説明

臨床医駆動の例示ベースのコンピュータ支援診断

例示ベースのコンピュータ支援診断(CADx)の最適化は、データベース120における関心ボリュームVOI116を類似性の主観的評価に従ってそれぞれのクラスタにクラスタ化すること(S220)により達成される。それから、最適なセットの関心ボリュームVOI特徴は、主観ベースのクラスタリングを確かめるため、選択された特徴に基づいて類似性の客観的評価が、特徴空間においてデータベースVOIをクラスタリングするように、例をフェッチングするために選択される(S230)。フェッチングされた例は、臨床医による比較のため、診断されるVOIとともに表示される。好ましくは、表示される例は、予後、治療情報、フォローアップ情報、現在の状態、及び/又は電子カルテから取って来られる臨床情報を更に表示するため、ユーザが選択可能である(S260)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例示ベースのコンピュータ支援診断に関し、より詳細には、これによりデータベースから例をとってくるため、関心ボリューム(VOI)の最適なセットを選択することに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線技師は、コンピュータ断層撮影(CT)、X線、磁気共鳴イメージング(MRI)、超音波、陽電子放射断層撮影(PET)等により生成される多くのスキャンイメージを読み取らなければならない。これは、放射線技師にとって「情報過負荷」をもたらし得る。更に、放射線技師は、例えば癌のスクリーニングにおける画像の解釈の間、多くの癌を見逃し得る。情報過負荷は、潜在的にこの問題を悪化させる。後続のスキャンが癌を検出する場合でさえ、生存率は、早期診断により向上され得る。逆に、偽陽性は、不要な生検をもたらし得る。コンピュータ支援診断(CADx)方式のような決定支援システムは、ワークフロー及び患者の転帰の両方を改善するため、結果としてますます利用される。
【0003】
例示ベースのCADxシステムの背景は、臨床医が、経験、及び彼らが以前見たケースを参照することにより、知識を得ることである。ある態様では、決定支援システムが、例えば肺がんのCTスキャン(又はいずれかの他のモダリティスキャンX線、磁気共鳴イメージング(MRI)、超音波、陽電子放出断層撮影(PET)等)の診断において、臨床医を支援することができ、該態様は、診断されていて、且つ新たなものに類似している以前の画像を提示するべきである。例示ベースのパラダイムでは、診断されるべきものに類似する結節が、既知の診断で結節のデータベースから取り出され、放射線技師に提示される。これは、例示ベースのCADxシステムの基本的な前提である。
【0004】
例示ベース又はケースベースのCADxは、通常、情報、特に既知の病変の腫瘍又は損傷、すなわち悪性又は良性の情報をとってくることに関する。該情報は、通常、診断されるべき腫瘍の画像と視覚的に比較するため、腫瘍の画像を含む。腫瘍は、例えば患者の肺にあり得る。腫瘍の画像データは、複数のイメージング技術のうちの何れかにより取り込まれ得、これらのいくつかは、上で述べられている。画像から、腫瘍の特徴が、評価され得、各特徴は、腫瘍の特定の視覚的特徴を表わす。診断される腫瘍、及びデータベースの腫瘍は、共通特徴空間、すなわちN次元空間に位置され得、該N次元空間では、各次元がN個の測定される特徴のうちのそれぞれのものを表わす。診断される腫瘍に対する、いずれかのデータベースの腫瘍の類似性は、特徴空間における2つの腫瘍の近接性に基づいて、暫定的且つ客観的に評価され得る。通常、最も近い腫瘍が取って来られる。取って来られる例は、視覚的な比較のため、診断される腫瘍とともに表示され得る。例示ベースのCADxは、スキャンの診断において、医療人材の訓練にも役立ち得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例示ベースのCADx技術は、臨床医が、経験及び彼らが以前見たケースを参照することにより知識を得ることを背景に存在する。本願発明者は、異なる放射線技師が、2つのケースが類似かどうか、及びこれらがどのくらい類似かについて、異なる意見を有し得、診断される腫瘍と、既知の病変の腫瘍の画像との間の視覚的な比較に基づいて2つのケースが類似であるかどうかを事前に知ることは困難であることに気づいた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで、診断される腫瘍と、データベースにおける腫瘍との間の類似性の測定に使用される点間の距離の指標、及び特徴空間の決定に臨床医、例えば放射線技師の知識を使用することが提案される。ここで「点間」とは、ある点と複数の点との間の場合も含む。上述のように、2つのケースが類似であるかどうか事前に知ることが困難であるが、腫瘍類似性の主観評価に従って特定の特徴空間及び距離指標かどうかを判断することは、ここの提案に従って確実に評価され得る。これらの状態は、遺伝的アルゴリズム(GA)を使用する気にさせる。GAは、所与の問題に対して提案された解決策の候補のセットを繰り返し進化させる。染色体と呼ばれる全ての候補の解決策は、これらそれぞれの適応性に従って評価される。反復する停止基準が満たされない場合、現在のセットの染色体に基づいて、1又はそれより多くの新たな染色体が再生産される。適応性が評価され、停止基準は、次の反復に適用される。一度停止基準が満たされると、最も適応性のある染色体が選択される。即時の提案は、反復して適用される評価において、放射線技師による類似性の主観的な評価を考慮する。
