膜形成方法、膜形成装置、液晶装置の製造方法、及び液晶装置の製造装置
【課題】インクを配置するための作業時間が長くなることを抑制すると共に、不良となった吐出ノズルが所定の位置に液滴を吐出するように設定された時点と、代替の吐出ノズルが所定の位置に、実際に液滴を吐出する時点とが、ずれることを抑制する、膜形成方法、膜形成装置、液晶装置の製造方法、及び液晶装置の製造装置を提供する。
【解決手段】膜形成方法は、複数の吐出ノズルから膜の材料を含む液状体を吐出することで、基材上に液状体を配置する膜形成方法であって、吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程と、検査結果に応じて、複数の吐出ノズルと基材との一回の相対移動の間に、膜形成領域に吐出される液状体の総量が所定量となるように、吐出ノズルの吐出量を決定する吐出量決定工程と、を有する。
【解決手段】膜形成方法は、複数の吐出ノズルから膜の材料を含む液状体を吐出することで、基材上に液状体を配置する膜形成方法であって、吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程と、検査結果に応じて、複数の吐出ノズルと基材との一回の相対移動の間に、膜形成領域に吐出される液状体の総量が所定量となるように、吐出ノズルの吐出量を決定する吐出量決定工程と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上の任意の位置に膜を形成する膜形成方法、膜を形成するための膜形成装置、液晶装置を構成する膜を形成する液晶装置の製造方法、及び液晶装置を構成する膜を形成する液晶装置の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液状体を吐出する吐出ノズルを有する吐出ヘッドを備え、液状体を吐出して描画対象物上の任意の位置に塗布することによって、描画対象物の任意の位置に液状体を配置する吐出装置が知られている。中でも、液状体を液滴として吐出する液滴吐出装置を用いることによって、カラー液晶装置のカラーフィルタ膜などのような機能膜の材料を含む液状体を、任意の位置に任意の量だけ、精度良く塗布することが可能である。塗布された液状体を乾燥させることによって、任意の厚さ及び形状の機能膜を形成することができる。
【0003】
吐出ノズルからの吐出量の精度が高いことによって、液状体を任意の量だけ精度良く塗布することが可能になっている。従って、吐出ノズルからの吐出量の精度が損なわれることによって、塗布される液状材料の量の精度が損なわれ、形成される機能膜において目標の機能が得られない可能性があった。このため、多数の吐出ノズルを有する吐出ヘッドにおいては、一部の吐出ノズルのみが損なわれることで、吐出ヘッド全体を交換しなければならないという課題もあった。
特許文献1には、吐出状態が正常でない不良の吐出ノズルを停止し、当該不良の吐出ノズルがインクを配置するべき位置に、別の正常な吐出ノズルを用いてインクを配置することによって、形成されるカラーフィルタの着色部を正常ならしめると共に、吐出ノズルを有するインクジェットヘッドを、吐出ノズルの一部が不良になっても使用できるようにすることで、インクジェットヘッドを効率良く使用することができるカラーフィルタの製造方法が開示されている。
不良の吐出ノズルがインクを配置するべき位置に、別の正常な吐出ノズルを用いてインクを配置するためには、個々の画素に対して、複数回の走査を実施して、不良の吐出ノズルが或一つの画素に対向する走査とは別の走査の際に、当該画素に対向する正常な吐出ノズルを用いてインクを配置している。
【0004】
【特許文献1】特開平11−72612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているような方法では、個々の画素に対して、複数回の走査を実施することが必須であるという課題があった。複数回の走査を実施することが必須であることに起因して、インクを配置するための作業時間が長くなるという課題があった。
また、複数回の走査のそれぞれにおいてインクを配置することに起因して、不良となった吐出ノズルがインクを配置するべき所定の位置において、当該所定の位置の周囲にインクが配置される時点に対して、不良となった吐出ノズルが当該所定の位置に液滴を吐出するように設定された時点と、代わりの吐出ノズルが当該所定の位置に、実際に液滴を吐出する時点とが、ずれるという課題もあった。
液状体を配置して乾燥させて膜を形成する場合、配置された液状体の塊が濡れ広がり、当該塊どうしが互いに接触して一体となり、乾燥して一体の膜となる。液状体は、配置された時点で、濡れ広がり始めると共に乾燥を開始しており、配置される時点がずれることで、適正な形状の膜が形成されない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる膜形成方法は、複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記基材上の膜形成領域に前記複数の吐出ノズルから膜の材料を含む液状体を吐出し前記液状体を配置する膜形成方法であって、前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程と、前記ノズル検査工程における検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定する吐出量決定工程とを有し、前記吐出量決定工程では、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする。
【0008】
この膜形成方法によれば、吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程を有することで、吐出ノズルから液状体が正常に吐出されているか否かを検出することができることから、吐出量決定工程において、吐出状態が不良の吐出ノズルが有った場合に対応した吐出量を決定することができる。
吐出量決定工程において、それぞれの吐出ノズルが吐出する液状体の吐出量を、複数の吐出ノズルと基材との一回の相対移動の間に、複数の吐出ノズルが基材上の膜を形成する領域に向けて吐出する液状体の総量が、所定量となる吐出量に決定する。所定量は、一回の相対移動の間に複数の吐出ノズルによって領域に向けて吐出することが必要な液状体の総量である。これにより、正常な吐出ができない吐出ノズルが存在しても、適正な量の液状体を、基材に配置することができる。一回の相対移動の間に吐出する液状体の総量が適正な量となるため、異なる走査において吐出量を決定して、当該吐出量を吐出する場合に比べて、予め定められた適切なタイミングを損なうことなく、適正な量の液状体を配置することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する吐出数を決定することが好ましい。
【0010】
この膜形成方法によれば、吐出数を決定することによって、吐出ノズルが液状体を吐出する吐出数と吐出一回あたりの吐出量との積である吐出ノズルが吐出する液状体の吐出量を決定することができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量を決定することが好ましい。
【0012】
この膜形成方法によれば、吐出一回あたりの吐出量を決定することによって、吐出ノズルが液状体を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量と吐出数との積である吐出ノズルが吐出する液状体の吐出量を決定することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記吐出量決定工程は、前記ノズル検査工程において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置と隣接する位置に前記液状体を配置する吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0014】
この膜形成方法によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体が配置される予定の位置に隣接する位置に液状体を配置する吐出ノズルの吐出量を決定する。隣接した位置に配置された液状体は互いに混じり合い易いため、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体と、吐出量決定工程において吐出量が決定された吐出ノズルから吐出された液状体とが互いに混じり合い、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルからの吐出量の過不足を補って均等な膜を形成し易くすることができる。
単一の吐出ノズルにおいて吐出量を決定するため、多くの吐出ノズルについて吐出量を決定し、それを実現する吐出を実施する場合に比べて、吐出ノズルを制御する制御装置の負荷を小さくすることができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記吐出量決定工程は、前記ノズル検査工程において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を挟んで隣接する位置に前記液状体を配置する2個の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0016】
この膜形成方法によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体が配置される予定の位置に隣接する位置に液状体を配置する吐出ノズルの吐出量を決定する。隣接した位置に配置された液状体は互いに混じり合い易いため、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体と、吐出量決定工程において吐出量が決定された吐出ノズルから吐出された液状体とが互いに混じり合い、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルからの吐出量の過不足を補って均等な膜を形成し易くすることができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記吐出量決定工程は、前記ノズル検査工程において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を中心にして隣接する位置に前記液状体を配置する3個以上の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0018】
この膜形成方法によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体が配置される予定の位置に隣接する位置に液状体を配置する吐出ノズルの吐出量を決定する。隣接した位置に配置された液状体は互いに混じり合い易いため、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体と、吐出量決定工程において吐出量が決定された吐出ノズルから吐出された液状体とが互いに混じり合い、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルからの吐出量の過不足を補って均等な膜を形成し易くすることができる。
【0019】
[適用例7]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記3個以上の吐出ノズルそれぞれが前記液状体を配置する位置と、前記吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置との距離によって按分し前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0020】
この膜形成方法によれば、3個以上の吐出ノズルのそれぞれにおける吐出量を決定することで、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから配置された液状体とより混じり合い易くすることができる。
【0021】
[適用例8]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を、吐出状態が適正ではないと判定された前記吐出ノズルが前記液状体を吐出しない状態で、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することが好ましい。
【0022】
この膜形成方法によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルは、描画吐出に際して吐出量がゼロになる。これにより、吐出量を決定するために、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルの実際の吐出量を測定することを不要にすることができる。
【0023】
[適用例9]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記ノズル検査工程は、前記各吐出ノズルが吐出する吐出量を測定する吐出量測定工程を含み、前記吐出量決定工程は、前記吐出量測定工程における前記各吐出ノズルの吐出量に応じて、前記各吐出ノズルの吐出量を決定することが好ましい。
【0024】
この膜形成方法によれば、吐出量測定工程を実施することによって、それぞれの吐出ノズルの吐出量を測定して、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルの吐出量の過不足量を明確にすることができる。
【0025】
[適用例10]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記ノズル検査工程は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴が着弾した状態を判断する工程を含むことが好ましい。
【0026】
この膜形成方法によれば、着弾液滴円の面積によって、一回の吐出量が適切であるか否かを判定することができる。適切な吐出量の場合における着弾液滴円の面積と比べて、着弾液滴円の面積が小さい場合は吐出量が過少であり、大きい場合は吐出量が過多であると判定できる。在るべき位置に着弾液滴円がない場合には、吐出ノズルから液状体が吐出されない状態になっていると判定できる。
【0027】
[適用例11]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記ノズル検査工程は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴の重量を測定する重量測定工程を含むことが好ましい。
【0028】
この膜形成方法によれば、吐出された液状体の重量を測定することによって、適正な量の液状体が吐出されているかを検証することができる。
【0029】
[適用例12]本適用例にかかる膜形成装置は、複数の吐出ノズルと、前記複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させる相対移動装置とを備え、前記相対移動装置によって前記複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記複数の吐出ノズルから膜の材料を含む液状体を吐出して、前記基材上の膜形成領域に前記液状体を配置する膜形成装置であって、前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査手段と、前記ノズル検査手段による検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定する吐出量決定手段と、を備え、前記吐出量決定手段は、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする。
【0030】
この膜形成装置によれば、吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査手段によって、吐出ノズルから液状体が正常に吐出されているか否かを検出することができることから、吐出量決定手段は、吐出状態が不良の吐出ノズルが有った場合に対応した吐出量を決定することができる。
吐出量決定手段は、それぞれの吐出ノズルが吐出する液状体の吐出量を、複数の吐出ノズルと基材との一回の相対移動の間に、複数の吐出ノズルが基材上の膜を形成する領域に向けて吐出する液状体の総量が、所定の量となる吐出量に決定する。所定の量は、一回の相対移動の間に第一の複数の吐出ノズルによって第一の領域に向けて吐出することが必要な液状体の総量である。これにより、正常な吐出ができない吐出ノズルが存在しても、適正な量の液状体を、基材に配置することができる。一回の相対移動の間に吐出する液状体の総量が適正な量となるため、異なる走査において吐出量を決定して、当該吐出量を吐出する場合に比べて、予め定められた適切なタイミングを損なうことなく、適正な量の液状体を配置することができる。
【0031】
[適用例13]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記吐出量決定手段は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する吐出数を決定することことが好ましい。
【0032】
この膜形成装置によれば、吐出数を決定することによって、吐出ノズルが液状体を吐出する吐出数と吐出一回あたりの吐出量との積である吐出ノズルが吐出する液状体の吐出量を決定することができる。
【0033】
[適用例14]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記吐出量決定手段は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量を決定することが好ましい。
【0034】
この膜形成装置によれば、吐出一回あたりの吐出量を決定することによって、吐出ノズルが液状体を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量と吐出数との積である吐出ノズルが吐出する液状体の吐出量を決定することができる。
【0035】
[適用例15]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記吐出量決定手段は、前記ノズル検査手段において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置と隣接する位置に前記液状体を配置する吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0036】
この膜形成装置によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体が配置される予定の位置に隣接する位置に液状体を配置する吐出ノズルの吐出量を決定する。隣接した位置に配置された液状体は互いに混じり合い易いため、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体と、吐出量決定手段によって吐出量が決定された吐出ノズルから吐出された液状体とが互いに混じり合い、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルからの吐出量の過不足を補って均等な膜を形成し易くすることができる。
単一の吐出ノズルにおいて吐出量を決定するため、多くの吐出ノズルについて決定し、それを実現する吐出実施する場合に比べて、吐出ノズルを制御する制御装置の負荷を小さくすることができる。
【0037】
[適用例16]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記吐出量決定手段は、前記ノズル検査手段において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を挟んで隣接する位置に前記液状体を配置する2個の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0038】
この膜形成装置によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体が配置される予定の位置に隣接する位置に液状体を配置する吐出ノズルの吐出量を決定する。隣接した位置に配置された液状体は互いに混じり合い易いため、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体と、吐出量決定手段によって吐出量が決定された吐出ノズルから吐出された液状体とが互いに混じり合い、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルからの吐出量の過不足を補って均等な膜を形成し易くすることができる。
【0039】
[適用例17]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記吐出量決定手段は、前記ノズル検査手段において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を中心にして隣接する位置に前記液状体を配置する3個以上の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0040】
この膜形成装置によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体が配置される予定の位置に隣接する位置に液状体を配置する吐出ノズルの吐出量を決定する。隣接した位置に配置された液状体は互いに混じり合い易いため、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体と、吐出量決定手段によって吐出量が決定された吐出ノズルから吐出された液状体とが互いに混じり合い、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルからの吐出量の過不足を補って均等な膜を形成し易くすることができる。
【0041】
[適用例18]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記3個以上の吐出ノズルそれぞれが前記液状体を配置する位置と、前記吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置との距離によって按分し前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0042】
この膜形成装置によれば、3個以上の吐出ノズルのそれぞれにおける吐出量を決定することで、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから配置された液状体とより混じり合い易くすることができる。
【0043】
[適用例19]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記吐出量決定手段は、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を、吐出状態が適正ではないと判定された前記吐出ノズルが前記液状体を吐出しない状態で、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することが好ましい。
【0044】
この膜形成装置によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルは、描画吐出に際して吐出量がゼロになる。これにより、吐出量を決定するために、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルの実際の吐出量を測定することを不要にすることができる。
【0045】
[適用例20]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記ノズル検査手段は、前記各吐出ノズルが吐出する吐出量を測定する吐出量測定手段を含み、前記吐出量決定手段は、前記吐出量測定手段によって測定された前記各吐出ノズルの吐出量に応じて、前記各吐出ノズルの吐出量を決定することが好ましい。
【0046】
この膜形成装置によれば、吐出量測定工程を実施することによって、それぞれの吐出ノズルの吐出量を測定して、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルの吐出量の過不足量を明確にすることができる。
【0047】
[適用例21]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記ノズル検査手段は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴が着弾した状態を判断する手段を含むことが好ましい。
【0048】
この膜形成装置によれば、着弾液滴円の面積によって、一回の吐出量が適切であるか否かを判定することができる。適切な吐出量の場合における着弾液滴円の面積と比べて、着弾液滴円の面積が小さい場合は吐出量が過少であり、大きい場合は吐出量が過多であると判定できる。在るべき位置に着弾液滴円がない場合には、吐出ノズルから液状体が吐出されない状態になっていると判定できる。
【0049】
[適用例22]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記ノズル検査手段は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴の重量を測定する重量測定手段を含むことが好ましい。
【0050】
この膜形成装置によれば、吐出された液状体の重量を測定することによって、適正な量の液状体が吐出されているかを検証することができる。
【0051】
[適用例23]本適用例にかかる液晶装置の製造方法は、複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記複数の吐出ノズルから液晶装置を構成する機能膜の材料を含む機能液を吐出し、前記基材上の機能膜形成領域に機能膜を形成する液晶装置の製造方法であって、前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程と、前記ノズル検査工程における検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記機能液の吐出量を決定する吐出量決定工程とを有し、前記吐出量決定工程では、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記機能膜形成領域に吐出される前記機能液の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする。
【0052】
この液晶装置の製造方法によれば、吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程を有することで、吐出ノズルから機能液が正常に吐出されているか否かを検出することができることから、吐出量決定工程において、吐出状態が不良の吐出ノズルが有った場合に対応した吐出量を決定することができる。
吐出量決定工程において、それぞれの吐出ノズルが吐出する機能液の吐出量を、複数の吐出ノズルと基材との一回の相対移動の間に、複数の吐出ノズルが基材上の機能膜形成領域に向けて吐出する機能液の総量が、所定量となる吐出量に決定する。所定量は、一回の相対移動の間に複数の吐出ノズルによって機能膜形成領域に向けて吐出することが必要な機能液の総量である。これにより、正常な吐出ができない吐出ノズルが存在しても、適正な量の機能液を、基材に配置することができる。一回の相対移動の間に吐出する機能液の総量が適正な量となるため、異なる走査において吐出量を決定し、当該吐出量を吐出する場合に比べて、予め定められた適切なタイミングを損なうことなく、適正な量の機能液を配置することができる。適切なタイミングで、適正な量の機能液を配置することによって、液晶装置において、適切な膜厚と平面形状とを有する液晶装置の機能膜を形成することができる。
【0053】
[適用例24]上記適用例にかかる液晶装置の製造方法において、前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記機能液を吐出する吐出数を決定することが好ましい。
【0054】
この液晶装置の製造方法によれば、吐出数を決定することによって、吐出ノズルが機能液を吐出する吐出数と吐出一回あたりの吐出量との積である吐出ノズルが吐出する機能液の吐出量を決定することができる。
【0055】
[適用例25]上記適用例にかかる液晶装置の製造方法において、前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記機能液を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量を決定することが好ましい。
【0056】
この液晶装置の製造方法によれば、吐出一回あたりの吐出量を決定することによって、吐出ノズルが機能液を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量と吐出数との積である吐出ノズルが吐出する機能液の吐出量を決定することができる。
【0057】
[適用例26]上記適用例にかかる液晶装置の製造方法において、前記機能膜は、前記液晶装置を構成する配向膜であることが好ましい。
【0058】
この液晶装置の製造方法によれば、適切なタイミングで、適正な量の機能液を配置することによって、液晶装置において、適切な膜厚と平面形状とを有する液晶装置の配向膜を形成することができる。
【0059】
[適用例27]本適用例にかかる液晶装置の製造装置は、複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させる相対移動装置とを備え、前記相対移動装置によって前記複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記複数の吐出ノズルから液晶装置を構成する機能膜の材料を含む機能液を吐出して、前記基材上の機能膜形成領域に前記機能液を配置する液晶装置の製造装置であって、前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査手段と、前記ノズル検査手段による検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記機能液の吐出量を、決定する吐出量決定手段とを備え、前記吐出量決定手段は、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記機能膜形成領域に吐出される前記機能液の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする。
【0060】
この液晶装置の製造装置によれば、吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査手段によって、吐出ノズルから機能液が正常に吐出されているか否かを検出することができることから、吐出量決定手段は、吐出状態が不良の吐出ノズルが有った場合に対応した吐出量を決定することができる。
吐出量決定手段は、それぞれの吐出ノズルが吐出する機能液の吐出量を、複数の吐出ノズルと基材との一回の相対移動の間に、複数の吐出ノズルが基材上の膜を形成する領域に向けて吐出する機能液の総量が所定量となる吐出量に決定する。所定量は、一回の相対移動の間に複数の吐出ノズルによって機能膜形成領域に向けて吐出することが必要な機能液の総量である。これにより、正常な吐出ができない吐出ノズルが存在しても、適正な量の機能液を、基材に配置することができる。一回の相対移動の間に吐出する機能液の総量が適正な量となるため、異なる走査において吐出量を決定し、当該吐出量の吐出を実施する場合に比べて、予め定められた適切なタイミングを損なうことなく、適正な量の機能液を配置することができる。適切なタイミングで、適正な量の機能液を配置することによって、液晶装置において、適切な膜厚と平面形状とを有する液晶装置の機能膜を形成することができる。
【0061】
[適用例28]上記適用例にかかる液晶装置の製造装置において、前記機能膜は、前記液晶装置を構成する配向膜であることが好ましい。
【0062】
この液晶装置の製造装置によれば、適切なタイミングで、適正な量の機能液を配置することによって、液晶装置において、適切な膜厚と平面形状とを有する液晶装置の配向膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、膜形成方法、膜形成装置、液晶装置の製造方法、及び液晶装置の製造装置の一実施形態について図面を参照して、説明する。実施形態は、膜形成装置又は液晶装置の製造装置の一例である液滴吐出装置を例に説明する。
【0064】
(第一の実施形態)
本実施形態に係る液滴吐出装置は、液晶装置の製造ラインに組み込まれており、樹脂を含む機能液を導入した液滴吐出ヘッドを用い、描画対象物上に当該機能液を配置することで、液晶装置の配向膜などを形成するものである。
【0065】
<液滴吐出法>
最初に、配向膜などの機能膜の形成に用いられる液滴吐出法について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
【0066】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。このうち、ピエゾ方式は、液状材料に熱を加えないため、材料の組成などに影響を与えない、駆動電圧を調整することによって、液滴の大きさを容易に調整することができるなどの利点を有する。本実施形態では、液状材料選択の自由度が高いこと、及び液滴の制御性が良いことから上記ピエゾ方式を用いる。
【0067】
<液滴吐出装置>
次に、液滴吐出装置1の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す平面図である。
【0068】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、液滴吐出ヘッド17(図4参照)を有する吐出ユニット2と、ワークユニット3と、給液ユニット60(図6参照)と、検査ユニット4と、メンテナンスユニット5と、吐出装置制御部6(図6参照)とを備えている。
吐出ユニット2は、液状体である機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド17を120個備えている。ワークユニット3は、液滴吐出ヘッド17から吐出された液滴の吐出対象であるワークWを載置するワーク載置台21を有している。給液ユニット60は、機能液を貯留する貯留タンク(図示省略)を有し、液滴吐出ヘッド17への機能液の供給を行う。検査ユニット4は、液滴吐出ヘッド17からの吐出状態を検査するための、吐出検査ユニット18及び重量測定ユニット19を有しており、重量測定ユニット19にはフラッシングユニット14が併設されている。メンテナンスユニット5は、液滴吐出ヘッド17の保守を行う吸引ユニット15及びワイピングユニット16を有している。吐出装置制御部6は、これら各機構部などを総括的に制御する。後述する重量測定処理、描画処理、吐出検査処理、及びメンテナンス処理などは、吐出装置制御部6による制御に基づいて実施される。吐出装置制御部6が、吐出量決定手段、又は描画制御手段に相当する。
【0069】
液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース1Aを備え、各ユニットなどが、X軸支持ベース1Aの上に配設されている。X軸テーブル11は、主走査方向となるX軸方向に延在して、X軸支持ベース1Aの上に配設されており、ワーク載置台21をX軸方向(主走査方向)に移動させる。Y軸テーブル12は、複数本の支柱7Aを介してX軸テーブル11を跨ぐように架け渡された一対のY軸支持ベース7,7の上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在している。吐出ユニット2は、それぞれ12個の液滴吐出ヘッド17を有するキャリッジユニット51を、10個備えている。10個のキャリッジユニット51は、10個のブリッジプレート52のそれぞれに吊設されている。ブリッジプレート52は、Y軸スライダ(図示省略)を介して、Y軸テーブル12に、Y軸方向に摺動自在に支持されている。Y軸テーブル12は、ブリッジプレート52(キャリッジユニット51)を、Y軸方向(副走査方向)に移動させる。
X軸テーブル11及びY軸テーブル12の駆動と同期して液滴吐出ヘッド17を吐出駆動させることにより、機能液滴を吐出させ、ワーク載置台21の上に載置されたワークWに対して、任意の描画パターンを描画する。
【0070】
吐出検査ユニット18は、検査描画ユニット161と、撮像ユニット162(図2参照)とを有している。検査描画ユニット161は、X軸第2スライダ23に固定されており、同じくX軸第2スライダ23に固定された重量測定ユニット19及びフラッシングユニット14と一体に移動するように構成されている。検査描画ユニット161と、重量測定ユニット19と、フラッシングユニット14とが一体に設けられたブロックを、吐出検査ブロック4aと表記する。撮像ユニット162は、2個の検査カメラ163(図2参照)と、検査カメラ163をY軸方向にスライド自在に支持するカメラ移動機構164(図2参照)と、を有している。カメラ移動機構164は、Y軸支持ベース7に固定されている。2個の検査カメラ163は、カメラ移動モータ(図2では図示省略)によって、それぞれ独立してY軸方向に移動させられる。
【0071】
メンテナンスユニット5が備える吸引ユニット15及びワイピングユニット16は、X軸テーブル11から外れ、かつY軸テーブル12によりキャリッジユニット51が移動可能である位置に配設された架台8の上に配設されている。吸引ユニット15は、複数の分割吸引ユニット141を有し、液滴吐出ヘッド17を吸引して、液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78(図4参照)から機能液を強制的に排出させる。ワイピングユニット16は、洗浄液を噴霧したワイピングシート151を有し、吸引後の液滴吐出ヘッド17のノズル形成面76a(図4参照)を拭き取る(ワイピングを行う)ものである。このようにして、吸引ユニット15及びワイピングユニット16は、液滴吐出ヘッド17の機能維持又は機能回復を図るための保守作業を実施する。
【0072】
次に、液滴吐出装置1の各構成要素について、図1に加えて、図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、液滴吐出装置の概略構成を示す側面図である。図2は、X軸方向に延在する側面の側面図であり、図3は、Y軸方向に延在する側面の側面図である。
図1、図2、又は図3に示すように、X軸テーブル11は、X軸第1スライダ22と、X軸第2スライダ23と、左右一対のX軸リニアモータ26,26と、一対のX軸共通支持ベース24,24と、を備えている。
【0073】
X軸第1スライダ22には、ワーク載置台21が取り付けられている。X軸第1スライダ22は、X軸方向に延在するX軸共通支持ベース24に、X軸方向にスライド自在に支持されている。X軸第2スライダ23には、検査描画ユニット161と、重量測定ユニット19と、フラッシングユニット14とが一体に設けられた吐出検査ブロック4aが取り付けられている。X軸第2スライダ23は、X軸方向に延在するX軸共通支持ベース24に、X軸方向にスライド自在に支持されている。X軸リニアモータ26は、X軸共通支持ベース24に並設されており、X軸第1スライダ22又はX軸第2スライダ23をX軸共通支持ベース24に沿って移動させることによって、ワーク載置台21(ワーク載置台21に載置されたワークW)又は吐出検査ブロック4aをX軸方向に移動させる。X軸第1スライダ22とX軸第2スライダ23とは、X軸リニアモータ26により個別に駆動可能である。X軸方向が主走査方向に相当し、Y軸方向が副走査方向に相当する。
【0074】
ワーク載置台21は、ワークWを吸着セットする吸着テーブル31と、吸着テーブル31を支持し、吸着テーブル31にセットしたワークWの位置をθ軸方向にθ補正するためのθテーブル32などを有している。図1及び図2におけるワーク載置台21の位置が、ワークWの給除材を行うための給除材位置となっており、未処理のワークWを吸着テーブル31に導入(給材)するときや、処理済のワークWを回収(除材)するときには、吸着テーブル31をこの位置まで移動させる。当該給除材位置において、ロボットアーム(図示省略)により、吸着テーブル31に対するワークWの搬入・搬出(載換え)が行われる。また、吸着テーブル31には、給材されたワークWをX軸方向及びY軸方向に寄せこむようにして、これをプリアライメントする機構(図示省略)が組み込まれている。吸着テーブル31に給材された未処理のワークWのアライメントは、θテーブル32を用いて、給除材位置において実施される。ワーク載置台21のY軸方向と平行な一対の辺には、描画前フラッシングユニット111の一対の描画前フラッシングボックス121,121が添設されている。
【0075】
画像認識ユニット80は、2台のアライメントカメラ81,81と、カメラ移動機構82と、を有している。カメラ移動機構82は、X軸支持ベース1Aの上に、Y軸方向に延在して、X軸テーブル11を跨ぐように配設されている。アライメントカメラ81は、カメラホルダ(図示省略)を介して、カメラ移動機構82に、Y軸方向にスライド自在に支持されている。カメラ移動機構82に支持されたアライメントカメラ81は、X軸テーブル11に上側から臨み、X軸テーブル11の上のワーク載置台21に載置されたワークWの各基準マーク(アライメントマーク)(図示省略)を画像認識することができる。2台のアライメントカメラ81,81は、カメラ移動モータ(図示省略)によって、それぞれ独立してY軸方向に移動させられる。
【0076】
各アライメントカメラ81は、ワーク載置台21のX軸方向への移動と協働して、カメラ移動機構82によりY軸方向に移動しながら、上記ロボットアームが給材した各種ワークWのアライメントマークを撮像して、各種ワークWの位置認識を実施する。そして、このアライメントカメラ81の撮像結果に基づいて、θテーブル32によるワークWのθ補正が実施される。
【0077】
Y軸テーブル12は、10組のY軸スライダ(図示省略)と、一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、を備えている。一対のY軸リニアモータは、上記した一対のY軸支持ベース7,7の上にそれぞれ設置されて、Y軸方向に延在している。20個(10組)のY軸スライダは、一対のY軸支持ベース7,7のそれぞれに各10個ずつ摺動自在に支持されている。一対のY軸支持ベース7,7のそれぞれに支持された各1個のY軸スライダからなる1組のY軸スライダは、吐出ユニット2を構成するキャリッジユニット51が固定されたブリッジプレート52を両持ちで支持している。吐出ユニット2を構成する10個の各キャリッジユニット51をそれぞれ固定した10個のブリッジプレート52は、10個のブリッジプレート52を両持ちで支持する10組のY軸スライダを介して、一対のY軸支持ベース7,7の上に設置されている。
【0078】
一対のY軸リニアモータを(同期して)駆動すると、各Y軸スライダが一対のY軸支持ベース7,7を案内にして同時にY軸方向を平行移動する。これにより、ブリッジプレート52がY軸方向に移動し、ブリッジプレート52に吊設されたキャリッジユニット51がY軸方向に移動する。なお、この場合、Y軸リニアモータの駆動を制御することにより、キャリッジユニット51を独立させて個別に移動させることも可能であるし、10個のキャリッジユニット51を一体として移動させることも可能である。
【0079】
キャリッジユニット51は、12個の液滴吐出ヘッド17と、12個の液滴吐出ヘッド17を6個ずつ2群に分けて支持するサブキャリッジ53と、を有するヘッドユニット54(図5参照)を備えている。また、キャリッジユニット51は、ヘッドユニット54をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構61と、θ回転機構61を介して、ヘッドユニット54をブリッジプレート52に支持させる吊設部材62と、を備えている。
【0080】
<液滴吐出ヘッドの構成>
次に、液滴吐出ヘッド17について、図4を参照して説明する。図4は、液滴吐出ヘッドの概要を示す外観斜視図である。
【0081】
