説明

自動分析装置、サーバ、操作情報送信方法、および操作履歴送信方法

【課題】操作入力に起因するエラーが発生した場合であってもエラーの発生原因の迅速な究明を支援することができる自動分析装置、サーバ、操作情報送信方法、および操作履歴送信方法を提供する。
【解決手段】自動分析装置で入力された操作情報を、通信ネットワークを介して自動的にサーバへ送信し、サーバ側で記憶、管理する。サーバは、利用者端末から自動分析装置の操作履歴情報の送信要求が送信されてきたとき、この操作履歴送信要求に対応する操作履歴を記憶部で記憶する操作履歴情報から検索し、検索の結果得られた操作履歴を利用者端末へ送信するようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって検体の成分を分析する自動分析装置、当該自動分析装置と通信ネットワークを介して接続されるサーバ、自動分析装置が操作情報を送信する操作情報送信方法、および操作履歴情報を記憶するサーバが操作履歴を送信する操作履歴送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって検体の成分を分析する自動分析装置においては、エラー発生時に原因を究明するための様々な技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
例えば、エラー発生の原因がオペレータの操作ミスである場合の対処法として、自動分析装置がオペレータの操作履歴を記憶しておき、異常発生時にメインテナンスを行うサービスマンが操作履歴を見て判断する技術が知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−170868号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動分析装置は、分析対象の検体の情報を保護する等の目的により、一般に外部の端末から自動分析装置が記憶するデータの読み取りを行うことができない構成を有している。このため、オペレータの操作入力に起因したエラーが発生した場合、サービスマンは、現場に出向いて操作履歴を見るか、または電話等によって操作履歴の内容を把握するしか操作履歴を把握する手立てはなく、問題を解決して復旧するまでに多くの時間を費やしてしまうことがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操作入力に起因するエラーが発生した場合であってもエラーの発生原因の迅速な究明を支援することができる自動分析装置、サーバ、操作情報送信方法、および操作履歴送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る自動分析装置は、通信ネットワークを介してサーバと通信可能に接続されており、検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって前記検体の成分を分析する自動分析装置であって、当該自動分析装置を操作する操作情報の入力を受ける入力手段と、前記入力手段によって入力された操作情報を前記サーバへ送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記送信手段は、前記入力手段によって操作情報が入力されるたびに、入力された操作情報を前記サーバへ送信することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る自動分析装置は、上記発明において、前記送信手段は、前記入力手段によって入力された操作情報を所定の周期で前記サーバへ送信することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るサーバは、検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって前記検体の成分を分析する自動分析装置と通信ネットワークを介して通信可能に接続されるとともに、前記通信ネットワークを介して利用者端末と通信可能に接続されるサーバであって、前記自動分析装置が送信する前記自動分析装置の操作情報および前記利用者端末が送信する前記自動分析装置の所定期間における操作履歴送信要求を受信する受信手段と、前記受信手段が前記自動分析装置から受信した操作情報を時系列に沿って並べた操作履歴情報を記憶する記憶手段と、前記受信手段が前記利用者端末から受信した操作履歴送信要求によって要求される操作履歴を前記記憶手段が記憶する操作履歴情報から検索して取得する検索手段と、前記検索手段が検索して取得した操作履歴を前記利用者端末へ送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るサーバは、上記発明において、前記記憶手段は、前記自動分析装置の操作入力に起因するエラーが発生した場合のエラー操作履歴情報を記憶することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るサーバは、上記発明において、前記検索手段が検索して取得した操作履歴に含まれるエラー操作履歴の有無を判定する判定手段をさらに備え、前記送信手段は、前記判定手段の判定結果に応じた前記操作履歴の関連情報を前記操作履歴とともに前記利用者端末へ送信することