説明

自動取引装置および自動取引システム

【課題】個人認証のために生体情報を登録する際の不正を防止する技術を提供する。
【解決手段】自動取引システム1では、顧客が操作する顧客端末Kと、センタにおいてオペレータが操作するセンタ端末Sとが、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。生体データを取得する以前の、顧客が顧客端末Kを操作しているときに、顧客の顔や手元を手元顔撮影部140によって撮影する。また、個人認証のために生体データを取得する際にも、顧客の顔や手元を撮影する。そして、特徴比較部102が、生体データの取得前後で、特徴抽出部101によって抽出された顧客の手元の特徴が一致しているか否かを確認する。仮に、顧客の手元の特徴が一致していない場合には、センタに居るオペレータがセンタ端末Sを用いて、生体データの取得前後の顔を比較し、同一人物と確認できない場合は、取引不可とすることにより、不正を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人認証のために生体データを登録する際の不正を防止する自動取引装置および自動取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関が営業店や無人化店等に設置した顧客端末(ACM;Automated Consulting Machine)で個人認証のために用いられる生体データとして、指紋、虹彩、静脈等がある。これらの生体データの登録は、金融機関の営業店へ出向いて行われるか、または生体データの登録が可能な顧客端末(自動取引装置)を利用して行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、生体データとして虹彩を用いる場合に、虹彩の登録時以外にも目の画像を撮影し、登録時の虹彩と登録時以外の虹彩とを比較することによって、同一人物による2重登録を防ぐ発明が開示されている。
【特許文献1】特開2006−195527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、自動取引装置を用いて生体データを登録する場合には、その自動取引装置に接続されているセンタ側のセンタ端末を操作するオペレータが、複数の自動取引装置を切り替えながら対応をしているのが現状である。そこで、ある顧客の対応をしている間に、他の顧客の様子を注視することは難しい。そのため、ある顧客の対応をしている間に、他の顧客が取引を諦めて帰ってしまったような場合に、後から来た顧客が入れ替わるような不正に気付かない可能性がある。
このように、特許文献1に開示されている発明では、人物のすり替わりが無いという前提で同一人物による2重登録を防ぐものであったため、他人がすり替わったり、真に本人の生体データが取得できたのかどうかを簡単に確認することが困難であった。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、個人認証のために生体データを登録する際の不正を防止する自動取引装置および自動取引システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明に係る自動取引装置は、個人認証用の生体情報を取得する生体情報取得部と、顧客の手元を撮影する撮影部と、前記撮影部によって撮影された前記顧客の手元の画像から手元の特徴を抽出する特徴抽出部と、前記生体情報取得部が前記顧客の生体情報を取得している最中に撮影された画像と、前記生体情報取得部が前記顧客の生体情報を取得していないときに撮影された画像とに対して、前記特徴抽出部が抽出した手元の特徴について、二つの画像の特徴が一致するか否かを比較する特徴比較部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、個人認証のために生体データを登録する際の不正を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を実施するための最良の形態(以降、「実施形態」と称す)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
≪実施形態≫
本発明の実施形態に係る自動取引システムの構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る自動取引システムの構成を示す図である。
自動取引システム1は、図1に示すように、無人店舗(A,・・)で顧客が操作し無人契約が行える顧客端末K(K1,・・)、センタにおいてオペレータが操作するセンタ端末S(S1,・・)、顧客端末Kとセンタ端末Sとの間の通信を制御し、交換される情報を格納するサーバSS、および無人店舗(A,・・)とセンタとの間を通信可能に接続するネットワークNを備える。
