説明

膜厚測定装置、製膜装置、膜厚測定方法及び製膜方法

【課題】膜厚を正確に測定する。
【解決手段】 同種の層R1,R2を積層して基材K上で最も表面側に形成された膜M2の厚さを測定する膜厚測定装置1は、層R1,R2のうち、基材K上で最も表面側に位置する最表層R2より基材K側に形成された下地層R1の厚さに基づいて膜M2の厚さ範囲を算出する演算処理部31と、反射分光法を用いて厚さ範囲内で膜M2の厚さを測定する測定部30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜の厚さを測定する膜厚測定装置及び膜厚測定方法と、基材上に製膜を行う製膜装置及び製膜方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材上に膜を製膜する場合には、膜厚制御を正確に行う観点から、同種の層を複数積層して膜を形成しているが、このようにして製膜された膜の厚さを反射分光法や干渉法などによって測定する場合には、測定結果として複数の候補が算出されてしまう問題がある。
【0003】
そのため、近年、このような問題を解消すべく、予め膜厚の予測範囲を算出しておいてから測定を行う手法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開2004−191266号公報
【特許文献2】特開2002−356780号公報
【特許文献3】特開2000−9437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、膜厚の予測範囲の計算を作業者の勘などに頼って行うと、膜厚の測定が正確に行われない場合があり、この場合には、膜厚の制御も正確に行われない。
【0005】
本発明の課題は、膜厚を正確に測定することができる膜厚測定装置及び膜厚測定方法と、膜厚を正確に制御することができる製膜装置及び製膜方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、同種の層を複数積層して基材上で最も表面側に形成された膜の厚さを測定する膜厚測定装置において、
複数の前記層のうち、基材上で最も表面側に位置する最表層より前記基材側に形成された下地層全体の厚さに基づいて前記膜の厚さ範囲を算出する演算処理部と、
反射分光法または干渉法を用いて前記厚さ範囲内で前記膜の厚さを測定する測定部とを備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、同種の層とは、物性の同じ層であり、好ましくは分光波長の同じ層である。このような同種の層によって形成された測定対象の膜と基材との間には、物性の異なる他の膜が介在していても良い。
【0008】
また、最表層とは、膜厚測定される際に最も表面側に形成された層である。
また、下地層とは、最表層と基材との間に製膜された少なくとも1つの層であり、下地層全体とは、下地層が1層しかない場合にはその層であり、下地層が複数層ある場合にはこれら複数の層である。
【0009】
請求項1記載の発明によれば、下地層全体の厚さに基づいて膜の厚さ範囲を算出するので、厚さ範囲を正確に算出することができる。従って、作業者の勘などに頼って膜厚の予測範囲を算出する従来の場合と異なり、膜厚を正確に測定することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の膜厚測定装置において、
前記演算処理部は、
前記厚さ範囲内に所定の閾値を設定し、当該閾値を越える厚さが測定された場合には、前記閾値を前記膜の厚さとすることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、閾値を越える厚さが測定された場合には、当該閾値を膜の厚さとするので、最表層に部分的な変形や汚れが生じた場合であっても、実際とかけ離れた厚さが測定されるのを防止することができる。従って、測定結果の誤差を小さくし、より正確な厚さを測定することができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、同種の層を基材上に複数積層して製膜する製膜装置において、
各層を製膜する製膜部と、
請求項1または2記載の膜厚測定装置とを備え、
前記製膜部は、複数の前記層によって既に形成された膜の厚さについての前記膜厚測定装置による測定結果に基づいて、この膜を形成する前記複数の層のうち、基材上で最も表面側に位置する最表層の製膜条件を変化させることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の膜厚測定装置を備えるので、同種の層によって既に形成された膜の厚さを正確に測定することができる。また、この膜厚測定装置による膜厚の測定結果に基づいて最表層の製膜条件を変化させるので、膜厚を正確に制御することができる。
【0014】
