自動変速機のセレクトアシスト装置
【課題】 セレクトレバーとセレクト位置切換装置の機械的連結によりフェール時のレンジ切り換え操作を可能にしつつ、セレクトレバーの小型化によるレイアウト自由度の拡大を図ることができ、しかも要求に応じたセレクトレバー操作力特性を得ることができる自動変速機のセレクトアシスト装置を提供する。
【解決手段】 第1回転部13と第2回転部17の相対変位を、許容範囲の中立状態となるよう制御し、第1回転部13と第2回転部17の相対変位量の検出を、歯車B612で回転させる磁石613と、基板のMRセンサ部614との相対変位で、磁気により非接触で検出した。
【解決手段】 第1回転部13と第2回転部17の相対変位を、許容範囲の中立状態となるよう制御し、第1回転部13と第2回転部17の相対変位量の検出を、歯車B612で回転させる磁石613と、基板のMRセンサ部614との相対変位で、磁気により非接触で検出した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機を備えた車両において、ドライバのセレクトレバーの操作に応じて、自動変速機のセレクト位置を制御で切り換える自動変速機のセレクトアシスト装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動変速機のセレクトレバーは、ロッドやケーブル等の操作力伝達手段を介して自動変速機のマニュアルバルブと機械的に連結されている。セレクトレバーに入力されるドライバの操作力は、操作力伝達手段を介してマニュアルバルブに伝達され、操作量に応じてセレクト位置が切り換えられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、セレクトレバーとマニュアルバルブとが電気的に接続された、いわゆるシフトバイワイヤ技術を用いたものが知られている。この従来技術は、マニュアルバルブを作動するアクチュエータを設け、セレクトレバーの回動操作を電気信号に変化してアクチュエータを駆動することにより、セレクト位置を切り換えるものである(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−323559号公報
【特許文献2】特開2003−97694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セレクトレバーの操作時には、操作力伝達手段のフリクション、ディテントの抵抗等、機械的な操作反力が発生するため、大きな操作力が要求される。よって、ドライバの必要操作力を小さくするために、セレクトレバーの長さを十分な梃子力が得られる長さに設定する必要がある。
【0005】
したがって、上記従来技術のうち前者にあっては、セレクトレバーの長さに起因して形状が大きくなるため、設置場所に制約が多く、車室内におけるレイアウト自由度が低いという問題があった。
【0006】
一方、後者では、アクチュエータの採用によってセレクトレバーを短く設計でき、前者と比較してレイアウト自由度は高くなる。ところが、セレクトレバーとマニュアルバルブとが機械的に連結していないため、フェール時にレンジ切り換えが不能となる。
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、セレクトレバーとセレクト位置切換装置の機械的連結によりフェール時のレンジ切り換え操作を可能にしつつ、セレクトレバーの小型化によるレイアウト自由度の拡大を図ることができ、しかも要求に応じたセレクトレバー操作特性を得ることができる自動変速機のセレクトアシスト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置では、セレクトレバーと自動変速機のセレクト位置切換装置とがセレクト操作力伝達系により連結され、前記セレクト操作力伝達系にはドライバによるセレクト操作力をアシストするアシストアクチュエータが設けられた自動変速機のセレクトアシスト装置において、前記セレクト操作力伝達系を、セレクトレバーに連結した第1連結部材と、前記セレクト位置切換装置に連結した第2連結部材と、限界量までの相対変位を許容しつつ前記両連結部材を連結する相対変位許容連結機構と、を有する構成とし、かつ、前記アシストアクチュエータを第2連結部材に設定し、前記セレクトレバーの操作に対し両連結部材の相対変位が、許容範囲内の中立状態となるよう前記アシストアクチュエータを駆動制御するアシスト制御手段を設け、前記相対変位を検出する相対変位検出手段を設け、前記相対変位検出手段は、磁気により非接触で、相対変位を検出するものであることを特徴とする。
なお、請求項中の「中立状態」とは、許容範囲内で相対変位が許容される状態を指すものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、セレクトレバーとセレクト位置切換装置の機械的連結を保持しつつ、ドライバのセレクトレバーの操作に応じて自動変速機のセレクト位置切換装置の切り換えを制御駆動で行うことにより、フェール時のレンジ切り換え操作の確保と、セレクトレバーの小型化によるレイアウト自由度の拡大を共に達成できる。
また、許容範囲内で中立状態を保持することによって、通常の操作状態では、自動変速機側の作動のための力をセレクトレバーが全く必要としないようにして良好な軽い操作フィーリングを実現でき、且つ通常の操作の際に遊び量がなくなることによる操作の違和感を生じないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の自動変速機のセレクトアシスト装置を実現する実施の形態を、実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の自動変速装置の構成を示す側面図、図2はセレクト部の細部構造を示す要部斜視図である。
【0012】
実施例1の自動変速装置は、図1に示すように、セレクト部1、アシストアクチュエータ2、コントローラ3、コントロールケーブル4、自動変速機5を主要な構成としている。
セレクト部1は、セレクトレバー11、セレクトノブ12、第1回転部13(第1連結部材に相当する)、チェック機構部14、ウォームホイール16、第2回転部17(第2連結部材に相当する)、ケーブル取付レバー18、支点軸19からなる。
セレクトレバー11は、運転席から操作可能な位置に設けられ、セレクトレバー11の先端には、セレクト操作時にドライバが把持するためのセレクトノブ12が付設されている。セレクトレバー11は、第1回転部13に取り付けられ、第1回転部13は支点軸19を中心に回動操作される。結果的にセレクトレバー11は、回動操作可能となる。セレクトレバー11は、従来の一般的なセレクトレバーよりも250mm短い100mmに設定されている。
【0013】
さらに、支点軸19には、回転自在に第2回転部17を設ける。第2回転部17は、第1回転部13と同軸となるが、相対回転可能な構造にする。
第2回転部17の一端側には、ウォームホイール16を設け、このウォームホイールと反対側には、ケーブル取付レバー18を設ける。このケーブル取付レバー18にコントロールケーブル4の端部を取り付け、反対側の端部を自動変速機5の制御アーム51に取り付ける。
同じ回転軸(支点軸19)に対して相対回転が可能な第1回転部13と第2回転部17において、第1回転部13には、円周方向に対して所定の長さである遊び溝131を設ける。第2回転部17には、遊び溝131内に位置するよう突起171を設ける。これにより、第1回転部13と第2回転部17の相対回転は遊び溝131の間を突起171が移動できる範囲となる。(第1回転部13の遊び溝131と第2回転部17の突起171で遊び連結機構を構成する)
【0014】
アシストアクチュエータ2は電動モータであり、その出力軸には、ウォーム21を設けて、ウォームホイール16と係合させてウォームギアを構成し、アシストアクチュエータ2により第2回転部17を回転駆動させる構造にする。さらに、支点軸19には、第1回転部13と第2回転部17の相対変位量を検出する位置センサ6(相対変位量検出手段に該当する)を設ける。
ここで、位置センサ6の構成について詳細に説明する。
図9は位置センサ6を設置したセレクト部1の断面図、図10は位置センサ6の一部切欠断面図である。
ウォームホイール16は、支点軸19に直結させ、セレクトレバー11の軸は、図9に示すように支点軸19が貫通する構造にすることで、同一軸に対しそれぞれ回転する構造にする。このセレクトレバー11の軸部には、内部空間を有するケース616を設け、支点軸19に直交するセレクトレバー11側のケース616の内面に基板615を設ける。次に、基板615上に、磁気の強さにより抵抗が変化するMR素子を有し、MRセンサ部614を設ける。MRセンサ部614に対向する位置のケース616内面には、MRセンサ部614に向かって突出した軸支部を設ける。このMRセンサ部614と、対向する位置に設けた軸支部により軸支するように歯車B612を回転自在に軸支して設ける。
【0015】
この歯車B612のMRセンサ部614に対向する部分には、図10に示すように、厚みのある半円形状ごとにN,S極となるよう着磁した磁石613(磁界発生手段に相当する)を設け、歯車B612と一体となって回転する構成にする。
次に、ウォームホイール16と接続する支点軸19には、支点軸19と一体となり回転する歯車A611を設け、歯車A611の外周歯面を歯車B612の外周歯面と係合させる。また、歯車A611と歯車B612は、歯車B612の径を歯車A611より小さくして、所定の角度範囲で回転する歯車A611に対し、180度未満の回転を歯車B612が行うようにする。
【0016】
さらに、第1回転部13のセレクトレバー11の反対側には、チェック機構部14を設けている。チェック機構部14は、第1回転部13から外周側に突出させたピン141と、ピン141に係合する溝部142からなる。ピン141は詳細には図示しないが内部から先端を突出方向にバネで付勢する構造である。このピン141の先端を溝部142に係合させる。溝部142は、5つのレンジ(P・R・N・D・L)に対応した谷部142aを形成するよう波形状にしたものである。このチェック機構部14により、選択されたセレクト位置が保持されるようにし、操作を伴わない例えば車両の振動等に起因する意図しないレンジセレクトの入力を防止する。
【0017】
コントローラ3(アシスト制御手段に該当する)は、検出された相対位置に基づいて、アシストアクチュエータ2の指令値を設定し、電動モータの出力デューティ比をPWM制御する。
図3にコントローラ3の制御ブロック図を示す。
セレクト部1において、レンジ切り換え操作されたセレクトレバー11のストローク変化は、第1回転部13と第2回転部17の相対回転変化となり、遊び溝131と突起171との相対変位量の変化となる。この相対位置の変化は位置センサ6で検出され、中点位置からの相対位置変位量としてコントローラ3へ出力される。
【0018】