【0007】
手短に、例示ベースのCADxを最適化することは、類似性の主観的評価により、データベースの関心ボリューム(VOI)をそれぞれのクラスタにクラスタリングすることにより達成される。画像ベース及び臨床(非画像ベース)の特徴を含む関心ボリューム(VOI)の特徴の最適なセットは、主観ベースのクラスタリングを保証するため、選択された特徴に基づいて類似性の客観的評価が、特徴空間においてデータベースVOIをクラスタリングするように例を取ってくるように選択される。
【0008】
新たな例示ベースのCADx技術の詳細は、以下の図面の助けを借りて、以下に詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明による例示ベースのコンピュータ支援診断CADx装置100の一例を図示し、これは、プロセッサ104及びディスプレイスクリーン108を含む。ディスプレイスクリーン108に示されるのは、診断されるべき結節、主要、損傷102である。ディスプレイは、好ましくは直に接する周りの組織のいくつかからなる。表示される結節、及びオプションとして直に接する周りの組織のいくつかを、以下では関心ボリューム(VOI)と呼ぶ。3つの例は、悪性腫瘍を含むVOI116a、及びそれぞれ良性腫瘍を有する2つのVOI116bからなる。3つの例のVOI116は、例フェッチングモジュール124により、プロセッサ104のデータベース120から取って来られる。例フェッチングモジュール124は、画像特徴及び類似性指標のような、パラメータ出力モジュール(図示略)により供給されるパラメータに基づいて動作し、これらのパラメータは、パラメータ抽出ユニット132により引き出される。パラメータ出力モジュールは、示された実施において、パラメータ抽出ユニット132と一体になっている。矢印128は、例フェッチングモジュール124により使用する抽出されたパラメータの転送を表わす。ユーザ入力手段134は、VOI116の間の類似性の主観的な評価におけるデータをパラメータ抽出ユニットに供給するために使用される。ユーザ入力手段134は、フロッピーディスク(登録商標)、光ディスクドライブ、及びオンラインネットワークへの有線又は無線接続、並びにキーボード、マウス、トラックボール、スライダ、ライトペン、タッチスクリーン等を含み得る。同様に、データベース120は、パラメータ抽出ユニットの入力として役立つ。例フェッチモジュール124により取って来られ、スクリーン上に表示される例は、選択された例に関する更なる臨床又は他の情報を表示するため、マウスでのクリック等により選択的に選択され得る。CADx装置100は、VOI112の画像データ、及びおそらく臨床データを記憶するメモリ(図示略)を含み、これは、例フェッチングモジュール124及びパラメータ抽出ユニット132により使用する作業メモリを含む。CADx装置100は、専用又は汎用目的のプロセッサであり得、アナログ又はデジタルであり得る。単に3つの例示的なVOI116が同時にディスプレイに表示されるが、より多く又はより少なく、ディスプレイ上、及びスクリーン108の周りのいずれかの実用的な空間配置にあり得る。同時のディスプレイは、悪性及び良性の両方のタイプのケースを有するが、2つのタイプのケースの1つのみが、いつでもVOI112とともにディスプレイ上にあり得る。どちらの事象においても、「悪性」及び/又は「良性」の表示は、表示される例116に始めに注釈をつけ得るか、又はユーザの指示に応答して育てられ得る。更に、機能は、異なる数の要素124,132の中で割り当てられ得、示されるものとは異なって配分され得る。例えばユニット132は、装置100の残りから離れて位置され得る。
【0010】
