す情報を視野検出部123および判定部124に供給する。
【0037】
ステップS4において、判定部124は、顔の向きが所定の範囲(以下、顔向き判定範囲と称する)内であるかを判定する。
【0038】
ここで、顔向き判定範囲とは、ドライバが脇見をしているか否かを判定する基準となる顔の向きの範囲であり、判定部124は、ドライバの顔の向きが顔向き判定範囲外である場合、ドライバが脇見をしていると判定する。
【0039】
なお、顔向き判定範囲の例については後述する。
【0040】
ステップS4において、顔の向きが顔向き判定範囲内であると判定された場合、処理はステップS5に進む。
【0041】
ステップS5において、視線方向検出部122は、視線の向きを検出する。具体的には、判定部124は、ドライバの視野の検出を視野検出部123に指示する。視野検出部123は、ドライバの視線の向きの検出を視線方向検出部122に指示する。視線方向検出部122は、顔画像に基づいて、ドライバの視線の向きを検出し、検出した視線の向きを示す情報を視野検出部123に供給する。
【0042】
ステップS6において、視野検出部123は、視野を検出する。具体的には、視野検出部123は、ドライバの視線の向きを基準とする所定の水平方向の範囲(以下、視野範囲と称する)をドライバの視野として検出する。
【0043】
ところで、「高田 一ほか、ドライバへの危険認知支援方法に関する研究、日本、学術講演会前刷集No.4-06、社団法人自動車技術会、2006年5月、11乃至16ページ」(以下、引用文献1と称する)に、ドライバがLED(Light Emitting Diode)の発光の検知に要する時間は、LEDの呈示位置がドライバの正面方向に対して左に20度乃至右に20度の範囲内である場合、呈示位置、色、LEDの直径の違いによる顕著な差は現れず、呈示位置がその範囲を超えると、呈示位置、色、LEDの直径の違いにより顕著な差が現れるという実験結果が報告されている。
【0044】
例えば、この実験結果に基づいて、視野範囲の一例として、ドライバの視線の向きを中心とする−20度乃至+20度の範囲に設定することが考えられる。
【0045】
また、顔の向きと視線の向きのズレが大きい場合、人の視野は鼻の影響などにより狭くなるため、顔の向きと視線の向きのズレの大きさに応じて視野範囲の広さを調整するようにしてもよい。例えば、ドライバの顔の向きと視線の向きの水平方向のズレの大きさが5度以上である場合、視野範囲をドライバの視線の向きを中心とする−15度乃至+15度の範囲に設定するようにしてもよい。あるいは、主に鼻による視野の狭小化を考慮して、ドライバの顔の向きと視線の向きの水平方向のズレの大きさが5度以上となった場合、ドライバの視線が顔の向きに対して左方向にずれているとき、視野範囲をドライバの視線の向きを基準とする−20度乃至+10度の範囲に設定し、ドライバの視線が顔の向きに対して右方向にずれている場合、視野範囲をドライバの視線の向きを基準とする−10度乃至+20度の範囲に設定するようにしてもよい。また、顔の向きと視線の向きのズレに応じて、視野範囲の広さをより細かく調整するようにしてもよい。
【0046】
あるいは、ドライバの視野は、自車の速度が速くなるほど狭くなるため、自車の速度に応じて視野範囲の広さを調整するようにしてもよい。例えば、自車の速度が時速40km以下の場合、視野範囲をドライバの視線の向きを中心とする−50度乃至+50度の範囲に設定し、時速70km以下の場合、視野範囲をドライバの視線の向きを中心とする−32度乃至+32度の範囲に設定し、時速100km以下の場合、視野範囲をドライバの視線の向きを中心とする−20度乃至+20度の範囲に設定し、時速100kmを超えた場合、視野範囲をドライバの視線の向きを中心とする−10度乃至+10度の範囲に設定するようにしてもよい。
【0047】
なお、以下、ドライバの顔の向きと視線の向きの水平方向のズレの大きさが5度未満である場合、視野範囲をドライバの視線の向きを中心とする−20度乃至+20度の範囲に設定し、ドライバの顔の向きと視線の向きの水平方向のズレの大きさが5度以上である場合、視野範囲をドライバの視線の向きを中心とする−15度乃至+15度の範囲に設定する場合の例について説明する。
【0048】
視野検出部123は、検出したドライバの視野を示す情報を判定部124に供給する。
【0049】
ステップS7において、判定部124は、注視すべき範囲が視野に含まれるかを判定する。判定部124は、運転中にドライバが注視すべき範囲として設定されている所定の範囲が、視野検出部123により検出されたドライバの視野に含まれる場合、注視すべき範囲が視野に含まれると判定し、処理はステップS8に進む。なお、以下、基準方向から−10度乃至+10度の範囲が、運転中にドライバが注視すべき範囲として設定されているものとする。