通常、顧客端末Kとセンタ端末Sとは、遠隔地に設置されている。そのため、オペレータと顧客とがリアルタイムで会話が可能なように、顧客端末Kとセンタ端末Sとの間には音声通信が可能な機能が備えられている。そして、ネットワークNは、通信データの改ざんや盗聴等を防止するために、専用線が用いられる。ただし、VPN等によりセキュリティ対策が十分に施されている場合には、インターネットであっても良い。
なお、サーバSSは必ずしも必要ではなく、センタ端末SにサーバSSに備えられている機能を持たせても良い。
【0010】
次に、顧客端末K、センタ端末S、およびサーバSSの機能について、図2、図3を用いて説明する。図2は、自動取引システムの機能を示す図である。また、図3は、顧客端末の斜視図を示す。
【0011】
まず、顧客端末K(自動取引装置)の機能について、図2を用いて以下に説明する。
顧客端末Kは、制御部100、操作表示部110、生体情報取得部120、書類読取部130、手元顔撮影部140、記憶部150、通信部160、および通話部170を有する。
制御部100は、演算処理を実行する図示しないCPU(Central Processing Unit )と、このCPUが演算処理に用いる主記憶装置である図示しないメインメモリとを備える。メインメモリは、RAM(Random Access Memory)等により実現される。そして、図示しないハードディスク等によって構成される記憶部150に格納されたアプリケーションプログラムがRAMに展開され、CPUが、それを実行することにより種々の処理を具現化する。また、制御部100は、操作表示部110、生体情報取得部120、書類読取部130、手元顔撮影部140、記憶部150、通信部160、および通話部170を制御する機能を有する。
さらに、制御部100は、特徴抽出部101と特徴比較部102との機能を有するが、これらの機能については後記する。
【0012】
操作表示部110は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の表示画面を有する。また、この表示画面に取り付けられたタッチパネル等によって、顧客からの入力を受け付ける機能を有する。
生体情報取得部120は、個人認証のための生体データ(生体情報)を取得する機能を有する。
書類読取部130は、スキャナ等によって構成され、契約に必要な申込書および本人の顔写真が記載されている運転免許証等の証明書を読み取る機能を有する。
手元顔撮影部140(撮影部)は、カメラであって、顧客が顧客端末Kを操作しているときの、顧客の顔や手元を撮影する機能を有する。なお、手元顔撮影部140は、顧客の正面の顔や手元を随時切り替えて顔情報や手元情報を取得する。
記憶部150は、制御部100が実行するプログラムや実行に必要なデータ、および取得した種々の情報を蓄積する機能を有する。
通信部160は、ネットワークNを介して、センタ端末SやサーバSSと通信を行う機能を有する。
通話部170は、オペレータと顧客とがリアルタイムに会話を可能とする機能を有する。すなわち、送話器(マイク)と受話器(スピーカ)とを有している。通話部170は、ネットワークNを介して、センタ端末Sの通話部250と通信可能になっている。
【0013】
ここで、顧客端末Kの機能のうち、図3に示した斜視図に表されているものについて、以下に説明する。
まず、手元顔撮影部140は、顧客端末Kの上部に設置されている。そして、顧客の正面の顔や手元を随時切り替えて顔情報や手元情報を取得することができる。ただし、手元顔撮影部140は、図3に示した設置位置に限られるものではなく、顔と手元とを別々の専用のカメラによって撮影するように備えても良い。
操作表示部110は、手元顔撮影部140が正面の顔を撮影しやすいような位置に備えられると良い。
通話部170は、送話器と受話器を備えたハンドセットの場合を示した。なお、通話部170は、図3に示したハンドセットに限られるものではなく、顧客端末Kの本体にマイクとスピーカを配備しても良い。
書類読取部130は、書類をセットしやすいように、台状の部分に備えられる。
生体情報取得部120は、生体データとして指静脈を取得する場合を想定し、手を置きやすいように、台状の部分に設けている。なお、生体情報取得部120は、図3に示した設置位置に限られるものではなく、手元顔撮影部140が手元を撮影しやすく、また、顧客が手を接触させやすい位置に設けられれば良い。
【0014】
次に、センタ端末Sの機能について、図2を用いて以下に説明する。
センタ端末Sは、例えば、パソコンであって、制御部200、入力部210、表示部220、記憶部230、通信部240および通話部250を有する。