なお、製膜条件としては、例えば、反応ガスの流量や、反応ガスに対する基材の暴露時間、プラズマ製膜処理における電圧量,電流量などがある。
【0015】
請求項4記載の発明は、同種の層を複数積層して基材上で最も表面側に形成された膜の厚さを測定する膜厚測定方法において、
複数の前記層のうち、基材上で最も表面側に位置する最表層より前記基材側に形成された下地層全体の厚さに基づいて前記膜の厚さ範囲を算出した後、
反射分光法または干渉法を用いて前記厚さ範囲内で前記膜の厚さを測定することを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、下地層全体の厚さに基づいて膜の厚さ範囲を算出することにより、厚さ範囲を正確に算出することができる。従って、作業者の勘などに頼って膜厚の予測範囲を算出する従来の場合と異なり、膜厚を正確に測定することができる。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の膜厚測定方法において、
前記厚さ範囲内に所定の閾値を設定し、当該閾値を越える厚さが測定された場合には、前記閾値を前記膜の厚さとすることを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、閾値を越える厚さが測定された場合に当該閾値を膜の厚さとすることにより、最表層の部分的な変形や汚れが生じた場合であっても、実際とかけ離れた厚さが測定されるのを防止することができる。従って、測定結果の誤差を小さくし、より正確な厚さを測定することができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、同種の層を基材上に複数積層して製膜する製膜方法において、
各層を製膜する製膜工程と、
複数の前記層によって既に形成された膜の厚さを測定する測定工程とを行い、
前記測定工程では、前記複数の層のうち、基材上で最も表面側に位置する最表層より前記基材側に形成された下地層全体の厚さに基づいて前記膜の厚さ範囲を算出した後、反射分光法または干渉法を用いて前記厚さ範囲内で前記膜の厚さを測定し、
前記製膜工程では、前記測定工程による前記膜の厚さの測定結果に基づいて前記最表層の製膜条件を変化させることを特徴とする。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、下地層全体の厚さに基づいて膜の厚さ範囲を算出することにより、厚さ範囲を正確に算出することができる。従って、作業者の勘などに頼って膜厚の予測範囲を算出する従来の場合と異なり、膜厚を正確に測定することができる。また、この測定結果に基づいて最表層の製膜条件を変化させるので、膜厚を正確に制御することができる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の製膜方法において、
前記測定工程では、前記厚さ範囲内に所定の閾値を設定し、当該閾値を越える厚さが測定された場合には、前記閾値を前記膜の厚さとすることを特徴とする。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、閾値を越える厚さが測定された場合に当該閾値を膜の厚さとすることにより、最表層の部分的な変形や汚れが生じた場合であっても、実際とかけ離れた厚さが測定されるのを防止することができる。従って、測定結果の誤差を小さくし、より正確な厚さを測定することができる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1,4記載の発明によれば、作業者の勘などに頼って膜厚の予測範囲を算出する従来の場合と異なり、膜厚を正確に測定することができる。
【0024】
請求項2,5記載の発明によれば、請求項1,4記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、測定結果の誤差を小さくし、より正確な厚さを測定することができる。
請求項3記載の発明によれば、膜厚を正確に測定することができる。また、膜厚を正確に制御することができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、作業者の勘などに頼って膜厚の予測範囲を算出する従来の場合と異なり、膜厚を正確に測定することができる。また、この測定結果に基づいて最表層の製膜条件を変化させるので、膜厚を正確に制御することができる。
請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の発明と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、測定結果の誤差を小さくし、より正確な厚さを測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)は、本発明に係る製膜装置1の概略構成を示す図である。
この図に示すように、製膜装置1は、製膜部2を備えている。