【0050】
ステップS8において、判定部124は、注視すべき範囲が視野の端付近に偏っているかを判定する。具体的には、判定部124は、ドライバの視野の左端から右方向の所定の範囲(以下、左端視野範囲と称する)、および、視野の右端から左方向の所定の範囲(以下、右端視野範囲と称する)のいずれにも注視すべき範囲が含まれない場合、注視すべき範囲が視野の端付近に偏っていないと判定し、処理はステップS9に進む。
【0051】
なお、以下、左端視野範囲をドライバの視野の左端から右方向に20度までの範囲とし、右端視野範囲をドライバの視野の右端から左方向に20度までの範囲とする場合の例について説明する。
【0052】
図3は、ドライバの顔および視線の向きの例を示しており、図内の点線の矢印は自車の前方の方向である基準方向を示し、実線の矢印は視線の向きを示している。なお、後述す図4乃至図7においても、点線の矢印が基準方向を示し、実線の矢印が視線の向きを示すものとする。
【0053】
例えば、図3に示されるように、ドライバの顔が0度の方向、かつ、ドライバの視線が0度の方向を向いている場合、ドライバの視野は、−20度から+20度までの範囲となる。このとき、注視すべき範囲である−10度から+10度が、左端視野範囲である−20度から0度までの範囲、および、右端視野範囲である0度から+20度までの範囲のいずれにも含まれないので、注視すべき範囲が視野の端付近に偏っていないと判定され、処理はステップS9に進む。
【0054】
ステップS9において、判定部124は、脇見をしておらず安全な状態であると判定する。判定部124は、ドライバが脇見しておらず安全な状態であることを示す情報を車両制御部114に供給する。その後、処理はステップS13に進む。
【0055】
一方、ステップS8において、判定部124は、左端視野範囲および右端視野範囲の少なくとも一方に注視すべき範囲が含まれる場合、注視すべき範囲が視野の端付近に偏っていると判定し、処理はステップS10に進む。
【0056】
例えば、図4に示されるように、ドライバの顔が+15度の方向、かつ、ドライバの視線が−5度の方向を向いている場合、ドライバの視野は、−20度から+10度までの範囲となる。このとき、注視すべき範囲である−10度から+10度が、右端視野範囲である−10度乃至+10度の範囲に含まれるので、注視すべき範囲が視野の右端付近に偏っていると判定され、処理はステップS10に進む。
【0057】
また、例えば、図5に示されるように、ドライバの顔が+25度の方向、かつ、ドライバの視線が+5度の方向を向いている場合、ドライバの視野は、−10度から+20度までの範囲となる。このとき、注視すべき範囲である−10度から+10度が、左端視野範囲である−10度乃至+10度の範囲に含まれるので、注視すべき範囲がドライバの視野の左端付近に偏っていると判定され、処理はステップS10に進む。
【0058】
ステップS10において、判定部124は、脇見をしていないが危険度が高い状態であると判定する。人の視力は視野の端に近づくほど低下するので、判定部124は、注視すべき範囲がドライバの視野の端付近に偏っている場合、脇見をしていないが、注視すべき範囲が十分に見えていない可能性が高いため、危険度が高い状態であると判定する。判定部124は、ドライバが脇見していないが危険度が高い状態であることを示す情報を車両制御部114に供給する。その後、処理はステップS12に進む。
【0059】
一方、ステップS7において、注視すべき範囲が視野に含まれないと判定された場合、処理はステップS11に進む。
【0060】
例えば、図6に示されるように、ドライバの顔が0度の方向、かつ、ドライバの視線が−20度の方向を向いている場合、ドライバの視野は、−35度から−5度までの範囲となる。このとき、注視すべき範囲である−10度から+10度がドライバの視野に含まれないと判定され、処理はステップS11に進む。
【0061】
ステップS11において、判定部124は、脇見をしていると判定する。判定部124は、ドライバが脇見をしていることを示す情報を車両制御部114に供給する。
【0062】
また、ステップS4において、顔の向きが顔向き判定範囲外であると判定された場合、処理はステップS11に進み、ドライバの視線の向きおよび視野に関わらず、ステップS11において、脇見をしていると判定される。
【0063】
ところで、「中越 聡ほか、ドライバの顔向きによる前方不注視の推定と警報反応時間の研究、日本、学術講演会前刷集No.58-06、社団法人自動車技術会、2006年5月、17乃至20ページ」(以下、引用文献2と称する)に、ドライバは、視対象物までの左右角度が20度を超えると、顔向き角度が眼球運動を上回り、顔を動かす傾向が顕著になるという実験結果が報告されている。
【0064】