制御部200は、演算処理を実行する図示しないCPU(Central Processing Unit )と、このCPUが演算処理に用いる主記憶装置である図示しないメインメモリとを備える。メインメモリは、RAM(Random Access Memory)等により実現される。そして、図示しないハードディスク等によって構成される記憶部230に格納されたアプリケーションプログラムがRAMに展開され、CPUが、それを実行することにより種々の処理を具現化する。また、制御部200は、入力部210、表示部220、記憶部230、通信部240および通話部250を制御する機能を有する。
入力部210は、マウスやキーボードであり、表示部230に表示された画面に対して、オペレータが顧客端末Kへの指示を選択する機能を有する。顧客端末Kへの指示とは、例えば、顧客端末Kの処理動作に対する指示や、手元顔撮影部140の被写体を顔や手元に適宜切り替える指示である。
表示部220は、顧客端末Kから送信されてくる種々の情報を表示したり、顧客端末Kへの指示を選択する画面を表示したりする機能を有する。
記憶部230は、制御部200が実行するプログラムや実行に必要なデータ、および取得した種々の情報を蓄積する機能を有する。
通信部240は、ネットワークNを介して顧客端末Kと通信を行う機能を有する。また、通信部240は、センタ内のLANを介してサーバSSと通信を行う機能を有する。
通話部250は、マイクとスピーカにより構成される。また、音声をネットワークNを介して通信するために、符号化処理および復号化処理を行うハードウェアまたはソフトウェアが備えられている。
【0015】
次に、サーバSSの機能について、図2を用いて以下に説明する。
サーバSSは、たとえば、サーバ機能を実行するコンピュータであって、制御部300、記憶部310、および通信部320を有する。
制御部300は、演算処理を実行する図示しないCPU(Central Processing Unit )と、このCPUが演算処理に用いる主記憶装置である図示しないメインメモリとを備える。メインメモリは、RAM(Random Access Memory)等により実現される。そして、図示しないハードディスク等によって構成される記憶部310に格納されたアプリケーションプログラムがRAMに展開され、CPUが、それを実行することにより種々の処理を具現化する。また、制御部300は、記憶部310、および通信部320を制御する機能を有する。
記憶部310は、制御部300が実行するプログラムや実行に必要なデータ、および取得した種々の情報を蓄積する機能を有する。
通信部320は、ネットワークNを介して、顧客端末Kと通信を行う機能を有する。また、通信部320は、センタ内のLANを介してセンタ端末Sと通信を行う機能を有する。
【0016】
次に、自動取引システム1において実行される処理の流れを、図4,図5,図6を用いて説明する。図4,図5,図6は、自動取引システムにおいて実行される処理の流れを示す図である。
まず、顧客端末Kは、例えば、無人契約が行える端末であって、ローンの新規契約等の取引を含むメニューを選択可能な状態で初期画面を操作表示部110に表示して待機している(ステップS401)。そして、顧客端末Kの制御部100は、顧客によって「生体登録」メニューが選択されたことを操作表示部110を介して受け付ける(ステップS402)。次に、制御部100は、「生体登録」メニュー用の「ご案内」を操作表示部110に表示する(ステップS403)。「ご案内」表示では、本人確認のために、顔写真が記載されている証明書が必要であること、および生体データ登録にあたっての注意事項等が表示される。次に、制御部100は、個人を識別する氏名(カナ)、生年月日、および電話番号の入力を操作表示部110を介して受け付けて、センタ端末Sに送信する(ステップS404)。そして、センタ端末Sの制御部200は、受信した氏名(カナ)、生年月日、および電話番号を表示部220に表示する(ステップS405)。続いて、顧客端末Kの制御部100は、本人確認のために、証明書一式を書類読取部130にセットするように操作表示部110に表示する。そして、制御部100は、セットされた証明書一式を書類読取部130に読み取らせて、通信部160を介してセンタ端末Sに証明書一式の情報を送信する(ステップS406)。
【0017】
なお、ステップS402〜S406の間には、手元顔撮影部140が、何度も顧客の顔や手元を撮影している。すなわち、ステップS402〜S406において、手元顔撮影部140は、顧客が操作表示部110を操作している状況を撮影している。そして、撮影された手元画像は、記憶部150に記憶される(ステップS411)。また、撮影された顔の情報は、ネットワークNを介して顧客端末Kからセンタ端末Sに送信され、センタ端末Sの記憶部230に顔情報として記憶される(ステップS412,S413)。
