説明

自動原稿搬送装置、原稿読取装置及びイメージスキャナ装置

【課題】Z折り状態でセットされた原稿を自動的に伸ばして原稿読取位置へ供給可能な、簡素でコンパクトな構成の自動原稿送り装置を提供する。
【解決手段】オートドキュメントフィーダ107は、Z折り原稿3を繰り込むためのピックアップローラ32と、このピックアップローラ32により繰り込まれた原稿3を分離する分離部28と、前記ピックアップローラ32の原稿3に対する接触位置よりも搬送方向末尾側に配置されるとともに、Z折り原稿3の折返し部6を吸引口72によって吸引する抵抗付与部46と、を備える。前記吸引口72によって原稿3を吸引することによる抵抗力は、前記分離部28が備える分離ローラ31の搬送力より小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置に備えられる自動原稿搬送装置に関する。詳細には、Z折りの状態でセットされた原稿を自動的に伸ばしながら搬送する自動原稿搬送装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、例えば長方形にカットされたシートを横長に広げた状態から、これを長手方向の1/2の位置にて2つに折り返し、さらにこの折り返しにより、上になったシート部分を該シート部分の前記長手方向の1/2の位置にて外側に折り返した原稿をZ折り原稿と称し、このようなZ折り原稿が通常の原稿に混在する場合があることを指摘する。
【0003】
そして、特許文献1は、上記のZ折り原稿を自動的に伸ばして搬送するために、以下の構成を提案する。即ち、ターンローラと切換ガイドとを備えるとともに、この切換ガイドは、当初はZ折り原稿の先頭側をターンローラに沿って湾曲状に搬送するようにガイドする。一方、Z折り原稿の折曲げ部が進入する前に切換ガイドがソレノイドにより切り換えられて、当該折曲げ部を折り伸ばしスペースへガイドすることにより、原稿の折り目を伸ばすように構成されている。
【特許文献1】特開平5−116795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の構成は、Z折り原稿の折り目を伸ばすために大きく湾曲された原稿搬送路を装置内に設置する必要があり、装置のコンパクト化という面で改善の余地が残されていた。また、装置の内部で原稿の折り伸ばしを行うため、装置内部の構成が複雑になり、内部で原稿が詰まった際のメンテナンスも困難であった。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0006】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の自動原稿搬送装置が提供される。即ち、Z折り原稿を繰り込むためのピックアップローラと、このピックアップローラにより繰り込まれた原稿を分離しながら搬送する分離部と、前記ピックアップローラよりも原稿搬送方向末尾側に配置されるとともに前記Z折り原稿の折返し部の上面を吸引する抵抗付与部と、を備える。
【0007】
これにより、簡素且つコンパクトな構成で、Z折り原稿を自動的に展開して伸ばした状態で画像読取することができる。また、Z折り原稿の折返し部を上方へ吸引することで、Z折り原稿の折畳み部分に上下方向の隙間が形成され、この隙間によって折返し部をスムーズに展開することができる。また、セットされたZ折り原稿の枚数によって原稿上面の高さが異なることになるが、本実施形態によれば、原稿上面の高さの如何にかかわらず、折返し部を抵抗付与部に吸い付けて安定した抵抗力を付与できる。これにより、Z折り原稿を確実且つスムーズに展開することができる。
【0008】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の自動原稿搬送装置が提供される。即ち、Z折り原稿を繰り込むためのピックアップローラと、このピックアップローラにより繰り込まれた原稿を分離しながら搬送する分離部と、前記ピックアップローラよりも原稿搬送方向末尾側に配置されるとともに前記Z折り原稿の折返し部の上面に接触する抵抗パッドを有する抵抗付与部と、を備える。
【0009】
これにより、簡素且つコンパクトな構成で、Z折り原稿を自動的に展開して伸ばした状態で画像読取することができる。また、抵抗パッドの接触によって比較的強い抵抗力を折返し部に付与できるので、Z折り原稿を確実に展開することができる。
【0010】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成の自動原稿搬送装置が提供される。即ち、Z折り原稿を繰り込むためのピックアップローラと、このピックアップローラにより繰り込まれた原稿を分離しながら搬送する分離部と、前記ピックアップローラよりも原稿搬送方向末尾側に配置されるとともに前記Z折り原稿の折返し部の上面に接触する抵抗ローラを有する抵抗付与部と、を備える。
【0011】
これにより、簡素且つコンパクトな構成で、Z折り原稿を自動的に展開して伸ばした状態で画像読取することができる。また、抵抗ローラは原稿の上面に対して転がり接触するので、原稿の引き摺りによる損傷を防止することができる。
【0012】
前記の自動原稿搬送装置においては、前記抵抗ローラにはトルクリミッタが連結されていることが好ましい。
【0013】
これにより、トルクリミッタのトルクリミット値に相当する均一な抵抗力を折返し部に付与できるので、Z折り原稿を安定して且つスムーズに展開することができる。
【0014】
前記の自動原稿搬送装置においては、前記抵抗付与部が前記折返し部に付与する抵抗力は、前記分離部の搬送力より小さいことが好ましい。