例えば、この実験結果に基づいて、ドライバの顔と視線の向きのズレの最大値を20度と考えた場合、ドライバの顔が−25度より左方向を向いている場合、ドライバの視線の向きは−5度より左方向になり、ドライバの視野は+10度より左方向の範囲となる。従って、ドライバの顔が−25度より左方向を向いている場合、注視すべき範囲である−10度乃至+10度の範囲がドライバの視野に含まれないことになる。同様に、ドライバの顔が+25度より右方向を向いている場合、ドライバの視線の向きは+5度より右方向になり、ドライバの視野は−10度より右方向の範囲となる。従って、ドライバの顔が+25度より右方向を向いている場合、注視すべき範囲である−10度乃至+10度の範囲がドライバの視野に含まれることがないことになる。
【0065】
従って、顔向き判定範囲の一例として、基準方向から−25度乃至+25度の範囲に設定することが考えられる。
【0066】
この場合、例えば、図7に示されるように、ドライバの顔が+30度の方向を向いている場合、ドライバの顔の向きが顔向き判定範囲に含まれないので、脇見をしていると判定される。なお、ドライバの顔が+30度の方向を向いている場合、引用文献2に示される実験結果によれば、ドライバの視線の向きは、最も左方向を向いたとしても+10度までと想定されるため、ドライバの視野は、最も左に位置したとしても−5度乃至+25度の範囲までと想定される。すなわち、ドライバの顔が+30度の方向を向いている場合、ドライバの視線が最も左方向を向いたとしても、注視すべき範囲が視野に含まれないと想定される。
【0067】
ステップS12において、車両制御部114は、脇見に対応した処理を行う。例えば、車両制御部114は、ドライバの脇見が所定の第1の時間以上継続したり、脇見をしていないが危険度が高い状態が第1の時間より長い所定の第2の時間以上継続した場合、ドライバに対して注意を促す警告画面を自車に設けられている表示装置に表示させたり、注意を促す警報を自車に設けられているスピーカから出力させたりする。
【0068】
ステップS13において、運転支援装置101は、処理を終了するか否かを判定する。処理を終了しないと判定された場合、処理はステップS3に戻り、ステップS13において、処理を終了すると判定されるまで、ステップS3乃至S13の処理が繰り返し実行される。
【0069】
一方、ステップS13において、例えば、自車のエンジンが停止されたとき、運転支援装置101は、処理を終了すると判定し、運転支援処理は終了する。
【0070】
以上のように、ドライバの顔または視線の向きだけでなく、ドライバの視野を用いて脇見を検出するようにすることにより、より的確に脇見を検出することができる。
【0071】
また、本発明の実施の形態においては、顔の向きおよび視線の向きを検出する手法として従来の手法を用いることができ、他に複雑な処理を行う必要がないため、簡単に脇見の検出精度を向上させることができる。
【0072】
なお、以上の説明では、車両を運転するドライバの脇見を検出する例を示したが、本発明は、上述した例以外にも、例えば、電車、航空機、船舶などの各種の乗り物を運転または操作する人、工作機械などの装置を操作する人など、所定の方向を注視する必要がある人の脇見を検出する場合にも適用することができる。
【0073】
また、脇見をしているか否かを判定する場合に、顔が顔向き判定範囲外を向いている時間、または、注視すべき範囲が視野に含まれない状態が継続する時間を考慮するようにしてもよい。その場合、判定に用いる時間を、自車の速度、顔または視線の向きなどにより調整するようにしてもよい。
【0074】
さらに、本発明の実施の形態において、顔および視線の向きを検出する手法は、画像を用いる手法に限定されるものではなく、例えば、ドライバの頭部に取り付けたセンサなどにより検出するようにしてもよい。
【0075】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0076】
図8は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
【0077】
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)301,ROM(Read Only Memory)302,RAM(Random Access Memory)303は、バス304により相互に接続されている。
【0078】
バス304には、さらに、入出力インタフェース305が接続されている。入出力インタフェース305には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部306、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部307、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部308、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部309、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア311を駆動するドライブ310が接続されている。