【0018】
次に、センタ端末Sにおいて、記憶部230に記憶しておいた顔情報と、証明書の顔写真とを表示部220に表示して、両者が一致するか否かが判定される(ステップS407)。なお、ステップS407における判定は、センタ端末Sの制御部200がプログラムを実行させて行う、あるいは、オペレータが行っても良い。
【0019】
ステップS407において、顔情報と証明書の顔写真とが一致しないと判定された場合(ステップS407においてNo)には、センタ端末Sは顧客端末Kに指示を送信し、顧客端末KがNG処理1を実行する(ステップS409)。また、証明書の顔写真が不鮮明あるいは欠けている場合にも、顔情報と証明書の顔写真とが一致しないと判定する。
そして、NG処理1では、顧客端末Kの制御部100は、図6(a)に示すように、顧客ごとに、一致しないと判定された回数であるNG回数を1加算して(ステップS431)、NG回数が閾値(予め設定された所定の回数)以下か否かを判定する(ステップS432)。
ステップS432において、NG回数が閾値以下の場合(ステップS432でYes)には、図4のBへ戻り、制御部100は、再度、ステップS406から実行する。
また、ステップS432において、NG回数が閾値以下でない場合(ステップS432でNo)には、顧客端末Kは、取引停止を操作表示部110に表示する(ステップS433)。そして、顧客端末Kは、操作表示部110からの操作を受け付けないようにする。
【0020】
図4へ戻って、ステップ407において、顔情報と証明書の顔写真とが一致すると判定された場合(ステップS407においてYes)には、センタ端末Sの制御部200は、生体データの撮影を指示する信号を顧客端末Kに送信する(ステップS408)。
【0021】
そして、顧客端末Kの制御部100は、生体情報取得部120を介して生体データを取得する(ステップS410)。また、手元顔撮影部140は、生体データを取得している最中の手元を撮影する(ステップS410)。
【0022】
図5へ移って、顧客端末Kの特徴抽出部101は、ステップS411において記憶した手元情報と、ステップS410において撮影した手元の情報とに対して、それぞれ手元情報の特徴抽出を行う(ステップS414)。
なお、ステップS411では、顧客が、ステップS402〜S406において操作表示部110を操作している状況を撮影している。そのため、手元顔撮影部140は、手元を撮影することが可能である。例えば、手元情報の特徴とは、手のサイズ、色、装飾品の有無、服装、マニキュアの有無、刺青の有無等である。なお、この手元情報の特徴抽出(ステップS414)については、後記する。
【0023】
顧客端末Kの特徴比較部102は、ステップS410において取得した手元情報の特徴と、ステップS411において記憶した手元情報の特徴とが、一致するか否かを判定する(ステップS415)。
【0024】
ステップS415において、手元情報の特徴が一致しないと判定された場合(ステップS415でNo)には、制御部100は、NG処理2を実行する。なお、「手元情報の特徴が一致しない」とは、手元情報の特徴のうち、少なくとも1以上について一致しないことを意味する。あるいは、複数の特徴を用いて判断する場合、実際には同一人物の手であるにもかかわらず、いくつかの特徴の取得に失敗する可能性も考慮して一定数の特徴の不一致は許容するようにしても良い。例えば、5つの特徴を用いる場合は、その40%までの検出失敗を許容するようにするには、3つの特徴が取得できかつ一致する場合には、一致するものとみなすようにすれば良い。
NG処理2では、図6(b)に示すように、制御部100は、「登録不可(『ご本人のデータと確認できないため、登録できません』等というメッセージ)」を操作表示部110に表示して、取引停止を表示する(ステップS441,S442)。そして、顧客端末Kは、操作表示部110からの操作を受け付けないようにする。
【0025】
図5へ戻って、ステップS415において、手元情報の特徴が一致すると判定された場合(ステップS415でYes)には、制御部100は、ステップS410において取得した生体情報をセンタ端末Sに送信する(ステップS416)。
センタ端末Sの制御部200は、受信した生体情報を表示部220に表示して、表示された生体情報が登録可能か否かについて、オペレータによって判定された結果を受け付ける(ステップS418)。
例えば、指静脈についての生体情報を取得しようとした場合に、すべての指について半分しか取得できていないとき、あるいは、不鮮明なときに、登録可能でないと判定される。
【0026】