図4に示すように、この液滴吐出ヘッド17は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針72,72を有する液体導入部71と、液体導入部71に連なる方形のヘッド本体74と、液体導入部71とヘッド本体74との間から側方に突出するヘッド基板73と、を備えている。ヘッド本体74は、液体導入部71に連なるポンプ部75と、ポンプ部75に連なるノズル形成プレート76と、を有している。ノズル形成プレート76には、ノズル形成面76aに開口する吐出ノズル78が形成されている。液滴吐出ヘッド17においては、一列あたり180個の吐出ノズル78からなるノズル列78bが2列形成されている。ポンプ部75には、ピエゾ圧電素子が設けられており、当該ピエゾ圧電素子を駆動することによって、液体導入部71から供給されてきた機能液を吐出ノズル78から吐出する。1個の吐出ノズル78に対応して1個のピエゾ圧電素子が設けられており、それぞれの吐出ノズル78ごとに独立して機能液を吐出することができる。ヘッド基板73には、一対のコネクタ77,77が設けられている。このコネクタ77が、FFCケーブルなどによって、吐出装置制御部6と接続されている中継基板と接続されることで、液滴吐出ヘッド17が吐出装置制御部6と接続される。
【0082】
液滴吐出ヘッド17が液滴吐出装置1に取り付けられた状態では、ノズル列78bはY軸方向に延在する。2列のノズル列78bをそれぞれ構成する吐出ノズル78同士は、Y軸方向において、相互に半ノズルピッチずつ位置ずれしている。1ノズルピッチは、例えば140μmである。X軸方向の同じ位置において、それぞれのノズル列78bを構成する吐出ノズル78から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。吐出ノズル78のノズルピッチが140μmの場合、着弾位置の中心間距離は、設計上では、70μmである。
【0083】
<ヘッドユニット>
次に、ヘッドユニット54について、図5を参照して説明する。図5は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図5に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット54が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。図5に示すように、ヘッドユニット54は、サブキャリッジ53と、サブキャリッジ53に搭載された12個の液滴吐出ヘッド17と、を有している。液滴吐出ヘッド17は、サブキャリッジ53に固定されており、ヘッド本体74がサブキャリッジ53に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル形成面76aが、サブキャリッジ53の面より突出している。図5は、ノズル形成面76a側から見た図である。12個の液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向に分かれて、それぞれ6個ずつの液滴吐出ヘッド17を有するヘッド群55を2群形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド17のノズル列78bはY軸方向に延在している。
【0084】
一つのヘッド群55が有する6個の液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向において、互いに隣合う液滴吐出ヘッド17の、一方の液滴吐出ヘッド17の端の吐出ノズル78に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド17の端の吐出ノズル78が半ノズルピッチずれて位置するように、位置決めされている。仮に、ヘッド群55が有する6個の液滴吐出ヘッド17において、全ての吐出ノズル78のX軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル78は、Y軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。即ち、X軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド17が有するそれぞれのノズル列78bを構成する吐出ノズル78から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。この直線をノズル群線と表記する。液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向において互いに重なるため、X軸方向に階段状に並んでヘッド群55を構成している。
【0085】
ヘッドユニット54が有する二つのヘッド群55は、Y軸方向に一つのヘッド群55のY軸方向の長さに相当する間隔を隔てて配置されている。即ち、一つのヘッドユニット54の吐出ノズル78から一滴ずつ吐出させて、X軸方向が同じ位置になるように着弾させると、ノズル群線一本の長さ分の間隔を隔てて、2本のノズル群線が形成される。ヘッドユニット54を、Y軸方向に、一つのヘッド群55のY軸方向の長さに相当する距離だけ移動させて、同様に2本のノズル群線を形成することで、ノズル群線が4本連なった直線が形成される。当該直線は、設計上では、ノズル列78bを構成する吐出ノズル78の数の48倍の数の点が、ノズル列78bを構成する吐出ノズル78のノズルピッチの半分の間隔で、連なっている。1ノズル列あたり180個の吐出ノズル78が、140μmのノズルピッチで形成されている液滴吐出ヘッド17を有するヘッドユニット54の場合は、8640個の点が70μmのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
【0086】
隣合うヘッドユニット54も、それぞれのヘッド群55が、互いにY軸方向に一つのヘッド群55分の間隔を隔てて配置されるように位置することが可能である。従って、ノズル群線の長さ相当のY軸方向の移動を挟んで、それぞれ、吐出ユニット2が有する各吐出ノズル78に一滴ずつ機能液を吐出させることで、Y軸方向に延在する一直線を形成することができる。この、吐出ユニット2が有する全120個の液滴吐出ヘッド17が各二回の吐出で描画できるラインの長さは、ワーク載置台21に搭載可能な最大サイズのワークWの幅に対応している。
【0087】
なお、ノズル列78bの端の方における吐出ノズル78のいくつかを使用しない場合には、使用しない吐出ノズル78が、使用する吐出ノズル78と、Y軸方向において重なるように、液滴吐出ヘッド17を配置する。
【0088】
<液滴吐出装置の電気的構成>
次に、上述したような構成を有する液滴吐出装置1を駆動するための電気的構成について、図6を参照して説明する。図6は、液滴吐出装置の電気的構成を示す電気構成ブロック図である。液滴吐出装置1は、制御装置65を介してデータの入力や、稼働開始や停止などの制御指令の入力を行うことで、制御される。制御装置65は、演算処理を行うホストコンピュータ66と、液滴吐出装置1に入出力する情報を入出力するための入出力装置68とを有し、インタフェイス(I/F)67を介して吐出装置制御部6と接続されている。入出力装置68は、情報を入力可能なキーボード、記録媒体を介して情報を入出力する外部入出力装置、外部入出力装置を介して入力された情報を保存しておく記録部、モニタ装置などである。
【0089】
液滴吐出装置1の吐出装置制御部6は、インタフェイス(I/F)47と、CPU(Central Processing Unit)44と、ROM(Read Only Memory)45と、RAM(Random Access Memory)46と、ハードディスク48と、を有している。また、ヘッドドライバ2dと、駆動機構ドライバ40dと、給液ドライバ60dと、メンテナンスドライバ5dと、検査ドライバ4dと、検出部インタフェイス(I/F)43、を有している。これらは、データバス49を介して互いに電気的に接続されている。
【0090】
インタフェイス47は、制御装置65とデータの授受を行い、CPU44は、制御装置65からの指令に基づいて各種演算処理を行い、液滴吐出装置1の各部の動作を制御する制御信号を出力する。RAM46は、CPU44からの指令に従って、制御装置65から受け取った制御コマンドや印刷データを一時的に保存する。ROM45は、CPU44が各種演算処理を行うためのルーチンなどを記憶している。ハードディスク48は、制御装置65から受け取った制御コマンドや印刷データを保存したり、CPU44が各種演算処理を行うためのルーチンなどを記憶したりしている。
【0091】
ヘッドドライバ2dには、吐出ユニット2を構成する液滴吐出ヘッド17が接続されている。ヘッドドライバ2dは、CPU44からの制御信号に従って液滴吐出ヘッド17を駆動して、機能液の液滴を吐出させる。駆動機構ドライバ40dには、Y軸テーブル12のヘッド移動モータと、X軸テーブル11のX軸リニアモータ26と、各種駆動源を有する各種駆動機構を含む駆動機構41とが接続されている。各種駆動機構は、上記した、アライメントカメラ81を移動するためのカメラ移動モータや、θ回転機構61の駆動モータなどである。駆動機構ドライバ40dは、CPU44からの制御信号に従って上記モータなどを駆動して、液滴吐出ヘッド17とワークWとを相対移動させてワークWの任意の位置と液滴吐出ヘッド17とを対向させ、ヘッドドライバ2dと協働して、ワークW上の任意の位置に機能液の液滴を着弾させる。
【0092】
メンテナンスドライバ5dには、メンテナンスユニット5の吸引ユニット15と、ワイピングユニット16と、フラッシングユニット14とが接続されている。メンテナンスドライバ5dは、CPU44からの制御信号に従って、吸引ユニット15、ワイピングユニット16、又はフラッシングユニット14を駆動して、液滴吐出ヘッド17の保守作業を実施させる。
【0093】
検査ドライバ4dには、検査ユニット4の吐出検査ユニット18と、重量測定ユニット19とが接続されている。検査ドライバ4dは、CPU44からの制御信号に従って、吐出検査ユニット18、又は重量測定ユニット19を駆動して、吐出重量や吐出の可否や着弾位置精度などの、液滴吐出ヘッド17の吐出状態の検査を実施させる。
【0094】
給液ドライバ60dには、給液ユニット60が接続されている。給液ドライバ60dは、CPU44からの制御信号に従って給液ユニット60を駆動して、液滴吐出ヘッド17に機能液を供給する。検出部インタフェイス43には、各種センサを含む検出部42が接続されている。検出部42の各種センサによって検出された検出情報が検出部インタフェイス43を介してCPU44に伝達される。
【0095】
<吐出検査ユニット>
次に、吐出検査ユニット18について、図7を参照して説明する。図1を参照して説明したように、吐出検査ユニット18は、検査描画ユニット161と、撮像ユニット162とを有している。検査描画ユニット161は、重量測定ユニット19及びフラッシングユニット14と一体に移動するように構成されている。図7は、検査描画ユニットの全体構成を示す外観斜視図である。
【0096】
吐出検査ユニット18は、吐出ユニット2を構成する全液滴吐出ヘッド17(の吐出ノズル78)から機能液が適切に吐出されているか否かを検査するためのものである。検査描画ユニット161は、吐出ユニット2を構成する全ヘッドユニット54が備える全液滴吐出ヘッド17の全吐出ノズル78から検査吐出された機能液を受けられるように構成されている。撮像ユニット162は、検査描画ユニット161に描画された検査パターン(着弾ドットのパターン)を撮像して検査する。上述したように、検査描画ユニット161は、X軸第2スライダ23に固定されており、X軸第2スライダ23を介してX軸テーブル11に搭載されている。撮像ユニット162はY軸テーブル12直下で、Y軸支持ベース7に固定されて検査位置に固定的に設けられており、2個の検査カメラ163,163は、それぞれ独立してY軸方向に移動可能である。
【0097】
図7に示すように、検査描画ユニット161は、検査シート171と、検査ステージ172と、シート送り手段173と、シート送り支持部材174と、ユニットベース175と、真空センサ(図示省略)と、を備えている。検査シート171は、液滴吐出ヘッド17から検査吐出された機能液の液滴を着弾させるための帯状のシートで、Y軸方向に延在している。検査ステージ172はY軸方向に延在しており、検査ステージ172の上に検査シート171が載っている。シート送り手段173が、非検査済み部分を検査ステージ172に送り込むように、かつ検査シート171の検査済み部分を検査ステージ172から送り出すように、検査シート171を移動させる。シート送り手段173は、シート送り支持部材174に支持されており、シート送り支持部材174は、ユニットベース175に支持されている。真空センサは、検査ステージ172上に載置される検査シート171のセット不良を検出する。
【0098】
図2を参照して説明したように、撮像ユニット162は、2個の検査カメラ163,163と、検査カメラ163をY軸方向にスライド自在に支持するカメラ移動機構164と、を有している。検査カメラ163は、検査シート171に検査吐出された着弾ドットを画像認識するもので、X軸テーブル11に上側から臨む姿勢で、Y軸支持ベース7に固定されたカメラ移動機構164を介して、Y軸方向にスライド自在にY軸支持ベース7に支持されている。
【0099】
検査描画ユニット161は、吸着テーブル31が給除材位置に移動したときに、検査シート171が撮像ユニット162の検査カメラ163に臨む位置に移動して当該位置に位置することが可能である。即ち、撮像ユニット162は、ワークWの載換え中及びアライメント中に、検査パターンの撮像を実施することができる。2個の検査カメラ163による撮像結果は、吐出装置制御部6に送信されて画像認識され、この画像認識に基づいて、各液滴吐出ヘッド17の各吐出ノズル78が正常に機能液を吐出しているか(ノズル詰まりがないか)否かが判定される。また、着弾した液滴の相対位置が規定された位置であるか否かが判定される。これらの判定もワーク載換え中及びアライメント中に行われる。吐出検査ユニット18が、ノズル検査手段、又は吐出検査手段に相当する。
【0100】
<重量測定ユニット>
次に、重量測定ユニット19及びフラッシングユニット14について、図8を参照して説明する。図8は、重量測定ユニットの部分及びフラッシングユニットの部分を含む重量測定ブロックの図である。図8(a)は、重量測定ブロックの平面図であり、図8(b)は、重量測定ブロックの側面図である。上述したように、重量測定ユニット19、フラッシングユニット14、及び検査描画ユニット161から構成されている吐出検査ブロック4aが、X軸第2スライダ23に取り付けられており、一体に移動するように構成されている。
【0101】
図8に示すように、重量測定ブロック91Aは、4つの重量測定装置91と、支持フレーム92とを備えている。支持フレーム92は、4つの重量測定装置91を支持しており、支持フレーム92がX軸第2スライダ23に固定されて、重量測定ブロック91AがX軸第2スライダ23に搭載されている。吐出検査ブロック4aは、5つの重量測定ブロック91Aを有し、合計20個の重量測定装置91が、Y軸方向に並んで、X軸第2スライダ23に搭載されている。一つの重量測定装置91が一つのヘッド群55に対応しており、並列する二つの重量測定装置91が、一つのヘッドユニット54に対応している。
【0102】
重量測定装置91は、定期フラッシングボックス93と、受液容器94と、電子天秤99(図8(a)では受液容器94の下に隠れている)と、重量測定時フラッシングボックス95と、機能液吸収材97と、押えプレート98と、これらを収容するケース96と、を有している。定期フラッシングボックス93と、重量測定時フラッシングボックス95と、機能液吸収材97と、押えプレート98とは、フラッシングユニット14に含まれる。フラッシングユニット14には、20個の重量測定装置91のそれぞれに形成されている、それぞれ20個の、定期フラッシングボックス93と、重量測定時フラッシングボックス95とが含まれる。受液容器94と、電子天秤99とは、重量測定ユニット19に含まれる。重量測定ユニット19には、20個の重量測定装置91のそれぞれに形成されている、それぞれ20個の、受液容器94と、電子天秤99とが含まれる。
【0103】
受液容器94は、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17のうち、任意の1個の液滴吐出ヘッド17のみに対向して、当該液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることができる大きさである。受液容器94は、電子天秤99の上に載っており、電子天秤99は受液容器94の重量を測定することで、受液容器94内に着弾した機能液の重量を測定する。液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることで増加した受液容器94の重量が、液滴吐出ヘッド17から吐出されて受液容器94内に着弾した機能液の重量である。
【0104】
吐出装置制御部6のCPU44は、測定した機能液の重量を積算してRAM46に記憶させておき、積算重量が一定量に達すると、受液容器94の交換指示情報を出す。
【0105】
重量測定時フラッシングボックス95は、重量測定時フラッシングボックス95aと重量測定時フラッシングボックス95bとを有し、重量測定時フラッシングボックス95aと重量測定時フラッシングボックス95bとは、X軸方向において受液容器94を挟んで配置されている。ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17のうち1個の液滴吐出ヘッド17が受液容器94に臨む位置にあるとき、ヘッド群55を構成する他の5個の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は重量測定時フラッシングボックス95bのいずれかに臨む位置に位置する。重量測定対象の液滴吐出ヘッド17が受液容器94に臨んで重量測定のための吐出を実施する時に、測定対象外の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は重量測定時フラッシングボックス95bに臨んで、捨て吐出を実施する。
【0106】
1個の重量測定装置91でヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17について重量測定を行うため、1個の液滴吐出ヘッド17が重量測定吐出を行っている際に、その他の5個の液滴吐出ヘッド17はその重量測定吐出が終わるのを待つことになるが、その「待ち」状態の液滴吐出ヘッド17に捨て吐出を行わせることができる。このため、「待ち」状態の間に吐出ノズル78が乾燥することを抑制して、「待ち」状態後に重量測定吐出を良好に行うことができ、適切な測定結果を得ることができる。
【0107】
定期フラッシングボックス93は、定期フラッシング時に捨て吐出された機能液を受けるものである。
重量測定時フラッシングボックス95及び定期フラッシングボックス93内には、機能液吸収材97が、その両長辺部を一対の押えプレート98,98により押え付けた状態で敷設されている。なお、受液容器94は、各液滴吐出ヘッド17に対し、ノズル列単位で機能液を受け得る大きさに形成されている。
【0108】
電子天秤99は、受液容器94に吐出された機能液の重量を測定し、測定結果を吐出装置制御部6に出力する。吐出装置制御部6は、電子天秤99から入力した測定結果に基づいて、ヘッドドライバ2dから液滴吐出ヘッド17に印加する駆動電力(電圧値)を制御する。即ち、重量測定結果が目標範囲内の場合は、電圧値を変更することなく、次のワークWに対する描画を行う。他方、重量測定結果が目標範囲外の場合は、予め求めた印加電圧値と重量測定値との分解能データに基づいて電圧値を変更し、変更後の電圧値で、再度吐出重量測定を行う。この吐出重量測定及び電圧値変更は、重量測定結果が目標の範囲内になるまで、予め定められた繰り返し回数を超えない範囲で、繰り返し行われる。
【0109】
<吐出重量測定>
次に、図9、及び図10を参照して、吐出重量測定を実施する一連の動作について説明する。図9は、ヘッドユニットと重量測定装置との位置関係を示す側面図である。図10は、液滴吐出ヘッドと重量測定装置との位置関係を示す平面図である。
【0110】
図9(a)及び図10(a)に示したように、吐出重量測定の開始に際して、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23をX軸方向に移動させると共に、Y軸リニアモータによって吐出ユニット2を構成する10個のヘッドユニット54をY軸方向に移動させる。この操作によって、X軸第2スライダ23に固定された各重量測定装置91の各受液容器94を、ヘッドユニット54の各ヘッド群55の1番目の液滴吐出ヘッド17aに臨ませる。
次に、各受液容器94に向けて、各ヘッド群55の1番目の液滴吐出ヘッド17aの全ノズルから、重量測定吐出を実施する。このとき、各ヘッド群55の2番目から6番目の液滴吐出ヘッド17b〜17fは、重量測定時フラッシングボックス95に対向しており、重量測定時フラッシングボックス95に向けて捨て吐出を実施する。
【0111】
液滴吐出ヘッド17aの重量測定吐出が終わると、重量測定装置91をX軸方向に移動させて、図9(b)に示したように、各受液容器94を、重量測定装置91の移動軌跡上に設けられた風防部材101の直下に移動させる。この状態で、電子天秤99により、受液容器94に着弾した吐出液滴の重量の測定を行う。重量測定装置91が風防部材101の直下に位置することにより、気流(例えばチャンバルームにおけるダウンフローや乱流など)が風防部材101により遮断されるため、電子天秤99は、気流の影響を受けることなく、正確に吐出重量測定を行うことができる。
【0112】
液滴吐出ヘッド17aの吐出液滴の吐出重量測定を実施後、2番目の液滴吐出ヘッド17bを受液容器94に臨ませて、同様にして、重量測定吐出を行う。以下同様にして、各ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17について、順次吐出された液滴の重量を測定する。最後に、図10(b)に示したように、6番目の液滴吐出ヘッド17fを受液容器94に臨ませて、重量測定吐出を実施し、吐出された液滴の重量を測定する。
重量測定ユニット19が、ノズル検査手段、又は吐出量測定手段に相当する。
【0113】
<液晶表示パネル>
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される液晶装置として、液晶表示パネル200(図11参照)の構成およびその製造方法について説明する。
【0114】
<液晶表示パネルの構成>
最初に、液晶表示パネル200の構成について、図11を参照して説明する。図11は、液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図である。液晶表示パネル200は、駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor)素子)を用いるアクティブマトリックス方式の液晶装置であり、図示省略したバックライトを用いる透過型の液晶装置である。
【0115】
図11に示すように、液晶表示パネル200は、TFT素子215を有する素子基板210と、対向電極207を有する対向基板220と、シール材(図示省略)によって接着された素子基板210と対向基板220との隙間に充填された液晶230(図13(e)参照)とを備えている。貼り合わされた素子基板210と、対向基板220には、貼り合わされた面の反対側の面に、それぞれ偏光板231と偏光板232とが、配設されている。
【0116】
素子基板210は、ガラス基板211の対向基板220と対向する面に、TFT素子215や、画素電極217や、走査線212及び信号線214が、形成されている。これらの素子や導電性膜の間を埋めるように、絶縁層216が形成されており、走査線212及び信号線214は、絶縁層を挟んで互いに交差する状態で形成されている。これらの走査線212と信号線214とに囲まれた領域内には画素電極217が形成されている。画素電極217は方形状の一部の角部分が方形状に欠けた形状をしている。画素電極217の切欠部と走査線212と信号線214とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体部、及びゲート電極を具備するTFT素子215が組み込まれて構成されている。走査線212と信号線214に信号を印加することによってTFT素子215をオン・オフして画素電極217への通電制御を実施する。
【0117】
素子基板210の液晶230と接する面には、上記した走査線212や信号線214や画素電極217が形成された領域全体を覆う配向膜218が設けられている。
【0118】
対向基板220は、ガラス基板201の素子基板210と対向する面に、カラーフィルタ(以降、「CF」と表記する。)層205が形成されている。CF層205は、隔壁204と、赤色フィルタ膜205Rと、緑色フィルタ膜205Gと、青色フィルタ膜205Bとを有している。ガラス基板201上に、格子状に隔壁204を構成するブラックマトリックス202が形成され、ブラックマトリックス202の上にバンク203が形成されている。ブラックマトリックス202とバンク203とで構成された隔壁204によって、方形の色要素領域225が形成されている。色要素領域225には、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bが形成されている。赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bは、それぞれ上述した画素電極217のそれぞれと対向する位置及び形状に形成されている。
【0119】
CF層205の上(素子基板210側)には、平坦化膜206が設けられている。平坦化膜206の上には、ITOなどの透明な導電性材料で形成された対向電極207が設けられている。平坦化膜206を設けることによって、対向電極207を形成する面を略平坦な面にしている。対向電極207は、上述した画素電極217が形成された領域全体を覆う大きさの連続した膜である。対向電極207は、図示省略した導通部を介して、素子基板210に形成された配線に接続されている。
【0120】
対向基板220の液晶230と接する面には、画素電極217の全面を覆う配向膜228が設けられている。液晶230は、素子基板210と対向基板220とが貼り合わされた状態において、対向基板220の配向膜228と、素子基板210の配向膜218と、対向基板220と素子基板210とを貼り合わせるシール材とに囲まれた空間に充填されている。
【0121】
なお、液晶表示パネル200は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0122】
<液晶表示パネルの形成>
次に、液晶表示パネル200を形成する工程について、図12及び図13を参照して説明する。図12は、液晶表示パネルを形成する過程を示すフローチャートである。図13は、液晶表示パネルを形成する過程における配向膜を形成する工程を示す断面図である。液晶表示パネル200は、それぞれ別々に形成した素子基板210と対向基板220とを、貼り合わせて形成する。
【0123】
図12に示したステップS1からステップS5を実行することで、対向基板220を形成する。
図12のステップS1では、ガラス基板201の上に、ブラックマトリックス202を格子状に形成し、その上にバンク203を形成して、ブラックマトリックス202とバンク203とで構成された隔壁204を形成する。これにより、ガラス基板201の表面に、隔壁204によって区画された方形の色要素領域225が形成される。
【0124】
次に、ステップS2では、色要素領域225に、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bを構成する材料をそれぞれ充填して、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bを形成して、CF層205を形成する。赤色フィルタ膜205Rと、緑色フィルタ膜205Gと、青色フィルタ膜205Bと、の配列としては、例えば、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列などが知られている。
【0125】
次に、ステップS3では、CF層205の上に、平坦化膜206を形成する。平坦化膜206は、少なくともCF層205の全面を覆う領域に形成する。平坦化膜206を設けることによって、対向電極207を形成する面を略平坦な面にしている。
次に、ステップS4では、平坦化膜206の上の、少なくともCF層205の全面を覆う領域に、透明な導電材料を用いて、薄膜を形成する。この薄膜が、上述した対向電極207である。
【0126】
次に、ステップS5では、対向電極207の上に、対向基板220の配向膜228を形成する。配向膜228は、少なくともCF層205の全面を覆う領域に形成する。
図13(a)に示すように、対向電極207が形成されたガラス基板201の表面に液滴吐出ヘッド17を対向させて、液滴吐出ヘッド17からガラス基板201の表面に向けて配向膜液242を吐出する。同時に、ガラス基板201に対して液滴吐出ヘッド17を矢印aで示したように相対移動させることによって、ガラス基板201の配向膜228を形成する領域の全面に配向膜液242を配置する。配置された配向膜液242を乾燥させることで、図13(b)に示すように、配向膜228を形成する。ステップS5を実施して、対向基板220が形成される。
配向膜液242は、溶剤に溶解又は分散されたポリイミドを含む液状体である。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチルラクトン、ブチルセルソルブ、又はこれらの混合液などを用いる。
【0127】
図12に示したステップS6からステップS8を実行することで、素子基板210を形成する。
図12のステップS6では、ガラス基板211の上に導電層や絶縁層や半導体層を形成することで、TFT素子215や、走査線212や、信号線214や、絶縁層216などを形成する。走査線212及び信号線214は、素子基板210と対向基板220とが、貼り合された状態で、隔壁204に対向する位置に、即ち画素の周辺の位置に形成する。TFT素子215は、画素の端に位置するように形成し、1画素に1個のTFT素子215を形成する。
【0128】
次に、ステップS7では、画素電極217を形成する。画素電極217は、素子基板210と対向基板220とが、貼り合された状態で、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bに対向する位置に、形成する。画素電極217は、TFT素子215のドレイン電極と電気的に接続させる。
【0129】
次に、ステップS8では、画素電極217などの上に、素子基板210の配向膜218を形成する。配向膜218は、少なくとも全ての画素電極217の全面を覆う領域に形成する。
図13(c)に示すように、画素電極217が形成されたガラス基板211の表面に液滴吐出ヘッド17を対向させて、液滴吐出ヘッド17からガラス基板211の表面に向けて配向膜液242を吐出する。同時に、ガラス基板211に対して液滴吐出ヘッド17を矢印aで示したように相対移動させることによって、ガラス基板211の配向膜218を形成する領域の全面に配向膜液242を配置する。配置された配向膜液242を乾燥させることで、図13(d)に示すように、配向膜218を形成する。ステップS8を実施して、素子基板210が形成される。
【0130】
次に、ステップS9では、形成された対向基板220と素子基板210とを貼り合わせ、図13(e)に示すように、間に液晶230を充填する。さらに、偏光板231と偏光板232とを貼りつけるなどして、液晶表示パネル200を組立てる。複数のガラス基板201やガラス基板211からなるマザー基板に、複数の対向基板220や素子基板210を形成する場合には、複数の液晶表示パネル200が形成されたマザー基板を個別の液晶表示パネル200に分割する。ステップS9を実施して、液晶表示パネル200を形成する工程を終了する。
【0131】
<配向膜の描画パターン>
次に、液晶表示パネル200を形成する過程において、液滴吐出装置1を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する工程における、描画パターンについて、図14を参照して説明する。図14は、マザー対向基板の模式平面図である。図14に示したX軸及びY軸は、マザー対向基板201Aが液滴吐出装置1に載置された状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。
【0132】
多数の液滴吐出ヘッド17を備える液滴吐出装置1を用いる際には、一回の相対移動で使用可能な液滴吐出ヘッド17の割合が多い方が効率的に描画を実施することができる。一回の相対移動で使用可能な液滴吐出ヘッド17の割合を多くするためには、描画対象物の描画対象領域の副走査方向の幅は、液滴吐出装置1の副走査方向の描画可能範囲に近いことが好ましい。図14に示したマザー対向基板201Aは、4個のガラス基板201を含んでおり、Y軸方向(副走査方向)の幅は、液滴吐出装置1に載置可能なワークの最大幅である。図14(a)に示した配向膜領域228aに配向膜液242を着弾させて配向膜228を形成する。
【0133】
上述したように、液滴吐出装置1は、それぞれのヘッド群55が、互いにY軸方向に一つのヘッド群55分(ノズル群線の長さ相当)の間隔を隔てて配置されるように位置することが可能である。配向膜領域228aに対向する全ての液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78から配向膜液242を吐出しながら、マザー対向基板201AをX軸方向(主走査方向)に移動させることによって、図14(b)に示したように、幅が概ねノズル群線の長さ相当の幅であるストライプ状配向膜帯228bが形成される。次に、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17をノズル群線の長さ相当だけY軸方向に移動させる。その状態で、マザー対向基板201AをX軸方向に移動させることによって、図14(c)に示したように、ストライプ状配向膜帯228cが形成される。ストライプ状配向膜帯228bとストライプ状配向膜帯228cとで、配向膜228が形成される。
ストライプ状配向膜帯228b又はストライプ状配向膜帯228cを形成するために、マザー対向基板201A上のそれらを形成する予定位置に配置することが必要な配向膜液242は、一回の主走査の間に、一つのヘッド群55の吐出ノズル78から吐出されることによって配置される。
素子基板210の配向膜218も、対向基板220の配向膜228と同様にして、形成することができる。
素子基板210のガラス基板211、及び対向基板220のガラス基板201(マザー対向基板201A)が、基材に相当する。素子基板210の配向膜218、及び対向基板220の配向膜228が、膜又は機能膜に相当する。
【0134】
<配向膜の描画工程>
次に、液晶表示パネル200を形成する過程において、液滴吐出装置1を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程について、図15を参照して説明する。図15は、描画工程を示すフローチャートである。
【0135】
図15のステップS21では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17から、吐出検査のための検査吐出が実施される。より詳細には、ワーク載置台21が給除材位置の方向に移動されることによって、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17に臨む位置に、吐出検査ブロック4aが移動可能となる。吐出検査ブロック4aは、X軸第2スライダ23に固定されており、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23を駆動することによって、X軸方向に移動させられる。ワーク載置台21は、X軸リニアモータ26によってX軸第1スライダ22を駆動することで、移動させられるため、吐出検査ブロック4aとワーク載置台21とは、それぞれ独立して移動させることができる。
移動中の吐出検査ブロック4aにおける検査描画ユニット161の検査シート171が、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれと対向した時点で、当該液滴吐出ヘッド17から検査シート171に向けて、検査吐出が実施される。それぞれの液滴吐出ヘッド17の吐出タイミングは、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれから吐出されて検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴(以降、「液滴円」と表記する。)が、検査シート171上にY軸方向に延在する一直線を形成するよう規定されている。吐出検査ブロック4aは、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円が形成した一直線が、吐出検査ユニット18の検査カメラ163によって撮像可能となる位置に位置するように移動させられる。
【0136】
次に、ステップS22では、検査カメラ163によって、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像を取得する。画像は、それぞれの液滴円について取得され、この画像から、それぞれの液滴円の大きさや着弾位置の情報が得られる。また、検査カメラ163による画像取得に並行して、液滴吐出ヘッド17は、液滴吐出ヘッド17内の配向膜液242の状態を一定の状態に維持するための捨て吐出を実施する。検査カメラ163が、検査シート171に臨むような位置に位置している状態では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に対向している。そのため、液滴吐出ヘッド17から吐出された配向膜液242は、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に着弾する。
【0137】
次に、ステップS23では、検査カメラ163によって取得された検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像から、それぞれの吐出ノズル78から良好な吐出がなされているか否かを判定する。配向膜液242の液滴が着弾して形成された液滴円の有無から、それぞれの吐出ノズル78が配向膜液242を吐出しているか否かが判定できる。液滴円の大きさから、それぞれの吐出ノズル78からの配向膜液242の吐出量が適切か否かが判定できる。ステップS21からステップS23の工程がノズル検査工程に相当する。
なお、本実施形態においては、多数の吐出ノズル78から一斉に配向膜液242を吐出して平面をいわゆる「ベタ塗り」する。「ベタ塗り」状態においては、液滴吐出装置1において発生する可能性があるような大きさの着弾位置のずれが発生しても、着弾した配向膜液242が流動することによって配置量が略均等となるため、当該配向膜液242を乾燥させることで、適正な配向膜228又は配向膜218を形成することができる。
【0138】
全ての吐出ノズル78からの吐出が良好であった(ステップS23でYES)場合には、ステップS33に進む。ステップS23の次に、ステップS33では、全ての吐出ノズル78が通常の吐出量の配向膜液242を吐出する、通常の描画吐出を実施する。
【0139】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在した、即ち、全ての吐出ノズル78からの吐出が、少なくとも一部の吐出ノズル78では良好ではなかった(ステップS23でNO)場合には、ステップS24に進む。
【0140】
ステップS23の次に、ステップS24では、吐出検査ブロック4aを移動して、重量測定ユニット19が液滴吐出ヘッド17に対向するように、重量測定ユニット19(吐出検査ブロック4a)を、位置合わせする。より詳細には、図9及び図10を参照して説明したように、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23をX軸方向に移動させる。それと共に、Y軸リニアモータとY軸スライダとによって、吐出ユニット2を構成する10個のヘッドユニット54を、Y軸テーブル12に沿って、Y軸方向に移動させる。これによって、X軸第2スライダ23に固定された各重量測定装置91の各受液容器94を、各ヘッド群55における1個の液滴吐出ヘッド17に臨ませる。受液容器94を臨ませる液滴吐出ヘッド17は、ステップS23において、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78を有する液滴吐出ヘッド17である。
【0141】
次に、ステップS25では、各ヘッド群55において受液容器94に臨んでいる1個の液滴吐出ヘッド17の吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78から、受液容器94に向けて、重量測定吐出を実施する。吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78が複数ある場合には、各吐出ノズル78ごとに個別に重量測定吐出を実施する。受液容器94に着弾した配向膜液242の重量が、電子天秤99によって測定される。受液容器94に着弾して電子天秤99によって測定された配向膜液242の重量が、吐出重量である。
このとき、図9及び図10を参照して説明したように、各ヘッド群55における受液容器94に臨んでいない各5個の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95に対向しており、重量測定時フラッシングボックス95に向けて捨て吐出を実施する。
【0142】
次に、ステップS26では、測定された吐出重量を吐出重量の規格値と比較して、吐出重量の誤差を求め、当該誤差を誤差の規格値と比較して、測定された吐出重量の誤差が規格値に適合するか否かを判定する。
吐出状態が良好ではないと判定され、吐出重量が適正であると判定される場合としては、吐出された液滴が分散して着弾する場合がある。液滴が分散することで、複数の小さい液滴となるため、着弾した液滴からは良好な吐出状態ではないと判定される。しかし、着弾した複数の小さい液滴の総重量は適正な液滴の重量と略等しいため、吐出重量は適正であると判定される。
【0143】
吐出重量の誤差が規格値に適合しない場合(ステップS26でNO)には、ステップS27に進む。
ステップS26の次に、ステップS27では、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78について、回復処置を実施することが有効であるか否かを判定する。より詳細には、吐出検査及び吐出重量測定の結果から、吐出状態が良好ではない原因を推定し、有効な回復処置の有無を判定する。
吐出検査において、液滴が着弾して在るべき位置及び当該位置の近傍に液滴円が無い場合は、吐出ノズル78が詰まっている可能性がある。この場合の近傍は、液滴吐出装置1において、着弾位置がずれる可能性がある範囲である。液滴円が小さい場合は、吐出ノズル78が詰まりかけている(以降、この状態を「細り」と表記する。)可能性がある。吐出ノズル78の詰まりや細りは、クリーニングによって解消できる可能性が高い。ノズル詰まりや細りが無い場合は、吐出重量が規定の量からずれて、吐出重量異常が発生していると判定する。吐出重量異常の場合には、液滴吐出ヘッド17の駆動電圧を調整することで正常な吐出重量にできる可能性がある。
【0144】
回復処置を実施することが有効である場合(ステップS27でYES)には、ステップS28に進む。
ステップS27の次に、ステップS28では、回復処置を実施する。
吐出状態が良好ではない原因が吐出ノズル78の詰まりや細りである可能性が高い場合には、吸引ユニット15による配向膜液242の強制排出や、ワイピングユニット16によるノズル形成面76aの拭取などの、液滴吐出ヘッド17のノズル形成面76aや吐出ノズル78のクリーニングを実施する。吐出状態が良好ではない原因が吐出ノズル78の吐出重量異常である可能性が高い場合には、吐出重量測定の結果から、吐出重量の誤差が、駆動電圧の調整で回復可能な程度であれば、駆動電圧の調整を実施する。
【0145】
ステップS28の次は、ステップS24に戻り、回復処置を実施した吐出ノズル78について、ステップS24からステップS27を繰り返す。
【0146】
回復処置を実施することが有効でない場合(ステップS27でNO)には、ステップS29に進む。回復処置を実施することが有効でないと判定される場合には、ステップS28において回復処置を実施しても、適正な吐出重量が回復できなかった場合も含まれる。ステップS28における回復処置を実施しても、適正な吐出重量が回復できないと判定する回復処置の実施回数は、実験などによって求めて、予め定めておくことが好ましい。