【0015】
これにより、展開された状態の原稿を、前記抵抗付与部の抵抗にかかわらず、分離部によって確実に搬送することができる。また、例えばA3サイズをZ折りした原稿とA4サイズの原稿を混在させて重ねてセットした場合でも、A4原稿を確実に搬送することができる。
【0016】
前記の自動原稿搬送装置においては、原稿を搬送するための搬送ローラを前記分離部より搬送方向下流側に備え、前記抵抗付与部が前記折返し部に付与する抵抗力は、前記搬送ローラの搬送力より小さいことが好ましい。
【0017】
これにより、展開された状態の原稿を、前記抵抗付与部の抵抗にかかわらず、搬送ローラによって確実に搬送することができる。
【0018】
本発明の第4の観点によれば、以下の構成の自動原稿搬送装置が提供される。即ち、Z折り原稿を繰り込むピックアップローラと、このピックアップローラにより繰り込まれた原稿を分離しながら搬送する分離部と、前記ピックアップローラよりも原稿搬送方向末尾側に配置されるとともに前記Z折り原稿の折返し部の上面に接触して前記搬送方向と逆方向に搬送する逆搬送ローラを有する逆搬送部と、を備える。
【0019】
これにより、簡素且つコンパクトな構成で、Z折り原稿を自動的に展開して伸ばした状態で画像読取することができる。また、折返し部を逆搬送することでZ折り原稿を素早く展開することができる。更に、逆搬送ローラは原稿の上面に対して転がり接触するので、原稿の引き摺りによる損傷を防止することができる。
【0020】
前記の自動原稿搬送装置においては、前記逆搬送ローラにはトルクリミッタが連結されていることが好ましい。
【0021】
これにより、逆搬送ローラの逆搬送トルクを一定にできるので、Z折り原稿の展開の確実性、安定性を更に良好にすることができる。
【0022】
前記の自動原稿搬送装置においては、前記逆搬送ローラにはクラッチ機構が連結されていることが好ましい。
【0023】
これにより、Z折り原稿の展開時以外はクラッチ機構を切断することで、原稿の搬送に対する逆搬送ローラの無用な抵抗を防止できる。
【0024】
前記の自動原稿搬送装置においては、前記抵抗付与部が抵抗付与を開始するタイミング、又は前記逆搬送部が逆搬送を開始するタイミングは、前記分離部によって原稿の搬送が開始された後であることが好ましい。
【0025】
これにより、抵抗付与部の抵抗の付与又は逆搬送部の逆搬送が、原稿の先頭側を分離部により確実に搬送できる状態になってから開始されるので、原稿の不送を防止できる。
【0026】
前記の自動原稿搬送装置においては、原稿が所定の距離搬送されると、前記抵抗付与部の抵抗の付与、又は前記逆搬送部の逆搬送が停止されることが好ましい。
【0027】
これにより、Z折り原稿の展開後の搬送に対する無用な抵抗が防止されるので、原稿を一層スムーズに搬送できる。
【0028】
前記の原稿読取装置においては、前記抵抗付与部又は逆搬送部は支持アームに取り付けられ、この支持アームは、原稿をセットする原稿トレイの上方の折り目伸ばし位置と、当該折り目伸ばし位置から退避した退避位置との間で移動可能に構成されていることが好ましい。
【0029】
これにより、支持アームを退避位置へ移動させることで、原稿をセットしたり取り外したりする作業、あるいはジャム原稿除去等のメンテナンス作業の際に抵抗付与部や逆搬送部が邪魔にならず、作業性を向上できる。
【0030】
また、本発明の他の観点によれば、前記の自動原稿搬送装置を備える原稿読取装置及びイメージスキャナ装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るイメージスキャナ装置を示す正面断面図、図2はイメージスキャナ装置の斜視図である。
【0032】
図1及び図2に示すように、画像読取装置としてのイメージスキャナ装置101は、読取原稿を載置するプラテンガラスが配設された原稿台102と、この読取原稿を前記プラテンガラス上に押圧して固定する原稿台カバー103と、原稿の読取開始等を指示するための操作パネル104と、を備えている。
【0033】
前記原稿台カバー103には、オートドキュメントフィーダ(自動原稿搬送装置)107が配設されている。このオートドキュメントフィーダ107は、原稿台カバー103の上部に設けられた原稿トレイ11と、この原稿トレイの下方に設けられた排紙トレイ12と、を備える。
【0034】
図1に示すように、前記原稿台カバー103の内部には、原稿トレイ11と排紙トレイ12とを繋ぐ湾曲状の原稿搬送経路13が構成されている。そして、この前記原稿搬送経路13の途中部に原稿読取位置P1,P2が設定されている。この構成で、原稿トレイ11に重ねてセットされた原稿3は、1枚ずつ分離されて湾曲状の前記原稿搬送経路13に沿って搬送され、原稿読取位置P1,P2を通過した後、排紙トレイ12へ排出される。
【0035】
図1に示すように、前記原稿台102の内部にはスキャナユニット(原稿読取部)21が備えられる。このスキャナユニット21は、前記原稿読取位置P1に対して光を照射する光源22と、原稿3からの反射光を反射させる反射ミラー23,24,25と、反射光を収束させる集光レンズ26と、この収束光を電気信号に変換して出力する電荷結合素子(CCD)27と、を備えている。
【0036】
この構成で、原稿搬送経路13を搬送される原稿3は原稿読取位置P1において走査され、この原稿3からの反射光はCCD27へ導かれて結像する。この結果、CCD27は読取内容に応じた電気信号を出力することができる。この信号及び後述の密着型イメージセンサ67の信号は、適宜の変換処理後に、当該イメージスキャナ装置101に接続されるパーソナルコンピュータ等の上位装置に通信ケーブルを介して送信される。