駆動指令演算部31は、位置センサ6からの相対変位量に対し、PID制御により、駆動指令値を演算する。駆動指令演算部31は、比例ゲインを乗算する乗算器311からなる比例制御部分と、微分演算を微分演算部312で行い、微分ゲインを乗算器313で乗じる微分演算部分と、積分演算を積分演算部314で行い、積分ゲインを乗算器315で乗じる積分演算部分と、比例・微分・積分の演算結果を加算する加算器からなる。
モータ駆動制御部32は、制御指令値に基づいて、アシストアクチュエータ2の電動モータを駆動する。
【0019】
次に、自動変速機5のディテント構造について説明する。
図4は、自動変速機5のディテント構造を示す斜視図である。
制御アーム51には回転シャフト52が設けられ、この回転シャフト52にディテントプレート53が支持されている。ディテントプレート53の上端には、カム山53aの間に5つのレンジ(P・R・N・D・L)に対応した谷部53bが形成されている。そして、この谷部53bにバネ板54の先端に形成されたディテントピン55を係合させ、選択されたセレクト位置を保持することにより、車両の振動等に起因する意図しないレンジセレクトを防止している。
【0020】
すなわち、アシストアクチュエータ2の作動力又はセレクトレバー11の操作力により回転シャフト52が回動し、この回動に応じてディテントプレート53がディテントピン55に対して相対移動する。このとき、ディテントピン55がカム山53aを乗り越えて隣のレンジに対応した谷部53bと係合し、係合状態がバネ板54の弾性力により保持される。この弾性力がセレクト操作する際の主要な負荷力となる。
【0021】
なお、ディテントプレート53には、パーキングロッド56の一端が回動自在に連結されている。このパーキングロッド56は、セレクトレバー11をPレンジに移動させたとき、カム状プレート57を介してパーキングギア58の回転を阻止し、図外の駆動輪をロックするものである。これにより、勾配路上にPレンジで車両を駐車したとき、勾配に応じて駆動輪をロックするように車重負荷が加わり、パーキングロッド56を咬む力として作用する。
実施例1では、自動変速機5とセレクト部において、それぞれディテント力(チェック力)が働くようにしている。
【0022】
次に作用を説明する。
[自動変速機のセレクト位置制御処理]
図5は、コントローラ3で実行されるセレクト位置制御処理の基本処理の流れを示すフローチャートである。
【0023】
ステップS1では、位置センサ6からの相対位置変位量信号を入力して、相対位置の変位量を読み込む。
【0024】
ステップS2では、読み込んだ相対位置から、相対位置の中点からの偏差を演算する。
【0025】
ステップS3では、相対位置の中点からの偏差から、モータトルク指令値を設定する。
【0026】
ステップS4では、モータトルク指令値に従ってアシストアクチュエータ2の電動モータを駆動する。
【0027】
[自動変速機の操作反力特性]
図6は、P→Rレンジ方向いおけるアシストアクチュエータ2の出力軸に発生する操作反力、及び連結状態においてセレクトノブ12に発生する操作反力を示す特性図である。この操作反力特性は、出力軸における操作反力[N]及びセレクトレバー11における操作反力[N]をセレクトレバー11の操作位置(ストローク角度)と対比させたものである。
【0028】
なお、セレクトレバー11の操作力が自動変速機5へ伝達される場合には、セレクトレバー11における操作反力は、上述したセレクト部1におけるディテントで発生する負荷力に機構の摩擦力等を合成したものである。よって、レンジ切り換え制御中、レンジ切り換え操作を行う場合には、この操作反力以上の手動操作を必要とする。
【0029】
また、アシストアクチュエータ2の電動モータの出力軸における操作反力は、上述した自動変速機5のディテントで発生する負荷力に、コントロールケーブル4の摩擦力、電動モータのイナーシャ等を合成したものである。よって、アシストアクチュエータ2によるレンジ切り換えは、この操作反力以上の駆動力が必要となる。
図6に示すように、セレクトレバー11をP→Rレンジ方向に操作したときに発生する操作反力は、各レンジ間において、初めにセレクトレバー11の操作方向、又はアシストアクチュエータ2の駆動方向と逆方向(D→Nレンジ方向)に発生し、ピーク後に向きを変えて操作方向と同一方向(P→Rレンジ方向)に発生し、レンジ切り換え位置(停止位置)付近でゼロに収束した状態となる。この特性は、ディテントピン55又はピン141が、カム山53a又は溝部142のカム山を乗り越える際に発生する負荷力に起因している。すなわち、ディテントピン55又はピン141がカム山53a又は溝部142のカム山を乗り越えるまでは、バネ板54又はピン141を付勢する図示しないバネの付勢力により抵抗力が発生し、ディテントピン55又はピン141がカム山53a又は溝部142のカム山を乗り越えた後は、ディテントピン55又はピン141が次のカム山53aの溝又は溝53bに落ち込んで引き込み力(慣性力)が発生するためである。
【0030】
[自動変速機のレンジ切り換え制御]
実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、操作前の状態の例として、第1回転部13と第2回転部17は非連結状態であり、遊び溝131内において、突起171は相対位置が中点の位置、つまり、どちらの操作方向に対しても余裕分を有する状態となっている(図8(a)参照)。
【0031】
この状態から、例えばセレクトレバー11を操作し始めると、この遊び溝131と突起171の相対位置変位量が変化する。しかし、非連結状態における位置範囲内であるので、コントロールケーブル4に動きはない。この相対位置変位量の変化は、位置センサ6で検出され、駆動指令演算部31でその相対位置の偏差に応じたモータ駆動制御指令値が設定されて、アシストアクチュエータ2の電動モータが駆動される。アシストアクチュエータ2の駆動出力は、ウォーム
21によりウォームホイール16に伝達され、第2回転部17が回転し、コントロールケーブル4を介して自動変速機5の制御アーム51が駆動されて自動変速機のセレクト位置が切り換えられる。
【0032】
なお、第2回転部17の回転によりコントロールケーブル4が進退することにより、遊び溝131と突起171の相対位置は、中点近傍に復帰する。
つまり、駆動指令演算部31の制御により相対位置変位量を、相対位置の中点近傍に保持することにより、図8(a)〜(c)に示すようにセレクトレバー11の操作による動きに追従させて自動変速機の制御アーム51を駆動して、セレクト位置を切り換えることになる。
この動きは、あたかもセレクトレバー11と自動変速機5の制御アーム51がコントロールケーブル4で接続されているかのような動きとなる。
なお、例として、PレンジからRレンジに移動させる際の相対位置の変化状態を図7に示す。セレクトレバー11に入力される角度を操作角、制御アーム51の角度を作動角とした場合、操作角と作動角の関係は、非連結状態を保ちつつ図7に示すような状態となる。つまり、制御開始当初は、操作角に対して作動角が遅れて追従し、ディテントによる次レンジへの吸い込み力によって、制御後半は、操作角に対して作動角が先行するのである。
【0033】
[操作フィーリングの向上作用]
実施例1では、上記に説明したように通常の制御が行われている場合、第1回転部13の遊び溝131と、第2回転部17の突起171の相対位置が中点に保たれるため、操作の途中で、第1回転部13と第2回転部17が機械的伝達系として接続して、そのショックがセレクトレバー11に伝達されて操作フィーリングを低下させてしまうことがない。
【0034】
これにより、実施例1における操作フィーリングは、セレクト部1のチェック機構部14のみによって生成されることになる。よって、溝部142とピン141におけるカム山の形状、大きさ、ばねの強さ等を、従来に対して小さいセレクトレバー11の軽い操作フィーリングを非常に良好にする構成にできるのである。
【0035】
[急な坂道における発進時の操作フィーリングの向上作用と小型軽量化]
急な坂道を発進しようとしてPレンジからDレンジへセレクト操作する場合には、パーキングロッドを引き抜く力が大きくなるため操作力が重くなる。本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、このように負荷が大きい場合には、遊び溝131の端部に突起171が当接する、つまり遊び機構における遊び量がない状態となってドライバのセレクトレバー11へ入力される操作力が第2回転部17、コントロールケーブル4に伝達され、これにアシストアクチュエータ2の電動モータのアシスト力を加算してパーキングロッド56を引き抜くため、操作フィーリングとしては軽い操作となり、システムとしては、電動モータの定格を小さくできシステムの小型軽量化となる。
【0036】
[急激なシフト操作における操作フィーリングの向上作用とコスト低減作用]
本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置において、急激なセレクト操作をした場合には、遊び溝131の端部に突起171が当接する、つまり遊び機構における遊び量がない状態となってドライバのセレクトレバー11へ入力される操作力が第2回転部17、コントロールケーブル4に伝達され、これにアシストアクチュエータ2の電動モータのアシスト力が加算される。よって、操作フィーリングとしては軽快な操作となり、システムとしては、電動モータへの応答性の要求が緩和され、モータの定格小型化となる。
【0037】
[セレクトレバーと自動変速機の制御アームの機械的連結]
さらに、実施例1において、フェール時には、セレクトレバー11を、非連結状態の位置範囲を超えて操作すれば、その操作方向において、可動量つまり遊び量がなくなり、連結状態となって、コントロールケーブル4を介して、その操作力によって、自動変速機5の制御アーム51を操作することができる。
【0038】
[位置センサにおける課題]
第1回転部13と第2回転部17の相対位置を検出する位置センサとしては、可変抵抗となる接触面に対し、電気的に接触するブラシが摺動することで、抵抗値を変化させるものが考えられる。しかし、可変抵抗となる接触面とブラシが摺動するため、摺動による劣化がある。摺動による劣化は検出値の変化をもたらすこととなり、好ましいものではなかった。
これに対し、本実施例1では、磁気により非接触の位置センサ6にしている。
【0039】
[相対変位量の検出作用]
(a)セレクトレバーの回転による相対変位量の検出作用
セレクトレバー11が操作されると、支点軸19に対してセレクトレバー11と接続して設けたケース616が支点軸19を中心に回転する。すると、支点軸19に固定された歯車A611に対し、歯車B612は公転しながら自転する。
歯車B612が自転すると、磁石613が自転するが、MRセンサ部614は、ケース616と共に公転する回転のみとなる。よって、MRセンサ部614から見ると、対向する磁石613がMRセンサ部614に対し、相対回転する。