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る操作情報送信方法は、通信ネットワークを介してサーバと通信可能に接続されており、検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって前記検体の成分を分析する自動分析装置が、入力手段によって入力された当該自動分析装置を操作する操作情報を前記サーバへ送信することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る操作情報送信方法は、上記発明において、前記入力手段によって操作情報が入力されるたびに、入力された操作情報を前記サーバへ送信することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る操作情報送信方法は、上記発明において、前記入力手段によって入力された操作情報を所定の周期で前記サーバへ送信することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る操作履歴送信方法は、検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって前記検体の成分を分析する自動分析装置と通信ネットワークを介して通信可能に接続されるとともに、前記通信ネットワークを介して利用者端末と通信可能に接続され、前記自動分析装置から受信した前記自動分析装置の操作情報を時系列に沿って並べた操作履歴情報を記憶する記憶手段を備えたサーバが、前記利用者端末が送信する前記自動分析装置の所定期間における操作履歴送信要求を受信する受信ステップと、前記受信ステップで受信した操作履歴送信要求によって要求される操作履歴を前記記憶手段が記憶する操作履歴情報から検索して取得する検索ステップと、前記検索ステップで検索して取得した操作履歴を前記利用者端末へ送信する送信ステップと、を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る操作履歴送信方法は、上記発明において、前記記憶手段は、前記自動分析装置で操作入力に起因するエラーが発生した場合のエラー操作履歴情報を記憶し、前記送信ステップの前に、前記検索ステップで検索して取得した操作履歴と前記記憶手段で記憶するエラー操作履歴情報とを比較することによって前記操作履歴に含まれるエラー操作履歴の有無を判定する判定ステップをさらに行い、前記送信ステップは、前記判定ステップで判定した結果、前記操作履歴に含まれるエラー操作履歴がある場合、このエラー操作履歴に関する情報を前記操作履歴の関連情報として前記利用者端末へ送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、自動分析装置で入力された操作情報を、通信ネットワークを介して自動的にサーバへ送信し、サーバ側で記憶、管理する構成とする一方、サーバでは利用者端末からの送信要求に応じた自動分析装置の操作履歴を利用者端末へ送信する。このため、サービスマンは、利用者端末を介して所望の自動分析装置の操作履歴を随時閲覧することができる。したがって、自動分析装置が操作入力に起因するエラーを生じた場合、サービスマンは現場に居合わせなくてもエラーの内容を把握できる可能性が高くなり、早期の問題解決を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以後、「実施の形態」と称する)を説明する。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る自動分析装置および当該自動分析装置の管理用のサーバを含むシステムの全体構成を示す図である。同図に示す自動分析装置1およびサーバ3は、通信ネットワークNを介して通信可能に接続されている。また、自動分析装置1およびサーバ3は、通信ネットワークNを介して利用者端末5にも通信可能に接続されている。
【0021】
自動分析装置1は、検体(試料)および試薬を反応容器にそれぞれ分注し、その反応容器内で生じる反応を光学的に測定する測定ユニット101と、測定ユニット101を含む自動分析装置1の制御を行うとともに測定ユニット101における測定結果の分析を行うデータ処理ユニット201とを有し、これら二つのユニットが連携することによって複数の検体の成分の生化学的な分析を自動的かつ連続的に行う装置である。
【0022】
測定ユニット101は、検体を収容する検体容器71が搭載された複数のラック81を収納する検体容器保持部11と、試薬容器72を保持する試薬容器保持部12と、検体と試薬とを反応させる反応容器73を保持する反応容器保持部13と、検体容器保持部11が保持する検体容器71が収容する検体を反応容器73に分注する検体分注部14と、試薬容器保持部12が保持する試薬容器72が収容する試薬を反応容器73に分注する試薬分注部15と、反応容器73内部の液体を攪拌する攪拌部16と、光源から照射されて反応容器73を通過した光を受光して所定の波長成分の強度等を測定する測光部17と、反応容器73の洗浄を行う反応容器洗浄部18と、を備える。
【0023】
データ処理ユニット201は、キーボードやマウスなどを有し、検体の分析に必要な情報や自動分析装置1の操作情報が入力される入力部21と、液晶等のディスプレイ装置やプリンタを有し、検体の分析に関する情報等を出力する出力部22と、入力部21から入力された操作入力を通信ネットワークNを経由してサーバ3へ送信する送信部23と、自動分析装置1の制御を行う制御部24と、検体の分析に関する情報を含む各種情報を記憶する記憶部25と、を備える。