回復処置を実施することが有効でないと判定された場合は、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在する場合である。ステップS27の次に、ステップS29では、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78を、RAM46又はハードディスク48に記憶させて記録する。
ステップS29の次には、ステップS30に進む。
【0147】
ステップS26において、吐出重量の誤差が規格値に適合する場合(ステップS26でYES)には、ステップS30に進む。
【0148】
ステップS26又はステップS29の次に、ステップS30では、各ヘッド群55における、ステップS23において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78を有する液滴吐出ヘッド17の全てについて、吐出重量測定が終了したか否かを判定する。
【0149】
各ヘッド群55における、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78を有する液滴吐出ヘッド17において、吐出重量測定が終了していない液滴吐出ヘッド17があった場合(ステップS30でNO)には、ステップS24に戻り、ステップS24からステップS26、又はステップS24からステップS29を繰り返す。
【0150】
各ヘッド群55において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78を有する液滴吐出ヘッド17の全てについて、吐出重量測定が終了していた場合(ステップS30でYES)には、ステップS31に進む。
【0151】
ステップS31では、適切な描画吐出が可能か否かを判定する。より詳細には、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78の存在を考慮して、描画吐出を実行することによって、図14を参照して説明したような描画を実施することが可能か否かを判定する。図14を参照して説明したような、描画吐出に際して、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17を使用する可能性がある描画吐出を実施するためには、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78が、適切な描画吐出を実施できることが必要である。
【0152】
吐出ユニット2の全てのヘッド群55において、ヘッド群55が有する吐出ノズル78が、ステップS26で吐出重量の誤差が規格値に適合すると判定された吐出ノズル78のみの場合は、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78が、適切な描画吐出を実施でき、吐出ユニット2は、適切な描画吐出が可能であると判定できる。
【0153】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出重量の誤差は、良好な吐出状態の吐出ノズル78の吐出量を調整することで、補正する。ステップS29において記録された吐出状態が良好ではない吐出ノズル78に対して、当該吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出量の誤差を解消するために用いる吐出状態が良好な吐出ノズル78が確保できる場合は、総吐出量の補正が可能な場合であって、吐出ユニット2は、適切な描画吐出が可能であると判定できる。
【0154】
ステップS29において記録された吐出状態が良好ではない吐出ノズル78に対して、当該吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出量の誤差を解消するために用いる吐出状態が良好な吐出ノズル78が確保できない場合は、総吐出量の補正が不可能な場合であって、吐出ユニット2は、適切な描画吐出が可能でないと判定する。吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の数が多い場合や、数が少なくても、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の分布密度が高い場合などに、誤差を解消するために用いる吐出状態が良好な吐出ノズル78が確保できない可能性がある。
【0155】
適切な描画吐出を実施できる状態ではないと判定された場合(ステップS31でNO)には、描画吐出を中止して、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程を終了する。
【0156】
適切な描画吐出を実施できると判定された場合(ステップS31でYES)には、ステップS32に進む。
ステップS32では、各吐出ノズル78ごとにそれぞれの吐出量を指定する、吐出量指定表を作成する。各吐出ノズル78のそれぞれの吐出量としては、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78が存在することによって生ずる、各ヘッド群55における総吐出量の誤差を、各ヘッド群55ごとに補正できる吐出量を指定する。
なお、吐出ユニット2の全てのヘッド群55において、ヘッド群55が有する吐出ノズル78が、ステップS26で吐出重量の誤差が規格値に適合すると判定された吐出ノズル78のみの場合は、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78が、適切な描画吐出を実施できる。この場合、各吐出ノズル78のそれぞれの吐出量としては、補正することなく、通常の吐出量を指定する。ステップS32が、吐出量決定工程に相当する。
【0157】
ステップS32の次に、ステップS33では、ステップS32で各吐出ノズル78ごとに規定されたそれぞれの吐出量の配向膜液242を吐出する描画吐出を実施する。ステップS26で吐出重量の誤差が規格値に適合すると判定された吐出ノズル78のみの場合は、通常の吐出量の配向膜液242を吐出する描画吐出を実施する。
吐出検査などを実施することなく、描画吐出を連続して実施する期間は、一定の吐出状態が維持できる期間や一定の吐出状態を維持して描画できるワークWの描画枚数などを、実験などで求めることによって、予め定める。
【0158】
ステップS33を実施して、液滴吐出装置1を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程を終了する。
【0159】
<吐出量の補正>
次に、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在することによって生ずる、各ヘッド群55における総吐出量の誤差を補正するために、良好な吐出状態の吐出ノズル78の吐出量を調整する際の調整量について、図16を参照して説明する。図16は、吐出ノズルごとの吐出状態及び吐出量を示す説明図である。
【0160】
図16において、吐出状態が良好な吐出ノズル78を丸印で示し、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78である不良吐出ノズル78dを「×」印で示している。吐出ノズル78とマザー対向基板201Aとの相対移動方向(主走査方向)を矢印aで示している。
上述したように、液滴吐出ヘッド17において、副走査方向において隣合う吐出ノズル78は、互いに異なるノズル列78bにそれぞれ形成されているが、図16では省略して副走査方向に一列に表記している。副走査方向の位置が吐出ノズル78の位置と略同じである膜液集合242aが、当該吐出ノズル78から液滴として吐出されて、マザー対向基板201Aに着弾した配向膜液242である。
【0161】
図16(a)は、吐出状態が良好な吐出ノズルの吐出状態及び吐出量を示す説明図である。図16(a)に示すように、吐出ノズル78から吐出された配向膜液242がマザー対向基板201Aに着弾した膜液集合242aは、マザー対向基板201A上に略均等に配置される。配置された膜液集合242aは、それぞれが濡れ広がることで一体になり、一枚の膜状の塊となる。膜状の配向膜液242が乾燥することで、略平坦なストライプ状配向膜帯228b又はストライプ状配向膜帯228cなどが形成される。
【0162】
図16(b)は、不良吐出ノズルがある場合の吐出状態及び吐出量を示す説明図である。説明を簡単にするために、不良吐出ノズル78dからは、配向膜液242が吐出されないと仮定する。膜液集合242aは、吐出ノズル78から吐出された瞬間から乾燥を開始しており、着弾した膜液集合242aは、濡れ広がりながら乾燥している。着弾した膜液集合242aが濡れ広がる範囲は、膜液集合242aが流動可能な状態の間に濡れ広がることが可能な範囲である。図16(b)に示すように、配置された膜液集合242aは、それぞれが濡れ広がるが、配向膜液242が吐出されない不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分には、膜液集合242aが濡れ広がらない部分が生ずる可能性が高い。
【0163】
図16(c)は、不良吐出ノズルがある場合に、不良吐出ノズルの副走査方向における両側の吐出ノズルにおいて吐出量を調整する例を示す説明図である。図16(c)において、吐出ノズル781(吐出ノズル78)とマザー対向基板201Aとの間に記載した数字は、当該吐出ノズル781が吐出する膜液集合242aの量の、調整しない状態で吐出する量に対する割合を示している。図16(c)に示すように、吐出ノズル781は、吐出する液滴の大きさが通常の1.5倍に調整されており、膜液集合242aの1.5倍の体積の膜液集合242bを、マザー対向基板201A上に配置する。吐出ノズル781が配置する膜液集合242bの数は、吐出ノズル78が配置する膜液集合242aの数と同じであり、吐出ノズル781は、通常の吐出ノズル78がマザー対向基板201A上に配置する量の1.5倍の量の配向膜液242を、マザー対向基板201A上に配置する。
膜液集合242bは体積が膜液集合242aより大きいため、膜液集合242aより広い範囲に濡れ広がる。また、配向膜液242が配置されていない、不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分の方に、より容易に濡れ広がる。これにより、不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分には、両側から膜液集合242bが濡れ広がるため、当該部分にも、マザー対向基板201A上の他の部分と略同等の膜厚の配向膜228が形成される。
【0164】
図16(d)は、不良吐出ノズルがある場合に、不良吐出ノズルの副走査方向における両側の吐出ノズルにおいて吐出量を調整する例を示す説明図である。図16(d)において、吐出ノズル782(吐出ノズル78)とマザー対向基板201Aとの間に記載した数字は、当該吐出ノズル782が吐出する膜液集合242aの量の、調整しない状態で吐出する量に対する割合を示している。図16(d)に示すように、吐出ノズル782は、通常の1.5倍の数の膜液集合242aを、マザー対向基板201A上に配置する。これにより、吐出ノズル782は、通常の吐出ノズル78がマザー対向基板201A上に配置する量の1.5倍の量の配向膜液242を、マザー対向基板201A上に配置する。
吐出ノズル782によって配置された配向膜液242の量が、吐出ノズル78が通常配置する量の1.5倍になるため、通常配置された膜液集合242aより広い範囲に濡れ広がる。また、配向膜液242が配置されていない、不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分の方に、より容易に濡れ広がる。これにより、不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分には、両側から、図16(d)に二点鎖線で示したように、膜液集合242aが濡れ広がるため、当該部分にも、マザー対向基板201A上の他の部分と略同等の膜厚の配向膜228が形成される。
【0165】
図16(e)は、不良吐出ノズルがある場合に、不良吐出ノズルの副走査方向における両側の6個の吐出ノズルにおいて吐出量を調整する例を示す説明図である。図16(e)において、吐出ノズル783(吐出ノズル78)、吐出ノズル784(吐出ノズル78)、又は吐出ノズル785(吐出ノズル78)と、マザー対向基板201Aとの間に記載した数字は、当該吐出ノズル782が吐出する膜液集合242aの量の、調整しない状態で吐出する量に対する割合を示している。
図16(e)に示すように、吐出ノズル783は、通常の1.25倍の数の膜液集合242aを、マザー対向基板201A上に配置する。これにより、吐出ノズル783は、通常の吐出ノズル78がマザー対向基板201A上に配置する量の1.25倍の量の配向膜液242を、マザー対向基板201A上に配置する。吐出ノズル784は、通常の1.2倍の数の膜液集合242aを、マザー対向基板201A上に配置することで、通常の吐出ノズル78がマザー対向基板201A上に配置する量の1.2倍の量の配向膜液242を、マザー対向基板201A上に配置する。吐出ノズル785は、通常の1.05倍の数の膜液集合242aを、マザー対向基板201A上に配置することで、通常の吐出ノズル78がマザー対向基板201A上に配置する量の1.05倍の量の配向膜液242を、マザー対向基板201A上に配置する。吐出ノズル783と吐出ノズル784と吐出ノズル785とで、1個の通常の吐出ノズル78がマザー対向基板201A上に配置する量の3.5倍の量の配向膜液242を、マザー対向基板201A上に配置する。
吐出ノズル783と吐出ノズル784と吐出ノズル785とによって配置された配向膜液242の量が、1個の吐出ノズル78が通常配置する量の3.5倍になるため、通常配置された膜液集合242aより広い範囲に濡れ広がる。また、配向膜液242が配置されていない、不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分の方に、より容易に濡れ広がる。さらに、吐出ノズル783によって配置された配向膜液242の量が、吐出ノズル78が通常配置する量の1.25倍になるため、通常配置された膜液集合242aより広い範囲に濡れ広がるが、吐出ノズル784によって吐出ノズル78が通常配置する量の1.2倍の配向膜液242が配置された側には濡れ広がり難い。これにより、不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分には、両側から、図16(e)に二点鎖線で示したように、膜液集合242aが濡れ広がるため、当該部分にも、マザー対向基板201A上の他の部分と略同等の膜厚の配向膜228が形成される。
【0166】
第一の実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)ステップS32では、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78が存在することによって生ずる、各ヘッド群55における総吐出量の誤差を、各ヘッド群55ごとに補正できる吐出ノズル78の吐出量を規定する。ステップS33では、ステップS32で各吐出ノズル78ごとに規定されたそれぞれの吐出量の配向膜液242を吐出する描画吐出を実施する。これにより、ヘッド群55の吐出ノズル78に吐出が良好ではないものが発生したことに起因する吐出量の誤差を補正することができる。
【0167】
(2)描画吐出に先立って吐出検査を実施し、吐出検査の結果に基づいて吐出ノズル78の吐出量を規定し、吐出ノズル78ごとに規定されたそれぞれの吐出量の配向膜液242を吐出する描画吐出を実施する。これにより、吐出ノズル78に吐出が良好ではないものが発生したことに起因する吐出量の誤差を補正した描画吐出を実施することができる。
【0168】
(3)不良吐出ノズル78dがある場合に、不良吐出ノズル78dの副走査方向における両側の吐出ノズルにおいて吐出量を調整する。吐出量が調整された吐出ノズル78から吐出された配向膜液242は、不良吐出ノズル78dから吐出された配向膜液242が着弾して配置されるべき位置に隣接する位置に、着弾する。このため、吐出量が調整された吐出ノズル78から吐出されて着弾した配向膜液242は、不良吐出ノズル78dから吐出された配向膜液242が配置されるべき位置に流入し易くなり、均等な膜厚の配向膜228又は配向膜218を形成し易くすることができる。
【0169】
(4)描画吐出に先立って吐出検査を実施し、吐出検査の結果に基づいて吐出ノズル78の吐出量を規定し、吐出ノズル78ごとに規定されたそれぞれの吐出量の配向膜液242を吐出する描画吐出を実施する。これにより、吐出量の誤差を補正するための吐出を、吐出が良好ではない吐出ノズル78が吐出を実施するタイミングと略同じタイミングで実施することができる。これにより、配向膜液242が着弾するタイミングが、吐出が良好ではない吐出ノズル78が正常な場合と略同等となる。このため、着弾した配向膜液242の乾燥経過が、吐出が良好ではない吐出ノズル78が正常な場合と補正を実施した場合とで、略同等となり、吐出が良好ではない吐出ノズル78が発生したことに起因して、配向膜液242が着弾した膜液集合242aの乾燥状態が変わることを抑制することができる。
【0170】
(第二の実施形態)
次に、膜形成方法、膜形成装置、液晶装置の製造方法、及び液晶装置の製造装置の第二の実施形態について図面を参照して、説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置は、第一の実施形態と同様に、液晶装置の製造ラインに組み込まれており、樹脂を含む機能液を導入した液滴吐出ヘッドを用い、液晶装置の配向膜などを形成するものである。
本実施形態の液滴吐出装置301(図17参照)は、第一の実施形態の液滴吐出装置1と基本的な構成及び機能は共通である。液滴吐出装置301の液滴吐出装置1と異なる構成、及び液滴吐出装置301を用いて配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程について説明する。
【0171】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出装置301の全体構成について、図17を参照して説明する。図17は、液滴吐出装置の概略構成を示す平面図である。
【0172】
図17に示すように、液滴吐出装置301は、第一の実施形態で説明した液滴吐出装置1と同様に、液滴吐出ヘッド17を有する吐出ユニット2と、ワークユニット3と、給液ユニット60と、検査ユニット4と、メンテナンスユニット5と、吐出装置制御部6とを備えている。液滴吐出装置301は、さらに、補正用の吐出ヘッドとしての液滴吐出ヘッド17を有する補正ユニット302を備えている。
メンテナンスユニット5は、X軸方向に延在するユニット移動機構305の上に設けられており、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17に臨むことが可能な位置と、補正ユニット302の液滴吐出ヘッド17に臨むことが可能な位置とに移動可能である。
【0173】
<補正ユニット>
補正ユニット302は、20個の液滴吐出ヘッド17と、補正用の吐出ヘッドとしての液滴吐出ヘッド17をY軸方向に移動させるための補正軸テーブル312とを備えている。補正軸テーブル312は、支柱を介してX軸テーブル11を跨ぐように架け渡された補正軸支持ベース307の上に配設され、Y軸テーブル12に並んで、副走査方向(Y軸方向)に延在している。補正ユニット302は、それぞれ1個の液滴吐出ヘッド17を有する補正キャリッジユニット351を、20個備えている。20個の補正キャリッジユニット351は、20個の補正軸プレート352のそれぞれに吊設されている。補正軸プレート352は、補正軸スライダ(図示省略)を介して、補正軸テーブル312に、Y軸方向に摺動自在に支持されている。補正軸テーブル312は、補正軸プレート352(補正キャリッジユニット351)を、Y軸方向(副走査方向)に移動させる。補正軸プレート352を駆動するリニアモータの駆動を制御することにより、補正キャリッジユニット351を独立させて個別に移動させることが可能である。
X軸テーブル11及び補正軸テーブル312の駆動と同期して液滴吐出ヘッド17を吐出駆動させることにより、機能液滴を吐出させ、ワーク載置台21の上に載置されたワークWに対して、任意の位置に機能液を配置することができる。
【0174】
補正キャリッジユニット351は、1個の液滴吐出ヘッド17と、1個の液滴吐出ヘッド17を支持する補正ヘッドプレート353(図18参照)と、を有する補正ヘッドユニット354(図18参照)を備えている。また、補正ヘッドプレート353は、補正ヘッドユニット354をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構(図示省略)と、θ回転機構を介して、補正ヘッドユニット354を補正軸プレート352に支持させる吊設部材(図示省略)と、を備えている。
【0175】
<補正ヘッドユニット>
次に、補正ヘッドユニット354の概略構成、及びヘッドユニット54に対する補正ヘッドユニット354の位置関係について、図18を参照して説明する。図18は、補正ヘッドユニットの概略構成、及び補正ヘッドユニットとヘッドユニットとの位置関係を示す平面図である。図18に示したX軸及びY軸は、補正ヘッドユニット354及びヘッドユニット54が液滴吐出装置301に取り付けられた状態において、図17に示したX軸及びY軸と一致している。
図18に示すように、補正ヘッドユニット354は、補正ヘッドプレート353と、補正ヘッドプレート353に搭載された1個の液滴吐出ヘッド17と、を有している。液滴吐出ヘッド17は、補正ヘッドプレート353に固定されており、ヘッド本体74が補正ヘッドプレート353に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル形成面76aが、補正ヘッドプレート353の面より突出している。図18は、ノズル形成面76a側から見た図である。液滴吐出ヘッド17のノズル列78bはY軸方向に延在している。
【0176】
上述したように、補正ヘッドユニット354をY軸方向に移動させるための補正軸テーブル312は、ヘッドユニット54をY軸方向に移動させるためのY軸テーブル12に並んで、副走査方向(Y軸方向)に延在している。補正ヘッドユニット354が補正軸テーブル312に、ヘッドユニット54がY軸テーブル12に、それぞれ支持されて、図18に示すように、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17は、ヘッドユニット54の液滴吐出ヘッド17に対して、主走査方向に一定の距離を隔てて配置されている。
副走査方向において、補正ヘッドユニット354同士が互いに干渉しない範囲で、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17は、ヘッドユニット54の液滴吐出ヘッド17に対して任意の位置に位置することが可能である。
この構成により、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17を、ヘッドユニット54の液滴吐出ヘッド17と同様に使用することができる。即ち、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17を、ヘッドユニット54の液滴吐出ヘッド17の一部の代用として使用することができる。
より詳細には、液滴吐出ヘッド17とワークWとの主走査方向の相対移動速度と、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78とヘッドユニット54の液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78との主走査方向の距離と、に基づいて、補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から液滴を吐出する時点を設定する。即ち、ヘッドユニット54の吐出ノズル78から液滴を吐出する時点に対して、補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から液滴を吐出する時点を、補正ヘッドユニット354及びヘッドユニット54の吐出ノズル78間の主走査方向の距離を液滴吐出ヘッド17とワークWとの主走査方向の相対移動速度で除した時間だけずらして設定する。ワークWを主走査方向に一回相対移動させる間に、設定された吐出する時点において、補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から液滴を吐出する。当該時点で補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から吐出された液滴は、ワークWの主走査方向における当該相対移動の間に、補正ヘッドユニット354の当該吐出ノズル78と副走査方向において同じ位置に位置するヘッドユニット54の吐出ノズル78が液滴を配置する位置に、配置される。
【0177】
<配向膜の描画工程>
次に、液晶表示パネル200を形成する過程において、液滴吐出装置301を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程について、図19を参照して説明する。図19は、描画工程を示すフローチャートである。
【0178】
図19のステップS41では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17から、吐出検査のための検査吐出が実施される。より詳細には、ワーク載置台21が給除材位置の方向に移動されることによって、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17に臨む位置に、吐出検査ブロック4aが移動可能となる。吐出検査ブロック4aは、X軸第2スライダ23に固定されており、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23を駆動することによって、X軸方向に移動させられる。ワーク載置台21は、X軸リニアモータ26によってX軸第1スライダ22を駆動することで、移動させられるため、吐出検査ブロック4aとワーク載置台21とは、それぞれ独立して移動させることができる。
移動中の吐出検査ブロック4aにおける検査描画ユニット161の検査シート171が、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれと対向した時点で、当該液滴吐出ヘッド17から検査シート171に向けて、検査吐出が実施される。それぞれの液滴吐出ヘッド17の吐出タイミングは、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれから吐出されて検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円が、検査シート171上にY軸方向に延在する一直線を形成するよう規定されている。吐出検査ブロック4aは、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円が形成した一直線が、吐出検査ユニット18の検査カメラ163によって撮像可能となる位置に位置するように移動させられる。
【0179】
次に、ステップS42では、検査カメラ163によって、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像を取得する。画像は、それぞれの液滴円について取得され、この画像から、それぞれの液滴円の大きさや着弾位置の情報が得られる。また、検査カメラ163による画像取得に並行して、液滴吐出ヘッド17は、液滴吐出ヘッド17内の配向膜液242の状態を一定の状態に維持するための捨て吐出を実施する。検査カメラ163が、検査シート171に臨むような位置に位置している状態では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に対向している。そのため、液滴吐出ヘッド17から吐出された配向膜液242は、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に着弾する。
【0180】
次に、ステップS43では、検査カメラ163によって取得された検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像から、それぞれの吐出ノズル78から良好な吐出がなされているか否かを判定する。配向膜液242の液滴が着弾して形成された液滴円の有無から、それぞれの吐出ノズル78が配向膜液242を吐出しているか否かが判定できる。液滴円の大きさから、それぞれの吐出ノズル78からの配向膜液242の吐出量が適切か否かが判定できる。なお、本実施形態においては、多数の吐出ノズル78から一斉に配向膜液242を吐出して平面をいわゆる「ベタ塗り」する。「ベタ塗り」状態においては、液滴吐出装置301において発生する可能性があるような大きさの着弾位置のずれが発生しても、着弾した配向膜液242が流動することによって配置量が略均等となるため、当該配向膜液242を乾燥させることで、適正な配向膜228又は配向膜218を形成することができる。
【0181】
全ての吐出ノズル78からの吐出が良好であった(ステップS43でYES)場合には、ステップS53に進む。ステップS43の次に、ステップS53では、全ての吐出ノズル78が通常の吐出量の配向膜液242を吐出する、通常の描画吐出を実施する。
【0182】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在した、即ち、全ての吐出ノズル78からの吐出が、少なくとも一部の吐出ノズル78では良好ではなかった(ステップS43でNO)場合には、ステップS44に進む。
【0183】
ステップS44では、回復処置を実施する。回復処置は、例えば、吸引ユニット15による配向膜液242の強制排出や、ワイピングユニット16によるノズル形成面76aの拭取などの、液滴吐出ヘッド17のノズル形成面76aや吐出ノズル78のクリーニングである。
吐出検査において、在るべき位置及び当該位置の近傍(液滴吐出装置301において、着弾位置がずれる可能性がある範囲)に液滴円が無い場合は、吐出ノズル78が詰まっている可能性がある。液滴円が小さい場合は、吐出ノズル78が詰まりかけている「細り」の状態である可能性がある。吐出ノズル78の詰まりや細りは、クリーニングによって解消できる可能性が高い。
【0184】
次に、ステップS45では、回復処置を実施した吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17から、吐出検査のための検査吐出を実施する。
【0185】
次に、ステップS46では、ステップS42と同様に、検査カメラ163によって、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像を取得する。また、液滴吐出ヘッド17は、捨て吐出を実施する。
【0186】
次に、ステップS47では、ステップS43と同様に、検査カメラ163によって取得された検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像から、それぞれの吐出ノズル78から良好な吐出がなされているか否かを判定する。
【0187】
全ての吐出ノズル78からの吐出が良好であった(ステップS47でYES)場合には、ステップS53に進む。この場合は、回復処置によって、全ての吐出ノズル78が良好な吐出ができる状態に戻った場合である。ステップS47の次に、ステップS53では、全ての吐出ノズル78が通常の吐出量の配向膜液242を吐出する、通常の描画吐出を実施する。
【0188】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在した、即ち、全ての吐出ノズル78からの吐出が、少なくとも一部の吐出ノズル78では良好ではなかった(ステップS47でNO)場合には、ステップS48に進む。
【0189】
ステップS48では、適切な描画吐出が可能か否かを判定する。より詳細には、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78の存在を考慮して、描画吐出を実行することによって、第一の実施形態において、図14を参照して説明したような描画を実施することが可能か否かを判定する。図14を参照して説明したような、描画吐出に際して、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17を使用する可能性がある描画吐出を実施するためには、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78が、適切な描画吐出を実施できることが必要である。
【0190】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出量の誤差は、補正用ヘッドとしての、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17の、代替吐出ノズルとしての吐出ノズル78から配向膜液242を吐出することで、補正する。ステップS47において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78に対して、当該吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出量の誤差を解消するために用いる補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78が確保できる場合は、総吐出量の補正が可能な場合であって、吐出ユニット2は、適切な描画吐出が可能であると判定できる。
【0191】
ステップS47において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78に対して、当該吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出量の誤差を解消するために用いる補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78が確保できない場合は、総吐出量の補正が不可能な場合であって、吐出ユニット2は、適切な描画吐出が可能ではないと判定する。吐出状態が良好ではない吐出ノズル78を有する液滴吐出ヘッド17の数が補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17の数より多い場合には、誤差を解消するために用いる補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78が確保できない可能性がある。数が少なくても、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78を有する液滴吐出ヘッド17が一つのヘッド群55に多数存在する場合にも、誤差を解消するために用いる補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78が確保できない可能性がある。
【0192】
適切な描画吐出を実施できる状態ではないと判定された場合(ステップS48でNO)には、描画吐出を中止して、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程を終了する。
【0193】
適切な描画吐出を実施できると判定された場合(ステップS48でYES)には、ステップS49に進む。
ステップS49では、補正用ヘッドとしての補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17を配置する。詳細には、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17における任意の吐出ノズル78の副走査方向の位置を、ステップS47において吐出が良好ではないと判定された吐出ノズル78の副走査方向の位置に、概ね合致させるように、補正ヘッドユニット354を位置決めする。吐出が良好ではないと判定された吐出ノズル78の副走査方向の位置に位置した補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78は、ヘッドユニット54の吐出ノズル78と同じ量の配向膜液242を吐出するように決定される。
【0194】
次に、ステップS50では、ステップS47において吐出が良好である判定された、ヘッドユニット54の吐出ノズル78と、ステップS47において吐出が良好ではないと判定された吐出ノズル78の副走査方向の位置に位置させられた補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78とから、吐出検査のための検査吐出を実施する。補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から吐出させるタイミングは、当該吐出ノズル78から吐出された配向膜液242が、ヘッドユニット54の吐出ノズル78から吐出された配向膜液242が着弾して形成する、略副走査方向に延在する略一直線上に着弾するように設定する。吐出が良好ではないと判定された吐出ノズル78は停止して、検査吐出は実施させない。
【0195】
次に、ステップS51では、ステップS42と同様に、検査カメラ163によって、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像を取得する。また、液滴吐出ヘッド17は、捨て吐出を実施する。
【0196】
次に、ステップS52では、ステップS43と同様に、検査カメラ163によって取得された検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像から、それぞれの吐出ノズル78から良好な吐出がなされているか否かを判定する。特に、吐出が良好ではない吐出ノズル78の代替吐出ノズルとしての補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から良好な吐出がなされているか否かを判定する。
【0197】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在した、即ち、全ての吐出ノズル78からの吐出が、少なくとも一部の吐出ノズル78では良好ではなかった(ステップS52でNO)場合には、ステップS48に戻る。この場合は、代替吐出ノズルとして選択した補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78が良好ではなかった可能性が高い。
ステップS48において、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出量の誤差を解消するために用いる補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78をさらに確保して、適切な描画吐出が可能か否かを判定する。ステップS49において、補正ヘッドユニット354の別の吐出ノズル78を代替吐出ノズルとして選択して、補正ヘッドユニット354を位置決めする。さらに、ステップS50からステップS52を繰り返す。
【0198】
全ての吐出ノズル78からの吐出が良好であり、代替吐出ノズルとして選択した補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78からの吐出が良好であった(ステップS52でYES)場合には、ステップS53に進む。この場合は、代替吐出ノズルとして選択した補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78を用いることによって、ヘッドユニット54全ての吐出ノズル78が良好な吐出ができる状態と同等の描画ができる状態になった場合である。ステップS52の次に、ステップS53では、代替吐出ノズルとして選択した補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78及び吐出が良好であったヘッドユニット54の吐出ノズル78を用いて描画吐出を実施する。
吐出検査などを実施することなく、描画吐出を連続して実施する期間は、一定の吐出状態が維持できる期間や一定の吐出状態を維持して描画できるワークWの描画枚数などを、実験などで求めることによって、予め定める。
【0199】
ステップS53を実施して、液滴吐出装置301を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程を終了する。
【0200】
第二の実施形態によれば、第一の実施形態によって得られる効果に加えて、以下に記載する効果が得られる。
(1)液滴吐出装置301は、吐出ユニット2とは別に、液滴吐出ヘッド17を備える補正ユニット302を備えている。吐出ユニット2の吐出ノズル78に吐出が良好ではないものが発生した場合には、補正ユニット302の液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78を代替吐出ノズルとして用いることにより、吐出ユニット2の吐出ノズル78に吐出が良好ではないものが発生したことに起因する吐出量の誤差を補正することができる。
【0201】
(2)補正ユニット302が備える液滴吐出ヘッド17は、吐出ユニット2が備える液滴吐出ヘッド17と同じ液滴吐出ヘッド17である。これにより、主走査方向の位置が異なることを補正するために吐出タイミングをずらすこと以外は、吐出ユニット2の吐出が良好ではない吐出ノズル78を駆動する信号と同様の信号を、補正ユニット302が備える液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78に送ることによって、代替吐出ノズルとして使用することができる。
【0202】
(第三の実施形態)
次に、膜形成方法、膜形成装置、液晶装置の製造方法、及び液晶装置の製造装置の第三の実施形態について図面を参照して、説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置は、第一の実施形態と同様に、液晶装置の製造ラインに組み込まれており、樹脂を含む機能液を導入した液滴吐出ヘッドを用い、液晶装置の配向膜などを形成するものである。
本実施形態の液滴吐出装置401(図20参照)は、第一の実施形態の液滴吐出装置1と基本的な構成及び機能は共通である。液滴吐出装置401の液滴吐出装置1と異なる構成、及び液滴吐出装置401を用いて配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程について説明する。
【0203】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出装置401の全体構成について、図20を参照して説明する。図20は、液滴吐出装置の概略構成を示す平面図である。
【0204】
図20に示すように、液滴吐出装置401は、第一の実施形態で説明した液滴吐出装置1と同様に、液滴吐出ヘッド17を有する吐出ユニット2と、ワークユニット3と、給液ユニット60と、検査ユニット404と、メンテナンスユニット5と、吐出装置制御部6とを備えている。検査ユニット404が、液滴吐出装置1の検査ユニット4とは異なっている。
検査ユニット404は、液滴吐出ヘッド17からの吐出状態を検査するための、吐出検査ユニット18及び重量測定ユニット419を有しており、重量測定ユニット419にはフラッシングユニット414が併設されている。
【0205】
<重量測定ブロック>
次に、重量測定ユニット419及びフラッシングユニット414について、図21を参照して説明する。図21は、重量測定ユニットの部分及びフラッシングユニットの部分を含む重量測定ブロックの図である。図21(a)は、重量測定ブロックの平面図であり、図21(b)は、重量測定ブロックの側面図である。
第一の実施形態において説明した吐出検査ブロック4aと同様に、重量測定ユニット419、フラッシングユニット414、及び検査描画ユニット161が一体に設けられた吐出検査ブロック404aが、X軸第2スライダ23に取り付けられており、一体に移動するように構成されている。
【0206】
図21に示すように、重量測定ブロック491Aは、2個の重量測定装置491と、図示省略した支持フレームとを備えている。支持フレームは、2個の重量測定装置491を支持しており、支持フレームがX軸第2スライダ23に固定されることによって、重量測定ブロック491AがX軸第2スライダ23に搭載されている。吐出検査ブロック404aは、10個の重量測定ブロック491Aを有し、合計20個の重量測定装置491が、Y軸方向に並んで、X軸第2スライダ23に搭載されている。1個の重量測定装置491が一つのヘッド群55に対応しており、並列する2個の重量測定装置491が、1個のヘッドユニット54に対応している。