【0040】
すると、N極、S極の中央付近を最も磁場の強い状態として回転するため、この磁場の変化によりMR素子が抵抗値を変化することで、その回転位置が検知できる。さらに、実施例1で用いたMRセンサ部614には、MR素子が45度位相をずらすよう2箇所に設けられることにより、図11に示す特性を得ることで、±90°の絶対値を得ることができる。
このようにして、セレクトレバー11の操作は磁気により非接触で相対変位量として検出される。
【0041】
(b)ウォームホイールの回転による相対変位量の検出
アシストアクチュエータ2の駆動力がウォームホイール16に伝達されることにより、支点軸19が回転する。支点軸19が回転すると、歯車A611が一体となって回転する。すると、歯車A611と歯面を係合させた歯車B612が回転する。しかし、MRセンサ部614には回転は伝達されないため、MRセンサ部614に対して磁石613が相対回転することになり、(a)の場合と同様、相対変位量が検出される。よって、アシストアクチュエータ2によるウォームホイール16の作動は磁気により非接触で相対変位量として検出される。
【0042】
以上、(a),(b)より、セレクトレバー11、ウォームホイール16の両方が回転した場合も、その相対変位量が磁気により非接触で検出される。
【0043】
次に効果を説明する。
本実施の形態の自動変速機のセレクトアシスト装置にあっては、次に列挙する効果を得ることができる。
(1)セレクトレバー11は従来のセレクトレバーよりも車室内空間への突出量が150mm程度少なく、さらに、セレクトレバー11と制御アーム51は遊び量を持ってコントロールケーブル4を介して連結されているため、従来品よりも車室内レイアウトの自由度が大きく、インストルメントパネル等、車室内の任意箇所にセレクトレバー11を設定できる。
また、セレクトレバー11と制御アーム51がコントロールケーブル4によって、遊び量を有して機械的に連結されているため、アシストアクチュエータ2やコントローラ3がフェールした場合でも、ドライバは手動でセレクト位置を切り換えることができる。
【0044】
また、第1回転部13の遊び溝131、第2回転部17の突起171の係合により非連結状態と連結状態とを設け、設定遊び量内で中立状態を保持するため、通常の操作の際に非連結状態から連結状態となることによる違和感を生じないようにできる。
また、実施例1においては、通常の状態を非連結状態とするため、連結状態の際に受ける後段の摩擦抵抗を受けることなく、セレクトレバー11の小型化に合わせた軽い力で操作する良好な操作フィーリングをセレクト部1のチェック機構部14で生じさせることができる。
また、実施例1においては、非連結状態の遊び量を有するため、セレクトレバー11側と自動変速機5側の組付の際に互いに同期させる調整等を簡略化でき、車両への組付性を向上させることができる。
【0045】
また、セレクト操作系の負荷が過大となる急な坂道での発進や急激なセレクト操作の際には、ドライバの操作力にモータのアシスト力が加わり、操作を軽快にできる。また、操作力を伝達できるために、システムとしてモータ定格の小型化やモータへの応答性要求の緩和化ができる。
【0046】
さらに、本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置におけるシフトバイワイヤシステムに対する有利な作用効果について、比較して説明する。
上記に挙げた作用効果において、(A)通常時は、手動操作力を自動変速機に伝達することなくアクチュエータの作動力によりレンジ切り換えを行う。(B)フェール時は、アクチュエータの作動力を用いることなく、手動操作力によりレンジ切り換えを行う。(C)過大な負荷が生じる場合には、手動操作力とアクチュエータの作動力を加算したものによりレンジ切り換えを行う(アシスト状態)。特に(B),(C)は、シフトバイワイヤシステムに対し有利な作用効果である。
【0047】
さらに、(A)と(C)の状態も可変であることが有利である。つまり、本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、走行状況に応じて、ドライバの操作力とアシストアクチュエータによるアシスト力の比率を変えることができる。例えば、走行速度が高い時にRレンジからPレンジにシフトしようとする場合に、モータのアシスト力を弱めることにより、ドライバの操作力を高くして(操作を重くして)フィンガータッチの誤セレクトによって車が急停止することが防止できる。このように、操作フィーリングの向上に加えて、誤セレクトの防止や、それにつながるものを抑制することが操作を重くすることで実現できるのである。
【0048】
さらにシフトバイワイヤシステムと比較すると、ポテンショメータ(位置センサ)のゼロ点の経時移動や電源電圧の変動、回路入力電圧のドリフトなどの外乱に対して、シフトバイワイヤシステムでは制御系の応答性や位置決め精度が劣化しやすい。本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、制御系に多少の変動があってもドライバはメカリンクを通じてその変動分を吸収して操作できるためシステムのロバスト安定性に優れている。
さらに、シフトバイワイヤシステムがシステムダウンした際には、非常用レバーを探して通常と異なる操作をする必要がありパニックに陥ったドライバには負担が大きい。本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では操作力が重くなるものも通常と同様のセレクト操作のまま平常心で運転を続けられる。
【0049】
さらに、実施例1では、第1回転部13と第2回転部17の相対変位量の検出を、磁気により非接触で検出するため、摺動による劣化を無くし、正確な検出を行うことができ、これによりアシストアクチュエータ2の制御をより正確に行うことができる。
【0050】
(2)位置センサ6は、磁界を発生する磁石613と、磁石の磁界を検出するMRセンサ部614を備えるため、磁石613とMRセンサ部614を相対回転させるようにして、磁石613とMRセンサ部614により相対変位を非接触で検出できる。
【0051】
また、磁石を磁界の発生手段とすることで、磁気回路や磁気コイルを設けないことによるコスト抑制効果を得ることができる。
【実施例2】
【0052】
実施例2は、磁気による相対変位の変化速度を検出でき、磁界検出手段としてホール素子を用いた例である。
実施例2では、図12、図13に示すように位置センサ71と相対速センサ72を設けている。
まず、支点軸19を中心に回転可能な第1回転部13の一部に磁石713(磁界発生手段に相当する)を設ける。磁石713は、例えば時計回り方向側にN極、反時計回り方向にS極となるように回転方向で極が分かれるように設ける。
次に、この磁石713に対向する第2回転部17の位置に、図13に示すように磁石713に向かって磁性体を突出させた突部721を設ける。突部721には、コイル722を巻きつける。突部721、コイル722が相対速度検出手段に相当し、磁石713を含めて相対速センサ72を構成する。
【0053】
さらに、磁性体を、突部721に対し両回転方向に伸ばした形状にし、突部721から時計回り方向、反時計回り方向に所定の間隔をあけて磁石に向かって突出させ、その先端にそれぞれ、ホール素子部711、712(磁界検出手段に相当する)を設ける。これに磁石を含めて位置センサ71を構成する。
次に、図14を参照して実施例2の制御ブロック図について説明する。
駆動指令演算部33は、位置センサ71からの相対変位量、相対速センサ72からの相対速度に対し、PID制御により、駆動指令値を演算する。駆動指令演算部33は、相対変位量に対し比例ゲインを乗算する乗算器331からなる比例制御部分と、相対速度に対し微分ゲインを乗算する乗算器332からなる微分演算部分と、相対変位量に対し積分演算を積分演算部333で行い、積分ゲインを乗算器334で乗じる積分演算部分と、比例・微分・積分の演算結果を加算する加算器からなる。
モータ駆動制御部32は、制御指令値に基づいて、アシストアクチュエータ2の電動モータを駆動する。
その他構成は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
次に作用を説明する。
[相対速度の検出]
第1回転部13と第2回転部17の相対変位が生じる動きに対し、第1回転部13に設けた磁石713とコイル722の相対位置が変化すると、図13に示すようにいずれかの磁極の端部がコイル722に近づくことになる。このN極・S極の配置により、磁石713はそれぞれ端部が最も強い磁界を発するため、相対移動すると、コイル722内を通過する磁束量に変化が生じ、その変化によりコイル722は電圧を得る。さらに、例えば、磁石713のS極がコイル722に近づくと、S極は突部721に近づき、N極は、隣の磁性体の突部分に近づくことになる。すると、N極からS極への磁束が磁性体で損失少なく誘導される磁気回路を構成することになるため、コイル722への磁束変化を大きくでき、より大きな電圧変化を得ることができる。この磁束の変化で得る電圧変化は、言い換えれば、単位時間当たりの磁束変化量に応じた電圧ということができる。さらに、単位時間当たりの磁束変化をもたらすのは、単位時間あたりの相対位置の変化であるから、コイル722の電圧変化は、相対速度を検出していることになる。
【0055】
さらに、コイル722へN極が近づく場合とS極が近づく場合とでは、コイル722内を通過する磁束の方向が異なるため、検出する電圧の正負が逆転することになり、変位方向をも検出できることになる。
【0056】
[相対変位量の検出]
実施例2では、位置センサ71としてホール素子を用いている。ホール素子は、通過する磁束量に応じて検出電圧を出力する。また、通過する磁束の方向により検出電圧の正負が逆転する。実施例2では、図16に示すように2つのホール素子部711,712のホール素子を直列に接続する回路構成にした場合、例えば磁石713のN極がホール素子部711に近づくと、N極自体がホール素子部711に近づくことと、S極が突部721に近づき磁気回路が形成されることにより、ホール素子部711の出力は、大きくなり、ホール素子部712の出力が小さくなって、例えば正方向の検出電圧が大きくなる。よって、図16に示すように、正負の方向を含めて、確実に相対変位量が検出される。
【0057】
[コストの抑制]
実施例2では、位置センサ71と相対速センサ72が、同じ磁石713を磁界の発生手段としている。さらに、位置センサ71では、2つのホール素子部711,712が同じ磁石713を磁界の発生手段としている。これによりコストが抑制される。
【0058】
[ノイズの影響に対する作用]
PID制御の特に微分制御において、相対変位量を微分演算する場合、その相対位置の検出にノイズの影響があると、ノイズによる変化を相対変位量の変化速度と演算してしまうという問題があった。特に、接触点の摺動により抵抗を変化させるセンサの場合、振動等の影響で接触力が変化することが考えられ、この問題が生じやすい。