【0037】
次に、前記原稿搬送経路13の詳細な構成を説明する。図1に示すように、原稿トレイ11から原稿搬送経路13に原稿3が供給される箇所では、分離ローラ31及びピックアップローラ32が備えられている。分離ローラ31の軸心まわりに揺動自在に揺動アーム33が取り付けられ、この揺動アーム33の先端側にピックアップローラ32が支持されている。なお、分離ローラ31、ピックアップローラ32及び揺動アーム33を駆動するための構成は後述する。
【0038】
前記分離ローラ31と対向する位置に分離パッド34が設置されて、この分離パッド34はスプリングによって前記分離ローラ31の周面に押し付けられている。これら分離ローラ31と分離パッド34により分離部28が構成されており、原稿3を分離ローラ31と分離パッド34との間でニップした状態で分離ローラ31を駆動することで、原稿3を1枚ずつ分離することができる。
【0039】
前記分離ローラ31のすぐ下流の位置には原稿検知センサ68が設けられている。この原稿検知センサ68は、原稿トレイ11から原稿3が供給されて分離ローラ31によって搬送されていることを検出可能に構成されている。
【0040】
前記分離ローラ31の下流には、複数の搬送ローラ61,62,63,64が設けられる。これにより、前記分離ローラ31の駆動によって下流側へ搬送された原稿3は、搬送ローラ61,62,63によりニップされて更に搬送され、原稿読取位置P1を通過する。そしてこのとき、原稿3の情報が前記スキャナユニット21によって読み取られる。
【0041】
原稿3は更に搬送ローラ64の駆動によって搬送され、原稿読取位置P2を通過する。この原稿読取位置P2には密着型イメージセンサ67が備えられており、この密着型イメージセンサ67とプラテンローラ65との間で原稿3をニップしながら、当該原稿3の裏面側の内容を走査できるようになっている。2つの原稿読取位置P1,P2で表裏両面の内容を読み取られた原稿3は、排紙ローラ70によって搬送され、排紙トレイ12上に排出される。
【0042】
次に、前記分離ローラ31及びピックアップローラ32の周辺の構成について、図3の要部斜視図を参照して詳細に説明する。
【0043】
図3に示すように、前記分離ローラ31と同心させて駆動軸41が配置され、この駆動軸41と分離ローラ31との間には、第1クラッチ51が介在されている。この第1クラッチ51は一方向クラッチとして構成されており、駆動軸41が図3の矢印方向に回転するときはそれを分離ローラ31に伝達する一方、駆動軸41が反対方向に回転するとき、および分離ローラ31が駆動軸41よりも高速で回転するとき(駆動軸41の停止時を含む)は自動的に切断されて、駆動軸41が分離ローラ31に対して空回りするように構成されている。
【0044】
前記揺動アーム33は、分離ローラ31を挟むように一対で配置されたアーム体35,35をビーム部36により連結した構成となっている。それぞれのアーム体35の基部は前記駆動軸41に支持されるとともに、この揺動アーム33の先端部にローラ軸42が支持される。そして、このローラ軸42に前記ピックアップローラ32が回転自在に支持されている。ピックアップローラ32は、2つのアーム体35,35に挟まれるようにして配置される。
【0045】
また、前記分離ローラ31の一側の位置において、前記駆動軸41には駆動プーリ43が一体的に固定される。一方、ピックアップローラ32の一側の位置において、前記ローラ軸42には従動プーリ44が回転自在に支持されている。そして、駆動プーリ43と従動プーリ44との間には無端状の伝動ベルト45が張架される。
【0046】
前記従動プーリ44とピックアップローラ32との間には、第2クラッチ52が介在されている。この第2クラッチ52も前記第1クラッチ51と同様に一方向クラッチとして構成されており、従動プーリ44が図3の矢印方向に回転するときはそれをピックアップローラ32に伝達する一方、従動プーリ44が反対方向に回転するとき、およびピックアップローラ32が、従動プーリ44よりも高速で回転するとき(従動プーリ44の停止時を含む)は自動的に切断されて、従動プーリ44がピックアップローラ32に対して空回りするように構成されている。
【0047】
前記従動プーリ44と一側のアーム体35との間には、トルクリミッタ53が配置されている。このトルクリミッタ53は、従動プーリ44が図3の矢印方向に回転しているときは、そのトルクをアーム体35に伝達して揺動アーム33を下方へ回動させる一方、当該トルクが所定の値を上回ると、従動プーリ44がアーム体35に対して空回りするように構成されている。
【0048】
以上の構成で、駆動軸41が図略の駆動部の電動モータにより図3の矢印方向に回転すると、当該回転は第1クラッチ51により分離ローラ31に伝達され、分離ローラ31が回転する。また、駆動プーリ43が駆動軸41と一体的に回転するので、この回転が伝動ベルト45を介して従動プーリ44に伝達され、従動プーリ44が図2の矢印方向に回転する。従動プーリ44の回転は第2クラッチ52によりピックアップローラ32に伝達され、ピックアップローラ32が回転する。更に、従動プーリ44の回転はトルクリミッタ53を介してアーム体35に伝達されるので、揺動アーム33は図1の鎖線で示す位置から下方への回動を開始する。
【0049】
ピックアップローラ32は前記揺動アーム33の下方回動に伴って下降し、原稿トレイ11上に重ねてセットされている原稿3のうち、最上層の原稿3に接触する。これにより、当該原稿3はピックアップローラ32により繰り込まれ、分離ローラ31と分離パッド34との間のニップ部に送られる。なお、ピックアップローラ32が原稿3に接触した時点で揺動アーム33は反力を受けるので、前記トルクリミッタ53は従動プーリ44の回転をアーム体35へ伝達しなくなり、揺動アーム33は下方への回動を停止する。