【0207】
重量測定装置491は、複数ヘッド受液容器493と、単ヘッド受液容器494と、複数ヘッド天秤498と、単ヘッド天秤499と、重量測定時フラッシングボックス495と、機能液吸収材497と、を有している。これらが、図示省略した支持フレームに支持されてX軸第2スライダ23に搭載されている。
【0208】
複数ヘッド受液容器493は、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17に同時に対向可能であって、定期フラッシング時にヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17が一斉に実施する捨て吐出を受ける定期フラッシングボックスとしても使用される。定期フラッシングボックスとしての複数ヘッド受液容器493と重量測定時フラッシングボックス495と、機能液吸収材497とは、フラッシングユニット414に含まれる。フラッシングユニット414には、20個の重量測定装置491のそれぞれに形成されている、それぞれ20個の複数ヘッド受液容器493と、重量測定時フラッシングボックス495とが含まれる。
【0209】
ヘッド群55から吐出される機能液の重量を測定する場合の複数ヘッド受液容器493と、複数ヘッド天秤498と、単ヘッド受液容器494と、単ヘッド天秤499とは、重量測定ユニット419に含まれる。重量測定ユニット419には、20個の重量測定装置491のそれぞれに形成されている、それぞれ20個の、複数ヘッド受液容器493と、複数ヘッド天秤498と、単ヘッド受液容器494と、単ヘッド天秤499とが含まれる。
【0210】
<重量測定ユニット>
複数ヘッド受液容器493は、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17に同時に対向して、当該ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることができる大きさである。複数ヘッド受液容器493は、複数ヘッド天秤498の上に載っており、複数ヘッド天秤498は複数ヘッド受液容器493の重量を測定することで、複数ヘッド受液容器493内に着弾した機能液の重量を測定する。液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることで増加した複数ヘッド受液容器493の重量が、液滴吐出ヘッド17から吐出されて複数ヘッド受液容器493内に着弾した機能液の重量である。
【0211】
吐出装置制御部6のCPU44は、液滴吐出ヘッド17から複数ヘッド受液容器493に向けて吐出された機能液の吐出数を積算してRAM46又はハードディスク48に記憶させておき、積算重量が一定量に達すると、複数ヘッド受液容器493の交換指示情報を出す。
【0212】
単ヘッド受液容器494は、第一の実施形態において説明した受液容器94と同様に、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17のうち、任意の1個の液滴吐出ヘッド17のみに対向して、当該液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることができる大きさである。単ヘッド受液容器494は、単ヘッド天秤499の上に載っており、単ヘッド天秤499は、第一の実施形態において説明した電子天秤99と同様に、単ヘッド受液容器494の重量を測定することで、単ヘッド受液容器494内に着弾した機能液の重量を測定する。液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることで増加した単ヘッド受液容器494の重量が、液滴吐出ヘッド17から吐出されて単ヘッド受液容器494内に着弾した機能液の重量である。
【0213】
吐出装置制御部6のCPU44は、単ヘッド天秤499が測定した機能液の重量を積算してRAM46に記憶させておく。CPU44は、積算重量が一定量に達すると、単ヘッド受液容器494の交換指示情報を出す。
【0214】
単ヘッド天秤499は、単ヘッド受液容器494に吐出された機能液の重量を測定し、測定結果を吐出装置制御部6に出力する。吐出装置制御部6は、単ヘッド天秤499から入力した測定結果に基づいて、ヘッドドライバ2dから液滴吐出ヘッド17に印加する駆動電力(電圧値)を制御する。即ち、重量測定結果が目標範囲内の場合は、電圧値を変更することなく、次のワークWに対する描画を行う。他方、重量測定結果が目標範囲外の場合は、予め求めた印加電圧値と重量測定値との分解能データに基づいて電圧値を変更し、変更後の電圧値で、再度吐出重量測定を行う。
【0215】
<フラッシングユニット>
重量測定時フラッシングボックス495は、重量測定時フラッシングボックス495aと重量測定時フラッシングボックス495bとを有し、重量測定時フラッシングボックス495aと重量測定時フラッシングボックス495bとが、X軸方向において単ヘッド受液容器494を挟んで配置されている。ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17のうち1個の液滴吐出ヘッド17が単ヘッド受液容器494に臨む位置にあるとき、ヘッド群55を構成する他の5個の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス495a又は重量測定時フラッシングボックス495bのいずれかに臨む位置に位置する。吐出重量測定を実施する対象の液滴吐出ヘッド17が単ヘッド受液容器494に臨んで吐出重量測定のための吐出を実施する時に、測定対象外の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス495a又は重量測定時フラッシングボックス495bに臨んで、捨て吐出を実施する。
【0216】
1個の重量測定装置491でヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17について吐出重量測定を行うため、1個の液滴吐出ヘッド17が重量測定吐出を行っている際に、その他の5個の液滴吐出ヘッド17はその重量測定吐出が終わるのを待つことになるが、その「待ち」状態の液滴吐出ヘッド17に捨て吐出を行わせることができる。このため、「待ち」状態の間に吐出ノズル78が乾燥することを抑制して、「待ち」状態後に重量測定吐出を良好に行うことができ、適切な測定結果を得ることができる。
重量測定時フラッシングボックス495及び複数ヘッド受液容器493内には、機能液吸収材497が、敷設されている。なお、単ヘッド受液容器494は、各液滴吐出ヘッド17に対し、ノズル列単位で機能液を受け得る大きさに形成されている。
【0217】
上述したように、複数ヘッド受液容器493は、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17に同時に対向可能であって、定期フラッシング時にヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17が一斉に実施する捨て吐出を受ける定期フラッシングボックスとしても使用される。
【0218】
<吐出重量測定>
次に、図22を参照して、複数の液滴吐出ヘッド17について一斉に吐出重量測定を実施する一連の動作について説明する。図22は、ヘッドユニットと重量測定装置との位置関係を示す説明図である。図22(a)及び(c)は、ヘッドユニットと重量測定装置との位置関係を示す側面図であり、図22(b)は、ヘッドユニットの液滴吐出ヘッドと重量測定装置の複数ヘッド受液容器との位置関係を示す平面図である。
【0219】
ワークWの給材などの描画処理休止時には、図22(a)に示すように、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23をX軸方向に移動させることで、X軸第2スライダ23に固定された各重量測定装置491の各複数ヘッド受液容器493を、ヘッドユニット54に臨ませる。そして、図22(b)に示すように、ヘッドユニット54のヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッドが、複数ヘッド受液容器493に臨んでいる状態にする。
図22(a)及び(b)に示した位置で、ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17は重量測定吐出を実施し、吐出された機能液は、複数ヘッド受液容器493に着弾する。
【0220】
ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17の重量測定吐出が終わると、重量測定装置491をX軸方向に移動させて、図22(c)に示したように、各複数ヘッド受液容器493を、重量測定装置491の移動軌跡上に設けられた風防部材101の直下に移動させる。この状態で、複数ヘッド天秤498により、複数ヘッド受液容器493に着弾した吐出液滴の重量の測定を行う。重量測定装置491が風防部材101の直下に位置することにより、気流(例えばチャンバルームにおけるダウンフローや乱流など)が風防部材101により遮断されるため、複数ヘッド天秤498は、気流の影響を受けることなく、正確に重量測定を行うことができる。
【0221】
なお、定期フラッシングを実施する場合は、ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッドが、複数ヘッド受液容器493に臨んでいる状態での液滴吐出ヘッド17からの機能液の吐出を実施し、複数ヘッド天秤498による重量の測定は実施しない。この場合の液滴吐出ヘッド17からの機能液の吐出は、捨て吐出である。この場合は、複数ヘッド受液容器493が、定期フラッシングボックスとして使用されている場合である。
【0222】
単ヘッド受液容器494及び単ヘッド天秤499を用いて個別の液滴吐出ヘッド17について吐出重量測定を実施する一連の動作は、第一の実施形態において、図9、及び図10を参照して説明した、受液容器94及び電子天秤99を用いて個別の液滴吐出ヘッド17について吐出重量測定を実施する一連の動作と同様である。
【0223】
<配向膜の描画工程>
次に、液晶表示パネル200を形成する過程において、液滴吐出装置401を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程について、図23を参照して説明する。図23は、描画工程を示すフローチャートである。
【0224】
図23のステップS61では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17から、吐出検査のための検査吐出が実施される。より詳細には、ワーク載置台21が給除材位置の方向に移動されることによって、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17に臨む位置に、吐出検査ブロック404aが移動可能となる。吐出検査ブロック404aは、X軸第2スライダ23に固定されており、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23を駆動することによって、X軸方向に移動させられる。ワーク載置台21は、X軸リニアモータ26によってX軸第1スライダ22を駆動することで、移動させられるため、吐出検査ブロック404aとワーク載置台21とは、それぞれ独立して移動させることができる。
移動中の吐出検査ブロック404aにおける検査描画ユニット161の検査シート171が、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれと対向した時点で、当該液滴吐出ヘッド17から検査シート171に向けて、検査吐出が実施される。それぞれの液滴吐出ヘッド17の吐出タイミングは、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれから吐出されて検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円が、検査シート171上にY軸方向に延在する一直線を形成するよう規定されている。
【0225】
次に、ステップS62では、ステップS61を実施して移動している吐出検査ブロック404aをそのまま移動して、複数ヘッド受液容器493がヘッド群55の液滴吐出ヘッド17に対向するように、重量測定装置491(吐出検査ブロック404a)を、位置合わせする。
より詳細には、図22を参照して説明したように、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23をX軸方向に移動させる。それと共に、Y軸リニアモータとY軸スライダとによって、吐出ユニット2を構成する10個のヘッドユニット54を、Y軸テーブル12に沿って、Y軸方向に移動させる。これによって、X軸第2スライダ23に固定された各重量測定装置491の各複数ヘッド受液容器493を、各ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17に臨ませる。
複数ヘッド受液容器493を、各ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17に臨ませた状態では、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円が形成した一直線が、吐出検査ユニット18の検査カメラ163によって撮像可能となる位置に位置する状態となる。
【0226】
次に、ステップS63では、検査カメラ163によって、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像を取得する。画像は、それぞれの液滴円について取得され、この画像から、それぞれの液滴円の大きさや着弾位置の情報が得られる。
また、検査カメラ163による画像取得に並行して、複数の液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78について一斉に重量測定吐出を実施する。上述したように、検査カメラ163が、検査シート171に臨むような位置に位置している状態で、吐出ユニット2の各ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17が、複数ヘッド受液容器493に対向している。そのため、液滴吐出ヘッド17から吐出された配向膜液242は、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17ごとに、1個の複数ヘッド受液容器493に着弾する。
図22を参照して説明したように、複数ヘッド受液容器493に着弾した配向膜液242の重量が、複数ヘッド天秤498によって測定される。ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17が有する全ての吐出ノズル78の吐出重量が、1回の測定で測定される。
【0227】
次に、ステップS64では、検査カメラ163によって取得された検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像から、それぞれの吐出ノズル78から良好な吐出がなされているか否かを判定する。配向膜液242の液滴が着弾して形成された液滴円の有無から、それぞれの吐出ノズル78が配向膜液242を吐出しているか否かが判定できる。液滴円の大きさから、それぞれの吐出ノズル78からの配向膜液242の吐出量が適切か否かが判定できる。なお、本実施形態においては、多数の吐出ノズル78から一斉に配向膜液242を吐出して平面をいわゆる「ベタ塗り」する。「ベタ塗り」状態においては、液滴吐出装置401において発生する可能性があるような大きさの着弾位置のずれが発生しても、着弾した配向膜液242が流動することによって配置量が略均等となるため、当該配向膜液242を乾燥させることで、適正な配向膜228又は配向膜218を形成することができる。
【0228】
全ての吐出ノズル78からの吐出が良好であった(ステップS64でYES)場合には、ステップS71に進む。ステップS64の次に、ステップS71では、全ての吐出ノズル78が通常の吐出量の配向膜液242を吐出する、通常の描画吐出を実施する。
【0229】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在した、即ち、全ての吐出ノズル78からの吐出が、少なくとも一部の吐出ノズル78では良好ではなかった(ステップS64でNO)場合には、ステップS65に進む。
ステップS65では、ステップS64において、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在すると判定されたヘッド群55について、ステップS63において測定された吐出重量を吐出重量の規格値と比較して、吐出重量の誤差を求め、当該誤差を誤差の規格値と比較して、測定された吐出重量の誤差が規格値に適合するか否かを判定する。
【0230】
吐出重量の誤差が規格値に適合する場合(ステップS65でYES)には、ステップS71に進む。ステップS65の次に、ステップS71では、全ての吐出ノズル78が通常の吐出量の配向膜液242を吐出する、通常の描画吐出を実施する。
【0231】
吐出重量の誤差が規格値に適合しない場合(ステップS65でNO)には、ステップS66に進む。
ステップS66は、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78を含むヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17について、回復処置を実施することが有効であるか否かを判定する。より詳細には、吐出検査及び吐出重量測定の結果から、吐出状態が良好ではない原因を推定し、有効な回復処置の有無を判定する。
吐出検査において、液滴が着弾して在るべき位置及び当該位置の近傍に液滴円が無い場合は、吐出ノズル78が詰まっている可能性がある。この場合の近傍は、液滴吐出装置401において、着弾位置がずれる可能性がある範囲である。液滴円が小さい場合は、吐出ノズル78が詰まりかけている「細り」の状態である可能性がある。吐出ノズル78の詰まりや細りは、クリーニングによって解消できる可能性が高い。
ノズル詰まりや細りが無い場合は、吐出重量が規定の量からずれて、吐出重量異常が発生していると判定する。吐出重量異常の場合には、液滴吐出ヘッド17の駆動電圧を調整することで正常な吐出重量にできる可能性がある。
【0232】
回復処置を実施することが有効である場合(ステップS66でYES)には、ステップS67に進む。
ステップS67では、回復処置を実施する。
吐出状態が良好ではない原因が吐出ノズル78の詰まりや細りである可能性が高い場合には、吸引ユニット15による配向膜液242の強制排出や、ワイピングユニット16によるノズル形成面76aの拭取などの、液滴吐出ヘッド17のノズル形成面76aや吐出ノズル78のクリーニングを実施する。
吐出状態が良好ではない原因が吐出ノズル78の吐出重量異常である可能性が高い場合には、ステップS64において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78について、駆動電圧の調整を実施する。ステップS63で実施したヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78の吐出重量測定の結果と、ステップS64において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78の数とから、吐出重量の誤差が、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78の駆動電圧の調整で回復可能な程度であれば、駆動電圧の調整を実施する。この場合、ステップS64において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78について、ヘッド群55全体の吐出重量の誤差が規格値に適合するように、駆動電圧の調整を実施する。
ステップS67の次は、ステップS70に進む。
【0233】
回復処置を実施することが有効でない場合(ステップS66でNO)には、ステップS68に進む。
【0234】
ステップS68では、適切な描画吐出が可能か否かを判定する。より詳細には、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78を含むことで吐出重量の誤差が規格値に適合しないヘッド群55の吐出重量の誤差は、当該ヘッド群55の全ての吐出ノズル78について吐出量を一括調整することで、補正する。
当該吐出量の一括調整を実施した回数が少ない場合は、次の調整で吐出重量の誤差が解消できる可能性が有り、適切な描画吐出が可能であると判定する。当該吐出量の一括調整を実施した回数が規格値を超えた場合は、次の調整を実施しても吐出重量の誤差が解消できる可能性が乏しく、適切な描画吐出が可能ではないと判定する。一括調整を実施すること吐出重量の誤差が解消できると判定する回数の規格値は、実験などによって、予め求める。
【0235】
適切な描画吐出を実施できる状態ではないと判定された場合(ステップS68でNO)には、描画吐出を中止して、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程を終了する。
【0236】
適切な描画吐出を実施することが可能であると判定された場合(ステップS68でYES)には、ステップS69に進む。
ステップS69では、ヘッド群55の総吐出量を調整する。吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在することで、吐出重量の誤差が規格値に適合しないヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17について、全体の吐出重量の誤差が規格値に適合するように、ヘッド群55の全ての吐出ノズル78について、吐出重量の調整を実施する。
ステップS69の次は、ステップS70に進む。
【0237】
ステップS67又はステップS69の次に、ステップS70では、回復処置又は総吐出量の調整を実施したヘッド群55について、ステップS63と同様に、複数ノズル重量測定吐出を実施する。
ステップS70の次には、ステップS65に戻り、ステップS70において複数ノズル重量測定吐出を実施したヘッド群55ついて、ステップS65、ステップS65からステップS68、又はステップS65からステップS70を繰り返す。
上述したように、ステップS65において、吐出重量の誤差が規格値に適合すると判定された場合は、ステップS71に進む。ステップS71では、全ての吐出ノズル78が通常の吐出量の配向膜液242を吐出する、通常の描画吐出を実施する。吐出検査などを実施することなく、描画吐出を連続して実施する期間は、一定の吐出状態が維持できる期間や一定の吐出状態を維持して描画できるワークWの描画枚数などを、実験などで求めることによって、予め定める。
【0238】
ステップS71を実施して、液滴吐出装置401を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程を終了する。
【0239】
第三の実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)液滴吐出装置401は、複数ヘッド受液容器493及び複数ヘッド天秤498を備えており、ヘッド群55の吐出ノズル78から吐出される配向膜液242の重量を一括して測定できる。ヘッド群55の吐出ノズル78の中に吐出量が適正ではない吐出ノズル78が発生した場合には、一括測定の測定結果に基づいて、ヘッド群55の吐出ノズル78の吐出量を一括して調整することによって、吐出量が適正ではない吐出ノズル78が発生したことに起因する吐出量の誤差を補正することができる。
【0240】
(2)ヘッド群55の吐出ノズル78から吐出される配向膜液242の重量を一括して測定するため、それぞれの吐出ノズル78から吐出される配向膜液242の重量を個別に測定する場合に比べて、全ての吐出ノズル78について測定するための時間を抑制することができる。
【0241】
(3)ヘッド群55の吐出ノズル78の吐出量を一括して調整することから、調整可能な吐出量が多いため、吐出量の大きな誤差も補正することができる。
【0242】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0243】
(変形例1)前記実施形態においては、吐出量を補正される吐出ノズル78は、不良吐出ノズル78dの両側の2個又は6個の吐出ノズル78、又はヘッド群55の全吐出ノズル78であったが、吐出量を補正される吐出ノズル78は、副走査方向において不良吐出ノズル78dに隣接する1個の吐出ノズル78であってもよい。また、副走査方向において、不良吐出ノズル78dの両側のうち、一方の側の複数の吐出ノズル78であってもよい。このような選択のしかたで吐出量を補正される吐出ノズル78を選択することで、ノズル列全体の一番端の吐出ノズルが不良吐出ノズル78dとなった場合や、副走査方向で隣合う吐出ノズルが不良吐出ノズル78dとなった場合でも、吐出量を補正される吐出ノズル78を選択することができる。
【0244】
(変形例2)前記実施形態においては、吐出量を補正される吐出ノズル78は、不良吐出ノズル78dの両側の2個又は6個の吐出ノズル78、又はヘッド群55の全吐出ノズル78であり、いずれかに固定されていた。しかし、吐出量を補正される吐出ノズル78の選択の仕方が固定されていることは必須ではない。吐出量を補正される吐出ノズル78は、不良吐出ノズル78dの両側の2個の吐出ノズル78、又は不良吐出ノズル78dの両側の6個の吐出ノズル78、又は不良吐出ノズル78dを含むヘッド群55の全吐出ノズル78などから選択する方法であってもよい。
【0245】
(変形例3)前記実施形態においては、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が発生した場合の対処として、吐出量が少ない吐出ノズル78が発生した場合に、副走査方向において隣接する位置に向けて吐出する吐出ノズル78において吐出量を増やす例について説明した。しかし、吐出ノズルの良好ではない吐出状態は、吐出量が過少の状態に限らない。吐出ノズルの良好ではない吐出状態が、吐出量が過多の状態の場合には、副走査方向において隣接する位置に向けて吐出する吐出ノズルの吐出量を減らす方法を用いてもよい。
【0246】
(変形例4)前記実施形態においては、ヘッドユニット54におけるヘッド群55は、副走査方向に一つのヘッド群55のY軸方向の長さに相当する間隔を隔てて配置されていた。このヘッドユニット54を有する、吐出ユニット2の吐出ノズル78は、主走査方向の位置を同じと仮定すると、一つのヘッド群55が有する吐出ノズル78の列が、当該列のY軸方向の長さの間隔を隔てて、Y軸方向に連なる吐出ノズル78の列を有していた。この吐出ユニット2は、一回の副走査を挟む2回の主走査時における配向膜液242の吐出によって、配向膜228又は配向膜218を形成していた。しかし、吐出ユニットは、吐出ノズルが副走査方向に全て等間隔で配置される構成であってもよい。当該吐出ユニットを備える液滴吐出装置を用いて、1回の主走査の間に、基材の全面に液状体を描画吐出してもよい。
【0247】
(変形例5)前記実施形態においては、液晶表示装置の一例である液晶表示パネル200の配向膜228又は配向膜218を形成する際の描画吐出について説明したが、形成する膜は、配向膜に限らない。形成する膜は、液晶表示装置の対向電極や、カラーフィルタなどを保護するためなどに設けるオーバーコート膜などであってもよい。フォトエッチングなどによってパターンを形成するための膜や、フォトエッチングなどのフォトレジスト膜などであってもよい。形成する膜は、膜を形成するための液状体を供給するために、多数の吐出ノズルを使用することが必要であるような、大面積のいわゆるベタ膜のような膜であれば、どのような膜であってもよい。
形成する膜を有する装置、又は形成過程において膜を形成する必要がある装置も、液晶表示装置に限らない。上記したような膜を有する装置、又は形成過程において上記したような膜を形成する必要がある装置であれば、どのような装置であってもよい。
【0248】
(変形例6)前記第二の実施形態においては、描画吐出に際して、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78は停止していたが、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78を停止することは必須ではない。良好ではない吐出ノズル78は停止することなく、当該吐出ノズル78の吐出量の誤差分を他の吐出ノズル78で補正する方法であってもよい。但し、吐出ノズル78の実際の吐出量を明確にするために、吐出量を測定する工程が必要である。また、良好ではない吐出ノズル78の吐出量が過多の場合は、当該吐出ノズル78を停止して、補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から当該吐出ノズル78の吐出量に相当する配向膜液242を吐出する。
【0249】
(変形例7)前記実施形態においては、着弾位置のずれが発生しても、着弾した配向膜液242が流動することによって配置量が略均等となるため、吐出重量の誤差が規格値に適合していれば、当該吐出ノズル78の吐出は良好であると判定していた。しかし、着弾位置ずれによって、被吐出領域の端の部分に向けて吐出した液状体が被吐出領域から外れて着弾する可能性を考慮して、所定のずれ量を超えた吐出ノズルは、吐出が良好ではない吐出ノズルとして扱っても良い。この場合、描画吐出に際して、着弾位置ずれが大きいことで吐出状態が良好ではないと判定した吐出ノズルは停止する。これにより、被吐出領域に配置する機能液の量を、より厳密に適正な量に保つことができる。
【0250】
(変形例8)前記実施形態においては、吐出ノズル78のそれぞれの吐出量としては、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78が存在することによって生ずる、各ヘッド群55における総吐出量の誤差を、各ヘッド群55ごとに補正できる吐出量に決定しており、吐出が良好ではない吐出ノズル78も描画吐出を実施していた。しかし、吐出量が極端に過多の吐出ノズルは、描画吐出を停止してもよい。吐出が良好ではない1個の吐出ノズルにおける吐出量の過多分が吐出ノズル1個分よりさらに多い場合には、当該吐出ノズルの描画吐出を停止することで、補正量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0251】
【図1】第一の実施形態における液滴吐出装置の概略構成を示す平面図。
【図2】液滴吐出装置の概略構成を示すX軸方向に延在する側面の側面図。
【図3】液滴吐出装置の概略構成を示すY軸方向に延在する側面の側面図。
【図4】液滴吐出ヘッドの概要を示す外観斜視図。
【図5】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
【図6】液滴吐出装置の電気的構成を示す電気構成ブロック図。
【図7】検査描画ユニットの全体構成を示す外観斜視図。
【図8】(a)重量測定ユニットの部分及びフラッシングユニットの部分を含む重量測定ブロックの平面図。(b)重量測定ブロックの側面図。
【図9】ヘッドユニットと重量測定装置との位置関係を示す側面図。
【図10】液滴吐出ヘッドと重量測定装置との位置関係を示す平面図。
【図11】液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図。
【図12】液晶表示パネルを形成する過程を示すフローチャート。
【図13】液晶表示パネルを形成する過程における配向膜を形成する工程を示す断面図。
【図14】マザー対向基板の模式平面図。
【図15】描画工程を示すフローチャート。
【図16】吐出ノズルごとの吐出状態及び吐出量を示す説明図。
【図17】第二の実施形態における液滴吐出装置の概略構成を示す平面図。
【図18】補正ヘッドユニットの概略構成、及び補正ヘッドユニットとヘッドユニットとの位置関係を示す平面図。
【図19】描画工程を示すフローチャート。
【図20】第三の実施形態における液滴吐出装置の概略構成を示す平面図。
【図21】(a)重量測定ユニットの部分及びフラッシングユニットの部分を含む重量測定ブロックの平面図。(b)重量測定ブロックの側面図。
【図22】ヘッドユニットと重量測定装置との位置関係を示す説明図。
【図23】描画工程を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0252】
1…液滴吐出装置、2…吐出ユニット、4…検査ユニット、4a…吐出検査ブロック、5…メンテナンスユニット、6…吐出装置制御部、14…フラッシングユニット、15…吸引ユニット、16…ワイピングユニット、17…液滴吐出ヘッド、18…吐出検査ユニット、19…重量測定ユニット、54…ヘッドユニット、55…ヘッド群、76…ノズル形成プレート、78…吐出ノズル、78d…不良吐出ノズル、91…重量測定装置、91A…重量測定ブロック、94…受液容器、99…電子天秤、161…検査描画ユニット、171…検査シート、200…液晶表示パネル、201…ガラス基板、201A…マザー対向基板、205…フィルタ層、210…素子基板、211…ガラス基板、218…配向膜、220…対向基板、228…配向膜、228a…配向膜領域、228b,228c…ストライプ状配向膜帯、242…配向膜液、242a,242b…膜液集合、301…液滴吐出装置、302…補正ユニット、354…補正ヘッドユニット、401…液滴吐出装置、404…検査ユニット、404a…吐出検査ブロック、414…フラッシングユニット、419…重量測定ユニット、491…重量測定装置、491A…重量測定ブロック、493…複数ヘッド受液容器、494…単ヘッド受液容器、498…複数ヘッド天秤、499…単ヘッド天秤、W…ワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上の任意の位置に膜を形成する膜形成方法、膜を形成するための膜形成装置、液晶装置を構成する膜を形成する液晶装置の製造方法、及び液晶装置を構成する膜を形成する液晶装置の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液状体を吐出する吐出ノズルを有する吐出ヘッドを備え、液状体を吐出して描画対象物上の任意の位置に塗布することによって、描画対象物の任意の位置に液状体を配置する吐出装置が知られている。中でも、液状体を液滴として吐出する液滴吐出装置を用いることによって、カラー液晶装置のカラーフィルタ膜などのような機能膜の材料を含む液状体を、任意の位置に任意の量だけ、精度良く塗布することが可能である。塗布された液状体を乾燥させることによって、任意の厚さ及び形状の機能膜を形成することができる。
【0003】
吐出ノズルからの吐出量の精度が高いことによって、液状体を任意の量だけ精度良く塗布することが可能になっている。従って、吐出ノズルからの吐出量の精度が損なわれることによって、塗布される液状材料の量の精度が損なわれ、形成される機能膜において目標の機能が得られない可能性があった。このため、多数の吐出ノズルを有する吐出ヘッドにおいては、一部の吐出ノズルのみが損なわれることで、吐出ヘッド全体を交換しなければならないという課題もあった。
特許文献1には、吐出状態が正常でない不良の吐出ノズルを停止し、当該不良の吐出ノズルがインクを配置するべき位置に、別の正常な吐出ノズルを用いてインクを配置することによって、形成されるカラーフィルタの着色部を正常ならしめると共に、吐出ノズルを有するインクジェットヘッドを、吐出ノズルの一部が不良になっても使用できるようにすることで、インクジェットヘッドを効率良く使用することができるカラーフィルタの製造方法が開示されている。
不良の吐出ノズルがインクを配置するべき位置に、別の正常な吐出ノズルを用いてインクを配置するためには、個々の画素に対して、複数回の走査を実施して、不良の吐出ノズルが或一つの画素に対向する走査とは別の走査の際に、当該画素に対向する正常な吐出ノズルを用いてインクを配置している。
【0004】
【特許文献1】特開平11−72612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているような方法では、個々の画素に対して、複数回の走査を実施することが必須であるという課題があった。複数回の走査を実施することが必須であることに起因して、インクを配置するための作業時間が長くなるという課題があった。
また、複数回の走査のそれぞれにおいてインクを配置することに起因して、不良となった吐出ノズルがインクを配置するべき所定の位置において、当該所定の位置の周囲にインクが配置される時点に対して、不良となった吐出ノズルが当該所定の位置に液滴を吐出するように設定された時点と、代わりの吐出ノズルが当該所定の位置に、実際に液滴を吐出する時点とが、ずれるという課題もあった。
液状体を配置して乾燥させて膜を形成する場合、配置された液状体の塊が濡れ広がり、当該塊どうしが互いに接触して一体となり、乾燥して一体の膜となる。液状体は、配置された時点で、濡れ広がり始めると共に乾燥を開始しており、配置される時点がずれることで、適正な形状の膜が形成されない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる膜形成方法は、複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記基材上の膜形成領域に前記複数の吐出ノズルから膜の材料を含む液状体を吐出し前記液状体を配置する膜形成方法であって、前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程と、前記ノズル検査工程における検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定する吐出量決定工程とを有し、前記吐出量決定工程では、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする。
【0008】
この膜形成方法によれば、吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程を有することで、吐出ノズルから液状体が正常に吐出されているか否かを検出することができることから、吐出量決定工程において、吐出状態が不良の吐出ノズルが有った場合に対応した吐出量を決定することができる。
吐出量決定工程において、それぞれの吐出ノズルが吐出する液状体の吐出量を、複数の吐出ノズルと基材との一回の相対移動の間に、複数の吐出ノズルが基材上の膜を形成する領域に向けて吐出する液状体の総量が、所定量となる吐出量に決定する。所定量は、一回の相対移動の間に複数の吐出ノズルによって領域に向けて吐出することが必要な液状体の総量である。これにより、正常な吐出ができない吐出ノズルが存在しても、適正な量の液状体を、基材に配置することができる。一回の相対移動の間に吐出する液状体の総量が適正な量となるため、異なる走査において吐出量を決定して、当該吐出量を吐出する場合に比べて、予め定められた適切なタイミングを損なうことなく、適正な量の液状体を配置することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する吐出数を決定することが好ましい。
【0010】
この膜形成方法によれば、吐出数を決定することによって、吐出ノズルが液状体を吐出する吐出数と吐出一回あたりの吐出量との積である吐出ノズルが吐出する液状体の吐出量を決定することができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量を決定することが好ましい。
【0012】
この膜形成方法によれば、吐出一回あたりの吐出量を決定することによって、吐出ノズルが液状体を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量と吐出数との積である吐出ノズルが吐出する液状体の吐出量を決定することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記吐出量決定工程は、前記ノズル検査工程において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置と隣接する位置に前記液状体を配置する吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0014】
この膜形成方法によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体が配置される予定の位置に隣接する位置に液状体を配置する吐出ノズルの吐出量を決定する。隣接した位置に配置された液状体は互いに混じり合い易いため、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体と、吐出量決定工程において吐出量が決定された吐出ノズルから吐出された液状体とが互いに混じり合い、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルからの吐出量の過不足を補って均等な膜を形成し易くすることができる。
単一の吐出ノズルにおいて吐出量を決定するため、多くの吐出ノズルについて吐出量を決定し、それを実現する吐出を実施する場合に比べて、吐出ノズルを制御する制御装置の負荷を小さくすることができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記吐出量決定工程は、前記ノズル検査工程において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を挟んで隣接する位置に前記液状体を配置する2個の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0016】
この膜形成方法によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体が配置される予定の位置に隣接する位置に液状体を配置する吐出ノズルの吐出量を決定する。隣接した位置に配置された液状体は互いに混じり合い易いため、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体と、吐出量決定工程において吐出量が決定された吐出ノズルから吐出された液状体とが互いに混じり合い、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルからの吐出量の過不足を補って均等な膜を形成し易くすることができる。
【0017】
[適用例6]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記吐出量決定工程は、前記ノズル検査工程において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を中心にして隣接する位置に前記液状体を配置する3個以上の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0018】
この膜形成方法によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体が配置される予定の位置に隣接する位置に液状体を配置する吐出ノズルの吐出量を決定する。隣接した位置に配置された液状体は互いに混じり合い易いため、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体と、吐出量決定工程において吐出量が決定された吐出ノズルから吐出された液状体とが互いに混じり合い、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルからの吐出量の過不足を補って均等な膜を形成し易くすることができる。
【0019】
[適用例7]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記3個以上の吐出ノズルそれぞれが前記液状体を配置する位置と、前記吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置との距離によって按分し前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0020】
この膜形成方法によれば、3個以上の吐出ノズルのそれぞれにおける吐出量を決定することで、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから配置された液状体とより混じり合い易くすることができる。
【0021】