これに対し、本実施例2では、磁石713からの磁束の変化を捉えて相対速度を検出するため、非接触の検出となり、上記のような問題を生じないようにする。
また、相対変位量から比例・微分・積分を演算するのに対し、相対速度に実際の検出結果が入力されるため、制御演算の信頼性が向上する。
【0059】
効果を説明する。実施例2の自動変速機のセレクトアシスト装置では、上記(1),(2)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(3)相対変位の変化速度を磁気により非接触で検出する相対速センサ72を設け、コントローラ3は、相対変位量と相対速度からアシストアクチュエータ2の駆動指令値を演算するため、ノイズの影響なく、精度のよい制御を行うことができる。
【0060】
(4)相対速センサ72は、磁界を発生させる磁石713と磁界の変化を検出するコイル722を備え、磁界の変化から相対変位の変化速度を検出するため、コストを抑制して、第1回転部13と第2回転部17の相対変位で、磁石713とコイル722が相対変位するようにし、変化速度を非接触で、検出することができる。
【0061】
(5)位置センサ71と相対速センサ72が同じ磁石713を磁界の発生手段とするため、コストを抑制することができる。
その他作用効果は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【実施例3】
【0062】
実施例3は、実施例2の磁界検出手段として、MRセンサを設けた例である。
実施例3では、実施例2のホール素子部711,712を設けず、MRセンサ部をそれぞれ設ける。その場合、MRセンサ部に関する回路構成は、図17のようになる。
MRセンサ部は、磁束の方向で、その抵抗値を変化させ、磁束の方向に関係ないため、図17のように2つのMRセンサ部の間と2つの抵抗の間の電圧差を取るようにして、図17(b)のような特性を得るようにして相対位置を検出してもよい。
その他構成、作用効果は実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0063】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態を実施例1〜実施例3に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
セレクトレバー11の形状や大きさは任意であり、指先で操作可能なスイッチ形状としてもよい。
異常を判定した場合には、駆動を停止させるのではなく、駆動出力を抑制した状態にしてもよい。
【0064】
実施例1〜実施例3では、相対変位許容連結機構の例として遊び連結機構を示したが、遊び連結機構以外であっても、例えば、限界弾性変位量までの弾性変位を許容しつつ両連結部材と連結する弾性連結機構であってもよい。
弾性連結機構について具体的に説明すると、実施例1において、第1回転部13の遊び溝131に係合して遊び溝131内に位置する突起171に対し、遊び溝131の両端側から中点位置に向かって突起171を付勢するようにバネを両側に設ける。チェック機構部14は設けない。すると、自動変速機5のディテント力によりコントロールケーブル4を介して作動位置に回転して位置する第2回転部17の突起171によりバネが伸縮され、バネ力により第1回転部13つまり、セレクトレバー11の位置が決まる。弾性連結機構では、このようにバネを介して自動変速機側のディテントを伝達することでセレクトレバー11への操作反力が生成される。また、制御は、同様に遊び溝の中点位置、つまり弾性変位量を0にするよう制御されることで、セレクトレバー11の操作に自動変速機5の作動が追従する動きをさせるのである。この弾性連結機構も相対変位許容連結機構の例である。
【0065】
実施例1〜実施例3では、遊び連結機構の例として、遊び量を許容する溝と
突起、アシストアクチュエータをセレクト部に設けたが、図18に示すように、第2回転部17及びアシストアクチュエータを自動変速機5に設けるようにしてもよい。図18を参照して具体的に説明すると、自動変速機5の制御アーム51を第2回転部17に接続して設け、第2回転部17の回転によって制御アーム51がレンジ位置を切り換える構造にする。この第2回転部17には、ウォームホイール16を設け、アシストアクチュエータ2のウォーム21を係合させる。よって、アシストアクチュエータ2は自動変速機5側に設ける。セレクトレバー11が設けられた第1回転部13の遊び溝131内を移動する突起171には、コントロールケーブル4の一端を取付け、他端を第2回転部17に取り付ける。このような構成であってもよい。
【0066】
また、遊び連結機構の例として、遊び連結機構、アシストアクチュエータをコントロールケーブルの途中に設けた例を図19、図20に示す。
この例においては、遊び連結機構は、コントロールケーブル8aとコントロールケーブル8bの接続部分で形成されるとともに、位置センサ71によりその相対変位量が検出される。セレクトレバー11側のコントロールケーブル8bは、ジョイント91により入力レバー92に接続し、自動変速機5側のコントロールケーブル8eは、ジョイント96により出力レバー95に接続する。この入力レバー92と出力レバー95は、同一の回転軸となる出力軸94に接続した構造にする。出力軸94には、ウォームホイール93を設け、アシストアクチュエータの電動モータ97の出力軸にウォーム98を設けてウォームホイール93と係合させる。このようにコントロールケーブルの途中に遊び連結機構、アシストアクチュエータを設ける構成にしてもよく、また、遊び連結機構における相対位置変位量が発生する部分で直接、変位量を検出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1実施例の自動変速機の構成を示す側面図である。
【図2】アクチュエータの細部構造を示す要部斜視図である。
【図3】コントローラの制御ブロック図である。
【図4】自動変速機のディテントの構造を示す斜視図である。
【図5】コントロールユニットで実行されるレンジ切り換え制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】P→Rレンジ方向においてセレクトレバーに発生する操作反力を示す特性図である。
【図7】P→Rレンジへの操作におけるセレクトレバーの操作角とアクチュエータの作動角、及び相対位置の特性を示す説明図である。
【図8】セレクトレバーの操作とアクチュエータの動作を示す説明図である。
【図9】位置センサ及びセレクト部の一部の断面図である。
【図10】位置センサの一部切欠断面図である。
【図11】MRセンサの出力特性を示す説明図である。
【図12】実施例2における位置センサ、相対速センサ、セレクト部の一部を示す説明図である。
【図13】実施例2における位置センサ、相対速センサの説明図である。
【図14】実施例2におけるコントローラの制御ブロック図である。
【図15】実施例2における相対速センサの出力特性を示す説明図である。
【図16】実施例2における位置センサの回路構成と出力特性を示す説明図である。
【図17】実施例3における位置センサの回路構成と出力特性を示す説明図である。
【図18】実施例の自動変速機のセレクトアシスト装置の他の例を示す図である。
【図19】実施例の自動変速機のセレクトアシスト装置の他の例を示す図である。
【図20】実施例の自動変速機のセレクトアシスト装置の他の例のリンク部分を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 セレクト部
11 セレクトレバー
12 セレクトノブ
13 第1回転部
131 溝
14 チェック機構部
141 ピン
142 溝部
142a 谷部
16 ウォームホイール
17 第2回転部
171 突起
18 ケーブル取付レバー
19 支点軸
2 アシストアクチュエータ
21 ウォーム
3 コントローラ
31 駆動指令演算部
311 乗算器
312 微分演算部
313 乗算器
314 積分演算部
315 乗算器
32 モータ駆動制御部
33 駆動指令演算部
331 乗算器
332 乗算器
333 積分演算部
334 乗算器
4 コントロールケーブル
5 自動変速機
51 制御アーム
52 回転シャフト
53a カム山
53b 谷部(溝)
54 バネ板
55 ディテントピン
56 パーキングロッド
57 カム状プレート
58 パーキングギア
6 位置センサ
611 歯車A
612 歯車B
613 磁石
614 MRセンサ部
615 基板
616 ケース
71 位置センサ
711 ホール素子部
712 ホール素子部
713 磁石
72 相対速センサ
721 突部
722 コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機を備えた車両において、ドライバのセレクトレバーの操作に応じて、自動変速機のセレクト位置を制御で切り換える自動変速機のセレクトアシスト装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動変速機のセレクトレバーは、ロッドやケーブル等の操作力伝達手段を介して自動変速機のマニュアルバルブと機械的に連結されている。セレクトレバーに入力されるドライバの操作力は、操作力伝達手段を介してマニュアルバルブに伝達され、操作量に応じてセレクト位置が切り換えられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、セレクトレバーとマニュアルバルブとが電気的に接続された、いわゆるシフトバイワイヤ技術を用いたものが知られている。この従来技術は、マニュアルバルブを作動するアクチュエータを設け、セレクトレバーの回動操作を電気信号に変化してアクチュエータを駆動することにより、セレクト位置を切り換えるものである(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−323559号公報
【特許文献2】特開2003−97694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セレクトレバーの操作時には、操作力伝達手段のフリクション、ディテントの抵抗等、機械的な操作反力が発生するため、大きな操作力が要求される。よって、ドライバの必要操作力を小さくするために、セレクトレバーの長さを十分な梃子力が得られる長さに設定する必要がある。
【0005】
したがって、上記従来技術のうち前者にあっては、セレクトレバーの長さに起因して形状が大きくなるため、設置場所に制約が多く、車室内におけるレイアウト自由度が低いという問題があった。
【0006】