【0027】
製膜部2は、プラズマ放電処理によって長尺なフィルム状の基材Kに同種の層を複数積層して製膜するものであり、本実施の形態においては、図1(b)に示すように、同種の層R1〜R3を基材Kの側から順に積層して膜Mを製膜するようになっている。なお、図1(b)では、膜Mを構成する層R1〜R3のうち、層R1,R2が形成された段階での断面を示している。この製膜部2は、図1(a)に示すように、所定の張力を保ちつつ基材Kを搬送方向Xに搬送する搬送ローラ20,20を備えている。
【0028】
搬送ローラ20,20の間には、アース電極としてのロール電極21が配設されている。このロール電極21は、基材Kが表面に巻回された状態で搬送方向Xに回転するようになっている。
【0029】
ロール電極21の測方には、固定電極22が配設されている。この固定電極22は、図示しない複数の角筒から構成されており、これら角筒はロール電極21に対向している。また、固定電極22は、電源24と接続されており、高周波電圧が印加されるようになっている。
【0030】
この固定電極22には、固定電極22とロール電極21との間隙にプラズマ処理用の放電ガスや原料ガス、添付ガス等を供給するガス供給管23,23が設けられている。ここで、放電ガスとしては例えばNeやAr、Xe、N2等を用いることができ、原料ガスとしては例えばSiO2やSi24、Si26、SiCl4、SiH2Cl2、Si(CH34等等のシラン含有ガス、これらのシラン含有ガスと無水アンモニアガスや窒素ガスとの混合ガス等を用いることができる。
なお、上記のような製膜部2としては、例えば特開2002−356780号公報に開示のもの等、従来より公知のものを用いることができる。
【0031】
この製膜部2よりも搬送方向Xの下流側には、測定部3が配設されている。
測定部3は、本発明における膜厚測定装置であり、図2に示すように、測定器30及び演算処理部31を備えている。
【0032】
測定器30は、図1(b)に示すように、基材Kの上部において最も表面側に製膜された膜の厚さを反射分光法によって測定するものであり、光ファイバ32を介して出射した光に対する反射光の分光強度から膜厚について複数の候補値を得ることができるようになっている。なお、本実施の形態においては、測定器30として、フィルメトリクス株式会社製の膜厚測定器「F−20」が用いられている。
【0033】
演算処理部31は、製膜済みの層のうち、基材K上で最も表面側に位置する最表層の下地層全体の厚さに基づいて、製膜済みの膜の厚さ範囲を算出するものである。例えば、図1(b)に示すように、層R1,R2が製膜済みである場合には、演算処理部31は、最表層R2の下地層R1の厚さに基づいて、製膜済みの膜M2(=層R1+層R2)の厚さ範囲を算出する。
【0034】
また、この演算処理部31は、算出した厚さ範囲内に所定の閾値dn+1(図4のステップS54参照)を設定し、当該閾値dn+1を越える厚さが測定された場合には、閾値dn+1を膜Mn+1の厚さとするようになっている。ここで、本実施の形態においては、閾値dn+1の値として、閾値dn+1=下地層全体の厚さtn+最表層の閾値d’n+1の式で算出される値が用いられており、閾値d’n+1としてはd’2=3、d’3=4が用いられている。但し、閾値d’n+1の値はnの値に関らず一定の値としても良い。
【0035】
以上の製膜部2及び測定部3には、図2に示すように、制御部4が接続されている。この制御部4は、製膜装置1の各部を制御するものであり、本実施の形態においては、測定部3における測定結果に基づいて搬送ローラ20、電源24及びガス供給管23を制御することにより、基材Kの搬送速度や固定電極22に対する印加電圧量、ガスの種類、流量、混合比などの製膜条件を調整するようになっている。
【0036】
制御部4には、入力部5及び表示部6が接続されている。
入力部5は操作者から操作指示が入力されるものであり、表示部6は操作者に対して製膜条件や膜厚などの情報を表示するものである。
【0037】
続いて、本発明に係る製膜方法について説明する。
まず、図3に示すように、制御部4が変数nの値を1に設定する(ステップS1)。
【0038】
次に、製膜部2が基材Kの表面に層R1を製膜する(ステップS2)。具体的には、搬送ローラ20,20によって基材Kを搬送した状態で、電源24により固定電極22に電圧を印加する。また、放電用ガスをガス供給管23によって流量制御しながら供給し、固定電極22とロール電極21との間でプラズマを発生させる。これにより基材Kの表面に層R1が製膜される。
【0039】
次に、測定部3は、層R1の膜厚Δ1を測定する(ステップS3)。なお、層R1と基材Kとの間には、当該層R1と物性の等しい他の層が介在していないため、この膜厚Δ1は反射分光法によって正確に測定される。また、この膜厚Δ1は、図1(b)に示すように、基材Kの上部に製膜された層の総膜厚、つまり膜M1の膜厚t1と等しい。