[適用例8]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を、吐出状態が適正ではないと判定された前記吐出ノズルが前記液状体を吐出しない状態で、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することが好ましい。
【0022】
この膜形成方法によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルは、描画吐出に際して吐出量がゼロになる。これにより、吐出量を決定するために、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルの実際の吐出量を測定することを不要にすることができる。
【0023】
[適用例9]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記ノズル検査工程は、前記各吐出ノズルが吐出する吐出量を測定する吐出量測定工程を含み、前記吐出量決定工程は、前記吐出量測定工程における前記各吐出ノズルの吐出量に応じて、前記各吐出ノズルの吐出量を決定することが好ましい。
【0024】
この膜形成方法によれば、吐出量測定工程を実施することによって、それぞれの吐出ノズルの吐出量を測定して、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルの吐出量の過不足量を明確にすることができる。
【0025】
[適用例10]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記ノズル検査工程は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴が着弾した状態を判断する工程を含むことが好ましい。
【0026】
この膜形成方法によれば、着弾液滴円の面積によって、一回の吐出量が適切であるか否かを判定することができる。適切な吐出量の場合における着弾液滴円の面積と比べて、着弾液滴円の面積が小さい場合は吐出量が過少であり、大きい場合は吐出量が過多であると判定できる。在るべき位置に着弾液滴円がない場合には、吐出ノズルから液状体が吐出されない状態になっていると判定できる。
【0027】
[適用例11]上記適用例にかかる膜形成方法において、前記ノズル検査工程は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴の重量を測定する重量測定工程を含むことが好ましい。
【0028】
この膜形成方法によれば、吐出された液状体の重量を測定することによって、適正な量の液状体が吐出されているかを検証することができる。
【0029】
[適用例12]本適用例にかかる膜形成装置は、複数の吐出ノズルと、前記複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させる相対移動装置とを備え、前記相対移動装置によって前記複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記複数の吐出ノズルから膜の材料を含む液状体を吐出して、前記基材上の膜形成領域に前記液状体を配置する膜形成装置であって、前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査手段と、前記ノズル検査手段による検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定する吐出量決定手段と、を備え、前記吐出量決定手段は、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする。
【0030】
この膜形成装置によれば、吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査手段によって、吐出ノズルから液状体が正常に吐出されているか否かを検出することができることから、吐出量決定手段は、吐出状態が不良の吐出ノズルが有った場合に対応した吐出量を決定することができる。
吐出量決定手段は、それぞれの吐出ノズルが吐出する液状体の吐出量を、複数の吐出ノズルと基材との一回の相対移動の間に、複数の吐出ノズルが基材上の膜を形成する領域に向けて吐出する液状体の総量が、所定の量となる吐出量に決定する。所定の量は、一回の相対移動の間に第一の複数の吐出ノズルによって第一の領域に向けて吐出することが必要な液状体の総量である。これにより、正常な吐出ができない吐出ノズルが存在しても、適正な量の液状体を、基材に配置することができる。一回の相対移動の間に吐出する液状体の総量が適正な量となるため、異なる走査において吐出量を決定して、当該吐出量を吐出する場合に比べて、予め定められた適切なタイミングを損なうことなく、適正な量の液状体を配置することができる。
【0031】
[適用例13]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記吐出量決定手段は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する吐出数を決定することことが好ましい。
【0032】
この膜形成装置によれば、吐出数を決定することによって、吐出ノズルが液状体を吐出する吐出数と吐出一回あたりの吐出量との積である吐出ノズルが吐出する液状体の吐出量を決定することができる。
【0033】
[適用例14]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記吐出量決定手段は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量を決定することが好ましい。
【0034】
この膜形成装置によれば、吐出一回あたりの吐出量を決定することによって、吐出ノズルが液状体を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量と吐出数との積である吐出ノズルが吐出する液状体の吐出量を決定することができる。
【0035】
[適用例15]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記吐出量決定手段は、前記ノズル検査手段において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置と隣接する位置に前記液状体を配置する吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0036】
この膜形成装置によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体が配置される予定の位置に隣接する位置に液状体を配置する吐出ノズルの吐出量を決定する。隣接した位置に配置された液状体は互いに混じり合い易いため、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体と、吐出量決定手段によって吐出量が決定された吐出ノズルから吐出された液状体とが互いに混じり合い、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルからの吐出量の過不足を補って均等な膜を形成し易くすることができる。
単一の吐出ノズルにおいて吐出量を決定するため、多くの吐出ノズルについて決定し、それを実現する吐出実施する場合に比べて、吐出ノズルを制御する制御装置の負荷を小さくすることができる。
【0037】
[適用例16]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記吐出量決定手段は、前記ノズル検査手段において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を挟んで隣接する位置に前記液状体を配置する2個の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0038】
この膜形成装置によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体が配置される予定の位置に隣接する位置に液状体を配置する吐出ノズルの吐出量を決定する。隣接した位置に配置された液状体は互いに混じり合い易いため、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体と、吐出量決定手段によって吐出量が決定された吐出ノズルから吐出された液状体とが互いに混じり合い、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルからの吐出量の過不足を補って均等な膜を形成し易くすることができる。
【0039】
[適用例17]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記吐出量決定手段は、前記ノズル検査手段において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を中心にして隣接する位置に前記液状体を配置する3個以上の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0040】
この膜形成装置によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体が配置される予定の位置に隣接する位置に液状体を配置する吐出ノズルの吐出量を決定する。隣接した位置に配置された液状体は互いに混じり合い易いため、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから吐出された液状体と、吐出量決定手段によって吐出量が決定された吐出ノズルから吐出された液状体とが互いに混じり合い、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルからの吐出量の過不足を補って均等な膜を形成し易くすることができる。
【0041】
[適用例18]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記3個以上の吐出ノズルそれぞれが前記液状体を配置する位置と、前記吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置との距離によって按分し前記液状体の吐出量を決定することが好ましい。
【0042】
この膜形成装置によれば、3個以上の吐出ノズルのそれぞれにおける吐出量を決定することで、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルから配置された液状体とより混じり合い易くすることができる。
【0043】
[適用例19]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記吐出量決定手段は、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を、吐出状態が適正ではないと判定された前記吐出ノズルが前記液状体を吐出しない状態で、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することが好ましい。
【0044】
この膜形成装置によれば、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルは、描画吐出に際して吐出量がゼロになる。これにより、吐出量を決定するために、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルの実際の吐出量を測定することを不要にすることができる。
【0045】
[適用例20]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記ノズル検査手段は、前記各吐出ノズルが吐出する吐出量を測定する吐出量測定手段を含み、前記吐出量決定手段は、前記吐出量測定手段によって測定された前記各吐出ノズルの吐出量に応じて、前記各吐出ノズルの吐出量を決定することが好ましい。
【0046】
この膜形成装置によれば、吐出量測定工程を実施することによって、それぞれの吐出ノズルの吐出量を測定して、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルの吐出量の過不足量を明確にすることができる。
【0047】
[適用例21]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記ノズル検査手段は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴が着弾した状態を判断する手段を含むことが好ましい。
【0048】
この膜形成装置によれば、着弾液滴円の面積によって、一回の吐出量が適切であるか否かを判定することができる。適切な吐出量の場合における着弾液滴円の面積と比べて、着弾液滴円の面積が小さい場合は吐出量が過少であり、大きい場合は吐出量が過多であると判定できる。在るべき位置に着弾液滴円がない場合には、吐出ノズルから液状体が吐出されない状態になっていると判定できる。
【0049】
[適用例22]上記適用例にかかる膜形成装置において、前記ノズル検査手段は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴の重量を測定する重量測定手段を含むことが好ましい。
【0050】
この膜形成装置によれば、吐出された液状体の重量を測定することによって、適正な量の液状体が吐出されているかを検証することができる。
【0051】
[適用例23]本適用例にかかる液晶装置の製造方法は、複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記複数の吐出ノズルから液晶装置を構成する機能膜の材料を含む機能液を吐出し、前記基材上の機能膜形成領域に機能膜を形成する液晶装置の製造方法であって、前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程と、前記ノズル検査工程における検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記機能液の吐出量を決定する吐出量決定工程とを有し、前記吐出量決定工程では、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記機能膜形成領域に吐出される前記機能液の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする。
【0052】
この液晶装置の製造方法によれば、吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程を有することで、吐出ノズルから機能液が正常に吐出されているか否かを検出することができることから、吐出量決定工程において、吐出状態が不良の吐出ノズルが有った場合に対応した吐出量を決定することができる。
吐出量決定工程において、それぞれの吐出ノズルが吐出する機能液の吐出量を、複数の吐出ノズルと基材との一回の相対移動の間に、複数の吐出ノズルが基材上の機能膜形成領域に向けて吐出する機能液の総量が、所定量となる吐出量に決定する。所定量は、一回の相対移動の間に複数の吐出ノズルによって機能膜形成領域に向けて吐出することが必要な機能液の総量である。これにより、正常な吐出ができない吐出ノズルが存在しても、適正な量の機能液を、基材に配置することができる。一回の相対移動の間に吐出する機能液の総量が適正な量となるため、異なる走査において吐出量を決定し、当該吐出量を吐出する場合に比べて、予め定められた適切なタイミングを損なうことなく、適正な量の機能液を配置することができる。適切なタイミングで、適正な量の機能液を配置することによって、液晶装置において、適切な膜厚と平面形状とを有する液晶装置の機能膜を形成することができる。
【0053】
[適用例24]上記適用例にかかる液晶装置の製造方法において、前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記機能液を吐出する吐出数を決定することが好ましい。
【0054】
この液晶装置の製造方法によれば、吐出数を決定することによって、吐出ノズルが機能液を吐出する吐出数と吐出一回あたりの吐出量との積である吐出ノズルが吐出する機能液の吐出量を決定することができる。
【0055】
[適用例25]上記適用例にかかる液晶装置の製造方法において、前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記機能液を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量を決定することが好ましい。
【0056】
この液晶装置の製造方法によれば、吐出一回あたりの吐出量を決定することによって、吐出ノズルが機能液を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量と吐出数との積である吐出ノズルが吐出する機能液の吐出量を決定することができる。
【0057】
[適用例26]上記適用例にかかる液晶装置の製造方法において、前記機能膜は、前記液晶装置を構成する配向膜であることが好ましい。
【0058】
この液晶装置の製造方法によれば、適切なタイミングで、適正な量の機能液を配置することによって、液晶装置において、適切な膜厚と平面形状とを有する液晶装置の配向膜を形成することができる。
【0059】
[適用例27]本適用例にかかる液晶装置の製造装置は、複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させる相対移動装置とを備え、前記相対移動装置によって前記複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記複数の吐出ノズルから液晶装置を構成する機能膜の材料を含む機能液を吐出して、前記基材上の機能膜形成領域に前記機能液を配置する液晶装置の製造装置であって、前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査手段と、前記ノズル検査手段による検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記機能液の吐出量を、決定する吐出量決定手段とを備え、前記吐出量決定手段は、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記機能膜形成領域に吐出される前記機能液の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする。
【0060】
この液晶装置の製造装置によれば、吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査手段によって、吐出ノズルから機能液が正常に吐出されているか否かを検出することができることから、吐出量決定手段は、吐出状態が不良の吐出ノズルが有った場合に対応した吐出量を決定することができる。
吐出量決定手段は、それぞれの吐出ノズルが吐出する機能液の吐出量を、複数の吐出ノズルと基材との一回の相対移動の間に、複数の吐出ノズルが基材上の膜を形成する領域に向けて吐出する機能液の総量が所定量となる吐出量に決定する。所定量は、一回の相対移動の間に複数の吐出ノズルによって機能膜形成領域に向けて吐出することが必要な機能液の総量である。これにより、正常な吐出ができない吐出ノズルが存在しても、適正な量の機能液を、基材に配置することができる。一回の相対移動の間に吐出する機能液の総量が適正な量となるため、異なる走査において吐出量を決定し、当該吐出量の吐出を実施する場合に比べて、予め定められた適切なタイミングを損なうことなく、適正な量の機能液を配置することができる。適切なタイミングで、適正な量の機能液を配置することによって、液晶装置において、適切な膜厚と平面形状とを有する液晶装置の機能膜を形成することができる。
【0061】
[適用例28]上記適用例にかかる液晶装置の製造装置において、前記機能膜は、前記液晶装置を構成する配向膜であることが好ましい。
【0062】
この液晶装置の製造装置によれば、適切なタイミングで、適正な量の機能液を配置することによって、液晶装置において、適切な膜厚と平面形状とを有する液晶装置の配向膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
以下、膜形成方法、膜形成装置、液晶装置の製造方法、及び液晶装置の製造装置の一実施形態について図面を参照して、説明する。実施形態は、膜形成装置又は液晶装置の製造装置の一例である液滴吐出装置を例に説明する。
【0064】
(第一の実施形態)
本実施形態に係る液滴吐出装置は、液晶装置の製造ラインに組み込まれており、樹脂を含む機能液を導入した液滴吐出ヘッドを用い、描画対象物上に当該機能液を配置することで、液晶装置の配向膜などを形成するものである。
【0065】
<液滴吐出法>
最初に、配向膜などの機能膜の形成に用いられる液滴吐出法について説明する。液滴吐出法の吐出技術としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式などが挙げられる。帯電制御方式は、材料に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御して吐出ノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、材料に30kg/cm2程度の超高圧を印加して吐出ノズル先端側に材料を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進して吐出ノズルから吐出され、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散して吐出ノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって材料を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から材料を押し出して吐出ノズルから吐出させるものである。
【0066】
また、電気熱変換方式は、材料を貯留した空間内に設けたヒータにより、材料を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの圧力によって空間内の材料を吐出させるものである。静電吸引方式は、材料を貯留した空間内に微小圧力を加え、吐出ノズルに材料のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから材料を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式などの技術も適用可能である。液滴吐出法は、材料の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の材料を的確に配置できるという利点を有する。このうち、ピエゾ方式は、液状材料に熱を加えないため、材料の組成などに影響を与えない、駆動電圧を調整することによって、液滴の大きさを容易に調整することができるなどの利点を有する。本実施形態では、液状材料選択の自由度が高いこと、及び液滴の制御性が良いことから上記ピエゾ方式を用いる。
【0067】
<液滴吐出装置>
次に、液滴吐出装置1の全体構成について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す平面図である。
【0068】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、液滴吐出ヘッド17(図4参照)を有する吐出ユニット2と、ワークユニット3と、給液ユニット60(図6参照)と、検査ユニット4と、メンテナンスユニット5と、吐出装置制御部6(図6参照)とを備えている。
吐出ユニット2は、液状体である機能液を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド17を120個備えている。ワークユニット3は、液滴吐出ヘッド17から吐出された液滴の吐出対象であるワークWを載置するワーク載置台21を有している。給液ユニット60は、機能液を貯留する貯留タンク(図示省略)を有し、液滴吐出ヘッド17への機能液の供給を行う。検査ユニット4は、液滴吐出ヘッド17からの吐出状態を検査するための、吐出検査ユニット18及び重量測定ユニット19を有しており、重量測定ユニット19にはフラッシングユニット14が併設されている。メンテナンスユニット5は、液滴吐出ヘッド17の保守を行う吸引ユニット15及びワイピングユニット16を有している。吐出装置制御部6は、これら各機構部などを総括的に制御する。後述する重量測定処理、描画処理、吐出検査処理、及びメンテナンス処理などは、吐出装置制御部6による制御に基づいて実施される。吐出装置制御部6が、吐出量決定手段、又は描画制御手段に相当する。
【0069】
液滴吐出装置1は、石定盤に支持されたX軸支持ベース1Aを備え、各ユニットなどが、X軸支持ベース1Aの上に配設されている。X軸テーブル11は、主走査方向となるX軸方向に延在して、X軸支持ベース1Aの上に配設されており、ワーク載置台21をX軸方向(主走査方向)に移動させる。Y軸テーブル12は、複数本の支柱7Aを介してX軸テーブル11を跨ぐように架け渡された一対のY軸支持ベース7,7の上に配設され、副走査方向となるY軸方向に延在している。吐出ユニット2は、それぞれ12個の液滴吐出ヘッド17を有するキャリッジユニット51を、10個備えている。10個のキャリッジユニット51は、10個のブリッジプレート52のそれぞれに吊設されている。ブリッジプレート52は、Y軸スライダ(図示省略)を介して、Y軸テーブル12に、Y軸方向に摺動自在に支持されている。Y軸テーブル12は、ブリッジプレート52(キャリッジユニット51)を、Y軸方向(副走査方向)に移動させる。
X軸テーブル11及びY軸テーブル12の駆動と同期して液滴吐出ヘッド17を吐出駆動させることにより、機能液滴を吐出させ、ワーク載置台21の上に載置されたワークWに対して、任意の描画パターンを描画する。
【0070】
吐出検査ユニット18は、検査描画ユニット161と、撮像ユニット162(図2参照)とを有している。検査描画ユニット161は、X軸第2スライダ23に固定されており、同じくX軸第2スライダ23に固定された重量測定ユニット19及びフラッシングユニット14と一体に移動するように構成されている。検査描画ユニット161と、重量測定ユニット19と、フラッシングユニット14とが一体に設けられたブロックを、吐出検査ブロック4aと表記する。撮像ユニット162は、2個の検査カメラ163(図2参照)と、検査カメラ163をY軸方向にスライド自在に支持するカメラ移動機構164(図2参照)と、を有している。カメラ移動機構164は、Y軸支持ベース7に固定されている。2個の検査カメラ163は、カメラ移動モータ(図2では図示省略)によって、それぞれ独立してY軸方向に移動させられる。
【0071】
メンテナンスユニット5が備える吸引ユニット15及びワイピングユニット16は、X軸テーブル11から外れ、かつY軸テーブル12によりキャリッジユニット51が移動可能である位置に配設された架台8の上に配設されている。吸引ユニット15は、複数の分割吸引ユニット141を有し、液滴吐出ヘッド17を吸引して、液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78(図4参照)から機能液を強制的に排出させる。ワイピングユニット16は、洗浄液を噴霧したワイピングシート151を有し、吸引後の液滴吐出ヘッド17のノズル形成面76a(図4参照)を拭き取る(ワイピングを行う)ものである。このようにして、吸引ユニット15及びワイピングユニット16は、液滴吐出ヘッド17の機能維持又は機能回復を図るための保守作業を実施する。
【0072】
次に、液滴吐出装置1の各構成要素について、図1に加えて、図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、液滴吐出装置の概略構成を示す側面図である。図2は、X軸方向に延在する側面の側面図であり、図3は、Y軸方向に延在する側面の側面図である。
図1、図2、又は図3に示すように、X軸テーブル11は、X軸第1スライダ22と、X軸第2スライダ23と、左右一対のX軸リニアモータ26,26と、一対のX軸共通支持ベース24,24と、を備えている。
【0073】
X軸第1スライダ22には、ワーク載置台21が取り付けられている。X軸第1スライダ22は、X軸方向に延在するX軸共通支持ベース24に、X軸方向にスライド自在に支持されている。X軸第2スライダ23には、検査描画ユニット161と、重量測定ユニット19と、フラッシングユニット14とが一体に設けられた吐出検査ブロック4aが取り付けられている。X軸第2スライダ23は、X軸方向に延在するX軸共通支持ベース24に、X軸方向にスライド自在に支持されている。X軸リニアモータ26は、X軸共通支持ベース24に並設されており、X軸第1スライダ22又はX軸第2スライダ23をX軸共通支持ベース24に沿って移動させることによって、ワーク載置台21(ワーク載置台21に載置されたワークW)又は吐出検査ブロック4aをX軸方向に移動させる。X軸第1スライダ22とX軸第2スライダ23とは、X軸リニアモータ26により個別に駆動可能である。X軸方向が主走査方向に相当し、Y軸方向が副走査方向に相当する。
【0074】
ワーク載置台21は、ワークWを吸着セットする吸着テーブル31と、吸着テーブル31を支持し、吸着テーブル31にセットしたワークWの位置をθ軸方向にθ補正するためのθテーブル32などを有している。図1及び図2におけるワーク載置台21の位置が、ワークWの給除材を行うための給除材位置となっており、未処理のワークWを吸着テーブル31に導入(給材)するときや、処理済のワークWを回収(除材)するときには、吸着テーブル31をこの位置まで移動させる。当該給除材位置において、ロボットアーム(図示省略)により、吸着テーブル31に対するワークWの搬入・搬出(載換え)が行われる。また、吸着テーブル31には、給材されたワークWをX軸方向及びY軸方向に寄せこむようにして、これをプリアライメントする機構(図示省略)が組み込まれている。吸着テーブル31に給材された未処理のワークWのアライメントは、θテーブル32を用いて、給除材位置において実施される。ワーク載置台21のY軸方向と平行な一対の辺には、描画前フラッシングユニット111の一対の描画前フラッシングボックス121,121が添設されている。
【0075】
画像認識ユニット80は、2台のアライメントカメラ81,81と、カメラ移動機構82と、を有している。カメラ移動機構82は、X軸支持ベース1Aの上に、Y軸方向に延在して、X軸テーブル11を跨ぐように配設されている。アライメントカメラ81は、カメラホルダ(図示省略)を介して、カメラ移動機構82に、Y軸方向にスライド自在に支持されている。カメラ移動機構82に支持されたアライメントカメラ81は、X軸テーブル11に上側から臨み、X軸テーブル11の上のワーク載置台21に載置されたワークWの各基準マーク(アライメントマーク)(図示省略)を画像認識することができる。2台のアライメントカメラ81,81は、カメラ移動モータ(図示省略)によって、それぞれ独立してY軸方向に移動させられる。
【0076】
各アライメントカメラ81は、ワーク載置台21のX軸方向への移動と協働して、カメラ移動機構82によりY軸方向に移動しながら、上記ロボットアームが給材した各種ワークWのアライメントマークを撮像して、各種ワークWの位置認識を実施する。そして、このアライメントカメラ81の撮像結果に基づいて、θテーブル32によるワークWのθ補正が実施される。
【0077】
Y軸テーブル12は、10組のY軸スライダ(図示省略)と、一対のY軸リニアモータ(図示省略)と、を備えている。一対のY軸リニアモータは、上記した一対のY軸支持ベース7,7の上にそれぞれ設置されて、Y軸方向に延在している。20個(10組)のY軸スライダは、一対のY軸支持ベース7,7のそれぞれに各10個ずつ摺動自在に支持されている。一対のY軸支持ベース7,7のそれぞれに支持された各1個のY軸スライダからなる1組のY軸スライダは、吐出ユニット2を構成するキャリッジユニット51が固定されたブリッジプレート52を両持ちで支持している。吐出ユニット2を構成する10個の各キャリッジユニット51をそれぞれ固定した10個のブリッジプレート52は、10個のブリッジプレート52を両持ちで支持する10組のY軸スライダを介して、一対のY軸支持ベース7,7の上に設置されている。
【0078】
一対のY軸リニアモータを(同期して)駆動すると、各Y軸スライダが一対のY軸支持ベース7,7を案内にして同時にY軸方向を平行移動する。これにより、ブリッジプレート52がY軸方向に移動し、ブリッジプレート52に吊設されたキャリッジユニット51がY軸方向に移動する。なお、この場合、Y軸リニアモータの駆動を制御することにより、キャリッジユニット51を独立させて個別に移動させることも可能であるし、10個のキャリッジユニット51を一体として移動させることも可能である。
【0079】
キャリッジユニット51は、12個の液滴吐出ヘッド17と、12個の液滴吐出ヘッド17を6個ずつ2群に分けて支持するサブキャリッジ53と、を有するヘッドユニット54(図5参照)を備えている。また、キャリッジユニット51は、ヘッドユニット54をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構61と、θ回転機構61を介して、ヘッドユニット54をブリッジプレート52に支持させる吊設部材62と、を備えている。
【0080】
<液滴吐出ヘッドの構成>
次に、液滴吐出ヘッド17について、図4を参照して説明する。図4は、液滴吐出ヘッドの概要を示す外観斜視図である。
【0081】
図4に示すように、この液滴吐出ヘッド17は、いわゆる2連のものであり、2連の接続針72,72を有する液体導入部71と、液体導入部71に連なる方形のヘッド本体74と、液体導入部71とヘッド本体74との間から側方に突出するヘッド基板73と、を備えている。ヘッド本体74は、液体導入部71に連なるポンプ部75と、ポンプ部75に連なるノズル形成プレート76と、を有している。ノズル形成プレート76には、ノズル形成面76aに開口する吐出ノズル78が形成されている。液滴吐出ヘッド17においては、一列あたり180個の吐出ノズル78からなるノズル列78bが2列形成されている。ポンプ部75には、ピエゾ圧電素子が設けられており、当該ピエゾ圧電素子を駆動することによって、液体導入部71から供給されてきた機能液を吐出ノズル78から吐出する。1個の吐出ノズル78に対応して1個のピエゾ圧電素子が設けられており、それぞれの吐出ノズル78ごとに独立して機能液を吐出することができる。ヘッド基板73には、一対のコネクタ77,77が設けられている。このコネクタ77が、FFCケーブルなどによって、吐出装置制御部6と接続されている中継基板と接続されることで、液滴吐出ヘッド17が吐出装置制御部6と接続される。
【0082】
液滴吐出ヘッド17が液滴吐出装置1に取り付けられた状態では、ノズル列78bはY軸方向に延在する。2列のノズル列78bをそれぞれ構成する吐出ノズル78同士は、Y軸方向において、相互に半ノズルピッチずつ位置ずれしている。1ノズルピッチは、例えば140μmである。X軸方向の同じ位置において、それぞれのノズル列78bを構成する吐出ノズル78から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。吐出ノズル78のノズルピッチが140μmの場合、着弾位置の中心間距離は、設計上では、70μmである。
【0083】
<ヘッドユニット>
次に、ヘッドユニット54について、図5を参照して説明する。図5は、ヘッドユニットの概略構成を示す平面図である。図5に示したX軸及びY軸は、ヘッドユニット54が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。図5に示すように、ヘッドユニット54は、サブキャリッジ53と、サブキャリッジ53に搭載された12個の液滴吐出ヘッド17と、を有している。液滴吐出ヘッド17は、サブキャリッジ53に固定されており、ヘッド本体74がサブキャリッジ53に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル形成面76aが、サブキャリッジ53の面より突出している。図5は、ノズル形成面76a側から見た図である。12個の液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向に分かれて、それぞれ6個ずつの液滴吐出ヘッド17を有するヘッド群55を2群形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド17のノズル列78bはY軸方向に延在している。
【0084】
一つのヘッド群55が有する6個の液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向において、互いに隣合う液滴吐出ヘッド17の、一方の液滴吐出ヘッド17の端の吐出ノズル78に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド17の端の吐出ノズル78が半ノズルピッチずれて位置するように、位置決めされている。仮に、ヘッド群55が有する6個の液滴吐出ヘッド17において、全ての吐出ノズル78のX軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル78は、Y軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。即ち、X軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド17が有するそれぞれのノズル列78bを構成する吐出ノズル78から吐出された液滴は、設計上では、Y軸方向に等間隔に並んで一直線上に着弾する。この直線をノズル群線と表記する。液滴吐出ヘッド17は、Y軸方向において互いに重なるため、X軸方向に階段状に並んでヘッド群55を構成している。
【0085】
ヘッドユニット54が有する二つのヘッド群55は、Y軸方向に一つのヘッド群55のY軸方向の長さに相当する間隔を隔てて配置されている。即ち、一つのヘッドユニット54の吐出ノズル78から一滴ずつ吐出させて、X軸方向が同じ位置になるように着弾させると、ノズル群線一本の長さ分の間隔を隔てて、2本のノズル群線が形成される。ヘッドユニット54を、Y軸方向に、一つのヘッド群55のY軸方向の長さに相当する距離だけ移動させて、同様に2本のノズル群線を形成することで、ノズル群線が4本連なった直線が形成される。当該直線は、設計上では、ノズル列78bを構成する吐出ノズル78の数の48倍の数の点が、ノズル列78bを構成する吐出ノズル78のノズルピッチの半分の間隔で、連なっている。1ノズル列あたり180個の吐出ノズル78が、140μmのノズルピッチで形成されている液滴吐出ヘッド17を有するヘッドユニット54の場合は、8640個の点が70μmのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
【0086】
隣合うヘッドユニット54も、それぞれのヘッド群55が、互いにY軸方向に一つのヘッド群55分の間隔を隔てて配置されるように位置することが可能である。従って、ノズル群線の長さ相当のY軸方向の移動を挟んで、それぞれ、吐出ユニット2が有する各吐出ノズル78に一滴ずつ機能液を吐出させることで、Y軸方向に延在する一直線を形成することができる。この、吐出ユニット2が有する全120個の液滴吐出ヘッド17が各二回の吐出で描画できるラインの長さは、ワーク載置台21に搭載可能な最大サイズのワークWの幅に対応している。
【0087】
なお、ノズル列78bの端の方における吐出ノズル78のいくつかを使用しない場合には、使用しない吐出ノズル78が、使用する吐出ノズル78と、Y軸方向において重なるように、液滴吐出ヘッド17を配置する。
【0088】
<液滴吐出装置の電気的構成>
次に、上述したような構成を有する液滴吐出装置1を駆動するための電気的構成について、図6を参照して説明する。図6は、液滴吐出装置の電気的構成を示す電気構成ブロック図である。液滴吐出装置1は、制御装置65を介してデータの入力や、稼働開始や停止などの制御指令の入力を行うことで、制御される。制御装置65は、演算処理を行うホストコンピュータ66と、液滴吐出装置1に入出力する情報を入出力するための入出力装置68とを有し、インタフェイス(I/F)67を介して吐出装置制御部6と接続されている。入出力装置68は、情報を入力可能なキーボード、記録媒体を介して情報を入出力する外部入出力装置、外部入出力装置を介して入力された情報を保存しておく記録部、モニタ装置などである。
【0089】
液滴吐出装置1の吐出装置制御部6は、インタフェイス(I/F)47と、CPU(Central Processing Unit)44と、ROM(Read Only Memory)45と、RAM(Random Access Memory)46と、ハードディスク48と、を有している。また、ヘッドドライバ2dと、駆動機構ドライバ40dと、給液ドライバ60dと、メンテナンスドライバ5dと、検査ドライバ4dと、検出部インタフェイス(I/F)43、を有している。これらは、データバス49を介して互いに電気的に接続されている。
【0090】
インタフェイス47は、制御装置65とデータの授受を行い、CPU44は、制御装置65からの指令に基づいて各種演算処理を行い、液滴吐出装置1の各部の動作を制御する制御信号を出力する。RAM46は、CPU44からの指令に従って、制御装置65から受け取った制御コマンドや印刷データを一時的に保存する。ROM45は、CPU44が各種演算処理を行うためのルーチンなどを記憶している。ハードディスク48は、制御装置65から受け取った制御コマンドや印刷データを保存したり、CPU44が各種演算処理を行うためのルーチンなどを記憶したりしている。
【0091】
ヘッドドライバ2dには、吐出ユニット2を構成する液滴吐出ヘッド17が接続されている。ヘッドドライバ2dは、CPU44からの制御信号に従って液滴吐出ヘッド17を駆動して、機能液の液滴を吐出させる。駆動機構ドライバ40dには、Y軸テーブル12のヘッド移動モータと、X軸テーブル11のX軸リニアモータ26と、各種駆動源を有する各種駆動機構を含む駆動機構41とが接続されている。各種駆動機構は、上記した、アライメントカメラ81を移動するためのカメラ移動モータや、θ回転機構61の駆動モータなどである。駆動機構ドライバ40dは、CPU44からの制御信号に従って上記モータなどを駆動して、液滴吐出ヘッド17とワークWとを相対移動させてワークWの任意の位置と液滴吐出ヘッド17とを対向させ、ヘッドドライバ2dと協働して、ワークW上の任意の位置に機能液の液滴を着弾させる。
【0092】
メンテナンスドライバ5dには、メンテナンスユニット5の吸引ユニット15と、ワイピングユニット16と、フラッシングユニット14とが接続されている。メンテナンスドライバ5dは、CPU44からの制御信号に従って、吸引ユニット15、ワイピングユニット16、又はフラッシングユニット14を駆動して、液滴吐出ヘッド17の保守作業を実施させる。
【0093】
検査ドライバ4dには、検査ユニット4の吐出検査ユニット18と、重量測定ユニット19とが接続されている。検査ドライバ4dは、CPU44からの制御信号に従って、吐出検査ユニット18、又は重量測定ユニット19を駆動して、吐出重量や吐出の可否や着弾位置精度などの、液滴吐出ヘッド17の吐出状態の検査を実施させる。
【0094】
給液ドライバ60dには、給液ユニット60が接続されている。給液ドライバ60dは、CPU44からの制御信号に従って給液ユニット60を駆動して、液滴吐出ヘッド17に機能液を供給する。検出部インタフェイス43には、各種センサを含む検出部42が接続されている。検出部42の各種センサによって検出された検出情報が検出部インタフェイス43を介してCPU44に伝達される。
【0095】
<吐出検査ユニット>
次に、吐出検査ユニット18について、図7を参照して説明する。図1を参照して説明したように、吐出検査ユニット18は、検査描画ユニット161と、撮像ユニット162とを有している。検査描画ユニット161は、重量測定ユニット19及びフラッシングユニット14と一体に移動するように構成されている。図7は、検査描画ユニットの全体構成を示す外観斜視図である。
【0096】
吐出検査ユニット18は、吐出ユニット2を構成する全液滴吐出ヘッド17(の吐出ノズル78)から機能液が適切に吐出されているか否かを検査するためのものである。検査描画ユニット161は、吐出ユニット2を構成する全ヘッドユニット54が備える全液滴吐出ヘッド17の全吐出ノズル78から検査吐出された機能液を受けられるように構成されている。撮像ユニット162は、検査描画ユニット161に描画された検査パターン(着弾ドットのパターン)を撮像して検査する。上述したように、検査描画ユニット161は、X軸第2スライダ23に固定されており、X軸第2スライダ23を介してX軸テーブル11に搭載されている。撮像ユニット162はY軸テーブル12直下で、Y軸支持ベース7に固定されて検査位置に固定的に設けられており、2個の検査カメラ163,163は、それぞれ独立してY軸方向に移動可能である。