一方、後者では、アクチュエータの採用によってセレクトレバーを短く設計でき、前者と比較してレイアウト自由度は高くなる。ところが、セレクトレバーとマニュアルバルブとが機械的に連結していないため、フェール時にレンジ切り換えが不能となる。
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、セレクトレバーとセレクト位置切換装置の機械的連結によりフェール時のレンジ切り換え操作を可能にしつつ、セレクトレバーの小型化によるレイアウト自由度の拡大を図ることができ、しかも要求に応じたセレクトレバー操作特性を得ることができる自動変速機のセレクトアシスト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置では、セレクトレバーと自動変速機のセレクト位置切換装置とがセレクト操作力伝達系により連結され、前記セレクト操作力伝達系にはドライバによるセレクト操作力をアシストするアシストアクチュエータが設けられた自動変速機のセレクトアシスト装置において、前記セレクト操作力伝達系を、セレクトレバーに連結した第1連結部材と、前記セレクト位置切換装置に連結した第2連結部材と、限界量までの相対変位を許容しつつ前記両連結部材を連結する相対変位許容連結機構と、を有する構成とし、かつ、前記アシストアクチュエータを第2連結部材に設定し、前記セレクトレバーの操作に対し両連結部材の相対変位が、許容範囲内の中立状態となるよう前記アシストアクチュエータを駆動制御するアシスト制御手段を設け、前記相対変位を検出する相対変位検出手段を設け、前記相対変位検出手段は、磁気により非接触で、相対変位を検出するものであることを特徴とする。
なお、請求項中の「中立状態」とは、許容範囲内で相対変位が許容される状態を指すものとする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、セレクトレバーとセレクト位置切換装置の機械的連結を保持しつつ、ドライバのセレクトレバーの操作に応じて自動変速機のセレクト位置切換装置の切り換えを制御駆動で行うことにより、フェール時のレンジ切り換え操作の確保と、セレクトレバーの小型化によるレイアウト自由度の拡大を共に達成できる。
また、許容範囲内で中立状態を保持することによって、通常の操作状態では、自動変速機側の作動のための力をセレクトレバーが全く必要としないようにして良好な軽い操作フィーリングを実現でき、且つ通常の操作の際に遊び量がなくなることによる操作の違和感を生じないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の自動変速機のセレクトアシスト装置を実現する実施の形態を、実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の自動変速装置の構成を示す側面図、図2はセレクト部の細部構造を示す要部斜視図である。
【0012】
実施例1の自動変速装置は、図1に示すように、セレクト部1、アシストアクチュエータ2、コントローラ3、コントロールケーブル4、自動変速機5を主要な構成としている。
セレクト部1は、セレクトレバー11、セレクトノブ12、第1回転部13(第1連結部材に相当する)、チェック機構部14、ウォームホイール16、第2回転部17(第2連結部材に相当する)、ケーブル取付レバー18、支点軸19からなる。
セレクトレバー11は、運転席から操作可能な位置に設けられ、セレクトレバー11の先端には、セレクト操作時にドライバが把持するためのセレクトノブ12が付設されている。セレクトレバー11は、第1回転部13に取り付けられ、第1回転部13は支点軸19を中心に回動操作される。結果的にセレクトレバー11は、回動操作可能となる。セレクトレバー11は、従来の一般的なセレクトレバーよりも250mm短い100mmに設定されている。
【0013】
さらに、支点軸19には、回転自在に第2回転部17を設ける。第2回転部17は、第1回転部13と同軸となるが、相対回転可能な構造にする。
第2回転部17の一端側には、ウォームホイール16を設け、このウォームホイールと反対側には、ケーブル取付レバー18を設ける。このケーブル取付レバー18にコントロールケーブル4の端部を取り付け、反対側の端部を自動変速機5の制御アーム51に取り付ける。
同じ回転軸(支点軸19)に対して相対回転が可能な第1回転部13と第2回転部17において、第1回転部13には、円周方向に対して所定の長さである遊び溝131を設ける。第2回転部17には、遊び溝131内に位置するよう突起171を設ける。これにより、第1回転部13と第2回転部17の相対回転は遊び溝131の間を突起171が移動できる範囲となる。(第1回転部13の遊び溝131と第2回転部17の突起171で遊び連結機構を構成する)
【0014】
アシストアクチュエータ2は電動モータであり、その出力軸には、ウォーム21を設けて、ウォームホイール16と係合させてウォームギアを構成し、アシストアクチュエータ2により第2回転部17を回転駆動させる構造にする。さらに、支点軸19には、第1回転部13と第2回転部17の相対変位量を検出する位置センサ6(相対変位量検出手段に該当する)を設ける。
ここで、位置センサ6の構成について詳細に説明する。
図9は位置センサ6を設置したセレクト部1の断面図、図10は位置センサ6の一部切欠断面図である。
ウォームホイール16は、支点軸19に直結させ、セレクトレバー11の軸は、図9に示すように支点軸19が貫通する構造にすることで、同一軸に対しそれぞれ回転する構造にする。このセレクトレバー11の軸部には、内部空間を有するケース616を設け、支点軸19に直交するセレクトレバー11側のケース616の内面に基板615を設ける。次に、基板615上に、磁気の強さにより抵抗が変化するMR素子を有し、MRセンサ部614を設ける。MRセンサ部614に対向する位置のケース616内面には、MRセンサ部614に向かって突出した軸支部を設ける。このMRセンサ部614と、対向する位置に設けた軸支部により軸支するように歯車B612を回転自在に軸支して設ける。
【0015】
この歯車B612のMRセンサ部614に対向する部分には、図10に示すように、厚みのある半円形状ごとにN,S極となるよう着磁した磁石613(磁界発生手段に相当する)を設け、歯車B612と一体となって回転する構成にする。
次に、ウォームホイール16と接続する支点軸19には、支点軸19と一体となり回転する歯車A611を設け、歯車A611の外周歯面を歯車B612の外周歯面と係合させる。また、歯車A611と歯車B612は、歯車B612の径を歯車A611より小さくして、所定の角度範囲で回転する歯車A611に対し、180度未満の回転を歯車B612が行うようにする。
【0016】
さらに、第1回転部13のセレクトレバー11の反対側には、チェック機構部14を設けている。チェック機構部14は、第1回転部13から外周側に突出させたピン141と、ピン141に係合する溝部142からなる。ピン141は詳細には図示しないが内部から先端を突出方向にバネで付勢する構造である。このピン141の先端を溝部142に係合させる。溝部142は、5つのレンジ(P・R・N・D・L)に対応した谷部142aを形成するよう波形状にしたものである。このチェック機構部14により、選択されたセレクト位置が保持されるようにし、操作を伴わない例えば車両の振動等に起因する意図しないレンジセレクトの入力を防止する。
【0017】
コントローラ3(アシスト制御手段に該当する)は、検出された相対位置に基づいて、アシストアクチュエータ2の指令値を設定し、電動モータの出力デューティ比をPWM制御する。
図3にコントローラ3の制御ブロック図を示す。
セレクト部1において、レンジ切り換え操作されたセレクトレバー11のストローク変化は、第1回転部13と第2回転部17の相対回転変化となり、遊び溝131と突起171との相対変位量の変化となる。この相対位置の変化は位置センサ6で検出され、中点位置からの相対位置変位量としてコントローラ3へ出力される。
【0018】
駆動指令演算部31は、位置センサ6からの相対変位量に対し、PID制御により、駆動指令値を演算する。駆動指令演算部31は、比例ゲインを乗算する乗算器311からなる比例制御部分と、微分演算を微分演算部312で行い、微分ゲインを乗算器313で乗じる微分演算部分と、積分演算を積分演算部314で行い、積分ゲインを乗算器315で乗じる積分演算部分と、比例・微分・積分の演算結果を加算する加算器からなる。
モータ駆動制御部32は、制御指令値に基づいて、アシストアクチュエータ2の電動モータを駆動する。
【0019】
次に、自動変速機5のディテント構造について説明する。
図4は、自動変速機5のディテント構造を示す斜視図である。
制御アーム51には回転シャフト52が設けられ、この回転シャフト52にディテントプレート53が支持されている。ディテントプレート53の上端には、カム山53aの間に5つのレンジ(P・R・N・D・L)に対応した谷部53bが形成されている。そして、この谷部53bにバネ板54の先端に形成されたディテントピン55を係合させ、選択されたセレクト位置を保持することにより、車両の振動等に起因する意図しないレンジセレクトを防止している。
【0020】
すなわち、アシストアクチュエータ2の作動力又はセレクトレバー11の操作力により回転シャフト52が回動し、この回動に応じてディテントプレート53がディテントピン55に対して相対移動する。このとき、ディテントピン55がカム山53aを乗り越えて隣のレンジに対応した谷部53bと係合し、係合状態がバネ板54の弾性力により保持される。この弾性力がセレクト操作する際の主要な負荷力となる。
【0021】
なお、ディテントプレート53には、パーキングロッド56の一端が回動自在に連結されている。このパーキングロッド56は、セレクトレバー11をPレンジに移動させたとき、カム状プレート57を介してパーキングギア58の回転を阻止し、図外の駆動輪をロックするものである。これにより、勾配路上にPレンジで車両を駐車したとき、勾配に応じて駆動輪をロックするように車重負荷が加わり、パーキングロッド56を咬む力として作用する。
実施例1では、自動変速機5とセレクト部において、それぞれディテント力(チェック力)が働くようにしている。
【0022】
次に作用を説明する。
[自動変速機のセレクト位置制御処理]
図5は、コントローラ3で実行されるセレクト位置制御処理の基本処理の流れを示すフローチャートである。
【0023】
ステップS1では、位置センサ6からの相対位置変位量信号を入力して、相対位置の変位量を読み込む。
【0024】
ステップS2では、読み込んだ相対位置から、相対位置の中点からの偏差を演算する。
【0025】
ステップS3では、相対位置の中点からの偏差から、モータトルク指令値を設定する。
【0026】
ステップS4では、モータトルク指令値に従ってアシストアクチュエータ2の電動モータを駆動する。
【0027】
[自動変速機の操作反力特性]