【0024】
制御部24は、測定ユニット101における測定結果に基づいて所定の演算を行うことにより、検体の成分の分析データを生成するデータ生成部241を有する。データ生成部241は、測光部17から送られてくる測定結果に基づいて反応容器73内部の液体の吸光度を算出したり、吸光度の算出結果と検量線や分析パラメータ等の各種情報とを用いて反応容器73内部の液体の成分を算出したりする。
【0025】
記憶部25は、データ生成部241が生成した分析データのほか、分析項目、検体情報、試薬の種類、検体や試薬の分注量、検体や試薬の有効期限、分析に使用する検量線に関する情報、分析に必要なパラメータなどを記憶する。また、記憶部25は、入力部21によって入力され、送信部23によってサーバ3へ送信される操作情報を記憶する。記憶部25における操作情報の記憶は一時的なものであってもよく、サーバ3へ送信された操作情報を自動的に消去するようにしてもよい。
【0026】
以上の構成を有するデータ処理ユニットは201は、CPU,ROM,RAM等を具備したコンピュータによって実現される。
【0027】
サーバ3は、各種情報が入力される入力部31と、サーバ3の処理内容に応じた情報を出力する出力部32と、通信ネットワークNを介して送信されてくる情報を受信する受信部33と、通信ネットワークNを介して情報を送信する送信部34と、サーバ3の制御を行う制御部35と、自動分析装置1の操作履歴を含む各種情報を記憶する記憶部36と、を備える。
【0028】
制御部35は、利用者端末5が送信する自動分析装置1の所定期間における操作履歴の送信要求(操作履歴要求)によって要求される操作履歴を記憶部36から検索して取得する検索部351を有する。
【0029】
記憶部36は、受信部33が自動分析装置1から通信ネットワークNを介して受信した操作情報を時系列に沿って蓄積した操作履歴情報361を、自動分析装置1を識別する装置ID等の識別情報とともに記憶している。なお、ここでいう操作履歴情報361には、操作の内容や操作日時などの情報が含まれる。
【0030】
利用者端末5は、コンピュータ、携帯電話、PDAなどの電子機器によって実現され、各種情報を表示する表示部51を有する。
【0031】
通信ネットワークNは、インターネット、電話網、パケット網、WAN(Wide Area Network)、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、専用回線網、イントラネット等、所定の形式に従って電気的な信号の送受信を行うことができれば如何なるものであっても構わない。また、通信ネットワークNは、前述した各種ネットワークを適当に組み合わせたものであってもよい。
【0032】
図2は、自動分析装置1とサーバ3との通信の概要を示す処理フロー図である。自動分析装置1の入力部21で操作情報が入力される(ステップS1)と、送信部23はその操作情報をサーバ3へ送信する(ステップS2)。このステップS2で、送信部23は、操作情報とともに自動分析装置1の識別情報(装置ID等)も送信する。
【0033】
その後、サーバ3は、自動分析装置1から通信ネットワークNを介して送られてくる操作情報を受信し(ステップS3)、この受信した操作情報を記憶部36に書き込むことによって操作履歴情報361を更新する(ステップS4)。
【0034】
以上のように、自動分析装置1は、入力部21で操作情報が入力されるたびに、入力された操作情報をサーバ3へ自動的に送信するので、操作情報を受信するサーバ3は、自動分析装置1における操作履歴を自動的に収集し、随時更新することができる。
【0035】
なお、自動分析装置1の送信部23が、入力部21で入力された操作情報を所定の周期でサーバ3へ送信するようにしてもよい。この場合には、1つの周期の間に入力された操作情報が一括して送信されることとなるため、未送信の操作情報は記憶部25で記憶しておき、送信部23が送信する際には、記憶部25が記憶している未送信の操作情報を読み出して送信する。この場合、記憶部25が記憶している操作情報には、サーバ3への送信が行われたか否かを判別可能なフラグが設けられていることが望ましい。
【0036】
一般に、自動分析装置は、分析対象の検体に関連した個人情報を取り扱うため、外部からの通信が制限されている。このため、従来の自動分析装置では、操作履歴を自動分析装置自身が備える記憶部で記憶していた。これに対して、本実施の形態においては、自動分析装置1が操作情報を自発的にサーバ3へ送信する構成としているため、サーバ3は自動分析装置1が送信する操作情報を受信するだけで自動分析装置1の操作履歴を自動的に収集することができる。したがって、サーバ3は、自動分析装置1の稼働状況をほぼリアルタイムで把握することが可能となる。
【0037】
図3は、サーバ3と利用者端末5との通信の概要を示す処理フロー図である。図3において、まず利用者端末5が操作履歴要求をサーバ3へ送信する(ステップS11)。この操作履歴要求には、要求対象の自動分析装置1の識別情報や、要求する操作履歴の期間などの情報も含まれる。
【0038】