【0040】
次に、製膜部2が、上記のステップS2と同様にして層R1の表面に層R2を形成する(ステップS4)。
次に、測定部3が、製膜済みの膜M2の膜厚を、本発明に係る膜厚測定方法によって測定する(ステップS5)。
【0041】
具体的には、図4に示すように、まず演算処理部31が膜M2の予想膜厚p2をt1+Δ1に設定する(ステップS51)。
【0042】
次に、演算処理部31が膜M2の膜厚t2の厚さ範囲を(100−k)×p2≦t2≦(100+k)×p2として算出する。ここで、「k」は0<k<100の定数である。このように、膜M2における最表層R2の下地層R1の厚さに基づいて膜M2の厚さ範囲を算出することにより、厚さ範囲が正確に算出される。
【0043】
次に、算出された厚さ範囲内で測定部30が仮膜厚U2を測定し(ステップS52)、仮膜厚U2の値が0<U2<d2を満たすか否かを演算処理部31が判別する(ステップS53)。
【0044】
そして、このステップS53において仮膜厚U2の値が0<U2<d2を満たす場合(ステップS53;Yes)には、演算処理部31は測定結果、つまり仮膜厚U2を膜M2の膜厚t2とした後(ステップS54)、Δ2=t2−t1によって層R2の膜厚Δ2を算出し(ステップS55)、膜厚の測定を終了する。
【0045】
一方、ステップS53において仮膜厚U2の値が0<U2<d2を満たさない場合(ステップS53;No)には、演算処理部31は閾値d2を膜M2の膜厚t2とした後(ステップS56)、Δ2=t2−t1によって層R2の膜厚Δ2を算出し(ステップS55)、膜厚の測定を終了する。このように、閾値d2を越える仮膜厚U2が測定された場合には、当該閾値d2を膜M2の膜厚t2とすることにより、最表層R2に部分的な変形や汚れが生じた場合であっても、実際とかけ離れた膜厚が測定されるのが防止される。
【0046】
次に、制御部4は、図3に示すように、膜M2の膜厚t2及び層R2の膜厚Δ2と、膜厚制御するか否かの選択指示とを表示部6に表示させ、操作者が膜厚制御を指示するか否かを判別する(ステップS6)。
【0047】
このステップS6において膜厚制御する旨の操作指示が入力された場合(ステップS6;Yes)には、制御部4は基材Kの搬送速度や固定電極22に対する印加電圧量、ガスの流量などの製膜条件を変更し(ステップS7)、製膜装置1に再びステップS4〜S6の処理を行わせる。
【0048】
一方、ステップS6において膜厚制御しない旨の操作指示が入力された場合(ステップS6;No)には、制御部4は層R2の製膜を終了するか否かの選択指示を表示部6に表示させ、操作者が終了を指示するか否かを判別する(ステップS8)。
【0049】
このステップS8において層R2の製膜を終了しない旨の操作指示が入力された場合(ステップS8;No)には、制御部4は製膜装置1に再びステップS4〜S6の処理を行わせる。
【0050】
一方、ステップS8において層R2の製膜を終了する旨の操作指示が入力された場合(ステップS8;Yes)には、制御部4は層R3の製膜を行うか否かの選択指示を表示部6に表示させ、操作者が製膜を指示するか否かを判別する(ステップS9)。
【0051】
このステップS9において製膜する旨の操作指示が入力された場合(ステップS9;Yes)には、制御部4は変数nの値に1を加えた後(ステップS10)、製膜装置1に再びステップS4〜S6の処理を行わせる。これにより、層R2の表面に層R3が製膜され、膜M(=膜M3)の膜厚が測定される。
【0052】
そして、ステップS9において製膜しない旨の操作指示が入力された場合(ステップS9;No)には、製膜装置1は製膜処理を終了する。
【0053】
以上の製膜方法によれば、最表層R2の下地層R1の厚さに基づいて膜M2の膜厚t2の厚さ範囲を算出することにより、膜厚t2の厚さ範囲を正確に算出することができるため、作業者の勘などに頼って膜厚の予測範囲を算出する従来の場合と異なり、膜厚を正確に測定することができる。
【0054】
また、閾値d2を越える仮膜厚U2が測定された場合には、当該閾値d2を膜M2の膜厚t2とすることにより、実際とかけ離れた膜厚が測定されるのを防止することができるため、測定結果の誤差を小さくし、より正確な膜厚を測定することができる。
【0055】
また、下地層全体の厚さの実測値に基づく厚さ範囲で膜厚測定を行うので、層ごとに厚さが変化する場合であっても、例えば固定の範囲で膜厚測定する場合と異なり、測定誤差を補正することなく、厚さの変化に追随して正確な厚さを測定することができる。また、補正のために操作者が演算する必要がないため、測定部3に自動で測定を行わせることができる。
【0056】
また、ステップS6において膜厚制御する場合には、最表層R2の厚さの正確な測定結果に基づいて当該最表層R2の製膜条件を変化させることにより、膜厚を正確に制御することができる。
【0057】