【0050】
原稿3は、分離ローラ31と分離パッド34とのニップ部で1枚ずつ分離された後、下流へ搬送されて搬送ローラ61(図1)に受け渡される。ここで、回転する搬送ローラ61の周面速度は前記分離ローラ31の周面速度よりも大きくなるように設定されているため、搬送ローラ61で搬送される原稿3に分離ローラ31が連れ回って、当該分離ローラ31の回転速度が駆動軸41の回転速度を上回る。この結果、前記第1クラッチ51が切断され、分離ローラ31は駆動軸41に対して空回りする。
【0051】
その後、搬送ローラ61によって送られる原稿3が分離ローラ31と分離パッド34とのニップ部を通過すると、分離ローラ31は原稿3に連れ回らなくなるので、再び第1クラッチ51が接続される。これにより、分離ローラ31は駆動軸41によって再び駆動され、ピックアップローラ32で繰り込まれた次の原稿3の搬送を開始する。
【0052】
次に、原稿トレイ11に原稿3がなくなったことが図略のセンサによって検出されると、図示しない駆動部の電動モータが駆動軸41を図3の矢印とは逆方向に駆動する。すると、この駆動軸41の逆回転が駆動プーリ43及び伝動ベルト45を介して従動プーリ44に伝達され、この従動プーリ44の逆回転がトルクリミッタ53を介してアーム体35に伝達される。この結果、揺動アーム33が上方向に回動して、ピックアップローラ32が図1の鎖線の位置まで上昇する。なお、この駆動軸41の逆回転時は、第1クラッチ51及び第2クラッチ52が切断されるので、分離ローラ31及びピックアップローラ32が逆方向に回転することはない。
【0053】
次に、本実施形態のイメージスキャナ装置101の原稿トレイ11にセットすることが可能なZ折り原稿について、図4の斜視図を参照して詳細に説明する。
【0054】
即ち、図4に示すように、このZ折り原稿3は、長方形の原稿を長手方向にほぼ2等分するように2つに折り畳むとともに、この折り畳まれた一側を、更にほぼ2等分するように外側へ折り畳んで構成される。この結果、Z折り原稿3は、元の原稿の1/2の大きさの底部4と、この底部4から第1の折り目7を境に上側へ折り返される1/4の大きさの第1折返し部5と、当該第1折返し部5から更に第2の折り目8を境に上側へ折り返される1/4の大きさの第2折返し部6と、により構成される。
【0055】
例えば、日本工業規格のA3サイズの原稿を図4のようにZ折りすると、1/2の大きさ、即ちA4サイズとなる。このため、他のA4サイズの原稿等と大きさを揃えて保管できるので、ファイリングに便宜であり、また、コンパクトなスペースに保管できる。また同様に、日本工業規格のB4サイズの原稿をZ折りすると、B5サイズの原稿等と大きさを揃えて保管することが可能になる。
【0056】
次に、上記のZ折り原稿3を展開して伸ばすための構成を説明する。即ち、図1や図2に示すように、前記原稿トレイ11の上方に支持アーム71が設けられ、この支持アーム71の下面(原稿トレイ11に対向する面)には吸引口72が形成されている。この吸引口72は図1に示すように、支持アーム71内に配設されたチューブ73を介して、図略の負圧源に接続されている。これら吸引口72、チューブ73等により、原稿3の搬送に対して抵抗を付与する抵抗付与部46が構成されている。
【0057】
図2に示すように、支持アーム71はその基部を回動自在に前記原稿台カバー103に支持されており、矢印で示すように回動させることができる。この結果、支持アーム71を、図2に実線で示す吸引位置(折り目伸ばし位置)と、鎖線で示す退避位置とに切り換えることができる。支持アーム71を退避位置に移動させることで、原稿3を原稿トレイ11にセットしたり取り外したりする作業や、メンテナンス作業等が容易になる。
【0058】
この構成で、先ず、オペレータが支持アーム71を前記退避位置へ移動させ、Z折り原稿3を複数枚重ねて原稿トレイ11にセットする。このとき、それぞれのZ折り原稿3は、前記底部4が下側になるように原稿トレイ11に載置される。そしてオペレータは、支持アーム71を前記吸引位置へ移動させて操作パネル104(図2)からスキャン開始を指示し、これによりイメージスキャナ装置101は原稿読取を開始する。
【0059】
このスキャン開始直後の様子が図5(a)に示され、この図5(a)に示すように、スキャンが開始されるとピックアップローラ32が前述のとおり下降して、Z折り原稿3の底部4の先頭側に接触しつつ回転して当該原稿3を繰り込む。なお、このとき、チューブ73に接続されている図略のバルブは閉鎖されており、吸引口72からの空気の吸引は行われない。
【0060】
そして、繰り込まれた原稿3の先頭部が分離ローラ31と分離パッド34との間でニップされ、この状態で分離ローラ31が回転することで、原稿3が1枚ずつ分離され、下流に向けて搬送される。
【0061】
そして、搬送される原稿3の先頭が原稿検知センサ68によって検知された直後の状態が図5(b)に示され、この原稿検知センサ68から原稿検知信号を受信した図略の制御部は、チューブ73に接続されているバルブを開き、前記吸引口72からの吸引を開始する。この結果、図5(c)に示すように、Z折り原稿3の第2折返し部6(言い換えれば、前記ピックアップローラ32の原稿3に対する接触位置よりも搬送方向末尾側の原稿上面)が吸引口72に吸着され、下流側へ搬送されないように保持される。
【0062】