サーバ3の受信部33が、利用者端末5から通信ネットワークNを介して送信されてくる操作履歴要求を受信(ステップS12)すると、検索部351は、受信した操作履歴要求によって要求される操作履歴を記憶部36が記憶する操作履歴情報361から検索して取得する(ステップS13)。
【0039】
その後、サーバ3の送信部34は、検索部351が取得した操作履歴を自動分析装置1の識別情報等とともに利用者端末5へ送信する(ステップS14)。
【0040】
利用者端末5は、サーバ3が送信した操作履歴を受信し(ステップS15)、この受信した操作履歴を表示部51で表示出力する(ステップS16)。
【0041】
図4は、利用者端末5の表示部51における操作履歴の表示例を示す図である。同図に示す表示画面91は、識別情報として装置ID123456を有する自動分析装置1において、「2007年8月1日10時5分〜2007年8月1日10時55分」の期間に入力された操作履歴を表示している。図4に示す場合、操作履歴は、「メニュー」、「(メニューの)操作内容」および「操作日時」から構成されている。例えば、1行目にある「スタート条件設定」というメニューの操作内容は「開く」であり、この操作を行った日時は「2007年8月1日10時5分」であることが示されている。
【0042】
なお、図4に示す表示画面91は、例えばHTML(Hyper Text Markup Language)形式を用いて記述されており、通常のブラウザ機能を有するディスプレイを具備した装置であれば表示可能なものである。
【0043】
このように、本実施の形態1では、利用者端末5を用いた自動分析装置1の操作履歴の閲覧を行うことができるため、サービスマンは、自動分析装置1の近くに居合わせなくても、所望の期間における自動分析装置1の操作履歴を把握することが可能となる。したがって、自動分析装置1のオペレータからエラー発生の連絡を受けたサービスマンが、現地へ赴く前に利用者端末5で操作履歴を見て故障の原因を解析することができる。この結果、場合によってはサービスマンが自動分析装置1まで行かずに自動分析装置1を復旧させることができるようになり、迅速なサービスを提供することができ、メインテナンスに要するコストを削減することができる。
【0044】
なお、ステップS13で検索部351が検索した結果、利用者端末5からの操作履歴要求に該当する操作履歴を取得することができなかった場合、サーバ3は利用者端末5へエラーメッセージを送信するようにしてもよい。この場合、エラーメッセージを受信した利用者端末5の表示部51は、サーバ3から受信したエラーメッセージを表示出力する。
【0045】
また、操作履歴要求をサーバ3自身の入力部31から入力し、その検索結果(操作履歴)をサーバ3の出力部32によって表示出力するようにしてもよい。
【0046】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、自動分析装置で入力された操作情報を、通信ネットワークを介して自動的にサーバへ送信し、サーバ側で記憶、管理する構成とする一方、サーバでは利用者端末からの送信要求に応じた自動分析装置の操作履歴を利用者端末へ送信する。このため、サービスマンは、利用者端末を介して所望の自動分析装置の操作履歴を随時閲覧することができる。したがって、自動分析装置が操作入力に起因するエラーを生じた場合、サービスマンは現場に居合わせなくてもエラーの内容を把握できる可能性が高くなり、早期の問題解決を図ることが可能となる。
【0047】
また、本実施の形態1によれば、操作履歴情報を参照することによって自動分析装置の各機能の利用頻度や操作傾向などを把握することもできる。したがって、収集した操作履歴情報を、操作入力ミスに起因するエラーを防止する技術の開発を含む新規商品開発に反映させることも可能となる。
【0048】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2に係るサーバを含むシステムの全体構成を示す図である。同図に示すサーバ4の構成は、制御部41と記憶部42の各構成を除いて上記実施の形態1に係るサーバ3の構成と同じである。また、サーバ4以外のシステムの構成は、上述した実施の形態1と同じである。このため、図1と同じ機能を有する構成要素に対しては、図1と同じ符号を付してある。
【0049】
サーバ4の制御部41は、利用者端末5が送信する操作履歴要求によって要求される操作履歴を記憶部42から検索して取得する検索部411と、検索部411が取得した操作履歴にエラーの原因となる操作履歴(エラー操作履歴)が含まれているか否かを判定する判定部412とを有する。
【0050】
記憶部42は、受信部33が自動分析装置1から通信ネットワークNを介して受信した操作情報を時系列に沿って蓄積した操作履歴情報421と、自動分析装置1におけるエラー操作履歴情報422とを記憶する。このうち、エラー操作履歴情報422は、自動分析装置1の操作入力時のエラー操作履歴とエラーの内容とを対応付けて記憶している。エラー操作履歴情報422は、自動分析装置1で操作入力のミスに起因するエラーが発生するたびに、サービスマンが、サーバ4の入力部31から入力するようにしてもよいし、利用者端末5で入力し、通信ネットワークNを介してサーバ4へ送信するようにしてもよい。
【0051】
図6は、サーバ4と利用者端末5との通信の概要を示す処理フロー図である。図6において、まず利用者端末5が操作履歴要求をサーバ4へ送信する(ステップS21)。