【0079】
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU301が、例えば、記憶部308に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース305及びバス304を介して、RAM303にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
【0080】
コンピュータ(CPU301)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア311に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
【0081】
そして、プログラムは、リムーバブルメディア311をドライブ310に装着することにより、入出力インタフェース305を介して、記憶部308にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部309で受信し、記憶部308にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM302や記憶部308に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0082】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0083】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明を適用した運転支援装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】運転支援装置により実行される運転支援処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】脇見の判定の例を説明するための図である。
【図4】脇見の判定の例を説明するための図である。
【図5】脇見の判定の例を説明するための図である。
【図6】脇見の判定の例を説明するための図である。
【図7】脇見の判定の例を説明するための図である。
【図8】パーソナルコンピュータの構成の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0085】
101 運転支援装置
111 撮影部
112 車速検出部
113 脇見検出部
114 車両制御部
121 顔方向検出部
122 視線方向検出部
123 視野検出部
124 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の視線の向きを基準とする第1の範囲を前記人の視野として検出する視野検出手段と、
検出された前記人の視野に基づいて、前記人が脇見をしているか否かを判定する判定手段と
を含む脇見検出装置。
【請求項2】
前記視野検出手段は、前記人の顔の向きと視線の向きのズレの大きさに応じて、前記第1の範囲の広さを調整する
請求項1に記載の脇見検出装置。
【請求項3】
前記視野検出手段は、前記人が運転する乗り物の速度に応じて、前記第1の範囲の広さを調整する
請求項1に記載の脇見検出装置。
【請求項4】
前記判定手段は、所定の基準方向に対する前記人の顔の水平方向の向きが第2の範囲を超えている場合、前記人の視線の向きおよび視野に関わらず、脇見をしていると判定する
請求項1に記載の脇見検出装置。
【請求項5】
人の視線の向きを基準とする所定の範囲を前記人の視野として検出する視野検出ステップと、
検出された前記人の視野に基づいて、前記人が脇見をしているか否かを判定する判定ステップと
を含む脇見検出方法。
【請求項6】
人の視線の向きを基準とする所定の範囲を前記人の視野として検出する視野検出ステップと、
検出された前記人の視野に基づいて、前記人が脇見をしているか否かを判定する判定ステップと
を含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−15550(P2009−15550A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175780(P2007−175780)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】