なお、上記の実施の形態においては、製膜装置1は製膜部2及び測定部3をそれぞれ1つ備えることとして説明したが、搬送方向Xに沿って交互に複数備えることとしても良い。
【0058】
また、ステップS4〜S7の工程を順次行うこととして説明したが、基材Kの各部位に対してこれらの工程が順次行われる限りにおいて、これらの工程を並行して行うこととしても良い。
【0059】
また、仮膜厚U2の値が0<U2<d2を満たさない場合には、演算処理部31は閾値d2を膜厚t2とすることとして説明したが、更に、仮膜厚U2の値が例えば1.5×d2≦U2の場合には、異常な膜厚が測定された旨を表示部6が表示することとしても良い。
【0060】
また、層R1は基材Kの表面に形成されていることとして説明したが、層R1とは物性の異なる他の膜が層R1と基材Kとの間に介在することとしても良い。
【0061】
また、製膜部2は3つの層R1〜R3によって膜Mを形成することとして説明したが、2つの層から形成することとしても良いし、4つ以上の層から形成することとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】(a)は本発明に係る製膜装置の概略構成を示す側面図であり、(b)は再表層及び下地層を示す断面図である。
【図2】本発明に係る製膜装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る製膜方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る膜厚測定方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 製膜装置
2 製膜部
3 測定部(膜厚測定装置)
30 測定部
31 演算処理部
K 基材
M,M2
1 下地層
2 最表層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同種の層を複数積層して基材上で最も表面側に形成された膜の厚さを測定する膜厚測定装置において、
複数の前記層のうち、基材上で最も表面側に位置する最表層より前記基材側に形成された下地層全体の厚さに基づいて前記膜の厚さ範囲を算出する演算処理部と、
反射分光法または干渉法を用いて前記厚さ範囲内で前記膜の厚さを測定する測定部とを備えることを特徴とする膜厚測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の膜厚測定装置において、
前記演算処理部は、
前記厚さ範囲内に所定の閾値を設定し、当該閾値を越える厚さが測定された場合には、前記閾値を前記膜の厚さとすることを特徴とする膜厚測定装置。
【請求項3】
同種の層を基材上に複数積層して製膜する製膜装置において、
各層を製膜する製膜部と、
請求項1または2記載の膜厚測定装置とを備え、
前記製膜部は、複数の前記層によって既に形成された膜の厚さについての前記膜厚測定装置による測定結果に基づいて、この膜を形成する前記複数の層のうち、基材上で最も表面側に位置する最表層の製膜条件を変化させることを特徴とする製膜装置。
【請求項4】
同種の層を複数積層して基材上で最も表面側に形成された膜の厚さを測定する膜厚測定方法において、
複数の前記層のうち、基材上で最も表面側に位置する最表層より前記基材側に形成された下地層全体の厚さに基づいて前記膜の厚さ範囲を算出した後、
反射分光法または干渉法を用いて前記厚さ範囲内で前記膜の厚さを測定することを特徴とする膜厚測定方法。
【請求項5】
請求項4記載の膜厚測定方法において、
前記厚さ範囲内に所定の閾値を設定し、当該閾値を越える厚さが測定された場合には、前記閾値を前記膜の厚さとすることを特徴とする膜厚測定方法。
【請求項6】
同種の層を基材上に複数積層して製膜する製膜方法において、
各層を製膜する製膜工程と、
複数の前記層によって既に形成された膜の厚さを測定する測定工程とを行い、
前記測定工程では、前記複数の層のうち、基材上で最も表面側に位置する最表層より前記基材側に形成された下地層全体の厚さに基づいて前記膜の厚さ範囲を算出した後、反射分光法または干渉法を用いて前記厚さ範囲内で前記膜の厚さを測定し、
前記製膜工程では、前記測定工程による前記膜の厚さの測定結果に基づいて前記最表層の製膜条件を変化させることを特徴とする製膜方法。
【請求項7】
請求項6記載の製膜方法において、
前記測定工程では、前記厚さ範囲内に所定の閾値を設定し、当該閾値を越える厚さが測定された場合には、前記閾値を前記膜の厚さとすることを特徴とする製膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−275879(P2006−275879A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97617(P2005−97617)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】