図6は、P→Rレンジ方向いおけるアシストアクチュエータ2の出力軸に発生する操作反力、及び連結状態においてセレクトノブ12に発生する操作反力を示す特性図である。この操作反力特性は、出力軸における操作反力[N]及びセレクトレバー11における操作反力[N]をセレクトレバー11の操作位置(ストローク角度)と対比させたものである。
【0028】
なお、セレクトレバー11の操作力が自動変速機5へ伝達される場合には、セレクトレバー11における操作反力は、上述したセレクト部1におけるディテントで発生する負荷力に機構の摩擦力等を合成したものである。よって、レンジ切り換え制御中、レンジ切り換え操作を行う場合には、この操作反力以上の手動操作を必要とする。
【0029】
また、アシストアクチュエータ2の電動モータの出力軸における操作反力は、上述した自動変速機5のディテントで発生する負荷力に、コントロールケーブル4の摩擦力、電動モータのイナーシャ等を合成したものである。よって、アシストアクチュエータ2によるレンジ切り換えは、この操作反力以上の駆動力が必要となる。
図6に示すように、セレクトレバー11をP→Rレンジ方向に操作したときに発生する操作反力は、各レンジ間において、初めにセレクトレバー11の操作方向、又はアシストアクチュエータ2の駆動方向と逆方向(D→Nレンジ方向)に発生し、ピーク後に向きを変えて操作方向と同一方向(P→Rレンジ方向)に発生し、レンジ切り換え位置(停止位置)付近でゼロに収束した状態となる。この特性は、ディテントピン55又はピン141が、カム山53a又は溝部142のカム山を乗り越える際に発生する負荷力に起因している。すなわち、ディテントピン55又はピン141がカム山53a又は溝部142のカム山を乗り越えるまでは、バネ板54又はピン141を付勢する図示しないバネの付勢力により抵抗力が発生し、ディテントピン55又はピン141がカム山53a又は溝部142のカム山を乗り越えた後は、ディテントピン55又はピン141が次のカム山53aの溝又は溝53bに落ち込んで引き込み力(慣性力)が発生するためである。
【0030】
[自動変速機のレンジ切り換え制御]
実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、操作前の状態の例として、第1回転部13と第2回転部17は非連結状態であり、遊び溝131内において、突起171は相対位置が中点の位置、つまり、どちらの操作方向に対しても余裕分を有する状態となっている(図8(a)参照)。
【0031】
この状態から、例えばセレクトレバー11を操作し始めると、この遊び溝131と突起171の相対位置変位量が変化する。しかし、非連結状態における位置範囲内であるので、コントロールケーブル4に動きはない。この相対位置変位量の変化は、位置センサ6で検出され、駆動指令演算部31でその相対位置の偏差に応じたモータ駆動制御指令値が設定されて、アシストアクチュエータ2の電動モータが駆動される。アシストアクチュエータ2の駆動出力は、ウォーム
21によりウォームホイール16に伝達され、第2回転部17が回転し、コントロールケーブル4を介して自動変速機5の制御アーム51が駆動されて自動変速機のセレクト位置が切り換えられる。
【0032】
なお、第2回転部17の回転によりコントロールケーブル4が進退することにより、遊び溝131と突起171の相対位置は、中点近傍に復帰する。
つまり、駆動指令演算部31の制御により相対位置変位量を、相対位置の中点近傍に保持することにより、図8(a)〜(c)に示すようにセレクトレバー11の操作による動きに追従させて自動変速機の制御アーム51を駆動して、セレクト位置を切り換えることになる。
この動きは、あたかもセレクトレバー11と自動変速機5の制御アーム51がコントロールケーブル4で接続されているかのような動きとなる。
なお、例として、PレンジからRレンジに移動させる際の相対位置の変化状態を図7に示す。セレクトレバー11に入力される角度を操作角、制御アーム51の角度を作動角とした場合、操作角と作動角の関係は、非連結状態を保ちつつ図7に示すような状態となる。つまり、制御開始当初は、操作角に対して作動角が遅れて追従し、ディテントによる次レンジへの吸い込み力によって、制御後半は、操作角に対して作動角が先行するのである。
【0033】
[操作フィーリングの向上作用]
実施例1では、上記に説明したように通常の制御が行われている場合、第1回転部13の遊び溝131と、第2回転部17の突起171の相対位置が中点に保たれるため、操作の途中で、第1回転部13と第2回転部17が機械的伝達系として接続して、そのショックがセレクトレバー11に伝達されて操作フィーリングを低下させてしまうことがない。
【0034】
これにより、実施例1における操作フィーリングは、セレクト部1のチェック機構部14のみによって生成されることになる。よって、溝部142とピン141におけるカム山の形状、大きさ、ばねの強さ等を、従来に対して小さいセレクトレバー11の軽い操作フィーリングを非常に良好にする構成にできるのである。
【0035】
[急な坂道における発進時の操作フィーリングの向上作用と小型軽量化]
急な坂道を発進しようとしてPレンジからDレンジへセレクト操作する場合には、パーキングロッドを引き抜く力が大きくなるため操作力が重くなる。本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、このように負荷が大きい場合には、遊び溝131の端部に突起171が当接する、つまり遊び機構における遊び量がない状態となってドライバのセレクトレバー11へ入力される操作力が第2回転部17、コントロールケーブル4に伝達され、これにアシストアクチュエータ2の電動モータのアシスト力を加算してパーキングロッド56を引き抜くため、操作フィーリングとしては軽い操作となり、システムとしては、電動モータの定格を小さくできシステムの小型軽量化となる。
【0036】
[急激なシフト操作における操作フィーリングの向上作用とコスト低減作用]
本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置において、急激なセレクト操作をした場合には、遊び溝131の端部に突起171が当接する、つまり遊び機構における遊び量がない状態となってドライバのセレクトレバー11へ入力される操作力が第2回転部17、コントロールケーブル4に伝達され、これにアシストアクチュエータ2の電動モータのアシスト力が加算される。よって、操作フィーリングとしては軽快な操作となり、システムとしては、電動モータへの応答性の要求が緩和され、モータの定格小型化となる。
【0037】
[セレクトレバーと自動変速機の制御アームの機械的連結]
さらに、実施例1において、フェール時には、セレクトレバー11を、非連結状態の位置範囲を超えて操作すれば、その操作方向において、可動量つまり遊び量がなくなり、連結状態となって、コントロールケーブル4を介して、その操作力によって、自動変速機5の制御アーム51を操作することができる。
【0038】
[位置センサにおける課題]
第1回転部13と第2回転部17の相対位置を検出する位置センサとしては、可変抵抗となる接触面に対し、電気的に接触するブラシが摺動することで、抵抗値を変化させるものが考えられる。しかし、可変抵抗となる接触面とブラシが摺動するため、摺動による劣化がある。摺動による劣化は検出値の変化をもたらすこととなり、好ましいものではなかった。
これに対し、本実施例1では、磁気により非接触の位置センサ6にしている。
【0039】
[相対変位量の検出作用]
(a)セレクトレバーの回転による相対変位量の検出作用
セレクトレバー11が操作されると、支点軸19に対してセレクトレバー11と接続して設けたケース616が支点軸19を中心に回転する。すると、支点軸19に固定された歯車A611に対し、歯車B612は公転しながら自転する。
歯車B612が自転すると、磁石613が自転するが、MRセンサ部614は、ケース616と共に公転する回転のみとなる。よって、MRセンサ部614から見ると、対向する磁石613がMRセンサ部614に対し、相対回転する。
【0040】
すると、N極、S極の中央付近を最も磁場の強い状態として回転するため、この磁場の変化によりMR素子が抵抗値を変化することで、その回転位置が検知できる。さらに、実施例1で用いたMRセンサ部614には、MR素子が45度位相をずらすよう2箇所に設けられることにより、図11に示す特性を得ることで、±90°の絶対値を得ることができる。
このようにして、セレクトレバー11の操作は磁気により非接触で相対変位量として検出される。
【0041】
(b)ウォームホイールの回転による相対変位量の検出
アシストアクチュエータ2の駆動力がウォームホイール16に伝達されることにより、支点軸19が回転する。支点軸19が回転すると、歯車A611が一体となって回転する。すると、歯車A611と歯面を係合させた歯車B612が回転する。しかし、MRセンサ部614には回転は伝達されないため、MRセンサ部614に対して磁石613が相対回転することになり、(a)の場合と同様、相対変位量が検出される。よって、アシストアクチュエータ2によるウォームホイール16の作動は磁気により非接触で相対変位量として検出される。
【0042】
以上、(a),(b)より、セレクトレバー11、ウォームホイール16の両方が回転した場合も、その相対変位量が磁気により非接触で検出される。
【0043】
次に効果を説明する。
本実施の形態の自動変速機のセレクトアシスト装置にあっては、次に列挙する効果を得ることができる。
(1)セレクトレバー11は従来のセレクトレバーよりも車室内空間への突出量が150mm程度少なく、さらに、セレクトレバー11と制御アーム51は遊び量を持ってコントロールケーブル4を介して連結されているため、従来品よりも車室内レイアウトの自由度が大きく、インストルメントパネル等、車室内の任意箇所にセレクトレバー11を設定できる。
また、セレクトレバー11と制御アーム51がコントロールケーブル4によって、遊び量を有して機械的に連結されているため、アシストアクチュエータ2やコントローラ3がフェールした場合でも、ドライバは手動でセレクト位置を切り換えることができる。
【0044】
また、第1回転部13の遊び溝131、第2回転部17の突起171の係合により非連結状態と連結状態とを設け、設定遊び量内で中立状態を保持するため、通常の操作の際に非連結状態から連結状態となることによる違和感を生じないようにできる。
また、実施例1においては、通常の状態を非連結状態とするため、連結状態の際に受ける後段の摩擦抵抗を受けることなく、セレクトレバー11の小型化に合わせた軽い力で操作する良好な操作フィーリングをセレクト部1のチェック機構部14で生じさせることができる。
また、実施例1においては、非連結状態の遊び量を有するため、セレクトレバー11側と自動変速機5側の組付の際に互いに同期させる調整等を簡略化でき、車両への組付性を向上させることができる。
【0045】