図2は、図示された例及び図示されていない例により、本発明による例示ベースのCADxのプロセス200を示す。第1に類似性の主観的評価は、データベース120のVOI116全体にわたってペアワイズ(pair-wise)をなされ得る(ステップS210)。評価は、臨床医、例えば放射線技師により、例えばインタビューを通じて作成される。評価は、好ましくは類似性の評価におけるこれらの重要性に従って、特徴の主観的なランキングを更に含む。この目的のため、VOI112,116の特徴は、VOIの画像から取り出すことが可能である抽出可能な特徴、例えば有効直径、真円度、コントラスト、平均グレイ値、角度、余白、密度、突起形成、ピクセル標準偏差、半径方向勾配指数等を含む。患者及びVOI特有の臨床データ、例えば年齢、癌履歴等も、特徴を構成し得る。評価から類似のVOI116が論理的な意味においてともにクラスタリングされる(ステップS220)。したがって、VOI116のサブセットが形成される。これらは、相互に排他的なサブセットであることを必要としない。主観ベースのクラスタリングは、手動で実行され得るか、又は好ましくはパラメータ抽出ユニット132により自動的に実行され得る。
【0011】
遺伝的アルゴリズム(GA)は、最適特徴空間、及び好ましくは最適特徴空間に使用する最適点間類似性基準を見つけるのに役立つ(S230)。最適特徴空間は、特徴のプールから取り出され、この一部の特徴は、ステップS220における特徴の主観的なランキングから取り出され得る。特徴のプールは、いずれかの抽出可能な画像特徴、又はデータベースにおけるVOI116に関連する関連臨床データをより包括的に含め得る。候補の類似性基準は、利用される点間距離指標に対してのみ、互いに異なり得る。
【0012】
新たな染色体がGAにおける再生産により生成されるたびに、染色体の適合性は評価される。各染色体が、それぞれのセットの特徴及び好ましくはそれぞれの距離指標を表わし、停止基準が満たされるときに最適な染色体が選択されるので、染色体の適合性の各々の評価は、反復プロセスの繰り返しを考慮され得る。反復して特徴のセット及び好ましくは距離指標が選択される。提案される適合性評価の性質により、反復が、時間をかけてVOI116の客観ベースのクラスタリングが、ステップS220の主観ベースのクラスタリングに類似するようにさせる傾向にある。適合性評価に使用される基準は、主観ベースのクラスタリングと客観ベースのクラスタリングの間の類似性の程度であり、これは、適合性が評価される現在の染色体に含まれる特徴のセットにより規定される特徴空間にクラスタリングする空間点である。好ましくは、染色体は、それぞれの距離指標も含み、これは、好ましくは客観ベースのクラスタリングに使用される。
【0013】
客観ベースの空間点クラスタリングに使用されるアルゴリズムの一例は、ファジーc-means法(FCM)である。これは、好ましい類似基準である。これは、一片のデータが2又はそれより多くのクラスタに属することを可能にするクラスタリングの方法である。この方法は、パターン認識にしばしば使用される。これは、以下の目的関数の最小化に基づく。

mは1より大きいいずれかの実数であり、uijはクラスタjにおけるxのメンバシップの度合いであり、xは、i番目のd次元測定データであり、cは、クラスタのd次元中心であり、||*||は、いずれかの測定されるデータと中心との間の類似性を表わすノルムである。中心の数Cを初期化するため、主観ベースのクラスタリングにより形成されるクラスタの数を使用することができる。中心cは、現在の特徴空間、すなわち現在適合性が評価される染色体により規定される特徴空間における客観ベースのクラスタの各々の重心に対応するようにまず設定される。利用されるノルムは、現在の染色体に含まれる距離指標である。
【0014】
指標がマハラノビス距離である場合、上の等式においてノルムされた量は、その代り、xとクラスタjの残りのメンバとの間のマハラノビス距離である。同様に、例示的検索(retrieval)において、VOI112に対して最も短いマハラノビス距離を有するグループの例が検索される。このような検索に対する遺伝的アルゴリズムは、本願と同一出願人により2005年1月21日に出願された国際特許公開公報WO2005073916において提供される。
【0015】
ファジー分割は、以下の式によりメンバシップuij及びクラスタ中心cを更新して、上記目的関数の反復最適化を通じて実行される。

【0016】
反復は、maxij{|uij(k+1)-uij(k)|}<εの場合であって、ただしεが0と1との間の停止基準である場合に停止し、kは反復ステップである。この手順は、局部最小又はJの鞍部に収束する。
【0017】
アルゴリズムは、以下のステップから構成される。
1.U=[uij]行列、U(0)を初期化する
2.k番目のステップにおいて、U(k)を用いて中心ベクトルC(k)=[c]を計算する

3.U(k)、U(k+1)を更新する

4.||U(k+1)―U(k)||<εならば、停止し、そうでなければステップ2に戻る。
【0018】
行列Uの要素は、0と1との間の数であり、これらの要素は、メンバシップ関数から取り出される。行列Uにおける係数が全て0又は1である場合、各データは、1つのクラスタのみに属し得る。これは、以下に示されるケース(a)の場合である。ケース(b)の場合、メンバシップはファジーである。

【0019】