【0052】
サーバ4の受信部33が、利用者端末5から通信ネットワークNを介して送信されてくる操作履歴要求を受信(ステップS22)すると、検索部411は、受信した操作履歴要求によって要求される操作履歴を記憶部42が記憶する操作履歴情報421から検索して取得する(ステップS23)。
【0053】
次に、サーバ4の判定部412は、記憶部42が記憶するエラー操作履歴情報422を参照し、ステップS23で検索部411が取得した操作履歴にエラー操作履歴が含まれるか否かを判定する(ステップS24)。
【0054】
その後、サーバ4の送信部34は、判定部412における判定結果に応じて、検索部411が取得した操作履歴および関連情報を利用者端末5へ送信する(ステップS25)。ここでいう関連情報は、判定部412の判定結果に応じて異なる。判定部412が判定した結果、操作履歴にエラー操作履歴が含まれる場合の関連情報は、そのエラー操作履歴に該当する箇所を表示部51で表示可能な情報である。また、判定部412が判定した結果、操作履歴にエラー操作履歴が含まれない場合の関連情報は、エラー操作履歴が含まれない旨を表示部51で表示可能な情報である。
【0055】
利用者端末5は、サーバ4が送信した操作履歴および関連情報を受信し(ステップS26)、この受信した内容に基づいて表示部51が操作履歴を表示する(ステップS27)。このステップS27において、利用者端末5が受信した操作履歴にエラー操作履歴が含まれている場合、利用者端末5の表示部51は、操作履歴とともにエラー操作履歴に該当する箇所を明示する。これにより、利用者端末5を利用するサービスマンは、操作履歴の中でエラーの可能性が高い部分を即座に認識することができる。
【0056】
以上説明した本発明実施の形態2によれば、自動分析装置で入力された操作情報を、通信ネットワークを介して自動的にサーバへ送信し、サーバ側で記憶、管理する構成とする一方、サーバでは利用者端末からの送信要求に応じた自動分析装置の操作履歴を利用者端末へ送信する。このため、サービスマンは、利用者端末を介して所望の自動分析装置の操作履歴を随時閲覧することができる。したがって、自動分析装置が操作入力に起因するエラーを生じた場合、サービスマンは現場に居合わせなくてもエラーの内容を把握できる可能性が高くなり、早期の問題解決を図ることが可能となる。
【0057】
また、本実施の形態2によれば、自動分析装置の操作履歴にエラー操作履歴と対応する箇所がある場合には、その対応する箇所を利用者端末側で表示することができるので、利用者端末で操作履歴を見ているサービスマンは、エラーの発生原因を一段と早く特定することができる。
【0058】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための最良の形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1,2によってのみ限定されるべきものではない。例えば、図1や図5では、サーバに接続されている自動分析装置と利用者端末は1台ずつであったが、より一般には、通信ネットワークを介して複数の自動分析装置と複数の利用者端末とをサーバと通信可能に接続することができる。この場合、サーバの記憶部は、複数の自動分析装置の操作履歴情報を記憶する一方、自動分析装置の種類ごとに共通な情報をデータベース化して記憶しておくことも可能である。なお、サーバで管理すべき情報が大容量となる場合には、サーバを、通信ネットワークを介して相互に通信可能に接続される複数のコンピュータによって実現してもよい。
【0059】
本発明は、検体の生化学的な分析のみならず、検体の免疫学的な分析を行う場合や、検体の遺伝学的な分析を行う場合にも適用することができる。
【0060】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置およびサーバを含むシステムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る自動分析装置とサーバとの通信の概要を示す処理フロー図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るサーバと利用者端末との通信の概要を示す処理フロー図である。
【図4】利用者端末の表示部における操作履歴の表示例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係るサーバを含むシステムの全体構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係るサーバと利用者端末との通信の概要を示す処理フロー図である。
【符号の説明】
【0062】
1 自動分析装置
3、4 サーバ
5 利用者端末
11 検体容器保持部
12 試薬容器保持部
13 反応容器保持部
14 検体分注部
15 試薬分注部
16 攪拌部
17 測光部
18 反応容器洗浄部
21、31 入力部
22、32 出力部
23、34 送信部
24、35、41 制御部
25、36、42 記憶部
33 受信部
51 表示部
71 検体容器
72 試薬容器
73 反応容器
81 ラック
91 表示画面
101 測定ユニット
201 データ処理ユニット
241 データ生成部
351、411 検索部