また、セレクト操作系の負荷が過大となる急な坂道での発進や急激なセレクト操作の際には、ドライバの操作力にモータのアシスト力が加わり、操作を軽快にできる。また、操作力を伝達できるために、システムとしてモータ定格の小型化やモータへの応答性要求の緩和化ができる。
【0046】
さらに、本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置におけるシフトバイワイヤシステムに対する有利な作用効果について、比較して説明する。
上記に挙げた作用効果において、(A)通常時は、手動操作力を自動変速機に伝達することなくアクチュエータの作動力によりレンジ切り換えを行う。(B)フェール時は、アクチュエータの作動力を用いることなく、手動操作力によりレンジ切り換えを行う。(C)過大な負荷が生じる場合には、手動操作力とアクチュエータの作動力を加算したものによりレンジ切り換えを行う(アシスト状態)。特に(B),(C)は、シフトバイワイヤシステムに対し有利な作用効果である。
【0047】
さらに、(A)と(C)の状態も可変であることが有利である。つまり、本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、走行状況に応じて、ドライバの操作力とアシストアクチュエータによるアシスト力の比率を変えることができる。例えば、走行速度が高い時にRレンジからPレンジにシフトしようとする場合に、モータのアシスト力を弱めることにより、ドライバの操作力を高くして(操作を重くして)フィンガータッチの誤セレクトによって車が急停止することが防止できる。このように、操作フィーリングの向上に加えて、誤セレクトの防止や、それにつながるものを抑制することが操作を重くすることで実現できるのである。
【0048】
さらにシフトバイワイヤシステムと比較すると、ポテンショメータ(位置センサ)のゼロ点の経時移動や電源電圧の変動、回路入力電圧のドリフトなどの外乱に対して、シフトバイワイヤシステムでは制御系の応答性や位置決め精度が劣化しやすい。本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では、制御系に多少の変動があってもドライバはメカリンクを通じてその変動分を吸収して操作できるためシステムのロバスト安定性に優れている。
さらに、シフトバイワイヤシステムがシステムダウンした際には、非常用レバーを探して通常と異なる操作をする必要がありパニックに陥ったドライバには負担が大きい。本実施例1の自動変速機のセレクトアシスト装置では操作力が重くなるものも通常と同様のセレクト操作のまま平常心で運転を続けられる。
【0049】
さらに、実施例1では、第1回転部13と第2回転部17の相対変位量の検出を、磁気により非接触で検出するため、摺動による劣化を無くし、正確な検出を行うことができ、これによりアシストアクチュエータ2の制御をより正確に行うことができる。
【0050】
(2)位置センサ6は、磁界を発生する磁石613と、磁石の磁界を検出するMRセンサ部614を備えるため、磁石613とMRセンサ部614を相対回転させるようにして、磁石613とMRセンサ部614により相対変位を非接触で検出できる。
【0051】
また、磁石を磁界の発生手段とすることで、磁気回路や磁気コイルを設けないことによるコスト抑制効果を得ることができる。
【実施例2】
【0052】
実施例2は、磁気による相対変位の変化速度を検出でき、磁界検出手段としてホール素子を用いた例である。
実施例2では、図12、図13に示すように位置センサ71と相対速センサ72を設けている。
まず、支点軸19を中心に回転可能な第1回転部13の一部に磁石713(磁界発生手段に相当する)を設ける。磁石713は、例えば時計回り方向側にN極、反時計回り方向にS極となるように回転方向で極が分かれるように設ける。
次に、この磁石713に対向する第2回転部17の位置に、図13に示すように磁石713に向かって磁性体を突出させた突部721を設ける。突部721には、コイル722を巻きつける。突部721、コイル722が相対速度検出手段に相当し、磁石713を含めて相対速センサ72を構成する。
【0053】
さらに、磁性体を、突部721に対し両回転方向に伸ばした形状にし、突部721から時計回り方向、反時計回り方向に所定の間隔をあけて磁石に向かって突出させ、その先端にそれぞれ、ホール素子部711、712(磁界検出手段に相当する)を設ける。これに磁石を含めて位置センサ71を構成する。
次に、図14を参照して実施例2の制御ブロック図について説明する。
駆動指令演算部33は、位置センサ71からの相対変位量、相対速センサ72からの相対速度に対し、PID制御により、駆動指令値を演算する。駆動指令演算部33は、相対変位量に対し比例ゲインを乗算する乗算器331からなる比例制御部分と、相対速度に対し微分ゲインを乗算する乗算器332からなる微分演算部分と、相対変位量に対し積分演算を積分演算部333で行い、積分ゲインを乗算器334で乗じる積分演算部分と、比例・微分・積分の演算結果を加算する加算器からなる。
モータ駆動制御部32は、制御指令値に基づいて、アシストアクチュエータ2の電動モータを駆動する。
その他構成は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
次に作用を説明する。
[相対速度の検出]
第1回転部13と第2回転部17の相対変位が生じる動きに対し、第1回転部13に設けた磁石713とコイル722の相対位置が変化すると、図13に示すようにいずれかの磁極の端部がコイル722に近づくことになる。このN極・S極の配置により、磁石713はそれぞれ端部が最も強い磁界を発するため、相対移動すると、コイル722内を通過する磁束量に変化が生じ、その変化によりコイル722は電圧を得る。さらに、例えば、磁石713のS極がコイル722に近づくと、S極は突部721に近づき、N極は、隣の磁性体の突部分に近づくことになる。すると、N極からS極への磁束が磁性体で損失少なく誘導される磁気回路を構成することになるため、コイル722への磁束変化を大きくでき、より大きな電圧変化を得ることができる。この磁束の変化で得る電圧変化は、言い換えれば、単位時間当たりの磁束変化量に応じた電圧ということができる。さらに、単位時間当たりの磁束変化をもたらすのは、単位時間あたりの相対位置の変化であるから、コイル722の電圧変化は、相対速度を検出していることになる。
【0055】
さらに、コイル722へN極が近づく場合とS極が近づく場合とでは、コイル722内を通過する磁束の方向が異なるため、検出する電圧の正負が逆転することになり、変位方向をも検出できることになる。
【0056】
[相対変位量の検出]
実施例2では、位置センサ71としてホール素子を用いている。ホール素子は、通過する磁束量に応じて検出電圧を出力する。また、通過する磁束の方向により検出電圧の正負が逆転する。実施例2では、図16に示すように2つのホール素子部711,712のホール素子を直列に接続する回路構成にした場合、例えば磁石713のN極がホール素子部711に近づくと、N極自体がホール素子部711に近づくことと、S極が突部721に近づき磁気回路が形成されることにより、ホール素子部711の出力は、大きくなり、ホール素子部712の出力が小さくなって、例えば正方向の検出電圧が大きくなる。よって、図16に示すように、正負の方向を含めて、確実に相対変位量が検出される。
【0057】
[コストの抑制]
実施例2では、位置センサ71と相対速センサ72が、同じ磁石713を磁界の発生手段としている。さらに、位置センサ71では、2つのホール素子部711,712が同じ磁石713を磁界の発生手段としている。これによりコストが抑制される。
【0058】
[ノイズの影響に対する作用]
PID制御の特に微分制御において、相対変位量を微分演算する場合、その相対位置の検出にノイズの影響があると、ノイズによる変化を相対変位量の変化速度と演算してしまうという問題があった。特に、接触点の摺動により抵抗を変化させるセンサの場合、振動等の影響で接触力が変化することが考えられ、この問題が生じやすい。
これに対し、本実施例2では、磁石713からの磁束の変化を捉えて相対速度を検出するため、非接触の検出となり、上記のような問題を生じないようにする。
また、相対変位量から比例・微分・積分を演算するのに対し、相対速度に実際の検出結果が入力されるため、制御演算の信頼性が向上する。
【0059】
効果を説明する。実施例2の自動変速機のセレクトアシスト装置では、上記(1),(2)の効果に加えて、以下の効果を有する。
(3)相対変位の変化速度を磁気により非接触で検出する相対速センサ72を設け、コントローラ3は、相対変位量と相対速度からアシストアクチュエータ2の駆動指令値を演算するため、ノイズの影響なく、精度のよい制御を行うことができる。
【0060】
(4)相対速センサ72は、磁界を発生させる磁石713と磁界の変化を検出するコイル722を備え、磁界の変化から相対変位の変化速度を検出するため、コストを抑制して、第1回転部13と第2回転部17の相対変位で、磁石713とコイル722が相対変位するようにし、変化速度を非接触で、検出することができる。
【0061】
(5)位置センサ71と相対速センサ72が同じ磁石713を磁界の発生手段とするため、コストを抑制することができる。
その他作用効果は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
【実施例3】
【0062】
実施例3は、実施例2の磁界検出手段として、MRセンサを設けた例である。
実施例3では、実施例2のホール素子部711,712を設けず、MRセンサ部をそれぞれ設ける。その場合、MRセンサ部に関する回路構成は、図17のようになる。
MRセンサ部は、磁束の方向で、その抵抗値を変化させ、磁束の方向に関係ないため、図17のように2つのMRセンサ部の間と2つの抵抗の間の電圧差を取るようにして、図17(b)のような特性を得るようにして相対位置を検出してもよい。
その他構成、作用効果は実施例2と同様であるので説明を省略する。
【0063】
(その他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態を実施例1〜実施例3に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
セレクトレバー11の形状や大きさは任意であり、指先で操作可能なスイッチ形状としてもよい。
異常を判定した場合には、駆動を停止させるのではなく、駆動出力を抑制した状態にしてもよい。
【0064】
実施例1〜実施例3では、相対変位許容連結機構の例として遊び連結機構を示したが、遊び連結機構以外であっても、例えば、限界弾性変位量までの弾性変位を許容しつつ両連結部材と連結する弾性連結機構であってもよい。