ステップS418において、生体情報を登録可能でないと判定された場合(ステップS418でNo)には、センタ端末Sの制御部200は、顧客端末Kに指示を送信し、顧客端末Kの制御部100が、NG処理3を実行する(ステップS422)。
NG処理3では、顧客端末Kの制御部100は、図6(c)に示すように、顧客ごとに、一致しないと判定された回数であるNG回数を1加算して(ステップS451)、NG回数が閾値(予め設定された所定の回数)以下か否かを判定する(ステップS452)。
ステップS452において、NG回数が閾値以下の場合(ステップS452でYes)には、図4のCへ戻って、顧客端末Kの制御部100が、再度、ステップS410から実行する。
また、ステップS452において、NG回数が閾値以下でない場合(ステップS452でNo)には、顧客端末Kは、取引停止を表示する(ステップS453)。そして、顧客端末Kは、操作表示部110からの操作を受け付けないようにする。
【0027】
図5に戻って、ステップS418において、生体情報を登録可能であると判定された場合(ステップS418でYes)には、センタ端末Sの制御部200は、生体情報を登録する(ステップS419)。なお、生体情報の登録とは、サーバSSの記憶部310に、生体情報を氏名、生年月日、電話番号等の顧客を識別する情報と共に記憶することである。
【0028】
次に、センタ端末Sの制御部200は、顧客端末Kに、生体情報の登録指示を送信する(ステップS420)。そして、顧客端末Kの制御部100は、ステップS410において取得した生体情報をICカードに登録する(ステップS421)。
これによって、生体情報が登録されたICカードが使用可能となる。そして、「生体登録」メニューは終了となる。
【0029】
なお、手元顔撮影部140が手元や顔を撮影する期間(ただし、生体情報を取得している期間を除く)は、生体情報を取得する(ステップS410の)前に限られず、生体情報を取得した(ステップS410の)後にも継続していても良い。すなわち、生体情報を取得した(ステップS410の)後に撮影された手元や顔の情報は、図5に示すNG処理3(ステップS422)を経由してC点(図4)から再度実行される処理のために、ステップS414〜S416,S418の間に「他人にすり替わること」を防止することに役立てることが可能である。
【0030】
ここで、顧客端末Kの特徴抽出部101(図5に示したステップS414)における、手元情報の特徴抽出について詳細に説明する。手元情報の特徴は、手のサイズ、色、装飾品の有無、服装、マニキュアの有無、刺青の有無等である。
【0031】
まず、特徴抽出部101は、顧客の手元の特徴を検出する。
すなわち、特徴抽出部101は、手元顔撮影部140が撮影したエリアについて、顧客の手が写りこんだ画像と、手が写っていない画像との差分を求める。なお、手が写っていない画像は、手元顔撮影部140の撮影角度に対応して、予め撮影した画像を記憶部150に記憶しておいたものを用いても良い。
そして、その差分に対して、「指(掌(甲)に接続された最高5本の比較的細い部分)」、「掌(甲)(差分のうち、比較的面積のある部分)」、「手首(掌または甲から伸びた1本の比較的太い部分;掌(甲)と手首の区別が付かない場合は太い部分の幅の1.5倍程度の部分までを掌(甲)とし、それ以外を手首とする)」、「右手または左手(指のうち、一番端にあって、他の4本と離れているものを親指とし、親指が左側にあれば右手、逆であれば左手とする)」に分類する。これらの分類においては、画像の輝度、明度、および彩度を用いて、手の輪郭を抽出して、前記「指」、「掌(甲)」、および「手首」を分類する。また、顧客が顧客端末Kに向かって操作表示部110や書類読取部130を操作しているところを上方から撮影しているので、画像に写される手は、顧客端末Kに近い方から「指」、「掌(甲)」、および「手首」の順になることも利用する。
【0032】
次に、手のサイズの処理について説明する。
まず、顧客端末Kの各部品のサイズは、記憶部150に記憶されている。そして、手元顔撮影部140が撮影した画像に写っている顧客端末Kの部品の大きさから、顧客の手のサイズを推定する。そして、前記「指」、「掌(甲)」、および「手首」のそれぞれの長さや幅を記憶する。なお、手首は、長さが分からないので、幅のみを記憶する。
【0033】
次に、色、装飾品の有無、服装、マニキュアの有無、刺青(もしくはあざ等)の有無について説明する。
色については、手元顔撮影部140がカラーで撮影する場合には、指、掌(甲)、および手首のそれぞれの色を記憶する。なお、指の曲がり具合を参照して、手の甲と掌とを区別して記憶することも可能である。