従って、この状態で分離ローラ31や下流側の搬送ローラ61(図1)によって原稿3を搬送していくと、図5(d)に示すように、Z折り原稿3の第1折返し部5が引き出されるように展開されながら下流側へ引き込まれる。
【0063】
ここで、前記吸引口72の吸引による抵抗力は、下流側の前記分離ローラ31や搬送ローラ61等の搬送力よりも小さくなるよう、前記負圧源の圧力等を設定している。これにより、図5(d)の状態から搬送が進んでZ折り原稿3がピンと張った状態になると、支持アーム71の下面に吸着されていた第2折返し部6は下流側に引っ張られ、吸引口72から外れて下流側へ搬送される。以上により、Z折り原稿3を自動的に展開して原稿搬送経路13へ供給し、原稿3を伸ばした状態で画像を読み取ることができる。
【0064】
以上に示すように、本実施形態のイメージスキャナ装置101が備えるオートドキュメントフィーダ107は、Z折り原稿3を繰り込むためのピックアップローラ32と、このピックアップローラ32により繰り込まれた原稿3を分離しながら搬送する分離部28と、前記ピックアップローラ32よりも原稿搬送方向末尾側に配置されるとともに前記Z折り原稿3の第2折返し部6の上面を吸引する抵抗付与部46と、を備える。
【0065】
これにより、簡素且つコンパクトな構成で、Z折り原稿3を自動的に展開して伸ばした状態で画像読取することができる。また、Z折り原稿3の第2折返し部6を上方へ吸引することで、Z折り原稿3の折畳み部分に図5(c)のように上下方向に隙間が形成され、この隙間によって第1折返し部5をスムーズに引き出して展開することができる。また、原稿トレイ11にセットされたZ折り原稿3の枚数によって原稿上面の高さが異なることになるが、本実施形態によれば、原稿上面の高さの如何にかかわらず、第2折返し部6を抵抗付与部46に吸い付けて安定した抵抗力を付与できる。これにより、Z折り原稿3を確実且つスムーズに展開することができる。
【0066】
また、前記抵抗付与部46の吸引口72により原稿3の第2折返し部6に付与される抵抗力は、分離ローラ31の搬送力より小さく、且つ、前記搬送ローラ61の搬送力より小さくなるよう設定されている。
【0067】
これにより、展開された状態の原稿3を、前記抵抗付与部46の抵抗にかかわらず、分離ローラ31や搬送ローラ61によって確実に搬送することができる。また、例えばA3サイズをZ折りした原稿とA4サイズの原稿を混在させて重ねてセットした場合でも、A4原稿を確実に搬送することができる。
【0068】
また、前記吸引口72がZ折り原稿3の第2折返し部6を吸引して抵抗の付与を開始するタイミングは、前記分離部28の分離ローラ31によって原稿3の搬送が開始され、それを原稿検知センサ68が検知した後となるように、図略の制御部によって制御されている。
【0069】
これにより、原稿3の先頭側を確実に搬送できる状態になってから抵抗付与部46による抵抗を付与することから、原稿3の不送を防止できる。また、例えばA3サイズをZ折りした原稿とA4サイズの原稿を混在させて重ねてセットした場合でも、A4原稿を確実に搬送することができる。
【0070】
なお、前記オートドキュメントフィーダ107の構成においては、原稿3が所定の距離搬送された時点(例えば図5(d)の時点)で、前記バルブを閉じて前記吸引口72からの吸引を停止し、抵抗の付与を解除するように制御することもできる。
【0071】
この場合、下流側の搬送ローラ61等で原稿3を搬送する際に抵抗が発生しないので、原稿3を一層スムーズに搬送することができる。
【0072】
また、前記オートドキュメントフィーダ107においては、前記抵抗付与部46は支持アーム71に取り付けられ、この支持アーム71は、原稿3をセットする原稿トレイ11の上方の折り目伸ばし位置(図2の実線)と、当該折り目伸ばし位置から退避した退避位置(図2の鎖線)との間で移動可能に構成されている。
【0073】
これにより、支持アーム71を退避位置へ移動させることで、原稿3を原稿トレイ11にセットしたり取り外したりする作業、あるいはジャム原稿除去等のメンテナンス作業の際に抵抗付与部46が邪魔にならず、作業性が向上する。
【0074】
次に、オートドキュメントフィーダの第1変形例について図6を参照して説明する。なお、以下に説明する変形例においては、前記実施形態と同一又は類似する部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0075】
この図6に示す第1変形例のオートドキュメントフィーダ117が備える抵抗付与部47は、前記支持アーム71に昇降部材75を上下動自在に支持し、この昇降部材75の下面(前記原稿トレイ11と対向する面)に、例えばゴム等からなる摩擦パッド(抵抗パッド)76を固定している。また、昇降部材75には図略のスプリング(付勢部材)が取り付けられており、このスプリングによって、昇降部材75が下方へ付勢されている。
【0076】
前記昇降部材75には図略のソレノイドが連結されており、これによって昇降部材75を上下動させ、摩擦パッド76を原稿3の上面に接触させたり離間させたりすることができる。また、例えば支持アーム71を図2の鎖線で示す退避位置に退避させるときは、ソレノイドにより昇降部材75を上昇させ、原稿3や原稿トレイ11を摩擦パッド76で引き摺ることのないように構成されている。本変形例においては、摩擦パッド76、昇降部材75、前記ソレノイド等により、抵抗付与部47が構成されている。
【0077】
この第1変形例の構成では、図5に示す実施形態で吸引口72からの空気の吸引を開始するのと同じタイミングで、図6の抵抗付与部47の昇降部材75を前記スプリングの付勢力で下降させて、Z折り原稿3の第2折返し部6を摩擦パッド76により押さえ付ける。これにより、第2折返し部6に対し搬送に対する抵抗が付与されるので、図6に示すようにZ折り原稿3を展開し、伸ばした状態で原稿搬送経路13へ供給することができる。