行及び列の数は、いくつのデータ及びクラスタを考慮しているかに依存する。より正確には、C=2列(C=2クラスタ)及びN行を有し、Cは、クラスタの総数であり、Nはデータの総数である。包括的要素も示され、uijである。
【0020】
他の特性は、以下に示される。

【0021】
FCMについての更なる詳細は、J.C.Dunn(1973)"A Fuzzy Relative of the ISODATA Process and Its Use in Detecting Compact Well-Separated Clusters",Journal of Cybernetics 3:32-57において説明され、FCM技術は、J.C.Bezdek(1981):"Pattern Recognition with Fuzzy Objective Function Algorithms", Plenum Press,New Yorkにおいて更に発展され、これらの両方とも、全体を参照することによりここに組み込まれる。
【0022】
独創的な例示ベースのCADxにおける適合度関数は、より大きな適合度が、客観ベースのクラスタリングと主観ベースのクラスタリングとの間におけるサブセットのメンバシップの不適合度が小さいことによるものとする。
【0023】
GAの停止基準は、所与の数の再生産/評価サイクル、又は染色体の十分高い適合度であり得る。停止するときにおいて、最も適合した染色体が選択され、これにより、染色体に含まれる対応するセットの特徴も選択し、オプションとして染色体に含まれる距離指標も選択する。
【0024】
最終的に選択されたセットの特徴、及びオプションとして最終的に選択された距離指標は、例フェッチモジュール124により使用するため、パラメータ取り出しユニット132により出力されるパラメータを選択的に構成する。最終的に選択されたセットは、特徴空間におけるVOI112の位置決めにおいて評価されるVOI112の特徴を含む(ステップS240)。特徴空間は、最終的に選択されるもの、すなわち最終的に選択されるセットの特徴により規定される特徴空間である。好ましくは、VOI116の全てが、特徴空間に対応して位置されるように評価される。
【0025】
GA染色体における距離指標を含む好ましい実施例において、最終的に選択された距離指標は、好ましくは、最適な点間類似性により利用され、スクリーン上に表示するため、データベース120から例116を取り出すことにおいて、例フェッチングモジュール124により利用される(ステップS250)。したがって、VOI112から最小距離の例が取り出される。距離指標の中で、利用可能なものは、ユークリッド距離、シティブロック距離、及びマハラノビス距離である。好ましくは、取って来られた例は、臨床医により視覚的に比較するために診断されるVOI112とともに表示される(ステップS260)。各例の隣に、好ましくは、例がVOI112にどのくらい類似しているかの表示が示される。表示される類似性の数値(figure)は、VOI12からの距離に基づく。より近い例116が、より類似していると認められ、より遠い例は、あまり類似していないとみなされる。距離は、スクリーン上の表示のための指標、例えばパーセンテージを生成するため、参照距離に対して比較され得る。ある例116は、90%の類似度であり得、一方他の例は、80%の類似度に過ぎない。カットオフは、例えば病院プロトコルに基づいて自動的に設定され得るか、カットオフよりも低い類似性が、例116の表示を抑えるように、ユーザの裁量により設定され得る。
【0026】
好ましい実施例において、スクリーン上の例は、更なる情報のためにマウスを使用する等により、ユーザにより個々に選択可能である。データベース120の例116の各々に対して、臨床医は診断をし、好ましくは、病変に関連するグランドトゥルース(ground truth)の決定により裏付けられる。病変のグランドトゥルースは、例えば生検、他の外科処置、又は病気の観察経過により引き起こされる。予後は、患者に対してもなされ得る。更に、施設において維持される電子カルテ(EMR)は、医療履歴を利用可能にし、通常これは、例えば化学療法又は手術のような施される治療のタイプ及び次の結果を示すであろう。特定の患者データへアクセスする用意ができていることが望ましいであろう。例えば化学療法は、高齢の患者において成功した結果をもたらし得ない一方、類似の腫瘍に対する同じ処置が、より若い患者に適していることがあり得る。治療過程は、患者の寿命を延ばし得るが、比較的生活の質を低下させる。したがって、EMR又は他のものを通じて得られる予後、治療計画、及び他の関連する患者データについての情報は、好ましくは、表示される例116とともにあるメニュー、ハイパーリンク等を選択することにより、ユーザにより即座に利用可能である(ステップS270)。それから、特に表示される例は、予後、治療情報、追加の情報、現在の状態、及び/又はEMRから取り出される臨床情報を更に表示するため、ユーザが選択可能である。同じ患者に対して1より多くスキャンした結果、データベース120における複数のVOI116となり、スクリーン上に呼び出され得るリンクされた情報は、各々がそれぞれの例に対応する複数のリンクを有し得る。