弾性連結機構について具体的に説明すると、実施例1において、第1回転部13の遊び溝131に係合して遊び溝131内に位置する突起171に対し、遊び溝131の両端側から中点位置に向かって突起171を付勢するようにバネを両側に設ける。チェック機構部14は設けない。すると、自動変速機5のディテント力によりコントロールケーブル4を介して作動位置に回転して位置する第2回転部17の突起171によりバネが伸縮され、バネ力により第1回転部13つまり、セレクトレバー11の位置が決まる。弾性連結機構では、このようにバネを介して自動変速機側のディテントを伝達することでセレクトレバー11への操作反力が生成される。また、制御は、同様に遊び溝の中点位置、つまり弾性変位量を0にするよう制御されることで、セレクトレバー11の操作に自動変速機5の作動が追従する動きをさせるのである。この弾性連結機構も相対変位許容連結機構の例である。
【0065】
実施例1〜実施例3では、遊び連結機構の例として、遊び量を許容する溝と
突起、アシストアクチュエータをセレクト部に設けたが、図18に示すように、第2回転部17及びアシストアクチュエータを自動変速機5に設けるようにしてもよい。図18を参照して具体的に説明すると、自動変速機5の制御アーム51を第2回転部17に接続して設け、第2回転部17の回転によって制御アーム51がレンジ位置を切り換える構造にする。この第2回転部17には、ウォームホイール16を設け、アシストアクチュエータ2のウォーム21を係合させる。よって、アシストアクチュエータ2は自動変速機5側に設ける。セレクトレバー11が設けられた第1回転部13の遊び溝131内を移動する突起171には、コントロールケーブル4の一端を取付け、他端を第2回転部17に取り付ける。このような構成であってもよい。
【0066】
また、遊び連結機構の例として、遊び連結機構、アシストアクチュエータをコントロールケーブルの途中に設けた例を図19、図20に示す。
この例においては、遊び連結機構は、コントロールケーブル8aとコントロールケーブル8bの接続部分で形成されるとともに、位置センサ71によりその相対変位量が検出される。セレクトレバー11側のコントロールケーブル8bは、ジョイント91により入力レバー92に接続し、自動変速機5側のコントロールケーブル8eは、ジョイント96により出力レバー95に接続する。この入力レバー92と出力レバー95は、同一の回転軸となる出力軸94に接続した構造にする。出力軸94には、ウォームホイール93を設け、アシストアクチュエータの電動モータ97の出力軸にウォーム98を設けてウォームホイール93と係合させる。このようにコントロールケーブルの途中に遊び連結機構、アシストアクチュエータを設ける構成にしてもよく、また、遊び連結機構における相対位置変位量が発生する部分で直接、変位量を検出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】第1実施例の自動変速機の構成を示す側面図である。
【図2】アクチュエータの細部構造を示す要部斜視図である。
【図3】コントローラの制御ブロック図である。
【図4】自動変速機のディテントの構造を示す斜視図である。
【図5】コントロールユニットで実行されるレンジ切り換え制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】P→Rレンジ方向においてセレクトレバーに発生する操作反力を示す特性図である。
【図7】P→Rレンジへの操作におけるセレクトレバーの操作角とアクチュエータの作動角、及び相対位置の特性を示す説明図である。
【図8】セレクトレバーの操作とアクチュエータの動作を示す説明図である。
【図9】位置センサ及びセレクト部の一部の断面図である。
【図10】位置センサの一部切欠断面図である。
【図11】MRセンサの出力特性を示す説明図である。
【図12】実施例2における位置センサ、相対速センサ、セレクト部の一部を示す説明図である。
【図13】実施例2における位置センサ、相対速センサの説明図である。
【図14】実施例2におけるコントローラの制御ブロック図である。
【図15】実施例2における相対速センサの出力特性を示す説明図である。
【図16】実施例2における位置センサの回路構成と出力特性を示す説明図である。
【図17】実施例3における位置センサの回路構成と出力特性を示す説明図である。
【図18】実施例の自動変速機のセレクトアシスト装置の他の例を示す図である。
【図19】実施例の自動変速機のセレクトアシスト装置の他の例を示す図である。
【図20】実施例の自動変速機のセレクトアシスト装置の他の例のリンク部分を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 セレクト部
11 セレクトレバー
12 セレクトノブ
13 第1回転部
131 溝
14 チェック機構部
141 ピン
142 溝部
142a 谷部
16 ウォームホイール
17 第2回転部
171 突起
18 ケーブル取付レバー
19 支点軸
2 アシストアクチュエータ
21 ウォーム
3 コントローラ
31 駆動指令演算部
311 乗算器
312 微分演算部
313 乗算器
314 積分演算部
315 乗算器
32 モータ駆動制御部
33 駆動指令演算部
331 乗算器
332 乗算器
333 積分演算部
334 乗算器
4 コントロールケーブル
5 自動変速機
51 制御アーム
52 回転シャフト
53a カム山
53b 谷部(溝)
54 バネ板
55 ディテントピン
56 パーキングロッド
57 カム状プレート
58 パーキングギア
6 位置センサ
611 歯車A
612 歯車B
613 磁石
614 MRセンサ部
615 基板
616 ケース
71 位置センサ
711 ホール素子部
712 ホール素子部
713 磁石
72 相対速センサ
721 突部
722 コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セレクトレバーと自動変速機のセレクト位置切換装置とがセレクト操作力伝達系により連結され、前記セレクト操作力伝達系にはドライバによるセレクト操作力をアシストするアシストアクチュエータが設けられた自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記セレクト操作力伝達系を、セレクトレバーに連結した第1連結部材と、前記セレクト位置切換装置に連結した第2連結部材と、限界量までの相対変位を許容しつつ前記両連結部材を連結する相対変位許容連結機構と、を有する構成とし、かつ、前記アシストアクチュエータを第2連結部材に設定し、
前記セレクトレバーの操作に対し両連結部材の相対変位が、許容範囲内の中立状態となるよう前記アシストアクチュエータを駆動制御するアシスト制御手段を設け、
前記相対変位を検出する相対変位検出手段を設け、
前記相対変位検出手段は、
磁気により非接触で、相対変位を検出するものである、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記相対変位検出手段は、
磁界を発生する磁界発生手段と、
前記磁界発生手段で発生させた磁界を検出する磁界検出手段と、
を備え、
前記磁界発生手段と前記磁界検出手段との相対変位を検出する、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
相対変位の変化速度を磁気により非接触で検出する相対速度検出手段を設け、
前記アシスト制御手段は、相対変位量と相対速度からアシストアクチュエータの駆動指令値を演算する、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記相対速度検出手段は、
磁界を発生させる磁界発生手段と、
磁界の変化を検出するコイルと、
を備え、
磁界の変化速度から相対変位の変化速度を検出する、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記相対速度検出手段の磁界発生手段と、
前記相対変位検出手段の磁界発生手段と、
を共通化したことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項1】
セレクトレバーと自動変速機のセレクト位置切換装置とがセレクト操作力伝達系により連結され、前記セレクト操作力伝達系にはドライバによるセレクト操作力をアシストするアシストアクチュエータが設けられた自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記セレクト操作力伝達系を、セレクトレバーに連結した第1連結部材と、前記セレクト位置切換装置に連結した第2連結部材と、限界量までの相対変位を許容しつつ前記両連結部材を連結する相対変位許容連結機構と、を有する構成とし、かつ、前記アシストアクチュエータを第2連結部材に設定し、
前記セレクトレバーの操作に対し両連結部材の相対変位が、許容範囲内の中立状態となるよう前記アシストアクチュエータを駆動制御するアシスト制御手段を設け、
前記相対変位を検出する相対変位検出手段を設け、
前記相対変位検出手段は、
磁気により非接触で、相対変位を検出するものである、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記相対変位検出手段は、
磁界を発生する磁界発生手段と、
前記磁界発生手段で発生させた磁界を検出する磁界検出手段と、
を備え、
前記磁界発生手段と前記磁界検出手段との相対変位を検出する、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
相対変位の変化速度を磁気により非接触で検出する相対速度検出手段を設け、
前記アシスト制御手段は、相対変位量と相対速度からアシストアクチュエータの駆動指令値を演算する、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項4】
請求項3に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記相対速度検出手段は、
磁界を発生させる磁界発生手段と、
磁界の変化を検出するコイルと、
を備え、
磁界の変化速度から相対変位の変化速度を検出する、
ことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【請求項5】
請求項4に記載の自動変速機のセレクトアシスト装置において、
前記相対速度検出手段の磁界発生手段と、
前記相対変位検出手段の磁界発生手段と、
を共通化したことを特徴とする自動変速機のセレクトアシスト装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−77820(P2006−77820A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260180(P2004−260180)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】
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