装飾品(指輪、ブレスレット、時計等)の有無については、指、掌(甲)、手首について、輝度、明度、彩度を用いて、色が異なる部分、幅が急に広くなっている部分を検出する。そして、それらの部分が、どちらの手のどこに位置しているかを検出し、その形状やサイズ等と共に記憶する。
服装については、手首付近において、掌(甲)と比較して太さや色が異なる、あるいは模様がある等によって検出し、その模様を記憶する。
マニキュアの有無については、指の先端部分の色(輝度/明度/彩度またはRGB)が大きく異なる場合に、マニキュアが塗られているものと判定し、その色を記憶する。
刺青(もしくはあざ等)の有無については、色が肌色とは大きく異なっていて、指、掌(甲)、手首の幅が変化していない部位がある場合に、刺青(もしくはあざ等)と判定し、そのサイズと形状を記憶する。
【0034】
前記した手元情報の特徴を抽出するための撮影は、ステップS402〜S406の間の、新しい取引画面を表示するごと、あるいは入力操作するごと等、複数のタイミングで行われてる。そして、撮影された画像は記憶部150に記憶される。そして、特徴比較部102は、抽出された手元情報の特徴のうち、所定の回数以上同じ特徴が抽出された項目を有効な情報として使用し、ステップS415(図5)における特徴比較を実行する。したがって、比較に使用される手元の特徴の項目は、手のサイズ、手の色、装飾品の有無、服の袖の形状と色と柄、マニキュアの有無と色、刺青またはあざの有無の少なくとも1以上となる。
【0035】
≪変形例1≫
仮に、図5に示すステップS415において、手のサイズ、色、装飾品の有無、服装、マニキュアの有無、刺青の有無等の手元情報の特徴の中で、手元情報の特徴が一致しないと判定された項目があれば、顧客端末K(自動取引装置)は、センタ端末Sに警告情報を送信する。そして、センタ端末Sは、受信した警告情報を表示部220に表示する。次に、センタ端末Sは、ステップS413において記憶しておいた顔情報を、表示部220に表示する。
オペレータは、警告情報を確認した時点において手元顔撮影部140によって撮影された顧客の顔情報と、ステップS413において記憶しておいた顔情報(顔の画像)とを比較する。そして、同一人物と確認できない場合には、センタ端末Sは、取引中止の指示を顧客端末Kに送信する。次に、顧客端末Kは、取引中止を操作表示部110(図2)に表示し、操作表示部110からの入力を受け付けないようにする。
なお、生体情報を取得しているとき(ステップS410)に、顔の画像を撮影しておき、同一人物か否かを確認するために使用しても良い。また、顔情報の比較は、顔認識プログラムを用いて実行しても良い。
【0036】
≪変形例2≫
前記した実施形態では、「顔情報と証明書の顔写真との比較(図4のステップS407)」をセンタ端末Sで行っていたのに対して、変形例2では、顧客端末K(自動取引装置)で行う点が異なる。具体的には、図7を用いて説明する。図7は、変形例2において実行される処理の流れを示す図である。
【0037】
なお、図7において、ステップS401〜S405までは、図4と同じであるので、説明を省略する。
ステップS404の後、顧客端末Kの制御部100は、セットされた証明書一式を書類読取部130に読み取らせる(ステップS501)。
そして、ステップS402〜S404およびステップS501の間に、手元顔撮影部140が、何度も顧客の顔を撮影している。すなわち、ステップS402〜S404およびステップS501の間において、手元顔撮影部140は、顧客が操作表示部110を操作している状況を撮影している。そして、撮影された顔の情報は、顧客端末Kの記憶部150に顔情報として記憶される(ステップS502)。
次に、顧客端末Kの制御部100は、記憶部150に記憶しておいた顔情報と、証明書の顔写真とが一致するか否かを判定する(ステップS503)。なお、ステップS503における判定は、制御部100が顔認証用のプログラムを実行させて行う。
ステップS503以降の処理は、図4,図5と同様であるので、説明を省略する。
変形例2では、顧客端末Kのみにおいて、個人認証のために生体情報を取得するまでの不正を防止することが可能となる。
【0038】
このように、本発明の実施形態および変形例によれば、個人認証のために生体情報を登録する際の不正を防止することが可能となる。また、生体データに虹彩や顔の情報を用いる場合、顔だけでなく、髪型、眼鏡の有無、皮膚の色等の情報を生体データ取得前に取得しておくことによって、同様の効果を発揮させることが可能である。また、無人化店に設置された顧客端末Kに、本発明の実施形態および変形例に記載の機能を備えれば、オペレータを介して生体情報の登録に係る不正を防止することが可能となり、あたかも有人店舗と同等のセキュリティを備えることが可能となる。