361、421 操作履歴情報
412 判定部
422 エラー操作履歴情報
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介してサーバと通信可能に接続されており、検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって前記検体の成分を分析する自動分析装置であって、
当該自動分析装置を操作する操作情報の入力を受ける入力手段と、
前記入力手段によって入力された操作情報を前記サーバへ送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記送信手段は、
前記入力手段によって操作情報が入力されるたびに、入力された操作情報を前記サーバへ送信することを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記送信手段は、
前記入力手段によって入力された操作情報を所定の周期で前記サーバへ送信することを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項4】
検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって前記検体の成分を分析する自動分析装置と通信ネットワークを介して通信可能に接続されるとともに、前記通信ネットワークを介して利用者端末と通信可能に接続されるサーバであって、
前記自動分析装置が送信する前記自動分析装置の操作情報および前記利用者端末が送信する前記自動分析装置の所定期間における操作履歴送信要求を受信する受信手段と、
前記受信手段が前記自動分析装置から受信した操作情報を時系列に沿って並べた操作履歴情報を記憶する記憶手段と、
前記受信手段が前記利用者端末から受信した操作履歴送信要求によって要求される操作履歴を前記記憶手段が記憶する操作履歴情報から検索して取得する検索手段と、
前記検索手段が検索して取得した操作履歴を前記利用者端末へ送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とするサーバ。
【請求項5】
前記記憶手段は、
前記自動分析装置の操作入力に起因するエラーが発生した場合のエラー操作履歴情報を記憶することを特徴とする請求項4記載のサーバ。
【請求項6】
前記検索手段が検索して取得した操作履歴に含まれるエラー操作履歴の有無を判定する判定手段をさらに備え、
前記送信手段は、前記判定手段の判定結果に応じた前記操作履歴の関連情報を前記操作履歴とともに前記利用者端末へ送信することを特徴とする請求項5記載のサーバ。
【請求項7】
通信ネットワークを介してサーバと通信可能に接続されており、検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって前記検体の成分を分析する自動分析装置が、
入力手段によって入力された当該自動分析装置を操作する操作情報を前記サーバへ送信することを特徴とする操作情報送信方法。
【請求項8】
前記入力手段によって操作情報が入力されるたびに、入力された操作情報を前記サーバへ送信することを特徴とする請求項7記載の操作情報送信方法。
【請求項9】
前記入力手段によって入力された操作情報を所定の周期で前記サーバへ送信することを特徴とする請求項7記載の操作情報送信方法。
【請求項10】
検体と試薬とを反応させ、この反応の結果を光学的に測定することによって前記検体の成分を分析する自動分析装置と通信ネットワークを介して通信可能に接続されるとともに、前記通信ネットワークを介して利用者端末と通信可能に接続され、前記自動分析装置から受信した前記自動分析装置の操作情報を時系列に沿って並べた操作履歴情報を記憶する記憶手段を備えたサーバが、
前記利用者端末が送信する前記自動分析装置の所定期間における操作履歴送信要求を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信した操作履歴送信要求によって要求される操作履歴を前記記憶手段が記憶する操作履歴情報から検索して取得する検索ステップと、
前記検索ステップで検索して取得した操作履歴を前記利用者端末へ送信する送信ステップと、
を行うことを特徴とする操作履歴送信方法。
【請求項11】
前記記憶手段は、前記自動分析装置で操作入力に起因するエラーが発生した場合のエラー操作履歴情報を記憶し、
前記送信ステップの前に、前記検索ステップで検索して取得した操作履歴と前記記憶手段で記憶するエラー操作履歴情報とを比較することによって前記操作履歴に含まれるエラー操作履歴の有無を判定する判定ステップをさらに行い、
前記送信ステップは、前記判定ステップで判定した結果、前記操作履歴に含まれるエラー操作履歴がある場合、このエラー操作履歴に関する情報を前記操作履歴の関連情報として前記利用者端末へ送信することを特徴とする請求項10記載の操作履歴送信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−58471(P2009−58471A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227999(P2007−227999)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】