【0097】
図7に示すように、検査描画ユニット161は、検査シート171と、検査ステージ172と、シート送り手段173と、シート送り支持部材174と、ユニットベース175と、真空センサ(図示省略)と、を備えている。検査シート171は、液滴吐出ヘッド17から検査吐出された機能液の液滴を着弾させるための帯状のシートで、Y軸方向に延在している。検査ステージ172はY軸方向に延在しており、検査ステージ172の上に検査シート171が載っている。シート送り手段173が、非検査済み部分を検査ステージ172に送り込むように、かつ検査シート171の検査済み部分を検査ステージ172から送り出すように、検査シート171を移動させる。シート送り手段173は、シート送り支持部材174に支持されており、シート送り支持部材174は、ユニットベース175に支持されている。真空センサは、検査ステージ172上に載置される検査シート171のセット不良を検出する。
【0098】
図2を参照して説明したように、撮像ユニット162は、2個の検査カメラ163,163と、検査カメラ163をY軸方向にスライド自在に支持するカメラ移動機構164と、を有している。検査カメラ163は、検査シート171に検査吐出された着弾ドットを画像認識するもので、X軸テーブル11に上側から臨む姿勢で、Y軸支持ベース7に固定されたカメラ移動機構164を介して、Y軸方向にスライド自在にY軸支持ベース7に支持されている。
【0099】
検査描画ユニット161は、吸着テーブル31が給除材位置に移動したときに、検査シート171が撮像ユニット162の検査カメラ163に臨む位置に移動して当該位置に位置することが可能である。即ち、撮像ユニット162は、ワークWの載換え中及びアライメント中に、検査パターンの撮像を実施することができる。2個の検査カメラ163による撮像結果は、吐出装置制御部6に送信されて画像認識され、この画像認識に基づいて、各液滴吐出ヘッド17の各吐出ノズル78が正常に機能液を吐出しているか(ノズル詰まりがないか)否かが判定される。また、着弾した液滴の相対位置が規定された位置であるか否かが判定される。これらの判定もワーク載換え中及びアライメント中に行われる。吐出検査ユニット18が、ノズル検査手段、又は吐出検査手段に相当する。
【0100】
<重量測定ユニット>
次に、重量測定ユニット19及びフラッシングユニット14について、図8を参照して説明する。図8は、重量測定ユニットの部分及びフラッシングユニットの部分を含む重量測定ブロックの図である。図8(a)は、重量測定ブロックの平面図であり、図8(b)は、重量測定ブロックの側面図である。上述したように、重量測定ユニット19、フラッシングユニット14、及び検査描画ユニット161から構成されている吐出検査ブロック4aが、X軸第2スライダ23に取り付けられており、一体に移動するように構成されている。
【0101】
図8に示すように、重量測定ブロック91Aは、4つの重量測定装置91と、支持フレーム92とを備えている。支持フレーム92は、4つの重量測定装置91を支持しており、支持フレーム92がX軸第2スライダ23に固定されて、重量測定ブロック91AがX軸第2スライダ23に搭載されている。吐出検査ブロック4aは、5つの重量測定ブロック91Aを有し、合計20個の重量測定装置91が、Y軸方向に並んで、X軸第2スライダ23に搭載されている。一つの重量測定装置91が一つのヘッド群55に対応しており、並列する二つの重量測定装置91が、一つのヘッドユニット54に対応している。
【0102】
重量測定装置91は、定期フラッシングボックス93と、受液容器94と、電子天秤99(図8(a)では受液容器94の下に隠れている)と、重量測定時フラッシングボックス95と、機能液吸収材97と、押えプレート98と、これらを収容するケース96と、を有している。定期フラッシングボックス93と、重量測定時フラッシングボックス95と、機能液吸収材97と、押えプレート98とは、フラッシングユニット14に含まれる。フラッシングユニット14には、20個の重量測定装置91のそれぞれに形成されている、それぞれ20個の、定期フラッシングボックス93と、重量測定時フラッシングボックス95とが含まれる。受液容器94と、電子天秤99とは、重量測定ユニット19に含まれる。重量測定ユニット19には、20個の重量測定装置91のそれぞれに形成されている、それぞれ20個の、受液容器94と、電子天秤99とが含まれる。
【0103】
受液容器94は、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17のうち、任意の1個の液滴吐出ヘッド17のみに対向して、当該液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることができる大きさである。受液容器94は、電子天秤99の上に載っており、電子天秤99は受液容器94の重量を測定することで、受液容器94内に着弾した機能液の重量を測定する。液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることで増加した受液容器94の重量が、液滴吐出ヘッド17から吐出されて受液容器94内に着弾した機能液の重量である。
【0104】
吐出装置制御部6のCPU44は、測定した機能液の重量を積算してRAM46に記憶させておき、積算重量が一定量に達すると、受液容器94の交換指示情報を出す。
【0105】
重量測定時フラッシングボックス95は、重量測定時フラッシングボックス95aと重量測定時フラッシングボックス95bとを有し、重量測定時フラッシングボックス95aと重量測定時フラッシングボックス95bとは、X軸方向において受液容器94を挟んで配置されている。ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17のうち1個の液滴吐出ヘッド17が受液容器94に臨む位置にあるとき、ヘッド群55を構成する他の5個の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は重量測定時フラッシングボックス95bのいずれかに臨む位置に位置する。重量測定対象の液滴吐出ヘッド17が受液容器94に臨んで重量測定のための吐出を実施する時に、測定対象外の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は重量測定時フラッシングボックス95bに臨んで、捨て吐出を実施する。
【0106】
1個の重量測定装置91でヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17について重量測定を行うため、1個の液滴吐出ヘッド17が重量測定吐出を行っている際に、その他の5個の液滴吐出ヘッド17はその重量測定吐出が終わるのを待つことになるが、その「待ち」状態の液滴吐出ヘッド17に捨て吐出を行わせることができる。このため、「待ち」状態の間に吐出ノズル78が乾燥することを抑制して、「待ち」状態後に重量測定吐出を良好に行うことができ、適切な測定結果を得ることができる。
【0107】
定期フラッシングボックス93は、定期フラッシング時に捨て吐出された機能液を受けるものである。
重量測定時フラッシングボックス95及び定期フラッシングボックス93内には、機能液吸収材97が、その両長辺部を一対の押えプレート98,98により押え付けた状態で敷設されている。なお、受液容器94は、各液滴吐出ヘッド17に対し、ノズル列単位で機能液を受け得る大きさに形成されている。
【0108】
電子天秤99は、受液容器94に吐出された機能液の重量を測定し、測定結果を吐出装置制御部6に出力する。吐出装置制御部6は、電子天秤99から入力した測定結果に基づいて、ヘッドドライバ2dから液滴吐出ヘッド17に印加する駆動電力(電圧値)を制御する。即ち、重量測定結果が目標範囲内の場合は、電圧値を変更することなく、次のワークWに対する描画を行う。他方、重量測定結果が目標範囲外の場合は、予め求めた印加電圧値と重量測定値との分解能データに基づいて電圧値を変更し、変更後の電圧値で、再度吐出重量測定を行う。この吐出重量測定及び電圧値変更は、重量測定結果が目標の範囲内になるまで、予め定められた繰り返し回数を超えない範囲で、繰り返し行われる。
【0109】
<吐出重量測定>
次に、図9、及び図10を参照して、吐出重量測定を実施する一連の動作について説明する。図9は、ヘッドユニットと重量測定装置との位置関係を示す側面図である。図10は、液滴吐出ヘッドと重量測定装置との位置関係を示す平面図である。
【0110】
図9(a)及び図10(a)に示したように、吐出重量測定の開始に際して、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23をX軸方向に移動させると共に、Y軸リニアモータによって吐出ユニット2を構成する10個のヘッドユニット54をY軸方向に移動させる。この操作によって、X軸第2スライダ23に固定された各重量測定装置91の各受液容器94を、ヘッドユニット54の各ヘッド群55の1番目の液滴吐出ヘッド17aに臨ませる。
次に、各受液容器94に向けて、各ヘッド群55の1番目の液滴吐出ヘッド17aの全ノズルから、重量測定吐出を実施する。このとき、各ヘッド群55の2番目から6番目の液滴吐出ヘッド17b〜17fは、重量測定時フラッシングボックス95に対向しており、重量測定時フラッシングボックス95に向けて捨て吐出を実施する。
【0111】
液滴吐出ヘッド17aの重量測定吐出が終わると、重量測定装置91をX軸方向に移動させて、図9(b)に示したように、各受液容器94を、重量測定装置91の移動軌跡上に設けられた風防部材101の直下に移動させる。この状態で、電子天秤99により、受液容器94に着弾した吐出液滴の重量の測定を行う。重量測定装置91が風防部材101の直下に位置することにより、気流(例えばチャンバルームにおけるダウンフローや乱流など)が風防部材101により遮断されるため、電子天秤99は、気流の影響を受けることなく、正確に吐出重量測定を行うことができる。
【0112】
液滴吐出ヘッド17aの吐出液滴の吐出重量測定を実施後、2番目の液滴吐出ヘッド17bを受液容器94に臨ませて、同様にして、重量測定吐出を行う。以下同様にして、各ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17について、順次吐出された液滴の重量を測定する。最後に、図10(b)に示したように、6番目の液滴吐出ヘッド17fを受液容器94に臨ませて、重量測定吐出を実施し、吐出された液滴の重量を測定する。
重量測定ユニット19が、ノズル検査手段、又は吐出量測定手段に相当する。
【0113】
<液晶表示パネル>
次に、本実施形態の液滴吐出装置1を用いて製造される液晶装置として、液晶表示パネル200(図11参照)の構成およびその製造方法について説明する。
【0114】
<液晶表示パネルの構成>
最初に、液晶表示パネル200の構成について、図11を参照して説明する。図11は、液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図である。液晶表示パネル200は、駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor)素子)を用いるアクティブマトリックス方式の液晶装置であり、図示省略したバックライトを用いる透過型の液晶装置である。
【0115】
図11に示すように、液晶表示パネル200は、TFT素子215を有する素子基板210と、対向電極207を有する対向基板220と、シール材(図示省略)によって接着された素子基板210と対向基板220との隙間に充填された液晶230(図13(e)参照)とを備えている。貼り合わされた素子基板210と、対向基板220には、貼り合わされた面の反対側の面に、それぞれ偏光板231と偏光板232とが、配設されている。
【0116】
素子基板210は、ガラス基板211の対向基板220と対向する面に、TFT素子215や、画素電極217や、走査線212及び信号線214が、形成されている。これらの素子や導電性膜の間を埋めるように、絶縁層216が形成されており、走査線212及び信号線214は、絶縁層を挟んで互いに交差する状態で形成されている。これらの走査線212と信号線214とに囲まれた領域内には画素電極217が形成されている。画素電極217は方形状の一部の角部分が方形状に欠けた形状をしている。画素電極217の切欠部と走査線212と信号線214とに囲まれた部分には、ソース電極、ドレイン電極、半導体部、及びゲート電極を具備するTFT素子215が組み込まれて構成されている。走査線212と信号線214に信号を印加することによってTFT素子215をオン・オフして画素電極217への通電制御を実施する。
【0117】
素子基板210の液晶230と接する面には、上記した走査線212や信号線214や画素電極217が形成された領域全体を覆う配向膜218が設けられている。
【0118】
対向基板220は、ガラス基板201の素子基板210と対向する面に、カラーフィルタ(以降、「CF」と表記する。)層205が形成されている。CF層205は、隔壁204と、赤色フィルタ膜205Rと、緑色フィルタ膜205Gと、青色フィルタ膜205Bとを有している。ガラス基板201上に、格子状に隔壁204を構成するブラックマトリックス202が形成され、ブラックマトリックス202の上にバンク203が形成されている。ブラックマトリックス202とバンク203とで構成された隔壁204によって、方形の色要素領域225が形成されている。色要素領域225には、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bが形成されている。赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bは、それぞれ上述した画素電極217のそれぞれと対向する位置及び形状に形成されている。
【0119】
CF層205の上(素子基板210側)には、平坦化膜206が設けられている。平坦化膜206の上には、ITOなどの透明な導電性材料で形成された対向電極207が設けられている。平坦化膜206を設けることによって、対向電極207を形成する面を略平坦な面にしている。対向電極207は、上述した画素電極217が形成された領域全体を覆う大きさの連続した膜である。対向電極207は、図示省略した導通部を介して、素子基板210に形成された配線に接続されている。
【0120】
対向基板220の液晶230と接する面には、画素電極217の全面を覆う配向膜228が設けられている。液晶230は、素子基板210と対向基板220とが貼り合わされた状態において、対向基板220の配向膜228と、素子基板210の配向膜218と、対向基板220と素子基板210とを貼り合わせるシール材とに囲まれた空間に充填されている。
【0121】
なお、液晶表示パネル200は、透過型の構成としたが、反射層あるいは半透過反射層を設けて、反射型の液晶装置あるいは半透過反射型の液晶装置とすることもできる。
【0122】
<液晶表示パネルの形成>
次に、液晶表示パネル200を形成する工程について、図12及び図13を参照して説明する。図12は、液晶表示パネルを形成する過程を示すフローチャートである。図13は、液晶表示パネルを形成する過程における配向膜を形成する工程を示す断面図である。液晶表示パネル200は、それぞれ別々に形成した素子基板210と対向基板220とを、貼り合わせて形成する。
【0123】
図12に示したステップS1からステップS5を実行することで、対向基板220を形成する。
図12のステップS1では、ガラス基板201の上に、ブラックマトリックス202を格子状に形成し、その上にバンク203を形成して、ブラックマトリックス202とバンク203とで構成された隔壁204を形成する。これにより、ガラス基板201の表面に、隔壁204によって区画された方形の色要素領域225が形成される。
【0124】
次に、ステップS2では、色要素領域225に、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bを構成する材料をそれぞれ充填して、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、及び青色フィルタ膜205Bを形成して、CF層205を形成する。赤色フィルタ膜205Rと、緑色フィルタ膜205Gと、青色フィルタ膜205Bと、の配列としては、例えば、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列などが知られている。
【0125】
次に、ステップS3では、CF層205の上に、平坦化膜206を形成する。平坦化膜206は、少なくともCF層205の全面を覆う領域に形成する。平坦化膜206を設けることによって、対向電極207を形成する面を略平坦な面にしている。
次に、ステップS4では、平坦化膜206の上の、少なくともCF層205の全面を覆う領域に、透明な導電材料を用いて、薄膜を形成する。この薄膜が、上述した対向電極207である。
【0126】
次に、ステップS5では、対向電極207の上に、対向基板220の配向膜228を形成する。配向膜228は、少なくともCF層205の全面を覆う領域に形成する。
図13(a)に示すように、対向電極207が形成されたガラス基板201の表面に液滴吐出ヘッド17を対向させて、液滴吐出ヘッド17からガラス基板201の表面に向けて配向膜液242を吐出する。同時に、ガラス基板201に対して液滴吐出ヘッド17を矢印aで示したように相対移動させることによって、ガラス基板201の配向膜228を形成する領域の全面に配向膜液242を配置する。配置された配向膜液242を乾燥させることで、図13(b)に示すように、配向膜228を形成する。ステップS5を実施して、対向基板220が形成される。
配向膜液242は、溶剤に溶解又は分散されたポリイミドを含む液状体である。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチルラクトン、ブチルセルソルブ、又はこれらの混合液などを用いる。
【0127】
図12に示したステップS6からステップS8を実行することで、素子基板210を形成する。
図12のステップS6では、ガラス基板211の上に導電層や絶縁層や半導体層を形成することで、TFT素子215や、走査線212や、信号線214や、絶縁層216などを形成する。走査線212及び信号線214は、素子基板210と対向基板220とが、貼り合された状態で、隔壁204に対向する位置に、即ち画素の周辺の位置に形成する。TFT素子215は、画素の端に位置するように形成し、1画素に1個のTFT素子215を形成する。
【0128】
次に、ステップS7では、画素電極217を形成する。画素電極217は、素子基板210と対向基板220とが、貼り合された状態で、赤色フィルタ膜205R、緑色フィルタ膜205G、又は青色フィルタ膜205Bに対向する位置に、形成する。画素電極217は、TFT素子215のドレイン電極と電気的に接続させる。
【0129】
次に、ステップS8では、画素電極217などの上に、素子基板210の配向膜218を形成する。配向膜218は、少なくとも全ての画素電極217の全面を覆う領域に形成する。
図13(c)に示すように、画素電極217が形成されたガラス基板211の表面に液滴吐出ヘッド17を対向させて、液滴吐出ヘッド17からガラス基板211の表面に向けて配向膜液242を吐出する。同時に、ガラス基板211に対して液滴吐出ヘッド17を矢印aで示したように相対移動させることによって、ガラス基板211の配向膜218を形成する領域の全面に配向膜液242を配置する。配置された配向膜液242を乾燥させることで、図13(d)に示すように、配向膜218を形成する。ステップS8を実施して、素子基板210が形成される。
【0130】
次に、ステップS9では、形成された対向基板220と素子基板210とを貼り合わせ、図13(e)に示すように、間に液晶230を充填する。さらに、偏光板231と偏光板232とを貼りつけるなどして、液晶表示パネル200を組立てる。複数のガラス基板201やガラス基板211からなるマザー基板に、複数の対向基板220や素子基板210を形成する場合には、複数の液晶表示パネル200が形成されたマザー基板を個別の液晶表示パネル200に分割する。ステップS9を実施して、液晶表示パネル200を形成する工程を終了する。
【0131】
<配向膜の描画パターン>
次に、液晶表示パネル200を形成する過程において、液滴吐出装置1を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する工程における、描画パターンについて、図14を参照して説明する。図14は、マザー対向基板の模式平面図である。図14に示したX軸及びY軸は、マザー対向基板201Aが液滴吐出装置1に載置された状態において、図1に示したX軸及びY軸と一致している。
【0132】
多数の液滴吐出ヘッド17を備える液滴吐出装置1を用いる際には、一回の相対移動で使用可能な液滴吐出ヘッド17の割合が多い方が効率的に描画を実施することができる。一回の相対移動で使用可能な液滴吐出ヘッド17の割合を多くするためには、描画対象物の描画対象領域の副走査方向の幅は、液滴吐出装置1の副走査方向の描画可能範囲に近いことが好ましい。図14に示したマザー対向基板201Aは、4個のガラス基板201を含んでおり、Y軸方向(副走査方向)の幅は、液滴吐出装置1に載置可能なワークの最大幅である。図14(a)に示した配向膜領域228aに配向膜液242を着弾させて配向膜228を形成する。
【0133】
上述したように、液滴吐出装置1は、それぞれのヘッド群55が、互いにY軸方向に一つのヘッド群55分(ノズル群線の長さ相当)の間隔を隔てて配置されるように位置することが可能である。配向膜領域228aに対向する全ての液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78から配向膜液242を吐出しながら、マザー対向基板201AをX軸方向(主走査方向)に移動させることによって、図14(b)に示したように、幅が概ねノズル群線の長さ相当の幅であるストライプ状配向膜帯228bが形成される。次に、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17をノズル群線の長さ相当だけY軸方向に移動させる。その状態で、マザー対向基板201AをX軸方向に移動させることによって、図14(c)に示したように、ストライプ状配向膜帯228cが形成される。ストライプ状配向膜帯228bとストライプ状配向膜帯228cとで、配向膜228が形成される。
ストライプ状配向膜帯228b又はストライプ状配向膜帯228cを形成するために、マザー対向基板201A上のそれらを形成する予定位置に配置することが必要な配向膜液242は、一回の主走査の間に、一つのヘッド群55の吐出ノズル78から吐出されることによって配置される。
素子基板210の配向膜218も、対向基板220の配向膜228と同様にして、形成することができる。
素子基板210のガラス基板211、及び対向基板220のガラス基板201(マザー対向基板201A)が、基材に相当する。素子基板210の配向膜218、及び対向基板220の配向膜228が、膜又は機能膜に相当する。
【0134】
<配向膜の描画工程>
次に、液晶表示パネル200を形成する過程において、液滴吐出装置1を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程について、図15を参照して説明する。図15は、描画工程を示すフローチャートである。
【0135】
図15のステップS21では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17から、吐出検査のための検査吐出が実施される。より詳細には、ワーク載置台21が給除材位置の方向に移動されることによって、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17に臨む位置に、吐出検査ブロック4aが移動可能となる。吐出検査ブロック4aは、X軸第2スライダ23に固定されており、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23を駆動することによって、X軸方向に移動させられる。ワーク載置台21は、X軸リニアモータ26によってX軸第1スライダ22を駆動することで、移動させられるため、吐出検査ブロック4aとワーク載置台21とは、それぞれ独立して移動させることができる。
移動中の吐出検査ブロック4aにおける検査描画ユニット161の検査シート171が、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれと対向した時点で、当該液滴吐出ヘッド17から検査シート171に向けて、検査吐出が実施される。それぞれの液滴吐出ヘッド17の吐出タイミングは、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれから吐出されて検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴(以降、「液滴円」と表記する。)が、検査シート171上にY軸方向に延在する一直線を形成するよう規定されている。吐出検査ブロック4aは、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円が形成した一直線が、吐出検査ユニット18の検査カメラ163によって撮像可能となる位置に位置するように移動させられる。
【0136】
次に、ステップS22では、検査カメラ163によって、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像を取得する。画像は、それぞれの液滴円について取得され、この画像から、それぞれの液滴円の大きさや着弾位置の情報が得られる。また、検査カメラ163による画像取得に並行して、液滴吐出ヘッド17は、液滴吐出ヘッド17内の配向膜液242の状態を一定の状態に維持するための捨て吐出を実施する。検査カメラ163が、検査シート171に臨むような位置に位置している状態では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に対向している。そのため、液滴吐出ヘッド17から吐出された配向膜液242は、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に着弾する。
【0137】
次に、ステップS23では、検査カメラ163によって取得された検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像から、それぞれの吐出ノズル78から良好な吐出がなされているか否かを判定する。配向膜液242の液滴が着弾して形成された液滴円の有無から、それぞれの吐出ノズル78が配向膜液242を吐出しているか否かが判定できる。液滴円の大きさから、それぞれの吐出ノズル78からの配向膜液242の吐出量が適切か否かが判定できる。ステップS21からステップS23の工程がノズル検査工程に相当する。
なお、本実施形態においては、多数の吐出ノズル78から一斉に配向膜液242を吐出して平面をいわゆる「ベタ塗り」する。「ベタ塗り」状態においては、液滴吐出装置1において発生する可能性があるような大きさの着弾位置のずれが発生しても、着弾した配向膜液242が流動することによって配置量が略均等となるため、当該配向膜液242を乾燥させることで、適正な配向膜228又は配向膜218を形成することができる。
【0138】
全ての吐出ノズル78からの吐出が良好であった(ステップS23でYES)場合には、ステップS33に進む。ステップS23の次に、ステップS33では、全ての吐出ノズル78が通常の吐出量の配向膜液242を吐出する、通常の描画吐出を実施する。
【0139】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在した、即ち、全ての吐出ノズル78からの吐出が、少なくとも一部の吐出ノズル78では良好ではなかった(ステップS23でNO)場合には、ステップS24に進む。
【0140】
ステップS23の次に、ステップS24では、吐出検査ブロック4aを移動して、重量測定ユニット19が液滴吐出ヘッド17に対向するように、重量測定ユニット19(吐出検査ブロック4a)を、位置合わせする。より詳細には、図9及び図10を参照して説明したように、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23をX軸方向に移動させる。それと共に、Y軸リニアモータとY軸スライダとによって、吐出ユニット2を構成する10個のヘッドユニット54を、Y軸テーブル12に沿って、Y軸方向に移動させる。これによって、X軸第2スライダ23に固定された各重量測定装置91の各受液容器94を、各ヘッド群55における1個の液滴吐出ヘッド17に臨ませる。受液容器94を臨ませる液滴吐出ヘッド17は、ステップS23において、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78を有する液滴吐出ヘッド17である。
【0141】
次に、ステップS25では、各ヘッド群55において受液容器94に臨んでいる1個の液滴吐出ヘッド17の吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78から、受液容器94に向けて、重量測定吐出を実施する。吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78が複数ある場合には、各吐出ノズル78ごとに個別に重量測定吐出を実施する。受液容器94に着弾した配向膜液242の重量が、電子天秤99によって測定される。受液容器94に着弾して電子天秤99によって測定された配向膜液242の重量が、吐出重量である。
このとき、図9及び図10を参照して説明したように、各ヘッド群55における受液容器94に臨んでいない各5個の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95に対向しており、重量測定時フラッシングボックス95に向けて捨て吐出を実施する。
【0142】
次に、ステップS26では、測定された吐出重量を吐出重量の規格値と比較して、吐出重量の誤差を求め、当該誤差を誤差の規格値と比較して、測定された吐出重量の誤差が規格値に適合するか否かを判定する。
吐出状態が良好ではないと判定され、吐出重量が適正であると判定される場合としては、吐出された液滴が分散して着弾する場合がある。液滴が分散することで、複数の小さい液滴となるため、着弾した液滴からは良好な吐出状態ではないと判定される。しかし、着弾した複数の小さい液滴の総重量は適正な液滴の重量と略等しいため、吐出重量は適正であると判定される。
【0143】
吐出重量の誤差が規格値に適合しない場合(ステップS26でNO)には、ステップS27に進む。
ステップS26の次に、ステップS27では、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78について、回復処置を実施することが有効であるか否かを判定する。より詳細には、吐出検査及び吐出重量測定の結果から、吐出状態が良好ではない原因を推定し、有効な回復処置の有無を判定する。
吐出検査において、液滴が着弾して在るべき位置及び当該位置の近傍に液滴円が無い場合は、吐出ノズル78が詰まっている可能性がある。この場合の近傍は、液滴吐出装置1において、着弾位置がずれる可能性がある範囲である。液滴円が小さい場合は、吐出ノズル78が詰まりかけている(以降、この状態を「細り」と表記する。)可能性がある。吐出ノズル78の詰まりや細りは、クリーニングによって解消できる可能性が高い。ノズル詰まりや細りが無い場合は、吐出重量が規定の量からずれて、吐出重量異常が発生していると判定する。吐出重量異常の場合には、液滴吐出ヘッド17の駆動電圧を調整することで正常な吐出重量にできる可能性がある。
【0144】
回復処置を実施することが有効である場合(ステップS27でYES)には、ステップS28に進む。
ステップS27の次に、ステップS28では、回復処置を実施する。
吐出状態が良好ではない原因が吐出ノズル78の詰まりや細りである可能性が高い場合には、吸引ユニット15による配向膜液242の強制排出や、ワイピングユニット16によるノズル形成面76aの拭取などの、液滴吐出ヘッド17のノズル形成面76aや吐出ノズル78のクリーニングを実施する。吐出状態が良好ではない原因が吐出ノズル78の吐出重量異常である可能性が高い場合には、吐出重量測定の結果から、吐出重量の誤差が、駆動電圧の調整で回復可能な程度であれば、駆動電圧の調整を実施する。
【0145】
ステップS28の次は、ステップS24に戻り、回復処置を実施した吐出ノズル78について、ステップS24からステップS27を繰り返す。
【0146】
回復処置を実施することが有効でない場合(ステップS27でNO)には、ステップS29に進む。回復処置を実施することが有効でないと判定される場合には、ステップS28において回復処置を実施しても、適正な吐出重量が回復できなかった場合も含まれる。ステップS28における回復処置を実施しても、適正な吐出重量が回復できないと判定する回復処置の実施回数は、実験などによって求めて、予め定めておくことが好ましい。
回復処置を実施することが有効でないと判定された場合は、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在する場合である。ステップS27の次に、ステップS29では、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78を、RAM46又はハードディスク48に記憶させて記録する。
ステップS29の次には、ステップS30に進む。
【0147】
ステップS26において、吐出重量の誤差が規格値に適合する場合(ステップS26でYES)には、ステップS30に進む。
【0148】
ステップS26又はステップS29の次に、ステップS30では、各ヘッド群55における、ステップS23において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78を有する液滴吐出ヘッド17の全てについて、吐出重量測定が終了したか否かを判定する。
【0149】
各ヘッド群55における、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78を有する液滴吐出ヘッド17において、吐出重量測定が終了していない液滴吐出ヘッド17があった場合(ステップS30でNO)には、ステップS24に戻り、ステップS24からステップS26、又はステップS24からステップS29を繰り返す。
【0150】
各ヘッド群55において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78を有する液滴吐出ヘッド17の全てについて、吐出重量測定が終了していた場合(ステップS30でYES)には、ステップS31に進む。
【0151】
ステップS31では、適切な描画吐出が可能か否かを判定する。より詳細には、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78の存在を考慮して、描画吐出を実行することによって、図14を参照して説明したような描画を実施することが可能か否かを判定する。図14を参照して説明したような、描画吐出に際して、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17を使用する可能性がある描画吐出を実施するためには、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78が、適切な描画吐出を実施できることが必要である。
【0152】
吐出ユニット2の全てのヘッド群55において、ヘッド群55が有する吐出ノズル78が、ステップS26で吐出重量の誤差が規格値に適合すると判定された吐出ノズル78のみの場合は、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78が、適切な描画吐出を実施でき、吐出ユニット2は、適切な描画吐出が可能であると判定できる。
【0153】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出重量の誤差は、良好な吐出状態の吐出ノズル78の吐出量を調整することで、補正する。ステップS29において記録された吐出状態が良好ではない吐出ノズル78に対して、当該吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出量の誤差を解消するために用いる吐出状態が良好な吐出ノズル78が確保できる場合は、総吐出量の補正が可能な場合であって、吐出ユニット2は、適切な描画吐出が可能であると判定できる。
【0154】
ステップS29において記録された吐出状態が良好ではない吐出ノズル78に対して、当該吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出量の誤差を解消するために用いる吐出状態が良好な吐出ノズル78が確保できない場合は、総吐出量の補正が不可能な場合であって、吐出ユニット2は、適切な描画吐出が可能でないと判定する。吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の数が多い場合や、数が少なくても、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の分布密度が高い場合などに、誤差を解消するために用いる吐出状態が良好な吐出ノズル78が確保できない可能性がある。
【0155】
適切な描画吐出を実施できる状態ではないと判定された場合(ステップS31でNO)には、描画吐出を中止して、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程を終了する。
【0156】
適切な描画吐出を実施できると判定された場合(ステップS31でYES)には、ステップS32に進む。
ステップS32では、各吐出ノズル78ごとにそれぞれの吐出量を指定する、吐出量指定表を作成する。各吐出ノズル78のそれぞれの吐出量としては、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78が存在することによって生ずる、各ヘッド群55における総吐出量の誤差を、各ヘッド群55ごとに補正できる吐出量を指定する。
なお、吐出ユニット2の全てのヘッド群55において、ヘッド群55が有する吐出ノズル78が、ステップS26で吐出重量の誤差が規格値に適合すると判定された吐出ノズル78のみの場合は、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78が、適切な描画吐出を実施できる。この場合、各吐出ノズル78のそれぞれの吐出量としては、補正することなく、通常の吐出量を指定する。ステップS32が、吐出量決定工程に相当する。
【0157】
ステップS32の次に、ステップS33では、ステップS32で各吐出ノズル78ごとに規定されたそれぞれの吐出量の配向膜液242を吐出する描画吐出を実施する。ステップS26で吐出重量の誤差が規格値に適合すると判定された吐出ノズル78のみの場合は、通常の吐出量の配向膜液242を吐出する描画吐出を実施する。
吐出検査などを実施することなく、描画吐出を連続して実施する期間は、一定の吐出状態が維持できる期間や一定の吐出状態を維持して描画できるワークWの描画枚数などを、実験などで求めることによって、予め定める。
【0158】
ステップS33を実施して、液滴吐出装置1を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程を終了する。
【0159】
<吐出量の補正>
次に、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在することによって生ずる、各ヘッド群55における総吐出量の誤差を補正するために、良好な吐出状態の吐出ノズル78の吐出量を調整する際の調整量について、図16を参照して説明する。図16は、吐出ノズルごとの吐出状態及び吐出量を示す説明図である。
【0160】
図16において、吐出状態が良好な吐出ノズル78を丸印で示し、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78である不良吐出ノズル78dを「×」印で示している。吐出ノズル78とマザー対向基板201Aとの相対移動方向(主走査方向)を矢印aで示している。
上述したように、液滴吐出ヘッド17において、副走査方向において隣合う吐出ノズル78は、互いに異なるノズル列78bにそれぞれ形成されているが、図16では省略して副走査方向に一列に表記している。副走査方向の位置が吐出ノズル78の位置と略同じである膜液集合242aが、当該吐出ノズル78から液滴として吐出されて、マザー対向基板201Aに着弾した配向膜液242である。
【0161】
図16(a)は、吐出状態が良好な吐出ノズルの吐出状態及び吐出量を示す説明図である。図16(a)に示すように、吐出ノズル78から吐出された配向膜液242がマザー対向基板201Aに着弾した膜液集合242aは、マザー対向基板201A上に略均等に配置される。配置された膜液集合242aは、それぞれが濡れ広がることで一体になり、一枚の膜状の塊となる。膜状の配向膜液242が乾燥することで、略平坦なストライプ状配向膜帯228b又はストライプ状配向膜帯228cなどが形成される。
【0162】
図16(b)は、不良吐出ノズルがある場合の吐出状態及び吐出量を示す説明図である。説明を簡単にするために、不良吐出ノズル78dからは、配向膜液242が吐出されないと仮定する。膜液集合242aは、吐出ノズル78から吐出された瞬間から乾燥を開始しており、着弾した膜液集合242aは、濡れ広がりながら乾燥している。着弾した膜液集合242aが濡れ広がる範囲は、膜液集合242aが流動可能な状態の間に濡れ広がることが可能な範囲である。図16(b)に示すように、配置された膜液集合242aは、それぞれが濡れ広がるが、配向膜液242が吐出されない不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分には、膜液集合242aが濡れ広がらない部分が生ずる可能性が高い。
【0163】
図16(c)は、不良吐出ノズルがある場合に、不良吐出ノズルの副走査方向における両側の吐出ノズルにおいて吐出量を調整する例を示す説明図である。図16(c)において、吐出ノズル781(吐出ノズル78)とマザー対向基板201Aとの間に記載した数字は、当該吐出ノズル781が吐出する膜液集合242aの量の、調整しない状態で吐出する量に対する割合を示している。図16(c)に示すように、吐出ノズル781は、吐出する液滴の大きさが通常の1.5倍に調整されており、膜液集合242aの1.5倍の体積の膜液集合242bを、マザー対向基板201A上に配置する。吐出ノズル781が配置する膜液集合242bの数は、吐出ノズル78が配置する膜液集合242aの数と同じであり、吐出ノズル781は、通常の吐出ノズル78がマザー対向基板201A上に配置する量の1.5倍の量の配向膜液242を、マザー対向基板201A上に配置する。
膜液集合242bは体積が膜液集合242aより大きいため、膜液集合242aより広い範囲に濡れ広がる。また、配向膜液242が配置されていない、不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分の方に、より容易に濡れ広がる。これにより、不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分には、両側から膜液集合242bが濡れ広がるため、当該部分にも、マザー対向基板201A上の他の部分と略同等の膜厚の配向膜228が形成される。
【0164】
図16(d)は、不良吐出ノズルがある場合に、不良吐出ノズルの副走査方向における両側の吐出ノズルにおいて吐出量を調整する例を示す説明図である。図16(d)において、吐出ノズル782(吐出ノズル78)とマザー対向基板201Aとの間に記載した数字は、当該吐出ノズル782が吐出する膜液集合242aの量の、調整しない状態で吐出する量に対する割合を示している。図16(d)に示すように、吐出ノズル782は、通常の1.5倍の数の膜液集合242aを、マザー対向基板201A上に配置する。これにより、吐出ノズル782は、通常の吐出ノズル78がマザー対向基板201A上に配置する量の1.5倍の量の配向膜液242を、マザー対向基板201A上に配置する。