【0078】
以上に示すように、第1変形例のオートドキュメントフィーダ117においては、前記ピックアップローラ32よりも原稿搬送方向末尾側に配置されるとともに前記Z折り原稿3の第2折返し部6の上面に接触する摩擦パッド76を有する抵抗付与部47を備える。
【0079】
これにより、簡素且つコンパクトな構成で、Z折り原稿3を自動的に展開して伸ばした状態で画像読取することができる。また、摩擦パッド76の接触によって比較的強い抵抗力を第2折返し部6に付与できるので、Z折り原稿3を確実に展開することができる。
【0080】
なお、この第1変形例の構成では、原稿3が所定の距離搬送され、Z折り原稿3がほぼ展開された時点で、前記昇降部材75を上昇させ、原稿3から摩擦パッド76を離間させるように制御している。
【0081】
これにより、搬送ローラ61等による原稿3の搬送を摩擦パッド76が阻害することがなくなり、スムーズな原稿搬送を実現できる。
【0082】
なお、前記摩擦パッド76が第2折返し部6に付与する摩擦抵抗力が、分離ローラ31や搬送ローラ61の搬送力より小さくなるように、摩擦パッド76の摩擦係数等を設定することもできる。
【0083】
この場合、摩擦パッド76による抵抗にかかわらず、搬送ローラ61等によって原稿3を下流側へ確実に搬送することができる。
【0084】
次に、第2変形例について図7を参照して説明する。この図7に示す第2変形例のオートドキュメントフィーダ127が備える抵抗付与部48は、第1変形例と同様に上下動自在に支持された昇降部材75に、ゴムローラ等からなる抵抗ローラ77を回転自在に支持している。
【0085】
前記昇降部材75は第1変形例と同様に、図略のソレノイドによって上下動させることができる。また、抵抗ローラ77にはトルクリミッタ78が連結されており、抵抗ローラ77に作用するトルクが所定値(トルクリミット値)以下の場合は静止し、当該所定値を上回るトルクが作用した場合にのみ抵抗ローラ77が回転するように構成されている。
【0086】
この構成で、図5に示す実施形態で吸引口72からの空気の吸引を開始するのと同じタイミングで、図7の抵抗付与部48の昇降部材75を図略のスプリングにより下降させて、抵抗ローラ77によりZ折り原稿3の第2折返し部6を押さえ付ける。これにより、抵抗ローラ77が搬送に対する抵抗を第2折返し部6に付与するので、図7に示すようにZ折り原稿3を展開し、伸ばした状態で原稿搬送経路13へ供給することができる。
【0087】
以上に示すように、第2変形例のオートドキュメントフィーダ127は、前記ピックアップローラ32より原稿搬送方向末尾側に配置されるとともに前記Z折り原稿3の第2折返し部6の上面に接触する抵抗ローラ77を有する抵抗付与部48を備える。
【0088】
これにより、簡素且つコンパクトな構成で、Z折り原稿3を自動的に展開して伸ばした状態で画像読取することができる。また、抵抗ローラ77は原稿3の上面に対して転がり接触するので、原稿3の引き摺りによる損傷を防止することができる。
【0089】
また、前記オートドキュメントフィーダ127において、抵抗ローラ77にはトルクリミッタ78が連結されている。
【0090】
これにより、トルクリミッタ78のトルクリミット値に相当する均一な抵抗力を第2折返し部6に付与できるので、Z折り原稿3を安定して且つスムーズに展開することができる。
【0091】
ここで、前記トルクリミッタ78の前記トルクリミット値は、前記分離ローラ31の搬送力に相当するトルクより小さく設定され、また、前記搬送ローラ61の搬送力に相当するトルクより小さく設定されている。
【0092】
これにより、抵抗ローラ77による抵抗にかかわらず、搬送ローラ61等によって原稿3を下流側へ確実に搬送することができる。
【0093】
次に、第3変形例について図8を参照して説明する。この図8に示す第3変形例のオートドキュメントフィーダ137は、前記支持アーム71の下部に昇降部材75を配置し、この昇降部材75に、ゴムローラ等からなる逆搬送ローラ79を回転自在に支持している。
【0094】
この逆搬送ローラ79のローラ軸には電動モータ80が連結されるとともに、逆搬送ローラ79と電動モータ80との間には、電磁クラッチ(クラッチ機構)81及びトルクリミッタ82が介在されている。このトルクリミッタ82のトルクリミット値は、前記分離ローラ31の搬送力に相当するトルクより小さく、また、前記搬送ローラ61の搬送力に相当するトルクより小さく設定されている。本変形例では、前記逆搬送ローラ79、電動モータ80、電磁クラッチ81、トルクリミッタ82等により、原稿3を逆搬送するための逆搬送部49が構成されている。
【0095】
以上の構成で、図5に示す実施形態で吸引口72からの空気の吸引を開始するのと同じタイミングで、図8の逆搬送部49の電磁クラッチ81を接続するとともに、前記電動モータ80を駆動する。そして、Z折り原稿3の第2折返し部6(言い換えれば、ピックアップローラ32の原稿3に対する接触位置よりも搬送方向末尾側の原稿3上面)に接触している逆搬送ローラ79を、原稿搬送方向とは逆方向に駆動する。
【0096】
この結果、図8に示すようにZ折り原稿3を展開し、伸ばした状態で原稿搬送経路13へ供給することができる。また、前記逆搬送ローラ79の回転時の負荷は前記トルクリミッタ82により一定とされるので、Z折り原稿3を円滑に展開することができる。
【0097】