【0027】
図3は、VOI116の中の主観的な類似性評価に使用され得る表を提供する。一例として、面接される臨床医は、VOI116の11とともに提示され得る。11のうちの1つが、基準として役立ち、他の10は、基準に対して比較される。
【0028】
VOI比較及び特徴ランキング表304は、10のVOIの各々に対して一行を有する。
【0029】
10のVOIのうちの第1のもの308は、第1特徴312の利点により、基準に類似するように臨床医により判定される。それゆえ「S」が、(1,1)エントリに挿入される。いくつかの特徴が上記のように臨床データのアイテムであり得るが、類似性は、通常VOI116の画像から視覚的に評価される。同様に、臨床医は、第2特徴316に基づいて類似性を評価し、対応する「S」エントリは、(1,3)エントリに挿入される。臨床医は、第2特徴316を、第1特徴312よりも2つのVOIの類似性の評価においてより重要であるとし、したがって、第2特徴を一つ高くランク付けする。VOIの全体として、行1におけるこの第1のVOI308は、1のランクを有し、基準に最も類似するとして指定される。行2からわかるように、臨床医は、類似性における結論に到達しない。第3のVOI320は、基準に対する類似性を評価されるが、臨床医は、どの特徴が評価をもたらすか、又は類似性の全体のランクをもたらすかについての情報を供給しない。第4のVOI324に対して、3つの特徴が示されるが、類似性の全体のランクに到達することにおける、これらの相対的な重要性に関してランクづけされない。同じ生データが、非類似に関して供給され得る。したがって、8番目のVOI328は、基準に対して非類似であることを判定され、第1の特徴312は、第3の特徴330よりも評価においてより重要である。10のVOI116を基準に対して比較するプロセスは、各表304に対して異なるVOI/基準で繰り返される。
【0030】
好ましくは、異なる臨床医が評価を行う。この意図は、「類似性/非類似性のグランドトゥルース」を達成することである。時々、臨床医は、自身の結論に達する特徴を指摘し得る。しかしながら、臨床医は、具体的になぜか知ることなく結論に到達し得る。後者の場合に固有のグランドトゥルースは、結果となる主観ベースのクラスタリングにより表わされる全体のグランドトゥルースの要素として取り込まれる。好ましい実施例において、VOI116又は基準の病理学的状態、すなわち悪性又は良性の開示が、臨床医に対してなされない。これは、類似性についての臨床医の判定にバイアスをかけるのを避けるためである。しかしながら、代替として、事前に病変を開示することは可能である。
【0031】
この生データ収集ステージにおいて必要とされる比較の数を最小化するため、2つのVOI116は、これらの両方が同じ基準に類似する場合、類似することを仮定され得る。類似性/非類似性の十分な量の情報が収集されたとき、最終的な評価が、ペアワイズ類似性においてなされ、それからクラスタリングにおいてなされる。
【0032】
ペアワイズ類似性における最終的な評価は、類似性/非類似性の表332に入力される。表は対称的なマトリクスであり、この診断エントリは、全て「S」エントリをもつ類似性を示す。第3及び第4行(列)のVOI336、340は、第1行(列)のVOI344に類似するので、(3,4)及び(4,3)エントリに「S」で示されるように、これらは互いに類似である。第2行(列)のVOI348は、行列位置(1,2)又は(2,1)におけるエントリ「D」により示されるように、VOI344と類似しない。したがって、第1、第3、第4行のVOI336,340,344は、同じクラスタにあり、第2行のVOI348は、該クラスタにない。表のエントリにおけるクエスチョンマーク(?)は、対応するVOIが両方とも共通の参照に対して非類似であると評価されること、並びに2つのVOI間の類似性及び非類似性を示す更なる評価が存在しないことを示す。VOI比較及び特徴ランキング表304のステージにおける評価に対するVOI116の注意深い選択は、クエスチョンマークのエントリの数を最小化するであろう。クエスチョンマークのエントリは、放射線技師からの更なる入力に基づいて、置き換えられ得る。2つの異なるVOI比較及び特徴ランキング表304が、特定の対のVOI116の間の類似/非類似のそれぞれの評価において衝突する場合、特徴ランキングの存在又は不存在、及び利用可能であれば全体のランキングが、ある態様又は他の態様で前記衝突を解決するために使用され得る。
【0033】