また、手元や顔の撮影は顧客端末Kが行い、手元の特徴抽出や特徴比較は、センタ側のサーバSSあるいはセンタ端末Sで行うように構成しても同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る自動取引システムの構成を示す図である。
【図2】自動取引システムの機能を示す図である。
【図3】顧客端末の斜視図を示す。
【図4】自動取引システムにおいて実行される処理の流れを示す図である。
【図5】自動取引システムにおいて実行される処理の流れを示す図である。
【図6】自動取引システムにおいて実行される処理の流れを示す図である。
【図7】変形例2において実行される処理の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 自動取引システム
101 特徴抽出部
102 特徴比較部
110 操作表示部
120 生体情報取得部
140 手元顔撮影部(撮影部)
170 通話部
250 通話部
K(K1,・・) 顧客端末(自動取引装置)
S(S1,・・) センタ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人認証用の生体情報を取得する生体情報取得部と、
顧客の手元を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された前記生体情報取得部が前記顧客の生体情報を取得している最中に撮影された画像Aと、前記生体情報取得部が前記顧客の生体情報を取得していないときに撮影された画像Bとから手元の特徴を抽出する特徴抽出部と、
前記特徴抽出部が抽出した前記画像Aおよび前記画像Bの手元の特徴が一致するか否かを比較する特徴比較部と、
を備えることを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記手元の特徴は、手のサイズ、手の色、装飾品の有無、服の袖の形状と色と柄、マニキュアの有無と色、刺青またはあざの有無の少なくとも1以上であること、
を特徴とする請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記特徴比較部において、前記手元の特徴のうち少なくとも1以上について一致しない場合には、生体情報を登録できない内容を表示部に表示し、前記顧客の操作を受け付けなくすること、
を特徴とする請求項2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記特徴比較部は、所定の回数以上同じ特徴が抽出された項目を比較のために使用すること、
を特徴とする請求項3に記載の自動取引装置。
【請求項5】
金融取引のために顧客が操作する顧客端末とオペレータが操作するセンタ端末とがネットワークを介して通信可能に接続されている自動取引システムにおいて、
前記顧客端末は、
個人認証用の生体情報を取得する生体情報取得部と、
顧客の手元を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された前記生体情報取得部が前記顧客の生体情報を取得している最中に撮影された画像Aと、前記生体情報取得部が前記顧客の生体情報を取得していないときに撮影された画像Bとから手元の特徴を抽出する特徴抽出部と、
前記特徴抽出部が抽出した前記画像Aおよび前記画像Bの手元の特徴が一致するか否かを比較する特徴比較部と、
を備え、
前記特徴比較部において、前記二つの画像の特徴が一致しないと判定された場合、
前記顧客端末は、前記センタ端末に、警告情報を送信すること、
を特徴とする自動取引システム。
【請求項6】
前記撮影部は、顔を含めて撮影し、
前記顧客端末は、前記撮影部が撮影した顔の情報を前記センタ端末に送信し、
前記センタ端末は、前記警告情報を受信して、前記生体情報取得部が前記顧客の生体情報を取得する前の顔の画像と、前記生体情報取得部が前記顧客の生体情報を取得した後の顔の画像とを比較すること、
を特徴とする請求項5に記載の自動取引システム。
【請求項7】
前記顧客端末と前記センタ端末とは、相互に通話が可能な機能を備えていること、
を特徴とする請求項5または請求項6に記載の自動取引システム。
【請求項8】
前記金融取引はローン契約であること、
を特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の自動取引システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−181371(P2009−181371A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20032(P2008−20032)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】