そして本変形例では、Z折り原稿3を伸ばして所定の距離搬送した時点で、前記電動モータ80を停止するとともに、電磁クラッチ81を切断するよう制御する。従って、その後に原稿3の搬送ローラ61等による搬送が進んで当該原稿3がピンと張った後は、逆搬送ローラ79が原稿3に連れ回ることになるが、前記電磁クラッチ81が切断されているので、逆搬送ローラ79の連れ回りが原稿搬送に対する過大な抵抗とならない。
【0098】
以上に示すように、本変形例のオートドキュメントフィーダ137は、前記ピックアップローラ32の接触位置よりも搬送方向末尾側の原稿3上面に接触して、前記分離ローラ31や搬送ローラ61等による原稿3の搬送方向と逆の方向に搬送する逆搬送ローラ79を有する逆搬送部49を備える。
【0099】
これにより、簡素且つコンパクトな構成で、Z折り原稿3を自動的に展開して伸ばした状態で画像読取することができる。また、第2折返し部6を逆搬送することでZ折り原稿3を素早く伸ばして展開することができる。更に、逆搬送ローラ79は原稿3の上面に対して転がり接触するので、原稿3の引き摺りによる損傷を防止することができる。
【0100】
また、本変形例のオートドキュメントフィーダ137において、前記逆搬送ローラ79にはトルクリミッタ82が連結されている。
【0101】
これにより、逆搬送ローラ79の逆搬送トルクを一定にできるので、Z折り原稿3の展開の確実性、安定性を更に良好にすることができる。
【0102】
なお、前記トルクリミッタ82のトルクリミット値は、前記分離ローラ31や搬送ローラ61の搬送力に相当するトルクよりも小さく設定されている。
【0103】
これにより、逆搬送ローラ79の逆搬送駆動にかかわらず、搬送ローラ61等によって原稿3を下流側へ確実に搬送することができる。
【0104】
また、前記逆搬送ローラ79には電磁クラッチ81が連結されている。
【0105】
これにより、Z折り原稿3の展開時以外は電磁クラッチ81を切断することで、原稿3の搬送に対する逆搬送ローラ79の無用な抵抗を防止できる。
【0106】
また、本変形例のオートドキュメントフィーダ137において、前記逆搬送ローラ79が逆搬送を開始するタイミングは、前記分離ローラ31によって原稿3の搬送が開始された後となるように制御される。
【0107】
これにより、原稿3の先頭側を確実に搬送できる状態になってから逆搬送部49による逆搬送を行うので、原稿3の不送を防止できる。
【0108】
また、本変形例のオートドキュメントフィーダ137において、原稿3が所定の距離搬送されると、前記逆搬送ローラ79の逆搬送が停止されるように制御される。
【0109】
これにより、搬送ローラ61等による原稿3の搬送を逆搬送部49が阻害することがなくなり、スムーズな原稿搬送を実現できる。
【0110】
以上に本発明の好適な実施形態とその複数の変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0111】
前記抵抗付与部46,47,48や逆搬送部49は、図4に示すZ折り原稿3の第2折返し部6に対面するように配置される限り、その配設位置を任意に変更することができる。また、抵抗付与部46,47,48や逆搬送部49を2つ以上配設する構成に変更することができる。
【0112】
第3変形例(図8)において、逆搬送ローラ79を扇形のローラとし、Z折り原稿3の展開がほぼ完了した時点で扇形のローラの周面が前記第2折返し部6から離間するように位相を調整しながら逆回転させる構成に変更することができる。この場合、前記電磁クラッチ81等を省略することができる。
【0113】
原稿検知センサ68を設ける代わりに、例えばピックアップローラ32による繰込みを開始してからの時間を前記制御部のタイマ回路等によって計測し、原稿3の先頭が分離部28によってニップされるのに十分な時間が経過した後に、抵抗付与部46,47,48の抵抗付与や逆搬送部49の逆搬送を開始する構成に変更することができる。
【0114】
前記分離部28は、分離ローラ31と分離パッド34とで構成される場合に限定されず、例えば分離ローラとリタードローラとを対向配置した構成に変更することができる。また、分離部28より下流側の搬送ローラ61,62,63,64の位置、個数については、事情に応じて任意に変更することができる。
【0115】
前記支持アーム71の折り目伸ばし位置と退避位置との間の切換は、オペレータが手動で行っても良いし、モータ等の駆動手段で自動的に行っても良い。また、例えば図6〜図8に図示する昇降部材75を上下させることに代えて、支持アーム71全体を昇降させる構成に変更することができる。
【0116】
前記第1変形例(図6)の摩擦パッド76の形状は、円弧状に限定されず、他の任意の形状に変更することができる。また、例えば図7の抵抗ローラ77や図8の逆搬送ローラ79に対し、一方向クラッチを連結するように変更することができる。
【0117】
上記の構成のオートドキュメントフィーダは、オートドキュメントフィーダ・フラッドベッド兼用の画像読取部に限らず、オートドキュメントフィーダ専用の画像読取部に適用することができる。また、上記のオートドキュメントフィーダは、イメージスキャナ装置に限らず、例えばコピー機、ファクシミリ装置、コピーファクシミリ複合機等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の一実施形態に係るイメージスキャナ装置の画像読取部分の構成を示した正面断面図。
【図2】イメージスキャナ装置の斜視図。
【図3】オートドキュメントフィーダの分離部及びピックアップローラの構成を詳細に示す要部斜視図。
【図4】Z折り原稿を説明する斜視図。