吐出ノズル782によって配置された配向膜液242の量が、吐出ノズル78が通常配置する量の1.5倍になるため、通常配置された膜液集合242aより広い範囲に濡れ広がる。また、配向膜液242が配置されていない、不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分の方に、より容易に濡れ広がる。これにより、不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分には、両側から、図16(d)に二点鎖線で示したように、膜液集合242aが濡れ広がるため、当該部分にも、マザー対向基板201A上の他の部分と略同等の膜厚の配向膜228が形成される。
【0165】
図16(e)は、不良吐出ノズルがある場合に、不良吐出ノズルの副走査方向における両側の6個の吐出ノズルにおいて吐出量を調整する例を示す説明図である。図16(e)において、吐出ノズル783(吐出ノズル78)、吐出ノズル784(吐出ノズル78)、又は吐出ノズル785(吐出ノズル78)と、マザー対向基板201Aとの間に記載した数字は、当該吐出ノズル782が吐出する膜液集合242aの量の、調整しない状態で吐出する量に対する割合を示している。
図16(e)に示すように、吐出ノズル783は、通常の1.25倍の数の膜液集合242aを、マザー対向基板201A上に配置する。これにより、吐出ノズル783は、通常の吐出ノズル78がマザー対向基板201A上に配置する量の1.25倍の量の配向膜液242を、マザー対向基板201A上に配置する。吐出ノズル784は、通常の1.2倍の数の膜液集合242aを、マザー対向基板201A上に配置することで、通常の吐出ノズル78がマザー対向基板201A上に配置する量の1.2倍の量の配向膜液242を、マザー対向基板201A上に配置する。吐出ノズル785は、通常の1.05倍の数の膜液集合242aを、マザー対向基板201A上に配置することで、通常の吐出ノズル78がマザー対向基板201A上に配置する量の1.05倍の量の配向膜液242を、マザー対向基板201A上に配置する。吐出ノズル783と吐出ノズル784と吐出ノズル785とで、1個の通常の吐出ノズル78がマザー対向基板201A上に配置する量の3.5倍の量の配向膜液242を、マザー対向基板201A上に配置する。
吐出ノズル783と吐出ノズル784と吐出ノズル785とによって配置された配向膜液242の量が、1個の吐出ノズル78が通常配置する量の3.5倍になるため、通常配置された膜液集合242aより広い範囲に濡れ広がる。また、配向膜液242が配置されていない、不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分の方に、より容易に濡れ広がる。さらに、吐出ノズル783によって配置された配向膜液242の量が、吐出ノズル78が通常配置する量の1.25倍になるため、通常配置された膜液集合242aより広い範囲に濡れ広がるが、吐出ノズル784によって吐出ノズル78が通常配置する量の1.2倍の配向膜液242が配置された側には濡れ広がり難い。これにより、不良吐出ノズル78dが膜液集合242aを配置するべき部分には、両側から、図16(e)に二点鎖線で示したように、膜液集合242aが濡れ広がるため、当該部分にも、マザー対向基板201A上の他の部分と略同等の膜厚の配向膜228が形成される。
【0166】
第一の実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)ステップS32では、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78が存在することによって生ずる、各ヘッド群55における総吐出量の誤差を、各ヘッド群55ごとに補正できる吐出ノズル78の吐出量を規定する。ステップS33では、ステップS32で各吐出ノズル78ごとに規定されたそれぞれの吐出量の配向膜液242を吐出する描画吐出を実施する。これにより、ヘッド群55の吐出ノズル78に吐出が良好ではないものが発生したことに起因する吐出量の誤差を補正することができる。
【0167】
(2)描画吐出に先立って吐出検査を実施し、吐出検査の結果に基づいて吐出ノズル78の吐出量を規定し、吐出ノズル78ごとに規定されたそれぞれの吐出量の配向膜液242を吐出する描画吐出を実施する。これにより、吐出ノズル78に吐出が良好ではないものが発生したことに起因する吐出量の誤差を補正した描画吐出を実施することができる。
【0168】
(3)不良吐出ノズル78dがある場合に、不良吐出ノズル78dの副走査方向における両側の吐出ノズルにおいて吐出量を調整する。吐出量が調整された吐出ノズル78から吐出された配向膜液242は、不良吐出ノズル78dから吐出された配向膜液242が着弾して配置されるべき位置に隣接する位置に、着弾する。このため、吐出量が調整された吐出ノズル78から吐出されて着弾した配向膜液242は、不良吐出ノズル78dから吐出された配向膜液242が配置されるべき位置に流入し易くなり、均等な膜厚の配向膜228又は配向膜218を形成し易くすることができる。
【0169】
(4)描画吐出に先立って吐出検査を実施し、吐出検査の結果に基づいて吐出ノズル78の吐出量を規定し、吐出ノズル78ごとに規定されたそれぞれの吐出量の配向膜液242を吐出する描画吐出を実施する。これにより、吐出量の誤差を補正するための吐出を、吐出が良好ではない吐出ノズル78が吐出を実施するタイミングと略同じタイミングで実施することができる。これにより、配向膜液242が着弾するタイミングが、吐出が良好ではない吐出ノズル78が正常な場合と略同等となる。このため、着弾した配向膜液242の乾燥経過が、吐出が良好ではない吐出ノズル78が正常な場合と補正を実施した場合とで、略同等となり、吐出が良好ではない吐出ノズル78が発生したことに起因して、配向膜液242が着弾した膜液集合242aの乾燥状態が変わることを抑制することができる。
【0170】
(第二の実施形態)
次に、膜形成方法、膜形成装置、液晶装置の製造方法、及び液晶装置の製造装置の第二の実施形態について図面を参照して、説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置は、第一の実施形態と同様に、液晶装置の製造ラインに組み込まれており、樹脂を含む機能液を導入した液滴吐出ヘッドを用い、液晶装置の配向膜などを形成するものである。
本実施形態の液滴吐出装置301(図17参照)は、第一の実施形態の液滴吐出装置1と基本的な構成及び機能は共通である。液滴吐出装置301の液滴吐出装置1と異なる構成、及び液滴吐出装置301を用いて配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程について説明する。
【0171】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出装置301の全体構成について、図17を参照して説明する。図17は、液滴吐出装置の概略構成を示す平面図である。
【0172】
図17に示すように、液滴吐出装置301は、第一の実施形態で説明した液滴吐出装置1と同様に、液滴吐出ヘッド17を有する吐出ユニット2と、ワークユニット3と、給液ユニット60と、検査ユニット4と、メンテナンスユニット5と、吐出装置制御部6とを備えている。液滴吐出装置301は、さらに、補正用の吐出ヘッドとしての液滴吐出ヘッド17を有する補正ユニット302を備えている。
メンテナンスユニット5は、X軸方向に延在するユニット移動機構305の上に設けられており、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17に臨むことが可能な位置と、補正ユニット302の液滴吐出ヘッド17に臨むことが可能な位置とに移動可能である。
【0173】
<補正ユニット>
補正ユニット302は、20個の液滴吐出ヘッド17と、補正用の吐出ヘッドとしての液滴吐出ヘッド17をY軸方向に移動させるための補正軸テーブル312とを備えている。補正軸テーブル312は、支柱を介してX軸テーブル11を跨ぐように架け渡された補正軸支持ベース307の上に配設され、Y軸テーブル12に並んで、副走査方向(Y軸方向)に延在している。補正ユニット302は、それぞれ1個の液滴吐出ヘッド17を有する補正キャリッジユニット351を、20個備えている。20個の補正キャリッジユニット351は、20個の補正軸プレート352のそれぞれに吊設されている。補正軸プレート352は、補正軸スライダ(図示省略)を介して、補正軸テーブル312に、Y軸方向に摺動自在に支持されている。補正軸テーブル312は、補正軸プレート352(補正キャリッジユニット351)を、Y軸方向(副走査方向)に移動させる。補正軸プレート352を駆動するリニアモータの駆動を制御することにより、補正キャリッジユニット351を独立させて個別に移動させることが可能である。
X軸テーブル11及び補正軸テーブル312の駆動と同期して液滴吐出ヘッド17を吐出駆動させることにより、機能液滴を吐出させ、ワーク載置台21の上に載置されたワークWに対して、任意の位置に機能液を配置することができる。
【0174】
補正キャリッジユニット351は、1個の液滴吐出ヘッド17と、1個の液滴吐出ヘッド17を支持する補正ヘッドプレート353(図18参照)と、を有する補正ヘッドユニット354(図18参照)を備えている。また、補正ヘッドプレート353は、補正ヘッドユニット354をθ補正(θ回転)可能に支持するθ回転機構(図示省略)と、θ回転機構を介して、補正ヘッドユニット354を補正軸プレート352に支持させる吊設部材(図示省略)と、を備えている。
【0175】
<補正ヘッドユニット>
次に、補正ヘッドユニット354の概略構成、及びヘッドユニット54に対する補正ヘッドユニット354の位置関係について、図18を参照して説明する。図18は、補正ヘッドユニットの概略構成、及び補正ヘッドユニットとヘッドユニットとの位置関係を示す平面図である。図18に示したX軸及びY軸は、補正ヘッドユニット354及びヘッドユニット54が液滴吐出装置301に取り付けられた状態において、図17に示したX軸及びY軸と一致している。
図18に示すように、補正ヘッドユニット354は、補正ヘッドプレート353と、補正ヘッドプレート353に搭載された1個の液滴吐出ヘッド17と、を有している。液滴吐出ヘッド17は、補正ヘッドプレート353に固定されており、ヘッド本体74が補正ヘッドプレート353に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル形成面76aが、補正ヘッドプレート353の面より突出している。図18は、ノズル形成面76a側から見た図である。液滴吐出ヘッド17のノズル列78bはY軸方向に延在している。
【0176】
上述したように、補正ヘッドユニット354をY軸方向に移動させるための補正軸テーブル312は、ヘッドユニット54をY軸方向に移動させるためのY軸テーブル12に並んで、副走査方向(Y軸方向)に延在している。補正ヘッドユニット354が補正軸テーブル312に、ヘッドユニット54がY軸テーブル12に、それぞれ支持されて、図18に示すように、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17は、ヘッドユニット54の液滴吐出ヘッド17に対して、主走査方向に一定の距離を隔てて配置されている。
副走査方向において、補正ヘッドユニット354同士が互いに干渉しない範囲で、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17は、ヘッドユニット54の液滴吐出ヘッド17に対して任意の位置に位置することが可能である。
この構成により、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17を、ヘッドユニット54の液滴吐出ヘッド17と同様に使用することができる。即ち、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17を、ヘッドユニット54の液滴吐出ヘッド17の一部の代用として使用することができる。
より詳細には、液滴吐出ヘッド17とワークWとの主走査方向の相対移動速度と、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78とヘッドユニット54の液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78との主走査方向の距離と、に基づいて、補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から液滴を吐出する時点を設定する。即ち、ヘッドユニット54の吐出ノズル78から液滴を吐出する時点に対して、補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から液滴を吐出する時点を、補正ヘッドユニット354及びヘッドユニット54の吐出ノズル78間の主走査方向の距離を液滴吐出ヘッド17とワークWとの主走査方向の相対移動速度で除した時間だけずらして設定する。ワークWを主走査方向に一回相対移動させる間に、設定された吐出する時点において、補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から液滴を吐出する。当該時点で補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から吐出された液滴は、ワークWの主走査方向における当該相対移動の間に、補正ヘッドユニット354の当該吐出ノズル78と副走査方向において同じ位置に位置するヘッドユニット54の吐出ノズル78が液滴を配置する位置に、配置される。
【0177】
<配向膜の描画工程>
次に、液晶表示パネル200を形成する過程において、液滴吐出装置301を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程について、図19を参照して説明する。図19は、描画工程を示すフローチャートである。
【0178】
図19のステップS41では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17から、吐出検査のための検査吐出が実施される。より詳細には、ワーク載置台21が給除材位置の方向に移動されることによって、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17に臨む位置に、吐出検査ブロック4aが移動可能となる。吐出検査ブロック4aは、X軸第2スライダ23に固定されており、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23を駆動することによって、X軸方向に移動させられる。ワーク載置台21は、X軸リニアモータ26によってX軸第1スライダ22を駆動することで、移動させられるため、吐出検査ブロック4aとワーク載置台21とは、それぞれ独立して移動させることができる。
移動中の吐出検査ブロック4aにおける検査描画ユニット161の検査シート171が、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれと対向した時点で、当該液滴吐出ヘッド17から検査シート171に向けて、検査吐出が実施される。それぞれの液滴吐出ヘッド17の吐出タイミングは、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれから吐出されて検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円が、検査シート171上にY軸方向に延在する一直線を形成するよう規定されている。吐出検査ブロック4aは、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円が形成した一直線が、吐出検査ユニット18の検査カメラ163によって撮像可能となる位置に位置するように移動させられる。
【0179】
次に、ステップS42では、検査カメラ163によって、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像を取得する。画像は、それぞれの液滴円について取得され、この画像から、それぞれの液滴円の大きさや着弾位置の情報が得られる。また、検査カメラ163による画像取得に並行して、液滴吐出ヘッド17は、液滴吐出ヘッド17内の配向膜液242の状態を一定の状態に維持するための捨て吐出を実施する。検査カメラ163が、検査シート171に臨むような位置に位置している状態では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に対向している。そのため、液滴吐出ヘッド17から吐出された配向膜液242は、重量測定時フラッシングボックス95a又は定期フラッシングボックス93に着弾する。
【0180】
次に、ステップS43では、検査カメラ163によって取得された検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像から、それぞれの吐出ノズル78から良好な吐出がなされているか否かを判定する。配向膜液242の液滴が着弾して形成された液滴円の有無から、それぞれの吐出ノズル78が配向膜液242を吐出しているか否かが判定できる。液滴円の大きさから、それぞれの吐出ノズル78からの配向膜液242の吐出量が適切か否かが判定できる。なお、本実施形態においては、多数の吐出ノズル78から一斉に配向膜液242を吐出して平面をいわゆる「ベタ塗り」する。「ベタ塗り」状態においては、液滴吐出装置301において発生する可能性があるような大きさの着弾位置のずれが発生しても、着弾した配向膜液242が流動することによって配置量が略均等となるため、当該配向膜液242を乾燥させることで、適正な配向膜228又は配向膜218を形成することができる。
【0181】
全ての吐出ノズル78からの吐出が良好であった(ステップS43でYES)場合には、ステップS53に進む。ステップS43の次に、ステップS53では、全ての吐出ノズル78が通常の吐出量の配向膜液242を吐出する、通常の描画吐出を実施する。
【0182】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在した、即ち、全ての吐出ノズル78からの吐出が、少なくとも一部の吐出ノズル78では良好ではなかった(ステップS43でNO)場合には、ステップS44に進む。
【0183】
ステップS44では、回復処置を実施する。回復処置は、例えば、吸引ユニット15による配向膜液242の強制排出や、ワイピングユニット16によるノズル形成面76aの拭取などの、液滴吐出ヘッド17のノズル形成面76aや吐出ノズル78のクリーニングである。
吐出検査において、在るべき位置及び当該位置の近傍(液滴吐出装置301において、着弾位置がずれる可能性がある範囲)に液滴円が無い場合は、吐出ノズル78が詰まっている可能性がある。液滴円が小さい場合は、吐出ノズル78が詰まりかけている「細り」の状態である可能性がある。吐出ノズル78の詰まりや細りは、クリーニングによって解消できる可能性が高い。
【0184】
次に、ステップS45では、回復処置を実施した吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17から、吐出検査のための検査吐出を実施する。
【0185】
次に、ステップS46では、ステップS42と同様に、検査カメラ163によって、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像を取得する。また、液滴吐出ヘッド17は、捨て吐出を実施する。
【0186】
次に、ステップS47では、ステップS43と同様に、検査カメラ163によって取得された検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像から、それぞれの吐出ノズル78から良好な吐出がなされているか否かを判定する。
【0187】
全ての吐出ノズル78からの吐出が良好であった(ステップS47でYES)場合には、ステップS53に進む。この場合は、回復処置によって、全ての吐出ノズル78が良好な吐出ができる状態に戻った場合である。ステップS47の次に、ステップS53では、全ての吐出ノズル78が通常の吐出量の配向膜液242を吐出する、通常の描画吐出を実施する。
【0188】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在した、即ち、全ての吐出ノズル78からの吐出が、少なくとも一部の吐出ノズル78では良好ではなかった(ステップS47でNO)場合には、ステップS48に進む。
【0189】
ステップS48では、適切な描画吐出が可能か否かを判定する。より詳細には、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78の存在を考慮して、描画吐出を実行することによって、第一の実施形態において、図14を参照して説明したような描画を実施することが可能か否かを判定する。図14を参照して説明したような、描画吐出に際して、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17を使用する可能性がある描画吐出を実施するためには、吐出ユニット2の全ての液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78が、適切な描画吐出を実施できることが必要である。
【0190】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出量の誤差は、補正用ヘッドとしての、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17の、代替吐出ノズルとしての吐出ノズル78から配向膜液242を吐出することで、補正する。ステップS47において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78に対して、当該吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出量の誤差を解消するために用いる補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78が確保できる場合は、総吐出量の補正が可能な場合であって、吐出ユニット2は、適切な描画吐出が可能であると判定できる。
【0191】
ステップS47において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78に対して、当該吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出量の誤差を解消するために用いる補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78が確保できない場合は、総吐出量の補正が不可能な場合であって、吐出ユニット2は、適切な描画吐出が可能ではないと判定する。吐出状態が良好ではない吐出ノズル78を有する液滴吐出ヘッド17の数が補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17の数より多い場合には、誤差を解消するために用いる補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78が確保できない可能性がある。数が少なくても、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78を有する液滴吐出ヘッド17が一つのヘッド群55に多数存在する場合にも、誤差を解消するために用いる補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78が確保できない可能性がある。
【0192】
適切な描画吐出を実施できる状態ではないと判定された場合(ステップS48でNO)には、描画吐出を中止して、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程を終了する。
【0193】
適切な描画吐出を実施できると判定された場合(ステップS48でYES)には、ステップS49に進む。
ステップS49では、補正用ヘッドとしての補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17を配置する。詳細には、補正ヘッドユニット354の液滴吐出ヘッド17における任意の吐出ノズル78の副走査方向の位置を、ステップS47において吐出が良好ではないと判定された吐出ノズル78の副走査方向の位置に、概ね合致させるように、補正ヘッドユニット354を位置決めする。吐出が良好ではないと判定された吐出ノズル78の副走査方向の位置に位置した補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78は、ヘッドユニット54の吐出ノズル78と同じ量の配向膜液242を吐出するように決定される。
【0194】
次に、ステップS50では、ステップS47において吐出が良好である判定された、ヘッドユニット54の吐出ノズル78と、ステップS47において吐出が良好ではないと判定された吐出ノズル78の副走査方向の位置に位置させられた補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78とから、吐出検査のための検査吐出を実施する。補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から吐出させるタイミングは、当該吐出ノズル78から吐出された配向膜液242が、ヘッドユニット54の吐出ノズル78から吐出された配向膜液242が着弾して形成する、略副走査方向に延在する略一直線上に着弾するように設定する。吐出が良好ではないと判定された吐出ノズル78は停止して、検査吐出は実施させない。
【0195】
次に、ステップS51では、ステップS42と同様に、検査カメラ163によって、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像を取得する。また、液滴吐出ヘッド17は、捨て吐出を実施する。
【0196】
次に、ステップS52では、ステップS43と同様に、検査カメラ163によって取得された検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像から、それぞれの吐出ノズル78から良好な吐出がなされているか否かを判定する。特に、吐出が良好ではない吐出ノズル78の代替吐出ノズルとしての補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から良好な吐出がなされているか否かを判定する。
【0197】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在した、即ち、全ての吐出ノズル78からの吐出が、少なくとも一部の吐出ノズル78では良好ではなかった(ステップS52でNO)場合には、ステップS48に戻る。この場合は、代替吐出ノズルとして選択した補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78が良好ではなかった可能性が高い。
ステップS48において、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78の吐出量の誤差を解消するために用いる補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78をさらに確保して、適切な描画吐出が可能か否かを判定する。ステップS49において、補正ヘッドユニット354の別の吐出ノズル78を代替吐出ノズルとして選択して、補正ヘッドユニット354を位置決めする。さらに、ステップS50からステップS52を繰り返す。
【0198】
全ての吐出ノズル78からの吐出が良好であり、代替吐出ノズルとして選択した補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78からの吐出が良好であった(ステップS52でYES)場合には、ステップS53に進む。この場合は、代替吐出ノズルとして選択した補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78を用いることによって、ヘッドユニット54全ての吐出ノズル78が良好な吐出ができる状態と同等の描画ができる状態になった場合である。ステップS52の次に、ステップS53では、代替吐出ノズルとして選択した補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78及び吐出が良好であったヘッドユニット54の吐出ノズル78を用いて描画吐出を実施する。
吐出検査などを実施することなく、描画吐出を連続して実施する期間は、一定の吐出状態が維持できる期間や一定の吐出状態を維持して描画できるワークWの描画枚数などを、実験などで求めることによって、予め定める。
【0199】
ステップS53を実施して、液滴吐出装置301を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程を終了する。
【0200】
第二の実施形態によれば、第一の実施形態によって得られる効果に加えて、以下に記載する効果が得られる。
(1)液滴吐出装置301は、吐出ユニット2とは別に、液滴吐出ヘッド17を備える補正ユニット302を備えている。吐出ユニット2の吐出ノズル78に吐出が良好ではないものが発生した場合には、補正ユニット302の液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78を代替吐出ノズルとして用いることにより、吐出ユニット2の吐出ノズル78に吐出が良好ではないものが発生したことに起因する吐出量の誤差を補正することができる。
【0201】
(2)補正ユニット302が備える液滴吐出ヘッド17は、吐出ユニット2が備える液滴吐出ヘッド17と同じ液滴吐出ヘッド17である。これにより、主走査方向の位置が異なることを補正するために吐出タイミングをずらすこと以外は、吐出ユニット2の吐出が良好ではない吐出ノズル78を駆動する信号と同様の信号を、補正ユニット302が備える液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78に送ることによって、代替吐出ノズルとして使用することができる。
【0202】
(第三の実施形態)
次に、膜形成方法、膜形成装置、液晶装置の製造方法、及び液晶装置の製造装置の第三の実施形態について図面を参照して、説明する。本実施形態に係る液滴吐出装置は、第一の実施形態と同様に、液晶装置の製造ラインに組み込まれており、樹脂を含む機能液を導入した液滴吐出ヘッドを用い、液晶装置の配向膜などを形成するものである。
本実施形態の液滴吐出装置401(図20参照)は、第一の実施形態の液滴吐出装置1と基本的な構成及び機能は共通である。液滴吐出装置401の液滴吐出装置1と異なる構成、及び液滴吐出装置401を用いて配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程について説明する。
【0203】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出装置401の全体構成について、図20を参照して説明する。図20は、液滴吐出装置の概略構成を示す平面図である。
【0204】
図20に示すように、液滴吐出装置401は、第一の実施形態で説明した液滴吐出装置1と同様に、液滴吐出ヘッド17を有する吐出ユニット2と、ワークユニット3と、給液ユニット60と、検査ユニット404と、メンテナンスユニット5と、吐出装置制御部6とを備えている。検査ユニット404が、液滴吐出装置1の検査ユニット4とは異なっている。
検査ユニット404は、液滴吐出ヘッド17からの吐出状態を検査するための、吐出検査ユニット18及び重量測定ユニット419を有しており、重量測定ユニット419にはフラッシングユニット414が併設されている。
【0205】
<重量測定ブロック>
次に、重量測定ユニット419及びフラッシングユニット414について、図21を参照して説明する。図21は、重量測定ユニットの部分及びフラッシングユニットの部分を含む重量測定ブロックの図である。図21(a)は、重量測定ブロックの平面図であり、図21(b)は、重量測定ブロックの側面図である。
第一の実施形態において説明した吐出検査ブロック4aと同様に、重量測定ユニット419、フラッシングユニット414、及び検査描画ユニット161が一体に設けられた吐出検査ブロック404aが、X軸第2スライダ23に取り付けられており、一体に移動するように構成されている。
【0206】
図21に示すように、重量測定ブロック491Aは、2個の重量測定装置491と、図示省略した支持フレームとを備えている。支持フレームは、2個の重量測定装置491を支持しており、支持フレームがX軸第2スライダ23に固定されることによって、重量測定ブロック491AがX軸第2スライダ23に搭載されている。吐出検査ブロック404aは、10個の重量測定ブロック491Aを有し、合計20個の重量測定装置491が、Y軸方向に並んで、X軸第2スライダ23に搭載されている。1個の重量測定装置491が一つのヘッド群55に対応しており、並列する2個の重量測定装置491が、1個のヘッドユニット54に対応している。
【0207】
重量測定装置491は、複数ヘッド受液容器493と、単ヘッド受液容器494と、複数ヘッド天秤498と、単ヘッド天秤499と、重量測定時フラッシングボックス495と、機能液吸収材497と、を有している。これらが、図示省略した支持フレームに支持されてX軸第2スライダ23に搭載されている。
【0208】
複数ヘッド受液容器493は、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17に同時に対向可能であって、定期フラッシング時にヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17が一斉に実施する捨て吐出を受ける定期フラッシングボックスとしても使用される。定期フラッシングボックスとしての複数ヘッド受液容器493と重量測定時フラッシングボックス495と、機能液吸収材497とは、フラッシングユニット414に含まれる。フラッシングユニット414には、20個の重量測定装置491のそれぞれに形成されている、それぞれ20個の複数ヘッド受液容器493と、重量測定時フラッシングボックス495とが含まれる。
【0209】
ヘッド群55から吐出される機能液の重量を測定する場合の複数ヘッド受液容器493と、複数ヘッド天秤498と、単ヘッド受液容器494と、単ヘッド天秤499とは、重量測定ユニット419に含まれる。重量測定ユニット419には、20個の重量測定装置491のそれぞれに形成されている、それぞれ20個の、複数ヘッド受液容器493と、複数ヘッド天秤498と、単ヘッド受液容器494と、単ヘッド天秤499とが含まれる。
【0210】
<重量測定ユニット>
複数ヘッド受液容器493は、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17に同時に対向して、当該ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることができる大きさである。複数ヘッド受液容器493は、複数ヘッド天秤498の上に載っており、複数ヘッド天秤498は複数ヘッド受液容器493の重量を測定することで、複数ヘッド受液容器493内に着弾した機能液の重量を測定する。液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることで増加した複数ヘッド受液容器493の重量が、液滴吐出ヘッド17から吐出されて複数ヘッド受液容器493内に着弾した機能液の重量である。
【0211】
吐出装置制御部6のCPU44は、液滴吐出ヘッド17から複数ヘッド受液容器493に向けて吐出された機能液の吐出数を積算してRAM46又はハードディスク48に記憶させておき、積算重量が一定量に達すると、複数ヘッド受液容器493の交換指示情報を出す。
【0212】
単ヘッド受液容器494は、第一の実施形態において説明した受液容器94と同様に、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17のうち、任意の1個の液滴吐出ヘッド17のみに対向して、当該液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることができる大きさである。単ヘッド受液容器494は、単ヘッド天秤499の上に載っており、単ヘッド天秤499は、第一の実施形態において説明した電子天秤99と同様に、単ヘッド受液容器494の重量を測定することで、単ヘッド受液容器494内に着弾した機能液の重量を測定する。液滴吐出ヘッド17から吐出した機能液を受けることで増加した単ヘッド受液容器494の重量が、液滴吐出ヘッド17から吐出されて単ヘッド受液容器494内に着弾した機能液の重量である。
【0213】
吐出装置制御部6のCPU44は、単ヘッド天秤499が測定した機能液の重量を積算してRAM46に記憶させておく。CPU44は、積算重量が一定量に達すると、単ヘッド受液容器494の交換指示情報を出す。
【0214】
単ヘッド天秤499は、単ヘッド受液容器494に吐出された機能液の重量を測定し、測定結果を吐出装置制御部6に出力する。吐出装置制御部6は、単ヘッド天秤499から入力した測定結果に基づいて、ヘッドドライバ2dから液滴吐出ヘッド17に印加する駆動電力(電圧値)を制御する。即ち、重量測定結果が目標範囲内の場合は、電圧値を変更することなく、次のワークWに対する描画を行う。他方、重量測定結果が目標範囲外の場合は、予め求めた印加電圧値と重量測定値との分解能データに基づいて電圧値を変更し、変更後の電圧値で、再度吐出重量測定を行う。
【0215】
<フラッシングユニット>
重量測定時フラッシングボックス495は、重量測定時フラッシングボックス495aと重量測定時フラッシングボックス495bとを有し、重量測定時フラッシングボックス495aと重量測定時フラッシングボックス495bとが、X軸方向において単ヘッド受液容器494を挟んで配置されている。ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17のうち1個の液滴吐出ヘッド17が単ヘッド受液容器494に臨む位置にあるとき、ヘッド群55を構成する他の5個の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス495a又は重量測定時フラッシングボックス495bのいずれかに臨む位置に位置する。吐出重量測定を実施する対象の液滴吐出ヘッド17が単ヘッド受液容器494に臨んで吐出重量測定のための吐出を実施する時に、測定対象外の液滴吐出ヘッド17は、重量測定時フラッシングボックス495a又は重量測定時フラッシングボックス495bに臨んで、捨て吐出を実施する。
【0216】
1個の重量測定装置491でヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17について吐出重量測定を行うため、1個の液滴吐出ヘッド17が重量測定吐出を行っている際に、その他の5個の液滴吐出ヘッド17はその重量測定吐出が終わるのを待つことになるが、その「待ち」状態の液滴吐出ヘッド17に捨て吐出を行わせることができる。このため、「待ち」状態の間に吐出ノズル78が乾燥することを抑制して、「待ち」状態後に重量測定吐出を良好に行うことができ、適切な測定結果を得ることができる。
重量測定時フラッシングボックス495及び複数ヘッド受液容器493内には、機能液吸収材497が、敷設されている。なお、単ヘッド受液容器494は、各液滴吐出ヘッド17に対し、ノズル列単位で機能液を受け得る大きさに形成されている。
【0217】
上述したように、複数ヘッド受液容器493は、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17に同時に対向可能であって、定期フラッシング時にヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17が一斉に実施する捨て吐出を受ける定期フラッシングボックスとしても使用される。
【0218】
<吐出重量測定>
次に、図22を参照して、複数の液滴吐出ヘッド17について一斉に吐出重量測定を実施する一連の動作について説明する。図22は、ヘッドユニットと重量測定装置との位置関係を示す説明図である。図22(a)及び(c)は、ヘッドユニットと重量測定装置との位置関係を示す側面図であり、図22(b)は、ヘッドユニットの液滴吐出ヘッドと重量測定装置の複数ヘッド受液容器との位置関係を示す平面図である。
【0219】
ワークWの給材などの描画処理休止時には、図22(a)に示すように、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23をX軸方向に移動させることで、X軸第2スライダ23に固定された各重量測定装置491の各複数ヘッド受液容器493を、ヘッドユニット54に臨ませる。そして、図22(b)に示すように、ヘッドユニット54のヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッドが、複数ヘッド受液容器493に臨んでいる状態にする。
図22(a)及び(b)に示した位置で、ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17は重量測定吐出を実施し、吐出された機能液は、複数ヘッド受液容器493に着弾する。
【0220】
ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17の重量測定吐出が終わると、重量測定装置491をX軸方向に移動させて、図22(c)に示したように、各複数ヘッド受液容器493を、重量測定装置491の移動軌跡上に設けられた風防部材101の直下に移動させる。この状態で、複数ヘッド天秤498により、複数ヘッド受液容器493に着弾した吐出液滴の重量の測定を行う。重量測定装置491が風防部材101の直下に位置することにより、気流(例えばチャンバルームにおけるダウンフローや乱流など)が風防部材101により遮断されるため、複数ヘッド天秤498は、気流の影響を受けることなく、正確に重量測定を行うことができる。
【0221】
なお、定期フラッシングを実施する場合は、ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッドが、複数ヘッド受液容器493に臨んでいる状態での液滴吐出ヘッド17からの機能液の吐出を実施し、複数ヘッド天秤498による重量の測定は実施しない。この場合の液滴吐出ヘッド17からの機能液の吐出は、捨て吐出である。この場合は、複数ヘッド受液容器493が、定期フラッシングボックスとして使用されている場合である。
【0222】
単ヘッド受液容器494及び単ヘッド天秤499を用いて個別の液滴吐出ヘッド17について吐出重量測定を実施する一連の動作は、第一の実施形態において、図9、及び図10を参照して説明した、受液容器94及び電子天秤99を用いて個別の液滴吐出ヘッド17について吐出重量測定を実施する一連の動作と同様である。
【0223】
<配向膜の描画工程>
次に、液晶表示パネル200を形成する過程において、液滴吐出装置401を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程について、図23を参照して説明する。図23は、描画工程を示すフローチャートである。
【0224】
図23のステップS61では、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17から、吐出検査のための検査吐出が実施される。より詳細には、ワーク載置台21が給除材位置の方向に移動されることによって、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17に臨む位置に、吐出検査ブロック404aが移動可能となる。吐出検査ブロック404aは、X軸第2スライダ23に固定されており、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23を駆動することによって、X軸方向に移動させられる。ワーク載置台21は、X軸リニアモータ26によってX軸第1スライダ22を駆動することで、移動させられるため、吐出検査ブロック404aとワーク載置台21とは、それぞれ独立して移動させることができる。
移動中の吐出検査ブロック404aにおける検査描画ユニット161の検査シート171が、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれと対向した時点で、当該液滴吐出ヘッド17から検査シート171に向けて、検査吐出が実施される。それぞれの液滴吐出ヘッド17の吐出タイミングは、吐出ユニット2の液滴吐出ヘッド17のそれぞれから吐出されて検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円が、検査シート171上にY軸方向に延在する一直線を形成するよう規定されている。