図4は、GAにおける適合性評価に対する現在の染色体400の例示的なフォーマットを図示する。染色体400は、特徴ビットマップ410と距離指標指数420とを含む。特徴ビットマップ410は、特徴プールにおける各特徴に対して1ビットを有する。ビットが設定される、すなわち0ではなく1である場合、セットのビットに対応する特徴は、染色体400に含まれる特徴のセットにおける特徴の1つである。したがって、10ビットがセットである場合、この染色体は、10桁の特徴空間を表わし、この大きさは、それぞれのセットのビットにより示される特徴の各々である。距離指標指数420は、ceiling(log2(M))ビットの長さを有し、Mは候補の距離指標の数であり、ceiling関数は、この引数よりも大きい最小の整数を返す。したがって、M=10の場合、距離指標指数は、4ビット長である。
【0034】
GAのルールは、好ましくは組み合わせの技術として、指数のトレーリングビット420とマップのトレーリングビット410とのスワッピングを必要とする。カットオフビットは、固定され得るか、ランダムに変化させられ得る。他の再生産技術として、突然変異(Mutation)が、時間的な意味で相対的にわずかに呼び出され得る。最適状態へのより早い収束を達成するため、VOI比較における特徴ランキング、及び特徴ランキング表304が、染色体の初期の数の特徴ビットの設定に使用され得る。
【0035】
本発明の好ましい実施例に適用して、本発明の原理の新規の特徴が示され、説明され、指摘されるが、図示された装置の形態及び詳細、並びにこれらの動作において、様々な省略、代替、及び変更は、本発明の趣旨から逸脱することなく当業者によりなされ得ることは、理解されるであろう。例えばユーザインタフェースは、それぞれの距離指標に対して特徴の重み付けの指定を可能にし得る。本発明のいずれかの開示形態または実施例と関連して示され、及び/又は記載される構造、及び/又は要素、及び/又は方法のステップは、通常の設計選択の問題として、いずれかの他の開示又は記載又は提案された形態又は実施例に組み込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明による例示的なCADxシステムの概略を提供する機能的な図である。
【図2】図2は、本発明による手順の一例の概略を提供するフローチャートである。
【図3】図3は、本発明により、類似の腫瘍のクラスタを形成するように、データベースにおける腫瘍の間の類似性の主観的な評価に使用され得る表を図示する。
【図4】図4は、本発明による遺伝的アルゴリズムに使用可能な染色体のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
例示ベースのコンピュータ支援診断を最適化する装置であって、
主観的な類似性の評価によりデータベースVOIをそれぞれのクラスタにクラスタ化することを確認するため、客観的な類似性の評価が、選択された特徴に基づいて、データベースにおける関心ボリューム(VOI)を特徴空間においてクラスタ化するように、例をフェッチングする最適なセットの関心ボリューム(VOI)の特徴を選択する、パラメータ抽出ユニットと、
出力として前記選択されたセットを供給する出力モジュールと、
を含む装置。
【請求項2】
前記選択が、前記例のフェッチングに使用する最適類似性基準を選択する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記選択が、点間距離指標を選択し、前記最適類似性基準が、前記選択された特徴により規定される前記特徴空間における、客観評価ベースのクラスタリングに利用される前記指標を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記セットの前記特徴が前記特徴空間を規定する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記選択が、前記最適セットに到達するため、VOI特徴のセットを繰り返し選択することを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
遺伝的アルゴリズムが、前記繰り返し選択を実行する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
所与の繰り返しが、前記繰り返しのために特徴空間を規定するそれぞれのセットを選択する、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記主観的評価が、前記データベースモジュールのペアワイズ比較におけるパーセプトロンに基づいて、前記データベースVOIを前記それぞれのクラスタに割り当てることを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記特徴の中に含まれるものが、前記VOIにおけるVOIの画像の特徴である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記特徴の中に含まれるものが、前記VOIにおけるVOIに関連する臨床データである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