【図5】図5(a)は、Z折り原稿の搬送を開始した直後の様子を示す説明図。図5(b)は、原稿の先頭を原稿検知センサで検知し、吸引口から吸引を開始した様子を示す説明図。図5(c)は、原稿の第2折返し部を吸引口で吸引保持しながら先頭部を搬送する様子を示す説明図。図5(d)は、原稿を展開しつつ下流側へ搬送する様子を示す説明図。
【図6】オートドキュメントフィーダの第1変形例を示す正面断面図。
【図7】オートドキュメントフィーダの第2変形例を示す正面断面図。
【図8】オートドキュメントフィーダの第3変形例を示す正面断面図。
【符号の説明】
【0119】
3 Z折り原稿
5 第1折返し部
6 第2折返し部
28 分離部
31 分離ローラ
32 ピックアップローラ
46,47,48 抵抗付与部
49 逆搬送部
71 支持アーム
72 吸引口
76 摩擦パッド(抵抗パッド)
77 抵抗ローラ
79 逆搬送ローラ
101 イメージスキャナ装置
107,117,127,137 オートドキュメントフィーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Z折り原稿を繰り込むためのピックアップローラと、
このピックアップローラにより繰り込まれた原稿を分離しながら搬送する分離部と、
前記ピックアップローラよりも原稿搬送方向末尾側に配置されるとともに前記Z折り原稿の折返し部の上面を吸引する抵抗付与部と、
を備えることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項2】
Z折り原稿を繰り込むためのピックアップローラと、
このピックアップローラにより繰り込まれた原稿を分離しながら搬送する分離部と、
前記ピックアップローラよりも原稿搬送方向末尾側に配置されるとともに前記Z折り原稿の折返し部の上面に接触する抵抗パッドを有する抵抗付与部と、
を備えることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項3】
Z折り原稿を繰り込むためのピックアップローラと、
このピックアップローラにより繰り込まれた原稿を分離しながら搬送する分離部と、
前記ピックアップローラよりも原稿搬送方向末尾側に配置されるとともに前記Z折り原稿の折返し部の上面に接触する抵抗ローラを有する抵抗付与部と、
を備えることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動原稿搬送装置であって、
前記抵抗ローラにはトルクリミッタが連結されていることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の自動原稿搬送装置であって、
前記抵抗付与部が前記折返し部に付与する抵抗力は、前記分離部の搬送力より小さいことを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の自動原稿搬送装置であって、
原稿を搬送するための搬送ローラを前記分離部より搬送方向下流側に備え、
前記抵抗付与部が前記折返し部に付与する抵抗力は、前記搬送ローラの搬送力より小さいことを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項7】
Z折り原稿を繰り込むピックアップローラと、
このピックアップローラにより繰り込まれた原稿を分離しながら搬送する分離部と、
前記ピックアップローラよりも原稿搬送方向末尾側に配置されるとともに前記Z折り原稿の折返し部の上面に接触して前記搬送方向と逆方向に搬送する逆搬送ローラを有する逆搬送部と、
を備えることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の自動原稿搬送装置であって、
前記逆搬送ローラにはトルクリミッタが連結されていることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の自動原稿搬送装置であって、
前記逆搬送ローラにはクラッチ機構が連結されていることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか一項に記載の自動原稿搬送装置であって、
前記抵抗付与部が抵抗付与を開始するタイミング、又は前記逆搬送部が逆搬送を開始するタイミングは、前記分離部によって原稿の搬送が開始された後であることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項11】
請求項1から10までの何れか一項に記載の自動原稿搬送装置であって、
原稿が所定の距離搬送されると、前記抵抗付与部の抵抗の付与、又は前記逆搬送部の逆搬送が停止されることを特徴とする自動原稿搬送装置。
【請求項12】
請求項1から11までの何れか一項に記載の自動原稿搬送装置であって、
前記抵抗付与部又は逆搬送部は支持アームに取り付けられ、この支持アームは、原稿をセットする原稿トレイの上方の折り目伸ばし位置と、当該折り目伸ばし位置から退避した退避位置との間で移動可能に構成されていることを特徴とする原稿読取装置。
【請求項13】
請求項1から12までの何れか一項に記載の自動原稿搬送装置を備える原稿読取装置。
【請求項14】
請求項13に記載の原稿読取装置としてのイメージスキャナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−174372(P2008−174372A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−11190(P2007−11190)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】