【0225】
次に、ステップS62では、ステップS61を実施して移動している吐出検査ブロック404aをそのまま移動して、複数ヘッド受液容器493がヘッド群55の液滴吐出ヘッド17に対向するように、重量測定装置491(吐出検査ブロック404a)を、位置合わせする。
より詳細には、図22を参照して説明したように、X軸リニアモータ26によってX軸第2スライダ23をX軸方向に移動させる。それと共に、Y軸リニアモータとY軸スライダとによって、吐出ユニット2を構成する10個のヘッドユニット54を、Y軸テーブル12に沿って、Y軸方向に移動させる。これによって、X軸第2スライダ23に固定された各重量測定装置491の各複数ヘッド受液容器493を、各ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17に臨ませる。
複数ヘッド受液容器493を、各ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17に臨ませた状態では、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円が形成した一直線が、吐出検査ユニット18の検査カメラ163によって撮像可能となる位置に位置する状態となる。
【0226】
次に、ステップS63では、検査カメラ163によって、検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像を取得する。画像は、それぞれの液滴円について取得され、この画像から、それぞれの液滴円の大きさや着弾位置の情報が得られる。
また、検査カメラ163による画像取得に並行して、複数の液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78について一斉に重量測定吐出を実施する。上述したように、検査カメラ163が、検査シート171に臨むような位置に位置している状態で、吐出ユニット2の各ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17が、複数ヘッド受液容器493に対向している。そのため、液滴吐出ヘッド17から吐出された配向膜液242は、ヘッド群55を構成する6個の液滴吐出ヘッド17ごとに、1個の複数ヘッド受液容器493に着弾する。
図22を参照して説明したように、複数ヘッド受液容器493に着弾した配向膜液242の重量が、複数ヘッド天秤498によって測定される。ヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17が有する全ての吐出ノズル78の吐出重量が、1回の測定で測定される。
【0227】
次に、ステップS64では、検査カメラ163によって取得された検査シート171に着弾した配向膜液242の液滴円の画像から、それぞれの吐出ノズル78から良好な吐出がなされているか否かを判定する。配向膜液242の液滴が着弾して形成された液滴円の有無から、それぞれの吐出ノズル78が配向膜液242を吐出しているか否かが判定できる。液滴円の大きさから、それぞれの吐出ノズル78からの配向膜液242の吐出量が適切か否かが判定できる。なお、本実施形態においては、多数の吐出ノズル78から一斉に配向膜液242を吐出して平面をいわゆる「ベタ塗り」する。「ベタ塗り」状態においては、液滴吐出装置401において発生する可能性があるような大きさの着弾位置のずれが発生しても、着弾した配向膜液242が流動することによって配置量が略均等となるため、当該配向膜液242を乾燥させることで、適正な配向膜228又は配向膜218を形成することができる。
【0228】
全ての吐出ノズル78からの吐出が良好であった(ステップS64でYES)場合には、ステップS71に進む。ステップS64の次に、ステップS71では、全ての吐出ノズル78が通常の吐出量の配向膜液242を吐出する、通常の描画吐出を実施する。
【0229】
吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在した、即ち、全ての吐出ノズル78からの吐出が、少なくとも一部の吐出ノズル78では良好ではなかった(ステップS64でNO)場合には、ステップS65に進む。
ステップS65では、ステップS64において、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在すると判定されたヘッド群55について、ステップS63において測定された吐出重量を吐出重量の規格値と比較して、吐出重量の誤差を求め、当該誤差を誤差の規格値と比較して、測定された吐出重量の誤差が規格値に適合するか否かを判定する。
【0230】
吐出重量の誤差が規格値に適合する場合(ステップS65でYES)には、ステップS71に進む。ステップS65の次に、ステップS71では、全ての吐出ノズル78が通常の吐出量の配向膜液242を吐出する、通常の描画吐出を実施する。
【0231】
吐出重量の誤差が規格値に適合しない場合(ステップS65でNO)には、ステップS66に進む。
ステップS66は、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78を含むヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17について、回復処置を実施することが有効であるか否かを判定する。より詳細には、吐出検査及び吐出重量測定の結果から、吐出状態が良好ではない原因を推定し、有効な回復処置の有無を判定する。
吐出検査において、液滴が着弾して在るべき位置及び当該位置の近傍に液滴円が無い場合は、吐出ノズル78が詰まっている可能性がある。この場合の近傍は、液滴吐出装置401において、着弾位置がずれる可能性がある範囲である。液滴円が小さい場合は、吐出ノズル78が詰まりかけている「細り」の状態である可能性がある。吐出ノズル78の詰まりや細りは、クリーニングによって解消できる可能性が高い。
ノズル詰まりや細りが無い場合は、吐出重量が規定の量からずれて、吐出重量異常が発生していると判定する。吐出重量異常の場合には、液滴吐出ヘッド17の駆動電圧を調整することで正常な吐出重量にできる可能性がある。
【0232】
回復処置を実施することが有効である場合(ステップS66でYES)には、ステップS67に進む。
ステップS67では、回復処置を実施する。
吐出状態が良好ではない原因が吐出ノズル78の詰まりや細りである可能性が高い場合には、吸引ユニット15による配向膜液242の強制排出や、ワイピングユニット16によるノズル形成面76aの拭取などの、液滴吐出ヘッド17のノズル形成面76aや吐出ノズル78のクリーニングを実施する。
吐出状態が良好ではない原因が吐出ノズル78の吐出重量異常である可能性が高い場合には、ステップS64において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78について、駆動電圧の調整を実施する。ステップS63で実施したヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17の吐出ノズル78の吐出重量測定の結果と、ステップS64において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78の数とから、吐出重量の誤差が、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78の駆動電圧の調整で回復可能な程度であれば、駆動電圧の調整を実施する。この場合、ステップS64において吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78について、ヘッド群55全体の吐出重量の誤差が規格値に適合するように、駆動電圧の調整を実施する。
ステップS67の次は、ステップS70に進む。
【0233】
回復処置を実施することが有効でない場合(ステップS66でNO)には、ステップS68に進む。
【0234】
ステップS68では、適切な描画吐出が可能か否かを判定する。より詳細には、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78を含むことで吐出重量の誤差が規格値に適合しないヘッド群55の吐出重量の誤差は、当該ヘッド群55の全ての吐出ノズル78について吐出量を一括調整することで、補正する。
当該吐出量の一括調整を実施した回数が少ない場合は、次の調整で吐出重量の誤差が解消できる可能性が有り、適切な描画吐出が可能であると判定する。当該吐出量の一括調整を実施した回数が規格値を超えた場合は、次の調整を実施しても吐出重量の誤差が解消できる可能性が乏しく、適切な描画吐出が可能ではないと判定する。一括調整を実施すること吐出重量の誤差が解消できると判定する回数の規格値は、実験などによって、予め求める。
【0235】
適切な描画吐出を実施できる状態ではないと判定された場合(ステップS68でNO)には、描画吐出を中止して、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程を終了する。
【0236】
適切な描画吐出を実施することが可能であると判定された場合(ステップS68でYES)には、ステップS69に進む。
ステップS69では、ヘッド群55の総吐出量を調整する。吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が存在することで、吐出重量の誤差が規格値に適合しないヘッド群55の6個の液滴吐出ヘッド17について、全体の吐出重量の誤差が規格値に適合するように、ヘッド群55の全ての吐出ノズル78について、吐出重量の調整を実施する。
ステップS69の次は、ステップS70に進む。
【0237】
ステップS67又はステップS69の次に、ステップS70では、回復処置又は総吐出量の調整を実施したヘッド群55について、ステップS63と同様に、複数ノズル重量測定吐出を実施する。
ステップS70の次には、ステップS65に戻り、ステップS70において複数ノズル重量測定吐出を実施したヘッド群55ついて、ステップS65、ステップS65からステップS68、又はステップS65からステップS70を繰り返す。
上述したように、ステップS65において、吐出重量の誤差が規格値に適合すると判定された場合は、ステップS71に進む。ステップS71では、全ての吐出ノズル78が通常の吐出量の配向膜液242を吐出する、通常の描画吐出を実施する。吐出検査などを実施することなく、描画吐出を連続して実施する期間は、一定の吐出状態が維持できる期間や一定の吐出状態を維持して描画できるワークWの描画枚数などを、実験などで求めることによって、予め定める。
【0238】
ステップS71を実施して、液滴吐出装置401を用いて、配向膜228又は配向膜218を形成する描画工程を終了する。
【0239】
第三の実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。
(1)液滴吐出装置401は、複数ヘッド受液容器493及び複数ヘッド天秤498を備えており、ヘッド群55の吐出ノズル78から吐出される配向膜液242の重量を一括して測定できる。ヘッド群55の吐出ノズル78の中に吐出量が適正ではない吐出ノズル78が発生した場合には、一括測定の測定結果に基づいて、ヘッド群55の吐出ノズル78の吐出量を一括して調整することによって、吐出量が適正ではない吐出ノズル78が発生したことに起因する吐出量の誤差を補正することができる。
【0240】
(2)ヘッド群55の吐出ノズル78から吐出される配向膜液242の重量を一括して測定するため、それぞれの吐出ノズル78から吐出される配向膜液242の重量を個別に測定する場合に比べて、全ての吐出ノズル78について測定するための時間を抑制することができる。
【0241】
(3)ヘッド群55の吐出ノズル78の吐出量を一括して調整することから、調整可能な吐出量が多いため、吐出量の大きな誤差も補正することができる。
【0242】
以上、添付図面を参照しながら好適な実施形態について説明したが、好適な実施形態は、前記実施形態に限らない。要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0243】
(変形例1)前記実施形態においては、吐出量を補正される吐出ノズル78は、不良吐出ノズル78dの両側の2個又は6個の吐出ノズル78、又はヘッド群55の全吐出ノズル78であったが、吐出量を補正される吐出ノズル78は、副走査方向において不良吐出ノズル78dに隣接する1個の吐出ノズル78であってもよい。また、副走査方向において、不良吐出ノズル78dの両側のうち、一方の側の複数の吐出ノズル78であってもよい。このような選択のしかたで吐出量を補正される吐出ノズル78を選択することで、ノズル列全体の一番端の吐出ノズルが不良吐出ノズル78dとなった場合や、副走査方向で隣合う吐出ノズルが不良吐出ノズル78dとなった場合でも、吐出量を補正される吐出ノズル78を選択することができる。
【0244】
(変形例2)前記実施形態においては、吐出量を補正される吐出ノズル78は、不良吐出ノズル78dの両側の2個又は6個の吐出ノズル78、又はヘッド群55の全吐出ノズル78であり、いずれかに固定されていた。しかし、吐出量を補正される吐出ノズル78の選択の仕方が固定されていることは必須ではない。吐出量を補正される吐出ノズル78は、不良吐出ノズル78dの両側の2個の吐出ノズル78、又は不良吐出ノズル78dの両側の6個の吐出ノズル78、又は不良吐出ノズル78dを含むヘッド群55の全吐出ノズル78などから選択する方法であってもよい。
【0245】
(変形例3)前記実施形態においては、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78が発生した場合の対処として、吐出量が少ない吐出ノズル78が発生した場合に、副走査方向において隣接する位置に向けて吐出する吐出ノズル78において吐出量を増やす例について説明した。しかし、吐出ノズルの良好ではない吐出状態は、吐出量が過少の状態に限らない。吐出ノズルの良好ではない吐出状態が、吐出量が過多の状態の場合には、副走査方向において隣接する位置に向けて吐出する吐出ノズルの吐出量を減らす方法を用いてもよい。
【0246】
(変形例4)前記実施形態においては、ヘッドユニット54におけるヘッド群55は、副走査方向に一つのヘッド群55のY軸方向の長さに相当する間隔を隔てて配置されていた。このヘッドユニット54を有する、吐出ユニット2の吐出ノズル78は、主走査方向の位置を同じと仮定すると、一つのヘッド群55が有する吐出ノズル78の列が、当該列のY軸方向の長さの間隔を隔てて、Y軸方向に連なる吐出ノズル78の列を有していた。この吐出ユニット2は、一回の副走査を挟む2回の主走査時における配向膜液242の吐出によって、配向膜228又は配向膜218を形成していた。しかし、吐出ユニットは、吐出ノズルが副走査方向に全て等間隔で配置される構成であってもよい。当該吐出ユニットを備える液滴吐出装置を用いて、1回の主走査の間に、基材の全面に液状体を描画吐出してもよい。
【0247】
(変形例5)前記実施形態においては、液晶表示装置の一例である液晶表示パネル200の配向膜228又は配向膜218を形成する際の描画吐出について説明したが、形成する膜は、配向膜に限らない。形成する膜は、液晶表示装置の対向電極や、カラーフィルタなどを保護するためなどに設けるオーバーコート膜などであってもよい。フォトエッチングなどによってパターンを形成するための膜や、フォトエッチングなどのフォトレジスト膜などであってもよい。形成する膜は、膜を形成するための液状体を供給するために、多数の吐出ノズルを使用することが必要であるような、大面積のいわゆるベタ膜のような膜であれば、どのような膜であってもよい。
形成する膜を有する装置、又は形成過程において膜を形成する必要がある装置も、液晶表示装置に限らない。上記したような膜を有する装置、又は形成過程において上記したような膜を形成する必要がある装置であれば、どのような装置であってもよい。
【0248】
(変形例6)前記第二の実施形態においては、描画吐出に際して、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78は停止していたが、吐出状態が良好ではない吐出ノズル78を停止することは必須ではない。良好ではない吐出ノズル78は停止することなく、当該吐出ノズル78の吐出量の誤差分を他の吐出ノズル78で補正する方法であってもよい。但し、吐出ノズル78の実際の吐出量を明確にするために、吐出量を測定する工程が必要である。また、良好ではない吐出ノズル78の吐出量が過多の場合は、当該吐出ノズル78を停止して、補正ヘッドユニット354の吐出ノズル78から当該吐出ノズル78の吐出量に相当する配向膜液242を吐出する。
【0249】
(変形例7)前記実施形態においては、着弾位置のずれが発生しても、着弾した配向膜液242が流動することによって配置量が略均等となるため、吐出重量の誤差が規格値に適合していれば、当該吐出ノズル78の吐出は良好であると判定していた。しかし、着弾位置ずれによって、被吐出領域の端の部分に向けて吐出した液状体が被吐出領域から外れて着弾する可能性を考慮して、所定のずれ量を超えた吐出ノズルは、吐出が良好ではない吐出ノズルとして扱っても良い。この場合、描画吐出に際して、着弾位置ずれが大きいことで吐出状態が良好ではないと判定した吐出ノズルは停止する。これにより、被吐出領域に配置する機能液の量を、より厳密に適正な量に保つことができる。
【0250】
(変形例8)前記実施形態においては、吐出ノズル78のそれぞれの吐出量としては、吐出状態が良好ではないと判定された吐出ノズル78が存在することによって生ずる、各ヘッド群55における総吐出量の誤差を、各ヘッド群55ごとに補正できる吐出量に決定しており、吐出が良好ではない吐出ノズル78も描画吐出を実施していた。しかし、吐出量が極端に過多の吐出ノズルは、描画吐出を停止してもよい。吐出が良好ではない1個の吐出ノズルにおける吐出量の過多分が吐出ノズル1個分よりさらに多い場合には、当該吐出ノズルの描画吐出を停止することで、補正量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0251】
【図1】第一の実施形態における液滴吐出装置の概略構成を示す平面図。
【図2】液滴吐出装置の概略構成を示すX軸方向に延在する側面の側面図。
【図3】液滴吐出装置の概略構成を示すY軸方向に延在する側面の側面図。
【図4】液滴吐出ヘッドの概要を示す外観斜視図。
【図5】ヘッドユニットの概略構成を示す平面図。
【図6】液滴吐出装置の電気的構成を示す電気構成ブロック図。
【図7】検査描画ユニットの全体構成を示す外観斜視図。
【図8】(a)重量測定ユニットの部分及びフラッシングユニットの部分を含む重量測定ブロックの平面図。(b)重量測定ブロックの側面図。
【図9】ヘッドユニットと重量測定装置との位置関係を示す側面図。
【図10】液滴吐出ヘッドと重量測定装置との位置関係を示す平面図。
【図11】液晶表示パネルの概略構成を示す分解斜視図。
【図12】液晶表示パネルを形成する過程を示すフローチャート。
【図13】液晶表示パネルを形成する過程における配向膜を形成する工程を示す断面図。
【図14】マザー対向基板の模式平面図。
【図15】描画工程を示すフローチャート。
【図16】吐出ノズルごとの吐出状態及び吐出量を示す説明図。
【図17】第二の実施形態における液滴吐出装置の概略構成を示す平面図。
【図18】補正ヘッドユニットの概略構成、及び補正ヘッドユニットとヘッドユニットとの位置関係を示す平面図。
【図19】描画工程を示すフローチャート。
【図20】第三の実施形態における液滴吐出装置の概略構成を示す平面図。
【図21】(a)重量測定ユニットの部分及びフラッシングユニットの部分を含む重量測定ブロックの平面図。(b)重量測定ブロックの側面図。
【図22】ヘッドユニットと重量測定装置との位置関係を示す説明図。
【図23】描画工程を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0252】
1…液滴吐出装置、2…吐出ユニット、4…検査ユニット、4a…吐出検査ブロック、5…メンテナンスユニット、6…吐出装置制御部、14…フラッシングユニット、15…吸引ユニット、16…ワイピングユニット、17…液滴吐出ヘッド、18…吐出検査ユニット、19…重量測定ユニット、54…ヘッドユニット、55…ヘッド群、76…ノズル形成プレート、78…吐出ノズル、78d…不良吐出ノズル、91…重量測定装置、91A…重量測定ブロック、94…受液容器、99…電子天秤、161…検査描画ユニット、171…検査シート、200…液晶表示パネル、201…ガラス基板、201A…マザー対向基板、205…フィルタ層、210…素子基板、211…ガラス基板、218…配向膜、220…対向基板、228…配向膜、228a…配向膜領域、228b,228c…ストライプ状配向膜帯、242…配向膜液、242a,242b…膜液集合、301…液滴吐出装置、302…補正ユニット、354…補正ヘッドユニット、401…液滴吐出装置、404…検査ユニット、404a…吐出検査ブロック、414…フラッシングユニット、419…重量測定ユニット、491…重量測定装置、491A…重量測定ブロック、493…複数ヘッド受液容器、494…単ヘッド受液容器、498…複数ヘッド天秤、499…単ヘッド天秤、W…ワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記基材上の膜形成領域に前記複数の吐出ノズルから膜の材料を含む液状体を吐出し前記液状体を配置する膜形成方法であって、
前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程と、
前記ノズル検査工程における検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定する吐出量決定工程とを有し、
前記吐出量決定工程では、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする膜形成方法。
【請求項2】
前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する吐出数を決定することを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項3】
前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量を決定することを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項4】
前記吐出量決定工程は、前記ノズル検査工程において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置と隣接する位置に前記液状体を配置する吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項5】
前記吐出量決定工程は、前記ノズル検査工程において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を挟んで隣接する位置に前記液状体を配置する2個の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項6】
前記吐出量決定工程は、前記ノズル検査工程において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を中心にして隣接する位置に前記液状体を配置する3個以上の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項7】
前記3個以上の吐出ノズルそれぞれが前記液状体を配置する位置と、前記吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置との距離によって按分し前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項6に記載の膜形成方法。
【請求項8】
前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を、吐出状態が適正ではないと判定された前記吐出ノズルが前記液状体を吐出しない状態で、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項9】
前記ノズル検査工程は、前記各吐出ノズルが吐出する吐出量を測定する吐出量測定工程を含み、
前記吐出量決定工程は、前記吐出量測定工程における前記各吐出ノズルの吐出量に応じて、前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項10】
前記ノズル検査工程は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴が着弾した状態を判断する工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項11】
前記ノズル検査工程は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴の重量を測定する重量測定工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項12】
複数の吐出ノズルと、前記複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させる相対移動装置とを備え、前記相対移動装置によって前記複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記複数の吐出ノズルから膜の材料を含む液状体を吐出して、前記基材上の膜形成領域に前記液状体を配置する膜形成装置であって、
前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査手段と、
前記ノズル検査手段による検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定する吐出量決定手段と、を備え、
前記吐出量決定手段は、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする膜形成装置。
【請求項13】
前記吐出量決定手段は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する吐出数を決定することを特徴とする請求項12に記載の膜形成装置。
【請求項14】
前記吐出量決定手段は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量を決定することを特徴とする請求項12に記載の膜形成装置。
【請求項15】
前記吐出量決定手段は、前記ノズル検査手段において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置と隣接する位置に前記液状体を配置する吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項16】
前記吐出量決定手段は、前記ノズル検査手段において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を挟んで隣接する位置に前記液状体を配置する2個の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項17】
前記吐出量決定手段は、前記ノズル検査手段において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を中心にして隣接する位置に前記液状体を配置する3個以上の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項18】
前記3個以上の吐出ノズルそれぞれが前記液状体を配置する位置と、前記吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置との距離によって按分し前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項17に記載の膜形成装置。
【請求項19】
前記吐出量決定手段は、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を、吐出状態が適正ではないと判定された前記吐出ノズルが前記液状体を吐出しない状態で、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする請求項12乃至18のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項20】
前記ノズル検査手段は、前記各吐出ノズルが吐出する吐出量を測定する吐出量測定手段を含み、
前記吐出量決定手段は、前記吐出量測定手段によって測定された前記各吐出ノズルの吐出量に応じて、前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする請求項12乃至19のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項21】
前記ノズル検査手段は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴が着弾した状態を判断する手段を含むことを特徴とする請求項12乃至20のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項22】
前記ノズル検査手段は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴の重量を測定する重量測定手段を含むことを特徴とする請求項12乃至20のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項23】
複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記複数の吐出ノズルから液晶装置を構成する機能膜の材料を含む機能液を吐出し、前記基材上の機能膜形成領域に機能膜を形成する液晶装置の製造方法であって、
前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程と、
前記ノズル検査工程における検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記機能液の吐出量を決定する吐出量決定工程とを有し、
前記吐出量決定工程では、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記機能膜形成領域に吐出される前記機能液の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項24】
前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記機能液を吐出する吐出数を決定することを特徴とする請求項23に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項25】
前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記機能液を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量を決定することを特徴とする請求項23に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項26】
前記機能膜は、前記液晶装置を構成する配向膜であることを特徴とする請求項23乃至25のいずれか一項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項27】
複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させる相対移動装置とを備え、前記相対移動装置によって前記複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記複数の吐出ノズルから液晶装置を構成する機能膜の材料を含む機能液を吐出して、前記基材上の機能膜形成領域に前記機能液を配置する液晶装置の製造装置であって、
前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査手段と、
前記ノズル検査手段による検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記機能液の吐出量を、決定する吐出量決定手段とを備え、
前記吐出量決定手段は、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記機能膜形成領域に吐出される前記機能液の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項28】
前記機能膜は、前記液晶装置を構成する配向膜であることを特徴とする請求項27に記載の液晶装置の製造装置。
【請求項1】
複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記基材上の膜形成領域に前記複数の吐出ノズルから膜の材料を含む液状体を吐出し前記液状体を配置する膜形成方法であって、
前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程と、
前記ノズル検査工程における検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定する吐出量決定工程とを有し、
前記吐出量決定工程では、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする膜形成方法。
【請求項2】
前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する吐出数を決定することを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項3】
前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量を決定することを特徴とする請求項1に記載の膜形成方法。
【請求項4】
前記吐出量決定工程は、前記ノズル検査工程において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置と隣接する位置に前記液状体を配置する吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項5】
前記吐出量決定工程は、前記ノズル検査工程において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を挟んで隣接する位置に前記液状体を配置する2個の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項6】
前記吐出量決定工程は、前記ノズル検査工程において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を中心にして隣接する位置に前記液状体を配置する3個以上の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項7】
前記3個以上の吐出ノズルそれぞれが前記液状体を配置する位置と、前記吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置との距離によって按分し前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項6に記載の膜形成方法。
【請求項8】
前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を、吐出状態が適正ではないと判定された前記吐出ノズルが前記液状体を吐出しない状態で、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項9】
前記ノズル検査工程は、前記各吐出ノズルが吐出する吐出量を測定する吐出量測定工程を含み、
前記吐出量決定工程は、前記吐出量測定工程における前記各吐出ノズルの吐出量に応じて、前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項10】
前記ノズル検査工程は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴が着弾した状態を判断する工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項11】
前記ノズル検査工程は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴の重量を測定する重量測定工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の膜形成方法。
【請求項12】
複数の吐出ノズルと、前記複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させる相対移動装置とを備え、前記相対移動装置によって前記複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記複数の吐出ノズルから膜の材料を含む液状体を吐出して、前記基材上の膜形成領域に前記液状体を配置する膜形成装置であって、
前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査手段と、
前記ノズル検査手段による検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定する吐出量決定手段と、を備え、
前記吐出量決定手段は、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする膜形成装置。
【請求項13】
前記吐出量決定手段は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する吐出数を決定することを特徴とする請求項12に記載の膜形成装置。
【請求項14】
前記吐出量決定手段は、前記各吐出ノズルが前記液状体を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量を決定することを特徴とする請求項12に記載の膜形成装置。
【請求項15】
前記吐出量決定手段は、前記ノズル検査手段において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置と隣接する位置に前記液状体を配置する吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項16】
前記吐出量決定手段は、前記ノズル検査手段において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を挟んで隣接する位置に前記液状体を配置する2個の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項17】
前記吐出量決定手段は、前記ノズル検査手段において、吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置を中心にして隣接する位置に前記液状体を配置する3個以上の吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項18】
前記3個以上の吐出ノズルそれぞれが前記液状体を配置する位置と、前記吐出状態が適正ではないと判定された吐出ノズルが前記液状体を配置する位置との距離によって按分し前記液状体の吐出量を決定することを特徴とする請求項17に記載の膜形成装置。
【請求項19】
前記吐出量決定手段は、前記各吐出ノズルが吐出する前記液状体の吐出量を、吐出状態が適正ではないと判定された前記吐出ノズルが前記液状体を吐出しない状態で、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記膜形成領域に吐出される前記液状体の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする請求項12乃至18のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項20】
前記ノズル検査手段は、前記各吐出ノズルが吐出する吐出量を測定する吐出量測定手段を含み、
前記吐出量決定手段は、前記吐出量測定手段によって測定された前記各吐出ノズルの吐出量に応じて、前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする請求項12乃至19のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項21】
前記ノズル検査手段は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴が着弾した状態を判断する手段を含むことを特徴とする請求項12乃至20のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項22】
前記ノズル検査手段は、前記各吐出ノズルから吐出された液滴の重量を測定する重量測定手段を含むことを特徴とする請求項12乃至20のいずれか一項に記載の膜形成装置。
【請求項23】
複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記複数の吐出ノズルから液晶装置を構成する機能膜の材料を含む機能液を吐出し、前記基材上の機能膜形成領域に機能膜を形成する液晶装置の製造方法であって、
前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査工程と、
前記ノズル検査工程における検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記機能液の吐出量を決定する吐出量決定工程とを有し、
前記吐出量決定工程では、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記機能膜形成領域に吐出される前記機能液の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項24】
前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記機能液を吐出する吐出数を決定することを特徴とする請求項23に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項25】
前記吐出量決定工程は、前記各吐出ノズルが前記機能液を吐出する際の吐出一回あたりの吐出量を決定することを特徴とする請求項23に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項26】
前記機能膜は、前記液晶装置を構成する配向膜であることを特徴とする請求項23乃至25のいずれか一項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項27】
複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させる相対移動装置とを備え、前記相対移動装置によって前記複数の吐出ノズルと基材とを相対移動させながら、前記複数の吐出ノズルから液晶装置を構成する機能膜の材料を含む機能液を吐出して、前記基材上の機能膜形成領域に前記機能液を配置する液晶装置の製造装置であって、
前記各吐出ノズルの吐出状態を検査するノズル検査手段と、
前記ノズル検査手段による検査結果に応じて、前記各吐出ノズルが吐出する前記機能液の吐出量を、決定する吐出量決定手段とを備え、
前記吐出量決定手段は、前記複数の吐出ノズルと前記基材との一回の相対移動の間に、前記機能膜形成領域に吐出される前記機能液の総量が所定量となるように前記各吐出ノズルの吐出量を決定することを特徴とする液晶装置の製造装置。
【請求項28】
前記機能膜は、前記液晶装置を構成する配向膜であることを特徴とする請求項27に記載の液晶装置の製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−112972(P2009−112972A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290455(P2007−290455)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]