請求項1の装置を含む例示ベースのコンピュータ支援診断システムであって、
関心ボリューム(VOI)を含むデータベースと、
診断される関心ボリュームを、前記選択されたセットに基づいて評価し、前記評価の出力に基づいて、前記VOIを含むデータベースから前記例のフェッチングを実行する、
前記出力モジュールに通信的に接続されたフェッチングモジュールと、
前記フェッチングされた例を表示するディスプレイと
を更に含む、システム。
【請求項12】
ユーザ制御部とプロセッサとを更に含み、前記プロセッサが、前記フェッチングされた例を前記ディスプレイに表示し、前記ユーザ制御部により選択される前記フェッチングされた例の表示されたものに対して、予後、治療情報、フォローアップ情報、現在の状態、及び電子カルテから得られる臨床情報のうちの少なくとも一つを表示する、請求項11に記載の例示ベースコンピュータ支援診断システム。
【請求項13】
プロセッサにより複数の動作を実行することが可能な命令を有するコンピュータプログラムを実現するコンピュータ可読媒体を含む例示ベースコンピュータ支援診断のためのコンピュータソフトウェアであって、前記複数の動作は、
主観的な類似性の評価によりデータベースVOIをそれぞれのクラスタにクラスタリングすることを確認するため、前記選択された特徴に基づいて、客観的な類似性の評価が、特徴空間において、データベースのVOIをクラスタ化するように、例をフェッチングする、VOI特徴の最適セットを選択するステップと、
出力として前記選択されたセットを供給するステップと
を含む、コンピュータソフトウェア。
【請求項14】
例示ベースコンピュータ支援診断を最適化するためのコンピュータで実施される方法であって、
データベースにおける関心ボリュームを主観的な類似性の評価に従ってそれぞれのクラスタにクラスタ化するステップと、
前記クラスタ化するステップを確認するため、客観的な類似性評価が、前記選択された特徴に基づいて、前記データベースVOIを特徴空間においてクラスタ化するように、例をフェッチングする関心ボリュームの特徴の最適セットを選択するステップと、
を含む方法。
【請求項15】
前記例のフェッチングにおいて、前記選択するステップの選択に、最適類似性基準を利用するステップを更に有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記選択するステップが、点間の距離指標を選択し、前記最適類似性基準が、前記選択される特徴により規定される前記特徴空間における客観評価ベースのクラスタリングに利用される前記指標を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記セットの特徴が、前記特徴空間を規定する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記選択するステップが、前記最適セットに到達するため、VOI特徴のセットを反復して選択するステップを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
遺伝的アルゴリズムが、前記反復して選択するステップを実行する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
所与の反復が、前記反復する特徴空間を規定するそれぞれのセットを選択する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記主観的な評価を実行するステップが、前記データベースモジュールのペアワイズ比較におけるパーセプトロンに基づいて、前記データベースVOIを前記それぞれのクラスタに割り当てるステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記特徴の中に含まれるものが、前記VOIのうちのVOIの画像の特徴である、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記特徴の中に含まれるものが、前記VOIのうちのVOIに関連する臨床データである、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−540451(P2009−540451A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514976(P2009−514976)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052307
【国際公開番号】WO2007/144854
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】